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1979-06-05 第87回国会 衆議院 農林水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年六月五日(火曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 佐藤  隆君    理事 羽田  孜君 理事 堀之内久男君    理事 山崎平八郎君 理事 島田 琢郎君    理事 馬場  昇君 理事 古川 雅司君    理事 稲富 稜人君       愛野興一郎君    江藤 隆美君       久野 忠治君    熊谷 義雄君       國場 幸昌君    瀬戸山三男君       玉沢徳一郎君    中尾 栄一君       福島 譲二君    森   清君       与謝野 馨君    角屋堅次郎君       柴田 健治君    島本 虎三君       新盛 辰雄君    中村  茂君       野坂 浩賢君    芳賀  貢君       日野 市朗君    松沢 俊昭君       武田 一夫君    吉浦 忠治君       神田  厚君    津川 武一君       菊池福治郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  渡辺美智雄君  出席政府委員         農林水産政務次         官       片岡 清一君         農林水産大臣官         房長      松本 作衛君         農林水産省経済         局長      今村 宣夫君         食糧庁長官   澤邊  守君  委員外出席者         参  考  人         (全国農業協同         組合中央会常務         理事)     山口  巖君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 五月三十一日  辞任         補欠選任   武田 一夫君     竹内 勝彦君 同日  辞任         補欠選任   竹内 勝彦君     武田 一夫君 六月一日  辞任         補欠選任   吉浦 忠治君     薮仲 義彦君 同日  辞任         補欠選任   薮仲 義彦君     吉浦 忠治君 同月五日  辞任         補欠選任   津島 雄二君     与謝野 馨君   松野 頼三君     森   清君   竹内  猛君     島本 虎三君   松沢 俊昭君     中村  茂君 同日  辞任         補欠選任   森   清君     松野 頼三君   与謝野 馨君     津島 雄二君   島本 虎三君     竹内  猛君   中村  茂君     松沢 俊昭君     ————————————— 六月四日  農林年金制度改悪反対等に関する請願外一件  (瀬野栄次郎君紹介)(第四八九〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律  案起草の件  農林水産業振興に関する件(農業協同組合問  題)      ————◇—————
  2. 佐藤隆

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本件について、本日、全国農業協同組合中央会常務理事山口巖君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤隆

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 佐藤隆

    佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
  5. 馬場昇

    馬場(昇)委員 農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案というものが、本委員会理事会等で、各位の努力で全党一致で本委員会にいずれ提案される、こういう事態を迎えましたので、私は、この際、全国中央会藤田会長最高責任者においでいただきまして、この農業危機と言われる中での農業農民の問題、さらに農協運営基本にかかわる意見を聞きたかったのでございますけれども都合藤田会長出席できないということを非常に残念に思うのでございます。前の宮脇会長はちょいちょいこの委員会に来て御意見も述べていただき、質疑にも答えていただいたわけでございますので、藤田会長もぜひ都合を見てこの委員会に来て、そういう機会をつくっていただきたいという希望を申し述べておきたいと思うのです。  きょうは全中から山口さんがおいでいただいているわけでございまして、山口さん非常に御都合もあったようでございますが、万障繰り合わせて出席をいただきまして、感謝いたしております。まず厚くお礼を申し上げておきたいと思います。  そこで、まず参考人にお尋ねしたいわけでございますけれども農協合併ということでいろいろメリットもあると私は思うのです。とともに、デメリットもあるのじゃなかろうか、こういうぐあいに私は思います。大きいことはいいことだというだけではないわけでございまして、合併する場合においてはデメリットをなるべく少なくしてメリットをよけいにする、そういうことが必要じゃないかと思うわけでございますが、そのメリットを上げるという基本は、また合併効果を上げる基本は、農協運営が民主的であるかどうかにかかっておるのじゃないか、私はこういうぐあいに思います。  そこで、山口さんにお尋ねしたいのですけれども、これを機会農協民主的運営についての全中決意いかん。この合併の問題につきましても、大変御希望も多かったと聞いておるわけでございますので、その基盤となるべき民主的運営というものについて、全中の御決意のほどをまず聞いておきたいと思います。
  6. 山口巖

    山口参考人 合併に伴いまして、御指摘のようにデメリットとしては、組合員農協との間に完全なコミュニケーションが成り立たなくなるというおそれがあるわけでございまして、この点については、デメリットが出ないように、各種の作目別組織、それから地域の従来からございます集落の組織、こういうものを場といたしまして、十分組合員意向をくみ上げまして、また農協のやっておりますことを組合員に十分報告いたしまして、民主的運営に努めたい、かように考えておる次第でございます。
  7. 馬場昇

    馬場(昇)委員 大臣が来ておられなくて副大臣がそこに座っておられますけれども、実は大臣質問する予定だったのですが、政務次官片岡さん、いまの農協民主的運営というものについて農林省としても指導的立場にあると思うのですけれども、この際、農林省のお考えもちょっと聞いておきたいと思います。
  8. 片岡清一

    片岡政府委員 農協合併で一番問題になりますのは、やはりいま御指摘の点だと思います。いままで自分の村の農協ということで、組合員農協役職員が非常に親密な意思の交換が非常によくできておったということであると思います。そういう点の欠陥が合併によって心配になる点でございますので、私は、やはりメリットの点を大いに伸ばして、そういうデメリットのある点は指導的に十分気をつけて、そういうことのないようにしていかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  9. 馬場昇

    馬場(昇)委員 大臣来られましたけれども、いま、農協合併メリットデメリットがあるけれども合併効果を上げるということは農協民主的運営にかかっているんだというようなことで、全中からも政務次官からも御意見を聞きまして、そのとおり一生懸命そういうことの民主的運営をやるというお答えをいただいたところでございますので、大臣もぜひひとつそのように御努力を願いたいと思うのです。  そこで、少し農協中央会の方に端的に聞きますけれども山口さん、こういう言葉があるのは御存じと思うのですけれども農協栄えて農民滅ぶという言葉がいまあります。この言葉が使われておるのですけれども、この言葉について、全中山口さん、どういう御感想をお持ちでございますか。
  10. 山口巖

