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1979-03-02 第87回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年三月二日(金曜日)    午前十時四分開会     —————————————    委員の異動  二月十五日     辞任         補欠選任      秦   豊君     江田 五月君  二月十六日     辞任         補欠選任      江田 五月君     秦   豊君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         塩出 啓典君     理 事         源田  実君                 長谷川 信君                 松前 達郎君                 藤原 房雄君                 佐藤 昭夫君     委 員                 岩上 二郎君                 熊谷  弘君                 後藤 正夫君                 永野 嚴雄君                 望月 邦夫君                 山崎 竜男君                 森下 昭司君                 吉田 正雄君                 中村 利次君                 秦   豊君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       金子 岩三君    政府委員        科学技術庁長官        官房長      半澤 治雄君        科学技術庁計画        局長       大澤 弘之君        科学技術庁研究        調整局長     園山 重道君        科学技術庁原子        力局長      山野 正登君        科学技術庁原子        力安全局長    牧村 信之君        外務省中近東ア        フリカ局長    千葉 一夫君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        児玉 勝臣君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    説明員        国土庁水資源局        水資源計画課長  和気 三郎君        文部省学術国際        局学術課長    植木  浩君        資源エネルギー        庁石油部計画課        長        箕輪  哲君        資源エネルギー        庁公益事業部開        発課長      岡松壯三郎君        気象庁予報部長        期予報課長    片山  昭君        気象庁観測部参        事官       末広 重二君        建設省河川局河        川計画課長    安岡九寿男君    参考人        動力炉核燃料        開発事業団副理        事長       金岩 芳郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (科学技術振興のための基本施策及び科学技術  庁関係予算に関する件)     —————————————
  2. 塩出啓典

    委員長塩出啓典君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に、動力炉核燃料開発事業団理事長金岩芳郎君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 塩出啓典

    委員長塩出啓典君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     —————————————
  4. 塩出啓典

    委員長塩出啓典君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言願います。
  5. 長谷川信

    長谷川信君 まず、気象庁にちょっとお尋ねをいたしますが、ことしは八十年ぶりの暖冬であり、気象異変が起きております。いま、いつも三メーター、五メーターたまっておるところにわずか三十センチくらいしか雪がない。この調子でいきますと、ふだんの雨であっても、例年の雨であっても、東京北九州はこの前あのような事態が起きているわけでございますが、いまのような状態で、なお降雨量が少ないと、これはもう全くゆゆしい問題になる。いろいろ対策を講じなければならない事態に立ち至っていると思うのでありますが、まず気象庁から、長期予報というか、おたくの予報はまあ当たるか当たらないかわからないが、長期予報、三月くらいまでどのくらい、どうなるのか。外国アメリカとかソ連の予報だと半年あるいは七カ月先の予報を出している向きもございますが、気象庁からまずこれからの気象の推移について御説明をいただきまして、なおまたお尋ねいたしたいと思っております。
  6. 片山昭

    説明員片山昭君) お答えいたします。  確かに三月一日現在、いわゆる多雪地帯雪不足状態にあります。確かにそういった年は融雪量が少なくて渇水干ばつになるおそれがあると言えます。しかし、いままでの、過去の統計をとってみますと、冬が雪不足でありましても、たとえば四十三年のように夏に平年以上の雨が降ることがありますし、四十八年のように平年の半分しか降らなかった年もありまして、雪不足の年は夏が雨が少ないということは一概に言えません。  この夏の雨量予想につきましては、三月十日の暖候期予報——これ、六カ月予報なんですが——を目途に現在鋭意資料検討、分析中であります。で、いまのところ五月までの三カ月予報は出ています。それによりますと、三月は、北海道が並みかやや多い以外は、その他の地方は一応並みであろうと、それから四月は、西日本並みかやや多い程度で、その他は並みであろう、そういうふうに現在予想されております。
  7. 長谷川信

    長谷川信君 いまのお話でありますと、大体例年程度降雨量だということでございますが、いまの山の雪の状態、それからいま現に渇水をしてる状態、この状態から推定をしますと、まさにこれはゆゆしい事態が惹起するかもわからない。  そういう中で、国土庁建設省お尋ねをいたしたいのでありますが、いま日本水資源、まあいろいろ検討を加えてらっしゃるのでございますけれども、さっき申し上げましたように、もうすでに東京北九州ではあのような状態が出ておる。で、日本全体からいっても、昭和何年ですか、国土庁計画、ちょっと私見ましたが、もう十年もたったら一千百億トンくらいの水が必要だと称せられておる。で、いま国土庁あるいは建設省のありとあらゆる計画が順調にいったとしても、三十億トンから五十億トンの水が不足するということがまあいろいろ喧伝をされているわけでございますが、国土庁、この水資源問題あるいはこれからの水資源等についてどのような対応策、あるいはいろいろ計画を立てておられるか、まず国土庁からお尋ねいたしたいと思います。
  8. 和気三郎

    説明員和気三郎君) それではお答え申し上げます。  渇水対応いたしますためには、まず水資源長期的な安定化を図るということが私ども必要だと考えております。そういうことで、国土庁におきましては、先ほどお話のございましたとおり、去年の八月に長期水需給計画を策定いたしまして水需給長期見通しを立てたところでございまして、これによりますと、将来の長期的な展望に立ちまして水需給見通しを立てたわけでございますが、これによりますれば、やはり一生懸命これからダム計画をつくりましてもなかなか水不足というものは、特に関東臨海並びに近畿臨海並びに北九州におきましては厳しいものがあるというように考えております。  そこで私どもとしては、この水需給長期的な安定化を図るために今後とも水資源開発を一層推進すると同時に、水の大切さ並びに水使用合理化を図るところの節水型の社会というものをつくっていこうということで、総合的な水需給対策の推進を図ることが必要であると考えております。具体的に、国土庁といたしましても水資源開発促進法及び水源地域対策特別措置法の運用を通じまして実行を図るとともに、その他必要な施策についても今後さらに検討を加えて実施してまいりたい、このように考えております。
  9. 長谷川信

    長谷川信君 抽象的な御答弁でございますが、日本の国は御案内のとおり降雨量はまさに世界的な降雨量があるわけであります。干ばつ地帯のまさに一年分くらいの雨が一日で降る。これだけの降雨量の多い日本でしかもこれだけの水不足を来しておるということはいろいろ考えさせられる点もあるのでございますが、いまのあなたのおっしゃったのは、平常の場合でもなおかつそのような措置をしなければならない。しかし、ことしはまさに異常でありますよ。さっき気象庁はこれから多少降るかもわからぬという話でございますが、まあ気象庁のおっしゃることをそのまま受け取っても大変な水不足ができる。日本全体の降雨量はまさに世界最高降雨量を示しておる。こういう日本の国の中で水不足が出るということは、これはやっぱり国土庁が真剣に、いまあなたのおっしゃったようなその種の対策だけでなく、パターンを変えるというか、発想を変えるというか、いま三全総あるいは田園都市構想、いろいろ分散も考えていらっしゃいますが、ちょっとそれじゃお尋ねをいたしますが、いま東京都の水もこの夏になればどうにもならなくなる、五年たったら顔も洗えなくなると週刊誌に書いておるくらいでありますが、東京、大阪、北九州国土庁具体的にどのような対策をとっておられるか。
  10. 和気三郎

    説明員和気三郎君) 現在これらの地域におきましては水資源開発促進法によりまして水資源開発促進を図っているところでございますが、今年の降雨状況から見ますと、全体として非常に水が少ないということがございますので、今後の降雨状況並びにダム貯水状況を見守りながら必要に応じて節水指導利水関係者協議などというものが対応として考えていかなきゃならないものと考えております。
  11. 長谷川信

    長谷川信君 ちょっと時間がないので……。  建設省はもっと具体的な対策を講じていらっしゃると思うのでありますが、いまのダム計画あるいは小河川ダムをつくる、いろんなことを考えていらっしゃるようでありますが、先ほどいろいろ申し上げましたような水不足かなり急角度に悪化をしておる状況で、いまの建設省考えていらっしゃる対応策国民が水に心配がないような形がとれるのか、あるいはいままでの建設省のやり方を若干見直して新しい水対策考えなければならぬのか、その辺建設省の御見解を承っておきます。
  12. 安岡九寿男

    説明員安岡九寿男君) 先ほど国土庁からのお話もございましたように、将来ともかなり水需要が増大するという状況にあるわけでございます。このような状況に対処いたしますために建設省におきましては昭和五十一年から昭和六十五年までに約二百六十億トンの水資源開発を行うということを目標にいたしまして、取水目的とあわせました多目的ダム等の建設を約三百六十カ所行うというふうに考えております。しかしなお、先生の御指摘のございましたように、南関東あるいは京阪神、北部九州等におきましては水需給逼迫が予想されるという状況でございます。  なお、第五次の現行の五カ年計画におきましても重点的に水資源開発を推進いたしまして、昭和五十二年から昭和五十六年の五カ年間におきまして約四十億トンの水資源開発を実施するということにいたしております。  これらのダム開発を鋭意進めるとともに、先ほどの逼迫が予想される地域におきましては、水資源の新しい開発とあわせて、やはり節水水使用合理化あるいは排水の再利用というふうなものにつきまして総合的な水資源対策を行っていかなきゃならない。また、従来の多目的ダム思想を拡張いたしまして経年貯溜ダムというふうなもの、降水を数年間にわたって貯溜しておいて緊急時に放流するというふうな施設、あるいは既設のダムを再開発いたしましてもう少し貯溜量を有効に使える方策というふうなものを考えていきたいというふうに思っております。
  13. 長谷川信

    長谷川信君 時間がないので事細かくするわけにまいりませんが、長期計画長期計画として、とりあえずことしの夏困る。もう六月ころからかなりひどい状態になるんじゃないかと思うんです。それで、いつも建設省とか国土庁のやっている節水というのは、八月ころになると、じゃ口を少し締めろとか、顔を洗うときに半分で洗えとか、その程度節水指導だと私ども拝見をいたしているわけでございますが、この異常渇水に備えていまからかなり規制をする考えはございませんか。
  14. 安岡九寿男

    説明員安岡九寿男君) 昨年の渇水時もそうでございましたが、水文気象資料等よく事前検討いたします。また、ダム貯溜状況河川流況等もあわせまして、必要に応じて利水者を集めまして渇水連絡調整協議会というふうな会議を設けて事前節水協議を進めてまいるというふうなことをやったわけでございます。本年度もすでに今後の雨によってはかなり逼迫が予想されるということでございますので、各地域、本省の方で指導いたしましてそのような体制をとりたいと思っております。
  15. 長谷川信

    長谷川信君 次に石油の問題で、エネルギー問題でお尋ねいたしますが、まず外務省からお尋ねをいたします。  最近の中近東状況、まあ新聞テレビ等でしか私どもわからないわけでございますが、なかなかいろいろ諸説まちまちでありまして若干戸惑っているような状況であります。しかし、いろんな関係かなり石油に対する、あるいはエネルギーに対する国民関心度が高くなっていることは御案内のとおりでありますが、何か物の本に、日本ほどひ弱な国はない、九九%石油輸入しているのであるからというふうな見出しの本も出ておるようでございますが、まさに中近東状況というものは日本の死命を制するような形に相なっているわけであります。  そこで、イラン状況であります。日本日本全体の消費量の一七%というのですか輸入をしておるわけでございますが、最近の中近東情勢イラン情勢等によりまして石油見通しがそれぞれ新聞によっても違う、あるいはテレビもそれぞれ各社とも違ったニュアンスの解説もいたしておるようでございます。けさ新聞ではイランナジ石油開発公団総裁は、まあ一週間かそこらで五百万バレルくらい生産ができるだろうというふうな話でございますが、一面、イランの副総理はとてもそんなわけにいかない、三百万バレルがやっとだろうと、日本専門家も三百までいけばいい方だなというふうなことを言っておるようでありますが、これは単なるその種の発表だけでなく、外務省中近東情勢全体をごらんになりまして、いま石油に関連をしてどのような形になっておるのか、これからどのような方向でいくのか、外務省で収集をされておる状況等について御解説を賜りたいということであります。
  16. 千葉一夫

    政府委員千葉一夫君) 中近東情勢は御案内のとおり基本的にはきわめて流動的であり不安定な要因を多々蔵しておりますことは残念ながら事実でございます。しかしながら、時と場合によりましてそういったような不安定要因が顕在化したりあるいはしなかったり、相対的な安定期もあるわけでございます。現在はイランを除きまして一応の相対的安定期に入っておると言うことができるかと思いますが、ただし、これは相対的でございまして、いつまた安定期が崩れて不安定期になるかわからないと、そういう点はこれまた一つの事実でございます。  そこで、まずイランについて申し上げますが、先生指摘のとおり、イラン石油生産量がどのくらいになるか輸出量がどのくらいになるか、あるいはイラン石油政策はどうなるか、こういった点はまだ不明でございます。まあいろいろと数字を上げられましたが、イラン側が最もこれについては権威があるはずでございますが、イランの方におきましてもなかなか数字が一致いたしておりません。まあ、一つは根本的にそもそも従来のような輸出を続けるべきか否かと、こういう基本的な政策路線決定というのがまだなされておりませんが、大体、しかしながら現在のバザルガン氏を首班といたします内閣の姿勢を見ておりますと、いずれ政策を発表するということでございますが、従来と非常に異なったパターン生産並びに輸出ということは考えていないように思われます。ただし、バザルガン氏のほかにホメイニ師を中心とします宗教勢力がございまして、いわゆるホメイニ委員会という一種の並行的な政府のごときものがございまして、なかなかこの辺の考え方がよくわからないのであります。またこれは在野でございますが、非常に多くの分派に分かれておりますものの左翼勢力というのがございまして、これはいわゆる相当過激的な考えの持ち主もおるということでございまして、この辺の思想あるいは政策的な考え方はこれまた明らかでございません。しかし、これは従来と大きくパターンを変えていこうという圧力が必ず出るであろうと思います。いずれにしましても、そういうふうな状態の中で、現在の政権はともかくもイランという国を今後持っていくと、そしてバザルガン首相の言葉をかりますれば、革命を成功せしめる、そのためには石油生産は喫緊のことである、重要事項である、そして輸出も行わねばならない、こう言っておるわけであります。去る二月十四日にわが国がイランの新政権を承認いたしましたときに、日本の在イラン和田大使バザルガン首相のもとに参りまして会談をいたしておりますが、この際にバザルガン首相は、日本を含めて西側諸国に必ず油を出しますと、こう言われたことは新聞等にも広く伝えられております。また、イラン国内におきましても、日本大使首相がそれを保証したと、そういう表現でもって何度も放送されております、国営放送によりまして。それで、その際に量のことは言っておりませんでした。それから輸出再開の時期については、まだ新政権の基礎も固まっておらず、国内の秩序もまだよく回復していないといった趣旨で、もうちょっと時間をいただきたい、そういうふうなことも新首相は言っております。その後大分時間もたちまして、来る五日に第一船が出るといったようなことを新政府首脳の方で言っている人もおります。またいま御引用のナジNIOC総裁も、近く輸出を再開すると、そういうことも言っております。  そこで、油田状況はどうかといいますと、これも確固たるはっきりした情報はございませんが、しかしいろいろと周辺的な情報を集めますと、油田自体は破壊されていない、従来と同じようにある、ただし保守状態はどうなっているかまだ一つわからぬと、こういうわけでございます。  もう一つの要素は、これもよく報道機関で出ておりますので先生案内かと存じますが、アメリカ初め外国人技術者がおりまして、これが生産の最もむずかしい段階を分担しておったわけでございますが、この人々は先般来革命に至る騒乱状態の中で国外に退去しております。そこでこの人たちが復帰するかどうかという問題がございましたが、これまた最近の情報によりますと、もう帰ってこなくてもいいんだというようなことを言っている人もおるようでございます。いずれにせよ従来よりはずっと数は少なくするというふうな考え方のようでございます。  それでは、その人々がいつ現に帰ってくるのか、その人数を減らしてみて生産にどういう影響があるかという点になりますとよくわかりませんが、一般論で申しますと、その高度な技術はまだイラン側に伝わっていないので、結局、人によって違いますが、先ほどおっしゃった三百万バレルないしは四百万バレル・デーぐらいの生産量ではなかろうかと言われております。もっとも、かつてはエジプトナセル大統領スエズ運河を国有化しましたが、その際に、エジプト人では運河は運営できないと西側は踏んでおったにもかかわらず、ちゃんとりっぱにやった実績もありますし、それとこれとは違いますが、イラン人の能力を過小評価することはいけないと思いますが、ともかくも大体において先生指摘の三百から四百ぐらい、こう言われております。  大体イラン情勢はそういうことでございます。  続きまして中近東情勢を申し上げてよろしゅうございましょうか。
  17. 長谷川信

    長谷川信君 一応説明してください。
  18. 千葉一夫

    政府委員千葉一夫君) 油につきましては、中近東産油諸国はいまやいろいろと値上げの構えを見せておりますが、その中でサウジアラビアとイラクという経済的にも政治的にも非常な指導力を持っております国は秩序ある値上げを叫んでおりまして、そうやたらに値上げ競争してはいかぬと、こう言っております。今月の下旬にOPECの会議が開かれますが、その際にどういう決定になりますでしょうか、去年の十二月に段階的な値上げを決めたばかりでございますので、あるいはより穏健な考え方が支配するかもしれません。この辺につきましては関係国の間でいろいろ裏で折衝しておるようでございます。いずれにしましても、政治情勢がただいまイランを除きまして油の産出ないし油の輸出、こういったものにいまにわかに影響する状況ではございません。これは冒頭に申し上げましたような相対的安定期の姿であると思っております。しかし、繰り返して申し上げますが、いつ崩れるかわからないというのが残念ながら中近東現状であります。
  19. 長谷川信

    長谷川信君 いま外務省に詳細に御説明をいただいたわけでございますが、いまの御説明からしても、そんなに五百万も六百万バレルも生産ができない、したがって日本輸入もかつてのピーク時からかなり下がるだろうというふうなことが推定できるわけでございますが、通産省来ていらっしゃると思いますが、通産省あれですか、いまの国内消費若干の規制は始めて、電気を少し消すとか、何ですか、いろいろ暖房を二度落とすとか三度落とすとか、若干のものはやっていらっしゃいますが、この程度規制でこれからできるのかどうかですね。それから備蓄の関係がどんな形になっておるのか、それから価格が、けさ新聞だと、いまも外務省お話しなさいましたが、十八ドルから二十ドルくらいまで、上がるとはおっしゃっておりませんが、若干そのきらいも、懸念もあるということでございますが、量の確保はできるか、価格の問題かどうか、それから国内規制の問題がどうか、時間がないので五分くらいでひとつ御説明いただきたいと思います。
  20. 箕輪哲

    説明員箕輪哲君) お答えいたします。  まず基本的に世界需給をどう考えているかということを簡単に申し上げます。  イランは全世界原油生産の一〇%程度を占めておりますし、それから全世界輸出で見ますと一五、六%をコンスタントに示した国でございます。したがいまして、昨年末以来輸出はゼロでございますので、この輸出ゼロという状態長期間続きますれば、世界原油需給に大きな影響を与えることは必至であるというのがわれわれの基本的な考え方でございます。したがいまして、われわれ国内としてどう対処するかということでございますけれども、基本的にはいま申し上げましたような世界原油需給現状にかんがみまして、極力原油の入手の努力をするというのがいまの基本的な考え方でございます。世界原油需給現状は、イラン輸出ゼロであるにかかわらず、ほかの産油国増産をしておりまして、現状では一ころのような需給だぶだぶという状態ではなくて非常にタイトな状態になっている、若干足りない気味であるが一応需給タイトというような関係でいま推移しているというふうに見ております。したがいまして、将来の日本原油輸入可能性も、他の産油国増産をどの程度期間続け得るか、あるいはイランがいつ輸出を再開するかということに実はかかっていると言って過言ではないというふうに考えております。したがいまして、当面は現在の日本原油の入手状況から考えますと、少なくともこの一−三月の需要期については特別のことをする必要はないほど原油輸入は確保されておるわけでございます。  備蓄は、しかしながら当初予定したような原油の入手が行われておりませんものですから、三月末に八十五日備蓄水準まで持っていくという計画であったわけでございますけれども、これはまず現状では不可能であろうと思っております。ただ、三月末八十日備蓄という水準で推移することは可能であるというのが現在の見通しでございます。したがいまして、この需要期が過ぎますれば、つまり四月から九月までの期間というのは石油の不需要期になるわけでございますので、その間極力原油の入手に努力をする、で、次の需要期に立ち向かっていくというのがいまの考え方でございます。
  21. 長谷川信

