○杉山
政府委員 先般、畜産物の価格について、三月末に決定を見たわけでございます。その
経緯について御
説明申し上げたいと存じます。実はいま資料を
政府委員室の方から取り寄せておりますので、その資料をごらんいただきますが、とりあえず私、手元の資料で御
説明申し上げさせていただきます。
まず、審議会の答申でございます。これにつきましては三月二十九日に乳製品についての答申をいただいております。本文だけをまず読ませていただきます。「需給均衡の可及的すみやかな回復を図るため、過度の
生産刺激を避けるとともに消費の積極的
拡大を図ることを旨として、価格及び
数量を適正に定めること。」
それから、建議といたしまして二項目、「一 経済事情に著しい変動が生じた場合には、本審議会の意見をきくこと。二 保証価格等の
算定方法について更に慎重に検討すること。」
このような答申及び建議をちょうだいいたしておるわけでございます。
これに基づきまして、私
ども政府部内において検討し、調整をいたしました結果、五十四年度の加工原料乳の保証価格等につきましては、次のような決定を見たわけでございます。
まず、加工原料乳の保証価格でございますが、これは一キログラム当たり八十八円八十七銭、前年度と同額でございます。いわゆる据え置きということになっております。
それから二番目に、加工原料乳の基準取引価格でございますが、これは一キログラム当たり六十四円三十銭、これも前年度と同額、据え置きということでございます。
三番目に、指定乳製品の安定指標価格、バター、脱脂粉乳、全脂加糖練乳、脱脂加糖練乳、それぞれの価格を単位当たりに決めておるわけでございますが、いずれも前年度の価格据え置きでございます。
金額は後ほど資料で配付申し上げますので、読み上げることは省略させていただきます。
それから四番目に、
生産者補給
交付金に係る加工原料乳の
数量の最高限度でございます。これは百九十三万トン、前年度が百八十三万トンでありますから、十万トンの増加ということで最高限度を決めております。
これらの結果、参考までに申し上げますと、補給金の単価は、先ほど申し上げました加工原料乳保証価格から同じく基準取引価格を差し引いた、一キログラム当たり二十四円五十七銭ということになります。これは前年度と同額でございます。補給金の総額は、
数量が増加いたしておりますので、総額で四百六十五億円、前年度に比べて二十四億円の増額となっております。
それから、関連対策でございます。
価格決定に伴いまして諸般の対策がとられるわけでございますが、まず第一に、需給調整対策、これは生乳の需給均衡の回復を図るために、生乳消費
拡大その他需給調整のために必要な対策を推進するということで三十三億円が、これは畜産
振興事業団からの助成事業として
支出されることが予定されております。
それから第二番目に、酪農経営合理化資金、これは酪農経営における経営の合理化と負債軽減を図るために低利資金を融通するということで、経産牛一頭当たり十五万円、総融資枠百億円ということで決定を見ております。これに要する利子補給のための所要額は十二億円、この額も畜産
振興事業団からの助成として実行されるということに予定されております。
それから第三番目は、五十三年度加工原料乳特別措置、これは御承知のように、五十三年度の加工原料乳は、限度
数量をオーバーして約二十万トンよけいに出てまいったわけでございます。これにつきましては、五十三年度限りの特別措置ということで、不足払いを行ったと見合いの額の助成を行うということで五十三億円を措置するということにいたしております。
以上が、加工原料乳保証価格等の決定に関連する
説明でございます。
次に、指定食肉安定価格等の決定について申し上げます。
審議会の答申を申し上げますと、本文だけこれも読ましていただきます。三月二十八日付で、時間は前後いたしますが、先ほどの加工原料乳価格等の答申に先立つ二十八日にこの答申をちょうだいしているわけでございますが、本文は、「昭和五十四年度の指定食肉の安定価格の決定に当たっては、牛肉について据え置くことはやむを得ないが、豚肉については、
生産費の動向、需給の
実態その他経済事情を十分考慮して決定すること。」
それから、建議といたしまして六項目にわたって御意見をちょうだいいたしております。「一 経済事情に著しい変動が生じた場合には、本審議会の意見をきくこと。二 食肉流通の改善を促進し、
消費者価格の引下げに努めるとともに、食肉消費の
拡大を推進すること。三 最近における素畜価格の動向にかんがみ、その安定のため特段の配慮を払うこと。四 肉畜飼養の安定合理化を図るとともに、肉質改善のための施策を推進し、肉牛については、合理的な肥育技術体系の普及指導に努めること。五 畜産
振興事業団による需給調整については、価格動向に即応した機動的な対処に努めること。六 安定価格の
算定要素については、なお検討を進め、改善に努めること。」
これらの答申をちょうだいいたしまして、
政府部内で調整した結果、価格については次のような決定を見ております。
まず第一に、豚肉でございます。御存じのように、皮はぎ法、湯はぎ法により整形したそれぞれのものがあるわけでございますが、皮はぎ法により整形したものについては枝肉一キログラム当たり安定基準価格六百一円ということで決定いたしました。これは前年が六百二十七円ということでありますので二十六円の引き下げということになります。安定上位価格は七百三十五円ということで決定いたしております。
以下同様の
関係でございますので、豚肉については
説明を省略いたしまして、牛肉について申し上げます。
これは去勢和牛の肉とその他の去勢牛肉ということで二種類あるわけでございますが、まず去勢和牛肉、枝肉一キログラム当たりの価格は安定基準価格千三百三円、安定上位価格が千七百三十円、これはいずれも前年度の価格と同額でございます。その他の去勢牛肉も前年度と同額で決定いたしております。
それから、食肉の価格決定に関連いたしまして措置いたしました対策でございます。
まず第一に、子牛
生産奨励対策、これは肉専用種の繁殖経営の規模
拡大等によって経営の合理化、子牛
生産の
拡大を図るため
生産奨励金を交付するということで、子牛一頭当たり二万円を交付することといたしております。これは一般的には二万円でございますが、特例といたしまして肉用子牛価格安定基金に加入している場合にあっては三万円ということにいたしております。これに要する所要額は総額で百二十一億円でございます。なお、この単価は前年度措置した単価といずれも同額でございます。
それから二に、繁殖豚資質向上対策でございます。養豚農家が優良な繁殖豚を導入し、肉質の改善と経営の合理化を図るために低利資金を融通する。これは繁殖雌豚一頭当たり八万五千円、種雄豚同じく一頭当たり十一万五千円ということで、総融資枠は百億円を予定いたしております。これに要する利子補給の所要額は十億円でございます。
それから三番目に、食肉消費流通改善対策でございます。これは実は価格決定と同時に、それに関連してとられる対策ということだけではなく、以前から消費流通改善対策として考えておりますところのもろもろの事業を、この際
生産者対策とあわせて、このような消費流通改善対策も行うこととしていることをお示しする意味で、改めてここに掲示をいたしたわけでございます。食肉流通の改善を促進し、
消費者価格の引き下げを図るため、牛肉値下げルート新設事業の拡充、産地食肉処理
施設、
部分肉流通拠点、食肉消費総合センターの整備等を推進し、消費の
拡大を図る。これの所要額は百三十八億円。
いずれもこの関連対策に必要な財源につきましては畜産
振興事業団の差益を活用いたしまして、同事業団の助成事業として行うということにいたしております。
以上でございます。