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政府委員(
真島健君) 戦後、現在までとられてきた施策というお尋ねでございます。
戦後と申しましても、いわゆる終戦直後、これはもう御
承知のとおり非常な混乱期でございまして、
運輸省全体といたしましても、正直申しましてなかなか内
航海運全体についてどう持っていくかということが非常にむずかしいと申しますか、ある
意味ではその面の配慮というものが行き届かなかった時代が相当あったと思います。しかしながら、当時木船を
中心といたしまして、さらに石炭の運搬という形で運炭機帆船というものが非常に内航の主力という形で阪神−九州間、あるいは横浜−室蘭といったような航路、さらに非常に小規模な荷物を沿岸各地で運んでおるという
状態が続いておったわけでございます。
運輸省といたしましては、そのような
状態についてようやく三十年代に入りまして木船運送法というものを制定いたしまして、木船についての
輸送秩序の確立、
運賃面については標準
運賃制度というようなもので内
航海運についての秩序づくりとその企業基盤を強めていく施策に手をつけたのでございます。しかしながら、その後小型鋼船と申しますか、木船から鋼船へと、これは
輸送需要そのものがどんどんと
伸びてきたということに伴いまして、木船よりも効率的な小型鋼船といったようなものが次第に内航の主力を占めるに至りました。そういう
状況の中で
運輸省といたしましては、そういう小型鋼船、当時五百トン未満の鋼船を小型鋼船という形でとらえておりましたのでございますが、そういうものをくるめまして小型船
海運業法、さらに業者の団結と申しますか、協調、協力、集約と申しますと少し行き過ぎでございますけれ
ども、共同して何とか企業体力を確保するとともに荷主への対抗力もつけるという
意味での小型船
海運業法、
組合法といったようなものを、これを二本柱といたしまして内航の施策を展開してまいったわけでございますが、その後次第にまた内航全体の船舶の大型化等が行われます。したがいまして、内航で動きます船舶も五百トン未満というところではすでにとらえがたくなってきた。こういう
状況が次第に顕著になりました。一方そういうことで、小型鋼船からさらに大きな船、木船の方々はまた小型鋼船へというようなことで、その間の秩序が非常に乱れたと申しますか、混乱をしてまいりました。
そういう情勢の中で、さらに
運輸省といたしましては、今度は船型とか船質を問わず本邦の港と港の間で
輸送活動を行う内航業界全体を秩序立てる必要がある。これは当時非常な
船腹過剰という
状況が起こってまいりましたのと節を一にするものでございますけれ
ども、そういう
意味で内
航海運業法、内
航海運組合法、この二法をもちまして、内
航海運業法におきましては
船腹需給調整の
一つのやり方といたしまして、最高限度量の
政府による設定という非常に当時珍しい制度でございましたけれ
ども、こういう制度を導入いたしまして、需給調整の
一つの非常
事態における伝家の宝刀にする。一方、木船運送法時代から規定はございましたが、標準
運賃の制度というものを活用いたしまして、少なくとも
大宗貨物についての主要航路における
運賃の基準を示していく。こういうような二本の柱によりまして内航の秩序を回復したい。
さらに、内
航海運組合法によりまして、全体の内航業界が
海運組合の傘下に入り、さらに、その単位の傘下
組合を総連合会という形で結集して内航全体の力をそこに集めてくる。そういう
意味で内
航海運組合法には、御
承知のとおり不況時における調整権能といったようなものまで、当時独禁法との
関係いろいろございましたが、そういう機能を付与するということで内航の秩序づくりということを法律の観点からは
整備をいたしたわけでございます。
しかし、その法律ができまして間もなくでございますが、四十年、御
承知と思いますけれ
ども、非常に大規模な
海運組合の
ストライキがございました。その当時でも
船腹過剰に悩んでおりました内
航海運組合は、その
ストを契機といたしましてますます非常な苦境に陥るということになりまして、この法案で骨組みはできたものの実態的な政策といたしましてはこれだけでは足りない。そういう趣旨で、四十一年でございましたか、閣議に内
航海運対策要綱というようなものを決めていただきまして、その対策要綱の線によりまして、当時非常に過剰であった内航
船腹の一部をある程度強制的と申しますか、もちろん命令ではありませんけれ
ども、全体の要請といたしまして一挙に相当量を解撤する、そのかわりこれにかわる代替船というものは
状況を見ながら四十一年、四十二年、四十三年、解撤と建造の期間をそういうふうに分けまして、とにかくとりあえずの
船腹調整を行う、そのほかにも係船というようなことを
考え、係船融資というようなことを
考えまして、それについて利子補給をしていく、この際に船舶公団を活用いたしまして、船舶公団を通じてそういう係船融資なり、代替建造、一挙解撤、逐次建造、こういう相当思い切った施策をとったわけでございます。
その後、いろいろな消長はございましたが、内航総連合会も法律制定後間もなく生まれまして、次第に成長いたしまして、大分、内航業界の大同団結という形がその中でつくられてまいりました。現在は、内航業者のうちの九〇%近いものが内航総連合の傘下に集まりまして、自主的な内航総連合の指導のもとに相当の効果をいま上げつつある、こういうことが現状でございます。しかしながら、やはり石油ショック以来の
状況によりまして、内航業界も他の業界と同じように非常な不況に陥り、
船腹は過剰
状態に現在立ち至っておるわけでございます。
そこで、後段の御
質問でございますが、内航の……