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1979-04-25 第87回国会 衆議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年四月二十五日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 佐藤  隆君    理事 今井  勇君 理事 羽田  孜君    理事 堀之内久男君 理事 山崎平八郎君    理事 島田 琢郎君 理事 馬場  昇君    理事 古川 雅司君 理事 稲富 稜人君       愛野興一郎君    江藤 隆美君       久野 忠治君    熊谷 義雄君       國場 幸昌君    瀬戸山三男君       関谷 勝嗣君    玉沢徳一郎君       津島 雄二君    塚原 俊平君       福島 譲二君    森   清君       角屋堅次郎君    柴田 健治君       新盛 辰雄君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    芳賀  貢君       日野 市朗君    武田 一夫君       野村 光雄君    吉浦 忠治君       神田  厚君    津川 武一君       菊池福治郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  渡辺美智雄君  出席政府委員         農林水産政務次         官       片岡 清一君         林野庁長官   藍原 義邦君         林野庁次長   角道 謙一君  委員外出席者         農林水産省経済         局金融課長   浜口 義曠君         林野庁林政部長 佐竹 五六君         労働省労働基準         局安全衛生部長 野原 石松君         農林漁業金融公         庫総裁     中野 和仁君         参  考  人         (林業信用基金         理事長)    松形 祐堯君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   中尾 栄一君     関谷 勝嗣君   中村喜四郎君     塚原 俊平君   野村 光雄君     中川 嘉美君 同日  辞任         補欠選任   関谷 勝嗣君     中尾 栄一君   塚原 俊平君     中村喜四郎君   中川 嘉美君     野村 光雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  林業等振興資金融通暫定措置法案内閣提出第  三二号)      ————◇—————
  2. 佐藤隆

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  林業等振興資金融通暫定措置法案を議題とし、審査を進めます。  この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本日、本案について、林業信用基金理事長松形祐堯君参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤隆

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 佐藤隆

    佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  5. 柴田健治

    柴田(健)委員 林業等振興資金融通暫定措置法案というものについて、与えられた時間で御質疑を申し上げたいと思いますが、この法案は、われわれの立場から申し上げると、あくまでも国内の林業振興ということが基本原則だという判断に立って質問を申し上げますので、そのつもりでひとつお答えを願いたいと思います。  まず、林業問題を論ずる一番大きな基本になるのは、何としても労働者の問題、人の問題だと思うのです。この人の問題をはっきりしない限り、日本林業というものはどんなに絵をかいてもそれは実現しないと思うのです。現状の立場から申し上げると、非常に老齢化しておるのが実態でありまして、若年の若い労働力をどういう方法で山に向けていくかということを考えなければ、日本林業というものは振興しないと思っているのですが、いまどういう方法でやろうとしておられるのか、それを具体的に説明を願いたいと思います。
  6. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま御指摘になりましたように、林業推進するためには、何をおきましても労働力確保が必要であろうというふうにわれわれも考えております。  最近の総理府の統計を見ますと、労働力につきましてはここ数年、数量的には大体二十万人程度で推移をいたしておりますけれども、その内容を見ますと、老齢化がやはり進んでおりまして、昭和三十五年には、五十歳未満が七六%おりましたものが、五十年では六二・七%というふうに若年級が減ってきております。私ども、こういうことを含めまして、これからの労働力確保するためには、林業基盤整備等を図りまして、山村の住民が定着できるよう就業の場としての林業魅力あるものにすることが何よりも必要かというふうに考えております。このため、従来から、まず基盤整備でございます林道あるいは造林の生産基盤整備、さらには林業構造改善推進、また生活環境整備する必要があるということで、生活環境整備、また後継者育成事業等々を推進してまいっておりますし、また、労働される方々社会保険等にも加入の促進を図るという意味からも、退職金制度推進等就業条件改善を図ってまいったわけでございますけれども、今後ともこれらの施策中心にいたしまして整備を図って労働力確保を図ってまいりたいというふうに考えておりますが、特に五十四年度からは、そういうことも十分に加味いたしました森林総合整備事業あるいは新林業構造改善促進対策実験事業、また林業村落振興緊急対策事業、こういうものを実施いたしまして、生活基盤整備あるいは就業の場の拡大、あるいは就業の場の労働条件改善等々を積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
  7. 柴田健治

    柴田(健)委員 生活基盤整備ということをあなたは強調せられましたけれども、やはり人というものは、何としても、身分保障というもの、それから所得の問題、そして万一の場合を考えて社会保障という、この三本の柱を確立しないと本当に人は集まらないと思うのですね。賃金だけで解決するものでもないし、それならもう社会保障という立場で完全に救済措置も、ということだけではない、やはり社会的の位置づけというものを明確にしなければならぬ。それは要するに身分保障だ。それから適切なる賃金を与えていかなければならぬ。それからほかの労働者、要するに公務員並みぐらいの社会保障を適用していくという、そういうものを解決しないで、いま長官答弁せられたようなことでは、本当に若い人が集まるとは思えない。その点をもう少し、法的に制度的に改善すべき点は、およそ何年くらいには、今年度は無理でも明年度中にはこういう方法制度改正してこうやりますよというものが、具体的なものがなければならぬと思うのですね。現行法では十分じゃないから私は申し上げるので、現行制度の中で山林労働者が完全に保障されておるかというと、そうはいかない。それは特定の、国有林立場ならそうだけれども民有林の方はそうはなってない。いまあなたは、退職金の問題もあると、こう言うけれども、多少はそういう道が開かれておるけれども、全国的に見ればまだまだである。何年にはもうそういうものを完全にしてしまうのだという目標を示してもらってこそ初めて具体的なものがあらわれたと言えるので、いつごろまでにどうしますということ、何年までには皆さん方の要望に沿えるような制度改正をいたしますということを言ってもらわぬと、いまの答弁答弁になってないのだよ、長官、本当正直に言ったら。どうですか。
  8. 藍原義邦

    藍原政府委員 御指摘のとおり、社会保障制度を見ましても、林業関係社会保障制度に加入しておる率は確かに高うございません。そういう点で、私どもも、退職金制度につきましては、昨年から発足いたしまして、中小企業退職金共済事業団に加入できるような制度として、乗り移れるための施策を現在講じておるわけでございまして、これは五十五年に乗り移っていくような方法で現在進めておりますし、今後いろいろな面からそういう点は検討し、強力に推進をしなければいけないというふうに考えておりますが、あわせまして、事業体に対しましてやはりそういう面の指導をしていく必要があろうということで、現在労務改善推進員というものを三百四十名ほど張りつけまして、こういう推進員中心になりまして、事業体に対しまして労働条件改善等々についての促進方推進しておるわけでございまして、先生の御指摘のとおり、林業関係労働者につきましては、他の労働者に比べましていろいろな面で劣る面があるとわれわれも思います。そういう点で、いま申し上げましたような政策を中心にして今後とも進めてまいりたいというふうに考えております。
  9. 柴田健治

    柴田(健)委員 どうもこれは農林省全体に言えることなんだけれども林野庁は、頭はあるけれども体が動かないというような状態になっておる、私はそう思うのですよ。あなたらは頭で描いている。頭で描いても日本林業は振興しない、本当は。体が大事なんですよ。体をどう動かすかといったら、労働者なんですよ。労働者をどう動かすかということがこれからの林業振興の一番基本でなければならぬ。あなたらは、頭は動いているけれども体は動いていない。体を動かすようなそういう施策がない。特に、次に労働力確保の面から申し上げたら、山で働く人々の健康管理の問題ですね、たとえば振動病一つ取り上げても、完全にまだ解決してないじゃないか。その手を打ってないじゃないか。そういう点から、民有林で働く林業労働者はもちろん国有林よりまだ条件が悪い。国有林も完全にまだ解決してない。民有林はまだなおさら解決してない。こういうことでは山で働く労働災害、特に問題になっているのは振動病といわれる白ろう病ですね、実態はどうなっているのか。  労働省来ておるんだから聞きますが、国有林民有林、特に民有林労働者のそういう白ろう病にかかっておる患者というものが何人あるのか、それから、完全に健康診断を終わって確認されておるのか、その点ひとつお答え願いたい。
  10. 野原石松

    野原説明員 国有林については後ほどお答えがあると思いますが、民有林について申し上げますと、振動病として認定をされ、労働者災害補償保険の方から保険給付を受けた方々状況でありますが、昭和五十三年度は目下集計中でありますけれども、五十二年度について申し上げますと、その年に新たに保険給付を受けられた方が千三百四十八名でございます。この方々を含めまして年度末における認定者の数のトータルですが、これが二千七百五十七名、こういうことになっております。  そこで、これで全部発掘しておるのかというお話でございますが、実は、私どもやはり一つの手がかりとしては、健康診断をやってそれを通じて異常所見を発見する、こういうことが最も的確な方法でありますので、この健康診断につきましては、実は規模の比較的小さい現場も多いということも考えまして、かつまた、非常にこの診療、健診機関から遠いところの現場が多いというようなことから、昭和四十八年に国の助成措置に基づく巡回健診制度を設けまして、これを中心健康診断実施率年ごとに高めてきておるわけであります。まだ一〇〇%というところまでは残念ながらいっておりませんが、今後これをさらに高めまして、潜在的な振動障害の方もすべて早期に発見ができるように進めてまいりたいというふうに思っております。
  11. 柴田健治

    柴田(健)委員 いまのお答えの中で、一〇〇%してないが実際何%ぐらいいま実施しているのか、何年度までに完全に健康診断が終わるのか、その日程をひとつ教えてもらいたい。
  12. 野原石松

    野原説明員 実はそれが全体の何%に当たっているがというようなことになりますと、現場で働いている方々の数、その母数をつかまないといかぬわけでありますが、これが出入りが非常に激しいというような実態、それから非常に広い現場で働いておられるということもありまして、なかなか母数の把握が困難でございます。したがいまして、的確にその全体の何%だということは申し上げられませんけれども、ただ、私どもとしては、これは何年計画で一〇〇%まで持っていくというようなことは適切でないので、むしろいますぐにでも一〇〇%やりたい、こういう気持ちでありますので、そういう意味ではなるべく早い機会にこの一〇〇%を達成したいということで、毎年健診者の数が数千名ずつふえてきておるというような状況でございますので、たとえて申しますと、五十年度には六千人台でしたのが、五十一年度には一万六百人、五十二年度は一万五千人近く、こういうふうに年ごと受診者の数がふえてきております。したがいまして、この調子でいきますと早い将来に一〇〇%に近いところまで持っていけるのではないか、こういうふうに私どもとしても最大の努力を払いたいというふうに考えております。
  13. 柴田健治

    柴田(健)委員 いまのお答えで、現在もう二千七百も出ておるのですが、員数からいくと、健康診断員数は、伊少なくても三千人近く出ているこの率が当てはまるかどうかわからないけれども、完全に約二十万人の者が健康診断を受けたらどの程度患者が出るかというたら、相当の数字が出てくることは間違いないという予測ができますね。私は、健康診断をするのには思い切って奨励をしたら短期間に終わると思うのですよ、あらゆるいまの日本医療機関を動員してでも。白ろう病健康診断の専門医というのは案外少ないのじゃないか。だから時間がかかることはわかるけれども、遠方から出てきても旅費を全部支給する、それから賃金も払ってやるからとにかく健康診断だけは受けなさいということで、すべての経費は国が全部負担する、二日間かかろうと三日間かかろうとこの健康診断を受ける間は賃金は全額払う、このくらいにしてやれば、積極的に健康診断を受けに来ると思う。それを、山で働く賃金が一日でも減れば生活にこたえるということで、まあこの次に延ばそうかということでみすみす自分の健康を悪くする、こういうことになるのだから、思い切って健康診断奨励策をとったらどうか。そういう点は労働省どうですか。
  14. 野原石松

    野原説明員 先生も十分御承知だと思いますが、健康診断といいますのは、本来人を雇っている、つまり事業者の義務として行っていただくということになっておりますので、したがって、それを全面的に国が全部経費を持つということについては若干問題があるのではなかろうかと思います。したがいまして、現在のやり方は、健診に必要な経費の半額を国の方で助成をするというようなことでやっておるわけでありますが、この制度につきましては今後さらに充実さしていきたいというふうに考えております。  それから、健診の実施率を上げるためには、いまもお話がございましたが、健診機関が必ずしも全国的にまだ均一にいつでも受けられるところにあるというところまでいっておりませんので、それゆえに巡回健診のシステムも運用しているわけであります。  そこで、そういった面を解決するために、厚生省とかあるいは林野庁とも御相談の上、全国的にそういう健診治療機関ネットワークづくりをしようじゃないかということで、すでにこの方も話し合いが終わりまして、地方へレベルダウンいたしまして、現在具体的な作業を進めている段階でございます。そういうことが両々相まって今後さらに健診の実施率を高めていきたいというふうに考えております。
  15. 柴田健治

    柴田(健)委員 ささやかな助成措置で近ごろ始めておることはやや前進でありますけれども、思い切って、早期に健診を終わろうと思えば、全額国が出す。それは林野庁が出そうと労働省が出そうと、国が全部持つ。それぞれの企業なりそれぞれの地域で負担させるというと、なかなか人間関係があって、そういう者を何とか出してくれという要求運動は、不安定な雇用条件の中では、林業労働者というものはそれぞれのたとえば森林組合にしても企業にしてもよう言わない、正直のところ。もう一日休んだら賃金カットを受けてもしようがないのだ、こういうことで、弱い立場だから、そういう雇用関係の弱さというものをやはり国が認めて、思い切って奨励策をとるということが、皆さん方が本当に熱意を持って、そうした林業労働者健康管理、そういう労働災害を起こさない予防措置、そういうものをしないと、いま林野庁長官説明されましたけれども、若い労働力は育たないと私は思う。そういう一つの不安、問題が現実にある。その問題を除去しない限り山林労働者というものはふえてこないと私は思うのですが、除去しないでふえるという自信がありますか、長官
  16. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま御指摘になりました振動病に関連するような問題につきましては、当然、私どもといたしましても、こういうものの予防は徹底的に図らなければいけないというふうに考えております。したがいまして、罹病された方は徹底的に治療を図るということが大事であろうと思いますし、また現在働いていただく方にはこれにかからないという予防対策を積極的に進める必要があろうというふうに考えております。  そういう点で、この予防の問題については林野庁中心になりまして検討しておりますし、そのための時間の規制の徹底だとか、あるいは振動の少ないチェーンソーの買いかえあるいはリモコンのチェーンソーの買いかえ、あるいはそういう機械のこれからのさらに開発導入、こういう問題、それからチェーンソーに従事する方々のその取り扱いに対する技術指導、こういうものを中心にしてやっておりますし、また健康診断の問題につきましても、五十四年度から、林業につきましては一人親方という方が大分おられますけれども、俗にそういうふうに言われておる一人で働いておられる方々健康診断につきましてもその実施の対象の整備を図れるようなことを林野庁として考えております。そういうことで、林野といたしましては、予防につきましては徹底的にその対策を今後とも講じてまいりたいというふうに考えております。
  17. 柴田健治

    柴田(健)委員 長官はまじめな人だから、言うたことは約束守られると思うから信用しますが、大いにやってもらいたいのです。  われわれの立場から、いままでの歴史的な経過を踏まえて御意見を申し上げると、たとえば近代化合理化能率化省力化ということで、非常に専門的な言葉を使って、優秀な機械ができた、これを使いなさい、こういってチェーンソー奨励した。奨励した責任者はだれか。機械をつくるメーカーは、この機械を使ったら人間にどれだけの影響を与えるのかという人間の健康と機械との要するに労働衛生という立場からどういう研究をしたのか。この機械を使えば耳が聞こえぬようになるのか、振動病が起きるのか、血管がどうなるのか、心臓がどうなるのか、そういう人間との関係機械研究開発というものをどの程度やったのか。人間を無視して、機械をつくって省力化すればいいのだという判断でつくったのか。こういう立場から言うと、機械メーカーも社会的に責任がある。また、これを奨励して売った販売業者責任がある。そうすると、これは普通不特定多数で出す公害ではない。もう犯人は決まっているのじゃないか。その犯人にどう社会的に責任をとらせるかということを林野庁はどういう方法でやらしたのか。これは長官だけじゃない、大臣がおれば言おうと思っているのだけれども、政務次官、じっと聞いておるのだが、そういう犯人はわかっておる。不特定多数の犯罪じゃない。もう犯人は決まっている。それに対して社会的にどういう責任を持ってもらうのか。そういう被害を受けた労働者にどれだけの見舞い金を出したのか、補償金を出したのか。スモン病だってそうでしょう。もうはっきりしてきたら、国も総力を挙げて遺族補償も考えるし、治療費も考えるしと、こうなっている。もう犯人わかっているじゃないですか。それだけに今後そういう社会的な責任を持ってもらわなければならぬ皆さんに、農林省としてはどういう方法で本問題解決責任をとってもらうかというやり方方法考え方があれば、次官説明願いたい。
  18. 片岡清一

    片岡政府委員 ただいまの御指摘は非常に大事な点でございまして、何といっても、やはり人間仕事をし、人間の奮闘によって物が栄えていくということでございますから、これは人間を非常に大事にするということが一番大事でございます。したがいまして、いかなる仕事、またいかなる機械をつくり、いかなることをやるにしても、この人間を大切にするという立場から物を考えていかなければなりませんし、その人間に何かの健康上に異常を来すようなものをつくったり仕事をさせたりした者はやはりそれぞれその立場において責任を負う、こういう考え方を一般的に浸透させていくことが、私は民主主義社会における非常に大事な点だと存ずるのでございます。そういう意味におきまして、先ほどから労働省あるいは林野庁で御説明を申し上げましたように、今後それらの点については、その物をつくる人、仕事をやらせる人にそれぞれの立場責任を負ってやっていただく、そういう考え方を十分徹底するように行政指導をしていきたい。同時に、それで及ばない点につきましては、これはやはり国として何らかの対策を講じていかなければならぬ、こういう考え方基本的に持っておるわけでございまして、そういう点で今後とも十分真剣に検討し、対策を講じていきたい、かように思っておる次第でございます。
  19. 柴田健治

