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笹山主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔渡辺国務大臣の
説明を省略した部分〕
以下、
予算の
重点事項について御
説明いたします。(地域農業
生産体制の総合整備)
第一に、地域農業
生産体制の総合整備に関する
予算について申し上げます。
米等の
生産過剰と増産の必要な麦、大豆、飼料作物等の
生産が十分でないという農業
生産の現状に対処して、
需要の
動向に適切に
対応できる農業
生産構造を確立するためには、意欲的に農業に取り組む者に農地利用の集積を図りつつ、これを中核として、地域の
実態に即した農業
生産の再編成を図ることが肝要であります。
このため、水田利用再編
対策において転作の一層の定着、
推進を図るため、奨励補助金等として二千二百八十一億円を計上したほか、地域の
実態に即してその自主性を生かしつつ、麦、大豆、飼料作物等の
生産拡大及び農地利用の集積を通ずる中核農家の
生産シェアの
拡大を計画的総合的に
推進する地域農業
生産総合振興事業を新たに実施することとし、これに必要な
経費として五百億円を計上しております。
次に、農地の流動化を一層促進するため、貸し手農家の掘り起こし活動と農地賃貸借への踏み切りとなる流動化奨励金の交付等を
内容とする農用地高度利用促進事業を地域農政特別
対策事業の一環として新たに実施するほか、五十三年度に発足した新農業構造改善事業の本格的展開が図られるよう総額四百五十五億円を計上しております。(
需要の
動向に即応した農業
生産の振興等)
また、農業
生産の振興は、
需要の
動向に応じて実施することが肝要であります。
このため、麦、大豆、飼料作物等の
生産拡大の施策を初め、野菜、果実、畜産物等につきましては、各農産物ごとの
需給事情、
生産事情等に応じて、きめ細かな
生産対策、
価格対策等を講ずることとしております。
五十四年度
予算に関しては、特に、温州ミカン及び肉用牛について御
説明いたします。
まず、供給過剰の温州ミカンについて、学校給食における果汁利用を促進する事業を実施して消費
拡大を図る一方、新たに、他作物への転換等を促進する温州ミカン園転換促進事業を実施することとしております。
また、輸入の増加等により果実等の
需給に不測の事態が生じた場合に、その影響を緩和するための事業を機動的に実施できるよう所要の
基金造成を行うこととしております。
次に、肉用牛については、牛肉の安定供給が急務となっていることにかんがみ、集落周辺に未利用のまま残されている里山等を簡易な造成手法により開発して草地を造成する事業を新たに実施するほか、
生産適地において素牛の
生産から肥育、処理等に至る一貫供給体制の確立を図る事業及び肉用牛
生産のコスト引き下げを図るため、トウモロコシ等のホールクロップサイレージの給与等による肥育技術の確立を図る事業等を新たに実施することとしております。
以上のほか、農業
機械の効率利用及び
機械導入の適正化を図るため、新たに、受委託のあっせん組織の運営、兼業農家等における遊休
機械の登録と貸し付け等を行う事業及び中古農業
機械市場の形成を促進する事業を実施することとしております。(農業
生産基盤の整備)
第三に、農業
生産基盤の整備に関する
予算について申し上げます。
需要の
動向に即した農業
生産の再編成とこれを通ずる食糧自給力の強化を図るとともに農業の健全な発展を図るためには、その基礎的条件である農業
生産基盤の計画的な整備を
推進することが肝要であります。
このため、従来から、土地改良長期計画に基づき圃場整備、農道、灌漑排水、農用地開発等の事業を積極的に
推進しているところでありますが、五十四年度は、排水
対策を大幅に
拡充強化することとし、排水条件の整備改良を緊急に実施する排水
対策特別事業を新たに実施することとしております。
また、畑作の振興を強力に
推進するため、畑地帯総合土地改良事業等、畑作の振興に資するための各種事業を積極的に