    山口参考人 そういう批判があることは承知をいたしております。その問題の基本的な原因は、やはり農協事業進め方事業方式の問題にあると考えております。結局、農協がいわゆる手数料主義に陥りまして、組合員の品物を扱う、それに対して一定の手数料を取っていくということになりますと、農家が非常に窮乏いたしましても農協だけは経営が安定していく、こういうような形態になるわけでありまして、やはり組合員農協とリスクを一つにする、組合員経営に即応した農協経営をやっていく、こういう事業体制進め方が最も重要な点ではないかと考えておりますし、私ども全中といたしましては、そういった組合員経済と一体になった事業運営をするように組織を通じまして指導を行っておる次第でございます。
  11. 馬場昇

    馬場(昇)委員 私は、この機会農協問題点幾つ指摘したいと思うのですけれども、ただいま申し上げたのもその一つでございますが、いま山口さんのお答えも、私も当然だろうと思うのです。農協法律目的の中にも、農民協同組織の発展という目標と、農業生産力の増強という目標と、農民社会的経済的地位の向上を図る、これが農協目的であるわけでございまして、この原点というのが少し見失われておるところに、農協栄えて農民滅ぶというような言葉が出てくる。これは山口さんもさっき言われたところでございます。  私に言わせますと、何か農民一つ市場にして、農協が、全農が商社みたいな運営になっておるのじゃなかろうか、あるいは銀行屋さんと言えば言葉が悪いのですけれども、そういう金融機関的な、いわゆる市場農民に置いて金融機関的なあるいは保険屋さん的なそういう状況に陥っていはしないかというところに、そういう批判が出てくるのじゃなかろうか、こういうぐあいに私は思えてなりません。  こういう点については、いま山口さんもそういう実態を認めて、そういうことのないようにということのお話をお聞きして安心したところでございますけれども、まともな運営をしておりますとこういう言葉は出るはずがないわけですから、そういう言葉が消えてなくなるような運営をぜひお願いいたしたいということを考えるわけでございますが、いまの問題について、大臣の御感想もちょっとお聞きしておきたいと思うのです。
  12. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 私は、物が栄えて心が滅ぶという言葉は知っていますが、農協栄えて農民滅びるという話はいま初めて承りました。農協農民協同組織でございますから、やはり農民全体としてどういうようにやっていった方がいいかということに力点を置いて運営をされるべきものだと私は存じます。しかし、もう何百万の加入者があるわけですから、全部の人が納得をするということは言うべくしてこれはやっぱりできないことであって、それは理想論からすればだれもが賛成だというのが一番いいんでしょう。いいんでしょうが、現実にはなかなかそうもいかない。そうして、やはり農協指導者の方は大所高所に立って、農民個々の利益も尊重しながら大所高所に立った適切な判断をしていかなければならない場合もあるわけでございまして、そういうような場合に、一部からその真意というものが完全に理解されないために不満が出るというようなことは、私は労働組合でも農協でも同じ場面があるんじゃないか、かように考えておるわけでございます。しかしながら、やはり農協一つの官僚化した、合併をして大型化をしたために、非常に窓口で人を知らないとか不親切だとかというような批判はときどきございます。合併して財政的に基盤が非常によくなるというメリットと、大きくなったために支所や何かで転勤があるから、いままでは小さな村内のいとことかはとことかきょうだいとかが農協窓口にいたが、今度は見知らない人が窓口へ来てというような場合があります。したがって、そういうような場合においては、やはり血のつながった愛情で運営をしていく、組合員に接するというようなことなどは気をつけていく必要があるだろう、かように考えております。
  13. 馬場昇

    馬場(昇)委員 農協栄えて農民滅ぶという言葉農林大臣が知らないということは、私は、批判というものを謙虚に受けとめるというような、その上に立って反省をしていろいろな農林行政をする、そういうような本当に謙虚な農林行政をやる姿勢というものを残念ながらお持ちでないというような気がいたします。それからまた、いまのお話を聞いておりましても、農協にいろいろ批判があるし問題があるのですけれども大臣はそれをえぐって、そして農協をよく指導しようということでなしに、余り問題を考えておられないというような気がしてなりません。いまの答弁非常に残念でございます。  そこで、具体的にこれは全中の方にもお尋ねしたいのですけれども大臣、たとえば飼料なら飼料系統から買う場合、私が知っておる多くの例で、代金の支払いとか手数料とかの意味も含めまして、普通の商店から買った方が安いというのがたくさんあります。そういう例もあって、そういう点にもいろいろな問題も実は起きておるわけです。また、あるとき、私の知っている農民が畜舎を建てたんです。経済連がこの指定業者を使えと持ってきたわけです。そしてその人が見積もったのを見たら五百万くらいだった。ところが、その見積もりと同じものを別の業者に見積もらせましたら三百万足らずなんです。やはり制度資金なんか借りてつくるものですから、経済連がこの指定店を使いなさいということでもそんな差があるという事実も私は実は幾つも知っておるのです。それから、たとえば農協のスーパーの問題にしたって、実はいろいろ問題を起こしておるのを大臣御存じだと思うわけです。それから、たとえば国が出しますいろいろの補助金とかなんとかを、一般の市中銀行からでも知事が指定しますと借りられるというようなものもあるわけですけれども、結局、農協系統が圧力をかけて、そういうところに知事は指定するな、そういうような行いも行われておる。  時間がありませんから、言えば限りないわけですけれども、そういうことなんかいっぱいあるんですね。そういうのをはだで感じながら、農協栄えて農民滅ぶというのを農民みずからも言うし、あるいは外で見ているそういうことを知っている人たちも言うという事実は、大臣、謙虚に知っていただいて、反省しながら指導していただきたいということをお願いしておきたいと思うのです。  そこでもう一つ、ではこういう言葉があるのはこれまた大臣御存じないかもしれませんが、全中にも聞きたいのですけれども農協がこのごろ農林省の、政府下請機関みたいになっちまっておる。さらに悪口を言う人は、これもお聞きになっておるかおらないかもしれませんけれども、悪代官所みたいだと言う人もおるのです。結局、農林省等下請機関になっているというような、上を向いて上からの伝達をして、下の農民意向を積み上げる、そういうのじゃないようなかっこうになっているんじゃないか、こういう批判もあります。たとえば減反の問題につきましても、これを押しつけてはいないと言うけれども、やはり受ける側からとると、たとえば生産調整は押しつけだ、こうとれるわけです。また、たとえば、さっきこれは大臣も言われましたけれども資金を貸し付ける場合非常に官僚的だ、こういうような問題がございまして、苦情を言っていったら、やはり官僚的に村八分、農協八分ですか、そういうことをされたという例もあるわけです。また、たとえば、私の地元でイグサを農協に出荷しなかった、そうしたら農協組合員を除名したのです。これは公取委なんかで問題になりまして取り消されましたけれども、そういうことだって実はあるのです。  そういうことを考えて、先ほど申し上げました例、そしていま一つつけ加えました農林省下請機関的になって官僚的になっておるんじゃなかろうか、こういう点について、そういう実情をいろいろ御存じであるかどうか、こういう点にどういう御指導をなさっておるかどうかということを、まず全中の方にお尋ねしたいと思います。
  14. 山口巖

