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1979-03-01 第87回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年三月一日(木曜日)     午前十時五分開議  出席分科員    主査 藤田 義光君       青木 正久君   小此木彦三郎君       奥野 誠亮君    毛利 松平君       井上 普方君    上原 康助君       大原  亨君    福岡 義登君       安井 吉典君    大橋 敏雄君       岡本 富夫君    鈴切 康雄君       神田  厚君    高橋 高望君       川合  武君    兼務 吉原 米治君 兼務 長田 武士君    兼務 竹内 勝彦君 兼務 松本 忠助君    兼務 柴田 睦夫君 兼務 田中美智子君    兼務 松本 善明君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 森山 欽司君  出席政府委員         運輸大臣官房長 中村 四郎君         運輸大臣官房審         議官      杉浦 喬也君         運輸大臣官房会         計課長     熊代  健君         運輸省鉄道監督         局長      山上 孝史君         運輸省自動車局         長       梶原  清君         運輸省自動車局         整備部長    小林 育夫君         運輸省航空局長 松本  操君  分科員外出席者         沖繩開発庁振興         局振興第三課長 奥山 文雄君         大蔵省主計局主         計官      小粥 正巳君         建設省都市局街         路課長     並木 昭夫君         日本国有鉄道副         総裁      天坂 昌司君         日本国有鉄道常         務理事     山口 茂夫君         日本国有鉄道常         務理事     高橋 浩二君         日本国有鉄道常         務理事     馬渡 一眞君         日本国有鉄道常         務理事     吉武 秀夫君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月一日  辞任         補欠選任   安井 吉典君     上原 康助君   岡本 富夫君     大橋 敏雄君   小平  忠君     神田  厚君   山口 敏夫君     川合  武君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     大原  亨君   大橋 敏雄君     古寺  宏君   神田  厚君     西田 八郎君   川合  武君     山口 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   大原  亨君     福岡 義登君   古寺  宏君     鈴切 康雄君   西田 八郎君     高橋 高望君 同日  辞任         補欠選任   福岡 義登君     岩垂寿喜男君   鈴切 康雄君     西中  清君   高橋 高望君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   岩垂寿喜男君     矢山 有作君   西中  清君     和田 一郎君 同日  辞任         補欠選任   矢山 有作君     安井 吉典君   和田 一郎君     岡本 富夫君 同日  第一分科員長田武士君、第二分科員吉原米治君、  田中美智子君、第四分科員竹内勝彦君、松本忠  助君、柴田睦夫君及び松本善明君が本分科兼務  となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和五十四年度一般会計予算  昭和五十四年度特別会計予算  昭和五十四年度政府関係機関予算  (運輸省所管)      ――――◇―――――
  2. 青木正久

    青木主査代理 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  主査所用のため、その指名により、私が主査の職務を行います。  昭和五十四年度一般会計予算昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算運輸省所管について、前日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  3. 上原康助

    上原分科員 質問時間を守ってくれという注文を冒頭委員部から受けたのですが、政府委員のお出ましが遅くて、六分経過したことを大変遺憾に思います。  私は、限られた時間ですから、いま問題になっております下地島訓練飛行場の件と、若干時間があれば那覇空港整備拡張計画について、運輸大臣初め航空局の御見解を尋ねておきたいと思うのです。  この下地島訓練飛行場建設問題は、沖繩施政権返還前から賛否両論があって、その後着工されて今日に至っているわけですが、最近になって、いろいろ社会経済状況変化どもあるわけですが、当初この飛行場建設する段階ではもっぱらパイロット養成をするための訓練飛行場として建設をする、したがって非公共性だということに限定をされてきたと思うのですが、最近第三種空港にしたいという何か県側考えの変更といいますか変化があったと聞かされているのですが、この件について県側から政府の方にお話し合いなり申し入れ等がなされているのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
  4. 松本操

    松本(操)政府委員 昨年の七月、ちょっと日付はいま私は記憶しておりませんが、昨年の七月に県の方から三種飛行場にすることについての問い合わせが私の方に参っております。その後県の方といろいろとお話し合いをしておる。大体県の方のお考えとしては、県会のこともこれあり、私どもの方として最終的なお答えというものはまだ承るに至っておりませんけれども、昨年の七月十二日でございました、当時の知事からお問い合わせがあって、その方向検討がされておるというふうに承知をしておるわけでございます。
  5. 上原康助

    上原分科員 その点は、昨年の七月段階では、県営限定公共ということだったと思うのです。私がいまお尋ねしているのは、新しい県政になってからお話し合いがあったかどうかということなんです。
  6. 松本操

    松本(操)政府委員 去年の七月は、先生おっしゃいますように公共飛行場限定)と、こういうふうな言い方がしてございましたが、これは私どもの方の分け方としましては、公共飛行場限定)という区分はございません。その当時から(限定)ということはどういう御趣旨かというお話し合いはしておりましたが、新しい知事におかわりになってから、この点について特に従来のお話し合いを、方向を変えるようなそういったようなお話し合いは承っておりません。
  7. 上原康助

    上原分科員 そこで、昭和四十六年八月十七日付で、当時の総理府総務長官の山中さん、それからお亡くなりになられたと思うのですが丹羽運輸大臣、このお二人の連署で、同飛行場は、当時硫球政府ですから「琉球政府復帰後は沖繩県)が所有し、及び管理する」したがって「使用方法は、管理者である琉球政府が決定する」こういう覚書といいますか確認書が取り交わされているわけですね。さらに、運輸省としては、同飛行場民間航空訓練以外に使用させる意思はなく、また民間航空訓練以外の目的に使用させることを管理者である琉球政府に命令する法令上の根拠もないとの確認書屋良知事に提出をしておられる。これは一体どうなるんですか、第三種空港に変更するという場合は。少なくとも総務長官あるいは運輸大臣、県知事という責任ある三者で確認書が取り交わされておるわけですが、この取り扱いについてはどういうふうにお考えですか。
  8. 松本操

    松本(操)政府委員 四十六年八月十七日付の総務長官運輸大臣連名の回答につきましては、今後におきましてもその趣旨は生かされるというふうに理解すべきものと思っております。
  9. 上原康助

    上原分科員 そうしますと、先ほどの御答弁では、限定公共性というのはないんだ、公共か非公共だという区別で、限定公共とうのはどういう意味かということを、県から言われた場合疑問を持たれたということなんですが、いまでも政府立場としてはこの覚書といいますか確認書を尊重するということになりますと、訓練飛行場以外の目的には使用しないということに理解できるのですが、この点どうなんですか。
  10. 松本操

    松本(操)政府委員 公共用飛行場ということになりましても、これは沖繩県設置する飛行場でございます。したがいまして、第一義的には、沖繩県においてこのように使うということをお決めになる、こういうたてまえになろうかと思います。公共用飛行場ということになりました場合に、先ほど限定)というのは航空法上の取り扱いとしてはございませんということを申し上げたわけでございますが、公共用飛行場であります限り、合理的な理由がないのに特定航空機だけをどうこうする、こういう形はこれは本来の趣旨に反するのであろうかと思いますけれども、しかし逆に今度は、この場合には沖繩県でございますが、空港設置管理者である沖繩県が、当該飛行場運用安全性のため等の理由によりまして一定航空機利用形態について何らかの規制をするということ自身は、これはまた別途そういうふうに管理規程をもってお決めになればよろしいことでございますので、そういう点について運輸省がとやかく言うという問題ではない。ただ原則原則としておいていただかないと、これは私どもの方としてはそういう特殊な扱いがございませんのでということを先ほど申し上げたかったわけでございます。
  11. 上原康助

    上原分科員 もちろん理屈といいますか、あるいは空港管理という行政という立場考えるといま局長答弁なさるとおりかと思うのですが、私がお尋ねしたいことは、要するに第三種空港になっても県の管理下にあるわけですから、県の意向なりその地域の立場というのを全く無視しての空港管理、運営というのはあり得ないと思うのです。しかし法律上は特定のものを除外をするとかそういうことはできかねる、これもまたわからぬわけではありませんが、冒頭申し上げましたように、訓練飛行場目的以外には使用しないんだという大前提がこの飛行場設置に当たってはあったわけですね。したがってこの原則、前提を無視してはいけないと私たちは思うのです。もちろん、これは収益性の問題がどうなっているかということはありますよ。さらに県がその土地購入とか、今日まで約八年の間に投入した財政措置というのはこれは莫大な金に達しているわけですね。五十四、五億から六十億に近い。この面はどうするのかということ。  もう一つ、ずばりお尋ねしますが、政府としても軍事目的には利用させないという原則は堅持できますか。
  12. 松本操

    松本(操)政府委員 繰り返しになって恐縮でございますが、公共用であると非公共用であるとを問わず、この空港につきましては沖繩県設置管理する空港政府云々ということではございませんので、沖繩県設置管理する空港でございますから、先ほどお答え申し上げましたように、沖繩県としてこういう使い方をする、ただしそれは航空法の定める枠の中でのお取り扱いでないとつじつまは合わなくなってくるわけですから、その点は十分に御認識、御配慮いただいておると理解しておりますけれども政府云々ということではございませんので、県の方がどういうふうな使い方をするか、具体的に運用上どういうふうにするか、先ほど繰り返しのお尋ねでございますが、訓練以外に使うか使わないかという点につきましても、たとえば県の中で定期あるいは不定期的なものを入れるとか入れないとかこういうお話があって、その県の管理管理権の中においてその使い方をこのようにいたしたいというのであれば、それが法令上何ら抵触するところがない限り、政府としてそれにとやかく言う立場にない、こういうふうな趣旨お答えを申し上げているわけでございます。
  13. 上原康助

    上原分科員 それでは、申し上げるまでもないのですが、たしか空港整備法の第五条の二項か三項にありますよ。第三種にするにしても、いわゆる地方議会議決がなければいけないわけでしょう。さらに、いまおっしゃいましたように、それでは沖繩県なり県議会軍事目的利用させることは同意できない、あくまで訓練飛行場目的にした飛行場設置であったので、それに限定すべきだ、そういう議決なりあるいは方針を県全体として定めたという場合は、国としては、いまの御答弁からすると当然尊重せざるを得ませんね。
  14. 松本操

    松本(操)政府委員 たとえば公共用三種というふうにするためには、いまおっしゃいましたとおり県議会議決というものが必要でございます。したがって、県議会がそのような議決をなさらないというのであれば現状を変更すべき手続上のよりどころがないわけでございますから、いまのまま残る。  ただ、先ほど来いろいろと仰せられた中に、軍事目的に使用する云々のお言葉がございましたけれども軍事目的に使用するというふうなことがこの空港設置の当初の目的でなかったことは私ども承知はしておるつもりでございます。訓練飛行場としてスタートしたのも事実でございます。
  15. 上原康助

    上原分科員 そこで大臣、いま航空局長の御答弁、私とのやりとりで大体お聞き取りいただいたと思うのですが、そもそものスタートが非常に賛否両論があって、土地購入という面でも、大変残念なことでしたが、流血事件まで起きたいわくつき飛行場なんですね。これもどちらかというと、日本にとってはパイロット養成というような国策によって訓練飛行場が必要だ、アメリカ訓練をすると費用もかかるということだったのだが、その後の経済変化によって、いまはむしろアメリカ、海外でやった方が安上がりだ。倍以上かかるということでしょう。これはいずれまた議論したいと思うのですが、そういう状況でも過疎対策とか離島振興という面で、ある面では琉球政府時代屋良さんが国のそういった政策に協力すべきところは協力できるならやろうという立場でやってきたことなんですね。私はその善意は無視してはいけないと思うのです。  そこで、ちょっと整理をしますが、大体当初から軍事目的に使用するためじゃなかったのでそれは守りたい、というより尊重すべきだと思う、ただし、原則を言うとそうでないこともあり得るという言い分ですが、やはり当初の目的であった訓練飛行場ということに限定をして、かつ沖繩離島振興、そういうものに国としても十分こたえ得る、現段階では国内でパイロット養成することが費用面で高くつくかもしらぬが、これは将来を考えるとまた安上がりの面も出てくると思うのですね、経済動向いかんによっては。そういう立場からして、あくまで県側なり県議会立場というものを尊重して、この空港の性格なり運用については国としても当たっていく。少なくとも軍事目的が優先されるようなことがないという歯どめはびしっとかけておいていただかないといけないと思うのです。そうでないと県側県民全体の協力というものは得られませんよ。そのことについての大臣のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  16. 森山欽司

    森山国務大臣 下地島飛行場等について私が聞いておりましたことは、沖繩県訓練用、非公共用飛行場として本土復帰した四十七年度から国の一〇〇%の補助を受けて関連施設建設を進めてきたのでありますが、昭和五十三年に至って沖繩県から財政的、技術的理由から飛行場公共化について打診があった、それからこれと別に、南西航空那覇-下地線の開設について積極的な動きを示してきた、だから運輸省としては、沖繩県から県議会議決があって正式に第三種空港として公共飛行場の申請がされた場合はこれを認めるという方針であり、それでいいかというふうに大臣である私に事務方から話があった、それは結構ではないかというふうに私は考えていたわけであります。  それで、軍事目的とおっしゃるのは、恐らく自衛隊機をこの飛行場についてどういう取り扱いをするかということなんでしょう。そういう意味でありますが、これは先ほど局長から話がありましたように、第一義的には設置管理者である沖繩県が決定すべき問題である、しかし航空法上の解釈として限定公共という考え方はないということは先ほど申し上げたとおりでありまして、したがって、一般的に公共用飛行場においては特定航空機についてその利用を差別することはできないが、安全性とか管理上その他沿革上の理由もあって一定航空機利用形態を制限することはできないことはないだろうという返事が航空局長からあった。これは先ほどもこの会議が始まる前に、これは沖繩で大きな問題なのかとあなたに伺ったら、なかなか大きな問題だとおっしゃるから、いま政府立場で答えられるのはこの程度のところですということを申し上げたわけでございますから、せっかくあなたの御趣旨も体した、第一義的には設置管理者である沖繩県が決定すべき事柄であり、航空法上は特定航空機についてその利用を差別することはできないけれども安全性先ほど来の沿革等考えて、管理上の理由一定航空機利用形態を制限することはできないことはありませんという程度に現段階はとどめておいて、円満に収束をしていただきたいと私は思っているのでございますが、どうでしょうか。
  17. 上原康助

    上原分科員 きょうのところは大体政府考え方がわかりましたし、またこれは当然なんですが、国の考え方を押しつけるつもりはないのだ、またできないわけですから、その程度にとどめておきますが、少なくとも私が申し上げたようなことは無視してはいけないし、いま県議会も開かれていますからね。知事森山大臣友人かもしれませんが、県議会はまだわれわれの方が多数ですからね。そういったこともひとつお忘れないように、この問題については十分当初からの意向が入れられるように特段の御配慮をお願いしておきたいと思います。
  18. 森山欽司

    森山国務大臣 実は、知事は私の友人だ、こういうお話ですが、知事とこのことを全く当該ホットな問題としては話してはおらないのですよ。きょうあなたの顔を見て、あなたが特にいろいろ御発言になるからあなたの御意向をよく伺って、現段階ではこの程度発言でひとつ御了解を願いたい。むしろ知事の顔を見ないであなたの顔色を見て、したがってこの問題は本当のところ十分な認識はありません。十分な検討の時間も私はないのでありますが、当面の事態を収束するためにこの程度答弁でひとつ御理解を願いたい。あなたの顔色を見ているのですよ、知事顔色じゃないのですから、どうかひとつその点も御了承願います。
  19. 上原康助

    上原分科員 県側が出資をした問題等を含めて県なりからまたいろいろ御相談もあると思いますから、ひとつ無理をなさらないようにお願いをしておきたいと思います。  そこで、あと五、六分しかありませんが、那覇空港整備といいますか、拡張計画についてちょっとお尋ねしておきたいと思うのです。御承知のように、復帰前は那覇空港国際空港で、一時期国際線、いまでも二便ぐらい使っているんですかね、なんですが、北は千歳、札幌、成田、東京、大阪、福岡那覇という日本列島位置感からしても、那覇空港国際空港への格上げといいますか、一種空港への格上げというものと同時に、整備というものはどうしても必要じゃないかという気が私はするわけですね。今後の沖繩振興開発の大きな目玉としても那覇空港整備と中城湾港の整備というのが、これは何も革新だからとか保守だとかいうことでなくして、沖繩の将来を考えて、相当の県民コンセンサスを得つつ、そういうビジョンというよりも、単なる夢ではなくて現実化していきたいという希望があるわけです。しかし、五十四年度の空港整備関係予算というのは大幅にダウンしておるわけですね。わずかに那覇空港宮古空港滑走路延長程度しか出ていないということなんです。これは、離島空路がある程度整備をされてきたのでそういうことだというのは私もわからぬわけじゃありませんが、どうも運輸省那覇空港の第一種格上げの点について消極的じゃないかという感じを受けざるを得ないのですね。これはぜひ早急に県側とも御相談をしていただいて拡張を図る、あるいは海側の方に新しく空港立地をするということを含めて御検討いただきたいのですが、この件についてはどういうお考えを持っておられるのか、また運輸省としてどういう検討なり調査を今日までやっておられるのか、ひとつお考えを明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  20. 松本操

    松本(操)政府委員 沖繩県全体空港整備費は、いま先生おっしゃいましたように、離島空港整備が終わったのでダウンの傾向を示しておりますが、那覇空港は現在二千七百の滑走路を使っておるわけであります。これを三千メートルに延長したいということで、五十三年度の予算から実質的な作業に入っておるということは御案内のとおりでございます。  将来の那覇空港のありようといたしましては、いま一種空港格上げお話もございましたけれども現実的には那覇空港につきましては一〇〇%国費の負担でございまして、地元負担というものは、二種空港でありながら全然いただいていないということでございますから、名称を仮に一種にするかしないかというだけの話であって、県における実質的な面においては全く変わらない。現実国際線も何便か離発着をしておりますし、将来のことを考えますと、そっちの方向にやはり今後とも伸びていくだろうということは言えると思うわけでございます。  そこで、一つ問題として残りますのは、現那覇空港の外側と申しますか、海側の方にもう一本滑走路をつくったらどうかという構想と申しましょうか、こういうものが地元の方にあることは私ども承知いたしておりますけれども、当面の問題といたしましては、まず手をつけ始めた滑走路の三千メートルの延長をなるべく早く完全な形で終わらせてしまいたい、そして状態の変化というものをよく見ながら、なお県その他地元の方々とも十分御相談をして将来構想というものをじっくり練っていくという形で取り組んでいきたい、こう考えております。
  21. 上原康助

    上原分科員 沖繩開発庁、来ていますね。これは、現段階では滑走路延長というのがすでに着手されているわけですから、それを進めていくというのは当然でしょうが、しかし、振興開発特別措置法に基づいていまはおっしゃるように一〇〇%の国の補助となっているわけですね。あと三年で切れるのです、振興開発特別措置法は。その段階でどうなるかという一つの懸念も沖繩県としてはある。同時に、滑走路延長というのはやらなければいけないにしても、やはり国際空港にしていくには海側に新しい滑走路設置して、名実ともに南の玄関に位置づけていくという構想がこれは当初からあったわけですね。そういう意味では、振興開発計画の期限切れの問題とあわせて、このことについては十分いまから検討しておかなければいけない問題だと思うのですが、どうなんですか。
  22. 奥山文雄

    奥山説明員 お答えいたします。  ただいま航空局長の方からお話しありましたように、現在の那覇空港問題点といたしまして、一つ滑走路延長が必要ではないかということで、これは現実に先生のおっしゃったように私どもも対応いたしておるところでございます。  もう一つ、差し当たっての問題がこれから起ころうかと思っておりますのはターミナルの問題でございます。そういった面で現在の空港の機能を増進することに努めるといたしますと、かなりの期間空港の需要に対しまして対応できていくのではなかろうかと考えるわけでございます。  なお、さらに先生おっしゃいました将来の沖繩振興開発立場からこの空港検討すべきではないかという問題に対しましては、やはりいろいろな条件と今後の問題等考えながらじっくりと地についた考え方を進めてまいるのが適当じゃないかということでございます。以上でございます。
  23. 上原康助

    上原分科員 最後に、時間ですから、大臣、これは宮古にあんな三千メートルの滑走路飛行場をつくるよりも、那覇空港整備した方がずっと沖繩県のためになると思う。その罪滅ぼしにも早く着手したらどうですか、その決意を伺っておきたい。
  24. 松本操

    松本(操)政府委員 大臣お答えの前に……。いま振興局の方からも御返事申し上げましたように、現在の那覇空港というもの自身が、先生ごらんになってもおわかりと思いますが、まだ整備を急いでしなければならないことが残っておりますので、少なくとも使い始めたからにはこれがきちっとした形で使えるようにするのが大前提ではないか、早急に進めるべきではないか、それから先の問題についてはまた十分に地元の方と御相談をしていきたい、こう考えております。
  25. 上原康助

    上原分科員 運輸大臣は熱意がないということではならないと思うのですが、どうですか。
  26. 森山欽司

    森山国務大臣 那覇空港の沖合いに滑走路を新設する大規模な構想地元にあることは承っておりますが、本件につきましては長期的な構想として今後の航空業の動向を勘案しつつ検討してまいりたい。いまここでやると言えばすぐ手をつけなければなりませんから、そう言うわけにはいかぬ。先の問題として考えましょうということではいかぬですかな。
  27. 青木正久

    青木主査代理 この際、申し上げます。  日本国有鉄道総裁高木文雄君は、本日病気のため出席できませんので、あらかじめ御了承ください。  大橋敏雄君。
  28. 大橋敏雄

    大橋分科員 私は、国鉄の運賃、料金に関して若干お尋ねしたいと思います。  国鉄の再建問題は政治の最重要課題であるということは申し上げるまでもないわけでございますが、しかしながら、経営の改善計画の内容とその取り組み方次第では、改善にもなるしあるいは改悪にもなっていくということだろうと思います。政府は、国鉄の再建の柱として三つの柱を立てていらっしゃるようでございます。すなわち、国鉄の企業努力、財政援助、そして運賃の改定、この三つが再建の柱だとなされているわけでございますが、御承知のとおり国鉄運賃というものは公共料金の最たるものだと思うわけですね。他の物価への影響はきわめて大きいと思うわけです。現在わが国の景気がようやく回復されてきた、明るさを取り戻してきたというその陰に、はや諸物価の高騰が懸念され、インフレの足音が近づいてきたと言われているわけでございます。  そこで私は、特に国鉄の運賃、料金の今後の引き上げは旅客の国鉄離れを促進する結果となるので、むしろ値上げの実効が上がらないのじゃないか、国鉄の再建、改善にはつながらない、そして運賃の値上げは限界だ、こういう立場からお尋ねをしていくわけでございます。すでに五十四年度も八%の値上げを計画されているようです。五月の二十日から実施をされる予定になっているわけでございますが、私はこれは直ちに見直しをしていただきたいと思うわけでございます。  初めに、国鉄の経営に関して、まず五十二年度は国鉄が経営改善計画を策定して、新しい再建のための諸施策を具体的に実施した初年度であったわけでございます。いわゆるスタートをしたわけですが、実際の経営成績はどうであったかということをお尋ねしたいと思います。
  29. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 お答えいたします。  五十二年度営業収入から申し上げますが、五十一年度に実施させていただきました運賃改定のおかげもございまして、旅客一一九%、貨物一一〇%というのを含みまして、収入としては一九%ふえました。経費の方は、経費の節減に努力をいたしましたのですが、その中で特に人件費の退職金、これが一二六%、共済組合への交付金が一一六%というような伸びがございましたので、人件費全体で一一〇%、それから利子等が一二七%ふえておりますので、全部トータルいたしまして残念ながら一〇%経費がふえております。その結果、事業の純損失といたしましては、前年度に比べましては八百二億の減少はいたしましたけれども、なお八千三百三十九億円の赤字を計上いたしております。
  30. 大橋敏雄

    大橋分科員 いまお話がありましたとおりに、結果的には営業の純損失八千三百三十九億円、この額は年度当初の予定を三千四百六十億円も上回るものである。こういうことで、三カ年も連続して巨額の純損失を計上するに至ったということは、私はまことに深刻な、重大問題と言わねばならぬと思うわけでございます。  そこで、所管大臣運輸大臣にお尋ねしますけれども、国鉄の運賃値上げが結果的には旅客の国鉄離れ現象を著しくしているということはお認めになりますか。
  31. 森山欽司

    森山国務大臣 国鉄の運賃は、私鉄の運賃等と比べて考えてみますと、運賃値上げをしないで済めばそれにこしたことはないと思っておるわけでありますが、国鉄再建の方針にいたしましても、一生懸命やって立て直しを図る、そして一方運賃の値上げも考え、巨額の助成をして経営を続けていくという基本的な構えでありますから、今度も助成を抜きますと純損失になるのは広く解釈すれば一兆二千億ぐらいになりますから、それは運賃値上げをしなければしないにこしたことはないが、どうしてもある程度せざるを得ないということであります。われわれとしては、五月の連休が済んだ後の二十日くらいからは値上げをしようということになっておる。  それでは、値上げをしたってそれだけの増収になるかということでありますが、それは私はなるというふうに考えております。過去の例を見ましても、計画したとおりのパーセンテージにはならなくても、それに近いパーセンテージが今日まで実現しておりますからね。そして、運賃の決め方を工夫すれば、国鉄離れにならないような運賃の決め方のやり方もあり得るということで目下国鉄の方でも検討中であり、私どもも国鉄の考え方を聞いて最終的な腹固めをしよう、そういうところであります。
  32. 大橋敏雄

    大橋分科員 私が聞きたかったことは、こうした国鉄運賃の値上げが結果的には旅客の国鉄離れを著しくしているのではないですか、これはお認めになりますねということだったわけです。恐らくこれは認めざるを得ない、数字ではすべてそう出ておりますから。たとえば、まず国鉄の旅客輸送量の推移を見てまいりますと、新幹線では、五十年度をピークとしまして年々減少してきております。五十二年度は五十一年度より一二%も大幅減少ですね。在来線でも、四十九年度をピークに減少してきまして、五十二年度は五十一年度より三%の減少です。また一方、旅客収入を見てまいりますと、五十二年度は五十一年十一月の運賃改定のおかげで、前年比では二〇%の増収となっております。しかし、この二〇%は期待されておりました収入にははるかに及ばない低いものにとどまったわけです。いま大臣は、大体値上げしたその計画どおりの、ほほ近いところまでいっているとおっしゃいましたけれども、大分これは認識が不足しておると思いますね。こういう事実は、旅客の国鉄離れを雄弁に物語っていると私は思うのです。  まず、この国鉄離れの例を挙げますと、東海道新幹線「ひかり」は五十二年度前年比で一四%も減っております。「こだま」に至っては二一%の大幅減ですよ。御承知のとおり、国鉄は四十九年から五十年を除いて毎年毎年運賃、料金を値上げしてきたわけです。このために旅客がどんどん離れていったわけですね。さっきのお話じゃないけれども、五十一年の十一月の値上げでは平均五〇・三%も引き上げられたわけですね。旅客が五〇・四%、貨物が五三・九%。しかしながら実際の収入の方は二〇%しか伸びなかったというわけですから、これで大体計画どおり伸びてきているというような認識だったら私は大変な誤りだと思うわけです。  このように運賃の値上げが予想する増収とはなってこない。つまり国鉄というのは乗客あっての収入であって、客がなければ収入は当然ないわけです。にもかかわらず、また五十四年度五月二十日から八%の値上げをして一千六百五十億円の増収を見込まれるということでございますが、これは先ほど申し上げるように、国鉄離れがさらに進んで実効は上がりませんよ、私は現状据え置きが適当だ、こう指摘したいわけです。いま言った数字は、日本国有鉄道監査報告書五十二年度の中にきめ細かく数字が挙げられておりますが、これを見るとまことに低い状態でしか増収は図られていない。すべて国鉄離れだということなんです。どうですか、もう一回考え直されたらいかがですかと言いたいところですけれども大臣お答えを聞きたいと思います。
  33. 森山欽司

    森山国務大臣 私どもが聞いている数字では、五十一年十一月に実施された五〇・四%の運賃改定後の旅客収入状況は、当初想定した三六・九%には及ばなかったが、改定後一年間実績について見ると、対前年同月比おおむね三〇%の増収になっておる、また昨年の運賃改定後の収入状況については、改定後短期間しか経過していないので、まだ断定できる段階ではないが、最近の取扱収入実績等から判断すると、旅客運賃改定率一六・四%に対し、取扱収入一三%程度の伸びをしておって、全体として見ればかなりの増収効果があったものと評価できるというふうに私は報告を聞いております。そして、あなたのように値上げしない方がいいじゃないかという御意見もありますが、人によったら値下げした方が増収になるのじゃないかというひやかし半分の説をなる国会議員もいます。それは私がいま運輸大臣として責任あるポストにあるから申し上げるわけではありませんけれども、やはりそういうことはないということだけは――昔のように値上げすれば片がつくというような簡単な事態にない、そして目標どおりの値上げを実行するについては非常にきめの細かい配慮が必要であるということは事実ではございますけれども、そうかといって値上げを予定したが大幅にそれだけのことはない、むしろ値上げしない方がましだとかあるいは値下げした方が増収があるなんて、そういうことは全くない。それは、ちょっとひやかしとか何かとしてはおもしろいですよ。おもしろいけれども、いまの国鉄を立て直すという観点から言ったら、そういう議論に御説ごもっともという返事は遺憾ながらするわけにいきません。それはいま事務当局の方にもう少し詳細な説明をさせますが、そういうことはないというふうに考えます。
  34. 大橋敏雄

    大橋分科員 監査報告書を見ますと、五十二年度の鉄道旅客収入が約一兆七千二百三十三億円ですね。それでその伸びを見ますと、前年対比二〇%なんですよ。ですから、これは大変な認識不足だと思います。  いま大臣は、値下げした方がかえって増収になるんじゃないかという笑い話みたいな話があるとおっしゃいましたけれども、これは決して笑い話でもないと私は思うのですね。いろいろとこの中に述べられているのにそういう趣旨のところがありますよ。たとえば、飛行機とかあるいは乗用車にどんどん客がとられていっておるではないかというところもありますね。これは国鉄の運賃と飛行機の料金とがかなり縮まった、むしろ逆転したところもある、こういうことだというのですね。「航空機への転移は、最近、旅客の輸送手段に対するし好が変化してきたこと、昭和五十一年十一月の運賃改定後、国鉄運賃が航空運賃に近づき又は上回る結果となったことなどによるものと思われ、」これは、先ほど言ったように報告書の中に明確に示されておりますね。また、こう書いてありますよ。「都市間旅客の輸送は今後とも国鉄営業の中核となるものであり、営業活動の一層の強化により旅客需要を喚起し、収入の確保に努める必要がある。そのためには、需要の少ない季節及び線区における輸送力を有効に活用するため、創意くふうを凝らした販売活動により、旅客の誘致を図る必要がある。また、他輸送機関との競争関係が一段と厳しくなっている情勢のなかで、多様化した旅客のニーズにこたえるため、」いいですか、「運賃・料金の弾力的運用、エージェントとの連携強化、その他営業制度の見直しを行うなど、時代に即応し、」云々とずっと続くわけですけれども、要するに、本当に企業家になり切った経営をしていきなさい、こう指摘しておりますよ。だから、必ずしも一年通して低い値段でいけというわけではない。ある場合は、時期によってはぐっと値下げをしたり割り引きしたりしていくことの方がいいことだと監査報告で指摘していますね。だから大臣も、笑い話なんということで片づけないで、もう一回真剣にその声を受けとめて検討してもらいたいと思います。  時間がどんどんたちますので次に移りますが、国鉄再建の……(森山国務大臣「弾力的運営は否定していませんよ、結構です。それは今度の値上げの問題の是非論とは別でしょうと申し上げているわけです。時間が長くかかりますからやってください」と呼ぶ)  私は、今度の値上げもおやめになった方が国鉄離れを防ぐことになりますよ、これは考える余地がある、こう言っているのです。いいですね。  もう一つ申し上げますよ。国鉄再建の足を大きく引っ張っているのは、貨物部門の改善問題があると思いますね。国鉄赤字の半分以上を貨物で占めているわけですね。四十八年度の国鉄赤字四千五百四十四億円の中に貨物部門が三千百八十四億円、大変な額です。四十九年度は六千五百八億円の中に貨物部門が四千五十二億円も占めておる。五十年度は九千百四十七億円の赤字の中に貨物部門が五千百四十一億円、五十一年度は国鉄赤字が九千百四十一億円と言われている中に貨物部門が五千五百八億円。これはまさに、道路整備等がよくなってきた関係でしょうけれども、トラック輸送の急速な進展などによって鉄道輸送のシェアが著しく低下していることをあらわしていると私は思うのですね。ここにも赤字の原因がある。この輸送シェアの低下した原因の大部分は、政府がトラック等との競争条件の整備を怠ってきたことにあるのではないか、私はこう思うのでありますが、どうですか。
  35. 山上孝史

    ○山上政府委員 国鉄の貨物輸送量がここ数年来大幅に減少してきたという推移については御指摘のとおりだと思います。特に四十六年ごろから昨年度までの間におきましては、かなりの減少を見たわけでございます。  その原因は、先生からちょっと御指摘がありましたが、産業構造の変化とか、国鉄の対応策に遺憾ながらおくれがあったということ、あるいはストとか順法闘争などによる不安定な輸送感を与えたということ、景気の低迷、ほかの輸送機関との厳しい競争、さらには五十一年十一月に運賃改定を実施いたしましたが、これは相当に大幅なものでございました。このようないろいろな要因によってこのような貨物の減少ということがあったと思います。  そこで、政府といたしましては、五十年の十二月末に閣議了解で国鉄の再建対策要綱というのをつくりました。これは現在ある再建の基本方針の前です。それによりまして、貨物輸送につきましては現在の輸送機能の維持を前提といたしまして「当面昭和五十五年度において固有経費で収支均衡することを目標として、所要の近代化・合理化等の施策を講ずる。」こういう方針が定まったわけであります。その後、この方針に基づきまして国鉄を指導してきたわけであります。  国鉄はこの指導に基づきまして貨物の合理化計画というのを五十一年に定めたわけです。これによりまして、五十三年十月のダイヤ改正、いわゆる五三・一〇によって大幅な近代化、合理化施策を講じたわけであります。  そこで、幸い昨年八月以降の輸送量は対前年同月比で増加に転じてまいりました。御承知だと思います。今後も、おととし策定されました国鉄再建の基本方針考え方に基づきまして、国鉄に対しまして経営全般について抜本的な見直しをするということになっておりますが、その一環といたしまして、特に貨物輸送につきましては、先生も御指摘のように現在の国鉄の欠損の中で大宗を占めております。そこで貨物輸送につきましてもより一層の近代化、合理化を求めることにいたしております。  さらに、これは昨年道交法の改正によりましてすでに実現を見ておりますが、トラック対策の強化など公正な競争関係が確保されるように、さらに再建の基本方針にのっとりまして行財政上の支援を国鉄に対して行ってまいりたい、かように存じます。
  36. 大橋敏雄

