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1979-02-09 第87回国会 衆議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年二月九日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員   委員長 竹下  登君    理事 伊東 正義君 理事小此木彦三郎君    理事 塩川正十郎君 理事 浜田 幸一君    理事 毛利 松平君 理事 大出  俊君    理事 藤田 高敏君 理事 近江巳記夫君    理事 河村  勝君       海部 俊樹君    倉成  正君       櫻内 義雄君    笹山茂太郎君       正示啓次郎君    砂田 重民君       田中 龍夫君    田中 正巳君       田村  元君    谷川 寛三君       玉沢徳一郎君    中川 一郎君       野呂 恭一君    羽田野忠文君       藤田 義光君    藤波 孝生君       坊  秀男君    松澤 雄藏君       森   清君    森  美秀君       安宅 常彦君    井上 一成君       井上 普方君    石橋 政嗣君       稲葉 誠一君    岡田 利春君       川崎 寛治君    川俣健二郎君       兒玉 末男君    平林  剛君       安井 吉典君    池田 克也君       坂井 弘一君    広沢 直樹君       二見 伸明君    正木 良明君       大内 啓伍君    米沢  隆君       寺前  巖君    正森 成二君       大原 一三君    加地  和君       山口 敏夫君  出席国務大臣         内閣総理大臣  大平 正芳君         法 務 大 臣 古井 喜實君         外 務 大 臣 園田  直君         大 蔵 大 臣 金子 一平君         運 輸 大 臣 森山 欽司君         国 務 大 臣         (内閣官房長官田中 六助君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      三原 朝雄君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   澁谷 直藏君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 山下 元利君  出席政府委員         内閣法制局長官 真田 秀夫君         内閣法制局第一         部長      茂串  俊君         総理府賞勲局長 川村 皓章君         公正取引委員会         委員長     橋口  收君         公正取引委員会         事務局経済部長 伊従  寛君         警察庁刑事局長 小林  朴君         北海道開発庁総         務監理官    吉岡 孝行君         防衛庁参事官  岡崎 久彦君         防衛庁参事官  古賀 速雄君         防衛庁参事官  番匠 敦彦君         防衛庁長官官房         長       塩田  章君         防衛庁防衛局長 原   徹君         防衛庁人事教育         局長      夏目 晴雄君         防衛庁経理局長 渡邊 伊助君         防衛庁装備局長 倉部 行雄君         法務省刑事局長 伊藤 榮樹君         外務省アメリカ         局長      中島敏次郎君         外務省経済局長 手島 れい志君         外務省経済協力         局長      武藤 利昭君         外務省条約局外         務参事官    山田 中正君         外務省国際連合         局長      賀陽 治憲君         大蔵省主計局長 長岡  實君         国税庁長官   磯邊 律男君         通商産業省通商         政策局長    宮本 四郎君         通商産業省貿易         局長      水野上晃章君         通商産業省機械         情報産業局長  森山 信吾君         運輸省航空局長 松本  操君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第三局長  松尾恭一郎君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ───────────── 委員の異動 二月九日  辞任         補欠選任   稻村佐四郎君    谷川 寛三君   奥野 誠亮君     森   清君   根本龍太郎君     玉沢徳一郎君   野呂 恭一君     森  美秀君   岡田 利春君     井上 一成君   矢野 絢也君     池田 克也君   津川 武一君     正森 成二君   山口 敏夫君     加地  和君 同日  辞任         補欠選任   谷川 寛三君    稻村佐四郎君   玉沢徳一郎君     根本龍太郎君   森   清君     奥野 誠亮君   森  美秀君     野呂 恭一君   井上 一成君     岡田 利春君   池田 克也君     矢野 絢也君   加地  和君     山口 敏夫君     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和五十四年度一般会計予算  昭和五十四年度特別会計予算  昭和五十四年度政府関係機関予算      ────◇─────
  2. 竹下登

    竹下委員長 これより会議を開きます。  昭和五十四年度一般会計予算昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題といたします。  本日は、理事会の協議により、外国航空機購入予算に関する問題を中心として質疑を行います。羽田野忠文君。
  3. 羽田野忠文

    羽田野委員 まず、防衛庁にお伺いいたします。  アメリカ証券取引委員会が本年の一月四日、グラマン・インターナショナル社航空機販売に関して、日本商社並びにアメリカ人を含む販売代理人に対する販売手数料の一部が日本政府高官に支払われる可能性を察知したという趣旨の報告書を発表いたしました。これがために現在当委員会審議されております昭和五十四年度予算防衛庁予算、その中で早期警戒機E2C四機の購入分として国庫債務負担行為三百四十二億九千三百万円、本年度支払い分十一億五千百万円、これについて野党の皆様から、証券取引委員会指摘しておるグラマン社疑惑真相解明がなされるまで、このE2C四機の購入予算は削除または凍結にせよというような意見が述べられております。これが予算審議の大きな問題になっておることは御承知のとおりであります。  証券取引委員会報告が出されたのは本年の一月四日、国防会議でE2C四機の導入を決定したのは一月十一日、こういう時間的関係からいたしますると、この問題が論議の問題になるということは当時から十分推測されるところであった、にもかかわらず、防衛庁があえて五十四年度予算にこのE2C四機の購入予算を計上したということについては、どうしても今年度予算にこれを入れなければならないような必要性緊急性が存在しておったということと、なおかつ一方に、疑惑解明というのがあるにもかかわらず、これを買うということについては、今回のE2C購入契約については疑惑が介入する余地が全くないという確信があってのことだと考えるわけであります。  この問題につきましては、いままでにもいろいろな委員の方から御質問が出、答弁がなされておりますが、きわめて重要な問題でございますので、改めてお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一に、この早期警戒機を早急に購入しなければならない必要性緊急性、これを詳しく御説明いただきたいと思います。
  4. 山下元利

    山下国務大臣 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、一月四日に米国証券取引委員会報告がございまして、そして一月十一日、国防会議におきまして早期警戒機導入を決定いたしまして、ただいま御審議をいただいているわけでございますが、ただいまお尋ねの、どうしても早期警戒機本年度予算に計上し、その導入を図るについての緊急性必要性はどうかというお尋ねでございますので、お答え申し上げます。  まず第一に、このE2C早期警戒機は、国の防衛上絶対に必要なものでございます。それは、昭和五十一年にミグ事件が起こりましたが、近年航空機の技術が非常に発達いたしまして、そしてどんなお天気でもまた夜間でも、超低空で侵入することができるようになったわけでございまして、あのときも実は私どもといたしましては、全国に多くの地上レーダーサイトをもちまして常時監視を怠らないのでございますが、御承知のとおり電波というのは直進いたします。ところが、地球は丸いものでございますから、直進と地球の丸いこの間のところは地上レーダーではわからないのであります。したがいまして、あのミグのように低空で侵入してまいることになったわけでございます。  いまの世界の主要な航空機は、すでに低空侵入ということは、決して奇襲手段ではなくて常套的手段になっておる、こういう状態になっておりますときに、この早期警戒機、つまりレーダーを積んだ飛行機が上空を飛びまして監視するということは、特に私どもわが国のような地理的条件におきまして大事な機能であると思うわけでございます。  実は昭和五十一年に防衛計画大綱を決めまして、警戒飛行部隊一個飛行隊が決定されておりますけれども、実はその防衛計画大綱は大体整備されておりますが、この早期警戒部隊だけはまだ整備されておらないのでございまして、これが実は空欄になっております。したがいまして、防衛欠陥があることは確かでございまして、穴がある、これを埋めなければならない、これはやはり国の防衛という大事な責任を預かっておりますわれわれといたしましては、当然果たすべき責任でございますので、このE2C早期警戒機は絶対に必要なものでございます。  それから、ただいまお話のございましたように、実は私ども、はなはだ残念なことでございますけれども米国から証券取引委員会報告が出まして、それから一月十一日の国防会議まで私どももしさいに検討いたしましたが、実はこの早期警戒機導入につきましては、早くからこの導入必要性が痛感せられておりまして、昭和四十年ごろから必要であると思いましたが、ただ、これをいろいろと審議してまいりますうちに、ようやく専門家会議におきましても、これは外国機輸入にした方がいいという結論が出ました。他面、相当機密なものでございますけれどもアメリカの方から有償武器援助として供与するというふうな意向も伝わりましたので、この導入に踏み切ったわけでございます。  その点からも御推察賜りますように、この機種選定につきましては、防衛庁としてはいささかの不正もございません。また、外部からいかなる不当な圧力もございません。そしてまた、この契約は、後ほど御説明申し上げますが、アメリカ政府日本防衛庁との間の政府間契約でございまして、この政府間契約では、商社が介入する余地はございませんし、また、手数料等も絶対にこの価格に含まれないのでございます。  なお、一月の四日の証券取引委員会報告がございましたので、私どもは、直ちに防衛庁としてもとるべき措置をとりましたところが、グラマン社におきましても、一切不正な支払いはいたしておりませんという確約もいたしているわけでございます。したがいまして、その政府間の契約という性格上、これに不正の入る余地はないのでございます。  ただ、私どもは、国民皆様疑惑を考えましたときには、この問題についての解明は十分にしていただきたい。われわれは、純粋に国の防衛という大事な立場の上から技術的、専門的に検討いたしましたが、たまたまわれわれの全然関知しないところで疑惑があるやに報道せられましたことについては、まことに遺憾千万でございますが、しかし、これは御解明は願いたいが、ただ、その解明とは別に、機種選定については不正はないのでございますから、この導入について御審議の上、御可決賜りたいと思う次第でございます。  申すまでもなく、国の防衛は一日もゆるがせにすることはできません。特に昨今の北方地域、また南方海域方面におきますところのいろいろな動きを見ましても、国の平和と安全を守るためには、国の防衛努力を一日たりともゆるがせにすることはできないのであります。しかも、国の防衛は決して一朝一夕にできるものではないのでございます。それで、この飛行機も製作に相当日数を要します。発注いたしましてから三十カ月以上かかるわけでございますし、また、飛行機はつくっただけではだめなのでありまして、その乗員と申しますか、パイロットを養成せねばなりません。その飛行機の製造、またパイロット養成等をいたしました場合に、相当期間のかかることでございますので、本年のこの予算で御可決を賜りまして、これを早期アメリカ政府との間に契約を結びましてやりましても、五十七年に二機、五十八年に二機でございます。  先ほど来申しましたように、国の防衛欠陥のあることは実は全世界にはっきりしておるのでございます。その欠陥のはっきりしておることを何もしないということにおきましては、私は、国の姿勢が疑われるというふうにも考えるわけでございますが、ただ、私どもとしては、いままで申しましたような事情で、不正は絶対ない、しかも、この機種は国の防衛上絶対に必要なものである、国の防衛は一日もゆるがせにできないということを申し上げまして、ぜひとも五十四年度予算におきまして、御審議の上、この導入の御決定を賜らんことをお願い申し上げている次第でございます。
  5. 羽田野忠文

    羽田野委員 非常に専門的なことでわからない部分もあるのですが、これはちょっと想定として疑問のあることを聞きます。これは政府委員からでも御答弁はよろしゅうございますが、たとえば、いま北海道のすぐ横にある国後択捉、あそこに新聞で見ますと相当大きな滑走路ができたり、軍事施設ができておるというような写真入りの報道が出ておりますが、ああいう至近距離のところに飛行場ができ、あるいは施設ができる、そこに航空機が集中し、あるいは艦船が集中して、奇襲というようなことがあった場合に、それを事前に察知して、そして防衛措置を講ずるためには、地上レーダーサイトで十分その機能を発揮することができるのか、あるいはそういう場合にこそ早期警戒機というものがなければ、そういうものを察知し、対策を講ずることはできないのか、そういう一つの具体的な点について御説明を賜りたいと思います。
  6. 原徹

    原政府委員 E2Cの性能に関係することでございますので、私から御説明をいたしますが、先ほどお触れになりました国後択捉島について、先般来私ども非常に情報を収集してああいう発表をいたしたわけでございます。あれは部隊の建設でございますから、ある意味で静態的な調査でございます。しかし、その部隊がどういうふうに活動をするかということは、いまの能力ではなかなかわからない。そうすると、実際問題として、その部隊がいかに動くかというところを察知するのは、現在のレーダーではできないわけでございます。それで、北海道知床半島根っこから択捉島をカバーいたしますのは、大体二百海里で全部入ります。そうすると、E2Cを仮に購入していただきますれば、知床半島根っこのところでは、約九千メートル上がりますとすべてレーダー  のカバーの中に入ります。それで、どういうものがわかるかと申しますと、動く航空機艦船、それから地上の物で、静止をいたしておるものはわかりませんが、しかし動く車両、そういうものはわかります。でございますから、先ほど申しましたような奇襲というようなことでちょっと飛行機が動けばすぐわかるわけでございます。それからまた、電波発射源というものがすべてわかるわけでございますから、そういう電波を発射するものがございますれば、飛行機を二機飛ばせば、それで方位と位置がわかる。  そういうものでございますので、私ども国後、択捉についての部隊配備につきまして、いろいろ情報手段を使いましてあの程度の事態の把握をいたしたわけでございますけれども情報収集能力としてまだ弱いところもございます。もちろん、先ほど大臣から申しましたような姿勢の問題としてぜひ必要だということでございますけれども、しかし、情報収集手段としては、これは大変有効なものでございますので、そういう点もひとつお考えいただいてぜひともお認めをいただきたい、そういうふうに考えるわけでございます。
  7. 羽田野忠文

    羽田野委員 この早期警戒機を早く入れなければいかぬという必要性緊急性についてはよくわかりました。  そこで、過去のグラマン社に対する疑惑指摘されておる中で今回これを入れるということについては、今回の契約について全く疑惑の入り込む余地がないのだという確信があるかどうか、その点をいまから承りたいと思いますが、時間の関係もございまして、一括して質問をいたしておきます。  まず、このE2Cの機種選定について疑惑の入り込む余地は全くないのかどうか。二番目は、契約当事者選定並びにその契約の内容について、特に、E2Cをアメリカ政府が買い入れて日本に売るとする場合に、そのアメリカ政府買い入れ原価の中に、グラマン社わが国代理商社に対する代理店手数料というようなものが上積みされている余地はないか、また輸入手数料というようなことで代理商社に支払われる余地はないか、こういうふうな点について御説明を願います。
  8. 倉部行雄

    倉部政府委員 問題は二つあるわけでございますが、第一の問題は契約方式でございます。防衛庁米国から航空機等購入する方式といたしましては二つございまして、一つは、商社を通じまして輸入する方式でございます。それからもう一つは、日米政府間で直接取引をする、調達をするというやり方と二つあるわけでございますが、その二つの制度はそれぞれ長所、短所がございます。  私ども装備品調達する場合におきましては、その装備品種類等によりまして、両方の方式というものを十分調査いたしまして、どちらにするか決めているわけでございますが、今回のこの早期警戒機につきましては、非常に新しい、また防衛庁にとりましては全く初めて購入する、いわば非常に特殊な飛行機でございますので、その調達あるいは運用等につきまして、米軍の支援というものが非常に必要になってまいります。また、いろいろと電子関係機器等につきましては、秘密の管理問題等もございます。そういった面からいきまして、私どもとしましては、政府間の直接の取引一般FMS方式と言っておりますが、これは有償援助方式とも訳されておりますが、この方式によって調達した方がより適切ではないかということで、FMS方式を選んだわけでございます。  この方式によりますと、実はアメリカ軍が同じ飛行機調達する場合に、日本飛行機と同時に調達してくれる、それによりまして、資材関係あるいは部品関係調達経費等も安くなる、あるいはまた、いろいろな管理の面におきまして、米軍検査基準で厳格な生産管理あるいは検査をやってもらえるというメリットもございます。そういうことでございます。  また、先ほど御指摘がございました代理店手数料の問題につきましては、このFMS方式による場合には、米軍調達価格には不当な販売代理店手数料というものが排除されることになっているわけでございますが、私どもの方から、これは他の国についても一部ございますが、申し入れをいたしまして、正当な代理店手数料も排除してもらうということにいたしたわけでございまして、そういう意味で、正当なあるいは不当な代理店手数料がいずれも排除される、のみならず、日商岩井とグラマン社との間の現在有効な代理店契約書におきましても、FMS取引については代理店手数料が払われないということが明記してございますので、この早期警戒機の機体、所属品につきましては商社介入余地がない、また代理店手数料も排除される、こういうことになっております。
  9. 羽田野忠文

    羽田野委員 機種選定段階で全く疑惑の介入する余地がないか、あるいは輸入手数料段階で介入する余地がないか、この点について説明が漏れておりますが、少なくともこの取引において、いかなる名目をもってするも、いわゆる日本代理商社あるいはその他の代理人等に報酬が支払われるというようなことは断じてないということを言い切れますか。
  10. 原徹

    原政府委員 機種選定のことでございますが、全く不正が入り込む余地はなかったというふうに考える理由を申し上げますと、これはずっと経緯があるのでございますけれども、五十一年度、要するに四次防が終わるまでは、早期警戒機装備化というものをまず考えていなかった。そういう状況でなかった。まあ研究開発でやろうというようなところまでありますが、装備化というものは考えていなかった。そうしてミグが参りまして、五十一年の十一月に防衛計画大綱が決まった段階装備化を考えたわけでございます。  それ以後、いろいろ調査団を派遣したりいたしまして、そのときの段階候補機となりますのは、片方E3AとそれからE2Cしかない。E3Aにつきましては、費用も高いし、機能が大体日本防空能力よりも超えている。それから、その重量も百五十トンというようなものでございますから、日本航空自衛隊飛行場ではできないというようなこともございました。でございますから、いま考えても、これは選択の余地のない問題でございまして、そこで、私どもいま問題が起こりましてから、過去の防衛次官とか防衛局長とか、いろいろ聞いて回りましたが、全然そういう外からの圧力などというものはおよそ考えられないし、現実にもなかったということでございますので……(羽田野委員「簡単に結論を言ってください」と呼ぶ)全く確信を持って機種選定をしたというふうに考えております。
  11. 山下元利

    山下国務大臣 ただいま機種選定の経過並びにこの契約方式等につきまして、それぞれ、そのいずれの場合におきましても不正はなかった、また不正の起こり得る余地はないということを申し上げたのでございますが、私からも重ねて申し上げますが、昭和五十四年度の予算について御審議いただいております予算は十一億五千万円でございますが、この国庫債務負担行為をお願いいたしておりますのは三百四十三億でございます。その三百四十三億すべてにつきまして、これはもう絶対に商社の介入する余地はございません。不正の入り込む余地はございません。  以上でございます。
  12. 羽田野忠文

    羽田野委員 防衛庁の御説明によりまして、今回のE2Cの購入については、その緊急性必要性、また契約関係で不正や疑惑の入り込む余地が全くないということをはっきり認められました。  この防衛は、国家の安全と民族の存亡をかけるきわめて重要なものでございます。特に最近わが国を取り巻く情勢はきわめて厳しい。現実ミグ戦闘機函館空港に着陸したというような生々しい経験を持つ国民といたしましては、この早期警戒機E2Cの早期購入の必要なことは十分理解できました。グラマン社について過去の疑惑はございますが、これは疑惑として徹底的に解明をすると同時に、別途このE2C購入予算の推進につきましては、防衛庁自信を持って推し進めていただきたいと思います。  次に、法務省にお伺いをいたします。  ロッキード事件が起こりましてから三年を過ぎましたが、このロッキード事件解明を通じまして、日本の司法というものは、世界からその厳正、公平さが高い評価を受けておりました。私ども国民も、法務、検察並びに裁判所に対して絶大の信頼を寄せております。今回のダグラス、グラマン事件についても、徹底的な真相解明をして、政治に対する国民皆様信頼を取り戻していただきたいと念願をしている次第でございます。  法務省は、この事件につきまして本年一月九日、異例とも言うべき捜査開始の宣言をなさいました。以来一カ月、アメリカ司法省との間に司法共助協定を取り決め、次々に検事の派米をなさって、着々と捜査を進めておられるし、国内においても活発な捜査活動をなさっておる片りんが十分うかがえております。捜査の密行性もありまして、具体的なことを一つ一つお伺いするということは捜査の支障にもなろうかと思いますが、国民皆様もこの問題については重大な関心を持っておって、一ヵ月の間において、いま捜査がどの程度に進んでおるのか、今後の見通しはどういうふうであるかという点についての解明を願いたいと思っておるのでありますが、現時点における差し支えのない範囲において、この点御説明を願いたいと思います。
  13. 古井喜實

    ○古井国務大臣 まずもって初めに、このように疑惑が起こっておることでありますから、真っ先の問題として罪に当たるような事実があるかないか、これを究明しなければならぬわけでございます、それだけにはとどまらぬと思いますけれども。  そこで私どもとしては、そういう犯罪事実があるかないかということをできるだけの最善を尽くして究明したい。これは周到に、また厳正公平にやっていきたい、こういう考えでありまして、それで少々早手回しぐらいに手はずを進めまして、きょうまで捜査を続けてきておる状況は御承知のとおりでございます。われわれの方で気がつかぬ面もあるかもしれませんが、もっとというような御注意でもあれば、よく教えていただきたい。われわれの考え得る限りいま最善を尽くしておると思っておりますけれども、御注意があれば伺いたい、こう思っております。  そこで、きょうまでの状況でありますけれども、いまもおっしゃったように、具体的のことにつきましては、何さま捜査の中途でございますので、触れるわけにもいきません。それから、差し支えない際の辺までにしましても、具体的なことは事務当局からでも申し上げさせますか、大体論から申しますと、一番大きな捜査の山といいますか、材料、資料はアメリカのSECの材料を手に入れる、これを調べるというところが山でございます。もう近いと思いますけれども、これがまだ手に入っておりません。その前には、できる範囲のことを捜査してきておるというわけでありますが、この捜査の山といいますか、SECの資料を待っておるわけでございます。近いうちにグラマンの方は手に入るように思います。ダグラスの方は、向こうの国内手続がありまして、初めから予想されておりましたけれども、今月のうちになるか月を越すか、向こうの進行の状況でありますが、向こうも本当に好意的に協力してくれておりますので、最短距離と思いますけれども、捜査はまだ山まで来ておらぬ状況のようなわけでございます。
  14. 羽田野忠文

    羽田野委員 実は、三年前のロッキード事件に続いて、今回またグラマン・ダグラス事件というようなものが起こってきたということで、国民皆様の中には、ロッキード事件であれほど騒がれておるのに、また性こりもなくダグラスやグラマン事件を起こしているのじゃないかというふうにお考えになる、いわゆる誤解をされる向きもあるのではないかと思いますが、実際にこの内容を見てみますと、今回アメリカ証券取引委員会報告書指摘されたダグラス及びグラマンの疑惑なるものは、そのほとんどがロッキード事件の内容と同じ時期に、同時進行しておった事実が指摘されておるのでございます。これを人間の体にたとえますと、精密検査をしてみたところが、ロッキードがんが発生しておるというようなことで、ロッキードがんの手術をした。ところが、今度またグラマンがんあるいはダグラスがんが出てきた。ところがこれは、その後にグラマンがん、ダグラスがんが発生したのではなくして、ロッキードがんができていたときに、すでにグラマンがんもダグラスがんもできておったけれども、発見することができなかったんだというような問題になっておる。  そこでわれわれが考えますのは、あのロッキードのときに本当に徹底的に解明をして、今回起こってきたグラマンの問題もダグラスの問題も解明しておけば、これはもう本当に一挙にすべての過去のものが解明できて、すっきりしておった。それが二つ残っておって今回出てきたために、大変なことだという考え方を実は持っておるのです。国会だけで見ましても、雇用問題や構造不況地域に対する対策とか、そういう国民生活に非常に密接な関係の施策が織り込まれている予算審議が遅くなる、あるいは先ほど言った、本当に防衛上必要なE2Cの購入について、これを凍結しろというような議論が出てくるなどということは、国家的にいって非常に大きな損失だと思います。  そこで今度は、この具体的に出てきているものの真相解明を徹底的にやっていただくとともに、この二つ出てきているものよりほかにも、やはりこの際解明するものがあるならば、個々のものを徹底的に解明して、ひとつりっぱな体にしていただきたいということが国民の念願であると思います。特に法務大臣は、きのうの新聞を見ておりましたところが、「ダグラス、グラマンが出てきた。こりや、しっかりやれ、という天のおぼしめしかもしれんよ」というような、非常な決意をされておるようでございますので、法務大臣、ひとつもう一度ここで、いま出ているほかの問題についても、この際解明するものは徹底的に解明するという強い決意を承りたいと思います。
  15. 古井喜實

    ○古井国務大臣 ロッキードのみならず、こう続いて出てきましたことは一体どこに根源があるのか、こういう問題にもなりますし、再発防止の問題にもなりますし、これはまた広範な考慮を要する、検討を要する問題だと思うのであります。そこを考えていかないと、また将来起こる起こらないということが言えないような、そういう背景、根源もあるかもしらぬと思うのであります。それはそうでございますが、ただ私どもの法務、検察の立場といたしましては、犯罪があるかないかを究明するのはまずわれわれの職務でありまして、それは相当数の容疑が濃厚でありませんと検察などが動くべきものじゃないのであります。やたらに検察が動き回るなんというのは世の中を暗くするわけでありますから、そういうことはすべきものでないので、われわれの領域として、これを背負って公判にかけるわけにいかぬと思います。でありますから、この問題はただ一犯罪というだけの問題としてとらえないで、広範な見方でもって将来のことも考え、やっていただきたいものだという希望もわれわれも持っておるわけであります。持ち場は間違いないようにしっかりやりたいと思っております。
  16. 羽田野忠文

    羽田野委員 大臣の高邁なお考え、非常に打たれるものがございます。  実は、今度の事件で私がいま一つ遺憾だと思っていることがあるわけでございます。と申しますのは、前のロッキード事件のときも、今度のグラマン・ダグラス事件のときも、事件の端緒が二回ともアメリカから発見されて出てきたということでございます。外国から指摘されるということは、何かわが国の体制について、もうちょっと考えなければならぬのじゃないかという気がするわけであります。三年前のロッキード事件のときは、アメリカの上院外交委員会の多国籍企業小委員会調査に端を発しておる。今回のダグラス・グラマン事件は、アメリカ証券取引委員会報告書に端を発しておる。こういうことを考えますと、わが国における不正探知機能が十分でないのではないかという反省をさせられるものでございます。今回国会におきましては、ロッキード問題調査特別委員会航空機輸入に関する調査特別委員会に改めましたので、少なくとも航空機の輸入問題に関しては、この委員会が活動することによって不正を抑止し、また不正がある場合にはこれを探知しというような、調査体制が確立されたということは非常な前進であると思いますが、行政機能の面におけるアメリカ証券取引委員会のような機能を果たすようなものは、わが国にはどうも十分発動してない。当委員会のこの質問を通じて聞いておりましても、対応する大蔵省証券局も十二人ぐらいの人員で、とてもそこまではできない。会計検査院の機能強化あるいは会社の監査制度の改善とか、公正取引委員会の活動とかいういろいろなものを総合しましても、どうも不正探知機能が十分でないというような気がいたすのでございますが、法務大臣、いかがでございましょうか。
  17. 古井喜實

    ○古井国務大臣 この問題は私から申し上げるのがよいかどうかとは思いますが、ただわれわれの立場から見ておりまして、かような問題に対して、政界の方に問題が全部あるというような意味で政界のところだけ突っ込んでいくだけでは、私はこういうことが再び起こらないようにすることができるかどうか。経済界の方にもやはりこういうことが起こらぬように考えてもらわなければならぬ一面があるじゃないか。それは日本の企業もなかなかたくましいのでありまして、たくましいからこそ経済が発展をしておるのですから、やたらに企業活動を縛り上げたりして、いわゆる角をためて牛を殺すというようなことになってはいけませんけれども、しかし最小限度、腐敗行為はやっちゃいかぬ。ある倫理的なミニマムは守ってもらわなければならぬ。これは企業の信用のためでもありますし、そういう意味でやはりそっちの方面にも検討を加える必要がないものか。全部犯罪の角度からだけやるのだとか、あるいは国会でもう時間をつぶしていつもやらなければならぬとかというだけなものか。あるいは中立的な、準司法的な行政機関のごときものがあって、そういうところでこういう問題の調査、あるいは度を超しておれば戒める、こういうことをするような、そういう考慮が要らぬものだろうか。これは本当に私はたびたび申すように、私が言うことではないと思いますけれども、そういうことも考えないと将来再発防止ということができないのではないだろうか。私はそう思いますが、これは私の出過ぎかもしらんと思いますが、御了承願います。
  18. 羽田野忠文

    羽田野委員 ロッキード問題あるいは今回のグラマン・ダグラス問題を通じてずっと見ておりますと、そのいずれの場合でも秘密代理人というような人々の活躍というものがそこへ出てくるわけでありますが、これは一つの研究材料だろうと思いますが、アメリカには外国代理人登録法というようなものがありまして、外国の政府、政党あるいは法人、個人、こういうようなところの委託を受けて、アメリカの国内においていろいろな政治工作等の代理行為をする者は、司法長官にその委託者の名前だとか、契約の内容だとか、職務の範囲とかいうようなものをきちっと登録をしなければならぬ。その上に半年に一回ずつその行った仕事の内容あるいは会計の収支報告というようなものをきちっとさせる。もし違反すれば五年以下の懲役あるいは一万ドル以下の罰金というような制裁規定まで設けて、こういう法律を施行しておる。これはわが国においてもそういう法律をつくるのがいいか悪いかという問題より別に、何か不正を未然に抑圧し、またあればこれを探知、摘発するという端緒となるような、こういう法律もこの際研究していいのではないかというような気もいたしますが、いかがでございましょうか。
  19. 古井喜實

    ○古井国務大臣 これも私が申し上げるのが適当かどうかわかりませんけれども、外国代理店の登録法とかそういうことも含めて、やはり再発防止を考えていくということではないかしらんと思います。
  20. 羽田野忠文

    羽田野委員 そこで最後に、現存しておるこの疑惑解明は徹底的に行わねばならない。この面では司法部の方に負うところがきわめて大なのでございますが、立法府といたしましては、疑惑解明の中から将来の不正防止策を講ずるというような、建設的な立法作業が進められなければならない、こういうふうなことでございまして、ロッキード事件の経緯にかんがみて、昭和五十一年の十一月十二日、ロッキード問題閣僚連絡協議会で不正事件再発防止対策というようなものが定められておりますが、法務省におかれましては、いままでこういう不正防止という立場からどういうふうな立法措置を講じられたか、また今後どういうふうな措置を講ずるようにお考えになっておられるか、御説明を願います。
  21. 古井喜實

    ○古井国務大臣 正確にはあるいは事務当局から御説明申し上げた方がよいかとも思いますけれども、その後、御案内のように賄賂罪の規定を整備強化する問題を取り上げまして、これは刑の加重のみならず、それに伴って時効期間の延長という問題か起こるわけであります。その改正案を国会に提出いたしまして御審議を願っておるところで、いま継続審議になっておることは御案内のとおりでございます。それから、アメリカとの間に犯罪人引き渡し条約を新しくいたしまして、いまの賄賂罪もこの中に含める、これは日本側ではすでに国会で御承認を得て、アメリカの方がいま上院で審議をしているかのようでありますが、そういうこともいたしておりますし、それに関連して、逃亡犯罪人引渡法の一部を改正するなどの施策も講じております。  そのほか、ちょうどいま国連の経済社会理事会で、多国籍企業の腐敗行為防止協定案の審議をやっております。そこへ実は私ども関係の者も参加させまして、そういう国際的な協力もいたしておる、こういうふうな状況で、一応考え得ることはそれもこれもわれわれの守備範囲ではやってみておるようなつもりでおりますが、まだ不十分かもしれません。
  22. 羽田野忠文

    羽田野委員 ただいま法務大臣の御答弁の中にも出てまいりましたが、国際経済交流が非常に大きくなりまして、特に巨大企業、いわゆる多国籍企業と言われるようなものの活動が非常に目覚ましい、その中で、もう多国籍企業の不正腐敗などの疑惑問題の解決は、一国の国内的なものだけでは処理できない、国際的にこういうものを解決していかなければならぬという情勢になっております。  時間が非常に少なくなりましたが、最後に外務省にお答えをいただきたいと思いますのは、この問題について、国連あるいはOECD等におきまして、多国籍企業の不正腐敗などの防止、規制措置、また不正活動の規制というような動きが非常に活発に出てまいっております。こういう全般的な国際協定で大きく網をかぶせるということのほかに、実際的には二国間協定による監視体制の確立というようなものも必要になってきておる。当面考えられるのは、日米間の二国間協定による監視の網を設けるというようなものも必要であり、かつ着々とこれが進められておるというふうに承っております。  外務大臣、こういう問題につきまして、いまの状態並びにわが国がそういう立場においてどういう役割りを果たし、どういう方向に推進をしておるか、将来の見通し、こういう点についての御説明を賜りたいと存じます。
  23. 園田直

    ○園田国務大臣 御発言のとおりに、国連、OECD等でこういう問題のためにそれぞれ検討し、積極的に多国間の不正取引、不正支払い等を防止するようにやってはおります。  その名称、内容については、正確を期するために、事務当局から御報告をいたさせます。
  24. 賀陽治憲

    ○賀陽政府委員 国連の状態でございますが、七月の経済社会理事会におきまして、国際条約の案をまとめて、それを外交会議によって採択をするという方向の方針を打ち出すことになっておるのでございますが、現在審議が必ずしも早急に行われておる状況ではございませんで、現在、明日までニューヨークで第七回の会期がございますが、その次は三月にまた行われます。三月の会議の様子を見ませんと、果たして経済社会理事会におきまして外交会議の開催を決めるというところまでまいるかどうかは、ややしばらく様子を見る必要があると存じます。  OECDにつきましては、すでに御承知のように行動指針が採択されておりまして、すでにこれは動いておるというふうに考えておるわけでございます。  それから、わが方の積極的な対処方針でございますが、先ほど答弁もございましたように、法務省、外務省の双方の総力を結集いたしまして、従来の会議に積極的に参加しておるわけでございまして、問題が問題でございますので各国ともいろいろな思惑があるようでございますが、わが国の貢献というものは相当に評価されておると見ておるわけでございます。
  25. 羽田野忠文