    長谷川信君 時間がないので急ぎますが、三月までは大体大丈夫だというお話でございますが、私はアメリカの事情をそれほど詳しいわけじゃございませんが、アメリカがあれほど国内産の石油があって、しかも四ドルから買い始めて、もう世界じゅうの世論が何をやっているんだといってあれほど騒いでも、何というか買って買って買いまくった、それでもなお若干の規制をしておるのに比べると、三月まで大丈夫だから平常で使ってもいいというふうな……、まあおっしゃったかどうかわかりませんが、そのような考え方で果たしてこれから日本エネルギー事情というものを、何と言いますか堅持することができるかどうか。若干私ども素人考えでございますが、もっとやはり長期的な見通しで備蓄あるいは応対策考えなければならぬというふうに私どもはそう思っております。  それと規制も、こんなことを申し上げちゃ何でありますが、いまやっぱり規制するところはたくさんございますよ。たとえばテレビなんかの深夜放送、あんなものは百害あって一利がないと思う。電気をつけっ放しにして二時三時まで起きてて、ろくなテレビ見てないで、あんなことをやったらいい子供ができるわけがない。だから深夜テレビなんていうのは、これは通産省じゃなくて郵政省、ひとつこれはまあ主管がいらっしゃるかどうかわかりませんが、——それから日曜日のナイターだって、あんなものはデーゲームの方が太陽が当たって健康的でいいですよ。真っ暗の中で電気つけて野球する必要がいまの日本であるかないか若干疑問を私ども感じておる。その辺のことはもっと……。ちょうどキリギリスとアリみたいなもんです。アメリカは四ドルから買いまくって、世界じゅうの世論がばかだぐずだと言ったって買いまくったんだから。日本はつけっ放しでもって三カ月大丈夫だからしばらくいいよなんていう、そんな答弁は私はどうもいただきかねる。まあ、きょうは責任者でないので……。  少し時間食いまして恐縮でございますが、いまいろいろ議論ございますように、電力を石油であれするということは、将来の見通しから言ってなかなかいろいろ問題がある。問題があるし、国際エネルギー機関では石油を使って電力をつくるということは、もう新しいものはやめようじゃないかという提案が国際間で提議をされているくらいであります。したがって、きのうもテレビに出ていましたが、太陽の熱が五十億年もあるからこれを集めれば心配ないなどとテレビじゃ言っておりますが、それはそんな簡単にいくもんじゃないので、とりあえずやはりこれは原子力よりしようがないと思うのですよ。しかし安全確保の問題とか、いろいろな問題がたくさんあるわけでございますが、これはもう好むと好まざるにかかわらず、しばらくの間はそれでいく。そうでなかったら、この電気を三分の二くらい消して薄暗いところでろうそくつけて国会やるよりしようがないのでございますが、これは好むと好まざるにかかわらず。だから、いまの日本の原子力事業における安全度というものはどの程度になっておるのか、あるいは他国と比べてどの程度まで行っているのか。それから、いろいろ議論はございますが、方途はないと思いますが、その辺、大臣のお考えをちょっとだけ……。
  22. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 先生指摘のように、先ほど来話の出ております、石油に比べまして原子力発電の場合には燃料の備蓄、輸送が容易であるとか、あるいは使用済み燃料を再処理しましてその再利用ができるという、非常に大きな特徴を持っておるわけでございまして、御指摘のように今後の石油代替エネルギーの当面の大宗というふうに私ども考えておるわけでございます。  この開発利用を進めるに当たりましては、私どもは安全性の確保というのを大前提に考えておるわけでございまして、今後基本姿勢としましてもちろんこの姿勢を堅持しながらやっていくつもりでおります。現在使われております原子力発電というものは、その面では十分に実用に供し得る段階に至っておるというように私どもは自信を持っておるわけでございまして、現在十八基、千百五十万キロワットの発電規模でございますけれども昭和六十年にはこれを三千三百万キロワットに、さらに六十五年には六千万キロワットを目標に開発を進めてまいりたいというふうに考えております。
  23. 長谷川信

    長谷川信君 最後に、大臣に御見解を承りたいと思いますが、大臣より御存じのように、日本の国が今日この経済的な発展をいたしておるということは、まさにこれは日本人の勤勉と努力と勉強のせいであります。それ以外の何物でもないと私は思う。資源があるわけじゃないし石油が出るわけじゃないし、何にもないのにこれだけできておるのでございますが、まあ明治以来、ちょんまげを切って、あの義務教育制度に踏み切って、全国山のてっぺんから津々浦々まで学校をつくったということは、これは大変な革命だったと思うんです。今日それを思い起こしてみますと、科学技術庁の予算がわずか四千何百億ですか、四千五百億。これは国予算全体からしますとわずか一・三一%であります。ちなみに、私の手元にある資料からしますと、国民総所得——いろいろデータございますが、とにかく日本は極度にこの種の研究費は少なくなっておる。このままこのような状態でいったら、いつかやっぱり私は追い越されるというか、離れるといいますか、そういう状況が必ず来ると思うんです。これは統計は後で大臣のところにお届けいたしますが、もうそれは全然比較にならないほど低くなっておる。だから、これはやっぱりこの辺で大臣からひとつお考えをいただいて、日本の頭脳開発というか、そういう面で科学技術庁の予算というものは、大幅というか、大幅とは申し上げませんが、いわば先進国並みのパーセントに——国民所得の比較からしたら日本はもう極度に下がっております。まあ一つ例を申し上げますれば、日本政府機関でやっているのが科学技術関係全体の予算のうち二七%でありますが、アメリカは五四、イギリスが五二、西ドイツが四五、フランスが五四。日本は民間で七三%やっている。民間の比率が非常に高くなっておる。その他、国民所得の比較では、日本は〇・五五%、アメリカは一・三一%、イギリスが一・一八、西ドイツが一・二六、フランスが一・一一で、これも日本は極度に国民所得と比べるとまさに問題にならないくらい下がっておる。このような状態を続けておったら日本の頭脳というものがやはり退化をするかもわからぬ。あるいは日本としては退化をしないか向こうの方がうんと進むかもわからない。これはまさに科学技術庁担当大臣、本当に何といいますか、お考えをいただいて、いままでのパターンを変えた新しい発想に基づいた、思いを明治初年に起こして、あの義務教育に踏み切って山のてっぺんまで学校をつくった気構えを持って、科学技術予算というものは大幅な増額をしてしかるべきだと思いますが、これは大幅というのじゃなくて、いわばほかの国並みにしてもらえばいいわけでありますから。パーセントから言ってもほかの国の三分の一、四分の一であります、国民所得から言っても何から言っても。これはまさに……私は与党でございますが、まあ大臣からひとつしかとお考えをいただいて強力な御推進をお願い申し上げたいと思います。なおまた御見解も承っておきたいと思うのであります。
  24. 金子岩三

    ○国務大臣(金子岩三君) 長谷川先生の御指摘のとおりでございます。私は前にも申し上げましたが、この役所に入りまして予算が少ないこと、いま御指摘のありました欧米先進諸国の国が持っておる科学技術の研究費、民間の持っている比率、まあ大体日本が大変急速な経済成長をしたので、企業にゆとりがあったのであのように七十数%民間で研究開発をして、国はおざなりの前年度対比の予算を組んで二六、七%にとまったものと思うのでございます。で、まあこの比率を見て驚きまして、特に資源のない日本が今日まで経済的に飛躍したのは、やはり民間企業が研究開発にそれだけ力を入れてやった結果であろうと、これからは御承知のとおりそうはいかない。やっぱり先進諸国並みの比率を国がひとつ予算措置をして科学技術の研究開発を続けなければ先進諸国に立ちおくれをするということを早速総理のところに行きまして強調しまして、まあ総理も私よりも科学技術は認識が高いかもしれませんけれども、やはり説明をして再々強調しなければその気になってくれませんので、機会あるごとに……予算の最終決定までに、別枠でということで別枠仕立てで特別に見てもらうというような折衝もいたしました。で、一躍倍、倍、倍になしても、元が小さいんですから飛躍的に大きくなすこともできませんので、やっぱり別途考慮をしてもらって別枠予算で見てもらって科学技術庁の予算を飛躍させる以外にないと、このように考えて、私は私の政治力の限りを尽くして、まあいつまでこの役所にいるのか知りませんけれども、五十四年度は一応終わりましたので、五十五年度の概算要求にはひとつ画期的な要求をして大蔵をひとつ説得したいというような決意でおります。どうかひとつ、長谷川先生から御激励をいただいて大変私も勇気を得ましたので、今後とも皆さん方にひとつ大いにバックアップをいただきますように切にお願いを申し上げましてお答えにいたします。
  25. 長谷川信

    長谷川信君 もうちょっと時間がありますので。  いま私が申し上げましたのは各国、アメリカ、イギリス、西ドイツ等は国防費の中で科学技術を研究している予算はそこから除外してあるんですよ。国防関係の予算の中でも基礎研究を盛んにやっているわけでありますから、それをプラスをしたらまさに十対一くらいの比率になるかもわからない。このまま推移をしたらまさにこれはおそろしいことになるかもわからぬ。そういう面で、大臣はいつまでやるかわからぬなどとおっしゃいましたが、十年くらいがんばっていただいて、五十五年度はひとつ思い切ってかんばっていただいて、目の覚めるような予算を私どもは心から御期待を申し上げるわけであります。  以上であります。
  26. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 大臣の先般の所信表明に関して幾つかの点でお伺いいたしたいと思います。  所信表明の中で大臣は「将来にわたりエネルギーを安定的に確保するためには、石油代替エネルギー開発が不可欠であり、その中心となる原子力の研究開発利用の推進が緊急の課題となっております。」と述べておいでになりますが、今日わが国の代替エネルギー開発状況はまさに原子力中心となっております。しかし果たしてこれでよいのかどうか大いに疑問を感ずるものです。ウラン資源そのものが石油とほぼ同程度の有限資源であり、また核燃料はほぼその全量を海外から輸入をしているわが国にとって、石油代替エネルギーとして原子力発電のみに頼ることは、石油と同様将来にわたってエネルギーを安定的に確保することにはなり得ないと考えられます。加えて今日、原子力の平和利用に関して、その経済性、安全性、年々増大する高レベル廃棄物の処理管理、排出放射能による環境汚染と被曝の問題、さらには核物質防護体制と国民の基本的人権とのかかわりなどから原子力発電については根本から問い直す動きというものが世界的に出てきております。  そこで、幾つかの点についてお尋ねをいたします。  まず第一点といたしまして、通産省中心にサンシャイン計画、ムーンライト計画による代替エネルギーの研究開発が進められておりますが、石炭の液化・ガス化一つをとってみても、予算を含めてきわめて不十分な体制であるというふうに思います。つまり、原子力以外の代替エネルギー開発現状はきわめて不十分なんですが、大臣はこの点についてどのように認識をされ、また今後どの面に重点を置いて開発を進めるべきだとお考えになっておるのでしょうか。また、科学技術庁として通産や関係機関に原子力以外の代替エネルギーの研究開発分野でどこまで協力できると、特にどの分野で協力できるというふうにお考えになっておるのかどうか、この点を、まず基本的な私は今後の日本エネルギー問題上重要だと思いますので、大臣のお考えをお聞きいたしたいと思うんです。  大分前置きか長くなりましたが、端的に言いますと、今日の代替エネルギーというものをもう原子力一本にしぼっておるんではないかというふうに私には受け取れるわけですね。それでは本当の意味でのエネルギー対策にはならないだろうということで、いま通産等で進めておりますその他のいわゆる代替エネルギーの研究開発体制、これがきわめて不十分だと、そういう点で科学技術庁としてもどういうふうな現状認識をお持ちなのか、また科学技術庁としてこの研究分野でどこまで協力をされるお考えなのか、あるいはその体制というものを今後どう整えていくのか、そういう点についてお尋ねをいたしたいと思うわけです。
  27. 金子岩三

    ○国務大臣(金子岩三君) いろいろ古田先生から代替エネルギーについての御意見がありましたが、当面わが国の場合はやはり原子力を研究開発して石油代替のエネルギーにかえなければ、いろいろ将来太陽熱をといったようなことも言われておるようでございますが、まあこんなものは五十年から百年先じゃなかろうかと私は思います。  そこで、原子力を開発して代替エネルギー源とする、それにはいろいろいま問題を投げかけられていらっしゃいましたが、それはもうやはりその安全性が一〇〇%確立されてないからであるのでございまして、そういう問題については世界的にこれが大前提となる安全性の確立に研究を続けているのでございますから、やがては原子力、いわゆる仮に原子力発電所をとらえてみましても、今日までのようないろいろ国民に不安を与えたり心配をかけたりするようなことは将来なくなるんじゃないかと、世界科学技術の発展によってすべては解決されるものになると、私はこのように信じておるわけでございます。したがって、あのエネルギー庁が通産省にあるのでございまして、代替を原子力発電だけじゃなくして他の方法というお尋ねもありましたけれど、それはひとつ通産省の方からお答え願うことにいたしまして、私どもの所管する原子力平和利用につきましては、ひとつ全力を挙げて安全性の確立を大前提として今後も大いに推進をしたい、このような考えでございます。
  28. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 いまの大臣の答弁に対してはきわめて不満なんです。必ずしも私の質問には十分答えていただいておらないと思います。思いますが、しかし、これ以上お聞きをしてもどうも出てきそうにもありませんので、また時間の関係もありますから、この点については今後さらに商工委員会等で通産、エネルギー庁のお考え方もお聞きをしていきたいと思うのです。きょうエネルギー庁からも見えておりますけれども、この問題は改めてお尋ねいたします。  そこで、いま大臣の方からも安全性ということが申されておるわけです。そこで、私は今後の原子力行政、とりわけこの安全行政についてお尋ねをいたしたいと思うのです。  御承知のように、原子力基本法が改正をされ、さらにはそれに関連をして原子炉等規制法も改正をされ、そして原子力行政も従来の原子力委員会のほかに原子力安全委員会というものが新たに設置をされ今日発足を見ておるわけです。しかし、私は単に機構をいじる、組織をいじってみても、その精神というものが原子力基本法に沿っていなければ、これは仏つくって魂入れずだと思うんです。しかも、その後の動きというものを見ましても、法改正の趣旨に沿った運営や具体的な措置というものが必ずしもなされていないんではないかというふうに思うわけです。特に、この所信表明の中では、「平和利用を推進するに当たっては安全の確保が大前提であり、」と述べておいでになりますけれども、前提どころか開発が優先という従来の態度が今日もいささかも私は改められていないんではないかと思っておるわけです。大臣就任早々ですから余り詳しくは報告もお聞きになっておらないと思うんですけれども、たとえば、昨年一カ年の事故が、故障も含めてですけれども、どの程度あったのかという点を最初にちょっと申し上げてみたいと思うんです。これはある新聞に載っかっておったものを私引用させてもらいますけれども、昨年の一月十二日に関西電力高浜原発2号炉で変圧器の故障があってこれが一時停止。同じく一月十七日に動燃の東海再処理工場の廃棄物処理場で作業員二名が被曝をして約五〇〇〇ピコキュリーの内部被曝を受け、うち一人が右手に二〇ピコキュリーの汚染を起こしておるわけですね。それから二月十日に東海再処理工場で作業員二名が被曝をし、同じ十五日に定期検査中の高浜1号で新たに四十六本の蒸気発生器細管にひび割れが発見をされております。同じ二月十八日、福島1号が、これは一年半ぶりに試運転を再開したんですが、すぐまた三月九日まで停止をしておるわけですね。それから、二月二十五日に東海再処理工場で重大な故障が発見されたということで運転を停止をしておるわけです。これはもう三月二日付の労働組合の機関紙でこのことが暴露されておるということですし、二月二十六日に敦賀1号が圧力系の異常で緊急停止を行っております。二月二十八日に定期検査中の浜岡1号の格納容器内配管の一部に水のいわゆるにじみ現象が発見され運転再開が大幅におくれるというふうに発表されておるわけですね。三月十四日には原研大洗研究所材料試験炉で九日から十三日にかけて冷却水が炉室内に漏れる事故が三回も起きたために十三日に運転停止と発表になっておるわけです。それから三月十六日に東海再処理工場で作業員四名の被曝事故が発生。四月二十六日、九電の定検中の玄海1号で燃料棒の放射能漏れがあった疑いがあるというふうに発表されておるわけです。さらに五月二十四日、福島県及び福島原発サイト周辺六町、東電による安全確保連絡会議で東電福島第一発電所専用港の海底土から高濃度のコバルト60、マンガン54を検出したと発表。昨年六月にも検出をされておりますけれども、今回はコバルトが一キログラム当たり二二八ピコキュリーとマンガンが一一一ピコキュリーと約二倍というふうになっておるわけで、環境の放射能汚染がきわめて深刻な事態になっておるということをこれは示しておるわけです。それから五月の二十六日には東海再処理工場サンプリング操作室で二名の職員のくつ底と作業衣のそで口が放射能汚染を起こしていたことが発見をされておるわけです。そで口の汚染が許容表面密度の半分に当たる五〇〇ピコキュリーに達していたということが言われておるわけですね。それから六月九日——これ述べていくと毎月のように事故が起きているんですね。もうちょっと時間があると大臣に認識をしてもらうためにこれをずっと読み上げてまいりたいんですけれども、時間の関係ありますから、最後まで読もうと思ったんですが途中でやめますけれども、こういうぐあいに、まず事故とか故障というものが私は頻発をしておると言って差し支えないんじゃないかと思うんです。そしてつい最近の新聞報道によりますと、関西電力の美浜3号炉の制御棒案内管の支持ピン、百六本なんですが、これが全部が損傷を受けた、一本か破断、残り全部にひび割れということが報道されておるわけですね。それから四国電力の伊方1号炉、これが昨年十月の中間検査で炉内に微量の放射能が検出をされたということが発表されておりますし、この三月十日からいよいよ定期検査に入るわけですけれども、会社側の発表——あらかじめ発表というのも変なんですけれども、燃料棒にピンホールがあると思われるというふうに説明をしておるんですね。  そこで私は、そういう事故の状況というものをどの程度通産も科技庁も受けとめておいでになるのかということと、それから今後の対策を一体どのようにお考えになっておるのかということをお尋ねいたしたいと思うんです。あわせて、これは通産の方にお聞きをしますけれども、圧力型のいわゆるPWR型原子炉が現在九基——二基試運転ですが、試運転を含めて現在九基動いておるわけですけれども、関西電力の美浜で三基、高浜二基、それから大飯が二基、それから四国の伊方と九電の玄海、それぞれがPWRですが、このメーカーが一体とこのメーカーなのか——わかっておりますが一応お聞きをしたいと思うんです。どこのメーカーかということですね。  以上、長くなりましたが、もう一回質問の要点を申し上げますと、こういう事故の現状を一体通産も安全委員会もどのように受けとめておいでになるのかということと、それから今後の対策を一体どのようにお考えになっておるのか、その回答によっては改めて再度美浜の問題についてお尋ねをいたしたいというふうに思っております。
  29. 児玉勝臣

