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1979-03-01 第87回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年三月一日(木曜日)     午前十時開議  出席分科員    主 査 藤波 孝生君       愛野興一郎君    竹下  登君       浜田 幸一君    稲葉 誠一君       鈴木  強君    栂野 泰二君       中西 績介君    近江巳記夫君       坂口  力君    兼務 上原 康助君 兼務 古寺  宏君    兼務 大内 啓伍君 兼務 伊藤 公介君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 山下 元利君  出席政府委員         宮内庁次長   山本  悟君         皇室経済主管  福留  守君         防衛庁参事官  岡崎 久彦君         防衛庁参事官  佐々 淳行君         防衛庁参事官  古賀 速雄君         防衛庁参事官  番匠 敦彦君         防衛庁長官官房         長       塩田  章君         防衛庁長官官房         防衛審議官   上野 隆史君         防衛庁防衛局長 原   徹君         防衛庁人事教育         局長      夏目 晴雄君         防衛庁衛生局長 野津  聖君         防衛庁経理局長 渡邊 伊助君         防衛庁装備局長 倉部 行雄君         防衛施設庁長官 玉木 清司君         防衛施設庁次長 銅崎 富司君         防衛施設庁総務         部長      奥山 正也君         防衛施設庁施設         部長      多田 欣二君         防衛施設庁労務         部長      菊池  久君  分科員外出席者         環境庁大気保全         局交通公害対策         室長      加藤 三郎君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 平野 侃三君         外務省アメリカ         局外務参事官  北村  汎君         外務省アメリカ         局安全保障課長 丹波  実君         大蔵省主計局主         計官      志賀 正典君         大蔵省理財局特         別財産課長   高橋 公男君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 平井磨磋夫君         建設省都市局公         園緑地課長   田辺 昇学君         最高裁判所事務         総長      牧  圭次君         最高裁判所事務         総局経理局長  草場 良八君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月一日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     栂野 泰二君   坂口  力君     長田 武士君 同日  辞任         補欠選任   栂野 泰二君     鈴木  強君   長田 武士君     平石磨作太郎君 同日  辞任         補欠選任   鈴木  強君     中西 績介君  平石磨作太郎君     坂口  力君 同日  辞任         補欠選任   中西 績介君     安宅 常彦君 同日  第二分科員伊藤公介君、第四分科員大内啓伍  君、第五分科員上原康助君及び古寺宏君が本分  科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和五十四年度一般会計予算  昭和五十四年度特別会計予算  昭和五十四年度政府関係機関予算     〔皇室費裁判所及び総理府所管防衛庁)〕      ――――◇―――――
  2. 藤波孝生

    藤波主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和五十四年度一般会計予算昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算中、総理府所管について審査を進めます。  防衛庁に関する事項について質疑申し出がありますので、順次これを許します。栂野泰二君。
  3. 栂野泰二

    栂野分科員 美保基地関係でお尋ねいたします。  C1輸送機配備計画ですが、防衛庁では、五十二年の段階までは総機数が二十八機、入間小牧にそれぞれ十機、美保に四機、岐阜に一機、残りの三機は予備機、こういうことだったわけですね。ところが、来年中には全機数が三十機になるようでありますが、そうしますと、この新しい二機はどこに配備されますか。
  4. 原徹

    原政府委員 C1の全体につきまして、現在持っておるのは二十八機でございますが、第一輸送航空隊小牧に十機、第二輸送航空隊入間に十四機、ただいまございます。(栂野分科員「二機をどこにやるかだけでいいです」と呼ぶ)その二機はいずれ、予備機でございますから、入間ないし小牧に行くであろう、そういうふうに考えております。
  5. 栂野泰二

    栂野分科員 ことしまた一機契約する予定になっていますね。そうしますと、将来C1を一体何機にするつもりなのか。いま、美保の第三輸送航空隊には、今度C1が配備されるとすると、C1を四機、YSを三機、こういう配備だということなのですが、いずれYS11は全部退役してしまいますが、C1四機、YS三機という配備ですね、これはいつまで続くのか、その辺のところをお答え願います。
  6. 原徹

    原政府委員 YS11がダウンするのはまだ大分先のことでございますので、まだその段階のことについてどういうふうにするかというところまで決まっていないのが現実の状態でございます。
  7. 栂野泰二

    栂野分科員 これは、少なくともある程度の段階まではC1四機、YS11三機でやるということは言えるのじゃありませんか。
  8. 原徹

    原政府委員 私ども美保基地につきましては、ただいま考えておりますところは、当面C1四機、YS三機でやろうというふうに考えておるわけでございます。
  9. 栂野泰二

    栂野分科員 当面はわかるのですが、およそ何年ぐらいということは言えませんか。それと、現在は教育隊だけですが、美保輸送航空隊を将来、教育隊のほかに、つまり教育隊を置いておいてさらに実動部隊をふやすとか、あるいは教育隊をやめて実動部隊にかえるとか、そういう計画は持っておりませんか。
  10. 原徹

    原政府委員 最初の問題のいつまでかというところは、ただいま申し上げられる段階にございません。それから、教育隊をやめてあるいは教育隊に付加して実動部隊をあそこに展開するという考え方は持っておりません。
  11. 栂野泰二

    栂野分科員 この一月三十一日に、C1配備について防衛施設庁鳥取県、それから米子市、境港市の間に協定が交わされましたが、その協定を見ますと、民間米子空港へのジェット機乗り入れという問題について触れられておりますが、結局、今回、民間航空ジェット化についても地元としては了承する、それに対する補償もしかるべくやってくれ、こういうことだと思います。そこで、民間航空ジェット機乗り入れ計画整備計画というのがどうなっているか、航空局お見えになっておると思いますが、要点だけで結構ですからお答え願いたい。
  12. 平井磨磋夫

    平井説明員 美保飛行場におきます民間航空施設整備につきましては、昭和五十一年度から五十五年度までの第三次五カ年計画におきまして、ジェット機の就航を図るために、現在の千五百メートルの滑走路を二千メートルに延長するという計画と、民間航空専用ターミナル地域を建設するという事業計画いたしております。(栂野分科員「その進行状況」と呼ぶ)このうちターミナル地域の新設につきましては、現在順調に事業が進捗いたしておりますが、滑走路延長問題につきましては、かねてから鳥取県等の関係機関調整を進めてまいりましたが、なお地域合意を得るという段階に至っておりませんので未着手の状態でございます。運輸省といたしましては、今後とも合意を取りつけるよういろいろ努力をいたしまして整備を図ってまいりたいと考えております。
  13. 栂野泰二

    栂野分科員 それで、民間航空ジェット機にかわるということは、現在の滑走路千五百メートルを二千メートルに延長する、そのことについての地元の了解、保証がなければならない、こういうことになりましょうかね。
  14. 平井磨磋夫

    平井説明員 民間ジェット機導入につきましても地元同意を得なければならないというふうに考えております。
  15. 栂野泰二

    栂野分科員 ジェット機導入自体についても地元の了承が必要だということですが、これは大体鳥取側でも了承しているわけです。問題は、とりあえずは千五百メートルの滑走路のままでジェット機導入ができるようでありますが、それではどうしても危険が伴う、将来二千メートルに延ばす必要があると言われておるわけです。だから、滑走路を二千メートルに延ばすという保証、これが取りつけられない限りはジェット化はしないのかどうか、そこのところです。
  16. 平井磨磋夫

    平井説明員 一般民間航空ジェット機を就航させますためには、二千メートル級以上の滑走路を必要とすると考えております。しかしながら、周辺地形等立地条件に恵まれておる飛行場でございまして、改良された特定の航空機を使いまして、空港施設に一定の整備をいたしまして運航制限をいろいろつけますと、千五百メートルの滑走路でも暫定的にジェット機を飛ばすことは可能なケースがございます。例といたしましては、山形でそのケースがあるわけでございます。  美保につきましても、千五百で何とかジェットを入れたいというお話がございますが、これにつきましては、航空事情の動向を考えまして、あるいは技術的な諸問題をいろいろ検討いたしまして、慎重に検討していくことといたしております。
  17. 栂野泰二

    栂野分科員 ちょっと待ってください。どうもはっきりしないのですがね。ですから、このジェット化するに際して、とりあえずは千五百メートルでできるわけですね、かさ上げするなりグルービングするなりして。
  18. 平井磨磋夫

    平井説明員 はい、そういうことでございます。
  19. 栂野泰二

    栂野分科員 ところが、いつまでも千五百メートルのままではだめだ、将来は二千メートルにしてもらわぬと困るという、大体こういうことなんでしょう。  そこで、その五百メートルの延長、これについて地元保証が見通しがない限りは、とりあえずジェット化するということもしないのかどうか、そこのところです。
  20. 平井磨磋夫

    平井説明員 そもそもジェット機導入いたしますこと自体に、やはり地元での合意を得る必要があるかと考えております。したがいまして、二千メートルの問題も含めまして、地元合意を得た上でジェット化の問題を進めてまいりたいと考えております。
  21. 栂野泰二

    栂野分科員 その地元というのは、運輸省としてはどこを予想されていますか。鳥取県側だけですか、島根側もですか。
  22. 平井磨磋夫

    平井説明員 鳥取県も島根県も、関係市町村を含めまして考えております。
  23. 栂野泰二

    栂野分科員 じゃ滑走路延長についても、民間航空ジェット機を入れるということ自体についても、鳥取島根県側関係者同意を得てからやる、こういうことに承っておきますが、よろしいですね。  それで、これはどうもいずれ二千メートルに延長するということに将来的にはなりそうな気がするのですが、そこで、将来美保基地ジェット戦闘機を入れるという計画はいまございませんか。
  24. 原徹

    原政府委員 美保基地ジェット戦闘機を入れるという計画はございません。
  25. 栂野泰二

    栂野分科員 話をかえますが、この美保基地周辺住民皆さんが、ほかの基地視察するということで、自衛隊機に搭乗して出かけたことがあるようでありますが、この点についてはあらかじめ調査をお願いしてあります。昨年度の実情について、日時と、それからどういう人たち、どういう団体なのか、人数、視察に行った基地の名前、日数、それからその視察目的、これを説明していただきましょう。
  26. 古賀速雄

    古賀政府委員 お答えいたします。  いま先生の御質問防衛庁は従来から、自衛隊広報あるいは業務の遂行上必要があると認められる場合には、自衛隊機部外者搭乗を認めておりまして、基地見学等もあわせてやっておるわけでございますが、いまその昨年の実施状況についてお話し申し上げますと、五十三年の五月十一日、美保から小松小松から美保まで、参加団体中浜総合対策協議会、六名でございます。これは小松基地周辺実情見学した。これは日帰りでございます。  次に、五十三年の六月十三日から十四日、美保から小牧小牧から美保へ、これは崎津地区対策協議会三十三名、小牧基地及びC1の飛行状況等見学で、YS11の体験搭乗も兼ねております。これは一泊でございます。  それから、五十三年七月四日から五日まで、美保から小牧小牧から美保大篠津基地対策協議会四十名でございまして、目的先ほど崎津地区と同じでございます。  それから、五十三年九月十二日から十三日、これも美保から小牧小牧から美保へ、崎津地区婦人協議会四十名でございます。目的先ほどと同じでございます。  それから、五十三年の十二月十八日から十九日、これは美保から入間入間から美保へ、崎津地区連合自治会でございまして、三十九名、これは入間基地見学とC1の飛行状況等見学、それからYS11の体験搭乗を兼ねておりまして、これも一泊でございます。(栂野分科員YS11の体験搭乗……」と呼ぶ)はい、広報上のです。
  27. 栂野泰二

    栂野分科員 この一泊二日組の小牧入間、これは一体どこに泊まったのですか。
  28. 古賀速雄

    古賀政府委員 入間関係自衛隊共済組合の寮といいますか、会館がございます。市ケ谷会館に一泊されたようでございます。
  29. 栂野泰二

    栂野分科員 この十二月十八日、十九日の関係で少し詳しくお聞きしますが、私の調べたところでは、いま崎津連合自治会とおっしゃいましたが、どうも中身は老人クラブ婦人会、それから二けた会という、これは昭和二けた生まれの同窓会といいますか、そういうものがあるようですが、その皆さんが行っている。いまYS11の体験搭乗とおっしゃいましたけれども、この日の視察について、美保を出てから帰るまでどういう行動があったのか、詳しく述べてください。
  30. 古賀速雄

    古賀政府委員 お答え申し上げます。  行動概要を申し上げますと、昭和五十三年十二月十八日、これは月曜でございますが、十二時に美保基地を出発いたしました。十三時五十分に入間基地に着きまして、十三時五十分から十五時まで入間基地概況説明を受けまして、C1の見学及び入間基地見学しております。それから十五時過ぎに入間基地を出まして、御一行は電車東京へ向かいまして、十七時に市ケ谷会館に到着しまして、同日、同会館で一泊でございます。そして十二月十九日、翌日十時に市ケ谷会館を出られまして、これも電車で出られまして、十二時に入間基地に到着いたしまして、十三時YS11に乗りまして、十五時二十分に美保基地に帰られた、こういうふうな行動でございます。
  31. 栂野泰二

    栂野分科員 これは費用はどうなっていますか。
  32. 古賀速雄

    古賀政府委員 YS11の輸送は私ども自衛隊の方で持ったわけでございますが、それ以外は各自の負担でございます。
  33. 栂野泰二

    栂野分科員 この基地におられたのは十二時五十分から十五時までですが、一時間十分しかないですね。この間、どういうことをやられたのですか、いまYS11の体験搭乗というのがありましたが、それ以外には……。
  34. 古賀速雄

    古賀政府委員 入間基地の中の概況説明をやりまして、それからC1の見学をいたしまして、C1の説明基地の中を見て回る、こういうふうなことでございます。
  35. 栂野泰二

    栂野分科員 どうもこれは、私の方に入っている情報では、この皆さんたち名目基地視察でしょうけれども東京忘年会をやろう、こういうことだったようなんです。いま周辺住民にとっては、C1が入ってくる、その騒音がどの程度かということは大変関心が高いですからね。みんな小牧なり入間へ行って騒音測定などをやっているわけですよ。これはもちろん全部自分で行くわけです。ところが一方で自衛隊機に乗って出かけていくというグループがあるわけです。しかもいまお聞きするとYS11に乗ったということをおっしゃるのですが、いま周辺で一番問題になっているのはC1ですよ。C1の騒音被害についてです。ですから、この人たち入間に着いて、自分たちの住宅と基地との距離のところに行ってみて、それからC1を飛ばしてもらって、そういう被害測定をやるとか、少なくともこういうことをおやりになったというならまだ話がわかるけれども、ただ基地説明をしてもらって、しかもYS11に体験搭乗するというふうなことですね。これを見ますと、やはり目的はどうやら実質的なところは一泊二日旅行、東京で泊まるということ、しかも泊まるのは、共済会館というのは大変安いですな、こういうことになるのですね。  これはもう十年ぐらい前からこの種のことが行われているという話ですが、いま五十三年について述べていただきましたけれども、本当に十年ぐらい前からこんなことをやっておられますか。
  36. 古賀速雄

    古賀政府委員 各基地見学等はかなり前からやっておるというふうに聞いております。
  37. 栂野泰二

    栂野分科員 どうやら沖繩方面にも行かれたということです。時間が余りありませんからあれですが、この法的根拠をお聞きしましたが、航空機の使用及びとう乗に関する訓令の八条の一号、二号でいくんだ、こうおっしゃっているわけです。しかし、これは「自衛隊業務を遂行するに当たり特に部外者の協力を得るために、必要がある場合」というのがこの一号ですね。自衛隊業務そのものについて。それから二番目は、「自衛隊広報業務を遂行するに当って、特に有効である場合」ここにも入るのじゃないか、こういうことでしたが、しかし、三番目を見ますと、「国会議員又は関係官公庁職員が、職務自衛隊に関し調査又は視察を行なう場合において、特に必要があるとき」こう書いてある。だから、国会議員でも職務調査視察を行う場合、しかもそれが特に必要と認められる場合でないと自衛隊飛行機には乗せないということになっているのですね。これはかなり厳重になっているわけですよ。それをこの基地周辺住民皆さんがぜひ乗っけてくれと言われたからといって、こういう形でやるなんということは、これは私はとんでもない話だと思うのです。これはもう懐柔工作以外の何物でもないと私は思うのです。その地域住民皆さんも少しこれは遠慮したらいいと思いますよ。これはちょっとひど過ぎるのじゃないか。しかし、そういう申し出があったからといって、C1の配備をしたい、何とか賛成してもらいたい、そういうことのために何でこれだけのことをしなければいかぬのですか。それは防衛庁には、忘年会に行くからよろしく頼むなんということはおっしゃらぬでしょう。あくまでも名目視察だと思いますよ。しかし、いまお聞きした当日の行動を聞いても、どうしたって真剣な視察目的とは思えない。  これは長官、どうでしょうね、一体、こういうことは今後やめてもらいたいと思うのですが、いかがでしょう。
  38. 山下元利

    山下国務大臣 先ほど政府委員から御答弁申し上げておりますとおりに、防衛庁といたしましては、広報ということをもちまして部外者の方々に御搭乗願っておりますことは、もう御理解いただいておると思うわけでございまして、特にこの美保基地につきましては、C1についての御関心が大変深いものでございますから、その御理解を得ていただく意味におきまして、そのC1が事前に配備されております入間小牧においで願って、C1を御見学いただいているようでございます。ただ、往復につきましてYS11を使用しておりますけれども先ほども御説明いたしましたとおり、基地におきましてはC1を見ていただきますし、基地実情もいろいろ御説明申し上げているようでございます。もちろん、宿泊等についてはそれぞれに御負担願っているということからいたしまして、私といたしましてはこの問題については行き過ぎはなかったものと思いますけれども、しかし御指摘がございますので、私どもはあくまで自衛隊広報ということで、その趣旨を今後とも守ってまいりたいと思う次第でございます。
  39. 栂野泰二

    栂野分科員 これは美保基地に限らず全国に恐らくこういう状況があると思いますね。どうもいま長官の答弁では私納得できませんが、ひとつ昨年度の、全国にこういう基地視察自衛隊飛行機を使ったということがあると思うのですが、そのデータを出していただきたいと思うのです。よろしいですか。
  40. 古賀速雄

    古賀政府委員 先生のいまの御質問、私手元に全国の資料を持ち合わせておりませんので、後刻また御報告いたしたいと思います。
  41. 栂野泰二

    栂野分科員 この自衛隊機の搭乗問題がしかりですが、今度のC1配備につきまして、きょうあたりがどうやら攻防の山場になっています。つまり関係市町村同意をするかどうかということになっております。  そこで、現地の実情を見ますと、もうとにかく、本当に国の防衛のためにC1が必要かどうかなんという防衛論議はどこかへ吹っ飛んじゃっているんです。一体幾ら金がもらえるんだ、これだけですね。こういう実情になっております。  私はかねがね申し上げていますが、周辺整備法の特に民生安定事業の助成、それから第九条の周辺整備調整交付金、ここはもう再検討しなければならぬのじゃないかと思っています。被害がありますから、この被害について正当な補償は十分にしなければなりませんが、しかし、その枠を越えて、協力してもらうための賛助金といいますか――関連がないのですよ、実際今度のC1配備状況を見ましても。何のためにそういう金が出るのだかわからない。とにかくC1配備に協力してくれるなら、金で済むことなら何でもあげましょう、私はこういう態度にしか見えないのです。これが実は関係市町村を混乱に陥れています。大変な退廃状況を生んでいると思います。この周辺整備法自体の改正問題というのは時間のかかることでございますが、さしあたり何らかの基準が必要ということは前から申し上げていますが、ともあれそういう金の出し方についてもっと抑制的であってほしい、慎重にやっていただきたいと思っているのですが、長官の御意見を伺って終わりたいと思います。
  42. 山下元利

    山下国務大臣 御趣旨は十分拝聴いたしました。今後努めたいと思います。
  43. 藤波孝生

    藤波主査 以上で栂野泰二君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴木強君。
  44. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 最初に、米韓合同軍事演習について大臣にお尋ねします。  米韓合同軍事演習はきょうから十七日まで十七日間行われると伝えられております。当然防衛庁には米側から何らかの連絡があったと思いますが、演習規模、それから参加兵力等、概略説明していただきたいと思います。
  45. 山下元利

    山下国務大臣 米韓合同演習計画につきましては、その概要外務省から通報を受けております。  概要を申しますと、この演習はチームスピリット79と呼ばれ、本日から十七日までの間、韓国領域を中心として行われます米韓合同演習であり、その演習目的は、朝鮮半島における不測事態に対する米韓合同防衛作戦を通じ、指揮官、幕僚及び部隊を演練することでございます。本演習参加規模は、米陸軍、海軍、米海兵隊米空軍、合計いたしまして米軍総計五万六千名でございまして、さらに韓国軍は十一万二千名参加いたしますので、本演習総計十六万八千名で実施される予定でございます。
  46. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 在日米軍はそのうちでどの程度参加することになっておりますか。
  47. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 参加米軍総計五万六千名のうち、米本土及び太平洋地域米軍合計二万四千三百名になっております。在日米軍につきましては、海兵隊が七千名、空軍千五百名、それから第七艦隊、これは在日米軍とは申さないのでございますけれども、九千七百五十名、合計いたしまして日本関連米軍は一万八千二百五十名でございます。
  48. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それで、横田とか、沖繩のたとえば嘉手納、こういった日本における基地を使って演習する、そういうことはないのですか。
  49. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 今回の演習に参加する米本土及び太平洋地域米軍部隊の一部がわが国の施設、区域に立ち寄ることにつきましては、ランス部隊が途中給油のために横田に立ち寄るほかは、米空軍部隊の一部が途中給油のために横田及び沖繩に立ち寄るものと承知しております。
  50. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それで、新聞の報道によりますと、ランス地対地戦術核ミサイル、そういう部隊がこの演習に参加すると聞いておりますが、それは事実ですか。
  51. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 ランス部隊の参加は事実でございますけれども、ランス地対地核非核両用のミサイル部隊の参加でございます。
  52. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 もし核を持っているとすると、その飛行機がたとえば日本基地を経由して韓国に行くとか、あるいはそうではなくて給油に立ち寄るとか、そういうような場合は核搭載ということになりまして問題になると思うのですが、これはいままで長い間の解釈がいろいろございますが、実際にこの演習で核を使うのかどうなのか、その辺に対する米側の見解というのは聞いておりませんか。もし使うとすればこれは問題がある。
  53. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 当然のことでございますけれども演習には核の実弾は使用いたしません。
  54. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 そうすると、模擬発射程度のものと理解してよろしゅうございますか。
  55. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 今回の演習につきましては模擬発射もないものと了解しております。
  56. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 わかりました。  そこで大臣、私はこれは政治的な判断になると思いますけれども、いませっかく南北朝鮮統一への機運が高まっておりますね。ですから、こういうときにそれに逆行するように考えられる演習というものをやることが果たしていいのかどうなのか、これは日本人の感覚としてはそんな気もするわけですよ。しかし、極東アジアのいろいろな情勢もございますから、そういう面から言えばまた当然だという意見もあるかもしれません。しかし、私たちはあくまでも平和主義に徹するものですから、こういうやり方は、ことしちょうど四回目にはなりますけれども、ちょっといかがなものか、こう思うのでございますけれども、これは防衛庁長官という立場と政治家山下先生とのあれはあるでしょうけれども、きょうは防衛庁長官でございますから、長官としては、そういうふうな感情のある中でおやりになることに対しての考えが何かございますか。
  57. 山下元利

