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1979-03-16 第87回国会 衆議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年三月十六日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 坂本三十次君    理事 石橋 一弥君 理事 近藤 鉄雄君    理事 森  喜朗君 理事 木島喜兵衞君    理事 嶋崎  譲君 理事 石田幸四郎君    理事 中野 寛成君       石川 要三君    鹿野 道彦君       唐沢俊二郎君    久保田円次君       坂田 道太君    塩崎  潤君       塚原 俊平君    長谷川 峻君       藤波 孝生君    千葉千代世君       中西 積介君    長谷川正三君       湯山  勇君    池田 克也君       鍛冶  清君    伏屋 修治君       玉置 一弥君    山原健二郎君       西岡 武夫君  出席国務大臣         文 部 大 臣 内藤誉三郎君  出席政府委員         文部政務次官  高村 坂彦君         文部大臣官房長 宮地 貫一君         文部大臣官房会         計課長     西崎 清久君         文部省初等中等         教育局長    諸澤 正道君         文部省大学局長 佐野文一郎君         文部省学術国際         局長      篠澤 公平君         文部省管理局長 三角 哲生君         文化庁次長   吉久 勝美君  委員外出席者         国土庁大都市圏         整備局計画官  吉村  彰君         参  考  人         (日本私学振興         財団常務理事) 高橋 恒三君         文教委員会調査         室長      中嶋 米夫君     ————————————— 委員異動 三月五日  辞任         補欠選任   池田 克也君     矢野 絢也君   中野 寛成君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     池田 克也君   大内 啓伍君     中野 寛成君 同月七日  辞任         補欠選任   中西 積介君     安島 友義君   山原健二郎君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   安島 友義君     中西 積介君   不破 哲三君     山原健二郎君 同月十六日  辞任         補欠選任   菅波  茂君     鹿野 道彦君   西岡 武夫君     永原  稔君 同日  辞任         補欠選任   鹿野 道彦君     菅波  茂君   永原  稔君     西岡 武夫君 同日  理事中野寛成君同月五日委員辞任につき、その  補欠として中野寛成君が理事に当選した。     ————————————— 三月十五日  放送大学学園法案内閣提出第四四号) 同月三日  私学学費値上げ抑制等に関する請願伊賀定  盛君紹介)(第一四一〇号)  同(柴田睦夫紹介)(第一四一一号)  同外十九件(村山富市紹介)(第一四一二  号)  同(二見伸明紹介)(第一四七五号)  同外二十件(阿部未喜男君紹介)(第一五一七  号)  圃場整備事業実施に伴う埋蔵文化財保存等に  関する請願唐沢俊二郎紹介)(第一四一三  号) 同月五日  私学学費値上げ抑制等に関する請願外二件  (小川仁一紹介)(第一五四四号)  同(大柴滋夫紹介)(第一五四五号)  同外一件(木島喜兵衞紹介)(第一五四六  号)  同外一件(斎藤実紹介)(第一五四七号)  同外一件(嶋崎譲紹介)(第一五四八号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第一五四九号)  同外二件(千葉千代世紹介)(第一五五〇  号)  同(塚本三郎紹介)(第一五五一号)  同外二件(中西積介紹介)(第一五五二号)  同外二件(長谷川正三紹介)(第一五五三  号)  同(春田重昭紹介)(第一五五四号)  同外二件(湯山勇紹介)(第一五五五号)  同(浅井美幸紹介)(第一五八〇号)  同外三件(伊賀定盛紹介)(第一五八一号)  同(石田幸四郎紹介)(第一五八二号)  同外六件(北山愛郎紹介)(第一五八三号)  同(小林政子紹介)(第一五八四号)  同外三件(佐藤観樹紹介)(第一五八五号)  同(斉藤正男紹介)(第一五八六号)  同外三件(新村勝雄紹介)(第一五八七号)  同(鈴切康雄紹介)(第一五八八号)  同(田中美智子紹介)(第一五八九号)  同(只松祐治紹介)(第一五九〇号)  同(塚本三郎紹介)(第一五九一号)  同(原茂紹介)(第一五九二号)  同外一件(福岡義登紹介)(第一五九三号)  同外三件(細谷治嘉紹介)(第一五九四号)  同外四件(松本七郎紹介)(第一五九五号)  同(安田純治紹介)(第一五九六号)  同(山本政弘紹介)(第一五九七号)  同外六件(渡部一郎紹介)(第一五九八号)  同(浦井洋紹介)(第一六二五号)  同(加藤清二紹介)(第一六二六号)  同(小林政子紹介)(第一六二七号)  同(安田純治紹介)(第一六二八号)  同外七件(横山利秋紹介)(第一六二九号)  同外三件(渡辺芳男紹介)(第一六三〇号)  同(青山丘紹介)(第一六四二号)  同(大原亨紹介)(第一六四三号)  同(佐々木良作紹介)(第一六四四号)  同(武田一夫紹介)(第一六四五号)  同(西中清紹介)(第一六四六号)  同(平石磨作太郎紹介)(第一六四七号)  同外二件(広沢直樹紹介)(第一六四八号)  同(松本善明紹介)(第一六四九号)  同(依田実紹介)(第一六五〇号)  同(浅井美幸紹介)(第一六八六号)  同(鍛冶清紹介)(第一六八七号)  同外三件(金子みつ紹介)(第一六八八号)  同外一件(木原実紹介)(第一六八九号)  同外二件(多賀谷真稔紹介)(第一六九〇  号)  同外三件(楢崎弥之助紹介)(第一六九一  号)  同外十四件(野口幸一紹介)(第一六九二  号)  私学に対する公費助成増額等に関する請願(細  谷治嘉紹介)(第一五七八号)  同(鍛冶清紹介)(第一六九三号)  同(多賀谷真稔紹介)(第一六九四号)  同(楢崎弥之助紹介)(第一六九五号)  幼稚園教員養成機関に係る指定期間撤廃等に関  する請願近藤鉄雄紹介)(第一五七九号)  希望するすべての子供高校教育保障に関する  請願北側義一紹介)(第一六九六号) 同月九日  私学学費値上げ抑制等に関する請願池田克  也君紹介)(第一七四〇号)  同(宇都宮徳馬紹介)(第一七四一号)  同(大橋敏雄紹介)(第一七四二号)  同外五件(河上民雄紹介)(第一七四三号)  同(北側義一紹介)(第一七四四号)  同外一件(小林進紹介)(第一七四五号)  同(玉置一弥紹介)(第一七四六号)  同外二件(土井たか子紹介)(第一七四七  号)  同外五件(中村茂紹介)(第一七四八号)  同(福岡義登紹介)(第一七四九号)  同外二件(渡辺芳男紹介)(第一七五〇号)  同(渡辺朗紹介)(第一七五一号)  同(池田克也君紹介)(第一七九〇号)  同(沖本泰幸紹介第一七九一号)  同外二件(加藤清二紹介)(第一七九二号)  同(北側義一紹介)(第一七九三号)  同外三件(後藤茂紹介)(第一七九四号)  同外二件(佐藤観樹紹介)(第一七九五号)  同(渋沢利久紹介第一七九六号)  同外二件(土井たか子紹介)(第一七九七  号)  同外一件(森井忠良紹介)(第一七九八号)  同(荒木宏紹介)(第一八三七号)  同(池田克也君紹介)(第一八三八号)  同外一件(稲富稜人君紹介)(第一八三九号)  同(北側義一紹介)(第一八四〇号)  同(佐々木良作紹介)(第一八四一号)  同(寺前巖紹介)(第一八四二号)  同(東中光雄紹介)(第一八四三号)  同(正森成二君紹介)(第一八四四号)  同(三谷秀治紹介第一八四五号)  同(宮田早苗紹介)(第一八四六号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第一八四七号)  同(小林政子紹介)(第一八四八号)  同(柴田睦夫紹介)(第一八四九号)  同(津川武一紹介)(第一八五〇号)  同(不破哲三紹介)(第一八五一号)  同(松本善明紹介)(第一八五二号)  希望するすべての子供高校教育保障に関する  請願北側義一紹介)(第一七五二号)  学級編制基準の改善に関する請願鍛冶清君紹  介)(第一七五三号)  私学に対する公費助成増額等に関する請願(宮  田早苗紹介)(第一八五三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  参考人出頭要求に関する件  国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法  の一部を改正する法律案内閣提出第二九号)      ————◇—————
  2. 坂本三十次

    坂本委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。これよりその補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 坂本三十次

    坂本委員長 御異議なしと認めます。  それでは、中野寛成君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  4. 坂本三十次

    坂本委員長 国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案について、本日の石田幸四郎君の質疑に際し、参考人として日本私学振興財団常務理事高橋恒三君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 坂本三十次

    坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  6. 坂本三十次

    坂本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。嶋崎譲君。
  7. 嶋崎譲

    嶋崎委員 国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案についての質疑を行いますが、ここにあります新増設改正案については、わが党は賛成でございます。それだけに、この法律案そのものに直接関係はないかもしれませんが、今年度予算国立大学その他の問題に関連して御質問を申し上げます。  最初に、今度の改正案の、九州大学にありました附置研究所産業労働研究所廃止についてでございますが、産業労働研究所廃止されて、後はどうなり、そこにあった講座はどんなふうに処理されたかについてお答え願いたいと思います。
  8. 篠澤公平

    篠澤政府委員 九州大学産業労働研究所廃止することになるわけでございますが、すでに御案内のとおり、九州地区におきます、特に北九州地方におきます炭鉱業製鉄業中心とする特色ある産業構造を形成しておったわけでございますが、そういう背景を持った産業労働に関する総合的研究を行うということを目的といたしまして昭和二十四年に設立されたものであるわけでございます。  当初からこの研究には法学部あるいは経済学部、いわゆる社会科学系先生方の御協力がありまして、また、部門等につきましても、法制あるいは経済二部門で理論的かつ実証的な研究を行ってきたわけでございますが、しかし、御案内のように、近年におきます産業構造の変容、特に北九州地区におきます石炭産業に係る研究を縮小せざるを得なくなったという事情が一方ではございます。また、他方では、多方面にわたる新たな研究課題を設定して産業労働研究を幅広く進めていくことが必要であろうということでございます。そういう背景で、改廃を含めまして、かねてから、昭和五十年でございますが、それ以降九州大学は三カ年にわたりまして、この研究所の問題を慎重に審議、討議いたしてまいりました。  五十四年度予算の扱いといたしまして、大学は結論を出されまして、研究所の将来計画を含めて検討してきたわけでございますが、結果としては廃止するということの予算上の申請があったわけでございます。  廃止に伴いまして今後どう発展させていくかということは、やはり、産業構造研究といたしましては大学でもいろいろお考えであるわけでございます。具体的な形としては、従来の研究成果等蓄積があるわけでございますから、これを学外の共同利用という形で石炭研究資料センターを設けるということが一点ございます。それから、従前からこの研究に非常に協力をしてこられました法経学部も、今後この研究をさらに進めていくという観点も含めまして、法学部講座あるいは経済学部講座ということで、一応研究所廃止を全学的に認めたということがあったわけでございます。  今後の研究進展のことでございますけれども研究所自身と申しましょうか、大学が今後の研究進展を考える上でやはり法経学部を拡充していくことが一番至当であるということでございますので、文部省はこれを支持して、一応予算として内定をさせていただきまして御審議をいただくという段階になったわけでございます。
  9. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、私はあそこの兼任教授をやっておりましてなつかしいものですから聞いておるのですけれども、あそこは石炭関係資料センターとして共同利用にして、一講座残して、教授、助教授、助手が残るわけですか。
  10. 篠澤公平

    篠澤政府委員 さようでございます。そのほか事務官二名が残ります。
  11. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうすると、残りの講座経済学部法学部にそれぞれ割り当てるというかっこうで継承したわけですね。
  12. 篠澤公平

    篠澤政府委員 さようでございます。
  13. 嶋崎譲

    嶋崎委員 法学部の方は、今度は四講座でいったわけですか。
  14. 篠澤公平

    篠澤政府委員 法学部は四講座でございます。
  15. 嶋崎譲

    嶋崎委員 あそこは、わが国石炭資料に関しては最高の資料を集めているところでありますので、あそこの資料研究所石炭資料研究共同利用講座として残していくというのは大変いいことだと思います。今後は、あそこの石炭資料に関して、古い三井の関係だとか民間にかなり石炭関係の重要な資料がありますので、そういうものをあそこと結びつけて、わが国石炭関係の古い歴史、それから産業その他についての資料として、共同利用研究所として大いに充実させていただきたいと思います。  そこでお聞きをいたしますが、今度の国立学校設置法熊本大学法学部と文学部改組されたわけですね。この熊本大学の法、文の分離は小講座制でいったのですか、大講座制という議論があったのですか、いかがですか。
  16. 佐野文一郎

    佐野政府委員 学内での検討の結果によりまして、ほとんどのところが小講座制をとっておりますが、一部、法学部法学科だったと思いますけれども、大講座制をとっております。
  17. 嶋崎譲

    嶋崎委員 高等教育懇談会の答申にもありましたように、地方大学高度成長時代には理工系学部中心にどんどんできてきたわけでありますが、文科系学部を充実させるという方針地方大学をユニバーシティーにしていくということが指向されていると思いますけれども、そういう際に、文科系専門家教官スタッフの原蓄がないということが今後の大変重要な課題になるのではないかと思います。  そういう際に、いままでの小講座制でいくか大講座制でいくかということは、スタッフとの関係で、一つ方針とでもいいますか、考え方としてかなり柔軟に対応しなければならない状況があるのではないかと思いますが、いかがですか。
  18. 佐野文一郎

    佐野政府委員 御指摘のように、各地の大学人文社会系学部をつくりたいという御希望が出てきておりますし、また、それは地域の要請に沿ったものではございますけれども教官の確保という面からするとかなり問題のある専門分野が多いわけでございます。  従来の講座制というのは教育研究活動を安定的に遂行できるという十分な長所はございますけれども、他の関連分野との連携協力に円滑を欠くとか、あるいは一つ講座教官定員が固定的に配置されるために定員運用にも弾力性を欠くといった点がございます。大講座制はそういう従来の講座制よりも幅の広い分野をカバーいたしますし、従来の講座制問題点を補う上で非常に意義の大きいものだと考えております。  しかし、いずれにしても具体的な運用に当たっては、それぞれの大学事情あるいは専門分野特性等を考えて対処しなければなりませんし、それぞれのメリット、デメリットを考えて、どのような講座制具体にとっていくかということについては、それぞれの大学の自主的な判断というものをまず尊重して考えていくという対応をいたしたいと思っております。
  19. 嶋崎譲

    嶋崎委員 熊本改組に当たりまして、熊本大学からではなくて間接に聞いた話ですけれども文部省省議教官定数を決める時期ですが、それが決まったのはいつごろでしたか。
  20. 佐野文一郎

    佐野政府委員 八月末の概算省議でございます。
  21. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そして、その大学通知を出したのはいつごろですか。
  22. 佐野文一郎

    佐野政府委員 正式な手続としては、概算省議を経て大蔵に概算要求をいたしまして予算の折衝を経て、政府案が固まった段階大学側に対してこれを示すわけでございます。
  23. 嶋崎譲

    嶋崎委員 その中間に八月の段階教官定数を決定して、九月の一日に正式に大学通知をして、そして十月二十日までに審議会書類を提出せよという指示を出しておりませんか。
  24. 佐野文一郎

    佐野政府委員 国立大学学部増設につきましては、大学設置審議会におきまして予備審査をお願いをいたしますので、御指摘のように、その関係大学側に対して新しい学部構想の提示を求めるという手続をとるわけであります。
  25. 嶋崎譲

    嶋崎委員 熊本ではこれでずいぶん迷惑をしたということを聞いているわけです。  つまり、先ほど申し上げましたように、熊本の場合には小講座制分離したと思いますけれども、そうなりますと、教官定数を八月に省議決定して、九月一日に大学通知が行って、そして十月の二十日までに審議会書類を提出するということになりますと、いわゆる張りつけの教授というもののリストを全部提出しなければならないということになりますね。非常に短い期間の間にいろいろ審査が行われて、これがいいこれが悪いという話が出てまいりますと、そのスタッフを埋めるのに大変な努力をしなければならないという問題が起きたわけであります。結果としては改組は成功しましたけれども文部省のこういう問題の事務処理を、かなり事前に、改組に当たっては柔軟な対応ができることを大学との間で詳細に打ち合わせていかないと、こんなようにいつ教官定数が決まるのかといって省議を待っておったら八月だ、九月一日に通知が来てもまたすぐ後にスタッフを張りつけた書類を提出しなければならない、そこで審査でいろいろ問題が起きる、こうなってまいりますと、基本方針具体化していく場合に、非常に拙速で事を処理しなければならぬという事態が起きる。たまたま文科系教官の原蓄が少ないものですから、そういう問題でまたスタッフを集めるのに大変だというような事態が起きているように思います。  そんなわけで、今後、岡山、金沢、新潟という、すでに今年度予算改組準備費並び改組調査費がついている大学がそういうスタッフを集めることでさえも大変な事態ですから、対応の仕方について、かなり柔軟な対応をお願いしたいと思うのです。  ちょっとお聞きしますが、今年度予算でいきますと、金沢大学法文学部は、改組準備費ということになっていますね。いままでの予算項目で、大学の場合には、大体は改革調査費がついて、そして一定段階ですぐ改組に踏み切るというのが常識であったと思うのですが、この改組準備というような項目の費用は、いままで文部省予算でついたことがありますか。
  26. 佐野文一郎

    佐野政府委員 御指摘のように、学部改革調査経費を配分して大学に御検討をいただく、そして大学構想が固まってきたのを受けて学部分離改組に入っていくというのが通常のパターンでございます。  しかし、事柄によってはそれでは十分な対応のできない大きな問題がある場合がございますので、同様の事例といたしましては、五十三年度に信州大学人文学部人文学部経済学部分離するというときに、経済学部創設準備費というものを計上した事例がございます。
  27. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、学部改組準備費というのは、来年、五十五年度改組できない場合七も継続することがありますか。
  28. 佐野文一郎

    佐野政府委員 大学局としましては、改組準備という非常に慎重な手続をとって大学側の十分な検討をお願いしているわけでございますし、ほかにキャンパスの問題等非常にむずかしい課題を控えてはおりますけれども、できるならば次の年度には改組に入りたいと考えております。しかし、全く仮定の話でございますけれども、仮に何らかの問題で改組に入ることができないということであれば、それは改組準備を継続する。そういう事情があるからこそ改組に入れないということであろうと思います。  しかし、いまのところ私どもは次の年度には改組に入りたいと考えているわけでございます。
  29. 嶋崎譲

    嶋崎委員 その際に、先ほど申しました小講座制でいくのか大講座制でいくのかということは大学方針ではありますが、いまたしか金沢大学の場合は法学部は十一講座経済学部は九講座だったと思いますが、そのとおりですか。
  30. 佐野文一郎

    佐野政府委員 御指摘のとおりでございます。
  31. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、改組するときには大体どのくらいアップをすればいいんですか。
  32. 佐野文一郎

    佐野政府委員 改組の際にまずどの程度の学生数を予定をするのかということは、進学希望者の動向なりあるいは卒業者の進路の状況等を考えて大学で御検討いただき、さらにその学部教育内容をあわせ考えて、それに対応する教官の数というものを御検討をいただくわけでございます。  金沢大学でも、そういった観点で、改組に伴ってどのような学部の構成にするかということを具体的には現在御検討をいただいているわけでございますから、その大学における法文改組検討の結果を受けて私ども検討するということになるわけでございます。
  33. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうですけれども、どこでもこういう大学学部改組されて新たに動き出すときには、大学側大学側でその規模なんかについて検討しておりますね。ところが、大学側検討して決めても、文部省側の他大学改組の経験といいますか、そういうものを勘案して、特別な講座増設やそういうものを前提にしてはなかなかいかない。おのずから限度もあると思うのです。  ですから、この改組分離に当たって講座数をどうするかというようなときにはやはり一定の目安がなければいけないんじゃないでしょうか。その点、金沢大学法文の場合はどう考えておられますか。
  34. 佐野文一郎

    佐野政府委員 具体的に大学構想検討され固まってくるにつれて、先ほどもお話が出ましたけれども、正式な手続としてはそれぞれの段階でステップを踏んでまいりますけれども具体的には七月に大学側文部省に対して予算要求をなさる際に、あるいはなされるに先立って、あるいはそれに伴う文部省の方の概算要求の案を固めていくまでの間に、大学側とは担当課の方で十分御相談をするわけでございます。先ほど御指摘のような形で、全く大学側が知らないようなかっこうで事が行われていくというようなことでないことは御了解いただきたいと思います。  それから、金沢大学の場合にどのような規模にするかということでございますけれども、これはいま御指摘のように、必ずしも一律の基準があって、その基準によって講座の数とか教官の数が決まっていくという性質のものではない。やはり、具体構想に応じて内容を固めていくということにならなければならないと思います。もちろん大学設置基準に決めている基準は満たさなければなりませんけれども、その上でさらにその大学の特色をどのように生かしていくかということはそれぞれの具体の例に応じて考えていく。ただ、その場合に、いま御指摘のようにたとえば熊本大学における例のような他大学との均衡ということも考えていかなければならないことは事実でございます。
  35. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、その際に新潟でも岡山でも改組の問題が起きている。比較的文科系教官研究者の原蓄がない。相当引っ張りだこの問題が起きてくる。こういう情勢の中で新潟、岡山、金沢が動き出しているんだと思います。  そういう情勢から見まして、仮に小講座制でいくか大講座制でいくかなどについては、その大学が基本的に決めた方針文部省側対応していくという対応の仕方になると考えてよろしいですか。
  36. 佐野文一郎

    佐野政府委員 大講座制をとるか小講座制をとるかについては、先ほどもお答え申しましたように、まず大学の自主的な検討の結果を尊重するという基本的な方向で対応したいと考えております。
  37. 嶋崎譲

    嶋崎委員 尊重するが、それについてまた熊本のように小講座でなければならぬというようなことになることはありませんね。
  38. 佐野文一郎

    佐野政府委員 大学の方の構想が固まるのを待ち、あるいは固まる過程でもこちらにも御連絡がございましょうから、十分に大学側の御意見を伺いながらわが方も対応するということで御了承をいただきたいと思います。
  39. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、小講座制と大講座制のメリット・デメリットを簡潔に述べてください。
  40. 佐野文一郎

    佐野政府委員 先ほども申し上げましたように、小講座制の場合には教育研究活動を安定的に遂行できるという点に非常なメリットがあるわけでございますけれども、逆に関連分野講座との連携協力に円滑を欠く、あるいは一つ講座教官定員が固定的に配置されますために定員運用にも弾力性が乏しい、そういった点がメリット・デメリットとしてあると思います。  大講座制の場合には従来の講座制よりも幅の広い分野を包含することになりますので、従来の講座制が持っていたこのような問題点を補う上では意義が大きいと考えているわけでございます。
  41. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、文部省側、国側と言いましょうかは、いま学際領域の研究の問題もありますし、相互に関連した研究が進められなければならぬという意味で大講座制のメリットが一方にあり、しかも教官のローテーションという意味からも大講座制の方が有利であるというふうに考えますと、考え方としては、大学の方から要請が出てくれば大講座制の方向に動き得る可能性というものは持っているというふうに考えてよろしいですか。
  42. 佐野文一郎