    柴田(健)委員 次官のは余り答弁になっていないのですね。これからやりましょう、こういう、後で気がつくてんかん持ちの論理ですね。いままで起こしたものをどうするかということをはっきり説明がないといけない。これからはこういうぐあいにやりますという、これからの姿勢はあなたの答弁のとおりだと私は思うけれども、私が言っているのは、これからどうするかということと、いままでの責任をどうしてくれるのか、こういうことで、二つある。この点を明確にしていかないと、いまや、これからの山の労働者をふやそうといったって、当面この問題が解決しないのに、またタコ部屋みたいに山へほうり込まれて、けがをしようと病気にかかろうと後は知らぬぞ、おまえの不注意だ、こう言われたのでは、これはどうも割り切れないという気持ちになるから、山に魅力を持たない、また魅力も持てないということになります。山林労働者としての誇りが持てない。人間というものはある程度、どんな仕事でも自分誇りというものがなければ仕事にならぬですよ、正直に言って。そこに使命感愛情です。使命感愛情というものは、不安があると人間は生まれてこない。自分が犠牲になって、命をかけてというのはない。そういう気持ち林野庁長官にみじんでもあったら、こういう問題はいままでも起きていないはずだ。  だから、私が言うように、あなた方、頭でだけで体が動いていないという証拠です。体はだれかということを考えて物をとらえて指導しておけば、こんな問題は起きなかっただろうと思う。その起こした責任というものは、これはもう社会的に負ってもらわなければいけない。これは社会通念上当然のことなんです。これはきょうどうせいというのじゃなく、いずれ改めて聞くことにして、処置を考えてもらいたい。  問題は、いま労働省の人が答弁しましたが、いろいろな問題で健診を、巡回健診だ、こう言う。まあ巡回健診も一つ方法ではありますが、私は、やはりこの治療センターという特別の施設が必要だ。労災病院もある。労災病院に併設してもいいが、この振動病に関する限りは治療センターを別につくる必要があるのじゃないか。特に患者の多いような地域には、もう大体確認されているのだから、国が、これも一つ社会的責任という立場で、病院というものより、治療センターで保養も兼ねてできる、全額国が持つというぐらいに、これは労働省林野庁厚生省、相談してやるべきだ、早急にこれはもう実現すべきだ、こう思うのですが、長官どうですか。
  20. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど労働省の方からお答えございましたけれども労働省厚生省林野庁、三者一体になりまして協議会を設置いたしておりまして、その中で予防方法治療方法等々、対策を検討したわけでございますが、いまの段階では、それぞれの地域にネットワークを形成いたしまして、その中で治療体制をどうしていくかということを検討し、主としてそこの地域にございます関係病院中心になりまして治療を受け持とうということで、そのネットワークの形成を現在各県がそれぞれ進めておるわけでございます。いまの段階で、私どもとしてはそういう形でやっていただくのがベターではなかろうかというふうに考えております。
  21. 柴田健治

    柴田(健)委員 今後大いに努力して、これは早急に解決してもらわないと、日本林業振興の一番のネックになってくる、こうわれわれはとらえているから、ぜひこれはもう早急に解決してもらわなければならない。総合的に施策を進めてもらいたい。やはり一つ一つ責任を持たしていくということも大事なことだから、そうしないと解決しないと私は思うので、それぞれの分野で、たとえば国有林の営林局なら営林局が、ある下請、そのやらせる請負業者が白ろう病患者を一人でも出したら、直ちに指名停止である、請負契約をどんなにしておっても全部解除する、そのくらいの厳しさがなければだめだと私は思うのです。これは民有林立場でもそうだし、国有林立場でもそうだが、そういう指導というか、強い姿勢で行政指導をやる気持ちがあるかないか、これは次官に聞きたいのです。
  22. 片岡清一

    片岡政府委員 先生のおっしゃる御指摘の点は十分理解をするわけでございますが、今後十分そういう点に留意いたしまして最善の対策を講じていきたい、かように存じておることだけ、ひとつ御了承賜りたいと思います。
  23. 柴田健治

    柴田(健)委員 この問題で時間を余り食うのは……。  次に、人間災害、労働者の災害と、もう一つは国土保全という立場から災害対策についてお尋ねしたいのですが、山に関するものの災害がいろいろ起きておる。まあ自然災害ということで、雪害、降雪からくる災害もあるでしょう。林野火災という火からくる災害もある。集中豪雨における山崩れという災害もある。地震という立場からの災害が起きる可能性がある。総合的にいろんな災害がある。それに対して、個々にわたって火災、水害、雪害、地震と、いろいろの面の災害の区分において、防災対策はどういう考えを持っておるのか。たとえば林野火災だけでも、減少する減少すると言うけれども一つも減少しない。一時は平均しているけれども、また伸びてくる。年次を調べてみると、ちょっと減る年もあるけれども、どっと伸びてくる。年間の林野火災で貴重な森林資源の消失というものは膨大な被害になっている。  そういう立場から言うて、日本列島を地域別に区分して、フェーン現象が起きる地域もありましょうし、気象条件によって変化のあるところがある。それを区分して具体的にどういう防災対策をしているのか、この点の構想を聞かしていただきたいということと、もう一つは、地震の危険性の高い地域、この点についての防災対策。それからもう一つは、これに関連する火山活動の地域、これらの防災計画、それらを総合的に含めて、西日本と東日本へ防災資材の国営の基地をつくるべきじゃないか。われわれはもうそういう構想を練りながら、どういう方法で防災基地をつくるかという計画をぼくらなりの立場で考えている。ところが、林野庁は思いつきばかりやっておるという気がするわけです。そういうことでは二千五百万ヘクタールの山を守る総本山の林野庁としては少し幼稚ではないかという気がするわけです。防災についてもう少しきめの細かい計画を示してもらいたい。この点、構想があれば簡潔にお答え願いたい。
  24. 藍原義邦

    藍原政府委員 林野庁が担当いたします業務の中で災害と申しますと、やはり山火事、それから集中豪雨等に関係いたします山崩れの防止、そういうものがまず中心になりまして、そのほか、いま先生指摘になりました地震による山崩れの被害防止、それから噴火等の問題もございます。そこで、火災の方の問題でございますけれども、これにつきましても、林野庁といたしましては、巡視員等を配置するということ、それから地区を区分いたしまして、普通地域と特別地域に分けまして、それぞれ機材の配置あるいは巡視員の配置というもので対応いたしております。そういう形で普及をしておりますけれども、残念なことに山火事は必ずしも年々減っていない。その原因を見ますと、火の不始末、たき火の不始末、たばこの投げ捨て、こういう人為的なものが非常に多いということでございます。この辺がわれわれとしても非常に残念でございます。年々入り込み者もふえておりますし、われわれのPRが及びがつかないというところは非常に残念なわけでございますが、今後ともいままでやっておりますこういう施策をさらに強化することによりまして対応していくのがいいのじゃなかろうかと考えております。  それから、水害に関連いたしましてあるいは地震などの災害に関連いたしまして過去に災害危険地を調査いたしました。しかし、その後それぞれの地域の利用状況が変わっておりますので、五十三年度から二年間にわたりましてもう一度全国の危険地域の調査を現在いたしております。その中で、いま先生がおっしゃいましたような山崩れの危険のありそうなところだとかいろいろ区分しておりますけれども、そういう区分の中で危険地を見出しまして、それに対する対策を治山事業の中で講じてまいりたいというのが現在のわれわれの構想でございます。
  25. 柴田健治

    柴田(健)委員 防災基地を二カ所ほどつくりなさい、こう提案したのです。これについて、拒否するなら拒否してもよろしいが、新しい考え方として受け入れて検討するなら検討するとか、お答え願いたいのです。たとえば、林野庁が単独で持つというのもなかなかむずかしいだろう。それからそれぞれの機関と話し合いで、たとえば西日本、東日本に一カ所ぐらいヘリコプターを持った防災資材の基地を——いま大型の飛行場ができて、小型の飛行場は余っているところがあるじゃないですか。あれをもらえばいいじゃないですか。小型の飛行場のあいたところをもらって、それを防災基地に使う、それぐらいの考えが林野庁にあってほしい。われわれはそれは全面協力しなければならぬ。どういう方法で協力するか。それは、あなたらが新しい構想があるとするならわれわれは全面的に協力する、こういう考えを持っておるわけですから、いいならいい、悪いなら悪いで、はっきりとお答えを願いたいのです。
  26. 片岡清一

    片岡政府委員 大変示唆に富んだ御意見でございまして、われわれとしてもおっしゃることについては本当に十分考えながら、ただしかし、この問題は一林野庁だけの問題ではございません、国土庁を主体として国全体の災害対策といいますか、あらゆる災害に対処していく考え方が総合的に計画されていかなければならぬ問題だと思います。最近、幸い地震その他に対して非常な関心が、政府としても一般に対処策が講ぜられておるわけでございます。  いま御指摘のような点、山林を守る、こういう重大な責任を持つわれわれ林野庁農林省としても、今後そういう点で中心になって十分働きかけて、そして問題に対処していきたい、かように考えておる次第でございます。
  27. 柴田健治

    柴田(健)委員 この法案の前段の文章には、国土保全ということが書いてある。どういう形で国土保全をするのかということはいろいろ数があるわけですけれども、そういう災害防止についても国土保全の一応の基本だから、国土保全という名前を使う限りはそういう面まで含めて検討して考えてもらわないと、二千五百万ヘクタールの日本の貴重な資源を失うということはいけない、私はそう思って御提案申し上げておる。  次に、二千五百万ヘクタールの山の中で、それぞれ国有林民有林、公有林と区分されて、民有林の方は個人持ちが多い。公有林は財産区を設け、市町村有林だとか県有林だとか、またいろいろ区分されておりますけれども、いまのそれぞれの分野の責任が明確になってない。ただ、森林組合が新しくできて、それで森林組合が十分責任を持ってくれるかと思えば、なかなかそこまでは手が回らない。それから、個人持ちの山林で保安林という指定をしておる。保安林でもいろいろ種類があるけれども、大体水源滋養が一番多い。水源涵養の保安林で、水源として機能を発揮しておる地域もあるし、まだ十分発揮してない、なぜこんなところを保安林にしたのかなという、われわれでさえこういう疑問を持つところが保安林になっている。それはそれで歴史的に経過があるから、指定した時分にはそれだけの機能があった。ところが、これだけ土地の利用というものが変化を起こして、宅地もふえるし、農用地が農用地でなくなってくるし、いろいろな形で土地の変化が起きて、それは物質文明が発展するとそういう変化を起こすのは当然でありますから、保安林の機能の九十年の歴史の中でこの辺で見直しをしてもいいではないかという気がするわけですね。見直しをしない限りは、保安林というものは税金を取ってないのだから、税金を取ってない地域は何のために税金を取ってないのか、林家の諸君にもう少し山のとうとさ、重要性というものを認識してもらう。所有権はあなたのものであるけれども地域社会、国全体に影響のある山ですから保安林として指定をしております。だから税金はいただいておりませんから、それだけにぜひひとつ責任を持ってくださいよという、行政指導を強めるというのじゃなしに、山に対する認識が九十年経た今日十分ではないじゃないかという気がするから、どういう方法で保安林の見直しをするのがいいのか、山を持っておる林家に対してどういう形でPRをするのがいいのか、この点の林野庁指導方針を、文書では流したが十分でない、だから、その点ひとつ林野庁が保安林の指定をしておる地域に対して関係住民にどういう方法で訴えるのか。  なぜそういうことを私が申し上げるかという理由は、いま青い山脈から赤い山脈に変化し黒い山脈になっておる。原因は何か、それは松くい虫だ。松くい虫によって赤い山脈になった。青いのが赤になった、枯れてしまったら黒になってしまう。なおかつ放任している、どうするのか。公有林はやかましく言える。民有林、特に保安林の指定を受けておるところは無断で切ってはだめです、許可が要りますから。正直に言ったら山に対して認識が全然違っておる。伐倒駆除をしなさいと言っても、勝手に山を切ったらいけない習慣ですから切るわけにまいりません、こう言って、松くい虫だから構わぬから切れやと言っても、長い習慣がついている。そういう一つの問題としてネックになっているから、この際、保安林の見直しを兼ねてひとつ徹底的な指導を強めたらどうか、こういう気持ちで申し上げるのですが、どうでしょう。
  28. 藍原義邦

    藍原政府委員 保安林の問題につきましては、いま先生指摘になりましたいろいろ問題があろうかと私も思っております。特に最近治山事業が非常に推進されましたので、また小規模な災害地が多いために小規模にあちらこちらに治山事業をやっております。治山事業をやりましたところは保安林なり保安施設地区に指定するという形になっておりまして、そういう点で、特に中国地方にはその辺が非常に多いというふうにわれわれ聞いておりますけれども、点在する保安林が非常に多数発生いたしました。そのために、保安林の維持管理と申しますか、適正管理と申しますか、そういうものが必ずしも十分にいかないという点もあろうかと思います。  それから、最後に、御指摘になりましたように、保安林というものは切れないものだということに非常にまじめに考えておられまして、いま先生指摘になりましたように、松くい虫に遭ってもなかなか切らないという問題もあるのかもしれません。そういう点につきましては、私ども行政指導の中で十分対応してまいりたいというふうに考えておりますが、林野庁では本年度から保安林の適正管理実態調査というものを実施することにいたしております。その中で問題のあるものの調査あるいは配備の状況等々につきまして十分検討いたしまして、今後の国土の保全に適合した保安林の配備のあり方というものを十分検討してまいりたいというふうに考えておりますし、松くい虫の跡地につきましては、十分その辺を県を通じましてでも精査いたしまして、早く造林事業を行いまして適正な樹種を造林いたしまして、緑の山脈にまた戻るように指導してまいりたいというふうに考えております。
  29. 柴田健治

    柴田(健)委員 松くい虫の問題だからついでに言っておきますが、どうですか、いま松くい虫はどの程度被害が拡大されておるのか、量と面積、行政区域から言うと四十七都道府県のうち何県広がっておるのか、ちょっと説明願いたい。
  30. 藍原義邦

    藍原政府委員 松くい虫の被害は、先生御存じのとおり四十八年度から非常に急激にふえたわけでございますが、昨年は特に高温少雨といいますか異常気象が続きまして、そのために被害も大きくなっております。現在、沖繩県から宮城県までの間、三十六都府県に及んでおります。特に五十三年度被害の多かったところは、先ほど申し上げました異常気象のありました県でございますが、茨城、岡山あるいは兵庫、こういうところに非常に多発いたしております。特に被害の特徴といたしましては、茨城、愛知及び島根県のように比較的被害の軽微な一部の地域におきまして異常な増加が見られるという傾向もございます。そのために五十三年度の九月末日現在の被害量は全国で百三十八万立方、前年に比較いたしまして約一・七倍という形になっております。そのために、被害面積は大体五十万ヘクタールぐらいではなかろうかというふうに推計いたしておる次第でございます。
  31. 柴田健治

    柴田(健)委員 あなたのとらえ方の終息をしておる県というのでなしに、私らの考え方から言うと、もう枯れるだけ枯れてしまってこれ以上広がろうにも松がなくなったという県が出ておるような判断をしておるわけですね。まだ松が残っておるところにはこれから広がっていく。松がなくなったら広がりもどうもしない。なくなっちゃったんだからどうにもならぬ。あなたのようなとらえ方とわれわれのとらえ方とちょっと認識が違う。  私はもう十何年前から、松を枯らしてはならぬぞということを委員会でも何回となく申し上げた。あなたに申し上げたのじゃない。歴代の林野庁長官に何回となく申し上げた。林野庁長官は皆参議院や何かに出られたけれども、参議院に出られても国会で何もしない。林野庁長官の経験者何代かはもう参議院に出られておる。そういう歴史から見て、本気でやられてない。本気でやるのなら、当初発生した時分から木材の移動禁止を徹底的にやる。人間の伝染病でも、コレラでも何でも皆やるわけですから、松の虫についてはそういう区域で移動禁止をやるとか早急にやればよかった。それを全然やらないから、放任するからこんなことになってしまった。この責任はもう林野庁長官だけではない、農林省全体の責任だと思う。これは大臣責任だと思う。大臣きょうはおらぬから、次官、あなた責任感じてこの問題について、明年度中に全部なくするように努力します、いつ終息させるのか、われわれそれに関心があるわけですから、あなたの責任明年度中、五十五年度中には全部おさめます、終息させます、それで跡地対策についてはどういう方法でやります、緑の復活はどういう方法でやります、こういうことは林野庁長官だけの責任じゃないと私は思う。国の責任だけれども内閣全体の責任だ、内閣の代表は大臣だから、大臣はきょうおらないから次官、名代でひとつお答えを願いたい。
  32. 片岡清一

    片岡政府委員 松くい虫の被害につきましては、御指摘のとおり日本の山林の立場から申しまして大変重要な問題だと存じます。これを何とか早く食いとめたいということで、先生も御承知のとおり、一番能率的な方法ということで空中散布という特別の立法をやりまして、五十六年までの時限立法として、とにかくその間までには何とかこれを退治したいということで最初出たわけでございます。それにつきまして、この空中散布の防除法とあわせまして、空中散布が十分でない地域につきましてはこれを伐除するという立場から、懸命な努力をいま続けておるところでございますが、仰せのようになかなかおいそれと進みません。しかし、かなり成果を上げながら進んでおるわけでございます。  これらの問題につきましては、もちろん国として重要な責任もございますが、森林所有者御自身も理解をしていただいて、自主的な活動をしていただくということも大事かと存じます。それらの問題を考えながら、できるだけ早期にこの被害が終息するように努力していくことが非常に大事な国の責任であると思っております。そういう点について今後とも従来の努力以上にこの終息に向かって努力を続けていきたい、かように思っておりますわけでございまして、いつ幾日までということはなかなかむずかしい問題でございまして、できるだけ早急にこの対策を強化していきたい、かように思っております。御理解賜りたいと思います。
  33. 柴田健治

    柴田(健)委員 国は死に金を使うようなやり方をしておるのですね。一遍に五百億ばっとぶつけて一挙に撲滅する方が私は正しいと思うのです。それを毎年ちびりちびりつけて、十年かかってもまだ被害は広がって、まだ金を食う。     〔委員長退席、羽田委員長代理着席〕 十年かかって五百億かけてもまだ撲滅できないんだったら、一年で五百億ぶち込んでやった方がより効果的だ。そういう一つの伝染病みたいな病害虫対策は、一気に解決するという戦法をとらなければ私はだめだと思うのです。初期の駆除対策というのが一番大事なんだ。火災と一緒だと私は思う。それをあなた方はやろうとしない、ちびちび出して。そういうやり方がわれわれはどうもますます被害を広げていくようなやり方だ。いままで金を投資したが何にもならないということだ。死に金を使う。あなた方は自分の金でないから、痛くもかゆくもないからそういうやり方をする。自分の金を使ってみなさい、そんなことはできない。もっと真剣に考えるべきだと私は思う。  時間がございませんから前に進みたいのですが、跡地対策についてはいずれまた論議をしたいと思いますから、きょうはこの辺でおさめておきますが、この提案説明の中で、「最近におけるわが国林業をめぐる諸情勢はきわめて厳しいものがあり、」こういうとらえ方。そして「木材需要の伸び悩み、外材の進出、経営コストの増大等により、林業の収益性は著しく悪化しております。」とらえ方としてはこのとおりだと思うが、なぜこんなことを書かなければならぬほどずうずうしいんだろうかなと思う。こういうところまで追い込んできた責任者はだれなんだ。もう少しこの責任を感じた人ならこんな文章を書かないと私は思う。これは無責任だ。こういうところまで実態を追い込んできたのは林野庁だと思う。農林省、政府だ、こう思う。それがこういうとらえ方で、これはいかにも責任をとる人の考えじゃない。これは無責任者が書く。いかに無責任時代といえども、余りにもずうずうしい書き方だ。どう考えても、こういうことに追い込んできたのはだれの責任か、反省というものが全然ない。こういうことに追い込んで、今度はこの法案をつくって、金を貸してやるからやりなさい。金を貸しただけで本当に日本林業の立て直しができるのかという疑問が起きる、正直に言って。かえってこんな文章を書かない方がいいじゃないか、こういう説明をしない方がいいじゃないかという気もする。なぜこんなことになったのか、いまのこういう文章の書き方になったのか、その責任をだれが感じたらいいのか、林野庁長官、ひとつ説明を願いたい。
  34. 藍原義邦