    山口参考人 ただいまのお尋ねでございますが、私ども政府下請を行っている、またそういう指導を行っておる気は毛頭ございませんで、やはり農民意思を結集いたしまして、農民の期待するような事業展開をいたしておるというのが実態でございます。ただ、農民もいろいろ意見がございまして、非常に激しい意見をお持ちの、たとえば米価などで二万六千円だというような強い要求を掲げている組合員もおるわけでございまして、非常に多様化しております。そういう中で非常に、結果的に期待するような米価が実現できなかった、米価運動指導いたしております全中農政活動は非常に微弱である、したがって、これは政府下請ではないかというような批判を受けたことはございますが、しかし、私どもは、実態を十分わかってもらえばそういう問題はないものというふうに確信をいたしておる次第でございます。
  15. 馬場昇

    馬場(昇)委員 私は、幾つかの例を申し上げましたけれども、こういう例というのは全中等にも上がってきて、それを具体的にこういうぐあいに指導した事実を知っておられるかどうか、それは改善するように指導したかどうかという点についてひとつお尋ねいたしたいと思います。  もう一つは、これ資料農林省全中どちらでもいいのですけれども、各県の中央会会長さんあるいは連合会長さん、こういう人たちの中で、もちろん学識経験者がなっておられる方もおられると思うのですけれども、最近いろいろ、農業御存じないといえば語弊がありますが、やったことがない人がおられるという批判もあるわけですけれども、この中央会会長さんとか連合会長さん、こういう人たちのたとえば経営状況、さらには自分で作業をされるかどうか、こういう資料というのをきちんと私も知りたいわけです。これは農林省の方にもきのうもちょっと言っておいたわけですから、ぜひひとつこういう資料を教えておいていただきたいということをお願いしておきたいと思うのです。この点については、山口さん、先ほどの問題についてといまの資料についてもできれば全中からでもいただいていいんですけれども、ちょっとお尋ねしておきたいと思うのです。
  16. 山口巖

    山口参考人 ただいまの御質問は、中央会あるいは連合会役員または幹部で農協経営実態を知らない、そういう例があるではないか、それに対する対策でございますか、御質問趣旨はそういうふうに理解してお答えいたしてよろしゅうございますか。
  17. 馬場昇

    馬場(昇)委員 そういうわけじゃないのです。そういう会長さんたち農業経営をどうやっておられるか事実を知りたいだけで、批判は後で——先ほど私ちょっと批判を言いましたけれども、そういう農業経営実態、そして自分がいかに実践しておられるかどうか、そういう実態をちょっと知りたいのです。たとえば、全然農地を持たれない、あるいは農業に一回も従事されない、あるいはこれだけ持っておられて、これぐらい実働しながらやっておられるんだ、そういう実情を知れば、実情がわかればいろいろな批判ということもわかるわけですから、そういう実情を知りたいということで、資料をお出しいただけないかということです。
  18. 山口巖

    山口参考人 御案内のとおり、農協ではそれぞれ定款をつくりまして、組合員資格を規定をいたしておりますので、選出されている組合長または連合会会長はその農協定款に規定した資格を持っておることは間違いないわけでございます。ただ、実態的に本人が何町歩の経営をしているかあるいは何頭の家畜を飼っておるか、そういう点につきましては、現在全中としても資料を持ち合わせておりません。ここで提出するわけには残念ながらまいらないわけでございます。よろしくお願いいたします。
  19. 馬場昇

    馬場(昇)委員 農林省どうですか、大臣じゃなくて農林省の担当の方に。
  20. 今村宣夫

    今村政府委員 御案内のとおり、農協及び農協連合会理事につきましては、農協法上、定数の少なくとも四分の三は農協の正組合員でなければならないということになっておりますし、それから組合長理事につきましては、模範定款例によって正組合員でなければならないというふうにいたしております。したがいまして、農協及び農協連合会監事、それから農協中央会役員につきましては、農協法上そのような資格要件が定められていないわけでございます。  したがいまして、先生の実態把握ということになりますと、農協及び連合会監事なり農協中央会役員というものについて一体どうなっておるのかというお話に集約されるのではないかと思いますが、これらの役員につきましては、ただいま中央会山口常務からお話がございましたように、私たちはその実態掌握をいたしておりません。したがいまして、その実態掌握をする必要性があるかどうか、またそういうことにつきましてやることが適当であるかどうかを含めまして、中央会ともよく相談をしたいと思っておる次第でございます。
  21. 馬場昇

    馬場(昇)委員 私がそれを聞きたいと言ってここで質問しているのですよ。資料を出してくれというのですよ。それをあなた、何で中央会と相談する必要があるか。私と相談しなくてはだめじゃないか。たとえば、私は会長さんをと言っているのですよ。全部出せと言っているのじゃないのですよ。その人のたとえば経営実態とか、そういうことを知りたいから知らしてくれといって国会質問しているわけですよ。それに答えられないというのですか。調査すれば簡単ですよ。四十数名あるいは八十名、それを調査をしないというのですか。どうですか。
  22. 今村宣夫

    今村政府委員 調査をすることを検討いたしたいと思います。
  23. 馬場昇

    馬場(昇)委員 調査をすることを検討したいということは、調査しないという結論も出るのですか。委員質問に対する答弁はそれでいいのですか。調査をするかどうかを検討するのですか、調査をするのですか。
  24. 今村宣夫

