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伊藤(榮)
政府委員 ただいまの御指摘は、いずれも私
どもにとって貴重な御指摘でございまして、実は昨日、本日の二日間、全国の検事正、検事長を集めまして
検察長官会同を開催しておりますが、昨日その
冒頭におきまして、私、指示を述べる機会がございまして、そのとき会同員の皆さんに申し上げたのでございますが、今回の事件の
捜査は非常に困難な前提から出発しまして一応の解明を遂げたという
意味において、
検察としては一応悔いはない、しかしながら、われわれとして考えなければならないことは、二度までも海外からの情報に基づいて
捜査が初めて開始されたということ、またその
関係で、
相当古くなった出来事について
捜査に着手しなければならなくなったこと、これは反省を要するのではないか、常に目と耳を研ぎ澄ませて、新しいうちに自前で事件を見つけてやっていくことが何よりも大事ではなかろうか、こういうふうに申し上げたのでございますが、まさに、それが私自身のいま一番考えておることでございます。
なるほど、ぐちめいた話をいたしますれば、
昭和四十四年から四十六年にかけましては、七〇年安保、沖繩返還等の出来事をめぐりまして、毎年何千人という検挙者をいわゆる公安事件で見ておりまして、
検察庁も特捜部も、全部その処理に忙殺されたという
事情はございますけれ
ども、やはりそれはそれとして、こういう水面下にひそんでおるような
犯罪につきましては、常に
注目をして端緒を得るようにしなければならぬ、こういうふうに思うわけでございます。
なお、時効の問題、職務
権限の問題等々仰せになりましたけれ
ども、今回の五億近い金が渡されました
政治家の方は、時効といいますより、むしろ職務
権限の問題で
犯罪とならない、しかも非常に古いことであるというようなことが、いろいろ御指摘を受けるような結果になっておるわけでございます。
ところで、それではそういうようなケースもみな処罰の対象になるような
犯罪構成要件を考えたらどうかというようなことも
一つの
考え方でございますが、この前もちょっと
お答えをしたかと
記憶しておりますけれ
ども、公選公務員の政治活動、なかんずくその中のいわゆる陳情活動と言われますような部分について、不当な制約がかかるような構成要件でも困りますし、これは私
どもも将来に向かっていろいろ検討さしていただきたいと思っておるわけでございます。
それから今回は、いま申し上げましたように、時効の問題というのはストレートには出てまいりませんでしたけれ
ども、やはり
一つの観点から、
国民感情からして特定
犯罪についての時効期間が現在のままでいいかどうか、これは真剣に検討すべき問題であろうと思うわけでございます。これはよその所管でございますが、税法上の除斥期間の問題等もございますし、そういう問題も考えていかなければなりませんが、さしあたって私
ども事務当局としては、現在御提案申し上げておる刑法の一部改正、これだけでも早期に実現すればと念願しておるわけでございます。
それから、もう
一つ御指摘になりました海外の情報に基づいて
云々という点は先ほど申し上げましたが、これに関連いたしまして、今回の事件を
捜査いたしてみました結果、国外にあります
会社あるいは銀行等の
調査が非常に重要でございました。そういう
関係からいたしまして、
検察当局としても、どこの国はどの
程度海外からの協力要請に応ずる体制になっておるかというようなことをわきまえておかなければなりませんでしょうし、法務省といたしましては、すでに毎々御指摘をいただいておりますように、司法共助のあり方につきまして、なお諸外国と詰めていかなければならぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。
第四点として、
政治献金の問題についてお触れになりましたけれ
ども、この問題につきましては、私
ども的確な意見を申し上げる
立場にはおりませんので、この点については省略させていただきます。