    藍原政府委員 日本林業が現在のような状況になりました原因というのはいろいろあろうかと思います。特にその大きな原因とすれば、昭和四十年代を過ぎまして、日本の木材需要に対して供給が間に合わないということから外材が輸入されるようになりまして、現在では外材が大体三分の二入るという形になっておりますけれども、木材価格のある意味での主導権を外材価格が支配しておるという大きな問題がございます。そういう観点で、日本林業を支える立木木材資源としての林業、こういうものから見ますと、木材価格の上下に左右されることが非常に多いわけでございまして、そういう観点から、日本林業は、木材価格の上昇がその他生産コストを吸収するまでにいっていないということから、林業がいまのような状況になった大きな原因がまずあろうと思います。     〔羽田委員長代理退席、委員長着席〕 そのほかにやはり日本全体の経済の動きの中から、山村に人が少なくなったというような問題等々もございますし、いろいろな因子が重なりまして現在のような状況になっておりますけれども、私どもといたしましてもその間手をこまねいていたわけではございませんで、それなりの対応はやったわけでございますけれども、やはりこういう大きな流れの中で現在の状況になっておりまして、これに対してのこれからの取り組み方というものも、私ども、ただいま御審議を願っております法律が通ればそれでいいというわけではございませんで、やはりそれなりにいろいろな施策をともども並行に遂行しながら、これからの林業、特に先ほど御指摘になりました森林というものが木材資源だけではなくて公益的機能を持つという観点から、これからの林業を取り巻くいろいろな問題についてはさらに真剣に対応する必要があろうというふうに考えておりますが、そういう観点からも、今回御審議願っておりますこの法案も、そういう意味でこの林業を取り巻く問題を解決する一助にはなるというふうにわれわれは考えておる次第でございます。
  35. 柴田健治

    柴田(健)委員 まあ長官一人の罪ではないことはよくわかるのですよ。けれども、こういう文章の書き方で、これを解消するためには融資の道を開きましょう、これであなた方はしっかりしなさいよと、こう言う。こういうことではわれわれは解決しないと言う。あなた方は解決すると思っておるからおかしいとわれわれは判断せざるを得ないわけです。国内産の木材の生産、流通、要するに林業生産活動がもう著しく低下してしまっているという判断だから。  公益的機能という言葉を近ごろあなた方はよく使うのですが、公益的機能というのはだれが公益的機能の恩恵を受けるといえば、国民であるし、国民のごめんどうを申し上げるのは政府なんだから、政府が責任を持って公益的機能が発揮できるような、ただ資本の論理で損か得で山を見るのではなくして、長い目で見て、一時的に思い切った金が要るかもしれない。公益的機能というのは資本の論理から生まれてくるわけじゃないと私は思う。公益的機能という言葉は資本の論理では生まれない言葉だ。それだけに政府が責任を持って思い切った財政投資をする、これがなければならぬと思うのです。そういう姿勢をとってこそ公益的機能だ、こういう言葉が生まれてくる。資本の論理で損か得で山を見てやるのなら、あなたが言うように外材をどこからでも買うてきて供給すればいいのであって、ただ需要と供給のバランスだけ考えればいいのだ。どこで買おうと、日本の山をほったらかしにしておいてもいいじゃないか、こういうことになる。私はそう思う。  だから、そういう立場から申し上げて、もう少し責任を持って日本林業を本格的に育成強化し、真の公益的機能を発揮させるような山の姿に変えようとするのなら、まだ打つべき手があるじゃないか。ただ融資だけで解決するものじゃない。今後具体的にこういう方法でやりますという説明がなければならぬと思う。当面はこういう融資の制度をつくります、けれどもこういう方法で将来やりますという説明がつかないと、こういう現状分析、認識の上に立ってこういうものをつくりますが、将来はこういう方法でまたやりますというものがなければならぬ、それが全然ないというところに不満があるから申し上げるので、今後気をつけてもらいたい、こう思います。  時間がございませんから申し上げますが、今度の融資については、あくまでも日本林業振興という立場から言えば、外材を取り扱っておる業者には融資はしない、これは原則を確認してもらいたい。全国で製材業者二万三千百三十一工場、その中で国内産だけを取り扱う製材業者は、統計数字に出てくるのが七千二百三十三工場である。外材でもうけた業者はいまの日本林業振興に本当は役立っていないのです。それにまで金を貸さなければならぬ理由がどこにあるのですか。原則として国内産でやっている流通業者、卸売業者に限定しよう。それをしないと、節度がないと、やはり日本林業振興にならぬと私は思うのです。それを五〇だとか八〇だとか、そういうことをすれば、数字の上ではどうでもごまかしができるのです。だから、あくまでも日本の国内産の業者、これに限定される、これは理屈抜きなんです。流通業者、卸売業者とか木材業者とか、いろいろ販売業者がある。種類がある。これを見ると、販売業者の数だけでも四千二百九十五ある。木材センターが六十一、市場が五百四十八あるわけです。ですから、外材を取り扱うのには一切金を貸さない、そういうふうにこれを確認できますか。
  36. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま先生から非常に厳しい基準のお話があったわけでございますけれども、御存じのとおり、現在日本の木材需要に占める外材の割合が三分の二に達しております。先生いま御指摘になりましたように、純粋に国産材だけをひいている工場もそう多くないという状況でございますので、外材を全然ひかない国産材だけの工場ということになりますと、これは逆に、せっかくの効果のねらいは必ずしも十分ではなかろうという気もいたします。  そういう観点から、いまのところは大体五〇%くらいということで線を引いておりますけれども、この法の精神は、あくまでも国産材を振興させるというのが精神でございますから、そういう意味から、この問題に関しての今後の取り扱いについては、十分その辺を考えて、国産材の振興になるような考え方でその辺の基準を決めるべきであろうというふうに考えております。
  37. 柴田健治

    柴田(健)委員 そういう業者は、通産省の所管に入る。国民金融公庫もあれば、商工中金もあれば、いろいろほかの金融機関があるわけです。そういう金融機関の金を使い、また今度できたものを貸してもらおうという。その窓口を広げてあげることは、企業にとってはありがたいことだし、いいことだと思うのです。けれども、われわれの立場から申し上げると、この法の精神は国内産の林業振興でしょう。外国の林業振興じゃないでしょう。その点をはっきりしてもらわないと困るのです。たとえば、林業その他は抜きにして、零細企業や中小企業の育成でやるのだというならまた別ですよ。決まっておる原則を確認してもらいたい。日本林業を振興するんだ、この点をはっきりしておかないと、この法の精神が死んでしまうじゃないですか。そんなことならこの法案に賛成できませんよ。何のための林業振興なんですか。きょう法案を上げるといったって、私は反対しますよ。あくまでも日本林業を振興させるということが確認できない限りはだめですよ。あなたの答弁だったら、日本林業の振興にならぬ。一企業の育成になってしまう。中間の流通業者の育成になってしまう。それはそれで別に金融機関があるのだから、ないなら、それはある程度助け合いという互助の精神というものも必要だけれども、当面われわれが緊急課題として取り扱っているのは、日本林業をどうするかということです。間伐時になられて、間伐材が売れない、当分ちょっと保管しておくか。皮をむいて保管して、その間資金繰りがつかないから、ちょっと金を貸してもらおうかという、そういう方法もあるでしょう。だから、何としても日本林業を振興し、林家の所得を上げる、地域社会に貢献さしていくという、何としても日本林業を育成するというねらいでつくった法律なら、外材を取り扱う業者まで金を貸す理由はどこから出てくるか、そういう発想はどこから出てくるか、もう一遍、次官、ひとつ大臣の名代だから、この問題を説明してください。この点ははっきりしておかなければならぬですよ。
  38. 藍原義邦

    藍原政府委員 私、申し上げましたのは、この法案は、先生の御指摘のとおり、日本の国内林業を、川上から川下と俗に申しますが、山で林業を営む方々、それから川下で国産材を使って製材をし加工し流通される方々、こういう方々が一体になって国産材の振興、そしてそれを通じまして、日本の国土の保全なり日本林業の振興を図ろうというねらいであることは先生指摘のとおりでございます。そういう観点から見ますと、この資金を活用される方々は、製材業あるいは流通業の方々ばかりではなくて、当然そこには森林組合方々も入ってくるわけでございまして、全般から見ますれば、当然国産材を活用される方々中心になるわけでございます。その場合に、国産材だけを扱う方々だけだということになりますと、先ほども申し上げましたように、ある意味でこの精神が必ずしも十分に生きない点も出てくるのじゃなかろうかということから想定いたしまして、五〇%ぐらいを、外材を扱っている方もその中に含めて、あわせて国産材の振興を図る道を考えたらどうだということで、現段階ではわれわれは考えておる次第でございまして、その精神におきましては、先生の御指摘のとおりわれわれも考えております。したがいまして、この運用に当たりまして、その辺を十分考えて運用していく必要は、先生の御指摘のとおり、十分考えなければならない問題であろうというふうに考えております。
  39. 柴田健治

    柴田(健)委員 われわれは長い間、外材と日本の国産材との違いはどこにあるのかということを明確にしなさいということをこの席から何回となく申し上げた。外材のいいところと悪いところはどこだ、いいところはこういうことがいいですよ、悪いのはこうですよということを——日本の国産材の水準、年輪も違うし、育成期間も違う。育苗管理も外国とは全然違う。それだけこのコストが高うなるような、育成方式が外国と違うのですよ。日本は苗木でも、実生でもさし木でも三年はかからなければつくれない。三年間どれだけ苦労して苗木をつくっているか、そして品種改良して、どれだけ日本の林家が努力し、林業業者が努力しているかということを考えて、外材と日本材との価値観をどう変えるかということを真剣にやりなさいということを何回となく私は申し上げた。たとえば、外材をこれだけどんどん輸入して、この間林業白書を読んでみると、いずれ外材も枯渇して供給不足になるだろうというとらえ方をしている。あんな文章を書かぬでもいいんです。外材に目を向けておるからあんなことになってしまうのです。日本の国産材をもっと育てるということ、あなたたちのやっておることは古いわれわれの先祖が残した財産を食いつぶしておる。われわれの先祖が残してくれたとうとい財産の価値がわからぬようでどうするというのです。  それから、外材と国内材の価値判断をあなたたちが責任を持って区分しなければならぬ。価格問題になると外材の価格、国際価格を引っ張り出して、農産物は全部そうだけれども、特に林業などというものはそうでしょう。野坂議員が質問されたが、結局東京ラウンドでまた関税引き下げか何かで何もかにも手放してしまう。門戸開放になるのです。われわれは残念です。  余談になりますけれども、今度電電公社の機械は全部アメリカが握るそうですが、こんなばかなことを政府・自民党がやるのかな、これは日本人のすることかなとわれわれは腹で思っておる。食糧で押さえられ、今度は日本の頭脳を全部売り渡して——いまは昔の電信電話と違うのです。衛星中継、全部日本の頭脳ですよ。その頭脳をアメリカに売り渡すのか。食糧も農産物も全部外国に押さえられてしまって、それで日本の民族が将来繁栄するのだろうかと私は心配しておるのです。  それは余談になりましたけれども、せめて、日本の資源である木材だけはどんなことがあっても守らなければならぬし、育てなければならぬし、どんな犠牲を払ってもやらなければならぬ、私はそういう決意を持っている。そういう立場から、何としても外材のいいところ、悪いところ、はっきりけじめをつけなさい。日本の用材とどこが違うんだ、それをしなさい。林業試験場は何のためにあるのか。そういう考え方で私は申し上げておるので、こんな資金制度ひとつこしらえるのでも、日本林業が発展してくれるのなら、これがオールマイティーじゃない、ささやかでも皆さんが考えて、この融資制度で多少なりとも日本林業がよくなればという気持ちでつくるものなら、頭のへりに少しでも外材を考えては相ならぬ、こういう気がするのです。  だから、私は、いま五〇%だ、七〇%だ、そういうのはやめなさい、あくまでも原則は確認する、そこから先の運用については、身もふたもないというやり方は血の通った行政じゃないから、多少の幅もなければならぬけれども、原則だけは確認してもらいたい。何も決めたら全部その通りやれという血も涙もないやり方をしろとは私は言いませんよ。人間のすることですし、お互いに助け合っていかなければならぬ、企業でも日本人ですから。それは多少はあっても、原則だけは確認してもらいたい、これが必要だと私は思うのです。どうですか。
  40. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 次官あるいは長官から基本的な方針を御説明いたします前に、若干、事実関係について、大変基本的な問題ではございますが、実務上の運営の問題にもかかわりますので、私ども考え方をちょっとだけ御説明させていただきます。  この法案基本的な考え方は先ほど長官から申し上げているとおりでございますが、ただ先生も御案内のように、現在、国産材を専門にひいていた工場、いわゆる山工場でございますが、こういうところも操業の安定を維持するために一定の外材をひかざるを得ないというような状況にもあるわけでございます。もちろん私どもこの資金制度をいわゆる浜工場、外材を専門にひいておりまして、非常に大きな設備投資をしているようなそういう工場に対して融資することは全く考えておりません。しかしながら、現在日本材の製材工場の運営上一番ポイントになりますのが、材料になる素材丸太をいかにして集めるかということにあることは御承知のとおりであります。そうなりますと、一定の人を雇って設備投資をいたしますと操業を維持しなければならない。そのためには外材をある程度ひかざるを得ないというような実情にもあるわけでございます。もちろんそういう工場では国産材が主体でございますから、外材のひき方もおのずから浜工場あたりとは違ったひき方をしているわけでございまして、あと十年、二十年たちますと国産材の出材量もふえてくるわけでございます。それまでの間そういう山工場を存続してまいりたい、こういうふうに私ども考えておりますので、五〇%という数字が果たして適当であるかどうかいろいろ御議論もあろうかと思うのでございますけれども、ある程度の外材をひく工場も対象にせざるを得ない、かような考え方に立っております。もちろん基本的な方針、考え方次官から御説明いたしますけれども、ちょっとそういう私どもの事実認識についても御理解いただきたいと思います。
  41. 片岡清一

    片岡政府委員 業者の実態につきましては、いま林政部長が御説明申し上げましたが、柴田先生も十分その点は御存じいただいておると存じますし、また、そういう立場から、何もおれは目も口もあかぬことを言うのではないのだという非常に御理解のある含み言葉をおっしゃっていただいておるわけでございます。しかし、この法律のねらっておるところは、御指摘のとおりまさに国産材を主とするというか、国産材に主眼を置いた制度で、そして国産材の振興を図ろう、こういうことでございます。この原則はわれわれもあくまでおっしゃるとおり通していきたい。ただ、その実態が国産材だけを取り扱っておる関係のものは大変数が限られておるということがございますので、また経営の実態から言っても若干のアローアンスはお考えいただきたい、こういうことを申し上げておるのでございまして、あくまで原則は守って行政的に指導していきたい、かように存じておる次第でございます。
  42. 柴田健治

    柴田(健)委員 次官がやや誠意のある答弁ですが、この法案をつくる基本精神だけは崩してはならぬということだけは十分理解してもらっておかぬと、法案を提案されて、われわれが審議してこの法案を通す限りは、原則があいまいで通すわけにいかない。基本原則だけは確認をしていきたい、こういう気持ちで申し上げたのです。  何としても、この法案だけで先ほど申し上げたように日本林業が振興するとは思えないので、先ほどからいろいろ申し上げている労働力の問題、山にどれだけ投資するかという計画、防災対策、総合的に今後山の問題については、農林省林野庁だけに任せずに、農林省全体の責任でやってもらわなければいけない。林野庁長官に皆任せておけばいいのだ、林政部長は頭がいいから、佐竹君が一生懸命やるだろうという程度では日本林業は解決しないと私は思うので、それは大臣責任で解決しなければならぬ重要な政治課題だと私は思う。この法案は二時間か三時間審議したらすっと通してくださいよ、こういう御意見もあった。私は法案そのものについていいとか悪いとかいうことではなしに、もっと国民が至るところで林業問題を論議するようなムードを日本全土に巻き起こさなければいかぬのではないかという気が常にしておるわけです。どんな場合でも山の問題を論議するのだ、話ができるのだ、いつでもどこでも山の問題の話ができるようなムードを日本の国内のすみずみに起こしていくだけの努力を農林省はしてもらいたい。それが、もう山の問題というと恥ずかしいようで話にもならぬということではいけないのです。そういう形で、われわれが一つ法案を審議するのでも、多少の時間がかかっても山の問題はもっと熱心に論議をやろうじゃないか。与党だ野党だと言わずに、もっと山の問題を、この法案を提案された与党の自民党は、与党の立場でも、与党、野党でなしにもっと論議すべきだと私は思う。もっと勇気を持って山の問題を、一歩踏み込んでお互いにこの場で論議すべきだ。自民党の皆さんはなぜ山の問題を論議しないのだろうか。お互いに論議していいものをつくり上げていく、そういう姿勢が欲しい。自民党さんがやらないから、政権をとっておる政党がやらないから、われわればかりがぎゃあぎゃあ言ったってどうにもならない。だから、みんなで山の問題を論議するようなそういう機会をつくっていかなければいかぬ。私は、都道府県でもいつも言うんだ、地方公共団体でももっと山に目を向けるような論議をやらなければだめですよ、山の姿はもう大変だ、こう言っているんだから、ひとつわれわれの意のあるところを農林省もくんでもらって、われわれも林野庁だけがどうだこうだと言うべき問題ではないけれども、当面窓口が林野庁ですから林野庁長官に、この法案を審議する過程でいろいろと山の問題を論議して、山をどうして育てるか、これは一人や二人でできる仕事ではないのだから、長い年数も要ることだし、それだけにいま当面われわれは山の問題については真剣に論議をして、一つでも早く手をつけられるところはつけていかなければならないだろう、こういう気持ちがあるから申し上げたのです。  時間が参りましたが、きょうは大臣がおらぬでもやってくれというものだから、私は、大臣がおろうとおるまいと、山の問題だけは論議すべきだという判断で申し上げたんで、法案の全部の細かいことは質問すると時間がかかりますからやめますけれども、そういうことで、次官、最後に、あなたも大臣の名代でお座りになっておるのだから、けじめだけはあなたが答えてもらいたい、こう思います。
  43. 片岡清一

    片岡政府委員 日本林業に対する非常に御熱意ある御意見、深く肝に銘じまして、今後とも十分それを踏まえて行政の任に当たっていきたいと考えておる次第でございます。
  44. 柴田健治

    柴田(健)委員 それじゃ終わります。
  45. 佐藤隆

    佐藤委員長 この際、午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後一時六分開議
  46. 佐藤隆

