○国務大臣(園田直君) まず、
政府調達の問題をめぐる日米の
経済摩擦でありますが、これは私はガットの精神、ガットの約束もありまして、特に
日本は資源をよそから買ってきて、これに加工して貿易で立っておる国でありますから、したがいまして、そういう
意味から言えば、むしろ
日本経済の将来のためには貿易障害は進んで開放するのが正しい姿であると考えております。ただし、とは言うものの、いままでの
日本の国内産業というものをどう守りつつ、
国際競争力をつけて裸になって相撲をとっても負けないような力をつけるかというその時間的な問題もあるわけであります。
もう
一つは、私がアメリカに特に主張しましたことは、今後ともこういう問題は起こるであろうけれ
ども、両国間に起こった利害関係を圧力をもって解決をする、
日本はこれにどの程度まで抵抗するか、こうなったら断じて話はつかない。つかないばかりでなく、これは困難にする。今度の電電公社をめぐる
政府調達のやり方というのはきわめて拙劣である。少なくともお互いに両国
経済の未来を考えながら話し合って解決するというようにうまくやろうではないかと、こう私はミスター・ストラウスに話したわけでありますが、今後の方向は大体そういう方向であろうと考えます。
今度参りまして、いろいろ話すことによって米国の厳しい状態もわかりましたが、また反対に、
日本の実情もある程度理解をされた。われわれが滞在中にすでに新聞等においても、この黒字の問題貿易アンバランスの問題はヨーロッパの方ではどんどんやっているじゃないか、わがアメリカはもう少し反省しろという記事などが少し出てくるようになりましたことは、これは喜ばしいことだと思いますけれ
ども、しかし、楽観しないで今後とも緻密に準備を進めていくべきだと考えております。
なお、ECについては、私はいささかいままでと考え方を異にしております。と申しますことは、いままでは米国と話をする、その話をECの方に了解を求める、こういうことだと考えておったわけでありますが、実情をだんだんだんだん調べてみますと、ECと米国の
経済は全く根っこは同じでありまして、ちょうど夫婦関係みたいなもので、夫人の方に不平があると、夫に言いつけて夫が怒り出すというような関係で、むしろECの方に不平が起きないようにやることが先決問題ではないかなと、こう考えておるわけであります。それを先に了解を得ておると、米国の方の厳しさも変わってくるということで、首脳者会談終了直後に安川
政府代表を直ちにECの本部に送っております。いま
先生おっしゃいましたとおり、
国会のお許しを何とかいただいて、私は、ECの議長国であるフラシス――これは
外務大臣かかわったこともございます、それからECの本部、この二カ国だけは参って、今後の
経済問題、特に貿易の問題及びサミットでどのような方向で話を進めていくべきかということを腹を割って相談さしていただきたいと存じておるわけでございます。
それから次は
UNCTADでありますが、この
UNCTADに臨む基本的な姿勢、これは
戸叶先生がいま大国主義はいけないとおっしゃいましたが、全くそのとおりでありまして、私が最初の外相
会議でやられたのは、
日本が背伸びをして大国主義をとっている、われわれに向かってはASEANと言うけれ
ども、
日本は
国際会議に行ったらわれわれの味方をしたことはないじゃないか、
先進国の一員としてわれわれアジアをなだめようとしている、そういうことでは話は聞けない。これがもう本当に本意でありまして、
戸叶先生の大国主義はいけないぞとおっしゃったことが私は一番大事な基本的な姿勢だと思います。したがいまして
UNCTADでいろいろ出てくる
意見を、
先進国とASEANの中間にある
日本が
開発途上国の
立場になって
先進国を説得するという考え方でなければ私は物事は成功しない、また、それは順序ではなくて、それが本心でなければならぬ、このように思っております。
幸い共同基金の問題にいたしましても、ASEANで約束をし、ボンで共同宣言に載せ、脱退しょうとしたアメリカを説得して原則だけは了承を得たわけでありますから、これを具体的に進めていきたい。しかし、問題は、所得補償の問題、一次産品の問題MTNの問題、いろいろあるわけであります。ただ、
開発途上国も、いまや強い国が弱い国を助けるという
立場はなくなったと思います。援助する方も援助される方もともに相協力して世界
経済をどう持っていくかという、世界
経済に
開発途上国が参加するというのが今後の正しい姿であると存じます。
したがいましてアルーシャ宣言で考えた彼らの新
国際経済秩序というものは一遍に直ちに実行するということはできませんけれ
ども、相談をし合って
一つずつ積み重ねていこう、こういうことで、今度の総会では
経済援助などという問題は出ませんけれ
ども、そういうもろもろの問題は出ると存じますので、よく承り、そしてすぐできるものと努力をするもの、あるいは将来何年か後に目標があるものと、そういうものは区分けをして、身内の者として話して帰ってきたいと存じております。