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秋草説明員 一番わかりやすい経済的な問題にこれは類すると思いますが、私
どもの発注する
電話電信の機器というものは、
電話電信事業がまず
完全独占事業と言っていいくらい
日本で唯一の巨大なる
事業でございますので、発注する品物も
一つの
特注品というか、
電電公社しか使わないという品物が圧倒的なものでございます。もちろん、一般の官庁、民間の
会社で使うような事務用品というものもかなり多くございますけれ
ども、まず
電気通信機材につきましては
特注品であって、ほとんどが
電電公社のマーケットに依存しているということでございます。したがって市販性がない。
したがいまして、これを
競争契約に打ち出すという場合には、確実に入札できるという確実性がなければ、なかなか工場生産というようなものも、非常に膨大な工場なり設備なり技術者、労働者というものを擁しておりますから、安定した生産ができませんので、これを
競争契約でやるならば、
日本のいまの制度で言えば一年契約でございますから、十カ年継続した契約というような契約も、できないことは民間ではないと思いますけれ
ども、一応
競争契約ということになれば、来年必ず注文が受けられるという保証はございません。したがいまして、大きな設備というものも、経営者というものは当然早く償却しなければなりません。また労働者も、来年の不安というものもありますし、確実に注文がとれるという予約もございません。
電電公社のようなマーケットは、しかも注文の量が多いということで、ここに非常に大きな不安感がございますので、これはやはり
随意契約でなければならないのではなかろうか。
それから、これから少し技術的な問題になりますけれ
ども、電気
通信事業というものは、現在、全国の電話機というものは、各
事業所なり家庭に五千万ぶら下がっております。これは
一つのネットワークとして機能するものでございまして、非常な精度の高い技術を要し、また、品質のよい生産過程を経て十分な指導と検査の中で製造されるものでございますので、この点が非常にまちまちの電話機が方々の国から入ってくるということになりますると、その点を完全にネットワークに入れるということは不可能でございます。
それならば、それを徹底的に仕様書で厳重に精密に規制して、そうしてノーハウまで与えて各国にオファーを出して注文をとるということも不可能ではございませんが、その出したものが一社なり二社に入札が落ちて、あとは落ちないということになりますと、せっかくのノーハウも、落ちないところではノーハウだけがいただかれて、実際、注文は受けられない。そういう非常に不自然な形ができまして、各メーカーの技術革新あるいは公社の技術革新、そういうものに対する努力というものは本当にだんだん失われてくるのではなかろうかというようなことが言われます。
そのほか、また品物がまちまちになりますると、具体的には建設工事も保守工事も、それぞれの規格についてまた多少の訓練も違ってまいります。そこに非能率な、人の数、増員というようなものも必然的に起きなければならない、なかなかいまのような安定した保守というものは確保でき得ないという問題が出てまいります。
その他、部品等の供給も一年限りではございませんので、いつ何どき故障が起きた場合の部品の供給というようなものも、これもまちまちな
会社から出てくる品物に対する部品というものも、非常に不安定なものになってきます。
そういうようなことがございまして、一応いまの
お話は、
随意契約というものが一番よろしいのだ。ただ、この
随意契約というものは非常に誤解を招く言葉でございます。これは法定用語にはなっておりますけれ
ども、私
どもの
随意契約は、英語で言うシングルコントラクトというようなものではございませんので、一社というものはございません。必ず二社ないし五社ぐらいでそれぞれの技術指導をして、それぞれの検査もして、工場検査し、それからまた値段も出させて、これを非常に合理的に競争させて、おまえのところは少しこちらが高い、工費が高い、こちらは償却費が少し高過ぎる、そういうものをできるだけ勉強させて、ならして、言うならば公正協議に近いものだと思いますが、そういう意味の
随意契約でございまして、安易なじだらくな契約というようなものとは全く性質の異なるものでございまして、これはまた会計検査院も十分認めていらっしゃる。また、近く行政管理庁も御検査くださるそうでございますが、私
どもは、これは、ぜひとも早く公社に向かって検査もしていただきたいというふうに思っておる次第でございます。