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。芳賀貢君。
  47. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最初に法案の内容についてお尋ねをいたします。  まず第一に、法案の第二条の基本方針でありますが、これは農林水産大臣基本方針を定めて公表することになっておるわけですが、もちろん決定までの間には、法案によりますと林政審議会の意見を聞いてということになっておりますが、政府として提案された基本の問題である第二条の中身について具体的に説明を願います。
  48. 片岡清一

    片岡政府委員 ただいまお話しの基本方針は、法案第二条第二項に定められておるとおりでございますが、わが国の林業をめぐります厳しい諸情勢に対処いたしまして、林業経営の改善と国産材の生産、流通の合理化を一体的に推進するということでございまして、いわゆる川上から川下に至る一貫した体質改善推進することによりまして、林業及び国産材関連産業の振興に資することを定める考えでございます。  その具体的な内容につきましては、いまお話がございましたように、林政審議会の意見を聞くなど専門的な立場から十分検討を加えまして策定をする考えでございますが、現段階におきましておおむね次のようなことを考えておりますことを申し上げたいと存じます。  まず第一は、林業経営の改善に関します基本的な事項でございますが、わが国の林業経営が概して非常に小規模で計画性を欠くというのが実情でございますので、そこで、その所有森林についての経営方針を明確に定めさせる、こういうことが第一の問題であると存じます。同時に、伐採、造林等の生産活動につきましても計画的にやってもらう、これが第二でございます。それから第三は、森林組合による受委託の推進等の事業実行方法合理化近代化、こういう事項についてまず定めてもらうことでございます。  第二番目には、国産材の生産、流通の合理化に関する基本的事項について定めさせる予定でございます。国産材の供給が小規模、断続的でありまして、外材に対する拮抗力の低下を招いておるという実情にかんがみまして、まず最初にこの問題につきましては素材の生産及び取引の安定化、計画化ということをやってもらう。それから第二番目には、国産材の製材加工の高度化を図ってもらうということでございます。第三番目には、国産材の品ぞろえ機能等の強化を図るための木材市場の近代化を図る、こういうこと等を策定してもらう、こういう事項について定める予定であることを申し上げます。
  49. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いま政務次官の読まれたのは、昨日も農林大臣が二度ばかりそのとおりのものを読み上げているのですよ。それでは法案にうたってある第二条の基本方針の骨子というものではないでしょう。大体こういう項目でこれからの作業をするという程度ですか。いやしくも政府として法律案を国会に提出して——これは二月でしょう。それから二カ月も経過して一体何をやっているのですか。通ったらこれから考えるなんというのはおかしいじゃないですか。大事な法案の骨子になる基本方針とか改善計画、合理化計画というものは、当然その内容を整備して、手続上の問題としては一応形式的に法案が通過してから林政審に諮って——何もこれは林政審議会で起草するわけじゃないでしょう。林野庁の事務当局が書いたのをそのまま出して、これでいいですかと聞く。北村暢君以外は全部御用委員ですから、オーケー、よくできましたということになっちゃうわけです。そうしますと、林野当局として、法案提出と同時期とか、国会で審議して衆議院の当委員会で採決されるまでの間に、こういう内容の基本方針というものを決める予定でございます、少なくともそれぐらいのことはやっておかぬとおかしいじゃないですか。これは長官からでいいです。
  50. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま政務次官お答えいたしたわけでございますが、その中にございました現段階で考えておる次のような事項と申しますのは、われわれとすればこういうことを基本的な方針として位置づけ、さらにこういうものをブレークダウンと申しますか整理いたしまして基本方針にしようということで、その骨子になるものをいま政務次官から言っていただいたわけでございまして、たとえばこの基本方針は大きく言えば二つに分かれるわけでございます。林業経営の改善に関する基本的な事項と、国産材の生産、流通の合理化に関する基本事項と、二つに分かれるわけでございますけれども、経営の改善に関する基本方針につきましては、現在の日本林業の経営が非常に小規模である。そういうものから考え合わせて、これからの日本林業をある意味でまとまったものにしながら、そして共同でやっていくような形も含めた森林組合中心にしたこれからの林業経営ということを考えていきますと、やはりそういう森林の所有者がそれぞれその森林の経営をどうしていくかということをはっきりさせていく。この経営方針をどういう形で立てていくかということをはっきりさせなければいけません。そういうことで森林の経営方針についていま申し上げましたようなことを考えております。  それから伐採、造林の生産活動の計画化。伐採、造林等につきましては、当然森林計画等があるわけでございますから、そういう森林計画制度にのっとってそういう形のものを推進していくというような考え方。それから、森林組合に関する受委託の推進等の事業実行方法合理化。こういうものも、先ほど申し上げましたように今後森林組合林業担い手の中核になるわけでございますから、そういう意味森林組合中心にいたしましてこういう事業を実行するという考え方。こういうものを考え方の骨子にして基本方針をうたおうというふうに考えておるわけでございます。  それから、国産材の生産、流通の合理化に関する問題でございますけれども、これも国産材を供給されておる規模が非常に小さいということ。それからまたきわめて断続的であるということ。そういうことで、外材と非常に対抗しにくいという問題もございます。そういうことから生産、取引というものを安定的にしなければいけない。そういう安定的にする必要がありますよということを基本にしなければいけないし、その具体的な方法となりますと、それはまたそれぞれの地域の実情がございますから、それぞれ詰められると思いますけれども、国とすれば、やはりそういう考え方でこれからの素材の生産、取引の安定化、計画化を図るような方向でいろいろな指導もするわけでございます。さらには製材加工の高度化。これも外材等の製材品に匹敵するためには製材加工それぞれの技術について当然高度化をしなければいけない。最近いろいろな技術も開発されておりますから、そういうものを使って生産性を高めるということ。それから国産材の品ぞろえ機能等の強化を図るための木材市場の近代化。これは木材市場が年々少しずつふえてきつつはございますけれども、まだまだこの辺も十分でございません。したがってこういうものを強化するということ。これが素材生産から国産材が市場に出まして一般の市場に出るという形での最後の場になるわけでございますから、こういうあたりを近代化するということ。これがやはり考え方基本になるであろうということで、政務次官が御説明しましたものをさらに具体的に申しますと、私がいま申し上げたような形になるわけでございます。  こういうものを骨子にした基本方針というものをいま事務局としては一応考えておりまして、さらにこれを修飾して林政審議会にお諮りして御検討いただこうということでございます。
  51. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほど政務次官が読まれたのは、渡辺大臣も昨日二度ほど読んでおるのですよ。大臣の補足的な発言を聞くと、こういうものを一応つくるけれども、これは大したものではない、余りむずかしいものにすると、資金を融通するような場合にむしろその促進を妨げるようなことになるので、かっこうだけつくるために基本方針とか改善計画とか合理化計画を立てるのだ。こういうわれわれが聞けば非常にふまじめな大臣説明がきのうあったわけです。これは法案の起案は当然事務当局でやったわけですから、少なくとも大綱的なものはもうちゃんと用意されておるわけですね。林政審議会にかける基本方針の案そのものはまだまとまっていなくても、その前段の骨子になる基本方針の大綱案ぐらいはもうまとまっていると思うのですよ。どうですか。
  52. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま私、大綱案のまたその要約と申しますか、それを御説明したわけでございますが、林野庁の事務局といたしましては一応案は持っております。
  53. 芳賀貢

    ○芳賀委員 作業は事務局でやるのでしょう、何をやるといったって。まさかこの法案大臣がみずから筆をおろして、あとは法制局に回して、そこで法案として整備して提出をしたのじゃないんでしょう。だから、そういうものがあれば当然審議の促進のためにわれわれの手元に出して、いまの段階では大綱的なものであるが、いわゆる第二条の基本方針の中身というのはおおよそこういうものであります、しかしこれは法律が成立した後で林政審議会の意見を聞かなければ決定ということにはならぬ、そういうことはわれわれはわかっているわけだから、それがあれば早速出してもらいたいと思うのですよ。
  54. 藍原義邦

    藍原政府委員 それでは骨子につきまして、いま私が御説明しましたものをさらに文章化したものでございますけれども、ここで読み上げさせていただきたいと思います。  「基本方針策定の趣旨」といたしましては、   最近における我が国林業をめぐる厳しい諸情勢に対処して林業及びその関連産業の健全な発展を図るためには、林業経営の改善及び国産材の生産・流通の合理化を一体的に推進することが肝要である。基本方針は、このような考え方のもとに、林業経営の改善及び国産材の生産・流通の合理化を図るための基本的な事項を定める。  第二が「林業経営の改善に関する基本的事項」といたしまして、  1 経営方針の明確化   地域の自然的、経済的、社会的諸条件、経営の規模、態様に応じた経営方針を明確化すること。  2 生産活動の計画化と生産基盤整備促進   1経営方針に即して、伐採、造林、保育等の生産活動を計画化すること、また、2生産活動や森林管理の効率的実施を図るため、林道、作業道等の整備促進すること。  3 事業実行方法合理化   個別作業の集団化・組織化、受委託の促進、販売の共同化、その他の事業実行方法合理化推進すること。  4 技術・資本装備の高度化   育林技術の高度化、作業仕組みの改善及び優良な機械施設の導入とその効率的利用の促進により、生産性の向上、労働安全衛生の確保等を図ること。  5 労働力の投入、配分の計画化   林業労働の季節性、間断性に配慮しつつ地域の農業その他の労働との調整を図り、林業生産活動に必要な労働力の投入、配分を効率化、計画化すること。  第三が「国内産木材の生産及び流通の合理化に関する基本的な事項」でございます。  1 素材生産の合理化   立木購入及び素材生産の共同化、計画化の推進等による素材生産の大型化、安定化を図ること。  2 素材流通の合理化   素材購入・引取の共同化、計画化の推進等による素材流通の大型化、安定化を図ること。  3 国産材の製材加工の近代化   国産材の特質を生かし、附加価値の増大等を図るための製材加工の高度化、専門工場化の推進、需要動向に即した安定的供給体制の整備推進するとともに、個別経営の改善による企業体質の強化等を図ること。  4 国産材の卸売市場等の整備近代化   国産材に係る卸売市場等の整備近代化促進し、国産材の素材・製材品に係る取引の改善、物流機能の向上、品ぞろえ機能の強化等を図ること。  5 国産材主産地の育成整備   人工林率が高く、今後素材供給量が安定的に増加すると見込まれる地域について、生産、加工及び流通を通ずる総合的な体制整備推進し、国産材の主産地の育成整備を図ること。  6 国産材の販売増進   国産材の需要開発、住宅建築部門との連繋、地場消費の開拓等を図り、国産材の利用の増進に努めること。  第四が「その他」といたしまして、   国及び都道府県は、技術の開発・改良とその普及を図る等、林業経営の改善並びに国内産木材の生産及び流通の合理化に関し必要な指導、助言、援助等に努めるものとする。  以上でございます。
  55. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、基本方針が定まって、それから法案によるところの第三条の林業経営改善計画、それから第五条の「国内産木材の生産又は流通の合理化を図るための計画」、これが合理化計画ですが、この基本方針が二つに分かれて、この改善計画と合理化計画ということになると思うのですが、その点はどうですか。  それとあわせて、きのうも大臣が言っていましたが、川上から川下というのはどういう意味だか全然わけがわからないのだけれども、何か木材の流送でもやるようなことを強調しているようですが、その点もあわせて……。
  56. 藍原義邦

    藍原政府委員 先生ただいま御指摘になりましたように、改善計画と合理化計画は別になるわけでございます。それは、改善計画の方は農林漁業金融公庫の融資条件の緩和に関する問題、それから合理化の方は新しく制度として考えております融資の問題、これらに関連する問題として別々につくられるという形になります。  それから、川上から川下へという問題でございますけれども、これは非常に俗な言葉を申し上げて本当に恐縮でございますが、私ども、国産材を振興するためには、日本林業をやっている方々、それから国産材を使ってそれを製材し製品にして売っている方々、この間、伐採から運材から製材からあるいは市場におきます丸太の販売からいろいろございます。そういうものが一貫しませんと国産材の振興はできないだろう。山に幾ら木を植えましても、国産材をひく製材工場がなくなってしまいますと、せっかく植えた木を活用する時期に国産材をひいてくれる工場がなくなってしまっても因る。それからまた、下の方で利用開発を十分してくれませんと、山に木を植える方の意欲がなくなる。こういう問題を考えますと、林業をする立場方々と、それから国産材を使ってそれを製品化して市場に出しておられる方々が、いろいろな意味から一体になって国産材振興のためのそれぞれの立場での改善を進めていただかなければ、日本林業なり国産材林産業というのは発展しないだろうという感覚から、上と、それからそういう市場的なものは町の方にございますので、川上と川下という言葉を俗に使ったわけでございまして、非常にわかりにくい言葉であれば恐縮でございますけれども、そういうことで大臣も使われたということでございます。
  57. 芳賀貢

    ○芳賀委員 言葉というものは、中身がわからぬでも使いなれると何か定着したようなことになるのですね。たとえば、林野庁において、かつてよりよい直用よりよい請負なんということを何回も何回も言っておったでしょう。言葉だけではよくわからぬが、中身は結局直用、直営の事業というものをできるだけ圧縮して、安上がり林業のために請負部分を拡大する、そういうねらいをオブラートに包んで、よりよい請負とかよりよい直直なんということを言って、それには何にも意味はなかったのですよね。だから今度の場合も、それではどこまでが川上でどこからが川下になるかというのは、そういう一貫した流れの中でなかなか区分はつかないと思うのですよ。別にからかうわけじゃないですよ。きのうも大臣が得々として川上から川下なんと言っておるが、果たして真意をのみ込んで言っておるものだか。そういう点について、特に考えがあれば聞かせてもらいたいと思いますし、なければいいです。  それから、この改善計画と合理化計画の内容ですが、これは政令で定めるということになっておるが、当然これの内容というものはもう整備されておると思うのですよ。ですから、改善計画の内容と合理化計画の内容について具体的に説明をしてもらいたいと思います。
  58. 藍原義邦

    藍原政府委員 先生いまおっしゃいましたように、川下、川上というのは別に境があるわけでございませんし、俗にたとえて私ども言ったわけでありまして、考え方としては先ほど御説明したとおりでございます。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕  それから林業改善計画の内容でございますけれども、これは具体的な認定は都道府県知事が行うということにいたしております。その内容としては大体次に申し上げるようなことを盛り込んでいただくように指導したいと考えております。  まず第一番目に、林業経営の現状。それぞれの企業方々林業経営の現状を、経営状況あるいは森林の現況等について書いていただく。それから二番目に経営の改善方針。これは林業部門の位置づけ、その方々がいろいろ多角的にやっておられる場合もあろうと思いますので、林業部門の位置づけ、あるいは生産基盤整備の目標、どういう形で基盤整備をしていかれるか、後継者はどういうふうにしておられるか、それから後継者の養成、確保をどうしておられるか。それから経営方針、大体自分企業としてはどういう経営方針でやっておられるか。事業実行方法改善方法、自力でやられるのかあるいは改善のためにいろいろ受委託でもやられるのか、そういうこと。それから三番目として、事業計画といたしまして伐採、造林、林道の開設あるいは機械装備、労働力調達、こういうものに関します計画はどうなっているかということでございます。それから四番目に資金計画でございまして、これは事業計画を実施するために必要な資金の額あるいは調達方法に関する計画、こういうものを書いていただこうというふうに考えております。  それから合理化計画の内容でございますけれども、これは一番目に事業経営の現状。国産材の取り扱い量がどのくらいになっているか、それから主な施設整備の現況あるいは財務の状況。二番目に事業経営の合理化基本方針。どういう形で企業合理化させていかれるか、その目標あるいはその方法でございます。それから三番目に事業計画。素材生産、素材取引、それから施設等の整備状況、こういうものの計画に関しての事項でございます。それから四番目に資金計画。事業計画の実施に必要な資金、それから調達方法に関する計画、こういうものについて計画を立てていただこうということを一応考えております。
  59. 芳賀貢

    ○芳賀委員 第三条の林業経営改善計画については、第四項において、「前三項に規定するもののほか、林業経営改善計画の認定及びその取消しに関し必要な事項は、政令で定める。」ですから、政令によるものが非常に多いわけですが、この政令案というのはもうできておりますか。
  60. 藍原義邦

    藍原政府委員 林政部長に答弁させます。
  61. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 御答弁申し上げます。  三条四項の政令は、「林業経営改善計画の認定及びその取消しに関し必要な事項」ということでございまして、「認定」につきましては認定の要件を定めるつもりでございます。要は、その経営改善計画の内容が農林大臣基本方針に即していることというのが認定の要件になるわけでございます。「その取消しに関し必要な事項」は、林業を営む者が経営改善計画を、平たく申し上げますとまじめにやらないとか、あるいは事情が著しく変更してその達成が非常にむずかしくなった、そういう場合には取り消す、そういう要件を同じく規定するつもりでございます。
  62. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だから、認定の要件とか取り消しについては政令で定めるということになっておるが、林業を営む者が改善計画を作成して、これを知事に提出して、認定しなければならぬということになっておるわけでしょう。認定する場合の基準とか尺度は政令で定めるわけでしょう。何もなければどんな作文を書いて出したかわからぬということになるのですよ。政令案ができておるのにどうして委員会の場に出さないのですか。何もそんなのは温めておく必要はないじゃないですか。従来法案とともに政令案というものは一緒に出して、そして十分な審議をしてもらうというのが常道でしょう。何も秘密事項じゃないじゃないですか。どんな政令が出てくるかわからないで審議はできないと思うのですよ。これは卑近な例ですけれども、数年前農振法の改正をやったとき、相当大幅な改正でしたが、あの改正案は大体二十幾つの政令が改正案の中に盛られておったわけです。これは大山一生君が局長の時代ですが、このときも二十幾つの政令案を全部この委員会に提出をして、そしてあらゆる角度から審議をして政府案の中身を修正して参議院に送ったという経過があるのですよ。そのときの参議院の農水委員長がいまのうちの佐藤隆君だった。まだできていないというのならけしからぬとも言えるけれども、もうできているのにふところに入れてどうして出さないのですか。審議はいつになってもいいという態度であれば、連休明けにゆっくりやったっていいのですよ、何もこっちからお願いして政令案を出してくれとか見せてくれなどと言うものじゃないのだから。出さないのなら、出てから審議をやりましょう。
  63. 藍原義邦

    藍原政府委員 御指摘の点非常に申しわけないと思います。ある意味できわめて未熟なものといいますか、そういう形になっておりましたし、それからある意味でまた内容的には非常に簡単な面というものもございますけれども、そういうことで提出しなかったことについては私どもも申しわけなかったと思います。いま準備いたしておりますから、私どもとしていつでも提出できる段階にはなっております。
  64. 芳賀貢