推進することとしております。
これらを含めた農業基盤整備費として、総額八千九百六十九億円を計上しております。(住みよい農山漁村の建設と農業者の福祉の向上)第四に、農山漁村の
生産、生活環境整備等と農業者の福祉の向上に関する
予算について申し上げます。
農山漁村は、単なる
生産の場ではなく、農林漁業者の生きがいを感じるふるさととして、日本民族の苗代としての役割りを果たしていく必要があります。
このような観点から、農山漁村環境整備のための諸事業の
拡充に加えて、村ぐるみの連帯感の醸成、地域住民の交流活動等を
推進するための農林漁業村落振興緊急
対策事業や、より安定した
雇用機会の確保と生活環境整備等により、地域住民の定着を図る農村地域定住促進
対策事業を新たに実施することとしております。
また、山村の振興を図るため、従来の農林漁業の振興
対策に加え、新たに第三期山村振興
対策を発足させることとしております。
農業者の生活改善、健康の維持増進等についても施策を
充実することとしております。
さらに、農業者年金制度についても、加入期限を逸した後継者の加入の救済措置を講ずる等、制度改正を行うこととし、四百三十八億円を計上しております。(国産農産物の
需要拡大、流通加工の近代化等)
第五に、国産農産物の
需要拡大及び流通加工の近代化等に関する
予算について申し上げます。
総合的な食糧自給力の向上を図るためには、
需要面においても、わが国の風土、資源に適合した食生活の普及と消費の
拡大を図る必要があります。
このため、米について、学校給食用米穀の値引き率の大幅引き上げにより、米飯学校給食の計画的
拡充を進めるとともに、地域ぐるみで米の消費
拡大を
推進する事業を新たに実施する等、米の消費
拡大を一層
推進することとしております。
また、米、転作作物等国産農水産物の加工
需要の
拡大を図るため、新たに、これら国産農水産物を原料とする新製品の製造
設備等のリースによる導入につき助成する事業を実施することとしております。
次に、流通加工
対策については、生鮮食料品の流通のかなめである卸売市場の計画的整備を引き続き進めることとしておりますが、その一環として、民営の地方卸売市場についても統合等により地域流通の拠点となるモデル市場の整備に対しては新たに助成することとしております。
また、産地の流通加工施設の整備、卸小売業の近代化、新流通経路の育成等を
推進することとしております。(農林漁業金融の
拡充)
第六に、農林漁業金融の
拡充に関する
予算について申し上げます。
まず、農林漁業金融公庫資金については、新規貸し付け計画額を七千百七十億円に
拡大するとともに、融資
内容の整備
拡充を図ることとしております。
また、農業近代化資金、農業改良資金等についても
充実を図ることとしております。(森林、林業施策の
充実)
第七に、森林、林業施策に関する
予算について申し上げます。
森林、林業施策については、林業をめぐる
内外の諸情勢に対処して、国内林業
生産の振興と森林の公益的機能の発揮とを調和させつつ、その強力な展開を図ることとしております。
まず、林道、造林及び治山事業については、二千八百八十億円を計上し、積極的にその
推進を図ることとしておりますが、特に造林事業については、一層の促進を図るため、市町村の指導のもとに、植栽から保育に至るまでの一貫した造林活動を集団的に行う森林総合整備事業を創設することとしております。
次に、国内林業及び林
産業の振興を図るため、国産材の
生産及び流通加工の
円滑化に必要な資金を低利で融資する国産材
産業に関する振興資金制度を創設するとともに、農林漁業金融公庫の造林資金及び林道資金の償還期限等の延長の特例措置を講じることとし、所要の法制化を図ることとしております。
また、木材の
需給、
価格動向に関する情報の迅速な収集、
分析及び提供のための体制を整備することとしております。
林業構造改善
対策事業については、二百二十五億円を計上し、事業の進捗を図るとともに、次期
対策への円滑な移行を目的とした新林業構造改善促進
