○市川正一君 私は偶然そういう
数字の結果になったというものじゃないと思う。たとえば、この
日本輸出入銀行、これが「二十年の歩み」というのをせんだって出されましたけれ
ども、これを拝見しますと、「日米経済
協力としての東南アジア開発」という項がございます。そしてこの中でこういうふうに述べられております。「日米経済
協力による東南アジア開発の構想がアメリカ
政府内で具体的な形をとってでてきたのは、二十六年」これは
昭和のことですが、「三、四月頃のことであるが、その基本的な
考え方は、
わが国の設備・技術・労働力を最高度に利用して、アメリカおよび自由圏諸国の防衛
体制の一環として、またアジアにおける工場として活用していく、というものであった。」というふうにきわめてリアルに、さらにまたこういうふうにも言っています。「アメリカの軍備の拡張および対外援助の軍事援助重点化は、必然的に対日援助削減のために
日本経済の自力化促進及び東南アジア諸国に対する経済援助を
日本が一部負担するよう期待させることとなったのである。」というふうに述べております。さらにまた、これは一九五一年七月に発表されたアメリカのウィルソン国防動員総本部長官の構想を受けて、当時訪米中であった石川一郎経団連会長は、こういうふうに明白に言っております。「アジアの市場はきわめて尨大なものであり、西方諸
国民がアジアの必要とするすべてのものを供給することは不可能であり、とくに現在の再軍備の時期においては不可能である。そこに
日本と西方諸国が平和と
貿易と工業において
協力し、いま貧乏と汚濁の中に生きていて共産主義者の喰いものとなっているアジア民衆の生活を豊かな幸福なものたらしめるため、これに是非とも必要な物資を供給する途が開かれているわけである。」というふうにこれなりの言い方をしておりますけれ
ども、まさにこれが原点であったわけです。一九五一年のことでありますが、まさにその原点がこれだったんです。
私、論を進めたいんでありますが、同時に
指摘しなければならないのは、
わが国の経済
協力がこうした
発展途上国に対するアメリカの新しいアジア戦略、私
どもこれを新植民地主義というふうに言っておりますが、これに
協力をしていくとともに、
日本の大
企業がこれらの東南アジアの各国、その現地資源と
国民を犠牲にしていく、そういう形で利益をむさぼっている点であります。たとえば一九七七年度末現在の海外直接の投資許可額の累計を見ますと、総計二百十二億一千百万ドルのうちその二八・五%を占める六十三億二千八百万ドルがアジアに向けられております。また、国別の伸び率を七七年累計と七〇年累計とを比較してみますと、
韓国は二十四倍、インドネシアは十三倍、フィリピンは五倍というふうに大幅なものになっております。
わが国の財界と
政府の
関係担当者が入ってつくりました「南北問題と
日本経済」、これは
日本経済
調査協議会が発表したものですが、御
承知だと思います。この中にもこういうふうに述べているんです。「
政府ベースの円借款あるいはクレジットラインの設定などにより、経済開発に
協力すると共に将来の商業ベースでの援助の「地ならし」をすることも必要となろう。」というふうに言っておるんでありますが、私、長官に特にお伺いしたいんですが、こういう経済
協力なるものが実はいま言ったここにあるいわば「商業ベースでの援助の「地ならし」」、そういうねらい、そういうものと結びついて行われているという意図、そういうものを、あるいはそういうおそれというものを全くお
感じになっていないかどうかお伺いしたい。