    ○芳賀委員 去年の国会は一名林業国会と言われたほど、国有林野の改善法とか森林組合法とか、重要な林業に関する法律を当委員会で審議して成立させたわけでしょう。あの場合も当然政令事項というのは随所にあったわけだが、これは全部政令予定事項ということで、審議中に政府から提出をして審議をわれわれしたわけです。去年改善法や何か通ってしまったから安心してしまって、ぼけてしまっているのかな。ことしはだれも反対も議論もしないから、そんなものは後でゆっくりやればいい、そういうふまじめな態度では、立法府に臨んで、内閣提出法案でございますから慎重に審議して速やかに可決してくれなどというわけにいかぬですよ。前から注意してあるじゃないか。政令で定めるというのは六カ所ぐらいあるわけですからね。そういうものはちゃんと用意をして、審議の中で内容がわかるようにしたらいいじゃないかということは注意してあるわけですからね。それにもかかわらず全然出さない。あれば配ったらいいじゃないですか。
  65. 藍原義邦

    藍原政府委員 直ちに提出いたします。
  66. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、改善資金の関係についてお尋ねをいたします。  これは第四条の「農林漁業金融公庫からの資金の貸付けの特例」ということになっておるわけですが、直接的には公庫法第十八条第一項第二号または第四号の資金、これは第二号が造林資金と言われるもので、第四号は林道の関係の資金ということになっておるわけですが、これを償還期限についてはそれぞれ十年延長する、それから据え置き期間についても相当大幅な延長をするということになっておるわけですが、これが成立した場合に、当然公庫法に対する具体的な改正という形があらわれると思うのですよね、別表第一、第二というのはこれは法律になっておるわけですから。  それから「公庫が定める」というのは、これは公庫の業務方法書において決定して、それに基づいて実施するということになるわけですから、この関係が一体法律が成立した後にどうなるかという点ですね。これはもうごく簡単明瞭な問題ですが、念のために明快にしておいてもらいたいと思います。
  67. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 法律の解釈の問題で私から御答弁いたします。  公庫法とこの林業等振興資金融通暫定措置法案関係は、一般法と特別法という関係になります。したがいまして、特別法の四条で一般法である公庫法の別表を改正する、こういう関係になるものというふうに理解しております。
  68. 芳賀貢

    ○芳賀委員 公庫法はそれじゃどういうふうに改正するのか、公庫法がどう変わるか。
  69. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 公庫法の別表では、一般的な形で、十八条二項に規定する資金ということで、二号で造林に必要な資金、償還期限三十五年、据え置き期間二十年、それから四号で林道の改良、造成または復旧に必要な資金、二十年、据え置き期間三年、かようなことになっておるわけでございます。特別法で経営改善計画の認定を受けた者に係るその十八条の一項二号または四号の貸付資金については、その限りで三十五年、二十年あるいは二十年、三年がそれぞれこの四条に規定されたように改正される、こういうことでございまして、認定を受けない者についての造林資金あるいは林道資金につきましては、従前どおり公庫法の別表一が働くわけでございます。かような関係になるわけでございます。
  70. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農林漁業金融公庫法については、昨年の通常国会で当委員会は改正作業をやっておるわけです。去年の場合は別表第二を主として改正したのですよ。それから、自作農維持資金融通法についても公庫法の改正の中で金利関係だけをこれは改正してあるわけです。  そうなると、林業関係の二号資金、四号資金というのは、これは別表の中で二様に分かれるということになるのですか。それを受けて業務方法書というのはどうなるか、その間の流れをはっきりしておいてもらいたい。これは公庫総裁の中野さんにもきょう来てもらっていますからね。
  71. 浜口義曠

    ○浜口説明員 金融課長でございますが、いまの点でお答えいたします。  業務方法書につきましては、林政部長からお話ししましたとおり二つのタイプに分かれるわけでございまして、業務方法書についてもそれぞれ二つの規定を置きまして、それぞれの規定を置くことになると思います。そういう形にしたいと思います。  以上でございます。
  72. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうじゃないのじゃないか。去年の改正も上限を決めてこの範囲内において定めるということにしてあるのですよ。去年の改正までは、特に第二号資金については、固定的にこれこれの資金は五分資金とか五分五厘とかというふうになっておったのを、今度は上限を決めてこの範囲内で公庫が定めるとか政令が定めるということに直したのですけれども、経済事情の変動が激しいですから、公定歩合をこの間久しぶりに上げたのですけれども、上がったり下がったりするわけだから、政府の融資機関の金利というものに対して当然これは影響を及ぼすということで、去年はその部分の改正をやったわけです。今度のは、これは別表第一の林業関係の分だけですが、暫定法が新しくできたことですぐ公庫法に対して筋の通らぬような影響を与えるということは、これは好ましくないわけだから……。
  73. 浜口義曠

    ○浜口説明員 ただいまの先生の御質問の点でございますが、金利の点につきましては、昨年度委員会で決めていただきまして、政令で定めるところあるいはそういったもので金利の改定をいたしまして、それに基づいて業務方法書の改定を一律に定めているわけでございます。  いまの点は、この計画に基づくもの、基づかないものにつきましての償還期限あるいは据え置き期間の問題でございまして、その点については、二通りの場合、これはその対象につきましては林政部長からお話し申し上げましたが、そのような形を定める、こういうことでございまして、そういう意味で業務方法書上二本立てになる、こういうことでございます。
  74. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうなると、二号資金の関係改善資金の関係は、改善計画が提出されて認定されたものは全部これは償還年限が四十五年と据え置き期間二十五年ということになるわけですね。その内容について業務方法書で区分して定めるという余地はないという意味ですね。
  75. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 この暫定措置法第四条におきましても、それぞれ四十五年以内あるいは二十五年以内というふうに書いてあるわけでございまして、その限りにおきましては、別表一の改正も四十五年以内あるいは二十五年以内というふうな「以内」がついた形で償還期限が延長されるわけでございまして、以下の点につきましては、これは経済局の方からお答えすることが適当かと思いますけれども、一般の公庫法別表、業務方法書の関係と異ならないのではないか、かように考えるわけでございます。
  76. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私が聞いているのは、四十五年以内と当然なっておるが、改善資金の対象貸し出しは四十五年なら全部四十五年と、四十年なら四十年と、そうするのかということを聞いているのですよ。
  77. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 改善計画におきましては、林業経営の現状、改善をするためにとるべき措置、それから必要な資金の額及び調達方法を定めるわけでございまして、全部一律に四十五年にしなければ改善計画の達成ができないものでもないわけでございます。したがいまして、その範囲内において金融公庫が金融機関としての立場からこれを定めることは十分あり得ることであろうか、かように考えております。
  78. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だから、そうするのか、全部一本立てでやるのかということを繰り返し聞いているんじゃないか。
  79. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 したがいまして、一律に四十五年になるわけではございません。
  80. 芳賀貢

    ○芳賀委員 じゃ、ならぬければ、大別してどういうことになるのですか。
  81. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 業務方法書の定め方でございますが、非補助事業に係る小造林拡大造林及び大造林拡大造林については四十五年以内、その他については四十年以内、かように定めることになろうかと考えております。
  82. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういう見込みであればはっきり説明をしておかなければならぬと思うのです。そうでないと、後で公庫の総裁の方で困るのじゃないですか。国会では一律と言ったじゃないか、後でまた区分をして年限とか利率を変えると言ったじゃないかということになると、国会審議の場合と違う結論が出るようなことになると問題があると思うのです、特に融資制度というのは。  それから、第四条の二項の三行目にかかりますが、「同法第二十九条第二項中「融通法」とあるのは「林業等振興資金融通暫定措置法(以下「暫定措置法」という。)」」ここは「暫定措置法」の字句を「融通法」の下へ加えるという意味じゃないでしょう。「融通法」を消して「暫定措置法」と置きかえる、そういう条文の内容というふうに受け取れるが、その点はどうなっているのですか。
  83. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 御趣旨のとおりでございまして、この法律と融通法、林業等振興資金融通暫定措置法、この三者を「施行するため必要があると認めるときは、」というふうに読むことになるわけでございます。
  84. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いま言ったのは、これによって公庫法二十九条の第二項中にある「融通法」という条文が消えるという意味ですか、「融通法」の次に新しくできた「暫定措置法」を加えるというふうにはこれは読めないですからね。
  85. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 消えるわけではございません。
  86. 芳賀貢

    ○芳賀委員 じゃ、おかしいじゃないか、「「融通法」とあるのは」というふうになっておるのは。条文整理の場合には、通常「融通法」というのは自作農維持資金融通法ですから、これを「(以下「融通法」という。)」ということで公庫法の中ではうたっておるわけだから、条文整理ということであれば、自作農維持資金融通法を勝手に消してしまうわけにはいかぬでしょう。この条文を見ると、「融通法」とあるのは「暫定措置法」というということになっているわけだからね。いままでは融通法の次に暫定措置法を加える、以下何条の場合も同様ということで扱っておるわけですから、この辺がおかしいじゃないですか。消すのか消さないのかという点ですよ。
  87. 角道謙一

    角道政府委員 ただいまの芳賀先生の御質問にお答えを申し上げます。  現在の法案におきまして、従来農林漁業金融公庫が貸し付けております造林あるいは林道資金につきまして期間の延長を行うという特例的な貸し付けを行うことになった。そういう意味で、この業務は本法案におきまして付加的にされているものでございますので、この農林漁業金融公庫法の本来の法律を適用させる場合に、この法律の二十九条の二項で「主務大臣は、この法律又は融通法」と書いてあります関係で、本法、農林漁業金融公庫法によりますだけでは延長した部分についての指導監督権が及ばないおそれがあるということで、この二項におきまして、この本来の農林漁業金融公庫法または本法による新しい貸し付けを施行するために監督権を追加的に設けるという意味で、これは消すのではなしに、この部分は読みかえた、補完的にこの部分はつけ加えたという意味でございます。
  88. 芳賀貢

    ○芳賀委員 なおおかしいじゃないか、「融通法」を「暫定措置法」に読みかえるということになれば。これは総裁から意見として述べてもらいたい。
  89. 中野和仁

    ○中野説明員 ただいまの御質問でございますが、公庫法の本来の二十九条は公庫に対する主務大臣の監督の規定でございますが、公庫に対して業務上必要な命令を出すという場合に、「この法律」と言いますから公庫法、それから「融通法」というのは自作農維持資金融通法ですが、それはきょう国会で御審議されております特別の暫定措置法ではなくて、本来公庫法の「目的」の第一条の二項に、公庫は自作農維持資金融通法に基づき金を貸すという規定があるわけでございます。そこで、主務大臣の監督としてはこの二つについて公庫を監督するという規定が本来の規定でございます。  それに対しまして、これは暫定措置法なものですから、本法を直すのではなくて、この法律を適用する範囲におきまして公庫に対する監督でございますから、償還期限、据え置き期間についてはこの暫定措置法による、その他は公庫法、本来の法律によるということなものですから、ここにもありますように、「第二十九条第二項の適用については、」という言葉で暫定法であるということを明らかにしておるということだと私は考えます。
  90. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この公庫法の中に「融通法」というのが出てくる根拠は、公庫法の第十八条は業務の範囲ですが、その第四項が自作農維持資金融通法にかかわる資金の融通業務ですけれども、この第四項で「(以下「融通法」という。)」ことになっているのですよ。それが根拠になって、あとは監督規定とか、三十条、これは役員の解任、それから三十六条は罰則ですね。附則第二十三項というのは経過規定というようなことになるわけですが、どうもわれわれが素直に読むと、「融通法」というのをここで消してしまう。読みかえるというのは、この部分を消して「暫定措置法」に置きかえるということになるわけですから、これを消さなくてもやはり法律のつくり方はあるのじゃないかと思うのですけれどもね。——総裁の方がわかっているから。あなたは林政部長じゃないか。
  91. 中野和仁

    ○中野説明員 ただいまも申し上げましたけれども、公庫法本来の各種の貸し付けと、それから自作農維持資金の法律につきましては、この法律でやっておるわけです。ただ今度は、先ほども申し上げましたが、暫定措置法なものですから、暫定措置法について主務大臣が公庫を監督する場合には、公庫法本来と今度の暫定措置法による両方からの監督をするということであって、この二つの法律で公庫を監督する、こういうことになっておるわけでございます。したがって、別に融通法を消したのではなくて、融通法と本法とはそちらの方の話であって、今度の暫定措置法については自作農維持の法律は関係がございませんから書いてないということでございます。
  92. 芳賀貢

    ○芳賀委員 では、せっかく中野さんが言うんだから、あなたの説明を納得できない部分もありますけれども、あなたがせっかく言うんだからきょうはその程度にしておきます。  次は、合理化計画の関係林業信用基金法にかかわる問題ですが、昭和三十八年にこれは法律ができたわけで、もう十六年の歴史を持っておるわけですが、この際、きょうは林業信用基金松形理事長にも出席をしてもらっておりますので、昭和三十八年に設置されて以降の林業信用基金のいわゆる果たした役割りとか成果というようなものについて、特に今回の法案の内容とかかわりの強いような点を重点にして一通り説明を願いたいと思います。
  93. 松形祐堯

    松形参考人 お答え申し上げます。  ただいま御指摘ございましたように、発足いたしまして十五年を経過するわけでございますが、ただいま審議していただいております法案の提案の理由の中にございましたように、日本林業が抱えております諸問題に対応して、これをより一層、先ほどの言葉はいやでございますけれども川上から川下へというような対策がとられるわけでございまして、私ども発足いたしまして十五年、その間時代の流れあるいは経済の変動等に伴いまして、いろいろ保証業務等を進めてまいっております。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 しかも、保証倍率を五割上げるとか、あるいは保証の対象に設備資金を加えていくとか、あるいは組合等につきましては十割保証にするとか、それぞれ制度を改正しながら、時代の要請にこたえてきながら今日に至っているというのが現状でございます。
  94. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、この際数点聞かしてもらいたいのです。  一つは、最近の基金の保証の状況、それから資金の使途別、会社、個人、組合別、金融機関別の保証実績等について、具体的な資料があれば、それに基づいて大要の説明を願いたいと思います。  それから二番目は、都道府県別に見た基金の利用実績。これは私の手元にある資料によりましても、全国の都道府県に非常に凹凸があるんですね。これは基金制度というのを十分に理解してこれを活用するという意欲がある府県と、そこにまだまだ到達していないというようなことで、実績に差があると思いますが、そういう点について説明を願います。  それから三番目は、現在構造不況といわれておる長期的な不況下でありますから、この信用基金制度の本来の趣旨から言いますと、金融機関に対する保証とか、代位弁済、これは当然基金としての責任でやるわけですからね、それからまた、代位弁済をやったことによって求償権というものが権利として生ずるわけだから、これはまた権利に基づいて回収の責任があるということになりますから、そういう保証の関係とか代位弁済、それから求償権の問題等の傾向が一体どうなっておるかという点。  それから四番目は、この中の求償権残高というのは毎年累増しているように私は見ておるわけですが、どうして増加するかという理由と、これに対する対処の方針というものをどのように講じてきたかという点です。  それから五番目が、今回の新しい制度によって従来と違った面の任務が基金に法律上付与されることになるわけでございますが、その新たに付与される業務に対して、基金としては、受け入れ体制といいますか、どのようにこれに対処するかというような点についても理事長の考えを聞かしてもらいたい。  それからもう一つは、この法律は必ずしも大企業とか大規模の林家を対象にした融資制度ではないわけですからね。きのうの大臣答弁にありましたとおり、主として中小零細の経営力の弱い林家であるとか、あるいは木材関係の中小業者に対して、それを対象にして新しい特別の融資制度というものを設けるわけですから、それを対象にして今度は基金としては十分な対応をするということになると、やはり一面においては不安要素というものがまつわってくるわけですね。そういうような点については体制的にこれをどう整備すべきかというような見解があれば、この際聞かしておいてもらいたいと思います。
  95. 松形祐堯

