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三谷委員 建設省が浄化槽の普及
状況をどの程度把握していらっしゃるかという点でありますが、五十一年度の場合ですと、公的に把握されました浄化槽が一万五千六百三十九基という数字をちょうだいしておりますが、これを埼玉県で見てみますと、建築基準法で確認できたのが八七%、あとの二二%は廃棄物処理法による
届け出によりまして初めてつかめるという
状態であります。これでは屎尿処理に対する正確な対応はできないと思いますが、どうでしょうか。
それから、時間の
関係がありますから一括してお尋ねしますけれ
ども、自治体がこういう
状態に追い込まれておりますが、しかもこの水質汚濁防止法によります特定事
業者の立入検査をしますのが、これが政令委任市になっておる。二十五万以上の市が
政府から委任を受けまして処理場の立入検査をする。その立入検査をします市がもう肥の始末ができなくて困っているわけだ。屎尿処理能力を持たない自治体みずからがみずからの屎尿処理場の立入検査をする、基準の
調査をする、こういう
状態になっておる。ですから、たとえば大宮市の場合では、五十一年度の検査の結果では基準に適合しておったのです。ところが検査のずさんさが事件発覚後証明されたわけであります。つまり、政令委任市の場合はみずからの施設に対して行う検査に大いに疑問があるわけなんです。それをまともにしておりましたのでは、これは肥が屎尿処理場に持っていけなくなってしまう。どこかに肥を投棄しなくちゃならなくなってしまう。そういうことですから、ある程度甘い検査をしなければならないという
状態に市町村が追い込まれておる。こういう
状態に対して、一体どのようにお
考えでしょうか。ちょうどいまごみを山間に投棄しなくちゃ仕方がないと同じように、肥も検査をまともにすればこれは処理能力が及びませんから、肥の処理に困ってしまう、そういう矛盾に打ち当たっておる。この矛盾は小さい市町村で片がつくものではありません。こういう事業を市町村の固有事務といって国が単に補助をするという態度をおとりになっておりますが、いまはそれではこの問題は解決しない、そういう
状況にありますが、これについてはいかがお
考えでしょうか。こういう
状態でありますと、もはやこれは排せつを停止する以外に方法がない、そういう
状況に置かれておるのであります。
それからもう
一つでありますが、そこでなぜごみ処理場ができないかという問題であります。あるいは肥の処理場ができないかという問題でありますが、これは都市化のために用地がひとつありせん。あるいは用地を手に入れましても住民が受け入れません。迷惑施設と言うのであります。中には施設の建設の中止を求めて訴訟を起こしたケースもあるのであります。そういう
状況になっております。ですから、
厚生省は、自治体で計画中の屎尿処理場が住民の反対でなかなか進行しない、あるいは住民の反対を見越して吹田や寝屋川のああいう前例などを参考にしましてそういう施設をつくろうとしない、そういう
状況があることを御承知になっておりますかどうか、お尋ねしたいのであります。
そして、このごみや屎尿処理場にかかります財政需要は、
厚生省や建設省がペーパーの上でお出しになります数字ではとてもじゃありませんが、つかめるものではありません。これはまず公害のない施設が必要であります。そういうことですから、住民から受け入れられるものをつくっていかなくちゃいけませんから、非常な経費がかかる。そしてその施設そのものとは別に、地元住民に対するいわゆる迷惑料というものが必要になってきておる。つまり公共施設をつくって地元に寄付をするということが、これはもう常套手段になっておるのであります。
たとえば、東京都のごみ戦争の
一つであります杉並区の清掃工場のケースを見ましても、杉並清掃工場は着工されたばかりで総工事費はまだ確定されておりませんけれ
ども、住民の要求を入れまして、工場全体を十メートルばかり地下に沈める。そして公害
対策をとる。そのために約二百五十億円から二百六十億円の工事費がかかるわけであります。しかし、この工場の処理能力は日量九百トンでありますから、仮に五十四年度の補助基本額で計算をしますと約百億円しか国の補助金がないわけであります。そうしますと百五十億から百六十億が都の持ち出しになってしまう。
厚生省の補助対象外になっていくのであります。そしてそれにさらに用地費がかかります。用地費が六十億円でありますが、これは補助対象になっておりませんから、これは一〇〇%持ち出しになってしまう。ですから、あの杉並区の処理場をつくりますのに都の持ち出しが二百十億から二百二十億の負担になってきている、こういう
状態であります。しかも住民のための利便施設としまして、敷地内に住民との和解条件として記念施設の建設をしなくちゃいけません。約九千平米の施設に温水プールや老人福祉センター等を盛り込みまして、工場の完成と同時に区に移管をしてそして運営される。この建設費が平米当たり仮に二十万としましても十八億円かかるわけであります。こういう負担がかかってくる。こういう負担は全然国の計算には入ってこないのであります。大阪の寝屋川市でも同様でありまして、こちらの方はごみでありますけれ
ども、これを二倍に相当する施設に拡張しますために、ここには公民館六千五百万円、道路舗装で六千万円、道路新設で三億八千万円、こういう特別な事業をやって了解を求めておる、こういう
状態になっておるのであります。こういう迷惑料の負担によりまして辛うじて建設が進むという
状態にあることを建設省や
厚生省は御承知なんでしょうか。それを御承知でありますならば、これに対する補助金、補助制度というものをもっと強化しなければ、肥の問題もごみの問題も解決するものではありません。それをおやりになる意思があるかどうか、お願いをしたいのであります。しかもそういう迷惑料というものは単にいま申しました二、三の例でありません。一昨年の九月十六日の日経新聞では豊富な事例が紹介されておるわけでありまして、これが処理場の建設が進まぬ大きな根拠になっておりますが、これに対する
政府の抜本的な方針を私はお聞きしたいと思うのであります。