    政府委員(児玉勝臣君) ただいま先生から原子炉施設の事故、故障の問題について御指摘があったわけでございますが、発電用原子炉の問題につきましては、従来からもその運転のやり方それからそれに対する事故、故障に対する対応策ということについて、われわれといたしましても原子力発電技術顧問会の御意見を承りながらその対応ということを考えてきたわけでございます。また定期点検のときには、各同じような炉でどういうような事象が起こったかということの情報を集めまして、定期点検の時期に合わせてそういうような類似の事故の発見に努めるということをいたしておりまして、事前にそういう事故を防止するというような点をわきまえてきたわけでございます。したがいまして、当初、五十年ごろでしたか、稼働率が非常に下がったころの事情からは大分そういう意味では立ち直ってきたわけでございます。今後ともそういう事故、故障というものを軽視せず徹底的にその原因を究明して対応をしていくということで、ステップ・バイ・ステップに原子力発電所の信頼性を向上させるということに努めたいと思っております。  それから、制御棒案内管の支持ピンの問題でございますが、これは先生の先ほどメーカーとおっしゃったのはその支持ピンのメーカーのことかと思いますが、美浜1号についてはウエスチングハウス、それから美浜の2号機もウエスチングハウス、それから美浜の3号機は三菱金属でございます。それから高浜の1号機はウエスチングハウス、それから高浜の2号機は三菱金属とウエスチングハウス、それから伊方の1号は三菱金属と日立金属、それから玄海1号機は日立金属とウエスチングハウス、それから大飯の1号2号はともにウエスチングハウス社のピンを使っております。
  30. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 先生から事故、トラブルの件につきまして再処理の関係の事例につきまして御指摘がございましたが、昨年じゅうに約十六件のホット試験運転中にトラブルが発生しております。このうち従業者の管理区域の中に立ち入った等によりまして内部被曝が起きたものあるいは施設外に放射性物質が出たもの等非常に問題になるものにつきまして報告を徴収したもの、法律に基づきまして徴収したものが四件でございますが、これらの事故、トラブルにつきましては、その原因を追求いたしまして必ず対策を立てて先へ進むという方法をとらしております。御承知のように、この再処理工場はなおホット試験運転中でございますので、そのようなことを厳重に行わせて将来二度とこういうものを起こさせないように対策を立てていく、また運転員の教育等も保安教育を十分にさせていくように指導しておるところでございます。  なお、再処理工場は昨年の秋に起きました酸蒸発かんのトラブル、漏洩のために現在とまっておりまして、その対策を鋭意検討しておるところでございます。で、これらのトラブルのうち主要なものにつきましては、私ども科学技術庁が規制行政を担当する官庁として動燃事業団等に監督をしておるわけでございますが、その指示するようなことにつきましては逐次安全委員会に報告をいたしまして技術的な報告を行い、その対策についての御見解をいただいて先に進むという方式で進めておるところでございます。したがいまして、現在の再処理工場の酸回収蒸発かんにつきましても、近く原因究明が動燃の手によって進められた暁に、私ども科学技術庁としても専門の顧問の先生方の意見を徴しつつ科学技術庁の案をつくり、それにつきまして安全委員会に持ち上げまして安全委員会の御意見を徴した上で対策を講じていくというふうな処置をとっておるところでございます。  なお、先ほどの原子力発電の方につきましては、この問題は通産省が責任をもって規制行政を行っておるわけでございますが、特に御指摘のございました美浜の支持ピンの損傷の問題につきましては、通産省におきます調査並びに通産省の指示によって行った試験研究の結果などにつきましては、すでに三回にわたりまして安全委員会で意見を聴取してデータを徴収しております。で、近く通産省の詳細な調査の出てくる段階で必要があれば安全審査会の発電炉部会というのを設けておりますので、そこでさらに技術的な内容をもチェックしてその対応策を立てていくというふうなことをいたしたいと考えておる次第でございます。
  31. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 いまの答弁ですね、常に事故が起きますとそういう答弁が繰り返されるんですけれども、従来の施設者の原子炉に対する安全確保の態度といいますか、そういうものがきわめて甘い。さらにはまた、事故が起きた場合きわめて秘密主義に徹しておる。同時に、国の行政のあり方自体が同じく秘密主義に徹したり、もっと極言をすれば電力会社と同じ立場に立ってこの事故というものを隠蔽をする、あるいはそれが明らかになるといろんな理屈をこじつけるということが行われてきているんじゃないか。その端的な例が私は美浜の1号炉について言えると思うんですね。これはもうずいぶん国会でも取り上げられましたし、いろんなマスコミでもこれが報道されておるわけですし、いろんな雑誌等でも取り上げられておるんです。そして科技庁としても最終的に国の見解ということで、この美浜1号機については見解も発表されて運転再開ということになったわけですが、しかし、この当局の最終見解と早期運転再開措置というものについては、たとえば京大の原子炉研究者の間から非常に強い疑問といいますか異論が提示をされておるということは皆さんも御承知のとおりなんですよね。私はそもそもこの事件の発端から今日までの経緯というものをずうっとながめてみますと、いま指摘をしたように、これをもうひた隠しに隠していこうということと、これが明らかになった後の国側の態度というものも、俗に言うへ理屈をつけて強引にこれを押し通していこうという、そういうきわめて非科学的な非学問的な態度というものが政治的な意図からそういうものが出てきたんじゃないかというふうに私は思うわけです。たとえばどういうことかといいますと、大体この問題が出たのは、皆さんも御承知のように、例の田原さんが「原子力戦争」という雑誌を書かれて出たのが七六年の七月なんです。それまでこの事故というのは世には出ておらなかったわけです。ところがこの雑誌で暴露されて、そしてさらにその後五カ月後に会社側がこれを公式に認めたんです。つまり実際に事故が起きたのか七三年の四月四日の第二回定期検査のときにこれが発見をされたんですね。つまり三カ年数カ月というものこの事故を隠蔽してきた。その隠蔽の理由というのが、会社側の言い方というのは、事故は運転中でなく停止中の燃料取り扱い作業中に起こったもので、関係当局への報告は必要なしと判断したと、こういう言い方をしておるんですね。もしこれが事実とすれば大変な話だというのは、国側が全然これに関与していなかったかと言ったらそんなことはないわけです。定期検査中には国側の方からも立ち会いをするわけですから全然わからなかったなんということにはならないわけですね。そういう点で、この会社側の説明、弁明というのは弁明にならないということははっきりしておるわけです。そして私はより問題だと思いますのは、京大の原子炉のこの問題に関する検討委員会というものが設けられて検討をやったわけなんですけれども、この検討報告会が持たれる事前に事務打ち合わせと称して、七八年の九月三十日にこの検討委員数名が東京に呼ばれたわけですね。東京に呼ばれて、そして政府側と関電側からは三十人くらいの皆さんが出席をされたわけですね。そしてなぜこういう事故が起きたのかという事故全般について検討するのではなくて、いろんな原因のうちのただ一点にしぼって、そして京大側に知らせたそのテストデータそのものだけで判断を迫っていくというふうなことが行われたわけですね。これは非常に大変な問題だと私は思うんです。つまり原因というのがバッフル板のすき間からのジェット水流によるフレッティングにあるというふうに決めつけて、それを了承せいということをこの京大の検討委員会の皆さん方に迫ったわけですね。これは私は大変な問題だと思うわけです。そして京大側はその国側や関電側の説明に納得をしないわけです。ところが、あたかも納得したかのように皆さん方は一方的に決めつけて、そしてあたかもそれを認めたという記事が「朝日」に載っけられて、十月三日にこの運転が再開をされたということなんですね。ところがその後十一月の二十九日に京大原子炉の会議室でこの検討委員会の報告会が持たれたわけなんです。そこには三菱重工側とそれから原研側から関係者が出てきて折損燃料についての報告が原研側から、それから三菱重工側からはジェット水流の影響に関する模擬試験の実験結果というものが報告をされたわけです。ところが、ここに出てきた人たちは責任を持って答えることのできる立場の人ではないわけですね。ですから、京大側の質問に対して十分に答えることができない、疑問を解明することができなくてこの日の報告会というのは終わっておるわけなんですね。だから、そういう人たちをこの会議に出したこと自体、きわめて政治的な意図があると言わなきゃならぬと思うのですが、そこで幾つかの点指摘をされているんですね。これにまともに答えていないわけです。私の方からかわってここでお聞きをいたしますので、きょうここでいいか悪いかの論議はやりません、時間もありませんから。ですから皆さん方の方から答弁をしていただいて、これはまたしかるべき研究機関で検討していただこうというふうに思っているんです。  まず第一点は、燃料折損はバッフル板のすき間からのジェット水流によって燃料が振動し、これによって被覆管が削られて起こったというのが国側の結論なんですね。そして三菱重工の模擬実験の結果に立脚して、発表者の示すデータも、すき間が大きいほど折損は激しい結果を示しているというふうにこの日言われているわけですね。ところが実際の美浜の炉では、折損事故を起こしたコーナーよりももっとすき間の大きいコーナーがあるのに、ここでは何も起きてない。そこの部分では何も起きてない。したがって、国側の説明とは現実に起きた場所というものとは全然違っておるし、そういう結論とは全く違う場所で事故が起きておるということなんですね。これはなぜかという点が第一点です。  それからピーニングですき間を二十分の一ミリ以下にしたから以後は大丈夫というふうに説明がされておるわけですけれども、水面下約十メートルの位置で遠隔操作の水中ハンマーで六出に二十分の一ミリ以下にできるのかどうなのか。また、運転中にすき間が広がらないという保障があるのかどうか、これについても明確な答弁がなされていないわけですね。これが第二点です。  それから第三点は、燃料の折損個所の一部に白色異相が見られ、これの生成原因として燃料が千三百度以上にまでなったとしか考えられないんですね。この重大な現象に対してジェット水流原因説ではどう説明がつくのかどうなのかですね、この点も明らかにされていないわけです。この点をまずお聞きをいたしたいということ。  それから会社側は、これは国が余りにも関与してないような説明をしておるんですね。ところが非常にそういう点でも多くの問題があるわけです。関電側が一切の責任を問われ処分を受けたことになっておりますけれども、本当にそうなのかどうなのか、その点でも三点お聞きをしたい。  まず第一点は、定期検査では国側の担当者か立ち会っているはずですね、その現場で起こったはずの燃料棒折損事故を国側が全く知らないという、そういう言いわけか成り立つのかどうなのかということが第一点です。  それから第二点、ピーニング工事などは事前届け出をしているはずなんですね、それを国側が知らないということが一体通るのかどうなのかということです。  それから第三点としては、燃料棒の配置がえのやり方は、炉の対称性を確保するために一定の決められたパターンでやるのが普通であるが、折損燃料棒の取りかえのために異常なパターンとならざるを得ない、その場合、国の安全審査の立場からこういうことを一体見過ごせるのかどうなのか、こういう点です。  こういう問題、以上六点申し上げたわけですけれども、これらの問題について国側として何ら納得のできる説明というものかなされていないわけです。きょうまた皆さん方からその答弁をいただいて、いいか悪いかの問題はこれはまた後刻委員会で必要があれば再度質問をいたしたいと思うんですけれども、いずれにしてもその答弁をいただきたいと思うのです。これは事務当局からいただきますが、そこで大臣、いま申し上げたように、国側のいろんな説明というものがきわめて不十分なんです。だから推測をすれば、国と電力会社が一体になってこの事故というものを隠蔽をしてきた、明らかになるや、国と電力会社が一体になって理屈にならない理屈、理由を挙げてこれを正当化しようとしておるということなんですね。ところか実際の多くの研究者は、そういう国側の説明に対して実は納得していないんですよ。今日でもそういう問題提起をしておるわけですね。そういう点で、私が大臣に望みたいのは、開かれた原子力行政なんですから、そういう点で、私は従来も指摘をしてまいりましたように、隠すべきではないということと、原因の真の追求を行うべきだと、そのことなくして次の事故を防ぐことはできないわけですよ。これは「むつ」問題しかりなんです。あんな隠蔽板を取りつけるなんていう、原因を明らかにしないでおいて、まさにこう薬で張りつけていくようなああいうやり方ですから、私は「むつ」だって再び事故を起こさない保証というものは全然ないと思うんです。そういう点で、私は今後安全行政の基本的な姿勢なりあり方としては、従来のようなことではとうてい納得できない。そういう点で、新大臣として今後の原子力行政とりわけ安全問題についてどのような方針、態度で臨まれるのか、基本的なことだけをお尋ねいたしたいと思うんです。これは大臣にです。
  32. 金子岩三

    ○国務大臣(金子岩三君) 吉田先生の御指摘の後段の問題でございますが、どうも国は正直でない、悪く言うと、いわゆる電力会社とぐるになって隠蔽しておるんじゃないかというような見方もあると、こういうような御発言ですが、私はこの役所に入って二カ月しかなりませんので、その間でも毎日どこにか——私は事故というよりむしろ原子力の関係は故障という考え方しておるんですが、ちょっとピンが外れてもすぐそれを公表して、これを全部マスコミで取り上げる。そんな小さいことまで公表しなきゃならぬのかなあと思うくらいに赤裸々に故障を発表しておると私は受けとめておったわけなんですよ。  それで御説のとおり、ありのまま素っ裸にこれを公表して、やはりこの役所の中あるいは専門的な知識層だけでなくして、あらゆる学者の意見を聞くことがやはり次の事故をなくする原因になるんだということは、もうまことに適切だと思います。もし御心配のような隠蔽のようなことかあるとするならば、これはひとつ今後改めなけりゃならない。そしてやはり何よりも原子力の平和利用を今後わが国としては積極的に進めなきゃならないのですから、先ほど申し上げたとおり、それがためにはやっぱり安全性の確保、確立が大前提でございますから、後段御指摘のとおり、ひとつ赤裸々に発表いたしまして大いにひとつ次の事故をそれによって防止するというような今後の安全対策を推進したいと思います。
  33. 児玉勝臣

    政府委員(児玉勝臣君) ただいま先生が御指摘になりました美浜1号機の問題は、非常に原子力開発の上で国民的不信感を増すという意味で大変申しわけない事柄であったと、こう考えております。通産省といたしましてもこの問題を契機にいたしまして、報告のとり方の見直しということで、ささいな事故もそれから定期点検中の事故も——事故といいますか、使用機器の損壊とかいうようなものも全部報告をさせると、そういう点を改め、また定検のやり方につきましても改善をいたしまして、そういうような手続、報告関係の不完全さということを改めてきております。  それから美浜1号機そのものの問題でございますけれども、ただいま先生から御指摘のありました問題につきましては、事故の再現実験、それから原研にお願いして専門家の鑑定というようなことをいたしまして、私たちとしては十分な検討を積んできておると、こう考えておりますし、また京都大学の方々との検討につきましては、これは学問的見解のやりとりということがあったというふうに聞いております。個々の問題について、従来の当方の考え方をまた整理してただいまから申し上げるにしては、ちょっといま資料を持ち合わせておりませんので、後日また先生のところへお伺いいたしまして御説明さしていただきたいと思います。  それから定期点検のその制度の問題も、先ほど申し上げましたように、手続等を変えましたので大分変わりましたが、定期点検時、燃料の取りかえの場合に立会するということは当時やっておりません。したがってその破損の燃料が取り出された現場には検査官はおりませんでした。そういうようなこともございます。  それからピーニングの問題も、当時はこれは事前届け出の対象にしておりませんでした。現在はピーニングを行うときには認可事項にするということで、今後そういうことのないように、電力会社のいわゆる恣意的なそういう工事ということが行われないように、安全性に関する問題については全部当局としてもそれを把握し、その客観的な安全性について十分検討した上でやらせるというふうにいたしております。  それから燃料の配置替えの問題も、これは燃料の配置替えにつきましては定検時の作業の一環といたしまして、定検全体のいわゆる監督というものの中で把握しておる次第でございます。  そういうことで、細かい問題につきましてはまた先生のところで御納得いくようにいろいろ御説明したいと思います。
  34. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 前の三点は確かに具体的な質問ですから、いま資料がないということはわかりますので、この点についてはひとつ文書で出していただきたいということと、一番最後の燃料棒の配置の問題等についても、ただ、定検中で安全だと思いますでは困るんで、どうしてそうなのか、皆さん方の方の安全と言う根拠を、これも前の三点とあわせて見解を文書にして出していただきたいと思うんですが、それはよろしゅうございますか。
  35. 児玉勝臣

    政府委員(児玉勝臣君) 文書で提出いたします。
  36. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 その次に、五十三年の十月に科学技術庁の原子力安全局の方から「発電用原子炉施設における放射性廃棄物管理の状況及び従事者の被曝状況について」という小冊子が、これは十七ページですが発表になったわけですね、昨年の十月です。それでこの中には廃棄物と被曝量が掲載をされておるわけです。  そこでお尋ねしたいのは、この資料というものは各原子力発電所で当事者によって測定あるいは推定をされたものを単に集計をしたものであるというふうに思っておるんですが、そうかどうかということなんです。これが第一点です。  それから、この程度資料では資料として役に立たない、きわめて不十分なものなんですね。なぜかと言いますと、たとえば液体廃棄物の場合ですと四十五年から五十二年までの年間放出量だけが掲載されておるわけです。これだけじゃデータとして、データとも呼べない私は内容だと思うんですね。従来は自治体から排水口外の水中放射能の濃度などですね、そういうものが発表になっておったわけですね。ところが、施設からの総放出量の詳細なデータというものが十分に発表されておらなかったわけです。私は、少なくともこれからの資料としては次のようなものを国側としても整備をすべきだと、あるいは電力会社についても、今後のデータの提出に際しては次のような内容で検査をすべきだということを指示をすべきだと思うんですよ。つまり月間放出量、それから放出核種、濃度、原子炉の運転時あるいは定期検査期における放出など、もっと詳細なデータというものを得る必要があると思うんですね。そうでなければ年間の総放出量はこうですなんというものをただぽんと数字で出したって、果たしてそれが正確なものなのかどうなのか、特に液体の場合、これは温排水などもそうなんですけれども、一たん放出をしてしまったら後でもって再度検査をするということは不可能なんですね。いわんや第三者が随時にそういう検査をやることは不可能なことなんです。そういう点で私は、国が本当にこの環境というものを考えていくということや、本当に安全性、住民の安全というものを考えるならば、より詳細なデータというものを整備をする必要があると思うんですが、そういうものをやられる意思があるのかどうなのか、この点。  以上、二点をまずお聞きをしたいと思います。
  37. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) まず、事業者の報告かどうかという御質問でございますが、これは法令に基づきまして電力事業者等からとりました報告書を取りまとめたものでございます。これの報告の仕方につきましては、従来これを一般に公表はされておりましたけれども、まとめて刊行物にして出すということを始めましたのは昨年からでございます。そのためにただいま先生の御指摘の希望をお聞きしたわけでございますが、さらにこの問題につきましては今後整備してまいりたいと考えます。したがいまして、発電所につきましては通産省ともよく相談いたしまして、できるだけ私どもとしては安全委員会の月報にこういうものを載せて世間の方々に見て納得をいただくように持ってまいりたいと考えておる問題でございます。  なお、この放出された環境の放射性物質等の記録につきましては、安全委員会の中に、私ども中評と言っておりますが、環境放射線モニタリング中央評価専門部会という特別な専門部会を持っておりまして、県等の方で行いましたモニタリングの結果と事業者が行いましたモニタリングの結果を合わせて定期的に御検討いただき、その評価も加えた上で今後は発表してまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
  38. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 それから、いわゆる核燃料サイクルの確立を図るということで幾つか述べられておるんですが、私はこの問題をめぐっていま国際的に日本の立場というのはきわめて微妙な立場に置かれておるというふうに考えておるわけです。とりわけ核不拡散、核拡散の防止という観点から、今後の日本の原子力行政というものが、単にエネルギーとしての原子力というよりも核戦略上の観点から、日本に対しても非常に厳しい目が今後向けられてくるだろう、現に向けられておるわけですね。そういう点で、私は先般の委員会でも、例の濃縮ウランを得るための遠心分離機、これが千台できて現在すでに動いておりますし、将来は七千台ということで、その濃縮度がどうなのか、原子力局長の方からも答弁を得たんです。しかし、あの答弁では私はきわめて不満足というよりも、私が聞いておるところから若干それた内容だったので改めてお尋ねいたしますが、諸外国日本の核武装に対する不安感を除去するためにも、このパイロットプラントによるウラン濃縮の能力と言ったらいいんですか、一体どういう能力を持っているのか、濃縮度も最大限やっていったら一体どれくらいになるのか、どの期間でどれぐらいになるのかという、そういうものをまずお聞かせ願いたい。しかし、国の政策としては現実にはこういう内容でやりますというのはこの前お聞きしたんですよ、三・二%を目標にしておるというのは聞きましたけれども、それだけではやはりそういう不安にはこたえることにならぬと思いますから、そこのところをもうちょっとお聞かせを願いたいと思うんです。
  39. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 前回本件について御答弁申し上げましたのは二点あったと存じますが、まず遠心分離法というものは原理的には九〇%以上の高濃縮ウランの濃縮も可能であるという点が一点。それから、動燃の現在人形峠に建設いたしておりますパイロットプラントの設計値というものは三・二%の濃縮を目標にいたしております。  以上二点だと存じますが、まず第一点の方は、これは遠心分離機による濃縮というものの段数をふやしてまいりさえすればこれは原理的には高濃縮ウランの製造というものは可能なわけでございます。しかし、だからといって直ちに動燃が人形峠につくっております濃縮のパイロットプラントで高濃縮ウランの製造は可能かと申しますとそうはまいらないわけでございまして、人形峠の工場というのは三・二%を目標に設計し建設されたものでございまして、いまの設備のままではたかだか三%台の濃縮が精いっぱいでございまして、それ以上のものをいたしますためにはそれに必要な設計並びに改造が必要ということでございます。したがいまして、現状におきまして人形峠におきましての高濃縮ウランの製造ということは不可能ということが言えようかと存じます。
  40. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 使用済み燃料の再処理対策等についてもいろいろお聞きをしたいんですが、これはもう原子炉等規制法の改正案が衆議院を通過をして、いずれ本院でも審議をされると思いますから、その段階に譲りたいと思うんです。  そこで、放射性廃棄物処理についてお尋ねをしたいと思うんですが、先ほど申し上げました昨年十月のこの発表された資料によりますと、五十二年度発電所十カ所だけでドラムかん二万七千本、四十五年からの累積ですというと八万五千本と、こういうぐあいになっているわけですね。どんどんいま野積みがふえているわけです。さらに低レベルについてはいわゆる海洋投棄というものも皆さん方現在計画をされて、そのためのいわゆるロンドン条約の批准とあわせて原子炉等規制法の一部改正というものによって海洋投棄の根拠を得ようということも考えておいでのようです。これも私はきわめて大変な問題だと思うんですが、これも改めて法案審議の際に十分論議をすべきだと思うんで、これも譲りますが、一番の問題は、現代科学でも高レベル廃棄物についての処理管理については全くお手上げの状況で、これが今日またこの原子力平和利用という名のもとの原子力発電を根本的に問い直す私は一つの大きな問題提起だと思っているんです。そういう点で、この高レベル放射性廃棄物の処理管理について現在の研究と、それから具体的にこれからどういま現在対処されているのか、これを通産の方にお聞きをしたい、研究段階はこれは科技庁にお聞きをしたいと、こういうふうに思うんです。  それから、時間が迫ってきておりますからあわせて一括答弁をしていってもらいたいと思いますのは、実はCANDU炉の建設について昨年来科技庁と通産の間で、まあ騒動と呼んでいいほどのお家騒動が続いているわけですね、これはまあ政府部内ですけれども。そういう点で私は、このCANDU炉についての通産側のその後の態度、さらには原子力委員会のCANDU炉に対する態度というものを簡単でいいですからここでお聞かせを願いたいということ。  それから、時間がありませんからこれはきょうでなくていいと思うんですが、核物質をめぐるいわゆる保障措置と防護体制がどうなっているのか、これは警察庁にはまた別途改めてお聞きをしたいと思うんですが、通産なり科技庁としてはこれをどのように考えておいでになるのか。これは時間がありませんからいずれ改めてお聞きをしたいと思うんですが、その点ですね。  それから、これは苦情を一つ通産に申し上げたいと思うんですが、先般一月二十三日の委員会で柏崎原発に関連をして私の方から資料の提出を求めて、資料は提出をいたしますということであそこまで確認をしたわけです。その際私は大臣にも申し上げておいたんですが、秘密にすべきものでない資料まで、どうもあの議員は野党であるからとか反対らしいからというふうなことで、まあ勘ぐるならば非常に意地悪をして出さないという、そんなことで一体国会審議ができますかということを申し上げて、従来科技庁の方は大臣以下も資料というものはもう最大限出しますという確認をとっているわけです。この前は児玉審議官も提出をいたしますということだったんです。その後政府委員室を通じてはできるだけ早くという言い方をやってきて、最終的にはこの月曜日に提出をいたしますということになっておったんですよ。ところが、その日の朝私が電話確認をした際も本日間違いなく出しますということであったにもかかわらず、とうとうその日その資料をもらうことができなかったんです。で、私はきのう事務当局の皆さんがおいでになりましたからずいぶん厳しく申し上げたんですけれども、そういう原子力行政であるならば今後われわれとしては国の原子力行政についてはもう一切の協力ができないということをもう申し上げざるを得ないんですよ、この間のそういう態度であるならばですね。あれだけ確認をしながら国会の審議権まで侵すようなそういう事務当局の態度は許すことはできないと思うんです、私は。それについて一体児玉審議官、この前あなたはあれだけ答弁されているんですよ、それについてどういうお考えを今後お持ちになるのかどうか、一体この間とられた事務当局の態度をあなたはどのように判断をされているのか。私は場合によってはこれは責任問題にせざるを得ないと思っておりますよ。改めて商工委員会でもこれは、きょうのあなただけの答弁でなくて大臣の答弁も私は求めていきたいというふうに思っておりますが、とりあえずきょうあなたのそれに対する弁明をお聞きをしたいというふうに思っているわけです。  以上で私の質問を終わります。
  41. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 私の方からまずお答えをさしていただきますが、まず第一点は高レベル放射性廃棄物の処理処分の問題でございます。本件はもちろん先生指摘のごとく大変重要な問題でございまして、今後私ども原子力平和利用を進めてまいりますに際しまして最も力を入れるべき点であるというふうに考えておるわけでございますが、これにつきましては昭和五十一年の十月に原子力委員会が基本方向を打ち出しておりまして、それによりますれば、まずこの高レベル廃棄物のうち中心的な再処理の廃液の処理処分という問題につきまして、まず処理につきましては今後十年程度のうちに固化の実証試験を行う、それから処分につきましては当面は地層処分に重点を置きまして昭和六十年代から実証試験を行うという方向が決められておりますので、現在この基本的な方針に即しまして動燃、原研等関連機関において研究開発が進められておるという状況でございます。  まず、この固化処理の方でございますが、これはガラス固化技術開発ということが中心的な課題になっておるわけでございますが、動燃におきましては昭和五十二年度から実規模の装置によりまして、これは模擬廃棄物を使用しましたコールド試験というものを実施いたしております。今後は、昭和五十六年の完成を目標にしまして、高レベル放射性物質研究施設、CPFと申しておりますがこれの建設を、現在建設中でございますが、完了いたしまして、五十七年からこの施設を利用しまして、実廃液、つまり実際の放射性の廃液を使用しましての固化試験というものを行うという予定にいたしております。それから原研におきましては同じく固化体の安全性の評価のための各種の試験研究といったふうなものを行っております。  それから処分でございますが、これにつきましては動燃におきましてわが国における処分に適した地層の文献調査といったふうなことを現在進めております。それからさらに原研におきましては処分時の安全評価の手法についての調査といったふうなものを進めております。なお、この動燃、原研以外でも、工業技術院の大阪工業試験所でガラス技術を持っておられますので、この技術を活用してのガラス固化の基礎研究といったふうなものも進められております。  全体としまして、予算規模で申しまして本年度約四十億円、来年度約六十億円の現在予算規模を想定いたしておりまして、今後とも鋭意進めてまいりたいと考えております。  それから質問の第二点のCANDU炉の問題でございますが、これにつきましては、現在原子力委員会の中に新型動力炉開発懇談会というものを設置いたしまして本件について鋭意検討を進めておるところでございますが、原子力委員会とされましては、もともとわが国における将来の炉型の基本路線としましては現在の軽水炉から高速増殖炉につなげていくという基本路線を考えておられるわけでございまして、高速増殖炉の開発が遅延した場合等に備えまして自主技術で新型転換炉というものもバックアップで建設を進めていくというのを従来基本的な路線として考えておられるわけでございますが、昭和五十年度あたりから電源開発株式会社におかれてこのCANDU炉についての調査といったふうなものが進められておりまして、これの導入につきまして非常に関心をお持ちであるという経緯もございましたので、先ほど申し上げました基本路線にこのような新しいタイプのものを加えることはどのような意味があるのかあるいはないのかということを早急に詰める必要があるであろうということ、これは現在の原子力開発利用長期計画にも指摘されておるところでございますが、そういう観点から先ほど申し上げました懇談会で検討を進めておるわけでございまして、この懇談会の結論を得次第原子力委員会で本件についての最終的な結論を出すという運びになろうかと考えております。
  42. 児玉勝臣

