○立木洋君 わかりました。それはやっぱり私は、
中島さん、
答弁における詭弁だと思うんですよ。
池田さんは明確に
西村条約
局長の言っておったのは間違いだったと。あのときの
政府の責任ある立場にある条約
局長が述べたんですから、条約
局長というのはどういう権限を持っているかあなた御存じでしょう、自分自身が条約
局長なんだから。条約
局長が述べた、これが間違いだったと池田総理大臣が否定されたんですよ。これは明確に見解を変えたということなんですよ。それを部分的な修正、部分的な修正と言うんだったら、池田さんがそのとき部分的な修正だとおっしゃればよかった。そうじゃないんです。
そして、その後の国際的な
措置についてはあなたは言わなかった。一九五五年から五六年にかけてフランスだとかイギリスに対して、日本のいわゆる放棄した千島列島の問題について、
国後、択捉が含まれていないんではないかということについて、あなた方の御意見を聞きたいといって照会されましたわね。その照会された結果、どうなっていますか。――それはいま
資料がなかったら、後で
資料をいただければ結構ですが、私の方で聞いたところでは、いわゆる
国後、択捉が放棄した千島列島には含まれていませんという
趣旨の同意ある回答は得られなかったものだというふうに私は考えております。ただ、日本の固有の領土であるという点についての同意は得られております。これはつまりサンフランシスコ条約二条(C)項で放棄した千島列島に
国後、択捉が含まれていないということではなく、確かに日本の
政府がおっしゃるとおり
国後、択捉というのは固有の領土でございますということである。サンフランシスコ条約二条(C)項で放棄した千島列島の範囲を明確に日本
政府に同意したものではなかったということは、これは明らかであります。後で
資料をいただければ結構です。
それで私はもう時間があれですから、最後に大臣にお尋ねしたいんですが、園田さん、この国会でサンフランシスコ条約の二条(C)項で放棄されたとき、これは
国後、択捉は含まれていませんということが明言されないで、含まれていますということで批准したんですよ。それで発効したんですよ、ここは。それは国会に対して、
国民に対して、あなた方日本の
政府として述べられた態度はそういう態度だったんです。ところが、後になって、これはいま言われたような、いわゆる部分的な不十分さがあったから変えました、明確にしました。明確にしたんじゃないんですよ、総理大臣が責任を持って間違っておったということを言われたんだから。そうすると解釈を変えられた。解釈を変えたならば、これに対して国際的な
措置をとらなければならない。ところが、
措置が十分にとられていない、同意が得られてないんですよ。いまそういう状態にある
状況の中で、いま
国後、択捉は日本の固有の領土だと、これは確かに固有の領土です。しかし、日本
政府としては、これを放棄したんですから、これは
審議の経過から見て明確なんですよ、一点の誤りもない。それを放棄しておきながら、その問題で
国後、択捉――日本
政府は一切の権利、権原を放棄しますといった、この
国後、択捉を含む全千島列島に関して述べるという立場では、本当に国際法上、それから諸外国に対して十分な説得力を持つ外交姿勢に立ち得るかどうか。
私たちは共産党としても本当に全千島が日本に返ってほしいんですよ。ああいうふうな戦後の領土不拡大の原則に反するような状態がいつまでも続くということは、これは日本民族の要求だけではなくて、戦後処理の不当な
状況を改めていく、そして
日ソ関係を真に友好的な
関係の基礎の上に確立するということを私たちは本当に願っているんです。願っておるからこそ、日本
政府は本当に国際的にも説得力のある立場に立脚をしてやるべきではないか。そうするならばこのサンフランシスコ条約二条(C)項で千島を放棄したということに関しては、この条項をわれわれは廃棄しますということを
関係諸国に通告をして、そして日本が堂々と国際的にも、その返還の国際法上も主張できる立場をいまこそ私は確立すべきではないか。
この点に関しては、かつて岡崎外務大臣がこの問題の
答弁の中で述べられています。条約というのは――どういう表現を使われたか正確な記憶はありませんけれども、ついては永久不変のものではありません、これは変える場合もあるでしょう、しかし、いま結んで、すぐ変えるというのは、これはいかがなものでしょうかというふうな
趣旨のことを述べているんですよ。いままで二十数年間やってきた
状況の中で
解決されていないんです、現実に。これからどれだけかかるかわからない。
だから、私たちは、本当にあの歯舞、色丹、これはもう日本の国有の領土で北海道の一部である。そして明確にこれは放棄した千島列島には含まれていないんですから。そして一たん
ソ連自身もこれについては返還しますという合意もあるわけです、返しますという。そしてその後
ソ連側が態度を変えたのは、そこで
軍事基地をつくられたら困りますとかいって変えたわけですね。だけど、その後、重光さんにしたって、
政府関係者は歯舞、色丹が日本に返ってきたって絶対にそこに
軍事基地をつくるようなことはいたしません、アメリカからそういう要求があったってわれわれはそういう要望を受け入れるものではありません、こう言っているんですから、ですから、この歯舞、色丹は私は即刻平和条約を結ぶ以前にでも
ソ連に堂々と交渉して歯舞、色丹を返せということをやる根拠は十分にある。
そうして千島列島全体に関しては、日本
政府が先ほど申し上げたような二条(C)項を破棄して、そうして堂々と国際法的な立場もとって、そうして説得力のある外交交渉を
展開すれば、これは国際
世論から大きな私は支持を受ける
内容になり得るだろうと思うんですよ。その点に関して、最後に、まだあとの個々の部分は宮澤さんとそれから
中島さんにまだお尋ねする時間がありますから、この後でお尋ねをしますから、この点に関しての大臣の御意見、今後考えていただける余地が全くないのか、そのことで最後に大臣の所見を伺って、私は大臣についての質問を終わりたいと思います。