    今村政府委員 それぞれの連合会会長さんが農業にどの程度タッチしておるか、農業経営をその人がやっておるのかどうか、あるいはまた農業経営に対してどの程度学識経験を有しているのか、(馬場(昇)委員「そんなことは言ってない」と呼ぶ)いや、そういうことの問題につきまして、その実態掌握する必要があるではないかということでございますれば、それにつきまして私の方としても調査をいたすことを検討いたしたいと思いますが、それをさらに国会の場において提出することが適当であるかどうか、また提出するべきであるかどうかということにつきましては、なお検討させていただきたいという趣旨を申し上げているわけでございます。
  25. 馬場昇

    馬場(昇)委員 じゃ、端的に言いますが、経営実態学識なんか要りませんよ。たとえば何町歩持ってどういうものをどうしておられる、たとえば自分はやらないからそれを息子にやらせておられる、そういうことだけでいいのです。あるいはだれかにやらせている、その経営実態だけを調査をして私に知らしてください、こういうことですから、そのことにしぼって答えてください。いろいろなことを聞いておるのじゃないのですから、端的に答えてください。
  26. 今村宣夫

    今村政府委員 先ほども申し上げましたように、全体としまして、それぞれの連合会会長さんがどの程度農業に従事し、どの程度農業についての学識経験を有するかということについて、行政庁として掌握する必要性があるということでございますれば、それについて調査をすることを検討したいと思いますが、これを個々の人につきましてどういう状況であるかということをオープンにするということにつきましては、さらに検討する必要があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  27. 馬場昇

    馬場(昇)委員 これは委員長に聞きますけれども質問しないことを言っているわけですよ。たとえば、学識経験をだれが調べろと言ったですか。それを盛んにそうでないと言っても、学識を調べるかどうかということを言っているのです。質問にないようなことをつけ加えて拒否の材料にするというのはおかしいじゃないですか。それから、ここに出す出さぬというのは、出せば何か違法になるのですか。私に知らせれば違法になるのですか。委員長、注意してください。質問しないことをつけ加える。私は学識調査しろなんて言っていないのです。私が質問した部分についてだけ言えばいいのです。そのことを委員長に注意してもらって、そういうことを何かここに出せば違法になるのかどうか、そのことを聞きたい。
  28. 佐藤隆

    佐藤委員長 政府側に要望しておきますが、質問者側はよくわからぬようでありますから、わかりやすくひとつ答弁をしてください。  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  29. 佐藤隆

    佐藤委員長 速記を起こしてください。
  30. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 こういうことですね。四十六の連合会長がいる。その人が田んぼや畑を何ぼ持っているか、一覧表につくって出せというのですね。そういう意味ですか。意味がよくわからない。
  31. 馬場昇

    馬場(昇)委員 一覧表をつくって出せというのではなくて、私にわかるように説明してくださいというのです。一覧表で出すのかどうするのか、私に説明してくださいと言うんですよ、私は。個人が出してくれるな、公にすると困るとかなんとかいうなら、私が知りたいのだから私に示してくださいというのです。
  32. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 これは役所といたしましては個人個人の財産について職務上全部知ることができるわけです。いまの組合長は全部組合員台帳に載っている人です。その人が村なら村の農協組合長として適格性があるかないかということは、まず第一に組合員が知っているわけです、組合員の選挙で出るわけですから。仮にこれを知らなかったならば、要するにこの人は組合長として適格であるかどうかということは、末端の県庁が知っているわけです。したがって役人はそれでチェックはしているわけです。そこでチェックしたということは、役人として台帳や何かを見て知っているわけですから、それを信用してもらえばいいのであって、この人は何町歩持っているから合格ですとか、この人は持っていないから不合格ですというようなことを一々表に出すということは私はできないと思います。
  33. 馬場昇

    馬場(昇)委員 財産調べをするとか、適格、不適格の調べをするのではなくて、実態を知りたいということです。  もうこれで時間をとりますとあと言えませんから……。これはさっき経済局長が答弁しましたような学識なんか私は聞いておりません。経営実態を調べなさい、私に知らせなさいと言っているのです。これは調べるかどうか検討すると言われましたが、この次の課題にして、次に行きたいと思います。これはこういうところを何で渋られるかというところに実は私は問題点を感ずるということを申し上げておきたいと思います。  それから次に、もう一つ私が問題に考えておりますのは、まず農協の政治活動についてどういうぐあいに把握しておられるのか。いま農協が行っておる——農政連という名前を変えている部分もあるかもしれませんが、この農協の政治活動についてどう把握しておられるのか、これについて問題点はないのかあるのか、スムーズにいっていると思っておられるのかどうか、こういう点について、まず全中の方はどう考えておられるのか、お尋ねします。
  34. 山口巖

    山口参考人 全中といたしましては、昭和五十年に理事会を持ちまして、農協農政活動体制の整備強化方針というものを決定をいたしております。これに基づきまして私ども農政活動に当たっておるわけでございますが、特に先生の御指摘の点につきましては、農協は、組合員農協の政策要求実現のために政党に対して積極的に働きかける、政党に対しては農協組織の性格にかんがみ一党一派に偏しない、こういうことが原則でございまして、その原則に従いまして現在実施をいたしておるわけでございます。  なお、農政連等の組織につきましては、これは農協外の組織でございますので、この点につきましては御答弁するわけにはまいらないというのが実態でございます。
  35. 馬場昇

    馬場(昇)委員 これはいま言われましたが、農政連というのはもちろん農協外の問題でございますが、農政連活動と農協活動がごっちゃになっているという問題点はお感じになっておられませんか。
  36. 山口巖

    山口参考人 できるだけごっちゃにならないような指導をおろしております。
  37. 馬場昇

    馬場(昇)委員 じゃ、ごっちゃになっておるわけですね、ごっちゃにならぬように指導なさっておるわけでございますから。  そこで、たとえば実際問題として農政連というのは、大体私どもの地方では自民党を御推薦なさっておるわけです。ところが実際、選挙になりますと農協が空っぽになるのですね。そうして、これはたとえば、預金、貯金運動だとか何とか運動といって昼に出かけられて、そういうこともされると思うのですけれども、そのことでまた選挙運動をなさる。まあ農協がたとえば自民党の集票マシン化するという批判もあるわけですけれども、これはごっちゃにしているというところのあらわれがそういうところになってきておるのではないかと私は思うのです。  そこで、たとえば米価大会なんかを農協がなさる、それから農政連もなさる。ところが、たとえば一党一派に偏しないということですけれども農協なんかなさって、農政連という名前にかえているときもあるし、かえてないときもあるようでございますけれども、与党ばかりに案内をして野党に案内をなさらない。これは常識の問題だろうと思うのですけれども、実はわが県なんかにはたくさんあるわけです。これはどうでしょう、全中として、こういうのは議論するのは常識的に考えておかしいと思うのですけれども、そういう点は何か御指導なさいますか。
  38. 山口巖