対策実験事業等を新たに実施することとしております。
このほか、林業
労働力対策及び特用林産振興
対策を
拡充するとともに、特に最近におけるマツクイムシ被害の異常な増大に対処するため、マツクイムシの緊急かつ計画的な防除を実施することとし、森林病害虫等防除
対策として五十九億円を計上しております。(水
産業の振興)
第八に、水
産業の振興に関する
予算について申し上げます。
二百海里時代の到来に対処して水産物の安定的供給を確保し、わが国水
産業の振興を図るため、水産施策の強力な展開を図ることとしております。
まず、わが国周辺水域の水産資源の開発と水産増養殖を一層
推進することであります。
このため、魚礁の設置等沿岸漁場の整備開発を促進するとともに、栽培漁業を
推進するための国、県の諸施設の整備を図るほか、漁業者が種苗放流、漁場管理等を一体的に行う事業を新たに実施することとしております。さらに、サケマス資源の計画的増大を図るため、サケマスふ化場等増殖施設の整備、未利用河川の開発等を
推進することとしております。
次に、遠洋海域における水産資源の開発と遠洋漁業の新たな展開を図ることであります。このため、新資源、新漁場の開発調査を
推進するとともに、漁業外交の強力な展開、海外漁業
協力等により海外漁場の確保に努めることとしております。
また、水産物の
価格、流通、加工
対策については、加工利用技術の開発、多獲性魚等の消費
拡大等を行うこととしております。
さらに、沿岸漁業
対策については、資源培養管理型漁業の
推進、担い手の育成、生活環境の整備等を総合的に行う新沿岸漁業構造改善事業を発足させるほか、技術改善、漁家生活の改善等を助長するための沿岸漁業改善資金制度を創設することとし、同制度の法制化を図ることとしております。
また、漁港施設の整備を促進することとし、千六百三十億円を計上しております。
さらに、金融
対策として、国際環境の変化等に対処して、漁業経営維持安定資金の貸し付け枠を大幅に
拡大するとともに、水産加工業者に対し経営安定資金を融通することとしております。
このほか、漁場環境
対策等についても
拡充を図ることとしております。(その他の重要施策)
以上のほか、農林水
産業施策の
推進のために重要な
予算として、試験
研究については、畑作物の試験
研究の強化に重点を置いて七百三十八億円を計上するとともに、農林漁業の普及指導事業等について四百二十五億円を計上しております。
次に、
昭和五十四年度の農林水産関係
特別会計予算について御
説明いたします。
まず、食糧管理特別会計については、先ほど申し上げましたように学校給食用米穀の値引き率の大幅引き上げ等、米の消費
拡大を一層積極的に
推進することとしております。
また、新たに過剰米処分を計画的に行うこととし、五十四年度においては、六十万トンの処分を予定しております。
この処分に伴い生ずる損失については、七カ年度内において計画的に
一般会計からの繰入金により補てんすることとし、五十四年度においては、百二十七億円を繰り入れることとしております。
食糧管理特別会計への
一般会計からの繰入額は、調整勘定へ六千三百四十億円、国内米管理勘定へ三百三十四億円等を計上しております。
また、農業共済再保険等の各特別会計についてもそれぞれ所要の
予算を計上しております。
国有林野事業特別会計については、国有林野事業の経営改善を計画的に
推進することとし、事業運営の改善合理化等の自主的努力とあわせて、国有林野における造林、林道事業に要する
経費について引き続き
一般会計資金の繰り入れ及び財政投融資資金の導入の
拡大を図ることとしております。
最後に、
昭和五十四年度の農林水産関係
財政投融資計画については、農林漁業金融公庫が必要とするもの等総額七千五百十六億円の
資金運用部資金等の借り入れ計画を予定しております。
これをもちまして、
昭和五十四年度農林水産関係
予算の
概要の御
説明を終わります。
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