    大橋分科員 昨年暮れから実施されたトラック等の過積載規制強化、この規制強化の後国鉄にかなり貨物が帰ってきたと言われているわけでございます。いまの説明で大分好転してきたやにその説明があったわけでございますけれども、この過積み規制強化というものは、一方では物価値上げの要因という副産物をもたらしてきたわけでございますけれども、国鉄の貨物との関係から見れば、競争条件が一つ整った、こういうことでしょう。またトラックとの関係では、そのほかに自家用トラックの営業類似行為とかあるいは運賃のダンピング等が指摘されているわけでございますけれども、要するに公正な競争を通じて適正な交通市場が形成されていく、これがひいては国鉄貨物部門の再建につながるのではないか、私はこう思うわけですね。ただ運賃を引き上げれば何とか再建できるという短絡的な考えだけはぜひともここで改めてもらいたい。つまり運賃値上げは限界に来ているのだということですね。こうした競争条件の整備ということにこそ真剣に取り組まねばならぬということでございます。  そこで、貨物部門の再建には近代化、合理化、これは重要でございますが、さらに積極的な営業活動を展開する、これが何より肝心だと私は思うわけです。そのためには、荷主のニーズに対応したサービスを提供することが重要だろうと思います。それにはまず、安定輸送の確保、先ほどストの問題等云々とおっしゃいましたけれども、安定輸送の確保というのは非常に重大ですね。それから到着時間の明確化など、きわめて重要な課題が山積しているわけでございますが、これは何といいましても、労働組合の協力がなければうまく進まない問題だと思います。この点について大臣として、労働組合との今後のあり方ですね、何かお考えがあればお述べになっていただきたいと思います。  それからもう一つ、もう時間が大分たってきましたので……。六万六千キロに及ぶ貨物列車キロ削減が、国鉄再建の大きな課題とされてきているわけですね。これがどこまで具体的に進んでいるかも、あわせてお答えを願いたいと思います。
  37. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 いま六万六千キロとおっしゃいましたが、五十三年十月にダイヤ改正を行いまして、貨物関係の見直しをやりました。その際には、五十一年に比べて、大体七万キロぐらい列車を削減しております。これは、列車を七万キロ削減いたしまして、現在四十七万キロということになっておりまして、そのほかに貨物駅の統合であるとかあるいは貨車の廃車であるとか、ヤードの統合整備、そういったものを組み合わせて行いまして、近代化の体質改善ということにいたしたわけでございます。これは五十三年の十月に一応終わっておりまして、今後どうするかということは、その成果を見ながら、もう一回この次のところでやっていきたい。  先ほど鉄道監督局長もおっしゃいました貨物の輸送改善につきましては、今回やったものと、もう一度考えておりまして、それはこれから勉強して、今後改善に努めたい、こういうことでございます。
  38. 大橋敏雄

    大橋分科員 もう時間が迫ってきましたので、大臣の答えを、これもあわせて聞きたいと思います。  これは要望なんですが、実は鹿児島本線に折尾駅というのがあるんです。これは北九州ですけれども、この折尾駅というのが、非常に老朽化した駅舎でございますが、鹿児島本線と筑豊線の交差駅になっているんですね。それから西鉄電車の発着所にも当たっています。また、西鉄バスの発着所でもあるし、タクシーの乗りおりの場所でもあるし、また最近、産業医科大学というのが同地区に設置されまして開校されて、人口が急増しているところでございます。折尾駅利用客は本当に大変なものでございますが、その駅前は、商店街に囲まれたような狭い場所しかないわけでございまして、この状況の中ではどうにもならぬ、この改善が必要だということで、地元でかなり深刻な検討がなされてきました。ようやく改善策が調整されまして、青写真ができ上がって、近く大臣のところにお願いに来るかと思いますので、その節は格段の御配慮を願いたいということです。先ほどの労働組合との関係とこれをあわせて、大臣のお気持ちを聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  39. 森山欽司

    森山国務大臣 運賃の問題は、値上げで国鉄の経営の安定を図るのは、そろそろ限界だぞということについては、これは同感でございます。しかし、当面五十四年度予算で千六百五十億の値上げをいたしました点は、もうすでに昭和五十四年度は、助成前というか、実質赤字一兆二千億円は税金で賄っておるわけでありますから、国鉄の面でも、やっぱり運賃値上げでこの程度のことはということで、今度改定いたしたわけでございますので、私どももこれが万能だなどとは夢にも思っておりません。そして国鉄の立て直しに、運賃値上げは限界もあるということも十分承知しておりましての上での、今回の値上げでございますので、どうか格別の御理解をお願いいたしたいと思っております。  国鉄の再建につきましては、一昨年十二月の国鉄再建の基本方針というものによりまして、昭和五十年代に収支相償うようにする。五十五年から本格的な体制をつくるために、五十四年にこの五十五年以降のめどを具体的につけていく。そのやり方の一つといたしましては、国鉄だけではいかんともしがたい問題、たとえば年金、退職金等の問題もあります。それから、地方ローカル線の問題も一部その中に入ろうかというふうに思っておりますが、そういう問題についてめどをつけつつ、国鉄の経営の立場において、経営の立場というのは、国鉄の理事者も本気になってやってもらわなければなりませんし、また従業員によってできております労働組合も、本気になってこの問題に取り組んでいただかなければいかぬのではないかというふうに考えておるわけであります。  それで、そういう意味で、実は私は、国会議員生活の大部分を労働問題と取り組んでまいったことは、大橋委員御承知のとおりであります。ですから、労働基本権とかストライキ権とかいうことになれば、私はそういう問題について、一番何といいますか、長年取り組んできた議員の一人であると人も見、私も自認をいたしておるわけでありますが、昨年暮れに運輸大臣に就任いたしまして、国鉄の経営の実情と取り組みまして、実に驚くべき状況になっている。昭和五十四年度予算において実質赤字と申しますか、助成前の赤字が一兆二千億円になるということは、国民一人頭、お年寄りも、おぎゃあと生まれた赤ん坊も、一万円の税金を国鉄のために負担しているということでございます。ですから、こういう状態を打開するためには、私はもうストライキどころではないと思っております。先ほど国鉄の貨物離れの一つ理由として、ストライキの問題が、あなたも指摘され、また運輸省の側からも発言がありましたが、私はまさにそのとおりであろうと思っております。そういう意味でこの段階では、ストライキ、組合は、いろんな性格の組合がありますが、いつもストライキをやるというふうに見られておりました組合におきましても、この国鉄の現状を考えれば、もう労使休戦してもらいたい、こういうふうに私は思っております。国鉄の立て直しに協力してもらいたい、こういうふうに思っております。国鉄だけの努力で、その内容は非常にいろいろありますけれども、そういう体制を私はつくらなければいかぬと思って、いま鋭意その体制づくりについて検討中でありまして、近くそのことについて組合側とも話をしたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  40. 大橋敏雄

    大橋分科員 折尾駅頼みますね。
  41. 森山欽司

    森山国務大臣 折尾駅の問題につきましては、承知しました。よく伺います。
  42. 青木正久

    青木主査代理 次に、神田厚君。
  43. 神田厚

    神田分科員 国鉄問題を中心にお尋ねいたします。  まず最初に、地方線問題でございますが、運政審の小委員会からの答申が出ておりまして、各ローカル線の地域におきましては非常に衝撃的な受けとめ方をしているわけでありますけれども、この答申を運輸省並びに国鉄はどういうふうに受けとめているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  44. 森山欽司

    森山国務大臣 運政審の小委員会からの答申がございました。その答申の中身は、後ほど事務方からもお話を申し上げますが、いろいろ問題があります。したがって、私どもはこの問題を軽く考えておりません。答申が出たわけでありますから、その答申の線に沿って考えるということは当然でありますが、そのままということよりは、この答申の線に沿って検討してまいりたいというのが現状であります。また検討中であります。
  45. 天坂昌司

    ○天坂説明員 ローカル線の問題は、国鉄にとりましても、再建してまいる上での大きな問題でございます。今回この問題が、運政審の場を通しまして、国の政策の問題として取り上げられましたことにつきましては、大きな意義があるものと私ども受けとめております。国鉄の経営改善を図るとともに、地域における公共輸送をどうしていくかという問題につきまして、効率的にその確保を図っていくんだという基本的な考え方が出ているわけでございまして、この点が一つの大きな特色ある重要なことであろうというふうに考えております。今後この問題につきまして、各方面で議論をいただくことになると思いますが、私どもといたしましても、この議論を承りながら、具体的な取り組み方につきまして、真剣に進めてまいりたいというふうに存じております。
  46. 神田厚

    神田分科員 いま大臣から、非常に大事な問題であるし、それをそのまま受けるというんではなくて、検討中だという御答弁をいただいたわけであります。この問題は非常に大きな問題でありまして、国鉄が、まさにこの運政審の方針に沿って、すべて問題を解決しようということに進み出すということは、非常に私は問題があると思うのであります。これを実施に踏み切る前提というものが、まず最初に整備されなければならない、こういうふうに考えておりまして、それは、とりもなおさず国鉄再建の基本方針にあるような状況が、現在そういうふうな形できちんと解決されているのかどうか、その辺はどうでございますか。
  47. 山上孝史

    ○山上政府委員 国鉄再建の基本方針、おととし十二月に策定された方針でございますが、この中で、国鉄自身の徹底的な経営の合理化、それから毎年の経費の増高分に対応する運賃改定による増収、それから政府からの行財政上の支援、この三本柱にのっとって国鉄の再建を進めるということでありますが、この大前提のもとに、政府側としての行財政上の支援ということ、それから国鉄の徹底した経営改善ということ、この二点につながる問題といたしまして、この地方交通線問題があるわけでございます。したがいまして、この問題につきましては、再建の基本方針にのっとって五十四年度中に具体的な方策をよく検討し、五十五年度から軌道に乗せる。それで、ほかの三本柱の諸施策と総合いたしまして、五十年代中に国鉄の収支を均衡に持っていきたい、こういうことでございますので、五十五年度までにはこれを実現するように、早急に具体策を詰めたいということでございます。
  48. 神田厚

    神田分科員 経営の合理化の問題一つとりましても非常に問題がありますね。これは後で御質問申し上げますが、この運政審の答申に沿った形での質問では、この中で具体的にいろいろな問題が出されておりますけれども、たとえば民間に対する譲渡あるいは第三セクターというのですか、そういうものに対するもの、こういう方針でやるような状況が書かれておりますが、運輸大臣は、こういう方向性そのものについてはどういうふうなお考えでございますか。
  49. 山上孝史

    ○山上政府委員 先生御指摘の報告書の中に、おっしゃるように、第三セクターに対しまして、鉄道の経営をお任せするというような提案も具体的に書いてございます。こういう点も含めまして、この報告書の趣旨に沿って、目下具体的な対策について検討中だということでございます。
  50. 神田厚

    神田分科員 そうしますと、具体的な対策について検討中だということでありますが、運輸省としては法案を準備しておるわけでありますね。そういうことは、この運政審の答申と関連を持った形で、法案が出るというように感じてよろしゅうございますか。
  51. 山上孝史

    ○山上政府委員 この運政審の小委員会の報告につきましては、再三同じことを繰り返して恐縮でございますが、その趣旨に沿って具体的な対策について検討中でございますが、その検討の結果によりまして、たとえば御指摘の、第三セクター等に国鉄の営業線を無償で譲渡するというような道を開くべきであるという結論になったという場合には、これは現在の日本国有鉄道法ではできませんで、それの改正等、必要な法律事項については、速やかにこれを提出する準備を進める必要があると思います。いずれにいたしましても、そのような具体的対策についての結論はまだ出ておりませんので、目下検討中ということを申し上げるわけでございます。
  52. 神田厚

    神田分科員 そうしますと、その結論を出す時期というのはいつごろになるんですか。
  53. 山上孝史

    ○山上政府委員 再建の基本方針にのっとっての措置でございますので、五十四年度中に具体策について検討し、遅くとも五十五年度から軌道に乗せるというような方向検討するということでございます。なお、具体的検討の結果、法律が必要であるという場合には、一番早い機会としては、今度の国会に提出して御審議を仰ぐということも含まれると考えております。
  54. 神田厚

    神田分科員 一番早い時期でそうだということは、この三つの方針が、たとえば経営合理化などについても、同時に一つの解決策というものを出してくるわけですね。そういうもので国民の納得を得た上で、並行してそれを出してくる、こういうふうに感じてよろしゅうございますか。
  55. 山上孝史

    ○山上政府委員 再建の基本方針の中では、先生も再三御指摘のように、三本柱、その中でも、特に当事者である国鉄自体の徹底した経営改善といいますか、経営合理化、これが大前提であります。そのような再建の基本方針で言っております三本柱を総合いたしまして、国鉄再建の総合施策を五十五年度から軌道に乗っけたいということでございます。  それからなお、国鉄の経営改善につきましては、現在経営改善計画に従って、たとえば昨年、いわゆる五三・一〇の貨物の合理化をしたわけでございますが、五十五年度から特に抜本的な対策を必要とするわけでございますので、この経営改善計画自体につきましても、この全面的な見直しを大臣から国鉄に強く指示をしているところでございます。
  56. 神田厚

    神田分科員 いま御説明を聞いていますと、どうも今国会で法案がきちんと整備をされて出てくるという感触は、私は持てないんでありますが、大臣は、いわゆる三条件の改善の方向や、その他の全般的な状況を見て、この法案提出の問題についてどういうふうに考えておりますか。
  57. 森山欽司

    森山国務大臣 鉄監局長事務方の最高責任者としまして、できればこの国会にも出したいという気持ちでしょう。しかし、それほど簡単な問題ではないと私は思っております。しかし、できるだけめどをつけるように努力するのは、事務的には当然でありますが、五月二十日ごろまでの会期内においてそれが可能かどうかということになると、そう簡単なものではないというふうに思っておりますが、しかしそういう方向に向かって大いに努力しなければなりません。そういうのが現状であります。
  58. 神田厚

    神田分科員 私も、この問題はやはり非常に大きい問題ですから、性急に法案を提出するということじゃなくて、もう少しその前提の条件が改善される努力を、先に国鉄はしなければならない、こういうふうに考えております。たとえば、幹線赤字の解消のめどはどういうふうになっているか。地方線の赤字に比べまして、幹線赤字の方が非常に大きいのはわかっております。さらには中小私鉄に比べまして職員一人当たりの収入の問題、人件費の問題、こういうものを考えていきますと、国鉄自身の経営努力というものがもっとしっかりされなければならない。さらには人員の問題もそうであります。合理化の一つ決め手になりますけれども、そういう問題についてはどういうふうな考え方を持っているのか、その辺のところをもう少しきちんとした、国民が納得いくようなものを出していただいて、そして、この地方ローカル線の問題は、同時に考えていくという形でなければいけないと私は思う。イギリスやフランスの例を見ても、赤字線に対する補てんというのはかなりの額、二千億程度やられているわけです。この国鉄の地方ローカル線の赤字というのは構造的な欠損だ。ですから、これは国庫によりましてやるべきでありまして、幹線赤字の方の問題を含めて、同時に考えていかなければならない。もしも幹線と地方線というのを分けるならば、国鉄自身を幹線国鉄と地方線国鉄と二つぐらいに分けて、経営について、もっときちっとした方針を別々に出していくような形にしなければならないのでありまして、これを民間に移譲するとか、第三セクターに移譲するとかいうことは、国鉄自身の責任放棄である。もっともっと自分の合理化の中でそういうきちんとした方針を出せるのであります。それは、第三者がそれじゃといってバスにかえても、地方バスは決していま赤字ではありません。最終的には利用者の利便に非常に困難になってくる、こういうようなことを考えるのですが、その辺はいかがですか。簡単で結構です。
  59. 山上孝史

    ○山上政府委員 地方交通線対策が、国鉄に対する構造的欠損の対策の一つであることは、これは事柄としては間違いないと思います。ただ、構造的欠損というのは、これは国鉄自身が徹底した経営刷新、経営合理化をして、それでもなおかつどうしても手に負えないというものに限るべきであります。その点、構造的欠損が先に出るということがあってはならないと思います。  そこで、私どもといたしましては、先ほどお答え申し上げましたけれども、国鉄の現在の経営改善計画の全面的な見直しを、五十五年度の予算に必ず間に合うように、国鉄自体がまず考えて、それを運輸省にお出し願うということを、大臣から強く指示をしておるところでございます。特に、これは再建基本方針にも指摘されておりますが、国鉄につきましては、今後十年間、退職者というものが相当に多いわけであります。したがって、その退職者の後補充を極力抑制するということを眼目に、経営改善計画の徹底した見直しをしてもらうということを大前提にしております。地方交通線対策だけを取り出して、それでこれだけを進めていくという、いわゆる国鉄の再建エゴになってはならない、かように存じます。また、小委員会の報告にもそのようなことが結論にはっきり指摘されております。
  60. 神田厚

    神田分科員 時間がありませんので最後の問題になりますが、労働組合では、この運政審の答申を解釈して、当然こんなふうな形になるだろうという線区を新聞発表等しております。栃木県でも、足尾線、真岡線、烏山線、こういうものがその一つの対象区になって発表されております。地元の住民は非常に不安を持っておりますが、こういう問題についてはどんなふうにお考えでございますか。
  61. 山上孝史

    ○山上政府委員 小委員会の報告については、先ほど来再三お答えしておりますが、その趣旨に沿って目下具体策について検討中ということでございまして、その報告の中身についていろいろ問題があります。たとえば地方交通線の範囲をどうするか、また三つに区分する区分の基準をどうするかというようなことが、その具体的な検討の中身です。それが決まらないのに、どの線区がどうであるという結論は出ないわけでございます。
  62. 神田厚

    神田分科員 そういう問題には国鉄の方では関知してないし、基準自身も決まってないからわからない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますね。
  63. 山上孝史

    ○山上政府委員 現在報告の趣旨に沿って具体的な対策の検討中でありますので、その検討の結果、いま言った基準なり範囲なり問題点が詰まらないと、具体的な線区がどれに対応するかということは決まらないということでございます。
  64. 神田厚

    神田分科員 そうすると、出されたけれども、三つにするか二つにするかということもわからない、こういうことでございますね。
  65. 山上孝史

    ○山上政府委員 小委員会の報告はその趣旨に沿ってということでございますが、分類を三つにするか二つにするかということが、その趣旨に沿った範囲内であるかどうかという問題があります。私が申し上げましたのは、三分類の場合の分類の基準をどうするかということは、報告書では具体的な数字がないわけでございます。そこら辺も、報告書に沿って検討している中身として、いろいろな問題点一つにそれがある、それも決まらないのに、具体的な線区がどれに入るのかということは決まらないということを申し上げているわけでございます。
  66. 神田厚

    神田分科員 この問題もちょっと時間がありませんから後に譲らしていただきます。  続いて、東北新幹線の問題につきまして御質問申し上げますが、進行状況が非常に心配であります。一応完成のめどというものはいつごろにされておるのか。それから、大宮以南の問題はどんなふうに解決しようとしているのか。特に栃木県は、五十五年国体を迎えることになっておりまして、何とか国体までにという多くの県民の要望があるわけなんでありますが、その辺を踏まえまして、ひとつまず大臣の方はどんなふうなお考えでございますか。
  67. 森山欽司

    森山国務大臣 東北新幹線、五十五年度中に開通、こういう目標であります。栃木県の国体は五十五年の九月ですからね。五十五年度中というと、国体が始まるまでに新幹線を通すということは、必ずしもタイミングが合うということにはならないかもしれません。しかし、できるだけ国体にタイミングが合うように、駅舎をきれいにしたり、駅前広場を整えたり、そういうことについて、国鉄側にできるだけのことをしてもらいたいということは話してあるわけであります。  開通の問題は、五十五年という基本方針は今日もって変わらないのでありまして、というのは、現在は五十三年度の一番終わりのころでありますからね。この時期に先に延ばすということを言わない方が、諸般の意味においてよかろうということで、五十五年度開通の基本線で進んでおるということでありますが、問題は、上野-大宮間に問題がある。その件についていま鋭意努力中であります。ですから、ここで五十五年度中に上野-大宮間がけりがつかなくても、大宮以北だけで開通するんだということはまだ言わないということで、いま進んでおるわけでありまして、その間に上野-大宮間にできるだけの手を加えて、努力していきたいということであります。どうも上野から東北新幹線を五十五年にやるというのは、なかなか容易ではないといまのところ思っておりますが、なお努力したいというのが私ども考え方であります。
  68. 神田厚

    神田分科員 大臣の方から御丁寧に御答弁いただきまして、国鉄の方からは結構でございますが、非常に含みのある発言で、大宮始点にして暫定的な開通もあり得るというような感触を持ちました。やはりいろいろな状況がありますけれども、これは計画に沿った形で、なお一層御努力を願いたいというふうに思っています。  最後になりまして大変恐縮でありますが、ローカル的な御質問をさせていただきます。  国鉄真岡線のダイヤの改正あるいは直通列車の運転等の要望が非常に多いのでありますが、この問題と同時に、国鉄東北線の石橋駅が、非常に乗降客が多くなりまして、急行をとめていただけないかと、あそこに大きい工場などもありまして、そういう要望等があります。簡単で結構でございますから御答弁いただきたいと思います。
  69. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 真岡線のダイヤにつきましては、確かに昼間かなりあいた時間帯のところがございます。あの線は、閉塞の関係とかそういうもので、現在の本数で考えてみまして、もしそこのところを若干いじるとなると、貨物との絡みで、今度はほかのところで非常にあいてしまうということで、現状ではなかなか、そこをいじると今度はほかが当たって、たとえば通学に当たるとか、そういうことになるのでちょっとむずかしいのじゃないかということが一つあります。  それから、直通列車は、たしかいつか御質問があったと思いますが、なかなかむずかしいので、接続を何とかしたらどうかということで、これは小山の駅が五十三年十月の時点で、いままで一面で扱っていたのが二面になりまして、非常にそういった御要望が多いということを踏まえて、かなり勉強した結果、われわれの方としてもできるだけのことはやったつもりでおります。ただ、これで百点かというと、まだそこまでもいかないので、次回に本線との絡みでいろいろな改正があれば、また心がけていきたいということであります。  それから、石橋の駅は日産自動車の工場がありまして、乗降がかなりあるのじゃないかということで、これもちょっと調べてみたのでございますが、現在のところ確かに適正人口からしますと、比率から言えば、ほかの駅よりは若干多いということは言えますが、駅間の距離とかあるいは実際のお客さんの絶対量からいきますと、残念ながらちょっと急行というところまでいかないかなという感じがするので、今後どういうふうにお客さまが動くかということもにらみ合わせて、いろいろ勉強していきたいと思いますが、現時点では、ちょっとほかのところと比べると若干格差がある、こういう感じでございます。
  70. 神田厚

    神田分科員 ひとつよろしくお願いします。大変ありがとうございました。
  71. 青木正久

    青木主査代理 次に、吉原米治君。
  72. 吉原米治

    吉原分科員 運輸省の自動車局に主として質問をいたしたいと思います。  地方におけるバス路線の運行につきましては、今日まで対策要綱によりまして細々ながらでも何とか維持されてきております。その間の運輸省の努力に敬意を表します。しかしながら、対策要綱で掲げているバス事業の自立あるいは企業基盤の強化等々の目的から言いまして、まだまだ不十分な現状であることは御承知のところでございます。年々対策要綱も改善されてきておりますけれども昭和五十四年度ではどのように改善をしていこうとされておるのか、最初にお尋ねをいたします。時間が余りございませんので、概略は私も承知をいたしておりますので、ひとつ簡潔にお答えを願いたいと思います。
  73. 梶原清

    ○梶原政府委員 地方バス対策といたしまして、来年度は大変厳しい財政下でございますが、さらにその内容を拡充強化をいたしまして、予算額としましては八十二億九千万円、対前年比で一二・八%増の予算を予定しておるところでございます。その制度改正の主な内容につきまして御説明を申し上げたいと存じます。  四点ございまして、まず第一は、市街地乗り入れ部分の一部を補助対象に追加するということでございます。人口十万人以上の都市で、関係陸運局長が人口密集市街地として指定をいたしました地域に乗り入れている運行系統につきまして、現行の制度では、市街地乗り入れ部分にかかる経常費用を、すべて補助対象外といたしておるわけでございますが、これを五十四年度予算案では、市街地乗り入れ協定に対応する経常費用の一部を補助対象に追加する、こういうふうに考えておるところでございます。  第二番目は、経営改善に対する評価制度、いわゆるインセンティブを採用することでございまして、バス事業者の実績経常費用が標準経常費用を下回ります場合、現行制度では当該バス事業者の実績経常費用補助対象としておるわけでございますが、五十四年度予算案では、標準経常費用と、これを下回る実績経常費用との差の一部を補助対象に追加をいたしたい、かように考えておるところでございます。  第三番目は、企業集約の進んでいない地域におきます、いわゆる丙種整備地域のことでございますが、丙種事業者が他社と競合していない路線にかかる補助限度を変更したい、引き上げたい、こういうことでございまして、現行制度では、補助対象経常費用の四分の一を限度として都道府県が補助し、これを超える欠損部分につきましては、市町村の補助等によることといたしておるわけでございますが、五十四年度予算では、他の事業者との系統が競合していない運行系統につきましては、補助対象限度を現在の甲、乙種事業者と同様に、三分の一に改めたい、こういうことでございます。  第四番目は、廃止路線代替バス運行費を拡大することでございまして、廃止路線代替として運行している市町村バスにつきましては、現行制度では燃料費、油脂費、及び車両修膳費を補助対象といたしておりますが、五十四年度予算案では、新たに減価償却費、保険費、施設賦課税等を補助対象に追加をいたしたい、かように考えておるところでございます。
  74. 吉原米治

    吉原分科員 なるほど一定の改善はなされておるようでございますが、そのただいま申された四点について、それぞれ問題点がたくさんあるように思われます。時間の関係で改正点の全般にわたって質問できませんので、二点目に説明されましたインセンティブですか、評価制度について、集中的にお尋ねをいたしたいと存じます。  まず最初に計数的なことでございますが、標準経常費の積算根拠、これを明確にしていただきたい。  二つ目には、経常欠損額が補助限度になっておりますが、それに到達している企業と未到達の企業は、全国で補助対象企業百六十社ぐらいあると思いますが、そのうちのどのような割合であるのか。最初に二点、計数的なことをお伺いしておきます。
  75. 梶原清

    ○梶原政府委員 まず第一点でございますが、補助金算定の基本となります標準経常費用の算定方法でございます。全国を三十五のブロックに区分をいたしまして、それぞれのブロックに存在します原価計算対象事業者の実績経常費用のトータルを、実車走行キロで除しましたものを、キロ当たり標準経常費用といたしておるわけでございます。  第二番目の点でございますが、五十二年度に地方バス補助金を交付しました事業者は、先生先ほど御指摘のとおり百五十八社に上っております。このうち、路線バス事業の欠損まで補助金を交付した事業者は二十七社でございまして、全事業の欠損額まで補助金を交付いたしましたのが七社ございます。したがいまして、残る百二十四社につきましては、補助金交付額が欠損額までには到達をしていない、こういう状況でございます。
  76. 吉原米治

    吉原分科員 ただいまの説明で、標準経常費以下で経営努力をしている事業者に対して、今回補助額の上乗せを配慮されているようでございますが、御承知のように、現行制度では経常欠損額を限度としておりますから、限度額に到達している企業は、実はその恩恵に浴さないということに相なるわけでございます。特に過疎路線を抱えておる地方のバス企業のほとんどが、実は累積赤字を持って、真に自立ができない現状でございます。結果的にはそのしわ寄せは不良債務、つまり莫大な借入金に依存をしなければならない。したがって、その支払い利息の経常会計に占めるウエートは大変に大きくなってきております。結果的にはそのことが経常欠損を生む一因にもなっておる。したがいまして、累積赤字を抱えている企業に対しては特別措置を講ずる、つまり、限度額を超える補助金で累積赤字を減らすことは、即支払い利息の減、イコール経常欠損額の減、イコールそれは国の出す補助額の減少にもつながっていく、そういうことに相なるわけでございますので、もちろん累積赤字解消後はその必要はございませんが、この際、せっかく評価制度という制度も採用されたわけでございますので、まんべんなくその趣旨を生かせるような、特別措置を講ずるべきではないかと思いますが、いかがでございますか。
  77. 梶原清

    ○梶原政府委員 昭和四十年代当初から、地方バスは非常に苦しい経営環境下にあるわけでございまして、どちらかといえば縮小路線をたどってきておるというのが現実でございます。したがいまして、私どもといたしましては、まず第一番に経営合理化、適正な運賃水準の確保、経営環境の改善、それに加えまして、先ほど来論議をいただいております、国及び地方公共団体による助成で対応してまいったところでございます。  先ほど御指摘のとおり、努力すれば努力するだけ補助金も減るわけでございます。それに対する何らかの対策を切望する声が非常に強いわけでございまして、五十四年度予算におきまして、経営努力、経営改善に対するインセンティブの採用ということを考えておるところでございます。しかしながら、この補助金というのは、一般会計の貴重な財源でございまして、私どもといたしましては、この事業者ごとの補助金といいますのは、補助対象期間ごとのバス事業、または全事業に係る経常欠損を限度とするという考え方で、従来とも参っておるわけでございまして、五十四年度予算につきましても、その補助の限度を累積欠損額まで引き上げるというふうには考えていない、こういう現状でございます。
  78. 吉原米治

    吉原分科員 自動車局長のおっしゃるその気持ちは、よく私も理解がいくわけでございまして、言われる趣旨はよく理解ができるのですが、考え方としては、累積欠損まで解消するようなところまで、この補助金制度というのは発足当初から考えていない、そのとおりでございます。ところが、累積赤字を抱えておる企業とすれば、勢い借入金に依存をして運行しなければならぬ、運営しなければならぬ。そのしわ寄せが、結果的には経常欠損にあらわれてくるわけですから、ほっておけば、いつまでたっても国の出す補助金は減らない。だから、標準経常費以下ということは、大変その事業者が経営努力をしておるわけです。運輸省方針どおり、まじめに事業に取り組んでおるということが言えると思います。ですから私は、何も企業にプラスするようなことを言いたくはございませんけれども、少なくともそういう不良債務を持っておる。そのことによって毎年毎年経常欠損を出していくということになる限り、大事な国の補助金、財源をそのことに投じなければならぬ。年々補助金が少なくなっていくことが望ましい形だろうと私は思いますので、そういう意味では、ひとつ標準経常費以下で努力している企業に対しては、そこまでメスを入れて不良債務をなくす、そして結果的には経常欠損を少なくする、それは即国費の有効な使い方にもなる、そういう観点でこの特例措置を、ぜひ近い将来考えていくべきじゃないか、こう思うのでございますが、事情はわかった、だから、これから先ひとつ検討しようというお考えが、局長におありになるのかどうなのか、その点をもう一度念を押して聞きたいと思う。
  79. 梶原清

    ○梶原政府委員 バス事業は非常に苦しい状況にあり、合理化も非常に進んで、企業努力もしていただいておるわけでございまして、バスの従業員も、昭和四十年には二十四万人でございましたのが、今日の段階では、十六万七千人ぐらいに少なくなっておるわけでございます。そうした経営の努力、交通環境の整備、改善、こうした努力を一方においてやって、進めてまいりたいと思うわけでございますが、この補助制度を、先生御指摘のとおり、いま直ちにインセンティブの拡大をさらにさらに進めていくということにつきましては、相当問題点があろうと思いますので、十分慎重に検討したいと思っておるわけでございます。
  80. 吉原米治

    吉原分科員 そこで、従来からこの補助制度の矛盾点といいますか、問題点といいますか、過去も私どもはその改善策を主張してまいったところでございますけれども、今度の改正にぜひのせていただきたかった点が数点ございます。一つは国と県との負担割合を、現行フィフティー・フィフティーになっておりますのを、せめて三分の二もしくは四分の三にして、つまり国の負担分をふやすべきじゃないか。そうしないと地方公共団体は財政的に大変圧迫をされておりますので、昨年でございましたか、広島方式について質問いたしましたけれども、とかくああいう事案が起こりかねない。ですから、国の負担割合をぜひひとつふやすような方向で、今後御検討願いたい。  二つ目には、乗車人員が十五名以上、一種路線といいますか、これは黒字が前提にされておる。これは、この制度発足当時の算定でございまして、今日では十五人以上といってもいろいろでございますが、せめてこれが現状に適合する数字としては、二十人ぐらいのところまで引き上げなければ、現状にそぐわぬものじゃないかという状況がきておりますので、これも次回の改正のときにはひとつ御検討願いたい。  それから三点目には、十回以上の運行回数のある路線は、生活路線から外されております。これとても利用者のニーズにこたえて事業者がやっておりますので、そういう意味では十回以上という回数は余りにもシビア過ぎる。せめて十五回ぐらいに引き上げるべきじゃないか。これは、市街地に乗り入れをする部分については、経常費用の一部を補助対象に追加してやる、こういう精神にもつながっておるやに私は思います。ですから、ぜひこの問題についても御検討を願いたい。  四点目には、こういった路線別の非常に複雑な計算をするのではなくて、もっと簡単にできる方法はありはしないかと、私は絶えず考えておるわけでございますが、少なくとも事業者がまじめに企業努力をして、労働条件につきましても世間並みの労働条件で、バス路線の公共性を守っていく限り、そこから結果的に出た赤字については、国の責任で措置するようにすれば、複雑な計算をしなくて済むのじゃないか、こう思います。その限りにおいては、政府の各事業者に対する監査権、こういうものも厳しくやる必要があるでしょうけれども、事業者がまじめに、そしてむだのない、効率的な経営をする限り、その結果出てくる経常欠損は国の責任で全額見てやる。これは私の持論でございます。  以上四点、検討課題といいますか、何年も先にということでなしに、近い将来この四点についてはぜひお考えを願いたい、こう思いますので、ひとつ局長の決意のほどを伺いたい。あるいは四点申し上げましたけれども、その四点の中で、この問題は検討に値する課題だから、早速今年度からでもひとつ検討してみようという問題点がございましたら、ひとつお答え願いたいと思います。
  81. 梶原清

    ○梶原政府委員 地方公共団体に対する補助割合、第二種生活路線の枠の拡大、運行回数十回以上をさらに拡大すること、あるいは制度の簡明化といいましょうか、簡素化、こういう四点につきまして御指摘がありましたが、一般会計で補助をいたしております現在、予算に飛躍なしという言葉も言われておりますようなことで、非常にむずかしい状況下でございますが、できるだけ実態に沿うように努力をしてまいりたい、かように考える次第でございます。
  82. 吉原米治

    吉原分科員 たくさん質問したいことがございますが、時間がございませんので、次に進みます。  最近、白ナンバーによる営業類似行為が頻繁に起きておりますが、たとえば土建会社だとかあるいは各種の事業場、旅館、こういったところに、送迎バスというものがかなり白ナンバーで配置がなされております。最近に至っては、特にレンタバスによる貸し切り行為というのが、大変業界でも問題になっておるようでございまして、そういったレンタバスの、全国で二団体あるようでございますが、そういうものは紛らわしいから、むしろ貸し切り免許でも与えたらどうかというような声もあるやに聞いております。  そこで、前段に申し上げました送迎バスと称する、白ナンバーによる営業類似行為、なかんずくレンタバスによる貸し切り行為、こういうものが野放しにされておるようであっては、大変既存業者の足を引っ張ることになる。片一方では貴重な補助金を出して、各事業者の自立、企業基盤の強化、こういうものを守っていこう、片一方ではそういうことで、既存業者の足を引っぱるような行為が野放しにされておるということであっては、私は片手落ちであろうと思います。したがって、現在までどのような取り締まりがなされておるのか、今後どう取り締まっていくのか。特にトラック業界では、取り締まり官のようなものが、どういう範囲か知りませんけれども、配置されておるようでございますが、少なくともバスに類似するこの種の問題については、取り締まりの制度もないように伺っております。今後どのようにされていくのか、ひとつ見解を伺っておきたいと思います。
  83. 梶原清

    ○梶原政府委員 まず、バスの数字をちょっと申し上げますが、昭和三十年に自家用のバスは二千台でございましたのが、昭和五十二年度には十三万七千台、非常に伸びておるわけでございます。それに対しまして、営業用のバスは、昭和三十年に三万三千台でございましたのが、五十二年度には八万七千台、このような伸びで参っておるわけでございまして、この非常に伸びてまいりました自家用のバスの中には、道路運送法違反をいたしておるものが、少なくないのではないだろうか、かように考えるわけでございます。  このバス部門における輸送秩序を確立するということが非常に大切な課題でございまして、私ども昨年の八月に、各陸運局長に、「自家用バスを使用して行う貸切バス経営類似行為の防止について」という通達を出しまして、自家用バスの貸し切り営業類似行為を厳重に取り締まるように、通達をしたところでございます。とりわけ御指摘のレンタバスは、今日の姿で全国に八千六百台にも上っております。残念ながら、そのほとんどが貸し切り営業類似行為をやっておる、こういう状況でございます。これに対しましては、厳格な姿勢をもちまして対応し、輸送秩序の確立のために努力をしてまいりたい、かように考えております。  なお、御指摘の貨物の関係で、貨物輸送監理官というのを全国の陸運局、主要な陸運事務所に十五名配置をいたしております。五十四年度予算では、さらに二名の増員をしていただくことになっておりまして、トラック輸送秩序の確立のために役立とう、こういうことでございます。  バスにつきましては、そういう手だてはございませんけれども、官民挙げてこの輸送秩序の確立のために、今後努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  84. 吉原米治

