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国務大臣(
森山欽司君)
整備五新幹線はなかなか財源的に非常にむずかしゅうございますし、それから、これらの線が実際やった場合に採算がとれるかということであります。
国鉄は先ほど来申し上げましたような財政事情にございますから、ここで赤字をふやすようなことはできないということになってまいりますと非常にむずかしいことに相なるわけであります。財源問題もあり、採算としてペイするかどうかということでございます。がしかし、ともかくいままでのように借りた金で、後で返さにゃならぬ利子がつく金でやるということになりますと、これからの新幹線は採算がとれないと見るのが常識的であります。これを国費でもって建設して、後で返さなくてもいい、利子を払わなくてもいいという資金でやれば採算が合う場所があるということだけは言えるのであろうと思うわけであります。しかし午前中の議論にもございましたように、採算だけでこういう交通機関の問題、特に公共的な交通機関の問題
考えることできるかどうかということになってまいりますと、その辺は非常にむずかしい問題が現在もあり、将来もあるだろうと思います。これは予算
委員会でも申し上げたかと思いますが、
昭和五十八年ごろ青函トンネルが多分開通すると、こう思います。
ただ、あそこに通す鉄道は在来線を通すのか、新幹線を通すのかということになれば、新しい鉄道を通すわけでありますから、新幹線をというふうなことになってくる可能性はかなり大きいというふうに私は見なきやならないと思います。両方やるというよりは、やっぱり
一つの方がいいわけで、北海道や東北の方は非常に喜ぶわけでありますが、あのトンネルができるということと、新幹線
整備五線と言われるうちの二線はあれによってかなり促進をされるであろうというふうに思うのであります。
そういうふうに見ていきますと、裏日本の方に計画しておる新幹線は、これは現在でも政府出資で鉄道をつくれば採算に合うというようなことになってまいりますから、これもそのうちにつくらにゃならぬなということにいずれなるでありましょう。そうすると、
整備五線のうちもうこれで三線がある程度のめどがつけば、これは九州だけをほっておくことができますかと、こういうことになるわけですね。地域的格差の是正とか、国土の均衡ある発展とかというような点をやはり政治の世界でやることでありますから、
考えていかなきゃならぬ。
ただそろばんだけ、交通機関をそろばんだけですべての
考え方を律するということは私は許されないと。もちろん赤字なら赤字で、赤字の埋め合わせば立ててやらなきゃなりませんですよ。しかし、とにかくそういうことになれば九州もほっておけまいという時代はくるのではなかろうかと推察します。そうなると、今度は本州で四国だけが取り残されると、一体これでいいのかということになりますから、やはり鳴門大橋を残して新幹線の将来への含みを残していくということもこれは現在においても大きな善政でありますし、将来をやっぱり見通したということにも私はなるのではないかというふうに
考えておるわけであります。
そんなことを
前提に置きながら、
整備五線の問題は、余り短兵急に、きょう言ってあすというようなことで
考えるべきことではありませんけれ
ども、しかし、一番早く出てくるのが
昭和五十八年、あの青函トンネル、五十八年にできるんですから、その辺からはいやでもおうでもとにかく手をつけざるを得ないような事態になってまいるわけでありますから、そういう点で、私は、
整備五線の問題をいまは財源がないから知りませんよというような態度をもって臨むべき問題ではないと私は思っております。私は、
整備五線の問題は財源がないからできないというんじゃなくて、財源を何とか見つけてひとつやるようにしようじゃないかという姿勢をもって望むべき問題である、こういうことでございます。
しかし、まあこういうことを申し上げても、来年の財源が果たしてどこまで準備できるか、私はめどを持っているわけじゃございませんよ。しかし、先行き
整備五線の将来を
考えた場合に、たとえば
昭和五十八年の青函トンネルができた場合において、あそこに新しく鉄道を引くというのは、一体在来線なのか新幹線なのかというようなことから
考えれば、もう新幹線が
整備五線のうち二線はいやでもおうでもこれはやらざるを得ないようになってくるんじゃないですか。そういうことを見て、ことし言って来年の問題というのは、そういう目先だけの問題で
考えるべきことじゃないんじゃないかと思うんですね。もう少し長い時期で、やはり十年とか十五年とか二十年とか、まあとにかく相当長い先行きを
考えて
考えるべきであり、同時に、
国鉄再建ということは赤字を解消するということでありますから、ここで
国鉄の赤字をふやさないという考慮も必要でありますから、それだけのことをやるなら、もし、そうして、それで赤字が出るというならば、それは、そういう赤字を国の力で埋め合わして実行するということでこれはなきゃならないわけでありますから、それだけの国力をそのときにわれわれが維持するようなやっぱり大きな
責任もあると思っております。
ただ鉄道だけつくればいいというものでもない。しかし、それだけの力もないのにつくるわけにはいかないのでありますから、それは将来のかなり先を見越して、しかも日本の国力の可能性もありということを確信をしてこの問題に対処すべきものであるというふうに
考えておるのであります。
御返事になったかどうかわかりませんが、去年の問題でことしはどうする、ことしの問題で来年はどうすると、そういうことで解決する問題ではないということではありますが、しかし、去年のことしであり、ことしの来年でありますから、当面の事態も一生懸命
努力したいというのが主務
大臣である私の気持でございます。どうか、その辺のところを皆様も政治家でございますから、十分御理解い
ただけるのじゃないかと、私はほらを吹いていることにならぬと思いますよ。これはやはりそれだけの将来への希望を持ってこの
整備新幹線の将来に当たるということが私
どものとるべき立場ではなかろうかと、こう思っているわけでございまして、どうか皆様の格別のひとつ御支援をお願いをしてやまない次第であります。