    政府委員(児玉勝臣君) CANDU炉につきましては、ただいま原子力局長の方から御答弁ありましたように、通産省といたしましても原子力委員会の御審議の結果をお待ちしておるという姿勢でございます。  それから先ほど御指摘いただきました報告の件でございますけれども、前回の一月二十三日のこの委員会におきまして私がその資料を提出するということをお約束したことは事実でございますし、その後の資料の提出の方法については担当の課長等から先生と接触しつつその辺の問題を進めているものと実は思ってはおったわけでございますが、昨日まだ資料が提出されていないと、きのう実は行ってきましたと、こういうことで実は非常に私もびっくりいたしまして、しかも先生には二十六日には必ず提出するというお約束をしていたということも聞きまして、さらに非常に遺憾に存じたわけであります。そういうことで、一体どういうことでそんなことになったのかというのを詰問いたしまして、それは、一つは内部連絡の不徹底ということであります。もう一つ建設省、東電等との外部との連絡の不徹底ということがどうも要因のようでございまして、そういう意味では再三の御連絡を、催促を受けておりながらその資料の収集、整理というのがおくれたということはまことに申しわけないと、こう思っておりまして、まことに弁解の余地のないミスであったと、こう考えております。今後通産省といたしましては、こういうことのないように内部の連絡、それから外部への連絡の徹底を図って、このようなことが二度とないようにいたしたいと、こう考えております。
  43. 塩出啓典

    委員長塩出啓典君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。午後の委員会は本会議散会後直ちに再開することとし、休憩をいたします。    午前十一時五十一分休憩      —————・—————    午後二時二十五分開会
  44. 塩出啓典

    委員長塩出啓典君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、科学技術振興対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  45. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 午前中に引き続きまして質疑をさしていただきたいと思いますが、きょう時間の関係で十分な質疑ができませんけれども、何項目かにわたりまして、過日大臣の所信がございましたが、それをもとにいたしまして数点についてお尋ねをしたいと思います。  午前中も御質疑ございましたが、イラン情勢をめぐりまして日本エネルギー問題というのはにわかにいろんな論議を呼んでいるわけでありますが、私どもこのことについては非常に大きな関心を持ち、一月二十三日の委員会にも一部この点についてはお尋ねをしたところでございますが、このたびの大臣の所信の中にございます、これは午前中にも指摘があったんですけれども、「エネルギー源の大部分を海外からの石油に依存しているわが国が、将来にわたりエネルギーを安定的に確保するためには、石油代替エネルギー開発が不可欠であり、その中心となる原子力の研究開発利用の推進が緊急の課題となっております。」、この石油の代替エネルギーとして、政府としては原子力の研究開発利用の推進ということに非常に重きを置いたこういう所信ではないかと私どもは受けとらざるを得ないわけであります。御存じのとおり、石油の代替エネルギーといたしましては、石炭もあり、またそのほかのエネルギー、すぐ利用できるもの、今後の開発にまたなければならないものと多種多様がございまして、それぞれ長短があるわけでありますが、原子力につきましても、研究開発ということはそれなりの評価をいたしますとしましても、これには大きな問題があって、短期・長期、こういう面から見まして、すぐに石油の代替エネルギーとして原子力をという、少し原子力偏重とも受けとれるような発言には私どもはいささか抵抗を感ずるのでありますが、まずこの辺の大臣の真意をお尋ねしたいと思うのであります。
  46. 山野正登

    政府委員(山野正登君) わが国の将来のエネルギー政策の基本と申しますのは、その供給の安定化を図るという意味でございまして、そういう趣旨からただいま御指摘のように各種の代替エネルギー開発を鋭意進めてまいる必要があるということは御指摘のとおりでございます。ただ、これを考えます場合に、やはり将来を展望しまして、短期的な問題と長期的な問題の二つに区分して考える必要があろうかと考えるわけでございまして、たとえば今世紀いっぱい量的に石油をある程度代替し得るものは何があるかということになりますと、やはり原子力以外にはないのではないかというふうに考えているわけでございます。そういう意味で、現在のエネルギー関係の研究開発予算というのは非常に多くの部分を原子力に割いておるわけでございます。しかしながら、一方長期的に見た場合には、太陽エネルギーでございますとか、同じ原子力の分野でも核融合といったふうなものにつきましては、これは来世紀において大きな期待を持っておるわけでございますから、このようなものについての研究開発というものもお説のとおり大変重要でございまして、その面についても必要な研究というものを現在進めておるという状況でございます。
  47. 金子岩三

    ○国務大臣(金子岩三君) 石油が御承知のとおりのような状態、特に中近東の政情などを考えますと、わが国の将来のエネルギーはやはり原子力の研究開発以外にないと、このような考えに立って、それにはやはりこの開発は何といっても、たびたび申し上げておりますとおり、安全性の確保が大前提でございますので、この方に全力を傾けて国民の理解を得るようにひとつ努力をいたしまして、そうして原子力平和利用を努めてひとつ積極的に推進していきたいという所存でございます。
  48. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 長期・短期から見まして原子力の研究開発というものの必要性というのはわれわれも十分認識はいたしておるわけであります。それからまた、大容量の発電ということになりますと、これは限られてまいるということも十分承知はしておるわけでありますが、現在IEA、国際エネルギー機関等でいろいろ言われておりますように、石炭の見直しということについても、これはもう当委員会また商工委員会等におきましても十分に論議されておることでもあります。一月二十三日の委員会のときにも大臣がはしなくも申しておりましたが、どうも日本人というのは火がつくとわっとするわけですけれども、こういう問題の起きたときにしっかりエネルギー問題についての安定的な供給対策というものをしておきませんと時代の推移によって翻弄されてしまう、そういうことをいろいろお話ししておりました。国際エネルギー機関における発表といいますか、エネルギー機関の事務局でいろんなことを言っておるわけでありますが、昨年の十二月ですか、「石炭の二〇〇〇年への展望」という報告書、こういう中にも、石炭というものに対して、石油から石炭へという、この問題につきまして、当然石炭の重視というものがなければならないということで、現在、価格それからまた環境問題とか、いろんな問題で隘路はあるといたしましても、石炭の重要性というものをもっと考えなければならないということが強く訴えられておると私は思うんであります。こういうことで今日まで政府もこのエネルギー問題として石炭についての需要といいますか、国内、国外、未利用炭あわせまして今日までいろんな計画を立ててきておるわけですけれども、特に現在問題になっておりますのは国内炭が非常に貯炭がふえておる。これは衆議院におきましてもそれぞれの委員会等でいろいろ問題になっておるところでありますが、日本国内炭につきましては鉄綱関係が主な需要ということになっております。この不況のためにということも言われておるわけでありますが、現在、通産省になりますか、石炭の貯炭の大きくふえた原因というのは、当初の計画どおり進まなかった原因というのは一体どこにあったのか、まずその点ちょっとお伺いしたいと思います。
  49. 児玉勝臣

    政府委員(児玉勝臣君) ただいま先生がおっしゃいましたように、石炭の需給のアンバランスと申しますか、需要と供給の間に大分差ができておるのは現実でございます。ちなみに五十三年度四月から十二月までの問題として申し上げたいと思いますが、供給力といたしましては一千四百五十七万トン、それから需要といたしましては一千三百十八万トンということで、原料炭といたしましては百六十八万トン、そうして一般炭としては百五十万トンの貯炭が現在ある状況でございます。  それで、ただいま先生が御質問のいわゆる需給ギャップというのはどこから出たかということでございますが、一つは鉄鋼業の需要減ということでございますし、もう一つは暖房用の石炭が大幅に減っておりまして、当初考えておりましたよりも約百万トンばかり暖房の見込み違いがございました。これはやはり灯油の機器の出回りと申しますか、そういうことによって暖房炭が売れないということが主な原因ということになっております。
  50. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 このIEAの報告書なんか見ますと、確かに石炭には石炭の、灰の処理とか環境問題とかいろいろ問題ありますけれども、しかし大きな問題、価格差というのが問題になっておるようですが、これは世界的な全般的な見方ですから、日本はもっと円高のための差というのは大きいわけで、大きな主要原因になっているのかもしれませんけれども、この石炭火力のウエートというのは今後ますます重要になってくるだろうということと、それから埋蔵量の上でもまた環境問題の上でも石炭火力というものを重視する、そういうための石炭を使用する制約要件といいますか、石炭は使えないのだという、石炭はどうしても今後問題が多過ぎるのだということをよく言われるわけですが、価格差とかいろいろ要因があるわけですけれども、それは決して埋蔵量の上からとか、環境上とかということじゃなくて、エネルギー計画の担当者が、石油にかわって石炭を利用するという、こういう強い評価というものがないところに問題があるというようなこともこの中に言われておるんですね。私は大臣の一行二行のことを云々するつもりもないんですけれども、やはり国内エネルギーとしての国内炭の見直しという、これは二千万トン体制ということでいろいろ論議をして今日まできているわけですけれども、この国内エネルギーというものが、まあ価格差とかいろいろな要件があろうとも、これが十分に利用されないということは、やっぱりイランのような諸情勢が起きると計画の見直しといいますか、そのときそのときに非常にこう国民に動揺を与えるもとになる。こういうことから、やはりいろいろな隘路があろうと思いますけれども国内エネルギー資源というものをやっぱり基礎ベースとしてきちっと定めることが大事ではないか。これはあすあさってできるということではございませんで、非常に問題はいろいろあろうかと思いますけれども、石炭の二千万トン体制というものを確立し、それを昭和四十七年以来施行しようということでありますけれども、それが需給のアンバランスのために多くの貯炭を抱えるという、こういう事態に至ったことに対しまして、これは鉄鋼の不況とか何かだけではございませんで、もっと国内エネルギーというものを重視する施策を強力に推し進める必要があるのではないか。今後液化問題についても相当技術的にも進歩するだろうということも言われておるわけでありますが、いずれにしましても石炭に対する見直しといいますか、エネルギー全体の中で日本の国が国内エネルギー、そしてまたその中心であります石炭というものをもう少し重視する考え方を持たなければならない、こう思うんです。今日まで衆議院の委員会等においてもいろいろ論議になっておるようでありますが、貯炭が非常にふえてきたということで生産水準を落とさなければならないとか、いろいろなことも言われておるようでありますが、まあ現状としては政府としてはどういうふうに考えているのか。また石炭企業に対して、そういうことをすると、どういう施策をしなきゃならないかという問題も出てくるわけですけれども、ここらあたりについてはどのようにお考えですか。
  51. 児玉勝臣

    政府委員(児玉勝臣君) ただいま先生のおっしゃいますとおり、国内外の情勢というのは、石炭の利用を拡大するという方向で重要な一つの流れの中に入っているかと思います。  石炭火力の開発につきましても、まず需要をつくるという意味では石炭火力をいかに開発するかということでございますけれども、五十二年度に四百四十万キロワットの石炭火力がございますが、これを六十年度までには九百八十万キロワットまでに拡大したいと、こう考えております。これは昭和六十年度のいわゆる国内炭二千万トンの生産を維持し、そのうちの一般炭を使い、さらに海外炭を使うという構想で考えておる次第でございます。ちょうど五十四年度の電力施設計画のただいま立案中でございますので、その中にそういう石炭火力に対する積極的なやはり姿勢を打ち出す形でまとめたいと、こう考えております。  それから、そういうような需要の情勢と相まって、国内炭の生産につきましても、いまのところは約一千八百万トンから一千九百万トン台の生産ということを維持するように、これも石特会計の方から強力なサポートをいたしてその実現を図りたい、こう考えております。
  52. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 そのあとのことについては、いまここの委員会ではこれ以上のことはあれですが、商工委員会とか、またほかの委員会でやらなきゃならぬと思いますが、御存じのとおり、生産水準を落とすということは、企業にとって再び回復力を与えることができるかどうか、こういう問題も出てきますので、そこは財政的な対策と山の維持ということのためにどういう対策が講じられるかという非常にむずかしい大事なことでありますので、エネルギー庁としましても、今後数字の上でこの二千万トン体制の中でどうするかということだけでなくて、よく山の現状というものも勘案しながらひとつ進めていただきたいものだと思うのです。  で、何といっても石炭火力は建設時期が——着工して建設完成するまでの期間が原子力から見ましてずっと短いということや、それから石油のように一つの国から大量の石油輸入するということではなくして、やはり多角的な多国間からの輸入をという——石炭の場合にも同じように、現在は輸入炭の方が多いわけでありますけれども、それもやはり一国からということよりも、国内に貯炭の山が残っているという、こういう現状からしまして——確かに日本国内炭についてはサルファが多いとか、それからほかのものより価格差とか環境上の問題とか、いろいろなことがあるわけですけれども、そういうものを克服する技術開発といいますか、検討というものも十分に行われた上でこれの推進が図られなければならない。まずこういうことで大臣の所信の原子力偏重、こういうことでなくて、もっと積極的な石炭火力を初めとします推進にも力を入れていただきたいということをまず申し上げておきたいと思います。  それから、大臣のお話の中に——二ページのところでございますが、「昨年設置された原子力安全委員会の意見を十分尊重し、新しい安全規制行政体制のもとで安全の確保に万全を期すとともに、原子力施設、環境放射能等に関する安全研究を推進することとしております。」。原子力安全委員会という体制については原子力基本法の改正によってできたが、それだけではなくて安全研究というものにも十分な配慮をするんだということでありますが、今度のこの予算書等を見ますと、原研の総体的な予算、これは私ども見ますところ、必ずしも安全対策に十分な予算づけとその体制が整っているとは見れない、こういう問題がありますので御質問するわけでありますが、この原子力研究所の安全性の研究費、これは五十四年度が七十六億、五十三年度の八十七億よりも下回っているということです。原研予算全体で見ると、五十四年度の予算は五百九十三億円で五十三年度が四百六十三億、このように大幅に伸びているわけですけれども、増額分については核融合の研究開発、こういうものが中心になってて、原研の予算面から見る限りではこの安全性というものは、大臣のお話しのように、決して安全性を推進するという、こういうことは当たらない。予算の規模からしまして開発優先、こういうことがあって、安全性の研究が少し——少しじゃない、これは数字の上から見てやはり後退しているのじゃないかというような感じがするのですけれども、どうですか。
  53. 山野正登

    政府委員(山野正登君) まず来年度の安全研究の全体の姿を御説明申し上げますと、この安全研究の中には、工学的な安全研究に加えまして、環境の安全研究とか、あるいは放射線障害防止に関する調査研究といったふうなもろもろのものが含まれておるわけでございますが、これらを合算しまして、昭和五十三年度において二百二十三億であったものが、昭和五十四年度の政府原案におきましては二百五十五億にふえております。約三十億円ばかりふやしておるわけでございます。そういうことで、私どもこれは昭和四十七年以来であったかと存じますが、安全研究には格段の力を尽くしておるつもりでおるわけでございます。  先生指摘のこの原研における原子力施設の安全研究という点だけに着目いたしますと、仰せのとおり、五十三年度八十億であったものが五十四年度の政府原案では六十一億と、二十億近い減額になっておりますけれども、これは安全研究の大型施設の建設というものが終了したものがございまして、その関係で原研のこの部分だけ減額になっておるわけでございまして、全体の安全研究としましてはまだふえる傾向にある。特に放射性廃棄物の処理処分といったふうなものにつきまして見ますれば、昭和五十三年度において六十四億円であったものか、昭和五十四年度の政府原案におきましては百十四億円というふうな大幅な増額を示しておるものもございますので、今後ともこの安全研究には仰せのとおり最大の力を注いでまいりたいというふうに考えております。
  54. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 私もこの安全研究の金額だけ言っておるわけじゃ決してないのですけれども、総体的にはいろいろな数字だけでは言えないかもしれません。いまのようなお話があるのかもしれませんけれども、いずれにしましても、機構の改革とともに、内容面につきましてもひとつ万々の遺漏のないように進めていただきたい、大臣に特にひとつ申し上げておきます。  安全性の研究の重要性は私がくどくど述べるまでもないことだと思いますけれども、やはり国と民間との研究の実施分担といいますか、こういうことについてもやっぱり重視しなければならぬことだろうと思います。国自身で分担すべき研究分野と、それから民間企業が進めるべき研究分野、こういうものをどういうふうに考えているか。何といっても研究開発といいますか、安全研究についてもやっぱり民間の能力を活用するといいますか、こういう面も、何でも科学技術庁でできることでは決してないでしょうけれども、こういう国と民間とのかかわり合いといいますか、こういうことについては、そしてまた、この安全性研究を推進するという上で国と民間との研究実施分担というような問題、それから予算面その他についてどのようにお考えになっているかというか、時間がありませんから基本的なことだけで結構ですけれどもお述べいただきたいと思います。
  55. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 安全研究につきまして、政府機関と民間機関とが相協力する必要があるという点は御指摘のとおりでございます。  原則的に申し上げますと、国が行います安全研究と申しますのは、国の安全規制に必要な基準づくりのための安全研究といったふうなものが中心になろうかと存じます。それから、民間において行います安全研究と申しますのは、民間における原子力発電所等の信頼性の向上、稼働率の向上といったふうなものにつながるようなものは、これは民間が中心になって行うべきであろうかと考えます。  なお、いま御指摘のように、民間の能力を最大限に活用するという観点からは、これは科学技術庁に原子力平和利用委託費というものが計上してございまして、これによりまして、国が本来行うべき研究であるけれども、民間の人材なり民間の施設を活用する方がより効果が上がるというふうなものにつきましては民間に委託費を出しましてその能力を活用するといったふうなことも制度として打ち出しております。  それから、将来にわたりましても、政府機関と民間との研究分担というものにつきましては、その間に整合性が保ち得るよう、またすき間ができないよう、原子力委員会の中の担当の専門部会におきまして十分に詰めて、その指導のもとで誤りなきような推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  56. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 原子力問題についてはまた法案もあることでもございますので、いろいろお聞きしたいと思うわけでありますが、ちょっとまあ時間もございませんし、一つだけ。  大臣の所信の中にも「放射性廃棄物処理処分対策を積極的に推進いたします。」とございますが、五十四年度予算で放射性廃棄物処理処分対策に必要な経費として二億八千九百七十七万ですか、これは具体的にはどういうことが考えられているのですか。
  57. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 来年度におきます放射性廃棄物の処理処分関係につきましては、これは先ほど申し上げましたように非常に私ども力を入れておる点でございまして、原研、動燃におきましては本年度の約四十億円という研究開発資金に加えまして、来年度は六十億円という五〇%増しのものを予定いたしておるわけでございます。そういった研究開発機関におきます放射性廃棄物の必要経費の計上にとどまりませんで、内局予算といたしましても、五十四年度におきましては低レベル廃棄物の試験的な海洋処分といったふうなものも考えておりまして、その実行に必要な経費というものも計上しておるものでございまして、ただいま先生指摘数字はそれに見合うものと考えております。
  58. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それから次は、いろいろあるんですけれどももう時間もありませんからあれですが、この電源開発促進法に基づきます交付金のことでございますが、これは公共施設の整備に関する計画をつくって、これは公共施設の整備ということに主要目的は限定されておるわけですけれども、道路とか港湾とか漁港とか都市公園とか、こういうことはわかるんですけれども、まあ私どもあちこち参りますと、下水道というものは対象になってないのはどういうことなのかということでよくお話を聞くわけなんですけれどもね。これともう一つは、御承知のとおりに、「発電用施設の周辺の地域における公共用の施設の整備を促進することにより、地域住民の福祉の向上を図り、」というわけですから、下水道をこの対象から外さなければならないという理由はないんじゃないかと思うのですけれども、もう一つ、電源立地促進対策交付金ですね、これは確かに県あたりのいろいろな査定といいますか、こういうものに、計画の査定とかいろいろなものに時間がかかるということもあるのだと思いますけれども、交付金の交付時期が年度内に問い合わないといいますか、こういうことで、市町村あたり、いろいろな計画実施するに当たってできるだけ早くという、こういう話しも出ておるのですけれども、交付金をめぐりますこういう問題についていままでもいろいろ陳情、要望、請願があったろうと思うんですが、これらについてひとつ……。
  59. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) お答え申し上げます。  先生の御質問二点でございましたが、まず下水道の関係でございますけれども、交付金の交付対象につきましては、他の類似の制度以上に本電源開発につきましてはさまざまなものを対象として取り上げておるわけでございますが、下水道といたしましては、制度上は環境衛生施設の中に排水路またはこれに準ずる施設ということで対象とすることができるようになっております。ただ下水道等の排水施設につきましても、大規模な施設につきましては、これは対象とはなっておりませんで、その他のものを対象にするということにいたしております。この大規模なものが除かれております理由といたしましては、大規模の公共下水道の整備につきましては、建設省の方に補助金の制度がございまして、こちらの方との制度的な整理をいたしました結果、公共用下水道の体系的な整備は建設省の補助金の方で行うというような形で制度的な整理をしたということでございますので、その大きなものについては除かれておりますが、排水路あるいはこれに準ずる施設というところで読み込めるものについては従来から対象といたしております。  それから第二の時間がかかり過ぎるという点でございますが、この点につきましては、御承知のように、この制度はまず電源開発調整審議会で決定されました後、国による地点の指定があり、関係市町村間で整備計画の取りまとめができましたのが県から私どもに申請が出てまいりまして、それを国が承認をした後交付が始まるわけでございますが、その着工の時期に合わせて、着工の年度以降に交付をするというふうにいたしております。ただ、関係市町村からできるだけ早く交付をしてもらうようにという申請が、御要望が寄せられておりましたものですから、今年度から制度を改めまして、その着工の時期というのを電気事業法の四十一条の認可がおりる年には交付が始められるようにということで、少しでも地元の御要望に沿うように制度を改正いたしておりますので、以前よりは早くお手元に行くような形になってくるのではないかというふうに考えております。しかしながら、本制度につきましては地方公共団体からもさまざまな要望が寄せられております。電源開発につきましては地元の理解と協力を得るということがまことに大事なものでございますので、今後とも制度の改善についてはいろいろ努めてまいりたいと、かように存じております。
  60. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 その他当委員会でも多くの質疑がございました「むつ」問題とか宇宙開発とか、それぞれについて承りたいと思ったんですが、時間もございませんので、次に「防災科学技術の推進」という第四つ目の柱があるわけですが、地震予知とかそういう問題についてはずいぶん議論がございました。この中に「雪害」というのがございますが、昨年私どもが防災科学センターの新庄支所ですか、あそこへ寄らしていただいたわけでありますが、あそこの所長さんが言っておりましたけれども、少人数でいろいろな地元の問題を抱えて一生懸命やっておるという、だけど、研究費といいますか図書費、その書類、文献やなんかを収集することも大変であり、図書費も非常に事欠いておるんだという、私どもに見してくれたスライドも何か自分たちでみんな出し合ってやったというふうなお話もございまして、大きな期待を担ったあの新庄に支所ができたわけでありますけれども、非常に少人数で御苦労なさっていらっしゃいます。ぜひひとつ、雪害ということは雪国の私どもにとりましては非常に重要な問題であります。ぜひひとつ大臣この現状をお聞きいただきまして御配慮いただきたいということと、それから科学技術庁の方にも来ていると思いますが、青森県なんかは重点事業としまして国立の雪に関する総合的調査研究機関、こういうものを県内につくってもらいたい。市町村の雪寒協議会ですか、ここも雪、寒さ、こういうものに対しての研究というものは非常におくれておる。こういうことで新潟それから新庄それから青森、雪質やなんかも違うし寒さも違う、そういう中での雪害、そしてまたそういう中での人間の生活の中で雪というものに対してどうそれを克服するかという、こういうことについて雪寒地帯についてはこういう問題、ことしは雪が少ないとは言われておりますけれども、こういう研究というのはあすあさってにできるわけではございませんので、科学技術庁としてもその基礎研究というものには相当力を入れていただきたい。大臣もこの前おっしゃったように、何か問題が起きると目の覚めたような思いで、これは大変だと言うんですけれども、時間がたつとすぐ白けてしまう、こういうことではならないんで、やっぱり雪害というのは、日本の国は北から南に長いわけで、南の方には余り感じられないかもしれませんけれども、雪の研究といいますか、雪害、自然災害防止のための研究というものは非常に重要である。その中で一生懸命取り組んでいらっしゃる方々も図書費にも事を欠いておる。こういうことではならぬだろうと思いますし、また地元のいろんな要望等も考え合わせて、いろいろな枠があってそう簡単にはいかない諸情勢も私どもは十分に承知しておりますが、ぜひひとつ寒冷地のこういう問題についても積極的な取り組みをひとつ、宇宙とか海洋とか、こういう大きなこともさることながら、身の回りの諸問題も置き去りにしないでひとつお取り組みをいただきたい。どうかひとつ、大臣も最後に科学技術の振興のためには粉骨砕身と、こういうお話ですけれども、こういう身近なことにもひとつ粉骨砕身御努力いただきたいと思いますが、どうでしょう。
  61. 金子岩三