    山下国務大臣 今回の演習はすでに昨年のうち、米韓の協議会で決定せられておるというふうに聞いておるわけでございまして、いまの状況できょうからこの演習が始まるについては、御意見のほども十分承りましたが、私はそういうこととは無関係であると思います。そしてまた、この演習地域につきましても配慮いたしているようでございます。私はもちろん政治家でございますので、極東アジア方面におきますところの平和の状態をお願いいたしておりますが、また米韓両軍がその演練のために昨年来決まりましたところによって演習することにつきましては、それはそれとして受けとめておきたいと思う次第でございます。
  58. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 きょうは外務大臣いらっしゃいませんから、あなたに大変失礼ですが、今日このような、四回目ですけれども、一番大きな規模だと思います。したがって、いまの時点でこういう大規模演習をなさることはいかがかと思いますので、ひとつアメリカ側にも、日本の意向としてこういう意見があったというくらいのことは伝えてもらいたいと思うのですよ。これは私、鈴木強個人の意見であり、同時に世論がこの意見をかなり支持していると私は思いますから、ひとつ検討していただいて、十七日間の長い期間ですから、期間の縮小なり、良識をもってやっていただくような御配慮をお願いをいたします。これは回答はできませんでしょう。ですから、そういう意見を私が持ったことを外務大臣に伝えていただいて、相なるべくはそういうふうにしていただきたい、これを要望しておきます。  第二番目に、中越の紛争の問題についてお尋ねします。  きょう、ちょうど十三日目になりますが、私たちは非常に残念に思います。いかなる場合でも武力を使って他国に入っていくというようなことは、これはもう絶対許してはいけないと思います。そういう意味で非常に残念でございます。一日も早くこの紛争が解決することを願っておりますけれども、どうも長期化の傾向にあるように思いますが、この点に対しての長官防衛庁としての考え方、それからもう一つは、これが拡大発展をして、たとえば、これは名前を出してはまことにどうかと思いますけれども、中ソの紛争に拡大していくというようなことになりますと、これは大変なことになると思います。したがって、いま世界を挙げて国連を舞台に平和的な収拾の討議がなされておりますけれども、ひとつそういう方向でわが国も全力を尽くしていただきたいと思います。その長期化の可能性あるいは中ソにおける戦争への拡大、これに対する防衛庁としての見解があると思いますから、知らしてもらいたいと思うのです。
  59. 山下元利

    山下国務大臣 政府委員からまず答弁いたします。
  60. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 それでは、まず情勢について御説明申し上げます。  中越国境におきましては、中国が相当規模の兵力をもってベトナムと戦闘状態に入っているというふうに考えております。中国側の意図につきましては、中国側の公表しておりますとおり、国境紛争問題の解決もございますし、また従前からの中越、カ越関係等の種々な経緯が背景にあると存じております。またその意味から、今回の中国軍の軍事行動は種々な意味で限定された目的を持つ作戦の可能性が大きいとも考えております。しかしながら、戦争が一たん始まったものでございますので、今後の推移いかんによりましては、より大規模な衝突に発展する可能性も、また長期化する可能性もなしとしないということで、大きな関心を持ちまして事態の推移を注目しているところでございます。  また、今般の中越紛争に関しましてソ連が種々な警告を発していることは承知しております。しかし、ソ連は、当面ベトナム支援の形態は、まずベトナムの軍事能力を評価と申しますか信頼いたしまして、これに対して武器供与等の軍事支援を行うというのが当面のソ連の政策であると考えられます。いずれにしても、ソ連の行動は、当面インドシナ周辺におきまして種々な形でベトナムを支援することが目的であると考えられます。しかし、中ソ関係がこれまた長い経緯のある関係でございますので、中ソ紛争が発生する可能性は、これはきわめて少ないと思いながら、全く否定するわけにはいかないということで、これまた関心を持って注目しております。
  61. 山下元利

    山下国務大臣 情勢及び見通しにつきましてはただいま政府委員の申したとおりでございますので、防衛庁といたしましても重大な関心を持ちまして見守って、対処してまいりたいと思う次第でございます。
  62. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 三つ目に、北富士演習場の問題についてお尋ねをいたします。  この演習場については、全面返還、平和利用という山梨県民の願いもございますが、現状はなかなかそうもまいっておりません。そこで防衛庁におかれましても、今後とも漸減的にこの演習場を縮小していただくというような方向で御配慮をお願い申し上げておきます。  それで、昨年の一月一日から十二月三十一日までの間に、北富士演習場で自衛隊米軍は何回演習をやっておりますでしょうか。できましたら月別に、また銃砲火器等もあるでございましょうから、それと参加人員、これをひとつ教えてもらいたい。
  63. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 まず、私から自衛隊関係をお答え申し上げます。  昨年の一月一日から十二月三十一日までの間、自衛隊が北富士演習場において行いました訓練、演習につきましては、延べ二百七十日間、約二十九万人。ちょっと月別の資料を用意してございませんが、火砲その他につきましては、百五ミリ、百五十五ミリ、二百三ミリ等のりゅう弾砲あるいは戦車砲、迫撃砲その他の実弾射撃を八十五日間実施をいたしております。  なお、この間、事故の関係でございますけれども自衛隊に関しましては、九月に陸上自衛隊の隊員が夜間行進中に一人転落をして額に裂傷を負った、こういう事故がありましたほかは、人員あるいは物件に関する事故はございませんでした。
  64. 多田欣二

    ○多田政府委員 米軍関係について申し上げます。  米軍は、沖繩にございます第三海兵師団の部隊が北富士に参りまして、歩兵訓練でありますとか砲兵の訓練あるいは戦車による訓練というようなものを実施しているわけでございます。日数で申し上げますと、昭和五十三年は一般訓練といたしまして三十四日、実弾射撃訓練を八日間実施をしております。月別に申し上げますと……
  65. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それはいいです。銃砲火器はどんなものを使っていますか。
  66. 多田欣二

    ○多田政府委員 米軍が使用いたしております火砲は、二百三ミリ以下のりゅう弾砲あるいは戦車砲等でございます。
  67. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 協定によりまして、夏期は登山客も非常に多いわけですから、そういうときには遠慮していただくようにお願いしてあるのですけれども、なかなかそうもいかぬようですね。霊峰富士のふもと、しかも世界からも大分来ましてね、夏の期間はできるだけ遠慮するようにというような趣旨協定の覚書かなんかがあると思いますけれども、そういう点、今後とも十分配慮していただきたいと思いますが、どうですか。
  68. 多田欣二

    ○多田政府委員 五十三年の月別の実態、先ほど申し上げませんでしたが、米軍関係につきましては、六月、七月、八月、演習を行っておりません。九月に二千三百名ほど兵員が来ております。十月には六十名ほど来ておりますが、意識的に避けたかどうかは別といたしまして、夏期には米軍は来ておりません。
  69. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 自衛隊はもちろんでしょうね、米軍がそれだけやっているわけですから。ぜひその点は配慮していただいてお願いしたいと思います。  それから次に、昭和五十四年度防衛庁予算の中で、これは施設庁になると思いますが、北富士演習周辺整備事業費として幾ら計上されておりますか。できれば事業費日別、金額別に教えてください。
  70. 玉木清司

    ○玉木政府委員 御承知のとおり、周辺対策関係の経費につきましては、当初予算では原則として総額を確定いたしまして、実施段階におきまして一件ごとに大蔵大臣の承認をいただきながら実施するということになっておりますので、五十四年度に提案しております政府予算案の中では、各事業別の経費を明確に申し上げる段階に至っておりません。ただ、五十三年度の状況から申し上げますと、障害防止事業で七億三千三百、騒音防止事業で一億七千五百、民生安定助成事業で二億七千三百、道路改修事業で三億九千九百、合計いたしまして十五億八千万、こうなっておりますので、これにつきまして大体一割程度の伸びがあろうかというふうに考えております。
  71. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 山梨県側から協定更新の際に強い要望として出ておりました民生安定事業等については総額百三十億くらいをめどにしてやってほしいという意見がありまして、たしか昭和四十八年三月三十日の閣議了解事項の中に入っていると思いますが、この目標から見ると少なくないですか。もう少し多くできないですか。その辺の目標に対してはどんなふうでしょうか。
  72. 多田欣二

    ○多田政府委員 先生御承知のように、私どもの行います事業につきましては、一応補助金のほかにそれぞれ地元負担という問題がございます。したがいまして、年度当初に市町村の財政状況等をにらみながらお互いに相談をし合って事業を決めていく、こういうシステムになっておりまして、閣議了解で目標としました金額まで行ってはおりませんけれども、これは地元の負担との関係等もございます。そういうことでひとつ御了解をいただきたいと思います。
  73. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 なおひとつ努力していただくことにお願いします。  それから、これは防衛庁長官に、政治的な問題も絡みますからひとつお伺いしたいのですが、北富士演習場のうち国有地でございました部分二百十ヘクタールが、先ほど林業整備事業を実施するということで山梨県に払い下げになりました。この経過はここでは省略いたしますが、いろいろと紆余曲折がございました。御心配もおかけしました。  ところで、この払い下げ地の中に檜丸尾地区というのがございまして、その地区内に約二十八ヘクタールの農地がございます。ここは昭和十六年の旧陸軍演習場時代から許可を受けて耕作が行われております。戦後も続けられておったのでございますが、昭和三十四年から農耕目的で一時使用の許可を受けている土地でございます。このうち約十ヘクタールが現在も耕作されておりまして、作目は大根、キャベツ、トウモロコシ、小豆、ソバなどで、特に良質の大根が生産されております。上畑になっておるわけでございます。政府は、国管法第四条第二項により使用の制限は消滅した旨の通知を出しておりますが、これに対して新屋開墾永小作権者連盟所属の耕作者は、永小作権を主張して耕作権確認のため農事調停を申し出て紛争になっておりますね。  それからもう一つ、檜丸尾というのがございます。この地区には忍草の入会組合の方々が人工造林地として二十三ヘクタール余りを使っておりまして、ここにはアカマツがもう二十年生になっております。これは組合が昭和三十一年、日米安保条約第六条に基づくその地位協定に関する法律第四条第一項により一時使用の許可を受けて植林をしたものでございます。これに対しまして、いずれも入会権問題が絡んでおるわけです。そして従来からの重要な懸案問題としてここに問題があるわけでございますが、残念ながらこういう懸案問題を残したまま山梨県側に払い下げになってしまったということで、山梨県側はいま大変苦労しているわけです。昨年も、県が林業整備事業として払い下げた土地に植林をしますと、昼間植えると夜こいでしまう、昼間植えるとまた夜こぐというようなことが起こりまして、まさに地域の農民が血で血を洗うような悲しい事件も起きているわけでございます。  そこで私は、いろいろ問題があるでございましょうけれども、本来、県に払い下げる段階で、こういう国がかかわり合いのある問題ですから、きれいに懸案事項を解決していただければこんなことはなかったのでございますが、そうでなかったわけですから非常に苦労しております。そこで、第一義的には私は県側に解決の責任があると思いますけれども、そう言ってもおれません。ですから、われわれもひとつ全力を尽くして、党派を乗り越えてこの際解決に当たりたいという意欲を持っているのです。この点を大臣もぜひ踏まえていただいて、大蔵省なりその他とも十分連携をとりつつ、何とか地元皆さんがああいった紛争で苦しむことのないような状態に一日も早くしてあげたいと私は願っておるわけですから、ひとつ大臣にも犬馬の労というか、一はだ脱いでいただいて、われわれと一緒になってひとつ解決のために努力をしてほしいという強い考え方を私は持っているわけでございます。具体的ないろいろな話はまた関係者が相談しまして大臣とも御相談をしたいというような気持ちを持っておりますが、考え方だけこの機会に聞かしてもらいたいのです。
  74. 玉木清司

    ○玉木政府委員 いま御指摘の問題につきましては大変長い歴史の結果でございますので、現地の鈴木委員御自身、私どもよりもはるかにお詳しい問題だと思います。しかし、四十八年に払い下げが行われたのでございますが、それは国と山梨県、それから地方公共団体及び地元関係者一同の全くの総意という形でこの措置がなされたわけでございまして、その措置の後にいま御指摘の問題が起こっておるわけでございます。  私どもとしますと、防衛施設周辺の安定を図るのが私どもの職掌でございますから、決して拱手傍観するわけではございませんが、本来、問題のたてまえから申しますと、これは県と地元関係者との間の問題になっておりますので、現在地元におきましてはそういう諸問題の懸案を処理する対策委員会というものが設置されてやっておられるそうでございますが、それを私どもは慎重に見守っておる状況でございます。そこで、そういう立場にある防衛施設庁でございますので、この動きを慎重に見守りながら、われわれの権限の範囲、われわれの責任の範囲におきまして、できる限りのことは御協力を申し上げるのが当然だと存じております。
  75. 山下元利

    山下国務大臣 御指摘もございますが、ただいま政府委員も申しましたわけで、できるならば地元皆さんによって解決していただきたいと思いますが、問題解決に当たりまして、当庁としてもできますことならば可能な限り御協力したいと思っております。
  76. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 では最後に、E2Cの問題でちょっとお伺いしたいのですが、これは、御承知のようなダグラス社の飛行機の購入に対する汚職問題の解明がなされておりませんので凍結になりました。防衛庁としてはお困りでしょう。しかし、これは国民の民意によってこうなるわけですから、まあがたがたしない方がよろしい。したがって、落ちついてその推移を見守っていただきたいと思いますが、私がちょっと不思議に思いましたのは、ちょうど予算編成の末期に買うか買わないかの問題も当然論議になったのですが、そういうときにそれは別だという考え方で予算に組み込まれたと思うのですね、十六億七千万円。そのほか三百何十億ですか、債務負担行為。しかし、あのときに中止をして問題の解明に全力を尽くすことが私は正しかったのではないかと思うのですよ。どうしても四機購入しなければ夜も日も明けぬという事情があるならこれは別ですよ。しかし、一面では早期警戒機というのは、それよりも先にやることがあるのだという意見もあるわけでございますから、ちょっとその点の情勢分析というものが間違ったのではないかというふうに私は思うのです。それだけにこれから解明を急いで、それが明らかになりますれば当然凍結解除ということになるのでございましょう。したがって、いろいろ事務上では差しさわりがあるかもしれませんけれども、解除なされない間に事務当局がいろいろな仕事を進めていくとかというようなことになりますと、これはますます世論を逆なですることになりますので、この問題に関する限り凍結解除まではひとつ一切手を引いて国会の凍結解除を待つ、こういうふうにしていただきたいと私は思うのですが、長官としてはどうですか。
  77. 山下元利

    山下国務大臣 この導入の必要性について私どもの考えを申すことは遠慮させていただきますけれども、私どもは、先ほど御指摘ございましたけれども、長い間かかりまして研究いたしまして、どうしても防衛上欠陥がある、欠陥があることを承知しながら、これを埋めないことには責任を果たせないという意味におきまして、これはぜひともお願いしたい、むしろ遅きに失していると思っておる次第でございます。  ところで、実はこの予算編成の過程におきまして、一月五日にこのSEC報告が伝えられてまいりましたが、もちろん事態は私どもも重大と受けとめまして、直ちに可能な限りの努力をいたしました。ところが、機種選定の経過にいたしましても、防衛庁に関する限りは不正はないと私どもは思いましたものでございますから、一月十一日の国防会議において御決定を見まして、いま御審議願っているわけでございます。したがいまして、この疑惑の解明は、むしろ防衛庁としては十分にやっていただきたいとお願いしておりますが、しかし、機種決定の経過から見ましてもぜひとも導入をお願いしたいというわけでございます。  ところで、いま御指摘の点につきましては、まだ御審議の最中でございますが、率直に申しまして、この予算においてお認め願いましても、政府の方では十分公正、慎重にいたすというふうなことになるやに伺っておりますが、これはただいまの段階において私は申すことはできませんけれども、しかし、国会の御意思が決まりますれば、それを十分に尊重してまいりたいと思っておるわけでございます。それは当然でございますが、ただ、同時にまた、私どもはこの必要性につきましては少しも変わりませんものでございますので、この導入に支障のないようにわれわれのできる限りの努力もいたしたい、このように考えておる次第でございます。
  78. 玉木清司

    ○玉木政府委員 先ほど四十八年に払い下げたと申しましたが、四十八年の閣議了解に基づきまして実際の払い下げが行われたのは五十二年でございますので、数字を訂正させていただきます。
  79. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 終わります。
  80. 藤波孝生

    藤波主査 以上で鈴木強君の質疑は終了いたしました。  次に、古寺宏君。
  81. 古寺宏

    古寺分科員 防衛庁長官にお尋ねいたします。  国後、択捉地域にソ連軍が建設いたしました基地について、長官は戦略的に攻撃的基地ではない、こういうふうに判断しているわけでございますが、基地規模から見て戦略上の攻撃的基地である、こういうふうに分析をしている専門家もいるわけでございますが、防衛庁はどういう根拠に基づいてこれが防衛基地である、こういうふうに判断しているのか、お伺いしたいと思います。
  82. 山下元利

    山下国務大臣 私どもの承知いたしております両島地域におきますところの地上軍部隊の編成装備につきましては、各種の情報から判断いたしまして、主として島嶼防衛部隊でなかろうかと推測いたしたわけでございますが、これは一般に軍事常識から見まして、島嶼に配備される部隊は、大陸で戦闘する師団、旅団等の部隊と異なる機能を持つものでございます。そしてまた、私どものいろいろの知る限りにおきましては防衛的なものであろう、このように判断するわけでございます。ただ、いまお話のございましたようにいろいろな御意見もあるようでございますけれども、もちろんこれの目的が那辺にあるかはわれわれのうかがい知るところではございませんが、しかし、現に昨年の夏以来にそのような能力ができたというか、できつつあるというか、そういうことは疑いのないことでございますので、この能力がどのような目的になるかにつきましては、私どもは当面は防衛的であろうと思いますけれども、決してそれは他の目的を排除するわけではございませんので、十分おさおさ監視を怠らないでやっていこうというのでございますが、当面のところは私どもは島嶼防衛的であると思います。  ただ、率直に申しまして、あれは私どもの固有の北方領土でございますので、しかもわが北海道にきわめて隣接した地域でございますので、その地域にあのような軍事上の能力があるということはやはり軽々しく考えてはいけないものである、このように考えておる次第でございます。
  83. 古寺宏

    古寺分科員 すでにこの国後、択捉の問題については国会決議もなされておりますし、当然防衛庁長官は責任ある立場でございますので、外務省を通じてソ連側に抗議をするなり、あるいはソ連側がどういう意思でここにこういうような軍事基地を建設したかということについて確認をする責任がある、私はこう思うのですが、そういうようなことはお進めになっておりますか。
  84. 山下元利

    山下国務大臣 御指摘のとおり、すでにこの問題の解決促進につきましては本院の御決議もいただいておりまして、政府といたしましては、御決議を体して努力をせねばならぬことは当然でございますが、このことにつきましては、外務省を通じましてすでに外交上の措置はとられているわけでございますが、防衛庁といたしましては、私はそういう状況を確認いたしましたので、直ちに外務省に通報するとともに一般に公表させていただいたわけでございます。  その意図を確認せよという仰せでございますけれども、これは私どもとしてはなかなかむずかしいと思いますが、しかし、最近の国際的な軍事情勢は御承知のような現在の状況でございますので、重大な関心を持ちまして注目するとともに、引き続き分析、検討を行って、適時適切な措置をとりたい、このように考えている次第でございます。
  85. 古寺宏

    古寺分科員 私はソ連側とこの点について具体的にお話し合いをした経過があるかどうかということをお尋ねしているわけです。
  86. 山下元利

    山下国務大臣 さようなことはございません。
  87. 古寺宏

    古寺分科員 ソ連側の意思も確認しないで、勝手に長官だけの判断で、これは防衛的な基地である、こういうふうにおっしゃるのは一方的じゃないですか。北海道の住民や国民にとっては、これは重大な関心のある問題なんです。あなたはそういう問題について的確な判断を下す立場にあるわけですから、ぜひそういう問題については十分にソ連側の意思というものを確認する必要がある、こう思うのですが、いかがですか。
  88. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 ソ連側に対して抗議をいたしたり、またその意図について確認いたしたりいたしますのは政府、つまり代表して外務省がいたすことでございまして、もちろん今回の問題につきましては、まず防衛庁が事実を分析、検討いたしまして結論を出しました。  それで、両院の御指示もいただきまして、外務省を通じて申し入れております。外務省を通じて申し入れた結果につきましては、われわれは漏れ聞いている限りでございますけれども、ソ連側としては、これは自分の領土である、自分の領土の中ですることにとやかく言われたくない、その一言であったように伺っております。
  89. 古寺宏

    古寺分科員 それでは長官は、これはソ連の領土と認めているのですか。
  90. 山下元利

    山下国務大臣 お言葉でございますが、私どもの固有の領土であると考えております。
  91. 古寺宏

    古寺分科員 固有の領土にソ連が勝手に軍事基地をつくって、それが防衛的な基地であるという判断はどういうわけなんですか。日本の固有の領土に外国が軍事基地をつくる、それがソ連の防衛的な基地であるという判断は、これはどういう根拠に基づくのですか。
  92. 山下元利