    佐野政府委員 一般的にはいま申しましたような大講座制は十分なメリットを持っておりますけれども具体運用に当たってどうかという点は、それぞれ専門分野の特性なりそれぞれの大学のお持ちの具体事情というものがございますから、その点を十分に考えなければならない事柄ではございますけれども、大講座制をとりたいという大学側の御意向に対しては私たちはなるべく積極的に対応したいと考えております。
  43. 嶋崎譲

    嶋崎委員 その際に、大講座制であれ、教授は大体四十歳以上の年齢の方々だと思うのです。そうしますと、そういう四十歳以上の研究者で人が足りないという中で大講座制学部改組を仮に進めようとしてまいりますと、そこにおのずから張りつけ教授が整わないという問題が出てくることが新潟の場合でも岡山でも金沢でも想像されるわけです。  そうしますと、いままでの設置審の基準でいくような考え方でいくか、いままでの伝統的な考え方でいくか、その教授の張りつけについては弾力的に運用していくというようなことが考えられる必要はないか。この点はどうですか。
  44. 佐野文一郎

    佐野政府委員 御指摘のように、実際問題としてどういうテンポでやるかということはございますけれども、ここのところ、法文系、人文社会系改組とか学部をつくっていくという課題がかなり重い課題としてこれから出てくるわけでございます。このことについては、大学設置審議会のサイドにも関係の専門委員会には問題意識がございます。  御指摘教官の確保が果たして可能であるかというようなことを含めて、これから整備していく人文社会系学部というものについてどのような対応をすることがいいかということは、教官の確保の問題あるいはどういう学部内容にするか、構成にするかということを含めて、同じつくるならばできるだけメリットのある形でつくる方がいいという問題意識はもちろん文部省にも設置審のサイドにもございます。  関係の専門委員会でも、いわゆる自由討議の形でこの問題についても幾回か御意見を伺う等の措置はとっておりますけれども、現在のところ、まだ、従来の認可を進めていく上の取り扱いを変えるというような具体的な考え方が出てきているわけではございません。
  45. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、張りつけ問題について柔軟な対応ができる可能性というものはいまのところ少ないと判断してよろしいですか。
  46. 佐野文一郎

    佐野政府委員 その張りつけが弾力的に取り扱われるかどうかの可能性というのは、一つは、学部学科を考えていく場合に大講座をとるか小講座をとるかということにも関係をするわけでございまして、そのこと自体は設置審議会の方の審査と直接には関係をしないわけでございます。  大学設置審議会の方では、必要な数の専任の教授、助教授がいるかということで見ていくわけでございます。もちろん、カリキュラムの内容等から専任の教官が張りついている専攻分野に偏りがあるというようなことになりますと、そのことについての指摘を受ける場合はございますが、原則的にはいま申しましたような形で設置審は対応しているわけでございます。
  47. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、なべて金沢大学ないし新潟、岡山などの学部改組について、改組する教官定数、学生定員の概数というものはいつごろ大学との連絡で決めればいいのですか。
  48. 佐野文一郎

    佐野政府委員 当面改組準備に入っております金沢については、これから夏の概算要求の時点までに固めていかなければならないということでございます。
  49. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、夏までに法文分離についてのそれぞれの学部講座制のあり方、教官定数並びに学生について内部討議をし、そして文部省との対応方針を決めていく、こういうことになるわけですね。
  50. 佐野文一郎

    佐野政府委員 御指摘のような運びになろうと思います。
  51. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、この金沢大学法文分離という、三学部分離問題と金沢大学の総合移転という問題が密接に絡んでおりまして、全国の大学の総合移転問題の経験の中で、この特殊な金沢大学の移転の問題について、今後の行政手続上のことについて二、三お聞きをしたいと思います。  それで、金沢大学が昨年の十月の評議会で総合移転の方式を決めたということは連絡が来ておりますか。
  52. 佐野文一郎

    佐野政府委員 法文改組を先決としながら、総合移転の方向で検討するということを大学が決めておられることは承知をしております。
  53. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、いままで総合で外に移転するという場合に、総合移転ということをやる場合に、敷地、土地の購入ということが問題になってまいりますが、そういう際に、土地の選定や購入に際して文部省や大蔵省は事前にチェックすることがありますか。
  54. 西崎清久

    ○西崎政府委員 移転統合にかかわります用地の問題でございますが、通常の例で申しますと、まず大学における移転統合に関する基本方針が評議会等において決定される必要がございます。  第二には、その評議会等において決定された後において、通常の例で申しますと、学内に土地選定委員会とかキャンパス選定委員会とかいうふうな選定に関する合議機関が設けられるのが例でございまして、その合議機関において複数のキャンパスの選定、検討をなされる。そしてその後において評議会等にその結果を報告されまして、評議会においてキャンパスはこの土地にしようというふうにお決めになるというのが一つの例でございます。  今度は文部省側においてはどうかという点でございますが、大学において決定されましたキャンパスの方針文部省側が報告を受けまして、文部省内部には移転統合にかかわります部内の統合整備に関する局長クラスの委員会もございますし、課長クラスの検討委員会もございますので、そういう委員会において移転統合にかかわる基本方針検討並びに用地の適否の検討というものの作業を進めまして、結果として大学の御意向に沿える場合もありますし、若干お考え直しをいただきたいというふうな場合もございましょうし、大学でお決めになったキャンパスについて是なりとした場合には現地調査をいたしまして、その点についてのいろいろ諸般の状況を調査の上、用地にかかわる財源措置について概算要求その他の検討に入る、そういう手順になっております。
  55. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、総合移転の場合には、大学で総合移転ということを決定してから、総合移転の基本方針内容というものを決めなければならぬ、そして今度は敷地の選考と取得に入らなければならない、この二つのことをやらなければならぬわけですね。
  56. 西崎清久

    ○西崎政府委員 大学側手続としては、御指摘のとおりでございます。
  57. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、今度は、基本方針大学内で決めるとして、土地、敷地のいわば先行取得に関連して、その取得の方式にはどんな方式がありますか。
  58. 西崎清久

    ○西崎政府委員 通常の場合、大学の総合移転に関しましては、用地費の問題、新しい建物等の建設の問題で多額の財政負担を必要といたします。  したがいまして、その財源措置については相当な検討が必要でありますが、ただいまの先生の御指摘の用地購入の方式について申し上げますれば、国が直接買収する場合と、それから地方公共団体に先行買収をお願いして、そしてしかる後に国が逐次買い取るという方式、あるいは地域振興整備公団という公団がございますが、そこにおいて先行買収をお願いして逐次国が買い取るというふうな方法が考えられるわけでございます。
  59. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、大学基本方針を決めたら、たとえば地方自治体、知事部局などと相談をして、ないしはその市の市当局と相談をして、直接買う場合は国が乗り出すことはなかなか無理ですから、公社方式でもって買い上げたものを特会で買い上げるという方式か、もしくは、いま言った地域振興整備公団というのは、これは建設省の関係の都市計画との関連のあれですか。
  60. 西崎清久

    ○西崎政府委員 地域振興整備公団と申しますのは、主務大臣は国土庁長官と建設大臣になっておる公団でございますが、この公団は御案内のとおり四十九年八月に設置されまして、主たる業務が三つばかりございます。  端的に申しますと、都市開発の整備に必要な宅地の造成であるとか、利便施設関連の道路、公園あるいは公共施設の整備等を業務としておりまして、その中の一つでございますが、具体に申しますと、工業用地、商業用地、学園用地等の造成あるいは管理、譲渡を行うということも業務に入っておりますので、先行買収の法人団体としては地域振興整備公団が学園建設等にかかわる用地にかかわることは可能でございますし、過去にも例があるわけでございます。
  61. 嶋崎譲

    嶋崎委員 金沢大学の方は石川県当局に対して九十万平米ないし六十万平米の用地あっせんを申し出ているやに聞いております。ですから、金沢の場合は公社の方式での先行取得になるのではないかと思います。  そうなりますと、今度は概算要求にいくまでの間に土地の取得が先に行われていて、公社が土地を先行取得しておいて、そして大学基本方針が決まらなくとも、その候補の考え方が出た段階で、大学の移転の意思とそれから文部省がそれを受けてそれを購入するかどうか、将来これでいいかどうか、事前にそれを協議した上で大学内部で決定していくというやり方をとるのか、どういう方法になりますか。
  62. 西崎清久

    ○西崎政府委員 先ほど申し上げましたように、移転統合につきましては非常に多額の財政負担を伴いますので、先行買収の場合といえども、事前に国、大学における今後の財政負担についての見通しが立たなければ、先に先行買収をお願いするというわけにはまいりかねますので、具体に申しますと、用地購入費がどのくらいかかるか、あるいは建物等の建設費が新しい構想に基づく大学の態容においてどのくらいかかるか、全体の移転統合にかかる経費をまず算定いたしまして、跡地の処分に係る経費の収入がどのくらいあるか、そのバランスシートをまず考えて検討をいたす例でございます。  そのバランスシートにおきまして、今後の国の財政負担において財政当局等との協議を行いまして、大体そこにおいての合意が調いました後において、先行買収等について大学地方公共団体等で取り決めを交わしていただく、具体に買収に取りかかっていただく、そういう手順になろうかと思うわけでございます。
  63. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、金沢のお城の財産は文部省ですね。
  64. 西崎清久

    ○西崎政府委員 国立学校特別会計に属する文部省所管の国有財産でございます。
  65. 嶋崎譲

    嶋崎委員 これはいわば金になりませんね。いかがですか。金にする方法はありますか。
  66. 西崎清久

    ○西崎政府委員 国立学校特別会計に属する財産の処分につきましては、やはり国立学校特別会計法の趣旨に基づきまして、処分の場合にはできるだけ時価で処分をして、国立学校の充実にその経費を振り充てるというのが原則でございますので、過去の移転統合に係る跡地処分はおおむね時価で地方公共団体等にお買い取りいただくというふうなことにいたしております。  したがいまして、いま御指摘金沢大学のお城に係る用地につきましても、地方公共団体の利用の態様いかんにもよるわけでございますが、地方公共団体において時価買い取りに踏み切っていただきますならば国立学校特別会計法の趣旨に沿うわけでございますので、移転統合を実施していく上においては、国立学校特別会計法の趣旨に従えばそう期待をいたしたい、そういうことでございます。
  67. 嶋崎譲

    嶋崎委員 金沢大学の総合移転には、いまのところ教養部が残ると言っております。  そうしますと、教養部が城内に残る関係上、城址、城の跡は金沢大学が管理するものと理解してよろしいですか。その関係はとうなりますか。
  68. 西崎清久

    ○西崎政府委員 用地の所有権の所属の問題でございますが、金沢大学のお城の部分で地方公共団体で買い取っていただく場合に、国有財産としてその部分が残る場合は、その管理権はやはり文部省に残る。したがいまして、その所有権の所属いかんということが第一の問題でございます。  あるいは第二の問題としては、所有権は別としまして、管理権の委託というふうな方式もあろうかと思いますが、その点については、その所属いかんの今後の問題ではなかろうかというふうにも考えられるわけでございます。
  69. 嶋崎譲

    嶋崎委員 たとえば筑波大学の場合は、教育大学が片一方にあったわけですね。広島大学の場合には広島の用地を売り飛ばしてよそに移っていくわけですね。宮崎の場合もそうですね。ところが、お城というのは売り飛ばして金になるという性質のものではありませんね。特に、城址の文化財をどうするかという問題が後に残ります。  そうしますと、金沢大学の総合移転の場合には、いままでの移転と違いまして、自分の財産を売って一定レートのお金をつくって新たな土地を取得するというのとは違ったケースになる可能性というものを含んでいるのではないかというふうに事が考えられるわけです。  そういう事態の場合に、文部省が仮にオーケーと言っても、これはきょうはわざわざ大蔵省は呼びませんでしたけれども、どうでしょうか。大変な投資になるわけですが、大学基本方針がそうなれば積極的に対応していくということになりますか。これは当然でしょうけれども……。
  70. 佐野文一郎

    佐野政府委員 きわめてお答えのむずかしいところなんだと思いますが、金沢大学の整備というのは、文部省にとっては、わが国大学の配置を考えた場合でも非常に大切な課題だと考えております。  金沢大学としては、まず法文改組というものを従来の経緯もあって実施をしようということになっておりますが、この改組を考える場合には、いまの城内のキャンパスでそれを実現するということは不可能でございます。したがって、法文改組に伴うキャンパスの問題というのがどうしても出てきます。そのときに、法文の敷地というものを全体のキャンパス構想関係なしにとりあえず決めるということでは、これまたきわめて困ったことになるし、したがって、法文改組に伴うキャンパスの問題というのが金沢大学の将来のキャンパス構想の中にどのように位置づけられるのかということが明らかでないと法文改組というものに具体的に取りかかれないという点があるわけでございます。  そういう意味で、金沢大学の将来の全体のキャンパス構想ということをどうしても考えざるを得なくなるということになって、やはり大学の方でもいろいろと御苦心をいただいているわけだと思いますけれども、さて金沢大学の総合移転という問題を正面から取り上げるということになりますと、これはいま会計課長も申し上げておりますように、事の性質上非常に大きな課題であって、かなり慎重な検討を必要とすることでございます。  ですから、そういう法文改組に伴うキャンパス問題がむずかしい状況にあるということを十分に意識をしながら、総合移転の問題についてさらに大学側の御意見を伺いながら、わが方も慎重に検討を進めるということしかいまの段階ではなかなか御返事ができないということだと思います。
  71. 嶋崎譲

    嶋崎委員 その際に、いままでの、たとえば筑波の場合には学園都市といって、新しい広い土地を買ってそこにどかっと行くやつですね。宮崎も大体新しい土地を買っていくやつだし、広島も大体その方式ですね。  大学の移転という問題は、最近は学園都市構想的なかっこうで移転が行われていますが、そもそもこの移転の方針大学が決めることですから、文部省がああせいこうせいとはなかなか言えないと思いますけれども金沢大学の場合も、一つ大きな土地を購入してそこに城内の学部が総合的に移動していくという、そういういままでと同じ考え方で対処しているのですか。
  72. 佐野文一郎

    佐野政府委員 これまでの大学の統合というのは、御指摘のように新制大学が発足したときの経緯もありまして非常に方々に大学の施設が分散をしておりますから、それを一つのところにできるだけまとめる、一団地あるいは数団地にまとめる、そして教育研究なりあるいは管理運営の円滑化を図っていくということで進めてきたというのが実態でございます。  大学の移転統合を進める場合に、単にそういう都市の近郊に一カ所に集めるということではなくて、もっと都市と融合をした分散型の整備もあってもいいではないかという御意見は、確かに大学の存立というものは都市の文化的な機能と不可分であるということを考えれば、欧米各国における例等を見ましても一つの取り得る方法ではあろうと思います。しかし、現在の日本の現状ということを考えますと、既設の都市の中でそういう形で適地を求めていくということは非常にむずかしい。都市がむしろ過密化をしておりますので、学園都市の環境は全体として悪化をしているという面もございます。したがって、そういう現実の状況というものを十分に考えながら、大学が地域の教育、文化の中心となるようにそれぞれの計画というものを考えて対応していくということだろうと思います。  実際問題としては、いまの先生の御指摘のような形での、ある程度の分散型の大学のキャンパスというのは現実の課題としてはなかなか考えにくい実情にあるのではないかと思います。
  73. 嶋崎譲

    嶋崎委員 金沢大学の場合は、金沢市全体が文化都市として、まさに文化の遺跡みたいなところであります。それだけに、どこか山の方か海岸の方か知りませんが、新地を求めて移動するというのではなくて、金沢市の場合には工学部、医学部というのか伝統的に——小立野台というところに大学町がありまして、お城を中心にしたところに旧制の高等学校があった大学町があります。そういうぐあいにして金沢市の発展と大学というものは密接につながりながらあそこで人材を養成してきたところに伝統の特徴があったと思うのですね。  ですから、当面確かに、敷地の購入という問題について過密問題その他がありなかなかむずかしいけれども大学側が、金沢のそういう文化都市と大学というような観点で、大学移転の方法について文化人や何かの意見を聞きながら大学移転の——総合移転ということは総合移転としての基本方針はあっても、その移転の仕方については、金沢市と文化、金沢市と金沢大学という観点で、総合移転ではあるが部分的な総合移転というような観点で、地方都市の文化と大学の総合移転というものを結びつけて考えていくことが大変重要なことだと思うのです。  と申しますのは、たとえば筑波の場合のように、残念ながら日本では、何も農村地帯は文化が低いというわけではありませんけれども大学を取り巻く環境が文化を受け入れにくい構造を持っておりますと学生生活が大変荒れてまいります。図書館もないし、本屋もないし、古本屋もない。それから都市でたむろして議論をするような場所も持たない。そしてまた下宿の環境が、そういう学生生活と文化みたいなものを享受できるような環境を持たない。そういういわば砂漠のようなところに大学をこしらえてみても、それが大学というものを育てていく環境になるのかどうかということについて私は大変疑問を持っております。筑波大学の学生の大変な選挙違反、法律違反の問題が出ている背景も直接関係があるとは思いませんが、無関係ではないと思う。  ですから、そういう意味で、大学の総合移転ということについて、それぞれの都市の持っている文化と伝統というものを結びつけながら移転のあり方というものを検討することも非常に重要だと思うだけに、大きな敷地を一つとって、そこに全体をひっくるめて引っ越せばいいということでなく——図書館の問題や体育の施設の問題や厚生設備の問題や、そういうことを考えますと大きなキャンパスが要ることは確かに間違いありませんけれども、同時に、また、そういう地方都市と文化というものを含めて移転問題を議論していくような条件が必要なのではないかというふうに考えるわけです。  したがって、まだ一、二年で事が決まるような性質のものではないでしょうから、そういう意味で、移転について大学当局や町の方から意見が上がってくる場合に、そういう観点でのサポートをぜひお願いしたいと思うのですが、大臣はどうお考えですか。
  74. 佐野文一郎

    佐野政府委員 いずれにしても、先ほどお答え申し上げましたように、金沢の場合には法文改組という現実の課題がございます。それについてのキャンパス問題があるわけでございますから、そのキャンパスの問題と大学の将来の全体のキャンパスの構想というものとのかかわりということを具体課題として考えていかなければなりません。  大学側でもそういう観点でいろいろと御検討をいただいていることと思いますので、今後大学側の御意見がさらに具体化してくるのを待ちながら大学側と十分御相談をしてまいりたいと思います。
  75. 嶋崎譲

    嶋崎委員 金沢大学のマスタープランに関連して、高等教育懇のあの答申に基づいて、総合移転とも結びつけながら昭和六十一年までに学生数をほぼ八千人ぐらいと考えて、一学年二千名プラスアルファというような将来計画みたいなものをいま立てているやに聞いております。  そこで、お聞きしますが、文部省は北陸地区の大学学生数について、と、それからこれは新潟大学がこれから問題になりますから甲信越についてもお聞きしますが、甲信越地区の大学学生数について、適正規模というようなものについて案がありますか。
  76. 佐野文一郎

    佐野政府委員 昭和五十一年から五十五年までの高等教育の計画的な整備については、御案内のように五十一年三月に提出された高等教育懇談会の報告があるわけでございまして、この報告の中ではブロック別の配置計画というものを一応の目途として示しておりますし、その中には関東・甲信越、北陸・近畿というブロックの区分があり、そのブロックの区分の中で一応の拡充の見込み数を、国立については関東・甲信越二千二百名、北陸・近畿については千七百名というような数を挙げています。これは目途でございますが、そういう数が挙がっているということがございます。
  77. 嶋崎譲

    嶋崎委員 この高等教育懇談会の線引きを見ますと、いまありましたように、関東と甲信越をくくってあるわけです。そして近畿と北陸をくくってあるわけですね。ところがこれを逆に北陸・甲信越ブロックで線引きしますと——現に関東、関西という過密都市の一部に北陸や甲信越を入れておるわけですね。こういう線引きのやり方では、将来の学生定数やそういうものの定員の見通しは立たぬのじゃないかとぼくは思うのです。  北陸なら北陸三県の文化とブロックがありまして、あそこは高度成長でもよそから人が来ているのじゃなくて、あそこの北陸ベルト地帯というのは、立山からおりてきたとか、能登半島から金沢に出てきたとか、白峰から金沢におりてくるとか、あの北陸三県の中で人口が移動して都市化が進んでいるわけです。ですから、関東や関西のように地方から人が集中してくるような構造を持っておりません。そういう構造は長野や甲信越の場合も一定程度考えられるわけですね。そうしますと、将来地方大学を充実していくという場合の線引きの仕方の場合に、関西と北陸をくくり、関東と信越をくくるというような、新幹線が走るかもしれませんが、そんなくくり方ではだめだ。したがって、線引きを北陸・甲信越を一つにくくってみて、この地域の将来の高等教育施設のあり方というものを独自に検討していくことが必要なのじゃないかと私は考えておるのです。  そういう意味で、新潟大学法文分離金沢大学学部改組などを含めまして、将来の大学のマスタープランを考えるに際して、文部省側もそれを考えるデータないしは考えるための目安というものを考えるために、もう一度その点の線引きを懇談会の答申に基づいてやり直してみて、そして再検討していただくという必要があるのではないかと思いますが、御配慮願えるかどうか。いかがですか。
  78. 佐野文一郎

    佐野政府委員 御指摘のブロックの区分というのは、御案内のように、京浜・南関東あるいは京阪神・近畿というような大都市圏において十八歳人口がかなりふえる、それに伴う高等教育への需要の増大も予想される、しかし、それらの地域については、むしろ原則的には大学の新増設を抑制する地域をかなり広範に含んだものである、したがって、これらの大都市圏における高等教育への需要というものをそれに隣接する地域を含めて受けとめる、むしろそれらの地域を含んだ広いブロックの範囲内で収容力の調整を図ろう、というのが懇談会の御趣旨だったわけでございます。  しかし、この線引きといいますか、ブロック区分については確かに問題がございます。現在、昭和五十六年から六十一年度にかけての後期の高等教育計画について大学設置審議会関係分科会で御検討をいただいておりまして、近く中間報告をいただけると考えておりますけれども、その際にもやはりこのブロック区分というものが同じように問題になるわけでございます。審議会の方でも問題意識を持って、そこをどうするかということを御検討にはなっておりますけれども、現在のところは、いま先生がおっしゃるように甲信越と近畿というようなかっこうでブロックを組むというよりは、関東・甲信越あるいは北陸・近畿というブロック区分を残しながらも、その中における南関東とかあるいは近畿といったものの内訳のようなものを示すというような方法はどうかというような御議論が出ております。  まだ確定はいたしておりませんが、いずれにしても御指摘の点についてはさらに検討をさせていただきたいと思います。
  79. 嶋崎譲

