○佐々木良作君 私は、民社党を代表いたしまして、先日の
政府演説に対し若干の
質問をいたします。
施政方針演説とただいままでの
政府答弁を通じまして、大平哲学につきましては、その格調高い美文調の表現とともに、私もたっぷりと伺いました。けれ
ども、率直な私の実感は、失礼ながら、大平
政治は、結局、旧態依然たる
自民党政治の惰性の中で、相も変わらぬ事なかれ主義とその日暮らしを続けるのではあるまいかと心配を深めておる次第でございます。(
拍手)
まず、
政治姿勢から伺います。
第一点は、おのおの触れられましたダグラス、
グラマン事件についてであります。
総理が、大平
政治に対する
国民信頼を本当に獲得されようとされるならば、一番先になされるべきことは、今回の
事件の
疑惑究明に対しまして確固たる
姿勢を明らかにされることであることはどなたも指摘されておるところであります。しかるに、どうやらこの問題に対する
総理の態度は、一切を司直の手にゆだねるということのようであります。この種
事件の法的裁断には、時効、形式的職務権限の有無など多くの
障害がありまして、
事件の
政治的、
道義的責任の解明はきわめて困難なものであります。しかも、この解明をこそ
国民の最も多くが強く求めておるものであります。
わが党はすでに、
国会に公職者の倫理をただすべき常任
委員会を設置し、常時この種
疑惑の徹底的解明と予防措置をも検討すべきことを提唱いたしておりますけれ
ども、目下、今回の
事件に限って
調査すべき
委員会の設置さえ、各党
合意が困難な
状態と聞いております。かくては
国民の
政治不信をいよいよ高める結果と相なりましょう。
この際、
総理は、日本国の
政治の最高
責任者として、先ほどの竹入委員長の
質問にありましたような、
国政調査権の発動があった場合にはこれに
協力する、こういう受け身の
立場ではなくて、むしろ逆に検察当局の犯人捜しということとは別に、公職者の
政治的、
道義的責任を解明し、
政治倫理を高めるという意味で積極的に
国会の
委員会が活動すること、そのことの当否について見解を明らかにされるべきだと思います。
総理の
責任ある御
所見を承ります。
同時に、
政治的、
道義的責任の解明のために、刑事訴訟法第四十七条ただし書きを援用して、アメリカとの司法取り決めによる資料などの
国会提出を考慮する用意がありましょうか。先ほ
ども、竹入委員長は
昭和五十一年三月における
予算審議の
状態を御提示いただいておりました。同様な意味におきまして、あのとき同様な措置が行われたわけであります。民社党と
政府・
自民党との間におきまする約束によりまして、この刑事訴訟法四十七条ただし書きの援用を考慮したわけであります。そのような事実を想起されながら、
責任ある
答弁を求めるものであります。
第二点は、行
財政改革と公務員の
姿勢についてであります。
安上がり
政府への行
財政改革は、
総理のたびたびの公約であります。しかるに、去る十六日の閣議了解に見られる行
財政改革に対する
総理の
姿勢は、前内閣に比しても著しく後退の色が濃く、とうてい積極的な意欲をうかがうことはできません。ただいまの御
答弁で、言うはやすく行うはむずかしいと言われました。そのむずかしいことをやるのが
転換期における
政治家の任務というものであります。(
拍手)私は、
中央省庁の統廃合や特殊法人の大幅整理とともに、特にこの際、各省の
地方局廃止に対して、ここに本当の意味で踏み切るべきでありますることを強く要望するものであります。
さらに、
総理は、公務に従事する者の
姿勢について施政
演説で厳しく言及されました。きのうまた本議場における
質疑応答の中で、この問題との関連で、今回の郵政省紛争に関し、
総理は、双方が
責任を自覚し、平和的に解決することを望んでいる旨の
答弁を行われました。今回の反マル生運動と称する違法なストライキ、サボタージュが……(発言する者あり)年末年始の最も重要な時期に郵政業務を大混乱に導き、一般
国民に対し甚大なる迷惑と多大なる損害を与えたことに対し、
総理は一体どのような
責任を感じておられるのか。同時に、このような公務員のあり方について、さらにまた違法ストというものについて、どのようにお
考えになっておられるのか、
総理の
責任ある
答弁を求めます。(
拍手)
政策論に入りますが、現在は最も大切な
政治転換の時期と
考えまするので、まず総論的に私の
基本認識を申し述べ、これに対する
総理の御見解を承ります。
わが国はいま、
わが国特有の重要な問題に直面しておると思います。その