    羽田野委員 これは全般的な国際関係の動きでございますが、先ほどお伺いいたしました、やはりそういう国連における活動と同時に、二国間協定という監視体制も必要だと思われますし、日米間でこの二国間協定による監視の網の目を設けるということについては、一九七六年にアメリカ政府から、多国籍企業行動規制のための日米協定締結の提案があったというふうな報道もございますが、この問題について政府はどのように対処しておるのかということについての御説明をいただきたいと思います。
  26. 園田直

    ○園田国務大臣 七六年に米政府からそのような提案のあったことはございません。多分七七年の三月に、当時のヒルズ米証券取引委員会委員長が、上院の銀行委員会公聴会で、日本を含む国々と、情報その他についてこういう問題をやったらどうだという提案があったことはございますが、これは米政府から、これは全く政府の意見ではない、また院の意見でもない、委員長個人の意見であるという注釈があり、その委員長がやめられてからこの問題は取りざたやみになっております。  二国間が緊密に連絡することも必要でありますが、多数国間でこういう問題をやらなければならぬということで、せっかく積極的に進めておりますので、いま日米間だけで特別な協定等を結ぶことは考えておりません。
  27. 羽田野忠文

    羽田野委員 終わります。
  28. 竹下登

    竹下委員長 これにて羽田野君の質疑は終了いたしました。  次に、稲葉誠一君。
  29. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 最初に法制局長官にお伺いをしたいのですが、総理大臣責任をとるという場合にはどういうような種類のものがありますか。
  30. 真田秀夫

    ○真田政府委員 お答えいたしますが、突然の御質問なので……。  まず、総理大臣責任をとるということを制度的に考えました場合に、それはもう総辞職するということももちろん一つ考えられます。それから、御自分の政治的な行為が国民信頼にこたえているかどうかということを問うために、国会の解散をして国民の批判を仰ぐということもやはり責任のとり方の一つであろうと思います。あるいはまた、その内容のいかんによりましては、国会において、自分の責任は果たして十分であったかどうかということについて釈明をする、あるいは国会において、自分のおとりになった行為についてこれは間違っておったと思われた場合には陳謝をするということだって考えられますし、それはやはりケース・バイ・ケースでいろいろなことが考えられると思います。
  31. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 もう一つ、閣僚の罷免があるだろう。
  32. 真田秀夫

    ○真田政府委員 それは、内閣全体ということでなくて、特定の閣僚に自分の職責にそぐわない行為があったという場合に、内閣の首長としてその閣僚を罷免するということもあり得ると思います。これはもうケース・バイ・ケースによって、事柄の軽重に応じていろいろな責任のとり方はあると思います。
  33. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 総理大臣お尋ねをするわけですが、国民がこれだけの疑惑を持っているのを、防衛庁の言い分を信じてあえて予算に計上して、いま審議を求めているわけですね。それで、そこに疑惑があり不正があったということが後でわかったときに、総理は、国会に陳謝するだけであなたの責任は済む、こういうふうにお考えでしょうか。
  34. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 この事件につきましては捜査が始まったばかりでございまして、どのような結末になりますか、私は存じません。私が申し上げておりますことは、この軍用機の購入予算化することについて決断をいたしたわけでございますから、それ相当の責任を私が負う立場にあるということでございます。
  35. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 だから、それ相当の責任を負う立場にあるということはよくわかりましたが、それがこういう状態になってきておる段階で、常識的に考えても、ただ陳謝するという、謝っただけで済むものとは考えられないのではないですか、こう聞いておるわけです。これはそうだ、こうお答えになればいいんじゃないですか。
  36. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 事案が解明されまして、その状況を見まして考えるべきものと思います。
  37. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、事案が解明をされた段階、だから不正があった、疑惑がそのまま残ってしまった、あるいは刑事責任に発展した、こういう場合には陳謝では済まないでしょう、こう言っているわけです。
  38. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 だから事案の解明を急いでいただきまして、それが明らかになった場合に、それに対しまして責任を負うことになるのかならぬのか、負うという必要があればどういう責任を考えなければならぬかということは、その時点で考えるべきものと思います。
  39. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 ではその時点の中に、いま法制局長官が言われた内閣の総辞職あるいは衆議院の解散——解散というのはおかしいと思いますが、内閣の総辞職も一事態によっては当然入ってくるというふうに常識的に理解をしてよろしい、こういうふうに思ってよろしいでしょうか。
  40. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 いま、そういうことを論議する段階ではないと思っております。
  41. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 では、いっそういうことを論議する段階になるわけですか。
  42. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 いませっかく解明を始めましたこの事案の真相が明らかになってまいりました段階におきまして判断すべきものと思います。
  43. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 事案が解明されて明らかになってきたということは、刑事責任だけを意味しているわけですか。あるいは、それ以外の政治的、道義的責任の場合をも含めて、あなたは論議をされていらっしゃるわけですか。
  44. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 刑事責任を問うということはもちろん大事なことでございますが、同時に政治責任、道義責任というような問題も、国会議員でございますとか公務員というような場合におきましては考えなければならぬことだと思っております。
  45. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 きのう衆議院本会議で、航空機輸入問題に関する決議がされたわけですね。それで、この決議を受けて、あなたとしては一体何をやられようとするわけなんですか。あれは捜査当局の経緯をただ消極的に見守っておるだけ、こういうことですか。あるいはそうではなく、もっと積極的に政府として院の決議を受けてやるべきことがある、こういうふうなお考えでしょうか。
  46. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 捜査当局を信頼し、捜査当局の捜査の進展を期待しておりますことはもとよりでございますが、捜査当局以外に政府におきましてもこの事案に関係いたしておる機関が防衛庁を初めあるわけでございまして、そういうそれぞれの機関におきましてこの問題の解明をやらなければならぬことは当然でございます。それから、国会におかれましても現に御審議が行われておるわけでございまして、国政調査権の発動ということにつきましては、法令の許す範囲で政府が協力いたしますのは当然の責任だと考えております。
  47. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 法令の許す限りで協力するのは当然だと言うのですが、そうすると、一つ二つ例を挙げて説明をしていただけませんか。これは総理は無理かもわからぬ、総理でなくても、官房長官かな、だれですか。
  48. 真田秀夫

    ○真田政府委員 国会でいま問題になっているような事案の真相の究明をなさるに際して、政府に対していろいろ資料の提供とか証言とかお求めになるという場合に、関係する法令は幾つかあるわけなんですね。それはもう稻葉さんよく御存じだろうと思うのです。それが刑事事件になれば、刑訴の四十七条というのがございますし、それから一般の公務員であれば、公務員法の守秘義務の規定もございますし、それから税務関係で御質問になれば、税法に税務官吏のやはり守秘義務で罰則をわざわざ強化して、やたらに漏らしてはいけないという規定もあるわけなんです。それから特別職の職員であれば、官吏服務紀律によって秘密は守らなければならないという規定がございます。  しかし、これは常に守秘義務を守らなければならないものじゃなくて、やはり守秘義務によって、つまり秘密を守ることによって得られる法益と、それから秘密を開披しろという御主張の裏にある、つまりそれを明らかにすることによって得られる国益、公益とを比較考量して、そして後者の方が大きいと思えば、これはもうその守秘義務は解除されて、国会でも資料を提出し証言もするということになっているわけなので、結局はケース・バイ・ケースによってその秘密事項を保管している、管理している役所の判断で一応決めなければしょうがない。どうしても国会の御意思とそれから政府側の意思とが一致しない場合には、例の議院証言法によって究極的な決着、解決の手続が決まっているわけなのですから、そういうことも踏まえてその秘密を保管している官庁において、先ほど申しました比較考量をして、そして秘密を守るか、あるいは御要求に応じて内容をお示しするか、それを決めるよりほかしようがない、こういうことになるのだろうと思うのです。
  49. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 ただ抽象論で……。  では、その守秘義務が解除されてその資料を国会に提供しなければならない場合、そういう場合の例を一つ二つ挙げてくださいよ。抽象論じゃなくて。抽象論はわかったよ。
  50. 真田秀夫

    ○真田政府委員 原理原則はいま申し上げたとおりですが、一つ二つ例を挙げろとおっしゃいましても、これは刑事訴訟法の四十七条のコンメンタールなどを読みますと、四十七条のただし書きで公益上の必要その他相当な理由があるときにはこの限りでないと書いてあって、そこで……(稲葉(誠)委員「その例を挙げてくれと言っている」と呼ぶ)例といいますか、公益上の必要その他相当の理由として、たとえば、訴訟に関する書類となっておりますけれども、それを明らかにすることによってその後の裁判官の判断に対して影響を与えることになるとか、あるいは今後の検察活動に非常に支障を来すとか、そういうような場合だろうと思うのです。そういう場合にはそれはやはりただし書きが働かないのであって、やはり秘匿、秘密を漏らしてはならないということの例になると思います。
  51. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それは答えになっていないですよ。だけれどもまあいいよ。コンメンタールに書いてあることをただ言っているだけの話で、ぼくはだからそういう場合の、守秘義務が破られる場合の具体的な例を一、二挙げてくれと言うんだけれども、なかなか思い出さないのか、時間かせぎか知らぬけれども長々やられるんで、こっちはかなわぬから別の質問に入りますが、後でこれはまた当然問題になるところですよ。  そこで、総理にお尋ねするのは、三木内閣のロッキードのときのあの姿勢と今度の場合のあなたの姿勢とが全く違う。全くと言うとちょっとあれだけれども、非常にあなたの方はパッシブだということがちまたでは言われているわけなんですね。そこでの期待は、あなたみずからアメリカ大統領に特使やあるいは親書を送り、司法ルートと別の資料提供などの協力を要請すべきだ、それでなければ国会としても真相の究明ということはなかなかできない。ただ捜査当局の結論を待つだけだ、こういうことになるので、いま私の言ったような点については、あなたは、首相みずから米大統領に特使や親書を送り、司法ルートと別の資料提供などの協力を要請すべきだ、こういうことですね。こういうことについてはあなたとしてはどういうふうに考えておられるのですか。こんなことはもう必要ないというのか、あるいは必要あるというのか、そのときの場合によってこれも考えるというのか、どうなんでしょうか。場合によってと言ったってこれは早くやらなければだめなんじゃないですか。当然きのうの院の決議の中にそういう意味も含まれておると見ていいんじゃないかと私は思うのですが、どういうお考えでしょうか。——いや、これは総理に聞くわけさ。これは総理だよ。それはあなたしょうがないよ。
  52. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 本委員会審議が始まりましたときに私申し上げましたように、三木内閣の当時ロッキード事件があらわになってまいりまして、これに対して特使を派遣したりいろいろいたして、それが結果として司法共助協定というものに結実してまいったことは稻葉さん御承知のとおりであります。そこで、私の場合はそういう必要はもうなかったわけでございまして、そういう先例がございましたので、特使を派遣するまでもなく、日米間の司法共助取り決めは結ばれたわけでございます。そういう必要はなかったということでございます。  それでは、それ以外の資料につきましてアメリカ側に求める意思がないかということでございますが、これからこの真相解明に当たりましてどういう必要が生じてまいりますか、私、いま定かに予想がつきません。どうしても必要だというようなことになるのか、そのあたりは状況を見まして、政府にそういう措置をとらなければいけないという事情が出てまいりますならば、それは検討してみたいと思いますけれども、さしあたっていまそういう必要を感じておりません。
  53. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 どうも大平内閣の動き方というのが、何といいますか、そういう点について三木内閣と違うんじゃないか、三木内閣の場合は初めてだったかもしれませんけれども。それは司法共助協定があるからと言うんだが、司法共助協定以外のものをこちらに持ってきてもらうということ、これが大事なわけだというふうに私は思うのですが、この点はまたいろいろ今後の推移の中で問題になってくる、こういうふうに思うわけです。  そこで、法務大臣お尋ねをしたいのですが、これはあなたに対して通告してなかったんですけれども、ただ常識的なことですから、まあおわかりでしょう。いま政治に非常に金がかかる、選挙に非常に金がかかる。そのために一部の政党は大企業や何かからうんと金をもらっている。どういう形か知らぬけれどももらっておる。こういうことが結局本件のようなものを生むことになるわけですね。あなたは非常に清廉潔白な方でそういう点は全然ないということを私もお聞きしているわけです。りっぱな方だと思います。そこのところでどういうふうにあなた自身はお考えなんでしょうか。どういうふうにしたらいいというふうにお考えでしょうか。
  54. 古井喜實

    ○古井国務大臣 今回の問題にまた当面していろいろ考えさせられる問題がお互いにあるわけでありますね。それで、政界に関する部分について大体いまお話でありますが、これにもたくさん問題があるわけですね。選挙のあり方、政治資金のあり方、そこから始まって、政界関係にもこれでいいのかどうか検討すべき問題はあると思うのであります。私は、法律だけで一体よくなるものか、そう考えますと、やはりこれは国民の中に燃え上がるような啓発運動が起こっていくという、政治の倫理化運動のごときものが起こっていくなどということも政治の問題としては考えないと、法律だけいじくったのでは選挙の粛正あるいは政治の倫理化ができるかどうかには私は疑問を持つのです。そういう意味では、そこまで含めてみんなで一緒に考えてみなければならぬのじゃないだろうかと思うのであります。  それから、ちょっとお尋ねとそれるかもしれませんけれどもアメリカに資料をよこせ、ここが焦点になっているようですけれどもアメリカに資料をよこせと言うだけじゃなしに、自分でやるべきことはやるべきものじゃないか。それで、政府側としましても、犯罪の究明はせいぜい私どもがやってみますけれども、犯罪にならぬまでも行政部内に不当な事実があれば、これは正さなくてはならぬ。そういう意味では、行政部内に今回の場合でも不当な間違ったことはなかったかどうかは究明し、それからありとすれば正し、また将来をどうしたらいいかを考えるという大きな問題もあると思うのですよ、行政部内に関係して。  それから、さっきもちょっと触れましたけれども、それだけで将来足るのか、今回の実態を究明するにも経済界の問題をちょっと考えてみなければいかぬのじゃないか。そこらまで考えないと、これは国会の方で国政調査の上において御検討になるべき問題の一つだろうと思いますけれども政府だって将来の立法問題としてこれは大いに検討する価値はあるんじゃないか。そういうふうに政府側としてもできるだけのことは、事態の解明、その解明したことに対して正すものは正すという処置、それから、将来再発防止について検討することはたくさんありますし、大平総理はこういう大口をきくことができない人ですから大きなことは言われぬようですけれども、しかしできるだけのことはやろう、こういうことで考えておられることはありありわかるのですから、われわれもせいぜい協力してその方向に行ってもらうしかないと思っております。
  55. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いまお聞きしていまして、政治の倫理化の問題、それから経済界にメスを入れるとかいろんなお話、これは大変失礼な言い方なんですけれども、いまの自民党で一体できるんでしょうか。どうなんでしょうか。法務大臣に先に答えてもらって、古井さん、あなたの気持ちで自由に答えてくださいよ、それが終わってから総理大臣に聞くから。本当に自由に答えてくださいよ。それがあなたの真骨頂なんだ。それがなくなったら存在価値ないもの。
  56. 古井喜實

    ○古井国務大臣 少々出過ぎのような感じがしてどうもいけませんし、また言い過ぎをしてしくじってしまっても困るのですけれども、寛大にお願いしたいと思うのでありますが、いまの倫理化運動だってかつて私も経験持っておりますよ、昭和十年ごろのことなども。悪い面もありましたよ、倫理化運動の反面に。あったけれども、あのときには非常に選挙の浄化、粛正、つまりだれが見ても金のかからぬ選挙という結果を得たんです。そういう経験もあるのですよ。そういうことがいま起こらぬことが私はさびしいのです。法律でいけとか取り締まれとか暗いようなことばかりでなしに、下からの空気が起こるようにしなくてはいかぬ。この問題は、皆さんにもひとつ御検討願いたいと思うのであります。  経済界の問題にしましても、やたらに経済活動にくちばしを入れる、これはよくないと思うのです。目的のためには手段を選ばず式の、それは度を越すようなこともありありあるように思うのです。けれども、たくましい点は殺してはならぬ。ただし、腐敗行為をやって、何ぼ企業のためといっても何をやってもいい、一つの倫理的なミニマムはあるんじゃないか。そういうものが設定されれば、国会でケース・バイ・ケースで手間を食うよりも、そういうことをちゃんと守るような監視機関、つまり中立的な行政機関、日本で言えば公正取引委員会をもう一遍考えてみたような、それでふだんからそういう外れたことをしてないかどうかちゃんと調べたり、時間をかけて、この国会の忙しいときに皆さんがこればかりに時間を費やしておるようなことのないように、そういう構えだって国会のためにもいいと私は思うのですよ。ですから、そういう意味では総理がよく考えておられると思うし、皆さんもいわゆる国政調査のたてまえにおいて高い、広い立場でいい考えを立てていただきたい。ただアメリカから取ってこい取ってこいだけじゃどうも私は、言い過ぎかもしらぬが得心がいかぬのです。自分たちが何をやるかということがやはり根本じゃないか、こういうことを思います。
  57. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それは古井さんの言うとおりですね。これはちっとも古くない、新しいよ。  それは別として、いまお話を聞いていて総理はどういうふうにお考えになりますか。総理も何か考えてくれているだろうというお話ですね。具体的に何をどういうふうにするかということを総理はお考えになっていますか、いま古井さんが述べられたことに関連して、政治の倫理化なりあるいは経済界にいろいろな腐敗をなくすとかいうことに関連して。
  58. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 政治の倫理化の問題は、政党としてあるいは政治家それぞれ個人として、あるいは政府としてあるいは立法府として、それぞれの立場で追求していかなければならない不断の課題であろうと思います。グラマン問題が起こったからとか起こらないからという問題ではないと思うのでございます。  第一の、稲葉さんが挙げられました選挙に金がかかる、これがどうも政治の腐敗と結びついておる可能性が濃いのじゃないかという御指摘がございますが、私どももそういう問題意識を持ちまして、選挙に金がかからないようにしなければならぬということで、この選挙を党においてはできるだけ党営化の方向に持っていこう、国の方ではできるだけ公営の範囲を広げようという努力を重ねておるわけでございます。  しかし、それにいたしましても、政治資金は多かれ少なかれ要るわけでございますが、それをどういう方面から調達するかということでございますが、仰せのように、一部企業から寄付を仰ぐということは望ましくないことでございます。したがって、できるだけ広く浄財を集めるという方向でいかなければならぬと存じまして、わが党といたしましてもそういう方向に鋭意努力をいたしておるわけでございまして、その実は漸次上がっておると思うのでございまして、この方向に今後とも鋭意努力してまいらなければならぬと考えております。  それから、政府や立法府の問題といたしましては、すでにロッキード事件のときも、提起された問題を政府の方で整理いたしまして、腐敗防止のために何をやるかということにつきまして閣議で決めまして、逐次それを実行に移しておりまするし、現にまだ刑法改正なんかに絡みましていま討議中のものもあるわけでございまして、そういった各般の努力が結集されまして政治の倫理化というものが進んでまいるというようにやることは、われわれの不断の責任であると思いまして、そういう自覚に立ちまして努力をいたしているところでございます。
  59. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 総論はその程度にいたしまして、これは官房長官に報告を願いたいのですが、この前、千歳の空港の問題で、どうして塚田徹代議士と海部八郎氏とが共有でこれを買うようになったか、どこからこういう事実を知ったかとかこういう問題、これは総理が調べるように言われたことですが、あるいは日商岩井の亡くなった島田常務との関係で代理店の変更をヘリの輸入に関連して示唆したことがあるか、こういうような点についてお調べを願いたいということをお願いしたわけでございますが、その点についてどういうふうになっているかの報告だけを願いたい、かように存じます。
  60. 田中六助

    田中国務大臣 塚田徹議員にけさお会いいたしましてお聞きしましたところが、自分は何らやましいところはないから、稲葉議員のお申し越しの四項目については何らお答えする理由はないという御返事でしたので、それでは余り答弁にならないかもわからぬよというお話を申し上げましたが、本人はそれ以上言うことはないということで、時間は十五分から二十分かけたわけでございますが、そういうことでございましたので、それ以上の御返答はできないわけでございます。
  61. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そのことについては、海部八郎さんと塚田徹代議士が共有だということがはっきり登記簿に載っているわけですね。これをまた運輸省が買っている関係もありますししますから、いずれ別の機会に何らかの形で事実を究明する必要があるのではないか、こういうふうに思うわけですが、きょうはそれだけにしておきましょう。  そこで、このダグラス・グラマン事件の捜査の状況についていろいろお伺いをいたしたいというふうに思うわけでございますが、島田さんが亡くなられた、非常に痛ましいことでございますが、そのときに東京地検の検事が検視に行っておられるわけでございますが、どういう理由で検事がそこへ行ったのか、こういうことからお聞かせ願いたいと思います。
  62. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 申し上げるまでもなく、刑事訴訟法では変死者がありました場合には検察官が検視をすることがたてまえでございまして、例外的に司法警察員に検視を任せることができることとされております。ところが現実の運用は、これも御承知のとおり司法警察員にゆだねることが多いわけでございますが、いわゆる世間が注目しておるような人、平たい言葉で言いますと、いわゆる時の人というような方が亡くなられました場合には、やはり刑事訴訟法の本旨に戻りまして検察官が司法警察員の援助を受けながら検視をする、こういうことにしておるのが例でございまして、個人的な経験を申して恐縮でございますが、かつてある疑獄事件と言われましたケースでお亡くなりになりました方がありました場合、私自身検視をいたしたこともあるような次第でございます。そういうことでございます。
  63. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、島田さんの自殺については結論的にどういうことで亡くなられたというふうに当局はお考えなんでしょうか。
  64. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 検視の結果、それから所轄の警察署におきます調査の結果、自殺であるということは遺書の存在その他から認められておるわけでございます。  さて、それでは自殺された原因はどうかということになりますと、これは真相は御本人のみぞ知るという部分が多いことと思いますけれども、今回のこの問題が生じたことが関連があるということは、すでに公表されました遺書等によっても推測できるように思います。
  65. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、この島田さんの亡くなられたことで——これは六回調べておられるようですね。それは全体の流れの中で島田さんを調べて、ということは、これは何か調書もとってないというようなことが出ておったわけですが、六回も調書をとらないで説明を聞くというのは常識的にはちょっと理解しがたいわけですね。何を中心に聞かれておって、どうしてそんなに六回も調書をとらないでいたのかということですね。そこら辺はどうなんでしょうか。
  66. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 検察当局からの報告によりますと、島田さんがお亡くなりになりますまで数回、御指摘のように六回であろうと思いますが、事情をお聞きしておるようでありますが、申し上げるまでもなく、今度出ております問題というのは非常に間口の広い問題でございまして、それらの問題を意識しながら、各般にわたって一般的な事情の説明を受けていた、こういうふうに報告を受けております。調書をとるとかとらないとかというようなことはそのときどきの検察官の判断によることでございますし、またどういうわけでとらなかったとかとったとか、そういうような点につきましては、まさに捜査の内容そのものでございますので、お答えは差し控えさせていただきます。
  67. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、その亡くなられたことが本件の捜査に及ぼす影響、これはどういうふうに理解したらよろしいのでしょうか。
  68. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 東京地検の幹部が記者会見の際に記者団の質問に答えまして、今後の捜査に支障が全くないとは言えないというふうに答えたようでございます。そんなことではなかろうかと思います。
  69. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 全くないとは言えない、それはそうでしょうね。そうすると、全体の流れの中で島田さんの調べというのはどういう位置づけにあったかということは、たとえば、これはよくわからないのですが、日商岩井の人に来てくれと言ったのか、だれに来てくれと言ったんでこの島田さんが出るようになったのか、そこがよくわからないのですよ。日商岩井では、海部さんに出てくれと言うと必ず海部さんは出てこないという話もあるので、そこのところはどういうことですか。
  70. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 具体的にどういう御依頼を申し上げて島田さんに来ていただいたのか、そういう細部にわたってまで報告を受けておりませんが、要するに島田さんに来ていただいて事情を聞いた、こういうことだろうと思います。
  71. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それはそうですけれども、そうすると、その島田さんの調べ、これは検事としては、何といいますか、人権を侵害するような調べとかなんとかということはなかったのかどうかということですね。  それから、宗像検事というのは、これはぼくは知りませんが、この人に対して遺書があったということですね。その遺書の内容を聞くわけにもちろんいきませんから、そういうことを聞くわけではございませんけれども、そういうようなことはちょっと例がないことですね、いままでのあれで。どうして検事に対して遺書があったんでしょうかね、これは。そこら辺はどうでしょうか。
  72. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 遺書合計九通あったようでございますが、その中に宗像検事あての私信としての遺書があったようでございますが、中身は私ども見ておりません。いずれにしましても、どういうわけで主任検事といいますか、事情聴取した検事にあてて遺書を書かれたかという点につきましては、御本人がお亡くなりになっておりますので何ともわからないと言う以外に申し上げようがありません。
  73. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そればそうですけれども、そこで、ロッキード事件で押収した書類なり、そこで調べた調書なり、そういうふうなものがある、こう思うのですが、それは今度の日商岩井の関係で参考になっておる、こういうふうに考えてよろしいのでしょうか。
  74. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 先般のお尋ねで、島田さんにつきましてはロッキード事件の間の事情聴取に関しまして、検察官による供述調書の録取があったということをお答えしたわけでございますが、当然今度事情をお聞きするについては、常識としてそういうものを見た上で事情をお聞きしておったのではないかと思います。
  75. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 日商岩井から相当書類の任意提出があった、こういうふうなことが一部に言われていますけれども、この点はどうなんですか。
  76. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 一部新聞報道等にそういうことが報ぜられていることは承知いたしておりますが、何分にも捜査の内容そのものになりますので御勘弁いただきたいと思います。
  77. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 このいわゆる密約とかなんとかという形で四〇%をカーン氏に払う、こういうふうなことが伝えられておりますね。これはもう事実だと思うのですが、この手数料について非常に高いというふうに一体検察当局は見ているのか。この中にどういうふうな金銭が含まれておるか、こういうことについて深い関心を持っておるかどうか、この辺をお尋ねしたいと思うのです。
  78. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 御指摘は、一部報道されております日商岩井とカーン氏のいわゆる密約というものの中で、日商岩井が受け取るべきコミッションの四〇%程度をカーン氏に渡すことになっておった、こういう問題に関してのことと思いますけれども、検察当局としてはその四〇%が高いとか安いとかということを考える立場には全くないわけでして、問題はそういった金をめぐって犯罪の容疑があるかどうかということでございまして、そういう意味での関心があると言えばあると思いますし、高い安いという点については関心がないと言えばない、こういうことだと思います。
  79. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 これは全く一般論でお聞きをするわけですが、会社の役員が、もらった手数料の一部を社長とか取締役会や何かに諮らないで、勝手にほかの人にやってしまうという約束をしたということになると、それは法律関係としては背任の問題なり横領の問題なりあるいはその未遂の問題なり、一般論としてそういうことが起きてくることがあるわけですか。
  80. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 全くの一般論として考えますと、ちょっといまお尋ねになりましたことがよくわからない点もありまして、会社の役員全体がその入るべきコミッションの額を知らないとかというようなことが前提になると、そういうことがあり得るのかなという気もしたりするわけですが、いずれにしても一般論としてお答えすれば、いわゆる図利加害の目的をもって会社に損害を与えるということになれば背任罪ということになりましょうし、また、非常に平たい言葉で申しますが、途中でちょん切ってポケットに入れてしまう、自分のポケットに入れるかわりに人にくれてやるというようなことになれば、横領罪の構成要件に該当する場合もあろう、こう思います。
  81. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いろいろ問題はありますが、後で大出議員や井上議員から聞かれることでございますが、日米のハワイ会談ですね、田中・ニクソンの会談について、これはロッキードの公判の中で、どういう点が話し合われたかということはどういうふうに出ているわけですか。
  82. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 昭和四十七年九月一日のいわゆるハワイ会談に関係いたしましては、このロッキード事件田中氏に対する受託収賄事件、それから小佐野氏に対する議院証言法違反事件の立証に必要な部分がございますので、当該事件の立証に必要な限度におきましてその会談の内容に関する捜査を行っておりまして、その概況は丸紅ルートあるいは児玉、小佐野ルート公判の各冒頭陳述で検察側が明らかにしておるところでございます。これらにつきましては、冒頭陳述記載の事項でございますので、今後逐次ロッキード事件の公判で明らかにしていくことになると思います。(稲葉(誠)委員「ちょっとその点を説明してくださいよ」と呼ぶ)  冒頭陳述でハワイ会談に触れた部分は、大体次のとおりでございます。  昭和四十七年九月一日のハワイにおける田中・ニクソン会談において、経済、貿易及び金融問題等が話し合われた。檜山氏は、緊急輸入の対象品目の一つに大型ジェット機が取り上げられていたので、ハワイ会談で大型ジェット機の導入が論議される際、ロッキード社に好意を持っていると見られている米大統領ニクソン氏が、総理大臣田中氏に対してL一〇一一を推奨するのではないかと考えていた。  コーチャン氏は、ニクソン・田中会談において大型ジェット旅客機の緊急輸入が論議されるものと考え、その成り行きに強い関心を持ち、総理大臣田中角榮氏とじっこんの間柄にある小佐野氏から右会談について情報を得たいと考えていた。コーチャン氏は、小佐野氏から田中ニクソン会談における大型ジェット旅客機に関する情報を聞き出したいと考え、昭和四十七年九月十六日ごろ、福田太郎氏とともに国際興業を訪れ、同社応接室で児玉氏も同席して小佐野氏と面談した際、田中・ニクソン会談でエアバス導入の話が出たかどうか、またニクソン氏が田中総理に、日本でトライスターを買ってくれればありがたいとの話が出たかどうかを政府筋の人に聞いてほしい旨依頼し、小佐野氏はこれを了承した。  それから、田中氏は、ハワイにおけるニクソン氏との会談後間もなくのころ、砂防会館の田中事務所で、じっこんの間柄でありかつ全日空の大株主である小佐野氏に対し、実はニクソンとの会談でハワイに行った際、ニクソンから、日本導入する飛行機はロッキード社のトライスターにしてもらうとありがたいと言われた、全日空の方針はどうかなと話し、この意向を全日空側に伝えるように依頼した。  それから、若狭氏が昭和四十七年十月二十四日渡辺副社長を同道して首相官邸に赴き田中氏と面談し、月末までに機種を決める予定である旨説明したところ、田中氏は、この間のハワイ会談で飛行機の話があって、ニクソンからロッキードを頼むと言われた、全日空がトライスターに決めてもらえば非常にありがたいと言っていたなどと話し、若狭氏は、大勢としてトライスターに決まる方向に進んでいると答えた。  こういった記載を冒頭陳述でいたしております。
  83. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、それを見ると、検察側は、ハワイ会談の中で少なくともトライスターの話は田中、ニクソンの間で出たというふうに見ておるということがはっきりしておるわけですが、そうすると、そこで一体E2Cが出たのか、出ないのだろうか。片方の話が出て、片方の話が出ないというのは、これはだれが見てもおかしいではないかという疑問が、素人らしい疑問といいますか、それが出てくるわけですね。  そこでお聞きをいたしたいのは、アメリカの方では、グリーン氏が、この前の話では、終わったところで話し合って、それが記録に残っているわけですね。日本の方は何にも記録に残ってない。そうすると、このチャーチ委員会で、五十一年九月十三日のアメリカ上院の外交委員会多国籍企業小委員会、チャーチ委員長ですね、その速記録の中に、このE2Cについて話し合われたかどうかということについて、これが一体出てますか。どうですか、そこのところは。あるでしょう、チャーチ委員会の。それを説明してください。おしまいのころのようですね。
  84. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 お答え申し上げます。  昭和五十一年九月十三日のアメリカ上院の外交委員会多国籍企業小委員会、いわゆるチャーチ委員会の公聴会で、チータム氏の証言がこの問題に触れておるということは、事実そのとおりでございます。  それから、中身につきましては、チータム氏が一九七二年の四、五月ごろに、アレンさんという大統領の副補佐官だったと思いますが、それを訪問した際にアレン氏が述べたところであるということで、概要次のような証言をしておるはずでございます。  その内容は、アレン氏は、E2Cの対日売り込みの支援は困難なことであり、多大の努力が必要であるというようなこと、そしてホワイトハウスの尽力を得た者は感謝すべきであるというようなことを指摘して、その意味で大統領の再選資金に対する献金もきわめて適切であろうと述べた、自分——というのはチータム氏ですが——から何と答えてよいかわからないけれども、大体どのような援助を期待しているのかということを聞いたらば、アレン氏は、E2Cは百万ドルぐらいの価値があると思うということを答えたということで、さらにチャーチ委員長が、もしニクソン大統領にE2Cの件を田中総理との会談で取り上げてほしければ、再選運動のために約百万ドルの献金を期待するということをアレン氏が言わんとしていたと理解したのか、そう質問したのに対して、チータム氏は、それくらいの額であるということを答えておるという記述がございます。  なお、委員長の方から、ニクソン大統領が田中総理との間でE2Cについて話し合ったかどうかを承知しているか、こういう質問をしたのに対して、チータム氏は、一たん承知しておるということを述べた後でこれを取り消して、自分自身はニクソン大統領と田中総理との間で直接本件が話し合われたとは承知していない、自分はグリーン氏が主宰するサンクレメンテ委員会の小委員会においてE2Cの件が取り上げられ、推薦されたと承知している旨を証言いたしております。  それから、翌々日の九月十五日に同じ委員会の公聴会において、今度はアレン氏の方が証言をいたしておりまして、自分は一九七二年の七月三十一日付で正式に政府の職をやめており、同年九月にグラマン関係者と会った時点では政府の人間ではなかったし、かつニクソン再選委員会入りの話も断って、退官後は自分の事業を行おうと考えていたのであって、したがってニクソン再選運動の資金集めを担当していたわけがないというようなこと、また、田中氏が日本の首相になられたのは七二年の七月七日であって、その前の四、五月の時点でニクソン・田中会談が日程に上っていたはずはない、そういうようなことを反論いたしておるというふうに承知いたしております。
  85. 園田直