    ○国務大臣(金子岩三君) ただいまの藤原先生の御意見まことに適切でございます。日本の狭い国土の上分の一は豪雪地帯でございますので、ことしのような暖冬は別ですけれども、もし欧米諸国みたいなああいう寒波に見舞われたら地域社会経済に大きな打撃を与えるわけなんですね。いま防災科学技術センターでやっていらっしゃいますけれども、新潟と山形で小さい研究の場をつくったりしておりますけれども、予算も前年度が三千七百万、次の五十四年度が四千八百万と非常に小さい金でございますから、この程度の金ではどれほどのいわゆる防災対策ができるかということを心配されるのでございます。御意見を十分ひとつ尊重いたしまして、来年度予算には思い切ってひとつ概算要求で、午前中も申し上げましたように、こういうものにも、本当に身近な、手近な問題から片づけていきたい所存でございます。
  62. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私はまず最初に、昭和五十四年度の科学技術予算のうちで特に地震予知対策の予算に関する問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  五十四年度の予算案全体を見ますと、一般会計の伸びが対前年一二・六%、科技庁の予算の伸びは一三・〇%、そのうち防災科学技術の推進で三九%の増、地震予知研究のために八五%増、こういう数字になっていますから、確かに地震予知対策について力が入れられているということは評価するにやぶさかではありません。しかし問題は、依然として問題がないわけではないということで、たとえば一つの見方ですが、概算要求に比べて予算案の査定、この予算案自体がどういう数字になっているかということを対比をしてみますと、地震対策の面ではかなり他に比べて削られ方が大きいというふうに私は見るんです。科技庁全体の予算概算要求に比べて査定の決まりましたのが九六・二%、原子力開発予算は九七・七%、それに比べて地震関連研究の予算案、科技庁所管の分で見ますと、概算要求に対して八五・四%、予知研究だけ拾っても八七・三%、地震関連の予知研究の他省庁関連、これ全部含めますと七五・九%。ですから、この数字はやはりシビアだと思うんです。概算要求というのは、何も大体大蔵省に削られるだろうということを最初から予定をして水増し要求するという、そういうものではなくて、それぞれの部局でよく精査をして当然五十四年度こういうことが事業として必要だということでの概算要求をなさっておるに違いないと思うわけであります。いま申し上げた点で、当初五十四年度地震対策上こういうことをやりたいというふうに考えられておったことで何か重大な支障が起こってこないのか、この点はどうですか。
  63. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 先生指摘のように、確かに概算要求に対しまして地震予知関係歩どまりがよくないのではないかという御指摘はまことに数字としてそのとおりであろうかと思っております。ただ先生も評価していただきましたように、非常に各関係省庁、地震予知の重要性を考えまして、対前年度非常な伸び率で予算要求いたしておりますので、これに対して財政当局として財政の厳しい折からのいろいろな御苦労がありまして、結局いろいろ工夫をいたしまして、できるだけ少ない金で実効が上がるようにということでこういう数字になったかと思うわけでございます。ただ、この地震予知につきましては、御承知のように文部省にございます測地学審議会が全体の予知研究の計画をいたしておりますので、昨年の夏でございましたか、第四次の地震予知計画が測地学審議会から建議されております。この中にいろいろ新しくやるべきことが書いてあるわけでございますけれども、これらにつきましては、今度の予算で関係省庁を見ますと、ほとんど新しく必要なことが認められておりますので、できるだけ工夫をいたしまして、この予算で必要な予知研究を進めていくべきことかと考えております。
  64. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 その御答弁では、大体まあ余り大きく支障なくいくだろうという楽観的な答弁をされておりますけれども、私少しいろいろお尋ねをしたわけですけれども、たとえば諸外国の先進的な経験に学ぶ科技庁で当初予定をしておったこの海外調査、こういうものが大幅に削られたということやら、昨今問題になっています平野部の直下型地震の予知研究、これがかなり減額をされたということやら、あるいはこれは運輸省の関係ですけれども、相模・南海トラフの海底地形調査、これが初年度はもうこの器械だけということになってしまったという問題等々、やはり当初やりたいというふうに思っていたこの事業の計画の幾つかが後退をしているということは否めない事実だと思うんですよ。そういう点で、ぜひ大臣に要望をいたしたいわけでありますけれども、いわゆるあの特調費というのがありますけれども、特調費を、これからのひとつ配分執行面で、とにかく起こってからさあ地震対策大変という、これではもう遅いわけでありますから、本当に地震対策に万全を期していくという上で、そういう特調費を初めとして予算の執行上の工夫をぜひやってもらう必要があるだろうというふうに思うんですが、どうですか。
  65. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 御質問の特調費——特別研究促進調整費につきましては、ことし総額として十五億円が計上されておりますが、現在地震予知関係にはその中から約六億円は支出したいと、このように考えておるところでございます。
  66. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 その六億円では、大体昨年並み程度では、五十四年度やろうということについて考えておったことが十分できぬのではないかという角度から言っておるわけですから、ひとつそういう趣旨に立って、ぜひ予算執行上の工夫をやってもらう必要があると思うんです。  気象庁お尋ねをしますが、例の宮城沖地震のあの教訓から、海底地震計の問題というのが非常に重要だと、従来まあこの重要さの認識について若干弱さがあったという点を、昨年の国会答弁でも、衆議院の議論の中で申されておるわけでありますけれども、これも今度の予算案で残念ながら概算要求に比べて後退をしておる問題の一つになってきておると思うんです。で、今後この海底地震計設置のプログラムですね、中長期展望に立ったプログラム、そうして昨年国会でも確立をされておった三陸沖に設置をするこの問題について、ぜひこれも何とかひとつ復活の方向に向けて予算執行上の工夫をするという問題についてどうですか。
  67. 末広重二

    説明員(末広重二君) 御説明申し上げます。  海底地震計でございますが、第三次の地震予知の建議に盛られておりました東海沖につきましては順調に開発並びに敷設が進みまして、この四月から業務化の予定でございますが、さらにこのような海底地震計を他の必要な地域にもつけるべきだという建議をいただいておりますことは、私どもこれを受けて十分対処をしていきたいと思っておるわけでございます。  ただ、この海底地震計の有効性ということは大変大きなものがあるということは認められておりますが、一方多額の経費を要することと、それから一遍敷設いたしますと、これはもう手を加えることができないということでございますので、建議案の中にもありますとおり、今回業務化になります東海沖の海底地震計の整備と経験の成果を踏まえまして、先生指摘の三陸沖をも含めまして他の地域へさらに増設するということはもちろん考えておりますが、具体的な検討ということは、あくまで今回の東海沖の海底地震計を十分勉強いたしまして、これを踏まえて具体的な計画を練るというふうに進めてまいりたいと思っております。もちろんその間可能な下調べに類しますことはできるだけ進めてまいりたいと、こう思っております。
  68. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 この地震予知のための観測や機器類を拡充をしていくという、この点では確かに予算を見ますと逐年ふえてきている。しかし問題は、そういう観測をさらに広げていく新しい器械を据えつけて、それを予知に向けて動かしていくという場合に、問題はその動かす人が要るんです。ところで、予算全体は、たとえば五十三年度と五十四年度、こう比較してみますと、地震予知関係で八七・三%ふえている。ところが人員はどうかということをいろいろお聞きをしたんですけれども、大体いま地震予知、地震関係に携わっておられる研究者、技術者、これが気象庁で兼務をしておる人約千人を含めますと千六百人。ところが地震に携わる人の定員増が、全体として他省庁の分も含めまして今回どれだけふえているかというとわずか十七人ですね。ですから、千六百人に対して十七人しか定員がふえていないということは、これは一%しかふえていないということになる。気象庁で兼務をやっている千人の人を除いたとしましても六百人に対して十七人しかふえていないということは、人員は二・八%しかふえていない。こういうことでは本当に、このせっかくの観測や器械、これを有効に駆使をして、この地震予知に向けての万全な体制をとっていくということにはもうならぬというのは、これがイコールの比率でなくちゃならぬという機械的なことを私は主張するものではないのですけれども、やはりこの数字というものは歴然としていると思うのですよ。こうした点で、現在の地震予知に携わる人たちの人員増の問題についても真剣にぜひ考えてもらう必要があるだろう。  それと同時に、今後の人材養成計画の問題なんです。これが一体どうなっているのか。当然大学やら気象庁における気象大学、ここらが主としていろいろ考えてもらう分野になってくるわけですけれども、将来に向けての人材養成という点で、研究者養成という点で、それぞれ文部省、気象庁どうなっていますか。
  69. 植木浩

    説明員(植木浩君) ただいま先生から御指摘ございました地震予知推進のための将来の研究者の養成ということは大変重要な問題でございます。これまでも、まあ大学関係でございますが、学部あるいは大学院、そういった点におきまして講座の新設、整備あるいは大学院関係の整備充実ということで、地球化学関係の整備を行ってきております。将来も社会的な要請の強い分野でございますので、もちろん大学における研究組織という点につきましては、それぞれの大学のいろいろな事情がございますけれども、そういった整備を通じまして研究者の養成ということに努力をしてまいりたいと思っております。
  70. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 気象庁
  71. 末広重二

    説明員(末広重二君) ただいま御指摘いただきましたとおり、私ども気象庁には気象大学校が付属しておりまして、ここに四年制の大学部、これは国立大学での地球物理学科に匹敵する教育をしておりますが、この教育内容につきまして、最近は地震学、かたい方の地球に関する部門をさらに重視するようになりまして、この課程を経まして地震の専門家養成に心がけ、毎年何人かは気象庁の地震部門へ入るようになってきております。  また、これは養成と申し上げますより、あるいは気象庁職員の研修であるかと思いますが、この大学校には研修の部門もございまして、この部門の気象、地震、火山といったような部門をさらに拡充いたしまして、部内の人間で地震の業務につく、専門に地震の業務につく人材もこういった組織で養成を図っておる次第でございます。
  72. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それぞれ御答弁いただいているわけですけれども、私がきのうまでいろいろお聞きをしてきた関係では、たとえば大学について言えば地震専攻の学生定員、これは五十四年度特にふえてないということでありますし、それからいまの気象大学のここの定員も五十四年度特にふえておるわけではないということで、本当に真剣に人材養成に向けての具体的なプログラムを積極的に考えておられるんだろうかということを私は大変心細く思うんです。  それで、ぜひ大臣にお考えを願いたいと思うんでありますが、さっき、一つは地震対策の予算は八割方前年度に比べてふえてきている、これはこれなりに評価していいと。しかし、問題は、せっかくの予算を生かしていく地震に携わる研究者、技術者、これの伸びはせいぜいさっきの兼務やっている人を除いたとしても三%足らず、二・何%という、この程度の定員の伸びにすぎない、今後の人材養成計画も具体性というのは私はないと、こういう点で非常に心細い状況じゃないかということを大臣も感じられると思うんです、いまの話で。で、私は特に地震予知についての他省庁全体を包括をしての責任統括大臣として、ぜひ人材養成の問題を積極的に他省庁ともひとつ協議をして、どうやって前進を図っていくかという問題の検討をぜひやってもらいたい。これをやらなければ何ぼ予算ふえたってその予算は生きていかないというふうに私は思うんです。この点についての大臣の所見をお尋ねします。
  73. 金子岩三

    ○国務大臣(金子岩三君) 佐藤先生の御意見まことに適切でございます。関係省庁またがった関係もございますけれども、御要望のとおりよく相談をして、協調してひとつ人材養成の積極的な取り組みを目指したいと思います。
  74. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 まだ地震の問題でお尋ねをしたいんでありますが、時間の関係がありますので、次は動燃再処理工場の事故の問題で幾つかお尋ねいたします。参考人来ておられますね。  まず一つは、二月の九日、再処理工場で放射能廃液が付近の川に流出をするという事故が起こりました。放射線量は人体にさして影響はないという微量なものであったとはいえ、付近の川に流れ出すというようなかかる事故というのは断じて起こってはならぬ事故だということは、これはもう明白だと思います。  そこで、まず動燃にお尋ねをいたしますが、こうした事故が起こった原因、それから、こうした事故を二度と起こさない今後の措置、これをひとつ簡明にまずお答え願いたいと思います。
  75. 金岩芳郎

    参考人金岩芳郎君) 私、動燃事業団の燃料部門と安全管理部門を総括しております副理事長金岩でございます。  ただいま佐藤先生指摘の再処理工場のトラブルにおきまして御心配を得て非常に恐縮に思いますし、また御指摘のように、今回の廃液が地域外にも漏れたということについては非常に申しわけなく存じておりますが、御質問に従いまして経過とそれから対策についてお答えしたいと思います。  二月九日動燃事業団の再処理施設の廃棄物処理場の地下の浸透水の受け入れ槽の水中における放射性物質濃度の測定、これは月一回定期的に実施しておりましたのですが、この測定において五掛ける十のマイナス五乗マイクロキュリーパー立方センチ……。
  76. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 その現象はいいですわ、現象は新聞にちゃんと書いてありますから。なぜ起こったかという……。
  77. 金岩芳郎

    参考人金岩芳郎君) では省略さしていただきます。  という異常が出ましたので、直ちにそこからくみ出す水は廃棄物処理場の廃液の貯槽の方に送るように切りかえました。  それから、また浸透水の分析、それから施設の点検等いたしまして、その地下にあります廃棄物の処理槽の攪拝用の配管のフランジを調べましたところ、そこから漏れたと。それから、それが床面を経て地下の浸透水をためるところに入ったというふうに推定しております、現象としまして。で、それが自動的にくみ出されて外へ行ったわけでございます。  それで、地域の外に排出されました放射性物質の量は、この排出されました地下水の量が約四立米と推定されますが、放射能の濃度でいきますと五掛ける十のマイナス五乗マイクロキュリーパー立方センチでありますことから、全体として〇・二ミリキュリーというふうに推定されますが、これは同施設から一日あたりの海中へ放出する基準の約三千五百分の一というふうに推定しております。  その後、事業団の方で付近の河川の試料を取って分析しました。で、周囲の監視区域内の十二町川において六カ地点採取しました。それで、川底の土については平均して二十三ピコキュリーパーグラム、これは乾いた土に換算してでございます。それから、周辺の監視区域外の新川において九地点採取したやはり川底の土についてはかりましたところ、平均して十七ピコキュリーパーグラムの結果を得ました。これは保安規定による目安は三十ピコキュリーパーグラムというふうになっておりますので、これらから見まして総合的に判断すると、まず幸いにして環境への影響はなかったと考えております。  今後の対策としましては、ここの地下でくみ上げるポンプの排水を一度ピットに取りまして、これを連続的にモニターをやって、そして海中放出管から出るように施設を変更することを進めました。ただし、この施設ができるまでは当面この浸透水は全部薄い排水系のいままでのところから出さないで、廃棄物処理系に通しまして、それでチェックした後、海中の放出管を経て海に出すということにいたしました。それによって今後はそういうことが起こらないというふうにできると思うておりますが、結果としましてまことに遺憾であったと思っております。
  78. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 どうもあなたの御答弁の多くの部分は、漏れました、しかしその漏れた放射線量は大したことではございませんという、ここの話が多くの部分にある。やはり微量とはいえ起こってはならぬ事故でしょうということも私前もって前置きをして聞いておるのに、またそういう長々と説明をなさる。私はそこらあたりに、なおかつ動燃の姿勢が如実に出ておるんじゃないかというふうに思うんですけれども、そこで、今後二度とこういう事故を起こさぬために連続モニタリングシステムをつくるんだということでありますけれども、なぜそういうものを最初から、そもそもこの運転をする最初からそれを設置しなかったんですか。  それから科技庁にお尋ねしますけれども、科技庁がこういう連続モニタリングシステムがないままの形で、こういう事故は起こらぬだろうということで安全審査をパスなさったわけでしょう。そのことについての責任を科学技術庁は感じておられるのか。この点、それぞれお答えいただきたい。
  79. 金岩芳郎

