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栂野分科員 大臣、私も
郵政マル生問題をお尋ねしたいのですが、
マル生問題というとまたかということでございましょうが、せっかくの貴重な
予算の
分科会、三十分しかありませんから、本来なら私も
郵政事業についていろいろ提言したいこともあるのですよ。そうしたいのですが、しかし残念ながら今日の
郵政省は、
マル生問題を解決しない限りはどんな提言をしましてもそれにこたえるだけの機能も果たし得ないような
状況になっています。ですから私も、どうしても
郵政マル生問題に触れざるを得ないわけです。
私もこの十五年ばかり弁護士をやってきまして、
労使関係についてはかなり知っているつもりです。本来
労使関係というのは
対立関係にあるわけですから、双方多少オーバーな
言い方をする場合もあるのですよ。しかし、この
郵政マル生問題、私、
現場調査に入りましたが、これはとにかく予想以上にひどいのですね。私いまだかつてこんな経験はないのです。本来
労使関係というのは
労使間で片づければいいことでありまして、
国会が
労使関係に口を出すことは差し控えた方がいい。しかし、
郵政マル生というのは、もはや
労使関係の域を脱していますね。これは社会問題だ。
郵政事業が国民に対してその責任を果たし得なくなっている、こういうことですから私はあえてこの問題に触れさせていただきます。
そこで、話の順序ですが、私も三、四カ所昨年の暮れに
調査に入りましたから、私の印象に残っている
問題点を申し上げます。
東京の
中央郵便局。ここは
職員の総数が二千八百、
全逓の
組合員が二千五百ですから大体九割は
全逓組合員というところです。ですから、
全逓の
組織率は非常に高いと見ていいでしょう。しかし、相当差別が行われているという
実態があるわけです。昨年と一昨年
主任になった
人たちを調べてみますと、四十五人います。その四十五人の中に、
闘争時には
ワッペンをつけるわけですから、
ワッペンをつけないという、
余り闘争に熱心じゃないという人が四十二人いるんです。
全逓の
指令に従って
ワッペンをつけるという人は三人しかいない。こういう
状況です。
一方、二十年以上
勤続をして
主任になれない人がいる。これが二十七名います。調べてみますと、逆に
闘争時に
ワッペンをつけるという、つまり
全逓の
組合員として
組合の
指令に忠実なというのが二十名、
ワッペンをつけないという人が七名しかいないんです。だから結果としては、
ワッペンをつけるかつけないかということで非常な
差異が出ていることがわかる。それから、
主任になった人で一番
勤続年数の低い人、これが七年五カ月、
大塚克芳という人です。この人は確かに
大学を出ていますが、これは
全逓にも
全郵政にも入ってない、こういう人です。それじゃ
大学を出ているから七年五カ月という非常に早い出世といいますか、そういうことになるのかといいますと、いま言いました、幾らたっても
主任にもなれないという人の中に、たとえば
宮沢喜世雄、それから
古屋恒雄という人、この二人もやっぱり
大学を出て四級職です。
宮沢君が四十五歳、
古屋君というのが四十四歳、いずれも
勤続して二十五年六カ月になる。条件としては、いま言いました
大塚克芳君と同じ。一方が七年五カ月でなれるのに、何でこの二人は二十五年六カ月も勤めていてなれないのか。これはみんな
全逓の
支部の
執行委員、
役員をしているんですね。
それから、
表彰制度を見ますと、昨年に
表彰を受けた人を調べてみますと、
郵便協力会の
表彰というのがある。これが六十九名ですね。その中で
ワッペンをつけている人が二十六名、つけなかった人が四十三名。それから二月の
業務表彰というのがある。これは百六名
表彰を受けていますが、
ワッペンをつけた人は二十二名、つけなかった人が八十四名。それから十月に同じく
業務表彰というのがある。
ワッペン着用者が二十四名、つけない人が六十四名。
逓信記念日の
表彰がある。これは三十八名、この中で
ワッペンをつけた者は一名しかないんですね。つけない者が三十七名、こういう結果が出ているわけです。
そこで、ここは
全逓の
組織率が九〇%なんです。それでは外の方から、
課長代理とか
主事とか、ほかの局から入ってきた人を調べてみますと、五十一年に十二人入っている。しかし
全逓組合員は一人しかいない。五十二年には十三人入っている。
全逓組合員が三人しかいない。五十三年には八名入っているけれども、
全逓の
組合員は二人しかいない。
あとは全部
全郵政か、あるいはどちらにも入ってない、こういう人ですね。三年合計してみますと、六人対二十七人、こういう差が出ていますね。
こういう文書があるんです。「新しく
郵政職員となられた
皆さんへ」というのがある。ちょっと読んでみますと、
ご就職おめでとうございます。新しく
郵政職員となられた
皆さんを心から歓迎するとともに
皆さんがこれから立派な
郵政事業人として、また良き
社会人として歩まれるよう期待しております。
さて、
皆さんが
郵政職員となられた事とは別に、今後
労働組合の
関係者等から
皆さんの
組合所属問題について、いろいろ
説明や勧誘があろうかと
思います。現在、
郵政省関係には複数の
労働組合がありますが、
皆さんが
組合に
加入するかどうか、またどの
組合に
加入するかどうかは、
皆さん自身が判断すべきことで、
管理者としては関係できない事であり、また
組合所属の如何によって、
職員としての身分上の取扱いに
