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-
○
竹下委員長 これより
会議を開きます。
この際、
理事の
補欠選任の件についてお諮りいたします。
委員の
異動に伴い、現在
理事が一名欠員となっております。この際、
補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、
委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
竹下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
それでは、
近江巳記夫君を
理事に指名いたします。
────◇─────
-
-
○藤波
委員 第一分科会における審査の経過を御報告申し上げます。
本分科会の審査の対象は、
昭和五十四年度総予算中皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府のうち、経済企画庁及び国土庁を除く分、法務省及び他の分科会の所管以外の事項でありまして、去る二月二十七日から昨三月二日まで四日間慎重に審査を行いました。
質疑者は延べ五十七名、質疑時間は約三十時間に及びましたが、分科員各位の御協力により円滑に審査が行われました。
質疑の内容はきわめて広範多岐にわたりますので、その詳細につきましては
会議録に譲ることとし、ここでは簡単に質疑事項の主なるものを報告することといたします。
まず、総理府本府等の関係では、元号法案の提出の方法と審議のあり方、国際児童年の計画行事、青少年自殺防止、交通事故の救急医療体制の強化、交通遺児困窮救済のための父兄の植物人間あるいは自損事故者の援護、母子家庭の医療無料化、婦人の官庁職種受験制限の撤廃、栄典制度の運用の拡充、猛獣ペットの被害防止、同和対策として同対法三年延長に伴う実態調査、残事業の見直し、自治体の超過負担の解消及び差別図書の取り締まり等、旧陸海軍従軍看護婦の援護、ソ連軍強制抑留者に対する補償、沖繩県の関係では振興開発計画、失業対策、交通変更に伴う営業補償あるいは融資制度延長等の問題について質疑がありました。
環境庁関係では、水俣病認定
委員任命問題と県債の保障、瀬戸内海赤潮機構の解明と体制の強化、電磁公害の生態に及ぼす影響調査、窒素酸化物、浮遊粉じんの環境基準及び大気複合汚染の調査、成田空港におけるノイズサプレッサーの夜間騒音の防止、保護鳥獣の食害対策等の質疑がありました。
科学技術庁関係では、国際科学技術博覧会の開催と準備、二百海里時代の海洋開発構想と開発費の確保、「むつ」の修
理事業の促進と次期母港の選定等の質疑がありました。
警察庁関係では、労働争議と警察の姿勢について質疑があり、北海道開発庁の関係では、北海道開発計画、苫小牧工業開発計画の見直し、地熱発電の促進、千歳空港冬季欠航問題、北電の電気料金等について質疑がありました。
会計検査院関係では、院法の改正と提出の問題、電電公社の幹部の綱紀と会計検査等の質疑があり、防衛庁の関係では、中越紛争の現状と今後の見通し、ソ連の動向及び米国の対応、ソ連地上軍の国後、択捉島の基地建設と位置づけ、米韓合同演習と在日米軍の参加、各基地における周辺対策事業の推進、美保基地CI配備と地元工作、沖繩米軍基地使用条件の変更、多摩弾薬庫の返還、E2C予算に対して、凍結問題に対する防衛庁の姿勢、輸出価格と研究開発費等、退職自衛官再就職援護事業の強化等の問題について質疑がありました。
国会関係では、国政調査権、立法権機能充実強化のための予算の確保と機構の充実、国会図書館整備拡充三カ年計画と予算及び視覚障害者に対するサービスの充実提供、予算修正問題、議院議事録及び発言の引用の著作権法上の解釈、国会職員の処遇問題等について質疑があり、最後に、法務省関係では、輸入航空機問題に関し、福田赳夫氏名誉棄損告訴問題との捜査上の関連、外務
委員会におけるカーン氏らの出入国管理記録の提出等の問題、スモン患者救済と裁判、差別図書の法的規制、検察運用の適正化、狭山事件石川被告の再審問題、裁判官の増員等の問題について質疑が行われました。
以上、御報告申し上げます。
-
-
○
谷川委員 第二分科会の審査の経過について御報告申し上げます。
本分科会の審査対象は、
昭和五十四年度総予算中外務省、大蔵省及び文部省所管のものでありまして、去る二月二十七日から三月二日までの四日間にわたり、慎重かつ真剣な審査が行われました。
質疑者は延べ五十九名、質疑時間は約三十時間に及びましたが、分科員各位の御協力により円滑に審議を進めることができました。
質疑の内容はきわめて広範多岐にわたっておりますので、その詳細につきましては
会議録に譲ることとし、ここでは簡単に質疑事項の主なものを御報告いたします。
最初に、外務省については、外交の基本理念、国際情勢に対する認識、世界連邦に対する評価、アジアにおける日本、中国、米国の位置づけ、中越紛争及びカンボジアに対する外交姿勢、資源外交のあり方、日米間の貿易収支問題、北方領土に対するソ連の姿勢、ソ連との経済協力と漁業交渉、経済援助のあり方、朝鮮統一と政府の見解、竹島の領有権問題と漁業の安全操業、北方水域における韓国漁船の操業問題、中国との二重課税防止条約締結の必要性、イラン情勢の分析とイラン外交、南太平洋諸国の漁業規制と漁業外交の進め方、アフリカ外交と在外公館員の処遇問題外交官の採用と養成のあり方等について質疑が行われました。
また、大蔵省関係では、日米貿易収支の現状と改善策、中国に対する借款供与、地震保険の保証範囲、国債発行条件の改善、税の不公平是正、社会保険診療報酬課税のあり方、一般消費税が実施された場合の国と地方の財源配分、税務行政の窓口指導と質問調査権、酒類販売業の許可のあり方、黒字減らしの緊急輸入の見直し、投資家保護のため証券行政制度の改善、土地値上がりに対する金融措置、拘束性預金に対する行政指導、中小企業関係政府金融機関の融資条件の改善措置、地震対策のための国有財産の活用、筑波研究学園都市移転に伴う跡地利用、米軍返還用地の跡地利用等について活発な質疑が行われました。
最後に文部省関係については、低成長下における教育の理念、大学教育のあり方、同和教育の推進、日教組との話し合い、児童生徒の非行化と自殺の原因、五段階評価の改善、主任手当の実施状況並びに教頭職の増置問題、教科書無償化の拡大、障害児教育の義務化、学校薬剤師の処遇と養成課程の改善、学校図書館における司書教諭の配置問題、義務教育施設の整備と用地取得に対する減税措置、私立学校に対する経常費等の助成措置、幼稚園の義務制化と国庫補助の充実、学校建築における芸術的装飾、学校給食における米飯給食と施設の整備充実、体育施設及び社会教育施設の整備、国民体育大会への中学生徒の参加問題、児童生徒の脊柱側湾症対策、学校保健における心臓病検診のあり方、ボランティア活動における児童の事故死と指導者の責任問題、外国人留学生に対する日本語教育、放送大学の運営方針、夜間大学生の選抜方法の改善、大学宿舎施設の整備、文化財保護に対する国庫補助の強化等多くの点について熱心に質疑が行われました。
以上、御報告申し上げます。
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○野呂
委員 第三分科会における審査の経過について御報告いたします。
本分科会の審査の対象は、
昭和五十四年度総予算中厚生省、労働省及び自治省所管の事項であり、去る二月二十七日から昨日まで、四日間にわたり慎重かつ真剣な審査が行われました。
質疑者は延べ六十名、質疑時間は約三十一時間に及びましたが、分科員各位の協力により円滑な審査を進めることができました。
質疑の内容はきわめて広範多岐にわたっておりますので、その詳細につきましては
会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項の主なるものを御報告いたします。
まず、厚生省関係についてでありますが、第一に、医療体制の整備につきましては、救急医療対策、僻地医療対策、国立療養所の整備、徳洲会病院進出の問題、医師及び看護婦の確保、開業医の標準必要経費の設定等について質疑が行われました。
第二に、社会福祉施策の充実につきましては、老人保健医療対策、保育所の整備、児童の体力低下、心身障害者対策、重症心身障害児対策、視覚障害児対策等について質疑が行われました。
その他、国民年金の特例納付、障害福祉年金の改善、差額ベッド料等保険外負担の解消、国民健康保険税の取り扱い、医薬品副作用被害救済制度の創設、医薬分業の促進、成人病の予防、スモン病患者対策、筋拘縮症の検診と治療方法、原爆被爆者対策、水道料金の格差是正、屎尿処理施設の維持管理の強化、食品添加物の表示の適正化、いわゆる乳等省令の改正、同和対策事業の推進、戦災傷病者の援護、沖繩戦被災補償等の諸問題について活発な質疑が行われました。
次に、労働省関係では、厳しい雇用情勢に対応する雇用対策に関連して、高年齢者雇用率達成、定年延長等の中高年齢者対策、特定不況業種離職者対策、失業対策事業の見直し、同和地区住民の雇用対策、心身障害者の雇用確保、造船業における解雇合理化問題等について質疑が行われました。
その他、労働時間の短縮及び週休二日制の推進、今後の職業訓練のあり方、職業訓練施設の再編成の基準と適正配置、女子労働者に関する労働基準法研究会報告の評価、銀行労働者の労働条件の改善、建設事業の請負契約における労務費等の取り扱い、労働災害死亡事故に対する労働基準監督機関の処理、労働基準監督署の充実強化等の諸問題について質疑が行われました。
最後に、自治省関係では、地方分権の推進と地方財源の強化、一般消費税の国と地方の配分、地方交付税の都区合算の廃止、不況地域に対する特別交付税の交付、人口急増地域に対する財政措置、テレビゲームに対する娯楽施設利用税の課税、都市公営交通事業対策、地方公務員の定年制の導入、沖繩県の市町村道未買収用地の補償、同和対策事業の推進、民生
委員の処遇改善、防災対策の推進、消防施設の整備、消防団員の処遇改善、交通取り締まりのあり方、猟銃所持者の調査等の諸問題について質疑が行われました。
以上、御報告申し上げます。
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○笹山
委員 第四分科会の審査の経過について御報告申し上げます。
本分科会の審査対象は、
昭和五十四年度総予算中経済企画庁、農林水産省及び通商産業省所管のものでありまして、去る二月二十七日から三月二日までの四日間にわたり、慎重かつ真剣な審査が行われました。
質疑者は延べ六十三名、質疑時間は三十一時間余に及びましたが、分科員各位の御協力により円滑に審議を進めることができました。
質疑の内容はきわめて広範多岐にわたっておりますので、その詳細につきましては
会議録に譲ることといたし、ここでは簡単に質疑事項の主たるものの御報告を申し上げます。
経済企画庁所管につきましては、景気回復の現状認識について、特に雇用、物価の動向とその対策、中小企業の育成策等について、さらに日米経済調整及び赤字財政下における今後の経済運営のあり方、また中国、イラン等に対する経済協力基金を通ずる政府借款の方針等について質疑がありました。
次に、農林水産省所管について申し上げます。
まず、農業全体の問題として農政の方針、出かせぎに伴う諸問題とその対策、食糧自給率の見通し、経営耕地の有効利用計画、市街化区域の線引きの見直し、異常気象、米の生産調整については、食糧管理制度のあり方、農協による自主生産調整の評価、転作奨励対策、米の消費拡大等、果樹園芸、畜産物については、アメリカ等との農産物輸入枠拡大に伴うわが国農業への影響と対策、自由化の展望、輸入指定業者のあり方、畜産物等の価格安定対策、養蚕農家の育成及び生糸の一元輸入制度に伴う絹糸価格の問題、蚕糸事業団の助成事業の拡充等、林業関係については、合板価格の動向と流通機構等の対策、国有林の払い下げ問題、林野の有効活用の構想、マツクイムシ対策等、漁業関係については、二百海里時代に伴う安全操業対策、沿岸漁業対策、減船離職者対策、ソ連等との漁業交渉の見通し、栽培漁業の促進、海洋資源の開発、魚類の消費拡大等について質疑がありました。
最後に、通商産業省所管について申し上げます。
まず、通産行政の方針、対米貿易のあり方、東京ラウンド交渉における政府調達問題の対応、特定商品の並行輸入に伴う消費者保護対策、特定不況地域の奨励策の改善と第二次指定の方針、化学肥料産業の過剰設備の廃棄計画、石炭鉱害対策、日ソ経済協力の促進、倒産企業の再建計画と行政指導、輸入絹糸の実態と対策、このほか、空きかんの回収対策、金取引の実態と改善について質疑が行われました。中小企業関係では、産地救済対策としての産地中小企業対策臨時措置法案の内容、経営改善資金貸付制度等の改善、下請支払い制度の改善、家庭紙生産における大企業の進出と分野調整、皮革類の輸入拡大に伴う同和対策の助成策、伝統的工芸品に対する助成策等、
資源エネルギー関係については、イラン情勢の行方とわが国原油の確保の見通し、IEAにおける節約目標とわが国の対応、備蓄目標のあり方、中国原油の引き取り体制、原子力発電建設の実情、電力会社の事業活動と行政指導等について質疑が行われました。
以上、御報告申し上げます。
-
-
○
藤田(義)
委員 本分科会の審査対象は、国土庁、運輸省、郵政省及び建設省の所管についてであります。審査は四日間、質疑者は六十七名、質疑時間は三十四時間余に及びましたが、その詳細は
会議録に譲ることといたします。
最初に、建設省並びに国土庁の所管について申し上げます。
道路関係につきましては、高速自動車道の建設の促進、防音対策、料金の身障者割引、また、一般国道の二次改築の促進やバイパスの建設、立体高架事業の負担割合及び道路建設と景観の保存の関係等について質疑が行われました。
河川、利水関係につきましては、水資源確保のためのダム建設及びそれに伴う補償の問題、中小河川の改修、砂利の採取が河川改修や海浜の保全に及ぼす影響、公共流域下水道事業の整備促進及び国庫補助の見直し等について質疑が行われました。
地域開発関係につきましては、各種の開発計画の推進、過疎対策等について質疑が行われました。
以上のほか、公共事業の景気浮揚性及び不況地域への傾斜配分の問題、公営住宅の屎尿処理、原爆被爆者の入居問題及び都市計画における線引きの見直し等について活発な質疑が行われました。
次に、運輸省の所管。
鉄道関係につきましては、悪化の一途をたどっている国鉄財政の再建対策、赤字要因の一つである地方交通線対策の確立と実行、大宮以南の建設が急がれる東北・上越新幹線の早期完成、大阪外環状線及び通勤新線の建設促進、地方における複線電化の推進その他、東京圏の地下鉄網の整備、私鉄の輸送力の増強等について質疑が行われました。
航空関係につきましては、見切り発車した成田空港への燃料輸送の問題、空港周辺の騒音対策及び地方空港の整備や格上げ等の諸問題について質疑が行われました。
自動車関係につきましては、過疎バス対策の強化、個人タクシーの増車、過積みの規制、白ナンバーによる営業行為の規制等について質疑が行われ、そのほか、造船不況対策、大鳴門橋の併用橋の変更等についても質疑が行われました。
最後に、郵政省関係につきましては、いわゆるマル生運動とそれに対する当局の対応に論議が集中いたしましたが、そのほか、離島、僻地での集配業務の請負制、最近多発する郵便局の強盗事件に対する防犯体制、特定郵便局での女子職員の処遇及び電電公社資材の調達問題等について質疑が行われました。
以上、御報告申し上げます。
-
○
竹下委員長 以上をもちまして分科会主査の報告は終了いたしました。
-
○
竹下委員長 これより、
理事会の協議により、雇用問題について質疑を行います。
要求大臣以外の大臣は御退席くださって結構であります。
塩川正十郎君。
-
○塩川
委員 私は、きょうの雇用問題での集中審議に際しまして、実は国民の立場と申しましょうか、私たちがいろいろな国民の方々にじかに接した、その感触の中から得た問題を主といたしまして御質問申し上げたい。でございますから、特定の組合の主張であるとかあるいは団体の要望というものでなく、国民各層が望んでおる、しかも深刻な問題について、重点的に質問していきたいと思うております。
まず、わが自由民主党は、この低経済成長時代に入りまして、その経済政策の重点を雇用問題、特に労働行政に重点を置いて、それを中心とした経済政策の立て直しを図ってまいったことは事実でございますし、その成果というものはここ近年非常に顕著に出てまいっております。しかも、この五十四年度予算編成をされるに当たりましては、特段にその雇用問題なりこれが福祉と結びついていく、いわば前向きの福祉行政として積極的に取り上げていかれた点について、われわれも非常な高い評価をしておるのであります。
しかし、ここで私は、いろいろな問題が実は出てきておることも事実でございまして、それをまず失業者の問題からひとつ取り上げていきたいと思うております。
現在、いろいろな数字は言われておりますけれども、本当の失業者数は何名になるのか、そうして求人倍率、これもいろいろな数字が出ておりますが、そういうものにつきまして、労働省として正確な数字を一度お知らせいただきたいと思います。
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○細野政府
委員 お答えいたします。
五十四年一月の完全失業者の数は、これは総理府の労働力調査でございますが、百二十七万人でございます。完全失業率、これは季節修正をしたものでございますが、二・〇六%ということでございまして、若干改善の兆しもございますけれども、依然として高水準にございます。失業率自体は五十三年の九月が二・三七%ということで、これがピークでございまして、このところ低下の動きを示しているわけでございます。また、有効求人倍率につきましては、最近求人の増加を反映しまして、これもわずかずつではございますけれども上昇の傾向を続けておりまして、五十四年の一月でございますが、〇・六五倍。これも季節修正をいたしておるので〇・六五倍まで上がってきておる状況でございます。
-
○塩川
委員 細野さん、ついでにお聞きしますが、いわゆる特定不況地域では求人倍率は大体どのくらいですか。
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○細野政府
委員 お答えいたします。
特定不況地域全部申し上げるのもなんでございますので、例示的に申し上げますと、たとえば函館安定所管内でございますが、昨年の十二月で〇・二倍。ですから五人に一人の人しか求人がない、こういう状況でございます。それから八戸が同じ意味で〇・三一、神岡が〇・一六、玉野が〇・二六、下関が〇・三一、これは季節修正してない生の数字でございますが、そういう状況になっております。
-
○塩川
委員 それでは、特定不況地域のことは後で聞くといたしまして、一般と特定不況地域との差が相当あるということは、これで歴然としておると思います。
そこで話を変えまして、雇用問題を後で詳しくお聞きいたしたいと思いますが、まずその前に、雇用問題に埋没しておるというわけではございませんが、実はその陰に隠れて、失業しておる人に対する目というものが比較的薄くしか配慮されておらないように思う。現在失業しておるという人は、金さえ出せばいいというものではない。しかも、失業者、その人は実は大変な生活問題、一番苦しい問題との関連で苦慮しておる。ただ職を求めたいという問題だけではないという深刻さがあります。これは労働大臣の問題だけではないと思うのでございますが、きょうはこの集中審議を通じて労働大臣から、失業者、これもいわば労働者の一形態と見て、失業者の問題に対する格段の配慮を各省庁との連絡のもとで進めてもらいたい、こういう意味でひとつお尋ねいたしたい。それで、御意見もお聞きいたしたい。
まず、失業者で一番問題となっておりますのは、やはり住宅ローンなんであります。ちょうど私らの年配の者が肩たたきをされて、職を探しておる者がずいぶんおります。その中で非常に強く訴えておりますのは、やっと十年ほど前からローンで住宅を買った、五年前から買った、このローンの支払い、これがいま失業した場合に非常に困っておるという話なんであります。そこで、失業しておる人に対して、このローンを一時支払い猶予をしてやるとか、あるいは利子補給とは申しませんが、何かそういう配慮をしてやる必要があるのではないか。個々に金融機関と交渉したり、あるいは保証人の差しかえであるとかなんとかいうことで切り抜けておるようなことではありますけれども、しかし、こういうものに対して制度としての目を向けてやるということが大事なんではないか。対象人員にしましても、私の推計で見まして、いまさっき
局長が言いましたように、完全失業者は百二十七万、約百三十万ということでございまして、そういう点からいろいろな基礎的な計算をいたしましたら、対象になるのは二十万人足らずじゃないかと思ったりいたします。そうならば、こういう人に対して配慮するということも不可能じゃない。しかも、今日持ち家制度を進めていくことが健全な中産階級をつくる一つの大きい要因でもございますので、そういう意味からも、まず失業者の住宅ローンというものに対して、労働大臣として各省庁、特にここに大蔵大臣おられますし、そういうところと協議をして、ひとつ前向きに進めてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
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○栗原国務大臣 いま御提示の問題につきましては、私は初めて承りましたので、関係大臣とよく相談をしてみたい、こう考えます。
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○塩川
委員 それからもう一つ、これは私は労働大臣にまとめて要望いたしますので、各省庁と相談をしていただきたい、こういう意味で申し上げておるのです。
その次は、実は医療の保険料なんです。これはいろいろな機関が調査いたしましたのによりますと、退職した当時はその会社の診療所なんかへ行ってやっておるという場合が多いのですね。ところが、保険料を自分で継続して掛けなければならぬときは経営者負担分も持たなければならぬ、そういう問題が起こってくる。そうすると、案外医療保険というものは、退職してすぐにまた就職するかもわからぬということ等があって、退職時には余り配慮してないのですけれども、これが月日がたつに従うて大変な問題に実はなってきておるのです。この医療保険というものを失業者対策の中でぜひひとつ考えていただきたい。特に五十五歳以上の人は、たとえばその手続等がいろいろできなくて、あるいはまた保険の知識がなかったということ等から、ある機関の調査によりますと、七・五%という人が、五十五歳以上の失業者ですよ、七・五%が全額自己負担で医療を受けておるというようなことがあります。したがって、この医療保険問題、これはぜひひとつ考えて、一回実態を調べていただいて、そういうものに配慮をしていただきたい。これも初めてお聞きでしょうか。そんなことないでしょう。
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○栗原国務大臣 実態をよく把握いたしまして関係省庁と対処いたしたい、こう考えております。
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○塩川
委員 それからまた、教育問題なんですね。教育問題も、在職中は無理をして親が希望する学校へ子供を入れている人が相当あるのです。たとえば私立学校で親が希望するようなところへ入れたというような例がたくさんあります。それは大臣なんかも、やはり地元でもずいぶん聞いておられると思うのです。ところが、失業した途端に実はその手続がなかなか小まめにとれない、したがって、教育のためにと言いましょうか、そういうことでわりと失業者の奥さん方が手軽にサラ金に手をつけたりしている人が多いのです。これは実際にあるのですよ。また、その返済で親戚に迷惑をかけておるというのがあるのですね。そこで、失業した人はすぐに奨学資金に切りかえる。これだけ奨学資金制度が充実し拡大してきておるのですから、そういうことが容易にできるようなことを講じてやってほしい。これはそういうことを申し込めばわりあい簡単に奨学資金を貸してはくれるのですけれども、そういうことを知らないがために、あるいはそういうことを恥ずかしいと思うておる、いわゆる認識不足から来ておる場合が多いのですね。
こういうこと、先ほど言いました住宅ローンの問題だとか医療保険であるとか教育費、そういうようなものが、実際は職業安定所の窓口相談の中で行われるべきだと私は思うのです。そういうことは実は全然ないのですね、いまのところ。どこへ相談したらいいかというので、やはり身内の者なりあるいは自分の身近な者にやっておるということ。私は、今日まではそういうことで、いわば失業者対策というものは金を出していけばということでいけたかもわからぬけれども、いま、その失業しておる人の生活そのものをどう考えてやるかという、そういう労働行政になっていくべきだと思うのです。まだたくさんありますよ。たとえば開業資金を借りたいといったときなんかでも、どこへ相談に行こうかとうろうろしちゃっているのですね。自己開業資金なんかでも、私らが直接相談に乗る場合が多い。行けば簡単なんだけれども、相談する相手がないという。一方、公共職業安定所というものは金を払うところの機関みたいになってしまっておる。先日もこの
委員会でどなたか質問しておられましたが、そういう点はひとつ労働大臣においてこの際特段の配慮をしてやってもらいたいと思うのですが、そういうことについてのお考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。
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○栗原国務大臣 御指摘のとおり、失業された方、子供が学校へ行かなければならぬ、あるいは住宅の問題あるいは転職、ほかに職を求める、どういうふうにしたらいいかと、いろいろお困りの点はあると思うのですね。実は、職業安定所の窓口でそれをやれれば一番いいのですが、御案内のとおり職業安定所は、失業だけでなくて求職といいますか、その方でも人員が足らなくて苦労しているというところでございますので、そこまではなかなか手が回りかねるというのが偽らざる実情でございます。しかし、きめ細かい労働行政を展開するという観点からいたしますと、いま御指摘のような点も、これはおろそかにできません。そしてこれは労働省だけでできる問題ではございませんので、政府の中には雇用問題閣僚
会議等がございましていろいろやりますが、この閣僚
会議の中で処理できるものは処理をする、閣僚
会議では処理できないものにつきましては、別途関係省庁とよく連絡をとりまして、問題を整理し、どうしたら解決できるかということについて努力をしていきたい、こう考えております。
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○塩川
委員 そこで労働大臣、この際、公共職業安定所の事務を、給付をするところ、その部門と、職業あっせんなりあるいはそういう相談をする場所と、建物を二つに割れというようなことは申しませんが、入口を変えたり、とにかくその利用をもう少し考えてみられたらどうだろうか。これだけ制度が進んでおる中で、職業安定所のあり方というものが変わってない、それは非常に残念に思うのです。したがって、先ほど申しましたような二つ持っていますから、そういうようなものの運用について、つまり利用しやすいような形に、やはり形をそうしてやらなければ、一つの出入口から入って、それはなかなかむずかしいのじゃないかと私は思うのですが、そういう配慮はどうですか、考えていかれますか。
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○細野政府
委員 先生御指摘のように、職業安定所が発足しましてから相当の年数がたっているわけでございまして、その間のいろいろな情勢の変化、それから先ほど労働大臣から申し上げましたような、業務量が非常にふえているというような動向に対処いたしまして、そこで、いまの安定所のあり方を、仕事の面からいっても、あるいは利用者の面から見て、いろいろな角度から見まして直すべきところは直すべきじゃなかろうかということで、内部に検討
委員会を設けまして、いろいろな改革案をつくりまして、その改革案をもとにしまして、いまそれぞれの実験安定所に、その改革をやって、実際にやってみた場合に職員側の方としてどうか、あるいは利用者から見た御批判はどうかというふうなことを実は目下やっている最中でございます。その中の一つに、いま先生も御指摘ございましたように、保険関係の給付事務とそれから紹介関係とを、これも実は経緯がございまして、あるときは同じ課で扱い、あるときはこれはどうもうまくないというので切り離すというような、いろいろの経緯がございますけれども、現時点ではこれを違う課で所管した方がいいのじゃないかということで、それも一つの実験の中でやっておるわけでございまして、そういう実験の結果、大変これがいいということが明らかになりますればすぐ実行したいというふうに考えているわけでございます。
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○塩川
委員 細野さん、たとえば商店街のところとか駅前に職業あっせん関係の事務を持っていくとか、こういうようなことを考えてみたらどうでしょうか。どうしてもあの役所には入りにくいですよ。だから、簡単に相談できるという、そういうことから見ると、私はデパートの一角でもいいと思うのですよ。あるいは商店街の真ん中、駅前、こういうところへちょっとした窓口をつくってやる、これは私は非常に効果があると思うんです。検討しておいてください。返事は結構です。それで失業者というものに対して目を向けていただきたいということ、これはただ金だけではなくして、そういう生活の苦しみがあるということ、これをひとつ考えていただきたいということ、これが一つです。
それから、職業訓練の問題をちょっとお聞きしたいと思うのですが、職業訓練は、産業構造の転換に伴って、職業訓練の科目と申しましょうか、そういうようなものも当然変わっていくべきだ、こういうことです。そこで、ちょうど小坂長官おいででございますので、小坂長官は、私もこれはなるほどと思って読み物を読んだことがあるのですけれども、産業構造に見合う、第三次産業だけではなくして、第四次産業、第五次産業というような考え方を導入してもいいじゃないかと、こういうことを言っておられる。私は、確かに第三次産業なんてこんな漠然な概念で物事を処理するのではなくして、そういうことはひとつ明確になればそれもいい考えだなと思ったりするのですが、そういう産業構造から新しく出てくる第四次、第五次というものについて、どういうお考えを持っておられるか、ちょっとこの席でお聞かせいただきたい。
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○小坂国務大臣 御指摘のように、第三次産業といいますと、もうみそもくそも一緒にかたまってしまうので、これはある場合には政策対象としては非常にとらえにくいわけであります。同時にまた、日本の経済構造そのものが非常に高度化しておりますし、非常に高付加価値へ動いていっているわけですから、そうしたような場合に、単純な製造あるいは非製造というような分け方でなしに、もう少しきめ細かく分けて見るという試みをやってみたいという考えを持っておりまして、経済企画庁では多少そうした方向について勉強を始めておるわけでございます。
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○塩川
委員 私の持ち時間の範囲内で、浜田
幸一君に関連質問をひとつお許しいただきたいと思うのですが……。
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-
○浜田
委員 私は
経済企画庁長官にお伺いしますが、わが国の政策の中でいま雇用問題は非常に大きな問題になっておりますけれども、いままでの議論を承っておりますと、非常に基本的な問題について議論が足りないような気がする。そこでお伺いしたいのは、現在の経済推移の中から見て、わが国の労働力ですね、すなわち労働人口は、たとえば五カ年計画でも結構でございますから、どの程度必要なのか、この辺についてどういうお考えをされているかお答えをいただきたい。というのは、根っこの問題については、経済政策についてはアクセルとブレーキを両方踏んでいるような状況ですね。ですから、これは非常にむずかしいと思うのです。経済成長をたとえば一〇%以上とり得る状況であるならば完全雇用ができる、これが七%に落ち込んだ場合には百五十万の失業者が出る、数字は調査した数字ではありませんけれども、概略そういう経緯がある。ことし経済成長が六・二%に落ち込んだ場合には働き場が失われていくのは当然のことだと思うのですね。そういう点から考えまして、私はまず基本的な問題でこの一点をお伺いしておきたい。
特に予算
委員会の質疑等においても不思議でならないのは、わが国の総体的な人口計画というものが定かになっていないのですね。この狭い国土に一億一千二百万人の人間が住んでいる。これが一億二千万人になった場合の経済規模はどうあるべきか、一億三千万人になった場合にはどうあるべきか、当然数字の上では出ていますけれども、そういう問題を含んでいくと、労働問題というのは非常にむずかしいと思う。ですから、そういう点を踏まえて、私は、基本的な問題でもしできたらお答えをいただきたいと思うのです。
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○小坂国務大臣 浜田
委員の御質問に的確なお答えになるかどうか、ちょっと私自身も自信がございませんけれども、今年度の労働人口のわれわれの推定が大体五千五百五十五万人で、就業労働者総数が五千四百二十五万人だというような、大体そういう方向にいまおるわけです。来年度はこれがどうなるかということでございますが、最近特に労働力人口の中に女性の進出が非常に高くなっておりまして、こうしたことから、労働力人口は五十四年度には五千六百二十万人ぐらいになっていくのじゃないか。それに対して就業数が年間六十五万人ぐらいふえる可能性は十分にある。つまり、六・三%程度の成長でもそこまでぐらいはふえるのではないかというようなことを考えまして、われわれの計画では五千四百九十万人ぐらいの方に就職をしてもらう。さらにそうしたような傾向をずっと先に延ばします。もちろんこの中には産業構造の大きな変化がたくさんございますが、七年後の予想でございますと、労働力人口が大体五千八百三十万人ぐらいになって、われわれがいわゆる一・七%程度の完全失業率ということから逆算すると、五千七百三十万人ぐらいの方がその時点では就職をしているのだというようなことを基本にしての計画を考えておるわけです。
しかし、これは
委員御指摘のように、きわめて字面だけの話でございます。本当はもっとこれが内容的に細かく分析、解析されて、そしてまた日本の産業構造自体がいまのような状態のままで今後推移していって、果たして日本人が豊かな生活ができるかどうかという問題まで踏まえまして、構造の多様化、それから先ほども塩川
委員から御質問、御意見もございましたようないわゆる第三次、第四次、そうしたような産業部門に対して政策の重点を当てるのか当てないのか、私は当てていかなければならぬと思うのでございますが、そのようないろいろな政策の組み合わせの中から、日本の失業率というものを将来にわたっては一・七%、これでもやはり百万人でございますから、相当な数であることはもう間違いありません。しかし、そのような方向の中で社会の安定を損なわない方策をとっていこう、そのような考えでおります。
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○浜田
委員 労働大臣にお伺いしますが、いま御説明の中でありましたように、労働力はたとえばことしの五千数百万人に対して六、七百万人ふえるという予想であります。これは限度からいって、実際にそういう形で減ることはないのですね、ふえることだけがこの計算の中に出ているわけです。
そうすると、一体人口制限というのはわが国にとって必要なのかどうなのかですね。これからの地球の上において一番政治の中で大事なことは、いかにして人口制限を合理的に行うかということだと思う。わが国においても、すでに国土の利用面積を拡大しようとすればそれに対する公害問題等ができて、国土の価値利用というものが合法的にできないということになれば、人間の許容する範囲内、職業の求められる範囲内というものはおのずから制限せざるを得ないことだと思うのです。ですから、そういう問題等を含めて、他の機会でも結構ですからひとつ御指導いただきたいのですが、ここでお伺いしておきたいのは、矛盾があることだけ聞いておきます。
政府答弁を聞いておりまして、雇用は拡大しろと言われる。ところが、企業を否定しろと言う者があるわけですね。自由主義社会において、ある一方では企業を否定をしておいて、一方では完全雇用をしろと言うことは非常になじまない議論だと思う。これは日本共産党ははっきり言っておるわけですから。大企業は反対だ、企業は反対するけれども人は雇え、それでは非常に矛盾する理論になる。ところが、政府がこれに対応する場合は非常にあいまいな対応が目立ち過ぎる。やはり政府としては、企業の存立こそ完全雇用に努力をする政府の姿勢なんだからということをもっと明確におっしゃっていただかないと国民もわかりにくいと思う。この点は、今後政府間において協議をされた上で的確に答弁されるようお願いしたい。わが党としては、企業を認めることなしに雇用問題を促進することはできないのだということを第一の定義にして臨んでいただかなければ、これは労働者に働く場を与えることはできないわけでありますから、その点はもっと的確にお答えをいただくように統一していただきたいということが一点であります。
それから、過般の質疑で出ておりました若年労働力と老年労働力の問題です。これは現在の大学卒が七〇%程度の就職率であるときに五カ年間の定年延長を正当化した議論をするということになると、これから活用できる新しい若年労働力に対する機会均等を図りながら働く場を提供するということにはならないのですね。そういう点についてはもっと的確なものを与える、たとえば定年を迎えた者について、職場を与えることができない場合には給料は二分の一の職場になっても、その生活維持や生きる誇りを与えるためには、政府の一般会計の中から至当な施策を講じて労働力は守っていく、私はそういう答弁に変わってこなければならないと思う。老年の労働力を守るために若年労働力の働く場を失うような、そういう錯覚を与えるような考え方についてはこれから是正してもらわなければいかぬと思いますが、時間があと一分しかありませんので、ひとつお考えだけを承っておきたいと思います。
〔
委員長退席、毛利
委員長代理着席〕
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○栗原国務大臣 企業というものが健全に発展しなければ雇用問題というのは解消できないと思うのです。それはお説のとおりです。ですから、私どもは減量経営に籍口して人減らしをすることは企業の社会的責任として慎んでもらいたいということを言っていますけれども、もう体質を改善しなければどうにもならぬ、そういう減量経営ですね、これは労使が一番よく知っているわけですから、体質改善をしなければならないという問題について、政府がそれはいけないというようなことは言うつもりは毛頭ございません。ですから、それはもう基本ですから、企業が健全な雇用を拡大する、企業の社会的責任というものをそういう意味でも私どもは強調したいと思います。
それから、若年労働と高齢者との問題です。確かにいま浜田さんのおっしゃったようなことはございますね。だから私は、定年を延長するという問題については、若い人たちもやがて自分たちも年をとるのだ、そういう認識の上に立って定年の延長の問題を考えてもらいたい、そう思っているのですよ。もうそういう合意がなければこれはだめなんです。そのためにはいわゆる年功序列型の賃金体系をどうするか。いまお話があって、もう六十歳だの六十五歳以上の者は国の方でめんどうを見てやれというのは、構想として大変大胆な構想でございますけれども、まだそこまでは政府として考えておりません。
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○浜田
委員 いま何か労働大臣、最後の問題点勘違いしておる。私は、五十五歳で定年になったときに、もらった給料が三十万円であり三十五万円であった場合に、二分の一の働き場所を、たとえば十七万五千円の職場を求めようとすれば、これは機会を与えることができると申し上げているので、それを三十五万円のままで延長するということになると、若年労働力の働き場を失うことになりはしませんか、だから二分の一の給料になった場合には、他の制度で二分の一に当たるような、近いものを与えるような一般会計からの支出というものは考えるべきだと言っているのです。そこのところは誤解のないようにしておきたいと思います。
それからもう一点、なぜそういうことを御質問したかといいますと、現在雇用創出機構なるものがございますね。まじめに働こうとする者に対しては、政府がいままでの枠を破って職業を提供すべきだと思うのです。しかし現在の雇用関係の中に、せっかく職場を与えられていながら、職場に対してサボタージュする面が相当多いわけですね。そういうサボタージュする者については、働きたくないわけですから、働く者と働きたくない者の差別というものはきちんとつけた雇用問題というものの姿を確立すべきだ、こういうお願いをしておきます。