    吉原分科員 白ナンバーによる営業類似行為の具体的な一例を申し上げますと、事業場ではございませんが旅館、モーテル、こういうところでは片道一時間もかかってお客を積んできて、そして半日ぐらいの宴会を済ませて、また送り届ける、こういうことが、かなり頻繁に行われておるのですが、その場合の料金の取り方、これがバス料金というような形で取ってない。つまり席料とかサービス料とかいう形で結果的には利用者から取っておる、こういう事実がたくさんあるわけでございますが、これらに対する取り締まり方法といいますか、規制の仕方といいますか、バス料金として取ってはいかぬけれども、席料もしくはサービス料と名前を変えて取れば、それは営業行為ではないんだという御見解なのかどうなのか。そんな見解は持っていらっしゃらないと思いますけれども、その点について時間もございませんから簡単にひとつ、お考えをお聞かせ願いたい。
  85. 梶原清

    ○梶原政府委員 他人の輸送需要に応じて輸送します場合にはバスの事業免許を必要とするわけでございまして、他人の輸送需要に応ずるかどうかということが判断基準になるわけでございます。ところが実際の面に当たりましては、そうしたほかの料金、代金にかぶせて徴取するというふうなケースがございます。なかなかその判断というのはむずかしいことになろうかと思うわけでございます。私どもといたしまして、旅館なりモーテル等が白ナンバーのバスを持ちます場合に、その車両登録を行います前に当該車両の保有理由等を記載した書類を出していただいて、違反行為を行うおそれがあるかないかということを確認する措置を講じつつあるわけでございます。今後、こうした白ナンバーバスで貸し切り営業類似行為のないように、あらゆる努力を重ねてまいりたい、かように考える次第でございます。
  86. 吉原米治

    吉原分科員 時間が参りましたから終わります。
  87. 青木正久

    青木主査代理 次に、大原亨君。
  88. 大原亨

    大原(亨)分科員 私は、広島市を中心とする公共大量輸送機関を中心に質問いたしたいと思うのです。  現在の国有鉄道は、言うなれば国民のための公共輸送機関として、どうあるべきかということを考える点においては、そういう判断力とか、そういう要請にこたえる機能を果たしていない、果たす能力がないのではないか、私は、こういう疑問を持っておるわけでございます。運輸大臣もそう思いますか。  問題は、たとえば広島市には新幹線以外に旧山陽本線が通っているわけです。しかし、広島市を中心に広島駅そして横川駅それから西広島駅、市内にこういうふうにあるわけですが、この広島駅からは芸備線が出ていまして山陰につながれておる。それから横川駅からは可部線が延びまして郡部の加計、三段峡と、これは浜田まではつないでおりませんけれども、そういうふうに延びておる。これは過疎線。ただし運輸大臣も御承知だと思うのですが、その可部線と芸備線の沿線部は、この十数年来、非常に人口の急増地帯であります。  この公共輸送機関における国鉄の役割り、位置づけをどうするかということは非常に重要な問題であって、運輸省や国鉄が、運輸省は全体の公共輸送をやりますが、国鉄が住民の要求に従って、この可部線や芸備線の改善に対する投資等をやらないということであるならば全く考え方を変えて措置しなければならない。そういう意思と能力が国鉄にないのかどうか。たとえば、ここに国鉄線に対する投資をいたしまして経営を改善いたしてまいりますと、これは黒字になることは間違いない、乗客があることは間違いない。そういう投資をもやる意思と能力がないのであるかどうか、こういう問題であります。過疎線の議論は、きょうはいたしません。いたしませんが、都市近郊の国鉄の、たとえば具体的には広島における可部線と芸備線の機能について改善するための投資をやることが必要ではないかというわけであります。  この問題については運輸省の管轄の広島陸運局が主宰をいたしまして関係知事や首長や財界や地元の住民を集めまして「広島都市圏における大量旅客輸送体系の基本計画に関する答申」を五十年八月二十七日にいたしておるわけであります。しかしながら、答申は出しましたけれども全然それが動いていない。そして、その当時に挙げました資料にもあるわけでありますが、広島市の公共輸送の問題は北西で、つまり運輸大臣も御承知かと思うのですが、北部の方の可部とか、あるいは沼田町とかいうところに大きな住宅街が伸びているわけであります。そこの例を一つとってみますと、北西の場合と北東、南東の場合あるいは西の場合を、それぞれ分けてやっておるのですが、一番ひどい交通地獄は北西であります、つまり可部線と芸備線が延びている沿線であります。そこの、芸備線の沿線は別にいたしまして、可部線の沿線だけの資料によりますと、現在の鉄道による輸送量が二千六百名であって、その限界輸送量いっぱい運転いたしましても四千二百名。バスについては七千五百名の輸送量であるのですが、これを若干改善いたしましても限界は一万二千です。あとはマイカーその他でありますけれども、それが想定によりますと昭和六十年には合計いたしまして三万四千名の人が流入することになるわけでありまして、これはピーク時一時間でありますけれども、にっちもさっちもいかないような状況であります。  そこで、北西の方の可部線をどうするかが一番大きな問題であります。芸備線をどうするか、これは非常に隣接をいたしておりますが、私は、その答申を受けて、たとえば可部線の必要なところまでの複線化をやる、あるいは立体交差をやる、そして横川から広島駅の方に向かっては都心部を通って地下鉄をつくっていく。その地下鉄の経営をどうするか、第三セクターでやるか民間に任すか市がやるか、そして国鉄とつないで相互乗り入れをする、あるいは可部線と芸備線をつないで環状線をつくるかどうか、こういう問題等について、これは採算がとれるのですから、住民の要求があるのですから、国鉄がそういう問題について、新幹線の五線なんというふうなことを、赤字線になることがわかっているものについて大きな投資をいたしまして大借金をするよりも、こういう問題について、じみちな投資をしていけば経営も改善されるのではないか、住民のニードにも沿うのではないか。そういう投資のあり方、経営の仕方の転換を国鉄はすることができるのかどうか、これが第一。  意思がない、能力がないということになれば、それはできませんということをはっきり言いなさい。はっきり言えば別の手段をとるわけです。別の手段をとって公共大量輸送を充実させていかなければならぬ。たとえば建設省が例を出しておる。これは思いつきであると思いますけれども、御承知であれば、時間があればお答えいただきますが、これはそういうことになっておるわけです。その基本的な問題について、ひとつまず国鉄から答弁してもらいましょうか。国鉄から答弁してもらって、運輸大臣、ひとつ基本的な監督方針を明らかにしてもらいたいということです。
  89. 高橋浩二

    高橋説明員 広島地区におきまして、いま先生もおっしゃいますように広島地方の陸上交通審議会で、いま先生の御提案になったようなことが審議されております。私どもの現地の管理局長もこれに参加させていただいて、広島地方の地方交通、都市交通をどうするかということを検討されております。  いま先生のおっしゃいます可部線だけについて申し上げますと、まだ可部線自体は、非常にこの沿線はいま住宅が張りつつありますけれども、実際に運転しておりますのは二両ないし四両の車両で運転してございます。私どもは、複線化ということも重要でございますが、まず車両の増備その他が先に行われて、それから複線あるいは電化というものになっていくのではないかというふうに考えております。一番問題は、可部線で横川の駅でお客さんをおろしたのでは、むしろ広島市内とか町の中心部へまた二次輸送が出てまいりますので、この審議会でも場合によっては可部線を延ばすというよりも市内の中心部の地下鉄等をつくって、それと可部線とを接続させて輸送の完璧を期すべきではないかという御提案になっていると思います。ただ、この都心部、市内の中心部に地下鉄をつくる等については非常に大きなお金がかかりますので、ただいまの国鉄の現状では、国鉄自体ではできない、非常にむずかしいというふうに考えております。しかし、昨年から国からの一部助成も都市通勤に対しては広島地区についてもいただけるような制度の道が開けてまいりましたので、そういう点をあわせて考えますと、必ずしもできないかというと、もう少し助成その他の問題をいただけますれば、国鉄としても十分研究していかなくちゃならない問題というふうに考えております。
  90. 大原亨

    大原(亨)分科員 もう一回ひとつ国鉄答弁してください。昭和五十年に運輸省が主宰いたしまして、そして国鉄も、自治体も、財界、地元住民も全部入りまして一定の答申が出ているわけです。それに対して、五十年に出したのですが何らこたえていない。こたえていないだけでなしに国鉄はこれに積極的に取り組むという意思がない。これは国鉄の経営の基本方針にかかわる問題ではないかということで、きょう質問することにしたわけでございます。  いまお聞きをいたしますと、まず一番の問題の可部線、これは三段峡に至る、奥地へ行きますと過疎線で問題になっておるわけですが、しかし近いところは、これが改善をされましたならば利用客は間違いないわけです。あるいは、これに新しい線をつないでもよろしい。そういう投資をするならば間違いないわけですから、そういう問題について、まず国鉄はやるのかやらないのか。増便について、まずやる。それから複線の問題が出てくるだろう、立体化の問題が出てくるだろうという話ですが、そういう方針決めて何年計画で、こういうふうにやりますという計画を立てて、そうして実際にこれを実行する意思があるのかないのか。  最近ちょっと私は、そういう人口過密地帯で公共輸送を要する地域については投資を考え直すべきだというニュースを若干聞いたわけです。国鉄も少し頭を変えたのかなと思ったのですが、国鉄がだめだということになれば、これは全然別の計画でよろしいと私は思う。しかし国鉄が、たとえば可部線については、まず横川まで出せば横川からは、広島には日本じゅうで珍しい路面電車があるわけですから、そこから市内に直ちにつなぐこともできる。しかし、この問題は地下鉄を通すという問題もある。しかし、国鉄がそういうふうに改善をして計画的に投資をするという意欲が明確になれば他の方が動いていく、こういう仕組みである。その経営形態等はだれが経営をするかということは別にして、相互乗り入れもできる、そういうことになれば一定段階で広島市の交通をどうするかということが開けてくる。いまは全く交通地獄でラッシュアワー、ピーク時等は全くひどい状況ですね。だから周辺地域に家を建てた者はどんどん市内にまた入ってくる。こういう状況です。ですから国鉄は、そういう必要なところに住民の要求に沿うて投資をするという方針は捨てていない、逆に一歩一歩やっていくのだ、こういうふうに理解をしてよろしいのですか。
  91. 高橋浩二

    高橋説明員 国鉄の使命といいますか、旅客輸送につきましては一つは都市間輸送ということでございますが、もう一ついま先生のおっしゃいますように大都市内の通勤輸送ということについても重要な使命を持っておるというふうに考えておりますので、お客様の流れに応じて逐次増強していくということについては先生のおっしゃいますとおりに考えております。
  92. 大原亨

    大原(亨)分科員 それでは昭和五十年にそういう答申があったのに対して、具体的な動きはないのですか。
  93. 高橋浩二

    高橋説明員 いま答申にもございましたように、また先生もおっしゃいましたように、この可部線に並行して道路がございまして、道路の輸送と鉄道の輸送が実は競合したかっこうになって、私の方のサービスが悪いと言えば、それもございますけれども、実際の輸送量はバスによる輸送量の方がはるかに鉄道以上の輸送を逐次受け持ってまいりました。そういう結果もございまして、私の方のお客様の伸びが余り伸びなかったという実態がございます。最近、道路が非常に混雑をいたしまして、逐次また私の方にお客様が戻ってきているという実態を踏まえまして、ただいまのところでは車両の増備あるいは新しい車両を入れるというようなことで対処してまいりましたけれども、そろそろ、それも限界に近づいてきているかなというふうに考えております。
  94. 大原亨

    大原(亨)分科員 それでは運輸大臣、たとえば可部というところがあるのです。御承知かと思うのですが、北部の一番中心地。地図を見てください、可部。そこから午前六時ころから出れば別ですが、ピーク時、朝の二時間くらいは広島市の中心部へ入るのにマイカーにいたしても最低一時間から二時間かかるわけです。バスは専用レーンを設定いたしましたから少し早いのですけれども、しかし、それでも支え切れないわけです。もし鉄道が立体交差にいたしまして複線にいたしましてスムーズに便数をふやしてまいりますと、そこに乗客が集ってまいりまして、改善いたしますと恐らく二十分ぐらいで行きます。住民にとってはこれは大変なことですよ。一番大きな都市問題であります。  もちろん西の方にも東の方にも皆あるのですよ。あるのですけれども、総合的な公共輸送体系で国鉄が中心を果たしてもらわなければならぬということなんです。そうするならば、そういうところへは投資をいたしましてもバスだけでは追っつかぬわけです。マイカーには限界があるわけです、ガソリンも高くなるわけですから。ですから国鉄がそういう確固たる方針をやって年次計画をつくって住民の要求に沿う。複線化を含め、立体交差を含めて住民の要求に沿うという方針決めれば、そうすれば横川の先に地下鉄を、国鉄も含めるかどうかという問題も含めて、だれが主体でやるかという問題が具体化するわけです。陸上から地下鉄でつないでいけばいいわけですから。それは絶対にやらなければいかぬという情勢にあるのですが、国鉄が動かぬから、これはどうにもならぬということですね。私が質問いたしました点について、運輸大臣はどういう感じを持っておられますか。
  95. 森山欽司

    森山国務大臣 大原さんの御質疑について国鉄側が用意した答えを私が見ますと、なかなかいいこと書いてありますよ。ちょっといま読み上げますが、可部線、芸備線の通勤通学輸送改善については、どう考えているのかという点について、通勤通学輸送の改善については線区の利用動向等を考慮し、できるだけの手当てを行うよう配慮してきております、可部線、芸備線についても通勤通学時間帯列車の編成増強や新型車両の投入などを行い、輸送力の増強に努めてまいりましたが、今後とも検討してまいりたいと思います、と書いてありますから、この書いてあることを自体だと、あなたの御趣旨に沿うような答えですが、これは国会答弁で、あなたの御趣旨に合わないような実際なんですかね。あなたの御主張と、この紙に書いてある答弁というのはどういう差があるのか、私はその辺のところをむしろ伺いたいと思う。  君、ちょっと答弁したまえ。
  96. 高橋浩二

    高橋説明員 これまで輸送力をつけるために、たとえば新しい十七メートルの車両を二十メートルにするとか、あるいは二両だったものを三両にするというふうに、お客様の需要に応じて特にピーク一時間、朝のラッシュ等について、そういう車両の増備等で輸送に対処してまいりましたというのが私どものいままでの対処の仕方でございます。  何が違うかということでございますが、私、いまの先生の御質問を聞いて、そうでなくて、もっと単線を複線化し、なおかつ市内の中心部まで入れるという別の計画がもしできるならば、それと相互乗り入れをしながら、もっと輸送力をつけていけば、しかも、もっとフリクエンシーを増していけば輸送がもっとふえるのではないかというふうな先生の御質問かと思います。ただ私の方で最初に申し上げましたように、複線化等については非常なお金もかかりますし、特に市内に入れます地下化の問題等については非常なお金がかかりますので、いま直ちに、それに取り組むという時期ではないのではなかろうかというふうに私の方は判断をしているというふうに申し上げたわけです。
  97. 山上孝史

    ○山上政府委員 先生御指摘の五十年の広島地方陸上交通審議会の答申は承知しております。ただ、その中で先生も御指摘ありましたが、整備及び運営の主体について、この審議会の答申では非常に気を使っておるわけです。と申しますのは、ちょっと何ページあたりにありますか、八ページですか、もしあったらごらん願いたいと思いますが、一般論としまして、鉄道の整備主体は非常に金がかかるから長期低利資金の確保が容易でなければならぬ。また、極力金利負担の軽減措置が可能である主体にすべきだ、こういうことを言っておるわけです。さらに本件につきましては、国鉄、地方公共団体それから国ですね、これらの協力が絶対必要なんだ、これが前提だと書いてありますね。そこで「その具体的な協力システムのあり方については、国鉄財政問題、地方公共団体財政問題等との関連で、国家的レベルでの検討に待たなければならないことは当然としても、」と書いてあるのですが「地元としては、関係方面との対応を積極的に進め、早急に整備・運営主体が決められるよう万全の努力を傾注」しなければいかぬということでありまして、第一義的に、やはり地域交通の問題でございますから地元の地方公共団体それから国鉄の出先機関、ここら辺がもっと積極的に、陸運局長も監督の関係にありますので参画をいたしまして、それで具体的な検討について努力をさせるべきだと思うのです。そのようなことで現在、運輸省としては、地方交通の問題として、まず地域において消化をしていただき、その結果に対しまして国として応援できるものは応援いたしたい、かように存じております。  なお国鉄につきましては、ここでも指摘がありますように国鉄財政問題ということがいま非常に大きな命題になっております。さらに、おととしの国鉄の再建の基本方針でも、先生御承知のとおり国鉄は無論、都市間交通のほかに大都市圏の旅客輸送を将来とも担当すべきである、こう言っておりますが、同時に再建の方針の中では、新線建設等についての投資につきまして、やはり投資採算を十分に考慮して国鉄の将来の経営上の負担軽減に努めなければならぬということもありますので、そこら辺のことを配慮しながら、まず地域においてよく相談をさせたいと思います。
  98. 大原亨

    大原(亨)分科員 私が言っているのは、運輸大臣、可部線それから芸備線について、芸備線の沿線も特に最近、物すごく住宅が建ったわけです。県も住宅政策に力を入れまして三万人ぐらいの町がぽこっとできておるわけです。そういうこと等で、やはりそういうふうなもたれ合いのかっこうになったのでは、これはいつまでたっても五十年の答申が一歩も前進していない。進んでいないではないか。まずやはり国鉄が公共輸送機関の中心として、せっかくいまの線路を持っているわけですから、それに対して投資をします、協力があればこうします、こういう方針を明確に出して、そして協力を求めるべきではないか。最近は中国縦貫自動車道ができまして、そして国道五十四号線広島-松江間というものも物すごいラッシュになって、それがずっと可部等を通っているわけです。トラック等の輸送を担っておる。縦貫自動車道がずっと西に延びれば延びるほど、北部から広島市に集中してくるわけです。ですから北西方面からの輸送機関というものは混雑してくるわけです。それは麻痺状況になるわけです。ですから、それを突破するのには何と言っても国鉄が広島市の周辺に対して思い切った政策を示すということ、これをやはり決意することで開けてくるのではないか。国鉄がそういう意思や能力がないということになれば、ぼくは全然別のことを考えた方がよろしいと思う。  地下鉄をつくる。それは大きな都市ですから、どこでもあるわけですから、もうつくったっていいです。ですから横川から都心部へ抜けて広島市の駅に通ずるような地下鉄を構想することが必要だと思うのですが、その前提はやはり可部線について立体交差すれば早くなるのです。複線化すれば早くなるのです。できるならば芸備線との間において地下鉄で線をつないで環状線にしてもよろしい。いろんな案があるけれども、私はそれよりも、もう少し大きな北部の方に回した環状線の構想でもいいのじゃないか。  だから五十年の答申は少し情勢が変わっているということと一緒に、いまの麻痺状況を打開し、特に縦貫自動車道が通って五十四号線その他北部からの洪水的な車が入ってきておるという状況で、一般通勤通学が麻痺状況にあるわけですから、それを突破するのには国鉄がまずやるという方針、腹構えをして地元の諸団体と相談をするということが必要ではないかと思うわけです。陸運局が答申出したって、運輸省が答申出したって、だれが進めていくのか主体が明確でない。国鉄はそういう問題については全然取り合ってくれないということです。少々便数をふやす、そのくらいでは改善されないから客が集まらないのですよ。利用しないのです。悪循環ですよ。その頭の切りかえをして、思い切った設備改善の投資をすべきではないかということですね。運輸大臣いかがです。
  99. 森山欽司

    森山国務大臣 大原さんから非常に強力に迫られましても、私もまだ十分のみ込んでいないのです。国鉄側の答弁では、とにかく可部線の通勤通学輸送の改善は一生懸命やります、またやっています、こういう答弁が出ておるから、それでいいのかと思いましたら、さらに一歩進んで結局あなたの話は、可部線、芸備線の複線電化とか可部線の一部高架化、そういうものを国鉄が中心になってやれ、こういうことですな。それじゃこの問題について国鉄側から、もう一回意見を聞いてください。私あなたとはもう長年のお知り合いでありますけれども、この話は、私はあなたからは、きょう初めて聞いたわけですから、なかなか判断が……。ちょっと答えてください。
  100. 高橋浩二

    高橋説明員 いま大臣のおっしゃいます可部線、芸備線の輸送力について、まず先生のおっしゃいますのは、もっと複線化にして、もっとフリクエンシーのサービスを増していけということについては、先ほど申し上げましたように、まず車両の増備からしたい。ただ車両の増備をするにいたしましても、前後にただいま踏切等がございまして、なかなか長い列車にはならないという実態はございます。そこで高架化をすればホームの長さも長くなって踏切との関係がなくなりますので、もっと長い編成長ができるのではないか、それも一つの解決の方法かと思います。そこで高架化の問題については、これは都市計画事業でございますので、都市計画者が高架化事業を立案されるならば、私の方はそれと協議をいたしまして十分御協力を申し上げて、まず高架化をしていくことについてはお受けできると思います。そういうことで、まず車両の長さを少し長くしていくということから、私の方は実は考えておりまして、いま直ちに……
  101. 大原亨

    大原(亨)分科員 よし、わかった。もう時間が来ましたから協力しますが、もう一回、運輸委員会かどこかへ出てやりますけれども、そういう事務屋の考え方じゃだめだ、こういうことを言っているのです。みんな後ろの方では頭をこうやっているよ、私が言ったら。そんなことじゃ国鉄はよくなりませんよ。それから住民の要求に沿えませんよ。それなら全然別の考え方でやらなければだめですよ、これは。そういう一般の住民の要求ですよ。声ですよ。ですから、これはひとつ十分政治的な配慮をしていただいて、そして政治的な決断で、この答申の中に中央における意見の合意等も求めているわけですから、その点について善処してもらいたいと思います。  じゃ、一言だけ。
  102. 森山欽司

    森山国務大臣 せっかくの大原先生の御指摘でございますから、十分検討さしていただいて、特に、これをつくっても損はないぞ、こういう御趣旨でございますから、そういうことであれば、いま国鉄財政は非常に困難な時期ではありますが、できるだけのことをいたしたい、そういうふうに考えております。
  103. 青木正久

    青木主査代理 次に、長田武士君。
  104. 長田武士

    長田分科員 私は、首都圏における都市交通輸送体系の問題と、通勤新線並びに池袋副都心ターミナルの問題について運輸大臣並びに国鉄総裁にお尋ねをいたします。  まず最初に、昭和四十七年三月一日、当時の丹羽運輸大臣は、都市交通審議会より六十年を目標とする基本計画、すなわち東京圏高速鉄道網整備計画の答申第十五号を受けて、その後、各関係者の尽力により実現の方向で推進されていることは私もよく承知をいたしております。そこでお伺いしたいことは、以上の経過を踏まえまして、すでに七年を過ぎておりますが、この整備計画の中で、これまでの推捗状況はどうなっておるのか、また今後、東京圏における鉄道整備をどのように進めていくのかお尋ねをいたします。簡単にしてください。
  105. 山上孝史

    ○山上政府委員 先生御指摘の十五号答申、これのその後の実施状況でございますが、東京圏における地下鉄等の整備につきましては計画路線四百三十キロ、その中で約三〇%に当たります百三十三キロの路線が開業中または工事中でございます。今後この十五号答申の具体化につきまして積極的に努力をしてまいりたいと思います。
  106. 長田武士

    長田分科員 それでは時間の関係もありますので、具体的な問題に移ります。  西武池袋線の混雑状況について、どのように把握されておるか御説明を願います。
  107. 山上孝史

    ○山上政府委員 西武池袋線の五十二年度の輸送人員は年間二億九千万人でございまして、一日約八十万人を輸送しております。最混雑区間は椎名町と池袋の間でありますが、準急が十両、普通電車が八両編成を二分ヘッドで運行しておりまして、混雑率は二三〇%であります。現在、練馬-向原間を五十六年九月を完成目途としておりまして予定どおり完成されたといたしますと、この区間の混雑率が一五〇%となる見込みでございます。
  108. 長田武士

    長田分科員 では西武八号線練馬-向原間の西武鉄道の地下鉄線建設及び都市計画に基づく練馬、石神井公園を結ぶ高架複々線化工事について、先ほどの進捗状況の中では、この八号線関係は工事中の中に入っておるわけであります。ただいま申し上げましたように西武池袋線の複々線工事並びに西武八号線の工事の現状と今後の見通しについてお尋ねをいたします。
  109. 山上孝史

    ○山上政府委員 西武地下鉄線と西武池袋線の高架複々線化工事につきましては西武池袋線の池袋-石神井公園間の輸送力を増強するとともに、営団地下鉄の八号線との相互直通運転によりまして、西武池袋線と都心を直結して交通の利便を図りたいというものでございます。  この工事の実施につきましては、一部沿線住民が日照、騒音等の公害を理由に反対しておりまして、都市計画事業の事業主体であります東京都が地元協議会等の場を通じまして地元住民との話し合いを進めてまいりましたが、これまで何ら合意が得られずに、工事実施の前提となる都市計画手続の進展が遺憾ながら見られない状況にございます。このために一部用地の買収を除きましては建設工事の進捗が図られていないのが実情でございます。この工事の施工の主体であります西武鉄道は、計画手続の進捗状況によりまして建設工事に着手したいという意向を持っております。当運輸省といたしましては建設につきまして東京都、地元住民との話し合いを積極的に進め、早期にこの建設工事が行われるように期待しているところでございます。
  110. 長田武士

    長田分科員 建設省見えていますか。  お尋ねします。西武池袋線の高架化に係る都市計画関係の手続の進捗状況、都市計画の決定から今日までの経緯はどうなっておるか、簡単に説明してください。
  111. 並木昭夫

    ○並木説明員 都市計画関係の手続でございますが、昭和四十五年十二月に都市計画地方審議会に諮問されまして、四十六年一月に都市計画決定がなされております。その後四十六年に連続立体交差化事業として補助採択をいたしまして、四十六年七月に、その一部でございます環状八号線及び補助百三十四号線との交差点に関します区間約一・六キロメートルの都市計画事業の認可を行ってございます。  この事業の実施につきましては、先ほど運輸省から御答弁ございましたように、地元関係者の合意を得るため説明を重ねておりますが、一部の関係者から地下化にすべきであるというような意見が出されておりまして、その調整に難航いたしております。このために東京都におきましては五十二年の一月に西武立体化対策協議会というものを設置いたしまして、昨年の十二月までに計二十三回の会合を重ねまして意見の調整を図ってきております。この中で五十三年の十二月に学識経験者の委員から高架が最も望ましいということ、また新駅の設置地元対策等を実施すること、あるいは環境対策に力を用いるというようなことを内容といたします提案がなされておりまして、現在その提案がなされておるというような段階というふうに聞いております。  なお事業費につきましては、現在までに一部の測量設計として約三千万円を執行いたしております。
  112. 長田武士

    長田分科員 都市計画決定がなされたのは、いま御答弁がありましたとおり四十六年一月九日であります。そのうち一部事業認可が四十六年七月九日におりており、以来七年半も実は経過いたしております。当初の完成予定は五十五年三月であったにもかかわらずなぜ高架の工事ができなかったのか。いま、いろいろ説明を伺ったのですけれども、また、この間の予算上の措置についてはどのような経緯を持っておったのか、あるいは五十四年度予算の計上はどうなっておるのか、この点どうでしょう。
  113. 山上孝史

    ○山上政府委員 ただいま先生御指摘の予算の問題でございますが、そのような前提条件が満たされた場合には直ちに着工し、それに必要な予算は確保してございます。
  114. 長田武士

    長田分科員 西武池袋線の立体化については、輸送力の増強と都心乗り入れの便利性という二点と沿線住民との両者の整合性を持たせた解決が早期になされなければならない、そう思います。こうした点を考慮した上で、今後における高架化工事の見通し及び方針についてはどうでしょうか。
  115. 山上孝史

    ○山上政府委員 先ほどお答え申し上げましたけれども、都市計画の問題が解決できれば鉄建公団関係の工事それから連続交差高架化の工事、両方とも直ちに着工ができるわけでございます。その工事の委託を受けます西武鉄道といたしましては、いつでも、それに対して対応できるという体制をとっているわけでございます。
  116. 長田武士

    長田分科員 そうなりますと高架化の方針というのは決定しているわけですね。
  117. 並木昭夫

    ○並木説明員 この問題に対します建設省の方針でございますが、西武池袋線の桜台と石神井公園間の連続立体交差化事業につきましては、平面交差によります道路混雑の緩和であるとか、あるいは踏み切り事故の解消といったような観点から早期に事業に着手したいというふうに考えております。この当該区間につきましては、全体の事業費あるいは工事に要する期間、鉄道の運行上の問題等を勘案いたしますと、鉄道を高架化する方式が妥当であるというふうに考えております。ただ、高架化に伴います騒音であるとか振動であるとか日照阻害あるいは電波障害等々の環境問題に対しましては、付近住民の生活環境に十分配慮しつつ事業を実施していきたい、いく必要があるというふうに考えております。  この事業につきましては、事業主体であります東京都と関係住民の方々との協議の推移を見ながら、なるべく早く着工できるように東京都を指導してまいりたいというふうに考えております。
  118. 長田武士

    長田分科員 ただいま御答弁ありましたとおり、建設省では高架化の方針が確認されたわけですね。この場合、沿線の環境対策には経済的、技術的にも可能な限り積極的な対策を講じていただきたいと考えております。また、さらに西武池袋線をこのまま放置すれば混雑はますますひどくなりまして、利用者に対するサービスは低下する一方であります。こうした混雑の緩和を図るためにも、一日でも早く着工されるよう強く要望いたします。  続いて、運輸大臣にお伺いしたいのでありますが、これまで八号線等の問題で論議してきましたが、着工中とはいっても、このように一部用地の買収のみというありさまであります。こうした現状は八号線だけではないと思います。また着工予定の中には、グラント・ハイツ跡地に予定しておりますところの練馬-高松間の十二号線については着工の目途さえも依然として立っていないのが現状であります。このような状況では、昭和六十年を目標とする基本計画の達成が可能かどうか。もし、これが不可能だとするならば、緊急性の高い路線について重点的に建設を推進していく決意があるのかどうか、先ほどの要望とあわせて大臣の決意をお伺いいたします。
  119. 森山欽司

    森山国務大臣 都市交通審議会第十五号答申、先ほどお話がありましたが、これは昭和六十年を目標といたしておるわけでありますが、この計画路線を現実整備するに当たりましては、先ほど来いろいろお話がございました環境問題等のいろいろな問題、事業者の財政問題、路線の採算性、国の財政状況等の困難な事情がありますが、今後とも実情に即し、必要な路線の整備を図るというふうにいたしたいと考えております。
  120. 長田武士

    長田分科員 大臣、御答弁ですけれども、どうかひとつ、こういう状況下にありますので、具体的な問題を洗い直していただいて、進捗状況の推進を早く図っていただきたい。よろしくお願いします。  次に、通勤新線計画に関連してお尋ねをいたします。私は昨年に引き続き、池袋副都心ターミナルの問題について二、三お尋ねをいたします。  首都圏を取り巻く中で、特に北関東一帯の市街化開発等により東京都の人口の外延化が進み、これに伴って北関東から都心、副都心に流れ込む通勤客の増加が著しいわけであります。そこで私は、昨年の本分科会で、こうした通勤輸送について、一点集中を避け、東京都の都心分散策を推進する立場から、東北線、高崎線の大宮以南を分離し、池袋への乗り入れを図り、これに伴うターミナルの整備拡充をすべきであると提案をいたしました。その後、運輸省は国鉄に対して通勤新線構想の事業認可を出したと伺っておるわけでありますが、そこで、この通勤新線構想の概要について御説明をいただきたいと思います。
  121. 山上孝史

    ○山上政府委員 御指摘のいわゆる通勤新線といいますか通勤別線につきましては、首都圏の北部の通勤通学の輸送改善に寄与することを目的としておりまして、昨年の十二月十六日、認可をいたしました。区間といたしましては赤羽-大宮間十七・一キロメーター、それから大宮-宮原間四キロメーターでございます。総工事費は約二千七十億、工事の完成目途は五十五年度でございます。
  122. 長田武士

    長田分科員 一方、東北本線、高崎線から赤羽経由で池袋方面への通勤通学者は著しく、池袋副都心の発展とともに現在、赤羽線は過密状態となっておるわけであります。こうした状況に対して、国鉄は輸送改善計画をどのように考えておるのか、この点をお尋ねします。
  123. 高橋浩二

    高橋説明員 先生のおっしゃいますように、ただいま赤羽線は非常な混雑をいたしております。混雑をいたしております理由には二つございまして、列車の長さが八両編成だということ、それから列車と列車のラッシュ時における間隔が五分三十秒ピッチであるという二点がございますので、この二点から、需要に応じた輸送力の増強を図りたい。とりあえず八両編成をもう少し、九両ないし十両にできないかということで、ただいまそういう方向で工事を進めてございます。具体的には、そのためには池袋と赤羽、両端をまずホームを整備しなければならぬということで、それに取りかかっているところでございます。
  124. 長田武士

    長田分科員 それでは、宮原から大宮を経て赤羽駅まで線増された通勤新線について、これが赤羽線に直結される計画の構想はどのようになっておりますか。
  125. 高橋浩二

    高橋説明員 先生のおっしゃいますように北関東から朝、東京に入ってこられるお客さんのうち三分の一ぐらいが池袋、新宿方面へ流れております。したがって私の方は、そういうお客さんの流れに合わせた設計をということで一応、通勤新線と赤羽線とは物理的にはつなげるようなかっこうでただいま工事を進めております。どういう輸送をするかについては、ただいまいろいろ検討いたしておりますので、そういう可能性があるということは申し上げておきたいと思います。
  126. 長田武士

    長田分科員 目途はどうですか。
  127. 高橋浩二

    高橋説明員 でき上がる予定は五十六年度に予定をいたしております。目途とおっしゃいますのは、そういう列車編成ができるかという目途については、いま申し上げたように、ただいま検討いたしておりますので、きょうここでは、ちょっと申し上げられませんけれども、そういう方向検討をさせていただきたいと思います。
  128. 長田武士

    長田分科員 御承知のとおり池袋駅は、国鉄だけではなく東武東上線、西武池袋線あるいは地下鉄丸ノ内線、有楽町線などが池袋駅で合流しておる関係上、混雑をきわめておるわけであります。  そこで、池袋駅における一日の乗車人員を見てまいりますと、五十二年度平均で四十五万二千三百六十三人。この数字は新宿駅の六十六万二千九百二十六人に次ぐものであります。この乗車人員をさばいているホームについてでありますが、これは本数で言いますと池袋駅は山手線の内回りと外回り、それに赤羽線の三本しかないわけであります。これに対して新宿駅では八本のホームでさばいております。そこで、これを一本のホームで単純計算してまいりますと、池袋駅では一本のホームで十五万人、新宿駅では一本のホームで八万人をさばいておる勘定になります。このように比較しても明らかなように、池袋駅が日本で一番混雑しておるというのが実態なのであります。こうした状況について国鉄当局はどのように考えておられるのか、また、どのように対策を今後、講ずるのか、この点お尋ねします。
  129. 高橋浩二

    高橋説明員 池袋駅で国鉄だけで一番込んでおりますのは、山手線と赤羽線がホームを共用している部分が一番込んでおります。それ以外に地下鉄との乗りかえ関係、これもまだ逐次混雑度が増しておるというのが実情でございます。私どもとしては、私どもだけでできることについては、山手線のホームと赤羽線のホームを、いま一線しかございませんので、もう少し、そこを増強して一面二線のホームをつくれば、その混雑度は半分になるということで、そういう方向で、ただいま検討を進めております。なお、地下鉄等との相互乗りかえについては、これは私どもだけではできませんので、これから先、地下鉄その他と、お客様の流れに応じて、いろいろ協議をしてまいりたいというふうに考えております。
  130. 長田武士

