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伊藤(茂)
分科員 つなぎの措置とか緊急の対策であるという基本的な位置づけは伺いましたが、いずれにしろ情勢の変化に対応して、緊急にドルを減らすということだけではない、もっともな政策論に基づいて展開されるようにしていただきたいと思います。
次に伺いたいのは、関連をいたしまして、外貨貸し
制度の問題です。この
制度の運用につきまして幾つかの条件があるわけでありますが、その中には、経常収支の
黒字幅縮小に効果がある、それは当然ですが、それと同時に、
輸入される物資が国民
経済上重要な
意味を持つということが必要だということも、幾つかの条件の中の重要な
一つになっているようであります。そういう点から考えますと、幾つか大きな疑問がある。たとえば航空機の国際リース、ボーイングジャンボとかダグラスとかその他いろいろな飛行機を買いまして、
輸銀の低利の資金を活用して外国にリースに回すということになるわけであります。
一つは、そういう航空機の国際リースの基本的な性格からいたしまして、当然
契約から購入まで一、二年かかるというものですから、緊急ドル減らしということでこれを発動しようということになりますと、必然的にいま
契約されている
アメリカの航空
会社とよその国の飛行機
会社との
関係の中で
契約が進んでいるものを探してきて、それに割り込んでいく、あるいは低金利を武器にいたしまして売り買いさせるというふうなことが通常の形になるのではないだろうか。前も
指摘をいたしましたが、たとえば英国航空の場合なんかでも頭金も払われている、あるいはまたイギリス
政府の支払い保証もついている、そういうものを乗りかえていく、あるいは乗りかえさせていくというふうな仕組みであるということがまず
一つ問題になると思います。決してグリーンビジネスとは言えない現象が起こってくる、また、乗りかえさせるためにその低金利を武器にしていろいろのダーティービジネスといいますか、現象が起きてくるということではないかと思います。いろいろ私
ども調べたり聞いたりしているところでも、たとえばシンガポール航空の場合などにいたしましても、正式の
決算上の名目に挙がっておりませんけれ
ども、そういうものを探してきたという
意味での発見料とか、言葉は悪いですけれ
ども、黙らせ料みたいなたぐいの経費が利益の中から盛り込まれているというふうな
状況が起きている。いずれにしろ、これは国家資金を背景にして、ちょっとあくどいやり方ではないかというふうな問題も起きるということではないかと思います。
それから、発展途上国に、飛行機を買いたいがファイナンスがつかないというふうなところへ、どう援助するのかという
意味ならまだあると思いますが、大きな国に対して、先進国に対してこれが使われているという方がむしろ内容的にも大きいということだと思います、あるいはまた金利とか条件とかを見ましても六%で
輸銀から出していく。実際の
契約は八・二五%である。二・二五%のマージンが生まれる。もちろんその中から経費が払われるでしょう。概算いたしますと、いま申し込み中のものを含めますと五億ドルを超えるものがあるようであります。そういたしますと、二十何億円かの二・二五%に対応するマージンが生まれてくるというふうなことにもなってまいります。
これらを考えてみますと、端的に言えば、リース
会社をもうけさせるために
輸銀の金を使うということになっているのではないだろうか。こういうものが、さっき申し上げた外貨貸し
制度の条件、国民
経済上重要な
意味を持つというふうには考えられないんじゃないだろうか。それから内容からいたしましても、あるいはまた現実に持っている問題からいたしましても、やはり再検討されるべきではないだろうか。
先般銀行
局長が、五十四年度の実施の条件については、そういう
指摘も踏まえて、いろいろ検討していきたいというようなことを言われておりますが、私はやはりこういうものを、航空機リースという分野の現状から見たら、こういう
制度から除外をするという方がむしろ適切ではないだろうか、問題を発生させない道ではないだろうかというふうに思うわけでありますが、その辺はっきりした見解を伺いたい。