○岡田(利)
委員 ことしの冬は東京から北海道から九州まで暖冬異変でございますから、いわば家庭におけるエネルギーの消費でも少ないのが常識なんですね。ところが、今年、統計をとりますと、二〇%灯油の消費が伸びているわけです。これは直接だきの石油ストーブから温風式に変わりますから効率が非常に落ちる、この分が消費増になってあらわれておるという現象がこの数字になってあらわれておると私は思うのです。そういう
意味で、このエネルギー問題に関しては人間の生活価値観を変えるという問題でありますから、そういう点と、経済の成長とエネルギーの消費、このことに余りこだわると、いつまでたってもエネルギー節約に関する
国民合意といいますか、意識の革命というものはできないと私は思うわけです。そういう点について、特に私は
政府の姿勢の中でもいろいろ今日まで問題があったかと思います。けちけち運動なんというのは経済成長にマイナスだなんということを昨年の予算
委員会で言われたわけですから、福田さん自身がそういう認識を述べたのでありますから、私はきわめて認識を疑うのであります。そういう
意味で、これが綿密な対応策を、もちろん心理的な影響を与えることは無理がありますけれども、
政府としては万全の対策をとるように要望いたしておきたいと思います。
そこで、こういう情勢の中で、残念ながらわが国の石炭産業は、もう御承知のように五千五百万トンがいま千八百六十万トン程度に生産は落ちました。しかし、今年三月末の貯炭の見込みは大体三百七十万トンを超えるだろう、こういう状況であって、わが国の石炭産業は新しい危機にいま立っている、こういう認識が私は至当だと思うのです。この現象はわが国だけではなくして、すでにヨーロッパに駒いてもあらわれておるわけです。
そこで、私は
外国の例を申し上げますけれども、もうすでに西ドイツにおいても、この政策の展開については
政府は思い切った措置をとっておりまして、特に連邦
政府あるいはまた州
政府の予算を大幅にこれに拠出をいたしているわけです。トン当たりにすると約四千円。そして、一千万トンのコークスを
政府が買い上げる、コークスにして買い上げる、こういう政策を次々ととって、輸入炭と自産炭、自
国内炭の格差を補給する、こういう政策がとられています。三千二百億を超える予算を計上いたしているわけです。
わが国はフランスと非常に出炭規模が似ていまして、今日フランスではなおかつ二千二百万トンの生産をいたしているわけです。そして、一千六百億を超える予算を出して、これはトン当たり七千円になります。そういう状況で、積極的な石炭政策の展開をいたしているのです。
わが国の特別会計の今年度の予算は一千二百九十億。だがしかし、西ドイツやフランスの予算の内容と対応する予算は一体幾らあるか、こう計算をしてみますと、大体四二%であります。トン当たりにすると三千円弱であります。西ドイツは四千円、フランスは七千円、
日本の場合は対応する予算は全体の予算のうちのわずか四三%で、三千円弱であります。そして、いま石炭産業は危機的状況を迎えておるというのが現状であります。
さらに話を進めますと、特に原料炭の貯炭が一般炭の貯炭を上回っておるわけですが、第四次政策以降、わが国の産炭構造を原料炭重点に変えていったわけです。ですから、一般炭をスクラップして、原料炭はたとえば三菱の南大夕張とか北炭の新鉱、あるいは三池の有明、新しい原料炭の炭鉱を三つも次々と開発をしてきたわけであります。したがって、この
政府の政策からいって、当然、安定供給、需要の確保という
責任は私はあると思うのです。いまわが国の輸入炭総量の中に占める原料炭のウエートは一三%であります。これを一四%か一五%に伸ばせば需給のバランスはとれるわけであります。一般炭の割り当てをしている場合には二〇%以上必ず輸入炭と込みでたくという条件で認可をしておるわけです。一般炭の場合は若干問題がありますけれども、それでもいま輸入一般炭はIQ品目で約百万トンあるわけです。この百万トンをぴたっととめれば需給はバランスがとれるわけです。これはちょっと無理でしょう。それでも、私の計算によれば、四、五十万トンは抑えることは可能であります。そうしなければ、いま減産
体制で
日本の石炭産業は崩壊せざるを得ないような傾向すら、徴候すらあるわけであります。私はそういう歴史的な経過あるいはヨーロッパにおける石炭政策との比較、こういう面から考えても、少なくとも鉄鋼の場合一五%弱のわが国の原料炭は引き取ってもらう、このことによってバランスがとれます。三方一両損という話もありますけれども、もちろん鉄鋼業界も企業格差があります。そういう点についてはやはり政策バランスをとりながらこの面を解決する。一般炭については、当面、輸入炭を一応抑えて、いずれもう五年後になれば約二千万トンの火力発電所ができる、
昭和六十五年には四千万トンの石炭を輸入する、IEAの方向から言えばまだまだこれはテンポを速めなければならぬ、こういう情勢でありますから、問題は三、四年ある程度やりくりすれば解決するのであります。ところが、これがなかなか一向進まないというのが今日の現状である。そして、貯炭対策についても確たる政策がない。当面、原料炭、一般炭、貯炭、三つの対策がわが国の石炭政策上きわめて重要なポイントであります。通産大臣の所見を承っておきたいと思います。