○
小笠原貞子君 それじゃ次の問題に移らせていただきます。
次は、札幌に本店があります北洋相互銀行の従業員組合に対するいろいろな問題でございます。
大蔵省は来ていらっしゃいますね。——これは
労働省と
大蔵省の
立場でいろいろお伺いもしていきたいと思います。
北洋相銀の従業員組合の支援共闘
会議というのは現在六百三十三組合、四十七万人で支援共闘
会議が結成をされております。この要求の第一は何かと言いますと、この組合の分裂に対して
会社は不当介入をしていること、これについて反省せよというのが第一の問題。それから第二の問題は、第二組合との差別的昇格、差別
賃金を是正しろ、こういう要求で共闘
会議というのが大きくいま組織されているわけです。その共闘
会議が、先ほど言いましたように六百三十三組合、四十七万人という方たちで組織をいたしておりまして、こういうビラを何号も続けて出しているわけでございます。ここで言っておりますことは、ちょっとこれ読み上げたいと思います。「北洋相銀の大塚社長は、組合を分裂させたあと今日まで、八年間にわたって従業員組合員(第一組合員) に露骨な昇格・昇級の差別を続けています。その実態は下表のとおり、」と数字が挙がっているわけです。「職員組合員(第二組合員)の登用六一六名に対し、従組員の登用はわずか十三名という
状況です。このため、同期生の全員または大半が役付行員になっているのに、従組員のほとんどはヒラ行員のままです。その結果生じた同期生との
賃金差別額は、該当者一〇二名で一億九千四百万円(八年間の累計額)もの膨大な金額になっています。従組員であるとの理由だけで、同期生と一年間に一三九万円も差別(四三歳大卒者)されていることは、単なる
賃金差別にとどまらず、明らかな〃人権侵害〃です。」と、こういうふうにビラで訴えているわけです。また、同じように「
昭和45年11月に日本銀行から〃天下り〃してきた大塚社長は、わずか半年後の翌年5月に一部役付組合員らを使って従業員組合を強引に分裂させました。」と、こういうふうにチラシに書かれて、そしてこれがきょうの問題になるわけなんですが、これもこの組合分裂に、ここに書いてあるように、日本銀行が一役買ったと思われる節があるわけなんですね。これは
昭和四十一年四月二十一百「北洋相互銀行実地
調査所見」というのが、日本銀行考査役木村芳雄さんの名前で出されております。これは十三ページあるわけですけれ
ども、この十三ページの中で、実は八ページにわたって組合活動に関する干渉とも言える内容があるわけです。この内容ちょっと読んでみますと——いっぱいあるんです、八ページあるんですから。「
労使関係をみると、残念ながら必ずしも正常な
状態とはいい得ないように思われる。御行組合の全相銀連加盟後に改訂された
労働協約においては、専従者の増員や組合オルグの際の賃銀無カット、斡旋、
調停を経ることなく七十二時間の事前通告によりスト実施可能、経営や人事などの重要事項の経営協議会への付議などが認められている。一方給与については、収益に多少の余裕のみられた従来はもとより収益面からの制約が強まってきた昨年末においても、結局大幅な引上げが行なわれ」云々と、こういうふうに書かれているわけです。
〔
委員長退席、理事片山甚市君着席〕
つまり、大幅賃上げやったのはけしからぬというような内容になっていますね。それからまたここのところには、「今回のベース・アップ要求が御行としては初めての全相銀連との共同署名により提出され、またベ・アとならんで勤務時間三十分短縮の要求がなされていることは、従来の一方に偏ったバランスと無
関係ではないように思われる。」と、つまり、ここでは産業別統一への干渉と見受けられる文章があります。それから、今度またあるわけなんですけれ
ども、「御行の給与体系は定例給与、賞与ともメリットの殆んどないかつ男女同一の年令給であり、このため勤労意欲の盛り上りが阻害されていることは否めない。また、定年が六十才のこともあり一般に職位昇進が渋滞し勝ちで、」云々と、つまり給与体系の中身にまでこういうような所見という形で出しているわけなんですね。これはちょっとひどいじゃないかと、
日銀の
立場でこういうような、まさに労使介入に入ってはならないと、入るべきではないと思っていらっしゃるだろうに、こういうようなことが実際に行われたということが、これも問題になりまして、そしてこれは四十九年の二月八日の衆議院大蔵
委員会でこれが取り上げられまして、佐々木
日銀総裁も、一時労使問題について
意見を求められ、こちらも言った時期があったと、そういう事態を反省し、
労使関係について口をはさむべきでない、最近は取りやめた、今後ともやる
考えはないと、
〔理事片山甚市君退席、
委員長着席〕
一応反省をなすって御答弁を国会でいただいているわけでございます。
それが、今度またその後こういうのが出されているわけです。いま読みましたのは四十一年、これは四十七年の九月九日、日本銀行考査役上林裕さんです。ここの中身ちょっと申し上げますけれ
ども、これは
日銀から大塚さんという社長が天下りしていったと、そしてその大塚さんが組合分裂をさせて非常に成果を上げたと、こういうふうな見方で物をおっしゃっています。この天下り、
日銀から行った分裂の仕掛け人と組合の方は書いておりますけれ
ども、これに対してこういうことを評価してるですね。「大塚社長を