    山口参考人 各県の農協大会の考え方がそれぞれ違うと思うわけでございますが、私ども全中といたしましては、米価大会等は各党に御出席をお願いをして御出席をいただいております。
  39. 馬場昇

    馬場(昇)委員 これはその常識がいずれの県でも実行されるように、全中としては、指導機関でしょう、だからぜひ指導していただきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
  40. 山口巖

    山口参考人 その点につきましては、県の実情調査をいたしまして、善処をいたしたいと考えております。
  41. 馬場昇

    馬場(昇)委員 次に、最近財界から物すごく農政批判も出ておりますけれども、一部労働界から農政批判も出たり提言も行われておるのはもう御承知のとおりで、全中はそれに対する反論もなさっておるわけでございます。  そこで、私は、そのことは後で時間があれば御質問申し上げたいのですけれども、たとえば同盟等の文書を読んでみますと、「農産物の輸入規制は、アメリカの対日批判の的とされ、保護主義を台頭させる大きな原因となっている。」こういうことも書いてございますし、「米以外の農産物の輸入制限については速やかに撤廃し、完全自由化を行う。」というようなことも同盟の文書の中にあるようでございます。私は、昔からといいますと、歴史的なことは詳しくは知りませんけれども、私が知っておる限りにおきましては、労働界というのは一貫して労農提携という立場で農民要求というのをずっと支持してきた歴史があると思うのです。その労働界が一転して、どちらかといいますと財界よりもひどいような農政批判とか、そして、いま農民がとっておる政策運動に対して、要求に対して、真っ向から対立するような提言をやっておる。こういう状況については、私は、先ほど言いました農協の政治活動、そういうものについての、たとえば常識がちょっと外れておるとか、あるいは行き過ぎがあるとか、あるいは独善性があるとか、そういうことも労働界からのそういう批判を誘発する一つの誘因になっているのじゃなかろうか、こういうことを思いますし、そして、日ごろそういう労働界との連携というか、全中なら全中の連携、各県の農協のそういう労働界との話し合い、こういうものが欠如しておる。だから農民要求等と全然違った提言をなさる。こういう対立するようなかっこうになっておるわけでございます。そういう点で、日ごろの政治活動に対する批判だとか、日ごろ日常の連帯行動の不足だとか、こういうところからもそういう労働界からの批判が出てくるのじゃなかろうか。もちろん労働界の批判の中身は知っています。問題が間違っている部分も私はよく知っているのです。それは後で議論しますが、そういう点、まずみずからを反省する立場において、いま言った点についての御感想山口さんに聞きたいのです。
  42. 山口巖

    山口参考人 今回の一部労働界からの農政批判につきましては、実は私どもの見解は若干先生と違っておりまして、これは財界も労働界も軌を一にして農政批判を行っておるということでございまして、時期的には昨年の十一月ごろから本年の春闘を山にいたしまして非常に活発に行われておる。そして、理由といたしましては、財界の方は、輸出の非常な拡大によりまして対外摩擦が起きた、これを緩和するために、輸出国側の要求である農産物輸入の拡大、こういうものを要求しているのではないかと私ども考えておりますし、労働界の方は、一部でございます、私どもいろいろ労働界と接触いたしておりますが一部の方々でございますが、これは主として企業内労組の方が多いわけでございまして、特に輸出産業関連の労組の方も大分おります。もう一つは食品加工関係の労組の方がそういう意見を持っておられるわけでございますが、その考え方は、やはり実質的な賃金のベースアップがなかなか本年は低成長下でむずかしい、実質賃金の向上を図るためには食料品の価格の引き下げを必要とする、そのためには、国内の農産物は割り高である、輸入によりましてそれを刺激剤として国内の農業の改善を進める、コストの低下を図る、こういうような考え方で各種の提言がなされておるわけでございます。  その点につきましては、私どもとして、足腰の強い農業を確立いたしまして、できるだけ消費者に安い農産物を届ける努力をしなければならぬという覚悟でございますが、農産物の安直な輸入あるいは輸入拡大につきましては、十分国内農業実態を把握した上で、国内農業の圧迫材料にならないように万全の措置をしていただくように、政府当局にもお願いをいたしておるというのが実態でございます。
  43. 馬場昇

    馬場(昇)委員 いま言われた点は私も知って質問したのです。それは後で質問しようと思ったのですけれども、やはりそういう立場をとると、お互いに常日ごろ交流しよくお互い理解し合っておると、もう少し違った形で出るのじゃなかろうか。結局、労農提携というずっと長い歴史があるわけですし、お互いに、農民もこう困っているのですよ、こうですよ、あなた方、言えば自分たちの賃金の問題だとかあるいは自分の産業だけを考えちゃ日本の将来はこうなるのですよという形で、お互いが連帯しておりますともう少し違うのではなかろうか。全中だって日ごろのそういう努力が足らなかったなという点はこの際やはり反省しなければいけないのじゃないですかと、中身のよしあしは別として思うのです。こうならないようにすべき努力はあったのじゃなかろうかということです。  それはそれでおいておきますが、次に農協の運動についてちょっと御質問申し上げます。  五十四年度の水田利用再編対策についてお聞きするのですが、その中でも、時間がございませんから質問は最後の一点にしぼるのですけれども、とにかく五十四年度の生産調整目標として、去年の政府目標に二〇%を上積みをして、実績に一〇%を上積みをして自主生産調整全中指導なさっておるわけでございます。私どもは、この生産調整というのはやはり農民は反対だ、実質すべての農民の気持ちは反対だ、米をつくりたいんだ、これが基本だと思うのです。そして、さらに言うならば、この政策というのは農民の心の稲を枯らした、農民の生産意欲を落とした、こう言っても過言ではないと思うのですけれども、やはり現実問題、全中は自主生産調整をなさっておる。  これは皆さんからいろいろ御説明もお聞きするし、書き物を読んでみますと、理由は二つのようですね。一つは、米が過剰だ、こういう問題と、もう一つは、食管制度を堅持したいんだ、こういうせっぱ詰まったところからこういうことをしているんですよと全中は説明なさっておるわけでございますが、私どもは、米の過剰というのは、たんぼで米をつくって米が過剰になった、そういうこともあるかもしれませんが、それよりもやはり政府経済政策でこの過剰というのをつくり上げた、こういうところに原因があると思うのですけれども、この過剰問題はきょうはおきまして、食管の問題についてだけお聞きしておきたいと思うのです。  全中が食管制度を堅持するんだ、先ほど言ったいろいろなことがありますけれども、その理由を一つにして自主生産調整をなさるわけですが、全中が守ろうとしておる食管制度というのはどういう制度かということを聞いておきたいと思うのです。
  44. 山口巖

