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上田耕一郎君
大臣としては話し合いをあくまでやろうとお考えになっているという御
発言、非常に大事な御
発言だと思います。
私この話し合いをやっぱり
国民も非常に注視し、新聞その他も非常に歓迎を表明した話し合いが五回で不調になったという点非常に残念に思いまして、自治協の発表した資料で話し合いの経過が非常に詳しく載っておりますので、私
自身調べました。
大臣ごらんになっていらっしゃらないと思うので、ちょっとお渡しいたします。
——この資料にほとんど、恐らく速記録じゃないでしょうけれ
ども、非常に詳細な経過があります。私これを全部調べまして非常に驚いたことは、全部で五回やっているんですけれ
ども、三回目は自治協の方が十項目の中身について
説明している回ですね。一回、二回は総裁がお出になっている。四回、五回は総裁がお出にならないで、いわば実務者側がお出になった。
最初の二回と後の二回はこれまるで同じ話し合いかと思うぐらい違うんですね。これは総裁をほめるわけじゃないけれ
ども、
最初の二回はまことに平和的で、なるほどこれなら話し合いまとまるだろうとみんなが思うような、自治協
自身も思ったような、新聞記者もそう思ったようなこれは中身ですよ。ところが四回、五回のいわゆる実務協議と申しますものは、これはまるで北風が吹いているような話し合いでして、五回目にもう公団側は話し合い打ち切りと、四回目からそういうことを言っておりますけれ
ども、話し合い打ち切る、もう話すことないということで終わりになっているんですね。私はこれ非常にこの二つ、
最初の二回と後の二回が余りに違うので驚きました。恐らく総裁
自身も本当は後の方にお出になった方がよかったんじゃないかというように思いますけれ
ども。
幾つか
ポイントについてだけ
質問したいと思います。総裁がお出になった
最初の二回は非常によかった
——よかったというか、非常にというか、そういう希望を持たせる
会議だったと思いますけれ
ども、それについての問題点もやはりあると思うんですね。これはきょうの
委員会でも何回も総裁おっしゃっているけれ
ども、二つ前提があると、
一つは家賃改定内容は変更できない、もう
一つは任意団体の自治協が公団の
運営その他に介入することはこれはだめだと、この二つが前提だということを何回も繰り返しきょうもおっしゃった。この二回の話し合いもやっぱりそのことを常に言われているんですね。しかし、私は実はそこに問題があると思うんです。なぜかと言いますと、家賃の改定内容を変更できない、それから介入させる余地ないという問題実はここに問題があるんですよ。
公団としては、いままでの
法律や制度に縛られてその枠の中で考えるでしょう。しかし、制度や枠がいまや問題になっているわけですよ。それは公団の例の高、遠、狭のあの問題を見ても、空き屋住宅が何万戸も出た例を見ましても、いままでの制度ややり方、それから家賃の個別原価方式も、あなた方
自身がプール制的なものを導入せざるを得ないようないろいろ破綻が生まれているわけですね。だから、
日本の公共住宅どうしようかと、家賃の方式そのものをどうすればいいかというような根本問題がいまや問題になっているわけです。制度や
法律が
最初はうまく機能していたのにだんだん矛盾が発展してきますと、それを直すべく運動が起きるわけです。自治協の運動というのはまさに私はそういうものだったと思うんですね。そういう大きな運動が起きたからこそ、住宅問題、家賃問題に関心が集まっているわけだから、そういう役割りを演じているんですね。だから、あの自治協の運動というのは、公団の担当者側にとってみれば、家賃を値上げしたのに払ってくれぬというので、その面では対立したかもしれないけれ
ども、総裁を含めて公団の方々もいまの制度と
法律のある
意味では
犠牲者という面もあるんですよ、あなた方も苦しまれているんだから。そういうものを、大きな社会的な運動が起き、住民の運動が起きて
政治問題化し、社会問題化して、じゃあみんなで知恵を集めてどうしようかと、この制度をこう改善しようじゃないか、
法律をどう直そうじゃないかということになるはずのものだと思うんですね。そういう
意味では住民運動を絶対敵視すべきでなくて、
国民自身の非常に大事な運動として、それが問題を前進させるエネルギーとして見なければならぬ。それをあなた方は窓口の担当者として、絶対この枠以外にありませんと、家賃内容については一切話せないと、それから公団の
運営には一切介入させません、これが前提ですということをやっていたら、これは制度は改善できないですよ。もちろん話し合いとしては、あなた方は改定内容はというふうに言われるでしょう、これは動かせないと。しかし、運動している側は、そこが問題なんだからそこを直してほしいと、だからそこでぶつかるわけですよ。ぶつかるところを話し合って、じゃあ将来こういうふうに直さなければならぬと、制度にも問題があると、この点についてはひとつ国家に
政府にあるいは世論に訴えようじゃないかということをもし公団と自治協が一致点ができたら、これで社会は前進するんですから、だから私はその問題をそういうふうにやっぱり、
皆さん方はある面では対立者だけれ
ども、全体としては
日本の行き詰まっている住宅問題、この制度の問題を突破する大きな担い手が住民運動なんだという見方で住民の運動を見なければならぬ、そういうふうに思うんですけれ
ども、総裁いかがでしょうか。