中心とする経営陣の勇断によるショック療法が施されてきた。」と、確かにショック療法のような大きな力だったと思います。「幸い、この間役職員全行あげての協力体制が漸次固まり、これら
改善努力の成果は顕現してきた。すなわち、
労使関係は急速に
改善の
方向を辿り、職員の士気は盛り上り、業容は昨年以降上げ潮テンポに変わり、昨年末資金量は二千億円の台乗せをみ、資産内容も今回
調査の結果、大幅な
改善をみている。この間における役職員各位のご苦労とご
努力に対し、深甚な敬意を表したい。」と、こういうふうになっているわけなんです。つまり、
労使関係が
改善の
方向をたどったということは、結局第一組合を分裂させて、そして第二組合にてこ入れをしていったことを指して、
労使関係は急速に
改善の
方向に進んだというような評価をされているわけですね。はっきり言えば、組合分裂して第二組合を育成させたと、それが「
改善の
方向を辿り、」と、そしてその組合に対してのいろいろな干渉や何かに対して大変いい業績であると、「深甚な敬意を表したい。」というところまで、おまけがつきましてこれが出されているわけなんです。これは四十七年の
段階でございますので、現
段階では
大蔵省、
日銀はまさかこんなことをなすっていらっしゃるとは思いませんけれ
ども、そもそもこの問題が起きた発端というのはこういうところから始まって、八年前のことでございましてね、こういう発端から来たわけなんですよ。そして、いまこの共闘
会議というのは非常に盛り上がりまして、いろいろこう宣伝ビラが具体的に出ておりますので、非常にみんなから支援されているわけなんです。たとえば「年間三十六億円もの経常利益をあげ、従業員一人当りでは日本の代表
企業である新日鉄の十七倍にものぼっています。」と、こういうふうにもうけているじゃないかと、それなのに大
企業に対しては利率が三・何%、それから中小
企業やサラリーマンについては六・何%というような高い利率をかけているなんて、いろんなものが中身から出ていますよ、こういう
紛争になりますとね。このあります場所が札幌の大通り公園という公園のテレビ塔の下の、札幌で一番人の出入りする場所でございます。ここで毎月一回共闘
会議が集会をやるわけなんです。そうすると、銀行さんにとってはね、これはもう大変あれですよ、銀行業務の上から、こんなところで座り込みやられたり、旗出したり、そして支援共闘
会議のみんなが、千人くらい集まったときもありまして、もう四、五百人はざらなんですね。しかも、春だけじゃなくて、寒いときもこうやってその辺がわんわんとこうなるわけなんですよ。
そこで、私はお願いがしたいわけなんですけれ
ども、こういうことが起こった発端というのは、
日銀さんの、こういう問答で明らかになったように、やはり具体的には介入という事実につながってくるのではないかと思います。それから、
労働者にしてみれば、ここにもありましたけれ
ども、大学卒で従業員のAさんという人は、四十二歳で百三十八万九千円の差が出てくると、これはもういろいろ年金にもはね返ってくるわけでございますからね、
労働者にとってはこれはもう非常な不利益だというふうに
考えるのは当然だと思います。それで、こういう第一組合、第二組合に分けて差別しているというのは、たとえば第一組合は共産党だと、社会党が応援していると、だからこれは赤の
指導による、特定政党による
指導だというふうな攻撃がかけられてきている。そうしますと、労基法で言えば三条の差別というものにもひっかけようと思えばひっかかるような差別支配ではないかなというふうにも
考えられるわけなんです。私はここでいま申し上げたいのは、こういう
状態このままにしておいてはいけないと思うんですよ。何とか話し合いのテーブルについて、これを善処していかなければならないというふうに私はやっぱり前向きに進めていく必要があると思うわけなんですね。そこで、
大蔵省としても、やっぱりいろいろお
立場もあろうかと思いますけれ
ども、これは決して好ましいことじゃやありませんね、お互いにとって。だから、それが円満に
解決するように話し合いを進めて、そして円満
解決に持っていくようにというふうに、
大蔵省としても銀行におっしゃっていただいていいのではないかと、そう思うわけです。それからまた、
労働省としても、こういう事実がございまして、私時間がございませんので一方的に話をいたしましたけれ
ども、やっぱりこういう差別というものは好ましくないと、だから、
労働省としてもこの差別の実態も
調査していただきたいし、そしてこれについて、過去のことをとやかく言うよりも、前進するために、この
解決のために可能な
努力を
労働省にもお願いしたいということで、きょうはその御
努力をお願いしたいと。大変それぞれのお
立場もございましてね、余りいい仕事じゃありませんからやり
たくないことはもうわかっておりますけれ
ども、やっぱりこのままにしておきますとどうにもなりません。ますます混乱が広がるばかりでございますので、そういう点で大蔵の方には御協力いただいて円満
解決への力をかしていただきたい。そしてまた、
労働省にも実態をお調べいただいて、大蔵とも御相談もいただくときもあろうかと思いますが、何しろ円満に
解決できるようなお力をいただきたいと思いますので、双方からお答えをいただいて、時間でございます、終わりにしたいと思いますが、どうぞよろしくお願いをいたします。