○
中野(寛)
委員 その
意気込みがぜひ効果につながることを期待したいと思いますが、それが単にこういう人を集めてこういう
論議をしました、こういう結論を出しました、そして
文部省はこうしてください、警察はこうしてください、各
家庭ではこうしましょうといっても、それが実施されなければ何の効果も生まれないだろうと私は思うわけであります。そういう
意味で、むしろ今日までいろいろな方がいろいろな
論議をされたと私は思うのです。今回も、そういう諮問機関がないよりはあった方がいいと私は思いますが、そして期待したいと思いますが、それが単にその機関を設けられた、
懇話会を設けられた、そして政府はやったんですよといったPR的なことで終わってしまうことのないように心からお
願いを申し上げたいと思います。本当に深刻な問題だと思うからであります。
総理府への
お尋ねは、せっかくお越しいただいたのですが以上で結構でございます。ありがとうございました。
そこで、あわせて
文部省にお聞きしたいのですが、いま、
大臣の御
答弁の中で、
家庭教育の重要性というものを大変強調されましたが、私は、まさに、特にお母さんの
役割りは大変大きいと思うのです。私はきょうたまたま国会へ出てくる前にNHKのテレビを見ておりましたら、母と子の問題についていろいろな方々がお話をしておられました。たとえば上野動物園の管理係のおじさんがこう言っていました。一日に約百五十人から百七十人ぐらいの迷子が出る、そして、その迷子の
子供たちにほとんど名札がつけられていない、名札をつけるぐらいのお母さんでしたら恐らく
子供を見失うことはないでしょうけれ
ども、しかし、現実はそういう姿だ、そしてマイクで呼び出して、お母さんがその迷子預かり所に来て、その五割以上のお母さんが
子供に向かって、「あなた、何してたの」とまず最初にどなりつける、「お母さんが注意していなくてごめんね」と
子供に謝るお母さんは一割いないと、こういうおじさんのお答えでした。そして、また、ある国鉄のおじさんが、駅でごみを捨てるときに、「駅員さんに見つかったら怒られますよ」と、
子供たちにそういう注意をするお母さんが非常に多いという指摘をしておられました。
家庭の
教育は本当に大切だと思うのであります。
去年の話の蒸し返しで恐縮ですが、そういうお母さん方というのは実は私と同世代です。ですから、そのことを言われますと、何か
自分に向かって言われるような気が私
自身もいたします。実は、私は昭和二十二年に小
学校へ入学したわけですが、われわれの世代というのは、戦後の混乱期の中で、
内藤先生は御健闘中であったかもしれませんけれ
ども、そういうしつけの問題だとか、そしてまた新しい
日本国民としてのあり方だとか、そういう問題については実は
学校でも
家庭でも本当にまとまったものを教えていただいたという
感じがしないわけであります。そういう世代がいま親になり、
教師になっている。そこに大変迷いがあることも否めない事実だと私は思います。ですから、結局、
学校の現場の
先生方に対する再
教育、そしてお父さん、お母さんに対する
教育というものは本当に大事だと思うのです。
さて、それではそういうものをどう具体化していくかということなんですが、たとえば
家庭教育について、両親
教育の
機会というものが何らかの形で確保されないだろうか。たとえば聞きますと、西洋諸国の中で、お母さんが妊娠すると母子手帳的なものをもらいに行くが、そのときには、
教育有給休暇のまず出発点として有給休暇がとれて、そして交通費、地下鉄で行く人は地下鉄の切符代、車で行く人はガソリン代が支払われて、両親、つまり、新しく母親になる人と父親になる人がそろって出かけていって、そこで親になる心構えやまた生理的な問題やいろいろな問題が教えられる、また、お互いにそういう人同士で、アドバイザーのもとでいろいろな
経験交流や議論がなされて、これからいよいよ親になるんだということの
認識が高められていくという、こういう制度がだんだんつくられてきているということを聞きました。
そういうことだとか、またはたとえば働いているお母さんでも、
子供さんが満一歳に達するまでは育児休暇をやる、それも有給もしくは国からの何らかの手当があって、生活的な面で苦労しないような
方法をもって
——その休暇か持てない、少なくとも満一歳にならないのに保育所かどこかに
子供を預けるというような、そういう悲劇はやはりなくさなくてはいけない。満一歳になるまでの育児権というものはむしろ保障されるというくらいの前向きの
姿勢というものが必要ではないのだろうか。または、たとえば
高等学校くらいのときに、女生徒だけに
家庭科の時間に育児の問題やその他のことを教えるのではなくて、むしろ
家庭科という名前ではなくて、生活科みたいな形で、いわゆる
家庭を持つ場合の心構えというものを男女両生徒に教えていくという時間もあったっていいのではないだろうか。
まだいろいろと御提案を申し上げますと切りがありませんけれ
ども、そういうことを
一つ一つ具体化させていく必要があるのではないだろうかと私は思うのでありますけれ
ども、こういう提案に対してはいかがお考えでございましょうか。