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1979-07-11 第87回国会 衆議院 農林水産委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年七月十一日(水曜日)     午前十時十九分開議  出席委員    委員長 佐藤  隆君    理事 今井  勇君 理事 羽田  孜君    理事 堀之内久男君 理事 山崎平八郎君    理事 島田 琢郎君 理事 馬場  昇君    理事 古川 雅司君 理事 稲富 稜人君       江藤 隆美君    玉沢徳一郎君       津島 雄二君    中村喜四郎君       平泉  渉君    福島 譲二君       角屋堅次郎君    柴田 健治君       竹内  猛君    野坂 浩賢君       芳賀  貢君    日野 市朗君       松沢 俊昭君    武田 一夫君       野村 光雄君    吉浦 忠治君       神田  厚君    津川 武一君       菊池福治郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  渡辺美智雄君  委員外出席者         農林水産政務次         官       片岡 清一君         農林水産大臣官         房長      松本 作衛君         農林水産大臣官         房技術審議官  松山 良三君         農林水産省経済         局統計情報部長 柳井 昭司君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         農林水産技術会         議事務局研究総         務官      北野 茂夫君         食糧庁長官   澤邊  守君         水産庁長官   森  整治君         参  考  人         (全国農業協同         組合中央会常務         理事)     国井 守正君         参  考  人         (全国農業協同         組合連合会常務         理事)     榊  春夫君         参  考  人         (全日本農民組         合連合会書記         長)      谷本たかし君         参  考  人         (北海道農民連         盟委員長)   岡本栄太郎君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ————————————— 委員の異動 六月二十八日  辞任         補欠選任   松野 頼三君     森   清君     ————————————— 六月十四日  一、農林水産業振興に関する件  二、農林水産物に関する件  三、農林水産業団体に関する件  四、農林水産金融に関する件  五、農林漁業災害補償制度に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(米価問題)      ————◇—————
  2. 佐藤隆

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  本日は、米価問題について参考人から意見を聴取することといたします。  本日御出席参考人は、全国農業協同組合中央会常務理事国井守正君、全国農業協同組合連合会常務理事榊春夫君、全日本農民組合連合会書記長谷本たかし君、北海道農民連盟委員長岡本栄太郎君、以上四名の方々であります。  この際、参考人各位に申し上げます。  参考人各位には、御多忙中にもかかわらず、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。米価問題につきまして、参考人各位のそれぞれのお立場から、忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。  なお、議事の都合上、まず、御意見をお一人十分程度国井参考人榊参考人谷本参考人岡本参考人順序でお述べいただき、その後、委員から質疑がございますので、これにお答えをいただくことといたしたく存じます。  また、参考人委員に対して質疑をできないこととなっております。  それでは、国井参考人にお願いいたします。
  3. 国井守正

    国井参考人 全国農協中央会国井でございます。  委員長初め先生方には、常にわが国農政確立のために真剣な審議をいただいておりまして、心からお礼申し上げます。  また、本日は、生産者米価決定を前にしまして、意見開陳の機会を与えられましたことを重ねてお礼申し上げます。  本委員会審議案件につきまして、系統農協意見を申し上げ、参考にしていただきたいと存じております。  順序といたしまして、農協の本年の米穀対策運動基本方針をまず申し上げまして、次いで米価問題に移りたいと思います。  われわれ系統農協は、長期的な視点に立ちまして、食管制度の存在が稲作農家並びに国民生活の安定を図る重要な役割りを果たしているというように判断しております。そのため、食管の根幹を堅持するには米の需給均衡を図ることが最重要と心得ておりまして、行政の責任ある実行を前提水田利用再編対策に対処してまいっているのであります。  水田利用再編対策と一口に申しましても、これは日本農業そのものの再構築と個々の農家経営、集落の営農形態変革を短期間のうちに意図的にやろうとするのでありますから、リスクや摩擦が伴うのは必然であります。農業とは、言うまでもありませんけれども、本来、自然条件社会条件を無視して発展できないものでありますから、長い年月の試行錯誤の中から安定的発展方向が見出されるものであるというように思っております。わが国水田農業がそのような形で今日のように発展してきたというように思っております。  そのように、わが国気候風土に最も合った水田農業政策的に再編成しようとするのでありますから、これは日本農業全体について、また国民食糧供給計画全体について、長期的に基本政策国政の重要な柱として、国政中心として確立することなしに進めるのは、生産者にとり大きな不安であります。一農業だけの問題ではないというように存じております。  したがいまして、系統農協が今日の運動基本方針の第一に農業基本政策確立要求しているのはこのためでございます。それによりまして、主要な農畜産物について国内産の優先供給を原則とした長期的、年次別需給計画の明示や転作作物生産流通対策、田畑輪換できる水田基盤整備、そして、これからが大事でありますけれども、それらを総合した、地域的に農業をいかに振興させるかなど、作目別地域別生産目標地域地域営農形態確立とが連結する政策をまず求めているのであります。  第二は、食管制度堅持についてであります。生産者みずからその重要性について意識を統一し、その堅持のために必要な対策を推進してまいるということであります。そのためには、まず米の需給均衡を図るということが長期的に食管制度を守り稲作農業安定発展につながるものとしまして、系統農協がみずから米の需給均衡に取り組む基本姿勢確立しまして、主体的、組織的に対応するというふうにしたのであります。これが目下各地域共同活動強化運動の一環としまして、自主、自立、互助の精神で地域的、集落的な営農確立のため推進している地域農業振興計画づくりであり、その計画づくりの中で水田転作をどう定着させるかに取り組んでいるのであります。これが第三の要点であります。  このほか米穀対策としまして、基本的に重要としまして、消費拡大流通改善対策拡充強化を取り上げております。  以上が、系統農協が掲げている本年度米穀対策基本でありますが、特に第一に申し上げました自給度の向上、輸入抑制というわれわれの要求と、国際経済の中に置かれたわが国経済事情、さらに自由貿易とか開放経済というような国際世論の中で今後この問題にどう対処するか、わが国だけが一方的にきれいごとだけで済まされないものがあると思っております。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席〕  しかし、そうは言いましても、わが国自身国民食糧安全保障観点から考えますならば、穀物自給率先進工業国中最下位と言われるような四〇%という現状は大問題でありますし、一方に、農業に意欲を燃やす後継者が五十年以降は一万人を切ったりというように激変している。かつての三万人、四万人というような状況と激変しているというような実情を見ますと、わが国農政基本に大きな問題があったのではないかというように思わざるを得ないのであります。われわれはこの点を特に心配しておるのでありまして、目下、われわれ自身といたしましても、八〇年代の日本農業課題農協対策というものを樹立するために検討を始めておりますのも、このような危機意識からであります。  次に、生産者米価について、系統農協要求の骨子につきまして申し上げたいと思います。  系統農協要求米価農業会議所統一要求でありまして、原資料共同調査した資料に基づいておるわけであります。農協要求は昨年と同様に平均生産費に基づく数値を使用しております。系統農協としましては、本来、限界地生産費によるべき生産者米価ということで主張してまいっておりますが、本年も昨年に引き続いて平均生産費基礎として算定しておりますのは、政府算定方式改善を強く要求するためであります。われわれのこの要求に基づきまして、政府は五十四年産米政府買い入れ基本価格、われわれの生産費調査に基づきまして、生産費及び所得補償方式で算定した価格を踏まえて決定するように要請しているのであります。その基本価格は、一俵六十キロ当たり一万九千三百八十二円であります。  これにつきまして、特に改善要求としましては、まず第一に、必要量生産費方式政府は改めまして、われわれと同様に平均生産費基礎とした計算にすること。二番目に、家族労働評価製造業五人以上の規模全国平均によること。三番目に、企画管理労働賃金を付与すること。四番目に、自作地地代評価は実納小作料によることというように要求をしております。それぞれの内容について簡単に御説明申し上げたいと思います。  まず、第一点の必要量生産費方式改善の問題でありますけれども、政府は昨年の米価決定におきまして、米の需給事情に即応するためと称して五十二年産までの算定方法を改悪しまして、必要量に見合う販売数量までの米販売農家生産費、いわゆる必要量生産費により米価を算定しております。その結果、算定される米価が前年産を下回ることになりましたので、昨年は七百十一円の補整額を別途加算しまして、基準価格で五十二年産と同額一万七千十九円としております。  しかし、必要量生産費方式をとるならば、価格算定基礎となる生産費は、必要量生産費平均生産費ではなくその限界生産費によるべきであるというのがわれわれの主張であります。また、米が過剰だと言っても、これまでの転作達成率はほとんど一〇〇%以上でありまして、現在の米過剰の原因は政府需給計画の誤りであるというようにわれわれとしては考えております。したがって、米過剰の責任をすべて稲作農家に転嫁するがごとき米価算定方法の改悪はすべきではないというように存じておるわけであります。  なお、二番以下につきましては簡単に申し上げますけれども、われわれの方は製造業五人以上の企業規模賃金、これと政府との比較をいたしますと、われわれの数値よりも政府計算では六ないし八%程度低く出てまいります。そこに米価価格の差、それから企画管理労働というものはわれわれの計算では二・九時間五十三年産農協要求ではあったわけでありますが、これについて全然評価していないというものの価格差が出てまいります。  それから、地代計算につきましては、われわれの方は実態に基づいておりますけれども、政府統制小作料でやっておりますので、ここで実態との大幅な格差が出てまいっております。  さらに、われわれの改善要求のほかに当面考慮していただかなければならないのは、政府施策に沿いまして大幅な水田転作、昨年が一一二%の達成率、本年の推定としましては一一八%の達成率というような、そういう大幅な転作をやっている中で、大農機具等固定費部分稼働率の低下による生産費増高というものがあります。それについての配慮が昨年からことしにかけて重要である。  それからもう一つ、本年の大きな変革として政府から出されております方針は、品質格差導入であります。  先週行われました事前の米審におきましては、政府買い入れ価格に対する産地品種銘柄による格差導入を本年産米から実施するという方針を明らかにしておりますが、米の需給均衡が今日最大課題であるというときに、米の生産流通に急激な影響を及ぼす品質格差導入は行うべきではないというようにわれわれは存じておるわけでございます。  さらに、このようにわれわれが需給均衡対策に取り組んでいるという中で必要な政府施策としましては、転作条件整備等、米に関連する政策確立でありまして、転作条件整備、特に転作作物流通販売政策的に保証すべきであるというのが第一点であります。  それから、需給均衡の中で需要維持発展維持伸長ということを考えないと、とめどなく縮小した需給均衡というようなことになりますので、米の消費拡大に対しまして、政府全体、関係省庁一体となった体制確立しまして、強力な国民運動を展開すべきであるというように存じておる次第であります。  以上が系統農協の今回の米穀関係重点要請内容でありますが、今日の世界的な穀物需給逼迫あるいはまた大幅な値上がりの情勢の中で、長期的にわが国のこの食糧自給目標ということについてまず明らかにいたしまして、今後の農業長期展望確立するということを最大課題としまして、政府施策として確立されるようにお願いいたしまして、参考意見を終わりたいと思います。(拍手)     〔山崎(平)委員長代理退席委員長着席
  4. 佐藤隆

    佐藤委員長 どうもありがとうございました。  次に、榊参考人にお願いいたします。
  5. 榊春夫

    榊参考人 ただいま御紹介をいただきました全農の榊でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  われわれ農協系統米価に対するあるいは農業問題全般に対する問題につきましては、ただいま国井参考人から申し述べておりますので、私は、主として品質格差導入政府買い入れ価格について品質格差導入するという問題につきまして御意見を申し上げたいと思います。  まず、生産事情から申しまして、米作農家はいずれの農家良質の米を多量に増産することを念願いたしておるわけでございまして、品質のいい米をつくりますためには、まず品種の選定あるいは肥培管理乾燥調製という点をうまくやればいいわけでございます。しかし、そうは申しましても、営農体系の問題なりあるいは経営上の問題なりがございまして、必ずしもうまくいかないという一面があるわけでございますが、何よりも問題と思いますのは、いかに良質の米をつくろうと思っても、土質なり水質あるいは気象条件というような人間の努力では克服できない自然的な制約があるわけでございまして、こういった実情にある米の生産事情からしまして、これに品質格差導入するということになりますと、額のいかんによっては生産者にとってはなはだ不平等、不公平を来すことが懸念されるわけでございます。  次に、流通事情から申し上げますと、農家がつくりました米は直ちに政府が買い入れるわけでございますから、これの保管管理なり輸送は政府責任になるわけでございます。また、これを精米したり混米したりという、いわゆる商品管理の点につきましては、卸、小売という配給業者が一手に引き受けてやっておるわけでございますから、消費者に対していかなる米を提供するかということについて農家責任を持ち得ない立場にあるわけでございます。しかも、農家の方から見ておりますと、配給業者というものは、うまい米を要求するよりも、どちらかというとうまみのある米の方を要求するという一面がございまして、これに対する生産者不信感はきわめて大きいわけでございます。そういった流通事情をそのままにしておいて政府買い入れ価格格差をつけるということになりますと、農家としては納得がいかないことになるのではなかろうかと考えます。少なくとも生産者の組織である農協なりその連合会というものが卸、小売の資格を持って、消費者に対して責任を持って直接供給できるような体制前提にされないとまずいのではないか。あるいは、いまは余り行われておりませんが、産地で精米をして、小袋詰めという完成された商品形態調製をしてこれを消費者に流していく、こういうふうな道を開いた上でないと、生産者としては納得がいかないのではないかと考えておる次第でございます。  次に、米をめぐります情勢からいたしますと、需給均衡化を図ることが現在きわめて重要な課題になっているところでございまして、政府といたしましても、水田利用再編対策によって需給均衡化対策を進めておられるわけでございますが、この米の需給均衡をどうやって図るかということについて考えてみますのに、現在行われております主食用中心にしたいわゆる消費拡大ということはもとより必要なことでございますが、主食用以外につきましても広く加工原料用需要を取り入れるなどいたしまして、需要拡大前提にした需給均衡化対策を図らなければ、いまの転作を主体にした手法では政策の行き詰まりを来すのではないかというふうに懸念されるような情勢でございます。このような認識に立った場合に、主食用のみを対象にして品質格差導入するということはいささか視野が狭いのではなかろうかというふうな感じがいたすわけでございます。  また、一面から申しますと、品質格差というような、つまり言うならば食味というようなきわめてあいまいな基準品質格差導入するということよりは、物理的に根拠が明らかな等級間格差というふうなものを考えた方が生産者としては納得しやすいのじゃないか、こういう意見がございます。私もこれは重要な観点ではないかというふうに思うわけでございますが、ただいま申し上げましたような、主食用ばかりでなく加工用需要を広く取り入れるというふうな観点に立ちまして、検査規格規格内容なり等級内容というものを再検討をいたしまして、それにふさわしい格差を設定をするということなども考えられるわけでございまして、こういった需給事情にいろいろと問題があります際でございますから、これらにどう対応していくか、その前提条件というものを広く整備をして、その上で等級間格差導入するというふうなことを再検討してみる必要があるのではないかというふうに考えております。  次に、格差導入するとしました場合のいろいろな考えられます問題を一、二申し上げてみたいと思うわけでございますが、まず第一点は、やはり市場評価基準にするわけでございますから、一定の量のまとまりがなければ市場評価が確保できないということは、これは当然のことであろうと思うわけでございますが、そのことは、既存の銘柄にとってはきわめて好都合でございますけれども、新しくいい品質のものを開発しようあるいは普及しようということになりますと非常な不利益をこうむるわけでございますから、新しく品種として登録される場合には、これは相当な優遇措置を講じて普及対策を講じないといけないのではないかということが考えられるわけでございます。  また、品質格差というものの自由取引における実情を考えてみますと、こういう格差というものは、時期によってあるいは品質ランク別需給関係によって激しく変動するのが実態でございます。俗に申しますように、相場は生き物であるというふうに言われるわけでございまして、格差についてもきわめて流動的なものであるというふうに考えなければならないと思うわけでございます。これを硬直的な統制価格の中へ取り入れるということはそもそも困難なことであろうと思うわけでございまして、仮にこれをやるとしましても、ごく軽微な程度格差をつけるということにならざるを得ないわけであります。したがいまして、品質格差を設定してみましても、流通実態に即するということを期待するのは無理でありますのはもちろん、場合によると、なまじっかな格差導入したために弊害を伴うということも懸念されるわけでございます。この辺はきわめて慎重を要するのではないかというふうに思っております。  それから次の問題点といたしましては、良質米につきましては自主流通制度というのがございまして、それなりに一応の市場評価というものが測定されるといいますか、推定されるわけでございますけれども、広く自主流通米として流通していない低品質の米につきましては、その評価基準というのが見つからないわけでございまして、そういった米の生産者にとりましてはきわめて納得のしにくいものになるということは免れないわけでございまして、合理的な理解のいかないものにつきましてはつい感情的な反発を刺激する、こういうことになりかねないのではないかというふうに考えるわけでございます。  最後に、一番問題であると思いますのは、格差導入の結果、米価が一部引き下げられる、こういう問題が最も問題であろうと思うわけでございます。政府の方では、買い入れ価格品質格差導入するけれども、激変緩和のための必要な措置は考慮するという態度を示しておられるように伺っているわけでございます。しかし、そういった米の生産者にとりましては、買い入れ価格を引き下げるということは決して金目の問題ではございませんで、その事柄の性質上、生産者にとってはきわめて重大な買い入れ方針転換であり、まさにそのこと自体が激変そのものであるというふうに私どもは理解するわけでございます。  つまり、需給の不均衡を解消しなければならぬ、そのために生産調整を強化していかなければならない、こういうことが一般に理解されておる情勢の中で、この米は品質上まことに好ましからぬ米であるという烙印を押されるということは、その生産者にとっては、将来この格差というものがどこまで拡大されていくかはかり知れない、こういう不安に陥るのは当然であります。また、生産調整重点がここに向けられてくるのではないかというふうに覚悟してかからなければならない事態だというふうに受け取るのも、至極当然であろうかと思うわけでございます。  ところが、政府生産調整方向というものはどういう方向に指向していくかということが必ずしも明確には示されていないのが実情でございまして、だれが考えても、品質の問題ばかりでなく、ほかにも重点指向しなければならないような着眼点があれこれと考えられるわけでございますが、そういった中において、品質のよくない米というものだけが特別にねらい撃ちをされることにつきましては、その生産者にとってははなはだ理解しにくいことだろうと思うわけでございます。少なくともそういった重点指向をするならば、作付転換を図っていく上での特別の配慮というようなものがあらかじめ用意されていてしかるべきではないかというふうに思うわけでございまして、そういった重点指向方向なりそれの救済措置なり、そういったことが明確にされないままで一部の米について品質生産抑制的な米価を決める、こういうことについてその生産者が不満を持つのは至極当然であろうかというふうに考えられるわけでございます。  そういった観点から、価格引き下げを伴う格差導入ということについては賛意を表しかねる次第でございます。  以上、買い入れ価格品質格差導入することにつきまして申し述べたわけでございますが、生産面につきましても流通面におきましても、また、予測される運用上の実態からいたしましても、いろいろと問題があるわけでございますので、さらに広範に慎重な検討をいただきまして、諸般の条件整備をした上でさらに御検討をいただくことが必要ではないかというふうに考えるわけでございまして、現状においては格差導入に賛意を表するわけにはまいらないというのが私の見解でございます。  長時間ありがとうございました。(拍手)
  6. 佐藤隆

    佐藤委員長 どうもありがとうございました。  次に、谷本参考人にお願いいたします。
  7. 谷本たかし

    谷本参考人 全日農の書記長をしております谷本であります。時間が限られておりますので、米価問題と食管問題と農政の基本にかかわる部分について、若干の考え方を申し述べさしていただきたいと存じます。  初めに米価問題であります。  私ども全日農は、ことしの生産者米価について、六十キロ正味二万五千八百円を要求米価とすることにいたしました。この要求米価は八〇%バルクラインによる生産費所得補償方式ではじかれたものであります。政府決定米価と最も違う点はどこなのかと言うならば、労働賃金のとり方が一番大きいと言ってよかろうと思います。私どもは、稲作労働に社会的に一人前の労賃をという立場運動を進めているところであります。稲作労働について製造業百人規模以上の賃金をとりました。一時間当たり一千五百七十六円であります。これを一日に換算いたしますと八時間で一万二千六百円ということになってまいります。ことしの大工、左官の手間賃要求は一万三千五百円であります。したがいまして、そうしたものと比較をいたしましても、私どもの要求米価は決して高いものではないというぐあいに申し上げてよかろうと存じます。  さて、それでは政府が決定しようとする米価はどうなのか。この点については、すでに農林大臣も、ことしの米価は据え置きにする旨表明されております。しかしながら、この据え置き米価は、私どもから見ますならば引き下げだと言わなければなりません。  引き下げだという意味は二つございます。一つの意味は、従来枠外加算されておりました銘柄米奨励金が外されるということであります。この点が実質引き下げの一点であります。  それから二点の問題といたしましては、政府がはじく米価は平均水準の米価であって、品質別の価格決定ではその平均よりも上がるものもあるし下げられるものもあるということになってまいります。上がるものはどういうものなのか。銘柄米であります。主として政府の手を通さない自主流通米として流れるものが上げられていく。そして一方、政府に対して売り渡されるものが引き下げられるということでありますから、したがって、これは実質引き下げということになりはしないかという点があるわけであります。  こうして見るならば、ことしの米価は、据え置きとは言いながら、それは名目のことでありまして、実質は引き下げだと言わなければならぬでありましよう。  問題はそれだけではありません。米価政策が変質してきているということを私どもは強調せざるを得ないと思います。それはどうしてなのか。御承知のように、今日の生産者米価生産費及び所得補償方式によって決定されているが、昨年の米価について見るならば、戸数別の生産費のカバー率は五三%であります。このことは何を意味するか。生産費所得補償方式生産費方式に実質的に変質したということを意味するのであります。この点がことしの政府米価決定に当たっては一層徹底されていくのではないかということについて、私どもは憂慮をいたします。  またさらに、品質別の価格決定は、これはとりもなおさず需給均衡価格への接近を意味することになってまいります。してみるならば、米価政策は大きく変えられようとしている、こういうふうに私どもは見なければならぬと考えます。  したがいまして、こうした米価政策のあり方については、私どもは強く反対せざるを得ないということを申し述べなければなりません。  次に、食管制度の問題であります。食管制度は、すでに買い入れ制限の強化などによりまして部分管理化いたしました。そうした中で農林大臣は、過般、品質格差導入問題とともに、消費者米価の値上げを示唆する発言を行いました。こうした農林大臣の発言は一体何をもたらすか。言うまでもありません、これは食管制度の一層の破壊をすることになってくるのではないかと思います。  その点の第一点として挙げなければならないのは、やみ米の発生に拍車がかけられるということであります。御承知のように、末端段階で見てみますと、生産者米価は一俵当たり一万七千二百五十一円であります。これに対して末端段階の消費者米価は、一俵六十キロ当たり一万七千四百八円であります。ことしの二月の消費者米価の値上げによって、逆ざや状態が百五十七円の順ざやに変わりました。この状態は、やみ流通が促進されやすい状態が生まれたことを意味します。これに対して、ことしの生産者米価の決定は実質引き下げでいく、そして消費者米価は値上げをするということになりますと、まさに逆ざや解消ということになってくるのでありまして、やみ米が一層発生しやすい状態になってくるということを意味するわけであります。  さらに、第二点の問題として挙げておきたいと思いますのは、品質格差導入食管なし崩しの布石であると言わなければならぬということであります。生産者米価の中へ品質格差が一たん導入されたらどういうことになるのか。品質格差は理屈ではありません。これをどう決めるかの物差しは実はないのであります。物差しは、自由流通の中で実現される品質格差ということなのであります。いまの米の流通体系は、政府米と自主流通米の二本立てになっております。こうした状態の中で品質別の価格決定が行われるということになってまいりますと、その物差しづくりの問題が問題になってくるでありましょう。勢い、その結果がどういうことになってくるのか。自主流通米の中に非銘柄米も含めたらどうかという東畑提案が過般なされておりましたが、そうした考え方のものに食管が移行されていく可能性がありはしないか。私どもはこの点に大変強い危惧を感じます。東畑提案のような形になりましたならば、食管制度それ自体、名実ともに間接統制という形になっていくわけであります。  こうして見るならば、今日、政府が行おうとしておる米価食管政策は、間接統制に移すための米価食管政策であるというふうに私どもは感ぜざるを得ないのであります。御存じのように、米価保障と食管制度は、日本農業の全面崩壊を食いとめる歯どめとしての役割りを果たし、さらには食糧の安全保障、その上で大きな役割りを果たしてきたわけであります。そうしたものを崩していくということは、国民的な利益にもかなっていないのではないかということを述べざるを得ないところであります。  最後に、第三点といたしまして、農政の基本問題について若干の意見を述べさせていただきたいと存じます。  今日の農家が置かれております状態は、何をつくってもだめ、そして一層農業が引き合わなくなった、こういうふうな状態があらわになってまいりました。生産過剰とされたものは米でありましたが、今日ではすでに多くの作物が生産過剰の状態になってまいりました。そうして、そうしたもとで、減反は米以外にも拡大されまして、葉たばこにいたしましても、あるいはミカンにいたしましても、牛乳にいたしましても、あるいは一部野菜等にいたしましても、生産調整、減反が行われるという状態になっております。  そうして、そうしたもとで、農業所得は、一日当たりで見ますと、以前は製造業賃金の六割を超えていたのでありますが、最近は五割五分を切る状態になってまいりました。  なぜこのような状態が生じてきたのか、この点については、農業生産が若干伸びたせいだと言う向きもございます。しかしながら、その一方では農産物の輸入がふやされておるのであります。これまで政府は足りないものを輸入すると言ってまいりました。足りないものを輸入するという論理からするならば、国内の生産が伸びたのならそれに見合って輸入は減らされなければならぬでありましょう。減らされるどころか輸入がふやされているというところに、今日、農業の混乱を招く大きな問題の所在があるのではないかと思います。  したがいまして、いま緊急を要することは、一つには輸入削減を行うということ、また二つ目には農畜産物価格保障を行うということ、そうして、そうしたもとで生産調整をやらなくとも済むような状態をつくるというようなことが差し迫った農政上の課題になってきているのではないかと存じます。  食糧危機が叫ばれましたのはいまから五、六年前でございました。そうして、最近その再来を思わせるような国際穀物価格の高騰が続いているところであります。日本の国の独立を守り、そして経済的にも自立していく上でも食糧の自給率の大幅引き上げは不可欠の問題であります。したがいまして、農政上の当面する問題といたしまして、私どもは以上の点を強調させていただきたいということを申し上げて、私の意見を終わりたいと存じます。  ありがとうございました。(拍手)
  8. 佐藤隆