    ○園田国務大臣 いまの局長答弁の中で、一つ、補足することがございます。  それは、グリーン氏が主宰するサンクレメンテの委員会の小委員会でE2Cの件が取り上げられ、推薦されたと承知している旨証言しておりますが、米側にこれを照会したところ、サンクレメンテ委員及びその小委員会なるものは存在していない、こういうことでございます。
  86. 竹下登

    竹下委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十八分休憩      ────◇─────     午後一時一分開議
  87. 竹下登

    竹下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。稲葉誠一君。
  88. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 午前中の質疑の中でアメリカ局長がいろいろ答弁されたわけですが、あれは余り速くてわからなかったものですから、後でひとつゆっくり話してもらいたいと思うのです、こっちは事実を確かめればいいわけですから。  そこで、E2Cについてハワイ会談で協議がされたかどうかということが争いになっているわけですね。外務省の方はこのことを御存じですか。アメリカの方ではこれをエリクソン日本部長が記録をとって、それで国務省だけでなくほかの方にも回して国防省などにも配付をしたのだ、こういうことがきのうの読売新聞に伝えられておりますが、こういうことについて調べられたことがございますか、事実かどうか。
  89. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 私どもは、そのような配付がなされたという事実を承知いたしておりません。
  90. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いや、承知しておりませんじゃなくて、調べたことがあるかどうかということよ。これから調べてごらんなさいよ、電話かけて。すぐわかるんだから。
  91. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 調べたことはまだございません。
  92. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 だから調べてごらんなさいというんだ。
  93. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 米側に照会いたしてみます。
  94. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 これは大事なことで、こちらの取り扱いとアメリカの取り扱いと非常に違いますから。そこで、いま言ったようなことが事実とすると、アメリカは非常にこれを重く見ておった、こういうふうにも考えられるわけですね。  そこで、さっきアメリカ局長が五十一年九月十三日のいわゆるチャーチ委員会か、そこの速記録の文を読まれたわけですが、ちょっと速過ぎてよくわからなかった点があるものですから。チャーチ委員長から、ニクソンは田中とE2Cについて話をしたのか、こういうところの問いがありますね。それを何か後で取り下げたとか取り消したとかなんとかということなんですが、そこはどういうふうなことなんですか。ちょっとわかりやすく読んでくれませんか。
  95. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 お断り申し上げますが、先ほど私が申し上げましたのは議事録そのものをそのまま申し上げたのではなくて、概要を申し上げたわけですが、それをもう一度申し上げますと、チャーチ委員長の方から、ニクソン大統領が田中総理との間でE2Cにつき話し合ったかどうかを承知しているかということをチータム氏に聞いたのに対して、チータム氏が答えた概要は、一たんそのことを承知しているということを言った上で、その後これを取り消したいということで取り消して、自分自身は、ニクソン大統領と田中総理との間で直接この問題が話し合われたとは承知していない、自分はグリーン氏が主宰するサンクレメンテ委員会の小委員会でE2Cの件が取り上げられて推薦されたというふうに承知している、そういう趣旨の証言をしているわけでございます。そこで先ほど外務大臣からも申し上げましたように、サンクレメンテ委員会の云々というのは一体何のことであるかということを米側に照会いたしましたらば、そのような委員会なるものは存在していない、こういう返答があった、こういうことでございます。
  96. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そのサンクレメンテ委員会というのはニックネームではないのですか。正式の名称ではないのではないのですか。
  97. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 正式にも非公式にもそのようなものは存在しないというのが米側の答えでございました。
  98. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 グリーン国務次官補が座長をしたその小委員会というものはあったのですか、なかったのですか。
  99. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 私ども承知する由がないわけでございます。アメリカ側の答えは、そのようなものは存在しないということを言っているわけでございます。
  100. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いや、アメリカ側の答えは、サンクレメンテ委員会というのはないということなんでしょう。グリーン氏が委員長か何かやったその小委員会というものがないということなんですか。そこがよくわからないのですが、どういうことなんですか。
  101. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 アメリカ側に照会いたしましたその答えが、そのサンクレメンテ委員会なるもの、またその小委員会なるもの、そのいずれも存在しないということを言っているわけでございます。
  102. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それはわかったんだよ。だから、あなたの方はサンクレメンテ委員会という前提で聞いているから、そうじゃなくて、グリーン氏が座長みたいになった小委員会というのがあったのかなかったのかということをこっちは聞いているのですよ。それとサンクレメンテ委員会というものとが一体同じなのか違うのかよくわからぬけれども、それを聞いているわけです。
  103. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 アメリカ側の内部にどのような組織があろうかということは私ども承知し得ないわけでございます。私どもが知り得ることは、そういうことが議事録に出ているので、そのようなものはそもそもあるのかと言って聞きましたら、そんなものはないということなので、私どもは、それはチータム氏が証言をするときにお間違いか何かでそういう表現を使われたものではなかろうかというふうにとったわけでございます。それ以上に実態がどういうことであるかということは知る由がない、こういうことを申し上げたわけでございます。
  104. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、ニクソン氏が田中とE2Cについて話をしたのかということに対して、チータムは、一たんそういう会話がありましたという意味のことを言っていて取り消したと言うのですが、取り消すに至る経過ですね。そのプロセスはどういうようなことで取り消すようになったのですか。
  105. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 そこのところを議事録につきまして、日本語で必ずしも厳密に正確かどうかはわかりませんが、大体それを逐一的に申し上げますと、チャーチ委員長が、ニクソン大統領が田中総理との間でE2Cにつき話し合ったか否かを承知しているかと聞いたのに対して、  チータム氏話し合いが行われたと承知している。  チャーチ委員長 どうしてわかるのか。  チータム氏 E2Cがすすめられた旨、小委員会の記録に記されている。失礼、発言を取り消したい。自分自身は、ニクソン大統領と田中総理との間で直接本件が話し合われたとは承知していない。自分は、国務省のグリーン(当時東アジア太平洋担当国務次官補)が主宰する小委員会においてE2Cの件が取り上げられ推薦されたと承知している。 云々というところで、いま申し上げましたように、チータムさん御自分が取り消して、そのようなことは承知していないということを言われた、こういうことでございます。
  106. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それはそれでわかりました。  しつこいのだけれども、サンクレメンテ委員会というものとチータムが言っているマーシャル・グリーン次官補が座長をした委員会とが同一だというふうに外務大臣が言ったわけだけれども、それはどうしてわかるの。そこがよくわからないんだ、こっちには。こっちの誤解かな。それがよくわからない。
  107. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 外務大臣が申し上げたことも、私が申し上げましたことも、いま議事録に出てきましたサンクレメンテ委員会とか小委員会とかいうものは、わが方の照会に対して、アメリカ側はそういうようなものは存在しないという返事をしたということを申し上げたわけでございます。
  108. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いや、サンクレメンテ委員会が存在しないということだという話だったでしょう、外務大臣の話は。小委員会が存在しないという話じゃないのじゃないですか。そこは違うのじゃないの。
  109. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、サンクレメンテ委員会なるものも小委員会なるものも存在していないというのが、米側の答えなのでございます。
  110. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、あなたの方としては、チ一タム氏が何か誤解でもしているというふうにこの点についてはとっているわけですか。
  111. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 そのように推測しているわけでございます。
  112. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると話はあれになりますが、たとえばトライスターの件について田中、ニクソンの間で話が出たということは、これは外務省の記録にはないのですか、あるのですか。どっちですか。
  113. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 そのようなことはないというふうに承知しているわけでございます。
  114. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 ないというのは、そういう事実がないというのか、記録がないという意味か、どっち。ぼくが聞いているのは、記録がないという意味に聞いたわけだけれども
  115. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 私どもの記録に徴しましてそのような事実がない、こういうことでございます。
  116. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 しかし、ロッキード事件では、検察官の冒頭陳述の中に、伝聞か知らぬけれども、そういう事実が立証の事実として出てきているのじゃないですか。どうなの、法務大臣
  117. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 ロッキード公判におきましては、先ほど申し上げましたように、少なくとも田中氏が自分と親しい関係にある人等に、ハワイ会談でニクソンと自分の間でそういう話が出たということを話したということが冒頭陳述で述べられておるわけです。
  118. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、外務省と法務省と違うわけだな、これは。どういうわけで違うのかな。  そうすると、外務大臣は大平さんでしょう。あなたは、田中・ニクソン会談の田中、ニクソン二人だけで話したこと、このことについては全然報告を受けていないわけですか。あなたは田中さんと非常に親しいし、友達でしょう。そういう話をしたことがないのですか、どうなんですか、これは。
  119. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 それはたびたび申し上げておりますように、私が出ました会談ではそういう話はございません。それから、私が出ない会議につきましてそういう話があったということの報告は受けていないということです。
  120. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、重要なことは田中、ニクソン二人の間でいろいろ話し合われた、こういうふうに一般の人は思うかもわからないな。せっかく外務大臣が行かれているのに、何かこう——何かこうと言うとおかしいけれども、何か……。  そこで、もう一つお聞きしたいのは、では、田中、ニクソンの会談か何か知らぬけれども、とにかく後から外務省が照会したら、E2Cのことが何かどこかの記録の末尾に言及されておった、こういうことを外務大臣、この前言われましたね。それはどういう記録の末尾に記載されておったのかということが一つと、それを聞いたのは、E2Cに関してだけ聞いたの。ほかの飛行機については聞かなかったのですか、トライスターや何かについては。どうなの、それは。
  121. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 記録でございますが、先日も先生にお答え申し上げましたように、国務省が調査した結果でございます。このほどハワイ会談記録のうち、日米経済関係に関する討議の報告書の末尾にE2C航空機への言及部分を見出した、こういうことでございます。  第二点に関しましては、いま申し上げましたようなE2Cへの言及部分を見出したけれども、同じ軍用機ということで申し上げると、P3CとかPXLという点についての記録は見出さなかったということをアメリカ側は言っております。
  122. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、問題になってまいりますのは、ハワイ会談からその年の十月九日に国防会議で、いまのAEW、この国産化を白紙還元しておりますね。その間にアメリカ側から外務省なり何なりに対してどういうような話があったのですか。外務省の記録にどういうふうに残っておりますか。
  123. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 E2Cの関連のお尋ねだと存じますが、その白紙還元の時期までに、私どもの記録に徴しますに、特にアメリカ側から何らかのアプローチがあったということは全く出てまいりません。  私は、いまE2Cに関しましてお答えしたわけでございますが、民間航空機につきましては、ハワイ会談のときに鶴見・インガソルの発表文があるということは、先生御承知のとおりでございます。
  124. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、田中・ニクソンのハワイ会談から十月九日の国防会議で国産化を白紙還元して輸入を主とするというまでの間、九月いっぱいと十月九日まで約四十日近く、この間に一体アメリカ側から働きかけがなかったのですか。なかったのに、どうしてこういうふうなことになったの。これは防衛庁、どうなっているんだい。防衛庁でわかる、それは。
  125. 原徹

    原政府委員 私も、その当時の次官、官房長、防衛局長等に聞いてみましたが、ハワイ会談後からずっと防衛庁には何のお話もなかったということでございます。  そこで、白紙還元と言われる問題につきましては、P3C、PXLの話につきましてもずいぶん御説明をいたしたわけでございますが、当時AEWについては、防衛庁としては当初開発をしたいというふうに思って研究をしておったわけでございますが、これには非常に多額の経費がかかるという反対意見もございまして、四次防の大綱が決まったときには、これは政府としては別に国産を前提とするものではないということであったわけでございます。  そこで、そういうことにつきまして、例の十月の国防会議でございますが、あのときに問題になりましたのは、FST2改を国産にするか輸入でいくか、そういう問題か中心でございまして、それについてFST2改は国産でいくということが決まったわけでございますが、その残りのものについては、これはそういうものについて一々総理大臣に判断を求められても困るということで、技術的な専門家会議をつくってそういうことを研究しろ、こう言われまして、それで専門家会議ができた、そういうふうに承知いたしております。
  126. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それはもうみんな知っていますよ、そんなこと本に書いてあるのだから。そんなことを聞いているのじゃなくて、ハワイ会談から十月九日までの間に、アメリカ側からなり、あるいはグラマンからなり、あるいは日商岩井からなり、何らかの働きかけがあったのかどうかということですよ。それでなければくるっと変わるわけないでしょう。何らかの話し合いがあったのじゃないかということを私は聞いているわけですね。そういうことにならないですか。その間、一体だれがどういうふうな話から急にE2Cが十月九日に輸入になるという形になったのですか。アメリカ側からその間に何か話があったのじゃないですか。外務省にも防衛庁にも全然そういうふうなことを言われてきていないということになると、だれが一体そんなことを急に決めたのですか。そのことはどういうふうになっているのですか。
  127. 山下元利

    山下国務大臣 ただいま政府委員から申し上げたとおりでございますが、専門家会議国防会議に答申いたしまして、早期警戒機等については外国機導入が妥当だといたしましたのが四十九年でございまして、専門家会議で検討するということになりましたのが四十七年でございまして、その前後につきましては、ただいま政府委員から御答弁申し上げたとおり、何らの働きかけもなかったようでございます。
  128. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 だから、何らの働きかけが外務省なりあるいは防衛庁なりどこへもないのに、こういうふうな事態が出てくることがよくわからぬと言っているのですよ。特にハワイ会談のときにE2Cの話があったということなら、それが十月九日の国防会議や何かで出てくるのは理解できるけれども、ハワイ会談で、ないというなら、ここのところでぽかっと十月九日に、四十日くらい後にE2Cの問題は輸入を主としてやるなんということが出てくることがおかしいじゃないですか。だれが考えても、この四十日間に何かあったのじゃないか。アメリカアメリカ側でいま述べたようにいろいろな働きかけをやっているわけでしょう。こっちはこっちでまただれかがどこかへ働きかけをしてきたのじゃないか、こういうことが常識的に考えられるのではないか、こういうふうに言っているわけですよ。それを疑問に思わないですか。
  129. 山下元利

    山下国務大臣 先ほど政府委員が御答弁申し上げましたとおり、FST2改につきまして国産は決まっておるわけでございまして、それ以外のことにつきましては、ただ専門家会議で検討するということが決まった程度で、それは、外国機導入と言いましたのは四十九年ということを申し上げておるわけでございまして、御了解賜りたいと思います。
  130. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そんなこと言ったて、専門家会議にするということは、もう輸入を前提としていることはわかり切っているのじゃないですか。海原さんの本にちゃんとそのときの事情が書いてあるよ。そんなこと言ったってしょうがないけれども、この点については後で大出委員がまた中心にして、あるいは井上委員の方から聞かれると思います。  そこで、防衛庁長官にお聞きしますけれども、あなたの方から資料をいただいたわけだ。「早期警戒機(E−2C)の導入に関しグラマン社及び日商岩井から防衛庁に提出された文書について」こうあるわけですね。文書提出の経緯がずっと書いてある。  そうすると、FMS、政府取引でいくならば、グラマンや日商岩井からこういうふうな文書を出させる必要が一体どこにあったのかということが第一点。  それから(3)のところで「防衛庁は、ただちに関連するグラマン社及び日商岩井に対し説明を求めた」こう言っていますね。「昭和五十四年一月九日に日商岩井からの文書を受領し、」こういうふうにあるわけでしょう。どういうわけでこういうふうなことをしたのか、日商岩井に対し何の説明を求めたのか、そこら辺のところを明らかにしてもらいたい、こう思うのですね。
  131. 山下元利

    山下国務大臣 その点につきましては、正確を期する意味から、政府委員をして答弁いたさせます。
  132. 倉部行雄

    倉部政府委員 一月五日にグラマン社のSECに対する報告書を外務省から入手いたしましたので、早速私どもといたしましては、日商岩井並びにグラマン・インターナショナルの東京支社に対しまして、このSECに対する報告書について疑義があると申しますか、よく意味がわからないところがございましたので、それを問いただすといいますか、説明を求めるということで聞いたわけでございます。  私ども調査は、そういった面で権限はございませんので、できる範囲ということで聞いたわけでございますが、そのときに日商岩井の方からは不正な支払いをしていない、あるいは米人コンサルタントにそういった不正な支払いをしていない、あるいはE2Cに関して代理店手数料というものをもらっていないということの報告が後で出されたわけでございます。  それから代理店契約書につきましては、さきのロッキード事件以来P3CあるいはF15あるいは今度のE2Cにつきましては、衆議院の決算委員会の議決等もございまして、できるだけそういった代理店契約の実態をつかむ必要があるということで、そのころから私どもは鋭意努力をいたしまして代理店契約書をとるということにしております。また代理店の実情についても、ある程度そういった面でつかむ必要があるということで、代理店契約書をとったりしておるわけでございますが、グラマン・インターナショナルにつきましては、その後御承知のように、一月八日にオラム社長が日本に参りましたので、この機会をとらえまして、直接社長からSECに対する報告書の内容について若干問いただしをいたしました。  その結果、米人コンサルタントとグラマン・インターナショナル社との間のコンサルタント契約でありますとか、あるいはそのコンサルタント契約を解約するに至った事情がある程度推測されるわけでございますが、その解約通知書並びにその解約の確認書を入手したわけでございます。
  133. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そんなことを聞いているのじゃなくて、政府取引、FMSでやるということは去年の十一月決まったというのでしょう。それならば、ことしになってグラマンや日商岩井を呼んで誓約書を出させたりいろんな事情を聞いたりする必要はないじゃないですか、おかしいじゃないですか、こういうことを聞いている。
  134. 山下元利

    山下国務大臣 この点につきましては、FMS契約方式によりますと、代理店の手数料というものは全然ないわけでございますけれども、先ほど政府委員が申しましたとおり、ロッキード事件等の経過にもかんがみまして、われわれとしてはその代理店契約書の入手に努力しておりますし、そういったことで適正化を期しておるということでございますが、FMS契約方式によりますところは手数料は全然ないということでございます。
  135. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 何だかよくわかりませんけれども、いろんな問題があってわからないところがたくさんございますけれども、私の時間が来ましたから、後は井上委員と大出委員に譲りたいと思います。
  136. 竹下登

    竹下委員長 これにて稲葉君の質疑は終了いたしました。  次に、井上一成君。
  137. 井上一成

    井上(一)委員 まず、大平総理大臣お尋ねをしたいと思います。  今回の航空機購入問題で大変話題の人となっている、いわゆる日商岩井と密約を交わしたハリー・カーン氏をあなたは御存じでしょうか。
  138. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 よく存じません。
  139. 井上一成

    井上(一)委員 実は私は一月の五日と九日にハリー・カーンさんに会ったのですよ。ハリー・カーンさんの事務所には、片面に岸元総理の色紙が二枚掲げられ、片面には勲三等瑞宝章の賞状が飾られておったわけです。当時あなたが外務大臣として御推薦になられたと私は聞き及んでいるのですが、いかがでございますか。
  140. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 外人の叙勲は外務省の方から推薦することになっております。
  141. 井上一成

    井上(一)委員 外務省が推薦をされたハリー・カーンさんのお人柄なりあるいはその功績について、あなたは何らお聞き及びではないのですか。
  142. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 当時のことでございますので記憶が定かでございませんので、外務省の方の記録でお問いただしを願いたいと思います。
  143. 井上一成

    井上(一)委員 限られた時間で数多くの質問をしたいと思いますので、できるだけわかりやすくお答えをいただければ非常にありがたいと思います。  私の方から逆に、ハリー・カーンさんは、GHQの働きかけによって、経済集中排除法というものの適用を阻止することに貢献があったということで、この叙勲の栄を受けられたということを承知しているのです。いわば財閥独占資本の温存にむしろ貢献をしてきたということで、われわれの考え方からいけば非常に逆行なのです。このことをここで総理に強く認識をしてもらいたい。お答えはいただきませんが、そういうことであなたはハリー・カーン氏の叙勲を推薦したのだ、そういうことをよく御認識をいただきたいと思うのです。私は、そういう意味ではひとつ大平総理の政治的な基本姿勢にも後ほど触れますけれども、ぜひこのことは冒頭に言っておきたいと思うのです。  それから、先ほどからもハワイ会談の問題が指摘をされておりました。多くを申し上げる必要はないかと思いますけれどもアメリカの方ではそれを非公式であったとしても記録にとっておる、こういうことなのです。わが方は全く記録にない、こういうことなのです。報じられるところによれば、アメリカは非公式の記録として関係各省にレポートとして配付されるということが報じられておるわけなのです。やはり外交という問題をとらえてアメリカがそのような対応をしているときに、日本が何の記録もない。そして、先ほどあなたはこのことについては、口頭を含めて何ら聞き及んでいないということを稲葉委員にお答えになられたわけです。そういうことを考えますと、報告もなかった、記録もない。相手側であるアメリカに対して外交上非常に無礼だと私は思うのですよ。いかがでございますか、当時の外務大臣、そして現在の総理大臣として、外交というもののあり方からいけば。ぼくは相手国に対して非常に無礼ではないだろうか、こういうふうに思うのですが、御所見を承りたいと思います。
  144. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 そのように私は考えません。ハワイ会談における一つの問題は、当時の日米の国際収支、貿易収支のアンバランスの是正ということについてアメリカ側から強い要請を受けておった段階でございます。したがいまして、この問題を実務者会談におろしまして、インガソル・鶴見会談の作業にゆだねたわけでございます。七二会計年度におけるアメリカ日本との間の国際収支の要因について、いろいろ作業をいたしたことでございます。そういうことは私記憶をいたしておりますし、それにつきましての報告も受けておりまするし、その結果は日米インガソル・鶴見会談の報告として公に発表されておるわけでございます。したがって、それで必要にして十分な措置がとられておると承知しております。
  145. 井上一成

    井上(一)委員 私は無礼であるかどうかということを尋ねているのです。外務大臣、ここで私はあえてお尋ねをしたいのですが、外交上の問題として、こういう場合には何らかのわが国としても記録というものを私は置くべきだ、こういうふうに思うのです。一言で結構です。無責任とまでは申し上げませんけれども、礼を若干欠いたきらいがあるのじゃないだろうか、こういうふうに思うのです。
  146. 園田直

    ○園田国務大臣 まずこの際一言だけ言わせていただきたいことは、当時の鶴見審議官、亡くなっているわけでありますが、この審議官はきわめて潔癖な男で、外交官としても有能な男であったことだけは報告させていただきたいと思います。  したがいまして、こちらに記録がありませんから問い合わせたその結果は、この前御報告したとおりでございます。ところがきょうの新聞になって、向こうは、これは非公式ではあるが会談である、こう言っておりますが、わが方が問い合わせた限りにおいては、会談ではなくて、外務大臣、次官が退室をした後、雑談をしているときに出された話である、こういうことに承知しております。さらにこれは向こうに問い合わせるつもりでございますけれども、ただ今後、私的であろうと雑談であろうと、こういうことは記録に残すことがやはり外交上はきわめて大事だと思います、これはわが国の立場からいって。しかし公式、非公式、私的な会談でございませんから、記録がなかったことが相手に失礼になるとは考えておりません。
  147. 井上一成

    井上(一)委員 さて、今回のこの航空機問題で大平総理は、政治生命をかけてその疑惑解明をするのだということを申されております。また法務大臣も、徹底的に究明するという姿勢を明らかにされているわけです。私はこの表現について、このことについては一定のそれなりの評価をしたい、こういうふうに思うのです。が、しかし、昨日の国会でも疑惑解明についての全会一致の決議が行われたわけであり、国民はやはり納得のできる解明を求めていると思うわけです。  そこで私は、一九六九年、グラマン社の代理店が住友商事から日商岩井に変更されたその前後に、ハリー・カーン氏は東京で岸元総理、その私設秘書だとカーン氏は言っておりましたが川部美智雄氏、それからチータム氏、ノーマン・ポール氏、次に岸ジュニアとカーン氏は言われておりましたけれども、などと会談したと私に話されたわけです。それはここに私はテープをちゃんと持ってきております。そういう真実が明らかにされているわけなんです。またチータム氏は私にあてて、一九六九年及びそれ以降、たびたび岸元総理その他の人物に会ったということを手紙でよこしております。あるいは一九七〇年から一九七三年にかけてGI社の東京駐在員であったアンダリン氏は、E2Cの売り込みについて日商岩井の海部さん、島田さん、今村さんなどと何度も接触を持ったということも私に話しているわけです。当時の自由民主党の政調会長であった松野氏にも数回会ったと言っているのです。私はそういう事実をここで明確に申し上げて、疑惑を解くためにも、これらの関係者から事情を聞くことがまず必要であると思うのです。総理、本当にあなたがこの解明を政治生命をかけてやるのだということであれば、私はこのことが非常に大事なことだと思うのです。  私はそこで、国内、国外のそれぞれの固有名詞を挙げます。その人たちについて、まず接触をされたかどうかということを当局に聞きたいわけであります。ワシントンの日本大使館には、警察庁なり法務省なり防衛庁のアタッシェがちゃんと配属されておるわけなんです。今回のこの事件でまずどのように対応したかということがまず第一点。  それからアメリカでの関係者ハリー・カーン氏、ノーマン・ポール氏、チータム氏あるいはオラム氏、フィリップス氏、ボガート氏あるいはグラマン社のビアワース会長なりジョーンズ副社長、あるいはダグラスのデービス副社長、こういう人たちに接触をされたのか、あるいは事のいきさつを詳しく聞かれたのかどうか、まずこの点からお答えをいただきたいと思います。
  148. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 大使館の接触というお尋ねだと承知いたしますが、大使館といたしましては、当然のことながら、SECその他のアメリカの国務省、要するにアメリカ政府関係への必要な接触はいたしておりますが、個々の私人との関係につきましては、基本的にそのような接触を行うというようなことはいたしておりません。
  149. 井上一成

    井上(一)委員 私は、大使館の役割りというものの中に、こんな問題が起きれば当然いち早くそれに対応する、そのための一つの方法として、いま私があえて名前を申し上げた関係者に接触するというのは当然の役割りだと思うのです。この点については、外務大臣、大変恐れ入りますが、大臣からひとつお答えをいただけぬでしょうか。
  150. 園田直

    ○園田国務大臣 いまの御発言でございますが、まず外務省は、会談なり非公式の折衝なり、あるいは外務省の任務でなくても通訳その他で場所に居合わせたり、外務省が関係したことはまず調査をしたわけでございますが、なおそのほかに、SECその他に出てくる名前等については外務省も仰せのとおりだと存じますけれども、それ以外のことについては外務省としては、よそから要求があるか何か話がなければ、捜査当局ではありませんから、うかつには接触できない、こういう考え方で接触はしてないわけでございます。
  151. 井上一成

    井上(一)委員 私は、事情を聞くということを、捜査というそういう観点から申し上げているのじゃないわけで、やはり事情を聞くという意味から当然接触をされてしかるべきだ、こういうふうに私は思うわけなんです。さらに、今後そういう人たちと接触をして、よく事情を聞いて、その聞かれた事情を国会に、やはりわれわれに報告をしていくんだ、私はカーンさんから聞いたわけでしょう。だから外務省も、やはり政府機関も、本当に私が聞いたことを裏づける意味から、当然聞いておくべきではないだろうか、こういうふうに思うのです。  そこで、カーン氏が私に手紙をよこして、九日の日にも、三月の上旬には日本へ来たい、中近東の帰りに。いま旅行に出ているわけなんです。一月の二十日付で私に来た手紙の中では、その帰り三月中旬ころぜひ日本に立ち寄りたい、立ち寄るという意思を明確にされているわけです。あるいはチータム氏自身も、いま旅行に行っている、しかし、自分のスケジュールが許せば国会で証言することも可能であるということを私にちゃんと知らしているわけなんです。こういうことから考えれば、この際私自身は、ぜひ政府として何らかの形で事情聴取するという御意思をお持ちでしょうか、こういうことをまずお聞きしたいと思います。
  152. 園田直

    ○園田国務大臣 井上さんから名前が出ました方方については、情報収集という意味で何らか検討してみたいと思います。  カーン氏その他が来日されたときに外務省が会うかどうかということは、よく相談してみたいと思います。
  153. 井上一成

    井上(一)委員 法務大臣に私は少しここで角度を変えてお聞きしたいのですが、ロッキード事件のときには非常に厳しいようであったけれども嘱託尋問というものが行われたわけなんですね。今回私には、カーン氏もチータム氏も日本へ立ち寄りたいということを話をいたしておりますけれども、もしその来日が何らかの事情で不可能になった場合には、嘱託尋問に値する場合にはあえてそのようなこともやるという御意思をお持ちでしょうか。
  154. 古井喜實

    ○古井国務大臣 お話しのように、本人が任意に日本に来てくれて取り調べに応じてくれればそれだけのものですけれども、そうでない場合は残っている手は嘱託尋問ですから、そういう方法をとる問題を必要に応じて考えなくてはならぬのだろう、そういうふうに思っております。
  155. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 ただいま大臣が御答弁申し上げたとおりでございますが、若干補足いたします。  今回の事件関係で、検察当局は犯罪事実を追い求めてじみちな捜査を積み重ねておるわけです。その過程におきましてだれかから事情を聞く必要があれば、国の内外を問わず当然聞くべきだと思います。ただ、聞きます場合に、国外におられる方、特にアメリカにおられる方につきましては、いきなり嘱託尋問という手続はとりません。司法取り決めに基づきまして、米連邦司法省の協力を得まして、わが国の捜査官が先方へ赴きまして事情聴取をまず努力をいたします。それでだめな場合に、最後の切り札として嘱託尋問ということがあるわけでございます。
  156. 井上一成

    井上(一)委員 大平総理大臣、一言で結構ですから、いまの答弁、忠実に政府の考えとして私は受けとめておきたいと思うのですが、よろしゅうございますね。
  157. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 私も法務省信頼しております。
  158. 井上一成

    井上(一)委員 国外の関係者にはよくわかりました、政府姿勢が。私は、それと同時に国内居住者、いわゆる先ほど触れました日本側の関係者についてはすでに事情聴取をなされたのかどうか、あるいは今後その事情聴取を何らかの形で行う意思を持っていらっしゃるかどうか、まずこれを聞いておきたいと思います。
  159. 古井喜實

    ○古井国務大臣 事務当局から申し上げます。
  160. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 先ほどお答えしたと同じようなことになりますが、国内の関係者につきましても、捜査上必要があれば必要に応じて事情を聞く、こういうことは当然でございます。
  161. 井上一成

    井上(一)委員 いま私が触れた中で、どなたとどなたにすでに事情をお聞きになられましたか。
  162. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 これまで私どもとして明らかにいたしておりますのは亡くなられた島田さんでございます。その余の方々につきまして、調べたか調べないかを含めて内容を申し上げることは御容赦いただきたいと思います。
  163. 井上一成

    井上(一)委員 私はここで日商岩井とカーン氏との深いつながりを一つ指摘をしておきたいと思うのです。ここにカーン氏が発行しているフォーリン・レポーツという一つ情報誌があるわけなんです。ハリー・カーン氏は私に対して、航空機のコンサルタントは以前はしておったけれども現在はしてない、しかし現在は日商岩井とは淡水化プロジェクトについてのコンサルタント契約を結んでいる、こういうことを言っているんです。まず、捜査当局は、あるいは関係当局は、防衛庁も含めて、日商岩井とハリー・カーン氏との淡水化プロジェクトに対するコンサルタント契約があるということを承知していたかどうかをお聞きしたいと思います。
  164. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 検察当局がそういうことを知っておるかどうかということを申し上げるのはちょっとはばかりますが、私個人の知識としては若干承知いたしております。
  165. 倉部行雄

    倉部政府委員 私どもとしましては、報道されるまでは知らなかったわけでございます。
  166. 井上一成

    井上(一)委員 私は、やはりこの問題をしっかりと政府当局は認識をしてもらいたい。たまたまこの契約が結ばれたのが五十一年ごろですね。三年前だ。日商がいわゆるハリー・カーン氏との密約を解除したという、日商側の言い分ですよ、日商が解約をしたというのは三年前なんです。私は、この時期が一致するところに一つのトリックがあるのじゃないかと思う。日商岩井としては、航空機の密約に続いて、一たんそれは切るけれども、その切った時点で淡水化プロジェクトの契約に切りかえる、いわば一連の継続したコンサルタントであるということを私はここでやはり認識していただかなければいけない。そういう一つの流れがある、こういうことなんです。  さっきお見せしたフォーリン・レポーツ、これは一枚五百ドルなんですよ。いまの金にして約十万から払っているのです。そういう深いつながりがある。また、カーン氏はさらに三井物産についても、ミツイオイルカンパニーという表現をしておりましたけれども、この点についてもコンサルタントをしている、こういうことをはっきりと私に語っているわけです。この点についても承知していらっしゃるのかどうか、一言だけで結構でございますから、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  167. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 だんだんお答えいたしますと検察当局の知見の範囲がだんだん判明いたしますので御勘弁いただきたいと思いますが、先ほど来の御体験に基づく御指摘、十分傾聴させていただいております。
  168. 井上一成

    井上(一)委員 私は、事実関係を明確にすることがやはりこの際非常に大事だという観点から、質問をさらに続けます。  日商岩井は、五十一年度ボーイングの輸入に関して得たいわゆる不正所得、不正所得という表現が的確であるかどうかわかりませんが、すでに一月三十一日に指摘をされた百五万ドル、このうちの五十五万ドルを使途不明金として国税当局は課税処分をしたわけなんです。これはもうすでに発表された事実であります。私なりの調査では、そのうちの四十七万ドルについては淡水化プロジェクトの中東の工作資金に使われた疑いがあるという。もっと厳密な調査が必要ではないだろうか。当局はこの点についてどのように把握をしているのか、ひとつぜひお聞かせをいただきたい。そして、私が指摘したように、さらに厳密な調査が必要であるという私の考えをどのように受けとめていただけるか、お答えをいただきたいと思います。
  169. 磯邊律男

