○
国務大臣(
森山欽司君) ああそうですか、そうすると、これは計算の方法の差ですかね、四十五年は二五%というふうに私
どもは聞いておるが
——一年前ですか。それでこの国際力の
低下というと、これはどこにあるかと申しますれば、いろいろ
原因があると思いますが、最近は五〇%というところまで落ちてきたわけでございます。何といってもこの
運航コストが非常に高いということであろうと、こういうふうに思うのであります。
運航コストは大きく分ければ
資本費、すなわち
船価の方と
船員費と大きく二つに分けますれば、
船価の方は、これは
世界有数の造船国である
わが国において、労使の非常な努力によって今日ヨーロッパ
——ヨーロッパといっても東ヨーロッパを除きますが、アメリカの助成した後の
船価と助成しない
日本の
船価とほぼタイぐらいのところに現在いっておるわけであります。それに対してこのたびの
利子補給によって
船価の
低減を図る。
利子補給比率が二・五ないし三・五という、これによりまして
船価に対しては一二からまあ一四ぐらい、一四%ぐらいかもしれません。それによって
資本費の
低減を図ってこの
船員費の
高騰部分を少しでも減らしていこうと、
船員費は先ほど午前中に内藤
委員の御
質疑にお答えしましたが、それは基本給の場合だけでありまして、これに手当がつきますし、雇用形態は終身雇用制とそういう終身雇用制をとらない国との差というものもあるわけでございますし、そういう予備員率と申しますかね、そういう点をやりますと
日本の
船員費というのはその倍ぐらい以上の差になるんじゃないでしょうか。そういう
船員費を
船価を低めることによって穴埋めをひとつ一方においてしながら、できるだけ
船員費を低くするための、先ほど来いろいろ御論議があったようなやり方でこの
船員費の
低下を図って、そして
国際競争力をつけていこう。もしそういうことをやらなければ、この自由経済を主とする
わが国の
海運企業は、
日本船でやっておったら国際競争から脱落するわけでありますから、したがってどうしても
外国用船に依存する。したがって
外国用船の依存度が高くなって、
日本船員の職場がますます狭められるという結果になってまいるわけでありますから、そういう点を考えまして、しかも、そういうことでありますから、
日本船をつくる意欲というのが非常に乏しくなっておると、そういう実情を考えまして、そのまま推移した場合は、
わが国の
外航海運はこれまで
中核としてきた
日本船の
維持確保は困難となって、貿易物資の安定を確保する上で憂慮すべき事態に当面すると。
まあ、どれぐらい
日本船が占めたらいいかということでありますが、
日本企業の使う商船隊のやはり五割ぐらいは常識的に、少なくも半分は
日本船でやりたいというふうに
現状をわれわれは考える。
日本海運企業が使うところの船が大
部分外国用船というようなことでは、どうも
日本海運というもののまあその名前から申しましても、しかも先ほど来申しました貿易物資の
輸送の重要性から考えましても、これはそういういままでのような趨勢でほうっておくわけにいかないということで、一時中断しておりました
利子補給をこの際
復活さして、そして二・五ないし三・五という
利子補給の
比率は、当初率直に申しますと二%
程度の
利子補給比率で、それは
わが国のこの種
政策では前例のないような
利子補給比率になるわけでありますけれ
ども、その
程度のことで
日本海運を力づけてやっていこうと当初考えておりましたが、いろいろ財政事情等もありまして、二・五ないし三・五、これでも他の産業部門においてこれだけの
利子補給をやっておるところはほとんどないと言ってもいいようなわけでありますから、そういう点でこのたびの
利子補給の法律を提案いたしまして、皆様の御賛同を得て
日本海運の真の振興を図ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
いずれにいたしましても、
国際競争力がある
日本船の
建造体制を改善強化するというのが今回の法律の目的でございまして、先ほど来
お話しの、これに加えて低開発国の船とか、あるいはソ連初め東ヨーロッパの船の問題等もございまして、これに対してIMCOの定期船同盟条約を批准し、これをいかにしてまた国内法体系をつくるかという問題もございますから、先ほど来御論議の点につきましては、この新しい条約を
わが国が取り入れてまいります際の懸案事項の
一つといたしまして対策を講じてまいりたいと。
当面は、とにかくこのままほうっておいたら、
日本商船隊と口では言いますけ
ども、いま五割をちょっと割って四九%ぐらいになっているんじゃないかと思いますが、
外国用船の
比率がますます
増加してくると、そういうことのないようにという歯どめで今回の法律を出したわけです。しかし三千三百万トンの
わが国の
日本商船隊の中で三年間に三百万トンの
計画造船、その中で二百十万トンの
利子補給というようなことで果たして足りるかどうかということはいろいろ問題があろうかと思います。私
どもといたしましては、いろんなむずかしい条件はありますが、少なくもこれらの計画は消化して、さらに従来の惰性をこの辺で食いとめるように歯どめをかけるべく努力をしたいと、そういうところが
現状精いっぱいのところであります。しかし、これだけで解決するわけではございませんので、やはりこれが本当の成果を上げてまいりますためには、
海運企業自身が非常にむずかしい
状態にあるということを十分考えて、しかもこれは単に経営者の立場ばかりでなく、労働者の側においても労使一体となってこの
危機を乗り切るため、まさに耐えがたきを忍んでこの
危機を乗り切る、その気構えというものがなければ、なかなか
日本の
海運業というものの将来は容易ならざるものであるというふうに率直に考えておるわけであります。
まあそういうつもりでやっておりますれば、多少の好材料はありますからね。まあ円も、やや円安の方向に向かっておるようでありますし、景気もやや持ち直しつつあるようでもありますし、そうなると、これ何といいますか……