    佐藤委員長 どうもありがとうございました。  次に、岡本参考人にお願いいたします。
  9. 岡本栄太郎

    岡本参考人 私は、北海道富良野市で七ヘクタールの水田経営に従事しながら、北海道十二万戸農家の中で八万戸が加盟している北海道農民連盟の委員長をしております岡本でございます。  このたび、本委員会米価問題集中審議を行うに当たりまして、直接生産農民の意見の公述の機会を与えていただきましたことを厚くお礼申し上げます。  私は、今回意見の公述を求められた全国農民総連盟の中央委員でもありますので、全国農民総連盟を代表して、以下三点にわたりまして意見を申し上げ、委員諸賢の御高配を煩わしたいと思います。  第一点は、五十四年度生産者米価決定についていま大きな焦点となっております品質格差導入問題であります。品質格差導入については、全国農民総連盟は、北海道から九州鹿児島県に至るまで加盟各県組織の総意で反対を決議し、政府を初め各政党に対し導入反対の要請をこれまで繰り返し行ってまいりました。  私は、北海道の水田専業農家の一人として、このような問題が論議の焦点であるかのような事態に対し強い憤りを抱くものであります。  米価問題の本質、そして日本農業政策の現在ぶつかっている矛盾点を、枝葉末節に近い品質格差導入問題にすりかえて、農民や消費者の目をそらそうとすることは断じて許せないことであると思うのであります。  委員各位には御存じのとおり、農基法農政が開始された昭和三十六年ごろから数年間にわたりまして、わが国の米の需給は百万トンを超える供給不足となっておりました。最高時では百三十万トンの外米を輸入し、農林大臣は米の一割増産を提唱いたしました。当時北海道農民の生産した米は、検査後すぐ貨車に積んで本州府県、大消費地に配送されておりました。百万トンを超える道産米が国民の需要にこたえていたのであります。これは十数年前のことに限りません。石油ショック、世界穀物事情が逼迫した昭和四十八年、九年にも、検査後の米をすぐ貨車輸送をしなければ配給操作に支障を生ずる事態であったことは、これはひとしく知られているところでございます。  全国的に主要な稲作地域において国費による大型灌漑排水事業と造田が続けられました。四十五年、米の生産調整後は、将来の低コスト米生産のため、水田基盤整備、大型化が奨励され、国費補助もありますが、多額な農民負担のもとに第二次構造改善事業が進められたのであります。水田の大型化、専業化、モデル稲作集団の推進が行われ、現在も実施中であります。この間に投じた多額の資金はほとんど借入金でありまして、農業経営上厳しい負担となっております。減反政策の強化によって各種事業等で購入をいたしました機械等の利用度は低下を余儀なくされておりまして、生産コストは逆に高くなっているのが現状であります。  農林大臣や食糧庁長官を初め農林水産省当局は、不足時代は量の確保が優先され、過剰傾向下においては需要のある良質米への誘導が必要だと言っております。そのために品質格差導入しなければならないと力説をしておりますが、北海道、青森、西南暖地米に対する名指しの差別でありまして、私たち生産者としては受け入れることのできないものであります。  御承知のように、米作農民はそれぞれの地域で産米改良に努力をしており、特に北海道におきましては、生産者はもとより、道あるいは農協を挙げて品種改良、産米改良に励んでおりまして、品質格差導入はこの努力に水をかけることになります。まことに迷惑でありまして、遺憾にたえません。さきに申し上げましたように、減反で生産コスト上昇を余儀なくされており、加えて価格で差をつけるダブルパンチであって、農民は今後の営農に対して大きな不安と不満を持っておるわけであります。  北海道米は品質が悪いとされておりますが、戦前から上川米を初め北空知、石狩、道南で生産される米などは、本州の消費地で知られている優良米の産地でもあります。北海道農業の将来にとって、空知、上川、石狩、道南は、米の専業地帯としてわが国でも有数の米生産地となる地域であります。  現在作付されているのは全部奨励品種でありまして、イシカリ、ゆうなみ、ほうりゅう、ユーカラ、マツマエ、巴まさり等六品種で全生産量の九〇%以上となっております。国が育種を行い奨励する品種をつくって、なぜ等級間格差以外に品質格差地域格差導入しようとするのか、全く理解に苦しむことであります。  聞くところによりますと、五十三年生産者米価決定の折に五十四年産米から品質格差制度の導入について政府と自民党で申し合わせがされており、その後検討がされてきたとのことであります。品質格差導入によって差をつけられるのは北海道、青森と西南暖地の早場米であります。減額Iは青森と西南暖地でありまして、対象数量は昨年の実績で三十七万トン。減額IIは北海道でありまして、生産数量は七十三万トンになるわけであります。減額Iは六十キロ当たり二百円と言われており、そしてまた、生産者の手取りが少なくなる金額は十二億円を超えます。減額IIの北海道は六十キロ当たり六百円安く買い入れされるわけでありまして、この総額は七十三億円、合わせて八十五億円程度になると思います。  最近、大臣を初め農林水産省当局は、現状では食管制度を守り切れない、これを避けるために考えたのが品質格差の制度である、北海道農民にも協力をしてもらいたいと言っているのであります。北海道は水田面積の三五%に及ぶ減反の傾斜配分をされており、さらに品質格差を制度として導入することは断じて容認することはできません。  いま申し上げましたように、食管制度を守るためにこの品質格差導入がどの程度役に立つのか、われわれには理解のされるような説明は一つもされておりません。政策というものはそういうものではないと思うのであります。食管制度を守るためには、生産者全体と政府、国民が一体となって行わなければならないものだと思います。減反目標の配分に際しても食管を守るためにと強調し、品質格差についても食管制度を守るために協力をしてもらいたいと言っておるのでありますが、昭和四十五年から減反政策が強行されておりますが、この十年間政府が示した目標面積はほとんど達成をしておるわけでございまして、現在の米過剰の状態は農民の責任でないと断言できるものであります。  以上申し上げました理由を十分御理解いただきまして、五十四年度産米から品質格差導入しようとしているこの政府政策に対して、委員各位の皆様方のお力添えをいただきながら、この導入を撤回させるように強力に働きかけていただきたいと思うのであります。  第二点は米価であります。  生産者米価の算定は生産費所得補償方式で行われているのでありますが、私たち生産者として理解に苦しむのは、毎年算定に当たっていろいろと理由をつけてその内容を変えていることであります。五十三年度生産者米価算定に際しては必要量生産費方式と称して生産者米価を安く抑える算定を行っているのであります。物価、労賃は年々上昇をしており、さらに減反によるコスト上昇もありまして、生産費調査による基礎を正確に生かし、さらに経営努力が反映される生産者米価でなければならないと思うのであります。  北海道農民連盟で農林水産省の統計調査資料に基づきまして試算したことしの米価は一俵一万九千六百三十二円であります。また上川地方の青年が生産費調査の集計をもって算出した価格は六十キログラム当たり二万二千九百五十一円となっております。  私たち農民組織は、全国農民の統一要求立場から、全中要求価格である六十キロ一万九千三百八十二円以上として実現に努力をしてまいりました。生産者米価は再生産を補償し、そして農民の労賃を確保するものであります。したがって、生産実態を無視した必要量生産費方式などは生産者としては納得のできないものでありまして、本年度の生産者米価算定に当たっては絶対に使わないよう強く要望をする次第であります。  さらに、本年度は各種公共料金が引き上げられておりまして、さらに石油の価格が大福に上昇される見通しが強くなってまいりました。このことは経営経費に大きく影響することは必至でありますので、要求価格六十キロ一万九千三百八十二円以上はぜひ実現をしなければならない最低の要求価格だと思っておりますので、この点深く御理解の上、よろしく御協力をいただきたいと思います。  また、第三点としては、わが国の食糧政策について簡単に申し上げてみたいと思います。  現在、米を初め乳製品、ミカン等が過剰であるとされておりますが、長期的には世界食糧生産は逼迫すると言われております。四十八年、四十九年の穀物価格の暴騰がありましたが、本年も穀物価格が騰勢の一途をたどっておるわけでございまして、このような中でわが国の食糧政策は、今後自給度の向上を中心にして安定的な農業生産が続けられることを基本にしたものでなければならないと思うわけでございます。現在のように、毎年のように変わるネコの目農政ではわれわれ農民は安んじて経営を続けいてくことはできないわけでございまして、国民食糧確保はわが国にとって重要な政策の一環であると思うわけでございまして、この点につきましても、委員各位の絶大なる御協力をいただきながら、今後ともわが国の食糧自給度の向上のために努力ができる対策を強力に進めていただくよう強く申し上げまして、私の意見を終わらしていただきます。(拍手)
  10. 佐藤隆

    佐藤委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 佐藤隆

    佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲富稜人君
  12. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は、持ち時間がわずか十分間でございますので、要点だけを御質問いたしたいと思います。  まず、国井参考人にお尋ねし、つきましては各参考人からも結論的な御意見を承りたいと思うのでございますが、それは食管の根幹の問題でございます。  系統農協におきましては、食管の根幹を守るということをその目標とされまして、あるいは要求米価の問題につきましても、あるいは生産調整自主的な対策に対しましても、何とかしてこの食管制度の根幹を守ろうということで非常に努力をされておることは私たちも承知いたしております。ところが、現在、政府のやっておりますような米の買い上げ制限であるとかいろいろな米価決定に対する施策等を見ますときに、食糧管理法というものはほとんど空文化するような状態にさえなっております。こういうような状態で食管の根幹が守られるものであるということを考えていらっしゃるのであるかどうか、私はこれで果たして食管の根幹は守られるのであるか、この点に対して率直な御意見を承りたいと思うのでございます。
  13. 国井守正

    国井参考人 お答えいたします。  われわれが考えております食管の根幹は、時代の流れとともに大分変化してきておりますけれども、精神は、法律にありますとおり、国民食糧必要量の確保なり国民経済の安定を図るという、その上での米の需給なり価格の調整なり流通の規制ということ、これがやはり根幹であろうと思っております。その精神に基づいて現在守られておりますのは、需給計画に基づく買い入れ数量が決定されているということでありまして、流通量の八割ぐらいはこの線に乗る。それから次に生産費所得補償を図るというような価格の決定、その内容には不満がありましても、とにかくそれが一つの流通基準になり、下支え価格となり、またこれがもとで国民生活上は暴騰を防いでいるというような、そういう価格保障の一面がある。そしてさらに、今日的に重要なのは、貿易が国家管理になっておりまして、昨年のような自由化圧力の中でも、米については別扱いというような外国の扱い方、自由化圧力防衛の能力を持っているというような今日的な食管のメリットをわれわれは理解しまして、現在法によってなされているものはもう筋だけかもしれませんけれども、この根幹を守るために需給均衡を図ってまいりたいというようなことで臨んでおるわけでございます。
  14. 稲富稜人

    ○稲富委員 国井参考人にいま一つ承りたいと思います。私たちの考えが間違っておるならひとつ教えていただきたい。  現時点においては食糧管理法というのがあります。食管の根幹を守るということは、現時点においてはやはり食糧管理法というものを守ることが食管の根幹を守ることだ、かように私たちは解釈しております。  それでは、食糧管理法というのが骨抜きになって、本当に食糧管理法が決定しておるようなことが行われないでおるという状態を続けていって、果たして食管の根幹というものを守り得るか、この点を私は結論として承りたい、これだけでございます。
  15. 国井守正

    国井参考人 私どもは、法律上の解釈の問題としてはいろいろあると思います。したがいまして、解釈の相違点は別といたしまして、食管の運営上の改善経済事情の変化とともにある程度なされるのはやむを得ない、やはり経済事情の変化、そのときの社会の状況に応じた食管の運用によって、われわれ生産者の利益が守られるというふうに理解しておるわけでございます。
  16. 稲富稜人

    ○稲富委員 その点をはっきりしていかなければ、食管法というものがだんだんなし崩しになって、ついに食管の根幹も壊れるのじゃないか、この点をわれわれは考えながら、食糧管理法を維持することに現時点においては進んでいかなければならない、これが私たちは非常に重大な問題じゃないか、かように考える。われわれは食糧管理法というものがなし崩しに壊れることによって食管の根幹までも壊されるということになるのじゃないかということを考えておるから、そういうことを申し上げているのでございますが、これにつきましても後かた、また次の問題について添えてひとつ御答弁願えば結構だと思います。  さらに、先刻お話にありました、本年度政府が決定しようといたしております本年度の米価は据え置きにしよう、そして米価品質格差をつけようというようなことを言っております。私たちは、こういうこと自体がやはり食管の根幹を壊す結果になるのじゃないかということも憂慮いたしております。こういうことによって今後農村及び農業経営に当たる農民に及ぼす影響、さらにまた、品質格差によって本年度の米価を決定するということになりますと、全国の農民の中には、あるいはそれがいいという人もあるかもわからぬ、あるいはそれが悪いという人もあるかもわかりません。幸いに系統農協においては全国の調査ができておると思いますので、この品質格差の問題につきましても、農民の持っております率直なる考え方、地方的に、そういうことがありましたら承らせていただきたいと思います。特にこの問題につきましては、全参考人からその御意見を承りたいと思うのでございます。
  17. 国井守正

    国井参考人 ただいまの御質問、大変微妙でありまして、特に後段で御質問の各県、各ブロック、どのような対応をしておられるかというような実態でありますけれども、これにつきましては、公式なものをまとめたブロックと公式にまとめてないブロックとがあるのが実情でございます。公式的にそのブロック内の会合を開いてまとめた意見の中には、反対を表明したブロックが二、三ございます。それから、この問題には導入の入れる入れないを含めて慎重に対処すべきだというようにどちらともとれる、まあとりようでありますけれども、そういう意見を出したブロックと、それから、この方向は賛成である、そういう方向で進むべきであるというような意見を出したブロックもございます。そのように各産地の利害関係が必ずしもこの導入問題をめぐって一本になっていないという実情があったわけでありますけれども、農協の中央米対におきまして審議しました結果では、原則的に導入には賛成できない、品質格差というものは、現状においては生産流通に急激な変化を及ぼしやすいというようなことから、導入すべきでないというようにまとめておるわけであります。  それと、先ほどの御質問の、食管制度がなし崩しに崩れてしまうのじゃないかというような御意見に対しまして、私どももなし崩し崩壊というものは十分警戒してまいりたい。ですから、われわれの現在持っている食管のメリットであるものがなくなってしまう、先ほどの買い入れ数量の確保なり価格支持なりあるいは国家貿易なりというものが運営の改善という名のもとになくなるような、そういう根幹がなくなるような状態というものに対しては、われわれはあくまでも阻止してまいりたいというように考えております。  それから、導入問題が農業、農村に及ぼす影響というものは、先ほどのブロック別の意見の中から御理解できるかと思いますけれども、そのように利害関係が受け取る産地によってさまざまであるというのが実情でありまして、私どももこの格差の実額がどのようにあらわれるかということがまだわかっておりません。これが自流米の世界のようなものを導入するとするならば、これは大変な影響であろう。しかし、著しい変化を生じないようにするというようなこれまでの政府説明ですとどの程度のものか、実額次第で影響の状態が判断できるのではないかというように思っております。
  18. 佐藤隆

    佐藤委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  19. 佐藤隆

    佐藤委員長 速記を起こしてください。
  20. 稲富稜人

    ○稲富委員 各地の農民の意見がばらばらだということは、ひいては農民間のいろいろな意思統一ができないということになりはせぬか。生産者米価が上がれば消費者米価を上げる、これは食管法にうたってない。ところが、政府は、生産者米価を上げたら消費者米価を上げるんだ、いかにも消費者生産者が対立するような、これは謀略と言ったらはなはだしいかわからぬが、そういう経過でやってきた。今度は品質格差によって農民の足場というものを、賛成する者と反対する者と、こういう意見に分散するというような結果になるということは、あるいは農民の結束を阻害することになるのじゃないか。こういう点から考えて、私たち重大な問題としてこの問題に取り組まなくちゃいけないという考えを持っておりますし、その点を憂慮いたしますので、この及ぼす影響というものを私承っておるわけでございますから、そのつもりで各参考人ともひとつ、その及ぼす影響等を承りたいと思うわけでございます。
  21. 榊春夫

    榊参考人 農協系統の状況につきましては、国井参考人からも申し述べたとおりでございまして、私も同感でございます。ただ、私が非常に強く感じておりますのは、優良米の生産者あるいは一般的な水準の米をつくっているところについては、さほど問題でないかもしれない。特に、引き下げを受ける方で、これはレベル以下の米であるという烙印を押される当該の生産地域においてはきわめて強烈な反対があるということだけ申し上げておきたいと思います。
  22. 谷本たかし

    谷本参考人 品質別の価格決定ということになりますと、やはり地域分断米価という性格が出てくるのではないか、これはやはり低米価をやっていく上で非常に価格を決める側が便利になってくるのではないか、こう思います。そうした状態の中で私が一番憂慮いたしますのは、産地間の対立競合が起きないのかどうか。こういう状態が出てまいりますと、品質格差をどこで勝負を決めるかというと、自由市場の中で出てくる格差で決めるしかなくなってくるのでありますから、間接統制にいまの食管制度を持っていきたいという人たちにとっては非常に便利な状況が出てくるのではないかというぐあいに私は思います。したがいまして、品質格差導入は、食管の根幹である米価保障を崩していくということ、それと同時に、食管のもう一つの、これはかなり崩されてきておりますけれども、直接統制というもの、これを一層決定的に崩していく、そういう役割りを持つようになっていくのではないかというふうに思います。
  23. 岡本栄太郎

    岡本参考人 品質格差導入にかかわるいろいろな影響につきましては、先ほどもちょっと申し上げたわけですが、われわれ生産者はよい物をつくろうということで努力をしておる、そういう中で、自主流通米と同じような形で政府米の買い入れを格づけをしてそして価格差をつけていくということは、非常に大きな問題があると思います。  その一つは、やはり食管制度が今後どうなっていくのか、それからやはり低品米だという格づけ、位置づけをされた地域の稲作はどうなっていくのか、そしてまた、これにかかわる諸対策が今後どのような形で進められていくかというような問題も出てまいります。われわれとしては、やはり品質格差というものは絶対導入すべきでない、そして現行の食管制度の中から新しい視点に立ってのそれぞれの対策検討する値はあるかもしれないけれども、いま言われておるような形での品質格差導入は非常に問題があるので絶対受け入れられないという気持ちです。
  24. 稲富稜人

    ○稲富委員 終わります。
  25. 佐藤隆

    佐藤委員長 松沢俊昭君。
  26. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 参考人の皆さん大変御苦労さんでございます。ずっと皆さんから大変貴重な御意見をお聞かせいただきまして、感謝申し上げます。  私は、三つくらいにわたりまして御質問を申し上げたいと思います。  その一つは、いまもお話ございましたように、食管の根幹を守る、そういう言葉が農業団体でも使われておりますし、それから政府の方でもそういう言葉が使われておるわけであります。しかし、私は、稲富さんが申されましたように、食管制度の根幹を守るということは食管法そのものを守っていかなければ守り切れないんじゃないか、こう思っております。それを要約いたしますと、やはり食管法は全量買い上げそれから二重価格制、それから直接の政府の管理、この三つだと私は思っておるわけなんであります。ところが、全量買い上げというものは自主流通米制度の導入によりまして崩れてしまっておりまして、先ほど全日農の谷本書記長の方からお話がございましたように、部分管理、こういう状態になっております。それからもう一つは買い入れ限度数量というものがそれに当たるわけでありますが、そのほかに食管の赤字を解消するために、大蔵省と農林省が協定いたしまして、昭和五十一年から五カ年間に売買逆ざやの解消をやるという方針を明らかにしてまいりましたことは皆さんも御承知のとおりであります。そして二重米価の問題にいたしましても、法律には第三条の米価と第四条の米価があるわけでありまして、三条米価というのは生産者価格の問題であります。これは再生産を確保する、こういうことになっておりますけれども、御承知のように、昭和四十四、四十五、四十六、米価の据え置きが行われました。物価は上がっているんです。ことしも農林大臣は据え置きらしいところの発言を実はやっております。去年は実際上は下がったわけでありまして、一昨年と比較いたしますと一俵当たり七百二十円下がっておるわけであります。それを補整額ということで足しまして、つじつまを合わせて一昨年と昨年の米価を同じにした。これは米価の算定の内容を見ますと、必要量生産費方式というものをとっているわけでありまして、これは昭和四十四、四十五、四十六と同じやり方で人為的に抑えつけたわけなんですね。これは食管法のたてまえからすると私はおかしいと思うのです。  それから、消費者米価を上げるとか下げるとか言っておりますけれども、いま政府消費者米価なんというものを持っておらぬじゃないですか。指導価格というのはあります。昭和四十七年までは物価統制令の適用を受けておりましたけれども、いまは指導価格、こうなっているわけなんであります。でありますから、消費者米価というのはピンからキリまでございまして、安いのになりますと二千円程度から、高いのになりますと五千五百円程度くらいになっておるわけなんであります。食糧庁の方に米を詰めるところの袋を届け出をやることになっておりますけれども、これは何千とあるわけなんでありますね。米の品種というのは米屋で幾らでもつくられているという状態です。米を材料にするところの米菓をつくっている会社は政府の方から安い値段で払い下げを受けて、それはくず米屋の倉庫に入って、くず米屋からそのくず米を買って米菓にして、政府の方から払い下げを受けたところの米は東京、大阪の方にどんどん送られていっている、こういう実態が明らかになっているわけなんであります。  そうなりますと、実際上食管の根幹を守るなんということを言っておっても、食管の根幹自体というものがもうすでに崩れているのではないか、こういうぐあいに私は判断するわけなんであります。ですから、やはり根幹を守るということじゃなしに、崩れたところの食管の立て直しをやらなければならぬ時期に私は入っておると思うのでありますが、農業団体の文書等見ますと、食管堅持だとか根幹を守るとか、こういう言葉が使われておりますが、どうもそれは私にとりましては理解ができないわけなんであります。  そういう点につきまして、四人の参考人の皆さんから一人一人、食管がいまどうなっているのかというその認識をひとつお聞かせ願いたいと思うわけなんであります。
  27. 国井守正

    国井参考人 簡単にお答え申し上げます。  食管は現在すでに根幹が崩れてしまっているのじゃないかというわけでございますけれども、われわれは、先ほど申し上げましたように、筋が残っておるというように理解しております。ただ、問題は、これ以上崩してはいけないということで、崩れる理由を自主的に防ぎたい。崩れる理由は何かと言えば、やはり需要量を上回る供給量、これは何と言っても不合理であります。したがいまして、日本の国民が必要とするでん粉質、その中の米の部分、これの需要量に見合った生産を計画的にやってまいりたいというふうに考えておりまして、現在の食管の根幹を守りたいというように存じておる次第でございます。  それから、立て直しの時期というようなことにつきましても、需給均衡を図った上での話でありまして、需給均衡を野放しにしておいて、いろいろな意味で国民経済的な損失が一方に生ずるというような状況のもとで立て直しをするということは、容易ではないというように理解をしております。  以上でございます。
  28. 榊春夫

    榊参考人 食管の乱れが生じているではないかという点は、御指摘のとおりであろうと思います。ただ、これをどう立て直していくかということになりますと、ただいまもお話がありましたように、われわれは需給均衡を図らなければ食管堅持できないというふうに考えるわけでございます。  そういった観点から、需給面の供給のサイドにつきましては、政府の指導ばかりでなく、われわれの自主的な運動によって供給の調整を図っていくということに重大な決意を持って取り組んでいるわけでございます。  これに対しまして、政府の方では、残っている流通、消費の面についてもっと力を入れてやっていただきたい。消費拡大運動については、われわれも政府とともに運動を展開しておりますが、どうしても流通面改善ということが不十分な段階にある。手をつけようとして、いま手を引っ込めているような状況にあるわけでございまして、生産調整を強化すると言うからには、生産者に対して、流通改善をもってひとつこたえていただきたいということを強く御要望申し上げている次第でございます。
  29. 谷本たかし

    谷本参考人 食管の根幹とは何かということでありますが、私は、松沢先生が言っておられる三つの点、まさに同感でございます。一つは直接管理、それからもう一つは全量買い入れ、もう一つが米価保障、この三つに食管の根幹があると思います。これは食管法を読めばわかることであります。  そういう立場で見てみますと、直接統制は部分管理化いたしました。また、さらに全量買い入れも買い入れ制限で崩されました。そして、これが減反と結び合わせて一層崩されようとしております。さらにまた米価保障でありますが、これまた崩されたと言ってよいのではないか。昨年の米価で見てみるならば、生産費のカバー率が、農家別に、戸数別に見た場合には五三%と私先ほど申し上げましたが、数量別に見ますと七〇%台であります。こうして見ますと、政府が必要とする米の量の再生産を確保する米価自身になっておらぬ、そういう米価であります。  こうして見ますと、食管制度は、根幹はまさに全面崩壊に近い、こう見るのが素直な見方ではないかと思います。そして、これに決定的な打撃を加えようとしているのが売買逆ざやの解消であり、銘柄格差米価への持ち込みである、こういうぐあいに見なければならぬと思います。  したがいまして、こういう状態の中で、食管の根幹をどう守るかということもさることながら、食管をどう立て直すか、そういう観点で見ていかなければどうにもならない、そんな状態になってきているんではないか。少なくとも農民の立場から見たならば、そういうぐあいに言ってよろしい。現に、農民の間からは食管制度堅持という声はほとんどなくなってきているという事実があります。
  30. 岡本栄太郎