一つは、余りにも急速な
経済成長、
社会変化を遂げた結果、国内の各方面に不均衡や不安定を生じ、その調整が急がれ、それが
産業社会の構造
改革という
政策課題を不可避的にしておることであります。他の
一つは、日本の急速な発展の結果、国際的な義務と
責任という分野において、国際
社会から日本に対し応分の貢献を求められており、これに対応する
政策整備が急がれているということであります。
わが国の
国民総生産は約二百十兆円、言うまでもなく世界第二位の経済大国であります。しかるに、いつでも引用されまするように、
政府開発援助の対GNP比率は〇・二〇%、世界第十三位であります。この二つの数値に象徴される日本の国際
社会における地位の矛盾解消こそが、
信頼され得る日本の国際的
立場を築く唯一の足がかりでありましょう。そしてその場合、日本に対する評価の物差しは、多分南北問題に対する取り組み
姿勢となりましょう。このような意味から、南北問題は
協力的
社会づくりという理想からだけでなく、日本が生きるための不可欠の
政策目標と
考えるものであります。
一方、内政問題の象徴的数値として、私は、
国民総生産に対する経常移転支出比率を注目いたしております。日本のそれは八・四%、先進諸国中最低であります。つまり、このことは、日本が世界第二位の経済大国でありながら、その富が
国民生活の下支えに回されている部分は先進国中最下位であることを意味するものであります。
御承知のごとく、日本人の貯蓄率は国際的に異常と言われるほどの高さであります。しかも、
国民は、貯蓄が物価
上昇のため目減りすることをよく承知しておるのであります。それにもかかわらず貯金をするというのは、
各種アンケート
調査によりますれば、病気、老後、
住宅、教育の四つに代表される
国民不安に対し、国が適切なる保障措置を講じてくれないからであります。やむを得ざる自己
防衛なのであります。このような貧しく不安な庶民感覚と、常に
総理や前
総理がおっしゃいましたGNP経済大国意識との感覚的矛盾の解消こそ、今後の
わが国内政の最優先
政策路線でありましょう。(
拍手)
日本型福祉社会建設の理想論も結構でございますけれ
ども、
総理は、まず
わが国福祉水準の
現状を正確に把握され、これを
計画的に
引き上げていく最も現実的な態度をこそ優先さるべきであります。
総理の真摯なる御
所見を承りたいと存じます。
さらに、八〇年代を展望する
福祉政策を追及するに当たって、私は二つの特徴的な
社会構造の変化について注目いたします。
その
一つは、日本が
高齢化社会の入り口に立っていることであります。
高齢化社会というのは、若年
中心の
就業構造を
中高年と均衡のとれた形に組み立て直していく
社会の意味でありますから、そのための諸
政策の立案、施行が急がれなければなりません。
雇用とか
年金政策などが飛躍的な
重要性があることを強調せざるを得ないわけであります。
他の
一つは、地域
社会の問題であります。
総理の諮問
機関である
国民生活審議会の小
委員会は、最近「二十一世紀への
国民生活の展望」と題する報告書において、二十一世紀を「
地方の
時代」と位置づけております。脱経済から、心豊かな人間味あふれる
社会の
実現という、まさに大平哲学を地でいく手法で二十一世紀
社会を展望し、このような
社会への変化は、
地方自治体の
役割りを
拡大させ、財源や権限の
地方分散化、
産業や中枢管理機能の
地方分散につながることを強調いたしております。
私も全く同感でございまするが、
総理の行
財政改革に取り組む
姿勢は、この趣旨の
実現からははなはだ遠いものがあるように感じます。
総理の率直なる御
意見を承りたいと存じます。
以上のような
基本認識に立ちまして、以下、具体的に、まず内政問題から伺ってまいります。
内政問題の第一は、当面の
経済運営についてであります。
まず、五十三年度
経済運営について、福田前内閣は、
不況克服を
中心的
政策目標に掲げ、一貫して七%
成長を公約してまいりました。しかるに、
大平内閣誕生と同時に、この公約はあっさりと放棄されましたが、それは公約
実現が手段的に不可能となったと判断されたからでありましょうか。それとも、すでに
不況克服という
政策目標は大体達成したとの見解に立たれたからでありましょうか。七%
成長放棄の
政策的位置づけを明らかにされることを要求いたします。
次に、明年度
予算案は、
中心的
政策目標となるべき
産業社会の構造
改革という中期的
課題を放棄し、
財政再建の経過措置的
予算となっておりまして、他方においては、ガソリン税、
