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吉田正雄君 私はそこでいま簡単に
指摘をしておきたいと思うんですけれども、たとえば一九七六年におけるBWRあるいは
PWRの異常
事象というものを見ますというと、BWRの場合、三十五の
発電所からの報告では千二百五十三件あるんですね。それから
PWRの場合ですと六十三の
発電所から千二百六十四件という報告がなされておるわけです。つまりBWRも
PWRもほとんど件数はほぼ同様であるということで、どちらの炉が多いのか少ないのか、この前の
皆さん方の
説明ですと、
日本の場合には沸騰水型のものが多いのでこちらは
加圧水型に対して
事故は少ないんだというふうな、故障は少ないというふうな言い方も若干
皆さんはされておるようなんですけれども、実は
PWRの異常
事象の傾向というものとBWRを比較した場合にはほぼ同様なんですけれども、件数から言いますと異常
事象の頻度というものはBWRが
PWRの約一・五倍になっておるということでして、したがって沸騰水型の方が異常
事象というものは
PWRに対して少ないという
考え方は、実際のこの報告の中からはそれは逆であるということがはっきり言えるわけです。
それから
メーカーの違いということを盛んに言われておりますけれども、これも七六年のこの報告を見ますというと、いま
事故を起こしましたB&
W社の
スリーマイルアイランドの1号機の場合には
運転年数二・五年で四十三件になっているわけですね。ところが
ウエスチングハウス社の例のミシガン州にありますクック1号機の場合は
運転年数一・九年で六十四件ということですから、
ウエスチングハウス社の方が
事故は少ないんじゃないか、故障は少ないんじゃないかという
皆さん方の
メーカーによる違いというのは、むしろ
ウエスチングハウス社のこの方の件数が多いということで、一基ずつの比較ではこれはどうということも言えませんけれども、とにかくこれは
NRCの一定の基準をパスをしてつくられたものであるだけに、ちょうどさっき日産とトヨタどちらが
事故が多いか、故障が多いかなんというのは余り比較にならぬと、
メーカーの違いなんというのは余り問題にならぬとということを申し上げたように、私は
メーカーの違いというのはそう故障そのものに影響は与えていないというのがこの統計上はっきりいたしておると思うんです。
それから、このBWRも
PWRの場合も系統別異常
事象というものを見ますと、どちらの場合も
原子炉保護系とか主冷却系あるいは給水系とかですね、そういうふうなものに集中をいたしておるということが言えるわけですし、さらに、
原因別分類というところを見ましても、固有の故障あるいは
設計の
ミス、保守の
ミス、管理
ミスというふうなものが上位を占めているんですね。これはどちらの場合もですね。したがって、これだけ多数の異常
事象というものが
NRCによって発表されておるわけですから、
事故はあり得ないとか、私は
通産当局や科技庁当局のそういう
考え方というのは非常に甘いんじゃないかというふうに思うわけです。
そしてさらに、ここから出てくるのは新しい
プラントほど故障が少ないのかというとそうではなくて、新しい場合でも出力が大きいものほど非常に故障の数が多いということなんですね。これらを
考えますと、新旧とかということでなくて、やはりいま
原因別でも述べましたように、固有の故障あるいは
設計の
ミスというものが非常にパーセンテージが多いわけですけれども、まだまだ
原子炉というものは研究
段階にあるものであって完成されたものじゃない、いつ故障さらに故障から
事故へつながっていくかわからないという、まだまだ研究
段階だということが
NRCの異常
事象取りまとめのこの報告書を見ても明らかなんですね。そういう点で先ほど来
皆さん方が繰り返されております安全だ安全だという何ら
根拠のない、
国民を納得させ得ない抽象的な
安全性、
信頼性の強調というものは、ますます
国民というものを不安に駆り立てていく結果になるんじゃないか。
国民を不安に駆り立てるというよりも、そういう姿勢の中からは本当に
安全性を確保するそういう方途というものが見出し得ないんじゃないか。とにかくその場を糊塗していく、メンツにかけても何が何でもこの開発というものを強行していくという、そちらの方へ走る
危険性というものを私は感じてならないわけです。そういう点でこの
アメリカの異常
事象の報告というものについて、もう少し
皆さん方の方でも
検討されて今後の
行政にぜひ生かしていただきたいと思うんです。
そこで、だんだん時間がなくなってきたんですが、具体的に入りたいと思うんですが、時間がありませんから次回また二十五日、二十七日の委員会で、それまでには
皆さん方の方もさらにより詳細な
資料というものが入手をされると思いますので、それらも含めて
真相の
究明、
原因の
究明にやっぱり全力を挙げていく必要があるんじゃないかというふうに思っておるわけです。
そこでまあ時間が来るまでちょっとお尋ねをいたしますけれども、
皆さん方からいただいた「
原子力発電所の
事故について」というこの中に
説明があるわけですね。これを順を追ってお聞きをしてまいりたいと思うんですけれども、(1)の「三月二十八日午前四時頃、二次給水系のトラブルにより、蒸気発生器に二次冷却水を送る主給水
ポンプが停止し、タービンが停止」をした、こういうふうになっておるわけですね。この二次給水系のトラブル、これは原産の
原因の中では、二次給水系のトラブルということで、「空気溝内の水蒸気が
原因で空気
作動弁が故障」したんだと、それによって蒸気発生器に二次冷却水を送る主給水
ポンプが停止してタービンが停止したと、こういうふうになっているんですけれども、一体この二次給水系のトラブルというのは何を指しておるんですか。それから主給水
ポンプが停止をした、何で停止をしたのか、その
原因は何ですか。まずそれをお聞かせ願いたいと思います。