時間でございますので、また場所を改めて御指導いただければ幸いだと思います。私は、年寄りを大切にするということ、このことは最も大事なことなんです。ただし、若年労働力を大切にするというのは国家のためにも絶対必要なことですから、その職場をまず安定させた上で、五十五年なら五十五年と定められている以降の老人に誇りを与え、職業を与える問題については、再度政府が何か知恵を出すべきではないかと言っているわけですから、その辺については、御解釈だけは正しくしておいていただきたいと存じます。塩川先生、ありがとうございました。
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○塩川
委員 私は、職業訓練のことについてちょっとお尋ねいたしたいと思います。
先ほどおっしゃるように、産業構造に伴って第三次産業に対しても目を向けるべきだ、職業訓練の面から目を向けるべきだということのお話がございました。そうするならば、現在職業訓練所のいろいろな科目がありますね、そういうものに卸、小売、サービスとかあるいは海外協力事業の関係とかいう訓練、そういうようなものをつけ加えて考えておられるのかどうかということ、簡単にお聞きいたしたいのです。
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○石井政府
委員 お答えいたします。
御指摘のように第三次産業の職場といいますか、これには相当の既就業者が流動しておることは確かでございます。職業訓練の体制としましては、従来公共訓練中心でございましたけれども、この前の法律改正によりまして、各種学校あるいは専修学校あるいは事業内の認定訓練校、そういうものにも離転職者の訓練の場としてこれに対応する体制を整えたわけでございます。御指摘の訓練職種につきましては、第三次産業につきましても現実に、たとえば販売科とかあるいはインテリアサービス科とか、あるいは電子計算機科とかあるいは事務科とか、そういうものを逐次拡大をしながら現在体制を進めているという現状でございます。
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○塩川
委員 それで、不況地域等の訓練所の訓練科目等は相当変えましたか。不況地域でありながら、私はある造船所のところに行ってさましたら、そこの訓練所は依然として溶接や板金というようなことをやっているのですね。こういうものではもうそこで訓練したって需要がないのだから、それを思い切って転換しなければならぬと言うのだが、そういう科目を大幅に入れかえしておりますかどうか、一つ聞きたい。
それから、ついでですから一緒に答えてください。簡単で結構ですから。
いま公的訓練所で、この訓練所にはこういう科目があります、定員は大体どのぐらいですというような一覧表はありますか。ちょっと答えてください。
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○石井政府
委員 不況地域におきまする訓練の体制につきましては、現在各地域のニーズというものが中心でございますので、在来の職業訓練校の職種だけではなしに、たとえば速成訓練という形で臨時の訓練をやっておるということ、それから
先ほど申しました委託訓練といいますか、各種学校その他いわゆる公共訓練施設以外の訓練施設を利用するということをやっておるわけでございます。
それから各訓練校別の職種別の訓練定員あるいは訓練科目、これは定めてございます。その内容につきましてはかなり膨大でございますが、定めてはございます。
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○塩川
委員 そうすれば、全国の各訓練所でどんな訓練科目があるかということを一覧表をくれますね。どうですか。
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○石井政府
委員 全部定めてございますので、後で資料としてお配りしたいと思います。
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○塩川
委員 民間委託をあなたはおっしゃっていますが、民間委託、これを大幅にふやすわけにいきませんか。いま許可制ですね。これを認可制にするというようなことはできませんか。簡単でいいですから。
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○石井政府
委員 現在、総数といたしましては五十二年度二万四千、これを五十四年度、来年度でございますが、約二万九千から三万ぐらいに拡大をいたしたいと考えております。
委託につきましては、安定所長が訓練の指示をいたしまして、これを労働大臣が指定する委託先に訓練を委託する、こういうことでございますので、たとえば認定とかそういうものではございません。そういうシステムでやっておるわけでございます。
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○塩川
委員 では、これはやはり認定でなければだめだということですね。申請だけではだめだということですね。
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○石井政府
委員 労働大臣が、その施設あるいは委託先について、職業訓練の体制として適当であるというふうに認めたところを委託の対象にしている、こういうことでございます。
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○塩川
委員 次に、雇用創出関係について、ちょっとお聞きしたいと思うのですが、アメリカで五十職種ぐらいで七百五十万人の雇用創出をやった、こういうことの報告を聞いたのですが、そのもととなるのは、ハンフリー・ホーキンズ法というのができて、それに基づいてやっておる、こういうことを言っておるのですが、このハンフリー・ホーキンズ法というのは翻訳できて労働省で研究されておるのですか、どうですか。
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○細野政府
委員 ハンフリー・ホーキンズ法の内容につきましては、概要を私ども取り寄せて持っておりますほか、先般アメリカの労働省と私どもとの間の協議をやりました際に、その運用等につきましても、ある程度実情を伺った次第でございます。
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○塩川
委員 どうせそういう法案等が、これから展開されるであろうと思われる雇用創出関係の基本的な考え方、そういうものに導入されていくのではないかと思います。つきましては、それを整備して一度われわれにも参考のためにぜひ提供していただきたいとお願いしておきます。
ところで、いま雇用創出というのが非常に真剣に取り組まれておる問題でございます。ところが、労働省全般について後で御意見をお聞きしたいと思っておる問題と関連するのですが、現在、たとえば雇用安定基金制度がございますね。それにまた、いままで雇用促進事業団がそういう関連の仕事をやってきておった。そしてまた、今度新しく雇用創出機構をつくって、こういうこと。これはむずかしい名前で雇用発展職種研究開発
委員会というようなものをつくろうとしておられる。
私たちは、こういうのは大いに結構なんですが、こういう関係を一回整理統合して、雇用関係を促進する上についての一つの責任ある機関と体制、制度というものを固めていくべきではないかと思うのです。幸いにして、いまそういう雇用創出と真剣に取り組んでおられるときでもございますしいたしますので、いま世上で言われておるいわゆる雇用創出機構というものをどういうふうな形に持っていこうとしておられるのか、あるいはまた全然新しい機関をつくってやっていこうとされるのか。既存のものを転用して、たとえば雇用促進事業団なんといういままでやってきておることもある、これでは不足であることは事実であるが、そういうものをどういうふうに構想しておられるのか、一回大臣の御意見をお聞かせいただきたい。
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○栗原国務大臣 雇用創出をどうして行うかというのは非常に重大な問題でございまして、そのために国会でも、各党の皆さん方から雇用創出機構の問題について御議論がされているわけでございます。また政府といたしましても、衆知を集めて雇用創出をするという意味合いから、雇用問題政策
会議というようなものでそれを遂行していきたい、こう考えておりますが、各党の間でいろいろの御意見がございまして、私どもも、その御意見というものがどういうふうに煮詰まってくるのか、煮詰まった段階で、そういうものを参考にいたしまして対処してまいりたい、こう考えております。
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○塩川
委員 それでは、現在はまだ確たるものはない、しかし、そういう雇用創出についてのいわば研究開発をしていく、企画していく、こういうものは積極的につくっていきたい、こういう意向の段階でとまっておるということですね。
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○栗原国務大臣 既存の制度の中で見直しをし、充実をしなければならないということについては、それはそれなりに検討を進めております。そのほかに、それだけで足りるのかどうかという問題もございますので、ただいま申し上げましたようなことを言うたわけでございます。
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○塩川
委員 雇用創出をどんどんと開発していく、それは、先ほど来の議論の中にもございましたように、第三次産業あるいは第四次産業、やはりそういう関係が私は多いと思うのです。
そうすると、労働基準法の問題がここで出てくると思うのですね。現在の労働基準法はいわば生産を主体とした基準法だろうと思うのです。ところが、たとえば物品販売なんというのは、そういう勤務状態あるいは職場条件のみでは経営していけない面がたくさんあります。そうすると、労働基準法そのものも将来において見直さなければならぬのではないかと思うのですが、その関係はどういうふうに考えておられますか。
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○岩崎政府
委員 お答え申し上げます。
現在の労働基準法は、先生は工場労働中心という御指摘でございましたが、全産業に適用されるというたてまえになっておりますので、諸種の規則等におきまして、第三次産業、たとえば卸、小売とかその他のものについて特別な規制をすべき点は、そういうことで規制をしておるわけでございます。ただ、いま御指摘のようないろいろな新しいまた雇用実態に即したような問題があります。これにつきましては、たとえば臨時とか。パートタイマーとかいうような問題がございますので、こういったものについて来年度いろいろな労働条件について実態調査をいたしまして、それに即して検討を進めてまいりたい、このようには考えております。
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○塩川
委員 局長さん、これは実は労働基準法が障害となっておると言いましょうか、それが第三次産業の発展のあり方を規制していく上で一つの非常に大きい問題になってきておると思う。だから、いま検討しておりますという問題じゃなくして、新しい雇用創出、いわゆるこれからの労働人口の向かっていく方向、こういうものを早急に検討すべきだと私は思います。
それから、時間がございませんので、はしょってお聞きいたしますが、労働大臣にひとつぜひお願いしたいと思うのは、雇用関係の法律は非常に複雑で数が多くて説明もしにくい問題が多いのですね。たとえば私が昨日ばあっと調べてみただけで、雇用関係だけで百五十ほどありますね。奨励金だ、助成金だというものも百何種類あるのですね。こういう状態では実際わかりません。私はきょう質問するので、にわか勉強でゆうべこういうようなものを読んでみたのです。これは普通の人が読んだってなかなかわかりませんよ。むずかしいのです。いろいろな制度をつくっておきながら、そういうものが利用されない、そういうことでは、せっかくこうして前向きに政府が取り組んでおるのがもったいないのじゃないか。
そこでこういうようなものを一回、雇用関係なら雇用関係で集めて、もっと制度を簡単にする、手続も簡単にする、そういうことをこの際真剣に考えていただかぬと、どう見たって、これは役人の考えた作文のような感じがしてならぬのです。わかりませんよ。ぼくもいろいろと研究してみて、ここから質問のネタはないかなと思うて探してみたのだけれども、出てこないんだ、わからないんだ。けれども、私は地元でこういうような相談を受けているからわかっていますよ。大体こういうことだろうとアバウトで説明してやると、大体そういうことかということがわかる。こういうことを一回考えてみたらどうだと思うのですが、これはどうですか。
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○栗原国務大臣 私も労働大臣になりましていろいろ勉強しているわけですけれども、感じとしては全く同感ですな。同感なので、それでどういうふうに私は考えておるかというと、いろいろの制度があるけれども、整理できないものかどうかというのが一つあるのです。ところが、制度はそれぞれの理由があって出てきたわけですね。ですから、そういう意味合いで一概に現地の意向というものを聞かないでやるわけにいかない、整理するわけにいかない。というならば、もう一回いろいろの制度についてPRを徹底する以外にないのじゃないか。PRとしては、われわれの出しているものは、なかなか世間様の方でわからないということがございますので、いませっかく創意工夫をこらしましてPRをいたしたい、こう考えておりますので、しばらく見ていただきたいと思います。
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○塩川
委員 PRは本当に不足していますね。農林省が制度をつくりましたら、農協はばあっと農家を集めて説明会をうまくやるのですね。ですから私は、ああいうようなことをやはり労働省も考えられたらいいのじゃないかと思うのです。
そこでもう一つわからない問題は、指定基準だとか条件とか、何かまたむずかしいのですね。こういうのはもっと簡便にしてやれぬだろうか。臨時応急的にやるのだし、また企業にしても、いつまでもどろぼう根性でもらえるものはもらおうというような、そんなことは考えておらないと思うのです。ですから、その要件とか基準とか条件とかいうのは、たとえば特定不況業種のところなんか再就職援助計画なんていうのがあるでしょう。こんなものは中小企業でやれなんて、できっこないですよ。だからそれはもっと簡便に、寛大な気持ちで労働行政をやるという根本に帰ってもらえぬだろうか。規則規則で、まるでどろぼうを相手にしているのでこうして不正を防ぐのだというような、そういう姿勢じゃだめだと思うのですが、大臣、どうですか。
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○栗原国務大臣 乱用は防止しなければいけませんけれども、できるだけ手続を簡便にする、そういう努力はいたしたいと思います。
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○塩川
委員 それはぜひ、栗原さんだったらできますから、やってください。
そこで、たとえば雇用関係を一つにまとめて、この際、雇用対策基本法とかいうようなものにひっくくって、わかりやすく、これ一本あったら全部雇用関係のものは出ておる、そういうことにできませんか。
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○細野政府
委員 非常に法律の数が多くて、そういう意味で利用される方の面から見て不便があるという点は、確かに御指摘のとおり、現実にはそういう面があると思います。
ただし、それぞれの法律は、先生も御案内のように、たとえば特定不況業種が問題になれば、不況業種についての特別の対策をやらなければならない、特定不況地域が問題になれば、その地域についての特別な対策をやらなければならない。こういうものを全く一本にまとめてしまうことができるかといえば困難な面がございまして、そういう意味で、先ほど先生お話がございましたように基本法に全部まとめるということはとてもむずかしいとは思いますが、それぞれの必要に応じてつくられている法律がその過程の中で統合できるような条件ができた場合に、できるだけそれを統合していくというふうな努力は、今後検討させていただきたい、こう思っているわけであります。
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○塩川
委員 役所の答弁というのは大体そんなものになるの、だろうと思うのですが、そういうのは予算の範囲内において執行し得るような体制をとっておかないと、一つ一つ法律でやるのだという考え方ではなかなかできるものではないと私は思う。ひとつそういう知恵をしぼってもらって、これからタイムリーな行政ができるというふうにしてもらいたい。
定年制のことでちょっとお聞きしたいのですが、自治大臣もお越しでございますし、私は、定年というものを、直に何年で定年であなたは職場を変わらなければなりませんという言い方は、人権問題にも関係してくると思う。だからこそ、いまいわゆる定年制というのは、ある一定の年齢までは年齢差別しないという表現でやっておる、そういうふうな考え方で考えておりますが、しかしながら、いま世間で行われておる定年というものを引き延ばすためには、ある程度の強制力というものがなければなかなか引き延ばさないだろう、こういうところから定年制法案の考え方が出てきておると思うのです。しかし、これはいわばもろ刃の剣になるような感じもいたします。けれども、その議論は別といたしまして、雇用を温存していく、創出ではなくて温存していくという意味において、定年制をぜひひとつ推進したいというお考えなのか、あるいは、これはあくまでも企業なり団体の自主的な判断において行われるものであって、行政としてこういうところまでは余り介入すべきではないというお考えなのか、まず労働大臣の所見を簡単で結構ですから聞かしてください。
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○栗原国務大臣 高年齢社会に向けまして定年を実質的に延長していくということは、当然企業としても考えてもらわなければならない、政府としてもその方向を推進しなければならぬ、そういうことで、六十歳定年をめどとして、いま私どもは行政指導をやっているわけでございます。労使だけに任しておくというつもりはございません。労使の認識を近づけていく、そしてそれが行動に移れる、そこまで積極的な指導をしていきたい。法律によってやるというのじゃなくて、行政指導をさらに徹底をしていく、そういう考え方でございます。
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○塩川
委員 それじゃ、たとえば訓示規定的な法律でもいいのですか。そういう法律ででも行政指導の根拠をつくろうとされるのですか。どういう考えですか。
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○栗原国務大臣 いま法律によってそういうことを規定するつもりはございません。
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○塩川
委員 そうすると、法律によって規定するのじゃなくて、あくまでも行政指導でやっていきたい、定年制は。こういう考えですね。
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○栗原国務大臣 そうです。
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○塩川
委員 引き続いて、人事院の
藤井さんお越しになっているが、国家公務員の定年制について、いまどういうふうに具体的に考えておられますか。地方公務員にも関連して私お聞きしたいと思うのですが。
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○
藤井(貞)政府
委員 国家公務員については、一般的には定年制というものは御承知のようにいままでなかったわけでございます。ただ、これにつきましては、いろいろ社会経済情勢の変化その他のこともございまして、一昨年の暮れの閣議で、国家公務員についても定年制を導入するものとするという方針が決められたわけであります。
これに基づきまして、昨年の二月に総務長官の方から私どもあてに、定年制の問題は大変根幹的な、公務員の身分に関する重要事項であるからして、ひとつ人事院の意見を聞きたいという正式の書簡が参りました。
われわれ人事院といたしましても、定年制の問題というものはやはり大変重要な問題であるという認識は前々から持っておりますので、いろいろの点で検討を続けてまいったことは、これは事実でございます。しかし、正式に書簡が参りましたので、これを受けて本格的な作業を開始いたしまして、いま鋭意精力的にこの問題に取り組んでおる事態でございます。
詳しいことは申し上げませんが、簡単に申しますと、昨年以来三つの点について重点的に検討を加えてまいりました。
一つは、公務部内の実態の問題でございまして、職員の構成なりあるいは年齢構成あるいは退職勧奨の実態、そういうものを中心に、各省庁別に個別に、非常に詳細にわたって検討を加えてきております。
第二の点は、民間の実態でございまして、大体のことはわかっておりますけれども、いざ公務員との対比でもって事を考えるとなりますと、それも重要で、詰めるところは詰めておかなければなりませんので、民間の実態というものも詳細に調査し、検討を加えております。特に定年年齢の問題とか、あるいは一応定年はあるけれども、その後について再雇用の問題とか、定年延長の問題、そういうものも何がしかそれぞれの企業でやっておりますので、そういう実態についても調べております。
さらに外国の制度等とのつながりも重要でございますので、約二十カ国ばかり、これは直接に人事院としても調べたものもございますし、また外務省に依頼をいたしまして調べておるものもございまして、これは大体いま集まりましたところで、いろいろ調査、分析を加えておるという段階でございます。
こういうことで、いまあらゆる角度から検討を加えておりまして、鋭意結論を急いでおるという段階でございます。今日のいまの段階で、いつごろどういうふうにしてやるかということは、まだ決まっておらないということでございます。
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○塩川
委員 藤井さん、いつごろまでということはわかりませんか、大体。見当はつきませんか、その勧告をされる、まとめられる……。
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○
藤井(貞)政府
委員 大変精力的にやっておりまして、要するに、人事院
会議というものもいままでこの問題を中心にいたしまして十数回もやってきております。だんだん姿が浮かび上がってきつつあるという状況でございますが、この問題は恐らく総理府に対する正式の回答とならぬで、問題が問題でございますので、国会並びに内閣に対する勧告というかっこうをとらざるを得ないということになるのではないかと思います。したがって、この内容等については、もう少し確定した段階において申し上げるべきときは申し上げるということが適当であると思いまして、できるだけ急ぎたいという感じは持っておりますが、今日いまの段階でいつごろということはひとつ差し控えさせていただきたいと思います。
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○塩川
委員 それと相呼応して自治大臣、地方公務員の定年制についてちょうど四十三年の十二月でしたか、衆議院で一度
委員会で可決したことがございましたが、その後空白になっております。これは国家公務員と相関連する問題ではあろうと思いますが、これに対する自治省としての考え方をひとつお聞かせいただきたいと思います。
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○澁谷国務大臣 塩川さん御案内のように、地方公務員に関する定年制は、過去三回法案を国会に提案して、いずれも廃案になって実現を見るに至っておりません。私はいま日本の全般の状況から見て、国も地方も定年制を導入すべき段階に来ておるという判断をしておるわけであります。ただし、これを実行する場合に、私はやはり国家公務員と並行して同時に実施することが適当であろう、こういうふうに考えております。ただ、ただいま御答弁がありましたように、人事院の方でいま作業を急いでおるわけでございますから、いずれその結論が出てまいりますので、そういった内容も十分拝見して、国と地方一緒に定年制の導入に踏み切りたい、このように考えています。
-
-
○毛利
委員長代理 これにて塩川君の質疑は終了いたしました。
次に、
藤田高敏君。
-
○
藤田(高)
委員 八十七国会は雇用国会と言われるぐらい失業、雇用問題が重要視されておる国会でありますだけに、本日の集中審議はもとよりでありますが、今国会の代表質問以来、本問題について活発な論議が展開されてきたわけであります。私、この論議を聞きながら感じた基本的な問題が二つ三つございます。その一つは、今日の雇用問題に対する基本的な認識ですね、それと同時に現実的な認識の仕方の問題これがどうも不十分ではないかという印象を強くしておるわけであります。その一つは、すべて、だとは申しませんが、労働大臣に代表される答弁を聞いても、国の責任においてなすべきことと個々の企業において努力すべきこと、この二面性があると思うのですが、ややもすると後者の方にどうも雇用問題の力点が置かれ過ぎておるのじゃないかという印象を強くするわけであります。これが一つ。
それといま一つは、順序不同ですけれども、雇用国会と言われるほどこの問題が重要視されておるこの集中審議のこの国会に、総理が、いろいろな事情があるにしても出たがらないのですね。出ようとしない。私はここに、今日の大平内閣に代表される政府の雇用問題に取り組む基本的な姿勢に誤りがあるのじゃないか。私は後ほど西ドイツの例も取り上げてみたいと思うのですが、西ドイツの大統領のごときは、西ドイツの労働総同盟の大会にまで行って、そうしてこの失業、雇用問題の解決にどう取り組むべきかという基本的な理念について訴えておるのですね。私はやはりそういう姿勢がない限り、当面するこの雇用問題の解決はないと思うわけです。
これは私の考え方を前段申し上げて、以下お尋ねするわけでありますが、先ほども意見として出しましたように、今日の雇用問題の基本的な認識として、働く意思と能力のある者に対しては国の責任において雇用機会を与えていくのだ、こういう基本的な立場に立って雇用問題に取り組まれているのかどうかということを私まずお聞きしたいと思うのです。本来この種の問題は、総理にお尋ねするのが一番適当だと思うのですが、きょうはお見かけの大臣だけしかおりませんので、やはり労働大臣にお尋ねいたしましょうか。
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○栗原国務大臣 雇用問題、雇用、失業情勢の厳しさ、重要さというものは、私どもも先生と同じ認識に立っていると思います。いろいろ御批判はございますが、私どもは気持ちとしてはこれに懸命に取り組みたい、こう考えております。したがいまして、国でできることは国でやる、それからどうしても民間の活力をフルに活用してもらうというところは民間に最大限がんばっていただく、そして働く意思のある、また能力のある人たちが適正な職場につけるように最大限努力をいたしたい、こう考えております。
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○
藤田(高)
委員 私はいまさら憲法の理念を、あるいは憲法問題を多く論じる気持ちはありませんけれども、やはり憲法では国民の勤労の権利が保障されておるわけですから、本来、ちまたに完全失業者として百二十七万もあるいは百三十万人もの失業者が出るということ自体、私は、先ほど労働大臣が答弁されたそういう考え方から言えば、異常な事態だという認識の上に立たなければならぬと思いますが、その点はどうでしょうか。
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○栗原国務大臣 失業者が多いというのは社会的に大きな不安要因になりますので、これを減少させなければならない。しかし御案内のとおり自由主義経済でございますので、失業者を全部なくすということはなかなかむずかしい。私どもとしては、完全失業者百万人になるように鋭意努力をいたしたい、こう考えております。
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○
藤田(高)
委員 私は、きょうもここへ新聞の切り抜きを持ってきておるのですが、栗原労働大臣の写真の入った新聞記事をここ数日来お守りのように持っておるのですよ。しかし、この二月十九日に、ある新聞社の論説主幹との対談をやっておる記事も一つ一つ私興味深く読ましてもらいました。私、基本理念の問題をあえて憲法の問題に関連をしてお尋ねいたしておりますのも、実はこの対談の中に出てきておる考え方あるいはいま労働大臣が答弁された考え方、基本的な理念においては憲法の精神を踏まえ、現実の雇用問題の深刻さを十分認識しておるのだと言うんだけれども、いま失業者がこんなに生活が苦しいんだったら死んだ方がましだというような、いや本当にそうなんですよ。私の地元なんかは、ここにちようど選挙区を同じくする同僚の
越智代議士も森代議士もおりますが、あの波止浜造船の倒産後、私どもの選挙区で、できたばかりの赤ん坊を絞め殺すという悲劇が起こっておるのですよ。その地域のわれわれの仲間の意見を聞きますと、もうこんなに苦しいんだったら死んだ方がましだ、こう本当に腹の底から言っておりますね。そういう深刻なところから、雇用問題に取り組むということであれば、今日の社会は自由主義経済の社会だからということを余り強調されること自身が問題があるのじゃないか。あなたのこの対談の中でもそのことを強調される、あるいはいままでの答弁、議事録を読みましてもそのことを強く言われる。いまもまたそのことを強調される。私は、この失業問題、雇用問題の解決というのは、自由主義経済の社会であっても、必要な場合は国が法律をもって社会政策的な見地から、個々の企業なり個々の事業体に対して介入していかなければ、この失業問題の根本的な解決はない、そういう時代をいま迎えているのだ、そういう深刻な局面を迎えておるのだというこの事実認識が欠けておるのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
-
○栗原国務大臣
藤田さんのおっしゃるとおり、構造不況地域、構造不況業種、そこから離職された方々が大変苦しい立場にあるというのは私も承知をしております。しかし、全体の日本の経済ということを考えてみた場合に、すべての人たちに雇用の場が現実に与えられるかといいますと、いまの体制の中でそういうことはなかなか無理であるということでございまして、私どもが失業者を減らすことの責任を放棄するとかなんとかでなくて、日本の経済の全体の活力を維持しながら、その中でどう対応するかということに苦慮している面もひとつ御賢察を賜りたいと思います。
-
○
藤田(高)
委員 この点は後ほど具体的な問題でできるだけかみ合った議論を展開したい、こう思っておりますが、私の主張いたしたいことは、やはり社会政策的な見地からこの雇用問題に取り組まなければ、もちろん経営者なり企業家の社会的良識といいますか、そういうものに期待しあるいは協力を求めるということもありますよ。ありますけれども、経企庁長官、民間の会社の社長もおやりになってよくわかっておると思いますが、企業というのはどんなきれいごとを言ってもやはり利潤を追求する組織なんですよ。そこに社会的責任を求めるようなことを求め過ぎてもおのずから限界がある。したがって、今日の雇用問題を解決するためには、社会政策的な具体的な対策あるいは政策というものを、特に国の施策を通じて行わなければならぬということを私の主張として申し上げておきたい。
そこで、以下私は具体的な質問に移ります。経企庁長官、ちょっとお休みのようでございますが、これはすでに総括質問の中でも議論の出たところでありますが、例の新経済社会七カ年計画、これによりますと、適正失業率といいますか、私は言葉の上から言ってこういった言葉自身が適切でないと思うのですけれども、いずれにしましても、この計画の中に盛り込まれておる失業率というものは一・七%というものを出されていますね。そうしますと、現在の百二十七万ないし百三十万の失業率が二・三あるいは四というような数字で推定計算すれば、向こう七カ年の計画は大体百万人前後、こういうことになります。私どもの立場から、感度からいきますと、これは決してきちっと詰めた数字ではございません。ラフな数字ですけれども、例の高度経済成長時代の失業者あるいは失業率、こういうものも十分勘案しますと、この七カ年計画に盛られている一・七%という失業率というものは高過ぎるのじゃないか。もしこれを一つの基本にして国としての雇用計画が組まれていく、あるいはこれから制度を改正して、たとえば定年制の問題とか、基準法の改正を通じて時短の問題とか週休二日制の問題とか、あるいは年次有給休暇の完全消化の問題とかという法律によってその基準を高めていく制度改革をやるというものとの兼ね合いからいくと、私はそこでちぐはぐな状態ができてくるのじゃないか、いわゆるこの一・七%というものが手かせ足かせになって、それが歯どめになって、百万人台の失業者というものがなくならぬのじゃないか。もちろん景気、不景気の変動もあります。ありますけれども、そういう計画でやるということになると、問題の企業家自身、経営者自身が、国の方針がそういうことがあれば大体この程度でいいだろうという、そういう実態が生まれてくるのじゃないかと思いますが、それについてのお考えと、できればこの一・七%という計画をせめて一・三程度に修正する必要があるのじゃないか、これは、この国会始まって以来の議論を聞きながら私はそのように思うのです。これはどうですか。
-
○小坂国務大臣 いまの御意見と御質問にお答えしたいと思いますが、私は一・七%というものが絶対のものとは思っておりません。また過去においては、日本のブームのころ一・三という実態が出ているのですから、そういうような状態が最も望ましいということは私も決して否定はいたしておりません。しかし、いまの日本の経済がたどっているような現状がなお今後も相当長期間続くということとか、それは結局世界経済全体が年率二、三%程度の成長しかし得ないということを考えました場合に、われわれとしましては、日本の経済全体の成長を六%弱程度で進むということを前提にして考えませんと、計画自体が非常にラフなものになるのじゃないか、むしろ言うならば、ミニマムという考えでございます。ただ、経済成長その他はあるいは現状から見ますと、これはマキシマムなのかもしれません。しかし、この失業問題につきまして、われわれ政府としては、何としても現状の改革をして社会の安定を早く獲得したいという気持ちは少しも変わっておるわけではございませんし、またそうした意味での努力を今後続けていきたい。また御質問ではございませんが、来年度の五十四年度も二・三%程度ということを申しておりますが、しかしここ数カ月の動向を見ておりますと、だんだんと情勢は少しずつではございますが好転をしておりますので、私としてはいい傾向だと思って喜んでいるわけでございます。
-
○
藤田(高)
委員 経企庁の考え方はそういうことですが、一・七というものに何も四角四面でこだわるわけではない、そこには一定の弾力性がある、できれば過去のそういう実態からいっても、一・七というものでとやかく言うものではない、こういうある意味では非常に弾力性のあるなにですけれども、しかし国の七カ年だったら七カ年計画という形で出てきますと、それが今後の、労働省であれば労働省としての雇用計画あるいは雇用対策をつくる場合の一つの基準になるのではないか。あるいは、通産大臣がこの間、十何日かの商工
委員会で言われたかと思うのですが、これだけ経済は上向きになってきておる中で、絶対の雇用者数というのがあの石油パニック直後と比較して減っておる、減少しておるといういうことで、その直後経団連か日経連か知りませんが、経営者団体の代表と懇談をされて、いわゆる減量経営の行き過ぎというものを指摘された模様であります。私は、経企庁が策定いたしておりますこの七カ年計画と通産行政から見た雇用問題、労働省の立場から見たこれからの雇用計画あるいは雇用対策、そういうものとの間に対立、矛盾するものが起こらないかどうかということを通産大臣並びに労働大臣から聞かしてほしい。
-
○江崎国務大臣 御指摘の点はきわめて重要だと思うのです。石油ショックからの統計を見ましても、四十八年から五十三年の数を比較しますと製造業は百十七万人減っているわけですね。これがたまたま符節を合わせるようにサービス業で百十七万人ふえておる。それから卸、小売業で百二十五万人ふえておる。流通段階はもっと簡素化しなければならぬ場面であるにかかわらずふえておる。これはサービス的要素が非常に強いということでしょうね。したがって、私どもも経済四団体の皆さんに、ぜひひとつペイする企業においては、いろいろ無理もあるかもしれないが雇用には協力を願いたい。いや、もうわれわれは全面的努力をしておるのです、たとえば紡績などでも年配の人の雇用を達成するためには養魚、養鰻なんというような面にまで手を出しながら苦労をしておるところだという一生懸命な話を聞いたわけです。したがって、われわれ通産省としては、数値を達成することももとよりでありまするが、そのためには企業に力をどうつけていくか、これだと思うのです。やはり企業が本来力を持ってくれませんと、なかなか口で言うことはやさしいですが、実際にはうまくいかない。したがって、今後とも新たな雇用が期待されるたとえば機械産業、これは知識集約型にだんだん変わってまいりますから、そういう面の新たな雇用創出を促進するとか、あるいはサービス業そのものについてもきめ細かな対策をしながら、就業場所を提供するように考えていく努力をしたいと思っております。
-
○栗原国務大臣 一番の重点は通産省と労働省の間でいろいろ意見の衝突がないか、そういうことのないようにしろという御趣旨だと思いますけれども、(
藤田(高)
委員「経済企画庁の七カ年計画の中に盛られておるものとちぐはぐができてこないですか」と呼ぶ)私どもは、ちぐはぐな点は出てこないと思っております。出てくる場合には、それはそのときにいろいろ調整をしてまいりたい、こう考えております。
-
○
藤田(高)
委員 この計画の一・七というのは、あくまでも一つの目標値でしょうから、こだわり過ぎる必要はないかと思いますが、向こう七カ年そういうものでひとつ日本の経済を動かしていくのだ、雇用問題も大体そのレールに乗って動いていくのだということになりますと、百万人前後の失業者というものを前提にしておるわけですよ。そうすると、労働省は、本来失業者が百万人よりも七十万人に減り、あるいは五十万に減ることを期待するでしょう。そういう食い違いができてくるのじゃないですか、現実の施策の中で。来年たとえばこれだけのことをやれば、制度改正を通じて、これは一つの例だけれども、ことしの予算で十万人の雇用を新しく創出するのだと言っておるが、そういう政策をやれば、来年、再来年また十万人新しい雇用を拡大することができる、こう思っても、国の基本的な計画の中で一・七というものは百万人前後の失業者がおってもやむを得ないのだ、こういうものがあるとそれが歯どめになって、労働省なり通産当局の政策というものにブレーキをかけることにならないかどうかということを聞いておるわけです。
-
○小坂国務大臣 私らの計画の一・七というのは、有効求人倍率にいたしまして、先ほども問題になりましたが特定不況地域等もございますが、そのころには解消したい、もちろんしなければいけませんが、一倍といいましょうか、就職を希望する人たちには大体職があるというような状態をまず念頭に置いているわけでございます。
それからもう一つは、日本の財政がもう非常に窮屈になっておりますから、従来のように公共投資等でもって仕事をかき上げていくとということも、来年度の予算でも同じような状態に立ち至っておりますので、問題は、そうした面の中でもできるだけ雇用創出効果の大きいもの、たとえば国民の生活の一番基盤に相当するような部分、そうしたものに公共投資を重点的に回す、二百兆近い投資をいたしておりますが、そうした生活関連に一番重点を置いていくというようなことで、少なくとも雇用の拡大を図ろうというようなこと。