公共料金、消費者米価などの
引き上げなどによって、
国民負担増を強要しております。このことは、
消費者物価を押し上げ、
民間消費支出の
伸びを抑制し、
景気回復をますますおくらせる結果となることは必至であります。したがって、このままでは
政府目標の六・三%の達成はとうてい不可能と思われます。
総理はただいまの
答弁におきまして、それが可能ではなかろうか、不可能ではないという意味のお話でありましたけれ
ども、その根拠ははなはだ希薄だと存ずるわけであります。
政府は、一体この六・三%程度の
成長が、目下、経済
対策上なお必要であるとの
認識に立っておられるのか、いやもっと下がってもいいのだ、こういう観点なのか、このことを明らかにされることを望みます。同時に、その
実現のためには、
実現が困難になった際、追加措置も考慮され得るのか、
総理の
責任ある
答弁を求めるものであります。
第三に、
政府は
中期経済計画づくりを進めておられますが、この作業との関連において、
社会保障の中期
計画づくりも当然に進められておらねばならぬと
考えるのでありますが、
社会保障五カ年
計画とでも言うべき作業がいま進められつつあるのかどうか、明確に承りたいと思います。
第四に、わが党の中期
計画によれば、
財政再建につきまして、第一に、
景気回復による自力
回復力を取り戻し、第二に、
行政改革の断行と
不公平税制の
是正によって
国民の理解を求め、第三に、
国民自力
回復力を確かめながら五十五年度より法人税の
引き上げ、富裕税の創設など、一連の
増税措置を
考えておるものであります。
これらの準備
対策も進めることなく、
財政再建の名において、安易に
国民負担増を強い、さらに
一般消費税を
導入せんとする
政府の態度は、断じてわれわれの認容できないところであります。(
拍手)大平
総理の再考を促し、御
所見を求めるものであります。
この項の最後に
一つの
提案をいたします。
御承知のとおり、わが党を初め
野党各党は、それぞれ
中期経済計画を作成し、検討を重ねております。
政府もこのほど、新経済
社会七カ年
計画の
基本構想をまとめられました。私は、この際、真に
国民合意の
中期経済計画を検討、作成するために、
政府は党派を超えた協議の場づくりを呼びかけるべきだと
考えます。話し合い
政治を模索される大平
総理の真剣な考慮を求めるものであります。
内政問題の第二として、
老齢化社会と地域主義
社会の台頭を展望しながら、
社会福祉を進めるべき具体的問題につき
質問を進めます。
その第一は、
雇用についてであります。その
中心課題は、言うまでもなく
中高年齢者の問題であります。
政府は、来年度
予算案におきまして
雇用開発給付金の
改善を行っておられまして、これは私も評価するものでありますけれ
ども、これは地域における
雇用チャンスの積極的
拡大には余り役立つものではありません。
とこに
一つの
提案を行います。わが党及び全日本労働組合総同盟が提唱する
雇用創出機構の設置についてであります。
これは、政労使の
協力によって
雇用創出の研究、
雇用開発の方法並びに
情報収集を図る
中央雇用創出機構と、開発研究された方法を現実に地域において具体化する
地方雇用創出機構とを設置し、地域の潜在
需要未充足分野における
民間主体の
企業化を促進し、これら
企業の助成と
中高年の
雇用促進とを図らんとするものであります。
総理が大胆に一歩を踏み出されまして、ともにこの
構想の具体化のため立法作業に取りかかられんことを切望し、
総理の御
所見を求めます。(
拍手)
さらに、
中高年の離職者防止のための年齢による
雇用差別禁止法問題につきましては、先ほど竹入委員長の
質問に対しまして御
答弁がありました。
答弁は不満でありまするけれ
ども、時間の
関係上割愛いたします。
第二に、
年金につき伺います。
現在、老齢
年金受給者の六割以上がいわゆる経過的
年金の受給者でありますが、その金額は御承知のごとくきわめて低く、
年金の名に値するものではございません。
わが党は、個人の拠出とは無
関係に、ナショナルミニマムとして、老齢者に対し可処分定期給与の三〇%、夫婦で四五%相当額を保障せんとする基礎
年金構想を提示しております。この基礎
年金の上に現在の
厚生年金など比例
年金を加味し、新しい
年金制度の確立を図ろうとするものであります。
老齢化社会の入り口に立って、
年金制度の充実
改革は焦眉の急であります。基礎
年金だけでも早急に確立すべきだと
考えるのでありますが、いかがでございましょうか。
第三に、