    松形参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生から六点につきまして御質問いただいたわけでございますが、まず第一点の、最近の保証の現状はどうか、あるいはその中身についてわかっているところを述べろと、こういうことでございます。御承知のように四十八年以来、石油ショック以来の不況でございます。しかし、そういう減速経済の中にあっても、あるいは中にあったからということも理由になろうかと思いますけれども、この五カ年間、五十二年度までの伸び率といいますか、保証の伸び率は一四・四%くらいずつ大体伸びてまいっております。その中で、先ほどちょっと申し上げましたけれども、組合の保証を十割にしたとか、あるいは保証倍率を五割ふやしたとか、そういう制度改正等もあったかと思いますが、しかし、五十三年度になりますと、金融の大変な緩みがございまして、保証等を要しなくても金融機関がどしどし資金を出すというような現象等がございまして、五十二年度と大体横ばいというような傾向にあろうかと思います。この数字をちょっと申し上げてみますと、四十八年が二百七十九億、四十九年が三百六十三億、五十年が三百九十三億、五十一年が四百二十億、五十二年が四百九十七億、五十三年の見込みが横ばいの四百九十五億というような数字になろうかと思います。  なお、使途別でございますけれども、簡単に申し上げますと、製材が七一・六%になっております。つまり、五十二年度の四百九十七億を分解いたしますとそういうことで、素材生産が二七・一%、残念ながら苗木とか薪炭、キノコ生産とかそういう面につきましてはわずかでございまして、一・三%しかない。  それから、これを会社、個人等に区分いたしてみますと、会社が過半を占めておりまして五一・八でございまして、私どもの基金の資金別の特徴でございますけれども、組合利用がその次に三三・九、約三四%あるというのが特徴になっておりますが、個人は一四・三%になっております。  なお、融資機関別でございますけれども、これは地方銀行が四三・九%、相互銀行が一五・三%、商工中金が一五・三%等になっておりますが、近ごろ商工中金利用というのが極端にふえつつあるというのが現在の保証の実態でございます。  なお、先生指摘の、都道府県別のばらつきがあるんじゃないかということでございますが、まさにその御指摘のとおりでございまして、実は北海道が一番多くて五十二億、その次が奈良県の約三十三億ということで、森林が少ない関係もございますけれども、沖繩の千六百万というようなばらつきがございます。しかし、私ども、県を中心といたしまして、金融機関なりあるいは関係業界にお集まりいただいて、県段階の協議会、あるいは郡単位ごとに各金融機関の支店あるいは関係地域林業者というような方々等集まっていただく協議会をそれぞれ持ちながらPRいたしておるわけでございますけれども、残念ながら、このようなばらつきがあるという実態でございます。しかし、ただいま御審議いただいているような新しい国産材に対する制度が発足いたしますならば、しかも、これは十割保証ということになっておりますので、その意味では非常に利用が促進されまして、ばらつきが少なくなるのではないかということを期待いたしているわけでございます。  次に、保証をいたしますと、こういう不況でございますから、代位弁済が出るのでございますが、これも五カ年間くらいを見てみますと、四十八年は五千六百万、四十九年が約二億、五十年が六億四千万、五十一年が六億七千万、五十二年が七億七千万、それから五十三年度が八億八千万と、五十年から非常に急激にふえておるわけでございますが、これは御承知のような景気の停滞、あるいは業界自体が抱えております体質の弱さ、あるいは倒産等が続出したというような事態を反映いたしまして、このような非常に大きな代位弁済が行われておるという実態でございます。  それに対しまして、こういうことでは財政上も大変関係があるわけでございますが、求償権の残高の増加理由とその対処方針はどうだという御指摘でございますが、ただいま申し上げましたように、求償権の増加というのはそういうふうに累積いたしておりまして、それは回収というのが一面ございます。発生と同時にその求償権の回収というのがあるわけでございますが、不況に伴いまして弁済能力というものが非常に低下していることが第一点でございます。それから物的担保の評価といいますか、処分も停滞いたす傾向でございますし、倒産等の関係でやや長期の会社更生法の適用というようなこと等がございますので、なかなか思うようにいかないというのが実態でございますが、五十三年度になりまして、基金といたしましても体制を整えまして、そして担保物件等の強制処分というようなことは避けておりますけれども、任意処分等を中心といたしまして回収しておりまして、この四年間ぐらいは大体一億五千万程度でございましたけれども、五十三年度は四億をちょっと超すというような回収ができたわけでございます。しかし、何といたしましても、私ども基金は政府機関でございまして、御指摘のような中小企業方々の金融のお世話をしているという立場でございますから、債務者の再建を阻害したり生活に困るというようなこと等は避ける。しかも、長期に計画を立てて回収をするというようなこと等を配慮いたしておりまして、この回収の手段が過酷になるというようなことは絶対避けるような心構えを持って今後も回収に当たろう、こういうことを考えておるわけでございます。  なお、先ほど新しい制度についての基金の対処はどうするか、あるいは今後不安要素があるから何かこれに気づくことはないかというような御趣旨かと思いますが、私どもの基金は、農業とか漁業あるいは各県にございます信用保証協会等が扱っております中小企業の金融という、大体制度金融が中核になってそれを保証する、こういう仕組みになっておりますけれども林業につきましては必ずしもそういうことでなくて、一般市中金融からの金を保証するという仕組みになっております。今回このような画期的な制度ができまして、その一部が制度金融的なものの保証というものが加わるわけでございまして、この画期的な仕事に対する基金としては、金融面の実行者になるわけでございますから、先ほど申し上げましたように、十五年間の経験というものを十分生かしながら、林野庁で示されます基本的な方向を十分踏まえて、県なりあるいは各種金融機関と十分連絡をとりながら、そしてこの制度の成果が実現できますように私どもも努力してまいりたい、このように考えておるわけでございます。  なお、何か不安というようなものはないかということでございますが、もしあると私想像いたしますれば、林野庁としょっちゅう連絡をとっておりますから、格別ということはございませんけれども、本制度に対する期待というものが関係業界は大変高いわけでございます。特に素材生産業の方々の期待というものが大きいと思うわけでございますが、林野庁では数年来予算をつくられましてこれの組織化、協業化ということを積極的に進めておられます。しかし、素材生産業の実態とかあるいはいろいろ含んでおる問題等がございます。したがって、必ずしもそういう期待どおりに進んでないというふうにも聞いております。しかし、この制度を受けるには組織化が前提でございます。したがって、この制度の発足が契機になりまして、素材生産業の組織化というものが大いに前進するという期待が持たれるわけでございますが、今後もこの組織化ということにつきまして、私ども金融面からもひとつ大いにお手伝いをさせていただきますけれども林野庁等におきましてもこの組織化ということをねらっておられるわけでございますから、一層推進していただければ、不安もなく、これが前進するのではないかというふうに考えておるのが現実でございます。
  96. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの説明実態がよくわかりました。その分だけまた政府に対する質問も省略できるわけです。  そこで、政府にお尋ねしますが、林業信用基金法の第二条の二項に融資機関について定めてあるわけですが、大別しまして、ただいま基金理事長説明によりますと、商工組合中央金庫系統の利用が非常に多いということでございます。第二条第二項の第一号は農林中央金庫と掲げてあるわけでございますが、系統的に言うと、いわゆる森林組合系統、林業の生産の分野に属するそうした林家とかあるいは関係事業者の系統でございますが、農林中央金庫の都道府県あるいは全国的な融資機関としての指定あるいは実績というものはどうなっていますか。
  97. 藍原義邦

    藍原政府委員 今回のこの融資制度につきましては、融資機関の指定については制度上特に限定を設けておりません。金融機関一般を考えております。したがいまして、都道府県におきましてそれぞれ自主的にその辺をお決めになるのだろうと思いますけれども、いま先生指摘になりましたように、系統資金といいますか、森林組合では農林中央金庫あたりの御活用が非常に多いわけでございますから、そういう点につきましては、都道府県においてそういうものを融資機関一つとしていただくということは十分あり得ると思っておりますし、私どももその辺につきましては都道府県と打ち合わせなり指導はしてまいりたいと考えております。
  98. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今度の法律は、主として中小零細な林家あるいは事業者に対しててこ入れをするという制度になるわけですから、そうなると、基金法の第二条第二項の第一に農林中央金庫を融資機関として掲げてあるわけですから、この面が余り活用されておらぬということはやはり問題があると思うのですよ。農林中央金庫にしたって、昨年も保有残高が十兆円ですか、そういう膨大な資金を主として全国の農業、林業、漁業の生産者、それから系統組織を通じて保有しているわけだから、こういうものは十分活用する必要があると思うのですよ。ことさらに系統融資機関というものを運用の中で排除していくというような特別の指示を政府がした結果がこういうふうになっているのか、その辺の事情がはっきりしないので、この際明確にしてもらいたいと思います。これからどうするのかということですね。
  99. 角道謙一

    角道政府委員 ただいまの御質問のとおり、私どもといたしましても今度の国産材産業振興資金を運用していく上におきましては、現在、農林中央金庫等も相当の系統資金を持っておりますので、これを大いに活用してまいりたいと考えております。
  100. 芳賀貢

    ○芳賀委員 特に昨年森林組合法を成立さした場合の附帯決議においても、あるいは法案の審議の中においても、森林組合関係からは速やかに森林組合が信用事業をやれるようにしてくれという声がありましたが、実態は、昨日大臣が言われたとおり、希望が多いといっても、じゃすぐやったらいいじゃないかというわけにいかぬですよ。信用事業をやるだけの体制、準備というものは、部分的にはあるとしても、総体的に見ると、役場の片すみに職員が一人おって机と腰かけだけしかないというようなところでとても信用業務なんというのはいかぬですからね。その前段の方法として、森林組合の組合員のほとんどは地元の農業協同組合の正組合員として組合事業をやっておる、もちろん貯金もしておるというような関係にあるので、この農協の資金というものを、地域において森林組合が事業を進める上に必要な場合には導入ができるような、そういう組織上あるいは地域的なつながりがあるわけだから、その点を十分に政府としても具体的な検討を加えて、そして実現すべきであるということになっておるのです。今度のこの法律でも関係が出てくるわけですから、その点はどう考えておりますか。
  101. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま先生指摘になりましたように、森林組合は短期の運転資金等につきましては大体二〇%ぐらいを農協から借りておりますし、また中金からも三五%を借りておる状況でございます。そういうことで非常に系統資金を使っておるわけでございまして、私どもも今回のこの制度につきましても、従来のそういう森林組合のあり方を十分踏まえて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  102. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、せっかくの機会ですから、公庫総裁の中野さんから公庫の運用についての重点的な事項について聞かしてもらいたいと思います。項目について私が申し上げますから、それに基づいてお願いします。  第一は、農林漁業金融公庫というのは、昭和二十七年の十二月に国会を通過して公布されたのですね。この二十七年というのはちょうど私が一年生で国会に出てきた年の暮れで、議員立法でこういう内容のある重要な法案を、当時は内閣提出じゃなくてわれわれ議員立法でつくった、そういう歴史があるのですよ。それだけにわれわれとしても関心も深いし、大事にしているわけです。ですから、二十七年間の歴史を持っているわけですが、現在の事業実績として貸し付けの総残高はもうすでに三兆円に及んでいるというように承知しておるわけですが、この中において、林業関係資金の主要資金別の貸付残高というのがどういう状態になっておるかというのが第一点でございます。  それから第二点は、同様に林業関係資金における取り扱い金融機関別の貸付残高について、主要取り扱い金融機関別でいいですが、どうなっているかということを、わかる範囲で示してもらいたいと思います。  三番目は、今度の特例措置に関連する造林資金及び林道資金の借り入れ主体別貸付残高についてはどのようになっているか。林業制度資金というのは償還年限にしても据え置き期間にしても長期にわたっておるわけでありますから、それだけ特別の運用が必要であると思いますので、この点を説明願います。  四番目は、全国金融機関林業関係資金の融資状況と、この中に占める農林公庫資金の関係というものはどういうような比率あるいは状態になっておるかという点です。  最後の五番目は、林業白書においても述べておりますが、今後林業の振興発展を図るためには、林業の経営上、今度の改善計画にも当然柱になって出てくると思いますが、間伐の問題です。間伐の問題については、健全な森林を育成して林業生産の増大を図るとともに森林の持つ公益的機能を高度に発揮させるためには、これは不可欠な間伐行為でございますので、造林資金の中の保育事業の中で間伐事業を対象にした融資の状態はどういうふうな実績を持っておるか。  以上、五点について、この際内容を聞かしていただきたいと思います。
  103. 中野和仁

    ○中野説明員 まず、農林漁業金融公庫の融資の中での林業資金の主要資金別の貸付残高でございますが、五十四年三月末、全体として三兆一千億になっておりますが、まだ決算ができておりませんので二月で申し上げますと、三兆二百三十三億の中で林業関係資金は四千八十八億円でございます。一三・五%に当たります。その中で最も多いのは造林資金でございまして六万四千九百十三件、三千百四億となっております。したがいまして、これが全体の七五・九%を占めておるわけであります。続きまして多いのは、林業経営改善資金と申しまして、林地を取得する資金でございます。これが一二・四%を占めております。その次が林道でございまして、これが六・一%を占めておるという状況でございます。  それから二番目の御質問の、私どもの融資しております取り扱い金融機関別の残高を申し上げますと、一番多いのは公庫が直接貸しております資金でございまして、これが千六百九十六億、約四割を占めております。公庫が直接貸しますのが多いのは、各県の林業公社に貸しておるためでございます。二番目が公営企業金融公庫に委託をして貸し付けておる。これは市町村なり都道府県に貸すものでございまして、これが千百八十二億、二八・九%。三番目が農林中央金庫に委託して貸しておるものでございまして、これは主として森林組合系統を通じて貸しておるものでございまして千百五十六億、二八・三%になります。これを合わせますと、大体九九%はこの三つで占めておるということでございます。  それから三番目の御質問の、今回の特例措置に関係します造林資金と林道資金の借り入れ主体別の貸付残高を申し上げますと、五十二年の数字で恐縮でございますけれども、全体としまして貸付金の残高は、造林資金が二千七百十四億円になっておるわけでございます。その内訳は、一番多いのが、先ほど申し上げました林業公社でございまして七百十七億、その次が市町村で七百三億、その次が会社関係で三百九十四億、一四・五%、その次が森林組合で三百八十七億、一四・三%、続いて都道府県の三百三十一億、一二・二%という構成になっております。  それから、全国金融機関林業関係資金の融資の状況の中で公庫の占める地位でございますが、これは日銀の統計局で五十三年三月末現在の数字が出ておりまして、それの林業関係の貸し付け、各金融機関の貸付残高は六千八百四億円ということになっております。その内訳としまして、設備資金と運転資金に分けてみますと、この六千八百四億円が大体七、三くらいで、七が設備資金ということになっております。公庫の方は設備資金の融資しかしておりませんが、この五十三年三月末、三千六百五十億円の融資残高がございまして、ちょうど公庫資金のウエートは七八%ということになっておりまして、過半は私ども公庫の林業関係資金の融資で設備資金を占めておる、設備資金の中では公庫の融資が相当部分を占めておるということになるかと思います。  それから、最後のお尋ねの間伐の問題でございます。最近間伐がなかなかされにくいということで、林業白書を拝見しましても、やるべき間伐の二割くらいということになっておるわけでございます。今回の法律ができますと、据え置き期間も延ばされるというようなことになりまして非常に役に立つのではないかというふうに思っております。私どもの造林資金についての保育事業といたしまして、保育間伐と言っておりまして、収入のない間伐につきましては当然融資の対象にすることにいたしたいと思っております。  以上でございます。
  104. 芳賀貢

    ○芳賀委員 どうも明快に聞かしてもらってよくわかりました。  そこで、大臣出席されましたが、いま中野総裁からも説明がありましたが、間伐問題は今後の林業改善からいっても非常に重要な問題でありまして、昨年来間伐の計画的な完全実施の問題と、それから間伐材の利用方法の開発あるいは利用者に対する助成の問題とか、あるいはまたいま中野総裁が言われた特別融資の問題とか、こういう一連の施策を政府として誘導的に講じていかなければなかなか実績が上がらぬと思いますし、また間伐材利用の中で、公共用の建材等についても新しい用途を開発するという必要もあると思うのです。  この点については、今度の改善計画の中にも出てくると思いますが、一体いままでどういうような熱心な研究を進めて、これがどこまで前進しておるか、その点を明らかにしておいてもらいたい。
  105. 藍原義邦

    藍原政府委員 初めに、私の方からお答え申し上げます。  御指摘になりましたように、確かに間伐が進まない大きな理由の一つとして、間伐材が利用されないという点が非常に問題かと思います。そこで、私どもとしては、間伐材の利用促進ということで、いまその辺の用途拡大についていろいろな努力を払っておるわけでございます。  一例を挙げますと、間伐材の高度利用ということで住宅部材等に使えないかということ、それから家具、インテリア等に何かもっと積極的ないろいろなものが使えないかということ、これのための助成ということをやっておりますし、それから間伐材を使いましたいろいろな製品をデパートだとか市場で展示することを最近始めております。そういうものに対する助成をいたしまして需要の増進を図るということ、それから建設省と共管で現在つくっております日本住宅・木材技術センターというのがございます。そこにおきまして、主として間伐材のいろいろな利用開発の研究を進めておりますけれども、足場丸太の利用方法の開発、それから間伐材の利用開発のコンクールを実施いたしまして、いろいろな製品を持ち寄るということもしております。それから、間伐材を利用いたしまして小径木の住宅が開発できないかというようなこと、そういうことを中心にいたしまして、現在、間伐材の利用が積極的に進むような研究開発を進めておる次第でございます。
  106. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この問題は、この法案改善計画あるいは合理化計画についてもそれぞれ関係があるわけですね。融資の面でも、間伐というのは当然造林事業の一環をなすわけですから、そうなれば公庫の造林資金の範疇において特別に配慮するとか、あるいは間伐材の加工とか建築材の開発利用、そういうものは合理化計画の中で対象企業が熱心にやってもらうということになれば、特別の助成とかあるいは金融機関からの融資の道を開いてやる、そこにまた基金が作用するということになると思うので、これは今後の法律の運用の中で一層進める必要があると思うのです。  二番目は、国産材の優位性というのはとかく忘れがちになっているわけですから、こういう点についても農林省として、米の飯を食えという宣伝も必要ですが、貴重な国産材の高度利用とか活用を進める必要があると思うのです。これはうちの柴田委員の長年の持論ですが、日本の住宅建築は、国産材による木材構造の住宅というものが強度においても耐久の面から見ても非常に重要であるということを言っておるわけですが、そのとおりでありまして、こういう点についても林野庁として一段と努力する必要があると思うのです。ただいろいろな文章ばかり書いて、基本方針なんて言ったって、大臣に言わせれば、こんなものは大したものじゃないんだ、金を貸してやるために一とおりお経の文句みたいのを書けばいいんだときのうから言っておるわけだから、それじゃ大事な期待効果というのは上がらぬと思うのです。こういう点については長官としていままでどんなことをやっておるわけですか。
  107. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど柴田先生からも御指摘があったわけでございますけれども、まず第一義的に、木材が一番使われますのが住宅でございます。その住宅の資材としての木材が、最近、木材以外の代替物質、コンクリート、鉄等々に変わってきております。そういうことで、まず木材で住宅を建てていただく、そういうことを中心推進しなければいけない。そのためには、いま日本全体で木材の需要量に対しまして供給量が非常に少のうございますから、当分の間外材を入れなければいけないという立場にございますが、そういうことで、木材を使ってうちを建てることが日本の風土なり日本生活に非常にマッチしているんだという意味から、一般的には木材でうちを建てるとか木材をいろいろな面で利用していただく、こういうことを重点にPRもし、また、いろいろな開発をしてまいったわけでございますけれども、その中で特に国産材ということにしぼって特別なPRと申しますか、そういうものは、申しわけございませんけれども、いままでのところわれわれも余り熱心にはやっておりません。  と申しますのは、いま申し上げましたように、やはり木材がほかのものにどんどん押されてきておる、まくら木も変わりましたし、電柱も変わりました。いろいろなものが変わってきておる。したがって、まずそれに手をつけなければいけない。その辺にてこ入れをしながら国産材をさらに進めていこうということを考えてやっておりまして、今後とも、御指摘のように国産材のよさは十分研究開発の中で進めながら、またこれをPRしなければいけないと考えておりますが、いまの段階ではそういう形でございますし、ただ、その中で間伐材につきましては、これはとにもかくにも間伐材を利用していただきませんと間伐ができません。そういうことで間伐材については積極的に対応しておりますが、一般の用材向きにつきましては、先生の意を体しましてわれわれも今後さらに検討を進めてまいりたいと思っております。
  108. 芳賀貢