    嶋崎委員 最後になりますが、金沢大学法文改組の問題に関連して、法文系三学部改組問題と総合移転が大変絡んでおりますから事態は大変複雑であります。そこへもってきて、最初申し上げましたように、分離に当たってのスタッフをめぐって、講座制のあり方、人材の確保などについても大変問題を持っております。  それだけに、学部改組準備費というものをつけてきたこの法文改組の促進という考え方と総合移転が密接に絡まっているだけに五十五年度改組が成功しないということもあり得るし、仮に改組という考え方が出ても、総合移転問題との関連での移転と改組が結びつくということが物理的に不可能である、時期的に不可能であるというようなことが考えられるわけで、そういう多様なことが、困難な条件が目の前にころがっておりますから、今後、改組問題と総合移転問題について、仮に改組が総合移転との関連で少し時間がかかっても、改組基本方針と同時に総合移転が全体的にうまくいくように積極的な御協力をお願いしたいと思います。これは回答は要りません。  最近金沢大学でもそういう構想がありますが、全国的に国立大学に夜間コースを開設しようという動きがあちこちに出てきておりまして、五十四年度から愛媛大学法文学部法学部に夜間コースが開設されることになっておりますが、御存じですか。
  80. 佐野文一郎

    佐野政府委員 愛媛大学において、千葉大学、福島大学に続いていわば昼夜開講制の考え方を取り入れた夜間のコースを開設しようという御計画があって、現在予算の御審議をいただいておるところでございます。
  81. 嶋崎譲

    嶋崎委員 したがって、今後要請があれば国立大学に夜間コースをふやしていくという方針があると判断してよろしいですか。
  82. 佐野文一郎

    佐野政府委員 夜間部というものを大事にしなければいけないということについては全く同感でございますけれども、実際問題として夜間部の学生の実態が、地域によって違いますけれども、かなり変わってきている、いわゆる勤労学生が夜間部に入ってくるというかっこうではなくなってきているというようなこともございますし、それに伴ういろいろな教育内容等における問題も出ておるわけでございます。  したがって、大事にしながらも、どういう形で夜間を拡充していくかということについてはそれぞれの事例に応じての十分な配慮が必要だと思いますけれども、愛媛だとかあるいは福島でやっているような、一つの積極的な意欲を持って就学の形態を多様化していこうという意義のある試みに対しては、私たちも積極的に対応したいと思っております。
  83. 嶋崎譲

    嶋崎委員 時間がありませんのでもう一つだけ、昨年の質問に関連してちょっとお尋ねをいたします。  昨年の三月二十四日の文教委員会で、海洋研究と教育というテーマで御質問をいたしましたが、その際に、当時は井内学術国際局長ですが、井内局長が、今年度内に文部省の学術審議会で海洋科学研究についての答申が行われるということについての返答がございまして、私が提起した一連の問題はそこで受けとめて、今後対処するということでございました。  昨年の十一月に学術審議会の「海洋科学研究の推進について」という建議が出ておりますが、これに関連してあと残された時間——時間か足りなければまたいずれということにして打ち切りますが、お聞きしたいと思いますが、海洋科学研究の推進の必要性については、昨年の委員会でも出ましたが、わが国における海洋研究というのは、水産国日本というものを特殊な条件としておりますから水産関係には膨大な国の予算がついておって、いわゆる外国で言いますところのオーシャンリサーチという観点からした予算のつけ方が非常におくれている。そのことが、わが国の人間が海底にもぐる深さにしても、海底を調査する船のもぐりにしたって、問題にならないくらいに今日国際的におくれてきている。そういうことと関連してわが国の学術体制を見ますと、水産学部、水産高校というものはあるけれども、オーシャンリサーチというものを頭に置いた、海洋時代に備えた学術研究体制がないという点をつまびらかにしたわけであります。その際に、この「海洋科学研究の推進について」の建議が近いうちに学術審議会から出るので、ぼくが提案したもろもろの問題については、そこで審議されて答申が行われるであろうということが答弁でありました。昨年いよいよこれが出ました。  これと同時に、総理府にあります科学技術会議が第六号答申をしていることに関連して、海洋研究の重要性が指摘されている点については御存じですか。
  84. 篠澤公平

    篠澤政府委員 昨年の六号答申でございますが、科技庁は、「長期的展望に立った総合的科学技術政策の基本について」という中におきまして、重要基礎研究の推進という柱の中に、水資源とかあるいは環境であるとか、そういう関連で海洋に触れているということでございます。
  85. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうじゃなくて、答申は、「先導的・基盤的な科学技術の領域」という項目の中で、いままでは宇宙とライフサイエンスが中心であったのですけれども、それに第二の項目として、「宇宙開発・航空技術」の次に「海洋開発」というものが入ったということです。そして三番目に「ライフサイエンス」で、いまのところ科学技術会議にはライフサイエンスとそれからエネルギーに関する部会がありますが、海洋科学に関する部会はないわけです。そういう意味で、海洋科学技術の新たな海洋調査、海洋資源、地域利用、海洋環境保全という問題について新たに科学技術会議が六号答申をしたということは、わが国の今後の海洋研究のあり方について基本的な方向が出ていると判断していいと思う。  同時にお聞きしますが、海洋開発審議会がいま答申に向けて準備している実情を御存じですか。
  86. 篠澤公平

    篠澤政府委員 昨年の二月に総理大臣から海洋開発審議会会長あてに「長期的展望に立つ海洋開発の基本的構想及び推進方策について、貴下の意見を求める。」ということで諮問があり、現在審議中だと承っております。
  87. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いつごろ海洋開発審議会の中間報告が出ますか。
  88. 篠澤公平

    篠澤政府委員 今春と承っております。
  89. 嶋崎譲

    嶋崎委員 表によりますとそうじゃないね。中間報告があって、来年までに最終答申が出ると聞いております。  それの学術関係関係のある部分を御存じですか。
  90. 篠澤公平

    篠澤政府委員 現在のスケジュールを伺いますとこの春というふうに承っておるわけでございますが、詳細は調べてお返事させていただきたいと思います。
  91. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いじめているのじゃなくて、文部省の学術国際局は科学技術会議の幹事でしょう。したがって、学術審議会が答申したのは、文部省内の人材その他を含めての基礎研究の問題です。ところが、同時に、その人材の基礎研究は、わが国の海洋科学ないしは科学技術全体の中で文部省の担当すべき側面について学術審議会は答申しているわけです。そうですね。だから、今日、この六号答申で出ているように、海洋科学というものの重要性が前に出たということは、文部省内で、大学研究教育の中で、学術体制の中でわが国の海洋研究という国家的な要請にどうこたえるかという対応をしていなければいけないと思うのです。科学技術会議で出ている答申の思想や、同時にまた専門的な人たちを集めてやっている海洋審議会、これは年をとり過ぎてだめだ、もっと若いいい研究者を入れなければだめだと私は思うけれども、いずれにしてもそこで膨大な答申がいま準備されている。その中で学術体制、文部省関係するものとして言えば海洋調査研究会というのがある。それからまた共通技術開発部会が、これも直接ではありませんが、情報システムその他の問題になってきますと関係してまいります。基盤整備部会というのは人材問題が中心になっていますから、学術体制と密接不可分であります。  そうなりますと、科学技術会議として出ている文部省の学術国際局が科学技術会議全体の動きをつかみ、同時に科学技術会議が、海洋で言うならば海洋開発審議会——これは総理大臣に対する答申ですから、それを受けて基本方針があって、海洋開発審議会からその答申が出れば、それに対応して文部省はこの学術審議会の答申にさらに国全体の方針を絡めてどうするか、こういうふうに問題を立てる必要があると思います。その点の対応からいって、いまお聞きしているように、六号答申なら六号答申の中に入れられた意味、提起されている問題を文部省の学術審議会がしっかり受けとめていないと、科学技術庁と文部省予算が別なのだから別だなどという発想をやっているとおくれてしまうので、そういう意味でこの六号答申の中に含まれている先導的、基盤的な科学技術の振興の中に海洋科学技術というものが入ってきた意味を改めて確認をしていただきたいと思います。  そこで、海洋開発審議会によりますと、審議のスケジュールは五十三年十二月中間答申、昨年ですね。そして今年の夏には完全なる答申が終わろうとしております。続々審議がいま進んでおりますので、海洋開発審議会の答申がどんなものか私も注目をしておりますが、こういう動きと、全体の中で学術審議会の海洋科学技術の建議というものをどういうふうに受けとめているかという点について御感想を賜りたいと思います。
  92. 篠澤公平

    篠澤政府委員 膨大な答申が予想されるわけでございます。先生も御存じのことかと思いますが、審議会の専門委員として、前回「海洋科学研究の推進について」の建議を取りまとめられました奈須主査ほか六名の文部省関係者が参加していることでございますので、答申までに双方の意見を十分交換し、あるいは文部省側の意見も申し上げるということで御協力したいと思います。  と同時に、こちらも十分それを受けとめて、大学のサイドあるいは文部省の所管いたします研究の領域におきまして海洋研究を推進していくということに役立たせてまいりたい、このように考えております。
  93. 嶋崎譲

    嶋崎委員 昨年の文教委員会で、井内さんが局長でしたが、井内さんに言って、対処しますと言われたのですが、海洋研究にとって一番大事なのは船です。調査船です。この調査船がわが国は圧倒的に少ないのです。こんなものは問題にならないです。  今度の学術答申の最後にもはっきり出ておりますように、当面の施策として、第一には、海洋科学研究の基本的方策の中で共同研究体制の整備、これは共同研究のプロジェクトをつくって、外国の客員教授なとも含めて——わが国はこの海洋研究者が非常に少ないのです。だから、フランスだとかソ連だとかアメリカだとか、そういうところのすぐれた科学者、その水準まで速やかに行くために外国人の研究員というものも大いに活用しなければなりませんし、内外の研究動向に即した研究計画というものを早く立てなければいかぬ。そういう意味で早く共同研究体制を整備しなければならぬということを基本的な方策としてまずうたい、そして国際的な共同研究——これは特に黒潮の研究などはもうすでに南の方から始まっているわけです。日本だけではなくて、アメリカ、ソ連、日本、フィリピン、インドネシア等々が国際的な観点でお互いに金を出し合って黒潮研究をやってきた。ところが、九州の南で黒潮は二つに分かれるわけです。これがどうして分かれるのか、分かれたことがどういうふうに海洋資源に影響するのか、この調査研究わが国がやらなければならない。ところが、そういうわが国研究体制がほとんどない。  そういう意味でこの共同研究体制というものを考えた場合、たとえば九州の水産系の学部、理学部の中の地球物理学、そういうところの専門家たちを縦じゃなくて横につないで、そしてプロジェクトをどういうふうにつくるか。つまり、イギリスやよその国の場合には、石炭なら石炭、ガスならガス、石油なら石油というテーマを決めて、ばっとプロジェクトをつくって対応していくわけです。わが国は、役所がセクショナリズムですから、それがなかなかうまくいかない。いまのように、海洋国日本で、日本の大陸棚の状況すらまだ全然調査されていない。そんな情勢の中で、黒潮研究もおくれていれば、大陸棚研究もおくれているし、問題にならぬ。そのときに何が一番要るかと言えば、この3で言っている「海洋研究船の整備」であるわけです。  こういう答申が出ているが、今年度予算でこれにはどう対応したのですか。
  94. 篠澤公平

    篠澤政府委員 具体的に船をつくることの予算については認められませんでした。内示はございませんでした。  私どもは、海洋の研究とそれから船をつくることも含めまして、今後前向きにこれを調査したいということで調査費はいただいております。いま予算でお願いしておる段階でございます。
  95. 嶋崎譲

    嶋崎委員 問題にならぬのですよ。東大の海洋研には二隻しか船がない。東海大学にも二隻しか船がない。だから、その船は、これは共同利用研究所だと言っても、よその大学の理学部の地球物理学の先生方が調査したいので貸してくれと言ったって、二割も消化できないのです。現実に船が絶対的に不足しているということは、海洋研究の緒にもついていないということを意味しているわけです。それを何で大蔵省が削るのか、これも大問題です。この前、砂田文部大臣は非常にいいかっこうをして私に答弁をしましたけれども、まだその調査費程度の話だったら問題にならない。  それはどうしてかというと、いま東大の海洋研も三千トンぐらいの船の新設のための調査をやっておるのです。ところが、この答申で一つおかしいなあと思うのは、東大の海洋研究所中心となる、これを整備充実するということだけが書いてあって、その他、複数の研究所、インスティチュートをどう育成していくかという発想がない。これは東大中心ですからね。船というのは、共同利用ですから東大が持っていたって何も構わないのですが、鹿児島大学でも長崎大学でも金沢大学でも岩手大学でも、そういう研究者たちが一定の程度海洋船として使えるような船が要るわけです。そのときは大型でなくていいのですよ。中型船でいい。極端なことを言うと九九トンぐらいでもいいのです。そのぐらいの船でいいし、船は中古でいいのです。この間も委員会で申し上げましたが、日本の予算のつけ方は、船ばかりりっぱにしていて、中身の肝心の調査研究が、十二年も設備を更新しないで古い機械をつけておくからだめなので、アメリカやよその国がやっているように建物じゃなくて、その船を調査して運営する費用を予算項目としてどう生かすかです。それで、私学助成でどうなっているのだと言ったらことしは少しつき始めましたけれども、海洋船という問題については、今年度予算でも調査費程度なのでしょう。しかもつくろうと考えているのは三千トンクラスの船ですから、こんなことをやっていたのではとてもいまの海洋研究の各学部大学における要請にこたえることができない。共同利用研究所としての機能は十分に果たせられない。  そういう意味で、私が昨年から申し上げておりますように、せっかく学術審議会文部省に建議をし、科学技術会議が海洋研究を前面に押し出してきて、海洋開発審議会がいま膨大な答申を内閣総理大臣に向けて出そうとしているこういう情勢の中ですから、わが国の学術研究体制の中にオーシャンリサーチという問題をどう位置づけるかということについて、いわば大学院のクラスの研究者をどうするのか。それから大学をどうするのか。それから、小中学校から海というものを教えなければだめです。  私は海洋船というものを提案しようと思っています。それはどういうことかというと、最近のように修学旅行をやっていて陸にばかり行ったって、子供たちは修学旅行はちっとも楽しくないのです。だから全国に、北陸とか熊本とかどこかに船を五隻ぐらい置いて、そしてその船でもって子供たちが修学旅行をして、朝早く起きて甲板掃除をして朝食をとって、そして海を広げて世界と日本を学んで、そしてきちっとした船でもって修学旅行ができるような教育船みたいなものを考えるようなことをやって、小さい時代から海洋国日本と世界の中の日本というものを子供たちに教えていくことをもう真剣に考えなければならぬ。そういう意味で日本の教育体制全体の中では、海洋国日本であるのにそれが非常に欠けている。だから、そういう意味でも早くこの海洋国日本の特性を生かして、水産は言うまでもなく、日本近辺の海洋のすべての調査について即座に対応するというような意味の積極的な動きをしてほしい。  これは昨年申し上げたのですが、海洋船はいまのところ調査費程度ですし、政府の方の科学技術センターも船を持っていないのですよ。科学技術センターも船がない。東大の共同利用船はわずか二隻、しかも三千トンと二千七百トンクラスです。東海大学には二つ、これは一日動かすと百万円かかるのです。ですから、この船を動かすとお金がかかるものだから、そのお金を確保するために気象庁に貸したり運輸省の水路部に貸したり、そこらじゅうにチャーターしては金を借りて船の管理運営をやっておるのですよ。  だから、こういう諸情勢の中でせっかくこういう「海洋科学研究の推進について」という建議が出始めたのですから、この建議をいま文部省はどういうふうに取り扱おうとしているのですか。
  96. 篠澤公平

    篠澤政府委員 昨年の学術審議会からの建議についての扱いでございますが、建議が出ましたのが十一月でございました。したがいまして、五十四年度予算の原案の中での扱いにつきましては、この海洋研究を推進するという観点から、大学の海洋関係研究の充実という一つの柱と、二番目には海洋実地調査等のあり方等についての調査、これは先ほど研究船建造問題も含めて申しました調査費でございますが、さらに国際共同研究を推進するという柱を立てまして、大学等の御要求対応して予算に組み込んだということでございます。
  97. 嶋崎譲

    嶋崎委員 もう時間がありませんので、これでやめますが、最後に、今後の対応の仕方についての大臣への要望でありますが、日本の学校教育の体系では、高等学校は水産高校なんです。大学は水産学部なんです。それで、フイッシャリーズリサーチはありますけれどもオーシャンリサーチというのは欠落しているというのが日本の海洋研究の特徴であるとともに、同時に国際的におくれている面なんです。そういう意味で、水産国日本が水産というものを中心にして——船で行きますから、運航や何かをしなければなりませんから、一定程度海の研究がおくれているわけではないのです。しかし、それは運輸省の場合には運航なんです。そのための気象条件がどうであるかという、そのための気象になる。農業と気象なんです。それから海と魚なんです。  そういう観点で、日本の教育制度は水産国日本ですから、水産高校、水産大学中心にしてすべて学校制度が仕組まれてきた。そのために、昨年申し上げましたが、東京大学、京都大学を二つ足してみたって十年の間に三百人の海洋専門家しかつくっていないのです。ですから、いまたとえば船の話が出ても、その船を利用する人材、船を利用して海洋調査をやるスタッフ大学院クラスのスタッフが決定的に足りないわけです。それの基礎になる学部クラスのスタッフというのが全然足りない。これは社会的ニーズがありませんから、いままでオーシャンリサーチがおくれているからニーズがない。そのために決定的におくれているだけに、今後のわが国の学術体制並びにわが国の学校教育の制度の中にオーシャンリサーチを頭に置いて、高等学校ぐらいから大学大学院まで含めて海洋というものに力点を置いた学部並びに——東大の共同利用研究所の上には独立大学院で大学院を持ってはおりますけれども、それではとても追いつきませんので、そういう観点からの学校制度の中における愛媛大学、琉球大学には学科として海洋工学その他が入ってき始めておりますけれども、全国的に見まして、日本の伝統的なあり方に特徴がありますので、世界的要請やわが国課題にまだまだおくれている。  二百海里時代を迎え、しかも十二海里問題が起き、二百海里経済水域が問題になり、わが国は二百海里経済水域を頭に置かなければ領土問題は考えられない時代でありますから、それだけにそれに対応できる学術体制、教育制度のあり方について、科学技術会議や海洋審議会の答申もこれあり、今後急速に対応していく必要があると私は考えますが、砂田文部大臣は学術の答申が出ましたら速やかに早急に対処いたしますと言っていましたけれども、大臣もその砂田さんの意思をさらに受け継いで、その課題は積極的に閣議で問題にしていただかなければならぬと思います。答申が出る段階や海洋審議会の答申は言うまでもなく、六号答申にもうすでにあるのですから、閣議でも問題にし得ることですから、そういう意味で海洋というものの位置づけを学術教育体制の中で積極的に取り上げていただくことを要望いたしますが、大臣の決意を聞きたいと思います。
  98. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 御趣旨はよくわかりました。日本は四面海に囲まれておりまして、やはり海洋国日本でございますから、そういう意味で海洋の研究ということは非常に大事だと思います。  そういう意味で、あなたのおっしゃるように、わが国の教育研究体制がおくれておることは私もよく承知しておりますから、今後御期待にこたえるようにしっかりやらせていただきますから、どうぞよろしく御指導願います。
  99. 嶋崎譲

    嶋崎委員 その決意で対処してください。  終わります。
  100. 坂本三十次

  101. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 国立大学の問題について、あるいはそれに関連して万般の問題についてこれからお伺いをしてまいりたいと思うわけであります。  まず、大臣にお伺いをするわけでございますが、今回沖繩県の琉球大学に医学部が設置される運びになって、これで全国に医学部のない県はなくなった。大変喜ばしいことだと思うのでございますが、そういう状況になったことについて大臣の所感をまず承っておきたいと思いますが、いかがですか。
  102. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 無医大県解消は昭和四十八年から始めまして十五県、本年沖繩につくりまして、これで一応無医大県は解消したわけでございます。そして昭和六十年を待たないで、十万人に対して百五十人の目標は完全に達成できると思っておるのでございます。
  103. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そこで、全県に医学部設置という目標が達成をされてきたわけですが、これは一つの到達点だとは思いますが、この到達点を踏まえて、今後文部省として、いわゆる医学部関係をどのように発展させていくか、その基本的な方針について承りたいわけでございます。  と申しますのは、この到達点を踏まえて今後発展をさせる方法としてはいろいろあると思いますが、現行の各大学にある医学部を充実させるということが当然基本になろうとは思いますけれども、各県の大学にある医学部をたとえばそれぞれの地方の医学センターとして位置づけていくという方法もあろうと思います。あるいはまた、特に最近いろいろな難病等も発見をされておりますので、二、三の専門的な分野に力点を置いたそういう発展のさせ方もあろうと思います。これは当然その大学の医学に従事する専門家の人たちの意見によるべきものとは思いますけれども、もしそういう方向とすれば、これはいわゆる厚生省との関係も出てまいりまして、それなりの助成の方法もあろうと思います。あるいはまた歯学部とか、あるいは薬学部とか、あるいは保健衛生学部とか、あるいは昨今話題になっております東洋医学部であるとか、そういうふうに横へ広げていこうという考え方も当然あり得ると思うわけです。あるいはまた文部省としては、過密地帯とか、あるいは北海道のような広大な地域にはさらに医学部増設を図っていくとか、そういう方向もあろうと思うのです。  いろいろなことが考えられるわけでございますが、今後この医学部関係の充実を文部省としてはどういう方向で進めていこうかというのは、今後の社会にとっても非常に大きな影響を与えると思うのです。そういうわけで、どんな方針かお伺いをいたしたいわけであります。
  104. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 私は、医学というものが各地域における地方の医療のセンターとして十分役割りを果たしてもらいたいと思うし、それぞれ特色のある医学部が育成されるように指導してまいりたいと思います。
  105. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大臣のお話はきわめて簡明で結構なんでございますけれども、現実問題としまして、私も大学の医学部等の実態を間々お伺いをするわけでございますが、たとえば病棟はあるけれども、要するに医師あるいは看護婦さんが不足だというような問題で十分に機能を発揮することができない。あるいはまた、大学の医学部というのは単なる治療機関ではございませんから、いわゆる研究機関的な役割りが非常に大きなウエートを占めておるわけでございまして、そういった意味の地域の医療機関という性格づけをされても困るというような御意見もあるわけでございまして、一概に地域の医療センター的な問題だけではならない。あるいはまた、都会によっては国立病院が設置されておって、そういうものが基本的な医療センター的な位置づけの中にあるというところもあるわけです。  そういうわけでございますから、これらの問題についてもう少し基本的な御意見を詰められる必要があるのではないかと考えておるわけですが、なお大学局長の御意見もあわせてお伺いをしたいと思いますが、いかがですか。
  106. 佐野文一郎