住宅建設についてであります。
総理の言われる家庭基盤強化の
基本は、言うまでもなく快適な居住環境であります。しかるに、快適な
住宅の取得は、そのむずかしさは先進諸国中比類がなく、その価格もまた抜群であります。
その
最大の原因である
土地問題については、
土地は公共のものであるとの哲学的
認識に立って抜本的な
対策が講じられなければなりません。しかし、少なくとも、国土法の許可区域指定を機敏に行うよう行政指導を強化することや、宅
地価格を低下させるために、公共公益施設整備費をそのための
地方債の利子補給に切りかえるなどの措置はいますぐでも行えるのでありまするから、断行されることを望みます。
住宅ローンについても、融資枠の
拡大だけでなく、
民間ローンヘの利子補給を行うべきであります。
民間住宅投資の
拡大が
景気回復に大きく寄与することは申すまでもございません。
総理の見解を伺います。
第四に、補助金について、
地方の
時代促進への
一つの
提案を行います。
従来、複雑な縦系列の操作によって
地方の自主性を抑えてきた
公共事業関係の補助金を一括して第二交付税制度を創設し、
地方へ交付することの
提案でございます。特色ある町づくりを自発的に促す結果となり、同時に、国、
地方を通ずる行政の合理化、簡素化を進める有力な手がかりとなりましょう。
総理の理解ある
答弁を望みます。
以上、私は、内政につき重点的にわが党の
考えを提示しながら
政府の見解をただしましたが、最後に、話し合いによる
予算修正を要求いたします。
わが党は、最小限、
所得税減税、
雇用、
年金、
住宅などについて、一兆円規模の
需要拡大が望み得る、そのような
予算の修正を行い、
景気対策を追加することを最低限の修正
目標といたしております。
総理の謙虚にして率直なる
答弁を求めるものであります。(
拍手)
次に、外交及び安全保障について
質問を進めます。
内政同様、外交についても、八〇年代を展望するとき、いまその根本的
転換が迫られております。
わが国の戦後外交は、第一に自由諸国との連帯、第二に国連
中心主義、第三にアジアの一員としての
立場の三本の柱から成り立っておりましたが、事実上これらの
方針はすべて破綻しつつあると存じます。それは、日本外交には確かなる戦略
目標が欠如していたからであります。
その戦略
目標の第一は、相互依存の国際
社会の中で果たすべき日本の
役割りを明確にすることであります。第二は、世界の平和と安全との関連の中で、
わが国の安全につき総合的な保障体制の確立を明らかにすることであります。このような
わが国の外交戦略の確立を前提として、当面する具体的な外交
課題について若干の
質問を行います。
その第一点は、先ほ
ども触れられておりました本年六月の先進国首脳
会議、
東京サミットについてであります。一般
方針を承りました。そこで、この
会議において、いま
政府が
考えておられる最も大切な
課題は何でありましょうか。われわれは、先述のごとく、南北問題こそ最優先し、
政府が最も積極的な
姿勢を示すことを要望するものでありますが、いかがでございましょうか。
第二は、従来からの
課題でありましたエネルギー問題について、最近これを主要テーマから外そうとする動きがあるやに聞くのでありますが、もしそうであるとするならば、世界石油戦略の中で日本の孤立感が憂慮されている
現状に照らし、事は重大と思うのであります。
真相を明らかにされ、日本としての対処
方針を明らかにしていただきたいと存じます。
次の問題は、南北問題についてであります。この問題を重視される園田外相のお
考えは、外交
演説でも承り、評価いたしております。しかし、残念ながら、この
姿勢はいまだ日本の
政治全体のものとはなっておらないと存じます。
具体的質問の第一は、まず
政府開発援助についてでありますが、三年倍増の国際公約は、円べースなのでありましょうか。それともドルベースなのでありましょうか。OECDの開発援助
委員会は、昨年十月、円ベースならば実質的に二九%増にしかならないことを指摘し、日本批判の発言をいたしておるようであります。国の内と外とに異なった印象を与えてはなりません。
政府はこの指摘にどうこたえられるのか、明確な
答弁を求めます。
第二に、一昨年の福田ドクトリンの発表にもかかわらず、その後、途上国の貿易環境
改善問題は必ずしも進展を見せておりません。ASEAN諸国の一次産品の輸出所得保障制度の
実現要求に対し、すでに
政府には明確なる回答が準備されておると
考えるのでありますが、その概要をここに明らかにされ、あわせて、とれと共通基金
