○吉田正雄君 いまの
委員長の世界の動向とか状況というふうな話もありまして、それについては、そういう話が出ますと私は個人的にまた反論したい面が出てくるんですよ。やはり、
日本のこの出版
事情の過去の歴史というものがあるわけですね。そういう歴史を踏まえてこの
再販制度というものは
昭和二十八年に認められたわけなんですね。だから、単にイギリスがどうとか
アメリカがどうとかという、他国がそうだからという、そういうことをもって世界の大勢という言い方の中で、だから
日本も変えていくべきだという、そういう
考え方がいまの
説明ですと何かちょっとこうあるような
感じがするんですね。私はそれじゃいけないと思うんですね。やはり、あくまでも
日本の実情、それから今日までの歴史的な経過というものを踏まえ、それとさらに現実のこの流通上における問題がどうなのかという、具体的なそういう問題点を明らかにした中で、しからばどうするかということを検討するんならいいんですけれ
ども、何か最初からどうもこの
再販制度というのはよくなさそうだという、そういうものがあって、だから実態を
調査をしてみようという、何かそんなふうに受けとめられかねない状況がやっぱりあるような
感じがするんですね。そういう点は慎重に対処されるということですので、そのことを再度強く要請をして、きょうはこの問題については、まだ法案が出されたとか何かということじゃありませんので、一応きょうはこの
程度でやめておきたいと思います。どうもありがとうございました。
引き続いて、
通産大臣にお尋ねをいたしたいと思います。これもきょうきわめて限定をされた時間でありますので、一々項目ごとに
質問をしてまいるということができませんので、大綱について
大臣の
見解をお聞きをいたしたいと思うわけです。
一昨日、つまり二月十三日に行われました
江崎通産大臣の当面の
通商産業行政に対する所信表明に関して、特に日米
経済、貿易の今後のあり方と
通産省の対処についてお伺いをいたしたいと思うわけです。所信では、冒頭で「現在、
わが国経済は、内外の激動する環境下にあって、多くの困難な問題を抱えております。」と述べ、次いで「国外におきましては、保護貿易主義の台頭、国際通貨
体制の不安定化等世界
経済の枠組みと運営に不安がつのる中で、大きな
経済力を有するに至った
わが国に対して、世界
経済の安定的発展により一層貢献するよう、国際収支の均衡回復、
経済協力の拡充等を初め、国際的な要請が高まってきております。」と述べられておるんです。
ところで、
大臣も御
承知のように、現在
日本と
アメリカとの間の
経済、貿易
関係には大きな摩擦が生じております。昨年暮れ、七%
経済成長率達成を断念した
日本に対し、遺憾の意を表明したカーター
大統領親書の問題があります。また去る一月二十五日、
アメリカ政府が発表したことしの
大統領経済報告並びに
経済諮問
委員会、これはシュルツ
委員長ですが、の
大統領への年次
報告における
日本に対する批判と指摘があります。すなわち
大統領報告では、一点として、
アメリカの貿易収支の大幅な赤字の原因の
一つとして、
日本の関税並びに非関税障壁を挙げ、多角的貿易交渉、いわゆる東京ラウンドの最終合意がなされれば摩擦は相互に削減されようと述べています。次いで二点として、昨年ボンで開催された先進国首脳
会議で、
アメリカはインフレ抑制と
石油輸入削減を約束し、西ドイツと
日本は成長政策と黒字の削減を約束いたしております。持続的な協調と健全な政策を通してのみ、安定雇用と物価の安定を達成し得ると述べ、
日本が約束を実行するよう促しておるわけです。
経済諮問
委員会年次
報告では、まず、ボンの首脳
会議で
日本は成長政策と黒字削減を提案し、昨年九月
景気刺激のための補正予算を組んだ。しかし、七%の成長
目標は達成されそうにないと述べ、次いで米国の経常収支の赤字に触れて、
日本は昨年緊急
輸入政策をとった。円高にもかかわらず、
日本の
輸入が急速に拡大しないのは、
日本の
輸入品市場が比較的閉鎖的な構造にあるからだ。その
輸入面での障壁を削減する必要性は、
日本政府が十分
認識していると述べているわけですね。
この
大統領報告の中にある
アメリカのインフレ抑制と
石油輸入削減の約束は十分な
努力が払われておりません。これ時間がありませんから述べませんが、先ほ
どもこの
石油問題に関連をして、
イラン状況があのような状況下にありながら、
アメリカの場合、十一月ころまでは毎日一日当たり八百万バレル
程度の
輸入であったものが、
イラン情勢が急変をしてから百五十万バレルも増加をするという、まさに
アメリカ自身がボンの首脳
会議における約束というものを無視をするような、そういう状況も出ていることは出ておるわけです。しかし、そんなことを責めても仕方がないわけでして、やはり
日本政府の
努力というものがどう実現されるかということはきわめて重大だと思うわけです。
さらに、
アメリカ議会でも一月下旬、上下両院合同
経済委員会で民主党のベンツェン
委員長が対日
輸入課徴金の採用に触れ、同じく一月末に下院貿易小
委員会のジョーンズ議員らが作成したいわゆるジョーンズ・リポートでは、
日本に対し従来
アメリカが強く要求をしていた農産物の
輸入拡大のほかに、新たに電電公社など、
政府関係機関の物資購入に際して外国
企業への門戸開放、あるいは小さな問題になりますけれ
ども、なめし革の
輸入拡大と将来の自由化、在日外国銀行への規制、差別の撤廃などを要求しておるということが報道されているわけですね。
また、東京ラウンドを有利なものにするための議会の
動きも活発で、
輸入課徴金特別立法であるとか、あるいはダンピング防止法の強化、あるいは繊維など個別産業保護立法などの
動きというものが急速に高まっておるということが伝えられておるわけです。このような
アメリカ政府、議会の動向に対処するため、今月の五日には安川対外
経済交渉担当
政府代表、あるいは
通産省からは橋本審議官、さらに七日には牛場東京ラウンド担当代表が
アメリカに派遣をされて、日米
経済・貿易摩擦の鎮静に
努力をされておるようです。しかし、
経済外交は後手後手になりがちであって、先取りの対応が必要だという
経済界から強い批判も出されておることは
大臣御
承知のとおりだと思うんですね。
さらに、六月末予定の東京における先進国首脳
会議までに大幅黒字貿易が減らなければ、首脳
会議は協調の場ではなくて論争の場になるおそれというものが私は多分にあるんじゃないかと思いますし、さらに私が懸念いたしますのは、従来の首脳
会議でもいろんな点で触れられてきたと思うんですけれ
ども、いわゆる防衛費増大の問題であるとか、あるいは開発途上国への援助費の増額、こういうものもより一層強まるということが考えられるわけです。そうなりますと、これは
日本経済の前途にとっては、この先進国首脳
会議というのは容易ならないものになってくるのじゃないかというふうに思うわけです。
そこでお尋ねなんですが、大分前置きが長くなりましたけれ
ども、そこで
通産省としてこのような批判と問題意識に立脚をした今後の日米あるいは対ECとの
経済貿易のあり方と
業界への指導を含めた対処をどのようにされるのか、大綱で結構なんですが聞かせていただきたいと思うわけです。