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神谷信之助君 ですから、形式さえ整っておったら、実体があろうと何であろうと、あるいはまた虚偽であろうと、別にそれは問題にならないということになるわけですね。ですから、これは私は、先ほどの問題とも同じですけれ
ども、この辺せっかく法二十五条で罰則まで決めておきながら実際にはそれがチェックできない、形式的に整っておったらもうそれは実体を備えたものとして認めざるを得ないし、それが真実か虚偽かもチェックできるそういう機能がない、しかし罰則だけがあるという点では、先ほど
検討するということですから、十分これは
検討の中に入れてもらいたいと思うんです。
それで次に、松籟会のさらに経費についての届け出ですが、私ずっと調べてみると、非常に納得できない不明朗なものがあるんですよ。五十一年の届け出によりますと、事務所費が六百三十五万八千四百二十九円となっております。五十二年度の事務所費は七百二十一万九千百七十一円となっております。この事務所費について領収書はどうかという点を聞いてみますと、事務所費は経常経費だから領収書は不要だと、届け出の際。
政治活動の分の経費のみ領収書が必要だということで、ですから、この事務所費が領収書を伴わない、ただ届け出の金額として記載をされているわけです。それじゃ事務所の所在はどこかといいますと、先ほど言いました港区白金台の二の九の十三、白金台マンション、フルールモンド内、すなわち松野夫人の経営する花屋さんですね。こうなっています。
それから、先ほど言いましたように、電話連絡の場所、いわゆる事務担当者というのは、五十一年度は飯田経子さん、五十二年度は山口一美さんになっておりますが、どちらの場合も電話の番号は五〇八の七二〇六です。すなわち、議員会館の松野さんの事務所になっております。だとすると、この事務所費五十一年度、五十二年度合わせますと千三百五十七万七千六百十円、こんなに必要なのかどうかというのは、どうも合点がいかぬことになるでしょう。花屋さんの方にはだれも事務員はおらないでしょう。そういう
状況です。
さらにもう
一つ経費を見てみますと、その中に贈答品、花代というものがありますが、これにも私若干の疑問を感ずるんですが、五十一年度を見ますと、五十一年の八月二十七日に四十八万七千円、それから五十一年八月三十日、三日後です、九万八千五百円、五十一年の八月三十一日、また翌日です、八万五千円、合計六十七万五百円支出をされております。それから五十二年度の方は、五十二年の一月十二日に六十三万二千五百円、五十二年の五月九日に六万六千百五十円、五十二年の八月六日に四万円、合計七十三万八千六百五十円。この贈答品の花代を合計しますと、二年間で百四十万九千百五十円。その花の購入先は港区白金台二の九の十三、すなわち松野夫人の経営をするフルールモンドになっているわけですね。
さらにもう
一つ、人件費でございますけれ
ども、五十一年、五十二年のこの松籟会の代表者というのは岩下了吉さんで、この方は松野議員の第一秘書として登録をされています。したがって、給与は国から出ているわけであります。会計
責任者及び事務担当者、これは同一の人が担当しておりまして、先ほど言いましたように、五十一年は飯田さんという女性の方、五十二年は山口さんという、恐らく女性の方だろうと思います。それぞれ一人ずつしかいない。だとすれば、人件費として五十一年に八百八十二万七千八百八十六円、五十二年度は六百二十四万九千八百円、これがそれぞれ支出されたことになっておりますが、ちょっと多過ぎるように思われるんですね。
このように、支出の
部分を見ますと、疑義があるわけです。それで、さきの事務所費が二年間で千三百五十七万七千六百十円ですが、これを仮に家賃とすれば、この事務所の経費とそれから花代合わせて二年間で千四百九十八万六千七百六十円、約千五百万円が松野夫人のフルールモンドに入金をしたことになるわけです。
ところで、このフルールモンド及びさらにもう
一つあのマンションにあるようですが、これらの店舗なり居室購入に際して銀行や
日商岩井から借金をして、いまなおそのローンの返済中だというように言われているんですが、だとすれば、
日商岩井から政治資金として松野さんところの松籟会に流れ、そして事務所経費とか花代あるいは人件費という名目で支出されて、それが松野夫人のところに入ってくる。そしてそれがローンの返済に充てられるということになりますと、それは形式上は借金をして、そうして正当に
日商岩井から購入をしたという形式は整っていたとしても、実際上は無償提供されたということにもなりかねない、そういう疑いを持たざるを得ない、そういう
内容になってきているんですね。
したがって、この点ひとつ
法務省にもお伺いしたいんですが、
日商岩井のそういう政治資金のリスト、これは表へ出ておるのは一億二、三千万円しか届け出は出てないんですが、松野さんのところへは四十九年に百万円いっただけですから。ところが、それ以上にどんどん金は流れている、片一方では。これは、前回の辻証人が「私の記憶では一回だけではなかったように思うんでございますけど、どうもずっとこうあったんじゃないかと思うんですが、」と、こうおっしゃっています。だから、一回だけじゃなしに、ずっと松野さんのところの後援会松籟会に対しては政治献金はされている、ところが、自治省に届け出ているのは一回百万円だけ、四十九年の上半期に一回だけです。あとはどういう名目にしろ出されているんだけれ
ども、そのリストは
検察庁の方で持っておられるわけです。ですから、そのリストとも関連かして、これらは実質上は無償提供になった
可能性——先ほどの怪しげな金の行方を探しておられるわけですから、そういう怪しげな金の一部としてこういうものも存在をするんではないか。当然、だからその点では
捜査の
対象になり得るんじゃないかというように思います。
それからもう
一つは、事務員もいなくて、実体のない、にもかかわらず先ほど言いました巨額の人件費とか事務所経費が出されている。これはきわめて不明朗であると同時に、政治資金規正法の虚偽
事項記載等に
違反の疑いもあるように思うんですけ
ども、これらの点について
法務省はどのような
見解でしょうか。