    磯邊政府委員 過日、この委員会で御答弁申し上げましたように、日商岩井の五十五万ドルの件につきましては、昭和五十一年三月期で使途不明金として処理し、税金を徴収するとともに重加算税を課したわけでございます。  この使途不明金と私たちが言いましたのは、まさにそれが何に使われたのかわからないということでありますけれども、いろいろの情報その他を総合いたしまして、いま先生がおっしゃられたような方向に流れた疑いもあるわけでございます。  今後の国税の調査でございますが、これはわが国の課税権の及ぶ範囲内において調査いたしたい。つまり、全然課税権が及ばなければ、これは仕方ないと思います。
  170. 井上一成

    井上(一)委員 私は、いまのお答え、ぜひそのとおり徹底的に究明をしていただきたい。大蔵省も大変でしょうけれども、この関係書類はすでに検察当局の方に押収されていると思うのですよ。ここで検察当局、いわゆる司法当局も、いまの私の一連の質問の中での流れを十分理解して、この点についての徹底的究明をしていただくことを私は強く要望するのですが、ひとつその意思ありや、お答えをいただきたいと思います。
  171. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 ただいまの五十五万ドルの問題については前回お答えしたとおりでございますが、ただいまの御指摘あるいは国税庁からの御答弁、これらは検察当局に伝えて善処を求めたいと思います。
  172. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、私の調査の中では、日商岩井は五十二年度の単年度で多額の申告漏れ、いわゆるわれわれが言う脱税があるというふうにつかんでおるわけであります。事実かどうか。そして事実であるならば、どれほどの脱税を日商岩井はしておったか。
  173. 磯邊律男

    磯邊政府委員 昭和五十二年三月期の調査結果でありますが、当初申告は百十二億四千四百万円でありますが、国税当局の調査によりまして、当該会社の方から修正申告を提出いたしました。その修正申告の額は、公示になっておりますが百十七億三千七百万円であります。  ただ、これを厳密に申しますと、当初申告は百十二億四千四百万円と申しましたが、その当初申告を出しました約四カ月後に、会社の方から自主的な第一回目の修正申告が百十四億三千三百万円ございました。この間の差額が一億八千九百万円であります。それから国税局の調査によりまして、その調査結果に基づく修正申告、つまり第二回目の修正申告が先ほど申しました百十七億三千七百万円ということになっておりまして、当初の修正申告と第二回目の修正申告との差額が三億四百万円であります。
  174. 井上一成

    井上(一)委員 普通調査でこんなに多額の脱税が明らかになるわけなんです。強制捜査の中でも本当に悪質に値するケースだと私は思うのです。これは検察当局も今回のいわゆる資金の流れというものに深い関係があるということを十分理解していただいて、先ほどの御答弁のように徹底的に究明をしていただきたい、こういうふうに私は思うわけであります。  ところで、これは私の推測ではありますけれども、この中東における淡水化プロジェクトは、航空機導入に伴う成功報酬を別の名目でひねり出すための擬装手段である。多額の脱税による裏金や使途不明金がいわゆる淡水化プロジェクトの工作資金等の名目で国外に流れている。それが再び国内へ何らかの形で還元される。それがいわゆる政治資金となって流れていく。こういうことをやはり解明しない限り、あるいはこういう私の一つの流れを洗っていただかない限り、今回の問題ははっきりとした答えが出ない、こういうふうに思うのです。私は、大蔵当局、いわゆる税務当局には先ほどお答えをいただきましたが、この点について捜査当局に徹底的な究明を行うという意思を再度ここで確認をしておきたいと思うのです。
  175. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 およそ捜査と申しますのは、具体的な事実の積み重ねを重ねまして、一歩一歩事案の究明に着手するわけでございまして、いやしくもたとえば憶測、推測というようなものによって予断を抱いて捜査をやるということは許されないわけでございますが、ただいまの御指摘のような観点もあり得ることを念頭に入れて捜査をしていくものと思います。
  176. 井上一成

    井上(一)委員 もう一点、私はここで日商岩井の島田さんの自殺の件について触れておきたいと思います。  私は、亡くなられた島田さんに対しては心からその冥福を祈りたい、こう思います。島田さんが「日商岩井の社員の皆さんへ」という形の中で遺書を書かれておりました。「男は堂々とあるべき。」という書き出しであります。そして会社の生命を守るためには男として堂々とあるべきですと。だれにあてたのか。全社員だということでありますけれども、特定の人にもっと男らしくなってほしいという呼びかけを、この社員に対する遺書の中で私はくみ取りたいと思うのです。私自身はこの遺書をそのようにくみ取っているのです。  そこで、日商岩井には過去、同じような形であったかどうかは別として、昭和四十九年の十二月六日、お名前を出して大変恐縮でございますが、あえてこの際お名前を出させていただきたいと思うのです。萩原一郎さんという方でございます。この方は、昭和四十四年秋、大阪本社の外為課長、いわゆる海外に向けての資金の支出、決済等を含めた外為課長から、さらに東京本社の外為課長に転勤をされた。いわば社内において金の流れを握り、かつ十分に承知している重要な仕事に携わっておった方であります。この方が、先ほど申し上げたように十二月六日、日商岩井東京本社十五階の男子トイレの中で頸動脈を切って自殺をいたしております。島田さんの以前です。こういう事実を承知しているのかどうか。あるいはこのこともまた島田さんの自殺と何らかの形でつながる、あるいは目に見えない糸でつながっているのではないでしょうか、こういうことなんです。いかがですか。この萩原さんの死因あるいはこのときの状態、私自身当局から具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
  177. 澁谷直藏

    ○澁谷国務大臣 お答えいたします。  御指摘のとおり、昭和四十九年十二月六日午後九時四十一分、港区赤坂一丁目の国際赤坂ビルの警備員からの通報で警察官が参りましたところ、十五階にあります日商岩井の男子用トイレの中で同社東京関連事業部次長の萩原一郎(当時四十六歳)が、右頸部を果物ナイフで切って、出血多量のため死亡した事実がございます。  死因はどうか、こういうことでございますが、現場の状況、ことに服装に乱れがなく、所持品や  コートも便所の床にきちんと置いてあり、果物ナイフも本人が買ったものと認められ、また妻や義兄の話では、本人は糖尿病と自律神経失調症のため通院加療中でありましたが、回復が思わしくなく、自殺したいと口走っており、ノイローゼ状態であったということでございますし、また本人が部下に、短いつき合いだったなあと別れをほのめかす言葉をかけていたということもございまして、遺書などはございませんでしたが、現場の状況や関係者の申し立てなどから自殺と判断したということでございます。  なお、今回の島田さんの自殺ということにかかわり合いがあるかないか、こういう御質問でございますが、そういうものは関係ないと考えております。
  178. 井上一成

    井上(一)委員 すでに検察当局の方で過去十年に及ぶ月別人名簿が押収されておるわけであります。私は、いろいろな意味から日商岩井の人間関係というものを十分承知をしなさい、こういうことなんです。  大平総理、さっき法務大臣が言われた、政治の中での倫理観という話がありましたけれども、社会全体の中で倫理観も道徳観もない、そんなことを踏みにじった上に利益追求のみにひた走る、そういう多国籍企業の分野があるというこの現実、その中でみずからの命を捨てていくという、それは精神的に弱いのか強いのかは別にして、そういうことがあるという現実、片面でさっき指摘したように、国民には財政が窮乏だ、そんなことを言いながら一般消費税を導入しようとしているのですよ。子供に机を買ったらその机にさらに税金をかけようとしなければいけないような増税政策を片側でとる。片方で大手商社のいま言ったように倫理観も道徳観もないような、いわゆる利益追求のためには人をも殺しかねない、そんな企業を擁護し、その上に脱税をあえて、という表現はどうかと思いますが、脱税を許す結果になっておった。こんな状態では本当に国民生活なんて守れやしません。だからいま私が指摘をしたいろいろな事実関係の上に立って、ひとつ大平総理の所見を改めてここでお聞かせをいただきたいと思うのです。
  179. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 多国籍企業があなたの言われるように私利私益のどん欲な追求だけで運営されておるものと私は別に思いません。いろいろ経営につきまして労使とも苦心いたしていることと思うのでございますが、しかしこの企業形態が同時にいま問われているような疑惑を生んでおることも事実でございます。  これにつきましては、倫理の問題とそれから制度の問題と両面にわたりまして検討を加えて、こういった事件疑惑解明はもとよりでございますけれども、いやしくも国民の倫理観念に大きな痛手を加えるような事件の再発につきましては十分戒めてかからなければならぬと思います。
  180. 井上一成

    井上(一)委員 最後に一つ防衛庁長官お尋ねをします。  FMS取引、いわゆる政府間ベースの場合は報酬は支払わないのだ、そしてとりわけE2Cに関するグラマン社と日商岩井との代理店契約については、防衛庁はFMSの形態をとるから報酬は支払わないのだ、こういうふうに言っていらっしゃるわけです。その根拠は何なんですか。
  181. 倉部行雄

    倉部政府委員 いわゆるFMS方式におきましては、アメリカにおきまして武器輸出管理法によりまして、不当な代理店手数料自体が調達価格の中に入らないということになっておりますが、関係国の申し出によりまして、申し出をいたしますと正当な代理店手数料調達価格の中から排除される、こういうことになっておりまして、わが国もギリシャ、トルコ、オーストラリア等も同じでございますが、そういう申し出をしまして、不当あるいは正当な代理店手数料調達価格から排除する、こういうことにいたしたわけでございます。と同時に、日商岩井とグラマン社との間の代理店契約書の中にも、FMS取引については代理店手数料を払わないということは書いてあるわけでございます。
  182. 井上一成

    井上(一)委員 日商岩井とグラマンとの代理店契約のどの項を指して一切のコミッションは支払わないというふうにおっしゃるのですか。
  183. 倉部行雄

    倉部政府委員 具体的に何条ということはちょっと私いま思い出せませんが、報酬関係のところであったと思います。
  184. 井上一成

    井上(一)委員 防衛庁長官、大変失礼ですけれども、私は、しっかりとレクチュアを受けられた方がいいんじゃないかと思います。あなたはさっきから、FMSの場合は完全にコミッションは入らないのだということを再三再四御答弁なさっているのです。FMSの場合でもコミッションを支払うことが許されている法律がある。アメリカの法律で、いわゆる限度五万ドルなら五万ドルまでは許されるのだ。しかし、それを選ぶかあるいはコミッションを支払わないという契約を選ぶかは、当事者であるグラマンならグラマンの選択権にあるわけなんです。いまお答えがあった、グラマンと日商岩井の契約書の中で、コミッションを支払わない——私はここにその契約書の一部を持っております。だから、第何条かわからないと言わなくても、私が持っている資料では明快に書いてあるのですよ。この契約のもとでは、ということになっておるわけです。だから、これはどんな場合にでも、どんなケースにでもコミッションを取らないという契約じゃないわけなんです。おわかりですか。防衛庁が持っているのと一緒なんです、これは私はグラマンからいただいたのだから。そういうことで、確かにグラマンはこの契約、アンダー・ジス・アグリーメント・イン・エニー・ケース、あらゆる場合とは書いてないのです。だから私は、決してグラマンが不正を考えているということを、いまそんな判断をしたくありません。そして、そういうことはでき得ない状態であるということを信じたいわけでありますけれども、どんなことがあっても支払わないのだという強いものではないということだけを防衛庁長官、御認識いただきたいのですよ、この問題については。絶対支払わないとは書いてない。だから、もしひょっとして別途契約、別の契約があれば、これは支払うことが可能であるということの裏返しにもなるわけなんです。  今回の契約書の中には、とりわけ政党も含めた政党人あるいは政府高官、そういう人たちに金を払ってはいけないあるいは還元をしてはいけない、贈ってはいけない、何らのそういうサービスもしてはいけないのだということもちゃんと明快に書かれているわけなんです。これは七八年の改定の分です。六九年と七四年に改定をしているわけです。そして、七八年の一番新しい契約書にそう書かれているのです。だから防衛庁長官、絶対払いませんとか払わないんですというのは、具体的にそういう契約書をお見せになって言わなければいけないわけです。もっと端的なことを言えば、別の契約は全くないのだということを確認をしていらっしゃるのかどうか、こういうことなんです。私はないとは思いますが、信じたいけれども防衛庁としては全く別の契約はないということを確認していらっしゃるかどうか、この一点を聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  185. 山下元利

    山下国務大臣 ただいま御審議願っておりますE2Cの問題につきましては、三百四十三億の中には一切手数料が支払われる余地はございません。この契約に関しましてはございません。
  186. 井上一成

    井上(一)委員 さらに詳しくお聞きをしたいのですが、あとは大出委員に譲りまして、とりあえずこれで私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  187. 竹下登

    竹下委員長 井上君の質疑は終了いたしました。  次に、大出俊君。
  188. 大出俊

    ○大出委員 最初に、前回の私の質問で、一々細かく御答弁いただいてありますが、この御答弁が間々、真実でなくてひっくり返る場面があるわけでありまして、一応の答弁をいただいたわけでありますが、また不十分な答弁もございました。そこで、いま井上委員から聞いていただきましたけれども、前二者の質問の中で三点問題がございますから、それだけをとりあえず決着をつけたいのであります。  まず第一は淡水化プロ、つまり淡水化プロジェクトをハリー・カーン氏と日商岩井の間で契約を結んでつくっている。ここに相当な金が流れた形跡を幾つか持っています。  一体この金はどの部分の金なのかということで調べてみると、いわゆる五十五万ドルというものの中に含まれている金、こう考えざるを得ない。だから私は先般の質問で、国税庁に、一体国内に使った金は幾らかと聞いたら、東南アジアその他に、世界各国に商売上の契約、売り込み等を行うについてのコミッションとして使ったということを言った。だが、それじゃそれはどこに使ったのだと言ったら、日商岩井は答えない、だから重加算税をかけて税金を取った、こう言うわけですね。十万ドルだけが国内、あとは外国だ、東南アジアだと言う。  そこで、私は国税庁にひとつ承りたいのは、何カ所もと言うのだが、ただの一カ所でもその種の金が流れている外国との商用の契約に基づくコミッションをつかまえて、これだというのをお持ちであるのかどうか。ないとすれば、この間私が申し上げましたように、ずばりこの金が一カ所に行っていてもこれはいたし方ないことになる。つまり、皆さんの税務調査は済んじゃっているわけですから、決着がついてしまっている。そこでこのことをまず国税庁に承りたい。  もう一つ、刑事局長さんに承っておきたいのでありますけれども、この間、えらい簡単な答弁をなさいましたな。調べてみたが目下関知しないというようなことを簡単におっしゃいましたね、この五十五万ドルについて。私は国税庁の筋に承ったところが、全日空のときの、つまりロッキードにかかわるあの時期でありますが、二十万ドルというものは確かに検察側は細かくお調べになったようだが、この五十五万ドルについては、どうもお調べになっておらぬように——資料を交換をしていますから国税庁にもわかるのでしょう。余り調べてもいないはずのものについて簡単にああいう答弁をされて、縁がない、関係がないと言われたのでは——だから私は伊藤さんに、それでいいんですか、そういう簡単な答弁で、ずばり一カ所に金が行っていたらじゃどうするのですかという言い方をしておいたら、公明党さんの坂井さんがこの問題について触れたら、私に何かちょっと簡単な答弁をし過ぎたのでというようなことを言ったそうでありますけれども、私は席を外していて知りませんが、答弁をし直すならし直すできちっとしていただきたい。つまり、調べておられぬのならおられぬでいい、まあ時効だ云々だということで対象から外したなら外したでいいのですが、そこらのところも明らかにして私はやってもらわなくては困ると思っておるのですから、国税庁、刑事局長、御両所からひとつこれは御答弁をいただきたいのであります。
  189. 磯邊律男

    磯邊政府委員 過日御答弁申し上げましたように、いわゆる使途不明金というのは五十五万ドルございまして、そのうちの十万ドル足らず、約八万ドル前後というものが、日商の米国の子会社の方に寄付金として行っているわけであります。その残余の約四十七万ドルというのが、当該会社の申し立てによりますと、海外における受注工作等の資金に使った、こういうことでありまして、われわれとしては、その一応の会社の申し立ては聞いたわけでありますけれども、確かにそうだということを確認するだけのものもありませんので、われわれはこれを使途不明金として処理したということでございます。
  190. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 先般公明党の坂井委員から重ねて御質問がありました際に、大出委員からの御質問の際に、簡潔に申し上げ過ぎて誤解を与えたような感じがいたしまして反省しておるというふうに申し上げたわけでございます。  その際も申し上げましたが、もう一度改めて申し上げますと、一応吟味をしたけれども、時効等の関係もこれあり、直ちに犯罪として立件するには至らなかったということでございます。しかしながら、今回のダグラス・グラマン問題の捜査あるいは国会における御審議の経過その他もろもろの情勢にかんがみまして、新たな事情が判明いたしますれば、やはり検察としても深い関心を示さざるを得ない。こういうところでございまして、その意味で、先ほど井上委員お尋ねにも申し上げましたように、十分関心を持って拝聴させていただいておる、こういうことでございます。
  191. 大出俊

    ○大出委員 これは念を押しておきますが、私ども、恐らくこの疑惑解明には時間がかかりますから、もう少し先にいって、いま幾つか触れましたどこに行ったかという金、明らかにする機会がありますが、どうかひとつそのときに似たような答弁が出てこないように、ぜひこれはひとつ詰めておいていただきたいとお願いをいたしておきます。淡水化プラントと称して淡水ならぬ金が流れて、キックバックされたり、還流されたりしたんじゃ、これはえらいことでございますから、ぜひひとつ念を入れてお調べをいただきますようにお願いをいたしておきます。  次に、いまのこの防衛庁との関係でございますが、関係ございますので、ここでもう一つ承っておきたいのでありますが、RF4E、この輸入に関しまするいきさつ、購入に関するいきさつ、これが一つ。それと、FMS、フォーリン・ミリタリー・セールという形で行われておりますが、有償援助、こう言っておるわけでありますけれども、こちらの方。これについて私は、日商岩井と防衛庁のその方の責任者が相談をしたじゃないかということを取り上げてありますが、両方とも答弁ができないままになっているわけであります。  そこで、RF4Eの方でありますけれども、これは偵察機でありまして、ボデーはF4Eファントムと同じものであります。機体はF4Eファントムと同じもの、これを偵察機にした。実際には軍事的には十四機じゃ足りません。あわてて十四機購入をした形です。しかも一括契約。こんな例もまた珍しいのでありまして、しかも買い方は買い取り方式。日商が買っておいて防衛庁に売る。これは大変な利益が生まれていると私は思います。ずいぶんもうかったなという感じでありますけれども、このいきさつについて御答弁をいただけない。答弁できないということで、後から何とおっしゃったかというと、つまり、生産ラインを停止する、アメリカがつくらない、こういうことになるから早く契約しろ。こういうわけなんですが、向こうからそのことが通告されている、その書類があるはずなのに、それをお出しにならない。お出しにならないで、江戸一佐という方が、後でこの江戸一佐さんはどういう職責であったかをお答え願いたいのですが、航空幕僚監部江戸一佐よりの調査依頼の件ということで、MDC、マクダネル・ダグラスでありますが、こちらから、防衛庁側の調査依頼によって、それにこたえて返事をしてきた。  こういう実は文書が私のところに参りました。西独のF4E購入によりRF4EGの生産及びデリバリー計画が影響されることはない。ドイツの方の関係があるけれども大丈夫だというわけですね。だから、ドイツのF4Eのデリバリーは、デリバリーというのはまあ納入ですが、一九七三年四月、というところで約二年間続く。また、米空軍向けRF4Cは、現在の見通しでは一九七三年十二月が最終号機で、MDCとしては、もし航空自衛隊が一九七二年四月にLOI、これは内示書というわけでありますが、を発行し、一九七四年四月よりのRF4EGデリバリーを約束できれば、米空軍向けRF4Cに使った治工具をそのままRF4EGにも使用をし、生産にギャップを来すことなく日本側につくってくれる、簡単に言えばそういう回答をしてきている、というのを皆さんが持ってこられたですね。  これは、ここに、私は、一つのからくりがある、立証をいたします。  四十七年の一月三十一日のこれは東京新聞ですが、次期偵察機RF4E、アメリカのMDC、ここがメーカーでありますが、生産を中止する、こういう通告がアメリカ側から来た。したがって防衛庁は大変に急いで、本来二十機要るんだけれども、十四機発注をすることにした。いきさつが詳しく書いてあります。  向こうから、生産を中止するから早く契約をしてくれということを言ってきた。通告してきた。だれに通告したのだ、こうなりますが、そこで防衛庁の方は、だから、どうもそれだけだというと、向こうから言われて、急がされて、踊らされて、しょうがないから、あわてて申し込んだかっこうになるのでまずいというので、江戸一佐の名前によって調査依頼をした。それで回答をとった。それがこれです。そのことを表に出して、あなた方は十四機一括発注。それではその前に通告してきたというのはどういういきさつなんだ。生産を中止するから早くやれと言ってきた。前回申し上げましたが、では一体生産を中止したのか。してないのですね。これを発注して、四十九年十一機、五十年三機というふうな入り方をしている。その後トルコとの契約問題でずうっとまた延びている。生産し続けている。何もこんなにあわ食わなくたって幾らだってできる。つまり、生産中止というのをぶつけておいて、陰で一体だれとだれがどういう相談をしてぶつけたかそれは知りません。この件について通告が来たことを知っている人は皆さんの中にいるんですよ。ここにはいないけれども国防会議に行っている人だっているんだから。その方に新聞記者の方がおいでになって聞いている人もいるんですね、二、三の人に聞いてみると。これは御存じだ。それを通告してきた方は出さないで、防衛庁の方から調査依頼というかっこうでやったらこういうのが来たと、だからというふうにした方だけを当時も表へ出した、いまも表へ出した。ここに、買い取り方式で買っちゃっておいて、防衛庁に売ったんだ。FMSでも何でもない。一体こんなにうまい商売ないんですよ。いきなり十四機日商岩井がぽんと買っちゃった。買い取り方式。そういうことになるとこれは疑いを差しはさまない方がおかしいのです。今回の事件の底流を流れているのはみんなそれじゃないですか。その中で防衛庁関係ない、こう言っているだけでしょう。だから私はここで要求があるのです。  これは通告があった後でこっちから調査依頼して、これは早く申し込まなければいかぬのだということにしてお調べになった中身なのであって、だからその通告をなぜ出せないのか、ここから始まらなければ筋は通らぬでしょう。大臣、この通告をお出しくださいよ。いかがでございますか。
  192. 山下元利

    山下国務大臣 RF4Eを四十七年に導入いたしましたことについては御指摘のとおりでございますが、当時の経緯につきましては、正確を期する意味から政府委員をして答弁いたさせますので、御了承いただきたい。
  193. 大出俊

    ○大出委員 私が言っているのは、聞いている皆さんがおわかりにならぬから経過を申し上げただけであって、私の論点は一つしかないのです。通告が来た、それでこれを出した。調査依頼をした。その一番最初の通告なるもの、生産中止をすると言って、世論を含めてぽんとおどかした。早く買わなければ大変だという空気にした。だれがしたのだということになるので、通告の来ているその文書。後でこれをお読みなさい。ほかの新聞にもありますけれども、四十七年一月三十一日、東京新聞を見てごらんなさい。細かく書いてありますよ、通告が来て、こうだといって。防衛庁にないはずがないじゃないですか。それをお出しくださいと言っているのだから、イエスかノーか答えてください、時間がないんだから。前任者からずっとずれていますから、時間は幾らもないんだから。中身はいいです。
  194. 倉部行雄

    倉部政府委員 ちょっと事実関係でございますので、私からお答えいたします。  先般の御審議におきまして、このRF4Eにつきましての生産ライン停止の関係、あるいは米軍のラインの中断の関係につきましての文書があるかというお話がございました。当時、突然でございましたので、調査したいということを申し上げたわけでございまして、その後調査をいたしておりますが、先ほどお話ございましたような資料を見つけまして先生に御報告申し上げたわけでございます。  それで、実は生産ラインの停止の問題につきましては、お話がございましたように、その後ギリシャであるとかトルコであるとかイランとかというのが出てまいりましたが、当時としては生産ラインが停止するのじゃないかというふうなこともあったわけでございまして、外国の分が出てきたというのはあるいは結果論として言えるのじゃないかという気もいたしますので、私としてはそういう見方をしているわけでございます。
  195. 大出俊

    ○大出委員 これはいまここでお出ししている時間がありませんが、私は全部調べてあるのですよ。だからこの間布石を打ったんだ。うそばかりおっしゃってはいけない。アメリカという国は、後で申し上げますが、E2Cもそうですけれども、国防、国務両省、メーカー、これが入りまして四つの目標を決めて生産機数というのを立てているのですよ。政府が金を出して開発させているのですから、それが回収できなければ生産停止しないんだ、そんなことははっきりしている。だから政治的な大きな力を使って、国防省、ペンタゴン、国務省も一緒になってトルコにもイランにもギリシャにも売り込んだんだ。そうでしょう。トルコ、イラン、ギリシャ等に売り込む。日本の次はすぐトルコだが、その前の、しかも二年も前の時点、納入するのに二年もかかるのだから、その時点で生産中止をするからといって文書をぶつけられて、あわ食って申し込んだんだが、ではそれならばその文書はだれが出させたんだと言うんだ。そうでしょう。それで、あなた方のこの回答書を見ると、見当たらないと言うんだ。いいですか、「御指摘のような書簡は」書簡なんですよ、ここに問題があるんだが、「調査したが見当たらない」。見当たらないということは、ないということじゃないのですよ。私が指摘したことをあなた方は否定できない。後で出されたらえらいことになるでしょう。だから一番いいのは「見当たらない」と書くことだ。ちょうどロッキード事件のときの、記憶にございません、というのと一緒だよ。そうでしょう。それじゃいけませんよ。だから、見当たらないなら見当たるまで捜してください、出してください。いかがでございますか。もう一遍捜してください。そこは答えてくれなければ困るじゃないですか、生産ラインは中止してないんだから。
  196. 倉部行雄

    倉部政府委員 大分古い資料でございますので、私ども捜したわけでございますが、先ほどの文書といいますか、非公式な文書が出てまいりまして、そのほかにつきましてももちろんさらに捜したいと思いますが、そういうことで……。
  197. 大出俊

    ○大出委員 さらに捜すとおっしゃるんだから、それでいいです。古い文書とおっしゃいますけれども、そんなに古くはないのですよ。  それで、RF4Eというのは今回捜査対象に入っておりますからね。念のために、伊藤さん、やはりRF4Eというのも対象になさるのでしょう。刑事局長いかがでございますか。
  198. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 捜査対象となる犯罪の嫌疑を見つけるためにいろいろ究明します、その射程距離内の問題でございます。
  199. 大出俊

    ○大出委員 明確な御答弁でございます。射程距離内とおっしゃった。射程距離内にあるものだと言っているのに、協力をすると言った防衛庁が捜さぬという手はない。よろしゅうございますね。  時間がありませんから、いまのFMS契約の件は、私の方から一言言って、これまた御回答いただいて終わりにします。井上君がいま質問をいたしましたが、このE2Cの問題はアメリカの武器輸出管理法に基づくFMSの契約です。武器輸出管理法というのは古いものじゃないのですよ、五十一年に大統領が署名したのですからね。いいですか。この時点でアメリカ国内が大変にやかましくなったのですよ、不正な取引ばかり起こるから。それで日商岩井の海部副社長は、カーン氏との間の密約の存在をグラマン社に言わざるを得なかったのです。なぜかというと、全部報告を義務づけられたからです。輸出管理法ができて、こういう金を払っていますということを報告しなければならぬのだ、世論がやかましくなっているし。だからそのことを利用して逆にカーン氏との間の契約を五十一年に切ろうとしたのです。だが、利益の四〇%に及ぶ契約。E2Cを売り込んで代理店変更までやってくれたカーン氏だからというので、大変にお世話になった、だから日商の利益の四〇%も差し上げるというふうに密約を結んだ。改定交渉をやった。島田さんが説明しています。その改定交渉によって改定契約をつくったというんだが、その中身はついに表へお出しにならない。きわめて不明朗です。だがしかし、これは明確なんだ。  そこで、時間がありませんから一点だけ申し上げて、御回答いただいて、この点は終わりますが、先ほどの私の党の稲葉検事——検事じゃないですな、いまは。稲葉代議士が、伊藤さんと同じような時代の検事さんですから、つい口に出て恐縮でした。実は質問をして、端数がありますが、概算要求で一機当たり約九十四億、こうなっていたじゃないか、ところが今回予算化した十一億五千百万円の中は八十五億七千三百万になっておるじゃないか、これは何で違うんだと言ったら、レートの違いだ、こう言った。ところがさらにその先に、これまた実は日商岩井と防衛庁の当時の装備局長との間で、コマーシャルベースで幾らになって、FMSに切りかえたら幾らになるかということを現に相談しているのですよ。だから出せと言っているんだ。これも証拠はある。そうしたところが、これまた別なものがある。つまり公式に防衛庁がその話し合いの上に乗っかって、世間体がありますからね、国会がありますから、表街道から相手のメーカーに物を言って、その比較検討の結果を取り寄せたのです。そうやったのです。それを持っていながらお出しにならぬ。なぜ出さぬのか。これは出さなければわからぬじゃないですか。射程内にあるのでしょう、いろいろいまの問題。E2Cなんというのは全く射程内そのものだ。そうでしょう。それをあなた方、出さない。そこで、じゃあ一体グラマン社の見積もりは一機幾らだったか。そうしたら、コマーシャルベースでいくというと九十九億四千万円だと言うのだ。概算要求で九十四億でしょう。五億も違うでしょう。五億四千万ばかり違うでしょう。コマーシャルベースが高いでしょう。レートは一体どうなんだと言ったら、いずれも二百三十四円レートと、こう言うでしょう。レートも同じならば、その差額は、中身は一体なんなんだ。そこまでよくわからないと、皆さんの方はこう言う。そこまでの説明しか私にしない。私の指摘したのは出せない、あるいはこれまた見当たらない。見当たらないんだが、さっきの江戸一佐の調査依頼と同じように、防衛庁側が向こうの会社、グラマンにぶつけたもの、それによって返ってきたものはありますと、こう言う。その中身はお出しできないと、こう言う。お出しできないと言うんだが、いま申し上げたように金額は大変な違いである。いま井上君も取り上げました。この間稲葉さんも取り上げましたが、締めくくりとしていま申し上げたわけでありますが、だから、この問題を明確にするためには、お出しにならぬ表街道からぶつけた資料、これをお出しいただきたい。それから、このくらいのものだと言うけれども、厚くたっていいですよ、調べるんだから、手がそろっているんだから。お出しをいただきたい。それから、私の指摘した点は見当たらないと言うんだが、これもひとつもう一遍捜していただきたい。射程内どころじゃない、E2Cというのは一番近いんだから。いかがでございましょう。ちょっと発言を求めてください。長い説明は要りません。出すか出さぬかお答え願いたい。検討するならそれでもいいです。
  200. 倉部行雄

    倉部政府委員 先般もう一つの問題で、日商岩井に対しまして前装備局長から価格について資料を出せという要求をしたのじゃないかという御質問がございまして、調べましたところ、関係者にも聞いたわけでございますが、それはないということで、そして聞きましたところ、日商岩井ではなくて、グラマン社に対して直接私どもの方から見積もりをとっていたということがございましたので、その点を先生に御報告申し上げたわけであります。(大出委員「それは出せませんか」と呼ぶ)その内訳での差の問題でございますが、調べましたところ、(大出委員「それはいまはいいです。時間がない、出せるか出せないか」と呼ぶ)いろいろ米軍調達する際のコスト安といいますか、そういうものが中心でございます。グラマン社がやるよりも、米軍調達する場合に、外国の機種であるとかあるいは日本の分の部品、資材を一緒に調達いたしますと非常に安くなるという面がございまして、そういう意味で安くなったという面がございます。そのほか、午前中にも申し上げましたが、秘密の問題その他FMSでは有利な面もございますので、総合的に勘案してFMSにした、こういうことでございます。  なお、資料につきましては、いろいろ機密上の問題もございますので、御猶予いただきたいと思うわけでございます。
  201. 大出俊

    ○大出委員 御猶予は困るのですね、それがポイントなんだから。E2Cというのはそれこそそのものなんだから。これは御猶予いただきたいと言って、私が粘るととまりますので、検討するなら検討するにしてもらって、後で少し話し合いしてください。
  202. 山下元利

    山下国務大臣 ただいま政府委員から御説明申し上げたとおりでございますが、私は、この点につきまして疑惑が生ずることではいけませんので、ただいまの問題については、御説明申し上げたとおりでございますけれども、さらにそれの御理解を得るために努力をいたしたいと思います。
  203. 大出俊

    ○大出委員 それじゃ、これはテレビもあるということですから、まさか出すまで粘るというわけにはまいりませんでね総理、だから、納得できるようにとりあえず私に説明をしてください、後刻。よろしゅうございますな。確認してください。
  204. 竹下登