    岡本参考人 現在の食糧管理制度の実態はわれわれ生産者にとっては形骸化していると言っても過言ではないと思うわけでございます。これは食管制度の根幹をいかにして守るかということもあるわけでございますが、これからの日本の食糧政策の中で食管制度をどのように立て直していくかという、大きな視点に立っての対策が必要であろうかと思います。  私は、限度数量の問題、あるいは減反の問題、そして自主流通米導入、そういう形でどんどん食糧管理法の土台が削り取られていって、そして最後に一物一価の原則である米価に対して、政府が、非常に不明確な食味ということで、よい米、悪い米という名指しで品質格差導入しようとすることは、これは食管制度に決定的なダメージを与えるものだと思うわけでございます。  それで、私は、いままでとられてきた一連のこの対策を大きく転換をして、国民の食糧を安定的に確保するという原点に立っての食管制度のあり方を改めて追求をし、そして国民の合意の中から再建をしていくべきだ、このように考えております。
  31. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 全中の国井さんにお伺いしたいと思いますが、立て直しもさることながら、需給調整ということを先にやっていかなければならぬじゃないか、こういうお話でございます。需給調整というのは非常に大事だと思いますけれども、ただ米余る、米余ると盛んに宣伝しておりますが、余るところの原因というのが何であるかということは政府の方で余りはっきり言わないわけです。米離れをしているということでありますけれども、私たちは米離れなんかやってないと思います。ただ、肉類を食べますから、動物たん白の摂取量がよけいになりますから、当然穀類の消費が減退していく、このことは言えるんじゃないかと思うのです。  そこで、問題になりますのは、やはり外麦輸入というものが米の過剰との関係において一番大きいんじゃないかと思います。だから、これを抑えない限りにおきましては根本的な問題は解決つかぬじゃないか。だけれども、しかしこれを削減するという具体的な方法というのは全中さんの方ではお考えになっているのかどうか、これはまた非常にむずかしくなっているんじゃないかと思うのです。貿易構造、日本の経済構造の、小麦輸入は一部分になっているんじゃないか。だから、これを削減するなんということは並み大抵のことじゃないと思います。現に外国から来ておりますところの小麦につきましては、ばら値引きということで一トンにつきまして六百円、これは要するに製粉業者にいわゆる外国から小麦を輸入する受けざらをつくるために補助を出しているという状態なんでしょう。だから、日本の政府というのは麦の削減なんというのを考えるような余裕はないんじゃないですか。このところを農業団体の方で相当具体的に追及していかないと、過剰問題の解決というのはそう簡単にいかないんじゃないか、こう思います。これが一つ。  それからもう一つの問題は、農協の方では自主的に生産調整を一〇%上乗せさせる、こういう方針をお出しになっているようであります。私は新潟でございますけれども、新潟のある村等におきましては、転作条件が全然ないのですよ。ないところに二百十五町歩ぐらい割り当てが来ておりますから、要するにその実態はどうだということになりますと、ほとんど青刈りと管理転作です。目の子勘定でもわかりますけれども、そこに米をつくれば三億円の収入があるのです。ところが、この収入はゼロなんです。生産調整で奨励金をもらうのが一億円しかないわけであります。ことしはこの村は二億円の損害を受けるのです。そうすると、米作地帯であっても条件のないところにこの割合でやれということになりますと、単協の経営に重大な影響を及ぼす、こういう状態になっているわけなんであります。そういうときに、農協中央の方で一〇%の生産調整の上乗せをやるということは、私はどうも納得がいかぬわけなんでありますが、この点どのようにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。  それから、時間がございませんが、米価の問題につきましてもお伺いしたいと思います。  これは先ほども申し上げましたように、ことしは基本的には米価を上げないという見解を農林大臣は出しておられます。それは上げない方法をとるためには計算方式というものを直さぬとなかなか据え置きはむずかしいわけなんでありまして、さっきも申し上げましたように、平均生産費を去年から必要量生産費に切りかえた。  農協の方では、いままでは、経費の面におきましては限界地農家までを補償させなければならぬじゃないかということで、八〇%バルクラインというのを計算方式としてずっと採用されてこられたわけなんです。それを、去年から平均生産費、こういうぐあいに切りかえが行われました。政府の方でも、ある一時期におきましては平均生産費でありましたけれども、分母の反収の面におきましてはワンシグマというものを採用して、そして八〇%バルクはとりませんでしたけれども、反収の面において差し引きをやりまして米価の引き上げというものを考えていった、こういう経過があるわけであります。  ところが、今回は据え置きをやるということになりまするならば、やはり昨年と同じように必要量生産費方式ということで抑える以外にないと思います。そうなりますと、農協の方では昨年から平均生産費ということでありますから、いままでのようなバルクでいけば私はもっと高くなると思いますけれども、それをあえて引き下げて新たな方式をとられた、こういうことでございますけれども、先ほどから参考人の御意見をお聞きしますと、減反をやって、そして農機具の稼働率が下がるわけでありますから、したがって経費は逆に上がる、こういうことになるんじゃないか、だから米価はうんと上げてもらわなければしようがないじゃないかというのが一般の農民の考え方だと私は思います。そのときに方式を変えて下げるというのは実はどうも理解に苦しむわけなんでありまして、そういう点はどのようにお考えになっているか、お伺いをいたしたいと思います。生産調整の問題と、この二つの問題につきまして御答弁をいただきたいと思います。
  32. 国井守正

    国井参考人 まず第一点は、外麦輸入の削減に対しまして系統農協はどうかということでありますけれども、われわれといたしましては、特に小麦の問題にしぼって申しますならば、現在約五百八十万トンの小麦が輸入されておりますけれども、国内産小麦は約四十万トンぐらいというふうに見ることができるんじゃないか。そのうち問題なのは、国内産が向いているのはめん用でありますから、これが三十万トンぐらいだというようなことになりますから、国内のめん用需要に合った小麦というものを考えますと、国内で需要のあるめん用小麦というものはわれわれとしては大いに増産する必要がある、転作の中の麦作はめん用小麦の転作を考えておりまして、これの生産に見合う小麦輸入は削減すべしというような要求をやっておるわけでありまして、政府のめん用小麦の需給計画においても輸入量を減らすという計画がすでに示されているというように見ております。  それから次に、またつけ加えますと、麦の価格政策におきましては、麦作振興という角度から五十二年産から二千三百円の生産奨励金が基本価格に加わって、それをもとに農業パリティ指数で年々価格アップを考えているというようなもの、あるいはまた、水田裏の奨励なり転作奨励の中で各種の奨励措置がとられておりまして、われわれとしてはその線にのっとって国内産小麦の生産振興策を図ってまいりたいというように存じております。  次に、第二点としまして、自主的な生産調整を一〇%上積みするというような申し合わせば、これは数字は示したわけじゃありませんけれども、五十四年の需給均衡を推計するならば、さらに一〇%程度自主的な生産調整政府需給計画以上にやらぬと過剰米がさらに累積する。累積過剰ということはきわめて危険である。二度にわたる政府の古米処理、これを三たびやらせるような状況をつくることはできないというようなことから、われわれとしては、先ほど来申し上げましたように、現在ある食管、この根幹部分を崩してはいけないというような配慮で一〇%上積みを申し合わせたわけでありまして、これは地域実情によって、一〇%上積みできるところはやっておりますし、またそれ以上やれるところもやっておりますし、実態として転作率との関係がありますから一律にはできないというように理解して数字は出さなかったわけでありまして、口頭で、これぐらい、全国全体としては一〇%が必要であるというようなことで、あとは各県の事情によって考えるということで始まったわけであります。  したがいまして、完全に湿田地帯ではどうするかという問題がありますけれども、それらについても、湿田地帯においてやり得る転作というものを考えるだけ考えてやっていただく。しかし、どうしてもできない場合にはやれるところにやってもらうとかいうような互助制度を考えるとか、いろいろ知恵を働かせて、全体目標に到達していただくというような趣旨でやっておるわけであります。  それから、三番目の米価の据え置きに対しまして、われわれは決して据え置きを肯定しているんじゃなくて、現行の米価に対して一三・九%のアップが必要であるということで一万九千三百八十二円を要求しているわけでありまして、これが過去三年間の平均生産費と五十四年度の物価動向を踏まえたコストである、所得補償であるということでやってきておるわけであります。八〇%バルクラインについては、稲作農家のその後の生産形態というものが、非常な規模格差から生産費構造が大変な開きがありますが、一番安いところは一万円を割るような農家生産費から、三万円台の生産費というように、格差が二万円以上も開くというような実態の中で、国民的に理解の得られる生産者米価というものはどういうところなんだということで判断しましたのが、とりあえず平均生産費。しかし、われわれは現在この米価のあるべき計算方法というものを検討中でございます。したがいまして、いま要求しているこの算定方法が絶対これでよろしいと言っているわけじゃございません。八〇年代に向かってのいまの検討の中で、価格政策はどうあるべきか、特に米価はどうあるべきかということを目下研究中でございます。それによりまして今後の、何といいますか、必要生産振興目標に沿った価格政策はどうあるべきかというような、そういう生産量の問題と価格問題とをどうマッチさせるかという、価格政策のあり方を目下検討中でありますので、しばらく時間をかしていただきたいというように存じます。  以上で終わります。
  33. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 国井さんにお聞きしたいと思いますけれども、確かに麦の問題等につきましての、消費の問題も含めましての御意見承りましたけれども、いずれにせよ、穀類全体から米の過剰というものが出てくるということだけはやはり間違いないと思うのですよ。  そこで、去年もビール麦を転作でつくってもらいたいということで奨励したわけでありますけれども、全農さんなんか大変御苦労されまして、最後に国税庁まで入って調整をしなければならぬという状態があったわけでしょう。こういうぐあいに、麦作奨励ということを言ってもどんどんつくっていきますと、米と同じように、外国からの輸入がとまらぬ限りにおきましては、余り米のかわりに余り麦というものがやはり出てくるのじゃないですか。その構造を改めない限りにおいては、農協さんが一生懸命需給調整をやると言ってもなかなかむずかしいのじゃないかと私は思っているわけです。こういう点はどうお考えになっているかということであります。  それからもう一つの問題は、米価の算定をめぐってはいろいろの議論がございます。どれがいい、これがいいということはなかなか決めがたいという面がございます。これは私も承知いたしております。ただ、農協農業団体の要求米価というものは、労働組合が賃金要求をするところの額とはいささか違うのじゃないかと思うのです。労働組合が賃金要求をやった場合におきましては、その要求額というのは労使間の議題になるわけであります。しかし、皆さんが米価要求をされましても、その要求額は政府と皆さんがテーブルについてそれを議題にして議論をするという性質のものではないと私は思います。そういう意味からいたしますならば、やはり正直に、日本の農民が米をつくるにはこれだけの金はかかるのだということをはっきりと天下に明らかにするというのが農業団体の当然のやり方なんじゃないか、こう思っております。米が生産過剰だということになると米価要求までも遠慮申し上げなければならぬということで、ネコがずきんをかぶせられたようにだんだんと引っ込んでいくというようなやり方は、生産調整をかけられて苦しんでいる農民にさらに希望を失わしめる要求になってしまうのじゃないか、やはり堂々と、かかるものはかかるということではっきりとやっていかれた方がいいのじゃないか、こう思いますが、その点はどうお考えになるか。  それからもう一つは、品質格差導入の問題であります。私はこれは反対であります。皆さんの御意見を聞きまして非常に参考になったわけでありますが、ただ、そうは言うものの、反対の理由の中には私とはまた違ったいろいろな御意見があうたようでございます。私は、基本米価というものはあくまでも、農民がかけたところの手間代と経費、これをやはり補償してもらう米価にならなければならない、だから、日本全国どこで米をつくっておろうともこれだけは補償してもらわなければならない、これは米価基本だと思います。しかし、まずくない、うまい米を国民は求めているわけでありますから、そういう米をどんどんつくってもらいたいという希望は私にもあるわけなんであります。しかし、それはあくまでもつくった人に対する奨励金あるいは報奨金、ほうびのようなものだと思います。だから、銘柄奨励金なんというものは、言ってみますならばほうびと受け取って差し支えないのじゃないか。そういう場合においては、それは米価の外枠に置いて、そしてほうび、報奨として出してやる、これは当然なんじゃないかと私は思いますが、この点、農業団体と私の意見の食い違いがあるのかどうか、はっきりさせていただきたい、こう思うわけなんであります。  それからもう一つの問題であります。全日農の谷本さんにお伺いしますけれども、さっきも、一俵当たり二万五千八百円の米価要求をやっておられる。しかし、その中には賃金部分というのが直しますと一日一万二千六百円、こういうことになっておる。左官の手間代というお話がございましたけれども、これはサラリーマンの月給ということになった場合においては一体月収どのぐらいになるのか、もっとわかりやすく御説明を願いたいと思います。あるいはボーナスとかそういうものを全部含めた場合はどうなるのか、そういう点もはっきりしてもらいたい、こう思うわけであります。  以上であります。
  34. 国井守正

    国井参考人 まず第一点は、ビール麦問題から麦対策全体に通ずるかと思いますけれども、確かにビール麦につきましては、契約生産になっておりますからあらかじめ契約販売量が決まっておるわけでございます。これが本年産の場合は十五万六千五百トンというようになっておりますけれども、これは豊凶の差によってそれを上回る収量のある場合とそれを下回る収量の場合というものが天候次第によって出てまいります。昨年は天候のかげんで契約数量を非常に上回るものが出ましてその処理に苦労したというような状態であります。この問題は、そういう豊凶から来る問題と、もう一つは国内のビール会社の麦芽製造能力の問題が関係してまいります。国内のビール各社の製造能力が約十七万トンと言われております。そういたしますと、それを超える原麦を提供しましても、ビール会社は麦芽にする能力がないから活用できないというようなことになってまいります。したがいまして、国の一つの政策的な誘導として、ビール会社に麦芽製造能力を高める施策が必要ではないかというのが一つであります。かつては国内ビール会社も麦芽製造能力は数十万トンのものを持っていた。それが、麦芽自由化によりまして海外の安い麦芽が買えるというような状況から、国内の設備を壊してしまいまして、結局現在では十七万トンになってしまったというような状態でありますから、国の政策全体として麦芽製造能力を高める施策が必要ではないか、かように存じております。  それから、麦全体から言いますと、麦作振興は、ビール麦、えさ麦、食用麦、食用麦も大麦、小麦、そういう種類別に今後の麦作の生産とそれに伴う流通、消費、この一貫した政策的な配慮が必要になってまいりまして、現在どうかすると生産振興は非常に声が高らかに出ますけれども、流通とその需要確保、加工面につきまして幾分バランスがとれていないというような状況は是正しなければならないのではないかと存じております。  次に、米価要求につきましては、御意見のとおりでありまして、われわれとしましては、これだけかかったというコスト、これだけ所得を補償すべきであるというコストを正々堂々と要求しておるわけでありまして、それが一万九千三百八十二円であるというようなことでありまして、決して控え目なことではありません。昨年の要求対比でも決して引っ込んではおりません。現行対比では一三・九%の引き上げ要求になっております。  ただ、問題は、先ほども申しましたように、価格というものは必ずしも一本に単純に割り切れないというようなものがありますので、生産者価格というものはいかにあるべきかということで、今回要求の中でやっているのは、必要量限界地におけるコスト、所得補償ということをとりあえずの是正要求として言っております。しかし、内容的にはさらに詰めてまいりたいということでありまして、かかったものを堂々と要求していくことに異論はございません。  それから、品質格差導入につきまして、現状のままでよろしいじゃないか。われわれも現状の変更を決して求めておりません。奨励金も継続ということを要求しておりますけれども、一方に昨年の米価決定時の言明がございまして、政府政府方針で目下進めているということでありまして、これは意見がすれ違いになっているというような実情でございます。  以上でございます。
  35. 谷本たかし

    谷本参考人 全日農の要求米価二万五千八百円の中に含まれる稲作労働、これが八時間に直しますと一万二千六百円であります。この一万二千六百円なるものが月給に直すと幾らかというお尋ねでございました。農民の場合に、毎日働くというようなことではありませんが、サラリーマン並みに働いたと仮定して計算する場合に、幾つかの計算の方法があるだろうと思います。一つの問題は、サラリーマンが月に何日働いているかという問題がございます。日曜、祭日休み、土曜は半どんないし休み、それにまたそのほか有給休暇大体二十日間以上あるというような例になっております。そういう押さえ方でまいりますと、サラリーマンが実際に働いておるのは二十日とちょっとであります。サラリーマンが何日働くかということをまず押さえる。それからもう一つの問題はボーナス、これがどの程度あるか。そしてまた福利厚生関係がどうなのかといったような点等々を押さえて計算替えをいたしますと、サラリーマンの月給で大体十五、六万、計算の仕方によって若干の誤差が出てまいりますが、十五、六万の水準だ、こういうぐあいに申し上げてよかろうと思います。
  36. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、参考人の皆さん、大変ありがとうございました。
  37. 佐藤隆

    佐藤委員長 野村光雄君。
  38. 野村光雄

    ○野村委員 先ほどより、今回は参考人四人のそれぞれの方々におかれましては、大変わが国の農政の行く先の不安な中で、それぞれの責任立場わが国の農政に貢献してくださっておりますことに対しまして、最初に心から敬意を表する次第であります。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席〕  本日は、また、それぞれの立場から非常にもっともな御意見とまた貴重な参考になります意見を聞かしていただきまして、私どもも、農政の一部にあずかります一人といたしまして、先ほど来の貴重な参考意見を大きな資料といたしまして、これからの農政発展のために、微力でございますけれども、一緒になってがんばっていきたい、こんな決意をいたしておる次第であります。  そこで、私は、時間がございませんので、ざっくばらんに、最初に国井参考人に二点ほどお尋ねをいたしたいのでございます。  特に、最近の米の過剰傾向の中で盛んに生産者団体として気にしていらっしゃることは、食管制度の改廃、これをされては困る。確かに私も、断じて食管制度堅持しなければならない、その先頭に立って闘いたい、こんな決意をいたしておる一人でございますけれども、ともいたしますと、何か、減反の目標を目標どおり達成しないと食管制度はなくするぞ、生産者米価も値上げはできない。その半面には米が余っている。ともすると、食管制度をなくするぞ、改廃するぞ、二言目には何かおどかしのような、おどかしでもないかもしれませんけれども、盛んに政府からこれを言われる。私は、そのことに何か生産者団体、農民が余りびくびくし過ぎておるのじゃないか。やるならやってみろ、これぐらいな強い気持ちで臨むべきだ。びくびくしておるところにつけ込まれてだんだん一歩下がり二歩下がっている。こういったところに、全国の偉大な組織を持った農業の各団体の皆さんが腹を決めてぶつかるならば、不安な情勢はまだまだ打開できるんじゃないか、率直に私はこんな気がいたしますものですから、国井さんにこの辺の決意をお伺いいたしたい。  もう一つは、先ほど来、国井参考人からるる本年度生産者米価要求が一万九千三百八十二円——私も北海道の選出でございまして、北海道の米どころ上川で生まれて農家をやりまして、現在空知の米どころでお世話になって議席をいただかしていただいております。この一万九千三百八十二円、年々の据え置きの中ではじかれた最小限度の価格である、こういうふうに参考人は先ほど来おっしゃっておりますけれども、この最小限度の要求米価を農民の命にかえて、農協組合の団体の責任者の皆さんがもっと強い立場で断固として臨むべきでないか、こんな感じがいたしておるのですが、率直に御意見なり御決意のほどを承りたい、こんなつもりであります。
  39. 国井守正

    国井参考人 まず第一点は、米の過剰傾向から食管制度改廃と何かおどかし的に言われてびくびくしているんじゃないかという御指摘でございますけれども、われわれはそのような一つの脅迫的なものでわれわれの政策を何も考えているわけではございません。われわれ自身計算におきまして、八〇年代の日本の米の需給状況を推定いたしますと、やせがまんといいますか、これはわれわれが希望的に一方的に米の需要はこれだけあるというように架空な数字をもとにしたのでは誤るわけでありますので、われわれは、現在の一億一千何百万人の国民食糧の今後の消費動向を考えますと、現在のでん粉質摂取率、たん白質摂取率、脂肪摂取率、これが世界的には日本のバランスは、PFC比率によって大体理想的な標準だというようになっております。このままでいきますと、でん粉質はそう減るものではないというように考えられますけれども、残念ながら、現在の都市あるいは農村を問わず、PFC摂取比率がだんだん動物性のたん白に移りつつあるということも否定できない。これが欧米水準になりますと、でん粉質の消費は大幅に減りまして、現在の半分近くになってしまうということも想定されますけれども、日本人の胃腸は一、二メートル長いということでありますから、恐らくでん粉質はそう減らないであろうということを考えましても、現在の米消費量一千百七十万トンという数字がありますけれども、昨年あたりでは一千百三十ないし四十というようにすでに減ってきております。これが今後数年間の中にどうなるかということになりますと、千百万トンを覚悟しなければならないということも冷厳な事実であろうということになりますと、日本の現在の二百七十万ヘクタールにわたる水田、ただつくるだけつくってそれで済むか、日本の農業倉庫に収容し切れないような状況にして、それで後は政府責任だで済むかということを考えますと、そうは済まないであろう。やはり日本人の食糧全体の自給率を向上するために、現在自給度が極度に低い、四%台の大豆、小麦、大麦というようなもの、さらに粗粒穀物の自給率を高めて、国全体としての食糧自給率を高める必要がある。これがわれわれの農業を将来発展させる、大きな希望を与えるものになるのではないか。消費のないものをつくって希望のある農業と言えるかどうかということを考えますと、われわれとしては、一千万トン、一千百万トン、まだ確定しませんけれども、その辺を標準にして日本の耕地面積をどのような作目で埋めていくか、特に水田二百七十万ヘクタールをどのような作目によって埋めていって日本の食糧自給率全体を引き上げるかというのが、大変苦慮しているところであります。政府水田利用再編ということを十カ年程度の短い期間でやっておりますけれども、農業の再編成というものは、やはり明治、大正、昭和を通じてやってきたように息長く時間をかけてやらないと誤りやすいというふうに考えております。したがいまして、十年や二十年で急カーブでやったのでは間違いが生じやすいというふうに考えておりまして、われわれとしましては、自主的に地域地域農業振興政策というものを考えていこうじゃないか、地域的に自主的に地域農業振興するための計画づくりを、組合員それぞれが寄り合って、集落的な営農形態はどうあったらいいか、その中で個人の農業経営はどうあったらいいかというものを、個と全体との調和をとりながらやっていきたいということで、これまでの農業経営上の誤りがいろいろございます。やはり農業は家畜なくして農業なしと言われるように、有畜経営、土づくり、公害防止というようなものを考えていかなければなりませんし、一方には大規模化による生産性の向上、それから生産コストを引き下げ、さらにまた消費者価格を一般消費者のいまの家計安定に合うような適正価格にわれわれとしても持っていく必要がある。生産者消費者の経済が両立するような状況をわれわれとしても実現しなければならない。これが将来の日本農業の発展のために必要であろう。あるいはまた、日本は将来大変な老人社会になるわけでございます。高齢者社会において生きがいを求めるようなどのような農業生産をやっていくかということも、その地域農業振興の中で考えていかなければならないというように、多面的に総合的に日本農業の将来を考えるというようなことでございまして、決して退却一方のことを考えているのではないということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
  40. 野村光雄

    ○野村委員 私に与えられました持ち時間は二十分でございまして、それぞれ参考人からの御答弁を賜りまして、午後から渡辺農林大臣に質問に立つわけでございます。そんなことで、あと三人の方にまとめてそれぞれ質問いたしますが、時間がございませんので、簡単にひとつ骨子だけ御答弁をいただければ幸いだと思います。  榊参考人にお尋ねいたしますけれども、先ほどの意見の開陳の中で、特に品質格差導入反対の問題が主題となって意見の開陳がございました。私も北海道として特にこの品質格差に対しましては全く今回は命がけで反対しなければならない、これらの決意を固めておるわけです。  そこで、私は、政府の今回導入しようとする品質格差導入の大きな反対として、品質格差導入したから消費が拡大されて伸びるというふうにはならないだろう。もう一つは、すでに作付が全部終わった段階でいまさら品質格差がされたから生産調整がこれからできるのか、もう後の祭りでありまして、生産調整に対するところの本質的なあり方と、それから方法、時期、こういうものに対して余り短兵急過ぎて、これは非常に農民から大きな反対の渦となってくるのじゃないか、こういう基本的な考えを持っておりますけれども、この格差導入によって消費の拡大なり生産の調整はいまさらできないのだ、そういうところに本質的にやはり断固としてこれは反対すべきじゃないか、こんな考えを持っておりますので、御参考にひとつ御意見を承りたい。  それから岡本参考人にお尋ねをいたしたいのでありますが、特に岡本さん、北海道でございまして、今日までの水田利用再編対策に対しましてはことのほか北海道は全国最大生産調整に協力をいたしてまいりました。そういうさなかにさらに渡辺農相が、先般、水田利用再編対策向こう十カ年ということでやってきた、さしあたりのこの三カ年、この生産調整に対して再検討しなければならない、ということは、私たちは何回もこの委員会で、昨年実施されました再編対策は少なくとも三カ年は変えないのか、断じて変えませんと、前中川大臣、肩を怒らして確約をいたしてまいりました。今度、大臣かわったから仕方がない、こういう言い分なのか知りませんけれども、私はこれは午後の大きな課題として大臣にこの問題を詰めたいと思っておりますけれども、ことのほか生産調整に協力をしてきた北海道にとって、新たにまたいまここで生産調整を再検討しようとする渡辺農相の発言に対してどう受けとめておられるか、お伺いしたい。  それから谷本参考人生産者米価について、系統農協団体と価格が非常に大きく開きがあるわけでございますけれども、これらに対しては、系統農協団体等との連携なり話し合いというものはいままでなさってこられたのか、その上でやむを得なく意見の一致を見なくて生産者価格というものが大きな開きがついているのか、この点をひとつ教えていただきたい。  以上でございます。
  41. 榊春夫

    榊参考人 品質格差導入について御指摘のありました点は私も同感でございます。消費拡大に直ちにどう効果があるか、こう申しましても、これはやはりどんなに格差をつけましても、買い入れ価格はあくまで買い入れ価格でございます。たとえば良質米銘柄奨励金四百円ついておりますが、政府は売却するときには千五百円加算して売っております。減額米につきましても、どうやら政府の案は減額に対しては六百円減算するという考えのようですけれども、買い入れ価格を六百円引いたからといって売却価格が現行の六百円そのままになるのかどうか、その辺は全然別問題であろうというふうに私は考えております。したがって、生産者に対する買い入れ格差というものが直ちに消費拡大につながるというものではないであろう。ことしの作付には間に合いませんけれども、やはりそういった格づけをすることによって生産の抑制なり転換なりというものを誘導していくというところに政策のねらいがあるのではなかろうか。そのためには、いま格差を決めつけるだけでなしに、もっと転換対策全体を見て広範な対策を講じて臨む必要があるというのが私の基本的な考え方でございます。  それから二番目に、三カ年計画の生産調整というものをどうやら変えそうな情勢にあるが、どう考えるか、こういう問題でございます。これは需給に大きなギャップが出てきた以上、いずれ修正をして臨まなければならぬだろうということは当然考えなければならない問題だと思いますが、約束した第三年度の五十五年産についてどう考えるかということにつきましては、現在まだ系統の内部でもこの問題は十分討議されておりませんで、組織としての意思決定はいたしておりません。ただ、私見を申し上げますならば、約束をしたことであるから、私は三カ年は守っていただきたいというふうに、個人的な見解ですが、そう思っております。  しかし、需給のギャップがある以上、このままでいいとはまいりませんから、相応の対策を講じて、自主的な運動で、ことし単年度需給を図っていきましたように、来年度もまた自主的な運動によって対応していくのが最も生産者の理解のしやすい、協力しやすい姿ではないかというふうに私としては考えております。
  42. 岡本栄太郎