    長田分科員 また、この問題については将来、混雑緩和の上から赤羽線を新宿駅まで延長する考え方はどうでしょう。
  131. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいまのところは、ちょっと技術的にむずかしいと思います。しかし改良するとすれば、いまの山手貨物線その他全体を総合的に相当の変更をしていかなければならぬという問題がありますので、ただいまのところは新宿まで乗り入れるということについては、まだ考えておりません。
  132. 長田武士

    長田分科員 私は可能だと思っているんですね。そういう意味で赤羽から新宿まで持っていきますと、乗客が池袋でおりないで済むわけでありますから、そういう点は前向きで検討されたらどうですか。国鉄はどうも検討検討が多いんですけれども検討している間に社会はどんどん変わるんですよ、人間の流れも。その点もう一度、前向きに答弁してください。
  133. 高橋浩二

    高橋説明員 前向きとおっしゃいますが、いまのは技術的にも非常にむずかしい点がございますので、いまここで前向きと言われますと、ちょっと答弁に困りますが、十分研究をさしていただきたいと思います。
  134. 長田武士

    長田分科員 池袋駅では現在八号線の南通路と中央通路に東西の連絡通路ができておるわけであります。駅の東口と北口を結ぶ北通路は実はらち内通路となっているんですね。この通路は今後サンシャインシティーの本格的完成とともに池袋副都心の玄関口となるところでも実はございます。そこで、先ほど赤羽線のホームの新設時に北通路の一部拡幅をする構想答弁があったわけでありますけれども、駅の改造時にあわせて混雑解消策としまして、この北通路を南、中央通路と同じように国鉄の乗客だけではなく、東上線を利用する人も自由に進行できる自由通路化が必要じゃないかと私は考えるんです。そこで国鉄当局では、この問題をどう考えておられるのか。なお、この自由通路化については昭和四十九年、藤井総裁時代に地元池袋商店街の代表者の陳情の際、約束されておるという経緯があります。どうかひとつ責任ある答弁をしていただきたいと思います。
  135. 高橋浩二

    高橋説明員 周辺の状況から、だんだん北口の方が混雑をしてまいっております。その混雑には二つございまして、私の方の線と地下鉄あるいは東上線等の相互乗りかえのための混雑の問題、それから周辺の都市が発展してまいりますので駅を中心とした東側と西口との相互の自由通路という二つの問題がございまして、その辺は私の方も総合的に検討していかなくちゃならぬ問題だというふうに考えております。その場合に、らち内といいますか、鉄道同士の相互の乗りかえについては、これは鉄道業者同士でよく相談をして、相互にどういうふうな設計で、どういうふうな費用を持つかということを相談してまいりたいと思っておりますし、なお池袋の東西を結ぶ自由通路については、これはいわゆる都市計画事業の部類に属すると思いますので、都市側からそういうお申し出があれば十分協議をしていきたいというふうに考えております。
  136. 長田武士

    長田分科員 それでは北口通路については自由通行路といいますか、そういう方向で都市計画の方で申請があれば前向きに検討するということなんですね。
  137. 高橋浩二

    高橋説明員 都市計画的な性格の、いわゆる都市施設的な性格でございますので、都市側から御協議があれば検討してまいりたいというふうに考えております。
  138. 長田武士

    長田分科員 これは四十九年に藤井総裁時代に地元の陳情者と約束しているんですよ。ちょっとおかしいんじゃないですか、いまごろ検討するなんて。
  139. 高橋浩二

    高橋説明員 自由通路は、いま申し上げましたように池袋の東と西を結ぶ自由通路というのは都市施設でございますので、都市側からの御協議があれば私の方は自由通路については御協議を申し上げる。それから私鉄との相互乗りかえについては、これは私鉄と私の方で協議を申し上げていくということでございます。
  140. 長田武士

    長田分科員 それでは、その点ひとつ約束どおりやっていただきたいと思っております。  最後にお伺いいたしたいのでありますが、現在、池袋駅には西口に国鉄の施設を含む未利用地が一万七千三百平米あるわけであります。この隣接地となる学芸大学付属小学校跡地には、東京都が芸術文化会館の建設を五十八年完成を目途に予定をいたしております。そこで国鉄の施設を含む未利用地の有効な土地の利用について、昨年もお尋ねをいたしたわけでありますが、何となくあいまいな点が多々あるわけであります。  その一つは、五十二年五月十三日の運輸委員会では、わが党の草野委員の質問に対し、芝浦工大付属高校が五十三年三月までに移転する、その時点まで何とか考えたい、当時の篠原常務理事からの答弁があったわけであります。そこでお尋ねしたいのでありますけれども、その後、芝浦工大付属高校は移転したのかどうか。また二年を経過した現在において、この利用計画について発表できるのかどうか。私どもといたしましては、東京都の地域の総合開発と一体性のある再開発を望んでおるわけでありますが、この点についても、どのように考えておられるのか、あわせて御答弁をいただきたい。
  141. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいま芝浦工業大学に私の方の土地をお貸ししている部分がございます。これは先生もいまおっしゃいましたように昨年の三月末に他の地へ移転をするということで国鉄と芝浦工大の間では協議が実は成立をいたしております。ところが芝浦工大が移転を予定していました先地の土地が、これは東京都との関係で、ただいま問題になっておりまして、いま都と芝浦工大の間で鋭意その学校の移転先について詰めておるところでございます。これが決まりますと私の方はこの敷地が空き地になりますので、いま先生のおっしゃいましたように東京都との相互計画あるいは私の方は駅の施設との関係、それらを考えて十分それらの総合的な判断の上に立って開発というものを進めていきたいというふうに考えております。
  142. 長田武士

    長田分科員 以上で終わります。
  143. 青木正久

    青木主査代理 午後二時半から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十九分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十四分開議
  144. 青木正久

    青木主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。福岡義登君。
  145. 福岡義登

    福岡分科員 二、三質問があるのですが、初めに中小法人タクシーの増車を優先させたらどうかということについて、御質問したいと思います。  一昨年も分科会で私はこの問題を取り上げたのでありますが、中小法人の経営規模は、いろいろと検討の角度はあると思うのでありますが、たとえば新免で十両、その後一年に何両かの増車をしていく、やっておるということなんですが、一昨年問題にしましたのは、最低の経営規模というものはあるはずである、そこまでは早く増車を認めてやったらどうか、でき得ることならば新免のときに二十か三十か適正規模の免許をおろして、それを三年なら三年で順次三十両に営業を広げていくというようなやり方でも考えたらどうかというようなことを申し上げておったのであります。確かにそういうことは必要であるというお話がありまして、この一年間ずっと推移を見たのでありますが、どうも見るところ必ずしもそういうことになってない、こう思うのですが、この点についてどういう御見解でしょうか。
  146. 梶原清

    ○梶原政府委員 この問題につきましては一昨年の予算委員会第六分科会で先生から御指摘を受けた内容でございます。基本的な考え方におきましては、先生のお考えいただいておりますような趣旨方向で行政を運営しておるわけでございます。五十二年の三月以降、福山市につきまして小規模事業者を中心に合計七台の増車を行ったわけでございます。この点、前回御指摘を受けました趣旨を十分に反映しまして小規模事業者を中心にして増車を行い、経営上有利な適正規模にまで着実に育成していくという考え方を反映させているつもりでございます。
  147. 福岡義登

    福岡分科員 広島県で適正規模の基準というのを何か検討されてあるようでありますが、たしか十五両ぐらい……。
  148. 梶原清

    ○梶原政府委員 それぞれの地域ごとに免許基準台数を定めておるわけでございますが、これは先ほども先生御指摘の最低適正規模という観点から定めておるわけでございます。地域の状況に応じまして、広島市、岡山市は十五両以上、その他呉、福山、尾道、松江、鳥取、米子、下関、山口、防府、宇部、岩国、徳山、倉敷、この各都市につきましては十両以上という基準を設けて新免の取り扱いをいたしておるところでございます。
  149. 福岡義登

    福岡分科員 広島市、岡山市は十五両、読み上げられた各都市が十両。十両ではどうも、経営実態をいろいろ聞きましていろいろ検討してみるのですが、やはり二十台ぐらいは最小限欲しいのじゃないか、こういう意見の方が圧倒的ですね、関係者の意見を聞いてみますと。ですから、きょうはその辺の検討をぜひしてもらいたいという要望をしておきたいと思います。  それから、昨年お話があった中小七両の増車なんですが、それは確かに増車になっている。ところが、その後協会の方が大手の方の増車を二両ずつ要求する。中小の方は去年一両あったんだからことしの増車申請は一台にしなさい。合計すると、一年早く一両ということだけで、全部増車が認可されれば大手も中小も二両、こういうことになってくる。私が申し上げたいのは、もう百台を超しておるようなところは、最低中小の経営規模が一定のところに達するまでは大手の方の増車は少し手控えて中小へ回してやるというやり方を、協会自身も指導する必要があると思うのですが、どうも協会の動きが小さいものをいじめるというようなやり方をしているように見えるのですけれども、今後ぜひ最低適正規模といいますか、福山市の場合十両というものを、あるいは広島市の十五両というようなものを再検討していただくと同時に、中小に対する増車の優先配慮というようなものをぜひ考えていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  150. 梶原清

    ○梶原政府委員 一昨年の御質疑に当たりましても、協会云々お話を承っておるわけでございますが、私どもとしましては、先ほど答弁申し上げましたように、各タクシー事業者の経営上有利な規模にまで逐次拡充していく、着実に育成していくという考え方で対処したい、かように考える次第でございます。
  151. 福岡義登

    福岡分科員 もう一つつけ加えてお願いしておきたいと思いますのは、さっきの最低規模の話であります。広島市が十五台、福山市が十台以上となっているのですが、十台や十二、三台ではうまくいかない。もちろん共同化をうまく進めればいい分野も残っているのですけれども、そう簡単に共同化もいかない面もある。そこで、実際の最低規模はこのくらいだというものを関係者から陸運局あたりへ資料を出していろいろ検討さしてもらいたいと思いますので、またその節は適当な行政指導をお願いしておきたいと思います。  それから次は、個人タクシーの譲渡についてなんでありますが、確かに形式的には個人タクシーも法人タクシーと同じように譲渡ができることになっておる。しかし、内容的には実質的な譲渡ではない。いろいろ事務当局から事前に説明をしてもらったのでありますが、個人免許の申請をしてその人が審査の結果基準に合格をするということが要件でありまして、それは譲渡でなくても審査に合格すれば個人の場合は免許しなければならぬ、こういうことになっておるのですから、法人の譲渡とは実質的に内容が異なっておる、こういうように私は思うのであります。  そこで、たとえば個人タクシーをやっておる人が年をとった、息子に譲りたい、たまたま息子も二種の免許を持っている、あるいは一種を持っておるが二種をちょっとすれば取れるというような場合、長年の営業実績もあるわけだし、車庫その他お客さんの関係も一定の実績があるわけですからね。そういう場合は少し一般の個人免許申請よりは緩和されたというか、何らかの配慮があっていいんじゃないか、こう思うのですが、どうでしょう。
  152. 梶原清

    ○梶原政府委員 私ども取り扱いといたしまして、法人の免許、個人の免許あるいはそれぞれの譲渡譲受の認可、これはすべて同じ基準で取り扱いをさしていただいておるわけでございます。  先生御承知のとおり、個人タクシー制度は、昭和三十四年にタクシー運転者に夢を与えるということで生まれてきた制度でございまして、その免許も優秀な選ばれた運転者個人に対して与える、こういうことで従来取り扱ってまいっておるわけでございます。最近の数字で、全国で四万七千名の個人タクシーの方がいらっしゃるわけでございます。この事業譲渡譲受につきましては、譲り渡し人に病気であるとかいろいろの事情によってみずから事業が遂行できない正当な事情があり、また譲り受け人が個人タクシー事業者としてふさわしい資格を持たれます場合に限って、この事業譲渡を認めておるわけでございます。相続の場合も同様でございます。したがいまして、譲り受け人の方に年齢、運転経歴あるいは一定の年数の間の事故なり違反がない、交通違反がないというような条件に加えまして、最近実施をいたしております法令と地理の試験に合格をしていただく、これは新免の場合と事業譲渡譲受の場合と同一に扱っておるわけでございます。  最近個人タクシーの資質が落ちましてとかくの批判を受けておる状況にございますので、私どもとしましては個人タクシーの資質を一定以上に確保したい、こういう考え方から試験をさしていただいておるわけでございます。これを新免の場合と事業譲渡譲受の場合と区別して取り扱うということは、一般社会の方々からのコンセンサスは得られない、こういうふうに思うわけでございまして、いま申しましたように、法令と地理の試験をすることにつきましては、譲渡譲受の場合にこれを省略するということは私どもとしては応じられない、こういうふうに考えておるわけでございます。最近個人タクシーの譲渡譲受問題が大きくなっておりますが、私どもの基本的な考え方というのはそういう立場におるわけでございます。
  153. 福岡義登

    福岡分科員 個人タクシーの資質を一定の水準で保っていきたい、これはもう当然のことだと思うのです。しかしさりといって、新免と譲渡の場合と同じでなければならぬという理屈もないように思うのです。といいますのは、さっきも言いましたように、何年か個人タクシーを営業してきて、その人がこの人ならばということで譲渡するわけですから、その間に言葉では表現できないような信用関係というものがそこに存在すると思うのです。だから最小限のことを言えば、二種免許を持っていなければこれは全然お話にならない、あるいは過去何年かのうちに大きな事故をやっておってもこれは問題があるでしょうし、あるいは社会的に信用のない人でも困るだろうしといういろいろな条件は必要だと私は思うのですよ。しかし、新免と全く同じにしなくても、初めに申し上げましたこの人なら譲渡してもいいという信頼関係があるということは、私は相当なウエートがあるんじゃないかと思うのです。  そこで、きょう直ちに、ではそういたしますという結論を伺えると思ってこの問題を取り出したのではないのですが、人間の本能的な問題として自分がやってきておる仕事にだれも愛着がある、自分一代で終わってしまうんじゃなくて、だれかにこれを引き継ぎたいという、そういうものも当然あるわけですからね、そういうことも含めてひとつ今後検討していただきたい。譲渡も新免も全く同じであって、一切その間のあれがないということになれば、これは譲渡というものは名前だけであって、そんなものは譲渡は全然認めない、もうこれは審査に合格すれば個人タクシーの場合は免許は当然おろさなければならぬわけでしょう。だから譲渡の効果というものは何もないわけなんで、それならばあっさり譲渡は一切認めないということにした方がすっきりすると思うのですが、それじゃ困る。
  154. 梶原清

    ○梶原政府委員 最近の実績で申し上げますと、五十三年度の上期、四月から九月までの実績で全国のトータルでございますが、免許件数が百九十九件、それの免許率が一七・一%、こういうことになっております。それに対しまして譲渡譲受の認可をいたしましたのが二百三十件、そして認可率が五八・一%、こういう状況でございまして、先生いま御指摘の譲り渡し人と譲り受け人との関係、人間関係とかそういうことが、こういういま申し上げました数字にあらわれておるのではなかろうか、かように考える次第でございます。
  155. 福岡義登

    福岡分科員 きょうは時間がありませんのでこの程度にしますが、今後ひとつ優秀な個人タクシーを確保するという意味を含めて御検討いただきたいと思います。  それから、きょう鉄監局長がお見えになっていないのですが、大臣に基本的な問題だけ伺って、また後日に譲りたいと思うのですが、いわゆる本四架橋のAルートの鳴門大橋の鉄道併用橋の問題について、これは私も建設委員会に所属しておりますから、建設委員会でも常々問題にしておるところなんですが、きょうは申し上げましたように担当局長はいらっしゃいませんので、基本的な問題だけひとつ大臣の見解を伺って、後日に問題を残したいと思うのであります。  結論を先に申し上げますと、併用橋ではなくて、トンネル方式にした方がいいのじゃないか。一たん併用橋ということで計画は決まっておるようでありますが、いまなら変更することも不可能ではない、こう思います。  昭和五十四年度の鳴門大橋予算関係を見ますと、鉄道関係が借入残高が二百五十八億、これに対しまして予算に計上されておる支払い利息十九億二千万円、こうなっておるわけであります。それで、鉄道部分の予算が利子補給だけで十九億何がし要るということになりますと、いつAルートの新幹線が開通するのかということが問題になってまいりますが、いろいろ検討されておりますけれども、まず二十年間はだめだろう。そうしますと、この二十年間、十九億何がしの利子補給を続けるのか。そういたしますと、四百億からの利子補給をしなければならぬ。仮に借入残高の二百五十八億を出資金その他に切りかえておくといたしましても、何百億という金が二十年間眠ることになるわけであります。これは大変なことでありまして、特に現在のような国家財政が困難な時期に、そういう何百億という金を二十年間も寝かすことが適当であるかどうか。財政上考えてみましても問題のあるところである。恐らく財政運営の中でこういうやり方は前例がないんじゃないか。  これは主計局お見えになっておれば、主計官がおられればあとその点も聞かせてもらいたいと思うのですが、そこで問題になりますのは、鉄道併用橋の場合、単線載荷ということになっておる。線路は複線になっておるけれども、列車を走らすのは単線しかできない、こういうことになるわけであります。それからさらに、風速三十メートル以上というようなことになりますと交通どめをしなければならない、そういう問題もある。こういうようなことを考えてみますと、やはり併用橋ではなくてトンネルの方がいいんじゃないか。トンネルの方はどれだけかかるかというまだ試算の段階でしょうが、六百億ないし八百億ぐらいでできるだろう、こういうわけであります。そうすると、数百億ないし六、七百億、二十年間金を寝かすよりも、物価上昇その他で換算すれば二十年先は六百か八百ということにはならぬとは思いますけれども、それにしても経済的に考えればトンネル計画の方がいいんじゃないかというように思うのですが、大臣どう考えられますか。
  156. 森山欽司

    森山国務大臣 きょうあなたからこういう御質疑があるということであったが、大臣答弁は求めない、鉄監局長も不要だ、私に対して問題を提起するだけだからということで、あえて事務局も来なかったのだと思います。ところがあなたが私に返事を求めるわけでありますから、私はいま細かい資料は持ち合わせておりませんが、すでに鳴門大橋は新幹線併用橋として決まって、閣議にも諮って方針が決まって、着工して二百六十億円ほどの金が出ておるというわけでありますから、したがって、これが当面新幹線が通らないからといって直ちにもって単独橋に切りかえることが適当かどうかという判断が一つあるであろうと思うのですね。  新幹線というのはやはり地域格差の是正とかあるいはまた国土の均衡ある発展とかそういう意味から見まして、四国には新幹線が通らないんだという印象を与えるととは、私は政治として好ましい行き方であるとは思いません。御承知のとおり、東海道新幹線、山陽新幹線はすでに稼働中でありますし、それから東北新幹線、上越新幹線は工事中であります。整備新幹線が当面問題になっておりますが、それは財源問題で行き悩みになっていることは事実であります。しかし、昭和五十八年ごろ青函トンネルができた際に、そこに通す鉄道は在来線でいいかどうかという問題になってまいりますと、私は恐らく、通すなら新幹線を通そうということに、そのころになるとならざるを得ないのではないかと思います。整備五線のうちの二線は、したがって手をつけざるを得ないということになりますし、それから、財投等によって借金で後で返す金、しかも利子がつく金ということになりますと、これからの新幹線の建設は容易なことではございませんけれども、もし国費を投入してやるという形になってまいりますれば、裏日本の方を通る、信越方面を通る新幹線については、これはそろばんが合っていくのではないか。そうなると、残るところは九州二線ということになります。九州だけ取り残していいのかという問題が必ず出てまいるでありましょうし、四国もまた同様であります。そういう先のことを考えますと、やはり地域住民の要望、ぜひひとつ新幹線が欲しいという気持ちは、私はやっぱり尊重しなければならないというふうに考えるわけであります。  しかも、新幹線併用橋ということで閣議にかかって決まりまして、しかも着工した路線を単独橋に切りかえるということは政治としてとるべきことではないのではないか。事務的のそろばんは、あなたがおっしゃるような当面の損得はありますけれども、長い先行きを考えますれば、やはり四国の多数の住民の方々の御要望に――要するに新幹線への希望の灯は消さないという考え方でいくべきである。そういうものの一つのしるしとして、私はあえてこの鳴門大橋の新幹線併用橋という従来の構想を維持する。単独橋に切りかえて当面の新幹線への望みを絶つということだけは、この際やらない方がよろしいというふうに判断をいたしたわけであります。  とはいえ、しかし、二百六十億という金はすでにかかった問題でございますからね。そして、これからのこの併用橋の費用負担というような面におきましては、従来のような割合ではなかなか容易ではございませんから、一一%というふうに建設省とお話し合いをいたしまして、そして二百六十億に対する金利は国として、要するに鉄道関係として保持しようという形でやったのであります。  私は、ブランクペーパーに物を書くなら別でありますが、在来の引き続きといたしましては、これは措置としては間違ったやり方をしたと思っておりません。政治としては、むしろそういうふうにやった方がよかろうと思っております。  トンネルとの関係でどっちが得かという問題につきましては、ちょっといま手元に資料は持ち合わしておりませんけれども、私は、将来つくる場合のことを考えますと、新幹線併用という形でいよいよ新幹線が通るときにそれだけの体制をつくる費用と、そのころ考えられる――そのころというのはいつのことかは別にいたしましても、いろいろな費用がかさんでくるそのころのトンネルの費用考えますと、どちらが高いか安いか、私はちょっと計算するのはむずかしいのではないかと思います。しかし、試算はできますが、いま事務局がおりませんから、これは私から申し上げることは差し控えさしていただきます。いずれ御必要があれば数字を示したいと思います。
  157. 福岡義登

    福岡分科員 四国に新幹線を走らせるということは、もう私ども反対しておるわけじゃない。ただ併用橋でやることだけが政治として大臣は四国の人々に約束することだとおっしゃるのですが、別の方法もあっていいし、あえて言うならば併用橋の閣議決定自体に私は問題があると思っている。議論はきょう余りするあれでないので、そういう問題があるということで引き続きまた別の機会にやらしていただきたいと思います。どうも併用橋は得心できない。  時間が残り少なくなったのですが、最後にもう一つお伺いしたいと思いますのは、一般区域貨物自動車運送事業の免許事案の処理方針変更が昨年行われて、これに伴って増車であるとか代替等の取り扱いが変わってきたという問題なのであります。  東京陸運事務所は、いま申し上げました問題に関連して、運輸省あるいは東京陸運局の通達を受けまして、昨年九月一日から増車あるいは代替の場合に、車齢が大型では四年、小型では三年以内でなければ認めぬ、こういうように決められたそうであります。従来は平均車齢ということで指導されておったようであります。この問題を考えてみますと、実際は車齢四年、三年というけれども、一年以内でないと認めていないそうですね。二年、三年ではもうだめだということがあるのですが、それはそれとして、公式的には大型四年、小型三年ということで取り扱いをされておる。車齢というのは、申し上げるまでもなく税務上の耐用年数でございまして、車両が安全に運行できるかどうかというのは、車検でチェックすることになっておる。だから、極論をすれば、車検に合格する車であれば営業してもいいじゃないか。しかも、それを増車なり代替の認可の条件にしておる。これはちょっとひど過ぎるじゃないか。特に景気が悪いときに中小業者にそういう負担を負わすということは過酷なのではないかということが一つであります。  時間がありませんからまとめて申し上げますが、もう一つは、同じ扱いの中で、車庫の標準面積が、間隔五十センチということで従来より二平米ないし四平米引き上げられた。二トン車までで従来は十三平米であったものが十五平米に引き上げられた。あるいは二トン車のロングの場合は十六平米が二十平米に引き上げられた。以下、七トン半までは二十六平米が二十八平米、七トン車以上は三十六が三十八平米、ここまで引き上げられたのです。東京のような過密地域で、いまから新規にというならまだしもですが、いままでやってきた人々が新しく車庫の用地を確保するということは非常に困難ではないかということなどを考えてみますと、これもしゃくし定規に適用さしていくということは少し無理があるのではないか。  そこで、再検討していただきたい。車齢の面は、従来どおり平均車齢でいいのではないか。標準面積についても従来のものでいいのじゃないか、こういう点でございます。
  158. 梶原清

    ○梶原政府委員 御指摘のとおり、東京陸運局で昨年八月から免許申請事案の処理方針につきまして若干の点について基準を改定したわけでございます。その中に先生御指摘の事項が含まれておるわけでございますが、まず第一に、車両の関係でございますが、私ども考え方といたしましては、新規に事業用自動車として投入します車につきましては、余りに古い車では望ましくないのではないか、こういう考え方から、現在改正しておりますような基準にいたしておるわけでございます。この基準を特別の事情のある場合にまで画一的に適用しますことは適当でないと考えるわけでございまして、十分実態に合うように適切な運用をしてまいりたい。しかし、基本的な考えとしましては、先ほど申しましたような考え方に立っておるわけでございます。  それから、車庫の面積の関係でございますが、従来車両と車両との間隔を四十センチとしておりましたのを五十センチというふうに改めたわけでございます。これは車の安全な操作とか車の点検整備のために十分なスペースを確保すべきであるという観点からいたしておるわけでございます。これはほかの陸運局等につきましてもこの基準でやっておるわけでございます。  なお、この基準は、増車等がない場合は従来の基準でやって差し支えない、増車をする場合には先ほど申しました五十センチ以上のスペースを確保していただきたい、こういう取り扱い方で臨んでおるわけでございますので、ひとつ御了承いただきたいと存じます。
  159. 福岡義登

    福岡分科員 時間が来ましたからこれで終わるのですが、もう一言だけ要望しておきたいと思いますのは、いま局長が御説明なさったことの中で、車齢の問題では特別の事情のない限りという表現をされたのですが、特別の事情の中に経営実態というものもやはりある程度含めて検討してもらいたいと思いますし、でき得ることならば経営者の方も新しいいい車でやりたいことは当然なんですが、それができないということは何らかそこに事情があるわけでありまして、画一的に三年、四年で認可の条件にするというようなことでなしに、その運用を少し考えていただきたい、こう思うわけであります。  それから、標準面積の方につきましても、でき得ることならそれだけの間隔があった方がいいのは当然のことなのでありますが、確かに増車の場合と代替の場合はちょっと条件が違うと思いますので、これも画一的なことでなしにうまく経営が成り立つように指導していただくように重ねてお願いをいたしまして、残余の問題については後刻また取り扱いをさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  160. 青木正久

  161. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 ここに二月十六日の中日新聞があるわけです。これには愛知県の県陸運事務所について「年度末控えた県陸運事務所 処理能率ダウン「殺到しないで……」」というような見出しで大きく報道されておりますけれども、登録業務が非常に殺到して、三、四時間以上待たされるのではないかと覚悟しなければならないのではないかというふうに報じられています。登録台数が愛知県の陸運事務所では非常に多過ぎるので、御存じのように名古屋五九というのを三月末で使い切ってしまう、名古屋五二に若返りが決まっている、こういうようなことは、全国では初めてのケースだと思います。  現在愛知県では、三河を除きまして愛知県の北部、西部の業者は名古屋市内にあります中川の陸運事務所に行く。ここに行くためには橋を渡るわけです。そこは道はたくさん、橋は一つですので、非常に交通渋滞して、どうしなくとも渋滞するところを行くわけですから、新規登録というのはいま大変な苦労なんです。交通渋滞で待たされた上に、やっと向こうに着いたらまた向こうで三時間も四時間も待たされるということで、いろいろトラブルも起きる、けんかも起きるというような状態になっているわけです。  それで大臣にお聞きしたいわけですけれども、こういう状態は大分前から出ていたということで、この解決策として五十年に小牧の検査場を支所に昇格させて、五十一年の三月から登録業務を開始するために建物や人員配置をしたというふうに聞いています。それなのになぜこれが開始されていないのか。必要があったからこそ支所に昇格させて登録業務を開始しようとしたのに、いまなおこの業務が開始されていないというのはどうしてなのかということを、ちょっと大臣にお聞きしたいと思います。
  162. 梶原清

    ○梶原政府委員 先生御指摘のとおり、小牧に昭和四十三年九月に愛知県陸運事務所の第二車検場を設置いたしまして……(田中(美)分科員「それはわかっていますので、簡潔にお願いします」と呼ぶ)はい。端的にお答えを申し上げますと、現在、小牧支所において登録される自動車に使用するナンバープレートの表示につきまして、関係市町村の間で意見の食い違いがございます。そのために新規登録業務等を実施できない状況にあるわけでございます。
  163. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 どういう事情があろうとも、少なくとも現在の状態は非常に異常な状態になっているわけです。ですから、せっかくの計画が、七千万、人件費も入れれば一億近い金を使って、金だけ使って実行しない。言うならばこれは運輸省が国費のむだをしたんじゃないかということも言えますし、絶対に必要なものなのにそれをしないということは、やっぱり行政の怠慢と言われても仕方がないんじゃないかというふうに思うんです。ですから一日も早くこの登録業務が開始するように解決してほしい。三年たっても地元話し合いがつかないというのは、運輸省側の弁解なのか指導性のなさなのか、何かわかりませんけれども、三年間も放置されているということはゆゆしき問題だというふうに思いますので、大臣みずからが乗り出して解決していただきたい、そういうふうに思いますので、大臣お答え願います。
  164. 森山欽司

    森山国務大臣 私の聞いているところでは、ナンバープレートの表示が、小牧とするか、それでは困るというような意見があってまとまらないんだというふうに聞いておるのですが、これは田中先生、あちらの方にお近いようですが、何か名案ないですか。まあできるだけ地元の人の意見が合致したところで仕事をしたい。それはやろうと思えばできますよ。それはもう強行すればできないことはありませんが、できるだけ地元のことを尊重してということで今日になったのだと思います。何か名案があったらぜひひとつ聞かしていただきたい。私どももその名案を出すように努力はいたしてみますけれども、いままでのところその功を奏せず今日に至っておるというふうに聞いておりますので、せいぜい努力いたします。
  165. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 そのせいぜい努力では、三年間放置されているわけですからね。三年間放置されているということは、せいぜい努力ということでは私は行政の怠慢だというふうに思うんですね。それでどういう努力をしていらっしゃるのか。ただ地元側が決まらないから大臣は黙って座って見ているのか、どういう努力をしているのか、ちょっと聞かしていただきたい。
  166. 梶原清

    ○梶原政府委員 現在運輸省におきまして、名古屋陸運局長を通じまして、関係市、特に県の御努力をいただくように努力をしておるところでございます。今後とも県当局と十分協議をいたしまして早急に本件が解決できるように最善の努力をいたしたい、円満な解決のために努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  167. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 早急というのは、前から早急と言っているんですね。ちょっと停滞してきたからこれは早急にと言うならわかるんです。でも前から早急に解決すると、こう言っているわけですね。それで三年たっているんですね。それでまだ早急にと……。それでめどがあるんですか。何か二月の二十二日に知事と陸運局とで話し合ったと聞いていますけれども、その結果はどうなっているのですか。
  168. 梶原清

    ○梶原政府委員 まだ円満解決のところまで至っておりませんが、文字どおり早急に円満解決するように努力をいたしたいと存じます。
  169. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 文字どおりの早急というのは、一日でも早急ですし、一カ月でも一年からすれば早急ですし、三カ月でも二年からすれば早急です。ですから、早急という言葉で逃げていたのではいつまでたっても解決できない。だから、大体どこら辺にめどを置いて、そしてそれまでの間にこういう努力をするんだというふうに話していただかなければ、これは納得しないと思うんですね。業者も非常に怒っているわけですから。ですからもっと具体的にお答え願いたい。早急はわかっているわけですよ。ゆっくりやろうなんて思っているとは私は思っていません。
  170. 梶原清

    ○梶原政府委員 残念でございますが、前の答弁を繰り返させていただくより仕方がないと思いますが、早急に円満な解決のために地元の方のコンセンサスを得るための努力をいたしたい、かように考える次第でございます。
  171. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 三年間コンセンサスを得られない、それを得られる見通しもつかないということをいま言っていらっしゃるわけですね。  それでは大臣がみずから乗り出してやる気はないか。あるかないか、イエスかノーか、おっしゃってください。大臣みずから乗り出してこれを解決しようとするかしないか、お答え願いたい。大臣に聞いているのです。大臣、決意できないですか。
  172. 森山欽司

    森山国務大臣 確かに異常な事態であると思います。まあしかし、私も昨年の暮れに着任いたしまして、つい先ごろ、小牧というところでナンバープレートの名前が決まらぬのでおくれているというような、まあ私が聞いたのは一カ月にもまだなりませんので、異常な事態だと思いますから、この異常な事態の解消方について検討してみたいと思っています。乗り出すというのはどういうことかわかりませんが、私自身で検討してみましょう。できるだけ早く解決するように努力してみます。
  173. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 まあ大臣が就任したのがいつとかなんとかというふうなことを言っていたら、もう政治は細切れですから、やっぱりきちっと受け継いで、同じ自民党政権なんですからそういう弁解はちょっとおかしいと思われるのですけれども大臣みずからが検討し、そしてどういうふうにいつごろまでにめどを立ててやるかということの御返事をいただけませんか。
  174. 森山欽司

    森山国務大臣 いま……。
  175. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 いいえ、後から。私のところにです。
  176. 森山欽司

    森山国務大臣 私は何も弁解をしているわけじゃありませんが、大臣の意見はどうかと言われるから、ついこの間聞いたばかりでありますから、この異常な事態の解消に努力してみましょうということを申し上げたのです。  検討の結果はあなたにお知らせしましよう。
  177. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 じゃよろしくお願いいたします。  その次に、いま民間の指定工場の方に整備をどんどん委託していく、これを七〇%に向けていくという方針でやっていられるようです。かつては三〇%ぐらいだった民間が、今度逆に民間の方が七〇%になっているというふうな状態になっているわけです。私はこれはちょっと問題があるんではないかというふうに思うわけです。それはなぜかといいますと、世界の趨勢を見ましても、イギリスでは御存じのように初めから民間だったわけですけれども、これではまずいんだということで、いま国の検査制度の方に切りかえていっているわけですね。それから、オランダにしてもアメリカにしても、世界の趨勢はやはり国が責任を積極的に持っていこうという方向に動いている。ということは、やはり走る凶器になるわけですから、そういう点では一応米の検査とか輸入品の検査とかというものとちょっと違うと思うのですね。そういう点で私はむしろ国の検査の方を多くしていくというふうに、ここら辺で見直す必要があるんではないかというふうに思います。  三十七年の衆議院の運輸委員会で車両法改正のときの附帯決議にこういうことが書かれています。御存じと思いますけれども、「指定自動車整備事業者制度は、あくまで国の行なう車両検査を補うものであることを確認」すると、こう言っているわけですね。ということは、国を補うのが民間なんですね。それがいまは、民間がやっているのを補うのが国というような感じになっているわけです。これはやっぱりちょっと見直す必要があるんではないかというふうに思うわけです。  やはり運輸省の方御存じだと思いますけれども昭和五十一年に三重県で交通事故がありました。これは民間車検業者が整備をしないで車検証を発行して、そしてブレーキ故障だったという。その検査官もそれを知っていて、そして安いお金をもらっていたという典型的な不正事件があったわけですね。だから運輸省もこれに対しては通達を出したり、こういうことが起きないようにという御努力を一応したというふうに聞いているわけです。  私十日くらい前でしたか、この質問をするので名古屋の陸運局で聞いたわけですけれども、現在検査をするときに一番多い事例というのは、抜き打ちで検査に入りますと、まだ分解中なのに適合証書がもう陸運事務所に出ている、こういう事例が一番多いと言っているんですね。ですから、通達を出して指導しているとしても、こういう事故が起こる可能性のあるような非常にいいかげんな検査がいまなおそのままの状態になっている。全国百五十九人しかいない。だから結局年に一回しか指定工場に検査に行っていないわけですから、そこで何やられているかふだんはわからない。一遍行ってみると、そういう事例が現在一番多いと名古屋の陸運局は言っているわけですね。これでは走る凶器や人の体を傷つけ、また命を奪うということになって、本当の車の安全にならないというふうに思うのですけれども、その点どうお考えになられますか。どうしようと思っていらっしゃいますか。
  178. 梶原清