    竹下委員長 承知いたしました。善処いたします。
  205. 大出俊

    ○大出委員 それじゃ、この際どうも中断というわけにまいりませんから進めます。  もう一点、先ほどの稲葉さんの質問で問題点がございます。  まず第一に、サンクレメンテ委員会というような話が出てまいりましたが、私の承知する限りは、一九七二年一月七日に佐藤・ニクソン会談がサンクレメンテで行われました。通称サンクレメンテ会談、ここでウランであるとか二十億ドルの軍用機の緊急輸入、当時軍用機二十億ドル、それから三億四千万ドルの民間機の輸入、これが中心になっていた、こういうわけであります。で、これは一月十二日のエバリー・牛場会談等に引き継がれております。これはもちろん一月七日から始めましたから、サンクレメンテ会談の中身です、エバリー・牛場会談というのは。先ほどのチータム氏の言っていること、取り消して後から言っているチャーチ委員会におけるやりとり、このエバリー・牛場会談でE2Cについてやりとりをされた可能性が非常に強い。なぜならば、二十億ドルの軍用機の購入が大筋として緊急輸入の枠に入っている。民間機は三億四千万ドルですよ。そしてこの緊急輸入を詰めたのはエバリー・牛場会談だ。だから、チャーチ氏が言っているように、サンクレメンテ委員会あるいはサンクレメンテ会談、委員会でも会談でも一緒ですが、ここでと言っているのは、マーシャル・グリーン氏、さっきの話の国務副次官補、後に国務次官補のマーシャル・グリーンさんが言っている、主宰してと言っているのはどうかわかりません、これはミスだと思います。間違いだと思いますけれども、この会談、ここで話し合われないはずはないんだ、だれが考えても。これがもう一遍申し上げますけれども一九七二年一月七日、サンクレメンテの会談。これがずっと続いていた。この一月十二日にエバリー・牛場会談があった、こういう脈絡です。そしてこれはその後に引き継がれている。この一月のサンクレメンテ会談の後田中内閣が成立をするわけであります。田中内閣の成立は七月の六日でございますな。田中内閣が成立した後、七月末に箱根において鶴見・インガソル会談が行われている。きょうの新聞かきのうの新聞か忘れましたが、インガソルさんが自宅で電話のインタビューに応じてお話しになっている。アメリカ本国から、国務、国防両省から駐日大使であったインガソルさんにE2Cの問題の話をしろとやかましく言われた、だから鶴見審議官と何遍も話したと、こう言っている。新聞に載っています。ここにございます。時間があればあと背景を申し上げますが、時間がないかもしれませんので、ずばりそのものを聞いていきますが、つまりそういう脈絡でサンクレメンテ会談、その中のエバリー・牛場会談で緊急輸入の話が行われている。そして田中内閣が七月六日に成立をする。そして七月末に箱根における鶴見・インガソル会談に発展をしていった。ここで一体何が話し合われたか。さて、これは七月末でございますが、ハワイ会談は八月でしょう。箱根における鶴見・インガソル会談はハワイ会談の前ですよ。これはエバリー・牛場会談を受けています。だから箱根でも当然話し合われている。そして、マーシャル・グリーン氏の言っているとおり、ハワイ会談で、日本は総理以下うそばかりおつきになるが、ちゃんと記録が残っていた。そうでしょう。そこで、私が先に申し上げてしまいますけれども、絵解きをしておかなければいけませんから申し上げておきますが、二十億ドルの軍用機の緊急輸入というのはこの後は表に一切出ない。なぜか軍用機の緊急輸入というのはやみにひそんでしまった。不思議なことです。だから、私はこれはやかましく言って前にロッキード事件のときに外務省から取ったんだが、ここにございますが、四十七年九月一日鶴見・インガソル会談についてのこの中には、民間機の輸入しか書いていない。民間機を三億二千万ドル相当のものを購入する。違っちゃいないじゃないですか。私のここにある記録には、サンクレメンテ会談のエバリー・牛場会談等で二十億ドルの軍用機、三億四千万ドルの民間機という話が出た。それが中心なんですね、金が大きいから。ところが鶴見・インガソル会談で、四十七年九月一日、ハワイ会談の後ですよ、この中の民間機の話しか話し合われなかったと総理は言うが、金額を見てごらんなさい、三億二千万ドルじゃないですか、民間機は。二十億ドルの軍用機、三億四千万ドルの民間機、端数を整理すれば三億二千万ドルになることだってある。同じ額じゃないですか。じゃ一体これだけ大きな緊急輸入の課題になっていた二十億ドルの軍用機はどこへ行ったんだ。あらゆる記録にないということは一体どういうこと。うそを言っちゃいけません。総理が一番よく知っているはずだ。お答えください。この問題の解明に協力をなさろうとおっしゃるなら、この焦点を答えない総理では、私どもは総理がいかなることをおっしゃっても信用ならぬ。いかがでございます。
  206. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 事実は事実として答えておるわけです。事実でないことは答えようがありません。
  207. 大出俊

    ○大出委員 もっともこれは多少でも私の言っていることに近いことをおっしゃると、いままでおっしゃってきたことが全部ひっくり返ってしまいますからね。  この間の質問で、マーシャル・グリーンという方に、ある筋から私は聞いてもらった。そうしたら、マーシャル・グリーンさんは何と言ったかというと、国務省から口をとめられたと言う。個人的に話しちゃ困る、すべて国務省を通してくれということになった。だから私は正式な、正当な外交手続で回答をとるべきだと申し上げたはずです。大平さんは一切出ていないという一点張りでございました、私のこの間の質問に。そのときに私は、なぜ一体国務省が、マーシャル・グリーンさんが個人的に物を言うことをとめたのかということについて聞いてもらった。そうしたら、すでにアメリカ司法当局に対してチャーチ委員会の秘密の部分を含めてE2Cに関する問題は資料の提出済みである、だからこれは司法取り決めによってアメリカの資料が日本に入ってきたときにその中に入っている、その可能性が多分に強い、こういうこと。だから、国務省の方は手持ちの記録というものを表に出すはずだということなんですね、だから私はそう言った。はっきりしているでしょう。だから私の心配は、非公式資料が日本に入ってきても、一貫してお答えになっている当時の外務大臣、現大平正芳総理のお立場からすると、そんなものがどこかからにおっては話は逆になってしまうのですね。これは非常に困るんですね。今回のこの問題の国政調査権という形における国会の質疑の中で大きな壁になるから困る、こう私は思っている。  そこで、・絵解きをしましたが、さて、エバリー・牛場会談の日米両方の全出席者のお名前をひとつ御提出をいただきたい。
  208. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 突然のお尋ねでございますが、日米通商協議におきますところの日本側の出席者は、牛場大使と関係各省の次官クラスということでございます。次官クラスの方々がどなたであったか、ちょっと的確にいま心得ておりません。
  209. 大出俊

    ○大出委員 マーシャル・グリーンさんは経済担当ですから、ここに出席しないのは逆におかしくなります。  そうすると、チャーチ委員会で、チャーチさんの質問にチータム氏その他が答えています。このやりとり。それから、時間がありませんからこの際ちょっと触れますが、チャーチ委員会に出されているアレンさんの書簡があるんですよ。ここにございますが、この真ん中がアレン書簡、チータムさんにあてている書簡です。リチャード・V・アレンからトーマス・P・チータムあての書簡がございまして、これはチャーチ委員会の資料の中にある。この中にキュアーという言葉を使っていますが、これは救済なんですがね。当時はロッキードも非常に経営が苦しい、グラマンも非常に苦しい。ディフェンス・システムズ・フォア・インターナショナル・マーケット、こう書いてありますが、つまりこれは国際市場に対するディフェンスのシステムを売り込む大きな計画、壮大な計画をアメリカが立てた。これには国務、国防両省みんな参画しているのですね。つまり、このペーパーをこのリチャード・アレンさんに送った。それはいち早くもう印刷済みになっていて、これはみんな同僚に配ってある、私のコリーグに配ってある、こうなっている。マーシャル・グリーンさんみんなそれを読んでしまっている。だからキュアーという言葉が入ってくる。つまり、苦しい経営状態に、当時みんなアメリカの大航空機業者あったのですから、これは懸命なアメリカの総力を挙げての売り込みなんですよ。そうすると、エバリー・牛場会談にグリーンさんが出てくるということになると、チータム氏が言っているとおりに、サンクレメンテ委員会で、それはグリーンさんが主宰すると言ったのは当たっていないと思いますけれども、E2Cの話し合いがあったということに間違いなくなる。そうでしょう。おわかりになりますな。だから出席者をと言ったら、いまのところ、まあこれは確かに前者の質問をきょうは私が詰める役目でございますから、突然になって恐縮でございますが、後ほどひとつこれはアメリカ側の出席者全員、わが方の出席者全員の氏名、そして何が話し合われたかという全記録を今度はひとつ間違いなくお出しを賜りたい。よろしゅうございますか。総理以下にこれはお約束をいただきたいのですが、いかがでございますか。しかし、私は恐らく軍用機の件についてはまた欠落をしているだろうと思います。すべてそういう手法で日本側は応答してきたからであります。お出しいただけますか。
  210. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 まことに申しわけございません。先ほど私が申し上げましたのは、そのすぐ前年の十二月の日米通商協議のことを申し上げました。間違っておりました。  いま先生の御指摘の点につきましては、調べまして御報告申し上げます。
  211. 大出俊

    ○大出委員 一々言っていると、反論していると時間がなくなってしまいますから、いまの点は論点を絵解きをしたわけでありまして、アメリカ側の事情というのを詳しく調べてありますが、申し上げている時間がありません。残念ながら割愛をいたします。ポイントはおわかりのことだと思いますので、ぜひひとつ、これはむしろ逆に総理に解明のためへの御協力という意味で御尽力を願いたいのであります。  そこで、有森國雄さんという方について実は私非常に心配なんで、時間のないところなんですけれども、特に触れさせていただきたいのであります。  三分ずつ二つのことを承りたいのですが、有森國雄さん、この方がテレビ朝日のインタビューに応じまして、背中だけ写させて、手と足、顔を見せない。私がこの証人喚問においでいただきたいと思っている方でありますけれども、おいでにならない。いやいや、この三日にと言うのですが、三日の出国手続の中には実はないのですがね。しかし、これは三日に行ったとなっているのですよ。ところが、この方は身の脅威を感じて、顔を写してくれるなということから始まりまして、これは私は大変なことになる。「大物政治家につながるやつ、」だとか、これは私が「やつ」と言うのではないのですから、有森さんが言う。「日商岩井につながる暴力団、」だとか「右翼が、」私もどうもそういう感じがするのですよ。「右翼が、私をねらっている」と言い出した、こう最後の方に書いてある。これは私は方々からねらわれているという話を聞いていまして、私は何遍かこの有森さんの会社に電話をしたりいたしましたが、なかなか行き先をおっしゃらないわけですね。大変にそこを警戒をしているようであります。この方は海部メモ——海部メモを実はきょうはじっくり突っ込んだ聞き方をしたかったのですけれども、残念ながら時間がないのですが、非常にこの有森さんの存在、私は心配をいたしますので、けさの記事、きのうのインタビュー等を見て、刑事局長さん、ひとつこれは十分お考え、御関心がおありになろうと思うのですが、いかがでございましょう。
  212. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 この前も申し上げましたが、有森さんという方のお名前は検察当局も承知しておると思いますけれども、その動静等については検察当局としては把握する立場にございませんので、御了承願いたいと思います。
  213. 大出俊

    ○大出委員 把握する立場にないのはいいんですが、御本人がこれだけのことを言っているという現実をながめて、もちろん日本じゃありませんからあれですけれども、喚問の手続をとるわけでありますから、あるいはとったわけでありますから、そこらのところは十二分にお気をつけいただきたいというふうに思っているのですけれども、どうもいまの御発言だけじゃ困るのですが、警察庁の方にもお見えいただいておりますから、ちょっとそこらお答えをいただきたいのでございますが、いかがでございましょうか。
  214. 小林朴

    ○小林(朴)政府委員 個人の身辺に危険があるということでございますれば、警察の方としては十分警戒をいたしたいというふうに思います。
  215. 大出俊

    ○大出委員 もう一つ、実はほかの問題を取り上げる時間がなくなりましたから、残念ながらこれだけでやめますけれども、政治家は便乗だけという趣旨の、お亡くなりになられました島田三敬さんのことを申し上げて恐縮なんですけれども、お亡くなりになる寸前にお書きになったメモがあるわけであります。二通あるんです。その中にこういうことが書いてあるんですね。ほとんど全文がここにございますが、この新聞の記事は、あて名がない、社会にあてた遺書の性格を持たせたんではないかと書いてありますが、あるいはそうかもしれません。「決して、決して、政治家の力を借りた訳ではないのです。つきあいはありました。でも、その力を借りると言ふ事は、期待できますでせうか。それはない。自分の力、それ以外に何がありますか。」というところを一つ書いておいて、実は、この中に「政治家は便乗」、こう言うんですね。この点を非常に強調されていますね。つまり、この遺書を通読をすると、ただ金だ、政治家だということで大騒ぎする、政治家は役に立たない、つまり、そういう意味では自分の力しかないんだが、政治家に金をということをここに書いてあるんですね。まともに解釈すれば、便乗されて金だけ取られると言わんばかりの書き方なんですね、この書き方は。これは政治家のつき合いがあることもちゃんと認めているんですね。そうすると、島田さんが生前おっしゃっていたことと最後に書き残したことは、はっきり違うんですね。存在を、介入を、あるいは便乗を、こう書いて全部認めているんですね。これは私信ではないからあて名がありません。メモですから明らかになったんですが、どうですか、刑事局長さんお見えになっておりますけれども、私、これを読んで今回の事件の底流をじっと振り返ってみて、やっぱりという気がするんですけれどもね。この件についてどういう御関心をお持ちでございましょうか。
  216. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘いただきましたような問題を含めまして、世間的にいろいろな疑惑が広がってきつつあるという状況でございますので、検察当局としては誠心誠意真相の究明に当たらなければならぬ、こう思っております。
  217. 大出俊

    ○大出委員 実は、これは簡単にメモのように見えますが、非常に大きな意味を持っている今回の事件に関する御本人の、中心的人物のお亡くなりになる寸前の書き残したものでございますから、ぜひひとつその底流をお調べいただきたいのであります。  大変時間が短くなって申し上げましたので、いささかどうも駆け足めいた御質問を申し上げましたので恐縮でございましたが、以上をもって終わります。
  218. 竹下登

    竹下委員長 これにて大出君の質疑は終了いたしました。  次に、坂井弘一君。
  219. 坂井弘一

    ○坂井委員 一連の航空機疑惑解明に対しまして、大平総理は、この究明に当たっては政治的責任をもって対処する、言葉は実にきっぱりと言われたわけでございますけれども、さて具体的にその究明に当たります政府姿勢というものは、私は、残念ながら十分だとは言いがたいものがあると言わざるを得ないわけでございまして、確かに捜査当局の活動というものも大いに期待しなければならぬということはわかります。わかりますが、大平総理の、すべては検察が優先をして当面は捜査当局の活動に期待するというこの言われ方というのは、おっしゃる真意は、しかる後において政府なりあるいは国会が真相の解明に当たればよろしいのではないかという、裏返しにして言うなれば。そういうつもりはないのでしょうけれども、しかし現実に、いま政府が対処している姿勢というものは、前段申しましたように非常に手ぬるいものがある、私はそう思います。  この国会におきますところの疑惑解明、一方検察におきますところのその任務なり目的というものは、それぞれその分野における任務、目的というものは異にしておる、しかし事件解明に当たってはまさに車の両輪のごとく、これが両々相まちながら解明に向かわなければならぬ、こう思います。そういう中でも、とりわけ国会が国政調査権に基づきまして、この事件解明にどこよりも有効に機能して、国民に対する責務の上からもその役割りを全うしなければならぬというところに、きのうの国会の決議の真意もあろう、私はそう自覚をし、理解をいたしております。国政調査権の行使に当たっては、政府は刑訴法立法の趣旨を踏まえた上で、国会に対しては最善の協力をするということについてはいささかの揺るぎもございませんねということを、私は先日の本予算委員会におきまして、総理にその基本姿勢について伺いました。総理は、そのとおりだ、こうおっしゃいました。しからば、資料の提出あるいは公表、これに当たってももっと積極的でなければ、総理のおっしゃったことは具体的に実行されたことにはならないのではないか。先ほど総理は、法令の許す範囲内において協力をと、こうおっしゃいました。国政調査権に基づいて法令の許す範囲において協力することは、これは言わずもがなのことでありまして、当然中の当然だと思います。この事件、この疑惑解明のために国会が決議もし、かつまた刑訴法立法の趣旨も踏まえた上で、国政調査権の行使に当たっては政府は協力をすると言うからには、通常の法令の範囲を超えてでも協力をいたしましょう、つまり具体的には、普通の場合には出せない資料も、国会の要請に対しては、疑惑解明に向かう有効な資料であるならばときには出しましょう、こういうことでなければならぬと思うわけであります。資料の提出ということについて先ほどから議論がございますので、いま申しました点につきまして、総理の資料提供に対する具体的な協力への姿勢、これをひとつ具体的にあらわしていただきたい。いかがでございましょう。
  220. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 かねがね申し上げておりますように、本件の解明につきまして、まず捜査当局を信頼してその進展を期待しておるということでございます。ばかりでなく、関係当局、防衛庁にいたしましても国税庁にいたしましてもそれぞれこの解明に当たっておるわけでございます。  それから、国会の国政調査権に対しまして、それは後でいいじゃないかなと言った覚えは毛頭ないです。そういう大それた考えは全然持っておりませんで、国会は現に調査を始められておるわけでございまして、これにつきましては法令の許す範囲内において最大限の協力をするのはあたりまえのことでございまして、そのために全力を挙げてやるつもりでございます。多少法令を踏み越えてまでやるつもりはないかと、そういうつもりはありません。
  221. 坂井弘一

    ○坂井委員 総理、それならば、踏み越えてでもやるつもりはないかということについては、そのつもりはないとおっしゃれば、それはきのうの国会決議の意味も、また、今回の事件解明に対して国会が国民に対してその責任を果たそうということで、刑訴法立法の趣旨も踏まえて、つまり四十七条ただし書きまで踏まえて、そして国会、国政調査権に対して、政府に対する協力を求めたわけですね。したがって、そういうことについてさきの質問者においても、具体的に協力できる例はどういうものかと法制局長官に尋ねられたのだと私は思うのです。いまのお答えですと、今度の事件に対して総理が協力をします、最善の協力をいたしますという意図が何ら具体的に反映されていない、そういうことになるのじゃありませんか。
  222. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 最大限に御協力申し上げる。法令を踏み越えてまでやるというようなことは、あなたの方からも、政府はそんなことはしちゃならぬというお諭しがあってしかるべきことでございまして、踏み越えてまでやるということは、私は政府としてとるべき道でないと思います。
  223. 坂井弘一

    ○坂井委員 守秘義務があるということは私は百も承知しております。一方、それに対して国政調査権がある。両者の間においてはそれぞれ相侵さざるべき分野があるということも百も承知しております。その上に立って、具体的に何をどう協力なさるとおっしゃるのか。少なくとも資料要求に対して、通常の場合、一般的な場合には法令の範囲内においてということはもうあたりまえのことですから、当然だと思う。当然のことを越えて、何か越えられる部分があるんじゃないかということをお尋ねしているわけなんです。全くありませんか。
  224. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 当然の範囲内において最大限の御協力を申し上げるわけでございまして、範囲を越えるわけにはまいりません。
  225. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、後ほど具体的な内容を提示しながら資料の要求等もいたしたいと思います。  もう一方、証人喚問ということも、国会に課せられた疑惑解明に対する最も有効な、また大事な手段であろうと思います。もちろんこれは国会みずからの意思で決めることでございます。しかしながら、今日までの経験から申しまして、現実にいよいよグラマン、ダグラスに対します捜査も強制捜査に踏み切る、そして行き着くところは、事件であるならば裁判、法廷での争いということになるでしょう。そういうようなことを想定いたしますと、そういう時期に至ったならば、証人喚問は、例のとおり、捜査密行の原則あるいは裁判に予断を与えてはならぬということのために常に後回しになってしまう、これが現実でございます。ということでありますれば、証人喚問はできるだけ早い時期に、必要な証人にはできるだけ数多く来ていただきまして、そして真実の証言をいただくということが、やはり国会における国政調査権行使の一環としての証人喚問としてぜひ必要であろう、こう思うわけでございますが、総理はどういうお考えをお持ちになるでしょうか。
  226. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 国会が御判断されることでございまして、良識のある御判断をされることを期待いたしております。
  227. 坂井弘一

    ○坂井委員 法務大臣はどうお考えになるでしょうか。強制捜査、裁判に入ったらなかなかできないという事情がございます。
  228. 古井喜實

    ○古井国務大臣 国会が証人喚問されるのは別に政府を通してされるわけでもない、これは国会が真っすぐ証人喚問されるわけですから、大平総理の直接の関係にはならぬかと私は思うのです。国会が喚問されれば、出てくる、出てこぬというのはその問題になってくるのじゃないかと思うのであります。でありますから、この問題は捜査との関係もありましょうけれども、それは本人がほかの事情で出られぬ正当な理由がある、こういうことを言い出すかもしれませんけれども、これはちょっと政府というか、のかかわるところではないように私は思います。
  229. 坂井弘一

    ○坂井委員 いま一度総理に伺っておきたいのですが、この灰色高官の公表という問題、これもやはり政治的、道義的責任を究明するという一つの過程の中でこの公表が必要になるということだろうと私は認識をしております。これが終局の目的では決してありません。あくまでも事件を徹底的に解明をし、かつ、最終的にはいかにしてこのような事件を再び生み起こさないような再発防止を国会が考えるか、そこに結論づけた目標があろうと思うのです。灰色高官公表は過程の中の問題だろうと思うのです。そういうものも含めて大事でありまして、そしてこの目的の詰まるところ、事件解明と同時に再発防止に全きものを得る、こういうことでなければならぬと私は思っておりますけれども、総理の御認識はいかがでしょうか。
  230. 古井喜實

    ○古井国務大臣 間違っておったら総理から直してもらいますが、いま灰色高官お触れになったわけであります。前にも申しましたように、捜査を始めたまだ初期の段階で、捜査を詰めていかないと、だれが本当に罪になるのか、罪になる人間は灰色と言うのじゃないのですから。なる人間、ならぬ人間ということの振り分けもつかぬわけでありますから、いまの段階では灰色とかいうものがあるのやらないのやらですね。でありますから、どうもいまのところはこの問題は扱いようがないわけであると私は思います。  それから、先の段階においてでありますけれども、捜査中にはそれにかかわる人間は、捜査の方、そっちの方の関係で、いま取り調べをやりたいとかやっているとかというようなことで必要があればこれはどうしようもないことだ、区切りがついたとき、一段落ついたときの話にどっちみちなってしまうのじゃないかと思うのであります。ですからそのときでいいようなものですけれども、しかし私は、あるいはここで、この段階で考え方を申し上げた方がいいかと思うのであります。なぜかというと、詰めた後で具体の人間がクローズアップしたときに、その具体の人間を顧慮して扱いを考えるということはよくないと私は思う。だれかわからぬときに考える方がむしろ公平だと思いますから、いまはどっちみち時期でありませんよ。が、そういう意味で議論をすることは、いまの段階も無意味どころじゃない、意味が大いにあるように思うのであります。  そこで、それにつきまして、いま国会の方は、国会の権威において国政調査権を発動されて調査をされるということは当然でしょうし、この事態に国会がその任務を尽くさぬなんというのは、私はむしろおかしいと思うのですよ。そこでこれは大いに独自におやりになったらいいと思います。これに対して政府側も協力し得ることは協力するべきものだとそれは思うのであります。  そこで、多分そこまでではまだ問題がたくさん残ってしまうからして、灰色高官なんて出ておりましたし、捜査の資料の問題でありますが、これは申すまでもなしに、犯罪があるかないか、犯罪を究明するために捜査しておるのですね。犯罪の問題を捜査するのでありますからして、強制権まで用いて捜査するのでありますね、捜査の場合にですね。そうして強制権まで用いて捜査したものを犯罪以外のことにこの資料を用いる、いわばほかの犯罪以外のことに強制権を用いて資料を集めるということになるのでは、これは人権の関係において私は一問題だと思うのであります。その人権の問題もこれは考慮しなければならぬと思うのです。それからまた、当該関係の人の立場から申しましても、申すまでもないですけれども、たとえば検察に調べられたんだ、余りいい話ではないんです。いわんやそれを名前を出す。これはその本人の名誉、人権という上から申しましても、これはわれわれの憲法が重大な原則にしておる人権尊重という見地からよく考えてみなければならぬ問題だと私はそう思うのですね。捜査の結果シロであった——これは起訴すべき者だというのは裁判所に出しますからね。シロであったという人間の問題になってきますから、そうしますと、その人は調べられただけだって迷惑を受けたので、結局シロだったのですから。何か埋め合わせをしなければならぬぐらいじゃないかと私は思うんです。いわんやそれを名前を表に出すというのは、その人の名誉と人権の上でこれは本当に考えなければならぬ問題じゃないでしょうか、皆さんも。そこで、やはり国政調査は重大だし、目的を達せなければなりませんけれども、われわれの憲法が大原則にしておる人権尊重という問題を踏み越えて、・踏みにじって、何やつてもいいとはいかぬと私は思う。そういうことをやったら、われわれは憲法は守れません。ですから、いまの、調べたがシロであった、捜査の強制力まで使って調べたらシロであった、相済みませんという人間を出して、そうしてその人の名誉、人権というものはどうなるのか。こういう点もやはり重大に考えませんと、一方的ばっかり、こっちの原則だけでは、やはりこれは片手落ちになってバランスがとれないと私は思うのでありますから、この辺も皆さんもよくひとつ一緒に考えていただきたい。お互いに憲法を守っていくのですから、共同で。お願いしたいと思います。
  231. 坂井弘一

    ○坂井委員 法務大臣、長々御説明いただきまして謹聴さしてもらいましたが、ただ基本的人権を守らなければならぬ、これは普遍的なことでありまして、事件解明のために基本的人権を侵してよいなんていうような、そういうことを考えてはおりません。しかし、いま一方においてより多数の国民の基本的人権というのもあるのです。そうでしょう。これだけの事件が、疑惑が日増しに高まって、そして政治に対する不信がますます増長していく、こういうことですね。このこと自体は、日本の民主主義が崩壊するのではないかという危機意識を持つわけですね。そのことにおいては大平総理も御同感だろうと私は思う。したがって、そういう最大多数のまた基本的人権というもの、つまりこうした公益というものと、そして一方における個人の基本的人権というもの、この比較考量においてどうするかという問題でしょう。常にこのことでいままでも議論をしてきたことなんです。いま法務大臣、シロのことをおっしゃったけれども、灰色というのは、いわゆる灰色を言っているわけでありまして、政治的、道義的にそういう政治家というものはやはり糾弾されなければならない、道義的な政治的な責任の所在というものを明らかにされなければならぬ私は立場にあろうと思うのです。何が道義的、政治的に非難され、あるいはまた法的に何が処断されるのかというようなところをきちんと縦分けしていきませんと、灰色だ灰色だというので、何もかも灰色みたいにわけのわからぬようなうやむやな形で終わっては断じてならぬとこう私は思います。したがって、この問題についてこれ以上議論をしていきますと本論にどうも入れないように思いますから、この辺でやめたいと思いますが、ただ犯人捜しを国会がやっているのでは決してありません。そのことも明確に申し上げておきたい。少なくとも法的に処断されなければならぬという人は、これは検察に任して、法のもとに処断されるわけでありますから、何もわれわれ検察のまねをしようというわけでは決してございませんでして、おのずから目的が違う、役割りも違いますということは前段申し上げたとおりでございます。  さて、総理に伺いたいと思いますが、四十七年の八月の三十一日、明けて九月一日のいわゆるハワイ会談、年が明けまして二月のエバリー・鶴見会談、さらに五月のインガソル・鶴見会談、こういう過程を追いまして、二月、五月段階では武器購入問題について議論が交わされた。E2Cの問題もそこで出た、ここまでは明確でございます。そういたしますと、このE2Cというものは少なくともハワイ会談と無関係ではなかろう。米側のグリーンさんの方にはきちんと日本側にE2Cの購入要請、これは文書があると言うわけです。こちらは雑談と言うのです。しかし、その後の経緯を踏まえながら考えますと、E2Cはハワイ会談とは無関係だと、こう断定するのではなくて、因果関係としては客観的に見て、まあそういうことであればやはりハワイ会談で出たのかなあと見るのが私は一般常識だろうと思うのですね。総理の御感想程度で結構です。これはなかったとおっしゃっているのですが、いま私が言ったような平均的な、一般常識人が常識的に私はそのように考えているだろうと思うのですけれども、そういう常識に対して、私は常識だと言うのですけれども、大平総理はどうお考えになります。
  232. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 坂井さんも御承知のように、一九七一年、二年というころ、そのころはちょうど日米貿易収支が大変アンバランスの状態でございまして、アメリカの計算と日本の計算とは若干ベースが違いますけれども、二十五億ドルとか三十億を超えるアンバランスということで、アメリカ側はそのアンバランスの是正を強く日本政府に迫っておったわけでございます。日本の場合は御承知のように食糧でございますとか飼料でございますとかを初めといたしまして、多くの物をアメリカから輸入いたしておるわけでございます。そこでインガソル氏並びに鶴見君の率いる実務者会議におきましては、この七二年度全体を見通しましてどのぐらいのアンバランスが見込まれるか、それをどうして埋めるかということが主題になったわけでございます。飛行機機種を問題にするとか、防衛上必要かどうか、そういう問題ではなくて、貿易収支のアンバランスをどのようにして埋めるかということが主題になったわけでございます。その場合にどういう購入の予定があるかというような資料は外務省も各省から調査をいたしまして、この程度期待ができるからというような数字をアメリカ側に提示してその理解を求めておったわけでございます。それが箱根会談、ハワイ会談を通じまして実務者会談のレベルで作業が煮詰まってまいりまして、それがインガソル・鶴見会談として共同コミュニケと並行して公表されたのでございます。それは公表されておりますからお手持ちだろうと思いますけれども、そういう問題が主題でございまして、E2Cというものと非常にほど遠い問題がテーマになっておったわけでございます。このことがわれわれの会談を通じて問題にならなかった、私にこういう話があったということの報告がなかったことを私は不自然と思っていないのです、そういう会談であったわけでございますから。ごくきわめて常識的に言えということでございますから、私が常識にそう受けとめておるわけでございます。
  233. 坂井弘一

    ○坂井委員 チータムさんが、E2Cの売り込みはハワイ会談が突破口だったというようなことを言っているようですね。いろんなことがあります。その辺の経緯、一連のものがやはりあろうと見るのが私は常識だろう、こう思っているのです。マーシャル・グリーン国務次官補が鶴見審議官、これは日本側の首席随員ですね、雑談みたいにこっちは受けとめたということですが、向こうは記録にちゃんとある。この場で鶴見首席随員と一緒におった人はおるのでしょうね。いないのですか。これは確認されましたか。
  234. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 先般この委員会で御報告申し上げましたように、その九月一日の午前九時から外務大臣と国務長官との会談が行われていたわけでございますが、その席には、日本側からは鶴見外務審議官、吉田アジア局長、大河原公使、橘アメリカ局長代理それから米側からインガソル駐日大使、ジョンソン国務次官、グリーン国務次官補、ボルドリッジ国家安全保障会議部員、エリクソン国務省日本部長、こういう人たちがおったわけでございます。  それが、午前十時に会談が終わりまして、大平外務大臣とロジャーズ国務長官が別室の総理、大統領会談に合流をされるために席を立たれて、それからアメリカ側の随員の中でもジョンソン次官とかインガソル大使も米側の記者会見のために部屋を出ていかれた、こういう状況でございますので、いま申し上げました人物のうち、その部屋から出られた四人を除いた残りの方々がその部屋には残っていた、すなわち具体的には、日本側は鶴見外務審議官と吉田アジア局長と大河原公使、橘アメリカ局長代理ということになりますし、先方側はグリーン国務次官補、ボルドリッジ国家安全保障会議部員、それからエリクソン国務省日本部長、こういうことになるかと思います。
  235. 坂井弘一

    ○坂井委員 そのいまおっしゃった方々は聞いていない、鶴見審議官からも聞いていない、こう言っている。鶴見さんはハワイ会談から帰られまして、ある報道機関にE2Cの話は出たかと聞かれたときに、E2Cの話は全く出ませんでしたと答えたという記事がございますが、その辺のいきさつについては外務省は御調査になりましたか。
  236. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 特にそのような事実は聞いておりません。
  237. 坂井弘一

    ○坂井委員 記事としてはっきりありますから、一度御調査されたらどうでしょうか。それらも含めて再調査されるでしょうか。
  238. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 鶴見外務審議官御自身が亡くなられておられる状況でございますから、いまのようなことが、たとえば新聞記事で確認し得るものかどうか、私どもも調べてみたいと思います。
  239. 坂井弘一

    ○坂井委員 先ほどもございましたが、外務省報告では、米国務省の報告書の末尾にE2C航空機への言及の部分を見出した、こう言われておるわけでありますが、これは確認のためにもう一回伺っておきたいと思いますが、照会したのはこちらからE2Cだけですか。E2Cに限って米側に照会したのですか。
  240. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 私どもが照会いたしましたのは、かつてのグリーン次官補がE2Cのことを新聞に話したという事実がありましたので、E2Cのことを照会したわけでございます。ただ、その際に、米側から回答がありました際に、先ほどもお答え申し上げましたが、米側からは、同じ軍用機であるけれども、PXLとかP3Cというようなものが向こう側の記録に出てくることはなかったということをあわせて言ってきております。
  241. 坂井弘一

    ○坂井委員 では具体的に入っていきたいと思いますが、私は、先般の質問で、国際的契約の届け出に関しまして、届け出られた契約書はどれくらいありますかということを公取委員長に伺いました。公取委員長から回答されましたのは四件であったと思います。日商岩井に関します分はダグラス社との間の契約書が二通ございました。三井物産に関しましては、これもダグラス社との契約一通、さらに日商岩井はグラマンとの契約一通、合計四通、これが国際的契約の届け出義務事項に従いまして届け出られた契約書でございます。  法務省に伺いますが、無届けの契約法務省の方ではつかんでいらっしゃると思います。どれぐらいあるものでしょうか、どんな内容のものがあるのでしょうか。
  242. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 きわめて広範な範囲の問題でございまして、何とお答えしていいかよくわからぬのですが、私どもで届け出がなかったことがわかっております典型的なものが一つだけございます。それは、ロッキード事件で明らかになりましたロッキード社と児玉譽士夫とのいわゆる秘密コンサルタント契約、これでございます。
  243. 坂井弘一