    山下国務大臣 私どもの固有の領土に基地が設けられ、部隊が増強されることはまことに遺憾なことでございます。したがいまして、政府といたしましては、外務省を通じまして抗議をいたしたことも御承知のとおりでございます。  ところで、私が部隊の性格を島嶼防衛的なものであろうと申しましたことは、これはいろいろでございますが、確かに地上部隊は増強されておりますし、また基地も建設されておりますけれども、ただ海空の状況を見まするならば、また滑走路状況等を見まするならば、これは直ちに攻撃的なものであるというふうにも考えられない。これは意図とは別に能力からいたしましてそう思うわけでございます。意図の那辺にありやはわかりません。しかし、そうした能力からいたしました場合に、その海空の状況等から見ましても、滑走路状況から見ましても島嶼防衛的なものではないか、このように推察した。  ただ、先ほど申しましたように、それにいたしましても昭和三十五年以来なかった部隊が昨年の夏からこのような軍事能力ができたんですから、意図はわかりません。わかりませんが、能力があったことは軽々しく考えてはいけない。先ほど申したとおりでございまして、その点につきましては十分監視を怠らないで、適時適切な措置をとりたい、かように考えているわけでございます。決して軽々しく考えているわけではございませんが、しかしその能力から見ましたときに、必ずしも直ちに脅威となるというふうに判断するものではない。ただし、これは全体の中におけるかかわり合いもございますから、やはり全体を通じまして十分な関心を持って見てまいりたい、このような次第でございます。
  93. 古寺宏

    古寺分科員 自分の固有の領土に基地が建設されて、それをそういうように軽々しく考えてはいない、こうおっしゃるけれども、われわれの方から考えますと、軽々しく考えているというふうにしか思われないわけでございますので、この問題につきましては、今後十分なる情勢分析をして対処をしていただきたいと思います。  次に、防衛庁は幹部自衛官の停年延長制を今回導入するお考えをお持ちになっているわけでございます。これは巷間仄聞するところによりますと、上級のいわゆる幹部の方々は、いわゆる天下り就職で非常に就職率がよろしい、しかしながら、今回停年延長になる幹部の方々、それからまた一般自衛官でございますが、非常に就職が厳しい。しかも、諸外国に比しましてわが国の自衛官の停年制というものは非常に低いわけでございまして、今回五十三歳に仮に停年延長になりましても、これはいろいろな面から再就職が心配をされているわけでございます。したがって、今後この自衛官がりっぱな社会人として再就職ができるような就職援護事業、これをもっと力を入れて充実していくべきである、こういうふうに考えるわけでございますが、その点について承りたいと思います。
  94. 山下元利

    山下国務大臣 御指摘の点につきましては、防衛庁長官といたしましては大変御理解のある御指摘を賜ったと思う次第でございます。率直に申しまして、自衛官の停年の問題は、ただいま仰せのとおりに延長することになっておりますけれども、しかしそれとてもまだ十分であるとは申せない面もございます。就職援護等につきましては、いまの御趣旨を体しまして十分遺憾のないように期してまいりたいと思う次第でございます。
  95. 古寺宏

    古寺分科員 次に、有事立法の問題でございますが、金丸前防衛庁長官は法制化を検討中である、こういう答弁を前になさったことがございます。この中間報告がまだなされていないわけでございますが、いつごろ中間報告が出る予定でございますか。
  96. 山下元利

    山下国務大臣 現在防衛庁が行っております有事法制の研究は、現行自衛隊法等について、有事の際法制上の不備はないか等の問題点を整理いたしております。問題点の整理を目的といたしておるものでありまして、立法化の作業を行っておるというものではございません。中間報告の点については、御指摘のとおり前長官がある程度まとまったものがあればその都度報告すると申し上げておりますように、まとまったものからできるだけ早い機会に報告するつもりでございますけれども、ただ、この研究は時間をかけて慎重に行っておるところでありますので、まとまるまでに相当期間を要すると思う次第でございます。したがいまして、現在のところ報告できる状況にはございません。
  97. 古寺宏

    古寺分科員 時間がないので次に移りますが、青森県にあります下北試験場、また三沢基地に隣接をいたしております上北町、これは当然特定防衛施設周辺整備交付金の対象となる地域であるというふうにだれが見ても考えられるわけですが、全然まだ対象になっていないのはどういうわけでございますか。
  98. 多田欣二

    ○多田政府委員 特定防衛施設及び同関連市町村というのは、法律にもございますように特定防衛施設の設置とか運用というものが周辺地域の生活環境とか開発に及ぼす影響の程度とか範囲というものを考えまして、特に国が配慮する必要があるというような場合には指定をするというたてまえになっております。三沢飛行場は現在特定防衛施設でございますが、これの関連であります上北町につきましては、いままでそういう生活環境あるいは周辺の開発に及ぼす影響がさほどではないというようなことで指定を受けずにきているわけでございます。しかしながら、御承知のように最近三沢飛行場には航空自衛隊の第三航空団が移駐をいたしましたり、あるいは86FがF1ジェット戦闘機に変わるというふうな配備の変更がございまして、その運用の実態が大分変わってきております。そういう状況を受けまして、現在上北町につきましては指定をすべきかどうかということで検討している最中でございます。  それからまた、下北の試験場でございますけれども、これは東通村にあるわけでございますが、御承知のようにこの試験場の周辺地域の大部分が海でございますとか、沼地でございますとか、原野でありますとか、周辺に余り人家がないという地域でもございますし、それからまた試験場の面積そのものが村の行政区域内に占める面積がそう高くはないというような実情もございまして、現段階では、これを特定防衛施設関連市町村ということで指定をすることは大変むずかしいのではないかというふうに私どもは考えております。
  99. 古寺宏

    古寺分科員 いいですか、まだ実際あなたは下北試験場というのをごらんになったことがないのじゃないですか。あれだけの広大な面積を昭和三十四年から村が提供をし、人家が少ないと言うけれども皆さんあの試験場を提供したために漁業もできない。出かせぎを余儀なくされているでしょう。そういうところを放置しておいて、あなたそういうことをおっしゃってはいけません。  それから、青森県における損失補償、いわゆる農耕阻害補償あるいは漁業補償というものにつきましても、現地の実態と全くかけ離れた補償しかされていないのですよ。申告をいたしましてもせいぜい五〇%ですよ。しかも、下北試験場の場合には、農耕阻害補償なんて一銭もないじゃないですか。そういういいかげんな答弁をされては困るのです。もっと実態に即したいわゆる特定施設の指定なりあるいは阻害補償、損失補償なりといったものをきちっとやっていただかなければ、自衛隊に対して青森県の住民の不信が強くなるのです。そんなことで国を守れますか。どうです。
  100. 多田欣二

    ○多田政府委員 先生のお気持ちはよく承知しておりますけれども、私ども全国市町村周辺状況等は随時調査をいたしまして状況の変化に対応していくということで、先ほど上北町については申し上げたわけですが、現時点では、下北では、私どもとしては法の趣旨から申し上げてなかなか困難であろうというふうに申し上げておるわけでございます。  それからまた、いわゆる農耕阻害補償、それから漁業補償についていまお話がございましたけれども、農耕阻害補償につきましては、これは飛行場関連といいますか、射爆撃場の関連ということで行われている制度でございまして、下北試験場は飛行機飛行場ではないということで適用対象にはならないわけでございます。青森県では八戸の飛行場、三沢の飛行場、三沢対地射爆撃場というところで農耕阻害補償をやっておるわけでございますが、これにつきましては、先生御承知のように、昭和五十一年度から三沢飛行場においては、従来対象区域が千五百メートルのところまでであったのを二千メートルの範囲まで拡大したということもございますし、それからまた、五十二年度から阻害率の改正をいたしまして相当大幅な増額を実施したところでございます。今後とも実態に即した補償について努力していきたいというふうに思っております。  また、漁業補償につきましては、三沢対地の関係あるいは六ケ所対空射場等いろいろお支払いをしているわけでございますが、これは損失を受けました漁業者の方の申請に基づきまして、水揚げ高であるとか経営費というようなものを現地について具体的に調査をいたしました後に、適正な補償額を算出をして、関係者の方とお話し合いの上同意をいただいてお支払いをしているということでございます。今後とも実態に即した補償ということについてはできるだけ努力をしていきたいというふうに考えております。
  101. 古寺宏

    古寺分科員 下北試験場について農業の損失補償はしなくてもよろしいというようなお話をあなたはなさいましたが、あそこの小田野沢小学校にしても尻労小学校にしても、防音校舎でなければ授業ができないのでしょう。そういうところをあなたは無視して、農業には全く影響がないというようなお話をなさるのは本当に不見識ですよ。一遍ぜひ現地においでになって実態をよく把握してください。  次に、昭和四十六年十二月八日に青森県の車力村にナイキ、ホークの共同射場を建設する目的防衛施設庁が九十四万二千七百平方メートルの土地を取得いたしました。これは地元民が全く知らない間に強行取得されたものなんです。そして昭和四十八年にこの計画は中断をするということを防衛庁長官が発表した。その後この土地は放置されている。青森県としても、地元としても、この土地はぜひ地元の車力村に返していただきたいということを何回も要望をしているわけでございます。仄聞するところによりますと、A、B、C三地区のうちB地区については払い下げをしてもよろしいというようなお話もあったようでございますが、今後この車力村の放置されている土地についてどういうふうに対処するのか、お伺いします。
  102. 古賀速雄

    古賀政府委員 お答えいたします。  先生の御指摘のとおりでございまして、防衛庁はミサイルの共用射撃場として建設する予定で所要の土地を取得いたしたわけでございますが、これが地元の了承を得るまでに至りませんで、この計画は中止をいたしました。したがって、私どもといたしましては、共用射撃場以外の他の用途と申しますか、他の利用が可能かどうか、現在検討しているところでございまして、またこれに関連いたしまして、先生おっしゃいますように、地元から当該用地の払い下げの要望が再三あるということも私どもよく承知しているわけでございますが、これについては、いま申し上げました私ども事業の他の利用の検討にあわせまして、その検討の結果を待って、また今後とも引き続いて地元とお話し合いをしていきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  103. 古寺宏

    古寺分科員 航空自衛隊の第六高射群の本部が今度三沢市に設置されました。これに伴って青森県内に高射隊は設置するお考えですか。
  104. 原徹

    原政府委員 御指摘のとおり本年三月に第六高射群の本部を三沢に設けまして、八雲にある高射隊と合わせて第六高射群を発足させたいと考えております。それで十分かどうかという点になりますと、青函地域の重要性にかんがみて、私どもはそれだけで十分であるというふうには考えておりませんが、まだどこというところを特定しているわけではございません。
  105. 古寺宏

    古寺分科員 この車力村が候補地に上がっているわけではございませんね。
  106. 原徹

    原政府委員 ただいまの段階でどこというところを申し上げられる段階にはなっておりません。
  107. 古寺宏

    古寺分科員 いままでのような基地に対する周辺整備の対応では、私は、新しく基地をつくるというのはなかなか大変だと思いますよ。  そこで、次は三沢基地の問題でございますが、昨年の八月にコンターの見直しが行われているわけでございますが、現在まだ中間報告がなされていない。現在の提示されている区域内の防音工事その他では思うように授業が進まないわけでございます。したがって、これはいつごろまでにこの見直しの結果が判明するのか、新しい第一種、第二種、第三種の地域の指定がなされるのか、この点についてお伺いします。
  108. 多田欣二

    ○多田政府委員 先生ただいまおっしゃいましたように、配備の変更に伴いまして、五十三年の八月に見直しの作業をいたしました。現在その資料をいろいろ整理をしている最中でございまして、ごく近々調査報告が出されるということになっております。
  109. 古寺宏

    古寺分科員 特にその中で、天ケ森の射爆場がある天ケ森地区がいままでは除外されているわけでございます。その地域が今度入ってくるのかどうか。それから、私が施設庁の方に再三お願いしておりました三沢基地従業員宿舎の払い下げの問題でございますが、これはもうほとんど整理がついて整地も行われまして、三沢市は利用計画までつくって待っているわけです。これに対して防衛施設庁の方からは具体的なお話が何ら出ていないということでございますが、天ケ森の射爆場が今度のこの指定の中に入るのかどうか、それから従業員の宿舎の払い下げ問題は、一体いつごろまでに前のお話し合いのとおりにこれを実行するのか、この二点についてお伺いします。
  110. 多田欣二

    ○多田政府委員 先ほど申し上げましたように、三沢飛行場と同時に、三沢のあの対地射爆撃場につきましても現在コンターの見直し作業をやっておりまして、これも近々結果が出るということでございます。その結果を見た上で検討をしたいということでございます。  なお、先生御承知のように、環境庁のいわゆる環境基準によりますと、当面の中間目標としては、現在のところ、WECPNL八十五のラインのところを住宅防音工事ということでやっておるわけでございますけれども、これは逐次拡大をいたしまして、八十あるいは七十五、七十というふうに広げていくというのが環境基準の趣旨でございます。現在、中間目標達成の見通しと申しますか、大体五十四年度内には全国大部分の飛行場で、あるいは五十五年でほとんど全部終わるというような見通しもつきましたので、五十四年度には現在の八十五WECPNLのラインを八十まで広げる、こういうことを現在検討いたしております。したがいまして、先ほどの再調査の結果と、あるいは八十まで広げる、こういう二つの条件を踏まえまして、この天ケ森につきましては検討をさせていただきたいというふうに思っております。  労務の問題につきましては、別途お答え申し上げます。
  111. 菊池久

    ○菊池政府委員 三沢の従業員宿舎につきましてお答え申し上げます。  現在更地になっています地区につきましては、五十三年度で境界の測定が完了いたしまして、五十四年度中に大蔵当局の方にお返しする、用途廃止をするということにいたしております。さらに、第二宿舎それから第五宿舎につきましては、五十二年度から五十五年度にかけまして、現在入っておられます宿舎につきましての補修を行うことにしております。これが五十五年度までかかる予定でございます。  ただ、三沢の基地には現在約八百六十名の従業員の方がおられまして、さらには、今後とも従業員の宿舎としまして用途が必要かと思いますので、この点につきましては、現在用途廃止する意向はございません。そこで、今般、特に大変御心配をかけております三沢市に対しまして、防衛施設庁としますと、八百六十名おられます駐留軍労務者のために今後とも宿舎用地として確保したいということで、正規に御回答申し上げるべく、現在起案中でございます。よろしくお願いします。
  112. 古寺宏

    古寺分科員 時間ですので終わります。
  113. 藤波孝生

    藤波主査 以上で古寺宏君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  114. 上原康助

    上原分科員 大変短い時間ですので、お尋ねしたいことはたくさんあるのですが、二、三の問題点にしぼって、外務省を含めてお尋ねしますので、明快な御答弁を要望したいと思います。  最初に、防衛庁長官にお尋ねしたいのですが、今年に入ってから、わが国を取り巻いておるアジア情勢といいますか、国際環境の動きが大変激しくなっているような気がいたします。この種の質問をするとすぐ防衛庁は、自衛力の強化、増強に悪乗りをする癖があるのですか、私はそういう前提で申し上げているんじゃないですから。最近明らかになりました択捉、国後におけるソ連軍の基地建設の問題、これなども大分意図的な面があるような気がして、いずれ内閣委員会などで議論を深めてまいりたいと思うのですが、そういう動きが北においてはある。一方、朝鮮半島においては、せっかく南北の話し合いの兆しが出てきて、平和統一への動きが出ているやさきに、またきょうから、御承知のようにいまだかつてない大規模なチームスピリット79の軍事行動米韓間で展開をされる。また、大変残念なことですが、中国とベトナムの間で紛争が起きているし、一方ベトナムとカンボジア、要するにインドシナ半島の紛争、こういうことを考えますと、わが国の安全保障にも何らかの影響を与えかねないアジアの情勢と見ていいんじゃないかという感じがいたします。もちろん、これは平和外交を基本に解決をしていかなければならないし、いま局地的に起こっている紛争の平和的解決に日本はその努力を惜しむべきでなしと私は思うのですが、軍事的に見てこういう状況防衛庁はどのようにとらえておられるのか。また、こういう動きに対して何らかの検討なり、あるいは防衛面での協議といいますか、そういうことをやったことがあるのかどうか、御見解を聞かせておいていただきたいと思います。
  115. 山下元利

    山下国務大臣 最近におきますところの国際情勢、特にアジア地域における情勢について動きが激しいという点は、まさに御指摘のとおりでございまして、私どもは、こうした情勢を踏まえて、重大な関心を持って十分監視いたしておる次第でございますが、わが国の防衛につきましては、これは一日もゆるがせにできないことでございますので、決してこの事態があるからどうのこうのではなくて、私どもは不断に努力をしている次第でございます。紛争につきましては、私どもは平和的に解決されることが望ましいと思う次第でございますが、ただ、国の安全保障につきましては、現在の基本的な枠組みがございますわけで、そうした中において不断の努力を怠らないわけでございますが、いろいろの動きが激しゅうございますけれども、これについて重大な関心を持って監視を怠ってはいけませんけれども、現在のわが国の周辺をめぐる情勢につきまして、日米安全保障体制の基本的枠組みの中におきましては、基本的に直ちにどうこうするという問題ではないと思うわけでございますが、率直に申しまして、御指摘のように情勢はまことに動きが激しゅうございますから、重大な関心を持って監視をして不断の努力をしてまいりたいと思う次第でございます。
  116. 上原康助

    上原分科員 そこで、日米安保体制のかさの中にある枠の中で平和的手段でいろいろやるということですが、当然日米安保条約ということになりますと、在日米軍基地の使用の問題が場合によっては起こり得るし、同時にまた、アメリカが中国あるいはベトナム、インドシナ半島の情勢の長期化あるいは激化等によって仮に一方に加担をするというようなことが起きると、間接的に日本も日米安保条約のもとで関係をしていくということになりますね。この点についてはどうお考えですか。
  117. 山下元利

    山下国務大臣 一方に加担するということはないと思います。
  118. 上原康助

    上原分科員 もしすでに加担しているとするとどうなるんですか。  では具体的にお尋ねをしますが、外電の報ずるところによりますと、在日米軍基地、いわゆる沖縄だと思うのですが、基地から偵察機なり、KC135といいますか、要するに空中給油機が香港上空を通過をしてインドシナ、ベトナム沿岸を偵察した、そういうことを香港政府に了解を求めたということが言われているわけですね。これは明らかに中越戦争をめぐっての軍事行動だとわれわれ見ておりますし、私なりに解釈すれば、すでに間接的な意味においてはどちらかに加担をしていると見ざるを得ないと私は思うのですね。この件については沖繩基地からなり、在日米軍基地からそういう偵察機なり、あるいは何らかの軍事行動目的とした発進があるということを政府に問い合わせというか、通告なり、具体的なことはあったのですか。
  119. 山下元利

    山下国務大臣 御指摘の点について一部報道があったようでございますが、この点については米側の方も、太平洋司令部の方ではそのようなことはないというふうなことを申したと、これもまた報道されておる次第でございます。わが方につきましてはさような連絡はございませんし、ただいま御指摘の点につきましても、これをもってどちらか一方に加担をしていることとわれわれは考えないわけでございます。
  120. 上原康助

    上原分科員 防衛庁はそんな簡単にこういうことをお考えになっておるのでしょうか。明らかにそういう動きが出ているということを否定したという報道は、私は残念ながら聞いていません。さらに第七艦隊の一部が香港周辺に集結をしているという動きも現に出ているわけでしょう。こういうことについては、日米安保体制ということを皆さんは大変強調なさいますが、一方は相手方に、独立国ですから、領空を通過するだけでも、通るからひとつよろしくとか承認を求めるわけですね。わが方は勝手に使わせて、条約だから勝手という言葉は皆さんは言わないかもしれないが、勝手に使って隠密行動をとっても政府に対しては何らの通告もない、そういうことがいかに安保体制下における軍事的な機密というよりも、アジア情勢に緊張感を与えている要因になっているかということを私は認識すべきだと思うのです。  そうすると、いまの偵察飛行の問題なり、第七艦隊の一部が集結しつつあるなどということについては、外務省なり防衛庁は全然情報をお持ちでない、関知しないということですか。
  121. 山下元利

    山下国務大臣 ただいま御指摘されておりますが、御判断の基礎になる事実につきましては、一部報道にとどまっておりますし、また同じく報道によりましても、米側はそのようなことはないと否定いたしておりますし、また先ほども申しましたように、わが方にもそのような連絡はございません。したがいまして、そのことを申し上げるしかないわけでございます。
  122. 上原康助

    上原分科員 では改めて要求いたしますが、外電としてそういうことが報道されているわけですよ。ちゃんと新聞にも載っている。そうすると、国民はやはりそういう動きがあるのかというふうに理解するのが一般常識でしょう。改めて外務省を通してなり、防衛庁はアメリカに対してそれを確認することができますね。
  123. 北村汎

    ○北村説明員 外務省はこの報道がなされました後、二十六日にアメリカ側にこの報道について確認を求めました。その際アメリカからは、アメリカの軍艦一隻とかあるいは飛行機の一機が個々の活動をなす場合に、その個々の具体的な活動について公表するということは、軍隊の性格上できないのだという回答があったわけでございますが、いまわが国に駐留しておりますアメリカ軍が、今般の中越の武力紛争に関連いたしまして特別な体制をとっておるとか、あるいは特別な行動をしておるとかいうようなことはないというふうにわが政府としては承知いたしております。
  124. 上原康助

    上原分科員 もちろん個々の飛行機がどういう行動をとる、どういうスケジュールであるかというようなことはなかなか言わないかもしれませんが、少なくとも重大な関心が持たれていることは事実なんですね。  特に沖繩基地の場合ですと、ベトナム戦争時代の生々しい印象というのが大変われわれ県民、国民の側にあるわけですね。B52戦略核搭載機が連日ベトナムに発進された、攻撃を加えたという事実、あるいはそのほかの海兵隊の動きにしたって大変な問題、ややもすると長期化していく、あるいはだんだん悪化していくと、再びそういう状態がくるかもしらぬという不安が真っ先に立つのは事実なんです。いまでも全然無関係だとは私は思わない。東京におってはそんなことはちっとも感じないかもしらぬが、実際にそういう地域にいる住民はそう安閑としておれないのです。  したがって、こういうことに対してはあくまでも軍事的な面から物事を考えるのではなくして、平和的に解決をしていくという外交努力を積極的に展開をしてもらいたい。この点については、きょうは大臣お一人しかいませんから、閣議においても、いまの中越戦争なりインドシナ半島の情勢については、わが国としてもっと積極的に平和外交を展開していくということを閣議でもやるべきだと私は思うのですが、その点、いまのアメリカ側に軍事行動をやめさせることを含めておやりになりますね。
  125. 山下元利