    佐野政府委員 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、無医大県の解消というのは琉大医学部の設置をもって一応達成されるわけでございますが、実際にこれまでにつくってまいりました新設の医科大学学部はそれぞれ学年進行をもって整備を進めているわけでございます。これが完成をするのはこれから八年先ということになります。当面は、無医大県解消計画と申しましても、その実質を整えていくのにはまだまだ時間がかかります。  無医大県解消計画に沿って新しい医科大学をつくる場合には、それぞれその医科大学の将来構想というものについて設置審議会等でも十分に御議論をいただいて、それぞれの大学が地域の御要請も伺いながら講座のあり方等についていろいろな工夫をして、大臣がお答え申しましたようにそれぞれ特色ある大学として成長するような努力をしているわけでございます。新しい医科大学の場合には、いわゆる関連教育病院と申しまして、地域の中核的な医療機関と連携をして学生の臨床実習等を一部実施をする、それとあわせてそれぞれの関連教育病院の質的な向上についてもお手伝いをするというようなこともやっております。さらに、付属病院それ自体がやはり高度の医学の教育研究機関であるという性格を十分に踏まえながら、しかも地域の医療のセンターとして御協力できるような体制をとろうということで努力をしております。これは新設であろうと既設であろうと同じことでございますし、ことに救急告示を受けるというような点についても、近年は各大学ともかなり積極的に地域との話し合い等を行って対応する機運になってまいっております。  いずれにしても、最も大切なことは、国立大学における医学の教育研究の質をさらに上げていくということでございますから、そのことを基本に据えながら、いまの先生の御指摘のような諸点について十分に各大学対応を求めてまいりたいと考えております。
  107. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 時間の関係もございますし、参考人に来ていただいておりますのでお聞きしますが、いままでの中ではとても御理解をいただけないと思いますが、実は、医学部関係の学生の一人当たりの経費というものが大変多額に上っておるわけでございます。私が手元にいただいた資料を見ますと、国立の医学部で五十年度で五百七万、五十一年度で五百五十六万、五十二年、五十三年ということになりますと恐らく六百万を超えているのではないかというふうに考えられるわけですね。  そういう問題で他に質問もあるのでございますが、参考人高橋さんの時間の御都合もございますので私学との関係でお伺いをいたしたいと思うわけでございますが、私学に対しても、入学金が三千万あるいは三千五百万というような状況が言われております。国立大学学部の学生一人当たりの経費に六年間を掛けてみますと、確かにその入学金に相当するぐらいの経費がかかっておるわけでございます。そういうようなわけで、この経費の問題は真剣にわれわれも考えていかなければいかぬと思うのです。  御存じのとおり、教育基本法第三条二項には、「国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によつて修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。」とうたわれておるわけでございます。そういった意味合いから私学振興財団が非常に御努力をされていることについては敬意を表するわけでございますが、私のところに一つの投書が来ているわけです。この投書をちょっと読んでみたいと思います。  前文はさておきまして、「昨年から政府関係機関である私学振興財団が、医歯系私立大学に入学した場合、入学一時金として三百万円、奨学金として二百五十万円を低金利で貸してくれる制度ができ、その制度を採用している大学があるのですが、重大な欠点があります。それは入学手続き日までには前に述べたお金を貸してもらえないことです。大学側の話ですと、入学手続き日までに必要な入学経費を自分で用意し、入学後にこの制度を利用したい者は大学側に申し出なさい。」と、こういうことになっておるというわけですね。  しかし、高橋さんにひとつお考えをいただきたいわけなんですけれども、仮にこの両方の金が借りられるということになりますと大変助かるんですけれども、仮に五百万、六百万の金を借りる当てがあったとしても、一時どこかから都合してこなければならぬわけですね。やはり、抵当物件でも持っていなければ銀行へ行ったって貸していただけない。いわゆる借家住まいのサラリーマンの家庭では無理な話だ。あるいは零細業者なんかでも、特にこういう不景気でございますから、抵当物件があるとしても目いっぱいこれを使っておるわけですね。ですから、とてもこの一時金を借りることができないわけなんですね。  なお、この手紙が続くんですが、「私は今年国立大学の歯学部には不合格でしたが、私立の医科大学、歯科大学にはそれぞれ一校ずつ合格できました。しかし前にのべたように、入学手続き日までに必要経費を全額納入することができなかったため、やむなく二浪の生活に入ることになりました。」と言って、以下いろいろあるのでございますけれども、この人が訴えるには、せっかくそういうような制度がありながら、これが十分にわれわれの手の届くところにはこういう制度はないんだということを痛恨の念をもって訴えておるわけですね。  私は、私学振興財団としては、これは学校に貸す以外にないというふうに思います。しかし、その中身をしさいに検討してみればまだやり方はあるのではないか、いまのような制度では確かに仏つくって魂入れずということになりはせぬか、この学生さんのお訴えはもっともじゃないか、こういうふうに思うのでございますけれども、これに対する御所見なり今後の対策なりをお伺いできれば大変幸いだと思います。
  108. 高橋恒三

    高橋参考人 ただいまの先生の御所見のようなことがときどき財団の方にも御要望がございます。個人になぜ貸してもらえないのか、直接にということだと思うのでございますけれども、私どもの財団の本音と言ってははなはだ見当が違うかもしれないのですけれども私学に対する助成金の配分と、それから私が担当しておりますのは、私学に対する施設、設備、災害あるいはその経営費のための融資をいたしているわけでございますけれども、その経営費の一部に学校法人が奨学事業を行う場合には学校法人に融資をするというたてまえになっておりまして、先生がおっしゃいますことは十分よくわかるわけでございますけれども、学校法人がそういう奨学事業をやるということが前提でございますので、先生も御理解になっておられるように、個人に直接という仕掛けにはなっておりませんものですから、事情はよくわかるわけでございますけれども、直接直ちにそういう方法をとるということはきわめてむずかしいのであります。  そこで、私ども文部省あるいは大蔵省に対して、先生のおっしゃるような御意見を何とかうまくさばけるような方法はないものだろうかということで模索しているというのが現在の段階でございます。
  109. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これは高橋さんだけにその責任を負わせても無理なことだとは思うのですが、しかし、私学振興の一環として大学がその金を受けてやっていることでもありますので、十分御協議をいただきたいと思います。  当然文部省にも私も要請をするわけですが、たとえばそういうようなことをやっている大学に受験を希望して合格をいたしたということになりますれば、たとえばその人が適正にお金を借りられる人物であるかどうかの審査期間も要るでしょうから、そういう人には入学金なりあるいは当初納める授業料等の問題を一カ月なり二カ月ずらすという形で審査をして、パスすれば貸してあげるというようなこともそうむずかしいことではない。ただ、それは振興財団がお金を出す規程の中にいろいろ制約もございましょうけれども、そういう方法も考えられないではない。あるいはたまたま国立大学と私立大学の両方を受けて、受験の時期に学校あてにそういう奨学金の貸し付けを申し込んでおいて国立大学の方へ行ってしまうというようなこともあるようでございますから、そのさばきはそう簡単ではないにしても、決してこれが絶対に解決できない問題ではないというふうにわれわれは考えるわけですので、そこのところをひとつ十分お考えをいただきたい。  それで、文部省についでにお伺いをするわけでございますが、せっかく大学がそういうような制度をとっているとすれば、先ほどのように形式上だめだ、形式がむずかしいから借りられないのだという方法ではなくて、それを何か補てんするような制度を考えればこういうような困難な問題を訴えている人を救済できるのではないかと思いますが、大学局長、いかがでございますか。
  110. 高橋恒三

    高橋参考人 先生の言われることはごもっともなんでございますけれども一つには、入学ということがばっと決まって入学になるわけでございまして、非常に時間的に無理な点がございまして、これは物理的にというか、私どもの力不足と申しますか、合格発表があって入学までの短期間に処理するということがきわめてむずかしい面がございます。  したがいまして、その辺も考慮しながら検討させていただきたいと思います。
  111. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これは文部大臣にちょっとお願いをするわけですが、私立高校の入学準備金制度というのがありますね。各地方でやっています。私立高校でも入学金を取りますので、二十万、三十万のお金を一時的に出すことのできない家庭に対して貸し付けようということがあちこちで行われているわけですが、それぞれの地方においてはそう大した財源じゃないのですね。これを大学全般という制度にすればかなりの額の金が要るのかもしれませんけれども、私が考えるところにおいては、そうたくさんの財源が要るわけではないのです。しかし、個人で、サラリーマンの家庭の子弟が四百万、五百万の金をどこかから借りてこいと言われたって、これはできないですよ。  いま前向きに御検討をしていただく旨のお話がございましたけれども、大臣の方としては何か知恵はありませんか。
  112. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 いまお話しのように、日本育英会の奨学金ではとても足りません。そこで、私は、私学振興財団を通じてそういう学校に特定の貸し付けをする以外にないんじゃないかと思っているのですが……。
  113. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それは非常に結構なんですよ。ただ、各学校に貸し付けするときには、合格をしました、それでは申し込んでくださいということで、それから審査期間があるわけですね。ところが、合格の条件は、合格しただけではなくて、入学金や一年分の授業料を全納しないことには入学にはならぬわけです。合格にはなっても入学はできないわけです。この人のようにお金を用達することができなかったから一年間浪人しちゃっているわけですね。  こういう人たちを救済するためには、いま申し上げたように、たとえば合格をしました、それについてはこういった貸し付け制度がありますけれどもあなたは申し込みをされますか、ぜひしたい、それならばあなたの入学金やあるいは一年間の授業料は二カ月後、審査が終わって後ということを認めましょう、それがだめならば、残念ながらあなたの入学問題はその時点でさらに問題になるでしょう、というような形だってできないことはないと思います。われわれ素人が考えるのにそう考えるのですが、そこら辺の問題を何とか文部省としても知恵を出してもらいたいというふうにお願いをいたしておるわけですが、いかがでしょうか。
  114. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 まことにお説のとおりなんです。ですから、何とか知恵を出して——私は、入学したらもういいと思うのです。そこで、審査しなくても入学したらやるように一遍よく検討させてもらいたいと思いますから、いましばらくお待ちをいただきたい。
  115. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大変前向きな姿勢でありがとうございました。  それでは、本会議の予鈴も鳴りましたので、自後の質問についてはそれ以降にいたします。
  116. 坂本三十次

    坂本委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ————◇—————     午後二時十七分開議
  117. 坂本三十次

    坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。石田幸四郎君。
  118. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 午前に続きまして質問を申し上げたいと思いますが、本会議も大分長く続きましたので、できるだけ簡潔に進めてまいりたいと思います。  まず、一つは、国立学校の中でも、いわゆる税による負担が大きいのは医学部関係ということになりますが、いずれにしましても、私立大学国立大学の経費の父兄負担の差額は大変なものになっているわけでありまして、現行の状態ではやむを得ないとは思うのでございますが、先ほど来御指摘を申し上げているように、国立の医学部あたりは学生一人当たりについて三千万、これからは四千万もかかろうかという時代になってきているわけです。  そういう面から見ますと、教育費減税というような意見も当然出てくるだろうと思うし、私たちの中でも特に私はそういう論者であったのでございますが、これはなかなか税制になじまないというので自民党政府の取り入れるところにはなっていないわけです。しかし、私立と国立の差を考えてみますと大変に不公平な状況じゃないかと思うわけでございまして、そういう意味では、こういった国立の医学部の卒業生のような人たちに対してここで国が力を入れているわけでございますから、いわば社会全体の恩恵の上に成り立って、これらの人たちが自分たちの学問あるいは技術を習得しておるという状況でございます。もちろん、卒業後それぞれがいろいろな形で社会にその習得したものを還元するわけでございますが、しかし、その還元ということを考えてみましても、これはいかなる人も社会に貢献をし、そのお互いの相関関係の恩恵を受けているわけで、これらの人たちだけが特にその修得した学問や技術を還元しているわけではないわけですね。  そういうことを考えますと、これだけ一方的に税を使っての学問の修得なり技術の修得であるわけでございますから、何らかの形で社会に還元をさせる方法というものは考えられないだろうかと思うのでございますけれども、この点のお考えを、もしございましたらばお伺いをいたしたいと思うのです。
  119. 佐野文一郎

    佐野政府委員 御指摘のように、非常に多額の国費を投じて国立大学の医師養成は行われておるわけでございますから、卒業生が適当な期間、たとえば僻地医療等の社会的要請の強い分野で医療に従事をするということは非常に望ましいことであり、そういうふうになってほしいと思うわけでございますが、ただ、一律にこれを強制するというわけにはなかなかまいらないとは思います。  養成の段階でも、午前中にもお答え申し上げましたように、地域の中核的な病院と連携をしまして、それを関連教育病院として、そこで地域医療に関する臨床実習あるいは救急の当直実習等を行わせることにいたしておりますので、それを通じて地域医療に対する十分な理解というものを持たせ、あるいは一部の大学では、夏季の期間等を利用しまして教官によって巡回医療を実施し、それに学生を同行させて僻地医療についての経験を持たせ、理解を深めさせるという、そういった努力も現在いたしているわけでございます。いずれにしても、国民の多額の税金によって医学教育が賄われているということに十分思いをいたして医師の養成を図らなければいけないと考えております。  なお、厚生省等では、御案内のように、特別な、たとえば僻地勤務医師等の確保の修学資金貸与補助金というものがございまして、これによる奨学制度があるわけでございますが、こういった場合には、これを受けた者が卒業後三年以上僻地の機関に勤務をすれば、いわば受けた奨学金の返還が免除されるというような制度がございますけれども、そういったものの場合は別として、一般に強制することは困難でございますが、できるだけそういうことを学生が感ずるような行政のあり方を考えたいと考えております。
  120. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いま厚生省のそういった措置についてのお話がございましたけれども、こういうような制度を拡大するなりして、社会から恩恵を受けた者に対して、その恩恵を受けた一個の人間として当然それに報いていくという習慣をもう少しつけさせなければならない。それにはやはり強制ということはこういう時代にあっては事実上むずかしいと思いますね。  ですから、いま申されたようなそういう制度をもうちょっと拡大しながら、当然そうあるべきだという一つの意思を持たせるような動きというものが必要なんじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  121. 佐野文一郎

    佐野政府委員 御指摘のとおり、文部省関係にはいまそういう目的的な補助金と申しますか、奨学制度というものがございません。厚生省の方に僻地の医療関係あるいは公衆衛生関係の補助金があるわけでございます。  厚生省の方とも十分に御相談をしてそういう道をさらに広げていただけないかということについても、私どもも厚生省の方にお願いをしてまいりたいと思いますけれども、先ほどもお答えしましたように、養成のあり方全体を通じて学生がそういうことにより使命感を持つような努力をしなければいけないと思います。
  122. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、今後のいろいろな対策に待つことにします。  それから、国立大学卒業者のうち、いわゆる就職をしていない人たちがかなり出ているようですね。五十三年四月では、医学部、歯学部、薬学部等を合わせて四百九十一名、卒業者数の一一%にも上っておるというふうに聞いておるのでございます。いろいろな事情はあると思いますけれども、大変な多額の国費を使って卒業した人たちが余りいい形で社会に貢献をしていないというようなことも考えられるわけでして、そこら辺の無業者の実態をどのように把握していらっしゃるでしょうか。
  123. 佐野文一郎

    佐野政府委員 御指摘のように、無業者の数が年々、若干ずつですけれどもふえてきている。ことしも去年に比べて、〇・一%程度であったと思いますけれども、増加をいたしております。  ただ、この実態につきましては、たとえば女子学生の進学率が増大いたしまして、それに伴って卒業生ももちろん女子の占めるシェアがふえてきている。女子の場合には必ずしも卒業後すべて就職をするということではなくて、家事に従事するというふうな者の状況がふえておりますから、現在の無業者の状況というのが直ちにいまの先生の御指摘のように、せっかく大学で勉強したけれども、それを社会に役立てないままで終わっているということで考えるべきかどうかについては、なおもう少し実態を分析する必要があろうかと考えております。  なお、大学院のレベルで、いわゆるオーバードクターと称しておりますけれども大学院の所定の修業期間を修了し、単位を修得した後においても、就職先がなくてそれぞれの研究室で勉強をしているとか、そういう者がかなりおります。ことに理工系分野に多いわけですが、こういったものがいま申し上げました学部段階のものよりもより深刻な問題として現在あることも十分認識をいたしております。  これはそれぞれの大学院の学生の意識の問題もございますし、また、大学院が社会的に機能している状況分野によって違いますので、そういった大学院の機能というものが社会で受け入れられるようになるように、大学院の教育研究のあり方というものをもっと直していかなければならないというような課題もありますけれども、そういったことを含めながら、今後の大学院の整備の問題として十分に留意をしながら対応していきたいと考えております。
  124. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 オーバードクターの問題については、これは要請にとどめておきますが、やはり、卒業時の年齢によって給与体系がそれぞれ会社によって定められておるので、これは一つの大きな弊害になっておるので、そこら辺のところは労働省となお十分な打ち合わせをすると同時に、業界側とも強力なプッシュをしていただかなければならないのではないかと思うのです。  それから、同時に、大学卒、特にこういう不景気でございますので、いわゆる女子の四年制大卒については雇用の窓口が非常に狭められておる。こういう状況で、たしか去年よりことしの方がより厳しい状況になっておるわけですね。一流会社でも、年齢的に結婚適齢期に近いというような状況の中から、実質稼働年数が少ないからとても採用できませんというようなケースが非常に多いわけですが、これの対応の仕方を文部省としてももう少し考えていただかなければならぬのではないか。もう少し労働省とタイアップしてこれをプッシュしてもらわなければならぬのではないか。  もちろん、就職希望者の中にも大変甘さがあるわけでございまして、そういった面の単なる腰かけぐらいにしか考えていないという問題については厳しく指摘をしなければならぬと思いますけれども、いま景気は若干上向きになっておると言われますが、最近の専修学校の隆盛等を見ますと、むしろそういうところから入った人たちの方が非常に便宜的に使えると申しますか、すぐ役に立つというような観点から、そちらの方の雇用の窓口は広がっているように思うのですね。特に女子の場合は、ですね。  そこら辺についてのお考えがもしあればお伺いをいたしておきたいと思います。
  125. 佐野文一郎

    佐野政府委員 特に、大学卒の女子についての就職率というのは、過去のトレンドをとってみますと、確かに、四十九年当時六三・九%程度あった就職率が五十一年には五七・六%になったというような状況がございますが、その後、就職率で見る限りは必ずしもそんなに著しく低下をするというような状況ではございません。率の上ではそういう状況が出ておりますけれども、いま先生が御指摘のように、必ずしも希望する先に女子が就職できないというような状況があって、女子大生の就職問題というものがかなり強く指摘をされているのではなかろうかと考えております。  しかし、いずれにしても、これまで、各企業に対しまして、就職に当たって形式的な理由による差別をしないでほしい、指定校の問題であるとかあるいは性別の問題であるとか、そういった点について形式的な理由による差別をしないでほしいというお願いを毎年しておりますけれども、それをさらに行いまして、企業の側で意欲を持った女子学生について門戸を開くということをお考えいただき、それと同時に、やはりこれまた実態を調べましても、女子の学生の場合には男子の学生に比べて就職した後の勤務期間がどうしても短いということは否定できないことでございますし、女子学生の側における就職の意識というものについてもさらに学生側の自覚を求める努力を各大学の就職指導等を通じて実施をしなければならないと考えます。
  126. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そこら辺の問題についてはなお議論のあるところでございますが、各大学の就職関係の人たちとも十分御懇談をいただいて、女子の卒業生が進出し得る部門研究等はもっともっと積極的におやりになるべきじゃないかと思うのです。  それから、次に、教員採用試験の問題についてお伺いをするわけでございますが、これは三月三日の新聞に投書として出てきている問題でございますが、ある女性が東京都の教員採用試験を受けて、幸いにして一次、二次にパスをしたけれども、結局先日採用見送りの通知が来たということです。採用されないことが昨年中にでもわかっておれば民間の就職口もあったのだけれども、そういう希望を持っていたためにそれを待っておったというようなことで、何とかならぬかというような意味の投書が出ておったわけですが、こういうことはしばしばわれわれも聞くわけですね。  ここら辺の問題は、このままではやはり非常にまずいと思うのです。一次合格の通知をいただいたので何とかなるんじゃないかというような希望を持って、余りほかにも声をかけないというような人たちも出てくるでしょうし、そういうことで見込みの甘さということもあるかもしれませんけれども、そういう就職という人生の大事な問題が一片の採用見送りというようなことで通知がなされることにも私は大変不満を持っているわけなんですけれども、やはり、採用確定の時期をずらすとか前へ繰り上げるとかいうような形をとらないと、こういう問題は後を絶たないのじゃないかと思うのです。  これに対して、何か改善の余地はありませんか。
  127. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 先生もよく御承知のように、一次、二次の試験は大体七月から九月くらいにやりまして、十一月ころには二次試験合格者ということで採用候補者名簿に登載をするということになるわけですけれども、現実に県なり都で何人採用できるかということは、御承知のように小中学校の先生の給与は半額国庫負担ですから、十二月の段階で国の予算の中で来年公立学校の先生を何人ふやすかということが決まる。そして、当該県における自然増その他を勘案して、大体県で次年度の学校教員の数を決めるのはどうしても二月県会にならざるを得ないのです。  今度は、具体的に合格者をどこの学校へ採用するかということになりますと、定数が決まると同時に、今度は実際にやめる先生とそれから自然増のために新たに補充する先生をどこへ何名というのは、いま申しましたようにまずやめる方から決めていくわけで、それをやって具体的に配置を考えるのはどうしても三月中旬以降になってしまうということは、これはある意味で一般的にどうしてもやむを得ないと思うのです。  ただ、それじゃ合格者として採用候補者名簿に登載する場合に、できるだけ採用予定者と近い数字を登載すればいま言ったような問題が少なくなるわけですけれども、そこがいま先生がおっしゃった東京都の場合は、御存じと思いますけれども、出願要項の中に一次、二次試験を通って候補者名簿に登載されても採用されないことがありますよと書いてあるわけですね。それは書いてあるからいいというものじゃないんですけれども、なぜそうかといいますと、たとえば愛知県なんかは、登載された人は大体三月の末までに採用しますとなっていて、これは要するにある程度見通しの立つ県と立たないところがあるわけですね。東京都なんかは採用予定者の数も多いし、現在は中高等学校などは十倍ぐらいの志願率になっていますから、受験者の方は教員の試験を受けておいて今後は一般の方のほかの職業の就職試験も受ける、採用する方はなるべくいい人を確保したいですから、本来五百人採る予定でも八百人とか千人に、あなたは資格がありますよと通知をするということになるものですから、だんだん迫ってくると、せっかく合格といっていながら採用してもらえないという不満がある。  それはよくわかるわけですが、私どもはそういう意味で、具体的に採用決定の時期をなるべく早めるという点について関係の県の教育委員会等に一層お願いするとともに、いまの採用候補者に載せる合格者の数というものも、とにかく試験に合格すれば、一定の水準になればみんな合格だといって機械的に載せるんじゃなくて、落ちる人、ほかへ行ってしまう人等をある程度見込んだにしても、なるべくかたい数字で名簿をつくるというようなことについて少し研究をしていただくというようなこともさらに考えてみたいと思うわけでございますが、御指摘のようなことは、そういう経緯、事情がありますので抜本的に直すということはなかなかむずかしい、いま与えられた条件の中で先生の御指摘のような点をできるだけ勘案してやってまいりたい、かように思うわけでございます。
  128. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これはこちらの方でもなお検討しますけれども、もう一遍自治省あたりとこの問題を研究していただいて、学校の先生の人事異動が三月で、これは議会との関係もございましょうからいろいろあるんですけれども、三月に人事異動をしなければならないというような考え方ももう一度見直してみる必要があるのじゃないか。官公庁その他民間でも人事異動の大半が三月というふうになっているわけですが、これは会社の形態によるでしょうけれども、そうでないところだって一部あるわけですからもう少しやり方があるのじゃないかと、そんなふうに感じます。時間もありませんから、この問題はこの程度の議論にしておきましょう。  最後に、大学地方分散の件と申しますか、そういうような大学誘致に自治体が大変熱心になっておるというような傾向が出てきているわけですが、今回の国立学校の設置法の一部改正を見ましても、やはり国立大学は県庁所在地みたいな大きい都市へというように、いままではそういう傾向で来たわけですね。しかし、これからは地方の時代ということの展望が開けてみれば、もう一つ考えようがあるんじゃないかと思うわけです。特に田園都市構想なんというものが出てきているわけでございますが、昨今の各地の小都市の現状を見ますと、三万都市ないし五万都市ぐらいのところは人口がやはり漸減傾向にあるということを考えてみますと、それらの小さな都市の都市機能というものを再開発していくという意味においては、大学誘致ということは非常に結構なことだと思うのです。  これは二つありますね。いわゆる国立大学あるいは公立大学をそっちの方向へ持っていくという点と、あるいは大都会に集中しておる私立大学をそちらへ持っていくという点です。しかし、いずれにしてもそこで一番ネックになることは財政の問題なんですね。それで、地方自治体等は、小さいところはなかなか財源がないですから、誘致はしたいけれども現実問題として金がなくてだめだというような傾向が非常にあるんじゃないかと思うのです。  これもある新聞の記事ですが、それを見てみますと、たとえば八王子なんというところば、そこら辺に大学が移動したいということで大変にもて過ぎて困っておる。これはやはり道路とか下水道とか、そういう問題を整備しなければなりませんから、そんなにたくさん来てもらっても困るというような状況が生まれておる。あるいは日経新聞等を見ますと、高岡市の青年会議所がコミュニティー・カレッジをぜひつくるべきじゃないかという意見を出しておられて、各都市の青年層の状況を見てみると、多いところ、少ないところ、大学があるないによってそういうものがずいぶん違うというような意味合いのことも分析をしておるわけですね。あるいは最近の不景気のことと関連もするのでしょうけれども、地場産業との関連において、大学がそういうものの研究開発をやってくれれば、そこの地域の青年たちも恐らくそこに居つくんじゃないかということなども提唱しておる。  私は、地場産業大学が直結しなければならぬということはちょっと教育の本義にもとると思いますので必ずしも賛成じゃありませんが、しかしながら、非常におもしろいなと思ったのは、これは山梨県の都留市ですが、市立の都留文科大学などを見ますと、ごみの焼却場も共同建設をしたり、運動施設なども市民との連帯の上でつくっていらっしゃる。そういうような試みというものは、その地域の文化の発展なりあるいは体育の振興に直接参画をして非常にうまくいくんじゃないか。こういうような形で地方の小さな都市の発展に貢献できれば、大学の機能というものも、ただ研究、教育をするだけではなく、他の機能も当然出てくるので非常に結構なことじゃないかと思うのでございますけれども、ここら辺についての所見を承りたいわけです。  そういうわけで、一つは、やはり何といっても、そういう地方都市を育てていくためには国立、公立大学をそちらの方へ持っていくという一つの手があるし、あるいは私立大学を誘致するについても、財源的な措置というものをやらなければならないと思うのですが、これは国土庁の関係文部省関係、いろいろお考えがあろうと思うのですが、まず国土庁の方から、地方の都市をこれから育成するという意味合いにおいてどんなお考えを持っているか、お答えをいただきたいと思います。
  129. 吉村彰