    参考人金岩芳郎君) 私の述べ方が不十分であった点は申しわけなかったと思いますけれども、そういうことに対して十分の施設をやらなければいけないと思いますが、これは、この施設に対して初めは扱っているレベルが低いこと、また、このタンク、ここへ集まるタンクの放射線レベルが低いということもありましたし、また、そのタンクの置いてある部屋には万一漏れてもエポキシのライニングをやりまして十分対策が施されていると、したがってこれで防止できるというふうに考えて、念のために定期的にサンプル等をやっていたということでありますが、この考え方が不十分であったということは十分反省いたしておりまして、さっき申し上げましたように、連続して必ずチェックしてから出すようにということで不用意に出さないようにしたいというふうに考えております。
  80. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 先生指摘のように、再処理の施設からの放射性物質の排出は規則によりまして定められたところから出さなければいけないとなっているわけでございます。したがいまして、低レベルの廃液につきましては定められた放出管から出すのがたてまえでございます。したがいまして、今回のトラブルはそういう観点からも非常に遺憾なことだと私ども感じておる次第でございます。したがいまして、直ちに、先ほど動燃の方からも御説明がありましたように、この地下水、浸透水は廃棄物処理系に通しまして放水管から放出するように処置をしたわけでございますが、先生指摘の、私どもそのような構造につきましての安全審査をしておることは事実でございます。ただ、いつでもその放出口から出せるような切りかえバルブのついた施設として認可しておったわけでございます。  一方、このような施設で地下浸透水が過って放射性物質がまじり込んで環境に流れるおそれが他のトラブル等の例から予想されておりまして、実は、たしか二年ほど前であったかと思いますが、原子力安全局長の通達を各施設に出しまして、十分配慮せいということを動燃を含めて指示しておったところでございます。で、動燃といたしましては、その改善をするために本年度予算におきまして、先ほど金岩副理事長が言いましたようなもう一つのためをつくりまして、そこで連続的に放射線を測定をする施設を追加するという計画を立て、その安全審査を済まして、これから実は建設に取りかかろうとしたやさきでございます。私どもいまから考えますと、動燃をしてその地下水浸透ピットの測定を月一回やっておったわけでございますが、もっとしげくやるべきであったと非常に反省しておるわけでございますが、そのような対策も近くとられることになりましたので、これからは再びこういうことがないようにしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  81. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いまの御両人の御答弁によって、その中にも出てきておりますが、五十三年度予算で二度とこういうことを来さぬために、この事故が起こる以前から五十三年度子算で連続モニタリングシステムの予算をつけ、それの建設に入っておった、ただそれが予定よりも完成がおくれてまだでき上がっていないということでありますけれども、やはり、もしかしたら危ないんじゃないかという気持ちもあり、念には念を安全確保のために入れようということでそういうものをつけようということになってきたんだと思うんです。ですから、なぜそういうことを、初めから念には念を入れてきちっとそういう体制をとって、いよいよ運転だということをやらなかったのか。その点を要求しなかった動燃側にも重大な責任があるし、安全審査をパスさせた科学技術庁にも重大な責任があるということははっきり明言できると思うんです。  ところで、今回の事件を教訓にして、他の原子力諸施設、この発電所も含めまして、本当にこの安全確保のために、そういう定期検査のときに発見されるということじゃなくて、常時連続的にそういうことがキャッチできるモニタリングシステム、これが他の原子力諸施設に本当に全部完璧になっているか、こういうことを私はこれを機会に科学技術庁としてももう一遍ひとつ見直しをやるということをぜひやってもらいたいというように思うんですが、その点どうですか。
  82. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 先ほどもちょっとお話し申し上げましたが、他の関連するトラブルが起きました際に、全施設に対してこの地下浸透水あるいは原子力施設のドレーン等が一般環境水に流れ込まないような措置を講ずるような指示をしてあるわけでございますが、今回のトラブルの発生から直ちに各施設の実情を調査しております。で、現在までにすべて完了しておるわけではございませんが、原子力発電所につきましては、発電施設内部で発生する低レベルの廃棄物が何らかの事故によって漏れたときに、それを受けるためがすでにできておりまして、そのためにつきましては常時放射線レベルを監視するようなシステムになっております。したがいまして発電施設は十分な対策がとれておると想定しております。  なお、私どもが所管しております核燃料加工施設、それから研究用の原子炉、あるいは開発段階にある原子炉についても同様の確認をいたしておりまして、発電所等と同様な対策がとられておると認められるところでございます。  なお、この調査につきましては、まだ全施設を調査しておりませんので、引き続きこの調査促進いたしまして、他の施設において同じようなことが起きないような対策をとってまいりたいと考えておるところでございます。
  83. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ぜひひとつ、これを機会に入念な点検をやるということで、重ねて要望しておきたいと思います。  もう一つの問題は、一月の三十日、三十一日両日にわたって再処理工場で連続して作業者の放射能汚染事件が起こっているということで、動燃における汚染被曝問題というのは枚挙にいとまがないわけでありますけれども、もう一遍きょう機会を改めてお尋ねをするわけですけれども、微量とはいえ作業者がこういう汚染を受けるということは、まあ微量ぐらいはしゃあないことだというふうに思っておられるのか、いや、そういうことはもう断じてなくさなくちゃいかぬというふうに思っておられるのか。ちょっと時間がありませんから続けてお尋ねしますけれども、そのことが一つ。それから、今後こういう汚染を完全になくすための方策をどういうふうに考えておられるかという問題。それから三つ目に、一月三十日のこの事件については動燃から科学技術庁にも直後報告がなかった。もちろん公表はしてません。科学技術庁にも報告をしなかったという、このことについて、一体動燃、科学技術庁はどう考えているのか。まず、ここらの問題についてお答えをいただきたい。
  84. 金岩芳郎

    参考人金岩芳郎君) 御指摘の問題についてお答えしたいと思います。  一月の三十日及び三十一日、動燃の施設におきまして生じた御指摘の件につきましては、きわめて軽微な汚染でありまして、あらかじめ定められた一定の、一連の管理手順に従いまして直ちに発見され、また除染されたものでありまして、少し違ったように伝わったのではないかと思うようなトラブルではないというふうに考えております。確かに線量レベルの少し高いとこるであるアンバー地域、管理区域でございまして、ここでその被服が汚れたんですが、その被服を外しまして調べましたんですが、したがって、本体の方については、人自身についての被曝線量は皆無でございましたし、また念のためにはかりました内部被曝もありませんでしたので、担当の所長としましては、これは軽微といえども、まだこれは異常の部類に入るというふうに考えないで処置をした次第でございます。したがいまして正規の報告もいたしませんでしたが、もちろんしかし、こういうことについての注意は必要であるということで、関係の所内には、自分の部の中には注意をしておりますが、御指摘のように、私どもは低いものでありましても注意なりあるいは工夫によって、そういう従業員の被曝を十分低くしたいということで、できるだけのこれを抑えていくという注意は従来もやっておりますし、これからもやっていきたいと思います。したがいまして、異常と認めたものについてはそれを御報告もしますし、また部内にも注意をしてそういうものを避ける、また避ける工夫を一層続けていきたいというふうに思っております。
  85. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) まず、この事故の概要につきましてはただいま報告がありましたのですが、私どものこのトラブルにつきましての認識として事情聴取いたしたところが、たとえば発電所で言えば、定期検査のときに炉室の中に入って作業をすると同様に、この再処理工場のすでに汚染されておる場所に作業員が立ち入りましていろいろな作業をした結果、衣服の放射性物質の付着があった、あるいはその衣服に付着した放射性物質が、脱ごうとするときに体に付着したというようなことであるということを確認しておる次第でございます。したがいまして、そのような作業におきましても、できるだけ放射性物質に汚染されないように作業を進めていくことは当然必要でございますが、そういう環境下での放射線下の作業におきましては、ある程度の汚染というものが衣服等に起こるのはやむを得ない環境下での作業でございます。その辺をぜひ御理解いただきたいと思っておるところでございます。したがいまして、この問題は、通常のセルの外からいろいろな操作をしておったときに汚染をしたと、漏洩等によって汚染したというトラブルとは若干性質が違うということで、動燃事業団におきましても一定の放射線管理システムの中で発見され除染が行われたということで報告しなかったものと聞いており、私どももその辺は了承したところでございます。この問題は、われわれのところに報告がございましたのは、実は東海村の村会議等で、トラブルがあったんではなかろうか、そういう話を聞いておるがということが出まして、私どもその情報を察知しまして動燃に確かめた問題でございまして、先生おっしゃいますように、直ちに報告が行われていたものではございません。しかしながら、私どもとしては、トラブルの些細なことにつきましてもこれを報告をさせて世間に公表するという体制をとっておりますので、これからもトラブルが起きました場合には十分報告をとり公表してまいりたい。しかしながらこのような内部的な施設の中で作業中に、予想される作業として、放射線下での放射性物質の汚染につきましては、その報告の仕方もあるいは変えなければいけない。むしろこういうような動燃の中の放射線管理の報告の中にそういうものを収録して、まとめて公表していくようなシステムも含めて今後検討してまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  86. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 最後。時間来ていますからもうあれですけれども、いまの御両人の御答弁で、この程度のものは報告しなくともいいというような、これは重大な私は発言だと思うのです。しかも動燃の副理事長の、先ほどの私が質問をした、今後こういうことを完璧になくすためにどういう改善策をとるのですかということに対して何のお答えもない。この程度のことは起こったって、これはまあ、しゃあないだろうということで、せいぜい安全教育といいますか、そういう注意で、そういうことのひどくならぬように所内に徹底を図ろうという、こういう考え方という、ここから実はそれがエスカレートをして、たとえば最初の質問でしたような、そういうところへ考え方として発展をしていくんではないですか。たとえ微量でもそういう汚染や被曝ということは来さない万全の策をどうするか、このことを事業団の側としてもまた監督官庁としてもどうしても考えてもらう必要がある。先ほどの同僚委員の質問に対して長官も、とにかくどういうことが起こっているか、それを逐一公表するというのは、そのことを通して学者、専門家を初めとして、広くどうやって完璧な原子力開発、原子力事業についての安全確保をつくり上げていくか、そのために広く意見を求める、そういう点で有益なことだというふうにおっしゃっているわけで、だからそうした点で、ぜひ先ほどの答弁についてはもう一遍考え直してもらう必要がある。とにかく逐一報告をし公表をするということは原子力行政の安全な発展のために大切なことだと、こういう観点に立ってもらう必要があると思うのですけれども、最後ですからもう一遍長官にお尋ねしておきます。
  87. 金子岩三

    ○国務大臣(金子岩三君) 先ほどお答え申し上げましたとおりでございまして、御指摘の点は全く同感でございます。それでやはり失敗があって初めて次の成功を生み出すわけでございますから、まあこの故障があった点は十分ひとつやはり検討して次の対策にこれを指標として取り組まなければならない、このように考えております。先ほどの政府委員の答弁で大変御不満のようでございますが、私の方で今後はよくひとつ督励いたしまして御指摘に沿うような努力をいたしますから御了承願いたいと思います。
  88. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 終わります。
  89. 中村利次

    ○中村利次君 大臣、私は全く逆なんです。私はそうは思わないんです。これは原子力関連の法規がありますね。私はそれに従って原子力行政はやってもらえばいいと思う。それは確かに人間の生命、健康にいささかの影響はなくても放射能漏れをするというのは言いわけのできないミスでして、これはあってはならない。そういうことははっきりしているんだけれども、余り神経過敏になってぴりぴり……。事故なんというものは、私の体験からすると、余りぴりぴりし過ぎるとかえって事故を起こしてしまう。だから法規に従ってやるべきであって、何かこういう放射能漏れがあったんだけれども、たとえばこれはいままでも体験ありますよ。一ミリレムの被曝があった。報告を受けておるのか。受けておりません。——受けておりません、調査いたしますと言ってあなた、騒ぎ回る。そんなばかげたことはおよしなさいと言うのですよ。一ミリレムの被曝で報告の義務はありませんよ。そんな法規どこにありますか、あなた。だから、安全を徹底するために前向きのことはいろんなことをやっていかなければならぬけれども、ばかげた後ろ向きのことは私は賛成できませんからおよしなさいよ、そういうことは。それから午前中から、イランの政変に絡んで石油バランスの問題だとか、あるいは中近東の政情なんかに絡んだエネルギーの問題の質疑がありまして、専門家外務省の担当局長からのお答えも伺いました。私もこれには非常に強い関心を持っています。それからまた、この暖冬。積雪がほとんどない、雨も少ない。ことしの夏、その渇水についてどうだろう、これも私は大変に強い関心を持っています。先ほどからの各委員指摘もございましたけれども、何かトラブルがある、そうすると、こういうことは絶対にしないように注意いたしますと言ってまたトラブル、同じ意味のトラブルがある。これの繰り返しですよ。また水なんかでも、いま問題になっていませんが、見ておってごらんなさい。これはもう夏、渇水になって時間給水。東京なんか時間給水になれば、国会だって騒ぎ回って騒ぎ回って、政府建設省から国土庁から農林水産省から、関係省庁——科技庁あたりまて科学技術の振興開発に絡んであるいは追及されるかもしらぬけれども、騒ぎ回る。ところが、現在ただいま渇水の危険性が、もうそういう条件がある。政府はこれに対してどういう手を予防措置を含めて打っているのか。こんなことを手おくれにならないうちに私は本当に考えるべきだと思いますよ。イラン政変、この中東等の政情等に絡んでも私は同じことが言えると思うんでして、このエネ調の「長期暫定見通し」なんか、これは私は何回も各委員会で取り上げておるつもりですけれども昭和六十年に石油換算で八千万キロリッター、一〇・八%の省エネルギーをやるという。非常に結構、りっぱですから、やるべき裏づけを持ってやるべきなんだが、それじゃどういうことをおやりになっているのかといえば、さっぱり実が上がっていないんではないかという私は焦りがあるんですよ。たとえばイラン政変で石油バランスがどうだろうという、そういう議論が、これは国際的に行われておる。これは私は、量だけではなくて価格の上できわめて深刻なことになりかねない、非常に心配しておる。ところが、暖冬だというのに灯油の需要は何か一〇何%もふえたというんですよね。これはなぜかと言うんです。結構ですよ、あなた。全く無資源国の日本が、オイルショックではパニック状態で、まあまあ人間の弱さというか、売り惜しみ、買いだめ等なんかまで起きて、まさに恐慌状態であった。全く無資源国の日本が、その後遺症がまだいっぱい残っておるのに、あれは温風暖房機というんですか、これは確かに屋内は、室内は快適でしょうけれども、大気を汚す度合いなんてものは同じですよ、あれは。外へ出すか、うちの中で燃焼するかのあれですから。これは通変省あたりでは何ともならぬものですか。
  90. 児玉勝臣

    政府委員(児玉勝臣君) ただいま先生がおっしゃいましたエネルギーの基本的な想定といいますか、政策の課題かと思いますが、第一が省エネルギー政策であり第二がエネルギー安定供給政策ということで、その二本の柱で進めてまいってきております。  最初おっしゃいました、昭和六十年におきまして約八千万キロリットル、その当時のエネルギーの節約のパーセントとしましては一〇・八%相当を省エネルギー化したいというふうに考えておるわけでございますけれども、これは現在通産省といたしましてエネルギーの使用の合理化に関する法律というのを国会に御審議をお願いしております。そういうような法律によりまして事業者のいわゆる省エネルギーに関する種々の施策に対する援助とか、それから指定工場というものをつくりまして、それに対しては国家試験の有資格者によるエネルギーの管理をさせるとか、そういうような対策をいたしまして推計いたしましたのが八千万キロリットル相当の節約の裏づけになっているわけでございます。しかし省エネルギーというのは、申しますのは非常に簡単でございますけれども、実効を上げるというのは非常にむずかしいということは先生のおっしゃるとおりでございます。  それからエネルギーの供給確保の問題といたしましては、石油の確保をということでございますけれども、いまおっしゃいましたようにイランの問題もありまして、三月までの供給は何とかもっとしても、四月以降のいわゆる端境期のときの原油のいわゆる輸入動向によっては、ことしの秋以降、非常に重要な決意をしなければならないかもしれないと、そういう考えでありますし、また、さらに長期の問題からいきますと原子力とか、それからLNGとか海外石炭とか、そういうかっこうでの供給源の多様化ということで臨まなきゃいけないのかと思います。  最後に灯油の問題でございますけれども、灯油については、いまのところ、いわゆる実勢政策といいますか、実際の実勢に伴って価格操作は特にやっておりません。ただ、灯油が最も需要期である間に要するに急激な値上げというようなことがないよう指導しておる状態でございまして、なるべく大衆の利用するエネルギーというものか低廉であるように監視している次第でございます。
  91. 中村利次

    ○中村利次君 本当に私は不思議な気がするんですよ。資源大国のアメリカが、石油だって持っているし、それから代替エネルギーだって、それは核燃料から、石炭なんていったら大国でしょう。ガスもあれば、オイルサンドなんかでも、何を見たって資源大国のアメリカイラン政変でもう大騒ぎ、ドル価値を下落させて世界に国際的に迷惑をかけるように油を買い過ぎて備蓄するということすらやっておる。日本なんてものはオイルショックのときにあれほどひどい目に遭ったのに、のど元過ぎれば、そしてその危機が非常に近づいてきておるというのに、まあ通産省、資源エネルギー庁あたりが一−三月の大体需給関係というのはそれほど心配いらぬと、これはもうわかるわけですからね、答えが出るわけだから。そうお考えになる、事実がそうならそうで結構ですけれども、さっきから言っておるようにきわめて優雅で結構であろうが、石油大食いの暖房器具なんかだって、これはかなり売れたというんだけれども、こんなのが野放しになっていって果たしていいものだろうか。暖冬で本来ならばかなり灯油の需要は減らなきゃならないのにふえておる。これは果たして省エネルギーの看板をかけて——イラン政変が起きてから確かに政府は省エネルギーの具体策を発表されました。しかし、全くそれに逆行するように灯油の消費は暖冬にもかかわらず伸びているというから——私は決していやみを言うつもりじゃないんだが、やっぱりやってくださいよと。それから省エネルギーをぴしゃっとやるからには、審議官のおっしゃるとおり、発想を変えるぐらい……何と言うんですかね、人間の発想から社会生活から、そういうものを変えるぐらいの決意と裏づけかなければ私は一〇・八%の石油換算八千万キロリッターの省エネルギーはむずかしいと思う。これは法制上からもあるいは税制上からも政府がもう一体になってその対策の裏づけをつくらなきゃいかぬと思うんですが、看板は非常にでかくおかけになるけれども、税制上あるいは法制上どれほどのものが出てきておるのかというと、まことにこれは失礼だけれども大した期待のできそうなものはないですね。新築をするときには——これは建設省の所管でしょうけれども、きょうは科技庁と通産省しかいらっしゃらないわけですから、申しわけありませんけれども皆さんにしわ寄せがいきますがね。それは断熱材なんというものは、あんなのは幾らもかからない、坪当たり。そんなのを義務づけするようになればかなりの省エネルギーになるはずですよね。それから、省エネルギーに対して、設備に対して税制面からどうするんだと、こういうことも、これは大蔵省の所管かもしれないけれども、さっぱりはっきりしない。これは申しわけありませんけれども、審議官とこれはやっぱり大臣にお答えいただきましょうか。所管じゃないんだからと言わないでひとつ、これは大事なことですからね、御見解を伺いたいと思うんです。
  92. 児玉勝臣

    政府委員(児玉勝臣君) ただいま省エネルギー関係の税制面についてどういう施策をしておるかと、こういう御質問がございましたのでお答えしたいと思います。  税制面におきましては、五十三年度から十三種類の省エネルギー設備につきまして特別償却制度を設けておりまして、また五十四年度につきましては新たに特別償却制度の対象となっている省エネルギー設備につきまして固定資産税の軽減、これは課税標準を所得時から三年間二分の二に軽減するということをやっております。財投といたしましては、日本開発銀行、中小企業金融公庫、住宅金融公庫と、こういう機関を通じまして実施しております。それから、ただいま申し上げました五十四年度からの税制改正につきましては、国税それから地方税ともにそういうことで、特別償却は国税、それから地方税につきましては固定資産税の軽減ということを実施しているわけでございます。
  93. 中村利次

    ○中村利次君 申しわけございません。これは何もしてないなんと言っては言い過ぎでございまして、どうも手ぬるいということに言いかえます。  これはぜひ昭和六十年に一〇・八%の省エネルギーが達成できるように政府がこぞって、私は努力じゃなくて具体的な裏づけを強く要望しておきたいと思うんです。そうでありませんと、これは本当にどえらいことになっちゃう。ですから、私は石油換算八千万キロリッターの省エネルギー昭和六十年に達成していただけるという前提に立って質問しますから、これが崩れるとめちゃくちゃですからね。  暫定見通しによりますと、これは私は何回か取り上げてみたんですが、水力の一般水力、揚水はこれはおきましょう。しかし、揚水もこれはやはり原子力との連動が必要ですから、原子力を否定したんではどうしようもないんで、私は原子力を積極的に開発をしなきゃならないという結論を持っていますから、これは決していいかげんな数字合わせやつじつま合わせではなくて、毎々申し上げますように、原子力の開発はあくまでもこれは人類の、日本の場合には日本人の幸せのためにやるんですから、日本人が病気をしたり、死んじゃったり、子孫に影響を及ぼすようなそういうことがあれば、断じてこれは取りやめるべきであって、ただ私は、微量だけれども——これは学者、専門家の皆さん参考人でここへいらしてやったことがあるんですが、微量な放射能であっても自然界の中に確かに放射能はある、そういうものはこれはどうしようがないんだと、もう人力でもって防ぐことができないそういうのは影響を受ける、したがってそれ以上のものは——これは速記録を調べていただけばわかると思うんですが、それ以上のものは放射能を出さないようにというお答えがあったんですけれども、私なんか全くこれは学者の先生にしては、どうも失礼な話だけれどもかなり非常識ではないかと思うんですがね。日本でもそれは地方によって自然界から受ける放射能なんというものはいろいろ違いがありますね。インドだとか南米なんかには五百ミリレム、一千ミリレム、二千ミリレムという、日本なんか多いところだって百数十ミリレムですから、日本の百倍、百何十倍というところがある。ところが、そういうところはもう千年万年人類なんというのはずっと生きて生活してきているんですからね、日本の百ミリレムの地方はそれ以上は五ミリレムでも一ミリレムでも出しちゃいかぬ、人間は出しちゃいかぬ——そうしたら、何千年も何万年も千ミリレムのところで生きて生活、生存してきた者は何かあるのか、がんであろうと何であろうと、ちっともこれは差異はないというのですからね。だから、そんなことで皆さんがびくびくびくつかれておられたんでは、これは日本の原子力行政なんというものはすっかりおかしくなっちゃう。アメリカなんかが原子力なんかそう急がなくてもいいんだよと言うのは、あれはエネルギー資源大国だから悠長に構えておれる。日本エネルギー資源は何がありますか。まことに恐縮ですけれども日本エネルギー資源について国産でできるものがどういうものがあるんだか、ひとつお知らせいただきたいと思うんです。
  94. 児玉勝臣

    政府委員(児玉勝臣君) 国産のエネルギーで実際に経済的なエネルギー源として用いられるものというのは、世界と比肩し得るものは一つもないと言っていいのではないかと思います。
  95. 中村利次

    ○中村利次君 それはそうですね。石油だってガスだって本当に〇・何%にすぎないし、石炭だって原重油関税から千二百億前後ぐらい毎年つぎ込んで、この助成策には一生懸命になって二千万トン体制を何とかして維持しようとしたって千八百万トンちょぼくらいでだんだん——それても昭和四十一年の四月に東海に原子炉の火がともってから十数年たちますけれども、一人の死亡者も出していませんよ。これは将来だって私はそうあるべきである、当然そうあるべきであり、そうあると思いますけれどもね。石炭なんか、あなた、あれはまあエネルギー資源だけれども、どれだけの死者を出し、炭鉱事故なんていうものは——それは石炭屋さんだって世間の指弾を受けるのですから、保安についておろそかにしているわけじゃないと思う、私は。特に最近、環境だとか人間の尊厳だとかいう点については大変にうるさい。これはうるさく言って当然です。ところが、やっぱり炭鉱事故は後を絶たない。カロリー当たりに計算してみたら、石炭をたいてどれほどの人間の被害が出ておるか。あるいは水力にしたって、ダムの建設は過去歴史的に言ってどれほどの死者を出しておるか、人柱とか言っていて。ところが、こういうのはもうさっぱり議論の対象にならないんだなあ。もちろん、先ほどから申し上げておりますように、何か放射能についてはほかのものとは違う、遺伝的にえらいことになるんだということをおっしゃる学者もいらっしゃる。しかし、それだったら、南米だとかインドとか、世界じゅうの、たとえば二千ミリレムの自然界の放射能と五十ミリレムの放射能の地域とを歴史的に比べて、科学的に、医学的にどういう差があるか立証してもらいたいのだ、私は。ただただイチャモンつけの、攻撃の材料としてそういうものを利用されたんでは大いに困るわけでありますけれどもね。  そこで、この地熱、昭和六十年、促進ケースで百万キロ、これは促進ケースですから、大いに努力をしようということだと思いますが、実際にもう六十年度の終わりと言ってもあと七年しかないわけでありますから見通しがつくと思うんです。どうでしょう、これは可能性がございますか。
  96. 児玉勝臣

