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政府委員(向井清君) ただいまの御
質問にありました
ように、五十三年六月一日から
船員雇用促進センター、御審議願っております船特法の指定機関としての
雇用促進センターが業務を開始したわけでございまして、センターの業務といたしましては、
船員雇用対策の一環といたしまして、外国船に
日本人
船員、これは離職
船員、
雇用船員両方でございますが、乗り組ませまして、これらの船舶におきますところの
日本人の
船員の職域を拡大していくという新しい事業でございます。また、その乗り組みに際しましては必要な
訓練がございますので、それを施すということを事業内容といたしておるわけでございます。
それで、お尋ねの五十三年度事業計画とその実績との
関連等でございますが、五十三年度の事業計画といたしましては、大ざっぱに申しまして、
雇用促進事業、すなわち外国船に
日本人
船員を乗せるという数の目標の数でございます。おおむね二千人ということを予定しておったわけでございますが、残念ながら、後ほど申し上げます
ような理由によりまして実績が余りふるいませんので、外国船二十二隻に対しまして、三百三十二人を乗せたというのが五十三年度中、すなわち本年の三月末までの実績でございます。この間、離職
船員がこのセンターに登録いたしました数が約千八百名ということになっております。この人たちを対象にいたしまして、極力努力いたしましたが、先ほど申しました
ような三百三十二名、そのうちの離職
船員が三百十六名でございますが、その
ような実績にとどまったということでございます。
それから、伴いますところの技能
訓練事業でございますが、これはおおむね千四百人、まあ離職
船員七百人、
雇用船員七百人という、合わせて千四百人を目標といたしまして海事英語、それから部員の船内
作業のいろいろな研修、それからタンカーには特殊な技能が要りますので、タンカー研修等を実施いたしまして、これの受講実績は五十三年度末までで六百八十三名、うち離職
船員三百二十三名ということになってございます。内訳を申しますと、海事英語が二百七十八名、部員研修三百三十名、タンカー研修七十五名という
ような数字でございます。
それから、その他いろいろな予算
措置に基づきますところの助成金の支給等があるわけでございますが、総じて申し上げまして、実績がふるわなかった理由、御指摘があったわけでございますけれ
ども、いろいろ考えてみまするに、やはり一つはセンターの発足が多少ずれ込んで六月一日でございます。それから、実際事業を開始して軌道に乗りましたのが、やはりもう秋もかなり遅くなってからということでございまして、やはりこれは外国相手の仕事でございますので、幹部職員以下、まあ世界じゅういろいろ走り回ったりいたしまして、PRに努めるというところから始めました結果、軌道に乗ったのが大分遅くになってしまったというのが一つのまあ
原因ではないかと思います。
それから、最も大きな
原因として考えられますのは、やはりその為替ベースの話でございまして、御承知の
ように、この法律ができました当時と実際センターがこの業務を開始いたしました時期と比べてみますと、円高が非常に著しく高進いたしました。約三割以上も上がってしまったという
ようなことがございまして、しかもその変動のスピードは速いものでございますから、私
ども聞いておっても気の毒に存じたぐらいでございまして、せっかく外国を走り回りまして外国船主との間に成約ができかけると途端にまた円が上がってしまい、御破算になるという
ようなことを十数件繰り返した
ように聞いております。そういう
ような非常に思わざる客観情勢の悪化がございましたという点が、やはり大きな
原因ではなかったかと思います。
それからやはり一番基本的な問題といたしましては、こういう
ような外国船への
船員の配乗派遣という
ようなものは、まあこういう事業としては初めての試みでございまして、当然労働側の協力も得なければいかぬ、船主側の体制も
整備せにゃいかぬ、役所側の指導というものをいろいろいたさにゃいかぬという、いろいろな問題がございまして、体制づくり、仕事を軌道に乗せる、外国との連携をとるという、すべての面にわたって非常にむずかしい問題があったということでございます。最近に至りまして、幸いにして通貨情勢も落ちついてまいりましたし、かなりPRも浸透をいたしてきたということでございますので、五十四年度におきましては御承知かと思いますけれ
ども、ロンドンとニューヨークにおける海外駐在員の配置ということも認められましたので、これらをてこといたしまして、いよいよ体制固めを行い軌道に乗せてまいりたいというふうに考えている
段階でございます。