    ○坂井委員 日商岩井とハリー・カーンの契約、密約書、契約は密約ですから、これはつかんでいらっしゃる。
  244. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 恐らく、いま一部で報道されています日商岩井とカーン氏との密約というものは、密約でございますから届け出られてないと思いますが、そのいわゆる密約の内容等については現在捜査中でございますので、その点何とも断定的なお答えはいたしかねます。
  245. 坂井弘一

    ○坂井委員 日商岩井とハリー・カーン、この成功報酬をめぐりますいわゆるいまの密約でございますが、日商岩井は当初密約の存在を否定して、後でありましたと認めたわけです。この契約は、防衛庁、これも歯切れよくお答えをいただきたいと思うのですけれども、この密約の解消されたのはいつとごらんになっているのですか。
  246. 倉部行雄

    倉部政府委員 私ども承知しておりません。
  247. 坂井弘一

    ○坂井委員 すでに防衛庁に出されましたグラマン社からのあの解約の通知あるいは契約関係、あるいは確約書四通あるはずですね。これは先般資料要求をいたしてございました。これらを見まして日商岩井とハリー・カーン氏との間におけるいわゆる密約、これが解約された時期、これはおよそ想像がつくのじゃないでしょうか、いかがでしょう。
  248. 倉部行雄

    倉部政府委員 グラマン・インターナショナル社のオラム社長からの米人コンサルタント、つまりカーン氏との間のコンサルタント契約につきましては、一九七八年の四月一日解約ということははっきりしておるわけでございますが、いわゆる密約につきましては、この解約通知書からははっきりわからないわけでございます。  ただ、その書簡の中で、解約の確認通知書の中を見てみますと、カーンは、一九七五年末に、そういった密約ではないかと思いますが、それが切れていたと考えていたということをグラマン社の方で信ずるということを書いてあるだけでございまして、私ども実態はよくわからないわけでございます。
  249. 坂井弘一

    ○坂井委員 装備局長、確かにそれは末尾にありますよ。これは後で申し上げたいと思いますが、その前の正式な解約通知書、一九七八年、五十三年の二月二十八日、この中に「この問題は解決したと思っておりました。しかしながら、最近の日商岩井からの情報によると貴殿と日商岩井との契約は未だ効力を有していることが明らかに示されています。」こうあるのですから、むしろここのところは五十三年の初めの段階ですね。少なくとも五十三年の二月二十八日以前、二月二十八日に非常に近い時期、そう読んで間違いないのじゃございませんか。そこまでは密約が存在したと……。
  250. 倉部行雄

    倉部政府委員 この解約通知書に書いてある以上のことは私どもよくわからないわけでございます。
  251. 坂井弘一

    ○坂井委員 それじゃ伊藤刑事局長、こんな経緯については、あるいは内容については熟知されていらっしゃるはずだと思いますので、どうですか、法務省では、密約の解消の時期は大体いつとにらんでいらっしゃいますか。
  252. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 ただいまわれわれの見ることができますいわゆる公開の資料の中に、防衛庁が御発表になりましたオラム氏からカーン氏あての解約通知書と解約通知再確認書と、二つあるわけでございます。御指摘のように、前者によれば、一九七八年二月二十八日ごろにはまだ日商岩井とカーン氏との間のいわゆる密約が効力を存しておるというグラマン社の認識が記載されておって、後者によりますと、カーン氏が一九七五年末にもうこれは解約されていたと思っていたと言うのであるから、これを信用しましょうというような趣旨が書いてありまして、これでこの二つの材料しかありませんから、いわゆる密約解消の時期がはっきりしないということになるわけでございますが、いずれにしろ真実は一つしかないわけでございまして、その辺は今回の問題の捜査の過程で一つの関心事でございますので、検察当局としては十分検討していると思いますけれども、まだその内容について発表できる段階ではございません。
  253. 坂井弘一

    ○坂井委員 私のほうへカーン氏から手紙が最近届いておりまして、このものについて述べております。「私は貴殿と」、「貴殿」というのはカーン氏です。「私」というのはピーター・B・オラム・グラマン・インターナショナル社長。「第二のレターの第二章で私は次の如く述べております。「私は貴殿と日商岩井との間に、貴殿の日商岩井との契約条件に関し、誤解が存在したとの説明を容認します。私は貴殿が当該契約は一九七五年末頃解消していたと思ったことも信じます。」」これは相手の立場に立っておるのです。「上記の陳述は現在も適用し得ると私は考えております。相互の間にはカーン氏を一九七五年末か一九七六年初頭に当該契約が解消していたと信じせしめ、一方、相手方においては、そのように理解されていなかったというある種の混乱が生じていたことは想像に難くありません。」云々というくだりがございまして、つまり、この辺が混乱したということについてのオラムさんの感想等を含めたことを述べているのだろうと私は思うのです。しかし、少なくとも書類上は、昭和五十三年初めまでの時点はあったということを日商岩井側も認めておるというその事実については、日商岩井が認めたということ、そのことについては、伊藤刑事局長御存じだろうと思うのですけれども、いかがでしょう。
  254. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 日商岩井側がどう考えておるか、存じておるようなおらないようなものでございますが、お答えは御勘弁願いたいと思います。
  255. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間が余りございませんので、簡明にお答えいただきたい。  この日商岩井とハリー・カーン氏との間の契約、このことについてはさておきまして、グラマン社と日商岩井の契約、この契約の旧契約、いま新しい契約が五十三年十一月一日から効力を発効しておりますね。この改定契約前の古い契約、この契約の有効期限はいつまででしたか。
  256. 倉部行雄

    倉部政府委員 一九七八年六月四日まででございます。
  257. 坂井弘一

    ○坂井委員 これは入手されたのがことしの一月ですか。
  258. 倉部行雄

    倉部政府委員 さようでございます。
  259. 坂井弘一

    ○坂井委員 効力を有したのは五十三年六月四日といいますと、次の改定契約書は十一月一日、五カ月間これは空白ですか。これはどういう意味でしょう。
  260. 倉部行雄

    倉部政府委員 空白でございまして、私どもの聞いておるところでは、その間、日商岩井がアメリカグラマン社とその代理店契約について、アメリカ内のいろいろな手続その他で時間がかかったのじゃないか、こういうふうに聞いております。
  261. 坂井弘一

    ○坂井委員 FMSの導入決定、E2C六機を買いましょうということを防衛庁庁議で決定したのが昨年の八月二十三日ですね。そうしますと、その時点においてグラマン社と日商岩井の契約関係はどうなっているかということについては、当然防衛庁は一番関心をお持ちになることだろうと思うのですね。その時点では契約が切れた空白の段階だった、こういうことですね。すると、その八月二十三日、庁議決定の段階契約書の提出を求められてそのことを知った、こういうことになるのでしょうか。
  262. 倉部行雄

    倉部政府委員 前にも申し上げましたことでございますが、ロッキード事件以来、私ども、大きな装備品を買います場合にできるだけ代理店契約というものをとるといいますか、把握するということに努めてまいりまして、今回のE2Cにつきましても、その関連で代理店契約がどうなっているかということを調査したわけでございますが、いま申し上げましたように、ちょうどそのころ切れている古い契約と新しい契約の空間の時期でございまして、そのころ案として新しい契約の案が検討されていたわけでございまして、これを、昨年八月にグラマン社からその案の段階のものについて内容の説明を受けております。その後、案文として、九月になりましてから日商岩井から受け取っております。  以上でございます。
  263. 坂井弘一

    ○坂井委員 ちょっと待ってくださいね。改定契約を入手されたのはいつでしょうか。改定契約は昨年の十一月一日からですね。これはいつ入りましたか。
  264. 倉部行雄

    倉部政府委員 昨年の十二月十一日でございます。
  265. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと四十日間おくれたわけですね。おくれた理由は何でしょう。
  266. 倉部行雄

    倉部政府委員 日商岩井から持ってきたのがその日でございまして、その辺の事情はよくわからないわけでございます。
  267. 坂井弘一

    ○坂井委員 あなた方はグラマン社に対して早く出してくれと要請したのでしょう。それがどうしてそんなにおくれるのでしょうか。この改定契約は大事でしょう、FMSに関係してくるわけです。まして、疑惑は一切ありません、日商岩井にはコミッションは入りませんと防衛庁長官はあれほど何回も何回も繰り返しおっしゃる。この改定契約というのは、非常に大事な意味合いを持っていると思いますよ。それが十一月一日に結ばれた。いち早く防衛庁は手に入れなければいかぬでしょう。また、それを見なければいかぬでしょう。信じられぬでしょう。果たして改定契約の中にコミッションは日商岩井には入らないということが明確であるかどうかということを確認せねばいかぬ。それがどうして四十日もおくれたのか、こう聞いているわけです。持ってきたのがそれでございましたでは、これは納得できませんよ。
  268. 倉部行雄

    倉部政府委員 新しい契約がその案の段階のもので大体進んでいるということを聞いておりまして、その際比較しましても案と全く同じものでございます。
  269. 坂井弘一

    ○坂井委員 そういう非常にあいまいなんですよ。  八月の二十三日にFMSで、結果的には四機になるわけですけれども、その時点ではあなた方概算要求は六機するわけです。これは日商岩井にはコミッションは入らないのです。いわゆるFMSですから、日本政府アメリカ政府間の直接取引なんだ、一銭も入らない。したがって、疑惑がある、疑惑疑惑解明してください、このE2C導入については何らコミッションの関係はまつわりつきませんから、きわめて公明正大、これは白日のものです、こういう主張ですね。だったらその時点で確認しなければならぬじゃないかと言ったら、まあその時点では大体間違いないようなことがグラマンと日商岩井間にあったようですからそれを信じてずっと来た。そしてようやく十一月一日ということで改定になった。それをとったのが、手にしてみたのが十二月に入ってからだ。四十日もずれておる。これは、そんなあいまいなことで、日商岩井側の言い分あるいはグラマン社の言い分をそのままそっくり防衛庁は信じてきたのか、こう言われてもやむを得ないのじゃないですか。  私どもの方に参っておりますオラムさんからの一月の二十四日の回答書は、コミッションは日商岩井に支払うと明確になっているわけですね。はっきりとそのことがここに言われております。「E2Cが売れた場合に、グラマンより支払われる手数料は、現在貴政府が入手されている契約書の中にうたわれたものだけです。」つまりコミッションはE2Cについてはちゃんと払う。そのことを日商岩井との間で契約をいたしまして、契約書は防衛庁が入手しておる。恐らく防衛庁がおっしゃっているこの契約書は改定契約を指して、そしてただし書きのところにFMSの分については払わないとなっているから大丈夫だ、こうおっしゃっているのだろうと思いますけれども、それならもう少しその内容を細かく説明していただかないと、直ちには信用できませんね。報酬率等については書いてありますか。
  270. 山下元利

    山下国務大臣 ただいまお尋ねの件につきましては、先般も御答弁申し上げたのでございますが、この日商岩井とグラマンとの契約書につきましては、先ほど来政府委員から申し上げたとおりでございまして、案の段階においてもとり、そして正式に入りまして入手したということでございます。われわれとしては、あくまでFMSは政府間契約ではございますけれども、その適正を期する上から、このグラマンと日商岩井との代理店契約書について入手いたしているわけでございまして、その間の経緯については先ほど政府委員から御説明したことで御了承賜りたいと思う次第であります。
  271. 坂井弘一

    ○坂井委員 質問に正確にお答えをいただきたい。つまり私がいま言っているのは、報酬率等については、その改定契約書の中に書かれてありますか、こう聞いたわけです。書いてあれば書いてある、なければない……。
  272. 倉部行雄

    倉部政府委員 書いてございますが、ただしFMS取引の場合は一切報酬は支払われない、こういうことになっております。
  273. 坂井弘一

    ○坂井委員 だからそこが問題なんですよ。その報酬レートをおっしゃってください。何%ですか。どうなっておりますか。  それから、あわせてお尋ねいたしますが、防衛庁長官、補用部品もFMSでいくというのか、補用部品についてはFMSでなくて民間商業ベースで取引をする場合もあるというのか、どっちですか。これは明確にしておいてください。
  274. 山下元利

    山下国務大臣 ただいま御審議願っております三百四十三億につきましては、すべてFMS形式でございます。ただ、補用部品と申しますか、後ほどの修理なんかにつきましては、その段階で決定するわけであります。  そして、この代理店契約書のことにつきましては、ただいま政府委員答弁申し上げたとおりでございますが、私どもといたしましては、事態の究明のためには全力を挙げなければいけませんが、第三者間の契約でございますので、その点におきまして、私どもは、もしお尋ねがあればこういう事態でございますので、御説明申し上げるということで、先ほど来、このFMSについては報酬は支払われないとかあるいは報酬率については書いてはございますということをそれぞれ政府委員答弁しておるわけでございます。御理解賜りたいと思う次第であります。
  275. 坂井弘一

    ○坂井委員 それなら一点だけ、防衛庁長官。  そうしますと、補用部品については将来は必ずしもFMSでいくというのではなくて、補用部品は、これは必然的にそうなるのでしょうが、グラマン社の代理店でありますところの日商岩井を通す、その場合には日商岩井には当然のことながらコミッションは入る、こういう可能性はあるのですね。
  276. 山下元利

    山下国務大臣 お答え申し上げます。  この三百四十三億は初度調弁でございますから、これにつきましては、あくまでFMSでございますから、日商岩井の入る余地は絶対ございません。一切ございません。ただ将来にわたりまして、たとえばそれを修理する、補用部品、これは修理程度でございますから細かいことでございますが、これにつきまして一々FMSによるかどうかはまだ確定いたしておりません。その点はまた一般契約による場合もあり得ると思います。
  277. 坂井弘一

    ○坂井委員 一般契約によらなければならぬことになるのですよ、大体。修理程度ですからと言って、そんな認識では防衛庁長官、補用部品というのはずいぶん要りますよ。大変なものですよ。よくまた御勉強してください。  委員長にお願いしたいと思います。  報酬率等をここでは開示できない、答えることができない、こういうことでございます。先般もお願いいたしてございますが、ぜひこの契約書は新旧あわせてグラマン社ないし日商岩井から国会に提出を求めるように、速やかに理事会等でお計らいをいただきたい。早急に国会に提出を願いたい。お取り計らいをお願いをしたいと思います。
  278. 竹下登

    竹下委員長 後刻、理事会で協議をいたします。  これにて坂井君の質疑は終了いたしました。次に、池田克也君
  279. 池田克也

    池田(克)委員 私の方からは、去る一日の本委員会でも取り上げられましたが、北海道新千歳空港の建設予定地の土地転売、この問題についてお伺いしたいと思います。  最初に運輸大臣に、これは確認でありますが、この土地は北海道苫小牧市の原野八万二千七百二十七平米で、昭和四十五年九月二十八日に日商岩井の海部八郎氏及び松野頼三氏の女婿、塚田徹氏が二人共同で購入した、一千万円、昭和五十二年三月二十四日にこれを空港用地として運輸省に売った。これで五千万円の利益が出ているわけであります。運輸大臣、これは事実でしょうか。
  280. 森山欽司

    森山国務大臣 日商岩井の副社長という肩書きとか、それから松野代議士の女婿という肩書きはわかりません。しかし、海部という者と塚田という者の両名が、ただいまお話のありました点についてはそのとおりであります。
  281. 池田克也

    池田(克)委員 この間の本委員会でこの問題が取り上げられました。  もう一つ重ねて運輸大臣にお伺いしたいのですが、この新千歳空港の建設について運輸省が計画を発表したのは昭和四十八年。ところが、閣議の口頭了解で新千歳空港というのをつくろう、こうなったのは昭和四十一年です。七年間の間があります。しかもいろいろ地元の調査をいたしますと、この新千歳空港の建設用地というものは、風向きとかさまざまな状況からもうここしかない、だれが見てもここしかないというような状況だったようであります。四十一年の七月に閣議の口頭了解、また四十八年に空港建設が発表された、この二つの事実はいかがでしょうか。
  282. 森山欽司

    森山国務大臣 御説のとおりであります。
  283. 池田克也

    池田(克)委員 そのとおりだという運輸大臣の御答弁であります。これは前にも出ました。  そこで、四十一年に閣議決定されて四十八年に発表されるまで、このちょうど真ん中に当たる四十五年に海部氏と塚田氏が買っていらっしゃる。ここに、どうもおかしい、こういうふうな議論がついこの間、この席で出たわけであります。そして、この塚田氏と海部氏との関係について、ぜひ総理にも実情をお調べいただきたい、こういう要望が出た。それについては先ほど官房長官から御答弁があったわけであります。官房長官はきょうはもう退席しておられますが、先ほどの御答弁を総理もお聞き及びだと思います。私もそこで聞いておりました。塚田氏は何も答える必要はないということで、事実関係について何も明らかになっていない。確認ですが、このことを総理、御承知ですね。
  284. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 塚田君について聴取いたしましたところ、御本人はやましいところはないので、これ以上申し上げる必要を認めないということであったことは伺っております。
  285. 池田克也

    池田(克)委員 やましいことはない、これ以上何も申し上げることはない。総理、その塚田氏の回答に満足していらっしゃいますか。やはりこの席でいろいろ議論が出た、それについて何らかの事実というものを総理としては明らかにしたい。先ほど官房長官も、そんなんじゃ答弁にならないよと塚田氏に言われたとお答えになっていらっしゃいましたけれども、いまこういうことが明らかになりましたけれども、これで満足して納得していらっしゃいますか。
  286. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 塚田君のお立場においてそういう言明がなされたわけでございます。それをいい、悪いと私、申し上げる立場にございませんが、これを塚田君といたしましては、期するところがあって言われておることと拝察します。
  287. 池田克也

    池田(克)委員 期するところがあると総理仰せでありますが、一体それは何を期しているのか、説明がなければ疑惑というものはだんだんと広がる、いろんな推測が出てくる、これは御承知のとおりです。  たとえば海部氏が政府高官から空港建設を聞く。これは聞く立場にある人が中にいるわけですね、四十一年に。一部の人しかわからない。そこから空港のことを聞いて、これはうまい話があるぞ、海部氏が一人で買えばいいのでしょうが、だれか一人おまえもかめよということで、どなたかがかんでいらっしゃる。たまたまそのかんでいらっしゃる方が高官の縁戚の方である。となれば、これはおかしいじゃないかと国民が思うのは私は当然だと思うのですね。  したがって、これは重ねて総理に御意向をお伺いしたいのですが、再度塚田氏に総理から、どなたかを介しても結構ですが、もう一遍実情をお調べになる御意向ないでしょうか。
  288. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 一度検討してみます。
  289. 池田克也

    池田(克)委員 御検討いただくということなんで、時間もありませんから話を先へ進めたいと思います。  問題の土地を総理は御存じでしょうか。これは非常に奇妙なかっこうをした土地なんです。やましいことはない、普通の売買だということであれば——こういう形の土地なんです。こういう形です。四角でも三角でもない。空港用地としては、この赤線を引いたところが進入路です。B滑走路、A滑走路ですね。進入路として進入灯がつくようになっている。ちょうどここから滑走路が始まるわけです。端っこです。運輸省がちゃんとここを買っているわけです。ちゃんと線を引いたように買っているわけです、必要な分だけ。これは海部、塚田両氏から運輸省が買った分、こういうおかしなかっこうをしているのですね。これは運輸省いかがでしょうか、航空局。こういう事実でしょうか、実におかしなかっこうをしたものを買ったものですね。
  290. 松本操

    ○松本(操)政府委員 お答え申し上げます。  正確なことは、大体先生お示しのような形のものであったように記憶しております。
  291. 池田克也

    池田(克)委員 これは偶然に、偶然というよりか余り深い意図がない。要するに自分で、空港の近くだから工場をつくるか家をつくるかわかりません、要するに自分の一つの目算で買ったのならば、もっとちゃんとした四角いとか三角とかそういうものを買うと思うのですね。こういうずいぶん奇妙きてれつなかっこうですよ。どうせ飛行場になるのだ、買えるだけ買っておけというような形で私は買ったのじゃなかろうかと思うのですね。  会計検査院どうですか、このかっこうですね。値段の方は検査されていると思いますが、こういうかっこうがどういう意図かというところまで、こういうことになってくれば問題になりますが、いままで調べていますか。
  292. 松尾恭一郎

    ○松尾会計検査説明員 問題となっております飛行場用地の買収は五十二年の三月に行われておりまして、検査院としましては、五十二年の七月、現地に赴きまして実地検査を行ったわけでございます。  今回御指摘のような事実が新聞に報道されまして、直ちに運輸省から提出されております証拠書類につきまして見直し検査を行いましたが、いずれの点でも特に問題となる点はないというようになっております。  なお、この点につきましては、新千歳空港の用地は現在も引き続き買収が行われておりますので、今後現地に赴きまして実地検査する機会もあるものでございますので、なお引き続いて検査を続けたいと思いますが、実地検査に当たりましてそういう形の土地であるという点は十分わかっておりまして、その前提で値段も決まっておりまして、特におかしな点はなかったということでございます。
  293. 池田克也

    池田(克)委員 当時はそういう問題意識を持たないでお調べになったのだと思うのですね。私は、いま総理がもう一遍聞いてみるというような、検討してみましょうというお答えでしたから、ぜひ御本人にお願いをしたいのですが、どういう経路でこれが意図されたのか。この事件は、北海道のある土地がだれかに買われて、うまいこともうかったという単なるそれだけのことか。空港というものをめぐって何らかの意図的な金もうけがここに画策されたか。私は、ダグラス・グラマン事件、本件ですね、そしてそこに日商岩井という商事会社、海部氏、また政治家が絡んでいると言われています。少なくとも政治家と海部氏との関係は、ここでかなり臭いなという感じを私たちは持ちます。この点からだけでも検察庁はこの件について関心をお持ちでしょうか、刑事局長いかがでしょうか。
  294. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 この前からの当委員会における御審議の経過は、検察当局も承知しておると思います。ただ、これに強い関心を持って捜査を始めようかというようなほどの関心を持っておるというふうには聞いておりません。
  295. 池田克也

    池田(克)委員 これはけさの毎日新聞です。この毎日新聞にはこういう記事が出ております。   東京地検は検事四人に特捜部への応援を命じ  た。日商岩井航空機部門の頂点に立つ海部八郎  副社長と、塚田徹衆院議員=松野頼三元防衛庁  長官の女婿=が共同で新千歳空港予定地を購  入、運輸省に転売した問題が明るみに出ると直  ちに運輸省に関係資料の提出を求めた。さらに  鹿児島、熊本など九州の四つの空港用地の買収  についても同省から資料を受け取っている。  こう報ぜられております。明らかに検察は問題があると踏んで運輸省から資料をとっている。この報道は間違いですか、刑事局長
  296. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 私もその新聞記事を読みましたけれども、それに照応する報告は受けておりません。
  297. 池田克也

    池田(克)委員 運輸省、いかがですか。
  298. 松本操

    ○松本(操)政府委員 検察側からのいろいろの御要望については、私どもは、大臣がお答えしているように協力申し上げる、こういう立場に立っております。
  299. 池田克也

    池田(克)委員 新聞報道の事実を伺っているのです。大きな問題です。九州の四つの空港、この用地の買収についても検察は運輸省から資料を受け取っている。航空局長重ねて、一般論としてお答えのようですが、この四つの空港用地の買収についての資料、これを検察へ出していますか。
  300. 森山欽司

    森山国務大臣 松本航空局長は刑事局長と違った答弁をすることを差し控えたということでありますが、お話しのとおり検察庁の方に書類は渡しました。
  301. 池田克也

    池田(克)委員 大臣から答弁をいただきました。渡したということであります。  さて、ここで、三題話ではありませんが、海部氏が絡んでいる、そして千歳空港がある、しかも熊本、鹿児島、さらに九州の四つの空港。大臣、重ねてお伺いしますが、四つの空港のうち鹿児島と熊本はわかっておりますが、あと二つの名前はどことどこでしょう。
  302. 松本操

    ○松本(操)政府委員 記憶でございますので違っておったら申しわけございませんが、宮崎と大分ではなかったかと思います。
  303. 池田克也

    池田(克)委員 出てまいりました。鹿児島、熊本、宮崎、大分、四つの空港の土地買収について検察が疑惑を持っている。これが海部氏に、またあるいは政府高官と言われるその関係の人にまつわる話であるという、今日の時点でこういう事実が明らかになったと私は思います。  話が少し先へ行きますが、国税庁長官、この件で、つまり海部氏と塚田氏が買った千歳空港の用地は課税されていますか。何か特例で税金かかってないというふうに聞きましたが……。
  304. 磯邊律男

    磯邊政府委員 これは、当該この土地の譲渡は北海道開発局に対する譲渡でございまして、租税特別措置法第三十三条の四、つまり収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除という条文の適用をいたしまして、それぞれ特別控除が三千万円ございますので、その結果課税所得がゼロということになりまして、税額はしたがって出てこないということになるわけであります。
  305. 池田克也

    池田(克)委員 税金はただですね。実にうまい商売です。とにかく一千万のものが、あっという間に六千万で売れるわけですね。しかも、どういう手口か知りませんが、事前に空港の予定地を察知して、その土地の買収というものにかかった。こうやって次々とお金がつくっていけたのでは、もう裏金幾らでもできますね。私は、こういうようなやり口というものは、これは海部さんが来たら聞かなければなりませんが、日商岩井の裏金づくりの一つの常套手段じゃないかと思うのです。こういうことはずっと昔から日商の一つのやり方としてやってきたと思う。  そこで、私はずっとその問題を調べておりましたら、なかなか興味のある、この事件を調べていくのに関心の深い資料が出てまいりました。これは一冊全部日商岩井のことがしたためられた書物であります。「貿易之日本〔日商岩井特集号〕」昭和四十八年三月一日に刊行されたものであります。つまり、この年の昭和四十八年三月十四日、赤坂に日商岩井が新しい社屋を建設をした、それを記念したものであります。全貌が出ております。日商岩井がお客さん、社員等に誇らかに、わが社の商売はこのように展開をしているということを詳細にわたってこれに述べております。ここに、痛ましいことでありますが、亡くなった島田三敬常務が御自分で筆をとって書いておられます。こういう記事がある。これは航空機部の内幕であります。そしてどういう仕事をしているか、これからどういうことを計画しているかということが詳細に述べられております。しかも島田さんの記事と相呼応するようにして「ボーイング、ファントムとも順調」「東京航空機部」という記事が並んでおります。この二つを照合しますとほぼ合致するわけであります。そしてさらに、これは会社が一つの記念事業として出したものかもしれませんが、これは一般の雑誌です。その特集号です。町でも買えるような形をとったものですが、若干の宣伝めいたものもあるかもしれません。それを割り引いても、たとえば、昭和四十八年三月付の本ですから、昨年の秋、747SRというジャンボジェット機を決めた、これは問題になっている四十七年暇トライスターが決まった、日本航空では747が決まった、これと符合するわけです。  こういうふうな記述がいろいろとありましたけれども、これは興味のある、真相解明には大事な資料だと思う。  この中で島田三敬氏の記事は「世界中の飛行場を狙う」こういう記事であります。つまり、日商岩井は会社の戦略として飛行場というものに目をつけたわけであります。世界じゅうの飛行場です。エチオピアの空港、これは借款でやっておるようです。アジスアベバ。マニラ、賠償の空港もやっておるようであります。全部書いてあります。そして日本国内の空港も、わが社が持っている飛行機の技術、飛行機のノーハウ、これを総動員して徹底的にわが国の国内空港をねらう、こういうすさまじい一つ商社マンとしてのファイト満々たる決意というものがここに述べられているわけであります。  私はこれを見たときにぴんときたのです。ははあ、これは、あの千歳空港の土地というのは単なる思いつきで海部氏と塚田氏が買ったものじゃないな、明らかにこれは一つの会社の戦略上いろいろ探知していった、そうしてその中でやがてここが空港になるということがわかった。原野です。そこを早手回しに確保した。そしてやがてちゃんと飛行場が思惑どおりできて土地が買われていった。大変な、知恵というのでしょうか、一つ商社の戦略です。それにだれが情報を提供したのでしょうか。だれかが情報を提供しなければわかりません。飛行機を扱う商社というものが、飛行場の建設と密接な関係がある、このように私は思うのです。  以前に、去年でしたか、五月の十日に、当時ロッキード問題の特別委員会でしたが、成田空港ができた日でした。この日に、空港建設と飛行機導入に関して、当時の高橋航空局長に伺ったことがあります。そのときの高橋航空局長答弁は、航空需要というものがある、航空需要を予測する、そうすると、機材の導入、航空会社がどういう機材を買うかということになる、その機材が着陸するためにはどういう飛行場をつくらなければならないかということになる、これは当然です。要するに、需要と路線と機材、そして飛行場、これは一体となって研究をしている、こういう答弁でした。航空局長、いまこの方針はどうですか。
  306. 松本操

    ○松本(操)政府委員 大筋において先生おっしゃいましたことと変わりございませんが、機材というふうに当時高橋局長がお答え申し上げておりますのは、個々の航空会社がどういう機材をということではございませんで、私どもは何人乗りのという、おおむね二百人乗りとかおおむね五百人乗りというふうなことで、どの機種ということを念頭に置いているわけではございませんけれども、おのずから百人乗り程度のものであれば千五百メートルぐらいの滑走路でいいだろう、それから二百人前後になってきますと二千メートル欲しい、それを超すと二千五百あるいは三千が欲しい、こういうふうな意味で機材を想定しませんと滑走路の長さが出てまいりませんので、そういう意味で機材を想定している、こういう趣旨で申し上げたと思います。
  307. 池田克也

    池田(克)委員 私が指摘をしたとおり、需要と路線と機材と飛行場、これは一体になっているわけです。ですから、飛行機を売り込もうとして全日空や日本航空と接触をする日商岩井が、先々どういう飛行機が入る、どういう路線になる——当然許認可があります。そして、どういうような飛行場が必要かということは、むしろ運輸省より先に日商岩井がプランを立てることができると思いますよ。  総理、ごらんになってください。需要があって路線がある、これは許認可なんかがついています。航空機購入があります、これは行政指導がありますね。買っていい悪い、前にありました。さらにそれは空港整備に関係してきます。移転の問題もありましょう。これを先に察知すれば用地がうまいこと手に入りますね。ここに目をつけた。私は実にすごい戦略だと思う。したがってこの情報、こういうような飛行場をつくるというような情報や計画は、一方では航空会社が考えるでしょう。どうしてもつくってくれ、これだけの飛行機を飛ばすにはこれだけの厚みの滑走路がなければならない。これは防衛庁だって関係があると思うのです。大きな飛行機が来る、戦略上の飛行機が必要だ、そのためには空港の保安設備、無線設備あるいはアスファルトをどうしなければならぬということは、むしろ使う方から強い要求が出てくる。運輸省もそれに対して対応するでしょう。また、政府高官の方から何がしかのサゼスチョン、こういうところにこういう話があったぞ、閣議の口頭了解があったぞということもあるでしょう。これを察知した海部氏が用地を先取りします。そうしてやがてそれを政府が買います。うんともうかります。もうかった金はどこへ行くんでしょうか。賄賂や献金として政府高官に行くかもしれません。あるいは機体を購入する、日商岩井の本命は飛行機を売りたいのです。それのコンサルタントや代理人にお金が裏側から回っていくということが十分に予想されるのじゃないですか。先ほど、井上委員でしたか、お話しになっていました。痛ましいことがもう一つ起きた。日商岩井の、外国に送金をする担当の人が自殺をした。このことがこの委員会で明らかになりました。何らかの形で裏金がつくられて、それが回っていく可能性は皆無とは言えない。これは私がここでもって明らかにする、今回の件を解明する一つの手がかりだと思うのです。  これは刑事局長にお伺いしたいのですが、先ほどから資料をとっていらっしゃる、報告を受けていらっしゃらない、こういうことでしたが、いまの話をお聞きになって、これは一つ解明の手がかりになる、このようにお考えになりませんか。
  308. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 どうも、はからずも検察当局がいろいろ手広く調査をしようということが御推察いただけるような状態になりまして、私も若干当惑しておるわけでございますが、検察当局といたしましては、この問題をめぐるすべての方向に目を配りながら慎重な捜査を進めておる、こういうことだけ申し上げておきます。
  309. 池田克也

    池田(克)委員 はからずも手広くやっていることが一つ判明したというようなことで当惑をされているそうでありますが、私は、事実そういう捜査を関心を持ってやっていらっしゃる、そう受けとめました。  飛行場の問題でもう一つ重ねて聞きますが、この島田三敬氏の記述の中には、鹿児島、帯広、沖繩をねらう、こうなっております。運輸省にお伺いしますが、ここ十年ぐらいの間に鹿児島で大きな空港の工事があったでしょうか。また、帯広で大きな空港の工事があったか、今後あるか、二つお伺いします。
  310. 松本操

    ○松本(操)政府委員 お答えいたします。  鹿児島につきましてはちょっと私記憶が必ずしも定かでございません。四十六年ごろに現在の新しい空港に移っておるわけでございますが、これは県が空港一式をこしらえまして、後から運輸省がこれを買い取る、非常に特殊な形でございますが、こういう形をとっておりますので、二種空港ではございますが、運輸省が直接に最初からやったというものではございません。  それから帯広空港につきましては、現在の帯広空港は帯広市の設置管理します三種空港でございますが、これを新帯広空港に移転をするという計画が数年前から動いております。これも運輸省の直接の工事ではございませんで、帯広市の行います第三種空港としての事業が行われておるわけでございます。
  311. 池田克也