    政府委員(児玉勝臣君) ただいま地熱発電で運転中のもの、それから計画中のものを入れまして二十一万キロでございます。いまから百万キロに到達するためには七十九万キロということになるわけでございますが、そのうちの三十四万キロが自然公園内でありまして、自然公園外が四十五万キロということになっております。この自然公園内の地点というのが、これは環境庁の方とまたいろいろ問題のある点でございまして、この辺の説得がうまくいかなければ開発が半分ぐらいに落ちてしまうという可能性があるわけでございます。
  97. 中村利次

    ○中村利次君 私もそう思うんですよ。そうなりますと、促進ケースで地熱の——エネルギー対策というのは忍術じゃないんですから、裏づけを持って、石炭はこれだけ掘って、それから一般炭はそのうちこれだけで、石油はこれだけ、ガスはこれだけ、地熱はこれだけと、こういう裏づけを持って六十年にはこれだけ達成できるよというものがないと、何か手品使ってエネルギーがどこからか出てくるような議論ではどうしようもありませんから、まずこの地熱は対策促進ケースの百万キロというのは非常に困難である、恐らくこれは下方修正をせざるを得ないだろうというぐあいに受け取ります。  そこで今度は石炭です。石炭二千万トン、いかがでしょう。
  98. 児玉勝臣

    政府委員(児玉勝臣君) 石炭火力につきましても……
  99. 中村利次

    ○中村利次君 出炭です、出炭。二千万トン出炭。
  100. 児玉勝臣

    政府委員(児玉勝臣君) 出炭はただいま約二千万トン、正確には五十三年度見通し千九百万トンぐらいでございますけれども、まあまあ二千万トンクラスの出炭を今後とも維持するということで政策を立てていきたいと、こう思っております。
  101. 中村利次

    ○中村利次君 これは先ほど貯炭の、石炭の需給質疑がございましたけれども、それはともかくとして、どれくらいの出炭能力があるかという点で、二千万トンの出炭を維持する——維持するというよりも、これは高めることになりますね、千九百万トン切っているわけですから。昭和五十三年だけではなくて、二年も一年もそうじゃないですかね。ですから、二千万トンに出炭量をふやしてその二千万トンを維持するということはきわめて困難だと思いますから、よほどがんばらないと、これは二千万トンの裏づけは出てこない。そうしますと、六十年の促進ケースの中で辛うじて二千万トンの出炭はほぼそれに近いものはできるかもしれぬ、それは努力をしようということですね。
  102. 児玉勝臣

    政府委員(児玉勝臣君) はい。
  103. 中村利次

    ○中村利次君 次は輸入炭でいきましょう。これは一億二百万トン、しかし、これは港の整備から船積みから、石炭の一億トン以上の輸入、この数年間でそういう対応が果たしてできるのかどうか。  それからもう一つ国内の一般炭だけではなくって、輸入炭の中で一般炭を輸入をして火力発電所にたかせようという計画でございます。これは私は石炭利用賛成、みんな賛成です。エネルギー源というものはどこからでも求めていかなければこれは大変ですからみんな賛成だが、やっぱり心配だと思うものは、まず第一に、石炭をたけば、毎々申し上げますように、集じん装置が必要です。それから灰捨て場、これは体験がなければ石炭火力の灰捨て場なんかそんなのはと思うけれども、そんな簡単だったら、私はそういう人がおやりになっていただきたい。大変ですよ、これは。それから、地熱だって小容量ですけれども、これから石油火力だって原子力だって、あるいは水力だって揚水技術の導入でもうすでに百万キロオーダーの開発時代になっておる。大容量の石炭火力を果たして集じん、脱硫、そういう技術と設備ができるのかどうか。  それからもう一つは、非常に気楽に——石炭火力私は大賛成だが、灰捨て場も恐らく中央三社あたりではこれはお手上げになるんじゃないかと思うんですよ。それからサイトでこれは必ず建設反対が起きることは間違いない。石炭火力、あれをたいた場合、集じん、脱硫がどれほどの技術開発と設備ができるか。これで変わってくると思いますけれども、いま〇・何%の硫黄分を持った油をたくんだって、たとえば石川県の七尾なんかもにっちもさっちもいかないくらいになっているんですよ。ですから、そういうことを考えますと、果たして一億二百万トンの石炭を輸入をして、輸入そのものにも、港湾の整備から船、それから先方の輸出設備、こういうものを含めて問題があるんです。あるいはこれを石炭火力発電所でたくという点について、立地問題その他を含めて大変な問題があると思うんだが、これがすんなりいくとお考えかどうかを伺います。
  104. 児玉勝臣

    政府委員(児玉勝臣君) 石炭火力の増強ということにつきましては、通産省といたしましても、五十二年度の四百四十万キロワットの設備から、六十年度には九百八十万キロワットに拡大しようというふうに計画考えております。しかしながら、いま先生がおっしゃったとおり、まず量的な確保、海外開発というものが具体的にできるのかどうか。また、そういう地点をどういうところに求めるべきなのか。それから、そういう資源国との間の政府ベースの了解というものをどういうふうに取りつけるべきかという公的な話から、企業活動としてのいわゆる海外石炭開発の経済ベースでの長期供給保障というのをどのように確保するか。それもいま先生がおっしゃったように、輸出する港の問題もありますし、それからさらに、日本国内の問題になりますと立地の問題、一つは、やはりりっぱな港がないと石炭というのはなかなかできませんし、それには貯炭場、それから灰捨て場、それから公害対策のいろいろな設備ということで、特に脱硝設備が非常にむずかしい技術でございまして、ただいま電源開発会社の竹原の発電所においてフルスケールのものがこれから実験が行われるという段階でございます。  そういう意味で、どれをとりましてもなかなか非常にむずかしい問題か山積していることは間違いありませんけれども、しかしエネルギーの多角化、それから供給源の多様化という点からいきまして、どうしてもその難関を乗り越えなければならぬというふうに考えております。
  105. 中村利次

    ○中村利次君 これは三千万トン、四千万トン、五千万トンの出炭体制当時なんかは、全国的に石炭火力がありまして、いま審議官おっしゃった確かに貯炭も、私は先ほどは触れませんでしたけれども、これは自然発火でその対策にそれは大変だったんです。ですから、一千万キロ近くを石炭火力によって賄おう——私は決して反対じゃないんです。とにかくやっぱりエネルギー源の多様化をやらなければいけないんだが、果たしてそのことが、いままで申し上げたようなことで本当にできるのかと。ですから、そういうきわめて深刻な心配を含めて、エネルギーが足りなくなったら国民生活はめちゃくちゃになる。ところが、やっぱり一つ一つずっとチェックをしてみると、全部大丈夫だというものは一つもないということになりますから、これはひとつ輸入炭も大いにがんばって、それから石炭火力をつくる立地問題なんかでも、これはもう政府がやっぱり積極的姿勢で国民の合意を取りつけるという裏づけがないと、とてもとても一億二百万トン輸入体制、二千万トン出炭体制なんというのもかげろうみたいなものになってしまうと思います。御努力を願いたいと思うんです。  次のLNG、これはまた石炭以上に、相手国の問題、それからこれは液化をして運ばなければならない。液化工場、その技術、それから資金の裏づけ、それからこれは特殊な船で運ぶわけでありますから、その船腹、日本の受け入れ、パイプラインの設置等、相手国から国内の受け入れ態勢から——三千万トンということになっておりますか、私は、いまは何か順調のようではありますけれども、六十年促進ケースで果たして三千万トン、そういう条件整備等を含めて可能かどうか、非常に憂いがあるんです。時間がもうございませんから、ひとつ申しわけありません、簡単にお答えをいただきたいと思っております。
  106. 児玉勝臣

    政府委員(児玉勝臣君) LNG火力につきましても、五十二年度一千七十万キロワットございますけれども昭和六十年度には二千七百五十万キロワットと約倍近くのLNG火力を予定しております。  いま先生おっしゃいますように、LNGというのは、これ大消費地帯がバックにございませんとなかなか実現のしにくい問題もありますし、またそれの固定した設備が非常に金がかかるという点もございまして、いまおっしゃいましたように、決して安易にこの三千万トンが達成できるというふうには考えておりません。
  107. 中村利次

    ○中村利次君 時間がございませんので、ずっと全部「長期エネルギー需給暫定見通し」について一つ一つチェックをして——何回言っても同じてすが、やっぱり手品使ってエネルギーを出してくるわけじゃございませんから、したがって、果たして可能かどうか。そうなりますと、風力、潮力、太陽熱の利用から核融合、いろいろありますけれども、そんなのはもう本当にこの二十世紀に——風力だって潮力だって太陽熱だって核融合だって、二十一世紀でもいいですよ、何か二十一世紀の初めあたりまでに実用化すると言う人がいたら、私は神様みたいに尊敬してその人に師事いたしますけれども、そんなことはできないわけでありますから、そうなると、やっぱりだれが何と言おうと、当面原子力をエネルギーの主体に置く。代替エネルギー——石油にかわるものとしては軽水炉から高速増殖炉、CANDU炉の話からATRの話出ておりますけれども、そういうものを含めてやっぱり開発をしていかざるを得ない。これは大臣ひとつ、この原子力についてはかなりの攻撃がかかっています。本当に安全性について環境について心配があるんではないかというまじめな方たちから、私に言わせると、反体制闘争の一環としてこの原子力を取り上げて突き上げると、そういう人たちまでいる。これは具体的にですよ、この委員会でもそういうことがありましたが、日本の原子力発電を進めていくその裏には着実に核武装が進められておるんだというチラシを、原子力の地点で、これは鹿児島県の川内原子力のところで、私はそのビラを持って、これを知っていますかと言ったら、おれは関係ないとおっしゃったけれども、そういう反体制闘争の一環としてやられている方々もいらっしゃる。ですから、これは政府は仕分けをしてくれなきゃ困りますよね。仕分をしてきちっと主体性を持って原子力行政を進めていただかないと、日本国民生活は、これは何といったって行政府国民生活に責任を持っているわけでありますから、ひとつ期待します。原子力行政を誤りのないように、私はこういうことを申し上げますか、前提としては——原子力は人類に幸せをもたらすものである、断じてこれが人間の生命あるいは健康を冒してはならぬという前提の上ですからお願いします。大臣の決意を聞いておしまいにします。
  108. 金子岩三

    ○国務大臣(金子岩三君) 先ほど省エネルギー、これは通産の所管でございますが、全く同感でございます。国務大臣でございますから、大いにひとつ責任を感じております。  それから、後段の原子力の今後の平和利用についてでございますが、私が先ほどからいろいろ御答弁申し上げておりますのは、やはり安全性を確立することが大前提であるという考え方に立ってこの研究開発推進をやりたいと思うわけでございますけれども、中村先生の御意見は全く同感でございます。ただ、安全性の確立を私が強調しておることに多少私と意見がかみ合わないかもしれませんけど、やはり何といっても、いまのところわが国ではもっともっと何よりもひとつ安全性の確立を図ることに全力を注いで開発に臨んでいく、こういう考え方に立つべきだと思います。  それから、中村先生にいままで三十分、盛んに大変な論客ぶりを発揮されましたが、間もなく参議院の予算委員会の総括が始まりますから、できましたら、総理以下ぺらっと並んでおるところで一時間ばかりいまのとおりぜひひとつやっていただきたいと思います。大変啓蒙になると思います。
  109. 中村利次

    ○中村利次君 恐れ入ります、どうも。
  110. 秦豊

    ○秦豊君 金子長官御自身が言われたように、いまの中村先生の質問というか御意見というか、特に結論の部分が心強かったでしょう、あなたにとっては。私はそれ違うんだな。私は違った前提と違った結論で貫きます。しかし、きょうはあなた方を相手にして討論じゃなくて質問に徹したいと思っているんですよ。あなたも新任早々でかなりレクチュアを蓄積されただろうし、局長の皆さんもいらっしゃるから心楽しく質問をしますけれどもね。  最初に、まず、あなた方科技庁側がアメリカの原子力政策というものをどのように認識をしていらっしゃるだろうか、その辺を大きな前提としてぜひ承っておきたい、こう思うんです。  具体的なポイントとしましては、去年の春にカーター大統領が、使用済み燃料の再処理それからプルトニウムの利用、特にこの二つのポイントについては非常にナーバスな非常に厳格な核政策を発表したときに、日本の多くの受け取り方は、これは一種の核モラトリアムだとまで受け取った向きも少なくはなかったと思う。あれが一貫していれば日本の原子力行政なんというのは首根っこ押さえられて恐らくにっちもさっちもいかなかったんじゃないだろうかと私はそんたくするんだけれども、その後、アメリカ国務省の安保担当次官補のミスター・ナイ氏が、去年のたしか七月だと思いますが、ウラン協会の総会で演説をしましたね。ああいう職位の人が演説をするということは、何らかの意味でアメリカ政府の、つまり、カーター政権の、ホワイハウスの意向が反映していると見てもあながち間違いではないと思う。それで、カーター氏の核政策からナイ次官補のいわゆる昨年七月の三項目重点がありましたね。この一連の変化というのは、非常にかたい厳粛な姿勢からやや緩和された姿勢への転換だと私は思っているんだけれども、科技庁側はどういう認識でしょう。
  111. 山野正登

    政府委員(山野正登君) カーター大統領は就任早々に新しい原子力政策を発表しておられるわけでございまして、御指摘のとおり、商業的な再処理というものとプルトニウムのリサイクルを期限を定めず延期しようということとか、あるいは高速増殖炉の開発計画を変更しその商業化を延期しようといったふうなことを言っておられるわけでございます。  それから、昨年の夏にアメリカの当時国務省におられたナイ氏が確かにウラン協会で講演をしておられまして、その際に、この再処理というものは確かに正当な目的のため、つまり、平和利用のためには役立つものではあるか、一方、使用済み燃料を兵器として使用可能な物質に変える手段でもある。そういう危険も持っている。かつまた、軽水炉でこのプルトニウムをリサイクルして使う場合に、ほんのわずかな経済上あるいは燃料節約上の利益のために核拡散のリスクを大きくする、そういったふうな点もあるんだという指摘をしておりまして、私はナイ氏のこの講演というのは、基本的にはカーター大統領が就任直後に発表された新しい原子力政策という線からそれほどゆるんではいない、ほぼ同じ線をいっておられるというふうに認識しておるわけでございます。  ただ、これは先ほども話が出ましたように、あくまでも基本としましては、アメリカ国内政策——日本と違いましたアメリカエネルギー事情というものを背景にしたアメリカ国内政策でございまして、米国自身は同じような政策というものを関係国が同調的にとるということを期待しておるとは思いますけれども、しかし、これを強要する立場にはないと思うのでございます。そういう意味で、日本には当然のことながら日本エネルギー事情を背景にした原子力政策があるわけでございまして、これについても一方的にアメリカが否定をして先方の国内政策を強要するという立場にはないというふうに認識いたしております。
  112. 秦豊

    ○秦豊君 あなたと私ちょっと考え方が違うね、受け取り方が。あなたは基本線をずうっといっている。そうじゃなくて、いま日本の原子力市場マーケットとしてとらえた場合には、これはアメリカの資本とそれからヨーロッパの技術ないし資本、そういうものの網引きの真ん中にあるのが日本のマーケットですよ。カーター政権というのは非常に鋭いから、そういう意味では。また、ある意味では、コンツェルンの意向をよく政治的に代弁するから、そういった意味でシャープなんだけれども、だから、ヨーロッパの風向きを見ながら日本に対して余り締めつけ過ぎると反発、リアクションを恐れるという配慮は当然働いたと私は思う。しかし、その認識の差について討論したくない、時間ばかりもったいないから。  それで、その後次第に私は緩み始めたという認識があるものだから次につなぐんだけれども、カーター政権の原子力問題のブレーンの一人であるヘーベル——ゼロックスの役員をしていましたね、彼が昨年のたしか九月だと思いますけれども、INFCEの第四作業部会に対してアメリカ政府かなり膨大な政府提案を代弁しましたね。これはナイ氏の述べた路線よりもより具体的になっているのではないかと私は思うんだけれども、それは局長は把握していらっしゃいますな。
  113. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 米国がINFCEの場で述べております政策と申しますか主張と申しますのは、使用済み燃料を再処理することは核拡散の可能性が大きい。また経済的に見ても、再処理をするよりも軽水炉でワンススルーでウラン資源を利用して使用済み燃料を貯蔵する方が有利ではないか。さらにまた、大規模な再処理施設というものに対しては、いまの技術レベルではまだ保障措置ということがかなりむずかしいのではあるまいか、大体そういったふうなポイントを主張いたしておるわけでございまして、このINFCEの場と申しますのは各国がおのおの自分たちの論文、主張を持ち寄って討議をする場でございますから、そのまま政府の主張を代弁しておるというふうに即断はできないかもしれませんが、相当部分米政府の意向をそのまま代弁しておるというふうにとってもさしたる間違いはないというふうに考えております。
  114. 秦豊

    ○秦豊君 局長、あの中にあれがあったでしょう、使用済み核燃料については国際共同的な、つまりブロックごとの、地域ごとの貯蔵センターへ預託をして、そうしてプルトニウムを一種の国際管理下に置くという提案がたしか含まれていたと思うが、どうでしょうね。
  115. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 私の理解では、INFCEの場でまだそのようなことは正式に米側は提案していないと思いますが、米国がそのような構想を持っておるということは別のルートから承知いたしております。
  116. 秦豊

    ○秦豊君 だから、それはあなた方の情報の吸い上げが甘いからそうなるのであって、そうでなければ去年の十月にシュレンジャーエネルギー長官が使用済み核燃料貯蔵地域センターという計画を述べ、公表し、同時に日本に対しては共同管理国であってほしいという提案はいきなり唐突に生まれませんよ。段階を追っているんだから、カーター政権の核政策の変化というのは。日本をやっぱりパートナーにしたいんだから、ヨーロッパとの綱引きの中で。だから、そういう変化を次々に明らかにしながら、ついに昨年十月のシュレジンジャー提案になっていると私は思うんですよ。だから、これはあれですか、すでに日本政府側に対して共同管理国であってほしいというふうな正式提案はあったんですか。あるいはあったとすれば、日本政府はどういう回答を送ったのか、それを知りたい。
  117. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 使用済み燃料の貯蔵につきましては、実は二つお話がございまして、一つは一昨年十月の使用済み燃料の地域貯蔵センターの構想でございます。これは米国のエネルギー省が発表した構想でございますが、この中身と申しますのは、米国におきます原子力発電所の立地を促進することを主たる目的としまして、政府が使用済み燃料を引き取って、取り出し可能な状態で保管するということを骨子とした政策でございます。あわせてこの中で、外国の電力会社の使用済み燃料の引き取りといったふうなことも、これは核の不拡散政策ということに寄与するので、これもあわせ考えようといったふうなのがこの構想のあらましであったわけでございますが、これにつきまして米国の方からわが方に共同管理国になってくれといったふうな申し入ればまだ現在のところは行われておりません。  それから、これに類似したものとしまして、これは最近でございますけれども、米国が環太平洋貯蔵施設、いわゆるパシフィック・ベースンという構想を明らかにいたしております。これは先月の十三日から十五日まで行われました日米原子力協定の改定交渉の席上米側から話があったものでございまして、この構想の方は先ほど申し上げましたものと若干違いまして、太平洋沿岸諸国の利用に供するために、それら国々の使用済み燃料の暫定貯蔵を太平洋のしかるべき島に行ってはどうであろうかといったふうな構想でございまして、米側の先日の提案は——提案と申しますか、説明の趣旨と申しますのは、このような構想が成り立ち得るかいなか日本側にも検討してほしいというふうな趣旨でございました。
  118. 秦豊

    ○秦豊君 だから、恐らく一つ一つこう段階を踏んでいるわけですね、彼らは彼らなりに。恐らくミクロネシア諸島のどの部分かに貯蔵センターというのはかなりいまプランニング中であるというふうな観測の方が強くなっていますわね。その場合、いまあなたに聞いたって長官に聞いたって、いや、先々の話だから答弁になじみませんという答弁はあり得るんだけれども、どうせアメリカの意向としては日本を共同管理国にしたい、これはもう変わらないと思います。そういう提案があった場合にはその路線を踏襲するのか、つまり、うんと言うのかどうか。ここまで具体化されつつあると、その辺まで聞いておきたいんだが、いかがですか。
  119. 山野正登

    政府委員(山野正登君) ただいまこの種の問題、つまり平和利用と核不拡散の強化の両立する道ということにつきましては、これはINFCEの場で五十数カ国の関係国が集まりまして、いろいろ制度的なあるいは技術的なこの解決策というものを共同で探求しているさなかでございますので、いま御指摘のような問題も、単に日米間二国間の問題というにとどまりませんで、そういった多国間協議、努力の場でも検討さるべき問題だと思うわけでございます。このINFCEと申しますのは、いまのところ来年の二月には結論を出す予定になっておりますので、このINFCEの場でもいま御指摘のような使用済み燃料の再処理とかあるいは貯蔵といったふうな制度的、技術的問題というのは当然検討されるわけでございますから、その検討もまちましてあわせ考慮してまいりたいというふうに考えます。
  120. 秦豊

