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中野(寛)
分科員 私は、この二月十六日に運輸省航空局が発表されました「航空機騒音に係る環境基準の五年改善目標の達成
状況について」これは
環境庁の御指導のもとで行われているわけであります。しかし、その改善内容につきましては、地域住民とともに私
どもきわめて不満を感じてならないわけでありますが、この点についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
まず、その事業主体は運輸省航空局でございますから、まず運輸省にお尋ねをいたします。
先ほどこの発表されました内容を拝見をいたしますと、特に現在最高裁で争っております大阪国際空港に関連をいたしまして重点が置かれていることが列記されているわけであります。そして、その中で、大阪国際空港に関連をいたしますと中間目標値に対するものが八四・三%達成をできた、こういう総括的な数字が発表されたわけであります。地域住民はこれだけひどい航空機騒音に悩まされているにもかかわらず、たとえそれが中間目標値とはいえ八四%も達成できたとは何事かといま怒っております。本来周辺住民の生活環境を守るために設けられました最終目標値というものがあり、その前提、第一段階として中間目標値が設定をされ、それに向かって運輸省は御努力をなさったわけでありますが、本来その中間目標を出すべき五年目の昨年十二月二十六日には中間目標値でありますから一〇〇%それは達成されていなければうそであります。現在エアバス等大型機が導入をされているわけでありますが、その導入の際にも、この導入が地域住民によって認められるならばこれが達成できるのだと運輸省は地域住民に御
説明をされたはずであります。私自身もその際に立ち会っておりました。しかしながら、最終目標値の八四%ではなくて中間目標値の八四%達成というそのことにさえ異議がありますが、同時に、その
中身を分析をいたしますと、やはり大きな不満を感ぜざるを得ないわけであります。
まず、八四・三%という数字はどこから出てきたか。
措置が必要な地域にある世帯数四万二千八百七十九世帯、そのうち、この環境基準値でありますWECPNL、いわゆる騒音値の八十五以下に
措置できた世帯が三万六千百四十世帯、ゆえに八四・三%
措置できたということであります。それではもとの四万二千余りの世帯数はどの範囲の世帯数なのか。たとえばここに私は地図を持ってきました。こちらが大阪空港です。大阪市の方から進入をしてまいります。その進入をしてまいりますときに、その
措置が必要な世帯を
一つの線を引いて騒音コンターを示して、その中でこの世帯数を五年前にお出しになっておられます。しかし、その数字は、五年前の八十五のラインから五年たった八十五のラインまでの数字を比較したその上での八四・三%なのか。そのコンターよりも外にはみ出した部分、これは
措置の必要上道路等で区切りをつけますからぎざぎざが出てまいりますが、そのはみ出した部分も含めての世帯数だとするならば、何もしないでも八十五以下であったところが世帯数に含められていたことになってしまうのであります。そして、それを加えて八四・三%という数字を示されたとしたならば、これは住民を余りにも愚弄した数字だと言わざるを得ないことになってしまいます。住民はそういうパーセンテージを示してもらって、数字が高いからといって満足するものではありません。
ちなみに、航空局が出しました報告書を見ますと、全国のいろいろな地域で
措置を講じてきたけれ
ども、その中でも大阪国際空港に関しては七十何%を投じたというふうな数字さえも入っています。全国での対策費の何%を投じてくださるよりも、それこそ一〇〇%、一二〇%投じてくださること、その数字よりも住民は生活環境が現実的に守られることを望んでいるわけであります。このように、たとえば新聞で報道されまして、大阪は八四・三%達成とまず第一見出しです。見出しをどのようにつけるかは新聞社の責任でありますから、運輸省にとやかく言うことはありませんけれ
ども、このような見出しをつけやすいような発表の仕方をしたと一面言えなくもないと思います。私はこのような発表の仕方に対してどうしても納得ができませんし、以下そのパーセンテージに対してさえも疑問が生じておりますから、時間の
関係ですべてを一度羅列してみたいと思います。
まず
一つは、その世帯数の最初の設定が、何もしなくてもでき上がっている部分、その部分さえも、いわゆる第一種区域全部を入れたとするならば、これは大変誇大広告的な内容になってくるということをまず第一点申し上げておきたい。
それからもう
一つ、運輸省が昨年おはかりになりましたその基礎データが公表されていないのではないか。私もきょうここで
質問を申し上げるに先立って基礎データをいただきたいと申し上げましたけれ
ども、残念ながらそれは出てまいりませんでしたが、これはどういうことでありましょう。公表されて、そしてすべての住民に明らかにされて、その上でこういうコンターを引きましたと
説明されて初めて住民は納得するはずです。そもそもこの問題は、騒音被害を受けた住民が運輸省に対して航空
行政に対して
不信感を抱いたところから出発しているわけであります。
不信を取り除くことは、この対応策の出発点でなければならないはずであります。
ちなみに、そういう中でぽろっぽろっとこの線が八十五の線ですと言って騒音コンターをお引きになった。その外は八十五以下であるはずです。ちなみに、勝部というところの廃川敷では八十七・一という数字が出ておりますし、豊島保育所では八十五・六という数字が出ている。これがたとえ
一つでもこうして出てまいりますと、その基礎データそのものが間違っているのではないかという
不信感を住民が持つのは当然ではないのだろうかと思うのでありますが、まず、これらのデータと、そしてそのバックになります運輸省の態度についてお尋ねしたいと思います。