    ○吉村説明員 お答えいたします。  一昨年策定されました第三次全国総合開発計画では、国土の均衡ある発展を図るという観点から、特に教育文化機能の充実ということを根幹とした定住構想を推進することがいま先生がおっしゃったように非常に大事な課題であるということをうたっております。特に大学についても、先生がおっしゃるような中小都市を十分育てていかなければならない、大都市に集中しているということが現在の過密を生んでいるということを私どもの方も認識いたしまして、地域的な適正配置をより積極的に図る必要があるということを第三次全国総合開発計画でもうたっておるわけでございます。  国土庁としても、そのような観点から種々施策を検討しているところでございまして、まずその第一番目には、そういう地域的な適正配置を図るという観点から、従来の首都圏の既成市街地及び近畿圏の既成都市区域におけるところの大学の新増設の抑制というものを引き続きやってまいります。  それから第二番目に、いままさに先生の御指摘がありましたような、地方におけるところの大学の立地基盤というものを社会資本投資の観点からもいろいろやらなければならないわけでございますので、そういう大学中心とする学園都市を含むところの地区についての整備構想がある地域につきまして、地域整備と一体になった学園都市をつくるという観点から、そういう基本計画の策定にかかるモデル調査を五十三年度から実施しているところでございます。  また、昭和五十四年度からは、新たに大学誘致の意向がある地方自治体と、さらに移転したりあるいは新規に増設をしたり、さらには新規に立地しようというような大学がもしそこにございましたら、そういう間の仲立ちを行うための学園計画資料整備、私どもはこれを通称として学園計画地ライブラリーと言っておりますが、そういうものを含む内容予算案を今国会に御審議願っておるところであるわけでございます。  地方公共団体の負担増の問題については、実は私どももそういう事実がかつてあったという認識のもとにいろいろ研究をしておりますが、そういう公共施設の整備というものは、ある意味では本来地方公共団体がやるというかっこうのものではございますけれども地方における大学の立地を円滑に進めるという観点から、国土庁としては、文部省を初め関係省庁とも十分連絡をとりながら、これからその方策についても研究していきたいと思っております。
  130. 佐野文一郎

    佐野政府委員 現在、大学は三五%が大都市に所在しております。在学する学生が全大学生の五〇%というような状況で、いわゆる大都市への大学の過度の集中の状況がございます。これを是正して地方における大学の整備を図るということは、かねて文部省が高等教育の計画的な整備を図る上で基本的な方針としているところでございますし、三全総の構想における高等教育機関の適正配置ということにつきましては、その基本的な方向については文部省も全く同じように考えているわけでございます。  私どもは、国立大学の整備を図る場合に、大都市における整備ということではなくて、地方国立大学の整備を積極的に進めるということで対応しておりますし、五十四年度計画しているものも、その大半、九二%程度は地方国立大学における定員の増を伴うものでございます。  私立の大学の認可に当たりましても、同じように大都市地域における新増設の抑制という方針を貫いているわけでございます。  実際の課題具体課題ということになりますと、やはり国立大学の場合には、当面、現在地方にあります国立の大学計画的な整備を進めていくということが主力になるわけでございますが、これからの高等教育の整備を考えていく場合に、私どもは、短期の高等教育機関のあり方というものが非常に重要な役割りを果たすと考えております。そのために短大の設置基準を定めまして、多様な態様での短大の発展が可能なような道を開いておりますが、そういう短期大学の設置基準の新しい方向というものを生かして、それぞれの地域における短期大学がそれぞれの地域の要請にこたえてより多様な発展をするように、私どももいろいろな機会に短大の方々にもお願いしているところでございますが、いま先生から御指摘のございました高岡等についても、これは今年度国立の短期の高等教育機関を地域の要請に従って設置をするということについての調査ということも始めようとしているところでございます。  全体としての方向は、国土庁のお考えになっていることと文部省の考えていることとの間に食い違いはないわけでございますけれども、これからさまざまな具体のプロジェクトを進めるということになるといろいろ具体課題が出てまいると思いますが、よく関係省庁と連絡をしながら対応してまいりたいと思います。
  131. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大臣にお伺いするわけですが、一九八〇年代は地方の時代というので、この十四日に知事選が開始をされたわけですが、まあ恐らくどこの知事選でも第一声はみんな一九八〇年代は地方の時代というところから演説が始まっているようなんですね。そうはいいましても、現行の税制等あるいは助成の問題が変わらなければ、三割自治の中でそう簡単に地方独自の新しい施策というものを打ち出すことは非常にむずかしいわけですよ。ですから、当然国としてもこの一九八〇年代に向けてのいろいろな総合的な計画を——これはいま伺ったところでございますからおやりになると思いますが、これはやはりネックになるのは財政問題ですね。これを来年度予算あたりで特別の措置をしない限りは、かけ声はかけても日暮れて道なお遠しというような状況であろうと思うのですね。総理が、地方にいわゆる田園都市構想で新しい文化を創造していこうというような基本方針を強く打ち出されておるわけで、そういった意味で一番特徴的に打ち出せるのは、地方大学をという、このいまの流れを生かすことじゃないかと私は思うのですが、それには再三申し上げるようですが、財政的な措置が何といっても最大の決め手になるわけでして、そこら辺の御配慮を含めて、もしお考えがございましたら伺っておきたいと思うのです。
  132. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 大学地方分散は、私どもも賛成でございますので積極的に進めたい。  国立大学につきましては、これは国でやりますから、都会地には今後余り新増設は避けて、できるだけ地方大学の充実を図ることをやっているのです。これは国立でやりますが、私立大学の場合には、これは一面は経常費の助成、あとは私学振興財団を通じての貸付金でございますが、文部省としては、私立大学についても国の方で極力大都市にやることは抑制しまして、地方に進めているのですよ。  その場合の資金の手当てにつきましても、私学振興財団を通じてできるだけの援助をしていきたいと思っています。
  133. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 以上で終わります。
  134. 坂本三十次

  135. 玉置一弥

    玉置委員 今回の国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案につきまして、関連で質問いたしたいと思いますが、この件につきましては特に問題らしいものがございませんので、この背景といいますか、物の考え方、そういうものについて御質問いたしたいと思います。  大学の拡充整備に当たりまして基本的に重要なことは、それを計画的に進めなければならないということだと思います。国の毎年の経済政策の裏づけとして経済計画が立てられているということと同じく、教育政策についても、やはりそれを効果的に進めるために、中・長期的な見通しのもとに計画がなされていると思います。  そういう中でいままで計画的に行われたと思われるのは無医大県の解消だけではなかったかというような気がするのですけれども、そういうようなところから、文部大臣は大学を含む高等教育の計画化等の必要性についてどのようにお考えになっているかということをお聞きしたいと思います。
  136. 佐野文一郎

    佐野政府委員 わが国の高等教育は、四十年、四十一年ごろから急速に拡大をいたしまして、国際的に見ましても高い普及率を示しているわけでございます。しかしながら、このような高等教育の急速な拡大が、御指摘のように必ずしも十分な計画性を持って進められたものとは言いがたいものがございます。途中に無医大県解消計画のほかに理工系の増募計画というようなことが行われたことはございますが、全体として十分な計画性を持って行われたとは言いがたいと思います。したがって、大学の地域配置の面であるとか、あるいは専門分野構成の面であるとか、そういった質的な面でいろいろの問題やひずみが現在生じていることは否定できないと思います。  このために、文部省では、四十七年以来、今後におけるわが国の高等教育の計画的な拡充整備というものを長期的な見通しに立って行いたいということで、高等教育懇談会というものを設けまして、そこで御検討をいただいてきたわけでございます。昭和五十一年の三月に懇談会から、昭和五十一年度から五十五年度までの高等教育の計画的な整備についての方向というものが示されております。現在はこの方向に沿って必要な施策を進めているところでございます。  今後、私どもは高等教育計画の前期の計画とこれを呼んでおりますが、いわばその後期の計画、つまり五十六年度から六十一年度にかけての計画内容について、これを明らかにすることが必要になるわけでございますが、これについては現在大学設置審議会関係分科会で御審議が進められております。近く内容の中間報告をし、それについて各方面の御意見を伺いたいということでいま鋭意作業をしているところでございます。
  137. 玉置一弥

    玉置委員 いまの計画は、この前文部大臣は、いままではどちらかというと産業政策に沿った教育計画というか、そういう教育がなされていたけれども、今後はやはり文化的な学問というか、そういう方面で進めたいというお話があったと思いますけれども、そういうふうな具体的な考え方というものは入っておりますか。
  138. 佐野文一郎

    佐野政府委員 先ほども申しましたように、これまで、国が計画的に対応するときに、理工系の増募計画というものを技術者の不足に対応して実施をした経緯がございますが、地方国立大学を整備していくということを考える場合に、やはり、それぞれの大学学部、学科の構成の不十分なところ、不均衡なところの対応を地域の要請を考えながら進めていかなければならないわけでございます。その場合に、人文社会系について、現在各地の要請が強い、大学側もその整備を考えているという実態が確かにございます。  これは高等教育懇談会検討の過程でも早くからそういった現在の専門分野構成に留意をして、大学の整備を考えなければいけないということが指摘をされてきているところでございますし、これからの後期の計画を考えていく場合にも、その点にはさらに留意をする必要があると思っております。
  139. 玉置一弥

    玉置委員 いま現状は、地方国立大学というのは比較的単科大学的要素が強いと思うのですけれども、教育機会の均等という意味から地方にもやはり総合大学的なものが必要じゃないかと思うのですが、学部構成といいますか、そういう面から見て文部省はどのようにお考えですか。
  140. 佐野文一郎

    佐野政府委員 地方国立大学の整備をする場合に、すべての大学が、言葉は余り適切ではありませんが、東京大学を志向し、東京大学型になっていくということはいいことではないと私は思います。しかし、一面、学部の数が二つしかないとか、そういった形もこれまた適当ではないことは明らかでございます。  それぞれの大学についての整備ということも考え、かつそれぞれの地域における大学間の連携ということも考えて、全体としてそれぞれの地域の教育、文化の要請にこたえられるということを頭に置いて整備を進めていく、しかもそれを通じてどこにも同じような大学ができるというのではなくて、それぞれの大学がそれぞれの大学の特色というものを十分に伸ばすような形での整備を進めていく、それが必要ではなかろうかと考えているわけでございます。
  141. 玉置一弥

    玉置委員 いまのでやや入っていると思いますけれども国立大学は、各地方における特色というか、役割りといいますか、教育以外に何らかの文化的あるいは指導的な役割りがあると思います。  そういうふうな単なる教育だけじゃなくて、たとえば国立と私立との分担の違いとか、その辺を含めて、国立大学の役割りといいますか、そういうものはどういうふうにお考えですか。
  142. 佐野文一郎

    佐野政府委員 国立大学の整備を考えてまいります場合には、一つには、医師、歯科医師、医療技術者、それから初等教育教員といった計画的に養成をしなければならない人材の養成ということは、これはやはり国が責任を持って対応するということをまず考える必要があろうかと思います。それから、地域間の高等教育の収容力の格差であるとか、あるいは専門分野構成の適正化といったものについても、国立大学というものを通じてその適正化に資するようなことを考えて、地方における国立大学計画的整備というものを進めていくということが必要であろうと思います。  大学というのは、もちろん大学における教育研究ということが重要でございますけれども、同時に、御指摘のように、それぞれの大学が地域に対して開かれたものになっていくということが必要でございますし、そのことは、たとえばそれぞれの大学の公開講座というようなものが最近非常に積極的に実施されるようになってきていることであるとか、あるいはそれぞれの地域における大学先生方がそれぞれの地方における各種の審議会に積極的に参加をしていくとか、いろいろな形で従来よりははるかに積極的に考えられるようになってきていると思います。
  143. 玉置一弥

    玉置委員 いまの中で、国立大学が担うべき役割りということで、計画的に人材を養成するとか、あるいは地方での専門分野の養成とか、そういうことがあると思いますけれども、国立と私立との負担金、学生が負担する金額、そういうものから割り出しまして、施設費のかかるもの、教材費のかかるものについてはやはり国が負担すべきじゃないかというふうに思うわけでございます。  その辺について、この間の無医大県解消という意味から、国立がない無医大県もあるわけでございますけれども、それらに関しまして、経費負担とか、そういうものは文部省としてお考えかどうかということをひとつお聞きしたいと思います。
  144. 佐野文一郎

    佐野政府委員 無医大県解消計画をスタートさせる際に、あわせて一つは公立の医科歯科系の大学について経常費助成を行うということを始めております。それから、その後さらに公立の看護系の大学、短大に対しても経常費補助を実施するという形で、まず公立の医科歯科系あるいは看護系の大学、短大に対して、他の大学とは異なった積極的な施策を講じ、その内容を年々充実させてきておるわけでございます。  それから私立の医科歯科系の大学については、御案内のとおり経常費補助金におきまして、一般の大学の場合よりははるかに高い経常費の助成を実施しているところでございます。
  145. 玉置一弥

    玉置委員 それは要するに文科系と率は違うわけですね。
  146. 三角哲生

    ○三角政府委員 経常費総額のほぼ四分の一近いものを私立の医科歯科系の大学の方に割り振っておるという形になっておりまして、率の面で違うということではございませんが、それぞれの私立の大学の教員数でございますとか、医科大学の教員数でございますとか、それから教育研究費等につきましては、単価を他の系列の専門分野よりは高いものに設定するというようなことで、他に比べますと非常に手厚い措置を講じておるということでございます。
  147. 玉置一弥

    玉置委員 いまの場合は、無医大県解消ということで、たとえば奈良の場合には県立奈良医大ですか、たしかそうだったと思うのですけれども、その辺のたとえば国立の医大がない場合と、それから国立の医大がある場合の、その公立、私立の医大の補助金というものは変わるものですか。変わらないものですか。
  148. 佐野文一郎

    佐野政府委員 国立大学がその県にあるかないかということとは全くかかわりなく、公立の医科大学、私立の医科大学、それぞれについて別途の補助金が出されているわけでございます。
  149. 玉置一弥

    玉置委員 ということば、特に公立、私立がない場合には、本来であれば国がつくらなければならないということになりますね。四十八年以降無医大県解消ということでやられた場合に、ですが、とすると、本来であれば国がある程度負担しなければならない分があるのを公立、民間が肩がわりしているというふうに解釈するのですけれども、そういう場合に補助というようなことは考えられないかどうかですね。
  150. 佐野文一郎

    佐野政府委員 現在、公立の医科大学なりあるいは私立の医科歯科大学に対して、公立については経常費助成を実施する、私立大学についても経常費助成においてより手厚い対応をしているということは、これは無医大県解消を公立あるいは私立において肩がわりをしていただいているので、それに対して手当てをしているということでは必ずしもございません。  これは国公私を通じて医師養成というもののレベルを上げていくということを考えて、それぞれとられている措置だと了解をいたしております。
  151. 玉置一弥

    玉置委員 わかりました。  無医大県解消という趣旨でございますが、それと現状のその府県からの入学状況、その辺が全然マッチしていないように思えるのですけれども、その辺についての文部省の見解はいかがですか。
  152. 佐野文一郎

    佐野政府委員 無医大県解消計画というのは、全体として医師の計画養成というものを実施して、必要な医師の需要というものに対応するということが基本的にございます。  これは厚生省の方からかねて人口十万人当たり医師百五十人というものを達成しようという目標が示されていたわけでございますが、そういった必要な医師数の確保のために大学をつくっていくということと、それからもう一つは、量的に医師が確保されても、その医師が地域的に偏在する、したがって医科大学を医科大学のないところにつくることによる、そういう医師の偏在の是正というものを考えるということがもう一つございます。さらに言えば、それぞれの医科大学の附属病院がそれぞれの地域における医療のセンター的な役割りを果たすということもあるわけでございますが、そういった医師の需要にこたえること、あるいはいま申しました医師の地域的偏在の是正を図るというようなことで進めてきたわけでございます。  確かに、御指摘のように、最初のころには、新設の医科大学に入学した者の比率をとってみますと県内出身者が非常に少ないというような状況がございましたが、しかし、無医大県解消計画の進行に伴いまして、現在はかなりその点は是正されてきていると私は考えております。まだそれぞれの県によってばらつきはございますけれども、一ころのような状態ではなくなってきていると思います。
  153. 玉置一弥

    玉置委員 希望者が日本全国から集まってくるということで、府県ごとにかなりばらつきが出ていると思いますけれども、要するにある程度のその地元の府県に対する優遇策ですね。たとえば神奈川県だと、神奈川県の場合には二〇%あるいは三〇%以内はとか、あるいは平均点以上は神奈川県から採るとか、要するにそこを卒業して地元に帰れるような——入るときに優遇するか、出るときに優遇するかという、そういうようなどちらかの方法は考えておられませんか。
  154. 佐野文一郎

    佐野政府委員 たとえば具体の数字で申し上げますと、秋田大学の医学部の場合には、創設しました四十五年は秋田県出身者が入学者八十五名中六人でございました。それが五十二年度には入学者八十二名中十六人にふえております。また、山形大学の医学部の場合には、四十八年開設のときには百名の入学者中一人だったわけですけれども、それが五十二年では百四名の入学者中十一名にふえております。同じような傾向はそれぞれの新設医大について見られます。そういったことが、無医大県解消計画の進行に伴って各地に医科大学ができたということもございますので、より傾向は強まっていくだろうと思います。  御指摘国立大学に、ある入学の定員枠というようなものを地元のために設けてはどうかという議論は、これは確かにないわけではございません。しかし、従来から、国立大学についてそういう地元に対する特別な枠取りをするというのは、国立大学の持っている使命ということから考えて、やはり教育の機会均等ということが問題になる。やはり、そういう別枠をつくることについては憲法の趣旨に照らしても疑義があるというようなことがございまして、私どもはそういう別枠による入学ということを考えていないわけでございます。
  155. 玉置一弥

    玉置委員 国立の医科大学には全部附属病院があるわけですか。
  156. 佐野文一郎

    佐野政府委員 もちろん、医科大学でございますから全部附属病院を持つわけでございますが、無医大県解消計画の進行に伴って新設の医科大学をつくる場合に、その年にすぐ附属病院をつくるわけではございません。学年進行で整備をしていって、むしろ後半に附属病院をつくりますので、そういう意味では、すでにできている、たとえば山梨医科大学等につきましては、附属病院の創設ということはもう少し先の課題になるわけでございます。
  157. 玉置一弥

    玉置委員 必ず全部つくるということですか。
  158. 佐野文一郎

    佐野政府委員 附属病院は必ず全部つくります。
  159. 玉置一弥

    玉置委員 大体何年以内ということですか。
  160. 佐野文一郎

    佐野政府委員 いま滋賀医科大学まで、つまり四十九年の十月に開学をした医科大学までは附属病院が開院されているわけでございます。今後、五十年の十月に開学いたしました富山、島根の医科大学につきまして、五十四年の十月に附属病院を開院する予定でございます。その次の五十一年十月に開学をいたしました高知、佐賀、大分の三医科大学については、五十六年の十月に開院をする予定でございます。さらに、五十三年の十月に開学をした福井、山梨、香川の三医科大学は、五十八年の十月に開院をする予定でございます。沖繩の琉球大学学部設置をお認めいただきますと、附属病院が開院される時期は五十九年の十月の予定でございます。
  161. 玉置一弥

    玉置委員 いまの話をお聞きしますと、無医大県解消ということは、まず病院をつくることだ——病院をつくるといいますか、その地元の医者志望者が入るか入らないかということは本人次第だと思いますけれども一つはやはり地元に国立の病院をつくることだと、そういうふうに解釈していいわけですね。
  162. 佐野文一郎

    佐野政府委員 医科大学の附属病院は、やはり医学の教育研究のための施設という性格を強く持つものでございます。医科大学である以上は附属病院を持ち、そこにおける豊富なさまざまな症例というものを十分教育研究に生かしていくということが附属病院の使命でございます。しかし、同時に、それが地域における医療のセンター的な役割りと申しますか、中核的な役割りを事実上果たすということもあるわけでございます。  附属病院のそういう教育研究の機能というものを十分に考えながら、それぞれの地域における診療のネットワークというようなものを考えて、医科大学の附属病院の持つ高度な診療の機能というものが活用されるように私どもも考えているところでございます。
  163. 玉置一弥