    山口参考人 国内に流通いたします米の全量につきまして政府に管理をしていただくということが私どもの考え方でございます。
  45. 馬場昇

    馬場(昇)委員 全量管理してもらうということはいいとして、少なくともいまの食管制度、食管法を見ますと、ざっと言って三条と四条からも言えるわけですけれども農民からは、生産費と所得を補償する、言うならば高く買う、そして消費者には、家計を圧迫しないようにといって安く売る、私はこの逆ざやがあるというのが食管の基本だろう、こういうぐあいに思うのですけれども全中が堅持されようとしておる食管制度というのは、この逆ざやに対してはどのような考えを持った食管制度ですか。
  46. 山口巖

    山口参考人 逆ざやの問題も、米が供給過剰のときの逆ざやと不足しているときの逆ざやと、いろいろこれは制度に果たす影響というものは違うと思うわけでございまして、現状におきまして、逆ざやも、またその内容でございますが、コスト逆ざやか売買逆ざやか、あるいは末端逆ざやかといろいろあるわけでございますが、私どもはやはりいわゆる自由米ですね、やみ米、これの流通が拡大するというような影響が出てきたら困るわけでございますので、逆ざやの圧縮というものはそういうことのない範囲内においてとどめるべきである、そういう観点から行うべきである、こういう意見でございます。
  47. 馬場昇

    馬場(昇)委員 端的に質問したのですけれども、やはりいろいろ慎重なお答えで、よくわからないのですけれども、これはまだ時間がありますので、もう一つ農協の運動の中で——ちょっといまのでもわからなかったから、逆ざやというのがあるということですかということを端的に聞きます。  それから、たとえば米価要求で平均生産費方式というのをとっておられますが、これでは半分以上の農家の生産費が賄われないと私は思うのですけれども、このことはどちらかというと農協のいままでから変わってきているわけですから、力不足で、こういう計算方式というのは農協米価運動の後退ではないかと批判もされておるのですけれども、この二つについてお答えいただきたい。
  48. 山口巖

    山口参考人 逆ざやの問題につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございます。  それから、ただいまの米価の平均生産費方式を全中がとっておる問題に対する御質問でございますが、私どもとしては、昨年、要求米価の算定方式を切りかえる前は、八〇%バルクライン方式というのをとりました。全中で現在生産費調査をやっておりますが、その生産費調査のコストの安いところから高いところへずっと段階的に積み上げまして、上限の八〇のところの生産費、これを労賃等所要の置きかえを行いまして要求をいたしてきたということであったわけでございますが、これはいわゆる対象農家の全量でございますので、米の需給関係の反映というような点に対しますと若干問題があるわけでございます。やはり米価に対しましても、私ども全中としてはある程度米の需給の関係というものは当然しんしゃくをしなければならないだろうという考え方があるわけでございます。そういう点で平均生産費ということに昨年から算式を直したわけでございます。  さらに、米の価格に対する基本的な考え方といたしましては、米価とは何ぞやという場合につきましては、やはり国民に全体に必要とする米の量、この量を確保するに足る価格を設定する。だから、いわゆる必要量の、一番それだけを確保できる米価ということになりますと、そのバルクラインがどのくらいに落ちつくかという測定が現在のところできませんので、平均生産費主義をとったというのが実態でございます。
  49. 馬場昇

    馬場(昇)委員 これは実態実態と言って、農協のそういう運動が後退をしないように農民は切に望んでいることをつけ加えておきたいと思うのです。  次に、これは大臣、お聞きしますけれども、いま対外経済摩擦を引き起こしておるわけでございますが、これはいろいろ御質問申し上げたかったのですが時間がありませんけれども、端的に申し上げますと、工業、重化学工業製品を中心にして輸出を増大して対外経済摩擦を引き起こした、それを農畜産物の輸入拡大によって乗り切ろうとする姿勢というのは、これは完全に間違っておると私は思うのです。これについて東京サミットも近々あるわけでございますが、この問題につきましてはいろいろ東京ラウンド等で話をして、農畜産物の問題、決着がついているわけですけれども、やはりこういう重化学工業製品の輸出によって引き起こした貿易摩擦を農畜産物の輸入枠の拡大とか自由化によってしりぬぐいをする、こういう政策は絶対とらない、これ以上もう輸入枠拡大だとかあるいは自由化とか、こういうことはしない、そういうことについての農林水産大臣の御見解、御決意をお聞きしておきたいと思います。
  50. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 私は、農業といえども産業であります、産業である以上は日本の経済と重大な関係がございます。生産者だけが豊かになってという政策はむずかしい。生産者が豊かになるためには、消費者が豊かにならないで、消費者が貧乏して生産者が豊かになるということはございません。これは購買力は消費者が持っているわけですから、消費者が豊かになる政策、そして生産者もともに豊かになる政策、こういうものを組み合わせていく必要がございますということを終始一貫して実は申し上げておるわけであります。したがって、他産業の発展のために農業を犠牲にする、そういうようなことはございません。これは共存共栄で生きていかなければならない。われわれは、現在の農業というものは、できるだけ国内で生産できるものは国内で生産するようにし、農業は保護政策をしてまいります、しかし共存共栄なのですから、エゴイスト的なことはできません、そういうことを言っておるのでございます。
  51. 馬場昇