    ○梶原政府委員 自動車の安全確保のためには自動車の検査制度を確立する必要があるわけでございまして、私どもも毎年直轄の検査場の施設の拡充、増員を苦しい予算の中で認めていただいておるわけでございます。一方、民間車検の拡大、活用ということも考えてまいりまして、先生御指摘のように三十七年以来民間車検制度を進めてまいっておるわけでございます。五十二年は民間車検で継続検査全体の五五%を実施しておるわけでございますが、これは将来は七〇%という目標で進めておるところでございます。またその民間車検の監査、指導につきましては今後とも努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  179. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 そういう長々と要らないことを言わないで、どうするのかということを聞いているのですから。努力しますという一言でしょう、あなた。そういういいかげんな答弁はしないでほしいと思うのですよ。どうするんだと私が言っているんですから、努力する、一言じゃないですか。こういうことを放置しているから、努力すると言ったからどう努力するのか聞いているのを、努力すると言うだけでは結局誠意がない回答だと私は思うのです。  こういう中で車検がなかなか受けられないということが起きているわけです。愛知県の場合ですと、この年度末に大体六千二百二台というものがあぶれるというふうな数字がおたくの方の調査でちゃんと出ているわけです。この新聞に、去年の年末ですが、車検ラッシュというのが出ていますけれども、ことしは三月、年度末が物すごくなるわけです。そのときに認証工場がなかなか車検が受けられないということになりますと、そこの検査の職員も重労働になります。それから検査が受けられない認証工場の人たちというのは実際にはもうお客をとられてしまうわけですね。お客からすれば認証工場へ持っていったのでは遅いから指定工場へ持っていった方がいいという形でとられてしまう。そういう点でこの人たちは非常な経営上の危機感を持っているということなんです。  ですから私としては、あなたがただ単に努力すると言うのではなくて、検査の職員を至急にふやしてほしい、そしてできるだけたくさん検査ができるようにしてほしいということを言っているわけです。おたくの方で言われているように、この三年間で約二万台の車の車検がふえているんですね。それなのに人員は一人もふえていない。こんなことは常識で考えたって、単に努力しますと言うだけではほっ散らかしているということじゃないか、そういう意味でぜひ人員を一日も早くふやすということをやっていただきたい。大臣どうですか。時間がありませんのでお早く願います。
  180. 梶原清

    ○梶原政府委員 先生御指摘のように検査量がふえておりますので、検査コースの自動化と要員の増員対策で対処しているわけでございますが、来年度につきましては、五十三年は一千十九名でございますが、来年度は一千三十四名、その差の増員をしていただく措置を講じております。
  181. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 私の伺ったところでは三年間に五十二年まで全然ふえていないのですね。ですから、これは全国ですからね。そうすると愛知県の陸運局にはどれだけふえますか。
  182. 梶原清

    ○梶原政府委員 いま申し上げました数字は全国の数字でございまして、各陸運事務所ごとの数字、ちょっといま手元に持っておりませんので恐縮でございます。
  183. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 それでは五十四年度愛知県の陸運局にふえる人数は幾らなのか、後でお知らせ願いたいと思います。これをできるだけふやしていただかないと、大変な大混乱になっているわけですからね。地元に行って見てみたら大変なことになっているわけですから、早急に人員をふやしていただきたいと思うのです。  先ほど言いました認証工場の方々、認証工場のおやじさんというのはたたき上げた試練済みの優秀な技術者だということは大臣も御存じだと思うのです。大臣になられたばかりで御存じないとおっしゃられるかもしれませんけれども、エンジンの音を聞いただけでどこに故障があるのか、トントンとたたいただけでどこに異常があるかということがわかるほど優秀な人たちなんですね。こういう人たちの声を聞いてみますと、検査の職員が車の構造に対する知識が不足している、これに非常に大きな不満を持っているのですね。ろくに知らないじゃないか、だからいいかげんな検査をするんだ、こう言っているわけです。これは職員の側からも、もっと教育してほしい、現場に行って恥ずかしい思いをするのは結局職員なわけですからね、ですからもっと教育してほしいという声で、去年あたりから二週間の、これもやっと始めたというようなわけですけれども、どういうふうな教育をしたらいいかというので運輸省の方では検査マニュアルというものをいまつくられつつあると聞いています。これを見てみますと、大体これに伴って実習をし、研修すると四カ月かかる、こう言われているわけですね。そうしますと、いままでのように千葉のよその場所をそのときだけ借りて二週間教育をするというようなことではとてもできないわけですよ。ですから、検査マニュアルはつくった、さあこうやるんですよと言うけれども、実際にやる裏づけというものができていないのではしようがないじゃないか。それで私としてはまず場所を確保し、ある程度国がきちんとした研修所というか学校というものをつくる必要があるというふうに思います。  それで、聞くところによりますと、時間がないんで大急ぎで聞きますけれども、名古屋にあります、御存じの八事に旧検査場跡地があるわけですね。そういうところを売っ払ってしまわないで、全部とは言いませんけれども、いま運輸省としては必要なんですから。国有地もあるわけですから、それを学校にするというようなことはできないか。
  184. 梶原清

    ○梶原政府委員 いま突然のお話でございますので、十分検討させていただきます。
  185. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 突然でもないんですね。ちゃんと聞いているんです。ですから、大臣、国有地があるわけでしょう、ですからそれを売ってしまわないで、金もあるわけじゃないですか、特会は。だから、いますぐ大急ぎでこれを売らなければお金に困るというわけじゃないでしょう。だからそこで学校をつくってほしいということを言っているのです。
  186. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 ただいまの御指摘でございますけれども、私どもただいま先生のお話にございましたように、昨年から二週間に研修も延ばしておりますし、今後研修の施設、内容とも充実させたいと思っております。ただその名古屋の八事をどうするかこうするかという問題は、いますぐ御回答もできませんし、それも一つの案ということでございましょうけれども、いま即答はできません、そういう段階でございます。
  187. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 もちろん即答できないことはわかっています。ですから、検討していただくということですけれども、いまおっしゃったその言葉が、言葉じりをとらえるわけじゃないけれども、二週間もしておりますがは、二週間しかしていませんというふうに答えるのが日本語だというふうに思うわけです。あなた方が出しているマニュアルでは四カ月かかるわけですから、まだ二週間しかしていませんとね。しかし、これは姿勢の問題だと思うのです、国語の問題ではなくて。そういう言葉が出るということは、いままでほとんどやっていなかったものだから、去年あたりから二週間やったものだから、二週間もやったという気になっていらっしゃるのでしょうけれども、これはもう職員の強い要望であるし、また指定工場にしても認証工場にしても、そこの従業員の強い要求なんですね。検査官はもっと優秀になってほしい、そこにこそ国が責任をとるべきだというふうに思いますので、ぜひこの八事の跡地を学校にするような検討をしていただきたいというふうに思います。大臣、よろしいですね。
  188. 森山欽司

    森山国務大臣 きわめて簡単に、よろしゅうございます。
  189. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 その次に、もう二つあるわけですけれども、陸運事務所にいま重量税や車検のことで電話をかける、そうしますと、一般のユーザーが電話をかけるとほとんど出てこないのですね。ベルが鳴っているのですが、出てこないということは、もう職員が、さっきの話と同じですけれども、登録事務で殺倒されて電話に出られないわけです。ですから、出ない職員が悪いというのではなくて、職員がいないということなんですね。  それで、ぜひ相談窓口というものをつくって、常時そこに一人なり何人なりいてほしい、そうしないと幾ら電話しても陸運事務所には電話がかからない、こういう声が大変に上がっているわけです。これをまずやっていただきたいということが一つと、その次は、三時間も四時間も、さっき言うように待つわけですから、その待つ間どこへ行くのかということです。待合室ぐらい一つつくったらどうか。おたくからいただいた資料、運輸省からいただいた資料を見ますと、五十二年度は五十一億の車検特会の黒字が残っている、残ったと言われているんですね。そうだったら待合室一つぐらいつくるとか、それから飛び込みで来た人がいるわけですから、こういう人に掲示板の案内文書みたいなものがあって、こうこうこうして車検を受けるのですよというようなものを置いておくとかすべきなんですが、実に陸運事務所は不親切だと言う。これは人数が足らないから出てきた不親切と、それからやはり本当の不親切があるわけですよ。できることなのにやらない不親切と二つあると思うのです。ですから、まず人員をふやすというのは先ほどお願いしたわけですけれども相談窓口に電話をすればちゃんと出るように、待合室ぐらいは、そんなにお金のかかる建物ではないわけですから、ここでちょっとお茶でも飲んで休んでいられるところをぜひつくっていただきたい。いろいろ案内の文書とか掲示板で説明をするとか何らかの方法をしていただきたい。もう少し行政サービスをしていただきたいというふうに思います。その点御返事をお願いします。
  190. 梶原清

    ○梶原政府委員 陸運事務所におきます窓口のユーザーに対する行政サービスにつきましては、五十三年までに専門の要員九名を張りつけまして、さらに来年度は二名の増員をいただくようになっておるわけでございます。待合室につきましては、庁舎の増改築等の機会に逐次拡充を図っていくように努力をしたいと考えます。その他きめ細かな行政サービスが向上しますように職員の指導訓練をいたしたい、かように考える次第でございます。
  191. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 逐次というのはどういうことですか、具体的にいつつくるということですか。
  192. 梶原清

    ○梶原政府委員 各陸運事務所の庁舎それぞれに事情もございますので、十分それらの実態を踏まえながら将来の増改築計画ともあわせて検討してまいりたい、しかしそれまでの段階でも、いま先生御指摘のようなユーザーに対するサービスも向上できるようにきめこまかな配慮をしてまいりたい、かように考える次第でございます。
  193. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 次に、最後になりましたが、これはある地方都市ですが、地方都市に行きますと出張車検というのがありますね。こういう場合に、これは一つの都市の事例なんですけれども、ここでは第一、第二、第三週は出張して日帰りで帰ってくるわけですね。それで四週だけは一泊泊まりでいくというような形をとっているわけです。できれば私は、一泊泊まりできちんと、週二日になるわけですけれども車検をしてほしい。そうしないと積み残しが物すごく起きるわけなんですね。それを理想にしているわけです。それからこの週一回というのも、朝の汽車で、ここの事例でいきますと、朝十時二十三分の急行で行きますと、そこの都市に十二時に着くわけですね。その前に九時四十八分という特急があるわけですが、これで行きますと、出発が三十分早いし、それから乗る時間が三十分短くなるということで、一時間早く向こうに着くわけですね。そうしますと、いま三時間しか車検する時間がないのですが、三時間にあなた百二十台もこなしているのですよ。いかに検査がいいかげんにならざるを得ないかということです。その上に積み残しがいっぱい出てくるということですので、せめて一時間でもこれを――同じ人員なのですから、そのためにはどうして特急に乗せないかということです。そんな小さな金をけちけちしなくたっていいじゃないかというふうに思うのですけれども、こういうのを解決していただきたい。そのときぐらいは、もう規則はこうだからというのではなく、特殊事情でしょう、短いところじゃないですか出張車検に行くのにはね、ですから、この時間の割りを見て、特例のところにはやはり特急券を渡す、そうすれば一時間たくさん仕事ができて、効率よくできるじゃないかというふうに思うのですけれども、その点の御返事をいただきたいと思います。
  194. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 ただいまの御指摘でございますけれども、昨年の十月のダイヤ改正で、出張検査のうちにダイヤの関係で非常に出張がやりにくくなったというところがございます。先生の御指摘も恐らくそういうところだと思います。出張検査で非常に業務量がオーバーするというところをどうするかという問題だと思いますけれども、私ども非常に少ない人員で本場と出張検査をこなしていかなければならないということで、要するに両方一番効率よく少ない人員でこなすということが第一でございます。そこを重点に考えなければならない。それから特急券を払ったらいいじゃないかということは旅費法との関連もございます。したがいまして、陸運事務所で関係業界の方々とも御相談の上、先ほど先生御指摘のありましたように泊をつけてやるという方法も一つでございます。ですから、一週目と三週目に泊をつけてやるというのも一つの解決方法です。ですから、そういうことの調整をいたしまして、皆さんの御満足いただくように、しかも私どもが一番効率よく検査のできるようにできるだけやりたい、そのように検討してまいりたいと考えます。
  195. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 実効あるものにぜひしていただきたいと思います。  質問を終わります。
  196. 青木正久

    青木主査代理 鈴切康雄君。
  197. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 私は、きょうは東京国際空港の沖合い展開計画、すなわち羽田空港の沖合い移転についての御質問を申し上げます。  昨年の十二月の四日に運輸大臣から東京都知事あて、並びに運輸省から大田区助役あてに、東京国際空港の沖合い展開計画についての試案が提示されております。この試案について運輸省の基本的な考え方を確認させていただいた後、何点かについて具体的な質問に入るわけでございますが、現在まで三者協、すなわち運輸省、都、地元大田区、これを三者協と言うのですが、この三者協を通じて話し合いが進められておるわけでございます。新空港建設に当たっての計画のねらい、これは試案に明示されております項目、すなわち第一番目には「騒音問題の解消」、第二番目には「航空輸送力の確保」、第三番目には「空港跡地の利用」、そして第四番目には「廃棄物処理場の有効利用」、第五番目には「アクセス交通による交通渋滞の緩和」、そして第二項目には「調整を要する事項」ということでありますが、この運輸省が出された試案、現在もこの考え方にはお変わりはないかどうか、まず、それを確認して、それから質問に入りたいと思います。松本(操)政府委員 現在においても全く変わっておりません。
  198. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 その試案によりますと、第一番目には「騒音問題の解消」という項目がありまして、その項目の中に「C滑走路を移設し、さらに滑走路を沖合に一本新設することにより、現在騒音問題の原因となっているC滑走路の北側への離陸、北側からの着陸およびB滑走路の北側への離陸を原則として取り止めることができ、騒音問題を抜本的に解消することができる。」とありますが、運輸省が騒音問題を抜本的に解消するという騒音の数値、これをどのようにお考えになっていましょうか。
  199. 松本操

    松本(操)政府委員 私どもは、騒音の抜本的解消というものの一つの目安といたしまして、環境庁が扱っておりますWECPNLという数値の七十というところをめどに置きました。これは実は七十五でもよろしいのかもしれませんが、七十というところをめどに置きまして、これが既成市街地にはかからない、できる限りほとんど全部が海上部分で処理できるということをねらいに考えておるわけでございます。
  200. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 この沖合い展開計画の一つの大きな柱は、第一番目にあります「騒音問題の解消」、地元はこの問題に今日まで大変苦労してきただけに、この問題がどういうふうに解決されるだろうかということが、今回の地元との三者協議を通じても大変大きな一つの柱ではないかと私は思うのですけれども、あなたはいま、移転をしたときの目標の数値としてW七十というふうに言われておりますけれども、実際にはこれは昼間と夕方と夜間についてのウエートをつける評価であるということは御承知のとおりでありますけれども、必ずしも住民感覚にはそういうとらえ方は私は適していないのじゃないだろうかというふうに実は思うわけであります。むしろ住民の方々が生活していく中にあっては、非常に騒音に悩まされるという影響を考えたときに、W七十というような、そういうウェートをかけるというようなやり方ではなくして、ピークレベルで物を考えていかなければ、抜本的な解消にはならぬのじゃないだろうかというふうに私は思うのですけれども、その点についてはいかがですか。
  201. 松本操

    松本(操)政府委員 先生御指摘のように、航空機の騒音については、かつてはピークレベルの議論をしておったわけでございますが、その後、国際的なICAOのいろいろな研究の結果とか、そういうふうなものを踏まえまして、四十八年だったと記憶しておりますが、環境庁がこれを採用して、航空機騒音の基準を定める、こういうことになったわけでございまして、したがって、いまピーク値を使うといたしましても、適当な指標もないわけでございますし、また一過性の、かつ間欠的な航空機の騒音というものにつきましては、私どもは、いまのところ環境庁が決めておりますWECPNLという単位を使うのが一番妥当適切ではないだろうか、このように考えております。
  202. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 いま非常に騒音値の高い羽田空港の周辺の中において、ことに私の関係もその近所に住んでおりますので、大変に厳しいわけでありますが、森ヶ﨑地区の大森一中、この周辺においてはピークレベルはどれぐらいでしょうか。
  203. 松本操

    松本(操)政府委員 大森一中で直接私ども測定をしたデータがございませんので、それから六百メートルばかり滑走路寄りの方でございますが、羽田中学校で昨年の十一月にはかった数字でかえさせていただきたいと思います。いろいろなピークがございますが、平均いたしますと八十四・七、それに対しましてWで換算をいたしました場合に八十二・二というのが実測値でございます。
  204. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 いまおたくがおっしゃったように、羽田の学校ではかった数値で、それもピークレベルの平均値が八十四・七ですから、かなり高いわけですね。それ以上になっているということも言えるわけです、この八十四・七というのは平均ですから。私は、一応W七十という換算の仕方を、ピークレベルでどういうふうな飛行機が飛ぶかということについて、これは私どもも関心がございますので、調査したわけでありますけれども、WECPNLの七十を実際の騒音を出す飛行機に当てはめたとき、これはごく一例でありますけれども、測定値が、午前七時から午後十時にとってみますと、八十ホンという騒音値になる飛行機が五機、七十五ホンになるのが八十二機、七十ホンが三百二十七機、六十五ホンが千百一機、これも実際にWECPNLの七十ということになるわけですね。  それからまた、二十四時間の飛行をすると仮定をした場合、九十ホンという騒音値になる飛行機が三機、八十五ホンが十一機、八十ホンが三十五機、七十五ホンが百十三機、七十ホンが三百五十七機、これもやはりWECPNLの七十ということになるわけですね。そういうことになりますと、かなり高い騒音値、ピークレベルがそのまま残される。残されても、WECPNLの七十という数値に当てはまってしまう。そういうことになれば、生活の実感から言って、騒音が抜本的に解消できたかということになりますと、非常に大きな問題を残すのではないだろうか。むしろいまあなたがおっしゃるように、かつてはピークレベルではかっておりましたのが、今日は環境基準で国際基準のWを使うようになりましたことは、そういうところに逃げていく一つの便法ではないか、このように思うのです。本当にこういう問題はピークレベルでとらえて、そしてどうあるべきか、少なくとも羽田空港が沖合いに移転をされるという以上は、六十五ホン程度までにはぜひ下げてもらいたいというのが住民の皆さん方の合意なんですが、その点についてちょっと問題を残すのではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  205. 松本操

    松本(操)政府委員 いま先生がおっしゃいました数字を承っておりましても、実はその数字の持っている意味が出てくるわけでございますけれども、先生のおっしゃった数字の中で、たとえば九十ホンという機数がわりあい少なくても、実はそれが全体のレベルを引き上げるような形になりまして、WECPNLで言いますときに同じく七十になる、こういうような現象が出てまいります。ですから、先生のおっしゃるような意味においても、やはりピーク値というものが、このWの計算の中に何がしか効いてくるような形にはなっておるわけでございます。  そこで、昔のようにピークを使ったらという再度の御指摘でございますけれども、結局ピークのどこをどういうふうに押さえればいいのか、一日たった一回でもたとえば八十五が出たらいかぬのかという議論になりますと非常にわかりにくいわけで、そういう長い試行錯誤的な議論の果てにいまのWというものにたどりついた経緯もあるわけでございますので、私は、このWそのものが今後ずっと不変にこれでいいのだというふうに言い切れるかどうかについては、専門でもございませんしわかりませんけれども、当面、四十八年に環境庁から出ました告示というもの、環境基準というものについてせっかく努力をしているということであれば、この中に言うところの七十五というのは一つの目標でございますが、さらにそれを五下げて七十というところまでしぼったものを目標として、それが既成の市街地にひっかからないようにするというふうなところをもって私どもとしては一応騒音の抜本的な対策――もちろん、いろいろな組み合わせを調べていけば、中に一日に何回か高いのがぼっと出る、それが全体のレベルを引き上げるというケースもございましょうけれども、しかし、全体的に一日をならして間欠的な、あるいは短期間に完結する航空機騒音を聞いていった場合には、まあまあという数字ではなかろうかと思っております。
  206. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 これは議論がかみ合わないわけでありますけれども、やはりピークレベルのかなり高い音というのは、われわれ生活をしている中におってかなり強烈に感じるということだけは、これは地元の一人として申し上げておかなければならない。ただW七十でいいのだというものではない。     〔青木主査代理退席、主査着席〕 特に休んでいるときなんかは、大きな音があるということは非常にわれわれの生活を破壊するものでありますから、そういう点について一言だけ申し上げておきたいと思います。  運用時間ですけれども運用時間について九時から十時、大変に就寝をするその時期に飛ばれるということ、また音がかなり大きいということ自体についても、私は問題があると思うわけでありますけれども運輸省が行政指導をされて、午後十時以降の飛行禁止が言われているわけでありますけれども、実際にはこれが守られていない。これは再三国会でも問題になっているわけであります。  ちなみに運輸省のデータによりますと、五十四年一月一日から一月三十一日の離着陸の回数は、午後九時から十時までは四百七十六回、午後十時以降が五十六回、こういうことになっておりますけれども、将来、沖合いに移転をすることによって騒音値が低くなるということで、空港運用時間を延ばすことになりはしないだろうかということを地元は大変に心配しているのです。それについてはどうお考えでしょうか。
  207. 松本操

    松本(操)政府委員 運用時間をどのように決めるかということは、もちろん空港サイドからの都合もございますが、主として周辺住民の方の御意向というものが十分にしんしゃくされなければいけない。現に羽田では、従前から午後十一時以降は飛行しないということにしておるわけでございます。したがって、先ほど来抜本的な騒音問題の解決を図りたいということを申し上げ、また本当にそういうことを念頭に置いて今後計画を進めるつもりではございますけれども、その結果一体どうなるのかということにつきましては、でき上がった時点で十分に環境基準を満足するばかりでなく、いま先生おっしゃったようないろいろな点についても、地元の方が納得をなさるのであれば、それはまたおのずから別な話でございましょうし、まだまだ十分に納得できないという問題があれば、そこをどうすれば改善できるかという議論も詰めなければなりませんでしょうし、いまの時点から延ばすとか延ばさないとかいうふうなことを決めてかかるというようには私ども考えていないわけでございます。
  208. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 いまの羽田空港では大体十六万から十七万が限度ですね。これから新しい沖合い移転をしたときに、聞くところによりますと、運輸省は二十四万回ぐらい飛ばそうというような考え方を持っているやに伺っておりますが、その点については将来計画はどういうふうにお考えになっておりますか。いま言われたように、地元の方では騒音について、騒音が抜本的に解消されるというわけですから、非常に期待を持っているわけです。そうすると、期待を持っているところを、さらに幾らか数値が低くなったということで飛行時間を延ばされる、延ばされた中において今度飛んだ飛行機がたまたま内陸部に入り込んだということになれば、これは非常に大きな問題を醸し出すわけでありますから、当然、運用時間については地元の方々の納得が得られるような方向で御検討をいただけましょうか。
  209. 松本操

    松本(操)政府委員 私どもとしては、沖合い展開後の空港の容量は、やはり二十四万回程度はどうしても欲しいと考えております。先ほどWで七十が既成市街地にかからないようにということを念頭に置いてとお答えいたしましたのは、二十四万回飛ぶということを前提に予測コンターを書いてあるわけでございます。したがって、現在の目標としては、あくまで七十以上のコンターが既成市街地にかからない、それをもって抜本的な改善ということをねらってやっておるわけでございますが、先ほどお答えしましたように、実際の運用をどうするかという話は、これは地元の方々とのお話し合いでいままでもやってきておるわけでございますので、それが今後急に方針が変わってしまうというものではないというふうに御理解いただいてよろしいかと思います。
  210. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 地元並びに周辺住民の納得のいく沖合い移転の本来の目標を達成するためには、一つは、B滑走路を廃止の方向考えられるのか、あるいは他の場所に移動させるのかという問題と、もう一つは、C滑走路とB滑走路の方位を東側に若干振って、なお可能な限り第一航路側に出し、南側に寄せるという考え方に立っているようでありますけれども、その点について運輸省と東京都と地元の三者協議会における話し合いの中にはそういうことは問題にならなかったでしょうか。
  211. 松本操

    松本(操)政府委員 昨年の十二月にこの案を三者協にお示ししましてから、たしか三回ばかりお話し合いをしておると思いますが、その過程で、いまおっしゃいましたようなB滑走路の問題について一つの大きな事項になっておることは事実でございます。
  212. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 そうしますと、B滑走路について大きな問題になっているというのは、地元の場合はどう考え運輸省の場合はどうお考えになっておりましょうか。
  213. 松本操

    松本(操)政府委員 B滑走路をできればなくしてしまうとか、あるいは向きを変えるとか位置を変えるとかいうふうなことができないだろうかというのが地元のお考えでございます。これに対しまして私どもの方の考えとして御説明申し上げておりますのは、B滑走路の使用量というのは、現在三分の一程度がB滑走路を使っております。これは優先滑走路方式のためにわざわざ使っているという面もあるわけでございます。これが南風が吹きましたときに非常に有効に活用ができますので、B滑走路をやめてしまうということは非常に問題があるので、これは御勘弁願いたいということを申し上げております。  それから、B滑走路を何とかいまの位置で少し動かすということを考えますと、時計回りに東へ振ると申しますか右へ寝かせると申しますか、というふうなことをいたしますと、この場合には風向きと違う方向へ行ってしまいますので、B滑走路としての価値が減殺されてこれは困る、それじゃ反時計回りに少し起こす方向へ持っていったらどうか、これは第一航路というのがすぐ北側の方にございますので、ここを通ります船との関係で、もちろん航路を多少いじくることはできましょうけれども、大幅に航路をいじくるということは至難のわざであろうかと思いますので、余り大きく動かすことができない。しからば大体いまの位置で前後に動かすということができるか、北南の方でございますので、これについてはできないことはないかもしれません。しかし、これも船舶航行との関連性というふうなことを考えますと、そう簡単な問題ではないと思いますけれども、これは少し私ども考えてみるべきではないかと思っております。  それから、全然東側の方へ持っていってしまうというのはどうなんだという御意見もございます。これについては、やはりいろいろ私どもの方の専門家もあれこれ苦労しておるわけでございますけれども、どうも船舶との関係でございますとか、あるいは川崎側のコンビナートとの関係でございますとか、あるいはC滑走路なりD滑走路なりに出入りする飛行機とこの新しく移していった新しいB滑走路を使う飛行機とが交差をしてしまうとか、いろいろむずかしい面がございまして、どうも川崎の方へ持っていくというのもきわめて困難ではないだろうか、そういうふうなことで、まだ結論をこれだと言って得るに至っておりませんけれども、強い御希望もあり、何とかすり合わせのつく範囲がなかろうかということでいろいろとお話し合いをしている、こういう実情でございます。
  214. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 確かに地元の方では、多摩川河口の方にB滑走路を持っていってもらいたいという強い意見が実はあるわけですけれども、いま航空局長さんがおっしゃった中で、運輸省としてはB滑走路の北と南の方には若干移動できるのではないかという運輸省側の御意見がちょっとあったわけですけれども、その点は大体百メートル見当でしょうかね。それからまたC、Dについては若干振れるのではないだろうかということなんですが、原案よりちょっと振ることができるのじゃないかというふうに思うのですけれども、大体何度くらい振れましょうか。
  215. 松本操

    松本(操)政府委員 私、考え方としてB滑走路は非常にむずかしいけれども、いまのところでこう北へちょっと動かすことぐらいのことは可能性のありそうな議論ではないかという趣旨で申し上げたわけで、まだ五十メートルなのか三十メートルなのか、あるいは先生おっしゃるように百メートルなのか、そこまで細かく詰めるという段階には至っておりません。それからCなりDなりを何度か振るという問題につきましても、たちどころに航路との関係が出てまいりますし、さらにまた滑走路延長線上にございます千葉県側とのいろいろな問題点ということも十分に念頭に置いていかなければなりませんし、これもいまこの時点で一度だとか一度半だとか数字を挙げてお答えできるところまでは詰め切れていない、ただそういう方向で、せっかくの御要望もございますし、いろいろな面から考えて、まあまあこの辺なら何とかならないかというふうなところをぜひしぼっていってみたいということでいま研究している、こういう段階でございます。
  216. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 大臣も聞いておいていただきたいのですが、後で大臣答弁してもらいますけれども、道路運送の問題です。道路運送あるいは軌道運送についてでありますけれども、実際いまの羽田空港は全く空港の形態をなしていない、私はそういうふうに思っております。現在の環状八号線と産業道路、それから大鳥居、いずれにしても、あそこでの交通渋滞はおびただしいものがありますし、そう考えてまいりますと、全く麻痺的状態にも現在なっております。こういう状態のもとにおいて、運輸省が言われる十六万回を二十四万回に拡張していきたいというようなそういうお考えは、とても達成できるはずはありません。  私は、そう考えてまいりましたときに、何としても交通の渋滞というものを解消しなければならないと思っておりますし、将来新しい空港ができる場合、湾岸道路は純高速部分を含めて全線が同時に開通し、環状八号線も全線、新しい空港開港までに開通させるということは、今後の問題として非常に重要な問題ではないか、こう思うのですが、その点についてはどうでしょうか。
  217. 松本操

    松本(操)政府委員 湾岸道路の建設そのものは、建設省の所管でございますので、私から責任のあるお答えをする立場にございませんけれども先ほど冒頭に先生が確認された私ども方針の中でも、湾岸道路がいまちょうどB滑走路の下に半できになっておりますが、これを最大限活用することによって、いま御指摘のあった陸上交通のアクセスの問題については、非常に大幅な改善ができるのではないかということを期待しておるわけでございます。こういう点も今後の詰めの中において関係機関と十分にすり合わせをしていきたい、こう考えております。
  218. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 大量輸送を確保するということと、それから交通渋滞をなくするためには民間の協力も得なくちゃならぬだろうと思っております。  現在、京浜急行の空港線がございますけれども、これは御存じのとおり途中で切れておりますし、こういうのを高架化にするなり、あるいは地下鉄にするなり、そして現在の京浜急行と国電浦田とは完全に切れているわけでありますから、こういうものを連携するなりというような方法、そうしてまた、いま申し上げました京浜急行を新空港のターミナルビルの中に入れ込むという、そういう一貫した連携がないと、この問題はなかなか解決しないだろうと私は思うのですけれども、この問題について、いま私はどちらかというと、新しい空港のプロジェクトが先に進んでおりまして、これから大きな環境とかあるいは交通をどうするかとかあるいは軌道をどうするかというような、そういうプロジェクトは完全におくれてしまっているような感じがするわけです。ですから私は、少なくとも住民の方々の合意を得るためには、新しい空港として十分に住民の方々にこたえることができるような一つの新しい都市開発、再開発という問題を一貫して取り上げていかなければならぬのじゃないかというふうに思うのですが、大臣その点についてはいかがでしょうか。
  219. 森山欽司

    森山国務大臣 先ほどお話しの沖合い展開計画が具体化した段階で、総合的な空港のアクセス体系は関係機関と調整を図って考えてまいりたいと思います。
  220. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 もう一問、新空港の移転に際しての跡地の問題でありますけれども地元では災害避難場所としてかねて森林公園にぜひ使いたいということでありますが、地元自治体にこの際皆さん方の方から開放する、開放する仕方は、等価交換とか等積交換とか、いろいろむずかしい問題はあるにしても、原則的にはそういう形で地元の方々に使わせるという基本的な考え方を明確にされまして、三者協議にお入りにならなくちゃいけないのじゃないかと思うのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  221. 松本操

    松本(操)政府委員 基本的な考え方の中にも、空港跡地の利用ということはうたってあるわけでございます。地元からの御要望というものも、まだ私、必ずしも非常に具体化しているとは承っておりませんけれども、しかし、跡地の利用ということは、一つの大きな柱になっておるわけでございますので、先生おっしゃったようないろいろな手段方法等もございましょうし、そこら辺を今後のすり合わせの中で十二分に詰めていきたい、このように考えております。
  222. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 時間が来ましたから、これで終わります。
  223. 藤田義光

    ○藤田主査 以上で、鈴切君の質疑は終了いたしました。  高橋高望君。
  224. 高橋高望

    高橋分科員 私、議事録を見ましたら、ちょうど一年前にこの席でお願いをして、どうもその後、私どもの期待しているようなお話の展開がないものですから、きょうはどうかひとつ、お立場はいろいろありましょうけれども、はっきりとしたお答えをできるだけ賜りたいと思います。  まず大臣、事情についてはお手元に資料、書類がいっているのかもしれませんが、こういうことなんです。都市周辺部に私鉄が鉄道を引っ張って、そしてその沿線の開発計画にあわせて延長計画を持っておったところが、御承知経済事情の中でこれが鈍化してきてしまって、私鉄が途中で工事の進行をストップしてしまっている。これによって、私を含めて地元の方々というか住民の方々が、期待が大きかっただけにまた逆に挫折感も大きいわけです。そこで何とか国自体として、こういった周辺鉄道に対する配慮を基本的に考えていただきながら、一つのモデルケースとしてこの問題を考えていただいて展開していただけないか、こういうことがきょうのお尋ねの主眼でございます。  そこで、まず申し上げたいことは、この例は横浜市の外れにございます相模鉄道の延長問題に絡めてなんでございますけれども、どなたもおわかりのように、大都市における鉄道の建設というのは膨大な費用がかかる、一つの民間の企業としての民営鉄道にとっては大きな負担になってくる、そこで、鉄道という公共性は十分その会社としては知っていても、何か展開がどうしても模様見になってくる、そこで、こうした通勤通学対策上に必要な民間鉄道、民営鉄道の整備を進めるために、国としてやはり何かの助成措置が必要になってくるのじゃないか、国としてどのようなこういう面についての施策を考えていらっしゃるか、まずこの辺からお伺いをしてみたいと思います。
  225. 山上孝史

    ○山上政府委員 御指摘の民営鉄道に対する助成につきましては、現在大きく二つの方策をとっております。  まず第一は、民営事業者からの申し出によりまして、鉄道建設公団、これが民営鉄道事業者にかわって工事を行いまして、これを長期低利の割賦でもって譲渡するという方式であります。これは二十五年償還で利子率が五%であります。この鉄建公団に対しましては、国としてこのため必要な財政融資、五十四年度の予算案では九十七億計上しておりますが、これを行いますとともに、地方公共団体と協力いたしまして、割賦の際の利子を低減するための利子補給を行っております。これが五十四年度の予算案では十八億になっております。  もう一つありますのは、国の融資であります。大都市におきます民営鉄道その他の輸送力の増強工事につきましては、開銀を通じまして特別金利による融資を行っております。たとえば輸送力の増強工事といたしまして、融資比率が五〇%、金利が六分五毛、三年据え置き後十七年償還というような中身であります。これらの措置は、大都市におきます民営鉄道の建設に伴う費用負担の軽減を図るものでございまして、それによりまして、先生も御指摘のように、通勤通学対策上必要な民営鉄道の輸送力の整備、これを促進するということであります。
  226. 高橋高望

    高橋分科員 現実の姿として、この相模鉄道という私鉄は、相模鉄道線のいずみ野から平塚間の認可は受けておるわけですね、けれども、これは認可はしても工事は直接関係ないというお立場を従来はとってこられたようですが、現実にいずみ野という駅と平塚という駅が、免許を持っていながら着工建設が進捗しないということはどうしてなんですか。
  227. 山上孝史

    ○山上政府委員 いずみ野-平塚間、この十九・四キロでありますが、これが御指摘のとおり未着工であります。この理由といたしましては、この区間の沿線開発状況が、免許を取得いたしました四十三年の時点におきます予測に比べまして、この四十八年には市街区調整区域に指定されたこともありまして、著しく開発がおくれておりまして、現状では相模鉄道としての私企業としての採算に見合う輸送需要が見込まれない、したがいまして、開業いたしますと大幅な赤字を避けられないという事情にある、このように承知しております。
  228. 高橋高望