    岡本参考人 北海道の転作問題についての御質問でございますが、野村委員御承知のように、北海道は全水田面積の三五%に及ぶ転作の傾斜配分を受けております。これは地域的に見ますと、私の住んでおります富良野市においては約五〇%の転作配分を受けております。上川管内で平均にいたしましてもこれは四四%に近い転作配分を受けておる。こういうような状態の中で、いま生産者は非常に困難な問題にぶつかっております。と申し上げますことは、大幅な転作によってつくられておりますいろいろな農産物の価格保障がない、非常に不安定である。野菜なんかをつくりますと、すぐ大暴落になる。そういうようなことが非常に北海道全体の農業に大きな不安と動揺を与える原因をつくっております。また、酪農につきましても、牛乳の過剰が言われまして、そして需給調整をことしはやれというような状態になっておるわけでございまして、水稲、畑作、酪農、畜産、すべてこの転作が原因になりまして、北海道の農業は根底から揺さぶられているというのが実態でございます。そういう中で、これ以上北海道に対して転作配分がされたとしても、実際問題やっていけるだろうかという大きな問題も出てまいります。農協などは、これ以上転作配分を受けると、米の主産地農協はほとんど運営は壁にぶつかるだろう、このようにも実は考えられる実態もあるわけでございます。  われわれとしては、こういうような状態の中で国が転作だけで米の過剰問題を処理しようということでなく、輸入の問題も含めて総合的に対策をしていかない限りこの問題の解決はできない。したがいまして、われわれといたしましては、これ以上の転作については協力はできないだろう、そのように実は考えております。
  43. 谷本たかし

    谷本参考人 全日農と農協中央会の要求米価の問題についてでありますが、戦後ある一定の時期は農業団体も農民団体も要求米価は一本でございました。それが二つに分かれましたのは、主として稲作労働賃金のとり方等で議論がございまして、二つの米価になってきたという経過がございます。今日の段階ではそれではこの二つの要求米価は、要求米価の性格として見た場合にはどんなぐあいに変わってきているのかという点でありますが、全日農の要求米価は、言ってみるならば生活要求米価と言ってよかろうと思います。これだけは欲しいという生活要求米価であります。一方、これに対して全中の要求米価は実現可能な米価、こういうぐあいに従来言われてまいりました。そういう点で、二つの米価の間には数字上のかなりの違いが生ずるという状態になってまいりました。  そうした状態の中で、私ども全日農といたしましては、要求米価を、たとえば全日農の要求米価を留保いたしまして、全中の要求米価に統一をしてもよろしい、それは実現可能な要求米価というのでありますから、そういうぐあいにしていくためには、それなりの運動上の保障条件がなければなりません。運動上の保障条件とは統一行動であります。そういう一定の統一行動が行われるという前提ならば、私どもは全中さんが言われる実現可能な要求米価に同調することも戦術的にあえてやぶさかではないというようなことで、話し合いをしてきておるのでありますが、そうした話し合いがつかないというような状態でございまして、とりわけここ一、二年の場合は両者の要求米価の性格はかなり変わってまいりましたから、話し合いも余り行われない状態に残念ながらなってしまってきているという状態であります。
  44. 野村光雄

    ○野村委員 では時間でございますので……。ありがとうございました。
  45. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 玉沢徳一郎君。
  46. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 本日は四参考人の皆さんまことに御苦労さんでございました。  現在、四人の参考人の方々のお話をお伺いしまして、まず日本農業を守り、また米作農家を育成していくためには、食管堅持あるいは食管の立て直し、こういうお言葉を使い分けておるわけでありますけれども、この食管制度が非常に重要な役割りを果たしておるという点の認識におきましては、同様であると思うのであります。  そこで、問題は、単純に考えた場合に、今日の最大の問題は、生産されたものが十二分に消費されないという点に問題があると思うのであります。そこで私は、やはり一つは消費の拡大を図っていく。この点につきましては、それぞれの参考人から国民の理解を求めなければならぬということが言われたわけでございます。もう一つは、生産を抑制しながらやっていく、これは政府がいま減反、転作等をやってきておるわけでございまして、これが需給関係にうまく成功をしますならば、私は食管制度を維持していくことができる、こういうふうに考えるわけでございます。  そこで、御質問をさせていただきますが、先ほど榊参考人は、消費の場合におきまして、米を保管、管理、流通をするのは政府役割りである、消費者に供給をするのは卸業者、小売業者の立場である、こういうふうに言われまして、この点に関しましては農家には責任がない、こういうふうな言葉を言われたのでありますが、私は、今日のこの問題を解決していくという場合におきましては、自分の立場だけを主張するというのではなくして、国民全体がこの問題に関心を持ってやっていくという立場から考えました場合に、先般農協米価要求大会におきましていただきました資料におきましては、農協におきましても卸の立場からやっておられる。それから、総合農協四千六百十四のうち千七百五十九農協小売資格がないけれども、あとは小売資格を持っておられるわけでございます。そういう立場におきまして、一般の小売、卸業者とは農協の皆さんがやる場合にはどういう点で違いがあるのか。あるいは流通問題におきまして改革をすべき点があるならば、単にこれは農家責任ではないという言い逃がれではなくして、もっと積極的な改革の方法というものを提示してはいかが、この点につきましてお伺いをいたしたいと思います。
  47. 榊春夫

    榊参考人 先ほど私の申し上げましたことが十分意が通じなかったかと思うわけでございますが、流通面に対して生産者団体が直接責任を持てるような体制になっていないところにわれわれとしては不満がある。したがって、消費者から見た品質のどうこうという問題を生産者責任だけを追及するというような形で格差導入を考えることは当を得てないのではないかということを前段として申し上げたわけでございます。  後段として申し上げましたのは、ただいま御意見がございましたとおり、われわれ生産者団体にももっと消費者に対して責任の持てる供給体制を仕組んでいただきたいということを強く御要望申し上げているわけでございます。  その具体的な方法としては、農協連合会農協にすべての店舗で米が扱えるような体制をとっていただきたいということが一つと、また希望によって産地精米で生一本のものをつくりまして、これを混米することなく消費者に届けられるような流通機構というものを考えていただいたらいかがであろうか、こういう二つの点を御提案申し上げている次第でございます。
  48. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 次に、生産を抑制しながらこれはあくまでも農家の生活が保障されなければいかぬという立場を私どももとっておるわけでありますが、そこで、減反、転作ということになったわけでありますが、農家の皆さんが要求をされておられますことは、やはり転作をやる場合におきましても米に見合った所得を確保してくれ、そういう意味におきまして、やはり基本政策確立というものが今日大きな問題となっておるわけでございます。  そこで、先ほど来品質格差の問題が出ておるわけでありますが、品質格差を性急にやるという点については、これは大変問題があると思うわけでございます。しかし、もし米に見合った転作というものの制度が確立をされていったならば、これは広く農民に受け入れられるんじゃないか、むしろ積極的にこの点に思いをいたしまして、この合理的な受け入れ方を検討してやっていくということが一つの方法ではないか。これをまず国井参考人にお聞きをいたしたいと思います。  それから、同様の問題でありますが、岡本参考人におかれましては、これ以上の転作は受け入れることはないという先ほどの御発言でございますが、北海道におきましては内地の農家と比べまして非常に耕作面積が大きいわけでございます。そういう意味におきまして、諸条件を整備していくならば、転作をしてまいりましても、十分もしこの米に見合った所得を上げるという実が上げられるということであるならば受け入れる素地というものも十分出てくるのではないか。この点におきましてお二方に御質問を申し上げます。
  49. 国井守正

    国井参考人 転作条件改善につきましては、系統農協としましては強く要求しているところでありまして、先ほども申し上げましたように、日本農業の特に水田農業二百七十万ヘクタールをどのように維持、発展させるかということになりますと、稲作だけにかじりついているわけにはいかないというような見通しを持っておりまして、どうしても米以外、食用米以外のものを作付しなければならない。したがいまして、それにつきましては、田畑輪換できるような土地基盤の整備、広く土地改良事業、そしてまた水田に適した品種の作目と品種の開発というふうなもの、そしてその後に価格政策においての保障ということが伴ってまいりませんと、水田農業を守ることができないのではないかというように思っております。  ただ、転作といいましても、個々ばらばらにやっていたのでは生産性が上がりませんから、やはり協同組合といたしましては、協同化、集団化によって転作作目の生産性を高め、稲作所得に匹敵する以上の所得を実現する。現に大規模化、集団化によって麦作の所得が稲作以上を実現しているような先進事例もございます。また、稲作におきましても、もう一つ幅広く考えるならば、米の国際競争価格の問題までいくならば、米の輸出も考えるということになれば、水田農業は稲作を続けることが可能だというように、もっともっと幅広く考えて今後の対策を考えてまいりたいというように存じておりますので、転作を強制されたとか抑圧されているとか行くところがないというような泣き言を言わずに、今後の日本農業の発展方向をみずから見出していくということでやってまいりたいので、政策面でもよろしくお願いいたしたいと思います。
  50. 岡本栄太郎

    岡本参考人 先ほど私は、北海道は水田総面積の三五%に及ぶ転作配分をされており、いまの実態から考えれば、今後転作をふやすということは受け入れられない状態だということを申し上げました。  手元に農林統計の数字が一つあるわけです。先ほど御指摘ございました北海道は面積が広いというふうに言われておりますけれども、五十二年の数字で水稲耕作農家は全体で六万四千戸ございます。このうち、一ヘクタール未満の農家が一万五千戸、一ヘクタールから二ヘクタールが九千五百四十戸、二ヘクタールから三ヘクタールが八千九百、三から五が一万五千三百五十、五ヘクタール以上が一万四千七百というような実態でございます。  それで、先ほども地域によっては町村別で五〇%以上の転作を配分されている地域もあるわけでございまして、これらの農協等もこれは近代化施設いわゆるライスセンターその他の施設を皆整えております。したがいまして、そういうような状況の中で、いまの転作配分はぎりぎりの状態で受け入れられているというのが実態です。それで、本当にこれからの長期的な見通しがきちっと確立された中での問題であるとすれば、これはまだいろいろな論議が出てくると思いますけれども、いまのように北海道だけに傾斜配分をするということについては、決してわれわれは受け入れられない、そういうことで申し上げたわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  51. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 谷本参考人にお伺いいたしますが、先ほど外国の農産品の輸入が日本の農業を圧迫されておるという趣旨のお話をされたと思います。しかし、農産品の貿易の完全な自由化というものがなされれば、お話しのとおりの状況になると思うのでありますが、ただ、安い食料品が入ってまいりまして、日本の農民に対しましてもプラスをしているという要因も、これは評価しなければならぬと思うのであります。  たとえば、牛肉あるいは乳製品が入ってまいりまして、一元化輸入ということで四百億くらいの金が生産対策あるいは流通対策等に使われているということは御存じのとおりだと思うのであります。それから、小麦を全廃して全部国内でつくるというお話も、先ほど来委員の中から出たわけです。しかし、御承知のとおり二万九千円のトン当たりの売り渡し価格プラス四万一千円の一般会計からの財政支出、二万一千円の食糧管理特別会計からの支出、そして実需者団体から五万六千四百九十円なりの金を出してやっておる、こういう点におきましては、やはり外国から安い物を入れて国内の価格に合わせて差額を農民にやっておる。こういう点におきまして、私は、今日の自由民主党の農政というものは評価していいのではないか。そして、外国の自由化というものに対してやはり体を張って闘ってきたのは、われわれ自由民主党農林部会であるということも御承知をいただきたいと思うのであります。そういう点におきまして、このえさの問題におきましても、外国から安い物を入れまして、畜産農家、酪農農家が安い飼料によってなおかつ経営が安定しておるという実態も見なければならぬと思うのです。  ただ、問題は、私は先ほど言いましたように、貿易を自由化して完全に安い農産品を自由に販売するということになれば、畜産農家も酪農農家も全部だめになってしまう。私どもはこれは絶対に避けなければならぬと思っておるわけでございますので、この点の評価参考人からお伺いをしたい。輸入量がすべて上がるからだめなんだということでは、耳ざわりは非常にいいのでありますけれども、誤解を生むという点を私はお伺いしたいのであります。
  52. 谷本たかし

    谷本参考人 円高になりまして農業生産資材関係のものが若干安くなったのは私どもよく承知をしております。それとともに、農産物の輸入がふえてきているのもこれまた事実ではないかと思います。そしてまた、たとえば小麦については自由販売そのものではないというようなお話がございましたが、私の側から申し上げたいと思いますのは次のような事実であります。  それは、御承知のように、卸売段階で見てみますと、米と麦との価格は戦前でいいますと一貫して十対八の関係にございました。それが戦後になりますと非常に変わってきておるのであります。たとえば昭和二十六年で見てみますと、この関係が十対六に変わってきております。そして最近ではこれが十対二・四を切る状態になってきております。この価格関係は一体何を意味するのか。米を食うよりも麦を食った方が割り安という価格関係に変わってきているのではないかと思います。先生も御承知のように、ヨーロッパの場合でも不足農産物は輸入をいたします。輸入をした場合には、国内の農産物価格の圧迫にならぬように、ほぼその水準までの高率関税を課すなどの処置を行ってきているところでありますが、麦の場合には、せっかくの先生のお話でございますが、そのような状態までにもいっていないのではないか、このように申し上げなければならぬと思います。したがいまして、米の消費が拡大されずに依然として麦の消費が拡大されており、そしてまた、第  一次減反以降も麦の輸入がふえてきているといのはなぜなのか。いろいろな事情がございますが、そのうちの最も有力な原因は、やはりいま申し上げた米麦相対価格の値開きにあるのではないか、このように思います。
  53. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 この問題につきましては、もっともっと議論したいところでありますが、制限時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  54. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 津川武一君。
  55. 津川武一

    ○津川委員 参考人の皆さんにはきょうは本当に貴重な御意見を伺わせていただきまして、ありがとうございました。皆さんの御意見を一つの宝として、私たち日本の農業を守るために全力を挙げたいと思います。  そこで質問でございますが、お米をどう考えているかということです。政府は、まずい米がある、まずい米は売れない、まずいから消費がふえないんだと言っておりますが、まずい米があるのでしょうか。そのまずいという政府の言葉が正しいのか。たとえば減額I、減額IIのお米を食べている消費者に聞いてみますと、非常においしく食べたと言うのです。ササニシキを食べた人に聞きますと、おかずが要らないほどおいしい。まずい米はない。お米の中によりうまい米はあると思うのですが、この点の皆さんの御見解を、特に全中の皆さん、榊さんにも伺ってみたいと思うのです。これが一つ。  そうして、まずい米とレッテルを張られて品質格差導入されたお米の運命がどうなるのか、流通過程でどうなっていくのか、どうすればいいのかというこの二点を伺わせていただきます。
  56. 国井守正

    国井参考人 品質というものを即食味ということにいたしますと、うまいまずいはその米そのものが持っている科学的な分析によって生ずるというようなわけにはまいらない、非常に個人差がある。食べる人の側の判断力が物を言う。したがって、客観性は非常にむずかしいというように存じております。ただ、大勢判断といたしまして、需要が集中する米と集中してない米というものがあるやに聞いております。需要が集中しない米は一体どういう理由かということは、分析しなければならないと思います。そのことは品種そのものからくる問題なのか、保管からくるのか、あるいは消費者がその品種に見合った米の炊き方をしないからか、あるいは炊いた後、昔ならばおひつに移してから食べたとか、そういう米の食べ方そのものをやっていないからかとか、いろいろな問題があります。ですから、そういう評価は客観的な基準はないと思いますけれども、ただ、全体としていわば売れ足の遅い米があるという事実をわれわれは考えざるを得ないというふうに思います。  それから、そういうような米については、やはりその産地品質向上に、あるいは需要者が望むような米の生産というものにがんばらなくてはなるまいというように思っております。当面の問題として、今日植えつけ後にやられるということになりますとこれは問題であるというふうに存じます。
  57. 津川武一

    ○津川委員 もう一つ、お米に対する考え方は、かつて文部省が学校給食のパンにリジンを導入しようとしたことがあります。これは学校給食のパンだけではよくない、リジンを加えた方がいいという認識に立った。しかし、国民の間からは不当な添加物として抑えられた。このリジンは、地球上の食物の中からとれるたん白質としては一番良質のたん白質なんです。このリジンを一番よけい持っているのがお米なんです。だから力仕事のときお米を食べる。こういう認識が全中の中に、特に榊さんたちあたりにあるのか、私はこのことを「労働者の栄養とたべもの」という本の中でリジンというものを大宣伝しておきましたが、こういう勉強、認識などされて、もう少しお米に対する国民の考え方を、さっきのまずいではなくして、そこで、まずいという言葉はこれから全中は使ってくれまいと思いますが、この点をあわせてひとつ榊さんからお答え願います。
  58. 榊春夫

    榊参考人 私どもは、自分のつくった米には誇りを持って生産をいたしております。そういう意味において、米がまずいというようなことは口が腐っても言わないつもりでおります。  それからリジンのお話がございました。私はそっちの方面ははなはだ不得手でございますけれども、米のたん白というものは非常に高く評価されている、これは大いに鼓吹しなければならぬ問題であるというふうに考えております。
  59. 津川武一

    ○津川委員 次は、国井さんにお尋ねします。  きょうは時間がないので、谷本さん、岡本さん済みません。  品質格差導入によって被害を受ける人たちはいま言われたとおり、とすればその人たちにも対応があるはずです。懸命に品質改良に努力したと思いますが、その努力されている現状を全中はどう握っておられるか。全中として品質格差導入に反対だと言っているのはわかりましたので、その際この努力をどう政府に迫って、現状がどうなっておってこれをどうする、少なくともこの努力が生産意欲をその点でそがないようにすべきだと思うのですが、これに対してどうお考えになっておりましょうか。    〔山崎(平)委員長代理退席委員長着席
  60. 国井守正

    国井参考人 現在問題にされておりますような品質格差の中の下位等級、下位類というのですか、それにつきましては、大体冷害常襲地帯のようなところに集中している。したがいまして、これまでの国の政策としましては、その冷害常襲地帯の稲作経営の安定のために、耐冷害性品種といいますか、そういうものを推進してきた……
  61. 津川武一

    ○津川委員 いや、あなたの方の農民がそのためにどのように努力されているかをひとつ紹介していただいて、そしてそれに対して皆さんがどう御援助なさるか、それを答えていただきたいのです。
  62. 国井守正

    国井参考人 ですから、そういうような耐冷害品種を取り入れまして、これは政府施策の奨励であります、それによって稲作経営の安定を図ってきたというのがその常襲冷害地帯であります。その努力を大いに評価しなければならない。ここで過剰米から品質格差の問題が発生した。したがって、われわれとしては、その生産流通に急激な変化をもたらすから導入すべきでないということで、その後の対策を要請しているわけであります。
  63. 津川武一

    ○津川委員 時間が来ましたので、最後の質問ですが、仮にいままでの減額II、これは北海道の米です、これに品質格差してまずい米のレッテルを押していくと、地域の差がつきます。日本の法律体系の中で全国的に、一般的にと言ってもいいけれども、地域差をつけるという法律の根拠、これは法のもとに平等でなければならないのに、北海道に減額IIということで特別に差別をする、これは憲法違反か、法律の見地から考えてどういうことになりますか。谷本さん、岡本さんからこれをひとつ答えていただきます。
  64. 谷本たかし

    谷本参考人 米価は、これは一物一価でなければならぬと思います。長年食管法のもとでそういう立場米価が決められてきておるのはそのためなのでありまして、そうしたあり方を壊すということは、これはやはり農業破壊、そしてまた憲法違反と言えるかどうか、その辺についてもいろいろ問題を含んでおるのではないのかというふうに私どもは受け取っております。
  65. 岡本栄太郎

    岡本参考人 生産者米価品質格差導入するということは、先ほども申し上げましたようにわれわれとしては絶対承服のできないところです。これはこの食味、先ほど御指摘のございました味のよい米、まずい米というのはだれが決めるんだ、ここに問題があります。この点が具体的に解明されておりません。そういう中でこの品質格差導入によって地域を差別する、これは日本農業の将来にとって大きな禍根を残す政策であろうと思います。したがって、われわれとしては、食管法を守るという立場に立って、この品質格差導入については徹底的に反省を求めて撤回をしてもらうようにしなければならない、このように考えております。
  66. 津川武一

    ○津川委員 どうも参考人の皆さんありがとうございました。
  67. 佐藤隆

    佐藤委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。     —————————————
  68. 佐藤隆

    佐藤委員長 この際、昭和五十三年産米生産費統計調査結果について、政府から説明を聴取します。柳井統計情報部長。
  69. 柳井昭司

    ○柳井説明員 それでは、お手元に配付してあります「昭和五十三年産米生産費」について御説明申し上げます。  第一ページにございますように、十アール当たりの平均生産費は十四万一千六百三十円ということで前年対比九・八%上がったわけでございます。が、六十キログラム当たりの生産費にいたしますと、一万五千九百二十九円ということで五・五%の上昇でございますが、これは十アール当たりの収量が、昨年非常に豊作であったということで前年を四・一上回ったということによるものでございます。それから、十アール当たり所得は九万二千四十九円ということで〇・九%アップでございますが、一日当たりの家族労働報酬は六千八百四十八円ということで前年に比較しまして三・四%下回ってございます。  それでは、二ページに解説がございますが、まず費目の構成でございますが、これは労働費が四四%と一番高く、次いで、農機具費が二五・四%、肥料費八・五%、賃借料、料金五・四%ということが大きな費目でございまして、これは四費目で八三・三%と大体昨年同様になっておるわけでございます。  それから、十アール当たり生産費の主要費目の動向でございます。  まず、労働費でございますが、これは十アール当たりで五万二円ということで前年を四・六%上回っておりますが、これは十アール当たりの投下労働時間が前年に対しまして二・八%減少しました反面、労賃単価が六・九%上昇したことによるものでございます。  それから、農機具費につきましては、二万八千九百七円ということで一六・四%上回っておりますが、この理由としましては、いわゆる高性能機械の進展に伴いますその償却費の増加と、それから水田利用再編対策によりまして減反が行われました、その影響があらわれているのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、肥料費につきましては、十アール当たり九千六百八十二円と五・九%上昇してございますが、これは主に比較的単価の高い高成分化成の施用増等によるものであるというふうに考えられます。  それから、賃借料、料金につきましても七・九%上昇したわけでございますが、もみすりとかあるいは乾燥・調製等の作業委託が増加したことによるものと考えておるわけでございます。  それから、農業薬剤費でありますが、これは前年を九・三%上回っておりますが、これは主に除草剤の投入増加や比較的単価の高い新農薬が普及していることによるものではないかというふうに考えております。  それから、土地改良及び水利費につきましても一二・七%上昇してございますが、これは土地改良事業の進展に伴いますところの維持費等の負担や、昨年は特に干害が起こりましてその防止のための水利経費が増加したことなどによるものと考えております。  それから、地代につきましては、二万六千五十七円ということで前年を一六・六%上回っておるわけでございますが、これは地代水準の上昇とか、あるいは水田利用再編対策によりまして比較的生産力の低い地帯で転作が行われ、その結果残った水稲作付地の地代水準というものが上昇した結果になっておるのではないかというようなことが考えられるわけでございます。  それから、二といたしまして水稲作の収益性でございますが、先ほど申し上げましたようにこれは四・七%上昇しているわけでございますが、これは昨年が豊作であったこととかあるいは品質が向上したということなどによるものと考えております。  それから、十アール当たり所得につきましても、先ほども申し上げましたように前年を〇・九%上回った。それから一日当たり家族労働報酬は、地代とかあるいは資本利子等の支払い額がふえているというようなこともございまして、前年を三・四%下回っておるということでございます。  時間の関係もございますので、概略御説明申し上げた次第であります。     —————————————
  70. 佐藤隆

    佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉沢徳一郎君。
  71. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 ただいま農林省統計情報部によります生産費調査結果をお聞きいたしたわけでございますが、あしたから米審が始まる、その諮問をいま検討しておると思うのでありますが、ただいまの調査結果によりましても、五十三年産米の十アール当たり前年に比べまして九・八%の生産費の上昇、六十キログラム当たりに換算した生産費も五・五%の上昇である。  そこで、生産費所得補償方式でいけばやはりこれは十分考慮しなければならぬのではないか。ところが、どうもムードは据え置きのムードが先行いたしておるような感じがするのであります。しかし、俗に赤字財政の三Kと言われる国鉄、健保、米、このうち非常に赤字を出しておるところの国鉄の職員、これは昇給もボーナスもあって生活が保障されておる。したがいまして、こうしたものを見ましたときに、やはり農家に対しましても温かい配慮というものが必要ではないか。そういう意味におきまして、米審に諮問をする農林省の心構え、また決定に至るまでのスケジュール、これはどういうふうになっているか、ひとつ御質問をさせていただきます。
  72. 澤邊守

    ○澤邊説明員 明日から二日間にわたりまして米価審議会を開催いたしまして、生産者米価につきまして諮問をする予定にいたしております。二日間にわたりまして審議をお願いいたしまして、その答申を得た上でできるだけ早い機会に決定をいたしたいというスケジュールを考えておるわけでございます。  いまお尋ねございました五十三年産米生産費調査が、六十キログラム当たり五・五%上がるという説明をただいま統計情報部長からいたしましたが、これまでと同様過去三カ年の生産費を用いまして算定をいたします。したがいまして、五十三年のただいま説明がございましたような生産費が一つの算定のスタートラインになるわけでございますが、御承知のように、過去三カ年の生の生産費をそのまま使うわけではございませんので、種々物価修正をするとか、あるいは家族労賃を評価替えするとか、その他所要の調整をいたしますので、生産費調査の上がり分そのままスライドして米価が決定するという仕組みのものではございませんので、現在、五十三年度の生産費調査の結果も含めて最終的な詰めをいたしておるわけでございます。
  73. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 次に、食管制度の問題につきまして御質問いたしますが、先ほど各農業団体の四参考人からそれぞれのお話を伺ったわけであります。いずれの団体も、食管堅持あるいは食管の立て直しという言葉の違いはありますけれども、食管制度そのものが農業を守っていき、米作農家を守っていくという認識においては同じであります。  この問題を解決するためには、消費の拡大と、さらにまた生産の抑制、つまり転作、こういうことになってくるわけでございますが、そこで、私は、米に見合った転作をするということで、農林省の努力、計画加算を積み増してやってきたということは認めるわけであります。ただし消費を拡大をしていくという上におきまして、この品質格差の問題が出されてきたわけであります。うまい米をたくさんつくれば消費が拡大する、これは意味はよくわかります。しかしながら、もしこれの性急な実現をやるということになりますと、すでに耕作をしている農家に対しましては非常に大きな影響を与えるのでございますし、やはり慎重に取り組んでいくべき問題ではないか。  まず私が質問しますのは、農林省は品質格差というものの内容をどういうふうに考えて、その基本的な問題はどうであるかということが一つ。それから、実施はまた別の問題でありますから、実施をしていく場合におきましては温かい配慮というものがなければならぬ。血も涙もある農政というものを持ったときに初めて農民の不安は解消されるのではないか。もしどうしても導入が避けられないということであるならば、しからば、いま北海道、青森、その他高冷地の農民が耕している米作地帯におきましては、何らかの救済策、対処の仕方、こういうものを考えておるのかどうか。この三点につきまして御質問させていただきます。
  74. 澤邊守