それからもう一つは、先ほどもちょっと触れましたが、日本の産業構造自体が、エネルギーの問題その他で、素材原材料関係の生産というものは大体もうこの近辺ということになってくるのじゃないか。そうなりますと結局産業構造自体が、高付加価値の面、あるいは流通販売とか、さらに組み立てとか、そういう面にどんどんとシフトしていく。私は、この七年間にそういうシフトが相当大規模に行われるということをもちろん前提に考えておるわけでございますが、やはり現在のいろいろな情勢を考えますとなかなか読みにくい点もたくさんございます。しかし一応の目安といたしまして、就職を希望される方には就職口が必ずあるというような体制をぜひ整えたい。それが百万人という失業が遺憾ながら残るということになるかもしれない。しかし、それはなるべく減らそうと先ほど申し上げたような考え方で進んでまいりたいと思っております。
-
○
藤田(高)
委員 ここだけで時間をとるわけにもいきませんが、いまの経企庁長官の考え方に労働大臣は賛成ですか。
-
○栗原国務大臣 まあ一・七%の百万人、これを完全雇用と言えるかどうかという問題とも関連すると思うのですが、完全雇用というのはなかなか定義はむずかしいようでございます。私どもは、相対的に見まして労働の需要と供給とが総量としてバランスがとれている、それから需要不足による失業状態がほぼ解消しておる、こういう状態を完全雇用と考えてもいいのじゃないか。そういう観点からいろいろ経企庁の案を見ますと、これからの労働力のいろいろの移動あるいは就業者の選好度の問題等を考えますと、まあその程度かなという認識でございます。
-
○
藤田(高)
委員 労働大臣、大分経企庁長官に気がねをなさっておるのじゃないか、これは私は感触ですよ、そういう感触を受けます。と言うのは、きのうの新聞を見ましても、現在時点で完全失業者百二十七万ですね。いま七カ年計画からいけば、あと二十七万人の人が何とか就職口ができればまあまお完全雇用状態じゃないかというのが、いまの経企庁長官の考え方でしょう。労働大臣、私は百万人の失業者というのは何としても多過ぎると思うのですよ、これは。それは労働省は労働省独自の立場で、八十万がいいのか、七十万が大体適正な失業率という、そういうやはり自主的な、独自の見解を持たれていいのじゃないでしょうか。どうでしょうか。——ちょっと、労働大臣に聞いているのだ。あなたが発言するとまた気がねするから。求めてないのだよ。
-
○小坂国務大臣 ただいまの御意見で、実数を申し上げておいた方がいいと思いますが、五十三年の就業労働力人口が五千五百五十五万人と推定をしておるわけですが、六十年度におきましてはこれが五千八百三十万人でございますから、約二百八十万ふえるわけです。それで一・七%計画においての就業者の数が、六十年で五千七百三十万でございまして、五十三年において五千四百二十五万でございますから、そうした就業労働力人口の増加の中で約三百万近い方の就職がふえるという計算でございますので、一応……。
-
○栗原国務大臣 遠慮するなというお話でございますが、私と経企庁長官で別に遠慮することございませんし、いま一つは、私どもとしましても経企庁のこの案に、大体その程度だなと考えますのは、労働省自体としても
馬場研というようなミッションがございまして、そこでいろいろ検討願った数字も大体そういうところでございますので、まあ経企庁の言われているところかなということでございます。
-
○
藤田(高)
委員 このやりとりだけではいけませんので、私としては先刻来主張いたしておりますように、失業者の絶対数をもっと少なくする計画にすることが、今日の深刻な雇用問題を解決していくやはり出発点になるのじゃないかということを強く要請いたしておきます。
経企庁長官、結構です。
それで次に、私は、今日、事のよしあしは別といたしまして、政府と各党間のいろいろな個別的な政治的なやりとりが、こういった公式な機関以外で折衝されておることは御案内のとおりであります。各党との党首会談を含めたいろいろなやりとりの中でやはり中心になっておるのは雇用問題であるし、なかんずくそれを掘り下げてみれば定年延長の問題と申しましょうか、私どもの言う年齢によって差別をしない雇用制度の確立、この問題が中心になると思うのですね。なっておると思うのです。
そこでお尋ねをしたいのですが、あれこれの動きやあるいは報道されておる範囲、また今日までの予算審議の過程では、労働大臣に代表される意見としてはいわゆる定年制という、そういう言い方をさしてもらいますが、六十歳定年制、これについてはまだ法制化する段階には至っていない、そういう見解が表明されておるわけですけれども、いまなおそのようにお考えでしょうか。
-
○栗原国務大臣 私どもいまの段階でそういう法制化をすることは適当でないと考えております。
-
○
藤田(高)
委員 具体的な問題は後で指摘するにしても、私は、勤労国民の統一した要求あるいはまた今日の雇用問題の中で、いわゆる政治の一番谷間はこの雇用問題だと思うのですよ。失業、雇用問題だと思う。その谷間のもう一つ集中した谷間に落ち込んでおるのが中高年齢者の雇用問題だ。その雇用問題をどうするのだということになれば、これは法律的に制度をつくって引き上げていく、支えていくというそういう体制をつくらない限り、企業家の社会的責任を幾ら求めてみても、これはどうにもならぬのじゃないか。やはりそこには法律による規制力、そういう拘束力でこの問題の解決に取り組むということがないと、この谷間谷間がそれこそ奈落の底に落ち込んでしまうようなことになりかねない、私はそう思うのですよ。そういう意味合いから、勤労国民の統一した要求でありますし、あるいは業界においても国が積極的に踏み込んで法制化するというのであれば、若干の経過期間が、一年かかるか二年かかるかはそれはあるかもわからぬけれども、それは受けて立たざるを得ないのではないか。これは現実の国内の雇用情勢あるいは国際的な労働情勢からいって、いまや定年制の法制化ということは現実の課題として処理しなければいかぬという、そういう内外の環境に置かれてきた。そういう環境の整備が大方整ってきた、こういう私は認識なんですよ。その基本的な認識について大臣の見解を聞かしてほしい。あなたはいま、そういう法制化をする必要がないと、こうえらい歯切れのいいことをおっしゃっておるのだけれども、私はやはりお互い政治家として、今日の深刻な雇用問題に取り組む、なかんずく、高年齢者の雇用問題にどう解決の手だてをするのかということになれば、冒頭、私が、そこでひっかかってくるのだけれども、やはり国の責任というのはそのあたりに焦点を合わすべきではないか、こう思うのですが、どうでしょうか。
-
○栗原国務大臣 私は定年制を法制化することが必要ないと、こう言っているのではないのです。定年制を法定化することが適当でないと、こう言っているのです。必要でないと言っているのではなくて適当でない。なぜ適当でないかと言いますと、御案内のとおり、年功序列型の賃金体系と、それから退職金の問題、人事管理等の問題、こういった問題を解決しないままに法制化をするということになりますと、場合によっては企業のコストが高くなる。それで企業が今度はそのコストに耐えかねるという事態になって、それが雇用の創出でなくて、まさに失う方の喪失になる可能性もある。そういうことでございますので、そこら辺について、企業側はもちろんその認識を深めてもらわなければならぬし、労働側にもそこら辺の認識を深めてもらう。そこら辺の行政指導を徹底的にやるべきではないか。そのために、私は経済団体の代表の人たちにもこの点言っておりますし、労働界の方々にもお会いするたびにこれを言っているのです。そしていま
藤田さんのおっしゃったとおり、私は、そういう機運が非常に強くなってきたと思います。しかし、だからここで法律をつくればすぐにそれができると言うのじゃないので、まだまだここら辺は地域別、業種別、産業別に細かい指導をすべきではないかという考え方でございまして、後ほど御必要でありますれば、今後この定年制の延長の問題について私どもがどう取り組んでいこうかという具体的なものにつきましては、政府
委員から、いろいろ検討さしておりますので、ここで御説明をさせたいと思います。
-
○
藤田(高)
委員 政府
委員の答弁も求めたいと思いますが、その前にやはりお互い政治論で意見の一致を見なければ、事務屋の行政的なものにこの問題をゆだねてみたって始まらない、こう思うのですよ。こういう場所ですから何も私は言葉じりをとろうと思いません。適当であるとか必要でないとかという、余りそういう言葉のすりかえで問題の本質がぼけるようなことはお互いに避けましょうよ。それはお互い真剣にやっておる雰囲気にどうも水をぶっかけるような気がいたします、これは私の感触として。
そこで、大臣が必要でないとか適当でないとかおっしゃるのだが、労働省のどこかの統計だったと思うのですが、たしか新聞にも、きのうかおとといくらいに出たのじゃないかと思いますよ。ちょっと日にちは忘れましたが、それによりますと、五十五歳の定年制を現在とっておるのが四一・三%、もうすでに六十歳の定年制をとっておるのは三三・七%、両方合わせますと八〇%なんです。これは労働省の調査の結果ですよ。いいですか。ヨーロッパの関係はいまさら申し上げるまでもないですけれども、もう西ドイツを中心に六十五歳というものは定着していますね。日本が日米経済協力じゃないけれども、これだけ円高問題を起こすような経済環境の中で、日本の労働者というのは大体働き過ぎだ。これは定年制だけじゃないですよ、時間の問題含めて。そういうあれから言ってみても、定年制の問題からいわゆる時短の問題を含めて、国際環境、国際労働情勢がどう動いておるかというものが一つのやはり大きな物差しにならないといかぬ。
それからいきますと、アメリカは言うまでもなく六七年、十何年か前に六十五歳の定年制。去年だったですか、実施はことしの十月からとか聞いておりますけれども、七十歳の定年制をアメリカは敷いておるわけですね。こういうふうにヨーロッパなりアメリカなり、この六月に東京にやってくるそういう皆さんの立場からいけば、一番仲のいい国ですね。そういう国々がみんな六十五歳から七十歳を定年制、制度として法制化しておるのですよ。そうでしょう。そういう内外の環境から言っても、労働省が調査をされておるそれから言っても。一番新しいのは、二月五日に、関西で約三百社の経営者と労働者が寄って、御案内のように関西産業労使
会議というものをつくっておりますが、そこではいま大臣が言われた退職金の問題とか、人事の問題とかあるいは年功序列の問題とかいうことがありますけれども、六十歳の定年制を三百社の労使の合同
会議でやろうじゃないか、こういうことが決められておるのですね。ですから大臣の心配されておる企業の中における年功序列型の賃金をどうするのだ、人事の
異動をどういう基準でやるのだというようなことは、私自身も労働者の出身ですけれども、それこそ企業の中で労使に任せばいいんですよ。ぼくはそう思う。政府がそこまで心配しなくても、そういうこともあるだろうけれども、もっとダイナミックというか、大所高所から判断をして、制度としては定年六十歳というものは、もう当然わが国においてもやらなければいかぬという、そういう積極的なやる気があれば、この関西の三百社の例じゃありませんけれども、やる気があって政府が一歩進んで強力な指導をやれば、私はできると思うのですよ。そういう具体的な動きなり、見通しをひとつ聞かしてもらいたいと思うのです。
-
○栗原国務大臣 いま関西のお話がございましたが、まさにそういうような状況になってきておりますので、これを全国的に広げていきたい。行政指導でこれをやっていきたいということでございます。
なお、先ほど政府
委員からいろいろ御説明をさせるということを申し上げましたが、われわれの行政指導が徹底するものか徹底しないものかという意味合いからも、政府
委員の説明をお聞き取りいただければ幸せであります。
-
○細野政府
委員 先ほど来、先生から御指摘ございますように、高齢化のテンポが速く、しかも過去で例を見ないような進み方をしておるわけでございますから、五十五歳定年というのはいかにもそれは低過ぎます。これを何とか定年年齢というものを高めていかなければならぬ。その必要性につきましては全く私どもも先生と同じ考え方に立っておるわけでございます。そこで、それを進めるのにどうしたらいいかというのが具体的な問題なのでございますが、これはちょうど先生からも御指摘ございましたように、十年前に比べますと、五十五歳定年というのは約二〇ポイント以上も現在までのところ減ってきておるわけであります。数字で申し上げますと、四十三年には、五十五歳定年が全体の定年年齢を定めているものの中で六三・何%あったものが先ほど先生御指摘のように四一%ですから、二二、三ポイントこの間に減ってその分が定年が高い方にシフトしておるわけでございます。
ですから、そういう意味で、条件が整い、行政指導を強化することによって、定年を延長させるということは、私どもは不可能ではないというふうに考えておるわけでございます。ただし、これも先ほど先生から御指摘がございましたが、非常にむずかしい問題がございますので、そこをどういうふうに突破していくか、こういうことになるわけであります。
そこで、私どもが労働大臣の御指示によりまして、この定年延長というものを現実に進めるためにいろいろ苦心をしておるわけでございます。現段階において考えておりますのは、一つには、この経済計画の期間中に当面六十歳定年というものを一般化する。これは
昭和六十年の目標というふうに設定をするつもりであるわけでございますが、それにつきまして、七年の間に六十歳定年という一本やりの目標を定めていくというのでは、途中経過というものについて実行がなかなかむずかしいのじゃなかろうか。少なくとも、途中の経過において実行可能なアフターケアをやっていくためには、途中の段階でもう一つ目標を設けるべきではなかろうか。そういうような考え方に立ちまして、計画期間の前半に五十八歳定年の一般化ということを目標として掲げて、その実現を図ってまいりたいというふうに考えているわけであります。
その場合に、先ほど来御議論がございますように、賃金制度の問題、人事管理の問題、いま総論的には御理解が進
みつつあるというふうに私どもも考えておるわけでございますが、しかし実際問題、個別企業の労使関係になるとなかなかむずかしい問題があるのは、これはまた専門家の先生御存じのとおりなわけでございます。そこで、私どもは、定年延長が当面すぐ五十八歳までできるところはまずそれをやっていただく、いま申し上げましたようにいろいろな問題で困難だという場合には、とりあえず五十八歳まで再雇用制度を導入していただく、その再雇用を今度は早い機会に定年に切りかえていただく、こういう二段方式のやり方というものを採用してみたらどうだろうかというふうに考えておるわけでございます。それによって、とにもかくにも実質的に雇用が伸びるということを指導によって強化してまいりたい。
それから三番目には、先生先ほど御指摘がございましたが、関西の産業労使
会議におきまして、先生全く御指摘のとおり、当面六十歳まで雇用の延長をやっていこう。その場合に、いろいろな賃金体系あるいは退職金の問題、人事管理の問題、その他もろもろの問題について基本的な考え方を労使において合意をしておられるわけであります。その考え方は、非常に私どもも現実に即したお考えであるというふうに考えるわけでございまして、その内容というものをたとえば関東においても同じような形でやっていただく、あるいは中部においてもそれをやっていただく、またそれを今度各県でもってやっていただく、それに参画している方あるいは参画した方々と同じ業種の方、関連企業の方にそういう考え方を徹底していただくというふうなことをやってまいりたいと考えておるわけであります。
なお、先生も御案内のように、高年齢者の雇用率六%というのは法律で決められている努力義務であるわけでございます。これの未達成の企業に対しましては、これを達成するための計画の作成を命ずることができるという規定がございます。この規定に基づきまして、とりあえずまず千人以上の大企業を中心といたしまして、これの達成率の悪いところについてこの雇用率を達成するための計画をつくっていただく、まずこれを命令をしていこう、その命令の中で、それじゃ六%を達成するためにどんな方法をやりますかというところまで具体的に問う、そのときに、その手段として定年延長あるいは再雇用という制度を導入していく、これを強く勧奨してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
そのほか、先生御存じの奨励金制度の拡充等によりまして実行を確保してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
-
○
藤田(高)
委員 私が六十歳の定年制の法制化を急げということを強調するのは、これを急がないと——六十歳じゃないのですね、現在もうすでにこの
委員会でも問題になりましたように、それぞれの企業の中では定年制五十五歳というものを協定で決めておきながら、実際は減量経営で、五十五歳はおろか五十歳以下の人までが首切りの対象になっておるわけですよ。そうでしょう。だから、法制化するような手だてができれば、そういう不当な大量解雇といいますか、これは希望退職という名目であろうと、実質的には減量経営の犠牲者になっておるわけですよ。そういうものをやはり現実的になくしていくというのが、これは生きた労働行政じゃないか、生きた雇用対策じゃないかということを私は言いたいわけですよ。そういう意味合いからも、ぜひ六十歳の定年法制化を急ぐべきだ。私、考えてみるのですけれども、六十歳以下のいま首切りの対象になっておるような働き盛りの家庭の世帯というのは、一番生活費の要るときですよ。そういうものをばっさり切っていくんだ。切っておるわけですよ。これはある意味では人権問題だと思う、労働問題以上に。そういう人権問題を含めて考えるときに、六十歳の定年制というものは当然じゃないかということです。ですから、これは重ねて労働大臣の見解を聞かしてもらうことが一つ。
時間的な関係で、いま答弁されたことに関係をして二、三お尋ねをしておきます。これは後でやろうと思ったのだけれども。
例の中高年齢者の雇用を促進するということで、中高法では六%の目標を定めて法定雇用率といいますか、そういうものをなにしているのですけれども、これは大企業ほど悪いのですね。これはここにも統計を持っておりますけれども、実際けしからぬですよ。私は、いま
局長の答弁で、計画をつくらして命令を出さす、こう言うのだけれども、今日の段階でこの方針に合ってない大企業のリストを出してもらいたいと思うのだ。そうして社会に公表すべきだと思うのだ。あなたらは口を開いたら、企業の社会的責任と言うのだが、社会的責任を果たしていない企業の一覧表を出してくださいよ。
これは
委員長、私は資料として要求する。手元にあってわかっておれば、それを公表してください。いまあなたらのやろうとしておること自身が手おくれなのですよ。
だから、私はそのことを一つ要求すると同時に、先ほど大臣は、必要だということは認めるけれども適当でないということをおっしゃったが、これは各党間でいろいろ折衝をやっておりますけれども、政府・自民党と私ども社会党との間にもいろいろな話し合いが続いておりますが、それによりますと、「定年延長の推進等については、立法化問題を含め、政府の審議会の議を経て検討したい。」こうなっておるのですよ。これは立法化問題を前提にしてやる、こうなっておる。あなたがいまおっしゃっておるような答弁の仕方からいけば、これは適当でないのだから、もう入り口からアウトだ、だめだ、こういうことになると思うので、これは基本的な問題として訂正をされる必要があるのじゃないか。
-
○栗原国務大臣 私の方は、いま政党の間でいろいろお話し合いも行われておることは承知しております。しかし、それがここで煮詰まった、決まったというような御連絡を得ていないわけでございます。したがいまして、それらが煮詰まった、こうなったというようなお話がございましたときには適切な処置を講じたい、こう思っております。
-
○細野政府
委員 企業名の公表についてのお尋ねでございましたが、先生御承知のように、身体障害者の雇用促進法の中にも企業名の公表という制度がございますが、これらにつきましては、まずその達成計画の作成を命じまして、それに基づいてその計画の実施状況が非常に悪いという場合には、さらにこれに対して勧告が出せるようになっておりまして、そういう手続、手段を経た上で、しかもこちらの要請に対して非常に非協力であるという場合に、初めて公表という制度が法的に定められているわけでございます。これとの対応関係から見ましても、雇用率の未達成が現在あるというだけで公表制度を採用するということについては非常に問題があるというふうに考えますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
-
○
藤田(高)
委員 これは労働省自身の行政の怠慢を、あなたらそういうことですりかえていますよ。今日の雇用問題の中で、中高年齢者がこれだけねらい打ちの形で失業者の対象になって、それがしかも慢性化しようとしておるのですよ。長期化してきておるのですよ。この現実に即応しないで、いまから計画を出させて、そうして命令を出して、それでいかなければ公表するんだ。それならいままで何をやっておったのですか。これは明らかに行政の怠慢ですよ。われわれ社会党がかつて終戦後労働省を——米窪滿亮さんが第一回の労働大臣になったと思うのだが、そんな労働省をつくるためにわれわれは今日の労働省をつくったとは思っていないですよ。これは明らかに行政の怠慢じゃないか、私はそう思う。したがって、もうすでに同僚の
岡田議員も、たしか住友重機の解雇のやり方の問題ですね、大正十二年あるいは十三年というようにずっと中高年齢者を具体的に解雇の基準にしてやっておる、これは明らかに不当な解雇の仕方じゃないか。この間そのことについて実態調査をするということを約束しましたね。やりましたか。やっておるとすれば、その中間報告をやってください。
-
○細野政府
委員 先生御指摘の調査の問題は、各局に絡んでいる問題でございますが、私どもの所管しておる局の関係だけで申し上げますと、現在、神奈川県の職業安定課を通じて調査中でございまして、まだ中間的に御報告できる段階ではございません。
-
○
藤田(高)
委員 この点は、事業所は神奈川県だけじゃないですね。事業所は岡山にもあるし、愛媛にもあるし、私の選挙区にもあるんだ。私自身も、何も手柄じゃないけれども、そこの出身だからそんな経過ぐらい知っているんだよ。本当にやっているのかね。
-
○細野政府
委員 先ほど申しましたように、神奈川県に委託いたしまして、実際に調査をいたしております。
-
○
藤田(高)
委員 それではいつごろを目標にその結果を出すか。私はやはりこういうものはタイムリーにやって、そして現実の審議の中に生かしていかなければいかぬと思うのですよ。これは急いでもらいたいのと、さっきの中高法の六%の目標に達しない企業については全部やって、協力しないものは皆公表しますね。どうですか、これは大臣。
-
○細野政府
委員 先ほど来申し上げておりますように、行政指導を逐次強化いたしまして、その上で検討させていただきたいというふうに思っております。
-
○
藤田(高)
委員 答弁になっていませんね。公表するのかしないのかということを聞かしてくださいよ。これは失礼だけれども、労働大臣に就任以来大変取り組んでおるのかどうか知りませんよ。しかし、ぼくらは率直に言って、余り労働省の行政指導というものに期待を持つことはできないんだ、客観的な事実から見て。あなたら去年労働次官通達を出した、基準
局長通達を出した。そして定年制延長を促進する、あるいは時短に向けて週休二日制を、あるいは残業時間を規制しなさいということをやっておるけれども、どうですか、最近の実態を見たら。企業でやっているいまの合理化のやり方というものは労働省のそういう方針とはみんな逆じゃないですか。みんな時間延長をやっているんですよ。
これもつい最近の統計じゃないけれども、毎月勤労統計というのはどこがやっているのだ。労働省じゃないのかね。総理府かね。
-
-
○
藤田(高)
委員 さっきの肝心なことを言ってくれよ。六%をやらなかったら公表するのかしないのか。逃げたらだめよ。
-
○細野政府
委員 先ほども申しましたように、身障法の規定と中高年法の規定に違いがありますので、若干法律的な問題がございますので、そこを詰めた上でお返事をさせていただきたいというふうに考えております。
-
○
藤田(高)
委員 あなたの方の行政的な手続を踏んだ上で、協力できないものについては、法律がそう示しているのでしょう、ですからそういう協力しない悪質な、社会的責仕とあなたらが口にされることをやらないものは社会に公表するぐらいのことはやってもいいでしょう。大臣、どうですか。
-
○栗原国務大臣 いずれにいたしましても、実効の上がるよう措置いたしたいと思います。
-
○
藤田(高)
委員 わかりませんね。労働大臣らしくないですね。もう少し率直にお答えになったらどうでしょう。
-
○栗原国務大臣 御趣旨を踏まえて、実効の上がるように措置いたしたいと思います。
-
○
藤田(高)
委員 わかりました。
私がここまでしつこく申し上げたのは、毎月勤労統計の一番新しい五十三年度のそれを見ましても、雇用がふえないで残業時間がふえておるのですよ。それでいま景気がよくなった、少し上向きになってきた、企業の収益がよくなったというわけでしょう。ですから、私はそういう意味合いからも、やはり個々の企業に対しては、雇用量を拡大するという努力を労働行政として労働省が中心になって、もっと積極的にやらなければいかぬのじゃないか、この点を強く要請しておきます。
そこで先ほどの、やはりこれはけじめをつけておかなければいかぬと思うのですけれども、適当でないというこの認識なり言い方は訂正しておいてもらわないと、与野党間の、私どもとの個別折衝ではあっても、これはやはり政党間の信義の問題にかかわると思いますので、これは訂正をしてほしいと思います。
進行形の形ですけれども、いま私どもの聞いておる範囲では、「定年延長の推進等については、立法化問題を含め、政府の審議会の議を経て検討したい。」そういう経過があるようですけれども、この審議会というのはどういう審議会の議を経てやろうとなさっておるのか。あるいは定年延長の問題推進については先ほど来から私が強調しておるとおりですけれども、この立法化問題というのは、大体やるとすれば何事にも目標がなければいかぬと思いますが、政府としては目標をいつごろに置こうとしておるのですか、これを聞かしてください。
-
○栗原国務大臣 最初の適当でないというのは、まだ与野党間の話が出ない前の話でございますので、そういう意味で御了承いただきたいと思います。与野党間の話が出た後につきましては、ただいま申しましたように、結論を踏まえてということでございます。
審議会の内容とか何かはまだ聞いておりませんので、私ども詰まった段階でどういうふうにするかということを、与野党の間で煮詰まった段階で与党の方から聞きまして、その上で考えたい、こう考えております。いまの段階ではそういうことについてお答えをすることは御遠慮させていただきたいと思います。
-
○
藤田(高)
委員 私はきわめて政治的な配慮をした上で質問したつもりなのですよ。しかし、私のいま質問しておることは、大方合意に達しておるというふうに聞いております。それは署名捺印するところまではいってないかもわからぬよ。しかし、この種の問題は、いいですか、私は政党政治のたてまえからいって、あなたの意見を聞かずにはこれはやってないと思うのですよ。これはむしろあなたの意見が中心になってやっておるというふうに判断するのは常識じゃないですか。それからいけば、いま私が二つの質問をしたように、法制化の問題を含めとこうなっておるのだから、法制化をしていくその目標はいつごろに置こうとしておるのか。「審議会の議を経て」というのだが、これは中央職業審議会にするのか、あるいは雇用審議会でやっていくのか。その審議会に労働大臣なら労働大臣の案を諮問する形をとろうとしておるのか。ここで自主的に検討さして、審議会が大臣に建議案を出すような、そういう方向でいこうとしておるのか、私は聞かしてほしいと思うのですよ。これはやはりここまで来れば、もう少し積極的なきちっとした姿勢をお出しになることが大切じゃないですか。
-
○栗原国務大臣 私どもは党対党の話について方向を聞いているわけでございまして、その内容について、私どもの方からもこれこれこうだということは言っておりませんし、党側からもそういうことについて聞いておりませんので、与野党間の煮詰まり、合意を踏まえた上でわれわれの方にお話があり、われわれの方もそれに対して意見を述べる、そういうふうになるだろうと思います。実際問題としてそういう状況でございますので、御了承いただきたいと思います。(発言する者あり)
-
○
藤田(高)
委員 いまの大臣に対する耳打ちは、実質的な合意に達しておるのだということをアドバイスしたのじゃないかと想像しますが、ひとつ、この問題はお互いの信義に反することになりますから、どうせここまで進んできたら、これはもういま私が質問しておることに具体的に答えてもらわなければならぬと思う。どうしてもいまの答弁以上のものが出ないということであれば、これは午後同僚の
岡田議員がやりますから、そこでさらに詰めてもらってもいいですよ。しかし、もし答弁が出ないとすれば、私としてはこれは留保します。
それで、政党政治のたてまえからいって、大臣、いまおっしゃったようなことはこれは世間的に通用しないんじゃないでしょうか。どうでしょうか。
-
○栗原国務大臣 先ほど来申し上げているとおり、私はそれについて与党の方からこれこれこういうようにするといって野党との経過を聞いておりません。(発言する者あり)
言葉が正確でないようでございますが、煮詰まっていないということを聞いているわけでございます。そういうことでございますから、後ほど与党の方に野党との折衝経過を聞きまして、その上でお答えをさせていただきたいと思います。
-
○
藤田(高)
委員 これは本来なれば、やはり私自身の質問の中心課題でありますし、そしていままでの経過から見ればお互いの信義則に反するような答弁がなされておるわけですから、私はここで審議はできれば午後にしてもらいたいと思いますが、どうですか。
-
○毛利
委員長代理 いまの点については
理事会に相談いたします。(発言する者あり)——続行してください。——質問を続行していただきたいと思います。いまの点は
理事会で後ほど相談いたします。(「休憩、休憩」と呼び、その他発言する者多し)——いまの話については
理事会で協議いたしますので、ひとつ質疑の続行をお願いいたします。(発言する者多し)——後ほど本件については
理事会で御相談いたしますので、質疑を続行していただきたいと思います。
〔毛利
委員長代理退席、
委員長着席〕
-
○
藤田(高)
委員 私は質問者として提案しますが、決してこういうふうに議事が停滞することを好むものではありませんけれども、午後の一時から休憩に入るわけですから、もう時間わずかですから、その残された私の持ち時間保留させてもらって、その間にひとつただすものはただしてもらう、わからないものはわからないのですから、ただすべきものはただしてもらって、回答をしていただく、そういうことで議事の取り扱いをしていただければいいのじゃないかと思います。
-
○
竹下委員長 藤田君の質疑は留保し、午後一時五十分より再開することとし、この際休憩いたします。
午後零時五十一分休憩
────◇─────
午後一時五十五分
開議
-
○
竹下委員長 休憩前に引き続き
会議を開きます。
質疑を続行いたします。
この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。栗原労働大臣。
-
○栗原国務大臣 先ほどの
藤田さんの質問に対し、お答えをいたします。
話し合いが行われているとのことでございましたが、政府といたしましては、今後慎重に検討させていただきます。
-
-
○
藤田(高)
委員 いまの労働大臣の答弁は、労働大臣としてお調べになった結果をああいう形で答弁されたというふうに理解をします。その問題は、私自身それですべて終わったということではないのでございまして、それにかかわる部分については、同僚議員が後ほどまた質問する関連もございますので、私はその部分については留保をして質問を先に進めます。
次に、私が特に政府の意向をただしたいのは、今日、雇用の枠を拡大する、失業者をなくしていく手だてを国としてやるためには、労働時間の短縮、週休二日制の実施、週四十時間制、あるいはこれは当然のことでありますが、年次有給休暇の完全消化というものについて、これまた私は、先ほどのいわゆる定年制の法制化ではございませんが、今日の労働基準法を改正して現下の社会経済の実態に即応できるような法改正をやるべきではないかと思うわけでありますが、どうでしょうか。
-
○岩崎政府
委員 お答えいたします。
労働時間短縮、週休二日制の推進につきましては、私ども、中央労働基準審議会で一昨年十一月に公労使三者一致の御意見で、当面、法規制ということではなく、行政指導を強化していくという御建議をいただきましたので、それに基づきまして昨年五月、六月に次官通達、
局長通達をもちまして、労働基準局、監督署段階で諸種の行政指導を推進するということでやっていくのが当面適当ではないか、このように考えております。
-
○
藤田(高)
委員 いわゆる六十歳定年法制化の問題と関連して、今朝来、私が特に主張してきましたように、この時間短縮の問題なり週休二日制の問題は、いまの答弁にありました行政指導だけでは効果が上がらないのじゃないか。これはすでに予算
委員会の質問でも出たかと思いますが、去年の五月二十九日に住友銀行が、雇用情勢の実態と第三次産業の雇用吸収力という形で一つの提言をしておりますね。これは御承知のとおりですが、こういういわば大資本のチャンピオンともいうべき金融資本の調査部が、たとえば時間外労働、残業時間をなくすれば三百七十九万人、週休二日制を完全に法制化してやればたしか二百二十万人、年次有給休暇を完全にとるようにすれば、これでかれこれ百万人というような数字まで出して問題の提起を行っておりますが、こういう業界自身にも、先ほどの定年制の法制化の問題ではありませんが、国内的にもこの週休二日制というものは時代の趨勢としてやるべきじゃないかということが、業界でも大体受け入れ体制ができているのじゃないかと思うのですよ。労働省に代表される政府の答弁を聞きますと、行政指導でやっていくのだと言いますが、先ほども私指摘しましたように、一番新しい毎勤統計を見ても、労働時間は残業時間がずっとふえておるけれども、雇用数の改善にはなってないわけですね。そうすると、いま基準
局長が答弁しました、去年の五月ですか六月に向けて二回にわたって次官通達なり
局長通達を出しておりますけれども、結果的にはそのことが効果としてあらわれてないのです。そういうことになれば、私はこれは一つは日本人の通弊じゃないかと思うのですが、やはり適正な法律をつくって、そうして国の労働政策として誘導していく、こういう手だてがなされることの方が、今日の失業問題、雇用問題の解決に貢献するのではないか、私はこういうふうに考えるわけであります。そういう意味合いにおいての大臣の見解を聞かしてほしいと思います。
-
○栗原国務大臣 週休二日制とか時間短縮というのは、私も日本人は少し働き過ぎる、少し人生をじっくり考えてみるという必要もございますし、それから福祉の問題もあるし、国際協調の問題もありますし、長期的に見ますと雇用の維持拡大というものにつながりますので、これらについては時代の要請もございまするし、積極的に進めていかなければならない。ただ、現実的な問題としては、そういう時間短縮等の問題が、個々の企業によりましてコストの問題等いろいろございまして、これを一律に法律によって規定していくということにはやはり問題がある。法律をつくればいくのじゃないかという御意見、それはそれなりに私も考えさせていただきますけれども、法律をつくってもなかなか実態的に改善をされないものについては守られないということもあるのではないか。この問題につきましては、そういう意味で中基審の答申あるいは両院の御決議等もございますので、私どもといたしましては行政指導をさらに徹底的に推進してまいりたい、こう考えておる次第であります。
-
○
藤田(高)
委員 法制化してもこれが消化できなかったら何にもならぬじゃないかと言いますが、私は法制化できる条件が実態論として整備できるかどうかという見通しの問題じゃないかと思うのですね。この点では、諸外国の例を引くまでもありませんが、定年制の問題と同じように、ヨーロッパでは週四十時間なんという時代はもう過ぎて、三十時間台、三十五時間というのがいま定着しつつあるわけですね。先進諸国と言われるそれぞれの国が、そういう週休二日制、週四十時間制というものを、フランスにおいてはもう四十三年前、アメリカにおいても四十一年前、ヨーロッパにおいても全体的には十五年前、ILOの勧告自身においても十七年前、こういうふうに、基本的な労働条件を設定する諸外国との条件をわが国と比較しましても、そういう基準が、週休二日制の条件というものが制度化されて、もう何十年もたっておるのですね。その中で日本だけがなぜこういうふうに取り残されなければならないのか、その理由が私にはわからないわけですよ。その点は、労働大臣の御答弁では説得力がないのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
-
○岩崎政府
委員 いま先生おっしゃいますとおり、諸外国で週休二日制あるいは週四十時間制というのが実態として非常に進んでいることは事実でございます。ただ、法律の規制ということになりますと、実はアメリカあるいはフランスはいま御指摘のとおり四十時間制というものを決めておりますが、週休二日制というのを決めている例というのはソ連ぐらいしかない、あとはそれぞれ労使の労働協約を中心にいたしまして実態が進んできているということでございますが、わが国の場合、現在たとえば法制的に強制をするということになりましても、業種あるいは規模等において非常に実態がまちまちである、あるいはまた現時点においてそれがコスト面に響いて企業の存立にも問題があるというようなことで、なかなか一気に法制的な強制をすることができない。そこで、いま先生も御指摘いただきますように、やはり行政指導を強めまして、労使の十分なコンセンサスあるいはまた国民の生活の面でのコンセンサス等も得ながら、その基盤整備というものをできるだけ実現をした上で、その実施と申しますか、週休二日あるいは時間を漸次短縮していくという方向をたどっていきたい、このように考えておるわけでございます。
-
○
藤田(高)
委員 コスト論の問題が出てきましたが、私はこのコスト論はそこまで議論する時間がありませんけれども、同じ実働八時間なら八時間、それを七時間だったら七時間、あるいは現在四十八時間制を四十時間に変えれば、競争条件は同じになるわけですからね。ですから企業間のそういうコスト論からいって、これは私は問題にならぬのじゃないかと思うのですよ。
私が一番焦点を合わせたいのは、ヨーロッパのワークシェアリングじゃないですけれども、仕事を分け合って働いて、そうして失業者をなくしていこうじゃないかという観点からいけば、週四十時間制なり時間外労働というものは極力切り詰めていく、年次有給休暇は継続して、労働者の形成権として権利として与えなければならぬということで法制化するようなことをやらなければ、失業問題の根本的な解決と雇用問題の根本的な解決の決め手にはなりがたいのじゃないかということを言っておるわけですね。ですから、何だかコスト論とかなんとかということになると、私の質問しておることとは基本的にずれるような感じがするのですが、どうでしょうか大臣。
-
○栗原国務大臣 週休二日制、時間短縮という問題は、私は先ほども申しましたように、長期的に雇用の拡大につながる、長期的に見ますと、時間短縮するのについて生産性を上げざるを得ない、そういうかっこうからいきますと、それなりに雇用の拡大につながる、だからこれはやりたい。ただ問題は、現時点で見ますと、いろいろの企業の実態、労使の状態等から、これをすぐに法制化するということは適当でない、そういう意味で行政指導がいま十分に行われておるかというと、始めたばかりでございまして、さらにこれを積極的にやっていきたいというのがわれわれの本旨でございます。
-
○
藤田(高)
委員 答弁を聞きましても、また私は冒頭、ある新聞社の大臣の対談の問題を引き合いに出しましたが、基本的には、大臣自身は週休二日制賛成だ、こういうふうに言い切っておりますね。ですから、私、時間の関係もありますので、その決意をできるだけ早く具体化させるのだということで、目標年度を決めるくらいな姿勢でひとつ行政指導を強めてもらいたい、とにかく踏み込んでいくということを要望して、次に移りたいと思います。
そこで、労働省の見解はわかりましたが、これも長年の懸案になっておりますが、大蔵大臣、どうでしょうか、銀行、金融機関の週休二日制の問題。
通産大臣はちょっと所用のために離席されたようでありますが、かわるべき方が来られておれば、この間、通産大臣が、いまパリでIEAの
会議がなされておるようでありますけれども、いわゆるエネルギー、石油の節減問題にも関連をして、江崎通産大臣の場合は何かサマータイムの問題と抱き合わせのような提言をしておったと思いますが、サマータイムの問題は、これはお互いに生活のリズムに変化が起こりますからとりあえず一応別にして、雇用をふやしていくという観点からも週休二日制賛成だということを言っておりますが、大臣の意向を体して答弁できる代理者が来ておればお聞きをいたしたい。
また人事院には、これまた公務員の週休二日制の問題は、いま試行期間が終わって、大体ことしの夏ぐらいまでにはこれに対する結論を出す、私どもこういうふうに聞いておりますが、その見通しを含めた見解を聞かしてほしいと思います。
-
○