    高橋分科員 実は、そこが問題なんですね。それじゃ、そのままにしておいていいかということになると、これはまた問題が別でございまして、特に周辺地区の今後のいろいろな開発展開ということを考えた場合には、いまの状態のままで私鉄道の経営上の問題だけで放置しておいてよいかどうかということは、これはやはり国としてお考えにならなければいけないと思いますし、逆に伺うのですけれども先ほどお話の出ました鉄道建設公団の対象工事としてはこれはお取り上げいただいておりますか、それとも御検討いただいている対象でございますか。
  229. 山上孝史

    ○山上政府委員 さっきお答え申し上げました鉄道建設公団によるいわゆるP線の工事というこの仕組みは、工事の実施計画の認可を受けました民営事業者が運輸大臣に対しまして、鉄道建設公団法に基づいて鉄道建設工事を行うように民営事業者の方から申し出ることが要件になっております。また、鉄道建設公団による民鉄線の建設工事につきましては、譲渡後に民鉄の利子負担を軽減するために、さっきも触れましたけれども、利子補給金を国と地方公共団体で二分の一ずつ負担することになっております。したがいまして、地方公共団体におきましても、この利子補給金を負担することが必要になるわけであります。以上の点に関しまして民営事業者、この場合は相模鉄道でありますが、これと地方公共団体からこの法律に基づいた申し出がありましたら、その時点におきまして、私どもといたしましては積極的に検討する用意はございます。
  230. 高橋高望

    高橋分科員 そうすると、きょう三月一日現在では、直接に民間の企業である相模鉄道からは具体的な申し出が出ていない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  231. 山上孝史

    ○山上政府委員 そのとおりでございます。
  232. 高橋高望

    高橋分科員 そうしますと、住民の方は相変わらず迷惑が続くし、こういうことに対して認可の期限が来ると書きかえているということの繰り返しをしていらっしゃるようですけれども、この認可についてのいろいろな配慮といいましょうか、高度な次元での判断というものは出てこないのでございますか。
  233. 山上孝史

    ○山上政府委員 いま先生もおっしゃるように、この区間につきましては四十三年の十二月に免許をしております。それに従いまして、工事の施行の認可の申請というものが規定された期限までに出されるというのが通常でございます。ところが、先ほども申し上げましたように、輸送需要につきまして、免許申請を行った当時と非常に事情の変更がございました。そういうことで、民営事業者は私企業でございますので、みずから採算の見通しがないという場合には工事に着手できない、したがって、工事施行の認可申請もできないというような事情で、昭和四十五年十二月四日以来実は三回、工事施行の認可が申請できないということで、期限の更新につきまして相模鉄道の方から申し出があって、それをその都度やむを得ない事情であるということで認めてきております。現在、五十四年の十二月四日が期限になっております。
  234. 高橋高望

    高橋分科員 そうしますと、相模鉄道が社会情勢の変化だということで繰り延べ、繰り延べしている、工事の認可を書きかえ、書きかえを続けているということになると、国としてはこの問題はそのままにほうっておく、こういう何か不十分な対策のままに放置されるというような恐れが出てくるのですけれども、この辺については何かお考えをお持ちですか。
  235. 山上孝史

    ○山上政府委員 国としては、四十三年に免許をしたわけでありますので、そのような行政処分をしたことにつきまして、その内容が実現されるということを当然期待しているわけであります。しかし、再三申し上げておりますように、その後輸送需要につきまして成業の見通しがつかない、しかも、これが鉄道建設公団方式でもって助成を受けても、なおかつ、その成業の見通しがつかないというような事情にあるということで、工事の施行の認可申請が出てこないという事情にあります。したがいまして、相模鉄道も私企業といたしまして鉄道経営を行っているものでございますので、私企業といたしましてその事業を維持していくためには、当然いまあるいろいろな助成を使いまして、それを前提にしても採算のめどがつかないということになりますと、それにもかかわらず路線を無理して建設しろというようなことは非常に困難があるわけであります。このために、この相模鉄道につきましては、私どもといたしましても、それを黙って放置しておるわけではございませんで、神奈川県を初めとする関係の地方公共団体、それから住宅公団等輸送需要の発生源を建設するようなそういう方々とも十分に接触をして、今後、開発計画があるかどうか等の情報の収集、それからまた、開発計画がありますと、それに沿っていずみ野線の建設計画をいかに具体化したらいいかということにつきまして、会社側としても努力するように指導しておるわけでございます。
  236. 高橋高望

    高橋分科員 いろいろお話はあるのですけれども、よく伺っておりますと、ますます鶏が先か卵が先かという話と同じになってきてしまうのですね。片っ方の方ではそれだけの需要がないだろうというふうに御判断なさる。ところが、片っ方の方では線ができれば何とかなるんじゃないかという見方がある。両方でそれを、そういうふうに引っ込み思案といいましょうか、前向きに取り組まなかったら、早くから住んでおられる方あるいはそれを当てにしていろいろと生活の将来をお考えになっている方が迷惑するわけですね。そういうふうにみんながみんな控え目のような話になるのを打開するとしたら、これはやはり国としていい意味でのリーダーシップをとって、こういうものをまとめ上げていくというか、引っ張っていかない限り、私はまとまらぬと思うのです。当然その裏づけとしてはお金の問題が伴いましょう。ですから、お金の問題も含めたいろいろな対策というのを、従来おとりになったような程度では私はまた書きかえ、また書きかえということが懸念されますので、何かこの辺は前向きに近い将来にお考えになられるという御配慮はいただけないものですか。
  237. 山上孝史

    ○山上政府委員 先生御指摘のように、書きかえ書きかえと、工事の施工の認可申請の期限の更新の問題だと思いますが、これを何回もするということは、よほどの事情がなければ私は適切でないと思います。むしろ四十三年当時取った免許につきまして、一体これをそのような事情でもって期限の更新をすることがいいのかどうかということが、一つの判断として相当問題だと思います。むしろきれいに、これをクリアにするということが必要かとも思いますが、しかし先生も御指摘のように、地域の住民の方々の御要望もあると思いますので、そのような輸送需要の変更につきましてやむを得ないということで、五十四年十二月四日まで期限を更新して認めてきているわけです。  なお、相模鉄道につきましては、国といたしましては、鉄道建設公団方式の助成ということも考えられますし、その他できるだけの助成は、相模鉄道として成業の見通しがついた場合には、当然これに対応したいと思います。が、同時に、先ほども触れましたが、関係の地方公共団体、これは鉄道建設公団方式の場合にも参画をするわけでありますし、やはり地域住民の問題でありますと、国も当然これは関心を持ちますが、当該の地方公共団体といたしまして、やはり輸送力をいかに当該地域につけるべきかということについて、いろいろもっと積極的に関心を持っていただけたらさらにありがたい、こう考えております。
  238. 高橋高望

    高橋分科員 そうしますと、私は、認可という問題でちょっとお伺いをしておきたいのですが、仮に現在はいま平塚までの認可を出していらっしゃる、これを営業的に考えてある地域までに区切ってここまでなら何とかやっても採算に合うというように区間を従来よりは短くするということについての御配慮は、申請があった場合にはしていただけますか。
  239. 山上孝史

    ○山上政府委員 現在相模鉄道が持っております免許の区間につきまして、その後、合理的な事情によってそのように一部廃止をする、逆に言いますと一部廃止になりますが、そういったことについては、合理的な理由があれば、それは認める用意があります。
  240. 高橋高望

    高橋分科員 くどいのですけれども、合理的な事情というのは、あくまでも需要者の数とか営業に合うというか、あるいは赤字が少ないというふうに解釈してよろしいわけですね。
  241. 山上孝史

    ○山上政府委員 私企業としての鉄道事業者が、その区間の鉄道を運営することによりまして、成業の見通しがあるという場合でありますので、逆に言いますと、廃止をする区間につきましては、それは現在及び予測できる将来におきまして、そのような輸送需要が見込めないというようなことで、そこで、せっかく取った免許につきまして、かえって免許権としてそれを持つことによっていろいろ問題も派生いたしますので、それをクリアにしたいということがあれば、それは一つの合理的な理由になるのではないかと思います。
  242. 高橋高望

    高橋分科員 そうすると、相模鉄道という会社は、現在、運輸省に対して新しい建設に切りかえるというか一回クリアにしてもう一度やっていこうという、そういう内々の意思表示というのはすでにおありになりますか。
  243. 山上孝史

    ○山上政府委員 私は、いま先生がそのようなことがあったらどうかというような仮の、何といいますか、想定に基づいてお聞きになったと思いましたので、私は、そういう相模鉄道からの意思表示は承知しておりませんが、仮にそういうことがあれば、一般的に私といたしましてはそのような対応をするであろうということを申し上げたわけであります。
  244. 高橋高望

    高橋分科員 ここで大臣にちょっとお願いを兼ねて御意見を承りたいのですけれども、こういう問題というのは、中央でいろいろと高度の政治問題の解決をすると同時に、住民の一人というか、そこで生活する人たちにとっては、政治というものをわりあいと身近に感ずる場なんでございますね。こういうことから運輸省当局としてこういう問題に対して何らかの指導を行ってほしい、要するに民間企業に対しても何らかの形で住民本位の形に誘導していってほしい、こういうふうに思うのですが、大臣、この辺についてはどんなふうな御見解をお持ちでございますか。
  245. 森山欽司

    森山国務大臣 鉄道には国鉄、私鉄両方ありますね、そして政府が直接やっております国鉄につきましても、全国的に申しますれば、いま実質一兆二千億円ぐらいの大赤字でありまして、こういう事態を解消しなければならない、国鉄の立て直しをしなければならないということになっておりまして、そういう見地から地方ローカル線は整理する、だから、そのために運政審というところから答申案が出ておる、この答申案は、ついこの間出たのでありますが、拝見すると、バス輸送に比べてみて鉄道の方が有利ならば、これは仮に赤字であっても鉄道でやりましょう、バスの方が有利ではあるが、バスに切りかえるわけにいかぬというところは鉄道でやりましょう、バスの方が有利だというところはバスに切りかえてもらわなければいかぬが、しかし、どうしても鉄道が欲しいというところは、地元の方々も参加してここで検討してもらいましょうというような答申を出しているわけです。国鉄の場合でも、やはり採算がとれるということが非常に大きなファクターでございまして、したがって、今回この相模鉄道が、免許当初の予測に比べて開発が進まなかった、採算に見合った輸送需要も見込めないというような理由から、延伸区間の建設を見合わせておるというのも、これは国有鉄道でさえも同様なことでありますから、私鉄の場合は、とても採算に合わないものを、ぜひひとつこれは続けなさいというわけにはまいらぬと私は思うのです。  しかし、あなたのおっしゃるように鶏が先か卵が先か、採算に見合った輸送需要というのは鉄道ができたら需要が出るじゃないか、そして採算が合うではないかという御論議がもしあるとするならば、それはつくらぬでおるというのも、これは地元の人の立場考えれば困ったことでありますから私ども調べてみますが、しかし、商売人のことですからね、あなた、とにかくこれを開発すれば輸送需要が見込めて採算が合うということだったら、商売になることだったら一生懸命やりますよ。恐らく相模鉄道は、この地区については、これはとても採算に合わぬ、こういうことで手をつけないんだと私は思うのです。そうなれば、あなたの言う鶏が先か卵が先か、採算に合うか合わないかの問題で意見が違ったのなら別でありますけれども、どうも商売人のことで、モチはモチ屋ですから、採算が合わぬと言っておるものをこれはぜひやらせるというのは、そういうすべは国鉄の場合でさえもないのでございますから、国鉄の場合でさえも、先ほど申しましたような運政審の小委員会の答申というのが出て、地方ローカル鉄道の整備問題をどうしたらいいかというのでいま頭を使っておるときでございますから、民間のこういう問題について政府として何らかの措置をするということは困難ではないか、こういうふうに私は思っております。
  246. 高橋高望

    高橋分科員 大臣、最後のお願いになるのですけれども、そうおっしゃらないで、やはり逆に言えば、民間であるだけに、政府の方のちょっとしたインセンティブなことに対して敏感にこたえますから、ですから、国鉄だからだめだ――逆に言えば、国鉄はだからだめなんですね。そういう点をお考えいただいて、民間の企業に対してであるだけになおのこと、政府の方でよりタイミングのよい刺激をしていただいて、要するに関東の中で一つのモデルケースとしてこういうのをやっていただきたい。お願い申し上げて、何かきょう大分時間が迫ってしまっているようでございますから、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  247. 藤田義光

    ○藤田主査 以上で高橋君の質疑は終了しました。  川合武君。
  248. 川合武

    川合分科員 最初に、国鉄にお伺いを申し上げます。  五十二年の分科会で、また昨五十三年の分科会で、通勤輸送力の増強対策として戸塚駅、保土ヶ谷駅に湘南電車を停車させるべきだという発言をいたしました。そのときに国鉄総裁を初めとして国鉄当局のお答えは、貨物別線ができればそれは可能であるというお答えであったと思います。その後の状況はどんなふうになっておるか。事実関係は私も大体承知しておりますので、ここでお尋ねいたしたいのは、この問題の国鉄当局の見通しと申しますか、見立てと申しますか、それを伺いたいと思います。
  249. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 現在、貨物別線を工事中でございまして、五十四年の秋には貨物別線はでき上がるということは御指摘のとおりでございます。  五十二年、三年に先生の方から戸塚駅と保土ヶ谷駅の停車の問題を聞かれましたが、その際に、設備的には戸塚駅には二面、四線のホームができますので停車可能な設備にはできる、しかし保土ヶ谷はでき上がったときには横須賀線がとまるようなホームが一面、二線しかありませんので物理的にはとまることができません、工事的な面で、そういうふうなことで戸塚駅にはとまれる設備はできますという答えをしたわけでございます。  そこで、五十四年に貨物別線ができますと、それからいろんな線の設備上の整備が要るとかあるいは練習運転の問題とか、いろいろ現在貨物の走っておるところを手当てをしなければいかぬということがございますので、それらをある程度期間を置きまして、大体一年ぐらいだと思いますが、それぐらいの後になった時点で東海道の別線が開業ということになるかと思います。その際の、どういうとまり方、走り方をするかという点につきましてはいまいろいろ検討をしておりまして、五十五年に入ってからどんなやり方をするかということを決めるということで、現在はそういう段階でないわけでございまして、もう少し勉強して決めたい、こういうふうに考えております。
  250. 川合武

    川合分科員 ちょっと吉武さん、お話が少し違うような気がするのですけれどもね。保土ヶ谷駅は物理的にとめられない、そういうお答えだったというように聞きますが、そんなことは申されておりませんですがね。私もちょっと、こちらへ伺う前に会議録をずっと読んできましたけれども、私が戸塚駅、保土ヶ谷駅に湘南電車をとめるべきだという質問に対して、区別されないで、戸塚駅、保土ヶ谷駅両方を合わせたふうなお答えで来ておって、戸塚駅の場合はこう、保土ヶ谷駅の場合はこうというお答えは、私の見た範囲では出ておりませんが、どうなんでしょうか。
  251. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 戸塚、保土ヶ谷のことにつきましては、私の記憶とそれからこの議事録を見た範囲では、現在の工事がかなりかかるであろう、したがってその間、現在湘南が通過して横須賀線だけがとまっておるのを両方とめられるようにしたらどうかという御質問が一番最初にあったように思います。それで、それについてはいろいろ問題がございまして、貨物別線ができるまでの間は現在のままでいきたいということで、これはそういうことで御了解願ったと思います。その後で、今度は戸塚、保土ヶ谷の別線ができた際のことに確かに御質問がありまして、しかし先生の御質問は、戸塚、保土ヶ谷ということで一回御質問があったのでございますが、その辺のやりとりの中で戸塚と保土ヶ谷のあれが、私が見ましたのでは、戸塚駅については、構造的に停車が可能かどうかということについては戸塚駅ということでやりとりがあるわけでありまして、確かに最初の御質問には戸塚、保土ヶ谷と一緒にして御質問になったのですが、ここで戸塚と保土ヶ谷と両方ができるとかできないとかいう話はありませんで、実はこの間に貨物線の東戸塚ですか、その間の質問が入りまして、ちょっとはっきりしてなくて、最後に、戸塚駅については構造上可能であるというようなことで整理がされておるというふうに理解しておりますが……。
  252. 川合武

    川合分科員 時間の制約もありますので、ここでもって時間をかけていますとうまくないのですけれども、それはちょっと吉武さんの勘違いといいますか、でございまして、     〔主査退席、岡本主査代理着席〕 私が戸塚駅の構造の云々という話に触れたのは、貨物別線ができないでも、横浜駅は駅の構造を直してとめておるんだから、戸塚駅の構造を直せば、現状において貨物別線ができなくてもとめられないか、こういう御質問をしたのでありまして、それに対して国鉄の方はいろいろと専門的な技術的な説明があって、駅を改造するだけではだめなんで、やっぱり根っこを大きくしなければだめなんだ、貨物別線を待たざるを得ないんだという御説明があって、私もその御説明を了承したわけです。ですから、いまのお話はちょっと違うと思うのですが、そうすると保土ヶ谷は、貨物別線ができましても、要するにそちらさんで使われた言葉を引用すると、根っこが太くなっても保土ヶ谷の乗降客の通勤対策には一つもプラスするものがないわけですか。対策がないわけでございますか。
  253. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 設備的には保土ヶ谷の場合には、一つのホームがありまして上下線の電車が通過できるということで、これは横須賀線の方にできますから、設備的には横須賀線しかとまれないことになるわけです。ただ本数が、いま二本の線で湘南と横須賀が両方入っていますから、一時間にラッシュで二十本、したがって横須賀線が入っておるのがそのうちの八本ですか、これをふやすということができますから、サービス上いまと同じかと言えばそういうことはありません、サービスはやはり向上すると思います。
  254. 川合武

    川合分科員 私、保土ヶ谷駅も湘南電車をとめるべきだということでいままで言ってまいりましたので、ちょっと吉武さんのきょうのお答えは不満なんですけれども、これは技術の問題もあり、物理的なことも絡むのだというお話でございますから、ここで議論をやっておりましてもちょっと時間を食いそうでございますので、私ももう少し勉強してきまして、また後日ひとつお尋ねをいたしたいと思います。それで、この問題に関しましては留保いたします。  それで、前にやはり昨年、一昨年の分科会でも申し上げたのですけれども、長い間の宿題がようやっと解決されようとしているというわけでございますので、いよいよ貨物別線ができた場合に何本列車本数がふえるというようなことを計画と申しますか、大まかな数字になるかもしれませんが、あるいは少し控え目な数字の方が間違いなくていいかもしれませんが、最小限度こんなふうなことにサービスがふえるんだという数字的な計画を発表すべきじゃないか。それはみんな、あの雑踏の乗降客が待っていますから、それに対する気持ちを察してのサービスもひとつ。それから、御承知のように貨物別線のあれは、一部の特定の地域の人の住民運動の反対があったわけですし、いまでもあるわけですね。ですから、それはさることながら、これだけ多くの人が利益を受けるのだというメリットを天下に周知するということが非常に意義あるんじゃないかという観点から、そういうのはどうだ、こう申し上げましたら、国鉄総裁のこの前のお答えは、いま五十三年十月のダイヤ改正が終わりましたなら何とかそういう勉強をさせたいというようなお答え。さらに私が問いを重ねましたら、十月というのは去年の十月ですね、いまは十月の改定に追われていますので、「その作業が一段落いたしましたならば御趣旨のようなことで、きちっとしたものにはならぬかもしれませんが、御趣旨のようなことを少し検討さしてみたい。」この、少しというのはちょっとどうかと思うが、これは言葉のあれだと思いますので、検討さしてみたいというお答えでしたが、十月からいままだそんなに間がたっていませんから、いまここで数字をすっかり発表して、この場で答えていただくということまで私望みませんけれども、なるべく早く、こういう姿になるんだということを、ここまで来たんですから、示されて、それからあわせまして、どうせ貨物別線ができる、湘南電車もとまる、本数もふえるということになりますならば戸塚駅は改造しなければならないのですから、その方の改造をなさるべきじゃないか、着手されるべきじゃないか。東戸塚をおつくりになりましたね。これは東戸塚駅だって貨物別線ができてから動くわけですね、実際は。しかしもうすでにおつくりになった。これは私は非常にいいことだと思うんですね。貨物別線ができていないけれども、それを前提にしておつくりになった。だから同じような方式で、先ほど申しましたことをひとつ実行していただきたい、こう思います。いま数字的なお答えは結構でございますが、お考えを伺いたいと思います。
  255. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 前回も先生がそういう御趣旨のことをお述べになりまして、総裁が少しそういう方向でというようなことも言ったということでございます。私ども確かにおっしゃることもわかりますが、東海道線を複々線にしまして、それで新しくかなりサービスをよくしようという気持ちはございますが、それに絡めまして総武線との直通問題であるとか、あるいはほかの、東海道線の大船より西側であるとか、そういった点のダイヤの問題とか、あるいはそれに絡みます車両計画、要員計画その他もろもろありまして、今回やりました昨年の十月の場合も、大体半年ぐらい前だったと思いますが、六月ごろにようやく最後の案が固まったということで、大体そんなような感じでやっておりますので、ここに局限されることなく、ほかのいろんな接続とかそういうものとも絡み合いますので、やはりそこまでの勉強期間はどうしてもかかるということでございます。  それからもう一つ、戸塚駅が二面四線でありますので、両方とまれる設備はつくってあります。ただ、その点も残念ながら、そこをどういうダイヤで、とめるかとめないか、どういうことでやるかということも含めてまだ検討中です。なぜかといいますと、湘南と横須賀線と分離しますと、横須賀線の方が若干長くなります。東戸塚もありますし、そのほかの二駅もありますし、延長も長い。それから東京駅の地下にかなり奥深く入るということで、恐らく運転時分で五分ぐらい延びるだろう。それから東京駅の乗降でもって数分ということで、どうしてもお客さんが偏るんじゃないか。そうすると、限られた輸送力をいかに有効に使うかということで、他の線区でもそういうことをやっておりますが、ホームがあるから必ず全部使うということをこの際全部申し上げることはできないというわけでございます。
  256. 川合武

    川合分科員 同じく根岸線の大船-磯子間の列車本数が少ないので、それを増強してサービスを増すべきじゃないかということに対しましては、五十三年の十月にダイヤ改正をされまして若干ふえまして、これは非常に御努力を認めますが、御承知のように、あそこの沿線はまた住宅公団の大きな団地もできて、どんどん人がふえているということでございますから、これは何か国鉄にも、こういうようなダイヤをできるだけふやすという意欲のもとに、一般の需要増に対しての数字的な一つの計算といいますか、ものがあると思いますので、それはきょうは時間が来ましたものですから伺いませんが、また日を改めて、このぐらい乗降客がふえたならばこの程度ふやすことが可能なんだ、しかしまた、いろいろなダイヤがふくそうしますからそれはどうなんだということを、後日また伺いたいと思いますが、さらにあの磯子-大船間の本数をふやすべく前向きで検討されますことを要望いたしまして、国鉄に対する質問はこの程度にさせていただきます。  続きまして、空港消防について伺いたいと思います。  現在、空港は一種、二種、三種というふうに分けられておって、一種と二種については自衛消防といいますか、運輸省が消防力を持ってこれに当たられておる、こういうふうに伺っておりますが、そのとおりでございますか。
  257. 松本操

    松本(操)政府委員 飛行場の消防につきましては、御案内のように飛行機そのものが油をたくさん積んでおることもありますので、(川合分科員「簡単で結構です」と呼ぶ)一種、二種という、先生おっしゃったのは多少違っておりまして、一種については自衛消防、これは完全にできております。二種につきましては、自衛消防という形で運輸省の職員が直接やっておりますものは数が少のうございます。残りは、社団法人の航空保安協会に運輸省から委嘱するという形になっております。三種空港におきましては、設置管理者である都道府県が消防の任務を持っている、こういう形になっております。
  258. 川合武

    川合分科員 消防活動は、住民に非常に強い受忍義務といいますか、別の言葉で言いますと、多少不正確な言葉かもしれませんが、強い公用負担が認められているわけでございます。消防法を見ますと、消防法の二十八条あたりから始まりまして、消防警戒区域の設定、それから消防活動中の緊急措置等ということで、これは一番強いのは御承知のように破壊消防まで認めているわけですが、非常に強い消防活動の権能を与えているわけです。自衛消防というのは、工場のようなところの自衛消防と空港の自衛消防とは趣が、全く違うとは言いませんけれども、違うと思うのです。空港は公開の、全く開かれたものとは思いませんけれども、工場なんかにおける自衛消防とは違って、開かれた、人も出入りしておる、こういう場面もありますし、現在の役所のやっていらっしゃる自衛消防がこれだけの強い権能を持って果たして、端的に言えば問題を起こさないか。ましてや保安協会という、そういう委託したものでやられたときに、何か強い権能をやって消防活動をやらなければならないために問題が起きたときに、これは保安協会の人たちがかえって気の毒なことになりはしないか。実際、消防活動をやるには強い権能を働かせなければならない、しかしそういう権限がないという問題があると思うのですが、これについてどういうお考えを持っていらっしゃるか、これもちょっと、簡単で結構ですが、お答え願います。
  259. 松本操

    松本(操)政府委員 先生御専門でございますので、私どもの説明が至らぬ点があるかもしれませんけれども、私ども、自衛消防とも多少違うのではないだろうか、航空法の四十七条に基づきます消防で、対象は飛行機に限られているというのが私どもの理解でございます。したがいまして、消防法で言うところの消防対象物とか防火対象物とかいろいろございますけれども、その区別の中でいきますと飛行機だけが私どもの対象になる。もちろん、飛行機からの火が飛ぶとかいうこともございましょうからそういうことがないとは言えませんけれども、飛行機が火災を生じ、または飛行機の救難事故、つまり飛行機がクラッシュをして、火は出ないけれども中に人が入っているとか、そういうふうなものも航空法四十七条に言うところの消火救難活動で、言葉がちょっと違うようでございます。
  260. 川合武

    川合分科員 それは、私の解釈によるとおかしいので、航空法の四十七条は「飛行場の」ということでございますね。ですから航空機だけに限定しているいまのお話はおかしいし、また、事実上空港の中にはいろいろな施設もあるのに航空機だけに限定してということは、事実問題としてもおかしいと思います。これも、はなはだ時間がありませんので、また後いずれかの機会にということにしまして、私の考えを申し上げます。  私はそちらから協定の写しをいただきました。大阪空港における消火救難活動における協定書、それからもう一つは羽田でございましたか、東京国際空港及びその周辺の協定、これを見ますると、いわゆる消防機関ですね、たとえば東京の羽田で言えば、東京消防庁と運輸省の消防隊との指揮系統というものがどういうふうになるか。両方、二つですよ。空港の中で二つ消火活動をやるときの指揮系統について、この協定にははっきりございません。そうすると二つの機関が二元行政をやる、こういうふうになるおそれがございます。常識的に判断されてやっていらっしゃるでありましょうが、理論的には、これは二元行政のおそれがございます。私は、空港消防もこれは消防機関、羽田で言えば東京消防庁ですね、これにお任せになった方がいいのじゃないか。想像でございますけれども、あそこに何人か何十人の方がいらっしゃるか知りませんが、そこに専従して、あるかないかという火災に備えて毎日毎日過ごされているのも大変なことだと思うのです。やはり東京消防庁あたりの大世帯が半年交代ぐらいであそこに詰めた方が、士気の沈滞を防ぐ意味からもいいんじゃないか、こう思うのです。簡単で結構でございますが、どういうお考えか、ひとつ伺いたいと思います。
  261. 松本操

    松本(操)政府委員 飛行機の対象の火事だけというのは、実は施行規則の方からそういうふうに申し上げたわけでございます。したがって、空港滑走路のすぐそばにいなければならないとか、あるいは非常に限られた特殊な火災だけであるとか、したがって装備的にも多少工夫が要るとかいうふうな面もございます。したがって、いまいろいろと私どもも別途勉強している最中ではございますけれども、国際的なICAOの規定でも、必ず空港管理者が置けというふうには書いてございませんけれども、しかし、どちらかと言えばそれに近いニュアンスの書き方になっております。そういう点も踏まえながら、いまの先生の御意見もございますので、なお少し勉強させていただきたい、このようには思います。
  262. 川合武

    川合分科員 最後に、運輸大臣にお伺いをいたします。  私はいま空港消防について申し上げましたが、これは一つの例でございます。たとえば、運輸省のお仕事を見ますると、よく例に引かれますように、これは自動車局の方のことでございますが、バスの停留所を何十メートルちょこっと動かすにも、しかも市営のバス停を動かすのも運輸省の陸運局の許可権限である、こういう実情でございます。これは、そのことについて運輸大臣にどうこうお答えをいただかなくて結構でございます。たとえでございます。運輸省というものはもう天下の運輸省で、役所の中でもこれだけ大きな役所というのは珍しいくらいの大きな役所でございます。いま行政簡素化というようなことを言われております。また、二重行政の弊害というようなことも言われております。あるいは地方分権というようなことも言われております。ですから、どうかなるべくぜい肉は落としていただいて、運輸省じゃなくてはどうしてもできない、余人をもってかえ得ざる仕事だけにされて、そして地方自治体なら地方自治体にお任せになるものはお任せになるべきではないか、こう思います。  先ほど例に挙げました空港消防も、私の聞いておるところによりますと、これはめんどうくさいので、消防機関といえども余りやりたくもないというようなことを実は聞いております。いわば消極的な権限争いとも言えるようなものでございます。ですから、私は決して消防に権限を与えろとかなんとかということを消防的見地から言うのじゃなくて、ただ運輸省の側に立ってみたときにぜい肉は落とされるべきじゃないか、こう思うわけでございます。  さらにつけ加えさせていただきますならば、役人はやはり自分の在職中に権限を少しでも削らすということについてはいやがります。寸土の領地といえどもこれを守るというのが役人の気持ちでございまして、また、そのくらいの気持ちがなくてはいかぬ面もございます。どうか政治家としての大臣の見識で運輸省のぜい肉を落とされまして、簡素な行政への率先をされますことをお願い申し上げますが、一言所感を承りたいと思います。
  263. 森山欽司

    森山国務大臣 先ほどお話のありました空港消防は、航空局長から話がありましたようによく勉強してもらって、改善すべき点は改善するというふうにいたしたいと思います。  また、運輸省の権限を幾つも抱えていないで地方自治体へ移譲すべきものがあったら移譲したらどうだ、こういうことであろうかと思いますが、それは国の行政事務の簡素化の見地からそういうふうにした方がいいというものについては、そういうふうにいたす方向検討させていただきたい、こう思っております。
  264. 川合武

    川合分科員 終わります。
  265. 岡本富夫

    岡本主査代理 次に、松本忠助君。
  266. 松本忠助

    松本(忠)分科員 まず最初に、大臣にお尋ねをいたしたいことがございます。それは首都圏の交通網の整備の問題でございますが、御承知のとおり大平総理が田園都市構想を提唱されました。私どもも、これに対しまして今日的な意義を認めております。そのことについてより一層今日的な課題は何かと言えば、大都市の再開発問題ではなかろうか、こう思うわけでございます。  御承知のように、高度経済成長政策が人の都市集中を促進させる一方、農山漁村の疲弊を招いたことは現実が証明するとおりでございます。また、人の都市集中は都市の環境の低下をなお一層促進したこともまた事実でございます。国土庁では「首都改造計画の策定について」という報告を出した。この中に次のような言葉がございます。東京圏の人口は昭和七十五年には三千五百万人に達すると見込まれるが、この巨大な生活空間における人間居住の総合的環境を整備して、過密問題を克服し、巨大都市の限界性を踏まえつつ、わが国社会の発展を主導する大都市としての機能を果たすことができるようにするため、東京大都市機能の総合的、抜本的な改造が必要である云々、このように記述されてあるわけであります。  そこで、将来の首都交通のあり方というものに対して大臣はどのようにお考えでございますか、まずこの点をお伺いいたしたいわけでございます。
  267. 森山欽司

    森山国務大臣 わが国の中枢である東京、いろいろな問題が深刻化しつつありますが、国土庁では来年度から三年ないし五年の間に首都改造計画の策定を行うというふうに聞いております。  運輸省といたしましても、今後さらに巨大化し、多くの面で都市機能の確保が問題となる首都東京におきまして、何よりも機能的な交通体系を形成していくということが重要であると考えております。今後、そういう際における首都の交通のあり方、都市空間の有効利用、道路交通の混雑緩和、自動車公害の防止、省エネルギー等の観点を第一として交通機関の技術革新を推し進めて、首都内各地点の機能を十分に高めるため常時高速の交通サービスを提供できるように、都市高速鉄道を中心にした大量交通機関を積極的に整備することが基本でありまして、個人交通についてはできる限り公共交通機関に誘導していく必要がある、基本的にはそのように考えております。
  268. 松本忠助

    松本(忠)分科員 大臣はただいま、首都東京の交通の未来像について、都市高速鉄道を中心としたところの大量交通機関を積極的に整備することが基本である、このようにお答えになりました。  これに関連いたしましてお尋ねをするわけでございますが、きわめて具体的な問題でございますので鉄監局長から御答弁をいただけば結構でございますが、営団地下鉄の有楽町線、現在銀座一丁目駅と池袋駅間を運転いたしておりますが、銀座一丁目駅から明石町付近までの区間及び池袋駅から営団成増駅までの区間の工事状況はどのようになっているか。また、これがいつごろ開業の見通しがあるのか。また、営団成増駅から和光市駅までの間は東武東上線に乗り入れをした場合に、運転間隔が十分とれるかどうか。こういう問題についてお答えをいただきたいと思います。
  269. 山上孝史

    ○山上政府委員 まず有楽町線、いわゆる八号線につきましては、池袋-銀座一丁目間は御承知のとおり四十九年の十月に開業したわけでございます。引き続き八号線につきましては、都心側の工事といたしまして銀座一丁目と明石町間、これは〇・六キロメートルでございますが、これを昭和五十四年度末開通を目途に目下建設を進めております。また、同八号線の反対側の工事といたしまして池袋-和光市間、これは十一・五キロメートルあります。これを昭和五十六年九月開通を目途に建設を進めております。  もう一つ御指摘の区間についてでございますが、また別途西武鉄道が鉄建公団対象工事といたしまして向原-練馬間、これは二・六キロですが、この建設を進めておりますが、これら両線の完成時には、営団は和光市におきまして東武東上線と、それからまた向原におきまして西武線と相互直通運転を行う予定でありまして、相互乗り入れをすることによりまして双方の線に支障を及ぼさないダイヤ構成とすることとしておりますが、開業時点におきましては、それぞれラッシュ一時間当たり六本程度を目安としております。
  270. 松本忠助

    松本(忠)分科員 わかりました。  それでは、次に伺いたいのは、やはり営団地下鉄の七号線の問題でございますが、御承知のように帝都高速度交通営団がこれを免許申請をしております。しかし、まだ実現をしておりません。現在、東京都の区部でいわゆる地下鉄の駅のないというのは北区と練馬区、この両区だけになっております。通勤難の緩和のためにも地元沿線住民は、この七号線の開通を大きな期待を持って待っているわけでございますが、この免許にならない理由についてお尋ねを申し上げたいと思います。
  271. 山上孝史

    ○山上政府委員 地下鉄の七号線につきましては、先生もお話のありましたとおり、当初三十七年、それから追加申請が四十七年ということで、免許申請が営団から出ております。しかし、輸送需要とそれから採算性等の問題がまずありますが、そのほかに、実は赤羽地区におきまして反対運動がありまして、そういう事情で、現在運輸審議会に諮問中でございますが、免許するというような情勢にはなっておりません。
  272. 松本忠助

