○安宅
委員 法務
大臣が、金大中事件の解決はどうも疑義がある、政治家としての見方はそうなんだと最後まで貫かれておるよりも、もっとこの人ははっきりしたことを言っています。えらいと思いますよ。それでは
外務大臣と官
房長官に聞いてもらいたいのですが、おれが
外務大臣だったら解決しておるよ、こう言っておるのですね、へっぴり腰だと思わなかったとまで、自分が法務
大臣という
政府の閣員の一員だったはずなのに。そこまで言われたら、現在の
外務大臣、本人からよく事情を聞いてみなければならないと思うのが私は本当じゃないかなと思うし、広く深く疑惑があるんだと言う大平さんは、この一事だけでも、そのほかに指紋があるんですから、指紋のことは警察庁から聞きますけれども、はっきりしなければならないのじゃないかということを頭に置いておいてください。あと警察の質問が終わったらあわせて答弁を願いたいと思います。
警察庁長官、おいでになっておりますか。あの議事録、あのころからずっとこんなにありますね。私、全部見ました。その中に、ちぐはぐなところがあるのですね。江崎国家公安
委員長だったでしょうか、そのころ一時期は。KCIAなんていうのを全部調べまして、そしてきちっと解決しなければなりませんと一生懸命同じ
委員会で
大臣が答弁している。その中で現在の長官が、東京におけるKCIAの組織はわかりません、そういうものは警察はタッチしておりません。まるで、片一方では
大臣が徹底的に調査してやるというのに、あなたがわかりませんで一発木で鼻をくくったような答弁をしているのですね。そういう部分がうんと出てくるのですよ。
それはきょうは言わないことにして、前の高橋
警察庁長官が高野山で五十一年八月、近畿警察友の会主催の夏季教養講座でいろいろなことを話しておられます。これは議事録を見れば明らかなことであります。この問題で言うならば、私はどうしても納得いかないことがたくさんあるのです。河上民雄
委員の質問に答えているのですけれども、こういうことを言っているのですね。これは三井さんなんです。それはおかしいじゃないかという質問です。高橋さんの発言は全くの寝言だと言うのかという質問ですよ。非常におとなしい人ですが、きつい質問をしたものだと私は思っています。その中で、機関紙に載っていることは「内容が大変おかしいので取るに足らないということで、私たちはこれを無視いたしました。」これが第一点なんです。前の
警察庁長官が話したことを、内容がおかしいから無視したなどということは、何か前の長官を年寄りかもうろくじじいみたいな扱いにしているようにしか私らには思えない。これは重要なことではないかと思うのです。それから、高橋さんに聞いてみたら「言った覚えがない、こうおっしゃいました。」というのですね。それで速記が残っているじゃないかと言ったら、大変意外だ、この内容は別として、その事実を思い出されて、「あのときに講演をしたけれども、あれは記録に残さないというようなことであったし、」これが一番目。二番目は、「また印刷するというようなことについて別に了解も求められなかったし、」三番目、「自分としては、ああいう形で出ておるということは大変心外である、」こういういきさつでございますというのですね。これは捜査をやる側に立ったら、こんな答弁でああそうですかとあなた方は言わないでしょう。言いわけにすぎないということになるのじゃないでしょうか。それから何か「警察の功績といいますか警察の
努力を大いに称揚する意味でややオーバーなことを言ったのではなかろうか、自分ではそう思う、こういうような話でございました。」こんな逃げ口上、まさか日商岩井の
海部さんじゃあるまいし、捜査当局が長官でない別な人に尋問したときにこんなことでああそうですかと言うわけにいかないでしょう。だから、私たちが見ますと、あの内容は幾つも事実と違うところがございます。これは捜査当局の独断じゃないかと思います。「したがって、私たちとしては、現職を離れた方の一私人として、」すぐこれを言うのですね。金炯旭も一私人として、もうやめた人だから、前の
アメリカの韓国部長も、それはいまやめてから言っているのでございますから、どんな場合でもそれで逃げるのですが、こういうことはおかしいのではないでしょうか。推測して言われたのだと思うとか、こういうことは非常にまずいんじゃないかと思うんです。あなた方、それで済むと
考えておられるのでしょうか。捜査当局としては「金大中が入ってきた、これは危ないと思ったことはございません。したがって、警察庁の長官が思うはずはない」。三段論法ですよ、長官ともあろう者が思うはずがないと言うのは。はずがないと言ったって、人の心の中はわからないでしょう。それで「長官が金東雲一等書記官を知っておるはずがないと私たちは思っておりましたが、御本人に確かめましたところ、金東雲は全く面識がない、知らない、こういうことでございます。」面識があったか知らないかは別として、こういうことを国会で述べて、そして警察当局、少なくとも
警察庁長官が堂々と講演したことの内容について批判を加えられたときの答弁として通用するとお思いでしょうか。長いこと要りません。通用すると思うか思わないか。