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栗林分科員 出かせぎ
労働者をめぐる事故災害は依然として後を絶たない、むしろ多発の
状態でございます。いま私の手元に昨年の十一月、十二月の二カ月間に発生した大きな事故、死亡事件が四つありますけれども、これは私の手元に四つです。昨年の十一月、十二月の二カ月間における死亡事故です。非常に多発しておる。私は出かせぎ
労働者の
職場の安全と安全管理の確立を求めるために一、二の災害事故の事実を
指摘して、その
対策をただしたいと思うものであります。
まず、昨年十一月二十五日午前四時四十分ごろ、宮城県白石市内国道一一二号線の道路改良工事の現場において突如、土砂が崩壊し、あっと言う間もなく工事就労中の九人の
労働者中、二名の者はかろうじて避難することができたが、残る七名は無残にも土砂に埋没死亡するという痛ましい災害が発生したのであります。私は質問をする前に、まず
社会党を代表して七人の犠牲になった
方々の御冥福をお祈りいたします。あわせて、御遺族に対し深く弔意を表するものでございます。
さて、私は、事故発生後五日目でありましたが、現場を視察
調査いたしました。その当時はまだお一人の御遺体が発見されないときであったのでございます。私は一通りの
説明、現状を見ましたが、直観として、もしも法律、規則が守られて、
行政指導がよく行き届き徹底され、そうしてまた業者もよく注意義務などを全うされておりましたならば、この事故は十分予見することもできましたし、
予防もできた災害であった、そういう感を深くして帰ったものでございます。
そこで、諸点についてお尋ねしますが、まず取り上げてみますと、安全衛生法第八十八条第三項に定められておるこの工事計画の届け出が所轄大河原監督署になされていなかったという事実がございます。これは本当に出されておらなかったかどうか、この点をひとつお尋ねしたいと思っています。所轄監督署が知らなかったといってその責任は免れないと思いますが、まずこれが事実であれば重大だと思います。
第二点として、設計、工法に問題がなかったかどうか。現場は急斜面、高さ八十メートルほどの絶壁をなす山腹を切り崩して道路の拡幅をする工事であります。そうしてその反対側はこれまた深さ七十メーターほどの断崖、その下には清流白石川が流れております。したがって、こうした現場の工事設計、設計段階で綿密な土質
調査が当然なされなければならないはずだと思いますが、そういうような土質
調査があったのかどうか。特にボーリングなどを行って
調査をされたかどうか。長年の雨水等によって、その雨水が浸透する。その雨水の浸透によって、いかにかたい安山岩でありましても、岩盤などに亀裂が生じていなかったかどうか、これらは綿密な
調査を行えば事前にわかるはずでございます。
第三は、この工事現場では大量のダイナマイトを使っておるわけであります。したがって、このダイナマイトの発破の振動、爆発の振動によって岩盤に亀裂が生ずるという心配もあるはずであります。したがいまして、規則にもありますが、こうした現場は常に十分点検をしなければならない法の定めになっておりますが、果たして現場においては責任者がそのような点検をされておったかどうか。
また、私の見たところでは、岩石の崩落を防ぐ防護
施設がなかったように見受けてまいりました。あるようにも見えましたが、これはごく一部でございます。これは通行人の万一に備える防護
施設とは認めがたかったのでありますが、果たして防護
施設があったのかどうか。
夜間の作業であったから当然明かりがついておりましたが、果たして足元が十分わかる照明の
状態であったのかどうか。もしもこの明かりが十分な照明を持っておりましたならば、もう少し避難することができたとも想像されるのであります。
その次に、現場責任者は仮眠中であったり、現場に責任者がいない。しかも、こういう特殊な現場には、これまた法の定めるところに従って作業主任が張りついておらないればならないはずであります。この作業主任は当時不在であったと私は聞いております。果たしてどうか。
その次に、現場は昨年の六月、三月にも土砂の崩壊が発生いたしました。
住民はその危険を訴えておるのでございます。こういう事実があるとすれば、このような危険
地域に対する——これは県の発注工事ですから、県の責任は免れないと思いますけれども、しかし県だけでなしに、一体
労働監督署は何のために置かれておるのか。こういうような危険な場所があるという情報に接するならば、仮に届け出がなかったにしても、私は知らなかった、存じませんでは責任を果たしたということにはならないと思う。したがって、
住民からそのように訴えられておりますから、もう少し県及び監督署などが注意をしましてパトロール等
行政指導を
強化していただいたなら、こういう事故というものを未然に防ぐことができたのではなかろうか。
今日、事故発生以来三カ月経過しております。最終結論は出ていないとは思いますが、出ておらなければ中間報告として、この災害の原因、違反事実、また過失致死等の刑事追及も行われておるはずでありますから、これは警察の方ですけれども、それらをあわせて報告いただきたい、こう思います。