構想との
関係を明らかにされるように望みます。
第三に、ベトナムに対する援助凍結の問題に触れます。先ほどの竹入委員長の
質問に対しまして、外務大臣は、この問題について、五十三年度は実施いたしました、五十四年度については情勢を見て判断いたしますと、私が聞き間違ったのかもしれませんけれ
ども、そのようにお答えになったと思います。それでありまするならば、援助凍結ということが既定の事実のごとくにいま述べられておることは、何だか大変おかしなことであります。援助凍結、援助凍結と言うそのことが、いろいろな意味でいろいろな
影響を与えることを十分ひとつ御考慮をいただかなければならぬと思います。インドシナ情勢については一層の緊迫化や紛争の長期化がうわさされているのでありますが、
政府は、これをどのような情勢判断をされて、そして、これから
考えるのではなくて、凍結という
方針らしきものを打ち出されたのか。そうすると、今後どのような
状態になればその凍結らしき措置を解除されようという
考えに立っておられるのか、少なくともその
考え方の
基本は示していただかなければならないと存じます。
第四に、
総理は、環太平洋諸国家の連帯について新たなる
構想をお持ちのようでございます。しかし、ただいま伺いますと、まだその
構想は熟していないようでございますが、それを、
構想の概要でも承りたいのでありますけれ
ども、私の方からも
一つの
提案をいたします。
それは、一部学者、経済人等によって検討が進められている太平洋貿易援助開発
機構構想についてであります。私は、いま同志と検討を重ねておりまして、折を見て
一つの提言にまとめたいと
考えているのでありまするが、この
構想についても
総理の御
所見をあわせて承りたいと存じます。
質問の第三点は、中国に対する経済
協力についてであります。
昨年末訪中の際、鄧小平副首相との会談において、私の
質問に答える形で、鄧副首相は、
政府借款問題につき、従来の否定的態度を放てきし、積極的に受け入れる
方針を明確に打ち出されました。このときの一連の中国近代化推進路線の態度表明以来、アメリカ、西独などの対中国経済
協力の動きはきわめて活発化いたしております。私は、対中国経済
協力について、日本も
一つの
決断の時期を迎えていると
考えるのでありまするが、
政府借款についての
政府の
方針、特に
民間ベースのプロジェクトについても
政府借款を
拡大する意向ありや、明らかにされることを要求いたします。あわせて、対中国経済
協力の今後の進め方について、
政府の
基本方針を承りたいと存じます。(
拍手)
質問の第四点は、今後の日ソ
関係についてであります。これも先ほどお話が出ておりましたが、ひとつはっきりと承りかねたものでありますから、重複するかもしれませんが、御了承いただきます。
私の
質問の第一点は、ソ連が提唱しておる善隣
協力条約について、
大平内閣は、この際、何らかの新たな対応を
考えられるのか、それとも領土問題の解決を
基本とした平和条約の締結という従来路線をあくまで貫かれるのか、この点をまず明らかにしていただきたいのであります。
第二の点は、二月に予定されている日ソ経済
会議を目前にして、日中間の長期貿易取り決めに見合った長期貿易協定をソ連との間に結ぶ
考えがおありになるのか。さらに、その中に、現在中断
状態にあるシベリア開発について、
大平内閣は積極的に
協力する
方針なのか、具体的
姿勢を明らかにしていただきたいのであります。
質問の第五点は、朝鮮半島の情勢についてであります。
これも先ほど出ておりました。ただ、最近、南北朝鮮の対話再開について朴大統領の
提案が行われ、北朝鮮側もまたこれに対応する
姿勢を示しつつありますが、一方、アメリカにおいて、在韓米地上軍撤退
計画に対する再検討が行われつつあるとも承ります。このような動きに対しまして、
政府は、どのような展望を持って、具体的にどのように対処されようとしておるのか。南北対話の再開が好ましいということだけでは
政府の
方針ではないと思います。私は、展望と措置をお尋ねいたしたいと存じます。(
拍手)
第六点は、
わが国の経済
協力体制の強化についてであります。
いまや、国際
協力は
わが国の最
重要課題であるにもかかわりませず、国際
協力をめぐる各省庁のなわ張り争いは総合的な
政策の樹立推進に大きな
障害となっております。
行政改革の一環として、経済
協力問題の一元的推進を図るために、私は、経済
協力省の設置を真剣に
考えられんことを望むものであります。フランス、イギリス、西ドイツ、アメリカなどの実例を吟味され、