    山下国務大臣 外務省からも御答弁がございましたように、この判断の基礎になる事実につきましては、私ども先ほどから申し上げているとおりでございますが、沖繩の皆様の御心情については、御指摘の点については十分配慮いたした次第でございますが、われわれといたしましても、この紛争が長引くことは決して望むところではございませんで、できるだけ早く処理されるように望むわけでございます。ただいまの御意見は十分拝承いたしました。
  126. 上原康助

    上原分科員 だんだんずるくなって肝心なところは答えないじゃないですか。  次に進みますが、チームスピリット79のことについてお尋ねしたいのですが、今回在日米軍がどの規模参加をするのか、これについては日米間で協議なり、米側から通告があったのですか。具体的に簡潔に具体的な内容を明らかにしておいていただきたいと思います。
  127. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 米側からは一月の末に在京米大使館から外務省を通じて連絡を受けております。  それで、規模を申し上げるのですか。(上原分科員「はい」と呼ぶ)日本関連米軍の参加の規模は次のとおりでございます。  陸軍はございません。海兵隊沖繩海兵隊及び沖繩、岩国の海兵航空団、合計約七千名、それから空軍沖繩、横田などの空軍、約千五百名、それから海軍は、これはもう第七艦隊でございますけれども、第七艦隊は一個空母機動任務群、それから両用戦部隊及び支援部隊、計九千七百五十名、合計一万八千二百五十名でございます。
  128. 上原康助

    上原分科員 すでに報道されているものより規模は大きいわけですね。昨年をはるかに上回る。  これも時間がないのでなんですが、私は冒頭申し上げましたように、朝鮮半島における南北間の対話がせっかく芽生えてきている、あるいはスポーツ面においても南北統一の卓球チームをつくって国際試合にも参加をしていきたいという、そういうやさきに、しかも三月一日からは、きょうからは南北間で軍事行動は一切やめましょうということを北側は提案をしておったわけでしょう。去年のチームスピリットはたしか三月の七日ですよね。相手が提案をしてきた日を選んでこういう大規模な軍事行動を展開をしていくというのは、一体アメリカにしても南側にしても、本当に南北統一をして平和的に解決をしていこうという気持ちがあるのかと疑わざるを得ません。こういうことに対して単なる通告を受けて、それはいまの時期はやめた方がいいというぐらいのことも言わぬのですか。中越戦争もあって、ここに日本の平和外交といいますか、そういうものの非常に後ろ向きのことがあると私は思う。この点についてはどうお考えですか、防衛庁長官は。やはりこういう軍事行動はいかに抑止のため、防御的訓練だと言ってみたって、これは通りませんよ、国際通念としては。御見解を承っておきたいと思うのです。できるだけこのことについては米側に即時停止をするように改めて申し入れてもらいたい。
  129. 北村汎

    ○北村説明員 事実関係を先に申し上げさしていただきますが、確かに先生いまおっしゃいましたように、ただいまの情勢というものは朝鮮半島にとって非常に重大な情勢、時期でございます。私どももそういう認識を持っております。したがいまして、本件演習につきまして一月末にアメリカ側から通報を受けましたときに、わが方から、この問題は、もちろん基本的といいますか、第一義的には韓国とアメリカとの間の問題ではありますけれども、しかし、せっかく緒についた南北対話というものの再開への動きをアメリカとしても十分念頭に置いて、そして慎重に取り扱っていただきたいというわれわれの気持ちを非公式に伝えた経緯がございます。これに対しまして、アメリカから本件演習は毎年通例的にやっておるものであって、しかも防衛的な性格のものであり、しかも今回は非武装地帯から相当南に寄ったところで行うという考慮を払っておるという説明がございました。そこでアメリカ側もそういう考慮を払っておるということで、当方より改めて公式にこういう趣旨の申し入れをするということは必要でないだろうと考えておる次第でございます。
  130. 上原康助

    上原分科員 それはあなたと議論しても片のつく問題じゃないですが、私の意見としては、さっき申し上げましたように、こういう軍事行動はやはりやめるべきですね。そういうことを日本が後押しするようではだめですよ、それは。  そこで、時間がありませんから、そういう状況とも無関係でないわけですが、沖繩における一連の米軍演習による事故発生の件ですが、これは例を挙げれば切りがありませんが、昨年四月の名護市数久田海岸への百五ミリ砲弾落下事故、五月にはファントム機の墜落、十一月には米軍機の給油パイプの落下事故、十二月二十九日に至っては名護市許田において機関銃が民家に乱射されるという、もうここまでくるともってのほかですね。こういう一連のあわや惨事になりかねない事故だけではなくして、県道一〇四号線を封鎖しての実弾射撃訓練、あるいは昼夜を分かたない爆音とか、年じゅう日常茶飯事のように実弾射撃訓練、演習がなされているのです。  そこで、問題は、こういう米軍のずさんな基地管理を許している根幹というのは、大枠においてはもちろん安保条約であり、地位協定である。加えて沖繩復帰のときの、基地の使用条件を定めている五・一五メモだと思うのですね。政府はこういう一連の米軍演習なり事故あるいは基地被害ということを、私は、やはり条約は条約、協定協定としてあるにしても再検討をしていただいてやる必要があると思うのですね、ここまで問題がいろいろ発展しますと。そういう気がするのですが、この五・一五メモをいま一度洗い直してみて、米軍演習のあり方なり、そういった兵器使用の条件等々を十分見直しといいますか、少なくとも再検討をやる必要があると思うのですが、この点についてアメリカ側と話し合いをしたことがあるのか、また、政府として改めて五・一五合意メモなり基地使用の条件といいますか、そういうことについてお話し合いをする御意思があるのかどうか、明確にしておいていただきたいと思うのです。
  131. 玉木清司

    ○玉木政府委員 使用条件と申しますのは、演習場の使用に際しまして周辺住民との関係調整するということを最大の眼目としてやっておりますので、周辺から具体的に問題がしぼられてまいりました段階におきましては、駐留軍の駐留の目的の達成に支障を与えない範囲内で検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  132. 上原康助

    上原分科員 そうしますと、全般的な見直しとか検討ということは考えていないということですか。
  133. 玉木清司

    ○玉木政府委員 使用条件を全般的に沖繩につきまして定められましたのは、御指摘の四十七年五月十五日の合意でございますが、使用条件と申しますのは、御承知のように一つの演習場あるいは一つの施設、区域につきまして個々具体的な事柄でございまして、非常に独立性の強い個々の具体的な問題でございますゆえに、全般的に見直すというようなことは考えておりません。
  134. 上原康助

    上原分科員 個々についてはできるということですね。
  135. 玉木清司

    ○玉木政府委員 先ほどお答えしましたように、問題が個別に具体的にしぼられる段階に至りましたならば検討してまいりたい、こう考えております。
  136. 上原康助

    上原分科員 たとえばキャンプ・シュワブ、ハンセンの場合、具体的に問題が出ているわけでしょう、機関銃乱射事件があったという。  そこで、防衛施設庁が昨年、五十三年五月に五・一五メモの要約したものを、要点というより内容をぼかしたものですね、出されているのですが、これを見ましても、たとえば北部訓練場の場合「合衆国軍は、本施設及び区域を復帰前と同じように使用するが、必要があれば、合同委員会において使用条件の検討を行うこと」云々と書いてあるわけですね。復帰後今日までに使用条件を変更したことがあるのか、あるいは変更を申し入れたことがあるのか、またさらに取り決めが削除されたり追加されたようなことがあるのかどうか、全般について明らかにしてください。
  137. 玉木清司

    ○玉木政府委員 お答えいたします。  沖繩について申し上げますと、日米合同委員会で協議し、変更いたしましたものは七件ございます。
  138. 上原康助

    上原分科員 その七件については後で具体的に内容を資料としてお示しをいただきたい。いいですね。――そこで時間がありませんので、防衛庁長官、いま申し上げましたように、少なくとも民家に機関銃が――機関銃と言っても、ピストルとかそういうちっちゃい弾じゃないですよ、十五センチもある。そういうものがどんどん撃ち込まれるということは、あってはならないことですよ。あるいは人の通る県道を封鎖してどんどん弾を撃ち込むということは、日本じゅう探したって沖繩しかない。だから、明らかに使用条件が本土並みでないということを意味している。これは防衛施設庁や事務屋さんに任しておったんじゃ、いまの御答弁しか来ない。したがって、こういうことについては、主権国家であるならば、もう少しはアメリカ側に対してもこの際考えてもらったらどうですか。これは再検討をしていただいて、再検討というより、こういうことが起こらないようにアメリカ側に強く申し入れることはできますね、この内容を含めて検討するということは。  それが一つと、もう一つは、米側は名護での機関銃乱射事故が起きて以降、いわゆる抑止措置をやってしかできないということで、五、六月ごろしか再開はしないというようなことが出ているわけですが、少なくともあの地域はそういう演習をするには不適当な地域なんです。この演習場の内容そのものについて吟味をしていただきたい。これは日米間で話し合っていただけますね。
  139. 山下元利

    山下国務大臣 民家にそのような機関銃弾が撃ち込まれるという事態は、私はもう本当にあってはならないことだと思っている次第でございます。それぞれ使用条件は合同委員会において合意されているものでございまして、これについては日米双方は遵守することは当然でございますが、万一米側が使用条件に違反した場合におきましては、状況に応じ、また現地段階において、あるいは合同委員会の場等においても、その是正措置を求めることといたしたいと思います。
  140. 藤波孝生

    藤波主査 以上で上原康助君の質疑は終了いたしました。  次に、大内啓伍君。
  141. 大内啓伍

    大内分科員 防衛庁長官お疲れでございますが、防衛庁長官もあるいは御存じだと思うのでありますが、私は二月十六日の総括質問におきまして、鄧小平副総理のおっしゃったベトナムに対する制裁という問題に関連いたしまして、近く中国がベトナムに侵攻するのではないか、こういう質問を外務大臣に対して申し上げた際に、園田外務大臣は、そのような事態が急速に起こるとは考えていないという趣旨の発言をされました。その明くる日に、実は中国がベトナムを攻めた。大変皮肉であり、私どもとしては政府の見通しの甘さというものを痛感したわけなんですが、決してそれを責める意味ではありません。  そこで、私はこの際、後の本論に入ります前に、今日の中越の軍事情勢について、防衛庁としてはどういう判断をしているのか、特にこれが早期終結の見通しがあるかどうか、この辺に力点を置きまして、概要ひとつ認識を明らかにしていただきたいと思うのです。
  142. 山下元利

    山下国務大臣 中越方面におきましては三月一日、本日この段階におきましても戦闘が続いております。先ほど御指摘がございましたけれども、プノンペンが陥落いたしましてから後の中国軍は、相当中越国境に集結いたしておりましたので、このような事態が起こる可能性は存在しておったと思うわけでありますが、しかし中国側の軍事能力はさようなことでございますが、意図は中国側も公表いたしておりますとおりに、国境紛争問題の解決を初めとし、昨年来の中国とベトナム、あるいはベトナムとカンボジアとの関係の種々の経緯がその背景にあると考えるわけでございます。したがいまして、軍事的には限定された目的を持つ作戦と考えられるわけでございます。したがいまして、防衛庁といたしましては、中国は軍事行動としては限定的な行動をねらっていると考えておりますけれども、今後の推移いかんによりましては、より大規模な衝突に発展する可能性もまたなしとしない、また長期化する可能性もなしとしない。したがいまして、大きな関心を持って事態の推移を見守ってまいりたいと思う次第でございます。
  143. 大内啓伍

    大内分科員 いまの御答弁は全部カバーしてしまっているのですが、限定という意味はどういう意味ですか。
  144. 山下元利

    山下国務大臣 限定と申しますのは、行動において手段において限定されておるということでございます。
  145. 大内啓伍

    大内分科員 行動及び手段において限定されている。手段という面ではどういう限定ですか。
  146. 山下元利

    山下国務大臣 軍事専門家の考えもございますが、たとえば地上部隊による行動が主であるという点などはそのようなことかと思います。
  147. 大内啓伍

    大内分科員 つまり、航空機は使わないといったようなことを意味しているわけですか。
  148. 山下元利

    山下国務大臣 さようでございます。
  149. 大内啓伍

    大内分科員 それでは、この終結の見通しについてはどういうふうにごらんになっていますか。
  150. 山下元利

    山下国務大臣 中国側も申しておりますとおりに、その意図につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますし、私はできるだけ早期に解決されるように願っておりますし、また諸般の情勢からいたしまして、そのように期待いたしておるわけでございます。
  151. 大内啓伍

    大内分科員 私、政治家としての期待という意味で防衛庁長官のお話よくわかりますが、私の本当に問うていることは、防衛庁というのはそれなりの軍事情勢の分析をやる庁でございますから、そういう軍事情勢の的確な分析を踏まえて、こうなるだろうということをぴしっとしゃべっていただかないとよくわからないのですよ。その辺ひとつ政府委員でも結構ですから、ぴしっとお知らせをいただきたいのです。
  152. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 中越国境におきます紛争の実態につきましては、何分非常に僻遠の地であるということもございまして、天候も悪いようでございますし、それから交戦国同士が両方とも社会主義国であるために、外部に対する情報の伝達の方法がわれわれの常識とは違うということもございまして、把握につきましては、これはアメリカあるいはその他の国も含めまして非常な困難を持っております。ただ、われわれが諸般の情勢から推測している限りでは、中国側は相当規模部隊を国境周辺に一月の中旬から集めている。そのうちの相当の部分がベトナム領内に入っている模様でございます。現在ランソン及びカオバンをめぐりましてほとんど時々刻々情勢が変わっているような攻防戦が展開されている、そのように考えております。現在戦闘の焦点は、その両都市、特にランソン周辺の戦闘であるというふうに考えておりまして、その戦闘がどういう形で終結するのか、その結果、国際的な情勢も国際的な政治情勢もそれにつれてどう動くのか、そのことによってまた見通しも変わってくると存じますけれども、現段階余りに情勢が流動的でございますので、現在のランソンをめぐる戦闘の情勢を見きわめませんと、ちょっと先のことは申し上げにくい状態にあると思います。
  153. 大内啓伍

    大内分科員 中国軍はどのくらいの兵力規模が現状においてベトナム領域内に存在し、どういう火器が使われているか、今後航空機が使われる可能性があるか、その点はどうですか。
  154. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 この件についてもわれわれは推定、推測の域を出ませんでございます。一般に新聞の報道あるいは米国、中国及びベトナムの権威ある筋の見解として報道されておるところなど総合いたしまして、中国側は二十万程度の地上兵力を擁していると考えられます。これにつきましてはわれわれ確認しておりませんけれども、またそれを否定する材料も持っておりませんので、あるいはその程度のことかもしれないと存じております。火器につきましては、戦車、火砲、普通通常の地上部隊が持っております装備は、一応全部そろっておるものと考えております。航空機につきましては、現在のところ航空機の遭遇戦が行われたという情報に接しておりません。
  155. 大内啓伍

    大内分科員 要するに、よくわからないということですな。それでは幾らかわかるであろうと思う諸点で、一つは、ソ越の友好協力条約が発動されて、例の第六条の有事協議は行われていると見ているかどうか、これが一つと、それからもう一つ、ソ連のベトナム援助はいまどういう状況にあると把握しているか、この二つについてひとつお聞かせいただきたい。
  156. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 御指摘のとおり、ソ越友好協力条約第六条には、いわゆる有事協議の条項がございます。今般の中越紛争発生に際しましてソ連政府は、二月十八日の声明で、ソ連はソ越友好協力条約に基づく義務を遵守すると述べております。それから察しましても、何らかの協議が行われているだろうということは想像にかたくございません。ただ、外部には公表しておりません。また同条約に基づく協議が具体的にどういうふうになっておりますかも、外から把握する手段はございません。  それから、軍事援助につきましては、これまたいろいろ新聞の報道があるのでございますけれども、これも新聞報道の域を出ておりませんでございます。防衛庁といたしましては、事実としてどれ一つ確認しておりませんでございます。しかしながら、ソ越友好協力条約の締結と同時に、ソ連とベトナムは幾つかの経済協定を結んでおりまして、またその結果、今回の紛争を契機に、この条約をもとにして軍事援助などが強化されていると想定する理由は十分ございますけれども、実態の把握ははなはだ困難でございます。
  157. 大内啓伍

    大内分科員 その一環といたしまして、二月二十六日アメリカの国防総省当局が明らかにしたところでは、大型攻撃空母の「ミンスク」、黒海方面に配置された大型空母でありますが、これが地中海に移動し、近く太平洋艦隊に組み入れられるのではないか。御存じのとおり、この大型攻撃空母「ミンスク」は巡航ミサイルの発射装置も持っておりますし、また垂直に離着陸できる戦闘爆撃機も持っておりますですね。それから誘導ミサイルの駆逐艦を従えております。これが太平洋艦隊に配置されるということは、もちろん過大評価する必要はありませんが、十分注意しなければならぬ。この「ミンスク」の太平洋艦隊組み入れについては、防衛庁はどういう推測をとられておりますか。
  158. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 御指摘のとおり、報道によりますと、ソ連のキエフ級空母「ミンスク」、これがいままで所在しておりました黒海から地中海に移動したという情報がございます。ただ、これは防衛庁としては確認しておりません。従来防衛庁といたしましては、ソ連の一般的な動向、戦略から考えまして、キエフ級の空母が、これは現在移動可能なのは「ミンスク」だけでございますけれども、いずれはキエフ級空母がソ連太平洋艦隊に配備されるという可能性は考えております。ただ、この空母は、いわゆるアメリカで考えられております大型攻撃用空母というような性質のものではございません。主として対潜を目的とした空母でございまして、大きさも四万三千トンくらいでございます。ただ、一般的に申しまして、ソ連の極東における海軍力増加は近年著しいものがございまして、防衛庁としましても、これはかなり重大な事態と考えておりまして、動向を監視しているところでございます。
  159. 大内啓伍

    大内分科員 もちろんアメリカの空母は約六隻ぐらいこの範囲におりますから、彼我の関係でそう過大評価する必要はないと思いますが、ただ質的には、こうした「ミンスク」のような空母が太平洋艦隊に組み入れられる、これはなかなか重要なことなんですね。防衛庁としては、やはりこれが組み入れられると重大事態だと思っているのですか。
  160. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 これは、ソ連の太平洋艦隊、つまり太平洋地域及びインド洋地域をカバーするソ連の海軍戦力にとっては大きな意味のある増強と考えております。
  161. 大内啓伍

    大内分科員 情勢について押し問答してもしようがありませんので、ひとつここではっきりした防衛庁の見解というよりか政府の見解を承るという意味で、防衛庁長官にお答えいただきたい重要な問題があります。  それは、さっきいろいろ問いただしたように、現在、中国がベトナムの中に入っている状況が現実に存在する。この中国のベトナム侵攻は、国際法上の自衛権の行使に該当するかどうか、これは防衛庁の見解を聞きたいのです。これは重要なポイントです。
  162. 山下元利

    山下国務大臣 最初政府委員から……。
  163. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 本問題は、外務省の主管でございますけれども外務省が現在とっております見解によりますと、まず、戦闘の実態の把握がはなはだ困難である。それから、中国側とベトナム側のそれぞれ主張している事実が全く相反している。それで、基礎になるべき事実が乏しいので、その事実についての国際法上の判断を下すことは非常に困難な状況にあるというようなことが外務省の判断だと存じております。
  164. 大内啓伍

    大内分科員 私は、防衛庁の見解を聞いております。
  165. 山下元利

    山下国務大臣 中国軍がベトナムの領域に入っておることが国際法上自衛権の行使かどうかというお問いでございます。これは、ただいま政府委員から申しましたように、実際問題の確認がはなはだむずかしい問題がございますので、ただいま私の口からはっきりとどうであるかということはお答えすることはむずかしいと思います。
  166. 大内啓伍

    大内分科員 私は、一国のこの種の武力行動に対して、日本がたとえば国連において和平提案をやったり、あるいは中国やベトナム両政府に対して日本の意思を伝える一つの重要な前提として、そういう基本認識について全くぐらついている、一つの見解も持っていないということは、これはやはり見識のない立場だと思うのです。私は、それで何も防衛庁をいじめるつもりではありませんけれども、この辺はやはり重要な基礎なんです。日本がいろんな外交行動を起こす場合に、この問題についての判定がきちっとしていなくて、さあ戦争はやめてくれ、会議に出てくれという話だけでは、やはり日本の立場は明らかではない。だって、防衛庁は、こういう問題について一番深い関心を持ってこの行動の是非というものを常に判断しなければならぬ立場にある。外務省はこう言っているというような、そんなすっとぼけたような話は、私は本当のところを言うと聞きたくない。間違っていてもいいからそれなりに、防衛庁はいまこういうふうに考えておりますというぐらいのことは言わなきゃだめですよ、しょっちゅう間違えているんですから。  それでは、国際法上の自衛権というのは何なんですか。いまあなたは答弁されたけれども、国際法上の自衛権とは何かということをきちっと踏まえてわかるとかわからないとか答弁されているんですか。国際法上の自衛権のコンテンツをきちっと言ってください。
  167. 山下元利

    山下国務大臣 防衛庁といたしましては、世界の軍事情勢、特にアジアにおきますところにつきましては重大な関心を持ちまして、これを注視いたしておることはもう申すまでもないことでございます。  ただ、いかなることを私どもは知り得ましても、率直に申しまして、第三国間の軍事行動につきましてそれを論評するということは、やはり国の姿勢としても差し控えなければならないと思うわけでございます。しかしながら、今回の紛争につきましては、力による解決ということは望ましくないことはわれわれとしては考えるわけでございます。  そこで、いまそうした立場からいたします場合に、それが御指摘のような果たして国際法上自衛権の行使に当たるかどうかというふうなことを私ども判断すること自体は、やはり第三国間の軍事行動について申し上げることになりますので控えさせていただきたい、このように思う次第でございます。
  168. 大内啓伍