金子(一)国務大臣 銀行の週休二日制についてのお尋ねでございますが、先進国各国でも皆やっておることでございます。当然これは日本でもやるべきことであると考えておるのでございますが、問題は、大企業では週休二日制が普通取り上げられておりますけれども、中小企業の多い日本で、中小企業はまだそういうところが少ないものですから、果たして国民的な合意が得られるかどうかの問題が一つ。それから、銀行が休んで郵便局、農協等が店を開いておるのもいかがか、やるのなら一斉にやってもらいたいという問題がありますものですから、現在金融制度調査会でこの問題を検討してもらっております。ことしの前半には結論が出ると思います。私はぜひこれが実現することを望んでおります。もちろん御承知のとおり、これには銀行法の改正が要りますので、それも含めて、これからもわれわれとしては対処してまいりたい、こういうことでございます。
-
○
金井政府
委員 お答えいたします。
公務員の週休制の場合、先生御承知のごとく、公務にはなかなか規模の小さい官署あるいは特殊な部門というものがございます。また、国民生活に密着している関係上、行政サービスの低下ということも十分に考慮しながら導入しなければなりません。しかしながら、現在そういうことで試行をやっております以上、この試行が終わりました後におきまして、その時点における社会経済情勢ないしは国民世論等、いろいろ四囲の状況というものを考慮いたしながら、最終的に結論を出すことにしております。しかしながら、わが国、民間における企業の普及率が約七割に達しておりますし、いわば定着という状況になりつつありますので、人事院といたしましても、今後の方向、基本的な見解ということになりますと、できるだけこれを前進させて、公務においてできるだけ早い機会に実現させるべきが至当だというふうに考えております。
-
○児玉(清)政府
委員 ただいま御指摘いただきましたIEAとの関係でございますが、IEAの
会議が一応結論を得まして、約五%の節約ということで合意された模様でございます。
なお、このIEAに天谷長官、現在出席中でございまして、八日に帰ってまいりますので、その上で、帰朝後詳細な模様がわかると思いますが、現在やっております一月二十二日の推進
会議の結論に基づきまして約三%という試算をいたしておりますが、この上にどれを上積みするかという点でいろいろなメニューを考えておりますけれども、そういうものの一環といたしまして検討することになろうかと思います。
-
○
藤田(高)
委員 私の時間が参りましたので、これで終わりたいと思いますが、きょうは特定不況地域の雇用対策の問題について、建設大臣なり自治大臣にお尋ねする予定だったので、出席を要求しましたが、こういうことになりまして、申しわけなく思います。
ただ一言、最後に両大臣に要望いたしておきたいのですけれども、公共事業の増大が雇用拡大に直結するのだ、さすのだ、こういうことで今日まで来たわけですが、私どもの見る限りにおいては、そのことが余り目に見えるような形で効果が出てないのじゃないかと思うのですね。そういう点で、特に特定不況地域として指定をされておるような地域には、雇用創出を中心として公共事業の重点配分、効果が上がるような施策を強めてほしい。
また自治大臣には、そういう地域を抱えておるところには、特に自治省としてそういう特定不況地域、失業者の多発地帯と目されておる自治体に対しては、雇用問題を解決していくのだという立場から事業を推進していくように、自治省の立場としても格別の御努力を要請をいたしたい。
最後に、いわゆる雇用創出機構にかかわる私どもの問題につきましては、同僚議員にお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
-
-
○
岡田(利)
委員 藤田委員の質問に引き続いて、若干関連して御質問申し上げたいと思います。
今国会は雇用国会とも言われて、各党とも熱心に雇用問題について議論を進めてまいったわけです。また過般来の各党首会談においても、もちろん雇用問題のみではございませんけれども、雇用問題をも含んでそれぞれ今後の政府の施策について強い要望をしてまいったところであります。そしてそういう過程を経ながら、政府・自民党としてもこの問題について特に重点的に今後検討していく姿勢を示されたことは、私は国民の期待からいってきわめて当然であろうかと思います。そこで、特に雇用対策の問題について、すでに政府・自民党が各党に一応の考え方を示しておるわけですから、いわば雇用の集中審議のこの予算
委員会として、これに全然触れないで避けて通るということは非常に問題を残す、こう思うわけです。
そこで、自民党としては、雇用対策の強化のために、第一点として、定年延長奨励金等については、今後情勢を見てその支給額の引き上げの検討をする、こういう一応の考え方が示されておるわけです。もちろん定年延長奨励金、これは雇用維持、こういう面からも非常に効果のあることでありますから、きわめて当を得ておると私は思います。だがしかし、今年度政府予算の中に盛られておりますように、さらに積極的な姿勢で進められた中高年齢層のいわゆる開発給付金、これは五十五歳以上は一年半で、それぞれ提言がございますが、四十五歳以上の今日の求人倍率等を見ても、支給の率は違いますけれども、一年半、五十五歳と同じように延長することをも検討するのに価値があるのではないのか。あるいはまた雇用奨励金、これの関係についても、身障者やあるいはまた未亡人、こういう人々の点についてもさらに検討する必要もあるのではないのか。また失業者を出さないという意味では、雇用維持奨励金、こういうことも十分今後の特別会計等の推移をあわせて検討されるべきではなかろうか。そして、定年延長奨励金の問題についても、予算案では中小三十万、大企業二十万という奨励金がすでに組まれておるわけですが、この点も特別会計とにらみ合わせて十分検討されて、より一層今年度すなわち
昭和五十四年度に効果を上げる、こういう方向性でさらに検討が加えられることが望ましいと思うわけです。
そういう点について、当然いままでの議論を踏んまえて、いまの予算にこだわらないで、もしニーズが多いとするならば、そういう点も含めてこれに対応していくという姿勢も示されておるわけですから、これらについても政府は検討されるものと思いますが、いかがですか。
-
○栗原国務大臣
岡田さんの質問にお答えをいたします。
話し合いが行われているとのことでございましたが、政府といたしましては、今後慎重に検討させていただきたいと思います。
-
○
岡田(利)
委員 いま定年延長問題について議論があり、労働大臣から答弁されたわけです。「定年延長の推進等については、立法化問題を含め、政府の審議会の議を経て検討したい。」こう言われておるわけであります。私はそういう意味では、定年延長の問題を考える場合に、いま各党からそれぞれ積極的に法案も出されておるわけです。たとえば年齢雇用差別の禁止にかかわるような法律案、あるいは大量解雇規制についてある程度これを法律的にも受けとめてはどうかという意見、あるいはまた雇用創出、そういう関係におけるような意見、こういうようなもろもろの雇用創出に関するそれぞれ各党の意見が出されておるわけでありまして、社会党は社会党としての意見を出しておるわけです。したがって、そういう問題は、当然さらに今国会を通じ、あるいは参議院において、あるいはまた専門の担当の
委員会であります社労を中心にして、与野党がさらに積極的な検討も加えられていくだろうし、協議が続けられていくだろうと私どもは思うわけであります。したがって、そういう意味で、いわば定年延長ということを法律的に考えてもいろいろなものと関係がある、各党から案が出ておりますから。そういうものも含めて、政府はしかるべき審議会でもやるでしょうし、また国会としては社労を中心にして与野党が協議を続けていく、こういうことを私は期待されるべきではないか、こう思うのでございまして、先ほど御答弁もございましたけれども、改めて大臣の見解を承っておきたいと思います。
-
○栗原国務大臣 これもまた話し合いが行われているとのことでございますが、政府といたしましては、今後慎重に検討させていただきたいと思います。
-
○
岡田(利)
委員 雇用創出機構という問題は、これは労働団体においても、また経営者団体においても理解を示されておるところであります。いわゆる「政、労、使、公の四者による中央、地方の機関を活用し、失業、再就職などの雇用情勢についての調査を行う等、中高年齢者雇用開発給付金等による十万人の雇用創出の実現を図る。また、十万人の雇用創出を上回る需要があるときは、雇用安定資金等を活用し、適切に対処する。」「雇用発展職種研究開発
委員会を地方重点地域に設置する方向で検討する。」という点についても触れられておるわけであります。
第一点としては、十万人の雇用創出は今度の雇用政策の目玉であります。しかし、これが希望者が上回る、またこれを受け入れるという企業があるとするならば、当然雇用安定資金等を十分活用して、十万人を超えてもこれに対応する、こういう積極的な姿勢で対処するということは、これまた今次の雇用政策からいってきわめて当然の措置であると思うのですが、いかがでしょうか。
-
○栗原国務大臣 これは武藤
委員から私に対して同趣旨の御質問がかつてございまして、それにはそれでお答えをしておりますが、いま改めてここで御提起された問題につきましては、先ほど来から話し合いが行われているとのことでございますので、政府といたしましては今後慎重に検討させていただきたい、こう思います。
-
○
岡田(利)
委員 雇用発展職種研究開発
委員会、これを基軸にして雇用創出をさらに検討し深めていこうということになれば、これは政府としては中央に設ける予定のようでありますけれども、当然それぞれの地方にもブロック的にこれを設けるということも必要になっていくのではないか。
しかし、都道府県単位に、きめ細やかにさらに雇用創出を検討していくということでありますと、現在都道府県別には職業安定審議会がございます。したがって、いま前段に述べた組織の関係と、すでにある職業安定審議会、このものを拡充強化するとか運営を強化する、こういう面で考えていきますと、いわば全国的な一つのネットワークに完成されるわけであります。したがって、いま前段で述べた趣旨は、こういう方向性で政府もこれから検討されていくものとわれわれは思うのでありますけれども、いかがですか。
-
○栗原国務大臣 これまた同じ答弁の繰り返しで大変恐縮でございますが、話し合いが行われているとのことでございましたが、政府といたしましては、今後慎重に検討させていただきたいと思います。
-
○
岡田(利)
委員 そこで、私、いままで四点を挙げて労働大臣の見解を聞いたわけですが、慎重に検討されていく。慎重に検討する場合も、よく理解をして前向きで検討するのか、いや、そうだから一応検討してみるといういわば受け身の検討なのか、きわめて重要であろうかと思います。しかし、少なくとも与野党間で、公党ですから、自民党と医師会という関係とはちょっと違うわけですね。しかも、今国会の雰囲気から言って違いがあるわけでありますから、そういう意味で慎重に検討するという労働大臣の受けとめ方は、その方向に沿って、そういうことが具体的に消化できる方向に沿って検討するという意味だと私は思うのですが、いかがですか。
-
○栗原国務大臣 おざなりに検討するつもりはございません。
-
○
岡田(利)
委員 私もおざなりに質問しているわけではありませんから……。
いまの労働大臣の答弁、多少不満でありますけれども、大体私は今国会の予算
委員会の議論をずっと振り返ってみますと、一応のそれぞれの知恵を出し合った目標地点、こういう意味では素直に理解できるのではないでしょうか。
-
○栗原国務大臣 与野党が本当に素直にいろいろ知恵を出し合うということは、私もうれしいことだと感じております。私も決して素直でない答弁をしているつもりはございませんので、どうか私の真情をおくみ取りいただきたいと思います。
-
○
岡田(利)
委員 あと具体的な質疑に入る前に、特に今年度の経済運営について、それぞれ物価の問題、あるいはまた最近の基本資材の海外の値段の高騰、そしてエネルギーの価格の高騰、やはり経済運営について不安定要因というものは非常に増幅されつつある情勢が今日の情勢かと思います。なかんずく、先ほど触れましたように、一日の日にパリでIEAの
会議が開かれて、一応三%の石油節約ということが上限の五%で合意をする、備蓄の取り崩しについても、一部、日本の主張については理解をされたようでありますが、やはり備蓄についてはきわめて慎重であることが望ましいというのが大勢であった、このことが報道されておるわけです。次回はカナダのトロントで開かれるわけでありますけれども、恐らくこの
会議には江崎通産大臣が出席をされるだろうと私は思います。わが国の石油節約を五%にした場合には、大体どのくらいの量になるのでしょうか。
-
○児玉(清)政府
委員 大体、千三百万キロリッターから千四百万キロリッター程度でございます。
-
○
岡田(利)
委員 大体千三百五、六十万キロリッターぐらいになるだろう、私もこう思うのです。
そこで、三%の場合には、これはもう八百万キロリッターを切る数字でありますが、この五%というのは相当な数字であります。カロリー換算をしますと、これはもうそれと同じカロリーになるわけですから大変な数字になると思います。
したがって、これから次の
会議に出るまでに素案をつくるようでありますけれども、当初政府が考えておった試案以上に積極的に進めなければならないとすれば、一応、企業の生産の体制をエネルギーの面から崩さないという前提を押さえれば、相当知恵を出さなければならない。いわば石油以外のエネルギーの活用は最大限にやらざるを得ないということはきわめて当然の帰結ではないかと思うのですが、特に五%を前提にする場合に、問題は、三%、三・五%ではさわるところはさわってきたわけですから、これ以上さわるということになれば、帰結するところはいま指摘した点ではなかろうかと思うのですが、いかがですか。
-
○江崎国務大臣 御指摘のように、いままでは八百万キロリットルの節約、こう言っていましたから、相当上乗せになるわけであります。しかし、この段階では、大口需要の規制はしないというたてまえはとり続けたいと思うのです。それは、景気の持続と、きょう御審議を集中的にいただいておる雇用の安定をどう図るか。これはもう大口の供給を削減すれば、大口規制だけで雇用問題がぐっと変わってきますね。ですから、非常にこれは苦労をしておるわけであります。
したがって、現在進めておりまする対策をまず徹底すること、これが一番大事だと思います。それから、マイカー使用の自粛、これなどもぜひもっと声を大きくして呼びかけていきたいところであります。そのほか、電力部門における石炭、LNG、原子力への燃料転換が必要でありまするが、特に、とりあえずまずできることと言えば、石炭の混焼をどう奨励するか、これによって財界側の協力が得られれば、やはり一%程度の節約はこの面で可能じゃないかというふうに考えます。
それでは、あとの一%をどうするのかということで、これは天谷君が八日に戻ってまいりますので、実情をつぶさに徴しながら結論を得たい。もうすでに現在、エネルギー庁それから総理府の省エネルギー・省資源対策推進
会議等々においては検討を重ねておりますが、なるべく早く結論づけをして具体的な対策をとってまいりたい、こういうふうに考えております。
-
○
岡田(利)
委員 大臣のいま指摘された点はきわめて重点的な問題点だと思います。なお今日、製鉄の関係においても、大体一千万キロリッターの重油吹き込みをする、そういうことで燃焼効率を高めておるわけですね。しかし、これも代替のできるものでありますから、そういう分野も考えていきますと、五%は、雇用とかあるいはまた生産に大きな影響を与えなくてもやり得る数字である、私はこう理解をいたしておりますので、雇用の面を考えながらそういう点で、しかも五月には、東京サミット前の明確な結論という方向になるでしょうから、せっかくの御勉強をこの機会にお願いを申し上げておきたいと思います。
次に、雇用の関係の問題で、特に私は日本的労使慣行というものの理解、これがいろいろ議論もされておるわけです。日本的労使慣行といえば何であるか。これは、三種の神器として挙げられるものは、いわゆる終身雇用制あるいは年功序列型の賃金、そうして企業労働組合、これを称してわが国における日本的労使慣行の三種の神器、こう一般に通称的に言われておるわけであります。この日本的労使慣行というものについてどういう評価を今日下すかということは非常に重要であります。この点は、民間企業経営に当たられた経験もございます企画庁長官から、日本的労使慣行を今日時点でどういう評価をされますか。
-
○小坂国務大臣 突然の御質問でございますが、私の率直な意見を申させていただきたいと思います。
見方によれば、いわゆる終身雇用、年功序列、そうした関係はきわめて古いというような評価も一方にあったと思いますが、私は結果的に見まして現在のような——もちろん製造工業部面においては人減らしが進んでおりますけれども、しかし、今日までの五年間の長い不況の間、一応人員を整理しないで持ちこたえてきたという環境の基本は、やはり今日まで日本の民間産業が育てた労使慣行、私はこれが非常に大きく働いてきたと評価しておるわけであります。
いまこの時点になりまして、ややそうしたことが人減らしという政策に少し重点がかかり過ぎているということは、われわれもはたで見ておりまして大変残念だと思いますが、しかしまた、このような苦い経験を積むことによって、企業経営者の方も、また労働組合の方々も、このような長期の低成長、不況というものに対応して、この程度のことでもしも切り抜けることができるとするならば、それは一つの大きなノーハウになるのじゃないか。
いずれにいたしましても、余り短期的な見方でなしに、戦後三十年間に日本の労使間で育てたこうした日本的労使関係というものは、やはりなおその存在意義は大きいし、また、それをより近代的な形で再生産していくということを考えることがきわめて重要ではないかと思います。
-
○
岡田(利)
委員 やはりさすがな御認識であろう、私はこう実は思います。
確かに日本的労使慣行、特に終身雇用というのはいわば虚構の上に立っておるということは、残念ながら年金制度ともつながらないという面から言えると思いますし、昨今の不況乗り切りの場合の人員整理の基準、この面からも言えるのだと思うのです。
年功序列型賃金の場合も、いわば事務管理職の場合とブルーカラーの場合とはまた立ち方が違うのですね。ですから、一概に一面だけをとらまえて議論するわけにもまいらないと思うのです。そういう側面を正確に理解しつつ新しい要請に対応していく、労働組合としてもまた取り組むことがきわめて進歩的な姿勢であると私は思っておるわけです。そう考えてまいりますと、これからの日本の労働問題の解決に当たって、これらは解決するのに不可能なような大変なむずかしい問題ではない。従来の、過去の評価の上に立って適応させていくという、そういう進歩的な姿勢で労使が取り上げれば、私は解決できると思うわけです。まそうして、三番目の企業労働組合というのが独露な一つの組織なわけです。世界史的な労働運動の関係では、横断的に職能組合が結成をされて、そうしてナショナルセンターに結集をする、こういう方式で、いわば同じ職種の要求が横断的に話し合い、改善されていくという長年の経過が実はあるわけです。日本の場合には、官公労の場合でも国鉄一家だとかあるいは郵政一家とか、あるいはまた民間でも何々一家というような企業組合の関係にありますから、自由競争の企業競争の中に労使が巻き込まれていく宿命を持っている。私はやはりこのことを理解しておかなければならないと思うのです。だから、本来世界史的には労使関係で決めてきたことも、日本の場合には経験を積みながら、またいろいろな内外の情勢を勘案しながら、ある一面では規制をもしながら進めていく、こういう手法がなければ、なかなか問題の解明はむずかしいと思うわけです。
ですから、一方的に、自由主義経済だから労使自由に任せるという立場も、日本的労使慣行から言えば無理があるし、また極端に規制すると言ってもなじまない面もあるわけですから、そういう点、一方においては規制するものはやはり規制する、法律的にやるものはやる、また労使で自主的に交渉するものについては自主的に交渉をさせて改善をする、こういう面をちょうど車の両輪のように進めることが今日わが国の労働政策上必要不可欠である、こう思うのですが、労働大臣、いかがでしょうか。
-
○栗原国務大臣 一般的に政府として規制すべきものは何か、あるいは労使に任せるべきものは何か、そこら辺の調和をうまくとって労働行政をしっかりやっていけという意味におきましては、私は異存のないところでございます。
ただ、具体的な問題になりますと、いろいろ検討しなければならぬことがあろうと思いますけれども、先ほど日本型の年功序列、終身雇用、企業別組合、こういったものは
経済企画庁長官と私、全く同感でございまして、このよいところを今後どうモディファィしまして時代に適合させるか、そういう姿勢で労働行政を進めていきたい、こう考えております。
-
○
岡田(利)
委員 去る二月の十九日に、江崎通産大臣と栗原労働大臣は、昨今の雇用問題について桜田日経連会長、永野日商会頭など財界四団体の皆さんと意見を交換された、こう報道されておるわけであります。六十歳定年の法制化についてはこの会談の中には反発があったとも報道されています。しかし雇用問題については原則的に両大臣の要請は受け入れる、したがって日経連の会長は、各地の経営者団体に意向を伝えて趣旨の徹底を図る、むしろ高齢者の活用によって日本経済の今後の活力を維持するなどという意見が述べられたと——新聞報道でわからないわけでありますけれども、この点どういう話し合いであったのか、そのエキスをずばり御披露願いたいと思うのです。
-
○栗原国務大臣 私どもは、労使の環境づくりをするために行政として何ができるかということから、経済団体の首脳の方々とも、また今後は労働団体の指導部の方々とも逐次精力的な話し合いを進めたい。その第一回といたしまして、通産省とは密接な連絡をとっておりますので、通産大臣と私が経済界の代表にお話をしようということで、話の内容を端的に申し上げますと、国会の論議を踏まえて問題点を提起したわけです。
一つは、減量経営に籍口して人減らしをするという問題。減量経営をすることについては、企業が生き延びなければならないという場合に、体質改善をしなければならないという場合に、それはいけないとは言えない。しかし減量経営に籍口して人減らしをするというようなことがないように、こういう要請をしたわけでございます。
それからいま一つは、もう高年齢社会である、したがって、定年延長についてはいままでも御努力いただいていると思うけれども、さらに積極的な御努力を賜りたい、こういう話をしたわけでございます。
これらに対しまして経営者の代表の方々は、減量経営に籍口して人減らしをするというようなことは私ども考えていません、むしろ需要がないから供給ができないのだ、大体企業というものはもうけたいので、そういう意味合いでは仕事が欲しいんだ、総体的に仕事がないところに問題があるんだ。いろいろあるけれども、先ほどのお話のように、日本的な労使慣行といいますか、好きこのんで人減らしをするというつもりはない、そういう点についても私どもの気持ちも御理解いただきたいという答弁があったわけです。私どもは、減量経営に籍口するようなことのないように社会的責任を大いに感じてもらいたい。その点については全く同感である、こういう答弁があったわけでございます。
それから高年齢者社会の問題、定年延長を含めた高年齢者の問題につきましては、むしろもう年をとった人にも働いてもらわなければならぬのだ、そういう意味で私どもも真剣に取り組みたい、こういう答えでございました。
足らざるところは通産大臣から補っていただきたいと思います。
-
○
岡田(利)
委員 実はその同日の午後に桜田会長は再び記者会見をいたしたわけですね。そのときに、減量によって企業を存続させることは雇用の維持、拡大に役立つ道であるから、引き続き減量経営をやるように企業に呼びかけるというような発言をなされておるわけです。しかし、これは昨年やあるいは一昨年言われるならば意味がわかるのですけれども、両大臣と会われた後に、なおかつ減量経営の継続をむしろ強く印象づける発言をされるという意味は、何かこう、政治と財界というものは話がぴたっと合うようであってどうも同床異夢ではないか、こういう感じがするわけです。時あたかも春闘の前ですからね。雇用かあるいは賃金かなどという、そういう情勢で桜田会長が記者会見しておるわけでありますから、したがって、雇用か賃金かという思想にウエートがかかった御発言をなされたのではないか。
ただしかし、われわれはこれらをずっと検討してまいりますと、せっかく両大臣と会われて話された内容、それが午後に、春闘があるとはいえ、何か両大臣の意図とはまた離れたような、雇用か賃金かで減量もしなければならぬという、減量経営の方向をむしろ進めるような発言をなされる。情勢がしからしめたと言えばそうかもしれませんけれども、非常に奇異な感じがするわけです。そういう意味で、私はどうも、せっかく両大臣も言われて報告されたことに信頼がおけないような感じがするのですが、この点いかがですか。
-
○江崎国務大臣 今度は私からお答えしましょう。
いまその新聞記事にあったというような発言は、終始私も席に列しておりましたが、桜田さんからはありませんでした。それはこういう間違いじゃないかなというような気がするのは、さっき
藤田さんのお話に私がちょっと答えたことに関連するのですが、要するに、あの人は紡績ですね。そうすると、企業内の合理化を図っていくのにも限界がある。しかも、この雇用を持続、維持していくためには血の出る思いで苦労をしておるという苦労話で、むしろ中高年層の人には企業の傍系企業というような形で、さっき申し上げた養魚とか養鰻とか、紡績などとはおよそ想像もつかないような企業にまで手を出して、そして雇用を確保、維持しておるのだという苦労話があったわけですね。したがって、まあ構造不況業種と言われた紡績などの場合はまことにやむを得ざるものであるが、別な面で努力しておる、そういうあたりの説明が会見においてはちょっと不足したのではないか。いま御指摘のような点は、いま労働大臣と隣り合わせですから耳打ちもしましたが、双方とも聞いていないというのが実情です。
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○
岡田(利)
委員 まあ雑音というか情報はいろいろ入りましてね。大体、国会でそういうことを野党が言って、それを受けてなんということも、後から言ったなどということも言われておるわけですから、われわれはそういう話を聞きますと、せっかく両大臣が国会の議論を踏まえて努力をされておることに対して、通り一遍の理解を示した程度ではないか、そういう非常に不信感があるということをこの機会に申し上げておいて、今後さらに財界と話し合いもされるでしょうし、要請もされるでしょうから、十分ひとつ踏んまえて、腹を決めて話し合いをしてほしいということを申し上げておきたいと思います。
同時に、これは五十三年十月の統計しかございませんけれども、すでに、労働時間的に見ますと、所定外労働時間というのは十二・九時間、特に製造業の所定外の労働時間で言いますと、百人未満は十三・六時間なんです。五百人から百人、この間は十四・一時間、そうして五百人以上の場合には十五・九時間ですから十六時間ですね。この十六時間というのはもう相当な時間数であります。四十八年で十九・七時間でありますから、大体四十八年の水準の所定外労働をやっているというのが昨年十月、これはさらに私はふえているだろうと思うのです。ですから、そういう面から考えても、時間外に頼るということは、減量経営の行き過ぎというものをこの数字は示しておる、こう言わざるを得ないと思うのです。
そういう点について、昨今の所定外労働時間の実績を見て、やはり減量はちょっと行き過ぎた、あるいはまた予想外に早目に景気の底固めが来たとも言えるかもしれません。いずれにしても、そういう意味で今日は仕事量と雇用数はアンバランスの兆しというものを強くしつつあるということは、はっきり言えるのではないでしょうか。
-
○岩崎政府
委員 いま先生御指摘になりました数字は、大企業の方がむしろ所定外労働時間が多くなっているという御指摘が一つあろうかと思います。それからもう一つは、四十八年ごろにもう追いつき追い越すぐらいの所定外労働時間になってきておるのではないかというお話でございますが、いまお話がございましたように、四十八年以前、相当長時間の時間外労働が数字上出ております。一たん五十年、五十一年に落ち込みまして、現在また増加の数字が出てきておりますが、まだこれは四十八年以前のところにまでは戻っておらない。
それから大企業につきましては、所定労働時間そのものが中規模ないし小規模のものよりは少ないわけでございまして、結局、総実働労働時間ということになりますと、月で見まして、大企業の方が相対的に少ないという数字も出てまいりますわけで、所定時間が労使の協定で少なくなっているという数字があらわれているのだろうと思います。
-
○
岡田(利)
委員 そうしますと、わが国の所定外労働時間と欧米の所定外労働時間を比較しますと、一体どういう比較になりますか。
-
○岩崎政府
委員 ちょっといま正確な数字が手元にございませんが、一般に考えられますことは、欧米の方が時間外労働は少ないだろうということは申し上げられると思います。
-
○
岡田(利)
委員 後から正確な数字を示してほしいと思うのですが、この時間外労働というのは、企業労働組合というわが一家主義の中から生まれてくる一つの労働態様であるとも言えるし、同時に、わが国の労働基準法のいわばしり抜けの面がある、こういう点から時間外労働が安易に行われるという結果を導き出していると言わざるを得ないわけです。
なぜかと言うと、わが国の場合には、一応三六協定、三十六条協定をやれば大抵のことはできるという仕組みになっているわけですね。
〔
委員長退席、毛利
委員長代理着席〕
しかも三十六条の場合には過半数の組合の意見を聞くというけれども、組合がない場合には勝手につくって労働省に出しているということも枚挙にいとまがなかったはずであります。そうしますと、所定外労働時間について、社会の進歩や労働者の健康あるいはゆとりある生活を考える場合に、この三十六条は改正をしなければならぬではないか、こう私は言わざるを得ないと思うわけです。
そこで、三十六条と労働基準法第六十一条の関係、第六十一条というのは女子の労働時間及び休日であります。女子の場合には一日二時間に限って残業できる、これは坑内の労働者と同じ制限であります。そうして一週間について六時間、一年間については百五十時間を超えてはならないと定めてあるわけです。労働態様の違いがありますから、監視、断続業務とかあるいはまた職種によってはある程度特例を認めなければならぬとしても、労働時間に関しては、女子の労働時間を男子の方に合わせるのではなくして、この規制は男子の所定外労働時間を女子の所定外労働時間に合わせる方向が、社会の進歩にかない、今日の時代にかなう方向であると私は思うのですが、いかがでしょうか。
-
○岩崎政府
委員 お答え申し上げます。
所定外労働時間の規制につきましては、各国の法制の考え方もいろいろありまして、考え方としては、一つはいまおっしゃいました時間外労働の時間数の上限を規定する、あるいはまた割り増し賃金率を高くして、それを結果的に経済的に規制する、それから、わが国がやっておりますような労使の協定で自主的に決めていただく、こういうことでございます。
基準法の制定当時いろいろ議論があったのだろうと思いますが、結局、その企業における実態というのは労使が最もよく承知しているのだから、労使が自主的に決めていただくということを第一義に考えて現在の基準法が制定されたと考えます。
ただ、その労使協定が、先生先ほど御指摘がありましたように、労働組合のないところでは、ともすると使用者が指名する人とかあるいは親睦会のようなものの代表者というようなことで、実際に労働者を代表しているという実体を備えてないというようなものが、私ども調査、監督してまいりますと出てまいりますし、また、労働時間の上限を労使が決めることにいたしておりますが、やや様式の不備が従来ございまして、一日につき上限何時間というようなことだけを規定してあるわけでございます
そうしますと、企業では最大限、たとえば交代勤務の非番の者が、その次の交代の人が来ないために、そのまま引き続いて超勤をしてしまうというような場合も違反にならないように、八時間ないし十時間の時間外労働が一日にできるようなかっこうにもなっておりまして、上限規制の実をなしませんので、私どもその点も改めまして、労使で一日のみならず、一週あるいは一月あるいは三カ月というような長い期間で総計どのくらいを上限とするというような決め方をしていただくということで、当面、労働基準審議会でも公労使三者一致の御意見で、そういったものを行政指導で規制の足らざるところを補いつつ進めていくという御建議もいただいておりますので、それに対応して現在、これは実は一月一日から実施しておりますので、そういうことでやってまいりたいというふうに考えております。
したがいまして、労使が自主的にその上限をそういったタームで決めていただくということ、その中で妥当な線が出てくるであろうということを当面考えて、私ども進めていきたいと思っております。
-
○
岡田(利)
委員 週休二日もなかなかむずかしい、たとえやってみたところで、この時間外労働がどんどん、無制限とは言いませんけれども、行われるとすれば、意味が余りないわけですね。だから、頭隠してしり隠さずという言葉がありますけれども、週休二日の方向と所定外労働時間のいわゆる正常化といいますか、これは両面でいかなければならないわけです。だから私は、女子の六十一条の規定の内容について申し上げたわけですが、女子の場合に、労基法ができた当時、戦後の食糧事情の悪いときでこれを保護する、これがいまいろいろ問題になっておるのですが、いま逆に男の方を保護しなければならぬわけですよ。そういう意味で、労基法の改正もこれから検討されると思うのですが、この点をいまここで議論しても結論が出る問題ではありませんので、強く指摘をして、今後検討願いたいと思うわけです。
そこで私は、わが国の代表的な鉄鋼、自動車、これが一体どういう労働時間になっているかという点についてお聞きいたしたいのでありますが、もちろん鉄鋼、自動車は国際協調あるいは輸出競争の摩擦などといって、いろいろ国際的にも常に労働関係でも問題視されるわけですが、いわば鉄鋼、自動車というのはそういう意味では代表的なものでありますし、あるいは家電とかあるいは精密機械もあるでしょう。この二者についてはいま一体どういう労働時間になっておるのか、欧米と比較して一体どういう状況にあるのか、御説明願いたいと思うわけです。
-
○岩崎政府
委員 わが国の場合、五十三年の毎月勤労統計調査を私どもやっておるわけでございますが、これで見ますと、これは三十人以上の規模の事業になりますが、五十三年平均では月間の実労働時間が自動車それから自動車の付属品製造業では百八十一時間でございます。これは製造業の平均を一〇〇とした場合には一〇三というような数字になっております。それから鉄鋼業につきましては、月間の実労働時間が百六十八・三時間であります。これは製造業の平均を一〇〇とした場合には九五・八というような数字になっております。
それから外国との比較でございますが、これはなかなか的確な数字が出てまいらないわけでありますけれども——失礼いたしました。外国の場合はちょっと資料が……
-
○
岡田(利)
委員 いいです。特に鉄鋼、自動車の中でも、トヨタ、日産というわが国の代表的な二つを抜いてみますと、自動車の場合は一年間大体二千時間の労働時間になっておる。鉄鋼の場合も、大手の高炉五社で見ますと千九百八十七時間、大体二千時間ですね。そうすると、一日八時間にすると二百五十日間働いておるという計算になるわけです。残りは百十五日ないし百十六日になるわけですが、五十二週の土曜と日曜が週休二日であるという計算をすれば百四日間ですね。国民休日は十二日間あるわけですから、百四日に十二日を足すと百十六日とどんぴしゃりと当てはまるわけですよ。したがって有給休暇はゼロと、きわめてチャンピオンだけ抜いてもそういう比較になるわけですから、諸外国から指摘されることも無理ないと私は思うわけです。そういう意味で、日本の場合、大体欧米よりも二百五十時間ないし三百時間、日数にして三十一日ないし三十七日長い、それで世界的に最も競争力のある鉄鋼、自動車であるということになる。こういう数字が私のところに実はあるわけでありますが、これは間違いないでしょう。間違っていますか。
-
○岩崎政府
委員 先ほどは資料が欠落しておりまして、失礼いたしました。
外国の場合と日本の場合と実労働時間での比較はなかなか困難でございますが、いろいろな換算をいたしますと、製造業全般につきまして二時間程度西ドイツ、アメリカと比べて日本の方が長いだろうという推測が出ておるわけでございます。
それからいまお話しの点でございますが、月間百八十一時間なり百六十八・三時間というのは、これは所定外労働時間を含んだ実労働時間になっておりますので、それを掛けますとちょうど二千時間くらいになるのですが、実際には出勤日数の方で見ますと大体二十日から二十一日の問くらいということになっておりますので、月が三十日と計算いたしますと、週休二日とすれば八日間、そうすると一日ないし二日余ってくるというような計算にはなります。
-
○
岡田(利)
委員 出勤日数で計算しますと、わが国の労働時間だって逆算すると決して四十八時間ではなくて四十三時間とか四十四時間という数字が出るはずなんですね。そして外国の方が逆に三十一時間とか三十一・五時間という数字が出てくるはずですね。ですから、私はやはり年間の総体時間で見て分析する方が比較としては一番妥当だと思うわけです。この点、数字の問題でさらに議論を深めても時間がかかりますから、こういう比較もあるということを労働省はまず念頭に置いてほしいと思うわけです。ただ、その場合に、私がいま挙げた数字は最もトップのところを出したわけですから、まして下請を含めて自動車を生産するマクロ的な関係の労働時間ということになると、相当なハンディが出てくることはおわかりでしょうし、鉄鋼についてもこれは同じだと私は思うわけです。
そういう意味で、いまいろいろありますけれども、人間の健康と社会の進歩からいって、今日の社会で何が一体最も正常なゆとりのある生活ができ得るものであるかという立場から、まず所定外労働時間の規制を図らなければ意味がない、また労働政策としても下の下である、こう言わざるを得ないわけです。人間は常に経済速度で働くことが一番健康的であり、一番いいわけです。これが原則であります。自動車だって六十キロで走れば一番燃費を食わないわけでありますから、人間だってまさしく同じであります。そういう点で、この労働時間の問題を十分検討してもらいたいと思います。
同時に、わが国の労働時間の関係では、ILO条約の関係で時間に関する条約が相当あるわけですね、日本はこれは一つも批准していないわけですから、労働時間に関しては全く後進国だとも言えるわけです。もちろんその内容については、古い条約はすでに達しておる条約もあります。しかし、二十二ぐらいあると私は思うのですけれども、一つも批准しないというわが国の労働時間に対する姿勢はやはり問題があると思うのです。そういう意味で、なぜ一体ILO条約の労働時間関係の批准をやらないのか、この機会に明らかにしてほしいと思うわけです。
-
○岩崎政府
委員 お答えいたします。
いま先生がおっしゃいましたのと数字が違うかもしれませんが、私どもがつかんでおりますのは、労働時間に狭義で限定いたしますれば十件、それから休日、有給休暇に関するものが五件、合計十五件というように考えております。
そのうち主なものとしては、例の一日八時間、一週四十八時間制を定めます工業的業種を対象とする第一号条約、それと同じ内容を持ちます商業・事務所を対象とする三十号条約であります。それから年次有給休暇の条約があります。
それで、わが国の基本的な条約に対する批准の方針として、国内法が条約に適合するという状況を待って批准をするという一貫した方針を戦後とってまいっておるわけでございますが、この一号、三十号条約は、細かい点は若干ありますけれども、基本的な問題は時間外労働の規制の点でございます。これは先ほどちょっと御説明申し上げましたが、その点でわが国の国内法が適合していない、こういうことになっております。
それから、年次有給休暇につきましては、つい最近、継続二労働週を含む三労働週という条約が採択されました。これはまだ最近のものでございますが、わが国のいまの基準法の規定は最低限年六日、それから一年勤続ごとに一日ずつふやすというような累進的な決め方になっております点が基本的に異なっております。そういうこともございまして批准ができていない、こういう状況でございます。
-
○
岡田(利)
委員 わが国の労使関係の中で、時間音痴といいますか、あるいは時間痴呆症というのですか、そういう症状が非常に強いのですよ。重症的症状にある。この点をやはりきちっと意識をして受けとめて労働行政をやらなければ問題の解決は前進しないと私は思うわけです。いま有給休暇についても出ましたけれども、現行の基準法、これは最低線になりますけれども、一年間八〇%以上の出勤をした場合には六日を与えなければならない、そしてあと一年増すごとに一日を加えて、大体十四年か十五年になりますか二十日、これを最低として与えなければならない、こう書いてあるわけですね。だが、いまのように労働力が移動していくという場合、勤めると今度は一年から振り出しでありますから、そうすると、一年間働いて八〇%出勤して六日しかもらえないわけでしょう、もし協定がそうなっておれば。これなどはまさしく矛盾の労働基準法である。これは改善しなければならぬのではないでしょうかね。いまの条約批准以前の問題ですよ。だから後段の方には、今度は、休暇を与える場合には会社の都合などというものが書かれておって、したがって会社の方は都合が悪いと言えばとらないから、半分も実績が上がらない。十八・何日かあって八・六日ですか、この程度より実績が上がらないということだと思うのですよ。せっかく条文は有給休暇を与えなければならないと書いてあるのですから、絶対に与えなければならないわけですよ。与えないとすればそれこそ逆にペナルティーをとって、二倍にしてこれは買い上げさせることをやるか、それとも絶対に与えさせる、そして個人の持っている休暇は三分の二は継続して与えなければならない、こうしなければならないと思うのです。これを最低線にすることが労働基準法の発足の精神なんですよ。それが時代とともに、情勢とともに解釈が変わってきている。もう一回これを原点に戻して、せめて現行の労働基準法の有給休暇の問題を原点に戻してそれを実行させる。これも実行できないとすれば二十一週だとかなんとか議論しておったって、とてもじゃないけれども話にも何もならない。かみ合わないと言わざるを得ない。いかがでしょう。