    馬場(昇)委員 それでは、いま一応の話し合いがついておるわけですけれども、これ以上たとえば自由化をするとか、あるいは輸入枠を拡大するということについての状況は、あるいは大臣の判断は、決意はいかがですか。
  52. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 東京サミットについては、対米交渉で中川農林大臣の当時に一応一九八三年まで決まっておりますから、これをいじる考えはございません。
  53. 馬場昇

    馬場(昇)委員 時間が大分過ぎたのですけれども、次に、世界の食糧の長期見通しについて、これは農林省それから農協の両方に聞きますけれども、大体長期的に見て、たとえば八〇年代さらには九〇年代、そういうところで世界食糧の需給はどう見通しておられるのかということと、もう一つは、その長期見通し、食糧が逼迫するか過剰になるか、その見通しに従って、日本の国内の食糧の自給率というのはどのように持っていこうと考えておられるのかということを聞いておきたいと思う。私はもう食糧は逼迫するであろうと見ておりますし、さらに食糧というのは戦略物資だ、こういうぐあいにも考えられますし、また五年か六年前の昭和四十七、八年ごろにあの食糧危機と言われて、あれからもう五年たって、いまそういう感じが余りないようですけれども、私は、現在石油とかいろいろ問題になっておる時期に、その辺の長期的なことを食糧について考えておかなければならぬと思うものだから質問をするわけでございますが、それについて農林省全中から見通しをお答えいただきたいと思います。
  54. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 農産物は自然を相手にする産業でございますから、なかなか化学製品のように調合すればできるという品物ではありません。おてんとうさま相手で、これは非常に左右されることが多い。したがって、不安定な要素も多いわけであります。われわれとしては、一億一千万の国民を抱えておるわけですから、できるだけ国民の食糧を国内で生産できるものは極力国内で生産する、そういう考え方で今後もやっていくつもりであります。しかし、経済の変化、国民生活の変化等に伴って、結局農業の需給の見通しというものについて、これはなかなか固定的にはできない点もございます。豚や鶏のように、六十年の見通しをもうすでに突破してしまっているというものもあるわけでありますね。したがって、これはときどき見直す必要がある。したがって、新しい安定成長下に入り、世界の経済の動き等もにらみながら、われわれとしては現実に合ったような供給、需要の見通し、特に需要というものをもとにして、それに対する供給生産体制というものを確立していきたい、そういうような下準備をいま進めておるところであります。
  55. 山口巖

    山口参考人 全中といたしましては、現在一九八〇年代の農業の展望の作業をやっておるわけでございますが、その作業におきまして大体出てまいりました意見は、やはり一九九〇年代以降になりますと食糧は非常に逼迫してくるのではないかという見方でございますが、八〇年代は石油の問題等不確定な要素がたくさんございますし、そういう点から、食糧は高位不安定に推移するだろうという考え方でございます。したがいまして、私どもとしては、現在保有しております国内の生産諸方というものを、あと十年以降に非常に不足の状態が来たら大変でございますので、やはり現在持っておる農業の生産諸力を保持して発展させるという考え方で対処をしてまいりたい、かような考え方でございます。
  56. 馬場昇

    馬場(昇)委員 時間が来てしまったわけでございますけれども、食糧の問題というのは、これはもう最大の国の安全保障の問題であるわけでございます。国民の生存にかかわる問題であるわけでございますし、そしてまた総理府がやりました統計によりましても、約七〇%ぐらいの国民は、日本で食うものは日本でつくりなさい、自給自足をしなさいという意見でもあるわけでございますし、さらにまた、いま世界一の食糧の輸入国でございますものですから、やはり一九八〇年の後半、九〇年代に世界食糧は不足する、そういうときに、金に任せて物を買う、発展途上国との摩擦が起きる、そのことが日本経済に対してもまた大変な問題を引き起こす、こういう大きい問題でございますので、ぜひ食糧の自給率の向上には全力を挙げていただきたい、全中努力をしていただくし、農林省努力をしていただきたいと思います。  そして、特に私は最近の農政を見て、消費者と生産者がどうもまだしっくりいっていない、あるいは政策によって対立させられるというような面もあるようでございます。だから、そういう点において、生産者そして消費者、同じ国民ですから、それが一体となって日本の食糧を守る、日本の安全保障を確立していくという立場で心を一にしなければならない、こういうぐあいに思うのです。そういう点について、さらに全中は格段の努力をお願いいたしたいということで、さらにあと合併法が出ると思いますけれども、当初申し上げましたように、民主的な運営には全力を挙げて、全中指導機関でありますから、指導していただきたいということを申し上げながら、質問を終わりたいと思います。
  57. 佐藤隆

    佐藤委員長 津川武一君。
  58. 津川武一

    ○津川委員 農協合併を進めることのあり方について若干質問をします。  いままでは指導と称して天下り的なところ、無理押しつけのようなところもなきにしもあらずだと思うのですが、これからの合併は、農民の中から合併促進の機運を出させる、合併する単協が主導権をとる、このような合併でなければならないと思いますが、政府参考人から御意見を伺います。
  59. 片岡清一

    片岡政府委員 いまおっしゃるとおり、合併基本は、それぞれお互いに理解し合って、そして、お互いに栄えていくという大きな立場からの、相対ずくの話し合いでいくのが非常に基本でございます。もちろん、その基本に従って進めていきたいと考えておる次第でございます。
  60. 山口巖

