○栗林
分科員 ただいまの長官の御答弁、私はそれはよくわかるのです。しかし過去二回の私の
質問に対して長官から返ってきた言葉はみな同じだ。やはり景気景気、景気に未消化の原因を転嫁している。景気ばかり悪い者になっていると思うのです。一般論としては、景気が停滞しておる
現状でありますから資金需要が停滞しておる、弱勢であるということは、私も素人でありますがよく理解できるわけです。しかし
先ほども申し上げましたように、中小の皆さんは、景気がよい時代よりもむしろ景気の悪い時代に資金需要が強いものです。これは私の経験から申し上げます。いま長官は国融を例にとって申されましたが、ここで国融とマル経の内容比較論をやってしまうと時間がなくなりますので、私も調べてまいりました
数字を申し上げてみたいと思うのですよ。
同じ
不況下にあってやはり庶民金融に奮闘されておる国融、この国民金融公庫の五十二年度の決算を私は調べてまいりました。この国民金融公庫の五十二年度の決算実績は、当初の資金枠は一兆二千九百億でした。これは完全に消化してしまったのです。そこで資金が足りないというので資金が追加された。五十二年度約三千億追加されました。したがって総枠一兆五千二百十二億、この資金量が九八・九%消化されておるわけであります。これは追加されなければもう一〇〇%を超えているのですよ。足りないというので追加された。三千億も追加されているのですね。ですから一兆五千億、これがほとんど完全消化、九八・九%貸し付けられておる。そうすると、国民金融公庫の関係する
業者には不景気がないということになると思うのだな。私は
日本国じゅうどこでも不景気風は吹いていると思うのですよ。したがって国融の場合はそのような消化実績を示しておる。それならば五十三年度はどうかといいますと、第三・四半期までの
数字を私は聞いてまいりました。現時点で八一%の消化率と聞いております。しかし前年度同期に比較しますとむしろよけい消化されておる。それでありますから、年度末、いまの資金量は一兆五千五百億と聞いておりますが、これは一〇〇%、ことしは完全消化ができるでしょう、こういうお答えでございました。これは
分科会はきょうで終わるのだからというのでいいかげんな御返事ではないと私は思います。国融の方は私は委員会を通じて確かめたのではありませんが、しかし正式な手続で資料をいただいたのでございますから、ごまかしはなかろう。そうしていままでの実績から見ますと、国融の方では一〇〇%消化は間違いない。私もそう確信するのですよ。してみますと、一般論としては
不況が資金需要に影響しておるということは私も理解できます。しかし、この種の制度の
運用のいかんによっては、五千百億
程度の資金ならば、私は足りなくなる、完全消化はできると思うのです。したがって、何か未消化の原因があろうかと私は思うのです。その原因をひとつ探求してもらいたい、調べてもらいたい、そしてそこから改善してもらいたいということをしばしば要望してまいったわけであります。
まず、
指導要綱がございます。これは政府資金ですから、われわれの税金をお貸しするわけですから、そんなにルーズなものであってはならない、そのことを十分理解して私申し上げるつもりでございます。しかし、
中小企業の皆さんですから、石橋をたたいて
指導するという
状態では、私は
指導にはならないと思う。弱いものはやめなさい、滅びなさい、強いものだけが生きなさいという弱肉強食の資本主義の典型的なやり方になってしまうと思うのです。ですから、
中小企業の皆さんは弱いのですから、弱い
中小企業者を
指導し、
経営を改善させて一本立ちにさせるためには、多少の危険なり困難というものは覚悟しなければならないものではないだろうか、このように思っておるものでございます。
この
指導要綱を見ますと、これは若干改めたと伺っておりますが、
指導員が六カ月
経営改善に関する
指導をして、その結果を見てから推薦が決まる、要綱にそう書いてある。これはまだ改まっていません。六カ月たって初めて推薦が決まる。それで、その金が入るかと思えば、そうでないのですね。実際の窓口は国融でございますから、今度は国融へ行く。国融は、貸す以上は国融の責任で貸すわけでございますから、不良貸しはできぬというのでまた調査をする。二重調査でしょう。そうしているうちにまた時がたつ。こういうことでは必要なときにすぐにその資金を入手することができないと思う。単なる融資と違いますから、
経営改善という大きな目的を持つ資金でございますから、私はすぐに出せと言うのではございません。しかし、六カ月とは余りにも長過ぎるのではないでしょうか。実績によっては、
業者がまじめで非常によく勉強する、がんばる、奮闘する、信用がある、そういうことを認めることができる場合は、必ずしも六カ月にとらわれないで、二カ月か三カ月ぐらいで早期に推薦手続をしてやる、また国融に対しても、こちらで推薦したのだから、できる限り早く調査を完了してほしい、こういうようにしていただくならば、原則は六カ月でありましても、実務がそのように改善されますと、中小の方々にとってはかなり助かるのではないかと私は思うのです。書いたものは改めておらないが、必ずしも六カ月にとらわれません、こういう御答弁は昨年もいただいておるのです。そこで、これらについての
指導、実務はどうなっていますか、ひとつお答え願いたいと思います。