    ○芳賀委員 とにかく何でも国の補助とか融資ばかりでやるわけにはいかぬでしょうけれども一つの目的を立ててそれを発展させる、実現するということになれば、それに協力したり参加しておる関係者に対しての特別の助長措置というものは必要ですから、そういう点もあわせてやる必要があると思うわけです。  それから、この際、今度の法案においても、基本方針を立てる場合には林政審議会の意見を聞いて農林大臣がこれを定めて公表する。これは大臣がちょうど留守なものだから、中身は大体わかりましたけれども、必ずしもお経の文句でもないようなものですが、その場合の肝心な林政審議会のあり方というものは、昨日もうちの角屋委員から大臣に質問をしましたが、いまのままの審議会の構成では余り大きな期待を持てないと思うのです。現在は、構成員が十五人のうち、政府の気に入らぬという委員は一人ぐらいしかいないでしょう。元の参議院議員の北村暢君が十五人の中に一人おるんだけれども、北村君だけは異なった真っすぐな意見を述べておるようだが、あとの十四人の委員皆さんというのは、農林大臣が選任する関係もありますけれども、政府の方針に協力する、OKを言えるというような人ばかり期せずして集まっておるわけですから、これでは何にもならぬと思うのです。政府のやることも全部いいわけじゃないですからね。それは国家百年の大計といわれる林業の長期発展の問題等については相当の見識もなければならぬ、あるいはまた経験もなければならぬ、政府に対しても言うことは言える者でなければならぬということになると、いまの人が全部だめとは言いませんよ。  そこで、大臣に申しますが、やりやすい方法としては、十五人を大半入れかえるといったって、大臣としてもこれはなかなか容易でないと思うので、この際、委員の数を十五名を二十名程度にふやして、ふやした分についてはもう少し中立的な立場から意見を述べることができる、あるいはまた国有林民有林の経営等に直接参加して貴重な経験を持った委員を入れるとか、多様性のある委員会の構成をすれば、今度この法律が通れば大臣から林政審議会に諮るわけですから、それまでに思い切って渡辺方式でまず林政審議会の機構を抜本的に改革する、こうされたらいいと思いますが、どうですか。
  109. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 林政審の委員の数をふやせということですが、これは林業基本法で十五名というふうに決まっておるわけです。ふやす必要があるかどうかということにも疑問が一つありますが、一般に行管などでは、大体委員会の数が多過ぎる、それから、ともかくいろいろな委員の数自身も少し減らしたらいいんじゃないか、中には二十名とか二十五名とか三十名というようなものもあります。したがって、減らせという勧告が出ておるわけです。したがって、現在これを二十名にふやすということは、そういう点から行政の簡素化という点にも余り逆らうような話にもなりますし、私はこの顔ぶれを見まして、そんなに悪い人ばかりじゃないと思っているのです。たとえば、労働総同盟の代表の方ももちろん入っておりますし、森林組合の組合長の喜多さんなんというのはなかなかやかましくて、政府のこと、賛成ばかりしてない、しょっちゅういろいろなことを私は言われている。大学の先生にしたって中立的な先生で、いいと悪いとはっきりしておりますし、ましてこの木材関係の問題については利害のある人がかなり来ていますから政府の言いなりになんかなかなかならぬ。ですから、生産者の代表とか実際に利用している人の代表とか、一般に広く全体を見ている、たとえば労働福祉事業団の理事ども利用者の立場も考えて物を言っておりますし、それから時期が来て年数がたったとか、もっと適切なこういう人があるというようなことがあれば、私はある時期に交代をすることは決してやぶさかではないと思います。思いますが、いますぐこれを強権発動して差しかえるという必要性もないのじゃないか。  それから、ふやすということも、いま言ったようなことで少しむずかしいような気がいたします。したがって、この委員はどういうところが悪いからやめさせろ、別の人がいいというのなら私は御相談に応じます。
  110. 芳賀貢

    ○芳賀委員 一人一人の委員を俎上に上げて非難すわけじゃないのですよ。林政審全体の構成というものがちょっと横へそれているのじゃないか。だから、それを改組するということになれば、十五人の中で、任期が一年だから毎年毎年全部かえても構わぬのだけれども大臣としてそれがなかなかやりづらいというのであれば、もちろん基本法の改正は必要ですが、委員の数を五名なら五名ふやして、ふえた分できちんと、ちゃんとしたものをふやすというようなことも、これは方法としてはやりやすいのじゃないかと思う。これは大臣立場を考えてぼくは言っているのですよ。これは去年も、改善計画を策定するとき、国有林野の改善措置法が通った後で、改善計画を林政審に諮って決めるということになっておるので、大事な作業だからその前に審議会の構成を大幅に変えたらいいのじゃないかということを中川大臣にも当時言ったけれども、これはやらぬで終わってしまった。今度は、今度の融資法の基本方針を決めるためにはどうしても審議会にかけなければならぬわけだから、これは十分に検討して期待に沿ったような方法でやってもらいたいと思います。  それから次は、これもことしの林業白書にも出ておりますし、国有林改善計画の中にも出ておりますが、国有林財政の再建という問題、これは非常に大事な点です。しかし、昨日来の審議の中においても、人工林の国有林民有林全体の状況というものが、齢級にすると十年生、二十年生以下のものが全体の七〇%以上を占めているわけですから、あと少なくとも二十年あるいは三十年経過しないと伐期に入らないわけですね。人工林が伐期に到達しない間は十分な伐採とか木材生産というものが簡単にできないわけです。しかし、二十年間手をこまねいて外材だけに依存するということになると日本林業は根本的に壊滅するような状態になるわけだから、それを心配して今度の法案も提出されたと思うのですよ。これは単に民有林だけの傾向でないですから、国有林の中の人工造林の状態もそれと同じわけでしょう。だから、財政再建と言っても、去年の改善法の審議のときも、その後の改善計画の内容を見ても、まず最初の計画は十年間でございますが、しかし人工造林が伐期に到達して、それから十分な生産を上げることができるということになると、どうしても昭和七十二年まで二十年かかることになるのですよ。その間は、国有林野の経営というものは、造林を進めるとか保育を進めるとか、国有林全体の森林資源というものを培養確保するというところに重点を置くわけですから、単に毎年毎年の単年度の収益が上がったとか赤字が続くだけでこれを論難するわけにいかぬでしょう。そういうことが、政府部内においてもまだ十分理解されていないのですよ。毎年赤字が出るじゃないか、これから十年間、少なくとも一般会計からの繰り入れがふえれば財投などの借り入れの割合というのは減りますけれども、ことしの予算を見ても、一般会計からの繰り入れば去年の倍額になっておるが、およそ八十億円、財投は千百八十億ということになっておるわけですからね。この繰り入れにしても借り入れにしても、相当長期間こういう状態が続くと思うのですよ。無計画に国有林を伐採して販売してしまえばそれは収支の均衡はとれるとしても、そういうことは長官としても絶対できないわけでしょう。そういう実態を政府内部とかあるいは国会の関係とか一般国民にも十分に知ってもらうということが大事だと思うのですよ。  たまたま国会の論議の中でも、この赤字傾向というのは、これはどこに欠陥があるのだ、経営の責任というのは長官初め林野庁責任者にあるわけでしょう、経営をうまく指導してやったかやらぬかということになると。それからまた、五万に近い林業の基幹労働力になっておる職員の生産性の問題等もあると思いますけれども、何でもかんでも国有林で働いておる職員がだめなんだ、非能率なんだということで片づけるというような、そういうやさしい問題ではないと思うのですよ。きのうは大臣も大体理解のあるような答弁をしておりましたが、これはやはり大胆率直に実態を明らかにして、もうこうなっているのだ、これはぼやぼやすると国鉄みたいになってしまうのだからここでがんばらなければならぬ、労使といいますか、経営責任者もまた全体に働く職員も事の重大性を認識して一丸になって協力して働く、これは改善計画の末尾の結びの中にちゃんと出ておるのだよ。これは大臣もそれを読んでそのとおり言っていると思いますが、そういうような点についても十分に理解が徹底するようにしてもらいたいと思うのですよ。  たとえば、伐採事業、素材生産事業にしても、チェーンソーを持って働いておる職員のちょうど半分、七千人の半分がいわゆる白ろう病認定者になっておるわけですからね。これは病人なんですよ。だから、この病人を一人前に働けと言うわけにはいかぬでしょう。やはり治療もさせなければならぬ。まだ幾らかでも働く余地がある場合には何日かに一度通院をして働きながら治療を続けるということになれば、その伐採作業に従事している七千人なら七千人のうちの三千何百人が白ろう病等によって十分な稼働ができない。しかし、生産性を計算する場合、病人も元気な者もみんな入れてそれを分母にして計算するということになると、それは当然健全な者に対して労働生産性は二分の一ということには計算の方法でなりますよ。あるいは実働しただけの分を分母にして計算しておると言っても、いま組作業でしょう。六人とか八人とか一組になって作業をやっておるわけだから、その中の二人とか三人がきょうはお医者へ行かなければならぬということになると、それを臨時的にも補充して十分な組作業ができるようにしておけばいいわけですけれども、それをしない場合にはチームが減ってなかなか十分の仕事ができないということにもなるわけですね。そういう実態を伏せておいて、けしからぬ、能率が上がらぬ、だから何でもかんでも請負にしなければならぬというような、そういう論法で国有林の危機というものを片づけるということになると、これはますます深みにはまるということになると思うのですよ。  きょうは特に議論する考えはありませんが、大臣もこれは相当理解しておられるようですから、長官としても、大臣が全くわからぬでむちゃくちゃに全林野けしからぬと言って騒いでいればこれは別だけれども、われわれが考えた以上に、大臣になってから相当事の実態というものをとらえておって、いささか敬意を表しているわけでありますが、そうなれば長官としても自信を持って仕事をやれると思うのですよ。その点をこの際明快にしておいてもらいたい。大事な点ですよ。  大臣もあわせて。
  111. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま先生から国有林の経営のあり方について非常に厳しい御指摘があったわけではございますが、私ども国有林の経営につきましては国民から負託を受けておりますので、批判を受けないような管理経営を今後ともしてまいりたいというふうに考えておりますし、それにつきましては渡辺大臣の御指示に従いまして、十分管理してまいりたいと思います。
  112. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私は、労使問題はきわめて理解を持ってやっているようなつもりであります。国有林関係の労働組合も最近非常に世の中の実態をわかっていただきまして、きょうなどもいち早くストライキはやらないということを決定をしていただきましたし、私は、そういうことは大変結構なことである。私は、今後ともまずいところはやはり直していただきますが、いい面は助長していかなければならぬし、やはり病気にかかったような人はもう絶対にそういうふうにかからないように、最初から細心な注意をして病人をつくらないということがまず先決問題ですから、それはそういうふうにして健康管理という面には、安全、健康、十分に注意をしていきたい。  それからまた、国有林野はやはり一般の民間と違って、特に必要で切りたくとも政策上切らせない場合も往々にしてあるし、私、そいでいいと思うのです。そういう点で管理費やあるいはむだがあってもそれはもう仕方のないことなんですから、これは別問題、しかしながら一般の作業あるいはそういうふうな作業のやり方、こういうふうなことについてはやはりどうしても国有とか公有とかというものは、民間と違って、うんと働いても月給は同じですし、働かなくたって月給は同じですから、そこら辺なかなか、民間のように生産性をみんな上げろと言っても実際はむずかしいところもあるのですよ。ですから、仕組みの問題も一応あるわけです。しかしながら、そこらも創意工夫をしながら、なるべく生産性が上がり、上がれば上がっただけの何か御利益があることもあわせて考えていくというようなことで、お互いにいいようにやっていきたい、それが国のためになることではないだろうか、かように考えております。
  113. 芳賀貢

    ○芳賀委員 では、最後にもう一つお尋ねしますが、先ほど触れましたとおり、とにかく毎年一千億以上の借り入れをしなければならぬ、財投を中心ですけれどもね。これだって借入金だから利子がかかるわけですからね。いまの財投の金利を、毎年毎年借り入れが一千億ずつふえれば、十年で一兆円ですからね、二十年で二兆円ということになるわけだから、ことしは二年目ですけれどもね、これが三年、四年ということになると、この国有林野の事業勘定の中においても今度はその利子の支払いというものが相当のウエートを占めるということになると思うのですね。だから、やはりこの点を早目に十分に考えて、何でもかんでも一般会計から持ってこいとは言いませんけれども、やはり大臣が言われたとおり公益機能の発揮に必要な金なんというものは、これは当然なことですから、その辺を十分検討して健全化を図る必要があると思うのですよ。この間、仄聞ですけれども、林野の職員に対して年度末手当の支給が少しおくれたでしょう、四月十日ごろ払った。それは財政やりくりでやむを得ぬと思うけれども、後で大臣が、これは長官けしからぬ、みんな一生懸命でやっておるのに、年度末手当を期日よりおくらすというのはおまえけしからぬといって大変怒ったというふうな話をぼくは間接的に聞いたんですよ。渡辺大臣というのはなかなかいい一面もあるなと思って感心したわけだけれども、この気持ちが大事なんですね。ぼくがあなたに説教する気はないけれども、大変な時期ですよ。林業の問題にしてもまた食糧問題にしても、日本の農政全体が大変な時代ですから、ひとつ十分にがんばってもらいたい。  これで、法案に対する質問を終わります。
  114. 佐藤隆

    佐藤委員長 神田厚君。
  115. 神田厚

    ○神田委員 林業等振興資金融通暫定措置法案につきまして御質問を申し上げます。  最初に、まず過日出されました林業の動向に関する年次報告、このいわゆる林業白書の中で、現在の日本林業の非常に厳しい面の指摘がありました。それらを踏まえましていろいろ提言もなさっているようでありますが、まず大臣から林業白書に関しましてのお考え方をお聞かせいただきたいと思うのであります。
  116. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 林業白書は、最近におけるわが国の林業を取り巻く諸情勢がきわめて厳しい、その状況についていろいろと書いてあるわけでございます。  われわれはやはり実態をはっきり把握した上で、こちらの手落ちがあればそれは直していかなければならぬし、それから、そういう情勢の中で、将来どういうように手を打っていったらいいかということの方針もつくらなければならぬ、そういうように考えておるわけであります。何と申しましても、私は林業白書に出た数字を見て、毎度のことではございますが、日本の山を守っていくということは、ただ単に木材の生産、供給というだけでなくて、国土の資源、水源の涵養、自然の環境保全というような公益機能の面からも非常に重要でございますから、それらについては一層力を入れていかなければならない、かように考えておるわけであります。  それと同時に、幾らそう言っても国有林だけが森林ではございませんので、やはり民有林もたくさんあるわけでありますから、それらの方が、ただ国家に奉仕するために、国民に奉仕するために木を植えるとは限らない。そこで、やはりそれらの方に木を植えてもらったりするためには、森林業というのが業としてりっぱな一つ使命感を持っているという認識だけでなくて、やはりそれによって生活が支えられ、利益にもなるという面があって初めて自由社会においては積極的に木を植え、森林業務をやろうという気持ちを起こすわけでございますから、それを誘導するためにいまのような法案やらいろいろな施策というものを政府は出して、林家に経営の意欲を起こさせるようにしていきたい、そう考えて、その一環としてこの法案も提出をしておるわけでございます。
  117. 神田厚

    ○神田委員 この白書が指摘しているように、経営意欲が非常に低下している、森林の管理の粗放化が進行している。こういうことから、森林の持っている治山治水などの公益機能、これすらも果たし得ないような状況も出てきておる。同時に、建設業の住宅木材需要に対しましても、国産材はすでにこれにこたえる力を失って、外国材への依存度が依然として高まっているというような非常に憂慮すべき状況が続いているわけであります。こういうことから、これはただ単に国有林だけでなくて民有林の経営の動向とも関連をしてくるわけでありますが、非常に問題は大きいわけでありまして、そのことを含めまして、この際ここで日本の林政一般についてきちんとした方針を出していかなければならない。林業白書は長期見通し等の見直しのことも含めましていろいろな積極的な提言をしている面もありますので、以下、それらと関連する林政一般の問題について質問をし、さらに法案についての質問を続けていきたいと考えております。  まず最初に、そういう現在の林業状況でありますけれども、現在この林業が非常に厳しい状況に至っていますことは先ほど申し上げました。ところで、政府は、林業基本法に基づいて森林資源基本計画と林産物の需給の長期見通しを策定して公表することとなっておりますが、現行のものは実態と著しい乖離を生じている。経済の動向、森林に対する社会的要請の増大に即して早急にこれを再検討しなければならない。今後の森林資源の整備基本的な考え方と木材需給の長期展望を明らかにして、林業及び林産業関係者に確固たる指針を示して経営意欲を喚起しなければならないわけでありますが、そこでまず第一に、林産物の需給の長期見通しの改定においては国産材の自給率についてどのように考えているか、この点をお伺いしたいのであります。この国産材の自給率は非常に大事な問題でございますので、その点につきましてひとつ御答弁をいただきたい、このように思うのであります。
  118. 藍原義邦

    藍原政府委員 林産物の需給の長期見通しでございますけれども、ただいま先生指摘になりましたように、資源の基本計画とあわせましてただいま改定作業に入っております。  そこで、いま先生、将来の自給率についてどういう状況かというお話でございましたけれども基本的には、当分の間外材に依存せざるを得ない現在の需給関係でございます。しかしながら、現在、国土の中に約九百万ヘクタールの造林地もでき上がっておるわけでございまして、こういうものが将来、伐期に達しますと、用材として一般の市場に出るわけでございますから、そういうものを見越してその辺を計算しなければいけませんけれども、逆に現在ございます森林の林齢別の分布状況を見ますと、それが必ずしも画一的でないという点もございます。したがいまして、将来、国産材が出てまいります場合でも、それらがある意味で定量的に毎年出ていくような形で計画を立てませんと、やはりその辺にも問題が出てまいります。     〔委員長退席、今井委員長代理着席〕  したがって、そういういろいろな因子をいま検討して進めておりますが、将来の方向としては自給率を高める方向で考えていかなければなりませんけれども、いまの段階で自給率がどのくらいになるかという御質問に対しましては、申しわけございませんけれども、いまの段階ではまだお答えできる段階になっておらないことを御了解いただきたいと思います。
  119. 神田厚

    ○神田委員 この国産材の自給率に、大体の方向としてどの程度のものを自給していくような計画をとっていくのか、この辺のところはどうなんでありますか。
  120. 藍原義邦

    藍原政府委員 はっきりしたことは申し上げられませんけれども、いまの造林地の状況から見ますれば、将来になりましては大体七〇から八〇%ぐらいの自給率になるのではなかろうかというふうに推計はできますけれども、まだ確定した段階にはなっておりませんので、その辺、御了解いただきたいと思います。
  121. 神田厚

    ○神田委員 どうも一番最初の大事なところからうまくお答えがないようでありますけれども、私は、国産材の自給率等についてはもう少しきちんとした策定の見通しみたいなものを出してしかるべきだと思うのですね。この程度まではやる、こういう形でやるという形でなければ、そうじゃなくてもこれはみんな心配しているところなんですね。外材との関係もありますから、どうしたらいいんだろうか。ですから、そういうふうに七〇から八〇までいくだろうということじゃなくて、こういう根拠の中で、たとえば八〇%ぐらいまでは必ず自給率として向上させていきたい、こういう形で明確に言ってもらわないと、ちょっとどうも、何か国産材の自給に対する林野庁の態度、姿勢が非常に弱いという感じを持つのですが、いかがですか。
  122. 藍原義邦

    藍原政府委員 御指摘のような御疑問もあろうかと思います。ただそこで、木材の場合、先生十分御存じのように、農産物と違いまして面積幾らのものにどれだけ種をまけば明くる年幾らできる、そういうことをすぐやるわけにはまいりません。したがいまして、二、三十年先に切れるやつは、現在もう木として育っているわけでございます。そういうものが樹齢的に分布が非常にアンバラになっております。したがって、いずれもっと遠い将来においては、五十年、六十年先には、大体計画的に同じような量が出てくるような形にしなければいけませんので、その辺の計算を十分詰めまして、われわれとしても自給率を高める方向でその辺は検討していきたい、いくつもりでおりますけれども、いまの段階では、自給率を幾らぐらいにするように努力してやろうというふうに思いましても、二、三十年先のものはもうすでにでき上がりつつあるわけでございますから、そのでき上がりつつあるものをどうやって今後平準化したような形で国内に供給させるかということを現在詰めておる段階でございます。
  123. 神田厚