    玉置委員 医科大学につきましては病院まで考えておられるということで、その病院というのはちょっと言い方が悪かったのですけれども、要するに医療センターということでやっていただきたいという気持ちがあったものですから、いろいろな聞き方をしましてそういうような形になったわけでございますけれども、各地方の医療のセンターとして、いろいろな開発、共同研究といいますか、そういう本当の推進役としてぜひやっていただきたいと思います。  それから、ちょっと話が変わるのですけれども、昨年の教育大学設置問題を審議した際に、当時の砂田文部大臣は、既設の大学においても教員養成課程の充実と、現職教員の再教育のための大学院の創設の動きが教育大学の創設によって刺激されることを期待するというふうに述べられておりましたけれども、その後の様子をどういうふうに把握されているか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  164. 佐野文一郎

    佐野政府委員 御指摘のように、新しい教育大学を創設する場合に、新しい教育大学の整備ということだけではなくて、既設の教員養成大学学部の整備ということをあわせて進めていく、両輪が相まってわが国の教員養成の改善充実を期そうということをお答えを申し上げたわけでございます。  五十四年度におきましては、現在法律案あるいは予算案をもってお願いをしているわけでございますが、大学院、研究科の新設であるとか、あるいは教員養成課程等の整備を図っているところでございます。  具体的に申し上げますと、教育学研究科につきましては、これは大学院の修士課程でございますが、昨年の愛知教育大学に続きまして横浜国立大学に修士の研究科を設置する、さらに、昨年つくりました愛知教育大学研究科につきましてもさらに二つの専攻を増設するというような整備を考えております。  それから、特殊教育に力を入れろという御指摘がございましたが、特殊教育の関係は、山梨と三重の両大学に特別専攻科を設置するということを考えております。  それから、養護教諭の養成課程については、これは従来の養成上の転換が済んだ後であってもなお実態に応じて整備を考えろという御指摘がございましたが、これについては、新たに北海道教育大学の札幌分校に養護教諭養成課程を設置する、それから幼椎園の教員養成課程を福島大学に、小学校教員養成課程を宇都宮、神戸、両大学において増募をするというようなことを実施しようとしているわけでございます。  その他、教員の組織でありますとか、あるいは教育工学センター等の施設あるいは附属学校等についても引き続いて力を入れて整備をすることにいたしております。
  165. 玉置一弥

    玉置委員 内藤文部大臣は、教育は教員の資質向上にあるというふうにおっしゃっていますけれども具体的に、いま、一部現職教員の教育という意味で非常に大切な教員の再教育ということが取り上げられましたけれども、実際上、教員になられてからの研修会というか、そういうものは非常に回数が少ないように思うのですが、その辺についての見解をお伺いしたいと思います。
  166. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 実は、戦前は御承知のとおり師範学校制度というものががっちりしておったのですが、終戦後は開放制にしましたから、だれでも先生になれるのですよ。教育原理、教育心理、教授法等十五単位と二週間の教育実習をやればだれでも資格を得られるのですからね。  そういう意味で、やはり教育学部を充実しようというので、いま局長が申しましたように、去年愛知県にことし横浜に大学院を設け、さらに上越と兵庫に新構想の教育大学をつくって、そこで現職教育をしっかりやる。これが一つと、そのほかに、先生方の研修会というものがあらゆる機会があるのですよ。外国へもやる。これはたしか昭和四十八年でしたか、田中内閣のときに実は五千人ふやしたのです。いまでもそれは継続してやっていますから、外国にもやる。それから国内の研修もやる。  そういう意味で、やはり先生の研修というのは一番大事だと思って、私は一生懸命やるつもりでいるのです。
  167. 玉置一弥

    玉置委員 教員の場合は、知識あるいは能力の研修というものと、一つは人間性の見直しといいますか、文部大臣の大好きな道徳教育ですね。その辺について本当に見直していかなければいけないと思うのですけれども、両方の面から、一つは専門知識ということでかなり詰め込みがきくわけなんですけれども、もう一つの方の道徳の方ですね。  道徳というか、人間性のあり方といいますか、その辺について、これは初等教育の場合ですけれども、どういうふうにすれば子供たちから慕われるような人間ができるとお考えですか。
  168. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 お話しのとおり、一番大事なのは先生のお人柄だと私は思うのですよ。子供を愛する情熱がなければいかぬと思うのです。子供をしっかりつかんでいないと、それこそ卒業式に先生が子供にぶん殴られるなんという事件も起きて、私は非常に悲しく思うのですけれども、やはり教師の人柄ですね。これが一番大事だと思うのです。  ですから、同時に、先生と生徒の間というものが密接であり、そして生徒同士がお互いに助け合い励まし合っていくような学校づくり、その中心は何といったってやはり先生だと私は思うので、そういう先生は知識も大事だけれども、お勉強よりはもっと大事だと思って、今度指導要領の改定も基礎的、基本的なものに限定しまして、余りむずかしいことをやらないで、人間形成に重点を置いて指導要領を改定したわけでございます。
  169. 玉置一弥

    玉置委員 人柄を高めるということなんですけれども、それは教員としての資格を得るときに高めるのか、あるいは実際教員となってから高めた方が有効なのか、どちらか。まあ両方だと思いますけれども具体的にどういうふうにやればいいのか、その辺もちょっとお伺いしたいと思うのです。
  170. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 非常にむずかしい問題ですけれども、私は、先生が子供を愛するということがやはり根本だと思うのですよ。親が愛すると同じように子供を愛する。  この間参議院でちょっと質問があったのですけれども子供が朝来てどんな顔色をしているかとか、つめの色まで見ている先生がいるのですね。ああこれはりっぱな先生だなと私は思ったのですが、そういうふうに先生が子供を完全に把握していて、それで子供同士が仲よくやる、そういう指導をしていただきたいと思うのです。
  171. 玉置一弥

    玉置委員 ではちょっとお話を変えまして、次に、大学の自治に関してお伺いしたいと思います。  いまの大学の自治というのは、大学における教育研究の自由、いわゆる学問の自由という偉大な目的達成のための大学に与えられたものだと私は考えております。ですから、それ自体、大学自治自体が目的でなくて、学問の自由を守るということが目的だと考えておりますし、そしてまたそれを乱用してはならないということであると思いますけれども、それについての文部大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  172. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 全く同意見でございまして、大学自治というものは教育研究のために必要なのでございます。自治そのものが目的じゃないと私も思います。
  173. 玉置一弥

    玉置委員 わが国大学は、特に国立大学の場合には、教育公務員特例法によって、学部教授会が教職員の人事とそれから大学の管理運営等の実質的な権限を持っているということでございますけれども学部教授会の自治が大学の自治であるかということが問題になると思います。  これに対しまして、実際にいままで各大学に割り当てられた国家予算がいかに使われているかとか、そういうようなことしかいまやっていないような気がするのですが、大臣は、学部教授会によって大学の自治が本当に守られていると思うか、それが学問の自由を守るために望ましい制度であると思われておるかどうか、判断をお聞きしたいと思います。
  174. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 私は、教授会というものは学問の自由、研究の自由を守る組織であってほしいと思う。  管理運営の面について多少問題がある点は私もよく存じ上げておる。私も文部省におりましたが、戦前は文部省が管理運営をやったので、だから大学は、教授会というのは教育研究中心だったのですよ。戦後は文部省は一切権限を切られたから、管理運営を含めて、大学の自治の中でやることになったわけです。
  175. 玉置一弥

    玉置委員 現在のように大衆化した大学といいますか、マスプロ化した大学におきましては、技術の進歩や社会の発展に伴って学問の分野もいろいろ細分化されてくると思います。そうした中で、学問の内容も、真理追求といいますか、そういうようなことばかりでなくて、実際面での新しい知識あるいは技術の開発といった、より社会的な深い内容のものが求められているというのが現状だと思います。それをいままで教授会ということで、非常に道徳的に権威を持った人が把握していたというところでございます。しかし、これは昔の話でありまして、いまは学部教授会というものが学校全体から言って非常に力がなくなってきたんじゃないかというような気がするわけでございます。  そういうところから、学校運営の面から、学部教授会というものが学生の大学の自治会などといろいろな面で非常に対立するものがあるわけでございますが、そういう力関係から言って、これまでどおりの学部教授会で運営ができるのかどうかということをちょっとお伺いしたいのです。
  176. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 多少おっしゃるとおり問題がありまして、ですから副学長制度あるいは参与制度を設けて管理運営の適正を図ることも一つです。  それから、筑波大学のような新しい構想大学もできているわけなんで、いまお話のような点について、管理運営の適正化と同時に教育研究の推進と、この二つの使命が全うできるように文部省も一生懸命やっているところでございます。
  177. 玉置一弥

    玉置委員 いまお話しのように、いまの教授会というのは非常に意思決定をなくしている。それと、学問の研究以外の雑務での教授会といいますか、これは教授も含めてですけれども、要するに学問研究以外の運営とか紛争とか、そういういろいろな面で非常に時間をとられることがふえているんじゃないかと思います。そういうような中で、そういうことが逆に裏目に出て学問の研究がおろそかになっているというような気がするわけであります。  そういった意味から、学問の研究や教育以外の雑務、いわゆる学校の運営とか調整とかいう雑務でございますけれども、そういうような面についての専門的な機関といいますか、そういうようなものを逆に創設するお考えはないかどうかということをお聞きしたい。
  178. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 これは先ほど申しましたが、大学自治との関連があってなかなかむずかしい問題なんです。  おっしゃるように教授会というのはやはり教育研究中心ですから、管理運営の方は本当は余りお得意じゃないのですよ。私立学校のように管理運営は理事会がやる、教育研究の方は教授会がやるというふうにはっきり分けているとやりいいのですけれども、いまの国立大学では教授会が両方やっているから多少不十分な点はあると思いますけれども、これは改善いたしまして、両方とも十分にできるように積極的に文部省は指導してまいりたいと思います。
  179. 玉置一弥

    玉置委員 指導するというお話がよくありますけれども、指導するというのは具体的にどういう方法でやられるかということを、大まかでも結構でございますけれども……。
  180. 佐野文一郎

    佐野政府委員 従来のような進学率の非常に低かったころの大学と四〇%にも進学率が達しようとしている大学とでは、明らかに大学の持つ機能というものが変化をしているわけでございます。また、大学の対象とする学問分野というものも非常に縦にも深くなり横にも広がり、しかもそれが学際的に重なり合って展開されるという状況にありますから、学部教授会を中心とするこれまでの運営のあり方というのは、そういった状況の変化に対応しながら、また学術研究の新しい展開にも適切にこたえられるような形で工夫がその運営について行われる必要があることは御指摘のとおりだと思います。  それは、いまのように、一つ一つの縦割りの学部の教育研究なり運営ということだけを考えていては大学の全体の教育研究というものがうまくいかないことは当然でございますから、そういった意味での新しい工夫というものはすでに各大学において実質的に試みられてきていると私は見ております。そういったことを十分に考えながら各大学で自主的な対応を求めるということが基本でございます。  それから、御提案の行政専門家による管理機関の設置ということにつきましては、大臣からお答え申し上げましたように、教官が教育研究に専念できるようになること、あるいは学長を中心とした管理運営の責任体制が確立されること、そういった上で意味のあることでございます。しかし、にわかにそれを具体にどうするかということは大変むずかしい課題でございまして、すでに制度としては学長を補佐するための副学長の制度等も設けられているわけでございますから、そういった副学長制度の活用というふうなことも考え、それと関連して今後の課題として検討させていただきたい、国立大学協会の方々とお目にかかった折にもそういった見地からの御検討をお願いしてみたい、このように思います。
  181. 玉置一弥

    玉置委員 副学長制度というものがいまやられているそうでございますけれども、学長の大学における責任体制というものがどうも非常に不明確だというような気がするわけでございます。  そういった意味で、副学長につきましても、制度的に設けるということじゃなくて、業務の内容の分担とか責任体制など、その辺の内容を明確にしていただきたいと思います。
  182. 佐野文一郎

    佐野政府委員 御指摘のとおり、法令上は学長の権限というものは明確に定められておりますし、また副学長も置けることになっているわけでございます。問題は、それぞれの学長が具体に法令に定めているようにきちっとその職務を行えるような体制が確立できるかどうかにかかるわけでございます。  大学紛争の際に、非常に強く大学の意思決定というものが緊急の場合にどうしても十分にいかないといったこともあって、場合によっては学長により権限を集中することを考えるとか、あるいは十分な学長の補佐機関というものを整える必要があるというようなことが指摘され、また、それは各大学が現実に自分たちの紛争の解決ということを通じて感じ取ったことでもございます。現在、それぞれの大学によって態様は違いますけれども、緊急の場合に学長に権限を集中する措置をあらかじめとっている大学もふえてきておりますし、また、副学長なりあるいは学長補佐という形で学長を補佐する機関を設けたり、あるいは学内にさまざまな内部的な機構を設けて運営の適正を図るとか、そういった努力をしているわけでございます。  そういう努力が足りなくてなお対応が不十分な大学がなしとしないことはまことに申しわけないことでございますけれども、各大学が紛争の経験等を通じて、あるいは現在の大学の変化というものに対応していろいろな工夫を自主的にしているということは評価できることだと私は思います。
  183. 玉置一弥

    玉置委員 というと、いわゆる教授とか講師とか、その辺の方々が運営に関してそんなに気苦労することは今後なくなってくるというか、少なくなってくるといいますか、運営に関しては学長、副学長を中心としてやり、ほかの研究教育、その辺に力点を置いてやっていくべきだということで、だから、いまのところは教授会というのは両方込みになっているわけですね。  私の言いたいのは、だからその辺を専門的に本当に分けてしまえばという話なんです。ところが、いまのお話だとまだ機構的にちょっとふくらましただけで、内容的にはそう変わらないような気がするのですけれども、要するに、いまの内容から言って教育者と運営者というふうに分けられるかどうか、その辺をちょっとお聞きしたいのです。
  184. 佐野文一郎

    佐野政府委員 先ほども大臣からお答えを申し上げましたように、大学の自治というのは、学問の自由というものを大学において確保するために慣行的に認められている一つのいわば制度であって、それ自体が目的ではない。したがって、大学というものが現実に変貌する以上は、大学の自治のあり方というものについても、それぞれの大学が新しい事態対応して考えていかなければならないということは御指摘のとおりでございます。そういう角度でそれぞれの大学検討をしていかなければならないことでございますけれども、必ずしも明快に割り切れないところが大学の管理運営についてはございます。  たとえば、大学の施設の管理が不正常な状況になっているというときに、それを完全に国有財産の管理の問題であると割り切って、いわば国立大学でいえばそれは事務局サイドが対応することである、教授会のかかわることではないという割り切り方がどこまでできるかということがございます。ある程度までは割り切って割り切れないことではないと私は思いますけれども、同時に、施設の管理の問題というのは具体的には教育研究と深くかかわるわけでございます。そうした教学と施設の管理というものとのかかわり合いというようなものについては、必ずしも明確にそれは事務局サイドのことであると割り切ってしまえないし、また、割り切ってしまわない方がいい場合もあるわけでございます。  方向としては御指摘は十分に理解できますけれども、たとえばいま申しましたようなこともございますので、先ほど来お答えを申し上げておりますように、新しい現在の変化というものに対応して、それぞれの大学大学の自治のあり方というものをどのようにこれから工夫をしていくかということをやはり見守ってまいりたいと考えております。
  185. 玉置一弥

    玉置委員 確かにおっしゃられるように、運営といっても、費用面で抑えてしまえば教育研究面で非常に支障が出てくるということもあり得るかと思いますけれども、その辺は、たまたまいまのところは学園紛争がおさまっていまし、そういう意味で余り問題視されていないと思いますけれども、再び学園紛争が出てきた場合、やはり、教授会の運営力といいますか、そういうものが学校運営を進めていく上での非常なポイントになってくると思うのです。  そういった意味で、学問の自由を束縛するとか、そういうことはめったにないと思いますけれども、単に学校運営という意味で考えても、紛争が長引くということはそれだけ学生にかける迷惑といいますか、そういうようなことも長引くわけでございますから、そういった意味でぜひ何らかの対策を考えていただきたいと思います。  続きまして、学問の自由の発展の上でもう一つの大きな問題というのは大学講座制の問題じゃないかと思います。午前中も講座制についていろいろお話があったわけでございますけれども、この講座制につきましても、これも学部教授会と深く結びついているということが言えると思いますけれども、大臣は講座制のメリット、デメリットをどういうふうにお考えか、お聞きしたいと思います。
  186. 佐野文一郎

    佐野政府委員 午前中もお答え申し上げたところでございますけれども講座制というのは、大学運営の長い間の慣行に基づきまして、大学の教育研究を進めていく上でのいわば最小の単位として、特定の専攻分野の教育研究をそこで一体的に遂行する、さらにそこでその分野の後継者を養成し確保していく、そういう点で安定した機能を持ちますので大きなメリットがございますけれども、反面、その専攻分野の範囲の中にとらわれてしまって閉鎖的な運用に陥りやすい、急速に変化し展開する教育研究の実態に柔軟に対応しにくい、そういう欠点があることも事実でございます。  国立大学の場合でございますと、最近はそういった反省のもとに従来の講座制にとらわれないで、より広い研究分野にわたって多数の教員を組織する、いわゆる大講座制をとるというふうなことも行われておりますし、あるいは語学とか保健体育等につきましては、いわゆる語学センターというふうなものによって固有の施設設備を設けて、そこで一体的な運営を行うというようなことも行われておりますし、あるいは講座の壁を超えて、特定の研究テーマのもとに関係分野の教員が随時集まって集中的に研究をするプロジェクト研究の方式というようなものも行われているわけでございます。  文部省は、こういった大学の新しい従来の講座制のデメリットを何とか克服しようという努力に対しては、予算の上でも制度の上でもこれに対応できるような工夫をしてきているところでございます。
  187. 玉置一弥

    玉置委員 午前中もちょっとお聞きしたので大体内容はわかるのですけれども、いままではある一つ講座があれば、教授がいて、あとずっと助手がいてという形になっているわけですが、それが逆に若手の教授の伸びを抑えているのではないかというような気がするわけでございますが、その辺を講座をふやすことによって解消していきたいというお話でございますけれども、実際はなかなかむずかしいと思うのですね。  いままで、たとえばだれだれ教授のもとでやってきたとか、またいろいろな研究開発がその教授の名前で出されるとかいうことがありますが、実際大講座制にして、たとえば一つ分野を細分化してもやっていけるかどうか。というのは、いままで一つのある専門分野があって、それが三種類ぐらいに分かれているようなのもあると思うのです。それが三種類とも一人の教授が見ている、いまは一つにまとまっているという形で、それを講座制なんかやめてしまって、ある分野というものが新しくできれば、そこへ人をつけるというような形ができると思うのですね。  その辺について、改善途中だという話でございますけれども、若手の教授連を養成するという意味で大講座制以外にもっと考えられないのかと思うのですね。要するに講座制なんかやめてしまえということですが、それに対してはいかがですか。
  188. 佐野文一郎

    佐野政府委員 もちろん大講座制というのが一つの工夫の仕方でございますし、先ほど申しましたようなプロジェクト方式というようなものも積極的に進められております。  教育研究の単位としてどういうものを構えていくかということがいま議論になっているわけでございますが、いま先生が御指摘のような点を改善をしていくためには、そういった教育研究のユニットをどのように考えるかということのほかに、現在の大学に言われているそれぞれの大学の持っている閉鎖性、ことに教員人事の閉鎖性というものをどのように是正していくかということがもう一つあると思います。大学間で人事の交流というものがもっと積極的に行われなければならないし、現在各大学にかなり広く見られるところの、いわゆるインブリーディングと言われる、自分の大学の出身者でもってそこの教官を固めていくという方法でない、それを打破する努力というものがあわせて行われて初めて先生の御指摘のような生き生きとした教育研究というものが若手の教官等によって展開されることができるだろうと思います。
  189. 玉置一弥

    玉置委員 大学の閉鎖性は、これは確かに物すごく問題があると思うのです。それと同時に、国立大学の各専門分野はそれぞれいろいろな分野でやっておられますけれども、それの横の連絡といいますか、たとえば学会というものがあるわけでございます。それは簡単に言えば研究テーマを主体にしてそれぞれの成績発表をするということですけれども、そういう個人的なつき合いという意味では横の連絡はあるわけでございますけれども、制度あるいは設備として、その辺から言っても、たとえば東京大学と京都大学と同じようなことをやっている。片方、学会誌に載るような内容についてはよく知っているけれども、いままでこういうことで失敗して、それからヒントを得てとか、そういうものはないと思うのです。  そういう横のつながりというものがないというような感じを受けているのですけれども、それについていかがですか。
  190. 佐野文一郎

    佐野政府委員 御指摘のような点は確かにあると思います。ただ、それについても、私はやはり大学改革と申しますか、改善を考えているという評価がかなりできると思います。それは一つには先ほど申し上げましたプロジェクト方式のようなものがそうでございますが、さらに学内を越えて他の大学との間にも、そういった共同研究というようなものは科学研究費その他を通じて積極的に進められるようになっているわけでございますし、さらに御案内のように大学間の単位互換の制度というものが開かれておりますので、単位の互換というものを実施する。それを実施するためには、それぞれの大学間における十分な協定が必要でございますし、さらにそれぞれの大学が特色のある専門分野というものを持っていないと単位の互換というものは十分にはできない。片道交通になるわけでございます。  東京大学と埼玉大学の工学部の間に行われている単位の互換というのは、そういう意味で両方の大学がそれぞれ特色とするところを中心として、まさに完全に対等の関係で単位の互換をやっている。こういったところからは、いま申しましたような大学の壁というものを越えた工学部の部面における共同的な動きというものが期待できるわけでございます。学問のこれからの展開ということを考える場合に、従来のように一つの狭い世界の中に閉鎖的に安住していたのではもはや大学の進歩がないという意識は、良心的な大学人の間にはすでにかなり一般的にあると私は思います。  そういった大学人の自覚というものを促し、そうした自覚に伴って大学が自主的な改革をするということについては文部省予算の面でもできるだけの対応をしたいし、また、そういった努力が可能になるように制度上の弾力化の措置をできるだけ講ずるということでこれまで努力をしているわけでございます。
  191. 玉置一弥

    玉置委員 徐々に改善されているというお話は聞いているわけでございますけれども研究開発の効率を上げるという意味で、たとえば研究機関の集中化とか、研究資料の整備あるいは施設の共同利用とか、そういうことを進めていかなければ学問としても伸びないと思うのです。いままでだと、どちらかというと個人の力に頼ってきたゾーンが非常に大きいわけです。そういうことを今後はグループの力で出していかなければいけないと思うのですけれども、いろいろな産業間においてもいろいろなパテントというものはドイツ、アメリカの辺が多いわけでございますけれども、そういうようなところから、日本ではどうしても個人に頼ってしまうゾーンが多いという意味から、そういうような研究開発といいますか、ちょっとたとえが悪いのですけれども、NASAみたいなああいうものがあれば非常にいろいろな情報が集まってきて、分析されて新しいものが生まれてくると思うのです。  その辺について、要するに集中化とか共同利用とかいうことから考えていかがですか。
  192. 篠澤公平

