○海原参考人 いま先生がおっしゃいました、予想をしなかったということは、何を予想しなかったか、実は問題でございます。と申しますのは、少し具体的に御説明しますと、十月の九日の国防
会議の議員懇談会で専門家
会議の設置ということが決まります。そこで先ほどもちょっと申しましたが、従来大蔵、防衛の間で問題であったAEWとPXLは、この国産化問題は白紙とし、ということになったわけです。
その専門家
会議の設置でございますが、そのときまでに懸案でありましたのは対地支援
戦闘機の輸入か国産かということでございまして、従来防衛庁は対地支援
戦闘機の国産を主張しておりましたが、当時の御存じのいわゆるドル減らしのために、大蔵省としましてはできるだけアメリカから買えるものは買ったらどうだということで、そこでこの対地支援
戦闘機の輸入問題が出てくるわけであります。そこで大蔵省は輸入説、防衛庁は国産説、こう対立いたします。これが国防
会議の参事官
会議、幹事会、幹事会は次官レベルの
会議でございますが、ここでも意見が対立する。そこで最終的に国防
会議に持ち上げたわけでございますが、実は十月の八日、前日の夕方に大蔵省の宮下主計官から防衛庁の方に連絡がございまして、この対地支援
戦闘機の国産については同意する。ただし、AEWとPXLについては国産を前提とした研究開発費はつけない。これが大蔵省の態度という連絡がございます。これを受けまして防衛庁では幹部が
会議をしました結果、この大蔵省の要求をのんでおります。そのことが防衛庁長官まで、日曜の晩でございますが、
報告されております。本来ならばその時点で大蔵、防衛の間の意見の合致が後
藤田官房副長官と私には連絡されてしかるべきでございますが、これが連絡されておりません。そこで翌日の幹事会でも両省の意見が対立する形のままで、事務的には私は三案を用意いたしました。この対地支援
戦闘機につきましての国産案、輸入案、折衷案、その三案を国防
会議で決めるということで、あの国防
会議の議員懇談会になったわけです。
このことは実は後でわかったわけですが、先年のロッキード問題のときに
調査いたしましたら、その日曜の夕方にすでに大蔵、防衛の間では話し合いがついておるわけです。となりますと、おっしゃったように国産することについて何も問題はないわけでございます。なぜか、この大蔵、防衛の間の協議の連絡がございません。そのために問題がついに総理の裁断ということになります。そこで総理としては、そういう専門的な問題を自分に判断しろと言っても無理だということから、第三者機関としての専門家
会議の設置、こうなったというのが、事後の検討の結果わかった筋道でございます。