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香川政府委員 前段の
公共嘱託の
関係でございますが、これは数年来
連合会あるいは
単位会と私
どもとで、いろいろそれなりの
努力をしてまいっておるわけでございますが、率直に申し上げまして一番大きな
隘路は、
一つには集団
受託という形が、つまり数人あるいは数十人の
調査士さんが集まって共同
受託するという
関係は、これは相手の
立場になりますと、
責任の所在が必ずしも明らかでないわけでございますので、なかなか円滑な
受託関係が生まれないという点が
一つの大きな
隘路であろうと思うのでございます。
それからもう
一つは、これは忌憚なく申し上げますと、
調査士の間で過当なと申しますか、競争
関係というものがやはりどうしてもあるわけでございまして、集団で
一体となって共同
受託するという方向にいきにくい面があるわけでございます。したがって、この点は、連帯感と申しますか、
お互いが共同してよくなるというふうな風潮といいますか、そういうものが醸成されないことには、抜け駆けの功名的な事件の奪い合いというふうなことにもなりかねない、そういったおそれがあるわけでございまして、その点が
調査士会の自主的な統制のもとで調整される必要があるだろうというふうに思うわけであります。
さらに
報酬の点でございますが、これは一般的な現在の
調査士の
報酬規定をそのまま適用いたしますと、どうしても
委託する側の負担が大になってまいりますので、そこに
一つ難点がある、それを何とか工夫しなければならないという面がある−と思うのであります。それらの点について
連合会にも、いろいろ私
どもの
意見も申し上げておるのでありますけれ
ども、まだなかなか煮詰まってこないという点がございまして、さらに
協議を進めて、できるだけ早くこの問題が解決されるように
努力したいと
考えております。
それから第二番目の
報酬の問題でございますが、実は昨年の十二月に
連合会の方から、相当期間検討された結果の
報酬改定案の御提示がございました。これは従来の
報酬体系を大幅に変更するものでございまして、現在の
報酬規定そのものにも、
連合会の御指摘のような欠陥は確かにあると思うのであります。ただ、それを是正する仕方といたしましてぜひとも
考えなければなりませんのは、
参考人の
意見にもございましたように、
国民に対して
表示登記申請の義務を課しておる、過料の制裁のもとにそういった義務を課しておる、その義務を履行しようとする場合に、どうも素人の個々の
国民はみずから
申請手続をやれないということがあって
調査士さんに依頼せざるを得ない、さような面があるわけでございまして、そういう義務を課しておる点、しかも実際的には
調査士に依頼せざるを得ないということを
考えますと、
国民側の納得のいただける、しかも無理なく依頼して
申請手続を履行するという方途をやはり費用の面でも十分
配慮しなければならないという点があるわけでございます。
それと同時に、この
報酬の問題は、最近の風潮といいますか、やはりおおらかにはまいりませんので、支払う側の人の納得を得て、かくかくの
規定だから、これこれ支払うのは当然だというふうなことが十分わかるように、
報酬規定の一覧性というものが非常に必要なわけでございます。ところが、現在提出されております
連合会の案は、一覧性に非常に欠ける点があるのじゃないか。ちょっと私
ども見ましても、ある事件を依頼したときに、
一体どれくらい
報酬を取られるかという計算が容易にできないような、一覧性に欠ける点があるわけでございます。
そういった点も何かの工夫をしなければならぬというふうなことがございまして、いま鋭意検討いたしておるわけでございますけれ
ども、なかなか、これは率直に申しまして、現在の
連合会の改定案のような姿での
報酬改定というのは相当時間がかかるだろうと思うのであります。
ところが現在の
報酬は、
全国的には五十一年の一月だったと思いますが、に改定されておりまして、東京は一年半ばかりおくれたわけでございますが、約三年たっておるわけであります。その間の物価上昇等も二十数%見込まれるわけでございまして、したがってさしあたりの問題としては、現行
報酬規定の
体系のままにして、いわば物価上昇分等をそれに乗じた改定をまずやって、その上で根本的な
体系の変更に取り組みたい、かように
考えておるわけでございます。