    山口参考人 先生の御指摘のとおりでございまして、組合員の十分な理解のもとに合併を進めたい、こういうふうに考えております。
  61. 津川武一

    ○津川委員 その次は、合併の規模がどのくらいであれば適正だと思っているのか、望ましいと思っているのか、このことが一つ。  このことと関連して、大規模農協合併をどのように考えるかという問題でございます。全中がことしの二月に出しました「農協合併十七年の成果と残された課題」という検討を見ますと、「大型になるほど協同意識がうすれ、意思反映しにくく、まとまりにくく、事業拡大にはしる傾向がみられる。」「不当、不正、不振が大型化し、解決も長期化する場合がある。」このように述べておりますが、こういう過程に至った経過やいまの方針を山口さんに聞いてみたいと思います。  それについても思い出すのは弘前市の農協合併でございます。一万戸近い大型の農協合併ができました。かなりむちゃな押しつけもあったようです。そうすると、全中が検討した課題がそのまま当てはまっておるようで、たとえば農業協同組合財務処理基準令で一組合員に貸す限度が一億八千万となっているのを、弘前キャッスルホテルというホテルに十二億円、開発センターというところに十八億五千万円、大城東青果市場に十四億円貸し付けております。しかも、開発センターからは全く担保をとっておらない。大城東青果の根抵当権が、十四億円貸しておってわずか八千万、こんな状況が出てくるのでございます。  また今度、定款違反の員外貸し付けも至るところに認められてきて、実体のない幽霊会社、田沢秀四郎という人ですが、一億円貸し付けておる。担保を全く徴収しない貸し付けが四千三百五十万円、モーテルの所有者に五千万円、こんな貸し付けが行われております。  また、農協理事たちが酒屋を共同経営するために、これは準組合員にもなれないので貸されない。そこで、前組合長に二千万円、現組合長に一千九百万円、専務に二千万円、理事に二千万円、そして同じく理事に一千八百万円、合わせて九千七百万円を貸して、この農協組合長や専務、理事は酒会社にこのお金を使っているわけです。こういうことで、その経営がめちゃくちゃになってしまいまして、いま大変議論を生んでいるわけであります。  それで、全中の「農協合併十七年の成果と残された課題」に対する検討から言っても、こういうことは好ましくないし、全中としてもこれはやはり知っているのか、こういうふうに格別に指導もしてあげなければならないと思います。これが山口さんに。政府に対しては、このことはすでに政府には質問でなく、指摘しておりましたので、どう指導したか、現状はどうなっているか、これをお答え願いたいと思います。
  62. 山口巖

    山口参考人 御質問の、規模をどのくらいに考えるかという問題でございますが、現在農協組合員数の平均が千二百三十名程度でございますが、私どもとしては、やはり地域地域によりまして組合員数というのは非常な偏差があるのではないか、何が適正かという問題。北海道等の非常に広域で農家戸数が少ない場合における農協の適正規模という問題も別にあろうかと思うのですが、要するにやはり組合員の相互のコミュニケーションが十分行き渡る、農協運営について組合員意思が十分反映できる範囲の規模、それから、もう一面におきましては、やはり農協といえども企業体でございますから、職員に対する雇用条件の確保等が十分できるような適正な経営上の規模というものも必要であろうかと思います。そういう点から考えますと、地域といたしましては、これは北海道を除きまして、内地府県を例にとりますと、大体町村単位、あるいは大きくても旧郡単位ぐらいが適正な規模ではなかろうかというふうに考えられるわけでございます。  それから、第二点の弘前農協の問題でございますが、私どもも県の中央会を通じまして実態も十分把握をいたしております。また、この再建計画につきましても、全中も県中と一体になりまして指導を現在まで続けておるわけでございまして、最近の報告によりますと、再建計画もどうやら軌道に乗りつつあるというのが実態のようでございまして、内容的には先生の御指摘のとおりでございまして、その点十分承知をいたして詳細な指導をおろしたい、かように考えております。
  63. 今村宣夫

    今村政府委員 御指摘の弘前農協におきます不祥事件は、私たちとしてもまことに遺憾なことと考えておる次第でございますが、この再建につきましては農政局、県を通じまして指導をいたしておるところでございますが、五十二年五月に長期の再建計画を策定いたしまして、執行体制の整備でありますとか債権回収でありますとか、あるいは増資に努めておるところでございます。  五十二年度の決算を見てみますと、当初利益が千二百万円を計上いたしております。貸付金回収におきましても、貸付残高が当初貸付額の四三%になっておるということで、最近次第に軌道に乗りつつあると見られますが、さらに今後、農政局、県を通じまして適切なる指導をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  64. 津川武一

    ○津川委員 事ここに至りました大事な問題は、民主主義の問題、皆さんとよく相談しないで高度経済成長や日本列島改造論に従って出てしまっている。組合の理事がみんなそのお金をやったところのトップになっている。そういう形でこの放漫経営を来したわけです。現在再建の道はただ一つ、民主的に再建することと、事を起こした人たちが責任を明らかにすることなのです。ところが、事責任を明らかにすることになってくるとがんとして聞かない。それはなぜかというと、青果会社でもキャッスルホテルでも、みんな理事たち役員、重役におりていっているから。自分たちもそういうことになって再建が阻害されているし、これからの運営にも支障を来している一番の問題は責任を明確にするということなのです。この責任をとらせる点について全中がどう指導なさるか、政府がどうするか、これを聞いて質問を終わります。
  65. 山口巖

    山口参考人 現在再建に当たっておりますので、再建委員会等の決定に従いましてやはり責任はそれぞれ的確にとっていただくのが適正であろう、かように考えております。
  66. 今村宣夫

    今村政府委員 組合長以下、当時の担当の方たち経営の責任なり何なりをどういうふうにするかということにつきましては、さらに私の方としましても十分考えていきたいと思っております。
  67. 津川武一

    ○津川委員 終わります。      ————◇—————
  68. 佐藤隆

    佐藤委員長 この際、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来理事会におきまして御協議を願っていたのでありますが、本日その協議が調い、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を作成した次第であります。  その内容につきまして、便宜、委員長から御説明申し上げます。  本案は、農業協同組合合併助成法に基づく合併計画の認定制度の適用期間を、この改正法律の施行の日から昭和五十七年三月三十一日まで復活延長するとともに、この合併計画の認定を受けて合併した農業協同組合に対しては、従前と同様に法人税、登録免許税、事業税等の軽減措置が適用されるよう、関係法律について所要の改正を行おうとするものであります。  以上がその内容でありますが、その詳細につきましては、お手元に配付してあります案文により御承知願いたいと存じます。     —————————————  農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律  案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  69. 佐藤隆

    佐藤委員長 本起草案について別に発言の申し出もありませんので、この際、本案について、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があればお述べ願いたいと存じます。渡辺農林水産大臣
  70. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案につきましては、政府といたしましては、やむを得ないものと考えます。
  71. 佐藤隆

    佐藤委員長 お諮りいたします。  お手元に配付いたしております農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案の草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案といたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  72. 佐藤隆

    佐藤委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決定いたしました。  なお、ただいま決定いたしました本案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 佐藤隆

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午前十一時二十三分散会      ————◇—————