    池田(克)委員 いろいろおっしゃったのですが、鹿児島と新帯広は飛行場が大幅に移っております。これは御承知のとおり、前は海岸沿いにありました鴨池ですか、これが国分の方へ大幅に移っております。また、新帯広も新しく乗員養成の目的等もあると考えられて、二種空港にグレードアップされる。本年の予算の編成もこれに出てきております。こういうような大きな仕事を早々と察知して、がっちりと仕事をとろうとしている。当然これに土地の売買も絡んでくると私は思います。  外務省いらっしゃっていますか。マニラ飛行場の改造を日本の賠償金で当社がやっていると言っておりますか、何かつかんでおりますか。
  312. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 お答え申し上げます。  マニラの空港に関します賠償の案件につき調査をいたしましたのですが、契約面ではマニラ空港と特記したものはございませんで、フィリピンにございます各地の空港用の設備のための案件が幾つかございます。その中で日商岩井が担当いたしましたものは、これは機材の提供でございまして、たとえば手荷物搬送システム、空港コントロールシステム、消防車、ハイジャック防止用の探知器等の資材をフィリピンの賠償使節団と契約いたしておりますが、これはマニラ空港に向けたものであるかどうかは確認とれません。
  313. 池田克也

    池田(克)委員 時間がありませんので、防衛庁いらっしゃっていますか。  防衛庁防衛庁独自の空港を持っていらっしゃるわけでございます。これもむしろ日商岩井が目をつけているのじゃないかと思いますよ。飛行機を買うわけです。しかも軍用機を買う、いま問題になっております。当然この問題は民用とまた違った形で情報はあるでしょう。防衛庁が当面手がけていらっしゃる改造計画がありましたら、局長さんからでも結構です。
  314. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 お答えいたします。  ここ十年ほど防衛庁におきまして飛行場の整備を行っておりますけれども、古くはファントムが導入されるに際しましてそのための整備を行っております。基地といたしましては百里、小松、築城、これを行っております。そのほか新機種導入された飛行場がございますけれども、これは大した工事は行っておりません。
  315. 池田克也

    池田(克)委員 ファントム導入に伴って百里、小松、築城を直した。このファントム導入などは日商岩井は重大な関心を持っておったと思いますし、どこよりも早く情報があったはずです。これは防衛庁にお願いですが、百里、小松、築城等の空港の改築あるいは用地買収に伴う資料をぜひ本委員会にお出しいただきたい。また、運輸省に対して、先ほど検察庁にお出しになったそうでありますが、その九州における四つの空港の土地買収資料、なお加えて新帯広、これの土地買収資料をお出しいただきたい。そして新千歳の土地、先ほどおかしな形というふうに申し上げましたが、その全貌ですね、どういう土地をどう買ったかという全貌の図面、資料をお出しいただきたい。  私は、時間がありませんので、以上で終わらしていただきますが、この日商岩井の商法は、裏金づくり、あるいはまたさまざまな角度からわが国防衛にも、あるいはわが国の航空の全貌をそっくりいただこうという商社の姿である、そしてそこに必ず政府高官が介在する、裏金がアメリカにバックするのじゃないか、こういう問題をこの席で指摘をし、さらに、これからも証人喚問の場あるいは航空機の特別委員会等を通じて、真相究明に当たっていきたいと思います。ありがとうございました。
  316. 竹下登

    竹下委員長 これにて池田君の質疑は終了いたしました。  次に、大内啓伍君。
  317. 大内啓伍

    ○大内委員 私は、まず冒頭に、先ほど坂井委員に対する資料公開に関しての古井法務大臣の発言は、一昨日、つまり七日の私どもの河村委員に対する大平総理大臣答弁から相当後退している、こういう印象を実は率直に言って受けました。     〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 したがって、その点をまずただしておきたいと思うのです。  七日の河村委員質問に対して、大平総理大臣は、刑事訴訟法第四十七条ただし書きの適用については、これをはっきり肯定をされた。ところが、ただいまの古井法務大臣の御答弁を聞いておりますと、きわめてあいまいな表現で、私どもは強権をもって資料を集めているのですからそういう資料をやたらに出すわけにはいかないというような意味の発言をされた。具体的には、たとえば人権の問題があるのでよく考えなければならない、シロの人間の名前を出すのはどうだろうか、こういう趣旨の発言をされたわけなんです。御存じのように刑事訴訟法第四十七条は、「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない。」つまり、本委員会並びに航空機特別委員会における政府高官並びに政治家に対する政治的道義的責任の追及は、こうした刑事訴訟法四十七条ただし書きによる政府当局の資料提供というものが重要な意味を持っている。実はこのことは非常に古い議論として討議されてまいりまして、前の予算委員会においては福田一法務大臣が、国会決議において、この四十七条ただし書きを適用して資料をできるだけ協力することが政府のこの問題解明に対する協力の姿勢であるという、その決議に触れるような発言をしたために、実は本委員会で戒告決議まで行われ、これが今度の議長問題にもあるいは響いたかもしれない。  そこで、古井法務大臣にお伺いいたしますが、この四十七条ただし書きの規定は守る、適用するというこの大平総理大臣の発言を踏まえてさっきの御見解を述べられたのか。新聞報道によりますと、大平総理大臣の発言に対して巻き返しを図る必要があるというような議論すらも行われている。その真意をお聞かせいただきたいのであります。
  318. 古井喜實

    ○古井国務大臣 大平総理がやりとりをされたのを聞いておりましたのですが、繰り返し法令の範囲内においてということを大平総理は言われたように私は聞いたのであります。御質問の方には、ただし書きを特に問題にされたのもございました。けれども、との法令の範囲内においてというのはただし書きだけではないので、四十七条の本文も私は含まれておると思うのです。資料提供は、捜査関係の資料のみならず、資料提供をいたしますのは、行政部内の、犯罪にならぬでも不正だってあるし、そういうことの資料まで含めて資料提供は協力しよう、こういうわけだから、この資料提供はそこだけの話じゃないのですね。そうでしょう、だれが考えても。広いのです。その中で、今度、法令の範囲内においてとこう総理も言っておられるわけですが、その法令があって制約を受けている。刑訴の四十七条本文というものが大体法令なので、つまり、訴訟に関する書類、これは捜査に関する書類も含まれているというのが公権的解釈ですけれども、これは公判の前には公にしてはならぬという大原則があるんですよ。これも法令なんですよ。  なぜこういう原則があるのか。これは、一つには、捜査とか犯罪を追及していく上に、公にすると影響が及んで支障が起こるという面がありますけれども、もう一面には、該当する人の人権ということも考えなければ、まだ何ともわからない人間を、検察が調べたらどうだというようなことを公にするといいますことは、これはその人の名誉と人権に関するのですから、この二つの考慮があってこういう原則ができておるということは、あなたも御承知だと思います。これはまた公権的な解釈です。裁判所も、そういう考え方を最高裁も示しております。二つの点があるんですね。そしてその原則があるのです。ここを抜いて、法令というときに、ただし書きだけの議論は成り立つはずもないし、それからまた、大平総理もそう言っておられるわけで、法令の範囲内においてと、繰り返し言っておられるのですから、そういう制約のないものは出しましょうよ、けれども、刑事訴訟法のいまの本文からの制約があったりするようなものは、法令の範囲内で出しましょうよ、こういうことを言っておられるのだと、私はそう了解しておりますので、これは私が勝手に言っているのじゃない。これはあたりまえの解釈だし、人権ということを考えるという立場から言ってもそうなのですから、総理の言っておられることも、別にそれをねじ曲げたり、変えるというのじゃなしに、そういうものだと思って私はずうっと聞いておったのでありまして、それを申し上げただけのことであります。
  319. 大内啓伍

    ○大内委員 できるだけ簡潔にお答えをいただきたいのでありますが、そうしますと、二つちょっと確めておきたいのです。  四十七条の前の本文、これが法令だとおっしゃいましたけれども、ただし書きも法令ですよ。全部法令なんですよ。したがって、四十七条ただし書きについてはこれを適用し、今回の事件解明のために最大の協力をするということを法務大臣は約束できるか、これが一つ。  それからもう一つは、過去に、実は灰色の高官の氏名公表という問題が起こったわけですね。これについては、人権の問題等が同じく議論されまして、いろいろな議論が出た。古井法務大臣は、過去の灰色高官の氏名公表についてはどう思っておられますか。あれはまずかったと考えておりますか、よかったと考えておりますか。これは非常に絡むのです。この二点をはっきりさせていただきたい。
  320. 古井喜實

    ○古井国務大臣 三年前のときの議長裁定でありますか、あれは、ごらんになればおわかりのとおりに、最後の条項は、刑事訴訟法の精神を踏まえて、尊重するということが書いてある。ただし書きとは書いてありやしませんよ。本文からひっくるめて書いてあるはずです。それがあのときの議長裁定の項目に上がっておると私は記憶しております。間違っておったら訂正いたしますけれども、そうなっておるはずです。ただし書きとは書いてありませんよ。あの本文だって法令ですし、またこれは大事な考え方があるのでありまして、そこで、前からそうであるし、それから議論も大体それを前提にしての話であると私はずっと了解してきておりましたもので、そこで、何でこう行き違いが起こるのだろうか、昔のことを変えているのじゃないので、そのとおりのことを言っておる、それを変えたように——私の不徳か、説明の下手なことのいたすところかと思いますけれども、そういうことだと思っております。  それで、いまのいうところの灰色高官の公表の是非の問題でありますけれども、これは灰色高官というものが一体何者であるかという定義もはっきりしておらぬので、この前は何か時効になってしまっておるものであるとか、職務関係が外れてしまったとか、金銭の授受があったとか、それが灰色だ、こういうふうになっておるように思います、直接関係いたしませんけれども。それで今度も同じことでいかれるのかいかれぬのかということも、灰色高官というものを、これは決まっておるわけではありませんですね。(大内委員「過去のことを聞いておるわけです、まずかったか、よかったか」と呼ぶ)ですから、やはりこれはどういうものを取り上げて公表せよと言われるのか言われぬのかということを、やはり具体問題になってこないと、これはおまえ、いいと思うか、悪いと思うかと言われても、空の、中身がないものにちょっと見解は言いにくい、こういうわけで、国会で調査されることに何も、私は大いにやってくださいと言っているのですよ。できることは協力すべきだ、こういうことを申し上げておるわけであります。
  321. 河村勝

    ○河村委員 関連して。いま古井さんおっしゃったように、議長裁定には、刑事訴訟法の趣旨を踏まえてと書いてあって、刑事訴訟法四十七条ただし書きとは書いてございません。それは、そういうことをちゃんと承知の上で、一昨日私が総理に質問しましたのは、この刑事訴訟法の立法趣旨を踏まえてということは、具体的に言いますと四十七条ただし書きを適用するということになるのです、だから、そういう前提に立って、法令の許す範囲で協力をなさる、そういう御返事ですねと言うのに対して、総理は、そのとおりです、そういうお答えがあったのです。ですから、その立法趣旨を踏まえてだけではなくて、四十七条ただし書きを適用するということを明確に私は申し上げて、その上で総理の答弁があったのです。ですから、あなたのおっしゃることは間違いです。あなたのおっしゃるような基本的人権とそれから公益との比較考量の問題というのは、ロッキード事件の際に長いことかけて議論をいたしました。その上でやはり政治家、特に国会議員というものの政治的道義的責任というものは一般人よりもはるかに重いであろう、そこで法務省の方の側から、政治的道義的責任を負うべき者の範囲、いやな言葉ですけれども、いわゆる灰色高官の範囲というものは国会でお決めをいただきたい、その上で法務省としてはそれに対して協力をして、秘密会でその名前を出しましょう、それを公表するか否かは、これは国会の判断でおやりください、こういう経過になっております。これは私が当事者でございますから、速記録も全部そろえてございますけれども、時間がむだですから申し上げません。  で、前回の、いま大内君が質問いたしました前回の公表したものが、これがよかったと思うか悪かったと思うかということについても、前回は最終的にこの範囲はしぼりまして、通常ならば犯罪事実を構成するけれども時効によって不成立、それと、国会議員の権限というのはきわめて不明確でございますから、国会議員の職務の範囲外であるということで不起訴になったもの、これに限定をして、それで法務省側から資料を提出した、こういうことになっているのです。ですから、さっきあなたは定義があいまいとかなんとかおっしゃったけれども、少しもあいまいではないのです。よろしいですか。それでもなおまだあいまいな御返事があるでしょうか。いかがですか。
  322. 古井喜實

    ○古井国務大臣 前回の御質問のとき、大体これは注意して聞いておったように思ったのですけれども、総理が少なくとも口に出して言われるときには、法令の範囲内においてというのを大体つけて言っておられると思いました。  それから、あなたは御質問の中でただし書きのことをしきりにおっしゃっておった。あのときに総理は、それじゃ——私はこれは速記録にどうなっているか知りませんが、そうでしょうとあなたは言っておられた。総理は立ち上がって言われたのか、ここでどういうかっこうをしておられたのか、それでやっぱり前のとおりだと私は了解してあの場面を見ておったのでありますが、これは他の方がどうごらんになっているか。まあそれで依然として同じ考え方を繰り返し言っておられる、こう思っておったわけなんですね。
  323. 河村勝

    ○河村委員 そういういいかげんな答弁をされては困ります。私は、法令の範囲内ということはそのとおりです。ただし、私は四十七条ただし書きを適用とする前提で、それで法令の許す範囲で協力するという答弁でございますね、と言ったのに対して、総理は明確に、そのとおりです、とお答えになったのです。あなたはそういういいかげんな答弁をしてはいけません。総理、その点もう一遍確認をしたいと思います。
  324. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 国政調査権の行使に対する政府の基本姿勢につきましては、いま古井法務大臣も言われましたとおり、法令の許す範囲内で最大限の協力を行うと常に申し上げてあります。  一昨日の河村議員に対する私の答弁でございますが、上に述べた、いままで述べました政府の基本姿勢に言う法令の中に刑事訴訟法第四十七条が含まれる、すなわち同条本文及びただし書きの趣旨を踏まえながら国政調査権の行使に協力するということを一般的に答えたものでございます。  ロッキード事件の際にいわゆる灰色高官の氏名が、同法条を盾にいたしまして特別委員会の秘密会に報告された経緯あることは私も承知いたしておりますけれども、今回のダグラス・グラマン問題で仮にいわゆる灰色高官に該当するような人物が出てまいりましたとして、そのことに関する国会の国政調査権の行使に政府としてどのように対処するかは、司法当局による今後の捜査の進展を待たなければ、具体的には何ともこの段階で答えようがないことでございまして、現段階で申し上げられますことは、国政調査権の行使に対しては、政府として法令の許す範囲内において最大限の協力をいたしますということに尽きることでございます。
  325. 河村勝

    ○河村委員 総理、あなたも食言ですね。私は明確に、刑事訴訟法の立法の趣旨を踏まえて法令の許す範囲内で協力するとあなたがその前の日の公明党の坂井議員の質問に対してお答えになったのは、刑事訴訟法四十七条ただし書きを適用するという前提でお答えになったのですねと言うのに対して、そのとおりですというお答えになったのです。いまの総理の答弁は明らかに何らか周辺からの巻き返しがあって、その点をぼかして答弁をされたものだと私は思います。きょうは時間の関係もありますから、これで私の関連質問は打ち切りますが、そのときの速記録がもうでき上がりましょうから、その速記録を踏まえてもう一遍再確認をいたしますから、きょうはこれだけにしておきます。
  326. 真田秀夫

    ○真田政府委員 法律解釈の問題が入っておりますので、私から簡単に御説明申し上げます。(大内委員「もう結構です、時間がありませんからいいです」と呼ぶ)  私も総理が刑事訴訟法四十七条ただし書きというふうにおっしゃったように記憶しております。正確には適用するとおっしゃったか尊重するとおっしゃったか、その辺は定かでございませんけれども、ただし書きを特に引用してお答えになったように私も記憶しております。しかしながら、ただし書きというのは本文と切り離しては実は意味がないわけなのでございまして、四十七条というのは、大原則は、公判の開廷前には公にしてはならない、それはそれに相当する公益があるわけですね。人権の問題もあります。将来の検察の運営の問題もございます。裁判の公正に対する影響という問題もございます。そういう法益があるわけでございまして、今度はそれにもまさる公益上の必要その他の理由がある場合にはこの限りでないというわけでございますから、ただし書きだけが物を言うのじゃなくて、本文との比較において、つまり本文が保護しようとしている法益よりもまさる法益がある場合にはこの限りでないというのがただし書きでございますから、ただし書きを引用することは、同時に本文も引用しているということになるわけでございます。
  327. 大内啓伍

    ○大内委員 私に与えられました時間はたった四十二分でございまして、この中で今度のグラマン、ダグラス等について解明をしなければならぬというときに、法務大臣のおっしゃっていることも、それから法制局長官のおっしゃっていることも——法制局長官のは法律解釈ですから、それなりにわかりますが、法務大臣のおっしゃっていることは、明らかに七日の大平総理大臣の発言と食い違います。それから、いまの大平総理の発言も、七日の総理の発言と食い違います。これは後刻ただしたいと思います。これに全部かまけるわけにはまいりません。  次の質問に移ります。ハワイ会談についてお伺いをいたします。  例のグリーン発言にかかわりますE2Cをめぐって、このハワイ会談において話し合われたのではないか、こういう段階で、外務省当局はこの調査の中に入って、外務省の首脳の談話としてこういう談話を出されましたですね。会談の出席者から事情を聞いた全調査の結果、雑談でもそんな話は出なかった、これが外務省首脳のコメントとして出されました。そしてそれを受ける形で、大平総理大臣は、私の出席した会談では機種の話は一切出ていないし、出席していない会談でも出たという報告は受けていない、ここまで言ってしまった後に、外務省がアメリカに照会して国務省の資料を打診した結果、その資料の中に、鶴見審議官との間の話の中でそれが出た、こういう話が出てきた。ここに一つ問題がありますのは、グリーン発言の調査について、事実認定をする意味で外務省当局は重大な欠落を初めから持っていた。つまり鶴見外務審議官が死亡しているという重大な、当事者そのものが欠落しているという状況の中で、首脳の談話としてこれを全面的に否定した。かつ一国の総理大臣は、非公式会談においてもそんな報告を受けていないとさえ強弁された。これはどう見ても、結果的に、少なくとも国務省の記録でグリーン発言が裏づけられたという状況のもとにおいては、外務省の発言の仕方というのは軽率であった、こう言わざるを得ないと思うのです。厳しい言葉で言えば、ある意味では外交の失態とまで言えないことはないくらいの強弁の仕方であった。外務大臣は軽率とお認めになりますか。
  328. 園田直

    ○園田国務大臣 お答えをいたします。  やや事実の誤認がおありだと存じます。本委員会の速記録に私はっきり申し上げております。なおまた、外務省の記者会見についても申し上げておりますが、グリーン発言があってから後のことでありまして、わが外務省は調査したが、記録はない。次に、生存者についてメモまたは記録を調査したが、その事実もない。しかし、一方、グリーン氏はこのように発言をしておられるから、わが方の言い分と向こうの言い分がどういうふうなことで食い違ったのか、いま照会中である。この結果が来ればその結論報告します。こういうわけで、グリーン発言を正面から否定してはおりません。
  329. 大内啓伍

    ○大内委員 その当時の外務省の首脳は、雑談であったから公式的な記録にとどめるほどでもないとして、これをとどめなかったわけでありますが、私はこの外務省の姿勢そのものが、やはり当時のアメリカ姿勢について何らかの読み違いないしはグリーン氏らの発言を非常に軽く見た、そういう面があったのではないかと思うのです。     〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 と申しますのは、このE2Cの問題がこのハワイ会談で話されるであろうということは、ある意味では予測し得たとさえ言ってもいいと思うのです。と申しますのは、あの一九六九年に、御案内のとおりニクソン・、ドクトリンが出されまして、そして、この段階アメリカはベトナム戦争の反省から、アメリカとの間の同盟国に対しては自主防衛能力の強化というものをはっきり求め出した。これは外務大臣もよく御存じだと思う。つまり、アメリカはニクソン・ドクトリンによって地域主義をとりまして、そして軍用機についても各国の近代化を求めるという方向を一貫して追い求めようとした。実はその路線上に登場してきたのがF15であり、F14であり、F16といったようなFXの問題であった。また、さらにはP3C、E2Cであった。これが一つ。  それからもう一つは、そういう観点に立ちまして、軍用機の売り込みのために航空機メーカーあるいはホワイトハウス、国務省、国防省、これは密接な関係を持ってチームプレーをやっていた。その証拠はたくさんありますよ。たとえばグラマンのチータム元社長は国務省に対して工作をして、アレン大統領副補佐官あるいはグリーン国務次官補への働きかけをやった。先ほど来百万ドルの政治献金の問題まで出てきたのはその一端であります。そしてグリーン氏自身が認めておりますように、そのことはチータム元GI社長から頼まれましたと、これははっきり言っております。それよりさき、一九七一年の五月には、ニクソン大統領によるグラマン社救済のための異例の政府融資、これは二億五千万ドル、この法案を議会において通過せしめた。そして具体的にはハワイ会談においてグリーン氏によってE2Cの問題が持ち出された。ジョンソン国務次官は、こう言っておられますね。これはグリーン氏の上司でございますが、「私自身は問題の非公式協議には出席していないが、日本防衛政策をめぐる米政府当局の対応から見て、E2C問題をハワイ会談で討議するのは少しも不思議なことではなかった。」つまり、これらの一連のことから言いますと、グリーン氏がハワイ会談の非公式の会談においてあるいは協議において、雑談でも結構ですが、E2C導入の要請を日本に対して行ったということは、決して個人的な行動ないしは発言ではなくして、アメリカ政府が一貫して求めてきた方針に基づく発言である。これを雑談として退けたという当時の外務省の姿勢に問題があったのではないかと思いますが、外務大臣、いかがでしょう。
  330. 園田直

    ○園田国務大臣 外務省の記録によりますると、総理大臣の会談、外務大臣の会談、ハワイ会談でE2Cの問題その他の問題が出てないことは、日本の記録にないこともアメリカの記録にないことも、これは一致しております。そこで見通しではなくて事実だけを報告しているわけでありますが、その後照会した後、局長が発言しましたのは、われわれの想像ではなくて、米国から通知をしてきた回答でございます。その回答によると、第二回外相会談が終わって、外務大臣及び国務長官が総理との会談に、合同会議に出席のために部屋を出られた。インガソル大使、それから国務次官が記者会見のために出ていった。後に残った随員は、合同会議が終了するのを待って雑談をしておった、こういう場所がはっきり書いてございます。そのときに向こうの次官補が鶴見審議官に対して幅広い貿易の話をした一環として、E2Cを買ったらどうだという話を出した。これに対して鶴見審議官は、四次防がまだ計画ができてないときにそういうことについて返答はできない。これもアメリカの言い分であり記録であります。  そこで、こういうものの記録というものを大体どの程度にとどめるかは、事務当局の首席随員が決めることでありますが、多分鶴見審議官は、向こうが言ったのは軽く言ったことであるし、自分はその段階ではないと返答したから記録にとどめる必要はない、こういうことでとどめなかったものだと考えます。
  331. 大内啓伍

    ○大内委員 最近出ておりますアメリカ側のこの問題に対する関係者の発言として、そのグリーン発言に係る非公式協議というのは、グリーン国務次官補、鶴見外務審議官の個人的雑談ではなくて、日米双方とも複数の代表が加わって実質的な、実務的な話し合いであった。そこには、アメリカ側はグリーン国務次官補のほかにエリクソン日本部長が同席をしていた。そして日本側は鶴見審議官のほかに吉田アジア局長、大河原駐米公使、橘アメリカ局長代理らが残って、その席でE2C問題が取り上げられたのだ。そしてそれを記録した者はエリクソン日本部長であったということすらも言われているのですね。どうも、いま外務大臣及びきのう来アメリカ局長が御説明のことと相当開きがあるのですね。これはもう一回きちっとした再調査をやられて——こういう行き違いというのはやはり一つの外交問題です。この問題で責任のなすり合いあるいは逃げ合いをやっていても実りはありませんので、きちっとさらに再調査されて調整するということは、外務大臣、お考えになりませんか。
  332. 園田直

    ○園田国務大臣 米国の回答によると、先ほども申し上げましたとおり、両国の大臣、次官、大使等が出た後、合同会議の終了を待っておった場所であります。したがって、日本の随員も米国の方の会議出席者の随員もほとんどその部屋におったということから想像いたしますと、いまおっしゃったことは事実であると考えます。そこで、それは討議のかっこうではなくて、横におった鶴見審議官と向こうの次官補の話であって、記録にとどめるほどのものではなかったということではありますが、その食い違いはさらにもう一遍問い直します。
  333. 大内啓伍

    ○大内委員 もう一遍問い直すということでありますから、それで結構であります。  なお、このハワイ会談の全記録を通じて、これは日本側の記録とアメリカ側の記録全体を指すわけでありますが、この会談では、E2C以外に具体的な機種の名前が公式、非公式、雑談を通じて出たのか出なかったのか、具体的にはP3C、トライスターは出たか出なかったか、この辺は確かめられておりますか。もちろん日本側の公式記録は確かめられておりますが、たとえばE2Cの今度の国務省の記録に関連いたしまして、向こうにはその他の機種について何らかの記録が存在するかどうか、確かめられておりますか。
  334. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 先ほども答弁申し上げましたが、このE2Cに関しましてグリーン次官補の発言がありましたので、いま外務大臣からお話ししましたような経緯を経てアメリカ側にアメリカ側の記録の調査方を依頼したわけでございます。その結果は先ほど来お話のあるとおりでございます。その際に、米側からは、なお、同じ軍用機の問題だが、P3CないしPXLというような言葉が向こう側の記録に出てくることは全くなかったということをあわせ答えてきております。
  335. 大内啓伍

    ○大内委員 ハワイ会談をもっとやりたいのですけれども、時間がありませんので、E2Cの売り込み問題について質問をいたします。  実は、二月八日のSECに出されたグラマン社からの監査委員会報告によりますと、日本政府高官に対する金の流れについては確認できなかった、こういう趣旨の報告がSECに出されたというふうに報道されております。これは法務省当局、伊藤刑事局長にお伺いをいたしますが、この資料は重要な資料というふうにお考えでしょうか。
  336. 中島敏次郎

    ○中島(敏)政府委員 たしか、いま先生、二月八日とおっしゃられたと存じますが、二月八日にグラマンの監査委員会報告書が発表されまして、これは何分にも浩瀚な資料なものでございますから、現物が到着するまでにはまだ数日はかかるわけでございますが、とりあえず日本関係部分につきまして電報で取り寄せましたところによりますれば、ただいま先生が御指摘のようなことがその注釈として書かれておるということでございます。その内容は、この監査委員会は、グラマン・インターナショナルの契約していたものに関連して、販売代理人日本政府職員に対して支払いをしたとの証拠は全く存在しなかったということを注記する、おおむねそういう趣旨の脚注がついておるようでございます。
  337. 大内啓伍

    ○大内委員 伊藤刑事局長、いま聞いたとおりでありますが、SECのこれまでの報告では、御案内のように、日本政府高官に渡った可能性があるというふうに言っていたわけであります。いまアメリカ局長からお話しのように、同社の販売代理店を通じていかなる日本政府高官に対しても何らかの金銭的支払いを行った証拠も発見できないという問題と非常に相対立する資料がここで出てきた、これをどう評価されますか。
  338. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 ただいまの点は、もともとのSECの公表資料でも、政府関係者に流れた可能性についてダグラス社はこの伝聞報告を確認できなかったというコメントがついておったわけでございますが、いずれにいたしましても、SECがさような認定をして裁判所に申し立てをしておりますから、SECとしてはそれなりの資料を持っておるのではないかと思っておりますので、間もなく引き取ることができると思われますSEC資料の到着を待ってみたいと思っております。
  339. 大内啓伍

    ○大内委員 SECの報告によりますと、グラマン・インターナショナル社がE2C売り込みに当たって、一九六九年に代理店を住友商事から日商岩井に変更するに際しまして、日本政府高官の示唆があった、こういうふうに指摘していることは御存じのとおりであります。そして、そのことはグラマン・インターナショナル社の幹部が知っていたことは明白である、こういうふうにSEC資料は断定しているわけであります。  そしてさらに、チータムGI元社長も日本の政治家との接触というものを認めておりますし、その際にいろいろな名前も実は出しているわけであります。当然、法務省はその辺の調査に当たっていると思うのでありますが、ただSECは日本政府高官についてこういう言葉を使っていますね。ア・ジャパニーズ・ガバメント・オフィシャル、この言葉の範囲というのはなかなか微妙でございまして、日本語に訳してそれがどういう方々に当てはまるのか、この辺がひとつ問題なんであります。たとえば元の政府高官はそのア・ジャパニーズ・ガバメント・オフィシャルに入るのか、あるいは高級官僚は入るのか、国会議員は入るのか、そういう点が非常に不明確であります。  またさらに、たとえばGI社のコンサルタント、カーン氏がコミッションの一部を支払われる可能性のあったワン・オア・モア・ジャパニーズ・オフィシャルズ、この場合はガバメントという言葉が抜けてしまっているわけなんです。そしてさらには、先ほど来議論がありましたグラマン・インターナショナル社長オラム氏がカーン氏にあてたコンサルタント契約の解約通知書の中では、この点がアソシエーツ、協力者ないしは助力者という言葉が出てきている。このア・ジャパニーズ・ガバメント・オフィシャル、この言葉の範囲を法務省はどう理解して捜査を進めようとしているのか。これは入り口で議論がおしまいになってしまいますけれども、その点についてお答えをいただき、私の質問を終わりたいと思います。
  340. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 従来の慣用等からいたしまして、私ども翻訳するときには日本政府関係者というふうに言っておりますが、公選による公務員を含む、要するに公務員一般を頭の中に描いて、その中からだれかをしぼっていくということでやっておるわけでございます。
  341. 大内啓伍

    ○大内委員 これにて終わります。  ありがとうございました
  342. 竹下登

    竹下委員長 これにて大内君の質疑は終了いたしました。  次に、正森成二君
  343. 正森成二

    ○正森委員 私は、まず最初にハワイ会談について伺いたいと思います。  私どもアメリカでチータム氏等に伺ったところでは、ハワイ会談に絡みましてアメリカ側の大統領の方にもいろいろ働きかけをした、それはマーシャル・グリーン氏などの言明によって明らかになっております。同時に、日本側に対しても、日商岩井や川部氏やハリー・カーン氏を通じて働きかけをした、こうなっておるわけです。それについていろいろ否定されておりましたが、とうとうアメリカ側の記録に、マーシャル・グリーン国務次官補が鶴見審議官にE2Cについて購入を示唆する発言をしたということを外務省はお認めになりました。  そこで私は伺いたいのですが、昭和四十七年の八月末のハワイ会談というのはほかのことが論議されたのではありません、米中接近に伴うアジア情勢が一つであります。もう一つは、貿易不均衡問題の是正が一つであります。ですから、もし鶴見さんとマーシャル・グリーンとの雑談が、鶴見さんはお子さんが何人ありますかとか、そろそろお孫さんがおできになりましたかということであれば雑談でございましょうが、まさに会議の主題になった問題について、E2Cを導入されたらいかがですかという示唆があったというのに、アメリカ側では公式記録に載っておるのに日本側には載っておらないというようなことで、一体日本外交を進めることができるのでしょうか。そうだとすれば、日本外交は非常な怠慢である。アメリカ側がそれだけ関心を持っておることに対して、向こうは記録に残しておるのに、こっちは聞き捨てにしておるというようなことは、そもそも会議の主題が何であるかということについて相手の心をわきまえない、こういうことにならざるを得ないと思います。そういう点について外務大臣の所見を承りたいと思います。
  344. 園田直

    ○園田国務大臣 ハワイ会談終了後、合同会議を待つまでの間のことについては、米国の回答に基づいてその経過は報告したとおりでございます。したがいまして、これが一方には記録があり、こちらには記録がなかったということは、当時の鶴見審議官が向こうから言われたことは、貿易均衡の問題の一環としてE2Cの問題が話された、それに対して、四次防は決まっていないからまだわからない、検討する段階ではない、こう答えたから記録する必要はない、また会談そのものではなかったから記録しなかったものだと考える。したがいまして、怠慢であるとは考えておりません。
  345. 正森成二

    ○正森委員 私が聞いているのはそんなことではないのです。鶴見審議官はよしんばそういうように思ったとしても、相手側からそういうことが出たということを自分の上司の外務大臣、すなわち当時の大平外務大臣及び首脳会談に出ておる田中総理に対して、それをお伝えするのが官僚たる者の当然の責任ではありませんか。現に、その後あなたの言明によれば、翌年の昭和四十八年二月と四十八年五月にいずれも飛行機の問題が出ており、四十八年五月の鶴見・インガソル会談ではE2C、P3Cという購入問題が話し合われた、こう言っているではありませんか。それならば、鶴見審議官はそのことを外務大臣報告するときに、実は四十七年八月のハワイ首脳会談でも出たのだ、それが今度五月でも出たのだということを報告するのがあたりまえではありませんか。それもやらない外務官僚などというのは外交官として失格ではありませんか。そういうことでいろいろな外交をやっているということであれば、日本国民は安心して日本の外務官僚などを信頼することはできない、こういうことになるのは当然であります。  しかもそれだけではありません。四十八年の五月から二カ月たった四十八年七月三十一日から再びワシントンにおいて首脳会談が行われております。ここでも同じように飛行機の問題が出ているわけであります。そして帰ってこられて十日たったときに、あの有名な専門家会議が発足して、E2CやP3Cについて輸入の方向に大きく動いたということは歴史が示しているところであります。  さらに注目しなければならないのは、四十八年一七月二十七日に、そのことを見越して児玉がロッキードとの間にP3Cの売り込み契約を結んでいる事実であります。こういう点はすべて二回の首脳会談で飛行機の問題が重要な議題の内容になったということを示しております。その証拠があります。  昭和四十八年の六月二十六日に田中総理が内閣委員会答弁をしております。ここに速記録がある。全文を読むわけにはいかないけれども、当時の田中総理はこう言っているのです。その当時には、米ソ会談とかアジア情勢とか安全保障条約の運営の問題とかいろいろあったけれども、それは主題ではなかった、何が主題であったかといえば、それは貿易不均衡の問題が当時の主題であった、こういうことをはっきり田中総理が言っているのです。速記録に載っておるわけであります。しかも田中総理は、「アメリカと正面から対立するようになったら、これは日本の経済そのものがたいへんな状態になりますので、両三年待ちなさい、両三年待てば必ず私が答えておる数字になる、」こういうように言ってきているわけであります。それぐらいまで総理大臣が言っているのに、  一官僚が単なる雑談である、こういうことで報告しないなどということはあり得ない。したがって、四十八年になってもなおかつ鶴見審議官等が直接の上司である当時の大平外務大臣報告しなかったのかどうか、さらに直接田中総理に報告しておらないのかどうか、その点をお調べになったかどうか、御報告を願いたい。もしお調べになっておられなければ、お調べになった上、当委員会報告願いたいと思います。
  346. 園田直