中央省庁の統廃合を前提に積極的検討を望むものであります。
総理の御所信を承ります。
次に、総合的安全保障体制について
質問を進めます。
この問題について、わが党はすでに、
政治、経済、
社会の三面を包含する整合性ある
構想を明らかにいたしておるのでありまするが、
総理の言われる総合的安全保障体制という
考え方、
言葉はわかりましても、中身はどうもはっきりしないのであります。
内容を明らかにしていただければ幸いであります。
しかし、総合安全保障という概念は、少なくとも、国の安全のための諸要素をバランスさせ、総合して安
全力を強化させるべきものでありますから、軍事力の
役割りの相対的低下だけを強調するものであってはなりません。軍事力以外の諸要素の一層の充実にこそ、この
構想の力点が置かれるべきであります。(
拍手)
そのような
立場に立って具体的な問題について伺いたいのでありまするけれ
ども、そしてその
中心がエネルギーであり、食糧であります。このエネルギー、食糧を
中心とする経済的安全保障の
課題、昨日来、同僚からたびたびこの問題について触れられておりますけれ
ども、どうもこれに対する
答弁は、われわれお伺いいたしましても納得しかねることでありまして、要領を得ない
答弁が繰り返されております。私も
質問を準備いたしておりましたけれ
ども、同じような
答弁が繰り返されるだろう、こう思いまして、これらの問題は、これからの実りある
質疑応答をすべて
予算委員会に期待いたしまして、省略することといたします。
安全保障に関連して、付言し、お伺いいたします。
私は、かつて有事立法問題が騒がれた際、その論議の混乱ぶりに驚嘆したものであります。けれ
ども、
総理、
一つの独立民族国家として、避けて通れない問題があることは御存じだと思います。自衛隊問題にいたしましても、元号問題にいたしましても、歴代
自民党内閣はことさらにこれを避け続けてまいりました。歴代内閣の怠慢と申して過言ではありません。(
拍手)けれ
ども、二十年も三十年も
国民の目の前からは完全に問題の本質論議を封じておいて、ある日突然その決着を迫っても、それは無理というものであります。少なくとも民主的態度とは申せません。しかし、避けて通れない問題は避けては通れないのであります。
今後、このような、やらねばならぬがやりにくい問題、これにどう取り組まれるのか。大平
総理は、この辺のやり方は最も私は上手なように感ずるのでありますけれ
ども、やらねばならぬがやりにくい問題、これにどう取り組まれるのか、大平新
総理の
責任ある態度表明を求めます。(
拍手)
さらに、私は、外国の大規模テロ
事件や地震、大災害などの報道に接するたびごとに、このような
社会混乱がもし日本に起こった場合、戒厳令はもちろん、
危機管理とでも言うべき体制化手段が皆無であることを承知いたしておりますがゆえに、深刻な不安を感ずるのであります。しかし、このような問題提起自身もまた、有事立法的騒ぎを起こすだけでありましょうか。(
拍手)私は、大阪三菱銀行
事件の犯人の異常性格などを思い合わせ、先ほど来この問題もたびたび出ておりました、そのような問題を思い合わせ、
社会秩序維持の
現状に寒々としたものを感ずるのでありますが、
社会混乱時における
危機管理の問題も総合的安全保障の一翼を担うべきものでありますから、
総理の率直な御見解を承りたいと存じます。(
拍手)
あわせて、
グラマン、
ダグラス事件に関連し、E2C
軍用機の扱いがにわかに
政治問題化いたしてまいっておりますが、正直言って、特別
関係者を除き、われわれ議員も
国民も、この
軍用機を自衛隊に配置することの
重要性については、ほとんど無知と言って過言ではありますまい。このような
防衛論議は
国会で完全にタブーとされておって、封じられておったからであります。シビリアンコントロール体制と言っても
実態はこのようなものでありますが、
総理、これで国の
政治目的のために自衛隊自身を使いこなせるものでありましょうか。わが党年来の主張である
防衛委員会の設置と国防
会議の改組を、この際、改めて要求するものであります。
総理の
責任ある
答弁を求めます。(
拍手)
以上で
質問を終わりますが、混迷の経済
社会、激動の国際情勢の中で
政治に求められるものは強力なる指導力であります。新大平
総理に求められている
国民的な
要請もまた同様であります。
総理がこの
国民的
要請にこたえる努力を傾けられんことを最後に強く
要請いたしまして、発言を終わります。(
拍手)
〔内閣
総理大臣大平正芳君登壇〕