    大内分科員 そういうおっしゃられ方をしますと、政府としては首尾一貫しないわけなんですよ。たとえばベトナムのカンボジア侵攻の是非についても、外務大臣初め、この間の予算委員会できちっと答えられているのですよ。これも第三国の問題なんです。しかし、それなりに、たとえばベトナムの行動については、これは侵略であるかどうかという問いに対しても明確に答えているのですよ。また、後で修正したりしているのですよ。ですから、外務大臣のおっしゃることといまの防衛庁長官のおっしゃることは首尾一貫しないわけです。まあそれはいいでしょう。しかし、少なくとも日本としては、この中越の紛争がただ対岸の火災ではなくて、アジア全域において、日本にとっても重大な影響を与える戦争であるという認識に立つならば、たとえば中国のベトナムに対する侵攻の是非という問題も、これは基準は国際法しかありませんよ。そういうものに対して一定の認識を持って、たとえば中国に対して和平を迫るというなら、それなりに日本の国際的なスタンドポイントというのは明確になるのです。国連憲章上、御存じのとおり、何が国際法上の自衛権かというのは規定がございません。したがって、従来の不戦条約等からの学説的な理解で、これが国際法上の自衛権に該当するとかしないと、いままで日本の国会でさんざんやってきたところなんですよ。ですから、その基準というのはきわめて明らかなんです。  たとえば、私の方からちなみに申し上げますと、国際法上の自衛権というのは、国家国民に対する外部からの急迫不正の侵害に対し、これを排除するのに他の適当な手段がない場合、当該国家が必要最小限の実力を行使する権利、これを一般的には国際法上の自衛権と言っているわけなんです。ですから、たとえば今度の中国のベトナム侵攻を評価する場合に、この中国の行動が急迫不正の侵害であるのか、つまり中国にとって急迫不正の侵害がそこに存在するのか、さらには中国にとってやむを得ない場合であるのか、また必要最小限の実力を行使することが不可欠であるのかというような点について、防衛庁当局というのは分析をして、それなりに判断する必要があると思うのです。この点については、なお御検討ください。いかがですか。これ以上詰めましてもかえってお気の毒ですから。
  169. 山下元利

    山下国務大臣 いま戦争というのは自衛権の行使としてしか認められておりません。そしてまた、いまの国際法上の自衛権ということについては御指摘のとおりであると思います。私どもは、このたびの中国の行動がそれに当たるかどうかということについて事実をもって確認しにくい点もございますし、したがって、先ほど申しましたように、第三国間の軍事行動について論評することを控えさせていただきたいのでございますけれども、しかし、この国際法上の自衛権の問題あるいは自衛権の行使としての戦争しか認められていないという状況は、もう私ども十分承知いたしておるわけでございますが、ただこのたびのことがそれじゃ当たるかどうか、事実も確認しがたいところでもございますし、われわれとしてもそれを論評することは差し控えさしていただきたいということなんでございます。
  170. 大内啓伍

    大内分科員 それは政府として首尾一貫いたしませんので、山下さんに余りぎゅうぎゅう言ってもどうかと思いますが、しかし、この辺はやはり重要なところなんですよ。中国の侵攻に対していろんな措置を日本が求める、自重を求めるという一つの国際法上の基礎をもって他国に対して物を言うということが外交でしょう。その認識については控えさしていただきたい、それはいまよくわからないんだということで、物を言う方がよほどおかしいんじゃありませんか。――そのときはそのとおりだというんですよね。  チームスピリットのお話さっき出ておりましたけれども、これは中越戦争との関連では何か該当いたしますか。
  171. 山下元利

    山下国務大臣 チームスピリットは昨年の半ばから米韓両方でいろいろ打ち合わせておりました結果によるものでございまして、直接関係はないと思います。
  172. 大内啓伍

    大内分科員 これも本当は議論すれば相当あるのですが、これはまず後へとっておきましょう。  そこで最後に、私あと三、四分しかありませんのでお伺いをしておきたいのは、やはりアメリカ及び中国が相当変化してきたんですね。これで日本の安全保障の問題でもいろんな変化が起こっている。これは避けられないですね。日本というのはそう自主的に自分だけの考えで結論を出すわけにはいかない国家ですから、アメリカが変化し中国が変化してくれば、たとえば日本の自主防衛のあり方等について相当変化してくる。これは別の面から言いますと、やはりソ連が相当追い込まれてきているのですよ。ですから、国後、択捉の基地の設置という問題も、防衛庁筋の見解で明らかにされたように、単なるオホーツク海の内海化をねらうなんてそんな単純なものでありませんよ。もちろんアメリカをにらみながら同時に中国、日本をにらんでいるのですよ。やはりこの問題について防衛的かあるいは脅威としての存在かという議論も、私も大分不規則発言を飛ばしながら同僚の発言をバックアップいたしましたけれども、この辺ももっと真剣に慎重に、その場限りの答弁じゃなくてもっときちっとした考え方を述べる必要があるんですね。  そこで、国後、択捉の軍事基地化というのは、各種の諸状況から言って、一定の限界を持ちつつも、今後いかようにも発展し得る基地として存続していかざるを得ないであろうという見通しを持っております。そうしますと、この基地防衛的か、将来攻撃的なものとして脅威を与えるかどうかという吟味をすることとともに、やはりこの国後、択捉という日本に突きつけられた基地が、基地としてその存在価値を薄めていくというような、もっとはっきり言えば、有事の際にそれが基地として存在していても無力化せしめるという政策が日本政府においてとられていれば、この問題は半ば、これは全体的とは言いません、半ば解決し得る問題なんですね。この北方領土、一連の軍事基地を無力化する政策、これはいままで論じられたことはないです。そういう政策について防衛庁は検討ないしは検討を進める用意があるのですか。
  173. 山下元利

    山下国務大臣 国後、択捉両島におきますソ連軍の部隊配備防衛的なものであると判断をいたしておりますけれども、この防衛的なものも、純軍事的に見れば攻撃的なものに変わり得る可能性は全く排除することではないことは御指摘のとおりであります。だからこそ監視に配慮しなければならぬわけでございますが、ただ、わが国の防衛力はいずれか特定国――こういうことを申しますと、またあれかと思いますが、いずれかの特定国または地域を対象としたものではございません。したがって、特定の国の特定の基地を無力化するような対策をふだんから考えているというようなものではございませんです。ただ、先ほど申しましたように、防衛的なものでありましても、軍事的に見れば攻撃的なものになり得るという可能性は否定するわけではないのでございますから、私どもとしても十分それを監視いたしまして、適時適切な措置を講じたいと思う次第でございます。
  174. 大内啓伍

    大内分科員 前の予算委員会一般質問の過程で、ソ連の極東における配置というものは日本にとって潜在的脅威である、同時に、あのときは防衛庁長官は、国後、択捉基地防衛的なものであると考えるが、他の目的を排除するものではないというお話がございまして、きょうまた、それは攻撃的なものに変わる可能性を排除するものではない、これはそれぞれ重要な認識を述べられたと思うのですが、やはりそれらの基地が現に存在し、またさらにそれが拡大の方向に向かう危険もある、そしてこれはなかなか一朝一夕に排除できないという状態の中では、その基地の存在そのものが日本の安全にとって危険にならないような措置をとるということは安全保障のABCですよ。ですから、無力化という言葉はそういう意味でございまして、それをなお検討されるということでございますから、その辺は十分注意して、本当に言葉どおりに検討しておいてもらいたい。それが日本の安全保障です。そのことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  175. 藤波孝生

    藤波主査 以上で、大内啓伍君の質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。午後二時三十分から再開することといたします。     午後零時三十八分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十分開議
  176. 愛野興一郎

    ○愛野主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中西績介君。
  177. 中西績介

    中西(績)分科員 まず最初に、環境庁にお伺いいたしますけれども航空機騒音に係る環境基準、この中間改善目標達成状況について、七八年の十二月二十六日、五年にわたる改善達成期間になっておるわけでありますけれども、この点についての把握はいたしておりますか。
  178. 加藤三郎

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  航空機騒音に係る環境基準におきましては、先生御存じのとおり第一種及びジェット機の就航している第二種空港について昨年の十二月二十六日までにいわゆる中間改善目標を達成することとされております。また自衛隊等の使用する飛行場についても公共用飛行場の区分に準じて達成するよう努めるものとされておるわけでございます。環境庁としましては、中間改善目標の達成期限が経過したことから、運輸省及び防衛庁から中間改善目標の達成に向けた諸対策の実施状況のヒヤリングを進めてきたところでございます。  その結果としまして、まず第一に公共用飛行場につきましては、大阪、福岡など幾つかの空港を除いて屋外で達成されているか、または希望するほとんどの世帯に民家防音あるいは移転の措置がなされたようだというふうに認識いたしております。また、自衛隊等の使用する飛行場につきましては、大部分の飛行場についておおむね一年おくれの昭和五十四年度末までに、さらに残りの飛行場については昭和五十五年度中に中間改善目標を達成するための措置がなされるようでございます。  このような状況から見まして、中間改善目標の達成はなお十分とは言えない状況にあると私どもは認識いたしております。
  179. 中西績介

    中西(績)分科員 そういたしますと、民間空港に関しては問題はあるにいたしましても、一応の達成を果たしたと見るべきかどうかですね。  あわせまして、自衛隊については目標達成、現状からいたしますとずいぶんおくれておるという認識に立ってよろしいですか。
  180. 加藤三郎

    ○加藤説明員 先ほどお答えいたしましたように、中間達成の期限が五十三年の十二月末でございます。それで防衛庁の場合には大部分の飛行場において五十四年度に達成見込みということでございますので、おおむね一年ほどおくれておるというふうに理解しております。
  181. 中西績介

    中西(績)分科員 その五十四年度、一応達成の目標だと言いますけれども、そうなりますと、民間空港自衛隊基地間におきまして対策上に大きな差が出てきておるということをお認めになっているわけですね。この点どうでしょう。
  182. 加藤三郎

    ○加藤説明員 運輸省及び防衛庁は、それぞれ環境基準の達成のため、それぞれの所管の法律に基づいて対策が進められてきたところでございますが、私どもとしては、その制度上基本的な体系には差異はないというふうに考えております。しかしながら、対策の実施に当たっては、自衛隊等の場合には公共用に比較して、たとえば自衛隊機等の機能であるとかあるいは目的から見まして、飛行機本体の低騒音化あるいは騒音軽減運航方式の採用等の音源対策が困難であるということとか、あるいは自衛隊機等の飛行形態の特異性から見まして、騒音影響範囲の確定が容易でないとか、そういった理由によりましてその進捗状況には差異があると言わざるを得ないと考えております。
  183. 中西績介

    中西(績)分科員 その差は、一応大まかなところでは差異はないと言うけれども、内容的につぶさに検討すると差異が生じておる、こういう言い方のようでありますけれども、ただ、一つ、環境庁の方から防衛庁の方に出された、中間改善目標の達成についてというこの二月二十六日付の文書を見てみますと、「中間改善目標の達成はなお、十分とはいえない状況にある。」ということからいたしまして、以下いろいろ指摘がされておりますね。これを見ますと、さらにまたそれぞれ防衛庁なりあるいは運輸省から取り寄せました内容等をつぶさに検討してみますと、やはり相当の差があるのではないかと私は思っています、資料によれば。  そうなりますと、もう少し具体的に、この両者の基準達成に向けての努力、それに対する評価が先ほど言うような大ざっぱなことでなしに、この点をもう少し、十分達成をしてほしいという内容がやはりあってしかるべきではないかと思うわけであります。そうしないと、これは八三年、いわゆる昭和五十八年の十二月までに達成をしなくてはならぬわけでありますから、これまでに達成するという目標があるために、何としてもそこら辺を明らかにする必要があるのじゃないかと思うわけでありますけれども、その評価についてもう少し具体的に申していただきたいと思うのです。
  184. 加藤三郎

    ○加藤説明員 先ほど繰り返して申し述べましたように、防衛庁関係飛行場につきましては中間達成期限が五十三年末にあるにもかかわらず、大部分の飛行場については五十四年度末、それから残りの幾つかの飛行場については五十五年度末ということでございまして、民間航空に比べましておおむね一年ほどおくれておるということで、先ほど先生御指摘ございましたように、二月二十六日付をもちまして、環境庁より防衛庁に対しまして「中間改善目標、さらには環境基準の速やかな達成に向けて、所要の対策の促進を図られたい。」ということで、六項目ほど申し入れておるわけでございます。私どもとしましては、環境基準は五十八年ないしはそれ以降に達成されるわけでございますので、それに向けてさらに防衛庁それから運輸省当局に対して強く働きかけていく所存でございます。
  185. 中西績介

    中西(績)分科員 そこで、私なりから見れば、そのように差異が出ておることも事実でありますし、私は具体的に指摘をしたいと思いますのは、その達成されたパーセントなどを見てみましてもきわめて差があると言わざるを得ません。特に、民間の場合には、悪いところでも五〇%をはるかに超えておるにもかかわらず、自衛隊基地におきましては四〇%前後しか達成を遂げておらない。特に、私の地域における築城基地などにおきましては、四〇%に達しない現状にあるのではないかという試算を私いたしたところです。  そういう意味で、これは大臣にお答え願いたいと思いますけれども、このような現状についてお認めになるかどうか、この点ひとつお答えいただきたいと思います。
  186. 玉木清司

    ○玉木政府委員 達成率のお尋ねがございましたが、私どもおくれておるという自覚は持っております。ただ、その民航との比較においておくれておるということでございますが、民航の場合、御承知のように対象世帯数が六万一千五百ほどございまして、それからスタートしたわけでございますが、私ども承知している範囲では、そのうち三万七千くらいは音源対策によって解決ができた。非常に大きな数字が音源対策で解決できておるわけでございます。  先ほど環境庁からお話のありますように、私どもの方の軍事用の航空機につきましては、音源対策が非常に困難な状況にございますので、実際にこれを実施いたしますには、民間の住宅防音をしていくしか方法はございません。その方法をわれわれ鋭意進めておるわけでございますけれども、いまの状況では、御指摘のように五十四年いっぱいもしくは五十五年にかかるという状態にございます。なお、御指摘の築城の場合は、私どもの中では比較的高い方で、七一%というような段階まで来ている次第でございます。
  187. 中西績介

    中西(績)分科員 音源対策でこの措置が民間が進んでおるという言い方のようでありますけれども、この点は確かに数字的には認めるにいたしましても、いままでの取り組みの姿勢なりそういう中におきまして、いろいろ問題があったのではないかと私は思います。ですから、重ねてお伺いをいたしますけれども、「二十五ジェット基地調査結果」が、昨年度までについては区分を完成することができなかった、調査が不十分であって。この点についてはそれではどうなっておるのか、これをお答えいただきたいと思うのです。
  188. 多田欣二

    ○多田政府委員 騒音コンターの調査につきましては、私ども昭和四十八年から始めまして、その後配備機種が変更になったり飛行経路が変わったりあるいは機数が増加したりというような場合の再調査を含めまして、五十二年度までに二十四終わったわけでございます。昭和五十三年度につきましては、機種の変更等による再調査ということで、三沢飛行場ほか二基地につきまして現在鋭意調査をしているという実態でございます。それから昭和五十四年度以降におきましては、千歳の滑走路が移動いたしましたので、その関係の再調査のほか、レシプロ機の飛行場につきましても順次調査を進めていこう、こういう段階になっております。
  189. 中西績介

    中西(績)分科員 そうしますと、昨年来私が指摘をしておりますF4EJ、いわゆるファントムの配備されました築城におきまして、環境基準を達成するためには地域におけるコンターを作成しなくちゃならぬと思うのですけれども、これはでき上がったわけですか。この点どうなのです。
  190. 多田欣二

    ○多田政府委員 築城基地につきましては、一応五十一年に調査を終わったわけでございますけれども、御承知のように、その後五十二年の七月にファントムが新たに配備をされるという状況になりましたので、その見直しをしなければならないということで、昭和五十二年の十一月、それから五十三年の六月の二回に分けまして、現地における調査を実施をいたしたわけでございます。現在この結果をもとにいたしまして、コンター図というものができ上がっておりまして、それに基づいていわゆる第一種地区、第二種地区、第三種地区の地域指定をしたいということで、現在関係の地方公共団体の御意見を承っておる、こういう実情でございます。御意見が出そろいました時点におきまして、区域指定を早急に行いたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  191. 中西績介

    中西(績)分科員 それはいつごろになるつもりですか。
  192. 多田欣二

    ○多田政府委員 ただいま申し上げましたように、関係市町村の御意見を承っておる時点でございまして、私どもといたしましては、できるだけ早く御意見を出していただき、調整をして告示をしたい、こういうことでございます。できれば年度内にもやりたい、こういう気持ちでございます。
  193. 中西績介

    中西(績)分科員 それは年度内ということで理解をしてよろしいですか。
  194. 多田欣二

    ○多田政府委員 私どもの希望はできるだけ年度内という希望で進んでおりますが、地元関係市町村、地方公共団体の方からなかなか御意見がまとまってこないという実態でございまして、現在鋭意督促をしている状況でございます。
  195. 中西績介

    中西(績)分科員 一応この問題については上がってこないというところにやはり問題が一つはあるわけでありますから、この点については早急に地元と打ち合わせをしていただいて確定をしていただきたいと思うのですね。  そこで問題になります騒音について、発生源の対策がどうなされておるのかというのが一つの問題になろうと思います。特に防音堤あるいは消音装置、防音林、これらについて具体的に施設を遂げていっているところもあるわけですけれども、築城の場合にはこの点どうなっておるのか、簡単に触れていただきたいと思うのです。
  196. 古賀速雄

    古賀政府委員 お答えいたします。  築城基地におきましては、消音装置の設置、これはファントムとF86とそれぞれ二基ずつございます。防音林の整備は、基地の中に約一万四千平方メートルあります、それらの音源対策、それから飛行時間帯の規制、飛行経路の規制や優先滑走路方式――優先滑走路方式というのは、築城は海の方に面しておりますので、海の方から入るということの方が人家の迷惑をかけない度合いが強いものですから、海の方から入る経路を重視する、こういう意味でございますが、その方式の採用など運航対策を講じて航空機騒音の軽減に努めているわけでございますけれども先ほど申し上げましたように、自衛隊飛行機その他運航の制約等ございまして、なかなか効果が上がらないというのが実情でございましょう。
  197. 中西績介

    中西(績)分科員 いま言われましたように、発生源対策はなかなか効果が上がらないと言っておられますけれども、何と申しましても努力をしないと、なかなか発進等において――機種はさらに強力なものになっていく可能性すらあるわけですから、ここをどう抑えていくかというのが私は大変重要じゃないかと思うのです。ところが、たとえば防音堤なら防音堤について一つ見ますと、これは小松基地だけしかしてないですね。それはなぜなのか。そしてさらにまた消音装置なりあるいは防音林なり、措置をしたことによってどれだけの効果があったか、こういう資料があるなら明らかにしてほしいと思うのです。ございますか。
  198. 古賀速雄

    古賀政府委員 この効果を検証するのはやはり騒音コンターの中で検証するということが一番よろしいわけでございますけれども、私どもとしてはなかなか思うようにいかない、データが出ないというのが実情でございます。
  199. 中西績介

    中西(績)分科員 そうなりますと、データが出ないということになると、防音堤についてもなぜ他の基地にこれを適用しないかというのは、そのデータ自身がないからやったって効果がないということを意味するんですか。そういうふうにとらざるを得なくなってくるんです。あるいは防音林にしましても、あるいは消音装置にしても確かにさっき言われましたように、F86あるいはファントムそれぞれに二基ずつ設置をした、こう言いますけれども、そのことがどれだけ大きな効果があったのか、そこら辺が明らかにならぬなら、こんなむだな金は私は使うべきでないと思うのです。ですから、そこら辺が結局私が防衛庁の問題指摘をしたときに、明確に住民皆さんのコンセンサスを得る材料を持ち合わせてないと言ってもいいと思うのです。この点はもう少し防衛庁に考えてもらわなくちゃならぬ点なんだけれども、この点どうでしょう、大臣、いま言われた状況というのは大変不信を抱くような答弁しか返ってきませんでしたけれども
  200. 古賀速雄

    古賀政府委員 私は全般的なことで申し上げましたけれども先ほど申し上げた消音装置とか、あるいは運航経路のやり方とか、そういったことは明らかに効果があるわけでございます。全般的に騒音コンターで線を引くというときに、どれだけその効果があらわれるかということがむずかしいと申し上げたわけでございまして、個々の施策について効果がないということは申し上げておりません。
  201. 中西績介

    中西(績)分科員 これは時間がありませんから、また後で聞かしていただきますけれども、この点はきわめて重大な関心を持たなくちゃならない点だろうと私は思いますね。全般的に測定しても、なおかつそれができない、総合的に測定が非常に困難だ。ということになると、これは何のためにということになってきますから、そこら辺はもうちょっと専門的にでも後でお聞かせ願いたいと思います。よろしいですか。  そこで、もう一つの問題点は、周辺対策の問題であります。  先ほどの答弁の中では、全国基地の中で大体二十四の基地におきまして五十二年度にはある程度調査ができ上がったと言われていますが、そうなりますと、全国のそういう基地状況と、それから今度は騒音対策のための改善の達成状況がそれぞれアンバラが全部出ておるんじゃないかと思います。それについて、後で結構なんですけれども、資料を要請したいということが一つと、いま申し上げました築城基地関係について言いますと、築城は大体どういうランクぐらいに入っているのですか。おわかりになりますか。
  202. 多田欣二

    ○多田政府委員 中間目標の達成状況につきましては、先ほど長官から概略を申し上げましたが、実はその中間目標達成を必要とする飛行場は、当庁に関する限りは十八飛行場でございます。そのうち二つの飛行場は八十五WECPNLの地域にたまたま人家がないということでございますから、実質的に措置を必要とする飛行場は十六ということになります。それぞれ進度に差がございまして、先ほど長官が申し上げましたのは大体平均値でございますが、全体を平均いたしますと、当庁といたしまして対象家屋数が大体四万五千二百ぐらいございます。そのうち住宅防音工事を希望されない方も相当ございまして、実際に措置をする必要のある世帯は約四万世帯程度と私どもは理解をしております。そのうち住宅防音工事と移転措置によりまして措置を了しましたのが全体で約一万九千戸でございまして、平均的な進捗率は約四七%ぐらいであろうというふうにわれわれは踏んでおるわけでございます。その中で、先ほど長官が申し上げましたように、築城飛行場は比較的進度の高い方でございまして、進捗率は大体七一%程度ということでございます。
  203. 中西績介

    中西(績)分科員 七一%というのは、年度で申しますと五十二年度、この時期に幾らやられたのか。私たちが記憶いたしておりますのは五十一年度で百七十、五十二年度で四百程度実施したと聞いています。それから以降約九カ月間程度でどの程度になっておるのか、この点明らかにしてください。五十二年度までを言いますと、千八百戸に対して五百七十戸ということになるので三二%の進捗率でしかなかった、こういうように私は聞いておるわけですけれども、これは五十三年度どのようになっておるのか。
  204. 多田欣二

