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芳賀議員 その点が全く見解の
相違といいますか、昨年、
国有林野事業の改善
措置法で
審議いたしまして、一部修正をしてこれは成立さしたわけでございますが、改善
措置法に基づいて林野庁が昨年の九月に
国有林野事業の
改善計画、十カ年
計画と方針というものを設定したことは御
承知のとおりであります。
それに基づいた
現状を申し上げますと、
昭和五十三年、これが
改善計画の、いわゆる十カ年
計画の初年度ということになるわけでございますが、五十三年の
国有林の
森林蓄積量がおおよそ七億七千万立方メートルですね。これに対して五十三年の年間の
生産量というのが千四百万立方メートルですね。では、これに対して五十三年は年間幾ら
伐採量を設定したかというと、成長量を超える千五百四十万立方メートルが初年度の
伐採量ということになるわけです。
人工林の
面積が二百十五万ヘクタール、この
人工林の中で二十一年生以上のものの占める比率というものは全体の三三%、これが第一年目の
基本的な基礎数字ということになるわけです。これを十年後の六十二年には、蓄積を七億八千万立方、それから成長量が相当上がりまして、年間千八百万立方ですね。それから年間
伐採量というものは、どうしても反省の上に立って、成長量を超える
伐採を毎年毎年続けた場合においては蓄積が減少して、この蓄積についても、戦後のピーク時に比べると七億七千万立方というのはおおよそ一億五千万立方蓄積が減少しているわけですね。それがつまり過伐、乱伐によって
国有林を荒廃させた一番大きな原因をなしておるわけです。ですから、六十二年度の
伐採量というのは、千三百五十万立方メートルですね。これはどんどん減していっておるわけなんですよ、十年先にもずっと減るわけですから。
人工林面積は、六十二年には二百四十万ヘクタール。修正いたしました二十年
目標の達成年次はどうなるかというと、
昭和七十二年には蓄積が八億三千万立方ですね、年間成長量が二千二百万立方、年間
伐採量がようやく千四百五十万立方。二十年後も五十三年よりも百万立方まだ
伐採量が少ないわけですね。そして、
人工林面積というものは二百六十二万ヘクタールになる。その年次には二十一年生以上のもう主伐期に入るような
人工造林地がだんだんふえて、六七%が二十一年生以上ということになるわけです。ですから、この十年
計画、二十年
目標期間というものは、
国有林野の
生産活動から見ると、むしろ
生産縮小
時代ということが言えるわけですね。もちろん、不良
造林地を全面的に解消する育林
努力も必要であるし、できるだけ資源回復のために
人工造林を
拡大しなければならないという、そういう積極面の仕事がありますが、
収益ということになれば、どうしても
伐採量が年々減っていくということは、
国有林野事業の
収益が減退するということにつながるわけですね。ですから、縮小
時代というのがこれから十年、二十年続くわけでありますからして、その場合、現在保有しておる
国有林野の事業
体制というものに縮小
生産の中で対応するということになれば、いまの
政府としては、当然合理化とか首切りをどんどん進めるということになるわけですよ。縮小に合わして人員整理をやるとか、あるいは
請負事業をふやすというようなことになるわけでありますからして、そうなれば、一たんそうなった場合にはなかなか回復できないですからね。だから、今度二十年間というものを積極的に事業の
拡大をやるという場合には何をしたらいいかということになれば、かつての
官行造林をやった
実績というものがあるわけでありますから、そういうものを基礎にいたしまして、
実績もある、それから特に農林省設置法の中においても、林野庁関係の営林局あるいは営林署の所掌事務の第二号には——第一号は
国有林野の
造林、営林をやらなければならぬことは当然ですが、第二号には、
民有林に対する
造林、営林の指導、
助長をしなければならぬということが目的の中に掲げてあるわけです。これを全然いまの林野庁というのはやっていないわけですね。
そういう点を踏まえた場合においては、やはり往年の官行分
収造林の
ごとき
制度をさらに近代的に拡張して、そして、可能な範囲というのはやはり年五万ヘクタール程度でございますから、それを二十年間にわたって
実施をするということでいけば、十分に
国有林野事業としても
経営が健全化する。百万ヘクタールを伐期に入って分収するということになれば、これはいろんな角度から計算いたしましても、五十年伐期であれば、五十年間の投資額に対して、五%程度の資本利子をつけても投資額の大体二・一倍の
収益を回収することができる。そうなれば林野庁だけでなく大蔵省なんかほくほく喜ぶと思うのですよ。そういうような多面的な問題というのは十分検討されて、もちろんその
国有林のことが大事ですが、それを完全にやってなおかつ余力というものを積極的に
民有林の分野にも
拡大をする、このぐらいの気魄がなければ、いまの
国有林野事業の回復とか発展というのはできないと思うのですね。