    ○澤邊説明員 今年産米から政府買い入れ価格品質格差導入したいということで、種々検討を続けてまいりまして、明日諮問いたします生産者米価におきましてもそのような趣旨を織り込んで諮問をしたいと考えておるわけでございますが、ねらいは、最近、量だけではなくして、消費者需要良質米中心にして多様化しておるということでございますので、そのような需要の動向に即した生産流通を誘導するということによりまして、米全体の量だけではなくして品質別に需給のバランスを維持していくことが必要なわけでございます。平たく言いますれば、いい米は平均よりはやや高く、品質の劣るものはやや安く、現在品質の劣るものにつきまして販売がなかなかうまくいかなくて在庫も非常にふえている、財政負担も大きくなっているというようなことの解消にも資していきたいというのがねらいでございます。  なお、それによりまして良質米生産方向へ誘導してまいりますれば、消費の維持なり拡大にプラスになると思いますし、また、良質米につきましては一般的に収量が低いわけでございますので、生産調整という面でも何がしかのプラスがあるということで、需給均衡化という当面の緊急の課題に資する面があるというように考えております。  具体的なやり方といたしましては、銘柄研究会というのをつくりまして種々検討をして報告を得ておりますので、その趣旨に即しまして、銘柄の区分は相当量政府が買い入れておるようなものを中心に考えまして、現行の価格体系との連続性にも配慮して、銘柄の区分は五つに分けたいというように考えております。  一類、二類、三類、四類、五類ということになるわけでございますが、そのうちで良質の方の一類、二類につきましては、現在自主流通しております産地品種で建て値及び自主流通の出回りが一定水準以上のものということにいたしまして、その建て値の格差によって二つに分けるということで一類、二類に分けたいというふうに思っております。  三類は、一類、二類、四類、五類以外のもので、基準になるものというふうに考えております。  四類、五類は、現在政府売り渡し価格において減額して売り渡しておるもの、例外はございますが、それをとりまして減額Iに該当するものが四類、減額IIに該当するものが五類、若干の入れかえはございますが、そういうような考え方で五区分したいというふうに考えております。  区分ごとの格差額につきましては、現行銘柄奨励金の水準を考慮いたしたいというように考えております。現在の銘柄奨励金の水準は、御承知のように指定銘柄については、一番いいものでございますが、四百円、それから特例銘柄については二百五十円でございますので、一類、二類についてそれぞれそれを基準にして考えていきたい、第三類からその幅だけ引き上げるというように格差を設けたいというふうに思っております。  さらに四類、五類については、当面政府売り渡し価格格差、これは減額Iは二百円下に格差が開いております。さらに減額IIについては六百円下に開いておりますので、これを基準にして当面考えていきたいというように考えております。  なお、買い入れ価格格差導入することに伴いまして新たに五区分をするわけでございますが、売り渡し価格につきましても現在五区分になっておりますけれども、買い入れ価格の五区分に合わせまして現在の政府売り渡し価格品質格差の額を基準として売り渡し価格格差を設けていきたい、かように考えております。
  75. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 この品質格差に対する考え方はわかりましたが、これを実施するにはやはり慎重を期してもらいたい。だから、そのどうしても実施しなければならぬという点におきましては、それの救済措置というものも十分考えてのことかどうか、この点を御答弁をいただきたい。
  76. 澤邊守

    ○澤邊説明員 ただいま申しましたように、これまでの価格体系の連続性も考え、さらにまた、急激な影響を生産なり流通に及ぼすことのないようにという配慮で考えておるわけでございます。したがいまして、区分につきましても、現在売り渡し価格の五区分を用いるとか、あるいは格差額も、いま申しましたように、現在の銘柄格差あるいは減額の格差というものを、大体それを持ってくるというようなこと、特に減額米等につきましては、売り渡し価格は、現在の減額について言いますればマイナス六百円であっても売るのに非常に苦労をして在庫がふえておるわけでございますので、もっと下げるべきだというような議論もあるわけで、これも一つの意見だと思いますが、それを用いて買い入れ価格にさらに大きな格差を開くということにつきましては、段階的に考えるべきであって、大きな影響は回避する意味からいいまして、現在の格差額を、売り渡し価格での格差額を持ってくるというような点につきまして、いろいろ急激な変化を避けるような配慮をいたしておるわけでございます。
  77. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 この実施の時期につきまして検討をしていただきたいというのが私の質問の趣旨でございまして、どうしても実施するというのであれば、この救済の処置を十分検討していただきたい、これがまず第一点であります。  それから、そこで次に御質問いたしますが、今日の農政に対しましては、必要以上の不安というものがつきまとっておると思うのです。つまり、たとえば外国産品の農産物の自由化、こう言いますと、あたかも日本の農業が全部だめになってしまうかのような宣伝がなされておる。一方におきましては、生産地に参りますと、一生懸命米価を上げろ、こう言っている集団があるかと思えば、同じ集団が今度は消費者、労働組合に参りますと、外国の農産品を自由化しろ、こういうようなことを言っておる。しかしながら、私どもは、やはり外国の農産品を入れるのでありますけれども、日本の国内の農民が困らないようにこの価格を操作いたしまして、余ったもの、その差額を農民に与えるという政策をやってきておる。これによって日本の農業というものが、畜産も酪農も守られている。小麦の農家も米に見合った所得を上げられるような実例まで出てきておる、こういう点は私は高く評価しなければならぬ。ただ、いきなりこの品質格差ということでぽんと出してまいりますと、農林水産省は日本の農民を守るのだという言葉が農民の一人一人まで徹底をしておらないがために、もうこれで悪代官のごとき、農民はいじめられるのじゃないかということが先行してしまっておる。この不安に十分に農林大臣の決意、農林業を守るのだ、これは絶対堅持するのだということをひとつ明快にしていただきたいということが第一点です。  それから、不安の第二点は、今日、四十八年以来のエネルギーの危機が来ておるわけであります。そこで、これから収穫期に向かうわけでありますが、たばこもそうであります、ハウス栽培もそうであります。水産関係におきましては、漁船が重油がないということで大変騒いでいる。やはり農林大臣は国民の食糧を大事にし、国民の食糧を生産する農民、漁民に対しましては、どんなことがあっても最優先にエネルギーをやるのだ、備蓄量の三日分を取り崩してもやるのだという決意を明確にしましてこの点の不安にこたえなければいかぬ。この不安が先行いたしますと、私は大変なパニックが起こるということを心配をするからであります。  この二つの不安につきまして、農林大臣の御決意を承りたいと思います。
  78. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 品質格差導入に当たりまして、それが農民を守るようにしろということでございますが、私はこのことが一番、全体としての農民の不安にこたえていくゆえんではないだろうか、こう思っておるのでございます。  その理由を申し上げますと、御承知のとおり、いま米作農家の中で一番心配をしておるのは、果たしてこういうような過剰生産の状態で食管が守れるであろうか、食管自体が危ないのじゃないかということを感じておるわけでございます。まさにそれもりっぱな本当の心配であります。しかし、私たちといたしましては、これ以上に過剰生産をしないようにするためには、一つには生産調整をやること。いまお米が余っておるというけれども、六百五十万トンの過剰米があるが、余っておるものは余っておるけれども、年間一千万トン以上のお米を消費しておるわけですから、毎年きれいになくなるものはちゃんと消費されておるわけです。問題は、消費されておる米と消費をされない米、こういうものが出てきておって、その中で何とか消費をされるようなお米に米の作付を向けていかなければならない。そのことは優良米をつくる農家に報いる道でもある。こういうことを考えますと、やはり品質によってある程度の差をつけていくことの方がいいのじゃないか。それによって優良米がよけいつくられれば生産量が多少減るし、消費は拡大する、そのこと自体がすでにもう生産調整に役立つということであります。また、そういうような差をつけられれば、転作をする場合においても転作奨励金というようなものを出しておるわけでございますから、これも当面続けてまいるということを言っておるのでありまして、その点、私はもっともっと早くこれをやるべきものをいままでやらなかったことの方がむしろおかしいというように思っておるわけであります。  なお、エネルギーの問題につきましては、あなたのおっしゃるように、これは非常に重要な問題でございますから、通産省とも話し合いをいたしまして、極力必要な量を確保するように、農協その他の系統団体とも連絡をしてやっておるところでございます。
  79. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 時間が大分詰まっておりますので次に移りますが、エネルギー危機が到来をしますれば、秋には大変な物価上昇が見込まれるというふうに考えておるわけであります。そうした場合に、米価におきましては、過去一年間の物価上昇、あるいは三年間のそうした平均の生産費の上昇その他を米価の中に取り込んでいくという趣旨であるわけであります。ところが、急激な物価上昇が行われるということになりますと、これはたとえばことしの三月二十九日の畜産振興審議会におきまして、畜産価格を決定しました場合に、「経済事情に著しい変動が生じた場合には、本審議会の意見をきくこと。」という建議がなされておるわけであります。つまり、一応価格は据え置きということがたてまえだけれども、経済情勢が変更した場合には見直すという趣旨があるわけであります。また、昭和二十八年には大変急激な物価上昇によりまして、再度米審が開かれておるという事態があるわけでございます。  そこで、私は秋の物価上昇というものがきわめて著しくて、大変な状況であった場合には、今回決めた米価というものはとりあえず暫定的なものとして秋にもう一度米審を開くという用意はないのかどうか、これは私は必要であると考えるのでありますが、農林大臣、いかがでしょうか。
  80. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私どもは急激な物価上昇の行われないようにもろもろの施策を講じておるところでございまして、また、そういうふうにしなければならないし、原油が上がればある程度のものは上がりますが、現在の原油が上がった程度では急激な物価上昇にはなりません。それは売り惜しみ、買い占めというような思惑が働けば別であります。したがいまして、われわれはそういうような思惑は必要ありませんよ、現在すでに石油の量は去年以上に上回って入荷をされており、出荷もされておるわけでありますから、どこかでパイプが詰まって不当な売り惜しみとか買いだめ、こういうようなものが公平に渡らないという問題なので、これは各省挙げてそういうことのないようにこれから計らっていくということでございます。したがって、政府は、秋には急激な物価上昇になるというようには考えておりません。
  81. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 しかし、これは予測は、いまは上がらない、こう言っておりますが、もし急激な上昇があった場合におきましては多大なるパニックが起こるという、これは起きないことが一番望ましいわけでありますが、これに対しましては、私は、柔軟な姿勢をもって、そういう状態が起きないようにぜひ御検討をしていただきたいということを要望いたすわけでございます。  それから最後に、昨日、大平総理大臣がある会合で講演をいたしまして、農村に対する税金は諸外国に比べて最も安い、独身者や子供のいない夫婦など若い層の税金は安いので、もっともらっていいのではないか、こういう発言をされておるわけでございます。今日、農家の状況を見ますと、そうでなくてさえも米価の据え置きということに対して非常に不安を感じておる。さらにこれが大幅増税をするということになりますと、貧困な農家にしわ寄せが非常に行われるのではないか。これは国の運営をしていく場合におきましては、やはり十二分な思いやりと均衡のとれた政治というものの運営が必要なのではないか。こういう発言をするに当たりましては農林大臣にどういう相談があったのか、また、これに対して農林大臣はどういう御見解を持っているかを御質問さしていただきます。
  82. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私もけさ新聞で読んだだけでございますから、何とも申し上げることはできません。どういう意図であのような御発言になったのか、多少言い足らずというようなところがあるのかもしれません。真意のことはわかりませんが、農民にしわ寄せを特別にするというような税制は政府としては考えておりませんし、もし私に話があれば、そういうことは拒否をいたします。
  83. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 この点は十二分にひとつ御検討していただきまして、無用の誤解、不安、疑惑というようなものに確固たる決意で臨んでいただきたい。そして、農民を守り、日本の民族の苗代である農村社会を守っていく、こういう決意でひとつやっていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。
  84. 佐藤隆

    佐藤委員長 芳賀貢君。
  85. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この際、農林水産大臣に質問をいたします。  いよいよ明日の十二日、十三日にかけまして米価審議会が開かれて、この審議会には農林水産大臣から昭和五十四年生産にかかる買い入れ米価の決定と、それから巷間流布されておるところの品質格差なるものを生産者米価導入するというような、この二点を中心にして農林大臣から米審に対して諮問が行われると思うわけでございます。ちょうど米審の前日でございますので、この際、米価問題に限定いたしまして農林大臣の方針を尋ねたいわけでございます。  一つは、今年産米価の算定に当たっての算定方式について、昨年は米価引き下げのための手段として必要量生産費方式なるものを用いたわけでございますが、今年の場合には昨年同様の算定方式を採用するのか、あるいは従来まで実行いたしましたいわゆる平均生産費方式をもって適正に試算してこれを米審に諮問するかという、この点ですね。  もう一つは、先ほど申しました品質格差生産者米価への導入という問題について、これを米価審議会に買い入れ価格の中に算入をして諮問をするという考えであるか、そういうことは絶対しないというのであるか、まずその方針について明確にしてもらいたいと思います。
  86. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 米価計算方式につきましてはこれはルールがあるわけでございますが、昨年に比べてより一層厳しい経済事情で、米の過剰状況、こういうような事態でございますので、それを必要量生産費をもとへ戻す、別に変えるという考えはございません。昨年とほぼ同様の計算方式でやらしていただきたい。  第二番目の品質格差導入については、こういうようなことで、こういう考えで、米価の中で差をこういうふうに段階的につけますということを諮問をするつもりでございます。
  87. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、この二つの問題について順次質問をいたします。  まず、品質格差導入の問題については、実は昨年の七月に政府が昭和五十三年の生産者米価を決定して、当時の中川農林大臣が談話の形でこれを発表したわけです。その中に品質格差導入の問題に触れて、来年の生産者米価の決定に当たっては買い入れ価格の中にいわゆる品質格差導入する、この考えは単に農林大臣中川一郎の個人的な見解ではなくて、五十三年米価決定に当たって政府と与党自民党の間においてこれは合意された問題である、こういう談話が発表されておるわけでございます。  そこで、今回、農林大臣が米審に対してかかる諮問をする場合には、これは昨年の米価決定の際の中川農林大臣の談話、あるいはまた渡辺大臣が就任の際に当委員会において就任のあいさつをなされた場合に、私としては前任者の中川一郎大臣の農政の方針というものをおおよそ踏襲して努力をしていきたいというような、まことに謙虚なあいさつがなされたわけでございますが、そこで品質格差導入ということになれば、前農林水産大臣の中川一郎君の方針を引き継いでこれを今年度から実行するためにやろうとするのか、その点のつながりというものがよくわからぬですから、特に明確にしてもらいたいと思う。
  88. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 確かに私が就任早々、今後の農政の基本方向について中川路線を踏襲していきたいということは事実申し上げました。そのとおりでございます。したがって、私は基本的な方向としてはそういう方向で農林問題、水産問題、林業問題をやっておるつもりでございます。  また、昨年の大臣談話に、品質格差について検討をするというようなことがあったことも聞いております。私といたしましては、この談話によってその実施をしたというわけではございません。農林当局は当然にそれは検討はしてまいったものであります。私は大臣に就任早々、予算委員会等におきましてもしばしば申し上げましたとおり、米の過剰問題に絡み、現在の食管のあり方について実情に合わないような面がたくさんある、やはりいい米をつくらせるというためには、いい米と品質の落ちる米との間に当然差があってしかるべきものだというような意味のことを再々実は言ってきておるわけでございます。したがって、私がそういうことを言ってまいりましたものを、今回の品質格差という形で、まあごくわずかではございますが、そういうような反映をさせる諮問案をこしらえて明日提出しよう、こう目下考えておるところでございます。
  89. 芳賀貢

    ○芳賀委員 生産者米価品質格差導入するということは前例のないことなのですね。必要量生産費方式というのは、かつて昭和四十六年、四十七年にこれを試みたことがありますが、去年の必要量生産費方式とは質的に、内容的にも相当相違しておるわけです。そこで、初めての暴挙ということになりますか、品質格差導入は決して渡辺農林水産大臣の発想ではない。昨年の米価決定の際に、時の農林大臣と与党自民党の合意の上に立って、これをことしから具体的に実施するのである、この点が明確にならぬと今後の行政責任の所在というものは非常にあいまいになるわけでございますので、この点を再度明らかにしておいてもらいたいと思います。
  90. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 いきさつについては当時立ち会った食糧庁長官から答弁をさせますが、私といたしましては、その談話の有無にかかわらず、いい米をつくるためにはどうすればさらにより政策的なものが強くにじみ出せるかというようなことで、そのやり方、幅等につきましては私の責任においてつくろうとしておるものでございます。
  91. 芳賀貢

    ○芳賀委員 しかも、政府から最近出されておる資料あるいは米価審議会に配付された資料の中にも、前段にそういう経過が書いてあるのですよね。この資料というのは農林水産省から出したわけですから、もうこれは議論の余地がないのですよ。去年の米価決定の際に、時の中川一郎大臣と与党自民党との間において合意されて、来年から品質格差なるものを生産者米価にも導入する、それも減額I、減額IIのような形で、その分はことさら基準米価より下げるという発想の上に立っておるわけだから、以下この点について具体的な質問をいたします。  そこで、政府の買い入れた保管米を米穀の卸売業者に払い下げる場合の安売りの中に、昭和四十七年から減額I、減額IIの安売り規定があるわけです。すなわち、減額Iは二百円安、減額IIは六百円。この減額Iないし減額IIの対象地域というのは、ほとんどが減額Iの場合には東北の青森県、減額IIの場合には北海道ということになっておるので、結局、先ほど四名の参考人諸君の意見の中においても、これは地域格差あるいは産地間の格差というものを不平等にするような大変な悪い制度であるというようなことが率直に述べられたわけでございます。  そこで、これを考えて実行しようと当局は準備を進めておるわけでございますが、一つは、生産者米価にこの減額の価格導入した場合に、それがいま言われておる米の消費拡大につながるかどうかという点はどうですか。できるだけ答弁は簡潔にしてください。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席
  92. 澤邊守

    ○澤邊説明員 品質格差導入いたしますのは、良質米中心といたしまして需要が多様化しているのにあわせて生産流通を誘導していくということでございますので、当然いい米をできるだけつくっていくという政策の一環でございます。全体の中で消費の少ない低質米の生産が減り、比較的いいものの生産をふやしていくということでございますので、消費者需要の動向に即することでございますので、それで直ちに何万トン消費がふえるということは言えませんけれども、少なくとも消費の減退傾向に少しでもブレーキをかけ、ひいては拡大に資する面があるということを期待いたしております。
  93. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは消費拡大には全然つながらぬわけですね。いまの長官の発言は、結局北海道ないし青森県の米作をやめさせる。やめさせればそこから生産が起きないわけだから、他の地域で米の生産をその分だけ維持すれば、結局まずい米といって農林大臣先頭に立って宣伝しておるわけですが、そういう米の生産が東北の青森県や北海道からは完全に消滅をする。それを期待して第一段の施策としてこの品質格差導入する、正直に言ってこういう考えですね。
  94. 澤邊守

    ○澤邊説明員 消費の動向自体が品質のいいものを選択するという傾向になっておりますので、選択のない、品質の低いものの生産をやめていくということになりますれば、消費がそれだけふえるという方向に資するというように考えております。  なお、北海道とか青森とか例を申されましたが、そういういわゆるやや品質の劣るものをつくっている地域におきましても、なるべくいい品質のものに転換をしていただくという努力は期待しておるわけでございます。
  95. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは現在つくっておる北海道や青森の品種は、品質の面から言うと適合しない。それでは、それにかわる品種ですね。優良な品種というものはどういうものを選択しろ、どういう品種をつくりなさいと、その用意はあるわけでしょう。北海道、青森において現在耕作している品種はほとんどもうだめだ、こういうものをつくってもらっていては困る、しかし、これにかわってこういう品種を選択して耕作をしてくれれば、これは決して全国どの生産地にも劣らぬだけの良質米が出るから、ぜひそうしてくれというのであれば、これにかわるべきものを、北海道とかあるいは青森県に農林省として自信を持ってこの品種というものを、長官からでもいいし、またあなたわからぬければ、その方の担当局長でもいいですよ。
  96. 澤邊守

    ○澤邊説明員 私ども、北海道とか青森の一部地域品種すべてを四類とか五類に区分するという考えを持っておりませんので、北海道で申し上げれば、たとえば巴まさりとかあるいはユーカラといったようなものは第五類に分類する必要がないというようにも考えております。各道なり県なりでそれぞれ品質をよくするための品種改良、それの普及という努力をされておりますし、今後もされるわけでございますから、農林省といたしましてもそれに対して指導なりバックアップをしていくということは今後やっていきたいというように考えております。買い入れ価格が同じでございますれば……(芳賀委員「簡単でいい」と呼ぶ)いいものも悪いものも同じでございますれば、いいものに転換をしようという努力が農家からはなかなか出にくいという実情もございますので、価格差を設けることによってよりいい品種農家転換の努力をしていただく、こういうことを期待しておるわけでございます。
  97. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほど参考人の北海道出身の岡本栄太郎君から意見が述べられたのは、北海道の場合、現在、以下六品種を農林省も奨励し、また北海道も耐寒性のある安定的な品種ということで奨励をしていると意見を述べているわけです。ちょっと書いておいてください。すなわち、ゆうなみ、イシカリ、ほうりゅう、ユーカラ、マツマエ、巴まさり、この六品種で北海道の米の生産の九〇%が、農林省が真っ先にぜひこれでやってくれというものが九割あるわけですね。これをやめさせるというなら、これにかわるものがもう用意されておるわけですか。
  98. 北野茂夫

    ○北野説明員 現在、北海道では、ただいま先生が申されましたようなものが奨励品種になっておりますけれども、今後のものとしましては、北海道では北部限界地域の良質耐冷性品種としては、はやこがね、これは昭和五十二年に登録になっておりますが、それから中央部のイシカリ、ゆうなみの一部にかわる良質品種としてキタヒカリ、これは昭和五十年に育成されておりますけれども、こういうものが北海道における今後の優良品種として考えられております。しかし、銘柄決定に至る段階には流通段階等の評価等がいろいろございますので、これが直ちに優良といいますか、品質格差の上位のものにすぐ格づけされるかということは一概には申されませんけれども、試験研究段階におきましての品質は従来のものに数等まさるということで、さしあたりはこういうものがかわっていくであろうと考えられております。  それから、さらに将来の問題としましては、巴まさり等にかわるものといたしまして渡育二百十四号というものが道南において非常にいい品質であるということが、現在、試験研究の段階で言われております。  以上でございます。
  99. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、北海道や青森県の米作を全滅させるのでないというのであれば、いま説明のあった従来品種にかわるべき品種が全面的に普及するまでの時間的余裕というのがどうしても必要になるわけですね。ことしは春にもうまきつけしちゃってから、いまごろいきなり、ことしとれるものはだめなんだというのは余りにもあわて過ぎで、そうやってもほかに売る場所がないのだから政府に持ち込んでくるわと、農業をなめたような考えでこういう重大問題のある品質格差導入を考えていることは、十分に考え直して再検討する必要があると思うのですよ。しかも、こうやれば消費拡大につながるというのであれば話がわかるけれども、政府米の払い下げについては昭和四十七年、もう七年も前からやっているのですよ。  そこでお尋ねしますが、政府の保管米の払い下げの行方というものは一体どうなっているのですか。たとえば、昨年の十二月末に消費者米価を若干上げましたが、一番消費の多い一般非銘柄については、これは標準価格米の原料として使う。一般非銘柄だから普通米ですね。普通米の一等、二等についてはこれを標準価格米の原料として精白して、小売指導価格については十キロ当たり三千百二十五円にする、これは大体わかるのですよ。それでは減額I、これは一万四千九百三十二円の払い下げ価格でございますが、これを政府から卸業者に安売りで払い下げるところまではわかっておりますが、それから先、減額I、減額II、つまり二百円安、六百円安の米はどういう経路で搗精業者が搗精をして小売業者がどういう形で消費者である国民に対して販売をしているのか、その流れを具体的に述べてもらいたいのです。
  100. 澤邊守

    ○澤邊説明員 現在いわゆる減額米につきましては、産地におきまして一般消費者に配給をするために卸を通じて売却しているほかは、先般の売り渡し米価の引き上げまでの間は、主要な消費県、東京、大阪、愛知、京都等の主要な九都府県に標準価格米の原料として減額米を売却いたしておりました。したがいまして、政府がそれらの県におきまして卸売業者に販売いたしますと、配給計画に基づきまして小売業者に販売され、小売業者の店頭で精米をされる場合と、卸売業者の大型精米所において搗精される場合といろいろございますけれども、いずれにいたしましても、標準価格米といいますのは小売業者に常置、必ず備えつけるという義務を与えておりますので、小売業者の店頭で消費者が買いたいと思えば必ずあるというように指導しておりますので、当然、小売業者が卸売業者から必要な量を買う。その場合、九都府県におきましては、従来は減額米が二〇%ないし三〇%売られておったということでございます。今年の二月から売り渡し米価を上げました際に、消費者から良質米に対する希望が非常に強く、標準価格米におきましても品質をよくする措置を講ずべきであるという強い要望がございましたので、九都府県におきます減額米の標準価格米への混入につきましても、県の希望によりましては割合を減らしてもいい、あるいはゼロにしてもいいというような選択制度を設けたわけでございます。それに基づきまして現在は九県のうち五県が一般配給用には減額米を希望しないということでございますので、業務用は別といたしまして、一般家庭配給用につきましては混入しておりませんので、四都府県におきまして一般配給用に減額米を政府が売り、卸、小売を通じて店頭で標準価格米を常置するということで売られておる、こういうことでございます。
  101. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いまの長官の説明は間違いないですか。
  102. 澤邊守

    ○澤邊説明員 間違いございません。
  103. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうしますと、標準価格米原料については、まず一般非銘柄である普通米、減額しないで正規の価格で業者に払い下げをしているものと、減額Iの二百円安い分と減額IIの六百円安い分の一等米、二等米を全部まぜて標準米の原料にする。これは全部まぜるわけでしょう。まぜてしまう。普通価格のも安い価格のもみんなまぜちゃって、売る場合の小売指導価格というのは三千百二十五円、こういうことになるわけですか。——それじゃ、せっかく二百円ないし六百円安く払い下げても、普通米と同じ扱いをして混米をしてしまうわけだから、政府がある程度の損失を起こして米業者に払い下げをしても、消費者に対してはその差額のメリットは全然ない、こういう仕組みになっておるのですか。長官、答弁は簡単でいいから。
  104. 澤邊守

    ○澤邊説明員 標準価格米の中に減額米を入れることを選択にしましたと申し上げましたが、減額米を従来どおり入れている場合には三千百二十五円、全く入れない、五県と申しましたが、そういうところにつきましては、標準価格米の水準は三千百五十円といたしておりまして、その間、混入率に応じてその幅の中で差をつけるということで販売をさせております。
  105. 芳賀貢

    ○芳賀委員 末端消費者に対しては何らの利益もない、恩恵もない。これがいまの制度の仕組みですね。——いや、これは答弁要らぬです。そうなっているんだから、間違いないと言っているんだから。答弁し直すわけですか。間違いなければ座っていればいいじゃないか。
  106. 澤邊守

