○前田説明員 御説明申し上げます。
ちょっと御質問の順序と違って恐縮でございますが、まずIBMの方から申し上げさせていただきますと、IBMが現在の主力機種になっておりますいわゆる第三・五世代というものから次期システムというものに——大体一つの機械の寿命が六、七年で新しいサイクルに入るというのは従来の経験から見て明らかであったわけでございまして、そのIBMが次の第四世代に入るような機械を持って
市場に進出してくるというのは、実は昨年
あたりからもうあちらこちらで言われておりまして、私
どももそのように見ておったわけでございます。果たせるかな本年新しい、俗に言うEシリーズ、四三〇〇シリーズと申しますけれ
ども、そういうのが出てまいりまして、そうしてコンピューターというのは能力と値段とを比較いたします能力・
価格比といいますか、コスト・パフォーマンスといいますか、それでコンピューターの脳みその部分だけ比べますと、実に七、八倍、値段にしますと七、八分の一と逆になるのかもしれません。コンピューターというのは脳みそだけでなしにその周辺の手足とかそういうのがございますから、システムで見ましても非常に大幅な値下げになったわけでございます。これはいわゆる
価格表にある
価格からの値引きという
意味じゃございませんで、
価格表自体を安くするという
意味の値下げでございます。そういうことになったわけでござまして、これはある
意味では国産各メーカーというのは大変なピンチでございまして、そういうことでこれに対応しましていろいろと値下げ競争、場合によっては値引き競争というのをやっておるというのは事実でございます。これに対応する施策というのも一応今度の国会でとっていただいたわけでございますけれ
ども、
企業としては大変な
努力をしておるわけでございます。
次に、新聞記事の点でございますけれ
ども、非常によく書けておる新聞記事でございますが、私
ども最近特にとりたててそこに書いてあるような自粛要請というのを
企業に対してしたことはございません。これはもちろん先生先ほど引用なさった、特に研究開発に補助金を出しておるということもございますし、そういう研究開発投資に非常に大きな金を投入しなければならぬという電子計算機産業が過当競争をやりまして、研究開発もできなくなるようなほど体質が弱まってしまうというのは非常に困るわけでございます。だからそういう
意味で折に触れて、
企業の幹部に対しては過当競争の弊害というのは一般的に注意を喚起しておるわけでございまして、これは
企業の方も十分
承知をしておるわけでございます。しかしながら、いま申し上げましたような外資の競争、それから、それに競争するために国産相互の競争という点もございますので、なかなか過当競争というのはとまらないわけでございますけれ
ども、特に最近そのような自粛要請を行ったわけではございません。
それから、ただいまの八割引きという
お話がございましたので、その一点御説明させていただきますが、これにつきましては、私
ども非常に重大なことと考えまして、これはずっと前のことでございます、ことしの初めほどでございますけれ
ども、
企業から事情を聞いたわけでございます。ただ、これまたコンピューターの特性でございまして、あれなんでございますが、一つは、そこにございますそれは北海道大学のケースでございますが、そういう特に旧帝大、そういうところに大きなコンピューターセンターがございまして、そこに納入をいたしますと、一般
企業に売る際にPR効果といいますか、あそこでも使っていただいておりますので、この機械なら大丈夫です、こういうことに使えるということで、非常にある
意味では広告のかわりというようなことでやる。
それからもう一つは、ブランドファンといいますけれ
ども、大学でその機械を使って勉強してきた学生というのは、非常に
長期的にその機械に対して親近感を持つというわけでございまして、そういう点が二点。
それから三番目に、コンピューターで非常に最近金を食うようになりましたソフトウエアのサービス、セールズエンジニアのサービスというのが、大学の研究用に使われますと、要らないわけでございます。むしろ逆に、大学の方が使った結果いろいろアドバイスを出してくれる、そういうようなことで、技術向上にも役立つ。それからまた、非常に長く使ってくれる結果、採算もそれほど悪くないというような点、
企業側としてはそういう点を申し立てておったわけでございます。
この中にはなるほどと思われる点もございます。ただ、これが定性的にはわかりますけれ
ども、これで八割まけても大丈夫かというような点は、実は私
どももそれほど確たる判断はつきがたいわけでございますけれ
ども、ただ、直ちにやめろと強引な行政指導ができるような
状態でもないということで、そういう結果になったわけでございます。