    ○多田政府委員 築城基地に関しましては、対象戸数が大体二千二百戸程度というふうにわれわれ見ております。そのうち昭和五十二年度までにいわゆる住宅防音工事を実施いたしましたのは六百二十戸、移転措置ということで移転をしていただいた方が九十三戸、合計で七百十三世帯について実施をしたわけでございます。  昭和五十三年度につきましては、住宅防音工事が八百四十三戸、年度末までにということでございますが、移転措置でどいていただく方が十六戸、合計八百五十九戸になります。そういたしますと、五十三年度末におきまして住宅防音工事を実施しておりますのが千四百六十三戸、移転措置で措置をされました方が百九戸、合計千五百七十二戸が措置済み、率に直しますと七一%ということでございます。
  205. 中西績介

    中西(績)分科員 昨年この場でいろいろお聞きした際の数字とことしの発表ではもうすでに違いがある。そのことはよろしいとしまして、そこで、このように対策は相当進んでおりますけれども、これから以降問題になりますのは、一室あるいは家族人員の多いところで二室というのを全室に向けてやろうとなさっておられると思いますが、これは来年はどのようになってまいりますか。具体的に、たとえば築城の場合でありますならば、全国的に一定の数があるといたしますと、この場合にはどの程度予測をいたしておりますか、その点お聞かせください。
  206. 多田欣二

    ○多田政府委員 私ども飛行場関係は、先ほど長官も申し上げましたように対象戸数が大変多いということがございますので、できるだけたくさんの方に、たとえ一室、二室でも幅広く数をかせいでいこうというのが当面の私どもの目標になっております。ただし、運輸省さんの方でも五十四年度から全室防音ということに踏み切られましたので、私どもといたしましても、五十四年度に全室防音化のための試験工事という形で全国各地、まだ数は具体的に決めておりませんけれども、一飛行場につきまして数戸ずつ、従来一室ないし二室の工事を実施していた家屋に対して継ぎ足し工事をいたしまして全室化を図る、その成果を見まして五十五年度以降、いわゆるとりあえず一室、二室で幅を広げるという行き方と同時に、基地に近い、騒音の高い地域からすでに工事済みの分に追加工事をして全室化をどんどん図っていく、こういうような方針で進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  207. 中西績介

    中西(績)分科員 時間がございませんから、この点については早急にやっていただきたいと思いますが、ただ、一つ学校の問題で、あわせまして長官の決意のほどをお伺いしたいと思います。  いままで述べてきたところからいたしますと、防衛庁の示す案からいたしましても一年おくれで進行しておるということが一つ。それから二つ目に、先ほど申し上げましたように、発生源の問題について、私たちがなかなか納得できない答弁が返ってきておりますから、この点について一つ。  三つ目は、学校等に、いま答弁のありました全室化の問題と含めましていち早く取り組みをしていかなくてはならないし、この点での決意。  それから四点目に、学校における状況が大変な状況になっています。皆さんが出されている「防衛庁における航空機騒音に係る環境基準の中間改善目標の達成状況について」、この内容を全部見せてもらいましたけれども、これを見ますと、学校の上なんかは通らぬということになっているのですよ。避けるということになっています。ところがそうでなくて、学校を目標にして通っているのではないかと言われるように、私たちの地域ではこれが多く出ておるわけです。ですから、八十ホン以上になりますと、私も経験をしたのですけれども、実際に低くなりますから全部操縦士が見えるわけですよ。そして、今度は胸が共鳴するような圧迫感を感じますね。それから耳は、ちょうど気圧の差によってつんとなるでしょう、経験あると思いますけれども。これと全く同じような状況になりますよ。ですから、学校における生徒の状況というのは、情緒安定度からいたしましても集中度からしても、あるいは難聴ですね――そこに勤め始めて二年くらいした教師は、家に帰ってテレビをつけると家の人たちから怒られるのですよ。なぜかと言うと、がんがんするようなテレビじゃないと本人は満足しないわけですね。二年もするとそのように差が出てくるのです。こういうような結果、先ほど申し上げるように情緒の問題、集中度、それから難聴等を含めて学力低下は必至なんです。ですから、こういう点を私は昨年指摘いたしまして、少なくとも医学的にあるいは精神学問的に追跡調査なりをすべきだということを申し上げたのです。しかし、このことについては依然として実施されておらないし、そして町によっては、金がかかるということで依然として防音室の設備すらもまだ完全にやっておらないところがある。具体的には、ある小学校、六十五名の小さな学校だけれども、一昨年の七月には十二名に上る鼻血を出した生徒がいるわけでしょう。ですから、そういうことを考え合わせてまいりますと、皆さんが積極的にそういう点についての追跡調査なりをやっていただいて、その中でむしろ皆さんの方から積極的に学校における施設設備はどうすべきだという結論を出して、積極的な施策を施していく必要があると私は思うのです。これはほかにも言えますけれども、一つの例なんです。  こういう点についての長戸の決意をひとつお伺いして、終わりたいと思います。
  208. 山下元利

    山下国務大臣 先ほど来御指摘の点につきましては、政府委員から御答弁申し上げておりますけれども、率直に申しまして、民間航空機とは違いました事情のあることは御了察賜りたいと思う次第でございますが、それにいたしましても、いろいろの対策につきまして御指摘のような実情があることにつきましては、私もただいま十分拝聴いたしましたし、われわれといたしましても承知しておるところもございます。  つきましては、音源対策それから防音対策につきまして十分積極的に進めてまいりたいと思いますが、特に学校防音につきましては、いまの防音室工事等も進める、あるいはまた、医学的な調査につきましては積極的に進めてまいりまして、われわれのあとう限りの努力をいたしたいと思う次第でございます。
  209. 中西績介

    中西(績)分科員 終わります。
  210. 愛野興一郎

    ○愛野主査代理 以上で中西績介君の質疑は終了いたしました。  次に、稲葉誠一君。
  211. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 月曜日に集中審議がありますからそこでいいところは聞かなくてはならないから残しておきまして、きょうは数字的なこと、それから手続、そういうものを主に聞きたいと思います。  不思議に思うのだけれども予算委員会なのにみんなちっとも予算書を持ってこないで聞いておるのだけれども、どうも予算のことを聞かなくてはあれなんで……。  このE2Cに関連して、全部で四機で三百四十二億九千三百万、ことしが十一億五千百万。この三百四十二億九千三百万というのは、年度的に見るとどういうふうにずっと出てきている計算になっているのですか。
  212. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 三百四十二億九千三百万円でございますが、これは五十四年度歳出予算といたしましては十一億五千百万円ということでございまして、五十五年度が三十九億七千七百万円、五十六年度が百三十九億七千二百万円、五十七年度が百四十八億九百万円、それから五十八年度が三億八千四百万円でございます。これは初度部品を含んでおります。
  213. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 いま言われた金額、これについてはいわゆる手数料といいますかコミッションの入る余地は全然ない、こういうふうにお聞きしてよろしいわけですね。
  214. 山下元利

    山下国務大臣 そのとおりでございます。
  215. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 FMSで買うということはいつ決まったのですか。
  216. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 概算要求を庁で決定しました八月の二十三日であったかと思います。もし間違っておりましたら後で訂正いたします。
  217. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 もう少し前に決まっておったのではないのですか。それから、正式決定したのは十一月ではなかったですか。そうすると、日商岩井がそんなに一生懸命になって代理店契約だとかコミッションだとか言って騒ぐのは、そういうことになってくるとおかしいように感ずるのですがね。
  218. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 正式の決定はやはり先ほど申しました八月二十三日だと思いますが、準備的なことは昨年のたしか初めごろから進めておったわけでございます。
  219. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 このFMSでアメリカに対して最初に何をするのでしたかね。幕僚監部が何か通知するのですか、手続がありますね。それでこれは見積書か何かもらうのですね。この手続はどういうふうになっているのですか。
  220. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 昨年の二月に見積もりをアメリカの側に依頼しております。
  221. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 そうすると、それに関して見積書は来ているのですか、来てないのですか。どういうことになっているのですか。
  222. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 昨年の夏、着いたと記憶しております。
  223. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 その見積書を国会に提出していただくわけにはいきませんか。
  224. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 米側の方の意向もございまして、中身については従来からも御容赦いただいているわけでございます。
  225. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 米側の意向というのは何。MSA協定の話ですか。何。どういうことなの、それ。
  226. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 飛行機に関します開発分担金等も含まれておりまして、従来からその中身についてはアメリカの国防省の方で公表されないように希望いたしておりますので、そういうことで御容赦いただいているわけでございます。
  227. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 いまあなたははしなくも言いましたね。開発分担金、これが問題なのよ。月曜日に詳しく聞きますよ。これがアメリカの産軍協同の大きな一つのポイントよ。これによってアメリカは、グラマンだ、ロッキードだ、みんな救済しているんでしょうが。知っていますか。  この開発研究費というか、開発奨励金というか、アメリカが取っていないところあるでしょう。知っている。
  228. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 その中身については公表をされていないと思います。
  229. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 中身について聞いているんじゃないの。アメリカがその開発研究費をある特定の国に対しては取ってないでしょう。そんなことわからないの、あなた。知っているわけだろうが。
  230. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 NATO諸国が標準化を行う場合には取らないということもあり得るということでございます。
  231. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 取らないこともあり得るじゃないよ。NATO諸国に対しては取ってないんだよ。だめだめ、そんなことを言っているんじゃ。  それじゃ、開発研究費の計算の方法、いろいろな方法があるでしょう。本件のE2Cの場合に開発研究費がどういう形でかかってきているか、知っている。どうなんですか。
  232. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 開発研究費につきましては、その支出した額につきまして、購入する国の機数によりまして割り掛けをしている、こういうことでございます。
  233. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 そんなことないよ。違う違う、それは。  購入する機数によって計算する場合もあるし、ほかの国との、全部の購入をトータルして、そして割り出して計算する場合もあるし、いろいろな方法があるんですよ。そんなこと知らないわけないでしょうが、あなた。ぼくは防衛庁の人に来てもらって聞いたんだよ。防衛庁の現役じゃないよ。現役はそんなことしゃべれないからあれだけれども防衛庁やめた人に来てもらって詳しく聞いたんだから。だめだよ、そんなこと言っているんじゃ。計算の仕方いろいろ方法があるのよ。E2Cの場合、どういうふうになっているかということ、わかる。あるいは秘密だから言えないと言うのかな。どうなの。
  234. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 開発研究に要した費用を日本を含めて購入される機数で割る、こういうことに現在なっていると思います。
  235. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 じゃあ何機で割るのよ。幾らぐらいを何機で割るのよ。今度の場合十機でしょう。十機で割るのじゃないですよ、これ。全部で八十八機つくっているのでしょう。イスラエルはすでに四機買っているでしょうが。その計算の仕方をよく研究しておかなきゃ。これが一番問題よ。このことはまだだれも質問していないのかな。これで値段がうんと上がってくるのよ。
  236. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 いまおっしゃいましたように八十八機あるいはそれプラスアルファということで、その辺を全体で割るということでございますけれども、この詳しい数字については公表されておりません。
  237. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 八十八機で割るのか、十機で割るのか、今度の場合は十機でしょう。そのうち日本が四機申し込んでいるわけでしょう。十機で割るのか、八十八機で割るのか、計算によって金額が違ってくるのですよ。きょうは余り人がいないから聞いてもそう恥をかかないからいいと思うのだけれども、月曜日にやったのでは恥をかかせるようで悪いから、きょう聞いておくよ、これ。違うよ。――待ちなさい。まだいろいろな問題があるのよ。  そこで、大体それじゃ何%くらい。そんなのわかっているでしょうが、何%ぐらいか。普通は一〇%から一五%ぐらいでしょう、必ずしもそうでもないけれども
  238. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 その数字については控えさせていただきたいと思います。
  239. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 控えさせていただきたいと言ったって、大体見当つくのだよ、それは。もう少し多い場合もありますけれども、大体一〇%から一五%だよ。一〇%から二〇%の場合もあるようだな。計算の仕方はいろいろあるね。これが価格に上乗せされて高くなってくるのよ、日本に来る場合に。そんなのは冗談じゃない。  それじゃ、イスラエルが四機買ったでしょう。四機買ったのはいつといつ。一遍に買ったの。どういう順序で買ったの。幾らで買ったの。
  240. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 イスラエルはFMSによりまして一九七六年の二月に四機分を一度に契約しております。
  241. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 契約しているの。できたの、これ。引き取ったの。引き取ったのでしょう。あなたの資料に引き取ったと書いてあるじゃないか。
  242. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 契約は二月にやっております。で、一九七八年までに四機を取得いたしております。
  243. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 だから四機完成品として受け取ったのでしょう。その金額は一体幾ら。日本の金額とものすごく違いますよ。すぐ調べてごらんなさい、イスラエルへ電話して、吉田大使があそこにいるから。わからなければ計算してごらんなさいよ。全然日本の金額と違うよ。
  244. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 一億六千三百万ドルというふうに聞いております。
  245. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 一億幾ら。
  246. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 四機で一億六千三百万ドルでございます。
  247. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 おかしいな。ぼくの聞いたのは、最初のやつは一機二百五十万ドルだよ。そういうふうに聞いていますよ。あなた、ほかのものもみんなまぜたんじゃないか。全部まぜているんだよ、部品や何かも。最初飛行機は二百五十万ドルだよ。そんなことないよ。
  248. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 この数字はその後の支援費も入っております。
  249. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 えっ……。
  250. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 いろいろな支援関係の費用も入っております。一機当たりのフライアウエー・コストについてははっきりしておりません。
  251. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 はっきりしてなくはないよ。調べてごらんなさいよ。日本の買う価格と違うんだよ。日本の方がずっと高いの。すぐ調べてごらんなさいよ、きょうでなくていいから。月曜日でいい。調べてごらんなさい。違うよ、これ。ぼくの聞いたのでは、これは為替レートの計算なんかがあるからそのままいきませんけれども最初のは一機二百五十万ドルだと言っていますよ。イスラエルは非常に安く買っている。これはぼくもちょっとどうかと思うのだけれども。ぼくは防衛庁におった人の航空専門家から聞いたのだから、来てもらって。これはぼくはちょっとと思ったのだけれども、とにかくそういうことなんだ。よく聞いてごらんなさい。とにかくイスラエルの方が安く買っているのだよ。こっちは高いのだよ、日本の方が。  それから、あなたの方の出した「早期警戒機の導入について」というのがあるでしょう、防衛庁のこれ。五十四年一月というナンバー六、これはあなたのあれですが、ここで「FMS調達方式について」というのでいろいろ説明されていますね。     〔愛野主査代理退席、主査着席〕 持ってないの。あなたの出した資料だよ。そんなのじゃない。もっと大きい資料だよ。「早期警戒機の導入について」というのがあるだろう。(山下国務大臣「同じでございます」と呼ぶ)同じですか。  そこで、「FMS調達は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定昭和二十九年条約第六号)に基づき、米国の法律(現行は「武器輸出管理法」)に従って、有償援助として、日本国政府が米国政府から装備品及び役務を調達する方式であり、いわば政府間契約というべきものである。」こういうふうに書いてありますね。この「いわば」というのはどういう意味なんだ。政府間契約なら――政府間契約だといままで言っていたでしょう。「いわば」というのは、政府間契約とは違うけれども政府間契約みたいなものだ、こういう意味でしょうが。どういうわけなんだ、この「いわば」というのは。
  252. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 「いわば」という言葉には特に意味がないわけでございまして、やや不適切な言葉かと思いますが、政府間コントラクトという言葉は必ずしも使われていないものでございますので、「いわば」ということをつけたわけでございます。
  253. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 だって契約というのはコントラクトでしょうが。それじゃ契約というのはほかにどんな英語があるのだ。何だ、これは。
  254. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 「オファー・アンド・アクセプタンス」という言葉になっているものですから、それを一応わかりやすく契約、いわば契約、こういう表現を使ったわけでございます。
  255. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 いまのはどうでもいいことですがね。  そこでわからないのは、装備品と書いてありますね、ここに。この装備品というのは、この予算書の「諸器材購入」というので「うち、早期警戒機(E-2C)関連」総額二十億八千七百万、うち五十四年度が五億二千二百万ですか、これとの関連はどうなんですか。
  256. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 支援器材の初年度分ということでございまして、中身は、この前御説明いたしましたように、整備用の試験器材が中心でございます。
  257. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 それはわかったのですがね。  そうすると、この諸器材購入の方に入っているのですか。航空機購入の方に入っているの。どっちに入っているの。
  258. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 航空機購入の方には入っていないわけでございます。
  259. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 それから、あなたの方で、国会からの資料要求がたくさんありまして、「衆議院予算委員会要求資料」というのを出しておられますね。これは実はぼくはきょう気がついたので、そこから出してきたので、中を余り見ていないのですが、この中で五十七ページ――持ってきていないなら、これを見てもいいよ。この五十七ページに、「昭和五十四年度主要装備品単価一覧」として、「航空機」「E-2C」と書いて、これは百万円だから八十五億七千三百万か、書いてありますね。これは、どういうの。
  260. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 八十五億七千三百万円は、初度部品二十二億九千四百万円を含んだ数字でございます。八十五億七千三百万円という数字は単価でございまして、初度部品を含めまして一機当たりの単価でございます。二十二億九千四百万円の初度部品を含んでおります。
  261. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 そうすると、これが単価なわけですね。わかりました。  そうすると、この単価であって、この単価の見積書というのはアメリカから来ているわけだ。だけれども、向こうの希望もあって出せないというわけですね。それはまた月曜日に聞くようにいたします。  そうすると、この諸器材購入のうちの早期警戒機E2C関連の金額二十億八千七百万、それからことし五億二千二百万、このうち日商岩井とすでに契約しているものはあるのですか、ないのですか、どうなっているのですか、これは。
  262. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 全くございません。
  263. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 しかし、この中にレーダーとかエンジンとかプロペラとか、そういうものは入っているのですか。
  264. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 レーダー、プロペラ等は、航空機の購入の中に入っております。
  265. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 入っている。それは初度部品というやつですか。
  266. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 いまおっしゃいましたのは、飛行機の一部をなすプロペラその他は当然機体の単価の中に入っておるわけでございます。
  267. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 そうすると、現実に考えられるのは、日商岩井にいくと考えられる――まあいくかいかないかわからないけれども、仮に全部いくとして考えられる金額というのはどのくらいになっているの。
  268. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 五十四年度の予算に計上されている金額で申しますと、これもたしか先般御説明を申し上げたと思いますが、関連器材、五十四年度分として五億二千二百万円計上されておりますが、このうち約二億八千万円がFMSで購入する予定でございまして、残りの二億四千万円が、これはどうしてもFMSでは買えないものでございますので、商社の方にいくというふうに予定されている数字でございます。残りの初度部品と機体の方すべてFMSということで予定しております。
  269. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 そこで、FMSと一般コマーシャルベースでいった場合に、物事には絶対的にこっちがいいというものはないわけです、常識的に考えて。だから、いろいろあると思うのですよ。優劣というか長所短所というか、そういうものがあると思うのですが、それについては二つ並べてみてどっちがどうというふうにお考えになりますか。いまあなたの方としてはFMSをとっているのだからもちろんその方がいいと考えていると思うけれども、それはいろいろあって一〇〇%あれじゃないから、そこを比較してみるとどうなります。
  270. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 購入するものによりまして、あるいはそのケースによりましていろいろ違ったことが出てくるわけでございます。  たとえば納期について見ますと、向こうの米軍の方で在庫品がたまたまあるというものであれば非常に早く入ってくる場合もありますし、逆に米側の都合で非常におくれるケースもあります。これは国会でも御指摘いただいたりしたことでございますが、納期を見ましても、物によって、場合によって非常に早くなる場合もあればおくれる場合もありまして、ケース・バイ・ケースで見定めなければならない。また価格についても、これも物によりまして、量産の規模でありますとか、あるいは一緒に調達する場合に、米軍と一緒になるかとか、外国の機種を同時に生産するときに一緒にやってもらえるかどうか、そういう場合によりましても価格がいろいろ違ってまいります。そういうことが一つあると思います。それから、FMSというのは役所の手続でございますので繁雑であるとかいう問題もございまして、それぞれ長所短所があって、ケース・バイ・ケースで判断していきたいと思っております。また、もう一つ追加いたしますと、FMSの場合には秘密の秘物件というようなものが手に入りやすいとかいうこともございます。
  271. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 いまの答えは非常に不十分な答えですね。これは月曜に詰めます。ここでまた聞いてしまうとあなたの方がわかってしまう。あなたに種を知らせるようなものだから聞かないよ。  じゃ、アメリカにとってはFMSの方がどういう有利さがありますか。アメリカにとっては、FMSと民間コマーシャルベースとを比べてみた場合、どういう点が有利ですか、また、どういう点が不利なんですか。
  272. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 特別にアメリカ側にとってどちらがどうということは一概には言えないのではないかと思います。ただ、FMSは有償ではございますが援助ということになっておりますので、そういう意味で、援助の一方式ということで考えますと、相手国の関係等、一般の取引とは違った問題なり必要性がまた別途あるのではないかと思いますので、一概に並列的に並べて一般の取引とFMSとの比較は非常にしにくいのではないかと思います。
  273. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 それは、一般に言いにくいとかケース・バイ・ケースとかいえば、あらゆるものがみんなそうだ。  あなたの方で国防総省から「軍事援助有償供与の手引き」というのがあるでしょう。あなたの方はその中で日本に関するところだけ国会に資料として出した。国会の資料の六十二ページ「FMSRのうち日本関係する部分」というのが英文で出ていますね。ページ六十二、パラグラフ五十三、出ているでしょう。これは各論の方だが、その前の方の部分に、アメリカがなぜこういうふうな軍事援助有償供与というか、こういうふうなことをやるか、それによってアメリカにどういう利益があるのかということが書いてあるでしょう。これは各論の下の方だもの。
  274. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 いまちょっとその文書を持っていませんが、私、この武器輸出管理法の成立の経緯等から見まして、アメリカ自体が武器の輸出をコントロールする必要がある、武器の輸出を事前に知る必要がある、そういうことが武器輸出管理法をつくった一つの動機になっていたように思います。それからもう一つは、武器輸出に関する政治献金あるいは手数料、そういうものを排除していこうというふうなことも動機だったように思っています。
  275. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 いまの答えは不十分ですよ。もっとも、こっちとしても試験問題をあなたに全部簡単に教えるわけにいかないから、教えてないからあなたもできない。いまの答えは六十点までいかないですよ。まあ六十点上げてもいいか、そこら辺のところだな。重要な点はやはりぼかしている。この次、文書を持っていらっしゃいよ。ここにあなたの方から国会に出した英文の資料があるのだから。これは各論のしまいの方でしょう。その前の文章があるよ。全部でなくともいい、第三部だけでもいいから持っていらっしゃい。そこにちゃんと詳しく書いてある。アメリカがなぜこういう方法をとるかということと、どういう点がアメリカの利益かということをはっきり書いてある。書いてあるでしょう。書いてあるの、わからないかな。そこに書いてあるよ。読んでください、きょうでなくていいから、書いてあるよ。アメリカとしては研究分担費の問題が一つ大きな問題があるんだよ。研究開発費の分担を拡大し、米軍自体で使用する兵器の単価が下がるということ、これがこの方式をとるアメリカの利益じゃないのですか。アメリカがアメリカの利益を考えるのはあたりまえの話だよ。別に悪いというわけじゃないんだから、あたりまえの話だ。こっちはこっちの利益を考えればいいんだから。そんなこと、かれこれ言ったって始まらないけれども、そこらのところ、もう少し聞きますからね。  それから、資料をいただいたのだけれども、「新戦闘機の選定作業の経緯と今後の方針について」防衛庁防衛防衛課、これをいただいたのです。それからもう一つ「防衛アンテナ」臨時増刊号「次期対潜機の選定について」、これをいただきました。きのうもらったのかな。中をぱっと読んでみた。そうしたら、新戦闘機というのは、F15の関係、これの中にどうして金額のことが書いてないのですか。これは全然金額のことが書いてない。どういうわけ。「防衛アンテナ」のP3Cの方については金額のことは書いてある。こっちに金額のことが書いてないのはどういうわけですか。
  276. 原徹