    ○澤邊説明員 先生のいまおっしゃったのはやや誤解がございまして、減額米を入れた場合は、従来どおり入れた場合は三千百二十五円、それから減額米を全く入れない標準価格米については三千百五十円で、差があるわけでございます。その間に、混入率に応じて三千百三十円もあれば三十五円もあるというような、減額米の混入率に応じて価格差を標準価格米においてつくっておるわけでございます。
  107. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それはどうして政府が食糧管理法に基づいてその消費者価格の告示をやっているわけですか。一般非銘柄米の一等米、二等米については、これを標準価格米の原料として使用して、精白された小売指導価格については精米十キロ当たりを三千百二十五円、これが指導価格内容ですからね。これは混入しなくたって、この価格小売をし得るんじゃないですか。あなたの言うのは、これに減額米を混入してもこの価格を下らぬということを言っているわけだからね。それじゃ、何も消費者に対しては、わざわざ政府食管の赤字が少しふえるかもしれぬが、やっても意味がないじゃないですか。——いや、まだ質問しますよ、もう一つ。  そこで、次にお尋ねしたいのは、食管法の第八条ノ二というのがあるでしょう、長官。大臣も見ておきなさい。農林大臣、居眠りしているのか。委員長、にやにやしてないで、顔が見えないから、確かめておいてくれよ、目をあいているんだか、寝ているんだか。  この食管法の第八条ノ二の米穀類の配給計画の指示という条項があるが、これはまだ生きておると思うのですよ、この条項は。恐らくこれに基づいて政府の直接買い入れ米、それから自主流通米もこれは国の管理米ですからね、これを国民生活の安定維持のために毎月農林大臣が配給計画を立てて、それを全国の都道府県知事に指示をする。指示を受けた都道府県知事は、これに基づいてまた自分の担当都道府県内における米の配給計画を実行するということになっておるわけです。この点はちゃんとやっているのですか。
  108. 澤邊守

    ○澤邊説明員 現在も実行いたしております。
  109. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうしますと、政府の保有米については、特に消費県ですね、消費県というのは、自分の県で米を生産して、県内自給ができないという場合には不足分を他県から搬入をする、こういうことになるわけですね。それから、完全な生産県というのは、まず自分の県で生産された米を腹いっぱい食べて、余りがあれば不足する消費県に対して供給をする。これが配給計画を策定する場合の基本原則であると私は食管法ができてからこれは理解しておるわけです。ところが、いまそれをやってないでしょう。  まあ時間を節約する意味において……。北海道と青森県は、これはもう完全な生産県でしょう。北海道の五百四十万の道民が幾ら腹いっぱい食ったって、まだこれは余るのですよ。北海道、三五%減反、転作をやらされても、皆熱心に生産努力をするわけだから、腹いっぱい食っても何も心配はない。青森県にしても、去年は全国一の生産のトップ県でありまして、六百十二キロ、全県平均の生産を上げておるわけだ。ここも幾ら腹いっぱい食ったって、よそから搬入する必要はない。  こういう県に対して、おびただしい政府の配給計画に基づく米が搬入されているのはどういうわけなんですか。どうしてそういう配給計画を立てて関係知事に指示をしているのですか。
  110. 澤邊守

    ○澤邊説明員 消費者の米に対する需要が、よりいい品質のものを選択するという傾向が進んできていることは、先ほどもお答えしたとおりでございます。そういう中におきまして、さらにまた現在のような需給が緩和から過剰というような状態のもとにおきましては、量よりはやはり質の面でも消費者の好みに合った配給をしていくということが必要でございます。したがいまして、北海道におきましても、自県産のいわゆる減額米だけをまず優先的に消費をするということになりますと、生産県でございますから、いい米が全く消費者に届かないということになるわけでございますので、道の希望も聞きながら、流通業者を通じてまた消費者の消費の動向、売りやすいものという点も考えながら、内地から自主流通米等の良質米を道内に搬入をしておることは事実でございまして、現在三十三万トンのうち十七万トンは道外から持ち込んでおる。これは配給面の量だけではなしに質におきましてもできるだけ全国的に公平といいますか、ということを期するという意味もございます。
  111. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですから、どうしてこういう配給計画を農林大臣に立てさせて、北海道知事とかあるいは青森県の知事に実行を迫っているのですか。おかしいじゃないですか。  これは食糧庁から出た資料ですが、昭和五十二年の産米の北海道における買い入れ量が六十九万トン。いいですか、これは同じ資料でしょう。そして、五十三米穀年度における北海道あるいは青森県の主食の需要内容というのは、まず政府米ですね、政府米の北海道産米ですね、これは道産米というわけですが、北海道で生産された米については、これは六万トンです。政府米が直接搬入された、道外米ですね、これが三万トン。それで政府米が九万トン。それから自主流通米は、これはほとんど全量の十四万トンが道外から搬入されてきておる。十四万トンですよ。それからもう一つは、予約限度の超過米というのを、これを政府買い入れ価格より大体一俵当たり四千円ないし三千円北海道の場合は安く販売するわけですけれども、この分がちょうど十万トン、北海道において北海道の産米の限度超過米が消費されておるわけです。これで合わせて三十三万トンでして、その内訳は、道産米、北海道で生産された米が十六万トン、北海道外から道外米として搬入された分が十七万トンという内訳になるわけですね。そのほか北海道から道産米が県外搬出という形で十一万トン出ていることは御承知のとおりです。それから、超過米も道外に二万トン出ておる、こういうような需給内容になっておるが、全国一の生産県である北海道に対して、消費量の半分以上を農林大臣が策定する配給計画を立てて、このとおりやりなさいというのはおかしいじゃないですか。こうなれば、まずいから余るわけじゃないですよ。こういうでたらめな交錯したような配給計画を知事に押しつけるから、いやでもおうでも道外米に圧迫されて余るのじゃないですか、よそから持ってきて押しつけるわけだから。倍食うわけにいかぬでしょう。ここにうまい、まずい以前の問題として北海道の政府米というものがなかなか消化されない、農協倉庫に満席になっておるというような状態を政府の配給計画の中でつくっておるわけですよ。こういうやり方は速やかに、毎月毎月農林大臣が立てる配給計画ですから、今月は間に合わないかもしれぬが、来月の八月分からはちゃんとやるべきですよ。品質格差なんという前に、食管法に基づいたちゃんとした国民食糧確保のための計画を立てればいいじゃないですか。何にもやらないで、母ちゃんに自主流通米の高い米を買ってこい、四千九百円ぐらいのを買ってくればうまいんじゃないかと、だんなである食糧庁長官がそんなことを言って、日本全体の米穀の配給計画がうまくいくはずがないですよ。  それからもう一つ、自分の県だけでは大事な県民に対して米の供給ができない、東京都なんかは全然生産がないわけですから、東京都の一千万人以上の都民には全部よその県や道で生産された米を供給してやらなければ、毎日毎日の生活ができないでしょう。これがいばってたんかを切って、東京都民は青森県や北海道の減額米なんかは食えるものじゃない、こういう状態が東京、静岡、京都、大阪、兵庫に農林省の指導によって行われておるでしょう。希望がなければ買わぬでもいいですよ、何も配給で与えるわけじゃないですよ、自分で判断をして選択をして、この減額Iや減額IIの米が必要ないというのなら何も供給はしませんよ、配給計画からあなたの言うとおりに除きますよ、こういうやり方を食糧庁が奨励することになれば、この減額米をまぜてもまぜなくてもこの標準米価格というのは同じなんですから、それじゃ味のまずいというところの減額Iや減額IIの米を入れない、そうして非銘柄米の普通米だけを原料として供給してくれということになるんじゃないですか。一体このぜいたくなことを言っている五県でどのくらい違うんですか、前の実績に比べて、昭和五十一年とか二年とか。ことしの二月からそういう通達を出しているでしょう。冗談じゃないよ。こういうことをやるから、当然政府が正当な行政努力で、全体の中のこれだけは北海道の米が行きますよ、青森県の米が行きますよ、これを戦後ずっとやっているわけだから、だれも文句もないし、不思議に思っていなかったんですから、これをわざわざ眠っている子を起こすような形で、米が余っているからまずい米は食わぬでもいいじゃないか、食糧庁も消費者は王様と考えていますからと、これは大臣がときどき言う口調ですけれども。こういうことをやれば、せっかく北海道や青森県において厳しい転作、減反の中で生産を持続して、そして、ほとんどが一等米を中心良質米品質の優良なものを確保しておる。これを自分の県以外に出せなくなるじゃないですか。出す道がふさがれるわけでしょう。そういう面から言っても、この北海道米とか青森県産米というものは出番を失っておるのですよ。  そこで結局、これはやはり在庫、政府米の不足という状態を現出しておるわけですね。だから、自分の県の中で、郷土で生産された米を食わせないようにしむける、余った分を他県に順調に搬出できないようにしむける、この大きな原因というものを二つ足せば、なぜ北海道の米が農協の倉庫に滞貨されておるか、青森県の米というものは在庫量が減らぬかということが明確になるわけです。こういう点は全部食糧庁の行政努力が適正であるかどうかということによって解決ができる問題ですよ。これをまず先にやらなければ、何でもかんでも北海道の米はまずいのだということで片づけるわけにはいかぬと思うのですね。こういう点はちゃんと改善することも当然必要だし、もうこういうことになってくるということをわれわれはわかっちゃったんだから、これは黙っているわけにいかぬですから、ぜひ農林大臣が食糧庁長官に厳重な命令をして、いま農林省の職場は何でも農林大臣が言えばはい、はいと言うことを聞くと思うのですよ。青嵐会の出身の中川一郎君のときもそうだし、いまの渡辺さんもそうだと思うのですよ。こういう点を全体をながめて、農林大臣として、品質格差を言う前に、自分の大事な農林水産省内の責任ある人たちに十分な指示を与えるべきだと思うのですよ。この点はどうですか。
  112. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 芳賀委員の言うことは、法律論を言えばそういう議論があります。ありますし、もう一つは、その議論は北海道では通用する議論だと私は思います。しかしながら、現実の問題として米がこれだけ余っておるというときに、おまえはこの米とこの米の抱き合わせしか食ってはいかぬよということを政府がやるということは、言うべくしてこれはなかなかできないのです。たとえば、備蓄をしなさい、備蓄をするということは古い米から順々に食いなさいということが備蓄をしなさいということですから。ところが、米がこんなに余っているのに何でおれに古い米を食わせるのだ、新米をうんと食わせろというのが一般の議論でございます。したがって、食管法の問題が、このような米過剰という状態になると、なかなか法律の精神といいますか、そういう思想で貫くということは実は非常に問題がございます。したがいまして、北海道の米を抱き合わせでみんなに食わせれば売れるじゃないか、みんな平等にと、その議論はよくわかりますけれども、現実にそういうことを強行するということは、この米過剰状態の中で、しかも消費者サイドから見れば非常な不満が出るわけであります。また、北海道は生産地ですから、本当は内地から米を全然送らなくても優良な米もとれるのだし、北海道だけでまずつくったものを自分たちで食ってくれ、そして残ったものは内地の方へどんどん売ってくれ、これも私は一つの議論だと思いますが、札幌初めたくさんの観光地もございますし、そういうようなところで内地の米は入れちゃいかぬ、これは政府の権限でやってできないことはありません。確かにできます。できますが、これは北海道の中でも、北海道の住民は北海道の米以外は食うなということを政府が言うということは、法律上はできますけれども、実際政治の場においては不満が出まして、それでなかなか押し切れるものではないのだということも御了解いただきたい。農林省は、生産者立場からだけで行政はできないのでございます。
  113. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大臣、そういう未熟な議論を私はしているのじゃないですよ。政府の行政というのは何を基礎にして運営されておるかということになりますね。法律上はそうですけれども、そんなわけにいかぬということで何もかも扱ったら、全く無秩序な無政府主義状態になるのじゃないですか。やはり制度とか法律というものを踏まえて、十分気をつけて国民のためになるような運用をしなければならぬが、こんな法律があるのはもう時代に合わぬとか、こんなことは別に考える必要はない。  そこで、あなたは、何か言い出すと、北海道の米はまずいと言っておりますね。北海道で生産された政府米、単品の道産米を搗精をし、白米にして、そうして東京だろうが大阪だろうが、道外消費県にそれを供給して、これは有害な米だとか有毒な米だとか、口に入れたらこんなの全然食えないという実例がありますか。いまだ全部混入米にしているわけですからね。まぜるということは、北海道の米というものはその特徴を失ってしまっているのですよ。これは米屋の利益だけに悪用されておるわけですからね。単品でだめだということはないのじゃないですか。長官、一体どう考えているのですか。
  114. 澤邊守

    ○澤邊説明員 標準価格米の中に減額米を入れることにつきましては、現在九都府県の中で四県やっているわけでございますが、これももちろん混米をしているわけでございまして、一般の非銘柄米の中に減額米を一部入れているということで、減額米が全部であるというような売り方はしておらないわけでございます。ただ、一部業務用等におきましては、少しでも価格の安い方がいいというような店もございますので、そういうようなところでは減額米を多量に使っておるという例はございますが、大口需要なり営業用なりあるいは家庭用、それぞれの需要に応じて流通業者が買っておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  115. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の聞いておるのは、産地が明らかな北海道なら北海道の産米を、品種にしたって、北海道産は優良品種としてつくっているのは六種類しかないわけだから、生産地に責任を持たせる意味において、これは北海道産のこういう品種の米でありますと、その米だけを精白して、ちゃんと袋に入れて、大袋でも小袋でもいいですが、そうして自信と責任を持って、これが北海道の白米ですからぜひ食べてくださいということをやらないのでしょう。やる気がないのじゃないですか。できないという根拠がないじゃないですか。法律のどこに一体根拠があるんだ。食管法のどこどこでこれはできないことになっておるということであれば、その法律を直さなければならぬが、現行制度の中でそれはできるということであれば、そういうこともやはり実行する必要があるのじゃないですか。そうやってみてもなかなかうまくいかぬという場合には、また頭を働かして次の方法を考えればいいわけであって、これをやらないのは何か理由があるでしょう。一体どういうわけなんだ。
  116. 澤邊守

    ○澤邊説明員 一般に米の場合は、ブレンドする、混米をすることによりまして品質を平準化する。低質なものを単品で食べるよりは、良質なものあるいは標準的なものとまぜるということによりまして品質をならしていくということは、コーヒーとか酒の場合と似たようなことが言えるわけでございますので、私どもは、単品でいいものであれあるいは品質の劣るものであれ、単品で売ることを何も禁止はしておりませんので、それはそういうものが売れるという地区におきましてそういう売り方をされるということについて何ら禁止しておるつもりはございませんけれども、いま言いましたような混米によって品質を比較的よくする、ならすというようなことが、売りやすい、消費者も好むという面が多い商品でございますので、一般的にはそのような売り方をしておる。ただ、一部業務用等につきましては品質よりも価格というような要請の強い場合がありますので、単品で減額米だけを売っておるところも一部にはあるわけでございます。
  117. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これをやるために、米生産者の団体である農協、これは食管制度からいけば米の最大の集荷団体でしょう、まあ全集連というのがありますけれどもね。だから、この集荷団体が、自分の町村、自分の県で生産されて政府の代行機関として集荷した米を、搗精施設をちゃんと近代的なものに完備して——これは食糧管理法施行令の第五条の三に搗精業者の登録制というのがあるわけでしょう。これは集荷団体である、生産者団体である農協に近代的な搗精施設を設けさせるとか、産地でちゃんと白米にして、その中で食糧事務所の出先の検査官も、たとえば上川の剣淵町の私のところでとれた米、これを農協の搗精工場で精白をして、できた白米に対して農林省がちゃんと検査の証印を押して、そして堂々と北海道はもちろん、内地の東京であろうが、これは渡辺さんの栃木県でもどこでも構わないですが、とにかくみんなに食ってもらわなければわからぬじゃないですか。単品の米を食わぬで、まずい、まずいとみそもくそもごっちゃにして混米の材料にさせられて原形がわからぬようなのに対して、北海道の米はまずい、こういうやり方は、もう戦後三十年とは言わぬが、最近これがあたりまえというように横行しておるわけですね。  品質格差なんというものは、あした米審に諮問することはぜひさらっとやめて、いま指摘をしたような点について、あなたはいつまで長官だかわからぬですが、ここ一年間ぐらいは大臣の指示のもとに食糧庁長官として、在職中とか、また後継者が出たって、鋭意そのぐらいのことをやらなければいかぬじゃないですか。北海道の米を食えば、風雪に耐えて、剛健な民族がますますこれは繁栄できる。こういうものをそっくりそのまま食わせないでおいてまずい、まずいと言うから、へなへなした国民しかできないのですよ。北海道の百十年の歴史の中で、全国一の米の生産ですね。数量においても大体全国で五番目ぐらいになっておるわけだから、何ぼ減反、転作なんて言ったってますます馬力をかけてつくるわけだから、そう全滅させるというわけにいかぬですよ。  それから、生産者米価についてはあした試算が出たら質問しますが、この買い入れ、売り渡しの中で、今度は去年までやった銘柄奨励金というのはことしからなくするわけでしょう。その指定四百円、特例二百五十円、これはなくしてしまうわけですね。そうなれば、払い下げ下限の五等級の逆導入ということになれば、指定銘柄は千五百円高く売っているでしょう、払い下げの場合には。特例銘柄は八百五十円高く売っているわけだから、それは高く売った分はやはり生産者良質米の奨励の意味においてそっくり基準価格に加算するという考えなんですか、逆に導入するというのは。この点だけはっきりしてください。
  118. 澤邊守

    ○澤邊説明員 品質格差導入に伴いまして、第三類であります標準的なものに比べまして一類、二類はそれぞれ一定の格差で高く政府米として買うわけでございます。その場合の格差は、先ほど申しましたように、従来の銘柄奨金等の単価等との連続性も考えてやりますので、一類については四百円、二類については二百五十円というような格差を上に開くわけでございますので、水準がどうなるかによって変わりますけれども、去年の例で申しますれば銘柄奨励金と価格とを加えたものとほぼ同じようなものが一類についてはいく、二類についてもいく、こういうように御理解をいただきたいと思います。
  119. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。ことしからやめるということを去年もはっきり言っているし、農林省もはっきり言っているでしょう、銘柄奨励金、指定銘柄については四百円、特例銘柄については二百五十円、これは必ず廃止しますと。廃止するわけでしょう。廃止するとすれば、とにかくそういう米については千五百円ないし八百五十円高く売っているでしょう。高く売った分だけ今度は買い入れ価格の中にそれを合算して、指定銘柄については基準価格よりも千五百円高く買います、特例銘柄については八百五十円高く買います、こういう発想でやるというのでしょう。
  120. 澤邊守

    ○澤邊説明員 銘柄奨励金は廃止をしたいと思っておりますが、三類を基準にいたしまして、先ほど言いましたような銘柄奨励金の単価を基準にいたしまして価格として加算されるわけでございますので、水準いかんにもよりますから、水準のことを申し上げる段階でございませんので、昨年の価格で考えますれば、銘柄奨励金を廃止いたしましても一類に属するものは銘柄奨励金を加えた昨年の額とほぼ同じである、こういうことにするように検討しておるわけでございます。  なお、売り渡し価格の千五百円と私申しました、一類で申し上げれば千五百円高く売ることになるわけでございますが、買い入れ価格の四百円というのの不均衡につきましては、これは逆ざやがございますので当然売り渡し価格買い入れ価格格差額には差が出るのはやむを得ないというふうに思っております。
  121. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それはおかしいのじゃないですか。とにかく売り渡し価格格差というものを今度は買い入れ価格に逆に導入しましょうと大臣もあなたも言っているわけでしょう。それじゃ、良質米については千五百円ないし八百五十円高く売っているのだから、その分は生産した生産者から、価格に合算して、算入して高く買ってやればいいじゃないですか。そんなところで逆ざや解消なんというのは全く余りみみっち過ぎるのじゃないか。そんなみみっちい大臣じゃないとぼくは思っていますけれども。何ぼ計算に強くても、それじゃ結局もうけるのじゃないか。千五百円高く売って四百円しか出さぬということになれば一俵で千百円もうける。これで逆ざや解消になります、こういうけちな了見だけでは行政できませんよ。どっちかに統一したらいいのじゃないか。四百円しか合算できないのなら、払い下げの場合四百円にして、そうすれば、安く売れば何ぼでも米じゃんじゃん売れてしまうのじゃないか。そういうことをちゃんと冷静に考えてやってもらわなければ困るですよ。しかも、そういう問題を全部あしたの生産者米価決定の中でその中に織り込む、ここがいままでと違うわけですからね。  最後になりましたが、大臣に申し上げますが、ことしはぜひ品質格差導入は、これは暴挙ですから、何も好んで火の中に飛び込む必要はないと思うのですよ。これは信頼するわが渡辺大臣として十分慎重を期して、そういう悔いを残すような暴挙はやらぬようにしてもらいたい。  それから、米の算定については、去年も必要量でやったところが前年度価格より七百十一円下がってしまったのですね。そこで、中川農林大臣がびっくりして七百十一円をそのまま補正額ということでもとに戻してしまったものだから、それで前年同様据え置き。前の年の平均生産費でやればそれよりも百三円さらに高くなったわけですね。これは買い入れ価格に入れるわけにいかぬということで、三円の端数を削って、そして転作生産調整完遂農家政府売り渡し分については百円の奨励金を出します、そのほかに完遂農家に対しては十アール、一反当たり三千五百円出します、これは政府もちゃんと約束守ったわけですけれども、そういう経過があるから、またやってみて千円も下がったなんてびっくりして、いや、またもとへ戻す、据え置きにする、そういうばかげたことはもう絶対やらぬようにして、少なくとも農林省の生産費の結果も、先ほど柳井部長から説明を聞きました。十アール当たりの生産費は九・八%上がりました、しかし異常の大豊作でございまして、六十キロ当たりの生産費は五・五%でございます、こういうことも聞いたわけですから、そういう点も十分に勘案をして、諮問米価、試算米価は、ことしは渡辺大臣として、あなたが大臣になってから今回が初めてですから、次官時代とかベトコン隊長時代大分やったけれども、こういう点を注文として申し上げまして、きょうの質問を終わります。
  122. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 野村光雄君。
  123. 野村光雄

    ○野村委員 いよいよ五十四年産米米価の決定時期を迎えまして、私は最初に渡辺大臣に率直にお尋ねをしたいわけでございますけれども、午前中も生産者団体の代表の方々の参考人意見の聴取もございました。また、先ほど来の質疑の中でも大きな課題になっております、特に本年度抜き打ち的というような立場導入しようといたしております生産者のお米の品質格差導入問題、これは私も北海道選出の一人といたしまして最大関心を持っておりますし、ぜひこれは大臣のこれらの経緯なり真相をただしてみたい、こんなことで最初に御質問するわけでございますけれども、私が申し上げるまでもなく、こういう重要な課題は何といっても生産者の協力なくしてはできない課題なんだ。こういう重要な品質格差導入というものは、午前中の参考人のいずれの意見表明の中からも反対の意思表明が出ております。こういう問題を農民と運命をともにしていかなければならない農林大臣が、もっと事前に胸襟を開いて話し合いをしてくるべきでなかったのか、こういう点に対して、実質的な話し合いがなされた上でこういう方針を打ち出したのか、この点をまず率直に、経緯に対して大臣からお答えをいただきたいと思います。
  124. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 この品質格差の問題につきましては、名前は品質格差ですが、銘柄格差と言っても大体同じような話なんです。こういうものの差はつけるべきである、こういうことは自主流通米時代からの話なんです。きのう、きょうの話ではないのです。自主流通米を発足させるときに、すでに自主流通の値段というものを、それを見て政府の買い入れ値段に入れるべきではないかというときからの話なんです。ともかく、それについて具体的に去年の米価決定の際に、大臣談話というものが出たのであります。  その後、検討をしてまいりまして、私も就任以来、やはりうまい米とまずい米と同じ値段をつけておくということは、今後うまい米をつくる運動を起こす上においても、どうもそれは思わしくない。したがって、結局品質の、うまい米、まずい米というのは語弊があるかもしれませんが、好まれる米、余り好まれない米と言ってもいいですよ、そういうものには差をつけるべきだ。また、地域によっても、優良米をこしらえておる方々からも実はかねがねそういう話はあるのです。したがって、私は、国会における予算委員会等におきましても、やはり優良米というものとそうでないものとでは、これは差があってしかるべきであるということは再々この春以来答えてきておるわけであります。最近に至りましては、具体的問題について農業団体とも話をいたしておりますが、真っ向から反対というのではなくして、慎重にしてほしいというようなお話は聞いております。おりますが、これもやはり全体的に見ると、品質がよくて売れ行きのいいものとそうでないものとには多少の差があるのは当然だというのが大多数の考えであるというように私は考えております。
  125. 野村光雄

    ○野村委員 大臣のいまの御答弁を聞きますと、きょう生産者の方々が来ておりますので、これは責任持って答弁してもらわないと。私、午前中も参考人の方々に申したことでございますが。  そうすると、生産者各団体の代表とはすでに話し合いをちゃんとしてきたんだ、ただ余り唐突としてやってくれるな、この程度であって、これはうまくない、こういう意見はなかった、こういうふうに皆さん聞いていますけれども、私もいまそういうふうに聞いたわけです。私は、どうも先ほどの意見表明の方々の意見と若干食い違いがありますから、この点をもう一回確認をしておきたいということと、もう一つは、御存じのとおり、昨年、等級格差が二倍になりましたね。この二倍に拡大した最大の理由は何なんだ。この理由の一つに、品質よりも銘柄に重きを置いて等級格差を二倍に拡大したんだ、これが第一点の理由。第二点には、精米並びに精製技術の向上並びに保管、運送、売買の簡素化、こういうことが等級格差を二倍にした理由なんだ。等級格差において、いま言った銘柄米の等級をつけるときにすでにちゃんと差別がつけられている。私は、具体的に言うと、それでは北海道産米の一等米でも、またササニシキと称するお米でも三等米は出ると思うのです。三等米であっても、ササニシキという銘柄さえついておれば品質格差によって高い値段がつけられる、こうなるのでございましょうか。  この二点についてお尋ねをいたしたい。
  126. 澤邊守

