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国務大臣(
江崎真澄君)
繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する
法律案につきまして、その
提案理由及び
要旨を御説明申し上げます。
繊維工業につきましては、現行
繊維工業構造改善臨時措置法に基づきまして、昭和四十九年度から、繊維工業の
知識集約化を目指して、新商品または新技術の開発等に関する
構造改善
事業を実施してまいりました。しかしながら、この間の
わが国の繊維工業をめぐる内外環境は、当初の予想を上回るまことに厳しいものとなりました。すなわち、国内におきましては、
石油危機後の
景気の著しい冷え込みにより、繊維
製品の内需が大幅に減少し、長期にわたり停滞を見せました。また、対外的には、発展途上諸国における繊維工業の発展により、
わが国の繊維工業は、輸出国市場において次第に後退を余儀なくされるとともに、
わが国市場におきましても、厳しい競合
関係に置かれてまいりました。これに加うるに、一昨年来円相場が急激かつ大幅に高騰いたしましたが、この面からも
わが国の繊維工業の国際競争力は、大きな
影響を受けたのであります。
このような繊維工業をめぐる厳しい内外環境の中で、本
法律に基づき進められてきた
構造改善
事業は、必ずしも順調な進捗を見せておらず、本年度末をもって当初の目的を達成したとすることは困難な
状況となっております。これらの
状況を踏まえ、繊維工業
審議会及び産業
構造審議会におきまして、今後の
構造改善のあり方について慎重な
審議が重ねられ、昨年十一月、今後の繊維工業をめぐる厳しい内外環境から見て、
わが国繊維工業は、
製品の一層の高付加価値化、差別化を図っていく必要があるが、繊維
事業者の自主的努力のみをもってこのような対応を早急に進めていくことは困難であると考えられること、
関係業界においても、懸案の過剰設備の処理が進み、これから
知識集約化を目指した
構造改善に取り組むべき段階に来ていること等の
理由から、
構造改善期間を五年間延長するとともに、
構造改善の一層の促進を図るべき旨の答申を得た次第であります。
政府といたしましては、この答申に沿って政策を進めるため、本
法律案を提案することといたした次第でございます。
次に、この
法律案の
要旨を御説明申し上げます。
第一は、この
法律が
廃止されるものとされる期限につきまして、従来、本年六月三十日までとなっているものを、昭和五十九年六月三十日まで五年間延長することであります。
第二は、
構造改善
事業制度に関するものであります。現行制度では、
構造改善
事業計画を単独で作成することができる特定組合は、異なる種類の
事業をあわせて行うものに限られておりますが、今回、新たに、異なる種類の
事業をあわせて行う特定組合以外のものであっても、通商産業省令で定める
一定の要件に該当するものは、
構造改善
事業計画の作成主体として認めようとするものであります。また、これとあわせて、
構造改善
事業計画の
対象となる繊維工業の範囲を拡大することといたしております。第三は、衣服関連の人材育成に関するものであります。繊維工業
構造改善
事業協会に人材育成基金を
設置する旨の
規定を置くとともに、同協会の新たな業務として、衣服に関する新商品の開発、需要の開拓等に必要な人材の育成
事業に対する助成金の交付等の業務を追加することといたしております。
以上が、この
法律案の
提案理由及びその
要旨であります。何とぞ、慎重に御
審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。