    ○園田国務大臣 当時の外務大臣並びに総理大臣には、記録に残してないくらいでありますから、報告はしてなかったということであります。  なお、鶴見審議官は優秀な外務官僚であり、すでに亡くなっているわけでありますから、亡くなった人の怠慢を責めるわけにはまいりません。
  347. 正森成二

    ○正森委員 私は死者にむちうつようなことはいたしたくありません。けれども、園田外務大臣が鶴見審議官を優秀な外交官だとおほめになればなるほど、そんなに優秀な外交官でこの程度のものかということで、日本外交に対して慄然たる気持ちがせざるを得ない。これはここにおられる同僚諸君が全部御同感のことであろうというように思います。  その上にまだ証拠があるのです。昭和四十八年に二回目の首脳会談が開かれたときに、会談終了の直後の四十八年八月一日に、当時の日経新聞に記事が載っておる。どういうぐあいに言うておるかというと、「ところが日米経済問題では高次元の論議から一転してニクソン大統領が「業界は私のところまでいろいろと圧力をかけてくるので、そんな要望は直接、日本に伝えるように言っているのだが……」と圧力団体に弱い政治家の悩みを打ち明け、日ごろ同じ苦労をしている田中首相もここで大きくうなずいた」と書いてあるのであります。これが日米首脳の本当の姿であると言わなければなりません。だから国民疑惑を持っておるのです。大平総理大臣、私はいま外務大臣から御答弁を伺いましたが、当時にも直接御関係のある総理として、日本外交の姿勢の上から、下僚がこういう問題を上司に報告しないでもいいのかどうか、そういう問題も含めてお答え願いたいと思います。
  348. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 先ほどもお答えいたしましたように、当時の日米間の大きな関心事は貿易収支の均衡化の問題であったと思います。その問題は実務者会談にゆだねられまして作業は続けられておったわけでございます。首脳会談におきましては、そういう問題は触れることはやめようということになりまして、その他の大きな問題について話し合ったわけでございます。実務者会談の結果は、鶴見・インガソル会談の経過はコミュニケと同時に発表されております。それでその発表にもありますように、非常に重大なことでございますならばそこにあるはずでございますけれども、そこには軍用機の問題はございません。事実七二会計年度を展望いたしまして、どのくらいの購買が日本によって行われるであろうかという一つのエスティメーションをやったわけでございまして、そのアイテムは一々書かれてあるわけでございまして、したがって、私はその軍用機の問題が重大でないと言っておるのじゃないのです。つまり、その会談ではそういうことが主題でなかった。それでたまたま雑談でそういうことがあったとしても、そして鶴見君が報告をしなかったといえども、私はそれは怠慢と責める性質のものではないのじゃないかというように感じておるということでございます。
  349. 正森成二

    ○正森委員 総理の御答弁には私は満足いたしませんけれども、次の論題に移りたいと思います。  E2Cが五十四年度の予算で大きな問題になっておりますが、防衛庁ないし大蔵省にお伺いしたいと思いますが、E2Cの耐用年数はどれぐらいですか。それからまた損耗率、それは金額との割合でどのぐらいですか。
  350. 原徹

    原政府委員 飛行時間で一万時間、それで耐用年数として、米国海軍でも十五年ないし十六年と言っておりますし、私どもも大体その程度と考えております。  それから損耗率でございますか、これは海軍機でございますので、たしか一万時間当たりで〇・四程度だと思いました。ただしこれは海軍機でございますので、空母に着艦をするときの率でございますから、うちの場合にどうなるかはちょっとにわかには計算はできないように思います。
  351. 正森成二

    ○正森委員 そういうことを聞いておるのではありません。耐用年数については十六、七年ということでしたが、私はきのう防衛庁の役人を呼びましたら、アメリカでは十七年になっておるということであります。同時に、価格に対する損耗率というのは一万時間で〇・四%ということではなしに、毎年毎年どれぐらい部品を補給するかという点から考えるならば、価格に対して一〇%である、こういうことを私に明白に答弁しております。答弁の食い違いです。もう一遍答弁してください。——時間がないじゃないですか。そんなことも答弁できないのですか。そんなことで予算に入れるつもりですか。
  352. 原徹

    原政府委員 十五年ないし十六年、それにIRANというものがございますと、それを足せば十七年になるということでございます。それからいまの部品の損耗率のことでございますか。(正森委員「全体の損耗率」と呼ぶ)全体の損耗率というのがちょっとよくわかりかねますが……。
  353. 正森成二

    ○正森委員 きのう私のところに防衛庁の装備局の管理課の専門家が来て、価格に対して毎年一〇%の損耗率であって、それだけの補修部品を入れなければならないということを答弁しているわけであります。それをいまさらこの場になって変更しようとしても、それを私は認めることはできない、こういうように思います。  そこで、防衛庁長官に伺います。あなたはいままでこの委員会で各委員質問に対して三百四十三億円の今回の予算、FMSのものについては商社に一切コミッションは支払われない、こうお答えになりました。私の調査でもそのとおりになっております。けれども、同時に、これから毎年補修部品を入れるけれども、それについては必ずしもFMSにしなくてもいいんだ、これは一般的な民間取引にしてもいいし、その可能性もあり得る、こういうように答えましたね。それは認めますか。
  354. 山下元利

    山下国務大臣 そのとおりでございます。
  355. 正森成二

    ○正森委員 グラマン・インターナショナルの日商岩井との契約では、補用部品については日商岩井との間に一般民間契約にして、その場合のコミッション率も決まっているのではありませんか。それはいままで同僚委員がたびたびお聞きになりましたがお答えになりませんでした。それはわれわれにとって非常に遺憾であります。したがって、ここで押し問答しても時間の浪費でございますから、私が一月の十七日にアメリカ調査に参りましてグラマン・インターナショナルのオラム社長から直接に聞き取ったのを読み上げます。「日本政府の指示によりE2Cの五%だと推測しております。」こう言っております。オラム社長は、FMSの機体本体についてはコミッションは支払われない、はっきりそう言った上で、私が補修部品についてはどうだと言ったら、日本政府の指示により五%だ、こういうようにはっきりと答えているわけであります。これは、日本共産党の調査団は念のために録音テープを持っていっております。また、グラマン・インターナショナルも念のためにということで同時に録音テープを入れましたから、私はうそを言おうと思っても言えないのです。  そこで、資料を配っていただきたいと思います。——そうすると、一体どういうことになるか。大蔵大臣、よく聞いてください。五十四年度の予算によれば、E2Cの四機分は一二百四十二億余であります。一機分は八十五億余りであります。昨年の八月の防衛庁の庁議決定によれば、九機導入いたします。そうすると、総額は七百七十一億円であります。一年間の部品損耗率は、防衛庁管理課の説明によれば一〇%ですから、七十七億円の部品を導入しなければなりません。そして耐用年数は十五年ないし十七年ですが、防衛庁管理課が私に説明した十七年をとるならば、それに十七年を掛けると千三百十一億円が補用部品として要るわけであります。これは九機の本体よりもはるかに高いのです。それについてグラマンは日商岩井に五%コミッションを支払うということになれば、日商岩井が受け取るコミッションの額は、それに五%を掛けた実に六十五億円になります。そして日商の取り分は、カーンとの密約によれば六割ですから、三十九億何がし、カーンの取り分は二十六億何がしになります。そしてこの二十六億が、委員長も聞いていただきたいと思います、SECの報告によれば、一人もしくはそれ以上の日本政府高官に支払われる可能性がある、こうなっているのです。そういう重大な問題について日商岩井とグラマンとの契約書を提出しないというようなことで、一体予算委員会予算審議できますか。出さないなら削除するのが当然ではありませんか。  私がオラム社長に会うて、オラム社長がテープを入れた場で私に言ってくれたからこれだけのことがわかったのです。アメリカに聞けば日本予算はわかるけれども日本では予算がわからない、そんなことで一体日本の国会の権威が保てますか。防衛庁は不誠実そのものではないですか。大蔵大臣、あなたはそういうことも知らないで今回の予算の査定をしたのですか。総理、あなたはそういうことを御存じの上で、なおかつ政治責任をかけて予算を提出されたのですか。それを私は承りたいと思います。
  356. 山下元利

    山下国務大臣 繰り返し申し上げておりますとおりに、三百四十三億につきましては、FMS方式によりますために、これは商社の介入する余地はありません。なお、補用部品につきましては、一般契約による場合もあるということも私の申し上げているとおりであります。  補用部品につきましてどうなりますかにつきましては、いまいろいろとお示しではございますが、どのような根拠で申されておりますか、正確にはこれから政府委員をもって答弁いたしますので、お聞き取り願いたいと思います。  なお、重大なことについて私から申し上げておきますが、私ども疑惑のないようにこの解明をぜひともお願いいたしたいと思っておりますが、この日商岩井とグラマンとの間の代理店契約書につきまして、私どもはそれを秘密にするつもりはさらさらないのであります。ただ、第三者のことでございますので、それについては私どもとしても強く要請して、われわれは入手いたしておりますけれども、その公表いかんにつきましては、先ほども委員長の方から、後ほど理事会で御相談になるということもございましたので、なおまた、私どもとしては必要な限りにおきましてその契約の一部は申し上げているのでありまして、それを秘密にいたしまして、そしてこの御審議を願っているわけではございません。
  357. 正森成二

    ○正森委員 何を言いましても、しょせん引かれ者の小うたであります。どうです、アメリカはちゃんと発表しているじゃありませんか。アメリカは第三者がおるのに発表しているじゃありませんか。どうして日本国民の血税を使うものについて発表ができないのですか。それは国会に対する考え方の相違だと言わなければなりません。しかも、私の部屋へきのう相談に来た者と、そして報告をした者と、この国会での答弁が違うとは一体何事ですか。本来ならここで審議はストップして、ちゃんとした答弁が求められるまでは質問を留保するのがあたりまえであります。けれども、私は、きょうは集中審議ですから、それはしようとは思いません。しかし、時間を節約するために、その問題については後刻委員会なり、あるいは私に御報告を願いたいということで、次の問題に移りたいと思います。——時間がありません。私の時間は二十九分しかないのです。
  358. 山下元利

    山下国務大臣 いろいろお調べでございますが、私どもも、この予算審議に当たりましては十分厳正を期しております。なおかつ、いろいろ御答弁申し上げますことは、最高の審議機関である国会の場においてのわれわれの説明をお聞き取り賜りたいと思います。
  359. 正森成二

    ○正森委員 防衛庁の内部の答弁説明が異なっておるのに、そしてそれについて確信もないのに何事ですか。私は次の問題に移りたいと思います。  いまの内容でも、日商岩井とカーン氏との間の約束というのは非常に重大であります。SECの報告によれば、六、四に分けた四〇%が一人ないしはそれ以上の日本政府高官に支払われる可能性がある、こういうことになっておるのです。そこで伺いますが、カーン氏というのは外国人であり、もちろんこれは国際契約であります。独占禁止法の第六条によれば、そういう国際契約、そういうものは公正取引委員会に届け出をしなければならないということになっております。公正取引委員会、先ほど法務省の刑事局長から、密約でございますから恐らく届け出はないと思いますという答弁がありました。また同僚委員からも、日商岩井とグラマンとのそういう約束は出ておるけれども、日商岩井とカーンとの約束は出ていないような発言がいまございました。けれども、念のために伺います。日商岩井とカーンとのそういう国際契約は出ておりますか。
  360. 橋口收

    ○橋口政府委員 日商岩井とハリー・カーン氏とのいわゆるコンサルタント契約でございますが、新聞等に報道されましたので、当委員会としては確認はいたしておりませんので、日商岩井に対しまして、報道されているような契約があるか否か、あるとすれば届け出をするようにということで督促をいたしたのでございますが、今日現在で届け出そのものは出されておりません。ただ、日商岩井からは説明書が提出をされまして、当該契約はすでに解約され、契約書を破棄したために届け出の対象となる契約がないという説明があったわけでございます。
  361. 正森成二

    ○正森委員 それはとんでもない話であります。独占禁止法の九十条によれば、すべてそういう契約は提出しなければならない、提出しない者は二年以下の懲役もしくは三百万円以下の罰金になっております。それ自体が犯罪になるわけであります。しかも、日商岩井の海部八郎氏がある週刊誌で独占インタビューと称して発表しているところによれば、七八年にそれは終了したので、それはすでに破り捨ててしまった、つまり証拠隠滅をやっているわけであります。  刑事局長に伺いたい。時効になっているかどうかは別として、そういう国際契約を出さないことは犯罪になり、しかも、本件については十年ぐらい前からずっと調べなければならないのですから、それを破棄することはまた証拠隠滅罪になる可能性一般的にはあるのではありませんか。
  362. 伊藤榮樹

    ○伊藤(榮)政府委員 いわゆる密約と言われるものがこの国際契約というに値するものであるといたしますれば、独占禁止法の構成要件を充足するのではないかと思います。  それから、証拠隠滅の点につきましては、どういう意図でそれを破ったかということが問題になろうかと思います。
  363. 正森成二

    ○正森委員 刑事局長答弁は、その両方につき、いずれも犯罪が成立する可能性があるということを示唆したものであるというように私は思います。それは非常に重大なことであります。私は、国会の権威のためにも、予算委員会終了までにこれらの問題が明らかにされることを望みたい、こういうように思っております。  次に、私は、この問題の原点になりました第二次FX戦争のF4Eファントムの導入の問題について、防衛庁の人事が曲げられたという問題について、一言だけ伺いたいと思います。  これはF5とF4Eファントムが非常に争っておりましたときに、F5派と目された、実際はそうかどうかわかりませんが、海原氏等を追い落とすために怪文書がばらまかれ、そしてとうとう海原氏が防衛庁から外へ出されたという問題であります。これが事実だといたしますならば、しかも、その裏に、巷間伝えられているような日商岩井の海部氏の暗躍があったとすれば、それはきわめて重大な問題であると言わなければなりません。私が海原氏から聞いたところでは、この海原氏の人事はメモの形で増田長官に渡されたが、メモの筆者は松野氏で、佐藤氏のサインがあった、このことを私に教えてくれたのは、当時の防衛政務次官浦野幸男氏である、こういうようになっております。そうだとすれば、非常に重大であると言わなければなりません。私が訪米調査でグラマン関係信頼すべき人から聞いたところによれば、松野氏はPFという暗号名で呼ばれ、その情報グラマン社でも非常に重大なものとして扱われておったということになっておるのです。さらにもう一つあります。チータム氏が四十三年、四十四年に日本にやってきて、日商岩井にしようかどうかと思ったときに海部八郎氏に面会した。そうしたら海部八郎氏は、防衛上の技術的な問題に日商岩井が非常に詳しいだけでなく、政府機関のあらゆる決定機関について非常に詳しいということを言った上で、F4Eファントムの売り込み戦に成功したということを誇らしげに、かつうれしそうに語ったということになっておるわけであります。彼がこのことを語ったものかどうかということはわかりませんけれども、そういう重大な疑いが持たれている問題であります。それについて防衛庁調査されたかどうか、その点について簡単に御答弁願いたいと思います。
  364. 塩田章

    ○塩田政府委員 お答えいたします。  ファントムの選定は、純粋に防衛上の見地からあくまでも技術的、専門的に検討いたした結果でございまして、これと人事異動とは関係がございません。いまの御指摘調査はいたしておりません。
  365. 正森成二

    ○正森委員 私は、時間が参りましたので、これで終わりたいと思いますが、一言だけ大平総理に政治姿勢に関する問題について伺いたいと思います。  それは、資料公表問題です。私がアメリカに参りましたら、ロッキードとグラマンは違う。ロッキードのときには連邦地裁の決定があって、ロッキード社の希望もあって外へ出せないということになっておった。ところが、今度のグラマンあるいはダグラスの場合には、そういう連邦地裁の決定は全くなくて、グラマンやダグラスが自発的に出そうとする場合には、それをとめるいささかの法的制約もない、こうなっております。今度幸い国会の決議ができました。近く国会の調査団も参ります。そのときにグラマン社は、日本政府等が拒否しなければ発表してもいいという趣旨のことを言っているのです。それについて総理は国政調査権に協力するためにどういう姿勢をおとりになるかを伺って、私の質問を終わります。
  366. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 いままで申し上げておるとおり、法令の範囲内におきまして、最大限の御協力を申し上げます。
  367. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  368. 竹下登

    竹下委員長 これにて正森君の質疑は終了いたしました。  次に、加地和君。
  369. 加地和

    加地委員 まず、防衛庁長官お尋ねしたいのでございますが、私は最近防衛庁の高官、非常にえらい人であった人から聞いた情報によりますと、防衛庁は、装備、機種選定を含め、重要事項については必ず逐一歴代の防衛庁長官説明に行かれるそうでございます。歴代長官からはその際別段の指示はないということでございますが、本当に防衛庁機種選定を含めたこうした事柄を、歴代の長官だった政治家にわざわざ説明に回るのでしょうか。きちっとした機種選定等についての機構があり、政府としての意思決定があり、それを国会が審議する、そのようなシステムでありながら、長官をやめられた一政治家に逐一相談に行くというのはおかしいのではないでしょうか。こういう慣行はいまでもあるのですか。
  370. 山下元利

    山下国務大臣 お答え申し上げます。  防衛庁におきましては、広く防衛に対する理解を深めていただくために、従来から、予算や法案や白書の中身等について各党に御説明いたしているところでございまして、決して歴代長官だけに限っているものではございません。  なおまた、防衛庁としての意思決定は、あくまで、現に防衛庁長官であります私の判断と責任において行っているものでございます。
  371. 加地和

    加地委員 大平総理にお尋ねしたいのでございますが、防衛庁におきましてはこういう慣行でやっておられるということを聞いたのでございますが、すべての省庁を総括されるお立場の人として、他の省庁におきましても重要事項について歴代の、もうおやめになった大臣のところへ逐一報告に行ったりということは日本で行われておるのでございましょうか。
  372. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 その所管大臣の判断によって、やっておられるところとやっておられないところとあると思いますけれども、詳細なことは私、承知いたしておりません。     〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
  373. 加地和

    加地委員 特にこの航空機の問題というのは、値段も高い、またいろいろと技術的なむずかしい問題もありますために、とかく疑惑の的になりがちであることは事実でございます。また最近報道されておるものなどを見ましても、防衛庁の中にはいろいろと人脈がある。その人脈を切るためにまたいろいろな事件が起きてくるということで、国民としては、このような歴代長官にまで報告に行くという、私は他の省庁では余りない慣行だと思うのでございますが、こういう慣行は国民に誤解を与えることが多過ぎるのであって、こういう慣行はやはりやめるべきでなかろうかと思うのでございますが、防衛庁長官のお考えを聞きたいと思います。
  374. 山下元利

    山下国務大臣 まことに御指摘のとおりでございまして、現にこのたびの原案決定につきましても、私の判断と責任においてこれを国防会議にお願いして決定いたしまして、決して歴代の長官の方へ参っておりません。その点ははっきり申し上げておきたいのでございます。  なお、この機種選定につきましては、あくまで防衛上の見地から専門的、技術的に決定いたしておりますが、今後とも御指摘の趣旨を体してまいりたいと思っております。
  375. 加地和

    加地委員 第二次FXの場合に、マクダネル・ダグラス社のF4Eファントムに内定したのは昭和四十三年の十一月のことでございました。これは日商岩井の方へ就職をされた航空自衛隊のOBの方がなかなか御活躍になったと聞いております。ところがこの四十三年の時点で、それから九年ほど後の第三次FXの機種というのはF15、これであるということを断言して、そのPRの写真、カタログ、そういうものを空幕の方でずっとお渡しになったという事実があるようでございます。私は非常に不思議に思いますが、九年も後のことが、どうしてその一セールスマン、元空幕のえらい人でございますけれども、そのように大騒ぎをする機種選定について、見通しなり力を持ってくるのか、非常に私は不思議な話だと思うのです。やはり自衛隊のOBをたくさん抱えておけば、現役に対するところのいわゆる一定の力を発揮しやすいのかどうかというようなこと、また、先ほどちょっと申しましたように、防衛庁の中にあるいわゆる人脈というものが功を奏するのでなかろうか、あるいはまた、日本防衛というのは、アメリカのペンタゴン計画を引き写しにしたようなものだとまで言われたりしておる。第二次FXが決まったときに、第三次FXの機種についてこのような事実があったということに奇異の感を持つのでございますが、国民の疑念を晴らすために、防衛庁長官、この話についての御感想なりを述べていただきたいと思います。
  376. 山下元利

    山下国務大臣 先ほど機種選定につきまして基本的な方針は申し上げたとおりでございまして、純粋に専門的、技術的に決めておりまして、不当な圧力は全然ございません。そして、ただいま御指摘の問題につきまして、防衛庁に勤務した人々が再就職せられる例はございますが、それらの事実関係につきましては、正確を期する意味におきまして政府委員から答弁させますので、お聞き取り賜りたいと思います。
  377. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 ただいま御指摘がありました升本さんにつきましては、昭和三十六年の十月に自衛隊をやめられて、その後日商に勤務され、現在日商エアロスペースというところに勤務しておることは承知しておりますが、この升本さんがファントムの売り込み等についてどういうことを行ったかということについてはわれわれ存じませんし、またわれわれ防衛庁機種決定の作業が、そういった商社の活動等によって左右されるものとは思っておりません。
  378. 加地和

    加地委員 きょうも多くの方がハワイ会談にまつわるところの疑惑について熱心に討論されましたので、重複はできるだけ避けたいと思うのでございますが、やはり四十七年の八月三十一日、九月一日、このハワイ会談におきましてアメリカ側のいろいろな情報と、それから後、外務省が再度調査した結果とが非常に符合しておりまして、アメリカ側からの情報信頼性というものが非常に高まってきておるような気がするわけでございます。  そこで、もちろんハワイ会談におきましては、いろいろな方が行かれましたけれども、一番主役はニクソン大統領と当時の田中総理大臣であったと私は思うのでございます。この予算委員会におきましても、このE2Cの導入に絡みまして、ハワイ会談の事の真相というものが非常に中心問題になっております。幸いにも、大平総理と田中元総理とがごじっこんの間柄であるとも聞き及んでおりますので、大平総理としては、たとえばことしになってからでも、田中さん、実はいろいろ問題が出ておるけれども、ハワイ会談でE2Cの話は出なかったかどうか、真相はどうなんだというようなことをお聞きになったことはないでしょうか。
  379. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 そういうことはありません。
  380. 加地和

    加地委員 私は、一国の総理として、政治に対する信頼感を保っていくということは何にも増して重要なことだと思うのでございます。お聞きにくいことかもしれないけれども日本の一億の国民の政治に対する信頼を取り戻すために、決して地球のかなたのところにおられる人じゃない、同じ東京におられる、またごじっこんの間柄の方に率直に腹を割ってお聞きになるということはぐあい悪いのでしょうか。     〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
  381. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 別にぐあい悪いことではございませんけれども、ハワイ会談はそういう性質の会談ではございませんので、私は外務大臣として出席いたしたものでございまして、私が出ない会合も皆報告を受けたわけでございます。私は、私が経験したこと、それから聴取したこと、間違いないと確信しております。
  382. 加地和

    加地委員 無理な発言をしておるとは私は思わないのです。いろいろな省庁、お役人の方がおられますけれども、回り回っていけば手間もかかる、ややこしいいろいろな問題があると思うのです。私は、やはり一国の総理が率先して、いま言いましたような手軽な方法でこの疑惑を晴らしていく、われわれはどちらとも先入観は持っておりません。とにかく真実を明らかにしてほしい一番肝心の人に対する話というものが全然聞かれていないままに、周辺ばかりを遠慮しながら騒ぎ回っておるというような気がしてならないわけでございます。  そこで大平総理にお聞きしたいのでございますが、私はロッキード事件真相解明について、三木総理、三木内閣は非常に熱心におやりになったと思って、実は共感を覚えておるわけでございますが、大平総理、この三木総理のロッキード事件に取り組んだ姿勢等についての御感想はどのようにお持ちでございますか。
  383. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 りっぱに取り組まれたものと存じております。
  384. 加地和

    加地委員 これは衆議院のロッキード委員会でも、法務大臣にもこの感想をお聞きしたことなんでございますが、三木内閣が倒れ、その後福田内閣になりましてから、私は初めて議員をしておるわけでございますが、ロッキード委員会委員の一人として、私は、福田内閣時代においては非常に真相究明についての調子が下がってきたと実は思っておるのでございます。古井法務大臣もそのような御感想を委員会ではっきりと申しておられるのでございますが、大平総理大臣は、福田内閣になってからの取り組みについての御感想はどのようにお持ちでございますか。
  385. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 福田内閣においても、りっぱに取り組まれておると思います。
  386. 加地和

    加地委員 とやかく申しませんが、同じ内閣であって、大平総理と古井法務大臣との間において認識が非常に食い違っておることについて、私は奇異の感を持つものでございます。  それから、いまE2Cの導入必要性予算というものが審議をされておるわけでございますが、FMS契約政府間の契約であるということを金科玉条のようにしておられます。予算が成立をしておりませんために、日本アメリカとの政府間の契約書というものはまだないわけですね、防衛庁長官
  387. 山下元利

    山下国務大臣 御指摘のとおりと思いますが、正確を期する意味におきまして政府委員から御答弁いたさせます。
  388. 倉部行雄

    倉部政府委員 予算をお認めいただければ、四月から準備に入りまして、六月の中ごろに米国政府との間に契約をいたしたい、こういう予定をしております。
  389. 加地和

    加地委員 私が聞いておりますのには、防衛庁には、この予算が認められたときにつくられるアメリカの武器輸出についての一般的な契約書のひな形がある、入手しておられると聞くのでございますが、手元にございますか。
  390. 倉部行雄

    倉部政府委員 ここには持ってきておりませんが、防衛庁の方にはございます。
  391. 加地和

    加地委員 値段、機種だけが決まっても、たとえばその他大きな買い物については、いろいろな条件というものをしんしゃくしなければならぬと思うのです。そうでなければ本当の予算審議はできないと思うのですね。  先ほどこの耐用年数の問題についても、また買い物でございますから、アフターサービスの期間はどのくらいあるのか、あるいはこれは非常に複雑な電子機器でございますから、修理等について日本の手でできるのかどうか等、いろいろなことが絡まって総合的に判断して、初めてこの予算を認めるかどうかということが国会において判断し得るのではなかろうかと思うのです。そのために入手しておられるところの契約書のひな形、まだ具体的にはサインもない。だけれども、そのひな形は契約事項の九割から九割五分ぐらいは恐らくそれで決まってくるだろうと思うのです。このFMS契約のひな形を国会へ、この場へお出しになることはできないのですか。
  392. 倉部行雄

    倉部政府委員 概要については御説明いたしたいと思います。
  393. 加地和

    加地委員 これはやや決断を要する、政治家の答弁を要すると思いますので、山下防衛庁長官、私の言っておることは無理でしょうか。アメリカの国会においては、この日本予算が認められて、それからアメリカ政府の方で契約書をつくって、それは大統領からアメリカの下院の方の審議に回されるわけですね。アメリカの上院の外交委員長のところへも回るわけですね。そうして三十日間、この契約書は国会の方へ提示されていて、アメリカの下院が武器輸出禁止の決議をしない限りは、日本の方にその契約書が回ってくるという仕組みになっておりまして、いわば売り手の方のアメリカ側では国会の審議にまで供せられる重要な問題なんです。  物の性質が違うかもしれませんが、大きな買物ですよ。それからまた、日本の一億人の国民、またアジアの平和と安全という意味におきまして大きな意味を持つ買い物です。普通だったら買う人の方が発言権が強いのでしょう。その日本の国会においては、目隠しをして百メートル競走しろというのと似たような、無理な国会審議を強いておるのと同じことになるのじゃないでしょうか、アメリカ側のオープンなシステムと比べてですよ。防衛庁長官、どうでございますか。
  394. 山下元利

    山下国務大臣 米国の武器輸出管理法によりますところの、米国政府アメリカの国会に承認手続をとることにつきましては御指摘のとおりと思いますが、いまの武器輸出管理法のたてまえもございますので、ただいまの御指摘の点につきましては政府委員より答弁いたさせます。
  395. 倉部行雄

    倉部政府委員 ちょっと補足して御説明申し上げますが、ただいま大臣からお答えがございましたように、アメリカでは軍備の管理という面から、武器輸出の統制を行うために議会に審議をお願いすることになっておるわけでございますが、その際は、そういった趣旨でございますので、契約を審査するということではなく、したがって契約書そのものは提出されないというふうに聞いております。したがいまして、先ほどの資料の提出につきましてはアメリカと相談いたしまして、提出について至急相談いたしたいと思います。
  396. 加地和

    加地委員 それはいつごろまでに相談されて、回答はいつごろまでにもらわれる予定でございますか。また見通し等について……。やはり国際間の問題でございますので、一国の総理の熱意の有無というものがアメリカ側の心を動かす重要な基準になると私は思うのでございまするが、大平総理のお考えもお聞かせいただきたいのでございます。
  397. 倉部行雄

    倉部政府委員 早急に申し入れをしたいと思います。
  398. 加地和

    加地委員 それから、このE2Cが低空侵入飛行に対して効果があるということはよくわかるのです。わかりますが、いまも私が申しますように、細かいことはわからぬために同じような議論が繰り返されておる。たとえばきのう、私は防衛庁の方にいろいろと御説明を聞いたわけでございます。そうしますと、一年間に維持費というのが、たしか八機を入れた場合に、人件費を除きまして七十億円ほどかかる、こういう御説明を実は受けたわけであります。八機で平時の運用費七十億円強。これは先ほど別の方の御質問もございましたが、いわゆる部品代、油代全部ひっくるめて七十億円なんでしょうか、それとも部品代だけで七十億なのか、あるいはガソリン代その他だけで七十億なのか、どうなんですか。
  399. 原徹

    原政府委員 お答えいたします。  八機を運用いたしますが、これは平時運用でございますから、二十四時間飛ばすということではございませんで、八時間の哨戒をするという前提で、その中身は油その他全部入っております。全部入っての維持費が人件費を除いて、もちろん油も入っておりますが、七十一億円でございます。
  400. 加地和

    加地委員 またこの部品というのが、これは卑近な例で恐縮でございますが、たとえば電気洗たく機、これを買って三年ほどして傷んだというときに修理してもらおうと思っても、それは型が変わりました、部品がありませんということで、新しい電気洗たく機を買わざるを得ないという経験をなさっておられる方がたくさんあると思うのですね。  飛行機の部品というのは相当精密なようでございまして、たとえばJIS規格のようなもの、万国共通のネジでもないそうなんですね。その飛行機会社ごとの部品が必要だということなんでございますが、この部品の供給についてずっと永続的にこのE2Cの耐用年数が終わるぐらいまでの間、部品が安定的に供給されるという保証はあるのですか。
  401. 原徹

    原政府委員 そこで米海軍でいつまで使うかというのが問題になるわけでございますが、米海軍も一九九〇年の終わりまで使うということでございます。そういうことであれば当然部品の手当てはわれわれもできるということでございます。
  402. 加地和

    加地委員 私が聞いておりますところでは、実際に生産するグラマンの方に日本のE2Cを注文するのも、ことしの十月ごろがめどであると聞いておるのでございますが、十月でございますとまだ相当、八、九カ月あるわけでございまして、いま大問題になっておりますE2Cの予算疑惑がある程度解明されるまで、この予算費目だけを凍結するという時間的いとまというものも考え得るのでなかろうかと思うのでありますが、防衛庁長官どうでございますか。
  403. 山下元利

    山下国務大臣 この契約は、繰り返し申し上げておりますとおり、アメリカの国防省との政府間契約によるものであります。そしてまた、先ほど御指摘のように、アメリカ政府といたしましては、上院、下院の承認手続を受けなければならない事情もございます。決してそのような時間的余裕はないと思っております。この予算を成立さしていただきますならば、直ちにこれに取り組まなければならぬと考えております。
  404. 加地和

    加地委員 私は、政府側としてはそう言わないことには迫力が出ませんので、そうおっしゃる気持ちはわかりまするが、時間的ないとまは全くないものだとは思いません。  もう一つ最後にお聞きしておきたいのでございまするが、この契約書ができ上がって、アメリカから日本へ、この契約書にこれでサインしなさいということで回ってきたときに、そのもろもろの条項が非常に納得いかないということで、そのサインを拒否したりする自由というのは、日本側にあるのでしょうか。
  405. 倉部行雄

    倉部政府委員 法律的には自由があるわけでございますが、実際問題として、そういうことはまず起こり得ないと思います。
  406. 加地和

    加地委員 終わります。
  407. 竹下登

    竹下委員長 これにて加地君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十日午前十時より公聴会を開きます。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時十二分散会