    原政府委員 これは、思い出しますと、たしかこれから予算を要求して、必要になるという段階でつくった、その必要性のお話でございましたので、金額というところが必ずしも詰まってなかったのではないかというふうにいま思いますわけでございますが、数字は確かに書いてございません。
  277. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 こっちのP3Cの方は、数字も書いてあればライセンスのことまで詳しく書いてあるでしょう。F15だって、初めのうちはアメリカからFMSで入ってくるけれども、あとはライセンス生産なんでしょう。そうなればそのことも書いてなければおかしいんじゃないの。時期的に書く時期が違ったからというのならしようがない。それならそれでいいですよ。
  278. 原徹

    原政府委員 新戦闘機の方は、概算要求する一年前につくりましたものですからまだ数字が入っていなかった、こういうことでございます。
  279. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 だって、新戦闘機の場合、これはいつつくったのか書いてないじゃないの。日時も何も入ってないよ、そんなことはどうでもいいけれども、片っ方は入っている。
  280. 原徹

    原政府委員 だんだん思い出してまいりましたが、F15につきましては一回、五十一年の十二月ごろに防衛庁として決まって、五十二年度に予算要求するかしないかということになったわけでございますが、内閣の改造その他がございまして、五十二年度の予算要求を見送ったということになった結果、全部その単価等をやり直さざるを得ないことになりまして、したがって、その必要性のところだけ五十一年の十二月時点で決まった段階でこのパンフレットをつくりました関係で、したがいましてこの数字が入っていないということになったわけでございます。
  281. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 そうすると、F15や何かをみんな幾らで買っているのですか。これは一部新聞に出ているけれども、この新聞、どうも何か間違っている、怒られるかもわからないけれども、何新聞だか、ずっと並べて出ていたが、何か金額が違っているね。違うんだ、これは。たとえばRF4Eが十四機で一機二十億と書いてある。これはいつ、幾らで買ったのですか。ずっと聞いちゃいましょう。それからP3Cが四十五機で、七十七億円と書いてあるんだけれども、これもどうもあれだな。E2Cがグラマンで早期警戒機、導入決定五十二年七月、四機、九十億円と書いてある。これも何か違うな。F15ダグラス戦闘機、五十二年十二月導入決定、二十三機で、八十億円。商社は日商岩井だ。F4EとRF4EとE2CとF15、これは日商岩井が商社になっているのですが、この金額は一体全部どういうふうになっているのですか。正確な金額を言ってくれませんか。
  282. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 F15につきましては初度部品を含めまして単価として約七十億円。それからP3Cの方は約七十五億円でございます。それからあと、RF4Eにつきましては単価として約二十億円。これは予算ベースの数字でございます。
  283. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 これはこの次にまた聞こうと思ったところなんだけれども、ここであれしましょう。昭和五十二年の三月十日の決算委員会でF15の金額のことが問題になっていますね。会議録二十五ページ、持ってきましたか。そこのところで、「米議会で公表されている米空軍の調達価格。F15は一機四十五億、F16は二十七億、F14は五十八億となっています。」「日本での購入価格が一機七十二億ですか、ということになると、かなりの差額が出る。ざっと見積もっただけでも二十数億の差額が出ますね、米国議会で発表している価格と、あなたが発表している価格との間には。一体どうしてこんな価格のつり上げが行われるのですか。」というふうな問いに対して、当時装備局長であった江口政府委員、この人が、「この点につきましては、結論から申しますと、その価額を厳重に洗う必要があると思うわけでございます。」こう言っているのです。これはどっちが正しいのかよくわからぬけれども、いまあなたはF15を七十億と言いましたね。おかしいな。三原国務大臣は、二十四ページの一番下、「いま価格問題について御発言がございましたが、私どもこれを内定をいたしました際には、一応の概算をして七十二億ということで進んでまいりました」こう言っているのです。どうなんです、いまの点、二つの問題。
  284. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 F15の米軍の調達価格と、わが国のFMSで当初買った部分がございますので、なぜ違ったかという理由でございますが、これは一つは開発費分担金の問題でございます。それからFMSの管理費を負担しなければならぬという問題がございます。それから空輸の経費と、それから米側の場合には官有の設備等の使用をやっていますので、その使用料等につきましても負担しなければならないというふうなこともございまして、そういう分が差としてあるわけでございます。
  285. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 それにしても、アメリカが四十五億と公表しているものが、いま開発費や何かが加わって日本では一体幾らです。七十二億で買ったんですか。どうなっているの、F15、これはまだできてこないけれども、金は幾ら払っているのです。F15については金は幾ら払っているのです。前に払っていますね、四億六千七百万。これはどうなっているのです。
  286. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 先ほど約七十億円と申しましたけれども、これは全部突っ込みで計算した、割った単価でございまして、FMSの価格につきましては先ほど申しました七十億円ではございませんで、FMSの分はもっと低い価格になっております。
  287. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 一体幾らなんです。
  288. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 これはフライアウエー・コストで約四十九億円でございます。
  289. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 そうすると、よくわからないけれども、F15がアメリカ議会で公表された場合の調達価格は四十五億であることは間違いないの。これはどうなんです。
  290. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 私どもが当時調べましたときには、これはドルと円との換算の問題がございますけれども、約千六百七十万ドルで、当時私どもとしては約四十四億円ぐらいに計算しておったわけでございます。
  291. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 だから、米空軍の調達価格が四十四億で、それにいろいろなものが加わってくると日本へ来て七十二億円になってしまうのじゃないですか。幾らになるのです。いろいろなものが加わってきて、開発費や管理費や空輸の経費、そのほかにも保険料も入るかもわからないけれども、それはそうとしても、何が幾ら、何が幾ら加わってきて一体幾らになるのです。
  292. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 いまの数字はP3Cの数字を申し上げたのですが、いまF15の数字を申し上げます。  ちょっと理由を申し上げますと、先ほどの数字との差でございますが、これはF15の場合もP3Cの場合も考え方としては同じなわけでございますが、要するに、機数で割った単価につきましては、これはライセンス生産がございますので非常に高くなって出てくるわけでありますが、FMS分だけをとりますと非常に低く出るということでございます。ですから、先ほどの七十億とか、単価七十五億というような数字を申し上げたと思いますが、これはライセンス生産も含めて割った単価を申し上げたわけでございますので、そういう意味で、ライセンス生産は高くなりますので平均が高く出る。ですから、FMS分だけ取り出しますと低い金額になる、こういうことでございます。
  293. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 ライセンス生産と言ったってずっと後の話でしょう。それはまだやってないのでしょう。やっているのですか、ライセンス生産を。まだやってないわけじゃないですか。そんなもの加えてどうして割るの。そんなの、まだ見込みがつかないのじゃないですか、金額が。
  294. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 これは五十三年度予算としてつけていただいたわけでございます、ライセンス生産の部分につきましても。
  295. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 そうすると、アメリカから買うよりも日本でライセンスで生産した方がうんと高くなるということですね。それは原因はどこにあるの。ライセンス料にあるの。どこに高くなる原因があるの。
  296. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 生産機数の問題が非常に大きいと思います。そのほか、ライセンスフィー、ロイアルティー等も加味されますので、そういうものが高くなる原因だと思います。
  297. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 そうすると、ライセンスでなくて、アメリカで公表された金額がいわゆる開発費なり管理費なりいま言った空輸の経費なりを含めてくると一体幾らなんだ、日本へ来て。しかし、アメリカで発表された金額には開発費が入っているはずだがな。入っているはずだぞ、それは。おかしいぞ。
  298. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 米軍調達分については開発費は入っていないと思います。
  299. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 そうすると、開発費はどのくらいなの。四十五億に対して開発費なり何なりが加わってくると幾らぐらいになるの、日本で。
  300. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 先ほどF15の数字を申し上げなかったものでございますのでこれをちょっと申し上げますと、F15の場合に米軍の調達価格は約千四百万ドルということでございまして、約三十六億円と計算しておりまして、これに対してFMS購入の単座型の価格は約四十五億円というふうに見ておりまして、約九億円高くなっておるわけでございますが、これが先ほど申しました開発費の分担金あるいはFMS管理費、また空輸の経費あるいはアメリカで官有の設備を使用させている使用料の分担等が含まれて高くなっている、こういうことでございます。
  301. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 この点はE2Cに関連しても別に聞きますけれども、じゃ、ほかのこともいろいろあるから、別のことを聞きましょう。  私どもよくわかりませんのは、買う場合に国防会議にかける場合と、かけない場合と何かあるらしいですな。これはどういう基準なの。
  302. 原徹

    原政府委員 F15、P3C、それぞれ別個のものとして国防会議の御承認を願ったわけでございますが、E2Cにつきましては、防衛計画の大綱におきましてすでに警戒飛行隊一個隊をつくるという方針と申しますか、それが決まっておりまして、そうなりますと、毎年度の予算で調達するものの主要項目につきまして、これは艦艇、航空機一括になりますが、それを国防会議を開きまして御承認を願っておる。形式は若干違いますが、主要項目として御承認は願っておる、こういうことでございます。
  303. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 RF4Eの場合は国防会議にかけなかったわけでしょう。これは、どういうわけなの。
  304. 原徹

    原政府委員 その点が、四十六年から四十七年にかけます国防会議の承認を得ないままに予算ができたということで例の凍結問題というものが起こったわけでございまして、その結果、いまの主要項目等でいろいろこうしようということになったわけでございます。
  305. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 まだ国防会議にかけなかったものがもう一つあったでしょう。それは何ですか。
  306. 原徹

    原政府委員 T2と、いまのRFとC1、それが国防会議にかからなかったということでございます。
  307. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 RF86Fというのは何ですか。
  308. 原徹

    原政府委員 86Fの飛行機の偵察型。RFというのは偵察型、そういう意味でございます。
  309. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 それもかかっていないですね。
  310. 原徹

    原政府委員 RF86というのは、もう大分昔のことに属するものでございますから、どうもかかっていなかったというふうに考えております。
  311. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 あとは月曜日にゆっくりやりますけれども、ほかにいろいろな問題があると思うのです。だから、これを必ず持ってきてくださいよ。国防総省文書の第三部というのを、英文ですけれども、それがありますから持ってきていただきたい、こういうふうに思います。  それからもう一つお聞きをしたいのはE2C、これは今度四機でしょう。それで一日に八時間飛ぶのですか。どうなの、それは。
  312. 原徹

    原政府委員 平時の運用といたしましては一日八時間ということで考えておりますが、緊張時になりました場合には、これを二十四時間回転をいたしまして、飛ばせて警戒に当たる、そういうことに考えております。
  313. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 だって、平時か平時じゃないかわからないのじゃないの、そのときが来てみなければ。だから、八時間しか飛ばせないのではほかの十六時間は、何をしているのか知らぬけれども、全然役に立たないというのじゃないの。海原氏は盛んにそういうことを言っている。あの人はあの人で言い分はわかるよ。だけれども盛んにそればかり言っているのだね。そればかりではない、ほかのことも言っているけれども、ここにも海原氏が言っているわけだ。この人ぐらいちょっとふてぶてしい防衛局長じゃないとだめだ。あなたなどはとてももたないぞ。本当だよ。少しおとなし過ぎるぞ。防衛局長はだめだぞ。「E2Cは、一つの哨戒点について、一日八時間しか哨戒をしない。あとの十六時間は、従来通りである。これで、わが防空の欠陥が是正される、といえるのであろうか。それは、一種のゴマカシであるとしか、私にはうけとれない。シビリアン・コントロールが大切だと思うなら、国会は、E2C導入の意味を、真面目に検討すべきである。」そこで、まじめにやっているわけですが、一日八時間しか哨戒をしないというのが普通の状態で、そしてそれは緊急事態になると二十四時間ちゃんとやれるようになっているの。
  314. 原徹

    原政府委員 平時におきまして一日八時間でございますが、たとえば米海軍でも一個中隊四機が航空母艦の上に乗っかっておりまして、これも普通のときには大体八時間くらいの運用をしておりまして、危ないと思うときにその四機を回転させるわけでございます。それでつないで二十四時間ずっとやる。そういたしませんと、ずっと二十四時間でございますと、一機で三百六十五日あるとすれば、二十四時間掛けますと一年で七千時間くらいになってしまうわけでございます。いわゆるAWACSにいたしましてもE2Cにいたしましても、どこの国でもそういう運用をいたしておるわけでございます。したがって、全く天から降ってくるような奇襲の場合は別にいたしまして、やはり緊張時というものは当然考えられる事態でございますから、その緊張時におきまして二十四時間の運用をすればいい、そういうことでございます。
  315. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 さっきちょっと聞きまして、私の勘違いかもわからないんですが、部品の中でFMSで買うものと一般輸入で買うものとがあるわけですね。その二十二億の中でですね。これは九億がFMSで十三億か幾らが一般輸入ということになるのじゃないですか。それは数字は違いますか。
  316. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 いまの数字は関連機材の後年度負担を含めた数字をおっしゃったものと思われます。あとの初度部品は全部FMSでございます。
  317. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 それからもう一つ別のことですけれども、F4のことです。これは古いことですけれども、あのごたごたは別として、いつからいつまでこれは入ってくるんですか。まだ五十四、五十五、五十六と入ってくるんでしょう。なぜそれを聞くかといいますと、今度アメリカの中で、九年間百八十万ドル日商岩井に払われている、こういうことが言われておって、日商の方では、それはライセンスの方の部品だ、こういうふうに言っているわけでしょう。それを向こうの方では何か三菱との調整の費用だとかなんとか言っているわけですからね。それで聞くわけです。
  318. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 F4EJにつきましては五十四年度十機、五十五年度十機、五十六年度二機入る予定でございます。
  319. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 そこで、これは防衛庁に聞いた方がいいのかな。これは三菱重工がライセンスをとってやっているんですかな。それで、そのことについて何かあって、それにまつわる各種調整の礼金としてダグラスが日商岩井へ毎年二十万ドルを払わなければならないという理由があるんですかね。それはあなた方はどういうふうに理解しているの。
  320. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 いまその点につきましては問い合わせ中でございますが、前に発表されましたダグラス社に関するSECの報告におきましては、このライセンス生産に関するコミッションの支払いについては適切妥当なものであるという注釈がついておったわけでございますが、なおそういった報道もございましたので現在調査中でございます。なおまた、関係の当局といいますか、関係のところでもあるいは調査をしておられるのじゃないかと思いますので、その場合はそういった点の推移も見たいというふうに考えております。
  321. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 あなたの方では、そんなことは私の方の関係しないことですと言って突っぱねるのかと思ったのだけれども、ちょっと人がよ過ぎるな。そんなことは突っぱねておけばいいんだよ、あなた。それはそうさ。そんなことをあなたが言うから話がおかしくなってくるのだよ。何であなたの方は防衛庁として調べる必要があるんだ。
  322. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 やはり私どもとしても、できる範囲で事実関係を――これはできる範囲でございます。限界がございます。防衛庁としての限界がございますが、できる範囲でということで、グラマンの問題につきましても、そういう範囲内での調査といいますか、事実の解明というものをやってきたつもりでございまして、そういう範囲内でやるという意味でございます。
  323. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 これは月曜日までにちゃんとよく調べておいてもらいたいのです。  イスラエルがE2Cを四機買ったというのは、一機二百五十万ドルだというのはちょっとね。これは七六年なんですよ。率直に言うと、私も専門家から聞いたのだけれども、ちょっと疑問に思ったのです。それで、二百円で計算すると五十億だと言うのだよ。それと比べると日本のE2Cはものすごく高いじゃないかということを専門家が言われる。この人は元航空幕僚監部にいた人だから名前は言いませんよ。その人がそう言うわけです。私もどうもおかしいという感じを受けたのです。  それから、E2Cは全部で、アメリカの海軍というか空軍というか、二百機生産するんだってね。二百機生産するので、それをプール計算化して、いわゆる例の開発分担金というものを出すのだ。その開発分担金というか、正式の名前は何というのかな、英語で何という名前なのかちょっとわかりませんが研究開発費、これの計算の仕方がいろいろあるんだそうですね。だからいま言った、日本で買う四機だけでやるのと、十機でやるのと、それから八十八機でやるのと、それからほかのをもっと加えてやるのと、いろいろな計算の仕方があるのだ。その計算の仕方はどういうふうな計算の仕方かということもよく研究しておいていただきたい、こういうふうに思います。  きょうは防衛庁長官は非常に退屈していたと思うのですけれども、月曜日はそうはいかぬと思うのですが、いろいろ聞いてまいりたい、こういうふうに思います。  もう一つ。では、一番いいところを教えてあげましょうか。FMSの一番の問題点は、相手方の言い値でこちらが買わなければならないということなのよ。それが一番の問題点なのよ。そうでしょう。それを私はいまわざと言わなかったのだけれども、そこにFMSの大きな欠点があるんだよ。そしてその内容は審査できないのよ。これがFMSの長所でもあり欠点でもあるわけです。アメリカとしてはそれをやりたい。アメリカとしてはそこに研究開発費を上乗せをして、そしてダグラスなりグラマンなり、ああいう防衛産業を助けて、産軍一体となってそれをみんな日本におっかぶせてくる。こういう形のものですね。これが一番大きな問題です。だから、FMSと民間ベースで買う場合との長所、短所、メリット、デメリットの点はよく研究しておいてくださいよ。これは聞きますからね。大きな問題になります。  それから、今度八十五億で買うということについての、その八十五億の内容はあなたの方でできる限り明らかにしてもらいたいことです。ということは、この研究開発費なんという問題については、もっと交渉すればまけられるのではないか、もっと安くなるのではないかという関係なんです。これは一〇%から二〇%の割合なんですよ。このE2Cの場合に何%がかかっているかということがどうもはっきりしないわけなんだ。あなたの方にアメリカからの見積書が来ているわけだ。それに書いてあるはずですよ、それは。そこら辺のところがはっきりしないわけですね。  それから、F15の場合に、日商岩井の手数料というのは大体一・五%ぐらいだということを言って、あなたの方の江口という人も、はっきりは言わぬけれども大体その程度だと認めているわけですよ。一・五%というのが代理店契約なんだと言っているのですね。江口という人も、端的に申しますればかなり近い数字だ、こう言っているわけですね。  だから、今度の場合、五%という数字がどこから出てきたのか。手数料は向こうの会社の人が言ったというのでしょう。全然理解できないのです。こんなことは、五%などということはあり得ないと言うのだ。ところが、あなたの方は、五%というのはコミッションであるということは、この前認めたのじゃないですか。違うの。
  324. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 この前の証人喚問のときに、日商側から補用部品については五%、機体については二%という発言があったことを聞いております。
  325. 山下元利

    山下国務大臣 先ほど来るる政府委員から申し上げましたが、調達方式につきましてはFMS方式もございますし、また一般契約による部分もございますが、それぞれメリット、デメリットがございます。このたびのE2Cにつきましては、私どもはFMS方式をとったことはよかったと思っておりますし、またその価格等につきましては厳正な手続を経、審査を経て決定いたしている次第でございますので、私からも一言申し上げたいと思います。
  326. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)分科員 終わりにします。
  327. 藤波孝生

    藤波主査 以上で稲葉誠一君の質疑は終了いたしました。  次に、伊藤公介君。
  328. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 私は、予算委員会分科会で、昨年、一昨年と三年続けて取り上げさせていただいた問題でありますけれども東京はいま大きく分ければ、二十三区の区部と多摩地域という二極構造のような形になっているわけでございます。その多摩地域にかつて多摩の弾薬庫に使われていた跡地がございます。この多摩弾薬庫の跡地と隣接をいたしまして、関東地域では最大のニュータウンづくりが急速に進められております。もちろんこの地域は、かつて武蔵野の自然に恵まれた地域であったわけでございますけれども、短期間の間に急速な開発をされて、かつての自然は全く開発をされてしまって、その中にいま林のごとくニュータウンづくりが進められているわけでございます。その完成をすれば四十万、周辺を集めて五十万都市と言われるニュータウンにちょうど隣接をして多摩弾薬庫の跡地が現在あるわけでございますけれども、この米軍の利用状況は現実にはどのようになっているのか、まずお聞きをいたしたいと思います。
  329. 玉木清司

    ○玉木政府委員 多摩のサービス補助施設は、ゴルフ場と野外練成地区とに分かれているわけでございますが、ゴルフ場の使用状況は、関東地区にあります空軍関係を中心にしました米軍が相当頻繁に使っておりまして、週日におきましても百八十人前後の利用状況を呈しております。また、野外練成地区におきましては、キャンプとか集会とかいうふうな形で十分に利用されておる状況でございます。
  330. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 実はつい先日、私この弾薬庫の跡地の中を半日近く、細かく実態の調査をいたしてまいりました。同時に、何日かにわたって米軍のゴルフ場あるいはキャンプ場にお勤めになっている方々のお話等も伺って実態の調査をいたしてまいりました。  キャンプ場につきましては、周辺日本のボーイスカウト、ガールスカウトの方々が夏の間に、本当に数えるほどでありますけれども合同でキャンプ等をやっているというお話は伺いましたけれども、ゴルフ場の利用状況に関しましては、これはもう私の調査の中では非常に少ない。  いまお話がありましたからお尋ねをいたしますけれども、ゴルフ場の利用状況は、米軍横田基地は家族を含めて住んでいる方は七千人近くでありますが、その方たちが一体週にどの程度実際ゴルフをやっているのか、それは米軍人たちがやっているのか、あるいは米軍の紹介で日本人たちがやっているのか、その実態をひとつ正確に掌握していただきたいと思いますが、もう少し詳しく実態を御報告いただきたいと思います。
  331. 玉木清司