    篠澤政府委員 ただいまのお話を研究を推進するという観点から申しますと、現在二つの方法があろうかと思います。  その第一点は、特定の研究を推進するために相当大規模予算も必要である、あるいは大型の設備も必要である、集中してやるべきであるということを考えます場合には一つ研究所をつくっていくという方法であろうかと思います。これはすでに先生も御案内のとおり、全国共同利用という形で関係研究者がそこに集まりまして、特定の研究プロジェクトを集中的に推進していくということでございます。形といたしましては全国共同利用研究所、あるいは特定の大学には附置いたしますけれども、例を挙げますれば東大の宇宙航空研究所というものもあるわけでございますが、そういう形で研究所をつくっていくという方法が一つございます。  それから、もう一つの方はむしろソフトな形で、そういったハードなものをつくらずに、研究者が集まってプロジェクトチームを組み、それに対して相当大規模研究費の予算を投入して研究を促進させていくということが考えられるわけでございまして、そのためには現在科学研究費補助金を、特別研究あるいは特定研究という領域でテーマを定めまして継続的な研究費の補助をいたしておるわけでございます。ハードとソフトと申しますか、そういう二つのやり方があろうかと思います。  それから、情報の交換のことでございますが、御指摘のように情報はやはり研究者相互の間に非常に密接な交換があってしかるべきでございます。そのことによって研究のむだも省くことができるわけでございますから、きわめて重要なことだという認識を持っておるわけでございます。現在、東京大学あるいは筑波大学、部分的には広島大学等にもございますけれども、データの交換をするシステムをすでにやっているわけでございまして、これを今後とも発展させていくことはきわめて有効であろう、このように考えておるわけでございます。
  193. 玉置一弥

    玉置委員 いまお伺いしましたが、かなりの共同利用といいますか、それから共同開発がやられているようでございますけれども、どっちにしても学問という意味でもあれですけれども、これはちょっと言い方が悪いのですけれども、産学共同といいますか、要するにいまのエネルギー資源のない日本の国、その辺を考えてみても、社会的に役立つそういうエネルギー資源とか、そういうものに対する基礎研究、それから具体的な利用のための研究ということは、どちらかというと具体的な利用の方がおくれているという気がするわけでございます。  その辺について、それは一つの学校ということじゃなくて、プロジェクト的な動きをしないといけないと思うのですけれども、実際面での新エネルギーといいますか、その辺の研究についてはいまどういうふうな現状でございますか。
  194. 篠澤公平

    篠澤政府委員 特別会計におきまする大学のために措置されております各種の予算があるわけでございます。そのほかに用途指定寄付金と申しますか、民間の寄付金もあるわけでございますが、そういうものを含めまして研究が行われているわけでございますが、特定のたとえばエネルギーといいますか、そういう問題についての、ただいまのお話でございますれば科学研究費において措置する部分がございますし、また、特別会計の予算の中でたとえば名古屋のプラズマ研究所に——これは核融合の研究をいたしているわけでございますが、プラズマ研究所研究計画に従いまして相当の資金を投下するとかということで、特別に必要な場合には特別に大型の設備も認めるという方向で重点的に予算を配当しているようなわけでございます。
  195. 玉置一弥

    玉置委員 いままでのいろいろな研究開発費用というものを見てみますと、非常に小出しにされているといいますか、一括してある時期までに幾らというような、年度にまたがるというとおかしいのですけれども、たとえばそのうちの一年分というふうに出ればいいのですけれども、まず調査費がついてという、まあ準備費みたいな形から出ていくわけですね。  一括して人を集めてきてばっとやるというふうに、あるプロジェクト単位に一個一個まとめていった方が効率がいいと思うのですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
  196. 篠澤公平

    篠澤政府委員 実は、私どもも御意見と同じような気持ちでおりますが、いろいろと研究進展ということも一つあるわけでございます。  申し上げるまでもなく、大学におきます研究は基礎的な研究でございます。したがいまして、一つのプロジェクトを進めるにいたしましても、計画的に相当緻密な研究が行われるわけでございますので、そのためにはどうしてもある程度の年月がかかる。その年月に合わせまして設備等の計画も定めていくということもあります。したがいまして、一度に大量の資金を投下して、あるいは予算措置をいたしまして進めるということも、必ずしもそれが有効に機能するかと申しますと、場合によっては非常にむだが生ずるということもありますので、その辺は研究者の研究進展に合わせまして、科研費なりあるいは特別会計の経費をもって措置していくということが至当であろうかと考えるわけでございます。
  197. 玉置一弥

    玉置委員 いままで申し上げましたのは、一応国立大学の各部の特色といいますか、そのようなものを生かしながら何らかの運営面での改善をしていただきたいということで、午前中もちょっと伺って、講座制に対して非常に前向きに取り組んでおられるという姿勢を聞きまして、ちょっとダブる要素があったのですけれどもその辺で質問させていただきました。  それから、一昨年の学校教育法の改正によりまして、連合大学院とそれから独立大学院などを創設することを認められることになりましたけれども、その後これらの大学院を設置する動きがあるのかどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  198. 佐野文一郎

    佐野政府委員 連合大学院、独立大学院の構想といたしましては、現在、国立大学の間で、農水産系あるいは工学系の分野で博士課程の連合大学院をつくろうという構想検討されているわけでございます。  農水産系の連合大学院の構想については、すでに創設準備費の計上等も行っているわけでございますが、これらの構想は教育研究上多くのメリットがございますし、大学改革を進めていく上でも意義が大きいとは思いますけれども、反面、初めてのことでございますから、実行上の具体的な問題としてはさらに詰めなければならない課題がたくさんございます。  したがって、現在関係者のより突っ込んだ調査研究文部省としては期待をいたしているわけでございますが、これを具体化していく場合の問題点あるいは制度上のあり方等については、文部省におきましても大学関係者の協力を得まして現在検討を進めているところでございます。
  199. 玉置一弥

    玉置委員 いま伺いますと、農水とそれから法学ですか。(佐野政府委員「工学です」と呼ぶ)工ですか。  たとえば経済学部あるいは商学部大学では非常に理論的なことを教えているわけですけれども、実際に会社へ勤めると全く役に立たないというのが現状だと思うのですね。それで学問と実際は大分違うという話はあるかと思いますけれども、その辺について、教員の場合にも現場を知ってそれから戻って再教育するということは非常にいいことだと思うのです。  これは一般の民間会社あるいはお役所の場合においてもそうなんですけれども、ある程度現状を知ってさらにもう一回理論を学ぶという意味から、人文社会系大学院の拡充といいますか、その辺についてはどういうふうにお考えですか。
  200. 佐野文一郎

    佐野政府委員 人文社会系大学院、ことに社会科学系大学院の場合には、御指摘のように大学院の果たしている社会的な機能が、たとえば工学の場合の修士の課程とはかなり違いまして、どちらかといいますと、研究者の養成をごく限られた規模で行っているというようなところが大勢ではないかと私は思います。しかし、社会科学の系統でございましても、たとえば筑波大学や埼玉大学に置かれておりますいわゆる政策科学の系統の修士の大学院のコースというのは、これは積極的に、官庁であるとかあるいは企業であるとかといったところの現職者を受け入れているわけでございます。  修士の課程を考えていく場合には、そういったいわばプロフェッショナルスクールと申しますか、そういう性格をはっきり持った修士の課程というのがこれから非常に大事になると私は思います。  私学の場合であれば、慶応大学にいわゆるビジネス・スクールと言われるものが修士の研究科として設置をされるに至っておりますが、こういった傾向を私どももできるだけ助長をしてまいりたいと考えております。
  201. 玉置一弥

    玉置委員 時間もありませんので、最後に国立大学と私立大学の教育費用といいますか、そういうものをちょっと参考にお聞きしたいと思いますけれども、できましたら文科系と医学系といいますか、その辺の数字を教えていただきたいと思います。
  202. 三角哲生

    ○三角政府委員 専門分野別に国立と私立の教育費についての比較の問題でございますが、国立学校と私立学校はそれぞれ、また私立学校の中でも若干ニュアンスがございまして、いわゆる費目の立て方と申しますか、そういったものが必ずしも共通ではございませんので、端的に同一の次元で厳密な比較をするということはできないわけでございますけれども昭和五十一年度の学校基本調査とそれから私立学校の財務状況調査というものがございますが、これを用いまして一応の試算をいたしますと、学生一人当たりの教育費として、医学部は国立が五百五十六万円、私立が四百四十八万円、それから歯学部が国立は四百五十五万円、私立が三百十四万円、理工系学部は国立が百五十四万円、私立が六十万円、その他の学部は国立が百十四万円、私立が四十一万円というような数字を一応試算することができるわけでございます。
  203. 玉置一弥

    玉置委員 これを聞きましたのは、多分国立の方が一人当たり高いだろうというところから出したわけでございます。といいますのは、教育機会均等と言いますけれども、実際に払っている費用からいきますと、国立の場合は一応税金で全額、あと授業料少し、私立の場合には授業料大半、補助が一部ということでございます。そういった意味で、同じ教育を受けるにしても、学生一人一人か非常に——これは学生よりも親の負担になりますけれども、その辺の費用が違うわけでございます。  国立の拡充、整備も大切ですけれども、いままで私立大学が国立の目に見えない部分をカバーしてきたという意味から、私立の位置づけといいますか、そういうものをもう一回見直しをして、そして費用の配分というものも——一人頭の金額がはるかに変わってきているわけでありますし、現状から言って私立なしでは教育体制というものはとても考えられないわけでございますから、文部省あるいは大臣の方で、私立の擁護、適正負担ということで結構でございますけれども、その辺から見てぜひ今後のいろいろな施策に織り込んでいただきたいと思います。
  204. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 お説のとおり、わが国大学、高等教育のうち八割は私学ですから、やはり私学に対する助成をしなければならぬ。  実は、私が参議院の文教委員長のときに私立学校振興助成法が通ったいきさつがありまして、私は何とかして強化したいというので——あれは二分の一が目標になっているのですよね。なるべく速やかに二分の一の教育費の補助をやるというのが一つと、それからいま一つは育英奨学ですね。育英奨学を大幅に拡充し、ことしも月に一万円の大幅な、人員もふやし額もふやしてやりましたが、おっしゃるように、私立学校の子供たちの負担の軽減について文部省は今後とも最善の努力をいたします。
  205. 玉置一弥

    玉置委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますけれども、最後に、教育機会均等という意味で、裕福でない方でもやはり教育ができるように、育英資金面である程度の成績をとれれば費用は国が見ましょうとか、あるいは場合によっては府県の補助でやるとか、そういうようなことをぜひ考えていただきたいと思います。  本日はどうもありがとうございました。
  206. 坂本三十次

  207. 山原健二郎

    ○山原委員 大臣がお見えになる前に管理局長に一言伺いますが、医科大学ができるというような場合、この工事ですが、たとえば沖繩なら沖繩というような場合に、かなり九手の業者が工事をやっているのではなかろうかということを聞くわけですが、全国的に見ましてその点はどうでしょうか。  地元の業者にてきるだけやらせていくとか——あるいはこれは国立大学だけでなくて、たとえば小中学校等の義務制の場合も、小さな工事までかなり大手の業者がぐうっと入ってくるということで、地元業者はその点では改善をしてもらいたいという要求を非常に持っているようですが、そういう点で御指導をなさっておるかどうか。文部省がちょっと指導すればずいぶん変わってくると思いますが、この点をお伺いしておきます。
  208. 三角哲生

    ○三角政府委員 ただいまのお話の問題でございますが、このところずっと、中小企業と申しますか地元業者と申しますか、これの受注の機会の増大ということは政府としても非常に重要な課題として持っておりまして、年々閣議の決定もあるわけでございます。文部省といたしましてもこの方針に沿いまして、国立文教施設の工事はみずから行うものでございますが、地方公共団体の行う場合につきましても同じ趣旨に基づいた指導を強めておるわけでございます。  いま御指摘の医科大学の件でございますが、これは医科大学とそれから一般の大学についても共通しておりますけれども、特に医科大学規模も大きゅうございますし、いろいろな種類の建物の工事があるわけでございます。それで、いわゆる地元業者と申しますか、中小企業に当たる建築業者の場合は、やはりどちらかと申しますと規模のやや小さい方の工事を担当していただくというのが通常でございます。  これは方式がございまして、病院とか大きな建物になりますと建設業者にランクを設けてございまして、その業者の実績でございますとか、あるいはその業者の抱えております従業員の数でございますとか、そういったことでいろいろな指数を計算いたしましてランクづけをいたしておるわけでございます。そのランクによりまして、工事の発注に当たりまして競争入札の指名を行います場合に、地元の中小企業がそれ相応の工事の指名の機会が得られますように気をつけて配慮をいたしております。  なお、大きな工事につきましては、いわゆる大手の建設業者と地元の業者が共同企業体を組むというような形が例としてかなりございまして、そういった共同企業体にも指名の機会が与えられるように配慮をしておるということでございます。  なお、ちなみに高知医科大学について申し上げますと、全体工事件数が昨年末現在で三十九件ございましたが、そのうち十八件が地元単独、二件が地元業者を含む共同企業体、こういう状況になっております。
  209. 山原健二郎

    ○山原委員 これは指導の問題ですから、十分指導すれば効果は上がりますよ。それからランクの問題につきましても、ずいぶん改善される面があると思いますので、よろしく御指導ください。  兵庫並びに上越教育大学の問題ですが、いよいよ来年の四月に大学院生を受け入れるということでございまして、この夏に受け付け、九月に入学試験、そして十月に合格発表、こういうところへ参りましたが、この受け入れについて、この法律の審議に当たって、私もこの場所で砂田文部大臣とそれから佐野大学局長とずいぶん論議をしました。そこで、教育長協議会の第三部会がこの受験身分、選考手続などを検討しておりますが、二月の九日に中間報告を出しております。部会でそれを了承しているわけでございますが、内容につきましては、「日本教育新聞」の二月十九日付と「内外教育」の二月十六日付に出ております。  これを見ますと、私どもがここで論議して、そして大臣並びに大学局長が答弁したこととずいぶん違うということを感じておりますが、この点を簡単にお答えいただきたいが、どうでしょうか。
  210. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 初めにお断りしておきますが、「内外教育」に出ておりまして、私も照会しましたけれども、第三部会としてはまだ中間発表として正式に出すようなものではないのだという返事でございましたから、言ってみれば引き続き検討中ということだろうと思います。  それはさておきまして、ただいまの先生の御指摘の点につきましては、私も一通り「内外教育」等を読ませていただきましたけれども、事柄としては本案審議の際におおむね御論議のあった点であり、それらを踏まえてまず妥当な内容ではなかろうかというふうに私は考えております。
  211. 山原健二郎

    ○山原委員 この二つを見ますと、受験希望者は出願書類を受け取りまして、校長を経由して地教委に同意申請書を出す。同意を与えるに当たって、「1研修意欲が盛んな者 2二年間の長期研修に心身ともに耐えられる者 3卒業後現場復帰する者 4大学院に出ることが学校の運営上差しさわりなく、有益である者」というふうに出ておるように思います。そして、さらに見てみますと、その上に県の教育委員会が研修定数など勘案して地教委に返事を出すということになっております。  「日本教育新聞」を見ますと、「特に同意に当たって県教委と地教委が“二重チェック”を行うのは、研修意欲を念入りに審査するということだ」というふうに出ていまして、このほかに「在学中の“勤務”の把握のために、報告書の提出が求められる。」となっています。この点について「内外教育」は、「本人は在学中単位取得状況などを定期的に報告する義務を負い、これについては、大学側に可能な限りの協力を要請する。」となっており、さらに、「出張命令が出されるために在学中は自由に学べる環境の中での大学院生の身分と同時に、国公立の教員は、公務員の身分を持つため、いわゆる政治活動などへの参加は規制されるなど、出身地地教委の服務監督権限が及ぶ。」とありますが、これについては、いま諸澤局長がおっしゃったように特に異存はないということも書かれております。  恐らく各都道府県に対してこの線に沿って指導するという考えであると思いますが、私はここへ当時の議事録を持ってきていますけれども、教育委員会の出願に当たっての同意の問題についてはここでずいぶんやりましたね。そして大学局長と諸澤局長の考え方の違いなども少し出たりしましてずいぶんやりとりをしたわけですが、そのことはおくとしまして、当時、私の質問に対して砂田文部大臣はこう言っています。「現職のまま現給で勉強をしていただく、それを保障する意味での研修のための出張命令という、現実問題としての手続上の市町村教育委員会の同意という意味であることをぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。」と言って、「山原委員が御指摘になりましたような、同意を与える場合に何か色めがねで見て選択をするようなことがありましたのでは、これはせっかく新しい考え方に立っての教員大学を」——これはいま教育大学ですか、「設立する意義が根底から崩れるわけでございます。」と実にはっきりおっしゃっておられるわけです。それから、同時に、佐野大学局長もこの点については、「本人が自発的に勉学をしたいという意欲を持って受験を希望されるはずですから、そのことをできるだけ尊重してやってほしいということを申し上げておる」というふうにおっしゃっておられるわけですね。  そのときに唐沢さんが委員長代理をしておられましたから、私は委員長にもこの点についてお尋ねしたのです。そうすると唐沢委員長代理からも、「いま山原委員のお尋ねの件につきましては、立法府の立場から今後の推移を十分見守っていきたいと思っております。」と言っておられる。そこで私が、声が小さいからもう一回大きな声で言ってくれと言ったら大きな声で同じことを繰り返した。こういう経過です。この経過から見まして、現職の先生が教育大学を受ける場合、上越、兵庫を受ける場合には、私どもの受け取ったこの国会での議論としましては、きわめて事務的に処理する考えであったように思います。  この点から考えますと、先ほど私が引用しました「日本教育新聞」あるいは「内外教育」に出ました全国教育長協議会の考え方というのは、私どもの国会側の論議をさらに踏み越えて全くひとり歩きをして、私ども指摘した心配のとおりの二重、三重のチェックが行われるような事態になろうとしているのではないかということを心配しておりますが、この点は全く心配ないというふうにお考えになっておるのでしょうか。
  212. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 先生の御指摘のような点につきましては、最初に申し上げましたように、私の記憶では大分議論がありまして、文部省の見解も大学局長等から申し上げたはずでございまして、いま同意の場合の基準四カ条を挙げられましたけれども、私もちょっと話を聞いた程度で読んでいないのですけれども、第一番目の、本人が積極的な研修意欲があることというのは、これは私は当然だと思うのです。二年間県費で在職のまま行くのですから、意欲のない人に行かれては困りますから、それは当然だと思いますし、二項目の、二年間の勉強が終わったならばもとの勤務地の都道府県に帰ってくる意思があることというのも、これは帰ってくるという意思がなければ困る。せっかく県から出すのですから、これも当然だと思います。三番目に、その人が行くことによって学校運営上支障がないことというのも、これも学校としては十分配慮すべきことだと私は思いますし、四番目に、長期の研修に耐えられる人であることということも、研修に行く目的からして考えられる。  先生の御指摘のように、そういう点を非常に意地悪く使って、あいつはやりたくない、これはやろう式にやってはいけませんから、その運営は私どもは十分気をつけるように指導いたしますけれども、同意の基準そのものは、先生もごらんになれば恐らく御同意いただけるのではないかというふうに私は思うわけでございます。
  213. 山原健二郎

    ○山原委員 学習意欲があるかないかということは、これは大学局長は意欲があるから受けるのだということですが、それは確かにそうなんで、現職の教師が何もかにもめちゃくちゃに、考えないでおれはとにかく受けるのだというようなことはないと私は思います。だから、教員大学へ行ってとにかく勉強をしたいという気持ちがあるからこそ受験するわけですね。それを幾重にもチェックをしていくということは不都合だと私は思っています。  それから、また、それは大学側が認定すべきことでありまして、私が言うのは、確かに一、二、三、四のこの個条の面から言えば、諸澤局長がおっしゃるように当然のことを言っているのじゃありませんかというふうに私にはね返ってくるわけですけれども、しかし、私どもが論議したのは、もっと事務的に処理していいのではないかということで、いわゆる大学の自治、大学の理念から言っても、大学へ入学する者を決定するのは大学自体であるというこの原則から考えていかなかったならば道を踏み迷うから、その点でずいぶん厳しい論議をしたわけです。  文言としてはあたりまえじゃありませんかとおっしゃるのですけれども、ただその四つだけでなくて、後を見ましても、いま私が読み上げましたように、何回も読み上げはしませんけれども、しかしずいぶん厳しいようなことを——ずいぶんと言ったら語弊がありますけれども、場合によっては厳しくなりかねないような条件がつけられている。在学中のことを定期的に報告する義務があるとかいうようなことを見ましても、また出張命令が出るのだから大学において公務員としてのあれをやれとか、しかも出身地の地教委には服務監督権限があるとか、ここまで来ると、これはいままでの大学の理念とは全く違ったがんじがらめの学生がこの大学に入ってくるという印象を受けるわけですね。  これはこれからの問題ですし、また、この問題、事実は、いま局長がおっしゃったように中間報告という形で、私どもは文書そのままを見たものでもありませんし、たまたまこういう新聞に出ておりますが、二つの新聞が大体同じようなことを書いておりますので、恐らく余り間違った中身ではないと思います。そういう意味で、これは心配をするのが当然でして、教育長協議会というものがこの大学の選考に当たってひとり歩きをするようなことをさしてはならぬ、これはもう国会で論議したとおりやっていただきたいということと、それから大学の自治というものに対してくちばしを入れるようなことはしてはならないということ。だから、当然すべきこと、勘案すべきことはあると私は思います。あると思いますけれども、それはそこに余り立ち入り過ぎることはよいことではございません。  そういう意味で、申し上げております学校教育法の原則を踏み外すようなことは絶対にしてはならぬと思いますのであえてこの問題を取り上げたわけでございますが、最終的にこの教育長協議会がいまの中間発表というものをまとめられると思いますが、それはいつ決まるのでしょうか。あるいは、私の希望としては、国会で論議しましたように、きわめて事務的に処理をして、出願をする希望者は全員試験を受けることができるということぐらいは確保すべきだと考えておりますし、これが国会側の論議であったと思いますが、この点については教育長協議会に対してきちんとしたはっきりした文部省の態度を示す必要があると思いますが、この点はいかがですか。
  214. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 先生はきわめて事務的にやるべきだということなんですけれども、たとえばこれは国会論議を私はわきで聞いておって感じたのですけれども、出張命令を出して行かせるのはけしからぬというような議論があったのですけれども、公務員の身分をもって大学へ行くという場合に、その身分を持ちながら勉強し、しかもその勉強期間中に給与を支払うというためには、これは出張命令を出す以外にやり方がないのですね。  私どもはそういう意味できわめて事務的にやっているわけであって、ただ、それがそこへいろいろと教育委員会当事者の恣意というものが入ってはいかぬという御趣旨はよくわかりますから、指導はいたしますけれども希望をすれば全部受けさせろとおっしゃっても、これはもうたびたび議論があって、そうは言っても代替定数の問題があったり、学校運営の問題がありますから、そこのところは市町村教育委員会と県の教育委員会で相談してやりますよと、こう申し上げているわけであって、繰り返すようですけれども、私は、いま協議会が考えているような案は大変妥当なものだと思います。ただ、運営を十分気をつけてやるようにということで指導いたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  215. 山原健二郎