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○岩崎政府
委員 いま御指摘の現在の労働基準法の規定は、実は最近条約が採択されました。先ほど申し上げた条約の前のものは累進的な規定がございました。ただ、わが国の場合を考えてみますと、確かに、先ほど御指摘の終身雇用制それから年功序列制という中で、会社にずっと継続勤務している者がだんだんに権利が多くなっていくというようなことで、わりに当然のこととして受け取られて制定された経緯があるのだろうと思います。ただ私どもは、この年次休暇の消化の促進ということをやはり進めてまいっておるわけでございますが、これを調査してみますと、年次有給休暇がなかなかとれない。それには一つには、ともかく労使が年度当初あるいは定期的に、計画的に、生産計画あるいは業務計画との関連において、各人の年次休暇の取得ということを優先的に考えなければいけませんが、そういうことで計画的な取得が十分に従来行われていなかった。それから、有給休暇を請求した者がボーナスとかあるいは精皆勤手当とかいうようなものでかえって差別を受けるというような実態も出てまいって、そのために年次有給休暇を取得しにくいというような職場の実態があるところもわかってまいりましたので、そういう点に焦点を当てまして、年次有給休暇の消化促進について現在行政指導を強く行っているところでございます。
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○
岡田(利)
委員 定年制の延長の問題についても、結局、口では年功序列賃金がちょっと適合性がないとかいろいろ言うんだけれども、法律自体がいま言ったこういう体制になっているのでしょう、そのままに。そこはほおかぶりして、大臣が口だけで年功序列賃金がある程度改善されていけばなどと言っても、政府の姿勢としてはまさしくおかしいと思うのですよ。だから、こういう点などはやはり的確に対応して改善すべきではないか。一遍に二十一にまでどうしてもいけなくても、現行の法律体系の中身は変えるべきだ、こう思うのですが、いかがですか。労働大臣の見解を承りたいと思います。
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○栗原国務大臣 労働時間の短縮という問題は、私、前々からお話し申し上げましたとおり、日本人は働き過ぎるという問題もありますし、それから福祉の問題、国際信用の問題、あるいは長期的には雇用の問題につながりますから、真剣に考えなければならぬと思いますが、日本人の体質の中に、使う方もそれがあたりまえ、使われる労働者の方も何となくそれについて、休むことに対して、それを大いに利用しよう、活用しようという点について多少外国とは違う点があるのじゃないかと思います。ただ、それがいいかというと、長期的に見た場合によくない。そういう意味合いでいろいろ御不満はあろうと思いますけれども、私ども足らざるところは承知しておりますが、さらに行政指導を徹底して、関係者にその旨を徹底させたいと考えております。
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○
岡田(利)
委員 大臣のいまの気持ちはわかるのですけれども、いま言ったように年休の与え方自体が年功序列型にしておいて、これを改めなければならぬとか、対応できるようにしなければ六十歳定年はなかなかむずかしいと言っているわけですから、そういうところは政府も姿勢を正さなければだめでしょう。これはしかるべき基準法の改正は検討するのでしょうから、当然検討される材料じゃないですか。そこらをどんぴしゃりおっしゃっていただきたいと思うのですがね。
-
○岩崎政府
委員 先ほどからたびたび御説明申し上げておりますように、当面は基準審議会の公労使一致の御意見で、行政指導をやっていけというお話を承って私どもやっているわけでございますが、今後長期の問題としては当然検討していかなければならないことだと考えております。
-
○
岡田(利)
委員 審議会も不勉強じゃないかと私は思いますね。そういう意味ではどうも一つの惰性にやはり労使ともに立っている。審議会にも私はそういう姿があらわれていることを指摘しておかなければならないと思いますので、この点はぜひ改めてほしいということを強く申し上げておきたいと思います。
次に、労働省は、これは先ほどの
藤田委員の質問にも関連するのですが、千人以上の大企業で、五十五歳以上の雇用割合が六%に対して二%未満の企業六百社に対して、六%目標達成のための計画書の提出を職安にするように義務づけた、事実ですか。
-
○細野政府
委員 先般通達を出しまして、義務づけるように安定所長に命じたわけでございまして、まだ作成命令を出している段階までは行っていないと思います。
-
○
岡田(利)
委員 この調査は大体いつまでの期限で完了するのか。出させた以上、追跡調査の責任は当然あると思うが、この点どういたしますか。
-
○細野政府
委員 計画の時期は最長五年ということで考えているわけでございます。したがいまして、計画の作成を命じました場合に、その五年間について当然先生御指摘のように、個別に各企業にフォローしてその実施状況等を指導していく、こういうことになるわけでございます。
-
○
岡田(利)
委員 五年であるが、五年までに、二%以下の企業ですから、では五年期限を設けて、五年目にとにかく六%になればいいという悠長なものじゃないと思うのですよ、やはり計画的にいかなければならないわけですから。そうしますと、その追跡調査は、六百社に限っているわけですから当然やらなければならない。それでも改善の見られないものは社会的制裁を当然受けるべきであると思う。社会的制裁とは何ぞや。その一つには、先ほど
藤田委員が質問した企業の名前を公表する、これぐらいのことをやらなかったら、こんなのをやっても無意味だと思うのですが、決意はいかがですか。
-
○細野政府
委員 計画の実施状況が適当でない場合には、まずこれに対して計画の適正な実施に関する勧告をいたすことになっております。それでも聞かない場合にどうなるか、こういうお話かと思うわけでございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、公表というようなことも一つの有力な手段かと思うわけでございますけれども、身障法との間の法律上の違いというものもちょっとございまして、法的に公表というような制度がとれるかどうか、若干法的に疑問もございますので、いまそこを詰めているところでございまして、その詰めの後にまた御説明をさせていただきたい、こう思うわけであります。
-
○
岡田(利)
委員 身障者の場合には一・五%なら一・五%に達しない場合にはペナルティーがあるわけでしょう。一人三万円というペナルティーがあって、それを財源にして今度の予算も組んでいるわけなんです。これはどうも法律上正常な人間である、労働力人口であるという面で、このペナルティーがなじむかなじまないかという問題が議論されておるわけです。だがしかし、改善計画を出させて、そして追跡調査をして勧告しなければならないそういう企業は、勧告するということは公表と同じでしょう。それ以上の罰則といったって、いまの現行法では罰則ないわけでしょう、法律改正しなければ。そうすると、これは公表していわゆる社会的罰則、制裁を加える以外にないじゃないですか。それ以外に罰則があるのですか。だから、検討するしないの問題じゃなくして、そこまで腹を固めなければなかなか実効は上がりませんよ。いかがですか。
-
○細野政府
委員 高齢者の雇用問題は、先ほどの定年の問題と同様に、賃金慣行等の改善の問題とも絡んでいるという一つの問題もございまして、したがって先生も御案内のように、身障の場合とは違いまして、高齢者については六%という努力義務になっているという、そういう点の違いもございまして、その辺の点を総合的に勘案しまして法的にちょっと詰めさせていただきたい、こう考えているわけでございます。
-
○
岡田(利)
委員 私は、努力目標であるから、六%に若干達しない五・六%まで公表せいとは言わぬけれども、いま言ったように二%以内の企業ですから、それをやってもどうも三、四%、五%にも達しないなんということになると、これはやはり当然社会的制裁というものは、努力目標といえども法律で定めているわけですから、そういう点、実効の上がるようにびしっと毅然たる姿勢でやられることを希望しておきたいと思います。
時間がありませんから私の方から申し上げますけれども、これは日本経済センターの調査なんですが、
昭和三十五年から
昭和五十年の十五年の間における男子雇用者の平均年齢はどういう変化があったかと言えば、全体では三十二・八歳から三十六・四歳、三・六歳十五年間で上昇しました。大企業は三十四・六歳から三十六・二歳、一・六歳上昇しました。小企業は三十一・一歳から三十七・六歳、六・五歳ですね。いわば雇用者の平均年齢は、十五年間でやはり小企業の方が高まっている。いわば中高年齢層ははっきり中小企業に移動しているというふうに数字が示しておるわけです。そうして現行の定年制をこのままに固定して考えますと、五十一年から五十五年の間には、毎年定年到達者は十四万六千人ずつ出るわけであります。六十一年から六十五年になりますと、毎年平均二十七万二千人出るわけです。十二万六千人ふえる、こういう調査の結果が実はあるわけであります。
そこで私は、この定年到達の問題で考えますと、いわば中高年齢者は中小企業にまだ移転するであろうということは、過大評価してはならないと思うわけですよ。もう相当すでに移動していますから、やはり大企業から中小企業への放出というものは限界に達しつつある、こう見なければならない。同時に、中小企業で定年制をしかないで、いわば五十五とか六十以上の人間を雇用している、こういう企業が六七%あるのですよ。これが六十に定年制をしくと、逆に放出される人が出てくる、こういう現象もあるわけです。そして、最近の選択制の定年制の導入や希望退職の募集における実質定年の大幅な引き下げ、こういうものが相乗的に中高年齢層を、さらに失業者を拡大していく要因になっている、こう言わざるを得ないと思うのです。だから私は、そういう意味で、所属事業所の移転中心に考える雇用政策というものは、一時的には効果は上げても、中期的には限界に来る、そういう重大な反省の上に立って、当面、今年予算の開発資金も結構でありますけれども、中期的にはこのような政策では限界に来るということを言わざるを得ないと思うのですが、労働省の認識はいかがですか。
-
○細野政府
委員 先生御指摘のように、高年齢化のスピードというものは大変なスピードで進んでおりますので、したがいまして、いまやっているようなやり方で比較的相対的に若い定年というものを大企業が続けていれば、大企業自体もそう遠からずしてそういうことを続けることが非常に困難な事態には来ると存じております。ただ、問題は、その対応がおくれますと、そこに非常に大きな社会的問題が起きるという意味で、私どもは早目の対応をとることを大企業初め経営側に強く要請をし、また賃金体系等の問題については労働側にもその点についての理解をお願いをしている、こういう状況でございます。
-
○
岡田(利)
委員 この点は特にもう非常に重要な問題でありますので、十分検討を願いたいと思います。
大蔵大臣退屈のようですから、ひとつ大蔵大臣に質問したいと思うのですが、今年の予算で政府及び政府関係公社、公団、特殊法人、この雇用増は幾らでしょうか。どのくらい雇用増の予算になっているのでしょうか。
-
○長岡政府
委員 お答え申し上げます。
公共事業関係での雇用増は、この前お答え申しました約十六万人でございます。それから社会福祉施設、文教施設関係で五万五千人ぐらいの雇用の増加を見込んでおります。
-
○
岡田(利)
委員 特に本
委員会で問題になってまいりました福祉、医療、保健、文化、公共サービスといいますか、いわば厚生省の社会福祉施設関係の職員は、予算上見れば五十四年度は二万一千五百人増ですね。したがって、今回七カ年計画のいわゆる基本構想というものを出されたわけですが、基本構想を聞くと、各論はこれからだと言うのですけれども、いままでいろいろな計画を出したけれども、基本構想しか出てないですね。前期五カ年計画だってそうでしょう。それで答弁するときは、各論はこれからやるのですと言うけれども、これはやったためしがないのです。
そういうことを前提にしてお聞きするのですけれども、特にこの重要な社会福祉施設を充実拡充するということは、七カ年計画にどのように一体見込まれてこの計画が成り立っておるのかどうか。いわば来年度二万一千五百人ふえるわけでありますから、当然この年率でこの部面についてはふえていくのだろうと思うのです。そういう点について、これは
経済企画庁長官かな、いかがでしょうか。
-
○橋本国務大臣 大変恐縮でありますが、一部数字が違っておるところもありますので、私の方から五十四年度予算とあわせてお答えをしたいと思います。
五十四年度予算におきまして社会福祉施設等の社会福祉の分野での新規雇用増は大体二万八千七百人程度であります。そのほかに、医療施設関係でおおむね二千六百人程度、全体を合わせて大体三万一千三百人程度と見込んでおります。五十年度の前期経済計画の場合の保健医療施設及び社会福祉施設の構成比が二・一五%に対して、新しい七カ年計画においての構成比は二・二六%、それだけの増があるわけでありまして、専門職としての養成の問題等はございますけれども、おおむねこの程度の伸び率は推持できると考えております。
-
○
岡田(利)
委員 この程度の数字という意味は、今年度増の人員は、七カ年計画で毎年これを最低としてこの部面の人員増になっていく、こういう理解でいいですか。
-
○橋本国務大臣 お答えを申し上げます。
大体において私はその程度にいくであろうと思いますけれども、御承知のように社会福祉の分野における国民のニードというもの、比重の置き方、その点にはある程度の変動がございます。七カ年計画自体が総枠を決めておるものでありまして、私どもとしては、そのニードにある程度対応して今後の対策を立てなければなりません。そうした状況も一応御判断の中にお入れをいただいて、おおむねこの程度は維持できるということで終わらせていただきたいと思います。
-
○
岡田(利)
委員 厚生大臣は終わらせてほしいと言うけれども、その程度では余り国民は——これから年々七カ年計画に基づいてゆとりのある社会づくりというのですか、そういうことにはならないと思うわけですね。いわば七カ年計画のビジョンというものは、柱になる数字を示しているけれども中身はまだ空っぽなんだ。空っぽでなければ、各省の考えておることを寄せ集めして一応コンピューターにかけて積算した結果である。まあ極端に言えば、大したことない。口が悪いですか、どうですか長官。
-
○小坂国務大臣 余り酷評を下されますと熱意を失いますからあれでございますが、しかしいまの雇用の関係と一緒に、われわれ所得配分をいま六十年までにどういう結果になるかということを多少前向きに詰め始めておるところでございます。私は、こうしたことの積み上げの中から、だんだんと実際計画というものに近づけた計画の前進を図りたいというふうに考えておるわけでございます。
-
○
岡田(利)
委員 その程度しか答弁が出ないのだろうと思うのです。ただしかし、長官、各省のこれに合わせる、たとえば労働省なんというのは一つの計画があるわけですよ。恐らくこれがもとになっておると思うのです。内容は同じなんですから。一・七なんて同じです、数字が全部。一・幾つなんという数字は同じですから。だからこれに合わせて組み上げてみる。組み上げないでまた今度は新経済計画、これではどうかと思うのです。まして高度経済成長時代と違って、一定の安定した成長目標を設定し得るわけですから、多少上下はあっても、そんな高度経済成長時代のような変動はないと思うのです。やはり一回組み上げる。それを基礎にすると次への計画が非常に楽になると私は思うのですよ。精度の高いものになると思うのですね。そういう点を各省に要請する気持ちはございませんか。
-
○小坂国務大臣 もちろん
岡田委員のおっしゃったような方向でいま作業を始めておると思います。
-
○
岡田(利)
委員 先ほどから定年の法律制度ということが議論されて、一方国家公務員についても人事院で法律的に定年制を設けることについて検討している。自治省においても三度法律を出した経験を持って、さらに国家公務員の方向でも検討しておるのだから、検討してできれば近いうちに法律も出したい。公務員だけが法律になじんで民間の方が法律になじまない、非常におかしいと思うのですよ。まして年金なんかの立て方から言えば逆ですね。日本の労働政策というのはすべて逆立ちなんです。世界の労働政策というのは、重筋労働者の労働条件を保護するというところから出発して、積み重ねで到達するわけですね。日本の場合には官公庁と銀行からいつも始まってくるわけですよ。逆立ちの労働政策なんですよ。だから法律論になりますと、やけに公務員には今度積極的で、民間の方は年金が合わないのに六十歳の定年到達もできない、こういう矛盾を同じ政府で平気でやるわけですよ。そういう意味で、私は、民間の関係がきちっとしないのに、公務員だけ今度は逆に抑えてしまうというのは逆立ちだと思うのです。そういう点では、いますぐ法律で地方公務員とかあるいは国家公務員だけ決めるということはやめた方がいいと思うのですよ。いかがですか。やるなら全体的に考えたらいかがですか。これは自治大臣ですか。
-
○澁谷国務大臣 お答えいたします。
私は、定年制の問題は大体実施という方向で国民的なコンセンサスが熟してきておる、こういうふうに判断をいたします。
そこで私の担当は地方でございますから、地方公務員についてはできるだけ早い機会に定年制の実施に踏み切りたい。ただ地方公務員の場合は、定年制実施の基本法を国会で制定していただきまして、それに基づいて具体的にはそれぞれの自治体が条例で定める、この二段階方式が適当だろう、このように考えております。
-
○
岡田(利)
委員 労働大臣、あなたの今国会における答弁を聞いておっても、いま言ったように公務員の方のないものを今度は法律で決めるというのですから、抑える。これは抑えるという意味で決めるのでしょうね。そうしたら、逆に引き上げるという意味で、法律になじまないということはないわけですよ。わが国の勤労者として同一人格を持っている面から言っても。だからなじまないと労働大臣が言うことは、(発言する者あり)いや国家公務員は違うといったって、そう簡単に、同じ政府ですからそういうのは通りませんから、いかがですか。そういう意味で法律的になじまないとは言い切れないのじゃないですか。労働省としても、そういう意味では、そういう情勢から見ても法律的に民間の場合といえども考えていく、当然ではないでしょうか。
-
○細野政府
委員 先生御存じのように、公務員、特に国家公務員の場合には労働条件に当たるものは法律で決める、こういうことになっているわけでございます。したがいまして、定年を定める場合においても法律でやらざるを得ないというものでございます。
一方民間におきましては、先ほど来申し上げておりますように、年功序列賃金なりあるいは人の配置なりあるいは退職金問題なり、それとの絡みで、その企業のコスト負担の責任の中でその問題を処理していかなければならぬ、こういう問題があるわけでございまして、それについてはまさにその処理の仕方というのは労使が話し合ってそれで決めていく。つまり労働条件は労使が話し合いで決めていくべきものであるという、民間産業に特有の問題であるというふうに私ども考えておるわけでございます。
-
○
岡田(利)
委員 公務員からスト権とかを奪っていて、人事院をつくり各それぞれ公平
委員会をつくって、第三者中立の勧告に基づいて賃金等も決めるというのがわが国の制度になっているわけですね。基本的な労働条件であるこの定年問題だって頭から政府が決めていくという考え方。特に地方末端にそれぞれ公平
委員会があるのにこれを一本の法律で決める。これなどは、ストライキ権を奪っていて、それに抵抗する能力を奪っていて法律で決める、こういう物事の考え方は、私は逆立ちだと思うのです。だからいま答弁がありましたけれども、制度もあるわけですから、一概にコスト問題だけで議論できる問題じゃないわけです。時間がありませんから、そういう点を強く指摘をしておきたいと思います。余りむちゃをやると、これまた国会でも大変な問題になることを指摘をしておきたいと思います。
そこで労働大臣、いまの制度、私も大臣になったらなかなかむずかしいと、質問する方もむずかしいと塩川さん言いましたけれども、全くそうなんですね。あの厚生年金とか年金制度もむずかしいですよ。しかし、ずいぶん年金意識が高まって、テレビで懇切丁寧に解説をして、そして国民一人一人が自分の年金というものはどうなるかということをずいぶん知り得たと思うのですよ。そうすると、一番いい方法は、多種多様ですから、大企業、中小企業それから身障者、未亡人、とにかく訓練から何からあるわけですよ。だからわが国の雇用政策というものを本当に積極的に進めていくとすれば、使用者側にもまた一般の国民にも十分周知徹底させることが大事である。単なるパンフレットでは欲しい人にいかないのですよ。職安にやったって、前に指摘したように七十万件の相談があって、いま職安の職員が一人三分間ずつ面接したらあともう何もできないのですから、金の給付もできなければ雇用開発もできないのがいまの職安の実態でしょう。そういう数字なんでしょう。これは私のほらですか。七十万件を一人三分間ずつ面接したら、求人あるいは雇用がありますね、求職がありますね。三分間ずつ会っていたらあと何も仕事ができない。これがいまの職安の人員配置の実態でしょう。職安
局長いいですか。違うですか、私のはったりですか。
-
○細野政府
委員 安定所の業務が非常にふえておりまして、安定所の職員が大変忙しいという御指摘は私もそのとおりだと思うわけであります。ただ、そういう点もございまして、たとえば事務的に一番手数を食います保険関係なんかにつきましては、全く機械そのものが字を読み、これを処理するというOCRという方式をいま導入することによって、かなりそちらの面での手を紹介関係に回せるというふうな、そういうふうな合理化にも鋭意努力しているという状況でございます。
-
○
岡田(利)
委員 せっかく応援してやっているのだから、本当のことを言った方がいいんだよ、何も遠慮しないで違うなら違うと、そうなのですから。
そこで、そういう意味で私は、予算が決まったら、四月一日になるわけですから、これはNHKもあればいろいろなあれもあるし、これだけの雇用問題を真剣にやろうとするならば、もう思い切ってそういう姿勢で大臣もテレビに出る、あるいは関係者も出る、そういう形で年金と同じようにわかるように懇切丁寧に啓蒙、啓発すべきだと思うのですが、いかがですか。
-
○栗原国務大臣 姿勢を示すという意味でも私が出ることが適当であるならば、企画してくれなければ何にもなりませんけれども、いろいろの場面でせっかく労働省が考えております施策を積極的に国民の皆さんに知ってもらうための努力をいたしたい、こう考えます。
-
○
岡田(利)
委員 時間がありませんから、これは大蔵大臣あるいは企画庁、通産大臣でもいいのですけれども、この
昭和六十年、いわゆる七カ年計画の目標年次の対外直接投資残高は一体どの程度になるという見込みでおられますか、まずお聞きしたいと思うのです。
-
○喜多村政府
委員 基本構想におきます海外投資の残高ということでございますが、そういう計算はいたしておりませんで、今回は基本構想というきわめてマクロ的なものでございますので、経常海外余剰というものがGNPの二分の一%程度という程度に計算いたしております。
-
-
○
金子(一)国務大臣 現在の実績はございますけれども、今後七年間にどうなるかの計算は、いま企画庁から答弁したとおりでございます。計算しておりません。
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○
岡田(利)
委員 そうすると、海外投資によって現地雇用している人間は、これはわかっている年度でもいいんですけれども、どのくらいの雇用人員になりますか。大体八万八千人くらいじゃないかと言われるのですが、
昭和五十年の数字です。そこで、残念ながら時間がないから申し上げますけれども、これは民間の日本経済研究センターでずらっとやってみた予測なんですが、最近はもちろん円高でありますから投資も活発になっていく、そして経済成長に合わせて海外投資はずっとふえていく傾向にあることはもう御認識があると思うわけです。そうしますと、
昭和六十年にはわが国の対外直接投資残高は七百四十億ドル程度に恐らくなるだろう、こういう予測があるわけです。これは
昭和四十九年に比べると十倍近いふえ方なのですね。したがって、これを海外投資の海外雇用で見ますと、
昭和五十年はいま八万八千人と申し上げましたけれども、
昭和六十年にはもう十八万人になるだろう、こういう数字に実はなるわけです。ですから、これだけの投資が行われるということは、逆に国内産業の従業員数で見ますと、たとえば自動車なら自動車というものを海外に移転させると、これと相対して計算をすると、これと相対して計算をすると、三十七万人くらいの雇用減に国内的になるだろう、こういうわけです。いわば雇用輸出か失業輸出か、こういう問題もあるわけですが、そういう意味では、一つの政策として対外直接投資という面については、全然やらないというわけにいかぬでしょうけれども、今後の経済運営上、ウエートはどんどん高まりますから、相当注意をしなければならぬ問題ではないのか。特に労働事情については労働省としてはこれらを的確に把握できる調査体制といいますか、チェック体制というものをいまから準備しておく必要がある、こう思うのですが、この点について、前段は
経済企画庁長官ですか、それから後段は労働大臣から御答弁願いたいと思います。
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○小坂国務大臣 海外直接投資は、仰せのようにそうしたような国内の失業を増加するような傾向が全くないとは言い切れないと思います。その点につきましてはよく事態を調査しつつ慎重に対処すべきであろうというふうに思います。
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○栗原国務大臣 労働省といたしましても十分対処するように準備しなければならぬ、そう考えております。
-
○
岡田(利)
委員 時間がありませんからこれで終わります。
最後に申し上げておきたいと思うのですが、いずれにしても、最近は行政機構の簡素化という問題もずいぶん国会で議論されています。だが、公務員を減らせばそれでいいというものじゃないわけですね。先ほど言ったように一方でふやさなければならぬものがあるわけですから。もちろん職種的に移転をさせるということも必要でしょう。だがしかし、それでもわが国の公務員というのは、日本の場合には大体全体の三・七、イギリスは六・一、アメリカは五・三、西ドイツは八・九なんですね。ですから、公務員の職種の占めるウエートというものは諸外国に比べると日本は最低で非常に低い水準にある。あるいは地域社会、個人サービスについても、数字を申し上げるまでもなくそういう状態にあるわけですよ。だから、公共サービスや社会福祉施設のサービスをどんどん進めるとすれば公務員がふえることは当然なんですね。不必要なところにおるということになれば問題でしょうけれども、総体的にはふえていく傾向にあるわけですよ。このことを間違ってわれわれは議論すると整合性を欠くのではないかという点で、私はそういう意味で、国民のニーズに合った行政、即応体制をつくるという点についてむしろ政府は積極的な姿勢をとるべきだということをこの機会に強く申し上げておきたいと思います。まだいろいろ申し上げたいことはありますけれども、時間がありませんので、以上申し上げまして、とにもかくにも、今国会の雇用審議の成果というものをお互いに謙虚に受けとめて、改めるものは改めていく、こういう真摯な前向きな姿勢を政府としてとられるように強く要望して終わります。ありがとうございました。
-
○毛利
委員長代理 これにて
岡田君の質疑は終了いたしました。
次に、
草川君。
-
○
草川委員 公明党・国民
会議の
草川昭三であります。
私は、一番最初にこういうことから発言するのは大変恐縮でございますが、労働大臣に、非常に言いにくいことでございますけれども、きょうの雇用に関する特別の予算
委員会で、私も午前から参加をさせていただいておるわけですが、非常にがっかりしたわけです。いまの労働省の労働行政というのは、雇用の問題について比較的西ドイツあたりの先進的な経験なんかを生かしたり、あるいはまた労働大臣も就任以来かなり意欲的に取り組んでみえる態度については、私は率直にある程度評価したわけです。けれども、特にきょうの午前中に年齢差別禁止法案の取り扱いの問題をめぐり、あるいはいまの社会党の
岡田議員の質問に対する答弁を聞いておりますと、これは問題があると思うのです。基本的に考え直さなければいかぬのじゃないか、こういうことで最初に質問をしたいと思うのです。
私はかねがね、雇用というのはまず第一に失業を防止をするというところに、労使とも、国も挙げてこれは力を入れなければいかぬ。そうして、どうしてもやむを得ず出た離職者に対しては手厚い保護をする。あるいは構造不況業種に対する国の施策というものは必要である。そうして同時に第三番目に、年金だとかといういろいろなもので、いろいろと併給をしながらではございますけれども、新しい雇用というものをつくり出すという、雇用創出という問題点を私は取り上げなければいかぬ、こう思うのです。そういう意味では、第一番の失業の防止という意味では、労働組合も使用者側も社会的な責任を持って、節度のある労使関係を持っておってもらわなければいかぬと私は思うのです。
だから、かつての三井三池のようなああいう闘いがあったからこそ、逆に経営側の方も首切りというような露骨なことをやってきてないわけですよ。だけれども、それが内攻化して肩たたきというような形で出てくる、そのしわが中高年齢層の方に寄ってきておるわけですから、戦後一番苦労した中高年齢に対するいわれのない年齢差別というものを、国の力によって規制しないとどうにもならぬじゃないかということを、すでに何回か労働省も言ってみえるわけですよ。中高年齢対策の基礎はこのいわゆる定年延長しかないだろう、こういうことを正式に言ってみえるわけでありますが、今度の国会には、野党の方も労働界の方もあるいは経営側の方も雇用に目を向けて、ようやくひとつ論議しようじゃないかといったのが、この略称定年法案なんです。これを審議会の中で、少なくとも法制化を前提に検討しようとすら、そこまで、政府ではございませんけれども論議が行き、労働省もまるっきり知らぬというわけはない、関心があったに違いない。しかしそれが、けさの自民党の塩川議員への答弁では、コストが上がるからこれはちょっと問題がある。そういう意見は確かにあると思うのですよ、経営者側にあるわけです。しかし、そういう論議というものをきょうのこの雇用に関する特別の
委員会で論議してこそ初めて、私は意義があると思うのですよ。ところが、慎重に検討します、慎重に検討しますというような態度を続けるなら、私は、本日せっかく持っていただいた雇用に関するこの特別の予算
委員会というのは全く意味がない、国民の皆さんに申しわけがない。全国で戦後、本当に歯を食いしばって芋を食いながら闘ってきた中高年齢の人に申しわけないと思うのですよ。そういう点について、まず大臣の見解を問いたいと思うのです。
-
○栗原国務大臣 高年齢者社会になってきた、しかもその高年齢者の方々が戦前戦後を通じて非常に苦労してきた、そういう人たちに対して国は責任を持つべきじゃないか、こういう御意見でございまして、私ども、その責任については十分に感じているところでございます。
ただ、御指摘のとおり、定年延長ということを法制化するということについては、従来からの政府の考え方の中に年功序列賃金体系、こういうものがあってと、いろいろお話をしたわけでございます。しかしその後、いま予算の修正を通じまして各党間でいろいろお話し合いがあるということが質疑として出てまいりましたので、それ以降は、ここでまた恐縮でございますけれども、その点に関するお答えといたしましては、いま話し合いが行われているとのことでございましたが、政府といたしましては今後慎重に検討させていただきますということでお答えをしているわけでございます。
私どもは、この定年延長の問題についておろそかに扱っておるというつもりはございませんし、高年齢者の福祉のために積極的な施策を講じていきたい、こう考えているわけでございます。
-
○毛利
委員長代理 関連質疑の申し出がありますので、
草川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。
正木君。
-
○
正木委員 私は、俗称年齢による雇用差別の禁止法案の問題について、定年延長法とも通称言われておりますが、労働大臣がこのことについて何らの態度表明も自民党にしておられないということが、どうしても納得できないのですよ。納得できないと言ったって、知らぬと言えば知らぬかもわかりませんけれども。というのは、一連の今回の予算修正の経過の中で、このことはもう初めから議題に上っているわけです。われわれは、実際に予算書を修正するところの修正条項と、それから予算書には直接関係はないけれども、政策要求としてこれこれのものを政府自民党がのむということ、これがわれわれがこの当初予算に賛成するかもしれないという一つの大きな条件であったわけです。これは初めから入っておりまして、御承知のようにこれが具体化いたしましたのが、二月二十八日の夜の七時半から行われた自民党と公明党、民社党の政審会長会談です。この中で、政策要求としての定年延長法案の取り扱いについて、私はこれを何とか政治日程に上すように、というのは、恐らく今国会でこの法律が成立したり、またことしじゅうにこの法律が制定されるというような方向はなかなかむずかしいだろう、非常に重い法律でありますから。しかし、少なくとも五十二年に衆参両院の社労
委員会で、この定年延長について、法制化という言葉は入っておりませんが、定年延長について政府は責任を持って促進をするという決議が行われた。この決議を受けて労働省は定年延長について努力をされたとは思いますが、実効は一向に上がっておらぬ。だから、私は、これはやはり民間労組におきましては、労使の間で話を進めて、そして定年を延長することが本来の姿だろうと思うけれども、その経過を見たときには、やはり法制化という問題をここに持ち出さなければ定年延長の問題は解決しない、こういう判断のもとにこのことを強く要求したわけです。しかも、それを政治日程に上すためには、単に、検討しますとか、単に、考えますということであるならば、少なくともわれわれは、結党以来初めて当初予算に賛成するというような重大な代償を払うわけでありますから、そんなわけにはいかぬ。そのために三つの条件を出しております。その一つは、いわゆる年齢による雇用差別の禁止、まあ定年延長と言ってもいいでしょう。これを法制化の方向で政府は審議会に諮問しなさい。しかもその審議会は、中央職業安定審議会もあろうし、総理府に置かれておるところの各省にまたがる雇用審議会、有沢先生が会長の審議会がありますが、どちらでもいい。しかし、及ぼすところの影響は非常に大きいから、総理府の雇用審議会が最も適当であろうというふうに判断をいたしまして、その要求を一つしている。もう一つは、この前の国会決議は先ほど申し上げたように
委員会の決議でありますから、これを本
会議の決議にして、政府に対して衆議院はこの定年延長の法制化の方向で早急に検討を進めるように要求をするという国会決議をやってもらいたい。同時にまた、現にわれわれはこの法案を用意いたしまして、すでに衆議院に提出いたしておりますが、それをたたき台にして、自民党も入って共同案の作成に一歩踏み出すような状況をつくってもらいたい。この三つの要求を出したわけです。
しかし、これはそれぞれにおいて非常に重大な意味を含んでおるので、自民党としてはなかなか素直には受け入れがたい、こういう河本政調会長のお話がありまして、しからば、政府から当該の審議会に対して、法制化を含んで、方向という字はありません。法制化を含んで諮問をするということで御了承はいただけないだろうかということ。これはもうすでに二月二十八日の段階で自民党の態度として明確になっておるのです。
これを三月一日の党首会談で再び竹入
委員長からこの三条件というものを持ち出しました。佐々木
委員長も公明党と同じ意思でありますということをそこで言明せられました。そうして、結局その後、その晩には政審会長会談が再び開かれて、さらに詰めが行われた。このときには、その状況からいっても恐らく形式修正に、いわゆる予算書の手直しに政府・自民党は応ずるであろう、こういう強い感触を得て帰ってきた。しかし、明くる日にこれはパアになるのですがね。これはまた別の機会に政治責任を追及しなければいかぬと私は思うけれども、しかし、そこまで、いわゆる当初予算に賛成するとまで言って要求をされた、しかもその協力的な態度というものの誠意については自民党は大いに評価します、しかし、ついに大平総裁の決断によって皆さん方の要求を受け入れられなくなった、いわゆる実質修正しかいかぬ。そこで、あなたのところの齋藤幹事長が、その誠意に報いるにわれわれ自民党も誠意をもってしなければいけません、したがって、公明党、民社党の要求ということではなくて、少なくとも三党の政審会長会談で合意されたものにつきましては、自発的に、一方的に責任を持って自民党が実行をいたしますと言うて文書が来たのです。その文書の中に、「定年延長の推進については、立法化問題を含め、政府の審議会の議を経て検討したい。」と書いてある。これは社会党のものも同じことを書いてあるけれども、社会党のものは恐らくついでと思うが、これは明らかにそういう経緯を経て、定年延長の推進ということについて自民党が大きな責任を持った回答ですよ。しかも、この中に自民党の審議会に諮問をするとは書いてないのですよ。政府の審議会に諮問をする、そうして検討したいということを明確に言うとるのに、それはあたいはまだ知りませんとか、まだ詰めが残っていますとか——詰めの残るわけがありません。これは明らかに労働大臣ないしは総理大臣は、この定年延長の立法化を含めて当該の審議会に諮問をしなければいかぬのです。私どもは話し合いというものの余地はないのです。われわれが要求したものを一方的に受け入れて、一方的に誠意を示しますという自民党の答えでありますから、これからこの問題についてはどうしますかということではないのです。だから、河本政審会長のところに齋藤幹事長が立ち会われて、私たちにこの文書を渡されたときに、私たちは一言も質問をしておりません。この実行をわれわれは厳重に監視をいたしますというだけで帰ってきているのです。そういう性質のものなのです、この回答は。他党は知りませんよ。少なくとも公民両党に対する回答というものはそういう性質のものなんです。それを知らぬとは何事やね。しかも、このことについてはまだ詰めが残っているとか相談を受けていないとかということであるならば、あなたはこれは知らないのかもわかりませんが、これは重大なる自民党の背信行為ですよ。これは野呂副会長もここにいらっしゃるから、その経緯はよう知っておる。私は一言もうそを交えておりません。ですから、これはそう軽々しい問題ではありません。これが持っておる事態の重要さもわかるが、そういう軽々しい返事で過ごせる問題ではないのです。そうすると、ほかのことも全部あかぬということになるのです。いいかげんなことなんだなと。腹を決めて言ってくださいよ。
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○栗原国務大臣 先ほど
草川さんに申し上げたことで御了解をいただきたいと思いますけれども、あえてそれでは満足できないというならば、先ほどの経緯から申し上げます。
私が党の方に、どういう経過になっているんだという話をしたのです。そうしましたら、党の方では、まだ正式に政府の方と協議をする段階になっていない、もう少し待ってくれ、こういうことでございますので、政府としては、これ以上申し上げようがないということでございます。
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○
正木委員 もう一問だけ。
それじゃ、あなたがぼくのところに回答したわけじゃありませんから、それはそういうことで無理ないのかもわからぬ。しかし、自民党が少なくともそういう経緯を踏まえて出てきた答えでありますから、このとおり労働大臣ないしは総理大臣に、立法化の問題を含めて政府の審議会の議を経るというのですから、諮問をするということです。すべきであるということを公明党並びに民社党に回答をしたのであるということになったら諮問をしますか、それだけはっきりしといてください。