    ○玉木政府委員 ゴルフ場の使用状況は、先ほど週日で百八十人前後と申しましたが、私の報告を受けておりますところでは、週日における一日の平均使用者数は百八十八名、週末、土曜、日曜におきまして百八十名、日本の祝祭日におきまして百五十七名、これを平均しますと一日百八十四名であります。  なお、野外練成地区の利用状況でございますが、五十三年におきます利用人員は二万六千人であったというふうに報告されております。
  332. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 米軍の横田基地に住んでおられる七千人のレクリエーションの場として提供することも大事な問題でありますけれども東京を二分する、しかも多摩ニュータウンだけに限っても、もうここほんの数年の間に四十万を超えるニュータウンづくりをしている中で、この弾薬庫の跡地利用ということは、東京都民にとっても非常に重要な問題になっているわけでございます。地元からも返還に対する非常に強い――すでに署名等がかなりの数に上がっているのではないかと思いますが、いかがでしょう。
  333. 玉木清司

    ○玉木政府委員 防衛施設庁の方に、この問題につきまして陳情の形で御意見が出されておりますが、それは四十七年の一月に稲城市長、同市議会議長、多摩市長、同市議会議長連名で、施設長官あてに休養福祉施設の希望が出されております。昭和四十九年十一月十八日には、稲城市長と同市議会議長から施設長官あてに、やはり総合グラウンドの建設用地として一部返還を願いたい、こういう意見も出ております。昭和五十一年の十一月には、多摩市長から昭和記念公園の建設を要望するというような陳情書も出ております。五十二年一月二十五日には、稲城、多摩両市議会議長から施設長官あてに同様の趣旨の希望が出ております。五十三年四月には、衆議院議員の石川要三氏から昭和記念公園関係の陳情が出ております。  これらの陳情が出ておりますが、この施設は、関東地区におきますたくさんの在日米軍の駐留のために、それら軍人、軍属を含めまして駐留の本来の目的を達成するために士気高く駐留を続けていただかなくちゃならない安全保障条約上の立場がございますので、われわれといたしましては、大変大事な目的を達成しておる地区であるというふうに考えておるところでございます。
  334. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 防衛庁長官に伺いますけれども、たしか昨年の予算委員会分科会で、同じように防衛庁長官に実は私伺いました。そのときに防衛庁長官は、地元からの具体的な強い要請があればそれに対して検討を始める、地元からの正式なそういう陳情等あるいは自治体の要請を待って検討していきたい、こういうお話がございました。いまのお話のとおり、地元からは地方自治体の市町村長さん、あるいは住民皆さんからもすでに署名が数多く寄せられているわけであります。防衛庁長官として、いま昭和公園のお話がございましたけれども、これはもう五十万の多摩ニュータウンの方々だけでなくて、東京全体の公園を確保するという意味を含めて、東京都民の憩いの場として、きわめて数少ない残された自然地帯でありますので、ぜひ返還をしていただく方向で御検討をいただきたいと思いますけれども長官のお考えをお尋ねしたいと思います。
  335. 玉木清司

    ○玉木政府委員 御指摘のように、昨年防衛施設庁長官から先生のいま述べられましたような答弁を申し上げておりますが、しかし先ほども申し上げましたように、本施設は関東地区におきます大変貴重な施設、区域でございますので、るる申し上げた地元からの御意見等もまだ完全に具体的なものとして受け取る段階ではございませんし、それに引きかえましてこの施設が果たしております安全保障条約上の意味を考えますと、われわれとしましては大変大事に評価しておるところでございます。  なお、御参考までに、このような地元からのお話もございましたので、陳情等がございましたので、われわれとしましては、合同委員会の下部機関であります施設分科委員会におきまして、非公式な場において米軍の本件に関する考え方を討議したことがございますが、その際にも、米軍の方はこの施設の有効利用を今後も続けていきたいという趣旨でございまして、返還に対する米側の考え方は大変否定的でございます。
  336. 藤波孝生

    藤波主査 長官、何かありますか。
  337. 山下元利

    山下国務大臣 地元の皆様のお気持ちをくんだお話がございました。私も十分承りましたが、この問題につきましては、ただいまも政府委員から申しておりますとおりに、わが国といたしましての立場、かかわり合いのあることでもございますし、また国有財産でもございますので、防衛庁といたしまして直ちに申し上げるほどの段階ではございませんけれども、ただいま御趣旨のほどは、私は十分承りました。
  338. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 もう少し周辺状況をお話ししないといけないと思いますけれども、実は天皇在位五十周年を記念して東京に、これは全国ただ一つ、もちろん指定されたわけでありますが、東京の立川基地跡を利用して昭和公園を指定するということが決まったわけでございます。すでに予算づけもされておるわけであります。この昭和公園、実は三木内閣の時代にこの構想が一部出たことがあるわけでございますけれども、立川の基地跡と、それからいまお話を申し上げている多摩弾薬庫の跡地とをグリーンベルトでつないで、そして将来、東京を割って流れている多摩川を越えてブリッジにして、二眼レフのような形で東京都民の憩いの場にしようではないかという構想が発表されました。ニュータウンが、いま申し上げたとおり五十万都市ということで急速に都市づくりがされておりますけれども東京の南北の道路状況はもう連日渋滞でございまして、多摩ニュータウンに隣接をしております国電矢野口駅周辺は、わずか五、六百メートルのところを車で行くのに四十分、ときには橋を渡るのに小一時間かかるという、人口はどんどん急増していく、しかし道路は依然として変わらないという状況でございます。こうしたことを含めて昭和公園をつくることが立川の方はもう決まったわけでございますが、いずれにしても、昭和公園が完成をいたしますと、国立図書館だとかあるいは野外音楽堂であるとか、いろいろな国立の施設ができますから、東京の中心部から多摩地域に、土曜日、日曜日には昭和公園に足が向くのではないかということで交通の問題がさらに心配をされております。  そこで、東京を二分する多摩地域市町村では――東京は、御承知のとおり新宿で山手線に乗りますと、五十五分たつと、最近おくれておりますから五十五分以上かかるわけでありますけれども、規則でいけば五十五分たつともとの駅に戻る、こういうことになっております。多摩地域二十六市五町一村は、最近はHSSTとか、非常に進んだ新交通システムがございますけれども、そうしたことも含め多摩の連環都市構想、これはモノレールで各市町村を結ぶ、そうして、そのちょうど中心部に昭和公園が立川と多摩弾薬庫の跡地を結んでできますと、東京は山手線と多摩連環都市構想、モノレール構想とが非常にうまくかみ合って、まさに交通の問題でも二極構造になるのではないかというふうに実は考えておるわけでございまして、そうしたことを考えますと、立川の基地跡だけでは十分ではないわけであります。  かつてからこういう構想が都民の中にも、また中央の中にもそういう声があったわけでございますので、歴史的な東京の交通改革、そして昭和公園の指定等、時期的にそういう時期にございますので、ひとつ現防衛庁長官としても、新しい東京の町づくりの糸口をぜひ開いていただきたい。  そういう強い認識をひとつ持っていただいて、いまお話を伺いますと、具体的な問題がまだ提起をされていると受けとめていないというような御趣旨の御答弁がございましたけれども、それでは、地元市町村も、それから住民皆さんも、こういう強い要請をされているのに、具体的な問題提起ということは一体どういうことを指すのか。東京改革の非常に大きな問題点でありますから、ひとつありきたりな役人答弁でなくて、東京の町づくりをこれからどうするかというこの問題を本気で考えていただきたい。これは黙っていれば、当然米軍は広いレジャー施設を持っていた方がいいことはあたりまえのことでございまして、たとえ十人使おうと、二十人使おうと、ないよりある方がいいことはあたりまえのことなのですね。  私も、実はここに参りまして皆さんのお話も伺いましたし、また、横田基地にいる私の親しい方々からもお話を伺いました。もちろん公式的な米軍の方々から正式にお話を伺えば、これはぜひ確保していただきたいということは当然でありますが、しかし、横田基地に住んでいる個々の皆さん、私が個人的におつき合いをしている家族の皆さんからお話を伺えば、本来は在留している米軍の方々が日本施設を使って、そして日本施設の中で日本人たちとたとえばゴルフをやるあるいはキャンプをやるということの方が日米の将来ということを考えればいいのではないかと話すのです。新しい都市づくりのど真ん中に米軍のレジャー施設があって、その隣では日本人たちが三DKに押し込められて多摩ニュータウンづくりをしている。非常に不自然な状況があるわけでございますから、私ももうことしで三年目、同じ質問を繰り返しているわけでありますが、これは多摩だけの問題でなしに、東京の町づくりの非常に重要なかなめでございますので、ひとつ真剣に関係の各省庁で連絡をとっていただいて、そして米軍側にも強く要請をしていただきたい。米軍側へのそういう話し合いのルールにのせていただければ、私たちも援護射撃をぜひしていきたいと思っておりますので、御検討いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  339. 玉木清司

    ○玉木政府委員 東京周辺の環境の中で将来のことをいろいろの立場で考えるということは、これは私もまた一人の人間として大事なことだと思います。しかしながら、それぞれの立場立場で主張しているわけでございますので、都市近郊の開発の問題あるいは福祉の問題全体を考える立場のところで熟した案が出てまいりましたならば、またそれに対応するような立場において考えていかなくちゃならないだろうと思います。  ただ、御参考までに一例を申し上げますと、施設、区域あるいは自衛隊施設等がございますときに、そういうような問題で最近ありました例が、演習場を通らなければ新しい幹線道路がどうしても通せないというところまで煮詰まった計画ができましたときに、その計画に即して、それでは演習場をどうするのかというような運びをした例がございますが、そういうような一つの例を御参考に申し上げる次第でございますけれども、建設省あるいは内閣全体におきましてこの東京近郊の問題を取り上げて、しかも米軍施設、区域の重要さを考えながら検討されました計画が具体的になってまいりましたならば、その段階におきまして、またそれに相応する検討をする時期じゃなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  340. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 先ほどちょっとお話し申し上げた具体的な地域からの問題提起ということは一体どういう内容をもって具体的な要請ということになるのかということが一つ。  それからもう一つは、施設分科委員会というお話でしたが、米軍側と討議をした経過があるというお話ですが、これは向こう側はどなたで、こちら側はどなたで、どういう時点でお話をされたのか、御報告をいただきたいと思います。
  341. 玉木清司

    ○玉木政府委員 具体的な計画と申しますのは、私どもの方で何々が具体的というふうに注文する問題ではございませんで、それを所管されるところで具体的につくられるということになると思います。  それから、二つ目のお尋ねのアメリカ側と非公式に折衝したのはいつかというお尋ねでございますが、実は施設特別委員会というのが合同委員会の下部機構としてございまして、そこで五十一年の十二月とことしの二月と、二回行っております。(伊藤(公)分科員米軍側はどなたなのですか」と呼ぶ)施設特別委員会の代表は、日本側は私がやっておるわけでございますが、アメリカ側は、ツルスデールと申します在日米軍第四部長でございます。
  342. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 地元からは、昭和公園が指定をされた段階昭和公園として返還の手続をとっていただきたいという、これは私は具体的だと思うのですけれども、要請が出ているわけですが、これは手続としてはこれ以上具体的に問題提起をしろと言われても、地元では、いまそういう状況でどうしてもこれは返還してもらいたいと、地元民、それから各市町村、多摩市、稲城市の市長さん名でもう提出をしているわけですから、それについてそれぞれの省庁で検討していただく。特に防衛庁施設庁に検討していただかなければならないと思いますけれども、それ以上のことというのは実際、どういうことになるわけですか。
  343. 玉木清司

    ○玉木政府委員 いまのお話、地元からのお話は、私どもの方へは返還促進という形で参っておりますが、昭和公園の問題になりますと、それを所管される機関におきまして各方面からの御意見をおとりまとめになってのことと思いますので、私どもの方は施設、区域の提供の責任を果たす当事者としまして、それを総合的に所管いたしますところからの御意見のことを具体的な問題というふうに意識しておる次第でございます。
  344. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 いずれにしても関係省庁、これは防衛庁、建設省、国土庁、もちろん外務省も必要でありましょうし、最終的には国の財産になるわけですから、大蔵省も必要だと思います。それぞれの方々、もうすでにこういうことは何回も出ているわけですから、この問題についてどのようにお考えになっているのか、各省庁のお話を伺いたいと思います。
  345. 田辺昇学

    ○田辺説明員 建設省の方では、当初天皇陛下御在位五十年記念の公園建設の構想段階で、立川基地跡地と多摩サービス補助施設の土地に着眼いたしました案をもちまして緑道構想などを述べたことがございますが、結論といたしましては、返還されました立川基地跡地は、目下国有財産審議会の方で御審議願っておるという状況でございます。  多摩サービス地区につきましては、弾薬庫の跡地につきましては、あそこの有力な緑地的な意味で着眼はいたしておるわけでございますが、いずれも返還問題があってからでないと、われわれとしては具体的なことができないというのが実態でございます。
  346. 平野侃三

    ○平野説明員 昭和五十二年三月に策定されました首都圏整備計画におきまして、多摩地域全体の整備の基本的な方向として、「公害の防止を図るとともに、無秩序な市街化の抑制に留意しつつ、」「居住等の機能を計画的に誘導し、緑地空間の体系的な保全及び整備を図る。」と定めております。ただ、この多摩弾薬庫につきましては、現在米軍への提供施設ということで利用されておりまして、いまのところ返還の予定もないということでございますので、首都圏整備計画では跡地利用について特段何も定めてございません。しかし、地元から先生御指摘のように公園の要望もございますし、また、建設省も、できれば昭和記念公園の一環として整備したいということの意向がありましたことは聞いてございます。  国土庁といたしましては、将来返還されました時点で検討することといたしたいと思っておりますけれども、その際には首都圏整備の観点から、必要がございましたら大規模公園または緑地として整備することも含めまして、検討させていただきたいと思っております。
  347. 丹波実

    ○丹波説明員 お答えいたします。  長期的に考えた場合に、国民の支持がなければ安保条約というものは効果的に維持ができないということは私たちよく認識しているつもりです。  そこで、一番重要なことは、このような問題については米軍のリクワイアメントといいますか、米軍側の要請というものと、先生先ほどから御指摘になっておられるローカルコミュニティー、そういったもののニーズというものをどう調和させるかという問題だと思うのです。ですから、そういう観点から、今後とも防衛庁あるいは防衛施設庁とも協議して、どういうことができるかということを私たちとしても考えていきたいと思います。
  348. 高橋公男

    ○高橋説明員 大蔵省といたしましては、返還になれば遊休、要するに遊んでいる国有地ということになりますので、当然その有効利用を考えなければいけないと思っております。先ほど先生御指摘の、あるいは各省から説明がありました、たとえば建設省の昭和記念公園の構想とか、あるいは稲城、多摩両地元市の要望とかというものはよく承知をいたしておりますが、まだ具体的な返還の見込みが立っていないということで、関係方面からの利用要望が出そろっていないという状況でございます。それで、現在の時点では、具体的な利用計画の策定作業には入っていないわけです。具体的な返還のめどが立ちました時点で、関係方面の利用要望をよく総合的に検討いたしまして、最も有効な利用を図っていきたい。その場合に、現時点で考えれば、先ほど来各方面から言われました公園としての利用というのが非常に大きな検討の要素になろう、そういうふうに考えております。
  349. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 実力大臣と言われる山下防衛庁長官に、ぜひ歴史に残る都市づくりをやっていただく意味で、いま各省庁のお話を伺いますと、とにかく返還のめどがつけば、皆さんそれぞれ、待っていたとばかりいろいろな御計画が恐らく胸のうちにはおありではないかというふうに私も思いますので、問題は、実現することが大事なことでございますので、東京の都市づくりのまさに出発点になる問題でありますから、関係各省庁に一度このことを強くお諮りをいただいて、そして米軍と大臣御自身がさうした折衝をぜひしていただきたい。その援護射撃は必ず地域皆さんがされると思いますし、それから東京皆さんが、私伺っているところでは、立川の昭和公園ができただけでも、約三十万人近い人たちが土曜日、日曜日には都心から昭和公園に向かうだろう、もちろん東京の中では最大の昭和公園が実現をするわけでありますから、これに弾薬庫の跡地の返還ができれば、東京の中では非常に大きな文化の中心になると私は思っておりますから、ぜひ大臣から強力に各省庁へ働きかけをしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。
  350. 山下元利

    山下国務大臣 新しい都市づくりについての御高見を伺いました。大都市の持つ交通問題あるいは文化、生活、いろいろな観点からいたしまして、私は個人としてもいまの御意見は大いに参考とさしていただくべき構想であると思います。  ただ、実はこの問題については、私どもの方からも申し上げましたし、関係省庁からも申し上げましたが、まず返還を受けて、それから構想ということのいまの段階であるかと思うわけでございます。そのことを考えます場合に、私の方の担当といたしましては、現在わが国が持っておりますところの条約上の義務の履行という立場もございます。同時にまた、いまるる伺いましたところの地元の皆様のお気持ちも十分私どもは、特にまた人口もふえまして、従前とは様子も変わっていると思うわけでございますから、そうした中で、この調和をどう図るかという点は大変むずかしい問題でございますけれども、しかもまた、これは現在は米軍が使用いたしておる、また、それは国有財産である、国有財産についてはどうするかにつきましては、貴重な国の財産でございますから、そのあり方につきましては広く総意をまとめていただかなければならぬ、総意を伺った上で検討しなければならぬ事情もございますので、私どもからいま直ちに一概に申し上げることはいかがかと思うわけでございますけれども、いずれにいたしましても、そうした条約上の義務、そしてまた、米軍の要望と、そしてまた、地域皆さんのお考え、また新しい都市のあり方をどうするか、いろいろな問題を考えていかなければなりません。ただ、きょう十分その話を承りましたので、直ちにいまどうということは申し上げませんけれども、そのことは私深く銘記いたしまして事に当たりたいと思う次第でございます。
  351. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 時間が参りましたので、実は中越紛争についてもお聞きをしたいと思ったわけでありますが、もしそういうことでおいでいただいている方がいらっしゃれば大変恐縮でございます。  時間が参りましたので、きょうの質問はこれで終わらしていただきます。ありがとうございました。
  352. 藤波孝生

    藤波主査 以上で伊藤公介君の質疑は終了いたしました。  これにて総理府所管防衛庁に関する事項についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  353. 藤波孝生

    藤波主査 次に、皇室費及び裁判所所管について順次説明を求めます。山本宮内庁次長
  354. 山本悟

    ○山本(悟)政府委員 昭和五十四年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明いたします。  皇室費昭和五十四年度における歳出予算要求額は、二十六億六千二十七万円でありまして、これを前年度予算額二十四億八千三百二十七万円に比較いたしますと、一億七千七百万円の増加となっております。皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。  以下、予定経費要求書の順に従って、事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費一億九千万円、宮廷に必要な経費二十三億五千二百三十五万円、皇族に必要な経費一億一千七百九十二万円であります。  次に、その概要を御説明いたします。  内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上いたしたものでありまして、前年度と同額となっております。  宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上いたしたものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費三億一千四百三十一万五千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費二十億三千八百三万五千円でありまして、前年度に比較して一億七千七百万円の増加となっております。  皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上したものでありまして、前年度と同額となっております。  以上をもちまして、昭和五十四年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いいたします。
  355. 藤波孝生

    藤波主査 次に、牧最高裁判所事務総長。
  356. 牧圭次

    ○牧最高裁判所長官代理者 昭和五十四年度裁判所所管予定経費要求額について御説明申し上げます。  昭和五十四年度裁判所所管予定経費要求額の総額は一千七百三十七億六千四百十九万八千円でありまして、これを前年度予算額一千六百二十二億四千六百八十二万二千円に比較いたしますと、差し引き百十五億一千七百三十七万六千円の増加となっております。  これは、人件費において八十億五百三十三万九千円、裁判費において六億九千二百六十七万八千円、営繕費において二十三億七千二百八十九万八千円、司法行政事務を行うために必要な旅費、庁費等において四億四千六百四十六万一千円が増加した結果であります。  次に、昭和五十四年度予定経費要求額のうち、主な事項について御説明申し上げます。  まず、裁判所施設整備充実に必要な経費であります。(一)、東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎の新営に必要な経費として四十三億八千二百七十七万三千円、(二)、その他の裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として八十億二千六百三十一万一千円、合計百二十四億九百八万四千円を計上しております。  次は、人的機構の充実のための経費であります。(一)、特殊損害賠償事件等の適正迅速な処理を図るため、判事二人、裁判所書記官二人、裁判所事務官四人、(二)、会社更生事件等の適正迅速な処理を図るため、裁判所事務官四人、(三)、差しとめ訴訟事件の適正迅速な処理を図るため、判事一人、裁判所書記官二人、裁判所事務官四人、(四)、新東京国際空港関係事件の適正迅速な処理を図るため、判事二人、裁判所書記官四人、裁判所事務官二人、(五)、調停制度の充実強化を図るため、裁判所事務官十八人、(六)、交通事件(道路交通法違反事件)の適正迅速な処理を図るため、裁判所事務官三人、以上合計四十八人の増員に要する経費として八千二百二十三万九千円を計上しております。  他方、定員削減計画に基づく昭和五十四年度削減分として、裁判所事務官三十一人の減員を計上しておりますので、これを差し引きますと、十七人の定員増加となるわけであります。  次は、裁判運営の効率化及び近代化に必要な経費であります。(一)、庁用図書、図書館図書の充実を図る等のため、裁判資料の整備に要する経費として四億七千五百六十万七千円、(二)、裁判事務の能率化を図るため、複写機、計算機等裁判事務器具の整備に要する経費として三億八千六百八十八万一千円を計上しております。  次は、裁判費であります。(一)、証人等の日当に要する経費として四億八千五百七十四万三千円、(二)、国選弁護人報酬に要する経費として十七億六千百七十七万六千円を計上しております。  以上が昭和五十四年度裁判所所管予定経費要求額の大要であります。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  357. 藤波孝生

    藤波主査 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  358. 藤波孝生

    藤波主査 別に質疑申し出もありませんので、皇室費及び裁判所所管については終了いたしました。  次回は、明二日、午前十時から開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十五分散会