差異をつけることはありません。良く
説明を聞き、良く理解して
自分自身で
態度をはっきり決めることが大切です。
これらの点を良く認識し、
組合所属問題については
管理者に軽々に相談したり、判断に迷って
勤務にまで影響をきたしたりすることのないよう留意していただきたいと
思います。
こういうのがあるんですがね、もう少し続きますが。これは言ってみればあたりまえのことなんですよ。あたりまえのことといえばあたりまえだけれども、なぜわざわざこんなものを新しく入ってきた人に出さなければいかぬかというところが問題ですね。何かこれは下心がありはせぬか、こういうことになる。私は思うんだけれども、つまりいま言ったような
実態があるから、
支配介入が行われている、それが追及されたときに、いや私の方は神経を使い過ぎるほど使って、そういうことは一切しちゃならぬということを出しておりますという、こういう弁解に使おうということかもしれませんよ。しかし残念ながら、ここに
本音が出ているんですよ。よく
説明を聞き、よく理解して、どっちの
組合に入るか入らないか
自分で
態度を決めてくれ、ここのところですね。ここのところが
本音だ。さもしいというか、いやらしいといいますか。こういう
実態があるのですから、
職場へ入ってくれば。そうするとあなた、どっちがいいか
自分で決めなさいよと言われれば、新しく入ってきた
職員はどう考えますか。せっかく
希望に燃えて
郵政職員に入ってきた。その日から、もう何だか知らぬけれども
組合をどっちにするかによってえらいことになりそうだなんという、非常に頭を抱えるような
状況に追い込む。こういう
実態が
東京中央郵便局にあるのです。
それから、
新宿北郵便局へ行きましたら、ここは
全逓対それ以外のもので三百十六名対二百七十八名ですから、やや
全逓が多いという
状況ですが、特徴的なことは、共通というのですか、
庶務会計、ここには
全逓の
組合員は一人もいない。二十七人全部
全郵政かあるいは入っていないか、こういうことですね。
それから、第一
郵便課というのを見ますと、
課長代理以下、
主事、
主任というのを調べてみますと、
課長代理、
主事は全部
全逓組合員じゃない。
主任の中に三人
全逓組合員がいるんですね。ところがこの三人は
全逓の
組合員だが、うち二人はストライキをやったときにも参加しないという人なんです。ここも同じですが、
宮澤重喜君という、これは
支部長ですが、この人は
昭和二十八年の四月に採用されているんです。私、
局長に聞いたんだけれども、
宮澤君は二十八年に採用されている。古い人はどんどん
主任になっているが、一体この人はどこに欠陥があるんだ。全然言えないんです。
支部長をやるぐらいの人ですからこれは
統率力もあるし、とっくに
主任になってもいい。それじゃ
支部の
役員をやっているから忙しいから
主任が勤まらないかというと、そうじゃない。
主事になっている
篠原清孝というのはこれは
全郵政の
書記長をやっている。これも理由にならない。だから結局聞いても答えられないという
状況がある。
それから
Uターンですね。これはみんないま帰りたいでしょう、
田舎へ。これを
新宿北郵便局で調べてみますと、五十一年の九月二日から五十三年の十月十一日の約二年間ですが、
田舎へ帰った人が四十三人いるんですよ。ところがその内訳を見ますと、
全逓の
組合員が十五人いる。が、
Uターンが決まった途端に
脱退届を出した人が四人います。ところが
全郵政の
組合員は十九名、どっちにも入っていないのが九名、合計で二十八名ですね。二十八名対十五名。その十五名のうち、いま言ったように四名はすぐ
脱退ということですから、またこの比率が違ってくるわけです。
全逓の
組合員が多いのですから、当然
Uターン希望者は多いのだから、
全逓の
組合員が多くなきゃならぬ理屈になるはずです。
それから、
部内の
集配からできれば内勤に帰りたいというのは、これは人情でしょう。ところが、これを調べてみますと、これも大体二年間ですが、十四名かわっているけれども、
部内の、局内の配転ですが、
全逓の
組合員は三名しかかえられてないのです。それで、内務というのですか、
事務の
仕事です、部屋の中で。ここへかえられた人は一人しかいない。
あとは
集配から
貯金の
外務、
保険の
外務という、こういうことです。
仙台の
鉄道郵便局にも私は行きましたが、大体同じようなことなんですよ。
そこで、ともあれ結果としてこういうことなんですね。それは差別するような
意図は決してございませんとおっしゃるでしょう。しかし、ともかくこういう結果が出ているのですね。ダグラス、グラマン問題で、真実より強いものはないとおっしゃっておる
政治家がおられるけれども、やはり結果ほど強いものはないのですよ。
意図があったかどうかは、これは議論になるでしょう。しかし、こういう結果が出ている。これを一体どう見るかです。恐らくみんな行った人は、公平な目で見て、この結果これはひどいなということにならざるを得ないのですね。まあこの
国会で
マル生はあちこちでやられているでしょうから、ほかにもこういう例がたくさん出されていると
思いますが、ともかく本来
昇任というのは、
国家公務員法の原則で言えば、これは
競争試験ですね。例外的に
勤務実績でやっている。ここを、言ってみれば勝手にできるということになるでしょう。それを
利用してこういう結果が出ている。
郵政省は、こういうことになるが、それじゃもう
昇任は全部
競争試験でやるというようなお考えでもあるのですか、一言言ってください。