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○栗原国務大臣 自民党の方から正式にお話があれば、その段階で考えます。
-
○
正木委員 考えるじゃだめなんですよ、栗原さん。それじゃ今度はあなたの責任において自民党は公明、民社に背信行為を行ったことになりますよ、いいですか。
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○栗原国務大臣 これは自民党の方から正式にお話があって、それを踏まえて政府としてやるのが当然じゃないかと思いますので、私の答弁はいまのところそれ以上の域を出ることはむずかしいと思います。
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○
正木委員 どうしてですか。じゃ、そのときにはあなたの責任において自民党がわれわれに背信行為をすることになるが、それもお認めになるわけですね。
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○栗原国務大臣 私は、自分が背信行為をするとかしないとかという問題ではないと思います。そういうふうにお考えになることは御自由かもしれませんけれども、私自体はそういう意識ではございません。
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○
正木委員 しかし労働大臣、経緯から言ったらそうなるのですよ。
いいですか、公明党、民社党と自民党との問でできた明確な約束ですよ。しかも、これは必ず諮問するということですよ。諮問することを検討したいと言っておりませんよ。審議会の議を経て検討するのですよ。だから、まずその前段階において、少なくとも政府は当該審議会に対して諮問をしなければならぬ、諮問をいたしますということを公民両党に約束をなさったのです。それをもし信義を重んずるなら、自民党から労働大臣に対して、この問題について諮問してもらいたいという話が来るはずでしょう。来なければわれわれの約束は、これは信頼を欠くことになってしまうじゃありませんか。論理から言ってそうでしょう。そういうときにはやはり自民党が、その信義を本当に重んずるというならば、労働大臣は諮問しなければいけないでしょう。そういう話のあったときに、それをなさいますかというのですよ。
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○栗原国務大臣 たびたび申し上げておりますとおり、自民党の方からお話があり、経過等いろいろあると思います、それを踏まえて対処を申し上げたい、こう思っております。
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○
正木委員 そこらのところ、前向きとか後ろ向きとか言いなはれや、対処するのには後ろ向きも前向きもあるのだから。
-
○栗原国務大臣 政府・与党からのお話でございますので、それを踏まえて対処いたしたいと思います。
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○
草川委員 いまもいろいろと
正木さんの方からもお話がありましたけれども、事は、中高年齢の方々本当に非常に強い関心を持ってみえるものが、こういうような一種の、いろんな意味での取引の材料にされるということをわれわれは本当に許すわけにはいかない、こういうものが基本的にあると思うわけであります。ひとつそういう意味に立って、若干はしょりますけれども、まず企画庁の方にお尋ねをいたします。
いま企業の側では、過剰雇用という問題が非常に話題になっておるわけであります。将来展望として、新経済計画の中でいわゆる失業率というものを一・七と定められておられますけれども、その中に過剰雇用をどういうように位置づけられておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
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○小坂国務大臣 企業サイドあるいは国内で過剰雇用という言葉が出始めたのは終戦直後の時代しばらくでございまして、いわゆる高度成長に入りましてからはほとんどその声は聞かれなかったわけです。ところが、オイルショック以後の世界的な不況と日本の不況の中で、再びこの過剰雇用という言葉が出てきたわけであります。それは、きわめて日本の経済成長が順調であれば、せっかく長い間一緒に働いてきた人たちで構成されている企業が、自分のところの従業員が多過ぎるのだというようなことを言うはずがないのでありまして、私はやはり経済成長の鈍化ということによって出てきたこと、それが一つだと思います。
それからもう一つは、慢性的に少しこれは日本の全般の意識の問題でありますが、日本の経済自体が現在の価額で見ても二百兆を超すような大きなものになってきている。これが百兆未満の時代、日本の労働力人口に比べまして日本の経済の力が非常に少ないから、それが過剰であるというようなことが言われていたかもしれませんが、将来の展望の中では、現在の時点の価額で推計しましても大体三百兆、名目的に言うなら、一〇%程度の名目成長があるとしまして四百兆を超すような規模になりますれば、おのずからそこには現在の五千七百万程度の労働力人口というものが必ずしも過剰であるということにはならないのじゃないかというふうに考えておりまして、一・七%という率は、それ自体は私は過剰雇用という観念は含んでおらないというふうに申し上げたいと思います。
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○
草川委員 実はただいまの産業の中で、いろいろと企業側の方からは、どうしても過剰雇用というものを内蔵しておるということを言ってみえるわけです。これは続いて江崎通産大臣にお伺いをするわけでございますけれども、そういうことを産業界は言っておるし、現状にはある程度ぼくはあると思うのですよ。だけれども、それがたとえば直接労働者の方にあるのか間接労働者の方にあるのか、この区分けによってまたずいぶん判断が違ってくる、あるいは対応が違ってくると思うのです、職業転換訓練の方にもつながってくるわけですから。そして同時に通産大臣にお伺いしたいのは、実際いまかなり景気は回復したと言われておるわけでございますが、それにもかかわらず減量経営というのが進行しておるわけです。現在ただいまのところ、通産大臣としては構造不況業種というのはどの程度の範囲内だと思っておみえになりますか。かつての指定の範囲じゃないですよ。ただいまのところ、たとえば造船だとかアルミだとかというような言い方をするならば幾つぐらいか、お聞かせ願いたいと思います。
-
○江崎国務大臣 言葉は非常に悪いですが、企業内に企業内失業者なんという言葉がよく新聞などにも散見することがありまするが、余剰人員がどれだけあるか、これはどうも企業によって違いまするし、また見方、視点によってこれはずいぶん違いまするから、どの程度あるかということは非常にむずかしいことだというふうに私、考えます。いまにわかに答弁できません。
〔毛利
委員長代理退席、
委員長着席〕
よく私どもが話として聞くのでは、百五十万とか二百万近くも企業内にまだまだ余剰労働力があるなどということを聞きますが、これは確たる根拠によって、経企庁的数字によって割り出したものではないというふうに考えております。
それから、景気がよくなったと言うが、さてどの程度よくなったのか。これは私、確かによくなりつつあると思います。内需の傾向も非常に強くなっておりまするし、設備の更新などにおいても、確かに製造業においては着々となされつつある。前面に油の問題が出てまいりましたが、いまのところ年末から年始にかけての状況というのは決して悪くない。しからば、お話しの構造不況業種、これは十三業種指定しておりますですね。この十三業種の中でも、最近市況がずいぶん改まってきたものもあります。全然改まらない、たとえば造船であるとか肥料であるとかというものもあります。しかし、十三業種全体について言いまするならば、まだ好況感が出てきたなどとはとうてい言えない。それは依然として大きな需給ギャップがある。過剰設備の処理を含めて、今後なお法の適用をしなければならないのではないかというふうに見ておる次第であります。
-
○
草川委員 問題は、製造業で依然として景気は悪いということになるわけです。
ちょっと外務省の方にお伺いをしたいわけでございますが、いろいろと新聞報道でも、例の日中関係で四千二百億近いプラントの凍結という動きがあるわけでございます。これはかなり国内需要にもはね返ってくるわけでございますし、雇用という面では私ども非常に重大な関心を持っております。他方、一月から米中の国交が正常化し、最近では特に中越間の武力衝突があって、ブルメンソール・アメリカ財務長官の中国訪問があるわけでございます。かかる一連の動きを含めて、一体この日中間の経済問題あるいはまたブルメンソール財務長官も帰りに日本に寄られるという話も若干聞いておるわけでございますが、一体、外務省としてこのような経済凍結のはね返りについてどのようにお考えになっておみえになりますか、お聞かせ願いたいと思います。
-
○柳谷政府
委員 お答えいたします。
ただいま御指摘のありましたような中国側からする最近の商談についての凍結とか一時留保という話があったことは事実でございます。たまたまこれが最近の中越間の武力紛争と時期を同じくして出たもので、これと何か関係があるのではないかという観測が一部にあるわけでございます。これは全く関係がないということを言い切ることもできないかと思いますけれども、私どもとしてはこれは直接の原因ではない、このように見ておるわけでございます。
むしろその背後には、中国において現在進めておりますところのいわゆる現代化路線というもの、これは中国の指導者が大きな理想を持って今世紀末までに云々という計画を立てて推進している現代化路線でございますから、この基調はそう簡単に変わるものではない。現時点においても変わっていないと思うわけでございますが、計画がきわめて壮大であり、野心的であるだけに、その遂行の過程におきましていろいろな見直しとか調整とか再検討とかいうものが起こるのは、むしろこれは自然だろうと思いまして、そういう意味において早晩何らかのそういう試行錯誤から来るある種の調整があるだろうと予見されていたのが、今般の動きとしてこの時期に表面化したのではないか、こういうふうに見ておるわけで、どちらかというと一時的な現象ではないかと思っておりますし、先ほど申しましたように、これが基本的な路線の変更ということは、少なくとも現時点におきましてそう判断する材料は持ち合わせていないわけでございます。
なお、米中国交正常化がございまして、さらに最近はその後初めてアメリカの閣僚が中国を訪問するという、ブルメンソール長官の訪中ということがございまして、一部には最近の日中間の若干の動きが米中正常化と関係があるのではないか、たしか日本の業界の中には、アメリカが進出してくることによって、日本のいままで中国と関係を持っていた企業が影響を受けるのではないかという懸念があることは事実でございます。他方アメリカの中には、どうもアメリカは非常に出おくれて、日本とか西欧の諸国が中国市場を独占するのではないかという懸念のあったことも事実でございますが、考えてみますると、中国の現代化計画、これを一国だけで負担し切れないことは事実でございまして、また中国も西側の多くの国からの協力を得て現代化を進めたいということをたびたび言っているわけでございますので、個々の企業にとりますと、あるいは若干競争、競合的な要素があろうかとは思いますけれども、やはり全体から見ますると、各国が先取りとか先駆けとか、あるいは他を出し抜くとかいうようなことになるのではなくて、西側の関係諸国ができるだけ意思疎通を図り、また情報も交換いたしまして、それぞれの分野に応じて協調した体制で中国の現代化にそれぞれ貢献していく、秩序立って貢献していくということが必要であり、また、それが日本の関係企業に対する影響もまた安定的なものになるゆえんではないか、このように見ている次第でございます。
-
○
草川委員 いま特に中国に対するプラント輸出のいろいろな背景について御説明があったわけでございますけれども、いずれにいたしましても、現在日本の製造業の雇用というものを中心に考えていきますと、バウンダリーというのですか、背景を見ますと、決していい条件というものはないと思うのですね。さりとて、第三次産業の方に労働力を流動化させればいいじゃないかというお話がございまするけれども、第三次産業の受け入れといっても、統計数字で出ておりますように、ほとんど女子の労働力化というのがふえておるわけです。女子の労働力化ということがいいか悪いかという論争は、本来は一回基本的にやらなければいかぬと思うのです。基本的にやらなければいけませんけれども、これは非常にむずかしい問題がありますね。お金がないから、子供の教育費が要るから共かせぎをしなければいけない、ローンを返さなければならぬというのだけれども、安くてもいいから働くという面は、一面常用労働者の足を引っ張る要因にもなる。非常にこれはむずかしいわけですね。ですから、とりあえずは製造業でスピンアウトというのですか、出た労働者に対して、従来のたとえば経験というものを生かしながら自立をさせるような形で私は労働省は誘導すべきだ、いまのように切られた方々に雇用調整給付金の延長だけではなくて、せっかくそういうある資金を自立資金に回したらどうだろうというような提案をしたいわけですよ。
たとえば中高年齢者十人で会社をやめるということになった、だったら、十人で新しい会社をつくるという場合に、今度の雇用調整給付金というものが利用できるのかどうか。こういう前向きな体制を私は考えていただきたいと思うのですが、その点どうでしょう。
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○細野政府
委員 ただいまの先生のお話がございました離職者が集まって企業をつくる、その企業とその集まられた離職者との間に雇用関係が生ずるという場合でございますと、それが雇用保険の対象になる企業であれば、これは雇用開発給付金の対象になり得る、こういうことでございます。
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○
草川委員 ぜひ、これは大蔵大臣も一言簡単でいいのですけれども、そういう方々というのはずいぶんいるわけです。国民金融公庫というのがある、あるいは中小公庫というのは少し無理だとしても、そういうものがある。だから便宜的に、たとえば構造不況業種の方々からスピンアウトで出たような方々には特別な配慮をしろというような、いろいろな総合的な対応策というのを立てて自立させるべきではないだろうか、こう思うのです。特に沖繩なんかには、転業資金の債務保証というのがいまでも労働省にあるのですよ。ほとんどこれは使われていない。そういうことも含めて御答弁願いたいと思います。
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○
金子(一)国務大臣 御指摘の点は、これは大変大事なことだと私も思います。五十四年度は今度貸付限度額を引き上げます。中小公庫は一億五千万、国民公庫は千五百万になりますが、この限度額で必要な場合には十分対処できると思います。もう少しこういった方々で立ち上がりをやろうという方に対する宣伝を窓口でもしっかりやらせるようにいたしましょう。
-
○
草川委員 さらに労働省に申し上げますけれども、実際失業者がふえる。ところが一面では、技能労働者というのは不足しているわけです、約三十万人と言っていますね。それで、なぜ建設関係なんかに技能工が流動化しないのかということをいろいろと調べますと、やはり賃金が安いということがあるわけです。大工さんの手間賃が八千円とか九千円、一万円、しかも道具持ちですよね。一カ月に二十三日間働いたってなかなか平均的な収入にはならぬわけです。ところが、公共投資公共投資と言っておりますけれども、かなり国なんかは高い積算でいわゆる賃金計算をしながら工事発注をしておる。これも原因をずっと解明していきますと、結局私はゼネコンの本社経費が高過ぎると思うのです。本社経費、支店経費あるいは現場事務経費等を計算をいたしますと、大体二二%ぐらいになってしまうわけですよ。これでは三次、四次のいわゆる重層下請の方々には大変であろうと思うわけであります。こういう点なんかも、労働省が一面的に建設省だとか自治省なんかに任せずに、積極的にいわゆる雇用構造の内部にまでメスを入れていただきたい。単なる職業安定法違反という形ではなくて、それをやっていただきたいと思いますね。
きょうは残念ながら時間がございませんので、もう一つの問題は厚生大臣にお伺いをするわけですけれども、どうしても中高年齢がふえる、高齢化社会になる。年金で移行させる一本のラインをつくらなければいかぬ。ところが、五十五からでは年金の受給年齢の間に谷間になる。しかも年金は、たとえば厚生年金ですけれども、一昨年の制度審なんかの答申を見ておりましても、支給年齢を引き上げなければいかぬということが一面的には言われておるわけです。谷間が広がるわけですよ。一体これをどう考えるのか。あるいは、今回の予算の実質的な修正に伴って今度いつ見直しをするのか。当初は五十五年の予定が五十九年だというようなお話がございましたけれども、五十五年に年金の率等の見直しを図れるのかどうか、お聞かせを願いたいと同時に、もう一つ、谷間になるところで、厚生年金基金連合会というのがありますね。いわゆる企業年金だとか一時金なんかをその程度入れるとかといういろいろなのがございますが、厚生年金基金制度というものをもう少しうまく利用して谷間を埋めるような方法はないのだろうか。二つ一緒に御答弁願いたいと思います。
-
○橋本国務大臣 高齢化社会を控えて、社会保障政策と雇用政策の十分な連携を図らなければならぬというのは
草川さん御指摘のとおりでありまして、実は労働省との間にも厚生省は昨年から懇談会を開催して、その問題についての話し合いをしてきたところでございます。再計算年次の問題は、同時にいま年金懇にお答えを願うべく努力をしております基本構想の問題とも絡んでまいりますので、いまの時点でこれは何ともちょっとまだ申し上げ切れません。
ただ、もう一つの御提案の厚生年金基金を積極的に活用できないかという点につきましては、これは私は一つの非常に興味のある御提案ではないかという感じがいたします。厚生年金の代行部分を上回る企業独自の給付設計による加算部分、これは御承知のとおりに、労使双方の合意に基づいてある程度企業の自主性に応じた給付の設計もできるわけであります。現在、加算部分の給付設計の一層の弾力化について鋭意検討を加えているところでありまして、御質問の件につきましても厚生年金基金制度を有効に活用する方法の一つであると考えておりますので、どのような方法が可能であるかを含め、前向きに検討していきたいと考えます。
-
○
草川委員 特に年金というのは最近非常に重大な関心を持ってきておるわけですから、年金基金の問題については余り話題になっておりませんので、ぜひこれは検討をしていただきたいと思います。
最後になりますけれども、いわゆる新しく雇用をつくり出すという面で、いままで比較的放置をされておったのは下請の労働者の方々のことだと私は思うのです。特に造船の場合は、最近でも非常に倒産件数が多くなっておりまして、下請関係の中小造船は三十九社の倒産がございます。そういう場合にはどうしても下請の方々が一番の犠牲になるわけでございますし、すでに五万人を超す下請の方々が仕事を失っておる。この下請の方々のお話を聞きますと、おれたちは失業保険、雇用保険をもらうのだけれども、そんなことよりも仕事が欲しいというので、例の中古船の解体工事をやっておる。五十四年度の予算もついておる。ところが、最近の運賃市況がちょっと上がりまして中古船の値段が上がってきて、せっかく解体工事をしても赤字になってしまう。これは運輸省の所管になりますけれども、こんなことも本当は私は労働省、運輸省、通産省、縦割り行政を越して、その仕事を奪われた人たちがせっかくおれたちは手当よりは仕事をつくり出すのだと言っておるわけですから、これほど具体的な問題提起はない。もう少し親心があってもいいじゃないか。同時にまた、下請の方々が造船をやめて建設業の登録をする、みんな登録をしておるわけです。地方自治体で仕事をもらおうと思っても、やはり既存の建設業界がありますから、なかなか仕事はもらえない。こういう場合に、せめて運輸省は地方自治体に対して特別に枠をつくれというぐらいな配慮をするような総合計画は一体ないのかどうか、これをお聞かせ願いたいと思います。
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○
森山国務大臣 造船の下請業者が建設工事に応札しても、新規参入だという理由でなかなか落札しにくいという状況にあることは想像されますが、地方公共団体では別枠をつくって特に配慮をしておるというところもあります。運輸省といたしましては、地方海運局が地方公共団体と共催しております造船業不況対策協議会等の場を通じて地方公共団体に働きかけることによって、できるだけ下請業者の事業量の確保に努めてまいりたいと考えております。
それから、解撤事業のことにつきましては、最近解撤船体が上がったということでありますが、これはスクラップが上がったから上がったのでありまして、解撤船の船価が上昇すれば直ちに解撤事業の実施が困難になるということではないのであります。五十三年度は十万トンの予定でありましたが、現実は二十万トン、予定を上回りました。今日の段階におきましても、五十四年度以降百万トンずつやることは可能であるというふうに考えております。比較的順調に進んでいると思っておりますが、いかがでございましょうか。
-
○
草川委員 大臣が比較的順調だと言うのは事実誤認もはなはだしいわけでございますし、各地区段階でもかなりのばらつきがあるわけでございますから、これはぜひ御検討願いたいと思うのです。
時間がございませんので最後に、いま江崎大臣がおっしゃられましたように、構造不況で残るのはやはり造船だとぼくは思うのですね。造船の優秀な技術力というものは、地域的にも職能別でも非常に幅の広いものがある。これを生かそうというアイデアが関西空港だと私は思うのです。この関西空港の問題についてはいろいろと論議が出されておるわけでございますが、もしこれが浮体空港ということになると、所要鋼材は約五百万トンぐらいになりますね。それで工数を計算しますと、私も素人ですから余りわかりませんけれども、いろいろな方々のデータを集めてまいりますと、約三万人の造船の労働者の三年半分の仕事になるというのですよ。この積算が正しいかどうかは別ですけれども、まず大体近いところになります。これは壮大な夢のプロジェクトになると思うのです。日本が世界に誇るべき大プロジェクトが組めそうでございます。実際はその進行というものはなかなかいろいろな問題もあるようでございますけれども、総予算三兆円くらいの規模になると思うのでございますが、どういうような見解を持ってみえるのか、ひとつお聞かせを願いたいわけでございます。
さらに、何か五十六年に建設計画を早めてやっていこうというようなことがあるわけです。普通ならば、政府は重い腰ですから早めるというのはなかなかやらないはずなのですが、今回に限ってはえらく早くそういうような計画を立てられておるような気がするわけですが、一体どういうような背景があるのか、お聞かせ願いたいと思うのです。
-
○
森山国務大臣 造船業界の不況ということで、いわゆる浮体工事によって関西国際空港を建設するようにしてはどうかという御意見のあることは、よく承知をいたしております。浮体工法は、技術的に興味が深い工法でありますが、技術上研究開発さるべき点も多く、経費その他等につきましてもなお検討を要すべき点があると考えております。目下、関連する技術上の問題点について鋭意検討を進めているところでありますが、関西国際空港につきましては、
昭和五十四年度にはこれらの点を含めて諸般の調査を終わる予定になっております。これらの結論を踏まえて具体策を策定するようにいたしたいと思っております。前々からの予定でありますから、五十四年度に終わります。
-
○
草川委員 これは率直なことを申し上げまして、いま泉南地方の丘陵、山場地帯は商社がどんどん土地を買い占めまして、関西空港は埋め立てでやろうじゃないかというような動きがものすごいわけです。きょうはその種の論議をする場でございませんから、私は問題提起をする程度にとどめますが、やはり埋め立てで従来のような工法ではなくて、せっかく今日の造船業というのが構造不況で残っておるわけですから、そのエネルギーと力を数年間使ったらどうだろうか、だから私は浮体工法でいくべきだという主張で問題提起をしておるわけですが、工法の選定はどういう手続でやられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
-
○
松本(操)政府
委員 お答え申し上げます。
航空審議会の答申をいただきましたときに、先生おっしゃいました浮体工法、埋め立て、干拓、いろいろな工法が並んでおりましたが、そのときまでの論議では、浮体工法というのはなかなかむずかしいのではないか、埋め立てに重点を置いて検討すべきであろうというのが答申でございました。しかし、その後技術上の進歩もございましたし、いま先生御指摘のような問題もございましたので、五十三年度から、先ほど大臣もお答え申し上げましたような調査費の中の一環といたしまして、浮体工法そのものについての技術的な検討をしております。これは浮体そのものの検討と、その浮体としてつくりましたものが定位置に係留されるようにする技術、それからさらにこれが飛行場として機能するために必要な諸条件はどういうところにあるのかというふうな点を詰めていまやっておるわけでございます。そういうふうな問題が、先ほどお答え申し上げましたように、五十四年度中には、いまおっしゃいました埋め立てとの対比においてどのような形になり、利害得失はどうなるかという突っ込んだ技術的な問題を詰める、それを踏まえた上で、そのほかにも環境アセスメント等いろいろございますので、そういう点を絡み合わせた上で答えを出す、こういうふうな段取りになっております。
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○
草川委員 時間が来ましたので、私はこれで終わりますけれども、関西空港のようなビッグプロジェクトは、雇用というようなもの、また日本の技術、そういうようなものを根底に据えながら、ぜひ大がかりな国民的な合意を得て行われるようなことを特に要望して、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
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-
○
古寺委員 きょうは労働問題の集中審議でございまして、定年制の問題についてはけさから質疑が十分になされているわけでございますが、私ももう一度この定年制の問題について、大臣の所見をお伺い申し上げたいと思います。
昭和五十三年十一月二日の労働省の「高年齢者の雇用状況について」という発表によりますと、高年齢者の雇用率の達成状況を見ますと、企業全体の実雇用率は五・六%、雇用率未達成企業の割合は五七・三%と思わしくない状態でございますが、特に大企業では、千人以上の規模で実雇用率三・九%、雇用率未達成企業の割合が八二・二%となっております。政府は、行政指導や各種の雇用助成措置等の充実によりまして高年齢者の雇用率の達成を図ることとしておりますが、それだけで高年齢者の雇用率の達成を図ることは無理であって、さらに強力な措置を講ずべきであると思いますが、いかがでございますか。
-
○栗原国務大臣 高年齢者雇用率が全体として十分達成されてない、特に大企業のこの達成率が悪い。そこで強い措置を講ずべきだ。その強い措置を講ずべきだということの中に、身障者と同じようないわゆるペナルティーとか——あれはペナルティーじゃないようでございますけれども、俗に言うそういう強制措置をとるべきだというような御意見もございます。総理からも検討を命ぜられてきているわけでございますけれども、私どもがいろいろ検討してみますと、高年齢者の雇用率の達成がなぜ大企業でできないかということになりますと、これはやはり定年制という問題にぶつかるわけです。そしてこの定年制というのは、年功序列の賃金体系、それからそういう管理体制の問題、退職金の問題等がございまして、そこら辺をどうしても突き破っていかなければならない。たとえばの話、定年になって退職した、その後ほかの方から高年齢者を雇用するということになりますと、大企業の場合はいわゆる労働秩序というものが乱れちゃうのですね。自分のところの職員は定年で離職していく、よその方から高年齢者を入れていく、そういうべらぼうなことがあるかというような議論にもなってくる。しかも来た方もなかなかなじまないというようなことからいたしますると、大企業における高年齢者の雇用率を高めるというのは、定年を延長する以外には手はない。定年を延長するためには、毎々申し上げておりますとおり、いわゆる年功序列の賃金体系、退職金、管理制度、こういったものにメスを入れざるを得ないということになります。
そういう意味合いで私どもは、定年延長の問題等も含めまして、この高年齢者の雇用率の問題について努力をしている次第でございますが、具体的に定年延長を待っているだけかといいますと、そういうわけじゃございませんで、これは政府
委員の方から説明をいたさせたいと思います。
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○細野政府
委員 ただいま労働大臣からお話ございましたように、高年齢者の雇用率の達成のためには、どうしても年功序列賃金体系その他の問題を解決しながら、定年の延長を進めなければならぬという問題が一つございます。
そのほかに雇用率そのものの直接的な達成のためにつきましても、先般都道府県知事に対しまして通達をいたしまして、この雇用率の達成状況の特に悪い大企業をリストアップしまして、それに対しまして個別的に計画の達成を命令する、その達成計画の中身にまた定年延長なり再雇用なりということを絡ませて、両々相まちまして高齢者雇用、定年延長というものが進むように強力に指導してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
-
○
古寺委員 昭和五十年に定年延長の三原則というものを労働省が明らかにいたしまして、企業に対して、ただいま御説明がありました賃金体系の問題、退職金の問題、こういう問題については行政指導を今日まで続けてこの定年制を促進してきているわけですが、大企業は、労働省の発表を見ましても、一向に進んでいないわけです。先ごろ総理からのお話がございまして、これの努力目標から、この六%というものを法定義務化する方向で検討はしている、こういうお話がありました。しかしこのおたくの、労働省の発表を拝見しますというと、行政指導を行った結果、雇用率未達成企業の割合が高くなっているのです。たとえば
昭和五十一年には雇用率の未達成企業というものは五六・三%であったわけです。ところが、
昭和五十三年の六月一日現在では五七・三%にふえている。行政指導を行うことによって未達成企業がふえるということは納得がいかないのですが、これはどういうわけでございますか。
-
○細野政府
委員 大企業につきましては、しばしば御指摘がございますように、合理化に伴う人員削減等の問題が若干の影響を持っているかというふうに考えられるわけでございます。しかしながら、全般的にその調査の対象になる百人以上の企業だけとってみましても、全体の減り方に比べて高年齢者の減り方の割合は、はるかとは言えませんが、かなり低い状況でありまして、そういう意味では高年齢者の雇用率を下支えをしているという役割りを果たしているわけでございます。
なお、全般的に規模の縮小化の傾向に伴いまして、非常に雇用率の高い小規模のところが百人以下のところに脱落していったということの影響も出ているということも、統計的にうかがえるわけでございます。
-
○
古寺委員 どうもそれだけじゃわからないのですがね。たとえば、今度は高年齢者の雇用状況で申し上げますと、実雇用率は千人以上の場合には三・九ですね。それが百人から二百九十九人の企業では八・三なんです。六%を突破しているのですよ。三百人から四百九十九人の規模でも六・五ですね。悪いのは千人以上なんです。三・九なんです。しかもこの未達成の企業の割合が八二・二なんです。ですから、問題があるのは大企業だけなんですね。ですから、この大企業に対していまのようないわゆる行政指導、いまのような制度を促進していってこの問題が解消するということは、私はこれはとうてい不可能であると考えます。しかし一部大企業の中でも、たとえば電力会社でございますとか、ある大手の企業におきましては、すでに再雇用政策を導入して、定年制の延長を図っておるわけです。こういうような実態になっている。しかし、この八二・二%の未達成の企業というものは、これは全く変化がないわけです。この労働省が行った詳しい雇用管理調査によりましても、半数近い企業は五十五歳定年制のままであって、過去二年間において定年制というものを改定したのはきわめて僅少でございます。きわめてわずかです。ですから、行政指導で十分な効果が上がっていない。むしろ行政指導を行うことによって後退している結果が出ている。こういう事態に対して労働大臣は、ずっと私議論を拝聴しておりますが、いつも行政指導行政指導ということをおっしゃっているわけです。しかし、行政指導というものには限界があるという、こういう事実を見て、先ほど
正木委員、またわが党の
草川委員からもお話がございましたが、この定年制延長の問題については、少なくとも外国の四倍の速さで高齢化の時代がいま到来するわけです。このままの状態で行って、こういういわゆる高年齢者、中高年齢層の方々に就職の場を与えることができるか、非常にこれは心配でございます。したがって私は、行政指導を進めながら、次のいわゆる長期的な展望に立って、長期ビジョンに立って、今日の時点においてわが党を初め野党各党に回答がなされたように、定年制の問題についてはもう審議会なり適当な場所で審議をしていただいて、将来の定年制のあり方というものを検討しなければならない時期に到来していると私は思うのです。先ほどいろいろ賃金の問題ですとか、いろいろなことをお話ございましたが、非常に労働団体等におきましては弾力的でございますし、しかも、国民の世論がもうすでにこの定年制の導入は必要だ、こういう時期にいま到来しているわけでございますので、かたくなな、いつまでもぬるま湯的な現在の中高年齢の雇用対策というものをここで改めて、一大転換をして、新しい時代に向かって労働省が発想の転換をする時期に来ている、こう思うわけなんですが、いかがですか。
-
○栗原国務大臣 私どもかたくなに行政指導ということを考えているわけじゃないのです。行政指導することが適当だろうということで申し上げておる。その理由は先ほどるる申し上げたわけでございますが、ただその中で、
古寺さんも御指摘のとおり、中小企業の方は高年齢者の雇用率がいいわけですよ。大企業だけなんですよ。大企業の方は行政指導したらかえって減ったじゃないかという御指摘がございますが、これは私の個人的な考えといいますか、からすると、油ショック以来の不況が続きましたね、その場合に、いわゆる経営合理化といいますか、減量経営といいますか、そういったような関係から大企業の方の雇用率もそれほど進まなかったのではないか、しかし、行政指導しなかったら、なおできなかったのじゃないかというふうにも考えるわけです。しかし問題は、では定年制の延長だけでできるか、それだけでできるかといいますと、いま御指摘のありましたとおり、再雇用という形、再雇用を活用したらどうだというような御趣旨がございまして、これは全く同感です。定年延長定年延長というだけでなしに、できるところからやっていかなければならない。いま関西の労使においては、再雇用ということを中心としていろいろと労使の間で合意がなされている。この間もお見えになりました。私は大変結構なことだと思うのです。これを全国的に広めていかなければならぬ、そういう行政指導を早急にやりたい、こう考えております。
-
○
古寺委員 それは、そういう再雇用の制度を取り入れる企業もあるでしょうが、私は、やはり最大の問題は、大企業がいかにこの定年制の問題を理解し、進めていくかということが最大の焦点になるわけでございます。
そこで私、では労働大臣にひとつ申し上げたいのですが、行政指導で効果があるとおっしゃいますけれども、先ほど私が申し上げたような労働省の実態を見まして、今後行政指導の成果が上がらないというような結果になった場合には、大臣はどういう責任をおとりになりますか。
-
○栗原国務大臣 それはその段階で私が決断すべきことでございますが、問題は、私がどうするかというよりも、いまの段階では、本当に省を挙げてこの問題について真剣に取り組んでいく、それが私に課された大きな義務だろうと思います。
なお、先ほどいろいろと予算の修正についてお話し合いの問題も出ましたけれども、それは毎回繰り返しているとおり、話し合いが行われているということでございましたが、政府といたしましては今後慎重に検討させていただきますということで、御了解を賜りたいと思います。
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○
古寺委員 何遍も同じようなことを申し上げますが、慎重に検討をするということは、将来に向かっていわゆる定年制の法制化も含めて適当な、私どもは雇用審議会ということを主張しておりますが、そういう審議会でもってこの検討をしていただく、審議をしていただく、そして定年制というものの法制化が妥当であるかどうかという結論を出すということが私は大事だと思うのです。大臣一人でもって、いかにあなたが大臣であられても、大臣という重要な責任のある立場におられたとしても、あなたの考えがもし間違っておれば取り返しのつかない状態になるのです。ですから、やはりこの問題については審議会に諮って検討をしていただくということが私は最上の道であるというふうに考えるのですが、いかがですか。
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○栗原国務大臣 先ほど
正木さんにもお答えしたとおり、政府与党でありまする自民党の方に話しましたところ、まだ正式に政府の方に相談をする、協議をするという段階でない、こういうお話でございますから、党の方からのお話によりまして対処いたしたい、そういうお答えを申し上げたわけでございますが、
古寺さんにもその点で御了解いただきたいと思います。
-
○
古寺委員 あなたは先ほど午後の答弁では、政府としては慎重に対処いたします、こういうお話をしたのですよ。ところが今度は、それは党からそういうお話があるので政府として慎重に対処いたします、こういうお話だった。ところが今度は、まだ党からそういうお話がないので慎重に対処しますと、だんだんに答弁が後退してきたのですが、どうですか。
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○栗原国務大臣 答弁は後退しておらぬのです。一番最初申し上げましたとおり、話し合いが行われると聞いておりますから、政府としては承知しておるが、慎重に対処いたしますというのが一番最初でございます。それからその後、それでは十分でないというお話でございますので、午前中の御質問の中で、政府の方は党の方と話をしてないのか、こういうことでございますから、私の方はまだ聞いてなかった、党の方へ聞きましょうと。党の方へ聞いたところが、党の方としては正式に政府の方と協議するまでになっていないからいましばらく待ってくれ、こういうことでございますので、党の方からそういう協議を受けたときに対処する、こういうことでございまして、少しもこれは矛盾するものではない、こう考えております。
-
○
古寺委員 それじゃ一歩譲って、党の方から、審議会でこの法制化を含めて検討しなさい、そういうお話があったら、あなたはすぐ受けますか。
-
○栗原国務大臣 ですから、党の方からそういう話があった段階で対処いたします、こういうことを言っているわけでございます。
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○
古寺委員 時間がございませんので、次に移らせていただきます。
現在、六十歳以上の方々の雇用保険については保険料は免除されておるわけです。事業主負担も労働者の負担もないわけです。今後、こういう高齢者の就職を促進する立場から、年金とかあるいは健康保険にこういうような保険料の免除というような問題を厚生省としてはお考えになっているかどうか承りたいと思います。
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○橋本国務大臣 厚生年金及び健康保険はもう
古寺さんよく御承知のとおりに、被保除者の傷病とかあるいは老後の所得の喪失等に対して一定の給付を行うことを目的としておりまして、雇用の安定を目的としている、また雇用の推進を目的としているものではございません。それだけに、私どもとしては、いまお話しのような趣旨で厚生年金及び健康保険について高齢者の保険料を免除するという考え方は持っておりません。
-
○
古寺委員 次に、船員保険についてお尋ねしたいのでございますが、船員保険の中の失業保険の漁船船員に係る適用率が
昭和五十二年度で五三%にとどまっているわけでございますが、離職者の生活安定を図るために失業保険の適用拡大を行うべきであるというふうに考えるわけでございます。