    ○澤邊説明員 昨年、等級整理をいたしまして、五等級を三等級に直したわけでございます。旧来の一、二等というのはほとんど量も少なくなっておりましたし、簡素化という意味も含めまして、三等級制に改めたわけでございます。その際、格差も是正をしたわけでございます。等級といいますのは、主として物理的な性状、水分だとか粒の大きさとか粒ぞろいとか、あるいは被害粒が入っているとか入っていないとか、あるいは光沢とか、そういう物理的な性状を基準にした一種の品質と言えると思います。  今度私どもがやろうといたしております品質は、むしろ食味につながる銘柄格差というように言っていいのではないかと思うわけでございますが、同じ銘柄の場合には、等級がいいほど一般的には味もいいということがございますが、銘柄が違いますと、等級が上だからといって、銘柄が劣るものについては、必ずしも他の優良銘柄の二等よりもいいとは言えない場合があるわけでございます。等級も全く食味に関係ないとは申しませんけれども、主として産地品種銘柄による品質差が大きいというのが現状でございます。
  127. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 これは非公式な話し合いですから、私は具体的なことは申し上げませんが、個々の話はいろいろ聞いているわけです。農民の中でもいろいろございまして、隣のうちは多収穫をつくっている、それから隣のうちは優良品種銘柄をつくっているという場合もあるわけです。個々の人によってそれはみんな違うわけです。しかし、全体から見れば、やはりいいものは高く、それよりも好まれないものは安くということは、これは米ばかりでなくて、牛乳でもリンゴでもミカンでも野菜でもみんなそういうことになっているわけです。したがって、すでに現在、米が非常に過剰になって余っておるといっても、年間に一千百万トン、大部分の米は消費されているわけです。したがって、残らない米は残らないんですよ。残る米は残るんですよ。大体そういう傾向なのです。したがって、どんどん消費される米をつくっている方は、その米の方が、やはり好まれないものよりも多少高くたってあたりまえだと思いますしね。そうでしょう。したがって、私は、そういうような市場の原理というものを入れてやった方が公平だ。やはりいい米をつくるにはそれだけの苦労が必要なわけですから、病気にかかりやすいとか倒伏しやすいとかというようなものも、そうでなくて、非常につくりやすいが、多収穫だが味が落ちるというものも、一俵は一俵で同じ値段ということは、これはいかに政府買い入れの価格といえども余り実際的ではない。したがって、そのこと自体は悪いことであると言う人は余りいないのですよ、全体として。私は全体で見ておるわけですから。個人個人、あるいは地区とか個人とかということになればいろいろな議論があります。ありますが、全体とすれば、やはり苦労して収穫の余り上がらない、病気にかかりやすい、そのかわり人からうんと喜ばれるというようなお米は高く、そうでなくて、手数的には比較的機械化になれておって、安いコストで上がるというようなものは多少差があってもいいというものを私は常識ではないかと思っておるわけでありまして、突然、これがびっくりするような話でも何でもない。また、今回も、うんとえらい開きを突然につくったということになれば、それは激変緩和措置を講じなければならぬけれども、それほど極端な値開きというものを考えたものではないので、私は、別に突然出てきた新しい発想だというようには思っておりません。
  128. 野村光雄

    ○野村委員 大臣、私の聞いておるのは、農家の一人一人というと反対も賛成もある。少なくとも大臣がこういう基本的なものを相談するとなれば、農民一人ずつと相談するというわけにはいかないのです。当然、先ほど意見聴取に出た全国農業協同組合中央会の最高幹部でありますとか連合会最高幹部でありますとか、こういう人と話し合ってきているのかということで私は言っておったわけです。一農民ということじゃない。こういう最高の人たちから先ほど非常に反対だという意見があった。しかし、大臣から言うと、もうすでに基本的に話し合いがあらあらついて、特別反対ということでもなかった、こういうところにどうも私たちはどっちの言うことが本当だかわからない。きょうお見えになっている傍聴者の方々も確認したいだろうと思うから、私はこの点を言っている。一農民の意見ということではないのでありまして、こういう方々もすでに基本的には反対でなかったのだ、こう受けとめてよろしいのかということを確認しているわけです。  それから、食糧庁長官、私は、三等米でも銘柄米の場合はいまの品質格差で優遇を受ける、一等米でも銘柄米に入っていないものは味が悪いとみなされる、これを端的に聞いているんであって、あなたの答弁から言うと、銘柄米であればたとえ三等米でも味はいいということになっているから高く買うんだ、こういうようにとるわけですよ。
  129. 澤邊守

    ○澤邊説明員 私、先ほど申し上げましたのは、一、二等の関係で申し上げたつもりだったのですが、あるいは表現が間違ったかと思いますが、三等につきましては、いわゆる優良銘柄米と言われるものにつきましても格差を設定はいたしません。
  130. 野村光雄

    ○野村委員 何等米をつけるのですか。
  131. 澤邊守

    ○澤邊説明員 一、二等でございます。
  132. 野村光雄

    ○野村委員 それから、基本米価の問題で大臣にぜひ一点だけお尋ねをしたいわけです。  これはもう大臣、耳にたこのできるほど、ことしの生産者農協系統価格も二系統に分かれておりますけれども、一応一万九千三百八十二円、こういうことを盛んにいま農家要求していらっしゃることは御存じと思います。農林省の五十三年産米生産費から見ましても、六十キロ当たり五・五%生産費が上昇している。こういう中で、聞くところによりますと、大臣は基本米価据え置き、こういう考えを持っていらっしゃるようでございますけれども、少なくても、このささやかな生産者の一万九千三百八十二円、これは大臣としてやはり十分考慮に入れて要求にこたえるべきでないか、私はこう考えますけれども、率直な御意見を大臣からひとつお伺いをいたします。     〔山崎(平)委員長代理退席委員長着席
  133. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 仮に生産者米価を引き上げろということは、消費者米価も引き上げろという話だと私は思います。現在の財政事情の中で、一方では、逆ざやは解消しなさい、増税はするな、公債はインフレになるから発行するなということでは何もできないわけでございますから、仮に生産者米価を引き上げると仮定すれば、消費者米価もそれ以上に引き上げなければ食管の運営はもうできないという状態になってしまっているのです。そして、その一方、これだけの過剰の、コストで一兆六千億円という、所得税の納税者一人当たりにすると約五万円の負担を持たなければならない、過剰米処理だけでも。そういうような非常状態の中ですから、さらに過剰生産では、食管自体がもう終わりというところまで来てしまっているわけですよ。それは困るのだと皆さんがおっしゃるし、われわれも食管の維持ということを最優先に考えていかなければならぬということになれば、過剰生産に対して、もっと、何といいますか、多いところの生産調整も来年はやらなければならないのじゃないかというほどの厳しい局面にいま立たされておるというときに、消費者米価を大幅に上げてそれで消費拡大を図るというようなこともできないということになりますと、理屈はいろいろありましょうけれども、現実の問題として、生産者価格を政治的に細工をしてこれを値上げをするというようなことはできる状態ではございませんということを私はかねがね言っておることであって、やはり食管制度を維持してもらいたいということを最優先に考えるのがいいのじゃないか、これが長生きできるようにすることがいいのじゃないかというところに重点を置いて考えておるわけであります。
  134. 野村光雄

    ○野村委員 大臣、わかりました。  私は参考に申し上げますけれども、ある調査で、消費者が現在の食生活に対して——御存じのとおり、お米の占める割合は年々低下してきている、これをどうやって拡大しようか、農林省も一生懸命対策を練ってくださっている。そこで、ある調査によりますと、お米の値段が下がればいまよりお米を食べるのですか、こういう調査に対して、ノーと答えた人が六八%いる。お米の値段が上がることによってお米を食べるのがいまと変わるのか。変わらないと答えたのが七〇%。すなわち、価格が消費の動向に影響しない。むしろ、一部には、米は現在主食として考えてないという傾向が出てきている。こういう中で、現在の国民の食生活というものは、単なる米を食べてくれだけではふえない。すなわち、食生活が本質的に変わってきたのだ、こういうところに今後の消費拡大政策を根本的に見直していかなければ、おいしい米だから消費が伸びた、価格が安くなったから伸びる、こんな実態ではないんだということを大臣は参考的に知っていただきたい。  そこで、私はもう一つ、大臣にこの際、時間がございませんから重要な課題としてお尋ねしておきたいことは、大臣は、昨年より向こう十カ年にわたりますところの水田利用再編対策、御存じのとおり、ことしは二年度目でございまして、少なくても昨年この水田利用再編対策の当初の計画実施に当たりまして、さしあたりこの三年間は、農政の上からいってもこの減反政策は固定するんだと言って公約をなさいました。その口も乾かない先に、いま聞きますと、渡辺農林大臣は明年から生産調整の目標を再検討しなければならない、こう言い出されました。そうすると、あれまで、少なくとも向こう三年間は農政上公約すると言ったこの需給見通し計画の策定に大きな誤りがあった、こういうことでこういうことを考え出したのか、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  135. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私の就任前から一応の三カ年計画がつくられて、それでやることになったわけです。そこで、私もそれを踏襲するということを言ったのは間違いありません。そのとおりであります。しかし、現実には、それじゃ甘いのじゃないか、むしろ農業団体の中でも、やはり過剰累積になっていけばこれは食管そのものがだめになるわけですから、それは困るのだ、ですから、そのことよりも食管が維持できるようにしてもらいたい。そのためにはわれわれ農民も自発的に、政府から言われなくても一〇%上乗せをするだけの努力をしようということで、ことしも努力をしてくれた。そういう時期に当たって、それは農業団体は自主的にやってください、政府はそれよりも下でいいのですというばかりは言っていられないのじゃないか。政府もともに責任を持ってやるのがあたりまえじゃないかと私は思うし、現実に現在の消費の動向を見ると、消費の問題ではちょっと見方が甘かったかなあ、神様でない限り実際問題としてわからないわけですね。ですから、それは見方が甘かった。三年前にそういうことを考えたのが甘かったと言われれば、正直な話、それは甘かったと言ってシャッポを脱ぐ以外にないのです。問題は、そういうような言ったとか言わぬとかどうとかということよりも、どうしたらば食管が守っていけるのか、どうしたら風通しがもう少しよくなるのか、そういう工夫をやろうじゃありませんか。  米はうまい米をつくったって食わないよ、安くしたって食わないよということになれば、それは全くメーファーズになってしまうのです、どっちも何もできないという話ですから。うまい米をつくったって始まらない、安い米をつくったって始まらない。どうすればいいのだ。手はないわけですね。私はそう思わないのです。まだ手があるのじゃないか。うまい米をつくれば——一千百万トン消費されておるけれども、どっちが消費されているかというと、うまい米から先消費されているのが現実の姿なんですから、やはりうまい米の方がまずい米よりも少しよけい食べるのじゃないか。また、うまい米の方がまずい米をつくるよりも収穫が幾らか少ないのじゃないか。ここらのところをもう少し考えてやったらどうなんだということになれば、そのこと自体がすでに消費拡大であり、そのこと自体が一種の生産調整なんです。  ですから、そういうふうにするからには、やはり売れ行きのよいものとそうでないものとに差をつけていくということは、一つの誘導政策上どんな農作物でもやっておることだし、これは理屈じゃなくてそういうような現実の実態を踏まえて農政をやっていかなければ、これはもう経済の問題ですから、やはり消費者の動向を尊重しながらそれに合わしていけば、値段は確かにおっしゃるように多少高くとも全体の生活費の中で占める割合が低いから、そんなことを言ってまたしかられるかもしれませんが、それほどの問題ではないと私は思うのです。思うのですが、消費者米価を上げろとなると、また大騒ぎになるのでしょう。これだけ余っているのに、何で上げるのだ。実際われわれは生活程度がこんなに高いのですから、少しぐらいのところ、ちょっとぐらいいいのじゃないですかと言って、私はことしの二月に上げさしてもらったのだ。私が言ったことでありますから、それも間違っている議論ではありません。だけれども、全体的にはいま私が言ったようなことで、要するに何とかこの食管の危機を切り抜けてまいりたい、こう思ってやっておることでございますということを御理解いただきたいのです。
  136. 野村光雄

    ○野村委員 大臣の言わんとすることはよくわかるのですが、大臣が一番御存じのとおり、五十三年産米、向こう十カ年の水田利用再編対策の当初に当たって、特に北海道なんか全体の三割五分の減反政策で、関係農業団体を初め市町村長はひとしおでない苦労をして農林省のこの実態におこたえをしたはずなんでございます。そのときにはとにかく向こう三カ年間違いないのだといって市町村長も農業団体の幹部も一生懸命説得したのです。ぽんと変わるのは変わっても、しかし、さっき言ったように抜き打ち的な感じを与えるのですね。一生懸命苦労して先端でやった代表者の立場になってみると、どうもこれは何か逆なでされたみたい、裏切られたような感じを持つわけであります。こういう農林省と農民とに何となくぎくしゃくした不信感が依然として次から次と横たわってくる。こういうことで、もっと率直に大臣は、深刻な実態をどうするかという同等の立場に立ってひざを交えながら下づくりをして、時期を見て一つ一つある程度の、一〇〇%までいかなくても了解の段階で発表していくという農政が必要でないのだろうか。こういう時代を迎えれば迎えるほどよけい農民の協力を得なければならないわけですから、対話が必要だ、こういう点に対して、今後の農政のあり方としてやはり大臣に反省していただく必要があるのではないか。これが第一点。反省なさるかなさらないか、ひとつお考えを聞きたい。  それから、時間がございませんので。先ほど触れておりましたけれども、今後の石油需給等によって経済の見通しが非常に変わる。こういうことで、当然米価に対しましてもその時期が来ましたときにはやはり米審を開いて見直しをする必要があるのではないか。こういう点に対してもう一回、これに対する考えをお聞かせをいただきたい。  それから、大臣にもう一つ。先ほども若干触れていらっしゃったようですけれども、大平総理がまた何か農民を逆なでするような、農村に対する税金を諸外国並みに上げなければならない、増税の意向を発表なさって、これまた農民の生活を逆なでするような、一国の総理大臣のおっしゃることですから、言ったらやるのでしょうけれども、担当大臣としてこれに対してどういうふうに認識なさっていらっしゃるのか、農民の側に立っての御所見を承りたい。  それからもう一つ、大臣、時間がございませんから。いまの石油情勢の問題は非常に緊迫いたしておりまして、私はこの間農業団体をあちこち回ってまいりましたら、これは農業協同組合で言っておりましたが、酪農地帯で牛乳の収集タンクローリー、これは定期的に回らないと牛乳が腐ってしまうのですが、油がないために定期的に回れない、こういう深刻な状態。雨が降り続いて、牧草も一番刈りをやりますけれども、その乾燥、自然乾燥ができなくてどうしても油をたいて熱風で乾燥しなければならない、しかし油が手に入らない。漁業者は漁業者で、A重油が手に入らなくて荷揚げした港から自分の港に帰ることができない。農漁業団体がいま油の不足で悩まされておりますけれども、こういう実態は、大臣の先ほどの答弁だと、油はそんなにまで心配する必要はない——ないと言ったって現実にこういうことが起きている。この実態の的確な調査と、出来秋をだんだん迎えて不安なく農漁民が生活のできるような具体策を講じていただきたい。  この四点をひとつお願いします。
  137. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私は、五十五年度の生産調整の目標を変更するとは言ってないのです。これは場合によっては、ことしの状況を見なければならぬけれども、変更しなければならないような事態もあるかもわからぬ、それぐらい厳しい状態でございますということを申し上げたのです。  それから、エネルギーと米価の問題で、物価高騰、狂乱というような事態を予想してあなたはおっしゃっておるのですが、われわれとしては、まず、そんな物価狂乱にならないようにしなければならぬし、物価狂乱になりますからこういうふうにしますなんというようなことを政府がいま言ったら大変なことになってしまう。そんなことは私は申し上げられない。物価狂乱にならないようにしなければならぬし、私はできるというように思っておるのです。ある程度は上がるでしょう。しかし、石油の上がった分だけは下がるはずがないのですから、そのためには、買い占め、売り惜しみというようなことがあったのでは、トイレットペーパー騒ぎのときのように、物はうんとあるのに石けんがなくなってしまった、ペーパーがなくなってしまった、後で気がついたら、何だ、みんなあったという話ですから、こういうことにはならないようにわれわれもみんなで自粛すると同時に、そういう悪徳な業者等については取り締まっていかなければならない。したがって、これは各省ともそういう事態がないように上から下までずっと——現在生産をされ、出荷されていることは間違いないのですから、そのとおり正しく流れれば下に何ら騒ぎが起きるはずがないのだから。ところが、現実にはそういうふうに部分的に起きている。それは私の耳にも入っています。私のところにもそういうことがあります。したがって、その原因を調べてそういうことの起きないようにしていかなければならぬ、こういうように考えておるわけでございます。それは一生懸命やらせてもらいます。  それから、大平総理大臣のきのうの講演の中で、私も新聞の見出ししか読んでおりませんが、何か税金の問題で触れておるようでございます。私は税金は所管大臣ではございませんけれども、しかし、農業者だけが税金が重くなるというようなことは考えてはおらない、かように思います。私も真相を聞いておりませんから御批評の限りではございませんが、私は、総理といえども考えておらないとここで断言しても差し支えないと思います。
  138. 野村光雄

    ○野村委員 いずれにいたしましても、米価の時期を迎えまして、農家が再生産に安心して希望を持っていける農政樹立のために、農民の声を謙虚な気持ちで受け入れていただきたい、こういうことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  139. 佐藤隆

    佐藤委員長 津川武一君。
  140. 津川武一

    ○津川委員 米価のことはあしたお尋ねするとして、きょうは品質格差導入一本にしぼってお尋ねします。  もちろん、私たちは品質格差導入は絶対すべきではないと思っております。しかし、仮に政府がやるとすれば、現在の売り渡し価格による減額I、IIが生産者米価でもそのまま四類、五類にスライドされていきますと、すでに植えつけが終わっておる五十四年産米で、北海道では限度数量が六十三万一千トンだから七十三億一千万円、青森県産米は限度数量は三十五万六千四百八十六トンだから、そのうち約八割が減額米でありますので、九億四千万円という収入減になります。これは生産農民にとってまことに痛い。しかも、これからは原油値上がり、生産資材の値上がり、いろいろな値上がりも予想されますので、減額される農民にとって重大な事態となる、こう考えるわけであります。  そこで、政府も急激な変化、打撃は避けると言っておりますが、これだけの収入減に対してどのように考えているのか、これをまず伺わせていただきます。
  141. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 いまの数字は正確ではないと思います。私の試算ではそんなにはなりません。それは上がるものもございますから、下がる方だけで計算すればあるいはそうなるかもしれませんが、上がる品種もありますからそんなにはならないだろう。それから、一戸当たりにすると、多いところもございますが、非常に少ないところもございます。  御承知のとおり、農作物においては、食管で守られているもの以外は、過剰生産になって余れば自動的に二割も三割も、あるいは半値というようなことはしょっちゅうほかのものはすべてあるわけです。しかし、これは食管で守られておりますから幸いにそういうようなことにはならない。その反面、食管を守っていくためには、いまのような状態を続けておったのではこれは守れないという状態になる。そこで、これはどっちを優先するかという政策上の優先順位の話ですから、したがって、私は、多少のことがあってもやはり食管を守ることに優先順位をつけていった方がいいのではないかということを考えて今回の措置をとることにしたわけでございます。  なお、すでに植えつけが終わったからということでございますが、それは一〇%も違うのだというようなお話でしたら植えつけ前にすべきだということだけれども、米価の決定というのはいつもいまごろやるという何十年来のならわしになっておりまして、あるときは三十数%も値上げしたこともあります。そんなに値上げをするんだったらもっと早く言ってくれたらいいじゃないかと言われましても、昔からいまごろ決めるというならわしになっておるものですから、したがって、今回は数%というごく少数の問題でございますので、実は米価決定のときの決め方で違いが出るよりもむしろ少ないぐらいのところでございますから、米価決定のいままでの時期にやらせていただいたということでございます。
  142. 津川武一

    ○津川委員 大臣がはしなくも言ってくれたので私も非常に質問しやすくなりました。北海道の減額IIのところをそのまま全地域六百円引いて五類にするといま挙げた数字になるし、青森県で減額Iのところをそのままそっくり四類にして二百円引くとあの数になるのです。大臣はそうならないと言う。これは非常におもしろい話で、うれしい話です。  そこで、現在青森県で減額Iになっている地域は八〇%、そこをそのまま適用しないということなのか。そうすると、大臣の言った数にならないわけです。そこいらがいま農民の非常に強い関心なんです。というのは、農民は自分たちのところの米が、大臣の言葉で言うとまずいと言われているので、これから抜け出そうと思って県全体として懸命だったのです。県全体としては、レイメイ、フジミノリ、シモキタなどの不評判の品種が四十五年でレイメイで六四・七%、フジミノリ一九・七%、シモキタで八・〇%、全体で九五・一%を占めていたが、何とかこの状態から抜け出そうとして農民が懸命に努力している。五十三年にはレイメイが三三%、フジミノリが一・七%、シモキタが九・一%、全体で四四・五%になっているのです。五十五年には一六・八%なのです。ムツニシキ、ムツホナミ、アキヒカリ、さらには青系の八十五号といってさらにいい品種をつくるために懸命に努力して、それが実りつつあるわけです。  こうなってくると、たとえば、いままで減額Iとあるところのお米が、今度皆さんで言う三類に引き上がるところがある。そういう御検討をなさる、こういう結果がいまの大臣の数字が違うという言葉になったのでしょうか。仮に導入するとすれば、そこのところを農民は求めているわけなんです。この点、大事なところなので、ひとつ明確に答えていただきます。
  143. 澤邊守

    ○澤邊説明員 青森県におきましても、いま御指摘ございましたように、品種改良をし、新しい品種を育成してそれの普及を図っておられることは事実でございます。しかしながら、いま御指摘ございました例としてアキヒカリ等を見てみますと、確かにレイメイ、フジミノリ等よりはすぐれておるということはございますけれども、現在自主流通の比率は〇・七ということで大変低いわけでございますので、市場評価が他の地域に比べて非常によくなったというところまではまだ至っておらないのではないか。また、四十七年に指定銘柄となったムツニシキというのがございます。これは自主流通米として東京市場に出回り、かなりの評価を受けておりましたが、最近では作付面積が非常に減ってきておるというような実情にもひざいます。  各県ともそれぞれ良質米を目指して品種改良、普及をしておりますので、青森県だけ見て、これまでの品種に比べて良質なものが出てくるという、御努力をされていることは事実でございますけれども、これによって青森県産の評価が他県に比べて非常に高くなった、あるいは格差が非常に少なくなったというところまでは現在では言えないのではないかと思います。現に、現在の売り渡し価格の値引き額のもとでも売却希望が少ないということで、地元の青森県自身においてさえ、標準価格米への減額米の混入割合を、そういう希望があってことしから若干下げておるというようなことがございますので、いろいろ御努力されていることはわかりますけれども、まだそこまでの市場評価までは至っていないのではないか。  ただ、私ども今度減額Iに相当するものを第四類というようなことで考えておるわけでございますが、そういう御努力はわれわれとしても今後も期待したいところでございますので、現在の減額Iの青森県の地域が、そこでとれる米については、どのように改良されようとも、品質の向上が図られようとも依然として四類であるというようなことは、やるつもりはございません。ことしから実施することを考えておるわけでございます。その際、すべてのものが第四類ということでなしに、きわめて例外的にもう少し上にランクできるものもあるんじゃないかと思いますが、これはわずかでございます。しかし、仕組みといたしましては、今後そういうものが出てきまして市場評価が定まってくれば昇格できるというような仕組みをつくって努力にこたえていくということにしたいと思っております。
  144. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、現在減額Iのところになっている地域のお米が全部四類にならないで三類に評価されるところもあり得るという答弁でございますか。
  145. 澤邊守

    ○澤邊説明員 最終の詰めをやっておるわけでございますが、ごく例は少ないわけでございますけれども、全部四類にするのではない、将来はそういう評価が定まればさらに昇格できるような仕組みをつくっておく、こういうことを申し上げているわけです。
  146. 津川武一

    ○津川委員 その次に、急激な変化を及ぼさないというときに、減額Iのところ二百円引いて四、減額IIのところ六百円引いて五類、その二百円を百円にする、六百円を三百円にする、こういう段階的な導入の仕方は考えていませんか。
  147. 澤邊守

    ○澤邊説明員 結論的に言いますと、考えておりません。
  148. 津川武一

    ○津川委員 かなり漸進的にやるとすればそのことも必要になってまいりますので、重ねて検討、考慮することをお願いして進めていきます。  そこで、先ほど挙げたようないい米をつくるための努力。私は、初めから導入ではなくして、そういう指導方針で、援助でいって問題は片づけるのが正しい行政だったと思うわけです。いま挙げたような努力がありますので、この地域、北海道のII、青森のI地域に対して、いわゆる良質米生産に国はかなり思い切って援助、指導すべきだと思うのですが、この対策があるのかどうか。  最後に、農林大臣に。先ほど聞いていたでしょう、農林大臣。まずい米ということを、閣議の後で農林大臣言っているわけだ。ところが、米はどんな米でもおいしいのだよ。ササニシキの方がうまいだけの話で、まずいという米のレッテルは大変なことなんです。てめえは不器量だと言われて、これは米に対する、生産している農民に対する、非常に何というのか、侮辱だというか、そこで、先ほど聞いていたから、今度はそんなまずい米なんて使わないようにすると言っておりますけれども、農林大臣、これからはそんなまずい米という言葉は使うべきではないと思うのですが、この点もお尋ねいたします。
  149. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 俗っぽく言うとそういう話になるのですが、まあうまいとかまずいとかというのは主観の問題ですから、なかなか、この米はまずいと言ったって、おれが食ったら一番うまいと言われればそれまでの話だし、だから、全体的に売れ行きがいいか悪いかということで判断しなければならぬ、かように思います。したがって、まずい米という言葉は適当ではありません。
  150. 津川武一

    ○津川委員 援助体制、一生懸命やっている北海道などに。
  151. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 それは、一生懸命やるところについてはできるだけそういうような技術指導その他のことについて今後も協力させていただきたい。  なお、転作という点については一層進めてもらうようにお願いをしたいと思っております。
  152. 津川武一