    松本(忠)分科員 免許にならない主たる理由が、ただいま御答弁になったように、赤羽桐ケ丘地区における反対運動でございますことはわかるわけでございますが、このことにつきまして地元の北区議会の公明党議員団が、四十九年の七月末でございますが、引き込み線の問題と車庫の問題が非常に紛糾を来しました際に、地下鉄七号線を何とかして北区へ入れたい、こういうことで代案を提示したことがございます。  反対理由一つは、旧国鉄の引き込み線を利用した車庫線の建設は、地盤が軟弱な上に片側ががけになっておりまして、しかも住宅密集地であるために工事に伴って人命にかかわる大災害を招くおそれがある、非常に危険であることが指摘されておりましたので、これにかわる案として、地盤のよい台地にあるところの都道補助八十五号線の下をシールド工法で通して、車庫も、スイッチバックして東西に車庫に出入りする案でなくて、補助八十五号線から一部旧国鉄の引き込み線を利用して真っすぐに南北に車庫に入れるように計画を変更するような代案を提示いたしました。しかしながら、これが某党の反対で実現をしなかったいきさつがございます。  いずれにしましても、この反対運動がある限り北区に地下鉄七号線を導入することは不可能であるということは、われわれも認識をしているわけでございます。  そこで、実はこの問題につきまして私のところへある人から、営団地下鉄の七号線を王子駅から豊島五丁目団地付近を経由して扇大橋沿いに放射十一号線の地下を利用して、舎人公園下に地下車庫をつくり、舎人五丁目付近まで延伸してはどうか、こういう案を持ってこられた方がございます。このルートの変更についてどのようにお考えでございましょうか。
  273. 山上孝史

    ○山上政府委員 まず、現在営団から免許申請が出されております七号線のルートを変更するということにつきましては、すでにこのルートにつきましては都市計画決定がなされているという事情などや、あるいは計画路線の沿線住民の方々の期待感というものもありまして、実際上非常に困難な問題もあるかと思われます。ただ、いま先生の方で御提案といいますか、お話がありましたルート変更につきましては、地元の住民の方々、それから地方公共団体が一致いたしましてこのルートの変更を要望される場合には十分検討しなければならない、かように考えております。
  274. 松本忠助

    松本(忠)分科員 わかりました。  それでは、持ち時間が約半分たちましたので、次に東北新幹線の問題に移りたいと思います。  きょうは総裁がおかぜのために欠席ということでございますので、建設担当の常務理事からお伺いをいたしたいと思います。  現在、東北新幹線の建設が大きな待望のもとに進められておりますが、特に問題になっておりますのが大宮以南の問題でございます。この大宮以南の建設状態についてきょうお尋ねをいたしたいわけでございますが、御承知のように上野駅はすでに着工になっておりますし、他の地区の着工の見通しがどうであるかという点がまず第一点でございます。同時にまた、沿線住民は全体的にこの建設についてどのように受けとめているか。また、反対している住民団体と国鉄との折衝、今後の話し合い、これをどのように進めようとしているのか。また、東北新幹線の東京都内の用地買収はどの程度に進んでいるのか、さらに、今後どのように進めようとしているのか。こういう点についてのお話をいただきたいと思います。
  275. 高橋浩二

    高橋説明員 東北新幹線につきましては、東京-盛岡間全般にわたりまして私の方は全力投球ということで進めておりますけれども、ただいま先生のお話のように、東京-大宮間が一番進みが悪いというのが実態でございます。  まず最初に埼玉県の状況でございますが、これは県議会で、条件づきながら促進賛成の議決をしていただきました。したがって、県全体としての問題はよろしいと思いますけれども、ここに与野、浦和、戸田という三市がございまして、いま三市の理事者と関係の方々といろいろお話をしておりますが、相当御理解をいただける段階になっておりますけれども、まだ最終的によろしいということにはなっておりませんので、これは引き続いて御説明をしながら御理解を得ていきたいというように考えております。  それから都内の方は、これは先生も御承知のように、上野駅については、すでに台東区を中心に工事を始めております。それから日暮里付近についても工事を進めております。  それから、一番問題の北区については、これも区並びに区議会では条件つきながら御賛成をいただいておりまして、私の方は、一部の方々にまだ反対がございますけれども、いまだんだん御説明をし、また、昨年暮れには通勤新線等の新設といったような問題も提起いたしまして、大分御理解が深まってきたのではないかというふうに考えております。
  276. 松本忠助

    松本(忠)分科員 板橋区も通過するわけでございますが、板橋区につきましてはどのような対応になっておりましょうか。
  277. 高橋浩二

    高橋説明員 板橋区並びに区議会にも御説明申し上げて、理事者並びに議会の方は賛成をいただいております。
  278. 松本忠助

    松本(忠)分科員 先ほども申し上げましたように、東京都内の用地買収がどの程度進んでいるか、また、今後その用地買収についてどのように進めていこうとしているのか、この点についてのお答えがございませんでしたが、重ねて……。
  279. 高橋浩二

    高橋説明員 東京区内は約十四、五キロでございますけれども、そのうちの一部は国鉄の用地自体を使って新幹線をつくっていくというものがございます。それから、新たに民地を買収するという区間が半分ほどございます。そのうち東京から赤羽付近まで、赤羽の十条地区等についてはすでに用地買収を進めております。その地区についてはほほ三割ぐらい、いま話がまとまっております。そういうような状況でございます。
  280. 松本忠助

    松本(忠)分科員 その用地買収ですが、お答えのあったところは東十条地区でございますけれども、現在、その地域の用地買収が、非常な努力によって三割程度進んだということは私も了解するわけでございますが、問題は、先に用地の買収に応じた方と、それからまだごねてるというと申しわけないですけれども、そういう方があるわけです。いわゆるごね得というのがありますと困りますので、そういうことのないように、先に売った方とこれから売ろうとする方、それに単価差というものがないようにひとつ十分配慮していただかなければならぬと思いますが、その点はいかがでございますか。
  281. 高橋浩二

    高橋説明員 私の方は、用地買収並びに補償に関しては一定の基準がございまして、いま先生もおっしゃるように、ごねたら高くなるといったようなことは絶対にいたさないということで現地を指導しておりますので、そのようなことは起きないというふうに考えております。
  282. 松本忠助

    松本(忠)分科員 わかりました。  次に、現在、小山の総合試験線で、いろいろと東北新幹線の事実上の走行についての騒音あるいは振動、こういう問題について試験をしているようでございますけれども、これに対しまして、いわゆる国の環境基準に合っているのかどうか、その辺のお答えをひとつちょうだいいたしたいと思います。
  283. 高橋浩二

    高橋説明員 昨年の夏以来、小山の試験線区でいろいろな騒音、振動のテストをいたしております。したがって、これはいろいろなテストをした結果、今後のまた新しい技術開発なり対策を進めるための一つの準備としていろいろ試験をしておるわけでございますけれども、ただいままでいろいろな試験をしたデータから見ますと、私の方は国の環境基準を十分守れるというふうに考えております。
  284. 松本忠助

    松本(忠)分科員 大臣も選挙区へお帰りになるときに、一遍このいわゆる総合試験線区でお乗りになってみる必要があろうと私は思うのです。実は私もぜひ一遍乗せてもらって、そうしていろいろと振動のぐあいも、あるいはまた十メートル、三十メートル、五十メートル、百メートルというような地点に立って、そしてその騒音を実際に自分の耳で聞いて体験をしてみたい、このように思っておるわけでございます。いずれにしましても待望の新幹線でございますので、公害をまき散らす新幹線であってはならないと思いますので、その辺について十分試験を念入りにやっていただきたい、このように思っております。大臣、いかがですか、一遍一緒にお乗りになりませんか。
  285. 森山欽司

    森山国務大臣 一回行ってみたいと思っております。
  286. 松本忠助

    松本(忠)分科員 それではその次に、問題になっております通勤線の新駅の設置の問題でお尋ねをいたしたいと思います。  この件につきましては、前国会に、私が紹介議員となりまして北区の浮間地区あるいは板橋の舟渡地区、こうしたところから請願の提出もいたしましたし、また、五十三年六月七日の衆議院の運輸委員会におきましても、わが党の薮仲議員から、通勤線の新設及び都内部分の駅二個所の新設についてただしたわけでございます。その後具体的に検討が進んでいると思うわけでございますが、都内の二駅の設置位置等は具体的にいつ明示されるのか、お答えをいただきたいと思うわけでございます。
  287. 高橋浩二

    高橋説明員 この通勤線は昨年の暮れ、十二月に運輸大臣からの御認可をいただきました。私どもは鋭意、駅の問題についてただいま検討をいたしている最中でございます。駅をつくりますには、技術的な問題として勾配とか曲線とか、そういう物理的な条件を満たす必要がございます。いま先生のおっしゃいます区間については、具体的には一部赤羽台のトンネルがあるとか、あるいは一番端には荒川橋梁があるといったようなことで、非常に線形にいろいろな制約がございます。そういうものから考えて、駅の位置というものは水平でなるべく直線がいいといったようないろいろなそういう条件を考えますと、先生のお考えのようなことも考えられるのではないかといったふうに私ども考えております。いずれにいたしましてもこの問題については、地元の方々からも早く具体的な位置その他について決めてほしいという要望もあるということを十分承知しておりますし、また新幹線をあわせて早くつくるといった意味からも、できるだけ早くこの辺をまとめまして明らかにしていきたいというふうに考えております。
  288. 松本忠助

    松本(忠)分科員 具体的に駅の二カ所の設置場所につきまして明示を求めたわけでございますが、答弁がございませんでした。現段階で発表できないとあればやむを得ないと思うわけでございます。しかし、いまの御答弁を聞いておりますと、現地の状況、私詳しく知っておりますので、ただいまの答弁で大体その場所というものが推察できますので、一応了解をいたしたいと思います。  次に、新幹線並びにこの通勤線が通りますと、その高架下がかなり活用できるのではなかろうか。特に最近、駅まで自転車で乗りつける、駅で自転車をおりて、そしてまたさらに国電なり普通のいわゆる通勤の私鉄なりに乗りかえるという、そういう状態が非常に多いわけでございますので、今回のこの高架下の利用という問題については、自転車置き場を設置するということはもう一つの大きな要件であろう、このように思っております。その他いろいろ地元の要望がございます。そうした問題について、当局としてこの要望を受け入れる用意はあるかないか、この点はいかがでしょう。
  289. 高橋浩二

    高橋説明員 いま先生のおっしゃいました自転車置き場とかあるいは公共的な駐車場、そういったものに高架下を利用していただくということは、私の方も、その自治体からいろいろお話がございましたら、そういう公共的なものについては積極的に御協力申し上げていきたいというふうに考えております。
  290. 松本忠助

    松本(忠)分科員 ぜひそうしていただきたいと思っているわけでございます。  この赤羽を出てからも、荒川大橋を渡りますまでの間、技術的に地下を通るということが不可能である以上は、高架で通すことはやむを得ない、このように私は認識をしております。したがいまして、この高架下の利用については、ただいまも御答弁がございましたが、地方自治体の意向というものを十分に尊重してやってもらいたいと思うわけでございます。  最後に、新幹線の赤羽停車の問題でございますが、去る二月二十四日の新聞記事、毎日とか読売とか日経とか、こういった新聞に記事が出ておりました。それは、新幹線の赤羽線の停車に関する請願を北区の区議会が採択をした、こういうふうな報道がございます。これに対して国鉄はどうお考えなのか。また、赤羽駅の停車について地元と密約があるというふうな報道がございますけれども、これは事実なのかどうか、この点を確かめておきたいと思うわけてございます。
  291. 高橋浩二

    高橋説明員 新幹線は主として都市間輸送を目的としております。しかも都市間の高速輸送ということを目的としておりまして、そういう観点から私どもは駅の配置を考えて、大臣の御承認をいただいているところであります。ただいま先生のお話のあった赤羽付近は、東京や上野から非常に近い距離にございます。また、ここに駅をつくるということは、地形的にもまた技術的にも非常にむずかしいというふうに私はもともと考えておりました。ただ、区議会でそういうお話もあったやに聞いておりますので、また、われわれは事前によく区や区議会等に、そこに駅をつくるということはまことに困難な問題、というよりも不可能に近い問題だ、というふうに従来からも御説明を申しております。したがって、ここに新幹線の赤羽駅というものをつくるということについては、私ども考えておりませんし、また、その可能性について協議したといったようなこともございません。
  292. 松本忠助

    松本(忠)分科員 わかりました。  以上で、持ち時間が参りましたので、終わります。
  293. 岡本富夫

    岡本主査代理 次に、竹内勝彦君。
  294. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 私は、山陰線の京都-園部間に関して、かねてより複線電化の要望がございます、いままでの経過、これは概略で結構でございます、時間が限られていますので簡単に御説明を願いたいと思います。
  295. 高橋浩二

    高橋説明員 地域の方々から、非常に古くから複線電化の御要望がございました。昭和四十六年に都市交通審議会で線増すべき区間としてこの区間が線増の答申がなされ、五十一年の七月に地域の方々による複線電化促進協議会というものが結成されておることも承知いたしております。私どももそういった動きと私ども自体の輸送のあるべき姿といったようなものを検討をしているのが、きょうただいまの状況でございます。
  296. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 状況としては、もう御承知のとおり何回も要望も出ておるわけでございますが、この山陰本線沿線人口というものは、昭和五十年百九十四万人から、今後の見通しとして昭和六十年には四十一万人増の二百三十五万人にも達するのではないか、こういうふうにも言われております。そういった中で、いま話がありました要望に関しても、地元においても促進協議会という中に専門調査委員会ですね、そういったものが設けられて、そして昨年の七月に、そのことに関しての地域住民の意見あるいは学者、行政に携わっている人等の御意見等も含めて冊子で報告されておると思いますけれども、この協議会というのはどんな目的でつくられて、どんな役割りを果たしているのか、その内容についても、若干で結構でございますが御説明ください。
  297. 高橋浩二

    高橋説明員 いま申された専門委員会というのは、多分促進協議会の中の専門委員会ということかと思います。したがって、いま先生、目的と言われましたけれども、これは私どもの方が直接お答えすべき問題ではないと思いますが、一応私どもその中の一員として参画をいたしておりますのでお答え申し上げますと、京都-園部間の複線電化というものについて、将来この沿線がどうなるか、それに基づいてどういう条件がそろえば、どういうルートでやっていけば輸送の目的が達せられるかといったようなことを専門的に調査されている委員会だというふうに私ども考えております。
  298. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 国鉄にお伺いしたいと思いますが、すでに地元におきましても、府議会等におきましてもこの京都-園部間の具体的なものがいろいろと議題になっておるものではございますけれども、今後の状況として、いよいよ機も熟しておる、そういった中で、一体本年いつごろ申請をするのか、これをお伺いしたいと思います。
  299. 高橋浩二

    高橋説明員 そういう促進協議会等の御意見もいろいろ賜って、しかも専門委員会等では相当地域の実態をお調べになって私どもの方に意見を寄せられております。そういう御意見を私どもは参考にしながら、なおかつ、将来の輸送量がどうなるか、これの決め手としては地域の開発等がどうなっていくかといったようなこともあわせて、実はいま検討している最中でございます。したがいまして、そういうものの方向がはっきりいたしますれば、私どもの方も複線あるいは電化といったようなものについて案を確定していきたいというふうに考えておりますので、いま、いつどうするということについてはただいままだちょっと未確定だというふうにお答えせざるを得ないと思います。
  300. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 その状況というのはわかるわけですが、この問題に関しての要望それから今後の見通し、これはもう何回もこちらからも要望を出しておりますので、皆さんも御承知のとおりでございますし、そんな答弁ではなくして、果たして五十四年度申請に持っていくのかあるいは着工に入っていくのか、その辺が答えられないということはないと思いますので、もう一度ひとつ前向きに御答弁願いたいと思います。
  301. 高橋浩二

    高橋説明員 いまも申し上げましたように、ただいまルートあるいは工事費等、それから地域の方々の負担問題等いろいろございまして、それらがまとまれば、私どもの方もできるだけ早い機会に申請をしたいというふうに考えております。
  302. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 いろいろな状況で答えられない点があるのではないか、こう思いますが、しかし、これは地元の林田知事等も府議会におきましても、もうすでに、山陰線複線電化は五十四年度の早期に大臣許可を得て着工、数年をかけて完成の運びにしたい。これはもちろん、なったということを言っているんじゃない、希望的観測ではございますが、要するに、地元におきましても相当このものを待っておるわけでございますね。したがいまして、そうなってから答えるというのではなくして、その辺に関してのおおよそのものを、大体こうなってきたならば早期なりあるいは後半なりその段階に入っていきたいということをお答え願いたいと思いますが、いかがですか。
  303. 高橋浩二

    高橋説明員 この線は、関係する県並びに市もおのおのが相互に非常に意見がまとまっているやに私どもは聞いております。なお、部分的には非常に長いトンネル等ございますけれども、全般的にはそれほどむずかしい線ではないというふうに考えておりまして、しかも輸送の実態から私ども考えておりますのは、大体昭和六十年ぐらいには、ただいまの単線では行き詰まってしまうという予想を私どもも持っておりますので、いま先生のおっしゃいましたように、できるだけ早くこれをまとめて具体的な案としていきたいというふうに考えております。
  304. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 そのできるだけ早くというのは、本年度できるだけ早くですか。
  305. 高橋浩二

    高橋説明員 本年度というともうあと一月しかございませんので、五十四年度を目標にいたしております。
  306. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 そこで、この複線電化に関して、もしもこの申請かいよいよ出てくる――いまのお話で、できるだけ早く、こういった意味で前向きの御答弁をいただきましたが、一般的なものでいいんですけれども、これに関してどうということで具体的に御説明いただくのはちょっとむずかしいかもわかりませんが、一般的に考えて、申請が出た、それが認可になっていくのはどれぐらいの期間を要するものですか、運輸省にお伺いします。
  307. 山上孝史

    ○山上政府委員 国鉄からこのような認可申請が仮に提出された場合には、私どもといたしましては法に照らしまして、投資の採算性とか国鉄財政に与える影響等を勘案して検討するわけであります。したがいまして、認可までの期間は、本件については内容等まだ承知しておりませんが、案件の内容にもよりますけれども、従来の例ですと、一般的にはほほ一カ月程度の期間を要しております。
  308. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 では、そういった面におきましての事務の手続等、認可に持っていく問題に関しても要望にこたえられるように、申請が出てくれば早くなっていくように見受けられますし、着工そして完成、こういうように持っていく手順になるわけですが、一応完成をいつごろに考えておるか、これをお伺いしたいと思います。
  309. 高橋浩二

    高橋説明員 これは地域の開発の進み方いかんによって、輸送し切れるかし切れないかといった問題がございますので、いま、いつまでに完成するということははっきり申し上げられませんけれども、複線化をする場合には、部分的に進めていけば一駅区間は三、四年あれば完成いたしますし、区間がたくさんあれば七、八年かかるといったのが通常でございます。また、電化等については、そういう部分的に電化をするというのは実態に合いませんので、ある区間をまとめて電化するということになろうかと思います。ただ、電化の方は、複線化に比べまして技術的な工事期間は短くて済むというのが従来の例でございます。
  310. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 この京都-園部間、これは複線電化に持っていく。この中にあってかなり山間部、急勾配の地点だとか曲線が多いとか、あるいはトンネルが長いのが幾つもあるとか、こういうようなことで状況が変わってくるのではないか、こういうふうに思いますけれども、いま答弁がありましたように、昭和六十年にはパンクする、こういうふうにお考えになっておるのですから、大体どの辺にその完成を持っていこうとしておるのか、そのことをお答え願いたいと思います。
  311. 高橋浩二

    高橋説明員 いま言った私どもの複線化を進める手順というのは、輸送の実態に応じて複線化をしていくということと、もう一つは資金的な問題を含んでおります。いま申し上げましたように、輸送ができるかできないかということは、部分的に複線をしていくという方法もございますので、いま全般的にいつまでというふうにはちょっと申し上げかねるわけであります。したがって、部分的に完成した区間を使用していくということになれば、三、四年あれば部分的には完成し得るということでございます。
  312. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 そういうようにお考えになっておるということから理解はしますが、しかし、先ほど答弁の、急増していく、この地域においては利用していく人が相当ふえておりますし、また今後、昭和六十年を目安にしても相当の数になっていく、先ほど私が申し上げたとおりでございますけれども、そういう面からパンクしていくような状態になったのでは沿線住民に大変な迷惑にもなりますし、そのことはちゃんと考慮に入れた上の完成ということを考えておるのかどうか、もう一度御答弁願います。
  313. 高橋浩二

    高橋説明員 いまのパンクということと資金的な面、両面から考えていかなければならぬというふうに考えております。
  314. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 ぜひその面を特にお考えいただきたいと思います。  そこで、複線電化に関して、先ほども話しましたようにこの山陰線自体は急な勾配があり、曲線があり、渓谷、山、御存じの保津峡を控えたところでございますし、風光明媚な情緒というものを壊してはならないと思いますが、そういった面の考慮を入れておるのかどうか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  315. 高橋浩二

    高橋説明員 鉄道とその地域との景観の問題は、多分に主観的なものがございます。ただ、先ほど先生がお触れになった専門委員会等でもこの景観の問題については提案がなされておりますので、そういう多くの方々の御意見を取り入れた姿で建設を進めていくのがよろしいのじゃないかと考えております。
  316. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 そこで、京都-二条間においてはすでに高架ができております。その下を遊園地だとか駐車場、歩道等に利用されておりますが、これが複線電化工事に伴って何らかの支障を来すようなことはございませんでしょうか。
  317. 高橋浩二

    高橋説明員 工事中は一時仮移転をしていただかなければならない区間もあるのではないかと考えております。全体の工事をスムーズに進めるために、そういった面については地域の方々あるいはお借りになっている方々の御協力をぜひいただきたいというふうに考えております。
  318. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 複線電化工事に関して、大都市交通整備補助金として国庫補助が行われておりますが、実態を教えてください。
  319. 山上孝史

    ○山上政府委員 大都市交通施設整備補助金の実態につきまして申し上げます。  五十二年度に創設された制度でございますが、東京、大阪の両都市圏の大都市の旅客輸送を円滑に行わせるために、国鉄の東海道線の東京-小田原間の線増工事とか総武線の津田沼-千葉間の線増工事、片町線の長尾-四条畷間の線増工事など、五十二年度におきましては七百六十億円の工事費の約三〇%に当たります二百五億円を計上し、また五十三年度、本年度につきましては、さらに名古屋、札幌、仙台、広島、福岡、北九州の各都市圏を補助対象といたしまして追加いたしました。     〔岡本主査代理退席、井上(普)主査代理着席〕 それによりまして、九百四十億円の工事費の約三〇%に当たります二百五十四億円を計上して、これらの圏域における線増、電化、駅の改良、車両基地の増強などの工事の促進を図ることにいたしております。これが実態でございます。
  320. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 補助率はどうなっていますか。
  321. 山上孝史

    ○山上政府委員 補助率は、大都市圏の通勤通学輸送にかかわる基礎施設部分の工事費につきまして三〇%ということでございます。
  322. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 補助率が三〇%。運輸省にお伺いしますが、これが全国一律というようなことでなくして、たとえば利用の多いところ、工事がむずかしいところ、あるいは山陰線のように比較的要望の多いところに関して補助率を上げようというお考えはございませんでしょうか。
  323. 山上孝史

    ○山上政府委員 対象の圏域によりまして差をつけるというお話でございますが、私どもといたしましては、この補助金の制度は大都市圏の旅客輸送という点に着目して行う補助制度でありますので、地域によりまして補助率を変えるのは適当ではないと考えております。
  324. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 それでは次に移りますが、京都、奈良、この両観光都市を結ぶ国鉄奈良線の電化、これは早期着工をお願いしたいということで多くの要望が出ておるのは御存じのとおりでございます。京都府下南部、ここもまた大変な人口急増地域、そして奈良線を利用する通勤通学者、沿線住民からも列車増発あるいは両側改札、車両改善等、奈良線への期待は大きいわけでございます。電化というのは切実な要望になっておりますが、これに対する今後のお考えを御説明いただきたいと思います。
  325. 高橋浩二

    高橋説明員 私ども従来、いろいろ経費の節減という面と輸送力の増強という両面から、電化を進めるか進めないかという判断基準にいたしております。奈良線自体は非常に線形が悪いといいますか、そういう意味で、必ずしも電化したから急速に速度が上がって輸送力がつくというような問題ではございません。また、ただいまのところは輸送の需要がどんどん伸びておりますけれども先ほどから問題になっておる山陰線に比べますとまだお客さんの数が少ないというのが実態でございます。ただ、電化以外に車両の運用その他、旅客の利便といったようなことも当然考えていかなくてはならないので、そういう点も含めまして今後の輸送の動向その他を見て総合的に検討していきたいと考えております。
  326. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 それでは、地下鉄の問題に移ります。国鉄の方は結構でございます。ありがとうございました。  そこで、京都の烏丸線、これの進渉状況ですが、着工以来工事が順調に進んでおります。その間に多くの遺跡が出てきたり、あるいはまた周辺住民との種々の問題点等を含めて御苦労があったと思うのでございますが、進捗状況を概略、簡潔に、ほとんど時間がございませんのでよろしくお願いいたします。
  327. 山上孝史

    ○山上政府委員 現在、四十九年の三月と十一月に工事施行の認可を得ました北山-竹田間のうち北大路-京都駅間六・九キロですが、これは五十五年度完成を目途に建設を進めております。それから、残存の未着工区間につきましても、早期着工を行うべく用地買収等の交渉を進めておりますが、現在、全線が開通する目途は立っていない段階でございます。
  328. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 本来、竹田-北山というものがこの工事の予定になっておりましたが、いま御説明ありましたように、住民のいろいろな状況であるとかいうことで、現在のところ、京都駅-北大路間六・九キロ、このものが五十六年に完成していく。それで北山-北大路間一・五キロ、これは大したあれじゃございませんね。それから今度、一番大事な京都駅-竹田、奈良線に、近鉄の方につないでいくということからも、あちらの南部の方の輸送には非常に重要になってくると思います。そういった面での、いまだ着工に入っていくことができないその状況、これも簡単に説明してください。
  329. 山上孝史

    ○山上政府委員 まず、北山-北大路間につきましては、実は三百メートル程度民地の下を通過する線形となっております。そこで、直接関係者を含みます周辺住民で組織をいたします地元の団体から、環境の破壊、立ち退き反対等を理由に非常に反対が強く、用地取得の交渉が難航している状況であります。それから次に、京都駅-竹田間につきましては、地下鉄と街路事業を同時施行することにいたしておりますが、京都駅の南の地域の住民から京都市政全般にわたる総合施策の青写真を示すよう要求が出されているため、住民要求を満足させることが現段階ではできずに用地取得交渉が難航している状態である、そのように聞いております。
  330. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 そこで、補助金についてお伺いします。  この地下鉄工事に関連しての補助金の実態はどうなっていますか。簡潔にお願いします。
  331. 山上孝史

    ○山上政府委員 地下鉄の建設に対しましては、総建設費の六〇%相当分を国と地方で二分の一ずつ補助をしております。
  332. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 総建設費に対しての約六割が補助金として出ます。それを地方公共団体との半分ということで二分の一、つまり三割になるわけですね。そこで、これはややこしい計算方法になっていますね。前年度建設費に対して有償資金率が〇・九、さらに総経費控除率というものが〇・九五ということで、そこへ本来の補助率として〇・七を掛けられると総建設費に対して約六割、こういうことでございますが、これを実質七割くらいに持っていってもらいたいという要望、同時に、街路事業に準じて国が三分の二、地方公共団体が三分の一とできるようにしてもらいたい、あるいはいままでの分割方式を改めて一括交付方式にしていただきたいとの要望がございますが、この補助金に対する今後のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  333. 山上孝史

    ○山上政府委員 現在の地下鉄の補助制度につきましては、五十三年度に非常に強化をされたわけであります。これは先生も御承知だと思いますが、自治省の地方公営企業経営研究会、これの報告に基づきまして現行の方式に改めたものでございます。  その考え方は、もうくどくど申し上げませんが、地下鉄の建設費が膨大である、したがって、資本費の負担が開業後経営を圧迫する要因となるということでありまして、この点を改善するための補助といたしまして現在の制度を考えたわけでございます。これも、先ほど申し上げましたけれども、総建設費の六〇%相当分を国と地方で二分の一ずつ補助するというこの方式でもって、地下鉄につきましては効率的な経営を行えば、それを前提とすればこの補助制度でもって経営の安定は期せられる、かように存じております。
  334. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 それでは、この烏丸線が順調に完成していった後において、その運営状態、減価償却前の黒字をどう見積もっているか、あるいはまた減価償却後の黒字を何年後くらいと考えているか、輸送需要の問題も入れて経常収支の見通し、これを御説明願うのと、同時に、減価償却後黒字となるまでの一時期は赤字となりますが、どのような対策を考えるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  335. 山上孝史

    ○山上政府委員 烏丸線の収支の見通しは、経営主体であります京都市の試算によりますと、償却前では欠損を生じないけれども、償却後で考えますと、開業後八年目までは利益、九年目から二十一年目までは欠損、二十二年目からは再び利益を計上する、こういう予測であります。地下鉄は、一度建設されますと長期にわたりまして使用されるものでありますので、一定期間欠損を生ずることがありましても、最終的に収支が償うようになるのであれば経営としては成り立つというように考えております。
  336. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 さらに、この京都の交通体系から考えて、烏丸線の南北線に関連して、今度はそれの東西線という形で御池線の構想がございますが、どのようにお考えになっていますか。
  337. 山上孝史

    ○山上政府委員 御池線につきましては、都市交通審議会の十三号答申によりまして路線として決められております。この路線の整備につきましては、現在事業主体が決まっておりません。この事業主体の問題が解決した後に、輸送需要の動向とか収支採算等の諸要因を勘案いたしまして事業主体が建設計画を作成するということになる手順でございますが、現在まだその段階に至っていない。したがって、私どもといたしましてはその申請を待って検討を進めたい、かように思います。
  338. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 それでは時間でございますので、最後に大臣にお伺いします。  いま国鉄山陰線の件と、それから京都の地下鉄に関連して同じくこの補助の問題、いろいろと赤字を抱えて大変な状況になっていますが、ぜひ実質七〇%に引き上げられるように、あるいは国が三分の二というような要望あるいは一括交付方式、こういったものも含めて、この補助に関連して今後具体的にどういう方向に持っていこうとお考えになっているか、大臣のお考えを聞いて、質問を終わりたいと思います。
  339. 森山欽司

    森山国務大臣 先ほど鉄監局長からるるお答えしたとおりでございまして、現行制度で当面の処理に当たってまいりたい、かように考えております。
  340. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 以上で終わります。
  341. 井上普方

    ○井上(普)主査代理 次に、松本善明君。
  342. 松本善明

    松本(善)分科員 私はきょうは、国鉄が国鉄の所有地や高架下を利用してビルをつくってそれを貸す、いわば駅ビルを相当つくり始めた、全国で三十八カ所になっているというふうに言われておりますが、この問題と、駅ビルと中小零細商店との関係、これについて運輸大臣初め運輸省当局はどういう指導をされるのかということを伺いたいと思うわけであります。  申し上げるまでもありませんが、昨年、大店法や商調法が提案をされました。そのときの提案理由を河本通産大臣がこういうふうに述べておられます。「わが国の小売商業は、事業所数で約百六十万、就業者数で約五百六十万人とわが国経済の中で大きな比重を占めておりますが、その大部分はきわめて零細であり、百貨店、スーパー、ショッピングセンター等の大型店の進出によって著しい影響を受ける場合が少なくありません。特に、最近における経済の安定成長への基調変化の中にありまして、大型店の出店が増加している一方、いわゆる中型店をめぐる紛争も増加する傾向にあります。」ということで、これらの二法ができたわけであります。この事業所数百六十万というのは、事業所数の中のパーセントで言えば九九・九%です。それから就業者数五百六十万というのは約九四%ですね。わが国の圧倒的多数の零細企業に深刻な影響を与えるような駅ビルをつくっていくというようなやり方は厳に慎まなければならないのではないかと私は思うわけです。この点について、基本方針としてどのようにお考えになっておるか、運輸大臣にまずお聞きしたいと思います。
  343. 森山欽司

    森山国務大臣 国鉄の再建につきましては、御承知のとおり一昨年の十二月、国鉄再建の基本方針が決まりました。これは共産党の御同調は得られなかったかもしれませんが、野党各党相談の上のものを閣議で取りまとめてやった基本的な方針であります。この方針によりまして、国鉄自身の徹底した経営改善を前提とした適時適切な運賃改定及びこれを補完する国の行財政上の支援を柱として健全経営を回復するということになっております。これについて一々申し上げません。しかし、この再建の三つの柱のうちの中心になるのは、何といっても国鉄自身の徹底した経営改善、要員合理化等、経営全般にわたる効率化を図る一方、本来業務である鉄道事業に支障を来さない範囲でその資産を活用する等によって関連事業の拡大を図ることも含め、できる限りの増収努力を行う必要があると考えられます。どうも国鉄は商売気がないということであって、商売気をもっと出せ、そして仕事せい、こういうことでありまして、こういう観点から、御承知のとおり昭和五十二年の十二月に日本国有鉄道法を一部改正しまして、国鉄の投資対象事業範囲を拡大したわけであります。  国鉄の投資事業、これは武士の商法にならぬように、その辺は一方において考えなければならない。私どもの方にも認可が上がってきます。大丈夫か、大丈夫だ、こういうことでありますから認可をするわけであります。そういう際に最も大事なことは民業との関係でありまして、これは国鉄において地元の商工会議所、地方公共団体との連絡をとりつつ進めることにしておりますほか、運輸省か投資の認可を行うに際しまして、あらかじめ関係省庁の意見を聞く等によって十分な調整を行った上、認可を行う。今後ともこの点については慎重に対処していくように指導してまいりたい。基本的には、武士の商法でやるだけでなくて、それと同時に、先ほど来御心配の点につきましても、十分配慮して認可をしてまいりたい、そういう基本方針でございます。
  344. 松本善明

    松本(善)分科員 国鉄財政の再建については、大臣とあるいは意見を異にするかもしれませんが、私どもとしても財政再建が必要だと思っているわけです。あるいはこの質問の後でも時間があればやりたいと思っているわけですが、いまお答えいただいたと思うわけですけれども、中小商店が深刻な影響を受けるようなやり方はしない、そういう点の配慮を十分にしてやる、こういう趣旨に承ってよろしゅうございましょうか。
  345. 森山欽司

    森山国務大臣 先ほど申し上げましたように、極力そういう点に留意して認可を行ってまいりたいという考えであります。
  346. 松本善明

    松本(善)分科員 それで、私は一つ例を挙げて伺おうと思うわけでございますが、東京の杉並区の荻窪の駅に今度ステーションビルをつくろうということで、いま計画が進められている。ことしの四月に着工するということで、これができ上がりますと、地下二階、地上七階、延べ床面積二万六千平方メートル、売り場面積が九千平方メートル、約百二十店舗の専門店が入るということであります。しかも、その隣に再開発ビルというのが同時に着工されまして、これは地下三階、地上七階、延べ床面積四万平方メートル、売り場面積二万一千平方メートルということであります。この再開発ビルは、四分の三はそのそばにありますスーパーが進出しまして、売り場面積は四倍になります。四分の一はマーケットなど地元の商店が入るわけですけれども、国鉄のステーションビルと再開発ビルを合わせますと計三万平米。杉並区にありますすべてのスーパーマーケット、これは三十一店舗ありますが、その総計が三万六千平米なんです。まさにそれに匹敵するような大スーパーマーケットになるわけです。こういうことになりますと、これは杉並区だけではなくて、国鉄の中央線周辺の商店街にも大きな影響を与えるのじゃないかというので、地元の商店が大変心配しているわけであります。しかも地下の二階が共通の駐車場になるようでありますし、そこは自動車が二百台入る。それから地下一階から地上七階まですべて二つのビルの各階が連絡をされていくということで、結局スーパーマーケットの方に駅から駅ビルの人の流れが来る、こういう仕組みになっておるわけです。そういう点では駅ビルがスーパーマーケットの補完機能を持っているような形になっている。  いまお話ししましたように、二百台もの駐車場つきの大スーパーマーケットができますれば、これが小売業者を圧迫することはきわめて明白なんです。こういうことはやはり検討し直さなくちゃいかぬのじゃないか、周りの商店街に対する重大な影響ということを考え直さなくちゃいかぬのじゃないかと思いますが、運輸大臣いかがでございましょうか。
  347. 山口茂夫