先日、私は八戸市に参りまして実態を調べたわけでございますが、現在八戸市関係の機船、漁船関係の船員保険の加入者は四千五百五名でございますが、この中で失業保険に加入している方は九百七名でございます。したがって、残りの方々は失業保険に加入していないわけでございまして、全国で約五万人の方が失業部門に加入していない、こういうふうに承っているわけでございますが、この点について厚生大臣にお伺いしたいと思います。
-
○橋本国務大臣 お答えを申し上げます。
船員保険の失業部門につきましては、通年雇用の実態にある船員について適用するということになっておるわけでありまして、御承知のように、
昭和五十二年度において漁船被保険者に対する失業部門の適用の推進に努めてまいりました結果が、五十一年度末では三三%の適用率であったものが、いま
古寺さん御指摘のように、五十二年度末では五三%まで伸びてきたわけでございます。今後ともに雇用形態の実態を把握して十分に考えながら、通年雇用の実態にある方々については失業部門が適用されないことのないよう十分指導を徹底してまいりたいと考えておりまして、いま御指摘の八戸のケースにつきましても、私どもとしては十分雇用形態の実態を把握いたしました上で善処していきたいと考えております。
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○
古寺委員 陸上の雇用保険法には雇用安定事業など、失業の予防、再就職の促進を図るために、事業主に対するいろいろな援助が行われているわけでございますが、その原資につきましては事業が拠出する保険料で賄われているわけでございますが、船員保険においてはそういうような制度がまだ十分に整備されておりません。したがって、船員の場合には非常にこういう面において立ちおくれているわけでございますが、この点について厚生省は今後整備をするお考えがあるかどうか承りたいと思います。
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○橋本国務大臣 なかなか問題のあるところでございまして、私どもとして、いま基本的な問題がありますだけに慎重な検討を要するところだと考えております。
その理由は、海運業また水産業のみを対象とした船員保険で、果たしていま御指摘のような雇用保険に相当するものが行えるかどうか、またそれについての財源調達について関係者間の合意が完全に得られるかどうか、また調整が可能かどうか、こうした問題が現実にございます。ただ、いまこの問題につきましては社会保険審議会の船員保険部会においてもすでに提起をされておりまして、今後鋭意検討していただくことになっております。
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○
古寺委員 船員保険の場合には加入者が非常に少ない保険集団であるために、こういうような雇用四事業等の雇用事業を実施するということは非常に困難なことだと思うのですが、総合対策として、運輸省でもって保険以外の一般会計でもってこれに対処するお考えをお持ちでないかどうか承りたいと思います。
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○向井政府
委員 お答え申し上げます。
ただいま厚生大臣からもお答えがあったところでございますが、失業予防等の雇用の安定等を図りますための事業主に対する助成、こういうものを行います制度、これを充実させるということにつきましては、かねてからの問題であることは十分認識しておりまして、運輸省としても真剣に検討を進めておるところであります。
この問題につきましては、まず保険の問題として基本的に関係者の合意を得て、その上でいろいろ具体的な方策を考えていくということで、先ほどの御答弁にもありましたように、厚生省所管の社会保険審議会の場におきましてもすでに検討が開始されております。私どもといたしましても、関係者の意見を十分いま聞いておるというところでありまして、問題を早急に煮詰めまして、何らかの成案が得られるような方向で努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
-
○
古寺委員 これと関連しまして、船員職業安定所というのがございますが、非常に事務的に繁忙をきわめているわけでございまして、船員職業安定所の充実強化というのは非常に急務の問題であると思うのです。
これはやはり八戸に東北海運局の支局があるわけでございますが、失業保険の受給者が四千十九人ですね、それから求人が三百六十二人、求職が三百二十一名でございますか、これをたった一人の所長さんでもって、こういう船員保険の職業紹介あるいは失業保険の給付、こういうものを行っているのです。これはとうてい神わざでもできないような内容だと私は思うのですが、今年は六名ぐらい定員をふやすそうでございますが、全国に割り振ってみますと、これは一人どころかもう何%しかいかないというような状況でございますが、運輸省として強力にこの実態に合ったような内容の充実強化というものを図らなければ、船員に対する職業紹介も思うようにいかないし、また給付の問題につきましても事故が発生するというような心配もあるわけでございますが、運輸大臣としてどういうふうにお考えになっているか承りたいと思います。
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○向井政府
委員 お答え申し上げます。
ただいま先生からるる御指摘ございましたように、確かに船員職安業務の現場の業務が繁忙をきわめておることは確かでございます。船員行政におきましては雇用問題が中心である、そのまた中心機能を発揮すべき船員職業安定業務の機能強化充実につきましては十分その必要性をわきまえておりまして、その強化充実に努力をいたしておるところでございます。
いまいろいろ人員面の御指摘がございましたが、人員の増加も、わずかずつではございますが、かなり図られておる。漁船船員の最も離職者等の多い北海海運局あるいは東北海運局管内におきましては、最近二カ年間におきまして、職安業務に専従いたします職員の数が十二名から二十名に増加しておる。割合とすればかなり増加しておる。もちろん、これだけではなかなか業務の運営が困難でありますので、民間の相談員を活用いたすとか、あるいは賃金職員を大幅に増加するとか、それからファクシミリ等の新しい機器を取り入れまして機能的な職安業務の運営を図る、あるいは出張相談等も活発に行うというようなことを兼ね行いまして、総合的に機動的な職安業務の運営に当たっておる。現場職員は非常に士気が高うございまして、一生懸命取り組んでおりますので、何とか切り抜けていけるということをわれわれも考えておる次第でございます。
その他、水産庁あるいは県との御協力によりまして広域的な雇用情報の交換というようなものもやりまして、業務の効率化を一生懸命図っておる、このような実態でございます。
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○
古寺委員 そういうごまかしのような答弁しちゃいけませんよ。もっと実のある、実態に即応した対策をあなた考えなければだめですよ。
きょうは時間がないのであと申し上げませんが、運輸大臣が先ほどからせっかくそこにお待ちになっていらっしゃるので、大臣に一つだけお伺いしておきましょう。
昭和五十二年十二月に船員中労
委員会から答申があった「今後における船員雇用対策の基本方針」というものが出ております。この基本方針について一体どういうような具体的な実施をなさったか、予算措置をなさったか、大臣から承りたいと思います。
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○
森山国務大臣 ただいまお話がありました船員雇用対策の基本方針、これは膨大なものでありますが、これに盛り込まれた意見は大変広範な、しかもこの時期に合った意見でありまして、運輸省としてはその意見を尊重して、実施可能なものから順次施策を進めてきておるところであります。
船員雇用対策として、大まかに言って緊急措置的な対策と長期的対策の二つの側面がありますが、緊急措置的対策としては、船員の雇用の促進に関する特別措置法等の不況対策法令の整備、これに伴う予算措置及び業務体制の整備などがあり、それぞれ所要の対策を進めているところであります。しかし安定した船員の職場の確保のためには長期的視野に立った施策が必要でありまして、国際的な海運、漁業の状況を踏まえ、それらの急速な近代化の動向に対応して船員の職場の長期的安定を図る必要があります。特に新しい船員制度の確立につきましては、船員の資質の向上について国際的な動きが強まっていること、船舶の技術革新がさらに進展する見通しにあることに十分着目して、優秀な技術を持つ日本船員の職域の確保に関する施策を講ずる必要があると考えております。
先ほど来、船員行政についていろいろお話がございましたが、労働保護は運輸省ということになっておるわけであります。これは船員につきましては運輸大臣が労働大臣だという立場にあるわけでありますが、保険は先ほどのお話のとおり厚生省、働く職場については漁民の場合は水産庁というふうに、いろいろな役所が関係しておりまして、昨今多数発生しております漁業離職者に対する対策等については、いろいろ問題がないことはございません。先ほど御指摘のとおりでございますが、確かに、こういうやり方がいいのかどうかということは、私もこの行政の間に入って、その改善方について痛感をいたしておるわけでありまして、どういうふうな形でこれをこれから措置していったらいいか考えておる、なかなかむずかしいものですから。仕事をやっていて一番困りますことは、いろいろ役所のなわ張りに関係あることにさわりますと全部とまってしまいますからね。当面仕事はしなければなりませんから、だから、なわ張りは尊重しながら能率を上げていくためにはどうやったらいいかということで苦慮しております。しかし長期をとってみれば、果たしてこのままでやっていっていいかどうかということについて私なりの判断をして、検討中といいますか、国会答弁だと言われるかもしれませんが、このままほっておいてはいかぬぞ、どうしたらいいだろうというふうに考えておるのが率直な現在の心境でございます。
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○
古寺委員 時間がございませんのでこれで終わりますが、おサルさんのようになわ張り争いで、海員の雇用の問題を海の労働大臣がいいかげんにやったのでは困るわけでございますので、今後さらに充実強化をしていっていただきたいということを御要望して、終わります。
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○
宮田委員 まずお断りしておきますのは、いままで各代表者の方で質問が行われたわけでございますが、何しろ雇用問題という一つの問題にしぼって質問ということでございますので、若干重複する点もあろうかと存じますが、何しろ重要な問題でございますから、確認の意味も含めて、先にお願いを申し上げておきます。
今日の雇用問題で最大の課題が中高年対策と言っても過言でないわけであります。中期的に見ましても、いまさら言うまでもございませんが、現在以上に中高年対策が重要な政策の柱となるでございましょう。わが国が近い将来確実に高齢化社会に突入することは各種の統計資料で明らかになっております。四十五歳以上六十五歳未満の労働力人口が比率として年々上昇しておるわけであります。
昭和六十年には、若年層が二二・三%に対しまして、この中高年齢層が三七%という高い比率になるわけであります。このスピードは、欧米諸国と比較いたしますと驚くべき数字であります。
このような労働力人口の推移、実態に対しまして、これを受け入れる産業界の余力が不確定要素の多いエネルギー問題等を背景にしてなかなか出てこない。現に、民間の経済調査機関等の経済予測を見ましても、雇用の好転を予測する向きは少ないわけでありまして、二%台の完全失業率が継続すると見ているところが多いわけでございまして、われわれが高過ぎると主張しております政府の六十年一・七%をはるかに上回っておるわけです。また、エネルギー事情は刻々と深刻になっておりまして、産業界に与える影響も無視できません。経済成長率の目標達成、雇用の確保、失業率を低く抑える等々の政策手段と民間企業マインドの乖離をどう埋めていくかがこれから大変重要になってくると思うわけでございますが、まず
経済企画庁長官、この点についてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
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○小坂国務大臣 経済予測におきまして、短期的並びにやや中長期的な二つの問題についての所見を述べさせていただきたいと思っております。
五十四年度における経済成長率六・三%程度ということの一番大きな意味合いは、一つには雇用情勢をもっと改善したいということが大きなねらいでございます。さらにまた、御承知のような対外的な貿易収支の問題等々ございますが、われわれといたしましては、当面、雇用情勢のさらに安定化ということを一番重点的な施策に考える、それと同時に、やはり同じような意味がございますが、物価の安定ということもねらいたいというようなことが基本でございまして、二・三%程度の完全失業率を五十四年度の末においても一応目標に据えておりますことは、一般的に見ますとやや多過ぎるのではないか、高過ぎるのではないかというような御批判もあるかと思いますが、われわれといたしましては、その百三十万程度の完全失業の線に食いとめるということが、現在わが国にとっては非常に重要な施策である、それを踏まえまして、関係各省との間で十分連絡をとりながらこの計画実現を図りたいと思うわけです。
また、中期展望におきましても一・七%、これはいわゆる高度成長下において一・三%程度の実績が出ておりますが、われわれといたしましてはこれを一・七%程度以下に抑えていくということを最大の政策目標と考えておりまして、この間、まだ十分に計画の内容が詰まっておりませんけれども、現在詰めつつある作業の中におきましても、失業の増大をとめるということに最大限の努力を払う、そうした政策目標を掲げておるわけでございます。
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○
宮田委員 労働省関係に入ります前に、通産大臣にお伺いをいたします。
昨日パリで開かれました国際エネルギー機関
理事会の内容を踏まえまして、石油節約時代の到来がこれから産業活動を非常に大きな影響をすると思います。特に製造業等での雇用にマイナス効果をもたらすのではないかという危惧もまた別にあるのじゃないかと思いますが、この点について通産大臣の所見をまずお伺いいたします。
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○江崎国務大臣 その点を私どもも最も心配をしておったわけでありまするが、この席でもしばしば繰り返しましたように、一−三月に七千二百万キロリットル入荷の見込み、これは前年同期並みですと言っておったのが、おおむね七千四百万キロリットル入荷しそうである。これはまだ三月いっぱいもありますが、もうほぼ現地船積みなどの手続が行われておりまするので、そういう予想になったわけであります。したがって、ことしの計画は一−三月七千四百五十万キロリットル輸入予定でしたから、そんなに大きな開きはない。
そこで、先ごろから申しておりまするように、企業など大口規制はしない、景気を持続させ雇用の安定に資させよう、こういうことで一月二十二日の官庁を初めとする節約方途についての協力を求めたわけでありますね。しかし、いま御指摘のIEAにおいて、三%の節約ということではなく上限の五%節約を推進すべきである、こういうことで話がまとまったもののようであります。いろいろ議論は百出したもののようです。イギリスなどは四%程度でいいのじゃないかという説もあったと聞いております。それからドイツなどは、価格メカニズムであの国は高くなれば節約ということは自然になされるので、価格が高くなることに任せていればいいではないかといったような議論もあったようですが、結局五%ということで最終的には合意した。
そうすると、どなたでしたか、これも午前中の
会議でもちょっと触れましたように、まあ大口規制はしないでいこう、現在の節約を徹底することにおいて三%、約八百万キロリットルは確実にできるというめどに立っておりまするので、あと四百万キロリットル余をどうするか。それは電力における石炭あるいはLNG、原子力への転換、いろいろ方途はあると思います。しかし、ひとつとりあえず石炭の混焼を奨励し、また電力会社などにも協力をしてもらったらいかがであろうかという計画でありまするが、目下鋭意詰めておるところでありまして、影響を与えないように、少なくとも景気とか雇用とかそういう面に与える影響は——今後値上がりの問題もありましょう、スポット物というのがもう二十ドル、二十四ドルなんていうような非常に高値を呼んでおりまするので、ムード的に値上がり気配というものは世界的になくはありませんが、幸い日本のように経済成長を遂げなければならないという国際的な一つの目標を持っておる国には、備蓄の取り崩しもやむを得ないではないかというような、取り崩しは困るという基本方針に立ちながら、例外は認めようというような話し合いもあったもののようであります。
したがいまして、私ども今後の成り行きを、国民の節約協調に求めながら、十分しさいに検討をして、生産とか景気とか雇用とか、こういう面には極力影響のない形で努力してまいりたいと思います。現在のところは悪影響なし、そういうふうに認識しております。
-
○
宮田委員 長官、それから通産大臣、決意のほどを含めてお伺いしたいことがもう一点だけございます。
雇用問題の最大の要点というのは、受け入れ体制がふらふらしておる、先行きに非常に不安があるということになりますと、労働省、労働大臣、幾らいい法案を出し、どういう政策をとられたといたしましても、実現できないのじゃないか。そこで、通産大臣、いまIEAの結果、節約三%を五%にする、しかも聞きますと、備蓄の取り崩しに対しまして警戒信号といいますか、相当に他の国々の方から取り崩しまかりならぬというような声も上がっていたようでございますが、そういう問題が出てまいりますと、産業自体に別な不安というものが出てきそうでございますから、そういう問題については、いま大臣おっしゃったように、さらにそれにプラスしてきちっと行政的な指導をなさる、そうして受け入れ体制に万全を期していただくということにしてもらわなければならぬと思います。
また、
経済企画庁長官、午前中の答弁の中で五千四百何万という労働力人口、女子の人口が二千万を超えるということになっておりました。女子の人口というのが過去をさかのぼってみますと急激に上昇しておるわけでございますから、この上昇過程を将来に当てはめてみますと、さらに大幅にふえるのじゃないか、こう思うのですが、大幅にふえるということは、その受け入れに対しましてさらに政府がよっぽど小まめな政策をお立てにならないと、失業者がますますふえるということになりかねないわけでございますから、こういう問題について十分な配慮をひとつお願いしたいということですが、その点について、決意のほどだけを簡単にお願いします。
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○江崎国務大臣 おっしゃる点は、大変私どもに責任があると思っております。ですから、一般の国民生活また企業の成長、そういったことに悪影響を及ぼさないように全力を挙げる。幸いといいまするか、まだこれは未確認情報でありまするが、イランにおいて、とにかく石油の輸出はまず日本からということで、現在までの備蓄分二百万バレル程度を日本に輸出しようではないかという説もあるということをもたらしております。これはいま確認しておりますが、いまの三井の石油化学プロジェクトに対する感謝の意味と、それから今後の完成を期して、どうもそういうことを言っておるらしい。ただ値段が高いということがあるようですから、従来の長期取り決めの品物とは違うにしても、余り高いものを何だか日本が飛びついて市場に悪影響を及ぼすようなことがあってはなりませんから、そのあたりも配慮しながらということで対策をしようとしておるようです。あらゆる努力をして今後とも石油確保を努力する。しかし、根本は国民的なレベルで節約を求める。そしてかねての計画がただ一片の通達視されたのでは困りますので、これが徹底を着々と図っていこうということで、目下作業準備中、こういうわけでございます。
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○小坂国務大臣 決意と申しましても、われわれの政策の最大の重点は、家計を担う人、家計の中心になっておる人、この方々の失業問題に対しては全力をふるって、ともかく第一義的に取り組もうということが一つでございます。
それと同時に、やはり御承知のようなエネルギーの問題は、全世界的に非常に困難な事態を迎えるのかもしれない可能性もありますので、こうした事態に備えて、日本の産業構造そのものを早く素材エネルギー多消費型から、加工あるいはその他の方面にシフトしていくということを基本的なねらいとして推進をしてまいりたい。もちろんこれは単に販売、流通部門だけを重点的に考えるわけじゃございません。先ほども午前中にもお話しございました三次産業あるいは四次、五次というような、そうした分類の中において、それを総括的に見て、雇用に役立つような方向での配慮を政策の中で展開をしていくということを第二のねらいにいたしてまいりたいと思います。
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○
宮田委員 両大臣結構でございます。
労働大臣、大変お疲れとは思いますが、何しろ国民のすべてが労働大臣に非常に大きな期待をしておるわけでございます。その期待が全部肩にかかっておると思いまして、この期待に何としてもこたえていただかなければならぬという、内閣の中でも労働大臣一番きついのじゃないかと思っておるところですけれども、その点は十分に御理解と思いますので、そういう点を踏まえていまから質問させていただきます。
民社党といたしましては、昨年来雇用の場、特に中高年層の働ける職場づくりということで、雇用創出機構を中央と不況地域に設置することを提唱してまいりました。通常国会の再開以後は、本
会議や予算
委員会で再三具体的な提案、提言を繰り返してきたわけでございますが、五十四年度予算案も大詰めの段階でございます。労働省はこういう問題についてどう対処なさるか、この点についてまず大臣のお考えをお聞きいたします。
-
○栗原国務大臣 まず最初に御激励をいただきましてありがとうございます。私も懸命に御期待にこたえたいと思います。
雇用創出をどうするかというのはまさに国民的な課題でございまして、政府は政府としてやらなければならぬし、民間企業の方々にも活力を大いにふるっていただきたい。そして雇用創出のためには、本当にわれわれもそれから企業の方も労働者の方々も力を合わせてもらう、あるいは関係の学識経験者その他の方々にも意見を出してもらう、そういう意味で国民的な大きな課題として取り組んでいきたい。
たまたま民社党の方から雇用創出機構等のお話がございまして、これはいままでの国会答弁でも申し上げておりますとおり、われわれは屋上屋を重ねるというようなことはいかぬが、しかし実質的にこれが雇用の創出になるというものであるならば、そこら辺は十分に考えていきたい、検討していきたいというのが私どもの従来の答弁でございました。
しかし、御案内のとおり、予算の修正をめぐりまして与党と野党との間でいろいろ御折衝があったようでございまして、私どもは先ほど来から申し上げているとおり、党の方から政府の方に対しまして正式にお話があればその段階で対処してまいりたい、こういう考え方でございます。
-
○
宮田委員 昨日公明、民社両党の予算修正要求に対する回答ということで、御存じと思いますが、私どもの方に渡りました。第一項に、「我が党は、」これは自民党です。「我が党は、両党の予算修正要求について、誠意をもって検討を行って」まいりました。その結果が云々となっておるわけでありまして、「我が党」は自民党でございます。自民党というのは与党でございまして、御存じのようにその与党からお出になった栗原さんが労働大臣でございますので、やはりその点は、私ども野党同士の話し合いの回答ということと、与党と野党の話し合いの結果というのは重さが違うと思うのです。立場がうんと違うと思うのです。そういう意味からいたしますと、この中にあります「雇用対策の強化」ということで「労働市場センターについては、今後その機能の充実を図る方向で検討する。」ということなんです。さらに「雇用発展職種研究開発
委員会を地方重点地域に設置する方向で検討する。」こういうことなのでございます。与党の執行部と私どもが話し合いをいたしまして合意に達したことでございますので、その辺は与党からお出になっております労働大臣の責任というのが非常に重要でございましょう。しかしまた、与党も責任政党という立場からこういう方向を野党と話し合いをして結論を出される以上は、やはり行政のそれぞれの専門家なりあるいはまた他のいろいろなスタッフなりと話し合いをいたしまして、こういう結論が出されたのじゃないかと思いますので、ただ検討するということのみでは合点がいかないわけでございます。まあいまの段階でございますから、午前中の質疑の繰り返しになるわけでございますから多くは言いませんけれども、やはり検討なさるならば前向きに検討をしていただかなければならぬと思いますが、その点大臣のお考えを聞かしていただきます。
-
○栗原国務大臣 御指摘のとおり自民党は政府与党であります。その自民党と各党、この場合は民社党でございますか、とのお話し合いでいろいろ話が決まった、そして党の方から私どもの方に正式に御協議があれば、これは政府与党からの御協議でございますので、それに対して適切に処置していきたい、こういうことでございます。
-
○
宮田委員 まず、雇用発展職種研究開発
委員会をおつくりになるということなのでございますが、それは中央段階だと私は認識しているわけですよ。さらに、この中央段階で研究会をつくって、いろいろ研究し、開発の政策提案ということになるかと思いますけれども、それは地方にもそういう関係のものをおつくりになるということなんですか。その点どうですか。
-
○栗原国務大臣 個々の問題についていまここでお答えをすることは控えさせていただきたいと思いますが、先ほど来申し上げておりますとおり、自民党と他党とのお話し合いにつきましては、そのうちに自民党から正式に御協議があると思いますので、それによって対処したい、こういうことでございます。
-
○
宮田委員 大臣ちょっと誤解をされておるのじゃないかと思いますが、雇用発展職種研究開発
委員会なるものは、すでに労働省の方がいまお考えになっておることなんでしょう。そこで私ども、この問題について否定しておるわけじゃないのですよ。この点についてこれから検討の過程の中でいろいろ補強し肉づけをしてやってもらわなければいかぬわけですけれども、まず、いま労働省がお考えになっておりますこの研究会の性格ですか、任務ですか、そういうことについてお答え願いたいと思います。
-
○細野政府
委員 御指摘の雇用発展職種研究開発
委員会でございますが、これは現在五十四年度予算でお願いしておりますが、中央に置く学識経験者による研究会ということで現在の予算の中では考えられているわけでございます。
-
○
宮田委員 そこで、この研究ということが中心になっている。まあ研究開発というのが中心でございましょうけれども、今日の実態と引き比べてみますと、もう研究という時期はすでに遅いのじゃないか。むしろ研究なさるよりは、優秀なスタッフがたくさんおいでになります労働省のそれぞれ担当者、長い間の経験を持っておられますから、研究する必要ないと思うのですよ。だから研究を飛び越えて、もう開発ということに最大の力点をしぼってやる。この研究ということについて、のける考え方はないですか。
-
○細野政府
委員 けさほど来からもいろいろ御議論がございましたように、三次産業その他、現在伸びているところにつきましては、その実態等につきまして、特に職種とそれからその雇用条件その他のいろいろなものをクロスしたような、そういう分析検討というものがはなはだ乏しいという側面がございまして、したがいまして、今後の発展の方向等を、あるいはそれに誘導するための施策等を研究するにいたしましても、非常に分析や資料が足りないという側面がございまして、そういう意味での補強というものが今後重要な役割りを果たすのではなかろうか、こう考えているわけでございます。
-
○
宮田委員 中央にこういう制度を設けて雇用創出の研究開発をしていただけるということについては別に異存をはさむものではございませんが、中央段階だけで今日の雇用の問題に対する適切な研究開発の結果、対策が打ち立てられるかどうかということになると、いささか疑問を持たざるを得ないわけでございます。やっぱり地方という立場のものを重点に置いてこそ、初めて具体的な雇用創出というものができてくるのじゃないかと思うんですよ。この前の質問のときにも北九州の例を申し上げました。あるいはまた安定所を中心に審議会を持って、いろいろ雇用創出ないしは就職その他の関係についてお世話なさっておるわけでございますが、やはりそういう地域に対しまするところの重点的な開発組織といいますか、あるいは雇用創出のための機構といいますか、そういうものをつくらなければ、中央に一つぽんと置いて、それをもって事成れりということでは、この厳しい情勢の中で、またさっきも企画庁長官にも質問いたしましたし、また通産大臣もおっしゃいましたように、非常に厳しい経済情勢という中でのときでございますだけに、創出というのはなかなかむずかしいのじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
-
○細野政府
委員 先生御指摘のように、いろいろ御議論のあるところだと存じますが、その辺が、先ほど来大臣から申し上げておりますように、与野党間でお話し合いのあったところでございましたが、政府といたしましては、今後慎重に検討いたすというふうに申し上げるしかないわけでございます。
-
○
宮田委員 やっぱり与党の自民党との話し合いの結果こういうふうな一つの結論になったわけでございますから、大臣もそれを踏まえて、これからはできるだけ早くこれを行動に移せる政策立案ということで打ち出していただきたいということを特にお願いをしておきます。
同時に、その際、民社党がせっかく提言しております雇用創出機構、この問題については、せっかく相似通った一つの方向でございますから、決してむだじゃないと思うのです。非常に参考になると思います。しかも私どもが出しております雇用創出機構というのは、実際に現場で働いておる労働者、勤労者を指導しておる人々が長年かけて検討いたしました結果でございますだけに、十分その点は配慮してこれからの検討の中に押し込んでいただく、そうしてでき得るならばそれを、名称はこれでもと思いますけれども、大臣の格段の御努力をお願いをいたします。お願いと質問両方になりましたが、大臣の決意のほどをお願いします。
-
○栗原国務大臣 雇用創出機構につきましては、先ほど来から申し上げましたとおり、私、この国会でその趣旨といいますか、そういうものについては賛成だということを申し上げたわけです。それから、中央だけでなくて地方の意見も参考にすべきだということもこの国会で申し上げておるわけでございます。したがいまして、
宮田さんのいまのお話は私は十分承知しておりますが、先ほど申し上げましたとおり、与野党間のいろいろ折衝過程もあるようでございますので、政府の方から御連絡をいただきまして、協議がございましたらばそれによって対処してまいりたい、こういうことでございます。
-
○
宮田委員 大きく期待をしておきます。
次の質問に移りますが、産業別の常用労働者雇用指数を見ますと、石油ショック後の四十九年をピークに、金融、保険業、サービス業を例外といたしまして、いずれも低くなっておるわけです。中でも製造業全体では、五十年を一〇〇といたしますと五十三年末では九四くらいということになっておるわけです。大企業の決算で見る限りいわゆる減量経営による効果が出始めておるわけでございますが、雇用面において下げどまりの時期に来たのかなという感じもまたするわけでございます。しかし、この製造業分野では今後も労働節約的な技術開発がますます進むと見なければならぬと思います。そうすると、雇用増に直結するのかという疑問もまた出てくるわけでございます。主要業種の常用雇用がどう推移していくと見ておられるか、この点もひとつお聞きをいたします。同時にこの問題についての政策誘導の仕方ですね、こういう問題についてお考えがありましたらお聞きします。
-
○細野政府
委員 先生御指摘のように、毎月勤労統計調査によりますと、事業所規模三十人以上の調査でございますが、製造業の常用雇用というのが引き続き減少傾向にあるわけでございます。しかし、最近では機械金属関係を中心に減少幅がやや縮小する傾向が出てきておるわけでございます。一方、求人の方を見ますと、金属製品それから一般機械、電気機械等を中心にしまして製造業の求人の回復が見られる状況でございます。特に同じ求人の中でも常用求人の方が臨時日雇いよりも伸び方が高く、それから規模もだんだんと上の方に上がってくるというふうな、そういう意味での求人の内容の改善の傾向があらわれてきているわけでございまして、いま申し上げましたような業種を中心にして製造業の常用雇用も次第に回復に向かっていくのではないか、そういうふうに期待をしているわけでございます。
なお雇用増をどういうふうに持っていくかというお尋ねでございましたが、それにつきましては先生も御案内のように、これは労働省だけで対策が十分できるという性質のものではございませんけれども、一応私どもも各省と協力しながらやっていかなければいかぬというように考えておりますのは、やはり基本的な問題と当面の問題と二つあるかと思うわけであります。基本的には、常用雇用が伸びるということは、企業自体が景気の先行きに対して信頼感を持つかどうかということが非常に大きく響くのじゃなかろうか、こう考えるわけでありまして、そういう意味で安定的な成長を確保してこれを持続させていくということが非常に重要じゃなかろうかということが第一点でございます。
それから第二点は、やはり技術革新的な要素というものがどうしても第二次産業が大きく伸びるためには必要ではなかろうか。そういう意味でのエネルギー資源開発なり先端的な技術等の大型研究プロジェクトみたいなものを各省にお願いして、これを強力に進めていただく必要があるのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。それから当面の問題といたしましては、先ほど申しましたように求人が景気の回復に伴って量的に伸びるだけではなくて、その内容もだんだんいい方向に向く傾向があらわれてきているわけでございます。そこで、せっかくこういうふうに出てきております求人の内容と、それから現在非常に就職の困難な中高年齢の失業者というものを具体的に結びつけなければいかぬ、こういうことが私どもの急務でございまして、そういう意味で先生御案内の、今回また予算でお願いしております開発給付金というようなものの内容を大幅に拡充強化しているというのも、先ほど来先生御指摘のような面での対策的な効果を非常に私どももねらい、かつ期待をしているという状況でございます。そういうふうなことで製造業の雇用増にも寄与してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
-
○
宮田委員 先に進みますが、先般当
委員会で雇用を中心に質疑をいたしました際に、将来に向けて雇用の場を拡大するには、民間企業での六十歳定年実施に向けて政治が誘導することの必要性を申し上げたわけでございますが、改めて労働大臣に伺いたいのは、労働大臣と通産大臣はさきの財界四団体との雇用問題に関する会談の席でこの定年問題を取り上げておられたわけです。片方では労働組合または労働組合のない企業の労使等に対する定年延長への取り組みを促す方策を考える必要があると思うのですが、その点はどういうお考えを持っておいでなんですか。
-
○栗原国務大臣 定年延長につきましては、これは経営者側にいろいろ説得するといいますか、要請をする部面もありますが、同時に労働者の皆さんにも御理解と御努力をいただくという部面もございます。したがいまして、私どもは経営者の方にも申し上げますが、労働者の方々とも機会を見て積極的に話をしていきたい。近くこういう問題も含めまして、労働四団体の方々といろいろと忌憚のない意見の交換をいたしたい、こう考えております。
-
○
宮田委員 特に労働組合だけでなしに、労働組合がない労使関係、これが非常に大きな問題を抱えておると思いますので、その辺についての接触というのですか、話し合いということについても十分やっていただきたいということをひとつお願いしておきます。
また、先般の予算
委員会で、政府関係省庁にこれからの三次産業対策をいろいろな角度から質問したわけですが、その折に、第三次産業はこれからの日本経済にとって、産業政策から見ても、また雇用面から見ましても重要な分野であるものの実態把握が不十分であるという御認識に立っているとの御答弁があったわけでございますが、そこで労働大臣にお伺いいたしますのは、中期労働政策懇談会は「労働政策の中長期の課題と展開の方向に関する提言」の中で、労働基準法問題を取り上げておられるわけです。これは、製造業を対象にした労働基準行政を新たな変化に対応できるようにという趣旨だと理解しているわけですけれども、労基法の改正といいますか、見直しにどう取り組まれるか、この点について御答弁願いたいと思います。
-
○岩崎政府
委員 お答え申し上げます。
国際的に見ましても、労働基準に関する法規制というのは、まず製造業から出発して、それから漸次他産業にもという方向でございますが、現在の労働基準法は全産業の全労働者に適用になるということになっております。したがいまして、製造工業以外の第三次産業に特例的あるいは特殊的な規制については、それぞれ関係法令によって施行規則その他で規制をしているわけでございますが、先ほど御指摘もありましたように、最近の経営あるいは雇用構造、そういうものが第三次産業で非常に変化が来ておりますので、私どもといたしましては実態を来年度十分に把握いたしまして、その実態の把握の上に立って十分検討をしてまいりたい、こう考えております。
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○
宮田委員 最後の質問でございますが、中高年齢者の再就職難はいまの段階では定年六十歳が定着しない限り解決しないのじゃないか。断定することはよくないとは思いますが、仮に就職できても、職種や待遇面で恵まれない職場しか確保できない、こういうふうに私ども思っておるわけです。ということは、現行の終身雇用、年功序列賃金体系である限り、第二の人生あるいは定年後の職業の選択に備える技能訓練システム、これがまず、皆無と言えばどうかと思いますが、ないわけでございまして、企業の在職中の技能訓練、いわゆる生活訓練体制の拡充強化策について、労働省はどうお考えになっておるのか。言うならば節目節目の教育訓練というのが今日特に必要な時期でございますだけに、その点についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
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○石井政府
委員 お答えいたします。現在、労働省におきましては職業訓練の幾つかの体系を持っておりますが、一つは在職労働者に対する訓練の体系が大きくございます。その中で先生御指摘のように、定年制の問題もそうでありますけれども、新しい世界といいますか、職場といいますか、自分の方向といいますか、そういうものに向かって、やはりこれから長い人生を幾つかトライをするという時代に入ったと思います。そういう意味で、現実にもう現在の在職労働者の中でもいろいろなニーズがございまして、これに対する対応をいま進めているわけでございます。たとえば定年退職者につきましても二つ問題がございまして、一つは、定年退職後に自分はどういう職業に転換をしていくかということについて、働いているうちからかなり一つの意欲がございます。これに対する対応をする必要がございます。
それからもう一つは、定年延長にまつわって、職場を企業内で転換をするという場合もございます。
さらに、先ほど申し上げましたように、たとえば四十歳あるいは四十五歳ころから、幾つかの節目ごとに一つの自分の方向を考える、こういう時代に入っておるわけでありまして、現在、労働省といたしましては、いわゆる在職者訓練に力を入れようと考えております。具体的には向上訓練ということで、特に中小企業におきましては、その訓練の費用の三分の一を国、県が三分の一、すなわち三分の二を補助する、こういう考え方で進めております。
さらに、有給教育訓練休暇奨励制度というものもございまして、有給休暇をとって訓練をする場合には、その費用について事業主にその奨励のための助成をしている、こういうこともやっております。
そういう援助制度をさらに今後とも拡大していきたいというふうに考えております。
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○
宮田委員 これで終わりますが、最後に要望しておきますのは、与党と話し合いをいたしました一連の合意事項、自民党の方も誠意を持って検討をされた結果でございますだけに、その内閣にございます大臣、前向きにひとつ検討し、早くこの雇用創出ができますように特段の努力をお願いして終わります。