    ○津川委員 これは昭和四十七年九月十二日のこの委員会における議事録でございますが、足立農林大臣が私の質問に答えて「北海道米あるいは青森米を差別待遇するのはけしからぬ。私もそんなむごいことはいたしたくありません。」減額I、減額IIを導入しても「生産者価格につきましては絶対に将来とも差をつけないということを、きょうも米審でお約束してまいりました。」こう答えているのです。これで農民もその気持ちになっておるし、国務大臣の答弁というのは大事に尊重されるべきものなのです。これを、足立農林大臣が言ったことを釈明もなさらずに、よく説明もなさらずに変えていっているところに、今度政治に対する、農政に対する不信があるのです。日本の農業を発展させようと思えば、政府と農民の間の信頼関係が何よりも必要になってきている。この点で、やはり御所見と足立さんの言明に対する弁明なり釈明なりが求められる段階になっております。これが一つ。  そのことと関連して心配なのは、昭和五十三、四、五年、百七十万減反、三十九万ヘクタール、三年間続けると言っている。大臣はそれを五十五年度に廃止するとは言ってはいないが、受け取る側はそう受け取っている。したがって、これも約束だから守っていただかなければならない。五十五年にも百七十万トン、四十万ヘクタール、これは守る、しかし、それでは問題が解決しないから、農民と協議してもっとやるというのか、もっとその超す分に対して何か特別な措置を講ずるというなら話はわかるけれども、そこの言明をほごにしてやるのは、これもまた政治の信頼を失いますので、この二点の所見を伺わせていただきます。
  153. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 足立大臣が売り渡し価格に値引きを導入するときに、すでにもう同じ値段では売れないという状態になっておったわけですね。したがって、値引きを入れるということになったのだと思います。そのときに、まあ生産者価格に反映しないというようなことをおっしゃったようでございますが、その後で、ともかくどんどん計算以外の消費の減退というような事態になりまして、やはり現実の話でございますから、現実の実態に合わせていかなければ食管が崩れてしまうということになりますと、どちらを優先するかという政策の判断でございまして、私といたしましては、そういうお話があったといたしましても、そのお話を守っていって結局食管全体がだめになってしまうということは、まずいと言うとまたしかられるけれども、売れ行きの悪い米の地帯からも売れ行きのいい米の地帯からも両方困る問題が起きてくるので、そういうふうなことはあったかもしれませんが、それは行政の継続性として訂正させていただきたい、かように考えております。  それから、この水田再編対策を三年間続けるということにつきましても、私も続けたいと思っておるのです。思っておるのですが、これも米の消費が伸びない、さらに余り売れ行きのよくない米が生産をされるという状態が続くということであると、やはり食管を維持することが優先をしなければならぬから、それは今後の話でございますが、食管を守ろうという人たちと十分に相談をして、その上で適当な数字は出していきたい。したがって、またそいつを変えるとも変えないとも言っておりませんが、仮に変える場合には十分話し合いをした上でやるつもりであります。
  154. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  155. 佐藤隆

  156. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は、もう時間がありませんので、要点だけ二、三大臣にお尋ねいたします。  まず、大臣にお尋ねいたしたいと思いますことは、実は農政の基本目標について承りたいと思いますけれども、本日は価格対策中心にしてお尋ねしたいと思います。  大臣はさきの所信表明の中において、農民に希望と夢を与える農政を確立する、こういうことをおっしゃっております。私は、その農民に希望と夢を与えるという立場から、それでは農産物の価格に対してはどういう対策をやろうとしていらっしゃるか、その点を承りたいと思います。
  157. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 農産物といってもいろいろあるわけでございます。主要な農産物、畜産物についてはそれぞれ価格安定の制度がございます。したがって、これらの制度の中でやっていかなければならぬ、こう思っております。けれども、一方外国からの輸入等を非常に制限をいたして、極力国内でつくらせるという政策をとっておるわけでございますが、だからといって生産性の向上という努力がないために農産物価格がどんどん上がっていくということになりますと、生産者よりもはるかに数の多い消費者の間からそんなばかなことやめろという空気が強く出てくると、民主主義ですから数の多い方が勝つということになるんですね。そうなってくると困ってしまう。したがって、私どもはそうならないようにやはり政府も努力をし、生産者団体とも協力をして、生産性を高めながら、価格のつり上げだけでなくて、やはりいろいろな政策によって所得もふやすように考えていきたい、こう思っておるわけでございます。
  158. 稲富稜人

    ○稲富委員 それで、やはり農民が希望と夢を持つためには、農業生産物の価格というものは農民が喜べるような仕組みでやっていかなければならない。それはもちろん価格対策ばかりじゃなくして、生産面においてもそれとマッチして進まなければいけないのではないか。野菜のことを言えば、直ちに生産が過剰になる、値段にならない。そうすると、キャベツをつくっても引き合わないからそのまま全然収穫しない、またすき返さなければいけない、こういうような状態が来るということは、やはり価格の上において非常に農民が生産に対する希望を失墜することになるので、そういう点から私たちは生産というものと価格というものを常に考えながら、農民が価格の問題で希望をなくさないような価格政策を常に考えながら農業政策というものは考えていかなければいかぬのではないか、こういうことを私は深く考えるわけでございます。そういう点から申し上げまして、幸いに米の問題につきましては、ほかの農産物の価格というものはそれほど決め手がございません。自由競争の中に置かれております。ところが、米は幸いに食糧管理法において規定づけられておりますので、そういう点から考えて、私たちは米価決定に当たりましては、生産農民が希望を失墜しないようなことを考えて、しかも食糧管理法に沿った価格決定をするということが非常に必要な条件ではないか、かように考えますが、これに対しては大臣はどうお考えであるか、承りたいと思います。
  159. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私もほぼ同じ考えでございます。
  160. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは、ここで一つお尋ねいたしたいと思いますが、歴代の農林大臣は、常に食管制度の根幹を守る、こうおっしゃっております。先刻からの大臣の御答弁を聞いておりますと、食管を守るんだ、食管を守るためにこうするんだ、繰り返し繰り返しこういう言葉を承りました。食管制度の根幹を守ること、食管を守るとおっしゃること、これは非常に結構であります。それで、私がここで聞きたいのは、すなわち大臣のおっしゃる食管を守る、食管の根幹を守るということは、何を守ろうとするのか、こういう基本的な考え方を承りたいと思います。
  161. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 御承知のとおり、法律どおりの用語は用いませんが、国民の主食のお米の必要な量を確保するということです。そして、必要な量が再生産されるようにする、また再生産されるための価格をつけなければならない。それから、消費者の方においても、主食の食管のお米について暴騰するというようなことは困るわけでございますから、家計米価の範囲におさまるようにしてやらなければならぬ。わかりやすく言えばそういうことじゃないか、こう思います。
  162. 稲富稜人

    ○稲富委員 私たちが考えますと、いま大臣のおっしゃることはりっぱでございます。食管の根幹を守る、食管を守るということは、現時点においては食糧管理法を守るということがまず基本的に忘れてはならないことだ、かように私は考えます。ところが、実際今日の米価決定等に対しましても、果たして食糧管理法がそのまま守られておるかどうかということに対して私たちは非常に疑惑を持ちます。たとえば、いまも大臣のおっしゃったように、生産者の米を政府が買い取る場合は、生産費及び所得を補償するということと、それから次期生産を確保するということをもって生産費を決めるということが基本になっていることは御承知のとおりであります。消費者価格というものは、もちろん経済事情を参酌してということになっておりますけれども、消費者価格を決定するのは経済事情を参酌して、そして消費者の家計を安定せしめることを旨としなければならぬ。そうなりますと、そこには当然に逆ざやというものができましょう。食管特別会計の赤字ができることは当然なんです。ところが、食管特別会計の赤字ができたとすると、食管特別会計の赤字をいかにして解消するかということに対して余りにもきゅうきゅうとされている。食管を守るということは、食管特別会計の赤字を解消することが食管を守る意味ではないか、かようにさえ考えられるほど食管の赤字を解消することに忠実である、こういうことさえ考えられる。私は制度上からきた当然の食管特別会計の赤字であるならば、あえて気にすることはないと思う。食管を守るとするならば、食管法に定めてあるように生産費を決定し、さらに消費者価格を決定する、そうすることによって生産者に希望を与えて次期生産を確保する、こういうようなことで、その基本的な考え方に立って米価を決定することが当然でなければならないと思いますが、最近におきまする米価決定は、ややもしますとその基本的な考え方からいささか離れたような感じを持つ。これは食管を守ると言いながら食管法がなし崩しにされるのじゃないかという不安が農民に非常にある。また、食管を守ると言いながらも食管法というものが守られていない。ここに政治に対する不信感を農民が非常に持つことがあると思うのでございます。であるがゆえに、これに対して大臣はどうお考えになっているか。悪いことは悪い、改めることは改めなければなりませんが、率直に承りまして、農民の政治に対する信頼感を厚くするためにもひとつこの点をはっきりしていただきたいということをお願い申し上げたいと思うのでございます。
  163. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 食管の根幹を守ることと食管法を枝葉末節まで条文どおりに全部正しく実行することとは、実際問題として政治的にはかなり違いがあると私は思うのです。  ただ、御承知のとおり、食管法というのは米不足の時代にできた法律でございまして、当時としてはどこに一番重点があったかというと、要するに米が足らないからみんなに平等に分配するというところにスタートは一番の力点があったと私は思うのです。そのためには生産もしていかなければならないし、生産を確保するための必要な生産者価格も決めなければならない。その点はいまでも同じだと私は思うのです、生産してくれなければ必要なだけの食糧が確保できないのですから。少なくとも政府が必要だと思う量の食糧はつくってくれるだけの、それで引き合うからつくるのであって、引き合わなければつくらないのですから、それに引き合うだけの値段にはしなければならない、これは当然だ。別に食管法の中で所得補償方式なんということは書いてないのです。それは米の値段を決めるときにだんだん出てきた慣行のようなものでございます。しかし、それはそれとして守られておることも事実でございます。したがいまして、少なくとも生産者価格については食管法の精神に従ってきちんと毎年やっておるのだと私は考えております。ただ、部分的に手直しする必要があるのではないかという点もあるのです。たとえば配給統制です。大まかな配給統制はいいけれども、しかし現実に米の消費拡大が優先するのか、決まり切った以外の量を買った者は処罰するのか。お中元に米を配ったものは人のための米なんですから、自分の食う米ではない、人にやる米は、それはいまの食管法では処罰することになっておる。しかし、こういうものは、消費拡大というのですから、それぞれの県のいいお米を二キロや一キロお中元に配って監獄に行かなければならぬという制度をそのままにしておいて、消費拡大をやりましょう、やりましょうと言ったって、助成してやったら食管法違反になってしまいますから、ここらのところは少し実態と合わないのじゃないかと私は思うのです。  それからもう一つは、食管法は幾ら経費がかかってもいいというわけにはいかない。御承知のとおり、食管法は昭和十七年にできましたが、それから三十五年までの十八年間というものは、赤字は大体ないのです。ましてや逆ざやなんというのはないのです。要するに政府がやっておりますから、公共料金と同じで、政府は金もうけしなくたっていいよ、政府は実費でお届けしますという法律なんです。したがって、実費でお届けするというのが本来の精神じゃないのか、そう私は思っておるわけであります。  しかし、物価対策その他の問題から、政府が財政的に余裕があって持てる時代には毎年何千億円という金を持ってきたことも事実であります。ところが、現在、過剰米ができて一兆六千億円もコスト計算であるわけですね。そうすると、所得税納税者から見れば、過剰米は食べない、食べないにもかかわらず一人五万円だけの過剰米の代金を払わされておるわけですから、結局食べたと同じ計算になってしまうわけです。したがって、そういうところから不満が出てまいりまして、要するに食管法なんて、いまごろ何でそんなもの置くんだという議論が巷間に大きく出ておることも皆さん御承知のとおり。しかし、私は全体としては、狂乱物価の問題とかそういう時代、食糧不足の問題だって絶対来ないというようなこともなかなか保証できない関係にあるので、その大枠は守って、食糧は確保して、暴騰暴落はさせないで安心をしてもらおうという考えですから、そういう意味では食管の根幹は守っていかなければならぬということを言っておるのであります。そのためには多くの納税者、消費者の理解と協力が得られる形をとらなければ選挙で負けますからね、民主主義の世界ですから。やはりどっちが多いかということで、最後は投票になるわけですから。そこも考えてやらなければならぬと私は思っておるわけでございます。
  164. 稲富稜人

    ○稲富委員 食糧管理法が昭和十七年に国民の食糧を確保するためにできたことは十分承知しております。それで、食管法には、農民は生産したる米は全部政府に売らなければいけないと規定されている。ところが、時代が変わってしまった。本当から言うならば、規定には、農民はつくった米は全部政府に売らなければいけない。売らなくちゃいけないということは、政府は買わなくちゃいけないということなんだ。ところが、今日は、経済事情が変わったからといって買い上げ制限をやる。こういうことはわれわれは腑に落ちない。そういう矛盾があるから食管法の改正もしなければいけないというのは別なんですよ。それはやらないで、何か問題があると、食管法を守るためだ、こういって逃げられる。ここにわれわれは腑に落ちないところがあるわけです。  それは何と申しましても、米価その他の農産物価格に希望を持たせるならば、ある程度生産者が引き合うような価格で決定しなければいけない。幸いに政府が決定するんだから、これに対してそういう価格対策をうたわなくちゃいけないのじゃないか、こういう意味を十分考えていただきたいという考えをわれわれは持っております。  それで、何でも、これは食管を守るためだ、食管を守るためだといって逃げられるんです。たとえば先国会の末ごろに、本年度米価に対して政府が考えていらっしゃることが巷間伝えられておりますが、品質格差価格決定をするとおっしゃる。これに対してもいろいろ問題があります。ところが、これに対して言われることは、食管を守るためにやむを得ないんだ、こうおっしゃる。何でも食管を守るということが逃げどころになってしまって、そして、そういうことを計画していらっしゃるから、大臣のおっしゃる食管法を守るというのはどの点をお守りになるかということを私がお聞きしたのはそういう点なんです。  私は、余り長くなりますので要点だけ申し上げますが、そういう点から今後米価決定に当たりましても慎重に、農民が希望を失わないような価格を決定することをまず考えていただきたい。  それから、本年度から計画されるであろうと言われております品質格差の問題、これによりますと、もうけるところ、損するところ、たくさんできると思いますが、どの辺がもうけるところがあるか、もうけるというと語弊がありますが、現在の米価よりも高くなるところと安くなるところ、どういう分布になりますか、この点を承りたい。
  165. 澤邊守

    ○澤邊説明員 詳しく個々に申し上げる段階ではございませんけれども、品質格差導入に伴いまして、北海道とか青森とか、あるいは西南暖地のいわゆる減額米地帯は従来の価格よりはそれぞれ下がるという場合が一般的でございます。例外はございます。それから、その他の地域におきましては小さな、銘柄での有利になったりあるいは不利になったりということはございますが、全般的には格上げされるものがかなり出てくる見込みでございます。
  166. 稲富稜人

    ○稲富委員 最後にお尋ねします。  それで、今度は私は品質格差の善悪の問題、ずいぶん論議しなければいけない問題だと思います。私たちは、基本的にそういうことで分けることはおもしろくないと思います。ただ、この点、この機会に私はお尋ねしたいと思いますことは、現在の検査規格制度でございます。これについて何とか再検討する必要があるのじゃないか。たとえば、現在の検査規格制度が、東北地方は水分が一六%、北陸一五・五%、九州は一五%となっております。これはひいては米価の問題に非常に影響する問題でもありまして、こういうような規格でありますと、一五%の水分ということになりますと非常に乾燥をよくしなくてはいけない、人手も要しなくてはいけない、こういうような必要も出てくるわけです。やはりこの際、こういう問題は再検討して統一する必要があるのではないか、こういうことをわれわれは考えるわけでございますが、これに対してはどういう考えを持っていらっしゃいますか。
  167. 澤邊守

    ○澤邊説明員 現在の検査規格は、大部分の項目は全国画一的でございますが、いま御指摘ございました水分と、水分と関係いたします容積重につきましては地域差がございます。大体北の方は〇・五ないし一%水分の上限値が高いということになっておりますが、これは、これまで天日乾燥が主でございましたので、自然条件からいってなかなか乾燥しにくいということもあって、そういう地域は高くしてあったわけでございますけれども、最近、火力乾燥が相当普及しておりますことを考えますと、また品質なり貯蔵性という面からいたしますと、国際的にもそうでございますが、やはり日本の場合も一五%以内くらいにおさめるのが望ましいわけでございますので、それらの火力乾燥等の普及の推移も見ながら、むしろ一六%の方を引き下げていくという方向検討すべきものだと思っております。
  168. 稲富稜人

    ○稲富委員 時間が来ましたので、これをもって質問を終わります。
  169. 佐藤隆

  170. 菊池福治郎

    ○菊池委員 ことしの米価の引き上げということは非常にむずかしいというふうなムードでございます。  これは米が過剰であるということがその第一番に言われておる理由でございますが、確かに米は過剰でございます。しかしながら、米が過剰であるということは一朝一夕のことではなくて、また農民だけの責任であるというふうにも言われない問題があるのではないか。むしろ長い間の農政の推移の結果、いまのような過剰問題が起こっておる。いままでは消費拡大というようなことも言われておったわけでありまするけれども、消費拡大にしても、米が余っておっても、政府は本腰を入れて消費拡大に取り組まなかったのではないか。たとえば、学校給食という問題一つ見ても、学校給食だけでは消費拡大ということにはなりません。五十四年度から、新たに米飯を導入する学校には七〇%値引きするとかあるいは六〇%値引きするというふうなことが実現されておるわけでありますが、これは今年度でなくても、昨年でも一昨年でもその前でも、当然そういうふうなことは取り上げて実行すべきものでなかったか。それにもかかわらず、そういうふうな方法というか努力というか、消費拡大についても十分な努力というものはなかったのではないか。  その他もろもろありますけれども、また、米が過剰であるというふうに言われておりますが、米以外の作物をつくるということについても、価格の問題とか、いままで言われておったようなさまざまな生産諸条件の問題等々、米以外の作物がつくれないような状況であった。したがって、米へ米へと傾斜していったわけであります。ある時期に八郎潟の干拓というようなものももちろんやったわけでありますし、米を志向するという農政が続いて、それによって農民が、ほかのものはだめでありますから、米へ米へと走っていった、その結果過剰になったというふうなことでございます。あるいは農畜産物の輸入の拡大しておるこの現状を見ても、これは明らかに何かの方法でこれをチェックするというか、計画的にというか、秩序正しくというか、そういう輸入のあり方というものがあったはずではなかったか。今日、米にしても五百八十万トンというふうな膨大な量が入っておるわけでありますが、こういうものについて、一年に何十万トンも何百万トンもというわけにはいかないにしても、まあ三万トンなり五万トンなりというふうなあれを、逐次十年なり十五年かかって、将来の長期の国内の生産を考えながら、そういう輸入の削減というふうな問題もあったのではないか。そういうふうな諸政策を一切とらなかったことが、今日の米の過剰という問題になったわけでありまして、これは農民だけの責任ではないというふうに私どもは思うわけでございます。  それにもかかわらず、農民は、この米の過剰という問題に対して厳粛にこれを受けとめておりまして、昨年も減反政策という、自分の所得、収入が減るという政策にみずから応じて、さらに予定より上回って減反を実行しておる。さらにこれからの年度におきましても、一〇%以上の上積みをした減反というものを行おうとしておるわけでございます。こういう農民の、現実を直視した、その結果出てくる農業に対する激しい取り組み方、真剣な取り組み方というものは、私どもは大いに評価をすべきものではないか。  そういったことを考えますると、何と申しましても基本政策確立とか長期の展望とかということを盛んに言うわけでありまするけれども、いかなる新しい政策を立てようとしても、根本にやはり農政と農民との間の信頼感というものがなければ、いかなる政策も遂行はできないわけであります。いまは農政に対して農民の不信感というものが充満しておるわけで、この不信感を除いて、農政と農民の間に血の通ったような信頼感を呼び戻していくことが、これからの食糧問題、農政の発展に欠かすことのできない第一義的な問題であると思う。  そういう意味で、信頼感を取り戻すとはどういうことかというと、やはり農家の経済所得を守ってやる、農業の再生産を可能にすることが信頼感を取り戻す第一の問題ではなかろうかと思うわけであります。そういうことを考えますると、やはり基本米価の値上げ、要求米価の値上げということはこの際必要なことではなかろうか。少なくても百歩譲っても、春闘の平均の値上げとかあるいは物価の値上げとかいうふうな問題を考えて、それくらいのものは最低の限度として値上げをすべきものではないか。そういうふうなことをして、国家の財政も苦しい、食管会計も苦しいけれども、苦しい中でもなお農民の努力を多として、前途に展望の持てるような農政をこれから展開するんだという意味で政府が農政の面において米価という具体的な問題について誠意を示すこと、値上げをすることが農民の誠意にこたえるゆえんではないかと思うのでございますが、最低でも春闘の値上げ分くらい、あるいは物価の値上げ分くらい基本米価を値上げするようなお考えがないかということをお伺いをいたしたいと思います。
  171. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 余り多くて、どれから答えていいかちょっとわからないのですが、消費拡大の努力が足らなかったのではないか、これは足らなかったといえば足らなかったかもしれませんが、今後とも消費拡大には努力をする。そのためにはやはり強制的に食べさせることはできないのですから、やはり消費者に向くような米をつくっていただく努力が足りなかったと言われればあるいはそうかもしれません。したがって、消費者に向くようなお米をつくってもらうように政府は誘導策を強力に進めてまいりたい、かように考えております。  他作物が不利であったから米をつくっているのだということでございますが、それは確かに米の方が有利だったから他作物はつくらなかったのだという話と同じ話でございます。したがいまして、転作奨励金等も出して主要作物への転換を図っているところでございます。  輸入農畜産物につきましては、不足をするものは輸入せざるを得ないことでありまして、それは極力国内でつくれるものはつくるようにいたします。しかしながら、不足のものの輸入をカットして値段を暴騰させるというようなことなどは、これはまた消費者のサイドからは強い反発がありまして、なかなか強制的に強い手段を打てません。打てませんが、国内でつくれるものをつくればその分不要なものは不要なんですから、輸入は結果的に減るということになると思います。  農民だけの責任で米が余ったんじゃない、もちろん私もそうだと思います。したがいまして、農家だけで、自主的減反だけで補助金もやらずにやれと言っておるのではございませんので、やはりそういう点で納税者から集めたお金を御理解を得て転作の方に二千六百億円も出しておるというのは、農民だけの責任ではないから、これは政府のお金じゃないわけですから、全部の国民が協力をして農家の方にも転作奨励金を差し上げておるというように御理解いただきたいと考えております。  農民の信頼を取り戻すためには米価を上げるのが一番いいということでございます。それは確かに米価要求どおり上げれば一番いいのかもしれませんが、しかし諸般の事情からそういうように上げることはできません。ただ、賃金の問題につきましては、これは上がっただけのものはちゃんと時間計算で一時間幾らという賃金は値上げをして米価計算をいたします。
  172. 菊池福治郎

    ○菊池委員 いま米の過剰の問題について消費拡大などについての御答弁がありましたが、米の過剰に対する対応としては消費拡大、学校給食などが取り上げられておりますが、これもまだまだもちろん努力をすべきでありますし、また備蓄の問題であるとかあるいは海外、後進国、いろいろなところに対する援助の問題であるとか、あるいは米を使うさまざまな利用製品を開発するとか、そういった面の努力もあわせて大々的にすべきではないかというふうに考えるわけであります。  時間がありませんのでもう一点だけ御質問申し上げますが、先ほど来品質格差の問題、良質米の問題等が問題になっております。これは比較的売れない米をつくっておるといっても、それはそれぞれよってくる立場、歴史的なあるいはさまざまな諸条件というものがあるわけでありますから、大臣のお話しになるような点もわからぬではありませんけれども、やはり全体としての米の水準というものをまず維持する、それから良質米についてはさらにこれを考慮するということが第一義的には大切ではないかと思います。少なくとも三年とか五年とか前に予告をして農民にそういう心構えとか対応策を講じさせて、しかる後にそういう品質格差というふうな問題を具体化するということが本当のあり方ではないかと思うのであります。  また一方、そういう品質の劣る米に対して二百円なり六百円なりを下げるという値引きの政策をとっておるわけでございますから、逆に政府立場から考えますれば、やはり良質米というものに対するこの奨励金というか、値上げは二百五十円とか四百円とかいうことではなくて、もっとこれは上げるべきではないか、そうして誘導政策をとるべきではないか。あるいは自主流通米の奨励金にいたしましても自主流通米というものが今日の状態でなかなか問題を抱えておって、そのために良質米をつくっておる地域の農民といえども実質的には手取り額が減っておる、減りつつあるというふうな現状でございますから、良質米をつくるためにはそれなりのもちろん努力も必要ですし、反収も減るわけでありますから、政府の考え方を実行するという効果あらしめるためにも、この際は自主流通米の奨励金とかあるいは良質米についての値段を上げるという点にもう少し積極的な面を取り入れて、そして誘導的な政策をとる、こういうことが肝心ではなかろうかと思うわけでございますが、この良質米についてのいま言われておる二百五十円、四百円の値上げとか、あるいは自主流通米の奨励金千五百円、七百五十円といったようなものについてもう少し上げて積極的な良質米の誘導政策ということを、消費拡大のためにも消費性向にこたえるためにもそういったものを一方において進めるということであるならば、百歩譲って減額するという面があってもあるいは政策の整合性というものが出てくるのでありますけれども、減る方は減らしておって良質米の方は大して余り前と変化がない。しかし、実際は売れ行きも鈍化している面もあったりして、良質米をつくっておる農家といえども手取りが減っておるということになりますれば、良質米をつくっても減る、あるいはそうでない米をつくっているのは明らかに減らされるわけですから、この政策がいいということではございませんけれども、政府政策を実行していく上の整合性を保つ意味からいっても良質米というものはもっと一工夫すべきことではなかろうかと思います。  時間がありませんのでもう一言だけ質問を申し上げますが、こういう際でございますからやはり長期的な農業の展望ということは必要でございます。そのためにはさまざまないまの制度を見直して新しい時代に対応する制度の改正ということも必要でありますし、あるいは食糧問題の重要性というものを国民一般に周知徹底させる意味からいっても、食糧の基本法というふうなものを目指して、国民的なあらゆる英知をしぼって、今日の食糧問題あるいは長期の食糧問題、世界の食糧問題といったようなものに総合的にこの際われわれは取り組んで、しっかりした食糧政策農業政策というものを国民に向かって示すべきではないか、農民に向かって示すべきではないかというふうに考えるわけでございますが、そのことについても所見をお伺いいたしたいと思います。
  173. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 簡潔にお答えします。  備蓄につきましては、大体二百万トンぐらいが限界であって、これすらもこういうふうに余っておりますと、古い米を先に食わせろなんという人は少ないのであります。したがって、これ以上備蓄をふやす考えはございません。  援助等については、極力、希望者があれば回すようにするし、輸出についても努力はいたしております。  米利用開発につきましては、これもできるだけやらせていただきます。  品質格差につきましては、これはやはりいい米をつくるというところに重点を置いてやっておるわけであります。もっと値上げをしたらいいじゃないかということでございますが、値上げをすれば消費者米価も値上げをする、その分以上に値上げをしなければならぬ、そういうような状態ではございません。したがって、それでは税金で払ったらいいじゃないかということになれば、先ほど言ったように、これは納税者から払ってもらうということになるわけでございますから、それも現在の経済事情、財政事情からは非常に困難な問題である。したがって、これ以上国民の負担でともかく大幅値上げをするという状態ではない。したがって、今回は全体的に米価水準というものは上げる考えはございません。  なお、食糧基本法をこしらえろということでございますが、食糧基本法をどういうふうにつくるのか、どうしたらいいのか、その必要があるのか、よく私にはまだ結論がわかりませんので、検討させていただきます。
  174. 菊池福治郎

    ○菊池委員 終わります。
  175. 佐藤隆

    佐藤委員長 次回は、明十二日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十一分散会