    ○山原委員 もう一回言いますよ。大学局長、大学ですから、大学の立場からも意見を聞きたいのですが、砂田文部大臣は、「現職のまま現給で勉強していただく、それを保障する意味での研修のための出張命令という、現実問題としての手続上の市町村教育委員会の同意という意味であることをぜひ御理解いただきたい」と言っているのですが、この砂田文部大臣の言い方といまの諸澤局長の言い方とちょっと違います。それから佐野局長の、「本人が自発的に勉学をしたいという意欲を持って受験を希望されるはずですから、そのことをできるだけ尊重してやってほしいということを申し上げておるのでございます。」ということともちょっと違いますね。  その点、大学局長の御意見はいかがでしょうか。
  216. 佐野文一郎

    佐野政府委員 私もこの教育長協議会の中間報告というものをまだ拝見をしておりませんが、教育長協議会の方で御検討に入る際に、担当の教職員養成課長を通じて、国会における御審議内容を十分に踏まえて御検討賜りたいというお願いはいたしてございます。  私も、初中局長がお答え申し上げましたように、この「内外教育」版に書かれている限りにおきましては、実際に同意の事務を処理していく場合の仕組みとしてはこういうことであろうし、それは国会での御議論と矛盾をしてはいないと思います。  要は、やはりこれがどのように運用されていくかということであり、そしてまた大学の立場からすれば、二つの大学大学として大学の入学者選抜を行っていくのだということを十分に考えて公正な選抜をするということであろうかと思います。
  217. 山原健二郎

    ○山原委員 これ以上論議してもちょっとここでは時間の関係で煮詰まりませんけれども大学が学校教育法によって入学者を決定するという、この立場はもう踏み外してはならぬということなんです。だから、いま私が読み上げましたやり方でいきますと、よほど気をつけて、それから文部省側の意向といいますか、この国会で論議された方針というものを堅持しておらないと、たとえば四国では何名、どこの県は何名というくらいになって、ずっとしぼられてきて、大学を受験する者は合格者の数とびたっと一致するくらいのことになりかねない情勢だってあるわけですね。二重、三重にチェックされるようなかっこうになりますからね。  これは実は一つ運用上の問題もありますので、やはり、大学としての理念がしっかりと守られる立場でこの問題についての文部省の態度を堅持していかないといけないということを私は強く申し上げたいと思いますが、大臣、この点はおわかりになると思いますけれども、いかがでしょうか。
  218. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 御趣旨の点は全く同感でございますから、推薦をしたからといってそのまま全部じゃないので、やはり、大学としてりっぱな大学院生を採ることが目的である。それが日本の教育の振興に役立つと思いますから、それは御趣旨の点をよく考慮させていただきたいと思います。
  219. 山原健二郎

    ○山原委員 この問題につきましてはいずれ現実問題となってくるはずですから、私どもも十分に国会側の立場で見ていきたいと思います。  次に、図書館情報大学の問題につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  特に参与、副学長の問題でありますが、今回も最近新しく誕生しました医科大学と同じように、省令で副学長、参与を置くということになっております。そして、昭和四十八年以降新設されました医科大学やあるいは技術大学等におきまして全部副学長、参与が置かれております。私が非常に感じますことは、管理運営上副学長、参与を省令によって置く、法改正をしないでやるということがもう全く全部に適用されて、既定事実がっくり上げられているということなんですね。これはこの委員会で、嶋崎議員の質問に対して木田前大学局長は次のように答えています。「大学ができ上がりました場合に、大学側が主体的に置くことになると考えます。」だから、これが国会で論議された一つの回答でございます。  その開学の前に省令で置かせるというのはおかしいのではないかと私は思うのです。これも何遍かやりとりをしておるわけでございますが、結局既定事実として新しい大学には副学長、参与が置かれてくる、いわば、結局大学自体の主体性というものがこれで侵されている、こういうことだと思うのです。  いままでの論議では、たとえば浜松、滋賀、宮崎等の大学の新設に当たりましては、これは文部省がつくるのだから副学長、参与を置くのだということになっていますね。今度の図書館大学の場合は、これは移転昇格ですから、大学側として、図書館情報大学が設置されて、教授会として副学長、参与を置くか置かないかを決定をしましてから省令を改正すべきではないかというふうに思うのです。  それで、置くと教授会が決めれば置くとする、置かないとすれば置かない、これがあたりまえのことではないかと思いますが、この点はいかがですか。
  220. 佐野文一郎

    佐野政府委員 御指摘のように、最近の新設大学におきましてはすべて副学長、参与を置いてきておりますが、これはいずれも創設準備会等における御議論の結果に基づいて、まず予算上の措置をとっているわけでございます。  図書館情報大学の場合も、どのような構想をもって大学をつくるかということにつきましては、図書館短大に置かれた創設準備室と創設準備委員会で自主的に御検討が進められたものでございます。副学長と参与を置くことにするというのも創設準備委員会においてまとめられた基本構想に基づくものでございます。
  221. 山原健二郎

    ○山原委員 各大学がたとえば副学長あるいは参与というものを置かなくてもよろしいというふうに決めた場合は、原則としては省令の改正はしないということではないでしょうか。
  222. 佐野文一郎

    佐野政府委員 私は、やはり問題は二つあると思います。  一つは、これまでの大学で副学長が置かれてきている。そして現実にその副学長が学長とともに活動をしている。その実際というものをそれに続く大学の創設に関与する人たちが見ている。それを通じて、副学長の制度というものについて創設準備に当たる方々の間に積極的な評価があるということが実際の問題としてあろうかと思います。  それから、そういうことを踏まえて、それぞれの創設準備委員会において、自分たちの大学構想として置くということを決めておられる。それに基づいて私どもは措置をしているということを御理解いただきたいと思います。
  223. 山原健二郎

    ○山原委員 これもちょっと煮詰まりませんけれども、去年の十二月十日に文部省の意見が出されておりますが、たとえば来年度予定されておると言われる徳島の教員大学院の場合は、副学長は、大学の考え方と法律の関係であるが、将来は指定職にしたいというふうな見解が出されておりますが、これは事実ですか。
  224. 佐野文一郎

    佐野政府委員 いまの点は、私どもは承知をしておりませんが……。
  225. 山原健二郎

    ○山原委員 では、指定職にするというお考えはないわけですね。
  226. 佐野文一郎

    佐野政府委員 副学長に限らず、大学の管理職について指定職の範囲を広げたいと私は率直に思っておりますが……。
  227. 山原健二郎

    ○山原委員 指定職の範囲を広げるということは、学校教育法を改正するということですか。
  228. 佐野文一郎

    佐野政府委員 指定職の範囲をどのようにするかということは、これは人事院で御審査をいただくことであり、人事院の御方針によるわけでございますけれども対応はそれに応じて予算で措置をしていくわけでございます。
  229. 山原健二郎

    ○山原委員 いまおっしゃったのは、指定職の範囲を広げたいとおっしゃったんですか。理由は何ですか。
  230. 佐野文一郎

    佐野政府委員 管理職の処遇の改善ということを考えた場合には、やはり指定職ということをもって処遇をする方がよろしかろうと私は思っておりますが……。
  231. 山原健二郎

    ○山原委員 この副学長と参与の問題は、これは筑波大学法案のときにずいぶん論議になって、もう幾月も論議をしたものなんですね。その後、法律じゃなくて省令でやるということになって、私はそこを言っているわけです。そして既成事実として、新しくできる大学には全部置いていく、そしていまおっしゃったように将来は指定職にしたい、こういうふうな既成事実の上に立ってずいぶん論議があった。副学長を置くがよいかどうか、参与を置くことがいいかどうかという、これは国会では確かに数では押し切りましたけれども、この論議はまだ合意に達していないくらいの論議をしてきたわけですよ。  それがいつの間にか、既成事実をつくりながら指定職の範囲を拡大していきたいというようなことをおっしゃるから、私どもはこの法案の審議に当たりまして、先ほども教育大学の問題で申し上げましたが、文部省のお答えをここで質疑をしてお答えをいただいておるのだが、あなた方は変質しておるとおっしゃらないかもしれないけれども、ずっと変質してくる。だから、私たちはここでよほど厳密なやりとりをしておかないと、いつの間にか副学長、参与がもう既定の事実として、しかも指定職にまでなっていく、こういうふうにエスカレートしていくわけです。  私はこれは大変不都合だと思いますが、文部省としては、それはもう大体そういうのが既定の方針だ、まあまあ大体国会の方は少しごまかしてきたんだということになるのですか。
  232. 佐野文一郎

    佐野政府委員 国会での各大臣なり政府委員の答弁というのはもちろん責任を持って御答弁を申し上げておりますし、そのことはそれとして文部行政が引き継いでいるわけでございます。  先ほども申し上げましたように、副学長の制度というのは、その後の大学の管理運営の実際を通じて副学長制度のメリットというものが評価をされ、定着をしてきているということであろうと思います。もちろん、既設の大学において副学長制度を採用するというところはまだございませんけれども、しかし、現実には学長補佐等の形で学長を補佐する体制を整えなければならないということはいろいろな形で各大学が工夫をしているところでございますし、そういうこれまでの大学の経験に基づいて副学長というものが評価をされているということであると私たちは考えているわけでございます。
  233. 山原健二郎

    ○山原委員 副学長、参与の評価がだんだん固定しつつあるということですけれども、でも、私は、この前筑波大学のいわゆる選挙問題を取り上げたのですけれども、あっさり評価が定着したと言いますけれども、あれだけ大騒ぎをして副学長、参与をつくった学校で他の大学では見られない事件が起こるということですね。これはあなた方の方はその大学の体質から生まれたものではないとおっしゃっていますが、私どもも、その大学の体質全部がその原因になっておるなんということを言っているのではありません。けれども、副学長、参与というのが四十七年来置かれはしましたけれども、これが定着したなどという評価は必ずしもすべき現状ではまだないと私は思います。  それをそういうふうに受け取ること自体が私は非常に危惧を感ずるのですが、もう一回この点について伺っておきたい。
  234. 佐野文一郎

    佐野政府委員 既設の大学において実施をされているわけではございませんから、全体を通じて副学長というものが定着をしているということを申し上げるわけにはまいりませんけれども、新設の医科大学なり、あるいは技術科学大学なりあるいは筑波大学等における副学長の機能というものは、これはその大学の教育研究あるいは管理運営というものを適切に進めるために十分に有効に機能いたしておりますし、それを大学人もやはり評価をしているというように私は考えております。
  235. 山原健二郎

    ○山原委員 この点についてはまだ見解の相違がありますけれども、なお今後の推移を私たちは見ていきたいと思います。  それから、次に、今回の法案に出ております九州大学産業労働研究所廃止の問題について伺いたいと思いますが、この産研の設立は、昭和二十四年五月三十一日に二講座で設立をされまして、研究内容、実績を見ますと、炭鉱問題をとらえまして、労働問題の調査研究センターとしての役割りも果たしております。いわば西日本で唯一の社会系の研究所としての役割りを果たしておると思います。特に石炭関係、水産関係におきましては、日本で有数の業績を上げ、資料も収集してきておると思うのです。  この廃止に至るまでの経過につきましてはもう申し上げる必要はありませんが、特に政府の石炭政策の変化等もあってこういう事態が起こってきたと思います。全く断腸の思いだとおっしゃっておる方もおいでるわけでございますが、この経過はともかくとしまして、この廃止をめぐる問題として私は問題提起をしたいと思いますが、一つは、全国の国立大学附置研究所が八十八カ所、そのうち人文社会系は十七カ所、しかも社会系の附置研究所は東京から神戸までの間にしか設置されておりません。今回九州大学の産研が廃止されますと、社会系の研究所は西日本には全くなくなるという事態が起こってまいります。  そこで、理工系と社会系のアンバランスの問題さらに地域的な偏在があるということを考えましたときに、せめて北海道大学や東北大学九州大学にはつくるべきではないかという意見もあると聞いております。また、教育研究内容、運営につきましても、今後の社会系研究所大学が独占使用するのではなく、地域の経済、文化、社会に見合った内容のものを追求すべきではなかろうか、そして地域の研究者なども自由に使える開かれたものにすべきであり、地域の研究センターとして共同利用を図るべきではなかろうかという御意見もあるようです。  そこでお伺いするわけですが、いま私が申し上げましたような実情ですから、将来学内の意思が社会系研究所をつくろうとまとまった場合には、文部省としましても積極的に対応する必要があると思いますが、この意思があるでしょうか。さらに、今回できますところの石炭研究資料センターの充実の問題でございますが、これを充実をするということが一つの要因になっておると思いますが、予算は現実にふえるのでしょうか。この二つについてお答えをいただきたいのです。
  236. 篠澤公平

    篠澤政府委員 社会科学系研究所の今後の問題でございます。今回九州大学産業労働研究所廃止ということにつきましては、九州大学自身が五十三年から三カ年にわたって、研究者はもとより関連する法経学部合わせまして慎重に審議した結果、さらに研究を推進するということを意識しながら、法経学部の整備をあわせまして、石炭資料センターをつくることによってなお研究進展できるということでございまして、予算の提出ということになったわけでございます。  また、社会科学関係研究の推進ということにつきましては私どもいささかもおろそかにする考えはございません。五十四年度におきましても、可能な限りは大学の御要望もお伺いしながら予算的な措置も考えてまいりたい、このように考えておるわけでございますし、今後の問題といたしまして、なお要すれば十分審議をいたしまして、検討を重ねまして、なお一層の社会科学領域の研究の推進を考えてまいりたい、このように考えておるわけでございます。  それから予算でございますが、予算はすでに御案内のとおりかと存じますが、石炭研究資料センターということになりますと規模が縮小いたします。そのことだけで比較いたしますれば、従前の研究所よりもセンターとしてはやや減るかもしれません。なお、センター資料の整備その他いういろな事業がございますので、これは具体的な事情をお聞きしながら予算措置を講じてまいるわけでございますので、ただいまの段階で比較して申し上げるのはいかがかというふうに考えておるわけでございます。
  237. 山原健二郎

    ○山原委員 次の問題は、わが国大学における学術研究の将来の問題でございますが、大学予算の問題ですね。地方大学を充実するということを文部大臣もずっとおっしゃっております。その点から見まして、これは私は前にも取り上げたわけですが、どうしても腹に入らないのです。たとえば教官当たり積算校費の伸びが今度は六%に抑えられております。科研費の補助金を伸ばしたといっても一四・五%の伸びにすぎない実情でございます。科研費の採択率は、五十一年の二七・一%から五十三年度の二五・一%とむしろ低下をしている。こういう状態です。その中で旧帝国大学への科研費が非常に集中しているのではないかということです。  例を挙げますと、地方大学と比べまして実態的に科研費補助の配分なども非常に納得がいきません。たとえば科研費補助のうち特定研究と一般研究(A)の配分状況を見ますと、五十三年度で特定研究の補助額三十七億八千六百五十万円のうち約六四・六%、二十四億四千五百二十五万円が旧帝国大学に集中をいたしております。それから一般研究(A)について見ましても、二十四億九千七万円のうち六九・七%の十七億三千六百八十万円が旧帝国大学に集中をいたしております。これを五十一年度はどうかといいますと、五十一年度は特定研究で六三・二%、一般研究(A)で五六・五%でございましたから、いま申し上げました数字の推移を見ましても、いかに集中の度合いが深まりつつあるかということを感ぜざるを得ないのであります。  さらに、その内容を見ましても、特定研究のうち、たとえば窒素有機資源の開発と有効利用に関する化学的研究は、旧帝大が九〇・九%、地球深部の物質科学の場合は八七・二%で、このような数字に見られますように、大規模研究に当たりましては、施設設備を必要とする研究はほとんど旧帝国大学に過度に集中しておるというのが実情ではないかと思います。これは反面、新しくできた大学、いわゆる地方大学が施設設備予算等におきまして依然として放置されたままになっている証拠ではないかと思います。たとえば巨大施設を必要としない分野、たとえば言語生活を充実発展させるための教育に関する研究などは、旧帝大が三〇・一%という実態を見ましても、施設設備の問題と非常に関係が生じています。  いま、少し長く時間をかけまして私は実態を申し上げましたが、この実態は少しは数字に間違いがあるかもしれませんけれども、大体こういうところではないかと思います。  こういうことで、地方大学を充実するといいましても、なかなかそうはいかないということですね。だから、この点については研究条件の抜本的な改善措置を講じなければ国立大学内の格差も解消できないという結果になるのじゃないかと思います。これは大変憂慮すべきことであろうと思います。  この問題を私が取り上げますのはこれで二回目でございますけれども、ぜひこの点は改善をすべきではないかと思いますが、お考えのほどを伺います。
  238. 篠澤公平

    篠澤政府委員 ただいま科研費についてのお話がございましたので、科研費について御答弁を申し上げたいと思います。  先生お示しになられました数字は若干私どもと違うわけでございますが、ただいま科研費の中で、特に特定研究と一般研究の(A)とを挙げられたわけでございますが、特定研究はすでに御案内のとおり、機関を越えての幅を持っているものでございますので、たまたまその研究の代表者が七帝大の者であったということがあるいはあるかもしれません。補助されました経費は数十人、場合によっては百人にも及ぶような研究者の合同したプロジェクトになっておる場合が間々あるわけでございますので、なお精細に検討いたしませんと、そこのところは問題点があろうかという感じが一つしております。  それから、一般研究の(A)の方につきましては、一機関あるいは個人という場合もあるわけでございますので、御指摘のような傾向と申しますか、数字については、私どもも数字の差はありましても、同じような傾向であることは存じております。  そこで、科学研究費の問題として考えますと、これは特に先端的なきわめて重要な研究を推進していくということで、委員の選任につきましてもいろいろ学術会議等の御意見を聞きながらやっているわけでございますし、そういう委員会において厳正に審査をいたしているわけでございますので、その傾向と申しますのは、たまたまそういう結果に相なったと申し上げると言葉は大変悪うございますけれども、私はそういう感じもいたしているわけでございます。  しかしながら、問題としての御指摘は私どもも意識しないではありません。地方大学あるいは特に若手の研究者であるとか、そういう面についてはなお今後とも検討していくべき問題であろう、このように考えているわけでございます。
  239. 山原健二郎

    ○山原委員 いろいろ理由があることはわかっています。でも、ここに皆さんがおいでになりますけれども、それぞれの大学を調べてみたのですが、私は高知大学ですが、ほかのところを見ますと東京大学の一%にも足らぬ。こういう数字が出てくるのですね。これでは幾ら考えたって余りにひどいというのはあたりまえだと思います。〇・何%ですからね。皆さんのところを全部挙げたら皆さん怒られると思うのですね。  そういう状態ですから、いま局長がおっしゃるようにいろいろ理由がありますから一概にはいきませんけれども、しかし、こんなことでは、せっかく新しい大学をつくって地方大学を充実するということを文部大臣がおっしゃっているわけですから、これはやはり多少改善をしていかないといかぬ。その配分につきましてもいろいろな条件がありまして、それは大変不正常に行われているなんということを言っているのではないのですけれども、やはり改善をしていかなければいかぬと思います。  そういう意味で、恐らく局長もそういうお気持ちはあると思いますが、大臣としても地方大学の充実の看板を掲げておられますので、一言これについて見解を伺っておきたいと思います。
  240. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 お話しのように、七帝大はやはりいままで長い伝統を持っておりまして、りっぱな先生方がいらっしゃるわけでございます。ですから、私は、この数字はこれは当然じゃないかと思うのですが、問題はこれからの問題で、各地方大学それぞれが特色のある大学であってほしいと私は思うのです。  その特色を生かすために文部省はどれだけでも援助して、そしてどこかの部門においては七帝大に負けないようなりっぱな研究業績をやってもらいたいと思って、そういう意味で文部省も積極的に援助してまいりたいと思います。
  241. 山原健二郎

    ○山原委員 卵が先か鶏が先かという問題になってきますけれども、それは負けない特色を持った努力をしてもらいたいということもわかりますけれども、しかし、これはやはり施設設備の問題とも関係してくるわけですから、そういう点で申し上げておりますので、その点の充実に対しても努力をしていくことが必要だろうと思いますが、その点はよろしいですか。
  242. 内藤誉三郎

    ○内藤国務大臣 もちろん、その特色を生かすために施設設備は大事です。そのために文部省もそういう方面の施設設備についても画期的に改善していきたいと思います。
  243. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に、この学部分離改組に伴った場合の事務体制の問題ですが、これも前に取り上げたわけですが、いわゆる二学部、一事務部体制ということでございますが、これを見てみますと、五十二年に分離改組をしました高知大学、富山大学、五十三年に行われました信州大学、山口、島根、五十四年の熊本、それから琉球大学、全部学部分離改組によりまして事務体制が一つという状態になっております。来年は金沢、新潟等の場合が考えられますが、金沢大学、新潟大学に至っては三学部、一事務部体制となる可能性があると言われております。  これは労働強化の問題やあるいは学部自治のたてまえから言いましても大変おかしい。行政組織の効率化の問題などもあると思いますが、私はここで時間の関係で実態を申し上げませんけれども、これはやはり改善すべきだということをもう一度主張したいと思います。特に三学部、一事務部などということはちょっと問題だと思うのですが、この点はいかがですか。
  244. 佐野文一郎

    佐野政府委員 国立大学の事務組織をどのように効率化していくか、その体制をどのように整えていくかということについてはかねての課題になっているわけでございます。  既設の大学においてもいろいろと工夫をしていただかなければならないわけでございますが、先般もお答え申し上げましたように、御指摘のように従来の一個の学部分離改組をするという学部改組等につきましては、教育研究に支障が生じないように配慮をすることはもとよりでございますけれども、それを前提としながら、共通的な事務処理が可能なものについては引き続いてその体制を推持する、そういう観点のもとに事務部の分離を行わない、ただし、事務長補佐というような必要なものの設置は行って整備はする、そういうことで事務部のあり方の改善の一つの方向として従来から進めているところでございます。  事務部の改善というものが逆効果になってはもちろんいけませんけれども現在までのところは、それぞれの大学にいろいろと御苦労をいただきながら事務体制の効率化ということについて前進をしているというように考えているわけでございます。  今後三学部になる場合にどうなるのかという点については、これはそれぞれの大学における改組構想それ自体がなお検討中のことでございますので、学部改組構想とともに私ども大学とさらに協議をしていく必要があると思います。
  245. 山原健二郎

    ○山原委員 幾つかの問題を取り上げましたが、  いろいろと見解の違いもあったりして一つ一つ不満足な面もあるわけでございますけれども、最初に言いました教育大学の問題については、これは  ここで私から申し上げましたような、また、砂田文部大臣あるいは諸澤初中局長、佐野大学局長がお答えになりましたような精神は必ず貫いていただきたいということを改めて要請をしまして、私  の質問を終わります。
  246. 坂本三十次

    坂本委員長 これにて本案に対する質疑は終了  いたしました。    —————————————
  247. 坂本三十次

    坂本委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  248. 坂本三十次

    坂本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  249. 坂本三十次

    坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  250. 坂本三十次

    坂本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十一分散会