    ○秦豊君 INFCEは来年二月ですか、ぼくは今年初夏のころ五月じゃないかと思っていたんですが、二月ですね。  それからいまの質問の流れに関連しまして、先月の二十三日の読売の朝刊がかなり大きな行数、段数を割いて、「米が方針大転換 核再処理、プルトニウム利用 日・西独に認める」と、「わが国原子力関係筋語る」というふうなかなり大胆な記事があって、私がいまあなた方に聞いた幾つかのポイントをぼっと乗り越えて新たな活気を思わせるような報道だったもんだから早速関心を持ったんだけれども、あれはどの程度の、いま言った流れの中にあってはそう違和感を持たない動きですか。あなた方としてはこの報道の裏づけをある程度お持ちですか。
  121. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 先ほど申し上げましたように、INFCEの場と申しますのは、一般論として、いまの問題で言えば、再処理について申し上げれば、どのような技術を採用し、どのような制度、機構を採用するのが平和利用を進めながら不拡散強化につながるであろうかといったふうなことを探求する場でございまして、特定の国の特定な施設についての是非というものを議論する場ではないわけでございますので、そういう意味で米国かわが国の構想について是だ非だといったふうなコメントがあったといったふうな事実はもちろんないわけでございます。ただ、長期的に見ますれば、このINFCEの場におきます検討結果というのは、これは条約ではございませんから強制力はございませんけれども、しかし、五十数カ国の国々が集まっての協議の結果でございますから、当然わが国の将来の原子力開発利用の路線というものに大きな影響を与えるわけでございます。そういう意味で、結果としてわが国に不利なことにならないように、わが国の主張をこのINFCEの検討の結論の中に十二分に盛り込めるようにということでいろいろ努力をしておるということでございます。新聞そのものについては、そのような事実はいまのところは結論は出ておりません。
  122. 秦豊

    ○秦豊君 それから局長ね、去年は例の船積みの期限が来る、損害賠償は取られる、イギリス、フランス両国に対して電力会社はかなり気をもんだ例の燃料移送の問題がありますね、核燃料移送の問題。去年はああであった。まあすべり込みセーフのような状態で船は出ましたが、ことしは一体どうなるのか。またことしどうしても英仏両国に対して移送しなければならない核燃料は一体どれぐらいのトン数に達するのか、いまこう一連指摘した動きと、動きは動き、これはこれというふうに、やはりいざとなるとアメリカかなりそれを交渉のカードに使うだろうからうるさいと思いますよ。どういうふうな見通しですか。
  123. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 米国のわが国の使用済み燃料を海外に移送する際の許可条件と申しますか、いわゆるMB10の発給条件と申しますのは、そのケース・バイ・ケースにわが国の必要性を判断して認めていくというのがその方針でございまして、そういう意味で先生が御指摘のように、直前になっての同意といったふうなことが過去例になっておるわけでございます。ことし現在申請しておりますのが東京電力から英国のBNFLに輸送しますものが四十一トン、関西電力からフランスのCOGEMAに輸送しますものが十三・五トン、原子力発電株式会社から英国のBNFLに輸送しますものが五・三トン、これだけのものにつきまして現在申請を行っております。私どもは、わが国の事情というのは十分アメリカも承知しておるわけでございますし、必要性というものを十分に理解をして、この船積みのタイミングに間に合うように許可はしてくれるものというふうに考えております。
  124. 秦豊

    ○秦豊君 それが願わくば甘い見通しに終わらざらぬことをお祈りはしたいが、またもめますよ。  それで長官、ちょっと伺っておきたいんですが、日本の原子力政策というのは、ごく簡潔に表現すると自主開発ということが基本路線であり、足らざるは片やアメリカ、片やEC諸国から特に西独からというふうな、まあどこかの言葉じゃないが、全方位じゃないが、そのような中にあるのか、しかしやっぱり自主開発ということを余り標榜すると勘ぐられると、いまはじっと重心を落として、低い姿勢で力を蓄えて、ある時期にはかなぐり捨てて自立というふうな方向を翻然として目指すのか。つまり日本の原子力行政というのは、私も内閣委員会の設置法のときにかなり基本的な論争をしたことがあるけれども、それから一年半か二年たつが、一向にきっぱりはしていない。それで基礎研究が相変わらず密度が薄くて、上物を積み重ねたがるというふうな印象を、偏見であろうと私恐らく思いますが、ぬぐえないんですよ。長官は就任以来まだ日が浅いけれども日本の原子力開発の方向性についてどういうふうに考えていらっしゃるのか、ちょっと参考のために伺っておきましょう。
  125. 金子岩三

    ○国務大臣(金子岩三君) わが国の原子力基本法にもうたわれておりますとおり、原子力の開発利用は当初から自主開発が基本路線でございますから、その路線に従って研究開発を進めておるのがわが国の原子力政策であります。
  126. 秦豊

    ○秦豊君 あなたからそう聞けば、何か非常にめりはりがきいたような答弁とも思いたいが、実際は孫悟空的開発というんですよ。あなたは胸を張って——余りお張りになる人じゃないけれども、姿勢はやわらかい、低くていらっしゃるんだけれども、やっぱりアメリカの手の上を踊り続けるという宿命が日本の原子力行政にある。自主開発ですと言ったって、それはノーハウすべての問題を含めて、私は孫悟空的開発であると思うんですよ。ところが、長官がどういうふうに認識していらっしゃるかは別として、対米協調、ECからもほどほどにというのは当面であって、やはり行く行くは脱孫悟空というふうな方向を目指そうではないかというのが、私自身の観測じゃなくて、たとえば霞が関あるいは財界あるいは一部の科学的な分野のオピニオンリーダー、わりとあるんですよ、あながち無視できないんですよ。だから、戦術的にいまは回り道しているんであって、本来は金子長官の言われたように、もとよりこれ自主開発ですと、いまに見ておれとは言わないと思いますが、そういうふうな、だから私はそういう認識で実はいるわけなんです。あなたは簡単に答えられたけれども。だから、東海村の第二再処理工場というのは、では輝かしい路線を模索していらっしゃるあなた方の自主開発のシンボルというふうに私はなかなかとれない。何かあれば、さっきの核燃料の移送問題ではないが、首根っこはすぐ絞まるというのが日本の原子力行政ないしは置かれているすべての環境の現状ではないかと私は思うんですよ。  そこで、ちょっと伺っておきたいんだけれども、さっき委員部の方に伺ったら、同僚議員の方がちらっと御質問されたようですが、カナダの原子炉、CANDU炉ですね、中村先生もちょっと言われたが、あれを一体原子力委員会の方でどこまで議論が煮詰まっており、何が最大の問題点として整理され、したがって断固導入反対というふうな論調なのか、傾向なのか、それをまず伺いたい。
  127. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 原子力委員会でただいま新型動力炉開発懇談会というものを組織いたしまして、その中で御指摘の問題を審議しておるわけでございます。  これはどういう観点から審議を進めておるかと申しますと、先ほど大臣が御答弁いたしましたように、わが国の原子力開発の基本というのは、確かに当初は原子力平和利用というものが先発国よりもおくれて出発しましたから、軽水炉は米国等から導入をいたしましたけれども、それに引き続きましてはぜひ自主技術で新しい炉をつくっていこうということで、動燃において高速増殖炉というものの自主開発をやっておるわけです。これはウラン資源というものをほとんどすべて海外に依存しておりますわが国として、できるだけウラン資源の有効活用を図ろうということでこの高速増殖炉の開発を急いでおるわけでございますが、この新しい高速増殖炉の開発というのは末踏の技術を使うわけでございますから、そう当初予定したとおりにできるという保証はないわけでございます。そこで、同じくこのバックアップとしまして自主技術で新型転換炉というものも開発いたしておりまして、こういったふうなものを従来原子力委員会としてはわが国の将来の炉型のあり方として、基本炉型戦略として考えておったわけでございます。ところが昭和五十年に電源開発株式会社におきまして、カナダのCANDU炉に非常に関心がある、これを調査してみたいということで、それ以来調査を続けてこられまして、昨年の夏に至りまして通産省の方を通じまして、この導入についてぜひ検討してほしいという話がございましたので、そこでかねて原子力委員会としましても、将来新型転換炉の実用化をどうすべきかといったふうなことにあわせて、このCANDU炉というものの扱いというものを検討する予定でこの懇談会を組織しておったわけでございますが、さらに昨年夏のその申し出に応じまして、今年度末を目標としましてこのCANDU炉についての扱いというものの結論を出そうと、いま審議を急いでいるわけです。  審議のポイントと申しますのは、核然料サイクル上、そういったふうなものを入れることによってわが国にいかなるメリットがあるか、あるいはデメリットがあるか、またそもそもそのようなものが日本に適合するように改造した場合に、技術的、経済的に実現可能かどうかといった、そういったいろいろな点から現在検討を進めておるわけでございまして、今年度末にこの懇談会が結論を出しますれば、その結論を踏まえて原子力委員会が最終的な結論を出すということになろうかと考えております。
  128. 秦豊

    ○秦豊君 あなたはお立場が、いま特に時期も微妙だし……、けれども、清成さんは導入絶対反対、電源は、両角さんは導入絶対実現と。絶対という言葉を余り使うと、いざだめになった場合、どっちかが痛みが大きい、払わねばならぬ犠牲が大きい。詰め腹とかね、やめると言ったり、ややそういう場面になりかねない。だから、あくまでクールに、特に長官におかれては、これは両角・MITI連合対科技庁の遺恨試合なんて私は思いませんから、あおるつもりもない。ただ科技特の一メンバーとして、核エネルギー政策、総合的なエネルギー政策の中の位置づけ、CANDU炉と軽水炉、クールに断ち切って、あくまで実利的、理論的、科学的な議論に終始してもらいたいが、いま局長はそう言われたが、恐らくそんなきっぱりした結論が出るような雲行きじゃありませんよ。へたしたらかつての「むつ」の結論点出ますよ。ある時期の、某年某月某日の。玉虫だ、玉虫の御厨子だ、どこから見ても光によってお月様が違うというような感じの、そんな感じになりますよ。そんなきっぱりした結論が出るならこんなにもめませんよ。そんな簡単な問題じゃないと私は思うので、一体年度内に結論が出るなんてあなたは本当に思っていらっしゃるのか。とりあえず、きょうは秦豊に対してそのように答弁しておこうという、その程度なのか、そんな甘っちょろくありませんよ。重ねて……。
  129. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 実はこの新型動力炉開発懇談会を設置いたしましたのは昨年の四月でございますが、昨年の五月から審議を始めまして、そのときの目標が五十四年の三月ということになっておったわけでございます。私はこの結論の中身というものが載然とした、きっぱりしたものになるのかあるいはそうでないのかということを予断しておるわけではないわけでございまして、この懇談会としては当初予定された審議のスケジュールに従って今年度末に結論を出すように最大限の努力をしておる。恐らく私の見通しでは、年度末に間に合わなくともそれほどおくれることはないであろうというふうに考えておるわけでございます。  それから、なお一言つけ加えさせていただきますが、やはりいろいろな方が個人的にいろいろなコメントはあろうかと思いますけれども、原子力委員会としては、やはり委員会としての結論ということでございますので、いまの時点ではいかなる結論もまだないというのが現状でございますので、その点は御理解いただきたいと思います。
  130. 秦豊

    ○秦豊君 それは担当局長の答弁としてはまさに模範的な答弁ですよ。しかあるべきでしょう。しかし、ぼくははなはだそれはおかしな答弁、お立場お察ししますが。やはりいまの原子力委員会作業部会の空気というのは、もう導入はあり得ないというような空気であると私は看取しているわけです。だからこれを押し切るというようなことがあれば大きな政治の力が働く、政治の力が働けば科学が押し切られる。向こうも科学と言っているから科学に二つおありになるかもしれないが、そうなるとやはり出血というふうなことになる。電力業界は横を向いてますしね、何となく。両角さんはそう腰を低める人じゃないようだし。そうなると恐らくぼくが言ったようにきわめて遺憾な事態になる。科技庁長官の金子さんは国務大臣としてもやはり閣議でも物を言わねばならぬというふうな時期がやがて訪れましょう。  そこで、あと何分かのようですからちょっとほかのことを伺っておきたいんですが、いまの国会で衆議院の方を通ってきた例の原子炉の規制に関する法律の一部改正、あれがこちらの方へ回ってくる。回ってくると具体的には民間の再処理というふうなことがいきなりにわかに現実化するわけですね。ぼくはこの問題ずっと関心を持ち続けていますから、昨年の六月二十七日、福田総理に対して質問主意書を提出した。その中で、一体どうなるんだという答弁の中で、具体的には、電力各社を中心とした民間関連業界が一体となって再処理を目的とする新会社をつくる、これが骨子ですという答えがあり、法が成立後速やかに手続に入る、この会社は土地選定等はもちろんであるけれども、再処理工場の建設に向けて基本設計の検討を進め、そして、その検討の終了後指定の申請が行われると、こういう、これまた型どおりの答弁をちょうだいしております。それからかなり時間かたっておりますのて、一体——しかも法の成立は目睫の間にあるとすれば、三菱グループも色めき立っておるようだし、瀬戸内海の島が手ごろだなんて言っている人もいるようだし、それは観測は自由だが、かなり民間の動きは急なんですよ。科技庁としては、原子力委員会としてはどういうふうに民間の動きを把握していらっしゃるか、これも参考のためにぜひ聞きたい。
  131. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 産業界におけるこの第二再処理工場の建設の準備というのは昭和四十九年の夏に始まったわけでございますが、当時、電力業界が濃縮・再処理準備会というものを組織しまして、この濃縮・再処理準備会が中心になりまして、いま御指摘のサイトについての調査とかあるいは技術についての調査といったふうなものを進めておられたわけでございますが、昨年の四月にこの濃縮・再処理準備会というものを発展的に解消されまして新しく再処理会社設立事務室というものをスタートさせたわけでございます。これは電気事業連合会の中につくられたのでございますが、この再処理会社設立事務室が原子炉等規制法の改正後速やかに会社を設立するための準備作業をするという目的でつくられたものでございまして、いまおっしゃいますように、ただいま衆議院を上がりました法案が国会の御承認をいただければ直ちにこの再処理会社設立事務室で行いました準備に基づいて新再処理会社をつくる、あるいは新再処理準備会社をつくるという運びになるということだと理解しております。
  132. 秦豊

    ○秦豊君 これは電力会社だけではちょっと手に負えない面もありましてね、正直言って失礼だけれども。やはりウエスチングハウスとかあるいは三菱グループ、グループね一社じゃなくて、こういう関与があり得るんじゃありませんか。どうでしょう。
  133. 山野正登

    政府委員(山野正登君) ただいま私が電力会社が中心となったと申しましたのは、この再処理会社の設立事務室が電気事業連合会の中に設けられたという趣旨で申し上げたわけでございまして、新しくできます再処理会社あるいは再処理準備会社というものは、御指摘のように電力会社に加えて化学工業界、メーカーといったふうな関連の会社というのは当然参加しなければならないというふうに考えております。
  134. 秦豊

    ○秦豊君 これはまた、だんだん現実化してくればこの委員会なんかでもかなり論議しなきゃならぬ問題が必ず出てきますから、そのときに譲りたいと思います。  長官は、もう東海村ごらんになりましたね。まだですか。近くに行かれますか。ぜひごらんになっていただきたいんですがね。答弁要りませんから……。  あそこをごらんになると、やっぱり異様な風景かあるでしょう、ドラムかんコンクリート詰めというふうな低レベルの廃棄物が。ちゃんとこの前の委員会で拝見しましたが。総計は御報告はなかったが、あのエリアの中に十数万本じゃないかと一般的には言われている。正確かどうか知りませんよ。そうすると、後何年もすれば八十数万本とか必ずそうなる。その安全性、これまた必ず問題になる。いや低レベルです、問題はありません——こんな簡単な問題ではない。  そこで、今度の国会八十七では放射性廃棄物の海洋投棄に関する例のロンドン条約のような、類する法案がだんだんこちらへも回ってくると思います。そこで、海洋投棄規制条約——ロンドン条約が日本では調印じゃなくて批准の段階を迎えますから、今度仮に批准されるということになると海洋投棄がいよいよ房総沖の例の深い海溝に向かって行われる。いま、たしか小規模な実験を実施していらっしゃると思いますけれども、実際に本格投棄か始まるまでには——太平洋で日本か初めて海洋投棄を本格的にする国になるのではないかということですから、いやしくも——これが金子長官の時代かどうかはわかりません、そんな簡単なものじゃなくて、もっと年月の積み重ねが必要でしょう、検証が、実証が。と思いますけれども、実際に本格投棄を始めるまでにはどれぐらいの期間、一体どんなテストを積み重ね安全性の確認に至るのか、それはぜひ聞いておきたいですね。
  135. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) お尋ねの海洋投棄の考え方について、現在の計画並びにその進行状況につきまして御報告いたします。  この廃棄物の対策につきましては、昭和五十一年に原子力委員会がその基本的な考え方を出しておりますが、そこで低レベルの放射性廃棄物につきましては、その発生量の増大に対処するために海洋処分とそれから陸地処分、これをあわせ行うことを決定しておるわけでございます。で、お尋ねの海洋処分につきましては、その決定の前後におきましていろいろな固化物の研究あるいは海洋の事前調査等が進められまして、事前の研究につきましてはほぼ終了しておる段階でございます。この固化物につきまして、数千メートルの海洋に投棄してもその固化物が影響を受けないというような試験も含めまして完了しておるところでございます。このような試験研究の成果を踏まえまして、科学技術庁におきまして専門家を集めまして、海洋処分をしたときの環境に与える影響を評価するための安全評価を実施して、その作業も終了しておる段階でございます。これを、現在、安全委員会に放射性廃棄物関係の専門部会がございますので、そこで再度ダブルチェックをしておるというのがその段階でございます。  一方、海洋投棄を進めるに当たりましては、私ども考え方としては、できるだけ早く試験的な海洋処分を実施いたしまして、そこで投棄後の安全も確認した上で、六十年代の早いころにぜひ本格的な海洋処分を進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。これを進める上におきましては、当然水産界の御了承を得ることがきわめて重要なことでございますので、まず、試験的な海洋処分につきまして進めさしていただきたいということで、いま水産界と話し合いに入りつつある段階でございます。  一方、国際的な関係からいきますと、一昨年度にOECDの下部機構にございますNEA、ここに——この海洋処分をいたしますときに、御承知のように国際的な海洋に投棄するわけでございますので、国際的な監視機構を設けまして、その監視のもとにやるべきであるということで、すでに監視機構がつくられております。その監視機構に私どもも入りまして、その監督のもとに安全評価を受け、実際にNEAの専門家が立ち会いまして投棄をしていくというようなことで進めたいと考えておりまして、現在そのNEAの監視機構に参画することにつきまして、外務省を通じまして手続を進めるべく相談をしておる段階でございます。  大体、以上のような進行状態に相なっております。
  136. 秦豊

    ○秦豊君 委員長、いまから質問をして答弁をいただきますと五時十三分までですからもう三十秒しかないんです。それで、もし委員長並びに各党の皆さんのお許しをいただければ、小さな質問を二つだけして、答弁が当然制限時間を超えてあちら行っちゃいますが、もしお許しをいただければ一、二分向こうへ延伸をお認めいただけるでしょうか。小さい質問をいたします。
  137. 塩出啓典

    委員長塩出啓典君) はい、どうぞ。
  138. 秦豊

    ○秦豊君 金子長官のこれなんですけれども、これの四ページ、例の宇宙開発事業団の種子島から打ち上げた静止衛星のこと。恐らく原因が電気系統ないし電池そのものじゃないかというふうなことを一部の専門家は言います。この所信表明にある、原因というのはもう突きとめられたのかどうかが一つ。それから、繰り返さないために、やはりマスコミのからかい半分の報道じゃないと思うんですが、心配しているからああいう見出しになるんで、「幾十億円の無駄使い」とか、「大空に消えた幾十億円」というのは決してやゆ的ではないと思う。かみしめねばならぬと思います。繰り返したくないために、繰り返さないための技術的なチェックポイントは何かということが一つ。  それから六ページに、あなた方がなすっている短距離離着陸機——STOLの実験機の製作着手というのがあるんですが、これは私の知る限りC1改造型がベースになってるんだが、アメリカのボーイングでもかなりつぎ込みましてね、それでさんざんやった、入念に。ついに、どうも実用化のめどと結びつかないんで、たな上げになってるんですよ。ところが、あなた方は非常に熱心にやっていらっしゃる。そのことを悪いと言っていません。狭い日本、わかります。わかりますがね、五十七年度から第一号機をつくるというふうな、一体実用化とどういうふうに結びつけて策定をし、仕事を進めていらっしゃるのか、その辺を伺っておきたいと思います。  以上です。
  139. 園山重道

    政府委員(園山重道君) お答えいたします。  まず、宇宙開発事業団が打ち上げました、まあニックネーム「あやめ」とつけましたけれども、これの問題でございますけれども、御指摘のように、二月六日に打ち上げましたが、二月九日に電波が全部とまりまして、結局は失敗に終わっておるということでございます。それで、その原因につきましては、現在、宇宙開発委員会にございます専門家の部会におきまして、事業団から提出した資料、データ等をもとに検討が行われております。したがいまして、まだ完全な結論は出ておりませんが、宇宙開発事業団専門家の大体のいまの見解では、ロケットの三段目と衛星を切り離しました後で、三段目が衛星に追突したというのがきっかけではないかということになっております。その原因等につきましてさらにいま詰めておるところでございます。  今後こういったことを繰り返さないための対策ということでございますが、御指摘のように十分検討しなければいかぬ問題でございまして、大臣からもその辺について厳しい御指示をいただいておりますので、まず完全に原因を究明いたしまして、これに対する対策を十分に立てまして、地上での必要な実験等行いました上で、確信を持てました段階で、これはもともと予備機も用意してございますのでその打ち上げを行いたい、こう考えてるところでございます。  それから、第二のSTOL機の御質問でございますけれども、私どもも、アメリカにおきまして空軍あるいはNASAが実験機をつくったということを承知しております。ただまあ、私どもはいろいろそれぞれ問題はあったようには聞きますけれども技術的な問題でどうしてもだめだということよりも、むしろ、アメリカにおきましては、いろいろ環境問題等はございますけれども、根本的にまだ飛行場というものがそれほど制約されておりませんので、この短距離離着陸機に対する開発の意欲、必然性というものがそれほど、何と申しますか、煮詰まっていないと。で、日本におきましては御承知のように非常に空港の問題、騒音問題等が大きな問題でございますので、何とかこれを実現したいということでございます。で、私どもは、いま航空宇宙技術研究所におきましては、まず実験機をつくる必要がある。で、従来日本ではいろいろ開発経験ございますが、エンジン、機体ともにみずからやったというものは、ジェット機につきましてはないわけでございますので、いきなり実用機開発ではなくて、実験機からやっていきたいということで、実験機の完成を五十七年度と、それからの飛行実験等を行いまして、実用機開発——これはまあ私ともの所管ではありませんけれども、六十年代初期にはこの実用機開発に手がつくように、何とかこの技術確立をしたいということで考えておるところでございます。
  140. 塩出啓典

    委員長塩出啓典君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。    午後五時十七分散会