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○
浦井委員 各大臣に質問をするわけでありますが、主に労働大臣にお尋ねしたいと思います。
いま非常に雇用問題が深刻になっておるわけでありますけれども、それの主な原因というのは、この間労働大臣も財界の首脳に会われたようでありますけれども、減量経営、人減らし、こういうことがやはりいまの非常に不安な状況を呈しておる雇用問題の原因の一つの主要なものだというふうに思うわけであります。現にこの減量経営をやることによって、三月期決算を見てみましても、経常利益が前期よりもぐっと向上しておるという状況であります。だから雇用対策の最も重要な課題というのは、こういうような大企業の反社会的な減量経営、人減らしというものをきちんと規制するということなしには考えられないとさえ私は思うわけであります。ところが政府の態度を見ておりますと、こういうような点は何ら措置をとろうとしておらないというふうに思われ、はなはだ遺憾であります。そればかりではなしに、本来有効に作動すべき現行法でさえも十分に活用されておらないということであります。
それで、私けさ方からずっと聞いておったわけでありますけれども、中高年法があります。労働大臣はよく御承知だと思うのですけれども、中高年齢者の雇用の促進に関する特別措置法。最近一月の二十三日でありますか、労働省はやっと重い腰を上げて「高年齢者雇用対策の推進について」という通達を出して、その中で、雇用率の徹底と定年延長のための行政指導を行うということにしたようであります。これは大臣も御承知のように、現行法によりますと、雇用率の達成のために計画を作成することを命じて、そしてその計画が不適当ならば計画変更を勧告することができる、しかも、それでもなおかつ悪いときには雇い入れの要請をすることができるというようなかっこうで、何ら強制力がないわけであります。このないものを一月二十三日の通達で上をなぞったというかっこうだろうと私は思う。それでもやらないよりはましだと思うわけでありますけれども、果たしてどれだけの効果があるか疑問だというふうにけさ方来の議論の中で出ております。これはひとつ徹底してやっていただきたいというふうに私は労働大臣に要望したいわけであります。
それと同時に、大臣も御承知のように、身障者雇用促進法の中で雇用率が設定されておる。その場合にはペナルティとして納付金を納めるとか、あるいは社会的制裁という意味で企業名を公表するとかいうようなことが決められておるわけでありますから、そのように中高年、特に高年齢に雇用不安が増大をしておるときに、身障者雇用促進法並みに法改正を、この際労働省として思い切ってやるべきではないか。われわれもろ手を挙げて賛成でありますから、その点について、ひとつ大臣の突っ込んだ御決意を初めに承っておきたい。
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○細野政府
委員 先生前段お話のございました中高年齢の雇用促進特別措置法に基づきます計画の作成命令の運用につきましては、あの通達に書いてありますとおり、当面大企業の雇用率の悪いところから手がけてまいりますが、これを漸次拡大し、実効を上げるようにしてまいりたいと考えておるわけであります。
それから二番目の身体障害者の雇用促進法並みに規制を強化すべきではないかという御指摘でございますが、私どもは、やはり高齢者雇用の問題は、定年の延長の問題と同じく、その一番阻害要因であり、実施という側面から見ますと前提条件ということになりますが、その賃金慣行あるいは退職金の制度あるいは人事管理のあり方、こういうものについて労使が話し合いをすることによって、その企業なり産業に一番見合った形でそういう点についての是正が行われた上で、それと同時並行して定年延長が行われるということが基本的な命題であろうか、こう思うわけでありまして、そこの基本的な問題のところに触れずに、定年なり雇用率なりというところだけを規制するというやり方については、いま申し上げましたようないろいろな問題があるのじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
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○
浦井委員 それは答えにならないわけで、大臣としてはどう思われますか。やはりここで労働省としても、特に五十五歳から六十歳までの高齢者雇用の問題はこれからかなり深刻になるというように覚悟をしておられるわけでしょう。それに対して手を打たれようとしておるわけだ。その一環として、私はポイントになるのはここだと思うのですが、どうですか、大臣。
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○栗原国務大臣 身障者と高年齢者の取り扱いといいますか、義務化といいますか、これについては同じに取り扱うべきでないと思います。身障者の方は、いま政府
委員からも話がありましたとおり、そういう人を雇う場合によって経営の側においてそれだけの雇わないところよりもロスがあるわけですね。そういった意味で、雇わないところは納付金制度で金を納める、こういうことでございますから、これと、高年齢者の場合にはなぜ高年齢者を雇えないか、それは大企業だ、大企業はなぜ雇わないかということになりますと、これはやはり定年という問題です。ですから、このネックをやらないとこれはできないわけでございまして、そういう意味で、これは同一視するわけにはまいらぬ、こういうことであります。
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○
浦井委員 定年制延長の問題と混線をさせてしまうのは非常にひきょうな逃げ方だというふうに思うわけです。
それからついでに、これは職安
局長の答えになるだろうと思うのですが、この中高年法の雇用率の設定、これは設定しておることはよいことなんですが、この附則第三条に、国と自治体は旧法によるということで、現実には現業部門は雇用率が決められておるけれども、しかし一般行政職はほったらかしになっておる。やはりこれは国なり自治体なりが、こういう時期でありますから、率先して全体としての高齢者の雇用率を守るような方向に変えていかなければならぬのではないか、私はそう思うのですが、どうですか。
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○細野政府
委員 先生御案内のように、民間の雇用率というのは、民間の、特に先ほど大臣から申し上げましたように、大企業を中心に高齢者の雇用の割合が低いというところに着目して、その雇用割合を高めよう、こういうことでございます。ところが、国、地方公共団体につきましては、先生も御案内のように、職員の雇用条件とか人事制度とかにかなり弾力性のきかないところがあるという、そういう側面がございますことのほかに、現在の実際の雇用率が、たとえば国で申し上げますと、大体一割近くというふうな高さになっておるわけでありまして、そういう意味で、たとえばいまの努力目標になっておる六%というのははるかにオーバーしているという状況でございまして、そういう意味で民間とはかなり違う実情にございます。したがいまして、従来からやっております、むしろ職種別に非常に高い雇用率を課して、いわば高齢者に適した適職について、たとえば物によっては七五%とか八〇%とかいうような非常に高い雇用率を課して、その実施をやっている、こういうことでございます。
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○
浦井委員 中高年法に基づいて雇用率の徹底を通達として出すというふうにやるならば、国自身が範をたれなければだめだということを強調しておきたいと思うわけであります。
そこで、中高年法自身の問題でありますけれども、これにもいろいろ問題点があるわけです。たとえば、中高年法では、中高年齢者等への特別措置の中に、求職手帳を発給して、この手帳を持っておる人にはいろいろと再就職への援助をするということになっておるわけなのです。ところが、時間が少ないから私が読み上げますけれども、この手帳の発給数が、五十二年度が全国で三千七百九十二件、五十三年度、四月から十二月まででありますけれども、三千百七十二件、この中には同和であるとか、あるいは身障者、刑余者などが含まれておるわけでありますから、それを除くと、純粋に中高年齢者への発給というのは、五十二年度で七百十七件、五十三年度の四月から十二月まで五百六十七件、こういう少なさであります。非常にこの求職手帳というのは大事な制度であると思うにもかかわらず、何でこんなに発給が少ないのか、ひとつその理由を労働省の方から御説明を願いたいと思います。
-
○細野政府
委員 手帳制度でございますが、これは中高年齢の求職者に対しまして、安定所の職員が綿密な職業指導、職業相談を行う過程におきまして、特にこういう措置をとる必要があるというふうに認め、かつ、これを恣意にわたらないよう合議制の機関にかける等の形でもって認定した上で実施しているわけでございまして、その結果として、いま御指摘のような数字になったわけでございます。
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○
浦井委員 これは職安
局長、昨年十月の年齢別常用職業紹介状況というのを見ますと、四十五歳から六十四歳までの求職者が四十六万七千三百三十六人、求人倍率は〇・二五でしょう。だから、四人に一人しか求人がないという状態であります。だから、こういうせっかくある中高年法に基づく求職者手帳、こういうようなものをもっと有効に活用して、そして安定した職業についていただくような指導をなぜできぬのかというふうに私は思うわけです。
そこで、いろいろ私実情を調べてみました。ネックがたくさんあります。いまも職安
局長その一部分を言われたわけでありますけれども、一つはこの手帳というのは、本人が申請をすることになっておる。だから、申請をするためには、定年退職の人を含めて、失業された人がこの制度の内容であるとか、その手続を十分に理解をしておらなければならぬ。職安
局長に聞きますけれども、各職安に、こういう中高年法による求職者手帳の制度がありますよと、親切丁寧な掲示があるのかないのか、一遍ちょっと答えてください。
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○細野政府
委員 先ほど申し上げましたように、この制度は非常に熱心誠実な求職活動をやっておられる方について、安定所が紹介、相談の過程において特に必要があると認めた方に対して適用する制度でございますので、ポスターを張って掲示するというようなことはやっておらないと思います。
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○
浦井委員 特に必要と認めた人にだけ出すというような制度ではないわけでしょう。やはりその制度があって、これに乗れる人は全部乗せるということでなければならぬと思うわけなのです。
もう一つ聞きますけれども、この中高年法に基づく手帳制度、中高年法そのものについて、朝同僚議員からも言われておったように、だれが見てもわかるようなパンフレットを労働省はこしらえて配っていますか。あるいは職安に常置させていますか。
-
○細野政府
委員 これ単独のパンフレット等はございませんが、他の給付金と一緒にして紹介したパンフレット等はございます。
-
○
浦井委員 それではわからぬと言う。本朝来いろいろ議論になっておる。私、神戸の職安の職員に聞いてみましても、指導官を除いて、この制度は全く知らぬと言う人が多いわけなのです。職安によっては求職手帳をもらう申請をする用紙がない、こういうような職安もある。これでは行政が制度を生かしておるとは言えぬわけです。これは大臣に要望ですけれども、特に五十五歳から六十歳まで非常にこういう制度を求めておられるわけですから、せめて各職安にいまからすぐに掲示をして、こういう制度がありますよ、それでこの制度に乗っかるような人は進んで申請をしてください、ひとつこういうような掲示を出していただきたいと思う。どうですか。
それから、ついでにパンフレットもきちんと、懇切丁寧なのをつくって……。
-
○細野政府
委員 先ほど来申し上げておりますように、この手帳制度は、一般の保険関係のあれとは違いまして、全額国庫負担で、特に熱心誠実に求職活動をやり、かつ就職が困難で、その他の要件を備えておられる方に対する手厚い措置でございますので、そういう意味でやみくもに、何といいますか、かねと太鼓でという性質の手当ではなかろう、こういうふうに考えるわけでございます。
-
○
浦井委員 そうではないでしょう、中高年法の趣旨からいけば。その制度に乗る人にはどんどん支給するようになっておるわけですし、しかも労働省自身が認めておるように、五十五歳の定年退職後のまだ十分に働ける人の雇用情勢が深刻になってきておる。何でこの中高年法を有効に活用せぬのか。これはひとつ政治家としての大臣の答えを要求したいと思う。
-
○細野政府
委員 一般の求職者にしても、それから労働力調査による完全失業者の中身を見ましても、いずれも緊急な生活上の困難を持っておられる方というのはやはりかなり限定されているわけでありまして、そういう意味から言いましても、現在安定所の窓口においでになる求職者についてもそうでございまして、したがって、特別な制度の対象になる、特に手厚い措置の必要な方というものは限られた方ではないか。それらの方について十分御説明ができる態勢はとっておきたい、こういうふうに思っております。
-
○
浦井委員 それらの人に対してさえも十分PRの措置をとっておられないわけなんですよ。たとえば、変なことを職安
局長は言われるわけなんですが、あなた方が出された、先ほど言いました一月二十三日の通達を見ましても、他の項目についてでありますけれども、「テレビ等のマスコミによる記者会見等の際には、広く制度の活用を訴えるよう配慮する」とか、あるいは「リーフレット等は、企業及びその団体等に配布するほか、公共職業安定所の窓口に常置し、継続的に周知を図ること。」とするというふうに書いてあるわけなんです。だから、そういう手だてを講ずるというようなルートは労働省も知っておられるわけなのです。それがこの中高年法の手帳制度に限って何でそんなに渋られるのか、その辺が私ようわからぬ。大臣どうですか。
-
○細野政府
委員 先ほど来申し上げておりますように、これはあくまでも熱心誠実な求職活動をやっておられて、特にその必要のある方に対する制度でございますので、したがいまして、一般的に広く周知を申し上げるような手当制度とはまた違った性格のものであるというふうに考えておるわけでございます。
-
○
浦井委員 そうすると、ついでに職安
局長に尋ねますけれども、職安によっては申請用紙がないというような状態は、これは許されるのですか。
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○細野政府
委員 そういう事態の起きないように、新年度におきましても必要部数を常に送付しているという状況でございます。
-
○
浦井委員 ついでに、もう一遍繰り返しますけれども、パンフレットをつくりますか。
-
○細野政府
委員 先ほど申しましたような手当の性格上、それだけのパンフレットということではございませんが、各種の給付金等と一緒にしてごらんになれるようになっているパンフレット等は随時つくっているわけでございます。
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-
-
○
浦井委員 ところが、朝言われたように、これはどこを探しても、中高年法の求職手帳をもらうというようなことは、首をひねっても、相当知識を持っておる人でなければわからぬというのが実情なんですよ。
大臣、どうですか。そう黙っておらぬと、この辺でひとつ答えを……。職安
局長は、いいですよ。
-
○細野政府
委員 たとえば、職員の机の上に置く大きな下敷き等の中に、各種の給付金等の一覧と概要を掲げたもの等をつくって、そういうものによって職員がそういう指導に欠けることのないような態勢をとっておるわけでございます。
-
○
浦井委員 それはだめですよ。職員が下敷きの中にその制度の概要を書いた紙を置いておくだけで、申請する人が何でわかる。この制度は申請制度でしょう。だから、失業された方にちゃんとPRを何でせえへんのか。大臣、どうですか。
-
○栗原国務大臣 これは職安
局長の言うように、いわゆるかねや太鼓でさあさあいらっしゃいというものではないというような性格のように言うておりますが、まあしかし、それはともかくといたしまして、この手帳制度の問題につきましては適正な運用をしなければならないと思っております。
それからPRの問題につきましては、全般といたしましてどうも十分に国民の皆さんに御理解できるというものではない、いままでなかったようでございますから、その点は改めるということを申し上げているわけでございます。
-
○
浦井委員 この問題はその辺で一応矛をおさめておきますけれども、これは社労
委員会でも、今度はひとつもう少しリアルな実例を出しながら、大臣のより前向きの答弁を、やはり政治家ですから、行政官みたいな形では今度は許さないということを宣告しておきたいと思うわけです。
それで、たとえばある程度PRされたとしましょうかいな。ところが、まだネックがあるわけであります。この制度に非常に厳格な所得制限がある。大臣、御存じですか。——これはまあ労働省。
-
○細野政府
委員 所得制限につきましては、先ほど申し上げましたようなこの手帳制度の特別な性格にかんがみまして、一定の要件を課しているということでございます。その要件と申しますのは、前年の本人及び配偶者の所得の合計額から基礎控除、配偶者控除及び扶養控除をした場合に、所得税が課税されないこととなる所得の最高額を基準として定める、こういうことでございまして、現在は、結論的に申し上げますと、配偶者、扶養親族がない場合には二十九万一千円、配偶者、扶養親族がある場合は、その数に応じて、一人ふえるごとに二十九万円を加算した額ということになっているわけでございます。
なお、お聞きになっておりまして、これが所得の金額というふうに、普通の勤労収入みたいな所得の金額というふうに感じられるといかぬと思うので申し上げますけれども、これは本人の所得の金額等を除いた、いわば利子所得とか配当所得とか、そういうものによる所得の金額でございますから、これだけの配当とか利子を生む原資というものは相当なものだ、こういうことになるわけでございます。
-
○
浦井委員 大臣、いま
局長が答弁をされたわけですが、要するに、単身の場合には年二十九万一千円以上所得があればこの求職者手帳は受けられない。月に直したら二万円余り。それから配偶者であるとか被扶養者が一人おるごとに二十九万円ずつそれに加算されていくわけでしょう。だから、たとえば御夫婦二人であれば五十八万一千円、月五万円弱であります。失業者ということですから、山林やら利子配当所得が、ある人もいるでしょうけれども、まず一般的には少ないですよ。ない人がほとんどだ。それでなおかつこの手帳をもらおうと思えば、こういういわゆる所得制限にひっかかってしまう。これは非常に酷ではないかと思うのですが、大臣の御所見をひとつ。
-
○細野政府
委員 先ほど、誤解があってはいかぬと思って念のために申し上げたわけですが、改めて申し上げますと、これを本人の所得ということで計算をしてみますと、夫婦子供二人で本人の前年の所得だけしかなかったという失業者についてみますと、前年の給与所得が百八十万円までは制限にひっかからないということでございますから、先ほど申しましたように、この金額というのは、二十九万円とかなんとかという計算過程でお感じになるのとははるかに違うものであるということを申し添えておきたいと思います。
-
○
浦井委員 とにかくこの金額は大幅に緩和をしてもらわなければ困るということを要求しておきたいと思います。
それからもう一つ、職安
局長についでに尋ねますけれども、雇用保険をもらっておる人が求職手帳をもらうには、勧告をして二カ月以内に申請をしなければ後はパアだ、こういうことになっておるわけですね。これはどこで決まっておるわけですか。
-
○細野政府
委員 先ほど申しましたように、この制度につきましては、再就職の援助が特に必要であり、御本人が誠実かつ熱心な求職活動をしておられるということでございますから、そこで職安の専門の職員が相談、指導の過程で勧告をし、それに基づいて申請が出てくるということを通達によって指定をしておるわけでございます。
-
○
浦井委員 そうしたら、具体的にどういう形でいつ勧告しておるわけですか。
-
○細野政府
委員 先ほど申しましたが、専門の職員が、職業相談、職業指導の際に、求職者の就職意欲等から見て、その再就職の促進を図るために必要であると認めた段階において発給の申請を勧告する、こういうことにしているわけでございます。
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○
浦井委員 私が聞いておるのは、どういう形で勧告をしておるのか。私が調べたところでは、受給者が初めて失業給付をもらいに来たときに、五十人なり百人なりを職安の
会議室に集めて、そこでテープレコーダーでずっと流す、あるいはスライドをぱちぱちと次々にかけていくということで勧告をしたのだ、あと二カ月たったら、あなたはもうこれでおしまいですよ、こういうかっこうですね、大臣。こういう点もひとつ十分に変えていただきたい。こういうあいまいな形でやるのではなしに、しかも、この勧告というのは法にも規則にも載っておらぬわけですから、単なる行政通達にすぎないわけですから、この点はきちんとやはりはっきりしたものに変えなければならぬ、これは要望しておきます。
せっかく建設大臣と自治大臣に来ていただいたわけでありますけれども、時間がなくなってしまいました。これは労働大臣、労働省の非常にがんこな態度が時間をおくらしたのだということでひとつ御容赦を願って、私の質問は終わりたいと思います。
-
-
○
大原(一)
委員 私は、時間がありませんので、主として雇用保険制度、さらに労働市場センターの問題について一、二お伺いをいたしたいと思います。
けさほど自民党の塩川
委員からお話がありましたが、雇用保険制度でございますけれども、実際わかりにくい数々の項目がたくさんあるわけでございます。それぞれ立法の経緯があって、そのときその必要に応じてできたものだと思うのでありますが、まず五十年に失業保険法から雇用保険法に変わりました。新たに三事業が加わって、雇用改善事業等いわゆる前向きの雇用政策が保険法の中へ導入されたわけであります。さらに五十二年には雇用安定事業なるものが導入されまして現在に至っておるわけであります。さらにまた、今年度は幾つかの前向き政策について若干の改正、追加項目が行われております。
ところで、けさほどの御質問にもありましたが、いわゆる雇用改善事業なるものの主な項目を私も勘定してみました。主なものが十六項目ございます。さらにまた雇用安定事業につきましても十三項目の支出項目が立てられているわけでありますが、労働大臣はこれらの各種事業が円滑に行われているという御認識に立っておられますかどうですか、まずお伺いを申し上げたいと思います。
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○栗原国務大臣 それぞれ制度をつくったとき、その情勢の中で機能を果たしたもの、その後機能を果たさないもの、あるいはつくったけれども十分でないというようなものもございまして、総体的に見ますとさらに創意工夫をこらさなければならないのじゃないか、こういう認識でございます。
-
○
大原(一)
委員 労働省の事務当局からで結構でございますが、雇用改善事業の予算の消化率、さらにまた雇用安定事業のこれまでの予算の消化率を教えていただきたいと思います。
-
○細野政府
委員 各給付まで入りましょうか。それとも……(
大原(一)
委員「大項目ごとで結構です」と呼ぶ)はい。
まず年齢別の雇用構造の改善関係で、この中には定年延長奨励金とか継続雇用奨励金とかが入っております。これは、五十二年度におきましては、予算額が百十五億六千九百万、実績が二十七億四千四百万、消化率といいますか予算に対する実績の割合が二三・七%でございます。それから地域的な雇用構造の改善ということで地域雇用促進給付金、通年雇用奨励金等がございます。全体で申し上げまして五十二年度の予算額が六十二億二千四百万、実績が十九億一千七百万、消化率が三〇・八%ということでございます。それから産業問の雇用構造の改善関係につきましては、これは予算も七千八百万でございますが、実績は現在のところ、五十二年度においてはありませんという状況でございます。その他を含めまして全体として見ましても、雇用改善事業につきましては、先生御指摘のように、予算に対して実績の割合は期待のところまで伸びていない、こういう状況でございます。(
大原(一)
委員「雇用安定事業」と呼ぶ)失礼いたしました。安定事業も、御存じのように、五十二年度は二事業でありますが、景気変動等雇用調整事業関係は、五十二年度予算額が二百九十五億五千七百万、実績が三十三億六百万、消化率が一一・二%でございます。それから事業転換等雇用調整事業でございますが、予算額が八十一億九千二百万、実績が、これはできたばかりのせいもありまして四百万ということでございます。
-
○
大原(一)
委員 大臣、いまお聞きになりましたように、項目は二、三十項目あるのでございますが、これは私、大蔵省におりまして予算をやってきたのですけれども、こんな消化率の悪い、予算と実績の違うものは、私は初めて実は見たわけでございます。いまトータルで申されましたから話がよくわからなかったのでありますが、たとえばきょうも非常に問題になっております定年延長奨励金の問題でございますが、これは五十年度は予算に対する消化率が二・七%ですね。全くゼロに近い消化率になっておるということであります。五十一年度は八%、五十二年度は五・六%、五十三年がさらに五十億、五十四年度は七十二億という予算が計上されているわけでございますけれども、労働大臣はこれを消化する御自信がおありですか。さらにまた、五十四年度はこれを追加改正をしておりますけれども、名目倒れになりはしないかという心配が大変あるのでございますけれども、いかがでございますか。
-
○栗原国務大臣 いままでは、制度が徹底しなかったとか、あるいは金額に魅力がなかったとか、あるいは手続等の問題がございましたけれども、五十四年度予算等につきましては大幅な定年延長奨励金というふうになっておりますし、PRも十分にいたしますので、消化できると思いますし、いたしたいと思っております。
-
○
大原(一)
委員 私は、従来の消化率が、わずかに実績で出ている一番新しいところで五・六%しがなかったものが、十八万円を三十万にふやし、十三万五千円を大企業の場合二十万にふやして一〇〇%の消化率が出るという保証は全くないと思うのです。けさほどもどなたかおっしゃいましたが、制度の欠陥並びにPRの不足というのは、これはもう決定的でございますね。そういう点がやはり労働省の自己満足になってやしないかということです。実効の上がらない予算はどこかに基本的な制度の欠陥があるわけでございますから、この点を私は厳しく指摘を申し上げたいと思うわけであります。
さらにまた、この中で、先ほどもお話がありましたが、地域雇用促進給付金というのがございますが、この予算の消化率が、五十年が〇・九%、五十一年が五・二%、五十二年度一二・一%、制度の改正を行わないでなお五十四年度に五億円という予算の計上がありますが、これも全く消化は私は不可能だと思います。こういう予算がたくさんあるわけでございまして、先ほども職安
局長からおっしゃいましたが、産業間の雇用構造の改善、特定産業の離職者雇用促進給付金というのは、予算は八千万計上してございますが、消化率ゼロなんですね。消化率ゼロの予算を五十三年度は倍にふやしていらっしゃる、五十四年度はさらにそれを二億にふやしていらっしゃるのですが、これは全く予算として私はナンセンスだと思うのです。
こういうことで、たくさんやっていますと言われましても、これは全く実際にやっていることにはならないわけなんですね。だから、雇用改善事業をずっと見まして、ここにありますその他項目、先ほども御指摘のございました心身障害者雇用奨励金と同和対策と寡婦ですね。これだけは実行率が予算に対して五十二年度でそれぞれ一〇〇%をオーバーしております。その他の項目に至りましては、二割以下、ひどいのはゼロ%という数字になっておるということを職安
局長御存じですか。予算の積算をおやりになっている
局長にお答え願いたい。
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○細野政府
委員 お答えいたします。
雇用安定事業関係の給付というのは、いずれもかなり、ものによってはそれほどでないものもございますけれども、全般的にその利用に波動性が非常に大きいという性格を持っているわけでございまして、一番典型的に例として、御存じの雇用調整給付金等は……(
大原(一)
委員「そんなことは聞いていない」と呼ぶ)したがいまして、そういう意味で、ある程度どっと出たときの用意に積算がされているという側面があるわけでございまして、そういう意味で普通の予算と少し性格が違うという点で御理解をいただきたいと思うわけであります。ただし、そうは言っても余りにも消化率が悪いじゃないかという点も御指摘のとおりでございまして、そこで先ほど大臣のお話にございましたように、それぞれの給付の内容に改善を加えたり、あるいは重点を移行したりというふうないろいろな工夫をこらしまして、予算と実績との乖離をできるだけ少なくしたいというふうなことで、五十四年度予算におきましては特に伸びが期待されます開発給付金等を中心に予算を編成させていただいている、こういう事情でございます。
-
○
大原(一)
委員 余りりっぱな御説明ではないわけでありますけれども、それでは雇用安定事業の予算と実績の内容に移ってまいりますが、いま私まだお聞きしてない雇用調整給付金につきまして
局長からお話がございましたが、これは確かに五十年度の雇用政策としては目玉商品でございまして、予算の計上額百四十二億に対して実行が三・八倍の五百五十二億になっております。ところが五十一年度はこれは激減いたしまして、いわゆる休業事業主に対する給付金でございますけれども激減いたしまして、予算の実行率は
一三%、五十年度の実績が五百五十二億に対して十分の一の五十四億、実行率しかも
一三%、五十二年度は一二%、五十三年度が現在までにわずかに一一%、これはいかなる理由に基づくものですか御説明いただきたい。
-
○細野政府
委員 雇用調整給付金につきましては、先生もいま御指摘のように、あるとき景気下降の一段階において非常に出るわけでございますが、それがどういう段階でもう一回出るかという点について、好況のときにはまず出ないことは間違いないのですが、その点について非常に不確定な要素があるということが第一点であります。一
二点目には、最近の労働省の調査によりましても、企業の雇用調整というものを一時休業の形でやるものが実態的にも激減しております。したがいまして、これは先ほど来御議論が出ておりますPRが足りないとかなんとかそういう側面ももちろんあるかもしれませんけれども、むしろ実態的に一時休業の形で行われる雇用調整が減ったということが一番大きな原因であろうかというふうに考えております。
-
○
大原(一)
委員 御説明のとおりだと思います。雇用調整給付金はいわゆる景気変動等雇用調整事業のための措置でございました。しかしながら、それにいたしましても五十三年度は二百五十二億の予算の計上がされておりまして、十月までの消化率ですからこれは結果はわかりませんが、まだ二十八億しか出てない。来年は百五十三億のかなり遠慮した積算が行われておりますけれども、まあとにかくこの見通しの違いは相当なものでございますね。違ってよかったのかもしれません、休業が少なくなって使用が減っちゃったということでありますが。
その次に労働省の目下の目玉商品でございます構造不況によるところの事業転換等雇用調整事業、これは一番大事なものですね。いま景気変動ではございません、構造不況でございますとおっしゃる、それに対応するものがはなはだそれじゃ情けないということであります。私、申し上げますが、事業転換等雇用調整事業は五十二年から始まりまして、八十一億の予算に対して実行四百万円であります。ゼロなんですね。これは相当な見込み違い。五十三年度に至っては二百三十四億に対して現在までの実行が一億八千万円ですね。これはどういう制度で、どういう欠陥があって、どうしてこういうふうに実行が確保されないのか。労働省はきょうなかなかりっぱなことをたくさんおっしゃったのでありますけれども、こういうふうな空手形のものによって幾ら労働者をつっても、失業はだんだんふえていくわけですね。ですから、こういう予算を計上することは私はナンセンスだと思うのですね。労働大臣、どこに欠陥があると思われますか。特に最後に申し上げましたいわゆる事業転換等訓練給付金、事業転換等訓練費助成金、事業転換等休業給付金ないしは出向給付金等々についての欠陥であります。
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○細野政府
委員 先生あるいは御案内の上でおっしゃっているかもしれませんが、この事業転換等関係の給付金は一昨年の十月から実施されたものでございます。したがいまして、一昨年の金額が少ないのはまさにそういうことでございます。
それからもう一つは、この制度発足でございますので、その制度の要件等につきましても、私ども自身としては現実の実態をよく調べた上でやったつもりではございますけれども、かなり安全要素も見込んでいたということもございまして、そういう意味で昨年の十月に労使の関係者の方々にお集まりいただいて、要件等について実情に合わない点等の御指摘もいただき、それから手続面とかその他についての御指摘の点で、会計検査上等でどうしても不可欠であるというようなものを除いた以外の点につきましてはそれを改善するというようなやり方、あるいはこれも御案内のとおりでございますけれども、特定不況地域につきましては、業種指定は全部取っ払いまして、その地域の企業全体を対象にするとかいろいろな改善を実施しまして、それによって今後PRの徹底とあわせまして、この制度の実効のある運用を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。
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○
大原(一)
委員 今年度から新たに雇用開発事業を拡充発展され、またさらに新しい給付金も創設されているわけでありますけれども、いままでの実態を見ますと、どうも
局長さんのお話しになるのは頼りにならないと言わざるを得ません。こういう予算を幾らお組みになったって効果はないのじゃないか。いま五十二年度は制度発足とおっしゃるなら、五十三年度は、私が申します雇用安定事業のトータルが六百十一億に対して、十月まで半期、半年でもって五十六億しかいっていないのですよ。六百十一億の予算が五十六億で、大体九%の消化率でありますから、これは倍に伸ばしても一八%ぐらいにしかなりません、労働大臣。だから、はっきり申しまして看板倒れなんですね。ですから、どこかに制度の基本的欠陥があるのですから、私は、先ほどいわゆる事後的な、失業処理的な労働行政から、前向きの雇用創造的な労働行政へ転換されたと評価いたしましたけれども、中身を見ると全く効果は大したことないという結果が出ているわけでありまして、この点は、せっかく取り組んでいらっしゃる大臣、ひとつ大いに再検討していただきたいという気持ちであります。
時間がありませんので、次の質問に移ります。
現在、全体の雇用の中で職業安定所は何%の関与率がありますか、お教え願います。
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○細野政府
委員 例年労働省が調査しております雇用動向調査からとりますと、大体二割というのが安定所の紹介を経由する就職者の割合でございます。
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○
大原(一)
委員 ただいまの御説明ですと、全体の就職者の中で職安が扱っておりますのが二割ということであります。
そこで私、提案しながら御質問申し上げたいのでありますが、
昭和三十九年に労働省に労働市場センターというのが生まれました。その機能は、現在やっていらっしゃる機能は、どちらかといいますと雇用保険関係業務、これが大部分でございますね。雇用保険の支払いの事務、被保険者台帳、適用事業者台帳等の打ち込み。現在労働市場センターは八十人でございますか、その八十人の中で二十人が雇用保険業務をやっていらっしゃるわけでありますが、これは今度はOMR、光学的マーク読み取り装置という新しい制度を導入されて、そして事務処理を、三秒間くらいで失業保険をもらいに行ったら出てくる装置にされるということでありますから、この手間は相当省ける計算になりますね。
ただ私はここで申し上げたいのは、せっかく電子計算機センターをお持ちになって、それを末端に打ち込まれて職業紹介をやるシステムができながら、これを見まして、私はどうも十分に作動していないんじゃないかという感じがするのです。ここでおやりになっている事業を簡単に申しますと、いわゆる通勤圏では、これは現在幾つでございますか、説明によりますと二百三、全国で四百八十二安定所ある中で十地域二百三の安定所は一応リアルタイムでもって職業紹介をしていらっしゃるということでありますが、そのリアルタイムに打ち込んであるところの求人の打ち込み率は幾らぐらいですか。つまり全体で求人が一〇〇ありまして、電子計算機の中に打ち込んであるシェアは現在どれくらいになりますか。一〇〇%打ち込んでありますか。
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○細野政府
委員 労働市場センターの電子計算機の機能がフルに活用されておりますのは保険業務関係でございます。先ほどの先生の御指摘のOCRという方式はまだ導入過程でございまして、完全にいっていないわけでございます。
それで、現在やっておりますのは通勤圏だけでございますので、全体の割合はちょっといまはじいて……
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○細野政府
委員 実数はわかるのですが、割合がちょっといま出せませんので、実数だけ報告させていただきます。
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○
大原(一)
委員 いや、大体でいいですよ。——時間が来ましたので、私、これは正確な数字、わからないのです。労働大臣に申し上げたいのですが、三〇%とか四〇%ということだそうですね。それは正確な数字はわからないのですよ。相当手間がかかるでしょう、これは。通勤圏の全体の一〇〇の求人数、東京ですと、ここに資料をいただきましたが、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、七十安定所の求人数がそこに来ております。その求人の四割くらいしか打ち込んでないという話でありますが、これは一〇〇%打ち込んでいただかないと、電子計算機の効果はないわけですね。現在は求人を打ち込んで、求職を持っていってがっちゃんこさせるということでありますが、これは将来は求職も打ち込めないものでしょうかね。そういうことでもっとこの活用をやっていただきたいと思うのであります。
それともう一つ、時間がございませんので一緒に答えてください。広域職業紹介業務というのがあるのでありますが、これも電子計算機の活用によってもう少し有効な職業紹介ができるのではないか。現在は、東京の人が青森で職が欲しいという場合、求職票が電子計算機に打ち込まれて青森に行ってしまうわけですね。ところが、岩手には行かないわけなんですよ。だから、片手落ちなんですね。その方は青森じゃなくて岩手でもよかったのかもしれない。ところが、そこが機械のあさはかさでありまして、青森に行くだけなんですね。岩手に行かない。もう少しネットワークを広げていただいて、ここを活用していただくようなことの方が大事じゃないかと私は思うのです。
もう一つは、いま区域の範囲内で職安の職員一万二千人の方たちが、自分の記憶装置で、そしてカードを探して結びつける作業も大事でございましょう。その次にやるのがリアルタイム、その次にやるのが広域職業紹介なんですね。私は民社党さんの、あの総同盟の方からも、今度の雇用創出機構というのを御陳情を聞きました。しかし、労働省に組織があるのです。これをもっとフルに活用させるような方法を今年度からひとつ検討していただけませんか。御希望申し上げまして、大臣の回答をいただきまして、質問を終わりたいと思います。大臣にひとつお願いします。
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○栗原国務大臣 現在拡充計画をしているわけでございますから、逐次早くやる、そういう方向でいきたいと思います。
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○
竹下委員長 これにて
大原君の質疑は終了いたしました。
次回は、来る五日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後七時一分散会