    山口説明員 ただいまお話しの再開発ビルと申しますのは、杉並区が主導型で地元の地権者七十軒ばかりが共同で組合組織で再開発事業をやる計画でございます。これは杉並区主導型でございまして、国鉄とは直接関係のないビルでございます。たまたま隣り合わせまして荻窪の駅に従来貨物を扱っておりました用地があいておりまして、かねてから国鉄の関連事業としてこの使い方がないかということを検討いたしておりましたが、ここは商業施設を設けるに適地であるという診断をいただきまして、隣り合わせでございますので同時期に工事をやった方が周辺に御迷惑をかけることが少ないであろう、それからまた、駅前広場の整備等がおくれておりますので、両方のビルが共同いたしまして駅前広場の補完機能である空地を出し合って、あるいは歩行者回廊を設けたり、ハード面で同時に共通の設計をする方が便利であろうということで、御一緒に建設に踏み切ったわけでございます。  なお、お話しの駅ビルがふえますと周辺に御迷惑をかけ過ぎるのではないか、商店街に影響を与えるのではないかというお話でございましたけれども、これは杉並区の方で十分な商業調査をいたしまして、杉並区には商業集積が足りない、したがって核になる店舗が欲しい、それは杉並から他地区へ流出している購買客を杉並区に引きとめることになるということで、区の方からも御指導がございまして、共同で建てるということに踏み切ったわけでございます。
  348. 松本善明

    松本(善)分科員 これは国鉄の方の説明で言えば別個のものだと言うのですけれども、しかし、実際上できた場合には、一体になって運営をされるものなんです。いま言われたことについても一つ一つ反論をすべきことがありますけれども、後から質問の中で私も予定をしているものがありますからそのときに反論をするとして、一番大きい問題は、これは全体として一つになっていくわけです。そういうことですから、商業地域への影響というものが甚大になる。いま杉並区が進めていると言いましたけれども、杉並の商店街ではいまびっくりしているわけです。そういう経過ももちろんあることを十分承知の上で聞いているわけですけれども、そんなでかいものができるのかということで、確かにいまお話のありましたように、七十店舗くらいの、荻窪駅のすぐそばにある商店街の人の中ではいろいろ話がありました。しかし、その周辺でありますとかあるいは杉並全体の問題ということで、商店街にはもちろん知らされてなかった、そういう状況でできているわけです。しかも、これは将来国鉄のステーションビルの方は専門店を入れるということなんですが、それが何らかの形でうまくいかなかった場合には、あるいはスーパーがそこを借りるのではないかというようなことも言われている。そうすると、初めの意図は、始まりは別個だというふうに言われるけれども、結果としては大スーパーマーケットができる。それに補完的な機能を国鉄のステーションビルが果たす、あるいは将来はスーパーマーケットも進出をするかもしれぬ、こういうことになる。そういう心配が起こっているのですね。実際に計画が進められようとしている。そういうことが起こってくれば、いままでの経緯にかかわらずやはり計画を十分再検討し、利害関係のある区民の、住民の意見を十分聞いてやるというのが当然ではないかと思いますが、いかがでございましょうか。その辺、もし運輸大臣お答えいただければお答えいただきたいと思います。
  349. 山口茂夫

    山口説明員 再開発ビルの方は区が主導型で組合組織でやるものでございまして、店の品ぞろえその他はおおむね日用品というようなものが多くなると思います。国鉄の駅ビルの方は、従来からもそうでございますが、専門店形式をとりまして店構えをするということで、両方はおのずから機能が若干違うと考えております。  それから、将来駅ビルの方がうまくいかない場合にはスーパーに乗っ取られるんではないかというお話でございますが、これは国鉄が商売をいたすのではございませんで、国鉄は土地を貸して、駅ビルは建物を建てて、中に入るのは専門の業者がそろばんをはじいてやるわけでございますので、専門的な商売人のそろばんでやることでございますので、その懸念はないと考えております。現に昨年の春以来十ヵ所ほど開業いたしておりますが、すべて順調に計画どおりの業績を上げております。
  350. 松本善明

    松本(善)分科員 私は国鉄の山口さんの答弁を聞いておりますと、スーパーができた場合に本当に商売がだめになってしまうかもしれぬ、死活の問題だというふうに思っている住民の気持ちになって、それじゃその点について答えようという気が全然と言っていいくらいないと思うのです。経過の説明にはなっていますけれども、私はそういうことが起こっているんだから再検討すべきではないかというようなことを聞いているのに、それには一言も答えないで、いろいろ御説明になる。私は別に国鉄の答弁ではだめだというようなことで、けちなことで言っているわけではありませんが、やはり運輸大臣は、政治家としてこういう問題をどうお考えになるかということでお聞きしたいわけですから、適当な時期にお答えをいただけば結構だと思います。  私は、いま専門店の話が出ましたから述べておこうと思いますが、確かに専門店が入るのですけれども、ここには荻窪にない専門店を持ってこよう、こういうお話でありました。そうすると、結局地元の専門店が入るのではなくてほかから専門店が入ってくるということになるわけですね。しかもこれは相当高いものになるだろうから、地元は入ろうと思っても入れないということになる。地元の利益になるとは言いますけれども、決してそうではない。地域社会の発展に寄与するんだというようなことを建設趣意書にも言っていますけれども、決してそうはならないのですね。だからこそ一緒に着工になっている再開発ビルの方については話し合いがまとまらなくて、大店法の申請ができないでいるわけでしょう。そういう問題が起こっているわけですよ。いまあなたの答弁では、専門店は独自の計算でやるだろうというお話なんだけれども、独自の計算でやってうまくいかないということは十分あり得ると私は思うのです。そういった場合に、スーパーの方がじゃあそこを借りましょうということが起こってくるということは十分考えられるんですね。私、いまの答弁を聞いているとどうもそんなことは考えてもいなかったというふうに感ずるのです。そういうようないろいろな問題を、こういうことをやる場合には検討してやるのが当然ではないだろうか、これは国の機関なんですから。国の機関が再建だと言ってやる仕事で国民が大変な被害を受けるというようなことになっては、これは全く本末転倒なんですね。だからそういう意味で、いままで山口さんお話しになったような形で計画が進んできていることは間違いないのだけれども、しかしいま起こっている問題を改めて検討し直して事に当たるべきではないかということを聞いているわけです。これは大臣、いかがでしょうか。
  351. 山上孝史

    ○山上政府委員 ただいまの具体的な事例につきましては、これは国鉄法に基づきまして運輸大臣の認可ということでございまして、昨年十月に認可をいたしております。冒頭大臣お答え申し上げましたその趣旨に沿いまして、そのときには具体的にこのような手続をとり、判断しております。  まず第一は、重要財産の貸し付けが適切であるかどうかという問題でありますが、この際、これは省略いたします。  第二に、投資によって民用を圧迫するかどうかという問題であります。これにつきましては、昭和四十六年以降店舗を併設する駅ビルに対する投資の認可に際しましては、事前に通産省に通知をいたしまして、通産省の商業政策と中小企業政策上の意見を尊重して処理することといたしております。また、国鉄は地域の地元の通産局あるいは商工会議所、地方公共団体に対しまして事前に説明をし、理解を求めております。本件につきましても、国鉄はまず運輸省に認可申請をする前に、東京通産局の流通課、それから東京商工会議所、杉並区に対しまして説明を行い、理解を求めておりまして、また運輸省におきましては、認可する前に通産省の産業政策局の大規模小売店舗調整官に御連絡を申し上げ、事前にその了承を得たということでございまして、実体的にも手続的にもそういう点は慎重に配慮をして措置をしたというつもりでございます。
  352. 松本善明

    松本(善)分科員 そういう経過のお話はありましたけれども、本当に慎重にそうなっていればいま商店街で大問題にならないのですよ。再開発ビルにしてもすぐ同意が得られるんですよ。  それで私は、大臣にお聞きしておこうと思いますが、これは公表されましたのが昨年の八月なんです。それで着工が本年の四月なんですね。その間七カ月しかないのですよ。こういう問題については周りの住民の意見を十分に聞いてやるということはどうしても必要なんだ。釈迦に説法かもしれませんが、運輸大臣お聞きいただきたいと思うのですけれども、アセスメントなんかの公害、これの問題と少し違いますけれども、たとえば大きなこういうものができた後で幾ら騒いでもどうにもならないのです。たとえば高速道路ができて、後で公害がひどくなったと言ってお母さんたちが座り込みするといったって、これを直すわけにいかないわけです。ですから、そういうものをつくるときは環境影響調査をして、そして十分に住民の意見を聞いてからやろうじゃないかというのが大体国民的な合意になりつつあるし、法案も環境庁は出そうということでやりかけてきていますね。それと同じような性質の問題なんです。商業に対する影響がどういうものであるかということは、それはもう念には念を入れて、できちゃったら後はどうにもならないのですから。問題が起こってくれば再検討するというような親切さが、国の事業なんですから、そしてこれは国民が払っている税金の一部が使われるということになるわけですから、そういうことを配慮をしなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけです。政治家としての森山運輸大臣の御意見をひとつ伺っておきたいと思うわけでございます。これは私どもが言っているだけじゃなくて、自民党を支持している商店街の人たちはみんなそう言っているのですよ。大臣の御意見を伺わせていただきたいと思います。
  353. 森山欽司

    森山国務大臣 基本的な考え方は私が最初に申し上げましたとおりでありますし、それから当面国鉄が考えていることは先ほど山口理事からお話があったとおりでございます。実はこれが認可になったのは昨年十月で、私の着任前のことでありましたので、あえて鉄監局長の方から運輸省としての措置を……。  まあ聞いておりまして、あなたの御心配の点は考慮してやったと私は思っております。それほど大問題になっているというふうにはいままで伺っておりませんで、私の方もそれほど大問題になっているかどうか、先ほど運輸省鉄監局長、国鉄山口務理事、手を尽くしてそういう点にも配慮を払っての事の進め方でございますから、まあ一回調べてみましょう。ただ、また環境問題等のことを引き合いに出されますが、これは騒ぎを起こせば何でも問題になりますからね。その辺のところはどうなっていますかな。松本さんぐらいになられると、そういう点についてはもう万事御承知なんであろうと思いますので、そういうふうな問題になっていると余り聞かなかったのですがね。こっちも調べてみますよ。
  354. 松本善明

    松本(善)分科員 運輸大臣、一歩前進の答弁大変いいと思うのですけれども、これは周辺の人はごく最近に知ったものだから、まだ大問題になっていないのです。現に自民党の区議さんで、これをつくろうつくろうと言っていた人がもう言わなくなっちゃって、宣伝カーでやってきた人がもう言わなくなってきているのですよ。えらいことだというのです。ですから、そういう問題だということも含めて、よくお調べいただきたいと思います。  それから、いま山口務理事が言われたことで、やはり駅前の整備もおくれているというようなことを言われておりましたけれども、これは全然そういうことに配慮がされてないのが特徴なんですよ。たとえば利便がふえるかどうかということになると、いまの駅は地下二階になっているのですけれども、エレベーターもない。お年寄りなんか大変なんですね。そういうことがどうなるかということももちろん出ておりませんし、それからオープンスペースがないのです。非常な過密地域です。それをつくるという計画も、私が見ている範囲ではないのです。それについて国鉄が土地を提供するという話もありません。  それから、北口には二千台以上の自転車がいっぱい放置されて深刻なんですね。阿佐ヶ谷の駅なんかは国鉄さんと話をしまして、この問題も解決の方向に一歩進めましたけれども、そういうことの計画も出ていないのです。環境整備ということをちょっと口にされましたから、揚げ足を取るわけじゃないけれども、そういう観点での計画じゃないのですよ。そういう点でも、私は再検討をぜひこの際にしてもらいたい。国鉄の利用者は、そういう点で言えばちっとも得にならないですよ。そういう点でも再検討をしていただけるかどうか、ちょっと伺っておこうと思います。
  355. 山口茂夫

    山口説明員 阿佐ヶ谷駅の駅前広場の整備は終戦直後から計画がございましたけれども、(松本(善)分科員「阿佐ヶ谷のことじゃない、阿佐ヶ谷は済んでいるけれども、荻窪のことについてだめだと言っているのですよ」と呼ぶ)失礼しました。荻窪でございます。  荻窪の駅前広場の整備は終戦直後から計画がございましたが、おくれおくれになって、まだ都の方の実施が行われておりません。今回のこの駅ビルを建てるにつきましては、非常に駅前広場が狭いということで、国鉄側の土地を一部補助的な広場として提供いたしまして、混雑の緩和を図りたいというのが一点ございます。  それからなお、両方のビルの間に両方で土地を出し合いまして、五メートルの東西の通路をつけることにいたしております。  それからまた、同駅の八王子方の方には、現在跨線橋で南北を通じておりますが、この歩行者回路を五百平米ばかりに広げまして混雑の緩和、旅客の利便を図りたいと思っております。  なお、その下には自転車の駐車場、百台分でございますが、設置したいと思っております。  なお、南側には、国鉄が区の方に用地を提供いたしましていま自転車置き場がございますが、これは御承知のように非常に満員の状態でございます。
  356. 松本善明

    松本(善)政府委員 ちょっと不十分ですけれども、時間がありませんので、この問題はこの程度にしておきますけれども、百台ではどうにもならないのですよ自転車置き場は。エレベーターの問題だとか広場の問題だとか、そういうことを含めてさらに検討してほしいということを要望しておいて、これは終わりにします。  最後に大臣、さっき言いました国鉄再建の問題ですけれども、この駅ビル用地は貨物のところを使おうというわけです。貨物の赤字というのは前々から私ども問題にしてきました。しかしこれは過積みの放置が一つの原因で、過積み問題が問題になって、これが厳しくなってくる中で国鉄の貨物がふえているということが報道をされております。運転手さんなんかに聞きますと、これはもう本当に危険だ、車も痛むし、それから騒音も大変なものですね。七環線でも大変な騒音で、騒音問題を問題にする中で、原因は過積みだということで東京新聞なんかキャンペーンをやって、私どもこの過積みを規制をすれば騒音問題も解決をするし、運輸労働者の労働条件も改善をされるし、それから国鉄の貨物再建にも役に立つ、一石三鳥だと言ったのですよ。そういう方向が、これが本来の国鉄の赤字部分であります貨物がふえるという、総合的な施策の中で財政再建を図っていく。この過積み問題で影響を受けているのは、たとえば過積みをさせている荷主はどこだと調べたら、これはほとんど新日鉄だったという、そういうようなことになっているんですね。ですから私は、そういうところが国鉄再建の根本であって、駅ビル稼業にかわって、そして零細商店をいじめるというようなところが中心であってはならないと思うのですね。やはり本来、輸送事業で赤字のところはどこに原因があるのか、そこをやはり直す。私は過積み問題はもっと前から取り上げていれば、これはずいぶん違ったと思います。そういうような国鉄再建の根本方向を――駅ビル稼業というのは、これはやはり根本ではないんじゃないか、ごく付随的なものであり、そしてそれは中小商店をいじめるようなやり方ではいかぬのじゃないかと思う。その根本問題について大臣の御見解を最後に伺って、終わりにしたいと思います。
  357. 森山欽司

    森山国務大臣 先ほど来るるお話し申し上げておりますとおり、国鉄再建というのは広範な分野にわたる対策を講じていかなければ打開できない。そういうことの一環としまして、こういう国鉄が商売気を出して仕事をしていこうというのは、私はそれはごく一部であるかもしれませんが、これは歓迎すべきことだろうと思うのです。親方日の丸で全く商売気なくて、とにかく赤字だろうと黒字だろうと平気の平左というのでは困るのでありまして、こういう方向を法律でも新たに昭和五十二年から認められたわけでありますから、その方向に沿ってやってもらうということは、私は歓迎すべきことだと思います。  ただ、あなたのおっしゃるとおり、それが民業圧迫にならないように事前に十分配慮してやっていく、そういう意味では、現在までのところ、国鉄自身もまた運輸省の方も、十分気を使って仕事をしてきたようであります。しかし、万事そういうことを心がけてやりましても、世の中のことは思いどおりにいかないという面はありますよ、ありますけれども方向としてはいい方向一つではないですか。国鉄再建のために寄与するものは量的に必ずしも大きくないといたしましても、気構えとしてそういう親方日の丸じゃない気持ちでもって仕事をしていこうというのは、方向としてはいいことじゃないですか。しかも、その際に民業のことも気をつけてやっていこうということでございますから、これは松本さん、もう今日のあなたのお立場でございますから、いいことはいい、ちょっとうまくいかないところは直せよというふうなお考えで、国鉄の運営を見守っていただきたいと思うのです。  それで国鉄の現状は、実質赤字は一兆二千億円でございますから、これは老人から赤ん坊まで一人頭一万円の税金を負担して今日の国鉄の運営をやっておるわけでありますが、こんなことはもう長く続くわけじゃないのでありまして、これは一日も早く国鉄労使力を合わせ、また、それをくるむ私ども監督官庁の立場の者もその努力に相こたえ、また国の仕事でありますから、政党政派を超越して今日の危機打開を見守っていくべきである、私はそう考えておりますので、どうかひとつ今日の松本先生のお立場で理解ある御支援をお願いいたしたい、こういうようにお願いいたします。
  358. 松本善明

    松本(善)政府委員 私も、国鉄の民主的再建について運輸大臣にまさるとも劣らない熱意を持っていると思っておりますけれども、時間もありませんし、大臣がいま言われました民業を圧迫しないようにという言葉に期待をし、一応調べてみるということでございますので、そういうことに期待をして、きょうはこれで質問を終わりたいと思います。
  359. 井上普方

    ○井上(普)主査代理 次に、柴田睦夫君。
  360. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 千葉県内の交通通勤対策についてお尋ねいたします。  御承知のように千葉県は、首都圏におきましても最も高い人口急増率を示しておりまして、都心への通勤着も年々ふえているわけです。こういう中で非常に立ちおくれております交通通勤対策を整備し、これを促進するということは、県民のきわめて強い要望になっております。そういうことで、まず地下鉄東西線の延伸計画について最初にお尋ねいたします。  この問題につきましては、去年の七月十三日の運輸委員会で私がお尋ねいたしましたが、そのとき山上鉄監局長は「千葉県におきます鉄道網を円滑に維持するという見地から、地元の地方公共団体や関係事業者間で十分な話し合いを行っていただき、当事者間における円満な解決が図られることがまず必要であるということで、関係者に対しまして指導をしている」という答弁をされておりますけれども、その七月以降どういう指導をなさってこられたか、まずお伺いいたします。
  361. 山上孝史

    ○山上政府委員 基本的な考え方といたしましては、運輸委員会でお答えをしたとおりでございますが、現在この東西線の延伸問題につきましては、路線の採算性、同一区間を運営しております既存の鉄道事業者、これは京成電鉄でありますが、それへの影響、その他いろいろ困難な問題がございます。したがいまして、今後とも西船橋-勝田台間の鉄道建設問題につきましては、千葉県におきます鉄道網を円滑に維持するという見地から、地元の地方公共団体や関係事業者の間で十分な話し合いを行って、当事者間における円滑、円満な解決が図られることがまず必要であると考えております。この線に沿って、現在関係者の間で話し合いが行われている状況でございます。  今後とも、私どもといたしましては、こういう基本線でできるだけ円満、円滑な解決を期待しているわけであります。
  362. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 ところが千葉県、それから関係のある八千代市、船橋市、こういった関係地方公共団体では、営団地下鉄東西線建設促進対策協議会というのを早くからつくっておりまして、ここでは現在でも、すでに決め方針どおり、地下鉄東西線の延伸計画を進めるということを再確認しているという状況でありまして、そういう意味では、鉄監局長答弁とは異なっていると思うのですけれども地元ではっきり打ち出しているわけですから、こういう段階においては、運輸省ではどういう方針で臨まれるのか、お伺いいたします。
  363. 山上孝史

    ○山上政府委員 運輸省といたしましても、補助制度の問題と申しますのは、もう先生御承知かと思いますが、これを仮に建設する場合には、現在の地下鉄に対する助成の制度、これを適用することが当然前提になるかと思います。これにつきまして、現在の地下鉄の助成制度によりますと、路線の三分の二以上がトンネルでなければならないということが前提になっております。ところが、いまの免許申請における計画によりますと、路線の約三分の二が逆に高架部分であります。このようなことで、これは地下鉄の助成という制度を適用することにつきまして非常に問題があるということがあったり、あるいは営団法によりまして、法律上、営団は東京都の区の存する区域及びその付近における地下高速鉄道事業を営むことを目的とする云々ということがありますが、これの解釈上一体妥当であるかどうかという問題、あるいはこれは先ほど御指摘申し上げましたが、民営の京成電鉄に対する大きな影響が予想されること、あるいはさらに、仮にこれを建設いたしますと、その輸送力をつけたことによりまして、西船橋以西、要するに都心部に向けまして輸送量が非常に多くなるわけであります。そういたしますと、東西線の混雑を激化いたしまして、これはいろいろな試算がございますが、たとえばこのままでいきますと、昭和六十年ぐらいにおいては混雑率が、ラッシュのときには二五〇%を超えるというようなことが一応予想されるとか、そういういろいろな問題があります。したがいまして、運輸省といたしましては、このような問題につきまして検討し、また、いま言った問題に関連をいたしまして、建設、経営主体がいかにあるべきかというようなこと等を検討し、千葉県と都心間の交通体系を全体的、総合的に検討を行う必要がありますので、これについていま取り組んでいるわけであります。しかし、従来の経緯とか地元の強い御要望等はよく伺っておりますので、できるだけ速やかに、いま言った問題点につきましても結論を出すように努力をしている次第であります。
  364. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 おっしゃいますように、運輸省では京成電鉄の経営対策ということが大きな一つのポイントになっているようです。しかし、この八千代市や船橋市などの通勤対策ということから考えてみますと、この路線の整備というのは非常に決定的な問題であるわけです。話を伺っておりますと、前回からほとんど前進がないようであります。ということは、運輸省では地下鉄東西線の延伸はもう無理だというようなお考えを持っていらっしゃるのではないでしょうか。
  365. 山上孝史

    ○山上政府委員 この路線につきまして、まず第一が、地元において関係の地方公共団体で円満に話し合いを行う必要があるということと、それから運輸省といたしましても、いま申し上げましたように、いろいろな問題点がありますので、この問題につきまして、これを詰める必要があるというようなことでありまして、現在、この申請につきましては、そう簡単に結論が出る問題ではない、このような認識であります。
  366. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 現実運輸省の指示を受けまして、三年がかりで地元のコンセンサスを得た地下鉄東西線の延伸計画、これがベストであるということは、地方自治体だけではなくて、そこの住民もやはり強く考えているところです。今後の問題ですけれども運輸省が責任を持ってこの問題を解決していくということは約束していただけますでしょうか。
  367. 山上孝史

    ○山上政府委員 この問題につきましては、営団の方から免許申請が出ていることは事実でございます。したがいまして、この輸送力につきましてどうすべきかということを、地元においてもいろいろ問題がありますし、また制度といたしまして助成の制度あるいは運営主体がどうかというようないろいろな問題がありますので、このような問題に対しまして、できるだけ早く結論を出して対処をいたしたいと思います。
  368. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 要するに運輸省がイニシアを持って進めていかなければならない段階だと思うのです。京成の経営悪化という問題があって地下鉄東西線延伸計画が中断しているということでは、地域住民がせっかく合意したものを無視するという結果になってしまいます。考えてみますと、京成の経営対策というのは、やはり延伸計画とは切り離して考えるべき問題だと思うのです。京成の経営悪化という点では、成田空港のアクセスとしてのスカイライナーの建設だとか、そのほか空港建設に伴う交通対策で次々と赤字を出して、この指導を推進してきた運輸省にもやはり責任の一端はあるというように考えざるを得ないと思うのです。  ですから、この問題は、ただ単に京成の経営責任にとどまらない、運輸省の運輸行政全体の問題でもあるというふうに考えます。こうした問題のツケが県民に転嫁される、国民に転嫁されるというのは大問題でありますし、いまでは地元住民がこぞって要望しておりますこの東西線の延伸を促進する、そういう面で運輸省がまさにイニシアチブを発揮していただいて、早く解決してもらいたいということを強く要望いたしたいと思います。  次に、成田新幹線の問題についてお尋ねします。  成田空港は、昨年の五月にいわゆる見切り発車という形で開港いたしまして、もろもろの問題が依然山積みしているわけです。この中で、この交通アクセスは地元成田周辺の市町村だけの問題ではなくて、千葉市、船橋市、市川市、こうしたところにも波及的影響を与える重要な問題であります。  そこでお聞きしたいのは、都心から成田空港への交通利用状況の現況はどうなっているのか、お伺いします。
  369. 松本操

    松本(操)政府委員 成田開港後の空港アクセス、特にいまおっしゃいました都心から空港までの状況を概略申し上げますと、開港いたしましてから昨年暮れまでの輸送実績、片道平均という数字で申し上げますが、京成を利用した者が一日当たり約七千五百人、国鉄が片道八百人、これは成田駅から連絡バスに乗った者を国鉄利用者というふうにしぼっております。それから高速バス、これは東京空港交通バスを利用した者というふうにしておりますが、平均四千百人、乗用車の方は、現在御案内のような状態でございますので、台数としては六百台、何人乗っているか、二人半としまして千五百人程度、これを当初の予測に当てはめますと、京成の場合は約七割程度、国鉄の場合に二割足らずという程度でございますが、高速バスにつきましてはほほ予測どおりの数字、全体的には少なくとも都心からの空港アクセスという面について、時間的にもあるいは容量的にも特に問題は起こっていない、このように考えております。
  370. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 成田空港はいま、暴力学生集団の盲動があるということで一部の制限がされているわけですけれども、需要予測から見ますと、やはり大分かけ離れているというように思われるわけです。鉄建公団の方の話を聞いてみますと、新幹線の利用客を一日三万八千人と見積もっていたわけですけれども、実際は京成のスカイライナーでも一日七千五百人という現状にあるわけで、こうした実態からいたしますと、運輸省は都心から成田空港への需要予測というものを見直すべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  371. 松本操

    松本(操)政府委員 当初予測いたしました数字は、航空旅客が大体片道一日九千三百人、その他従業員等々を加えまして三万四千人片道というのが当初の予測でございました。先ほどお答え申し上げました数字からも類推していただけますように、この数字を足しますとやはりかなりの数になっております。ただ問題は、予測として違うとすれば、見学者とか送迎者とかいうふうなものが、これも昨年の八月、夏休みということで諸般の制限を緩和したときにはどっとふえておりますが、そういう点を除けば多少の予測の狂いはあるにしても、肝心の航空旅客あるいは従業員、そういう点の予測については大幅な狂いは出ていない、このように考えております。
  372. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 これはことしの二月十九日の予算委員会で鉄監局長は、新幹線工事については出戻りの生じない範囲でしか工事ができない、船橋その他では反対が強くて進捗しない、こういう趣旨答弁をされておりました。この成田新幹線計画は田村前運輸大臣がいわゆる凍結の宣言をして、これにかわる構想として成田新高速鉄道の構想を明らかにされたわけです。予算委員会での局長答弁大臣の宣言とあわせて考えてみますと、これは成田の新幹線計画を、はっきり言えば全国新幹線整備法の対象から外す、そういう段階にあることを意味するのじゃないか、こういうふうにもとれるのですけれども、いかがでしょうか。
  373. 山上孝史

    ○山上政府委員 成田新幹線につきましては、先生御指摘のとおり現在手戻りが生じない範囲内において工事を進めておるという実情にあります。  そこで、これも先生御指摘のとおり成田のアクセス問題につきましては、地元からいろいろ御要望もあります。そこで、この問題につきましては、現在いろいろな構想がありますので、それにつきまして比較検討している段階でありますが、その結論を得た段階でこの成田新幹線につきましてどのようにするかということを具体的に検討いたしたいと思います。
  374. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 そうすると、これからの検討の結果を待って対処するということですが、いまの成田新高速鉄道構想、これはどこまでいっているのか。現実にはこの方がいまでは具体化されるということが言われているのですけれども、そこのところはもうはっきりすべき段階じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  375. 山上孝史

    ○山上政府委員 先生がおっしゃるいわゆる成田新高速鉄道構想につきましては、昨年来鉄道建設公団、国鉄、交通営団、東京都、千葉県、空港公団等の関係者で構成いたします協議会におきまして、輸送需要、採算性、それから建設運営の主体、具体的な計画路線等につきまして検討が行われているわけであります。しかし、この構想につきましては、いま申し上げましたいろいろな構成員たる関係者が非常に多いわけで、それぞれの立場からいろいろ御意見があります。そこで、現在までいろいろな問題が出てまいりましたけれども、まだ具体的に大きな進展は行われておりません。今後、運輸省といたしましては、このような協議会の場を中心にいたしまして、関係者の意見を十分にお聞きしながら、また、その間の調整を図りながら、その成田新高速鉄道につきましての、実現をするためにはどうすればいいのかというようなことにつきまして、今後とも検討を続けてまいりたいと考えております。
  376. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 成田新幹線計画は、千葉県の市川市、船橋市を通過して印西などの町村を経て成田空港に至るというものであるわけです。一方の新高速鉄道構想は、東京から千葉県北部の千葉ニュータウンを通過して成田空港に入るというものであります。この新高速鉄道は、結局は船橋市や千葉県が新幹線に対して強い反対があるということから打ち出されてきたものであるわけで、この新幹線計画については、千葉県の各市においても受け入れないという、自治体自体が決議をしている、そういう中で新高速鉄道の構想が出てきたものであって、この構想は新幹線計画を大幅に変更する、そういうことを表明した、こういう性質のものではないのかと思うのですが、いかがですか。
  377. 山上孝史

    ○山上政府委員 成田新幹線構想というものの具体化がいかになるかということと大きく関連があることは、先ほどお答えしたとおりでございます。  なお、成田新高速鉄道につきましては、もう先生御承知だと思いますが、高砂-小室間は北総鉄道、これはもう建設運営することが決まっておりまして、近く第一期の区間であります北初富と小室間が完成、開業いたします。それからさらに、この北総鉄道は、第二期の区間の高砂-北初富間の建設に着手するという計画になっております。また小室-松虫間につきましては、宅開公団、これが千葉ニュータウンのための鉄道として建設するということになっておりまして、すでに小室の付近では工事が進んでおります。また他の区間につきましても、用地買収に着手しております。というようなことで、成田新高速鉄道につきましての千葉ニュータウン以西につきましては、それぞれ輸送力がつくという具体的なめどがあるわけであります。問題は、空港と松虫間の路線でございますが、これにつきましては、建設運営主体につきまして、まだ地元において話し合いが調っておりません。というようなことでありますが、いずれにいたしましても、成田新高速鉄道構想と成田新幹線の今後の取り扱い、これは関連があるわけでございます。
  378. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 成田新幹線の予算は、昭和四十七年度からすでに四百十三億が使われております。今年度予算では七十億が計上されているわけですが、鉄建公団に聞きますと、この七十億のうち五十億は成田空港の地下鉄に使うもので、この額で成田空港の地下鉄は地下駅がほほ完成する、そういうことで、運輸省の言う出戻りの生じない範囲での工事はほぼ終了するということになるわけです。鉄建公団は、できれば残り二十億を幹線の用地買収に使いたいというように私は説明を受けているわけですが、そうなりますと、住民には新幹線計画は凍結ということで、その代替に成田新高速鉄道構想が打ち出されながら、この金の面では新幹線の工事を進めて既成事実をつくっていく、こういうやり方というのは、非常に不明朗なやり方であるというように考えます。私は、成田新幹線計画というものの今後の問題については、いかにこの新幹線計画を処理するか、もうはっきりさせるべき問題であるというように思います。  もう一つ運輸省は、成田新高速鉄道構想の結果を待って対応するというようにとれるわけですけれども、この構想について運輸省が果たして責任を持っているかどうかということになりますと、これが非常に疑問に思うわけです。この構想を進めております協議会は、ただ検討するためのもので、法的な権限は何も持っていない。現状を調べてみますと、二回の協議会、三回の幹事会、二回の部会が開かれただけで、昨年の六月から全く開かれていない。非常に遅々とした歩みをしているわけです。運輸省は、住民の納得、要望を十分にくみ入れながら、責任を持ってこの新高速鉄道構想の計画を具体化する、これを進めていくということが必要だと思うのですが、これはどういうお考えですか。
  379. 山上孝史

    ○山上政府委員 成田新高速鉄道構想につきましては、先ほどお答え申し上げましたが、東京方面と松虫間につきましては、すでに建設運営主体も決まりまして、具体的に建設を開始し、一部は開業するということであります。問題は、松虫-新空港間でございますが、これにつきましては、民間の鉄道事業としての構想でありますので、やはり関係する地方公共団体が主体となって、それでこの松虫-新空港間の建設運営主体をどうするかということを決めることが先決問題だと思っております。幸いに先ほど航空局長からお答え申し上げてきましたとおり、成田新空港のアクセスにつきましては、十二分にと言っていいほど公共輸送の輸送力はあるわけでありますので、まだある程度時間がありますので、その間に協議会の場を中心に問題点を詰めてまいりたい、こう考えております。  なお、先ほどの成田新幹線との関連でありますが、これは成田新高速鉄道構想だけが関連があるのではなくて、そのほかにも、いまおっしゃる京成電鉄あるいは国鉄あるいはバス輸送等いろいろアクセスの手段があるわけでありますから、そのいろいろな手段の中でそれの位置づけをし、どのようにそれを総合的に処理するかという結論が出たときに、それの結論の一環として成田新幹線につきましても処置をすべきではないか、このように考えているわけであります。
  380. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 運輸省は、新幹線について出戻りの生ずる工事はしないと言っているのですけれども、鉄建公団は、船橋市や市川市で新幹線用地の用地買収を進めているわけです。船橋市では新幹線用地として住友セメントから用地買収をしております。この用地については、船橋市議会でも反対の立場から住友セメントに買い戻しをさせるよう申し入れ決議をしておりまして、鉄建公団の新幹線部長も住友セメントに買い戻しをさせるということを住民に約束されております。この約束は当然実行すべきでありますし、相手方の都合で買い戻しが困難であれば、住民や地元の納得の得られる方向で処理すべきであると思うのです。  また、このほかにも市川市などの用地買収もやられているのですけれども、そうしたものは出戻りになるわけですから、買収したところを買い戻しをさせるように運輸省としてもそういう方向で指導すべきであると思うのですけれども、その点についてはいかがですか。
  381. 山上孝史

    ○山上政府委員 成田新幹線の用地買収につきましては、現在、成田線交差部と空港駅との間で手戻りのないように行っておるわけでありますが、先生おっしゃるように、この区間以外におきましても一部既買収の用地があります。これにつきましては、成田新幹線についての最終的な決定が行われた後に対処してまいりたい、かように存じます。
  382. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 現状を考えてみますと、成田新幹線計画は、地元の千葉県内の大きな反対でもう実現しないと見るのが常識だと思うのです。そのために前運輸大臣も凍結ということを宣言されたくらいでございます。まさに、鉄建公団に聞きますと、この成田新幹線計画は息も絶え絶えであるということですが、要するに、国が一遍決めたことだからなかなか変えられない、しかし実際は、新高速鉄道構想の方で進めるのだというように聞いているわけですけれども、そういうことになりますと、住民に対してはたてまえと違った本音の計画を、そういう形で仕事を進めるというのではなくて、もうはっきりさせるべきだと思うのです。まさに、勇断を持って成田新幹線整備計画を全国新幹線建設法の対象から取り除いて法的な手続をとるということが必要であると思うわけです。そこまで現実は進んでいると思うのですけれども、そういう勇断を持ってはっきりさせる、住民が安心をするようにはっきりさせるということで最後に大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  383. 森山欽司

    森山国務大臣 成田空港付近のアクセス、鉄道網の問題、、いろいろ先ほどお話がありました。すっきりしていない点が確かにあります。ですから、私は、できるだけこれをすっきりさせる方向で努力をしたい、そう思っております。
  384. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 終わります。
  385. 井上普方

    ○井上(普)主査代理 以上をもちまして、昭和五十四年度一般会計予算昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算運輸省所管についての質疑は終了いたしました。  次回は、明二日午前十時から開会し、郵政省及び国土庁所管について審査をいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時五分散会