○
吉田正雄君 その
審査会の
機能をきちっと充実をして、従来の
審査会がとかく
企業寄りだという批判を受けないような、そういう
審査会にひとつ強化をしていただきたいと思うんです。
次に、この
原子力損害賠償措置額を六十億円から百億円に引き上げることになったわけですけれども、私はこれでもきわめて低額だと思います。今度の
スリーマイルアイランド原発事故を見ても、もう住民の提起した
訴訟額というものが三千億円にも上るというふうなことが言われておるわけでして、従来余り大
事故がなかったということでは六十億でも五十億でも、これはないに越したことはないんですが、一たん大
事故が起きると、とても百億では問題にならないわけです。
私が聞くところでは、これは
財産保険と違うんだということがあるらしいんですけれども、私はそういう
考え方自体がおかしいと思うんです。
財産保険ならば二千億、三千億を
保険会社も認めるけれども、こういう
事故によって生ずる
損害の場合には、
保険会社も、どうもそういうものには
契約に応じがたいとか、いろんなあれがあるらしいんですが、時間がありませんから、私は
資料として、いわゆる
財産損害保険ですね、火災だとかその他そういうものによって起きた場合の
災害保険の額が各
事業者と
保険会社の間でどういう
契約が結ばれておるか、これをひとつ
資料として出していただきたいと思うんです。
それから、私が最も心配をいたしますのは、百億というふうに非常に低いことによって、
損害の
認定に当たって
企業側が
損害額をとにかく抑えていこう、あるいは先ほどの
指摘にありましたように、
因果関係というものを認めないということになってくるのではないかと、この点を最も恐れますので、この点どういうふうにお
考えになっているのかということと、それから、この額を超えたものについては国の
——この額を超えたというのはおかしいんですが、この額を超えても
無限責任があるはずなんですよ。しかし、どうしても百億という
一定の額を設けますと、
事業者としては百億を超えたら国の
援助を期待するというきわめて安易な
考え方になり、また
国側も、百億を超えたらめんどうを見ましょうということにどうもなりがちになるんじゃないかという、そのことが逆に言うと
事故に対する
安全性の確立という面での
事業者の
責任を怠るといったらいいんですか、軽く
考えるというふうなことになっても困るんじゃないかというふうに思いますので、国の
援助とは具体的にどのような場合どのようなことを行おうとしているのか、この点も明らかにしていただきたいと思うんです。
労働省の方、来ていただいたんですが、時間がありませんから結構です、どうもありがとうございました。