○和田春生君 この前の
参考人の方の
意見を聴取した際にも出ておったのですけれ
ども、
人権規約のこの条約の性格をどう
考えるかという場合に、条約にもいろいろあると思いますね。それを
締結すれば拘束されまして、国内法並びに実施の上において従わなくてはならない、枠がはめられるという性質の条約もあります。あるいは国際的な
一つの合意事項として到達すべきラインといいますか、目標としてお互いが約束をして努力をしようというものもあると思うんです。そういう面で、
市民的及び
政治的権利に関するB規約の方よりもA規約の方が拘束力が少ないというか、
一つの社会権というようなものについて各国が努力をしろ、こういう
意味合いの濃い規約だというふうに実は私は理解をしておるんです。これを結んだら直ちに国内法を全部改正して実行しなくちゃならぬというものではないと思うんです。
そうした見地に、もし私がいま言ったような非常に強い制約を受けぬものだというふうに理解をしてみますと、私が実際現地に行って知っている国でも、留保をつけずに
締結しているのはこれ一体どうしたことかいなと、まるっきり実態は違うではないかという国がずらっとたくさんあるわけですね。そういうようなことを
考えた場合に、どうも
日本政府の受け取り方が非常にシビアに受け取るというか、もうちょっと別の言葉で言えば少しばか正直過ぎて、国際的にいろいろと
日本に対していわれなき非難、中傷の
材料に使われかねない態度をとったんではないかという気がしてなりません。
そこで申し上げますが、たとえば第七条にいたしましても「公の休日についての報酬」、これはどう読んでみても、雇用契約には月給制で雇っているものもあれば時間給制もあるし日給制もあるし失業しているものもおるわけです。あるいは請負契約で働いているものもおるわけですが、これ全部に公の休日について払えというふうに規定しているというふうには読めないんです。
日本の場合には、月給制の場合には公務員並びに会社の社員を含めまして大体休日も含めて給料が払われているわけですから余り大した問題はないのであって、いまの欠けている部分を努力をしていくという形にすればそれで十分足りる。留保しなくたって一向
日本の実情と他の
締結する国と比べて差し支えない。むしろ
日本の方がりっぱにやっていると思ってもいいぐらいだというふうに認めるんです。なぜ留保をされたのかということです。
それから「同盟罷業をする権利」を留保されておりますが、これにも「ただし、この権利は、各国の
法律に従って行使されることを条件とする。」こういうふうに書いているわけですね。しかも、その八条の第2項では「この条の規定は、軍隊若しくは警察の構成員又は公務員による1の権利の行使について合法的な制限を課することを妨げるものではない。」こういうふうに書いておりますから、消防職員もこれは公務員の中の
一つでございますし、消防職員に対する留保とも関連いたしまして、なぜこれを留保しなくてはならないのか。むしろ現在の
日本の労働
関係法からいけば全然これにもとることはない。さらに、これより進んで公務員とか公共企業体の争議権をどうしようかというのが課題でございますし、ILOの条約から言ったって
日本は違反しているわけではない。どうしてわざわざ留保したのかということにつきましても私は疑問を持っている。この規約を
締結することによって公務員にも公共企業体の職員にも全部ストライキ権を自由に認めろ、そういう強制になるんだという前提ならば、留保することもいまの法体系からわかりますが、どうもそういう点がこのA規約の性格から言って私としてはもう
一つはっきりしない点があるんです。
もう
一つありますから、全部申し上げていきますけれ
ども、中等教育及び高等教育の漸進的無償化、この点についても、これは無償化をしろということよりも、漸進的な導入によって能力に応じすべての者に対して均等に機会が与えられるものとせよ、こういうような
考え方であって、これは非常にまだ貧しくて普及していないというような中進国あるいは開発途上国の教育の向上という面について言ったわけでございまして、同世代の若者の三人に一人が大学に行く、公立校のみならず私学もいっぱいあるというようなところについて、すべての学校に中等・高等教育を無償教育にしろということを強制している
内容ではないというふうに理解しているんですが、これはA規約との性格の関連で、これについて留保をされたということも一体どういう意図なのか。
以上の点について、まとめてお答えをいただきたいと思います。