    ○神田委員 供給の問題が出ましたから、次に移りますが、国産材の供給量を見通すことは非常にむずかしいわけでありますが、この供給量を見通すに際しましては、育林段階の生産性の向上、それから国産材の加工、流通段階の近代化等のコストの軽減の目標、これを設定することが大事だと言われておりますけれども、計画策定に当たっては、これらをどういうふうに計画の中に盛り込むお考えでありますか。
  124. 藍原義邦

    藍原政府委員 現在、長期の見通しの改定作業をやっておりますけれども、まず需要量には国産材の供給可能量をある意味でこれを充当いたしまして、不足分を外材で充てる、こういう考え方に立とうということで検討を進めております。今回の改定で、まず需要動向の予測に基づきまして需要量をこれから算出しなければいかぬわけでありますが、その場合に、外材産地の森林資源の賦存状況がございます。やはり外材がどのくらい諸外国にございまして、そういうもののまた木材需給の動向がどうなるか、それから木材の輸出の施策がどうなっていくであろうか、こういうものをやはり分類いたしまして、外材の輸入可能量と申しますか、そういうものも見通していかなければいけない、そういう中で国内材の供給量を増大させていくという方向で全体の調整を図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  このためには、いま先生も御指摘になりましたけれども、育林段階での生産性の向上、あるいは国産材の加工、流通対策によりまして国産材の供給コストの低減を図る必要がございます。従来からその推進を図ってきておりますけれども、今回の改定に当たりましても、このような施策の効果を考慮しながら計画を策定すると同時に、その効果を期待するためにさらに強力な施策、手段、こういうものも検討していきたいというふうに考えております。
  125. 神田厚

    ○神田委員 いろいろ御質問申し上げたいのですが、時間も限られておりますので、逐条的な形の御質問になりますが、次に林道の問題につきまして、これも白書の中で林道網の整備のおくれということが指摘をされているわけであります。林道の整備については、森林資源基本計画の目標整備水準に対する現在の到達割合、及び全国森林計画の期間計画に対する実行、実績の現状、これをまずお答えいただきたいと思います。
  126. 藍原義邦

    藍原政府委員 林道の整備につきましては、いまから申し上げますけれども、残念なことに、それぞれの計画に対して余り十分な達成になっておりません。  まず、森林資源に関する基本計画におきましては、昭和九十年度までに総延長二十六万七千キロを整備することになっております。これに対しまして、五十二年度末現在では九万四千キロでございまして、目標に対する達成率は三五%となっております。  それから、昭和四十八年度から六十二年度までの十五年間を計画期間としております全国森林計画でございますが、この林道開設延長計画は十二万八千キロメートルとなっておりまして、これに対しまして四十八年度から五十二年度の五カ年間の開設実績は一万五千キロでございまして、これを年平均で達成率を見ますと三六%という形になっております。
  127. 神田厚

    ○神田委員 それぞれの目標の約三分の一しか達成できてないということですね。これは原因はどこにありますか。
  128. 藍原義邦

    藍原政府委員 林道の開設がおくれておるという一番大きな原因は、林道を開設するために従来とっておりました方法というものが、最近の世相といいますか、世の中の考え方の自然保護等々に必ずしも十分合致しないということで、最近自然工法というものを大分取り入れております。そういうこと、あるいは奥地化したということで単価が上がったということ、それから、ある意味で一般林道の中で進んでおりますのが公共林道でございますけれども、この公共林道の予算が国の財政上の関係あるいは国の経済状況関係から伸び悩んだという点もございます。そういう観点で林道の伸びが一部非常に弱かったということが言えるかと思います。
  129. 神田厚

    ○神田委員 非常に客観的な答弁でございますね。やはりおくれていることについて林野庁としてはそのおくれを少しでも取り戻すように、あるいは計画に沿った形で推進をさせなければならない、そういう責任があるはずですが、その点はいかがですか。
  130. 藍原義邦

    藍原政府委員 林業推進するための基盤としては林道が最たるものでございますので、われわれとしても林道についてはその辺を十分配慮しなければいけないというふうに考えております。したがいまして、本年度の予算におきましても他の公共事業に比較しましてある意味では一番伸び率が高いと思いますけれども、一二八%という高い伸び率で予算を組んでおりますし、そういうことでわれわれも林道については十分配慮しながら今後林道延長が伸びるようなことを考えてまいりたいというふうに思っております。
  131. 神田厚

    ○神田委員 長官答弁を聞いていましても、この計画におくれていること、目標に計画が追いつかないこと、計画全体に対する達成率が非常に低いことに対する林野庁基本的な対応が非常に弱いと思いますね。これは今年度は一二八%予算がついたけれども、しかし全体としては計画の中ではこれだけの実績しかないわけでありますから、つまり計画自体に問題があるならば計画の変更も考えなければならないし、あるいはそういう意味で計画はきちんとしているけれどもそれに対する裏づけがうまくできないということならばそういう形の運動を強化しなければならないし、いずれにしろ、そういう形でのもっと強い取り組みが必要だと思うのですが、いかがですか。
  132. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど申し上げましたように、林道につきましてわれわれとしても重点的に考えていかなければいけないと思っております。そのためにも一般公共林道はもちろんのこと、林業構造改善の中あるいは最近では造林地が非常にふえておりますので、造林補助体系の中でも林道に準ずるような作業道、こういうことで林業作業ができますような道路というものを考えておりますし、いろいろな面からやはり森林に道をつくるということ、単に林道ばかりでなくて作業道の面でもそういうことができるような形で考え、いろいろな面から道がふえることを現在われわれも十分考えておりまして、その辺の姿勢につきましてはわれわれとしても今後とも同じような姿勢で十分重点的な考え方に立って対応してまいるつもりでおります。
  133. 神田厚

    ○神田委員 この問題は非常に大事な問題ですが、時間がありませんから林道問題はまた後で御質問申し上げたいと思います。  大臣にお伺いしますが、林道の整備は、長官答弁しているように、森林・林業、それから山村にとっての基本施設でありますとともに、最近の不況下における雇用創出、こういう点からも政府が抜本的な拡充策を講じて、林道創設の状況の中で雇用問題あるいは山村の振興という面も含めまして、もう少し積極的な姿勢をとったらいかがかと思うのですが、いかがでございますか。
  134. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 そういうことも十分考えられますが、林道をつくるだけでそんな大幅な雇用増大ということにもなかなかならないので、ある程度林道をつくれば多少の雇用創出にはなりますが、そう大声で雇用増大のための林道だということにもなかなかならぬかと思います。
  135. 神田厚

    ○神田委員 雇用の問題は非常に大きい問題で、私はこの際、日本の農村が現在の雇用問題の一つのポイントを握っていると思っているのです。林業問題もそうであります。あるいはいろいろな形で老齢化した農業従事者をこの際もっと若々しい人と入れかえるような形で、雇用問題の解決というのはやはり農村地帯も非常に大きなポイントを握っているというふうに考えております。ただこの林道だけで雇用創出が完全にできるというふうには考えておりませんけれども、それも一つの方策として機会あるごとにお考えをいただけたらと、こういうふうに考えているわけであります。  次に、人工造林の問題であります。これも白書の方に指摘をされておりますが、最近の人工造林の進捗状況並びに森林資源基本計画及び全国森林計画に対する達成状況をお聞かせいただきたいと思います。
  136. 藍原義邦

    藍原政府委員 人工造林の面積につきましては、年々の造林面積を見ますと、昭和四十八年度には二十七万ヘクタールであったものが昭和五十二年度には二十万ヘクタールということで落ち込んでおります。しかしながら、伐採跡地に対する造林は適確に実施されております。  そこで、いま御指摘の資源計画なり全国森林計画に対する進捗状況でございますけれども基本計画に対しましては目標人工林は千三百十四万ヘクタールでございます。これに対しまして五十一年三月末現在で九百三十八万ヘクタール、達成率は七一%となっております。いまのところまだ確定しておりませんけれども、多分五十三年三月末では七四%になるであろうというふうに推計されております。  それから、先ほど申し上げました全国森林計画、十五カ年間の計画でございますが、この中での計画量は四百四十五万ヘクタールになっておりまして、これに対して四十八年から五十二年度までの実行量は百十五万ヘクタールでございまして、これを年平均で見ますと達成率は七八%というふうになっております。
  137. 神田厚

    ○神田委員 林道よりはいいですけれども、やはりどうも一〇〇%の達成率というのがなされておりませんが、これもひとつそういう計画に沿った形で強力に推進をしていただきたい、こういうふうに考えております。  次に、これも白書の方に指摘をされておりますが、拡大造林が著しく停滞していると言われております。これの原因と改善策について林野庁はどういうふうに考えておりますか。
  138. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほども説明申し上げましたように、拡大造林の面積が最近落ち込んでおりまして、その原因はいろいろあろうと思いますが、林業の収益性が非常に低くなっておるということで森林所有者の経営意欲というものがまず落ち込んだということがあろうかと思います。特に拡大造林の場合にはその前生樹を伐採しなければいけませんけれども、主として前生樹というものはパルプに使いますチップ材でございます。そのチップ材の価格が輸入チップの増大を背景にいたしまして非常に安価になっておりまして、そういう関係から採算面が合わないということで、なかなか前生樹を切って人工造林地にしないという傾向があるというふうに考えております。それからまた、造林対象地の奥地化によりまして立地条件の悪化という問題もあろうかと思いますし、入会林野等の権利関係の複雑な造林地がだんだんふえてきているということも考えられます。それから、これは一般の農山村の実態でございますけれども、農林家の世帯員の減少というような問題がございます。  そういうことがございまして拡大造林がおくれておるというふうにわれわれ考えております。そのために従前から補助のあり方、融資のあり方、いろいろな面から助成を強めてまいったわけでございますけれども、こういうことも考えまして五十四年度から新たに造林補助体系の中で、市町村の指導のもとに造林事業を集団的、計画的、組織的に実行いたしまして、ある一定の費用割りの中で造林を推進するという形の森林総合整備事業というものを創設いたしまして、助成の内容も従前のものよりも強化するという形で対応していこうと考えておりますし、また一方、ただいま御審議願っております法案の中にも盛り込まれておりますように、造林に対します融資についての償還期限あるいは据え置き期間についての延長の特別措置を講じたいとわれわれは考えておる次第でございます。
  139. 神田厚

    ○神田委員 この拡大造林の停滞がやはり非常に問題でありますが、森林総合整備事業等の施策で強力に推進をしていくということでありますけれども、よほどしっかりした形で林野庁がこれをやらなければ、簡単に状況が好転すると思えないのですね。その辺のところは一体どうなんですか。やる気があるのでしょうけれども、いろいろ障害があるのか、それとも森林組合等を煩わせていろいろやってもうまく効果が上がらないのか、その辺のところは一体どこに原因があるのですか。
  140. 藍原義邦

    藍原政府委員 拡大造林を推進するためには、やはり森林所有者が林業というもの、あるいは山に木を植えるという意欲を持たなければいけないと思います。そのためには、いま申し上げた施策だけではなくて、いろいろな意味からの、いろいろな方面からの施策を総合して対応する必要があろうとわれわれは考えております。したがいまして、森林組合の強化も当然でございますし、あるいは構造改善等によりましてその地域林業関係基盤をつくることも必要かと思います。さらには、いま御指摘になりました林道の問題もあろうと思いますし、いろいろな面から総合してこの林業関係施策推進、集中しなければ拡大造林の推進は非常にむずかしいとわれわれも考えておりますが、いま申し上げましたような施策をさらにほかのものと組み合わせまして、総合的にわれわれとしても対応していく姿勢が必要であろうというふうに考えております。
  141. 神田厚

    ○神田委員 時間がありませんから、次に移ります。  次に、これもまた白書の方で厳しく指摘をされておりますが、全体的な林業生産活動の停滞の中でも特に保育、間伐のおくれが顕著である、こういうように言われております。まず、その実態はどうなのかということと、保育、間伐が手おくれとなっている地域につきまして、やはりこれもある意味では雇用問題との関係から政府としてそこに少し手を集中をしていくような形はとれないものかどうか、その辺はいかがでございますか。
  142. 藍原義邦

    藍原政府委員 保育、間伐、こういうものも確かにおくれておりまして、植えただけではなくて育てなければやはりいい山にならないわけでございます。先ほど御説明申し上げました森林総合整備、この中でいままでの補助期間二十年を二十五年に延ばす、そして除間伐を含めまして総合的に補助体系を考える。なお、その補助の内容についても従来のものよりも厚くするという形で私ども考えております。そういうことによりまして、保育その他の間伐等の推進を図る一要因になってくるであろうと考えておりますし、また農林金融公庫の融資につきましても、いま御審議願っておるような融資条件が改定になりますればそれだけまた変わってくるわけでございますから、そういうもろもろの施策の積み上げの中でこれらの問題についての推進は図っていかなければいけないと考えております。
  143. 神田厚

    ○神田委員 次に、国産材の関連産業の問題について御質問申し上げます。  国産材関連産業が、国産材の停滞の中でやはり全体として衰退の方向にある。国産材素材の生産量が年々減少傾向をたどっているような状況の中から、素材生産業者の現状及び育成対策、これは現在どのようになっておるのか、お聞かせいただきたいと思うのであります。
  144. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま御指摘になりましたように、素材生産関係の経営形態を見ますと、最近では非常に減ってまいっておりまして、これに対してわれわれとしても何か手を打たなければならないと考えております。現在総数は約一万五千企業体あるとわれわれは考えておりますけれども、そのうち個人が六〇%くらいでございまして、生産規模は年間一千立方未満のものが約六割を占めるという零細な状況でございます。  そこで、これに対する対策といたしましては、素材生産及び流通の近代化を図るために素材生産業者の組織化を促進するための指導事業、それから立木の共同購入等を促進するための共同取引推進事業、それから素材生産基盤整備合理化のための新作業体系整備モデル事業、こういうものを内容といたします素材生産流通近代化対策事業を現在実施いたしております。さらに、今回のこの法案の中にも盛り込みましたような低利の融資を今後ともわれわれとしては考えていきたいと思っておるわけでございまして、五十四年におきましてはさらにこういうものの強化を図ってまいりますと同時に、新作業体系整備モデル事業の成果を地域に定着普及させまして、それを新作業体系普及推進事業という形で実施を図ることを考えております。こういうものとあわせまして、いま御審議願っております新しい国産材振興資金制度を活用いたしまして素材生産業の今後の強化を図ってまいりたいと考えております。
  145. 神田厚

    ○神田委員 同様の状況の中で、次に、国産材の製材業の現状と振興対策、これも大事なことになってきておりますが、その点はいかがになっておりますか。
  146. 藍原義邦

    藍原政府委員 製材業も同様でございまして、国産材の専門工場は、四十二年以降一貫して減少しております。五十二年には四十二年の約六割という数字になっております。  このためにまず必要なことは、国産丸太の安定的確保を図ること、あるいは国産材製材品の特色を発揮できるような加工度の向上を図ること、また適正な生産規模への転換、資本設備の近代化等の構造改善推進すること、さらには継続的、安定的供給という要請が高まっておりますし、これに対応いたしまして供給販売体制の整備を図ること、こういうことが必要ではなかろうかと考えております。  このために、国産材の需要の安定拡大ということで、在来工法の住宅部材流通消費改善対策事業を実施いたしておりますし、住宅・木材技術センターを中心といたします需要開発事業を現在推進しておる次第でございます。さらには、製材業の体質強化あるいは経営体質の強化、さらには品質の向上、需要拡大を図ることを目的といたしました製材業の構造改善事業、これは中小企業近代化促進法でございますけれども、これに基づく構造改善実施しております。それから、国産材の小径木の有効利用を図るための間伐材の流通加工・需要開発促進事業を進めております。また、国有林は全部国産材でございます。こういうものを活用される方々の国産材、国有林材の安定的かつ円滑な供給ということから、それらの方々の今後の強化を図ることも考えておる次第でございます。
  147. 神田厚

    ○神田委員 国産材の生産が非常に落ちているような状況から、それに関連する産業が余りいい状況でないと思いますので、なお一層林野庁としてもそういう関係に対しましての育成あるいは振興対策を強力にしていただきたい、こういうふうに要望しておきます。  続いて、大臣にお伺いしますが、大変憂慮すべきことでありますけれども、百四十万立方メートルを超える松が松くい虫によってやられた、こういうふうに言われております。     〔今井委員長代理退席、委員長着席〕 松くい虫被害が範囲、規模とも増大しておりますけれども、これの防除対策をこの際もう一回強化すべきではないか。これまでに決められている状況で果たして十二分に対応ができるのかどうか、大臣の出身地であります栃木県の方にもすでにその松くい虫が侵入をしてきておりまして、甚大な被害をこうむっているわけでありますが、その辺を考えまして、この被害の防止について、補助金等のこれからの使い方という点も含めましてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  148. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 松くい虫の問題は私も非常に重要に考えております。したがいまして、抜本的な特別防除対策をやらなければいかぬ、そのためには法律で認められた、まず空中散布をやるとか伐採したものを焼却するとか、そのほかにいまいろいろと研究をしておるような、木に注射をするとか肥やしの中に薬を入れるとかいろいろなことが考えられておるようでございますが、至急にそういうような研究も並行的に進めて、松くい虫の撲滅を図るように事務当局に指示をしておるところでございます。
  149. 神田厚

    ○神田委員 この松くい虫の撲滅ということでございますが、これが発生しましてからもう数年たっていよいよ隆盛をきわめているようなわけでありまして、渡辺大臣にこの際、全体の防除計画の見直しを含めて特別防除の強力な実行等で、この松くい虫の撲滅という言葉どおりの実効をあらしめてほしいと願うのであります。このままですと日本の大体の松が本当にやられてしまうような非常に深刻な状況だと思うのですが、ひとつさらに御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  150. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私もあなたと同じ考えでありますから、いま二十年も前から撲滅と言ってますますふえるじゃないか、皮肉な現象であります。でありますが、これはもう少し研究をして、本気になって、それは政府だけでなくて、林家も市町村もそれから地域住民も一緒になって早期発見をして、非常に迅速に対応できるように今後も心がけてまいりたい、かように考えております。
  151. 神田厚

    ○神田委員 次に、時間も余りありませんが、法案関係について二、三重要な点を御質問申し上げたいと思います。  まず、この法案自体は、国産材の関連産業の振興、国内林業の振興、こういう面から、これらの法案の定める措置は当然の措置だというふうにわれわれは考えているわけでありますけれども、当分の間の暫定措置とした理由と、「当分の間」というのは一体どのくらいの期間を指すのか、こういう基本的なことをお尋ねしたいと思います。
  152. 角道謙一

    角道政府委員 お答えを申し上げます。  本法案を「当分の間」といたしましたのは、戦後の植栽林がまだ本格的な伐期に達しておりませんので、これらが伐期に達するまでの間、金融上の特例措置を講ずることによりまして、現在の停滞しております林業生産活動を活発にするということをねらいとしたものでございますので、暫定措置といたしまして、本格的伐期に達するまでのおおむね昭和七十年代ごろを予定しておるわけでございますが、なおこの間におきましても、市況等が安定的に好転をしていく、そうしてこの法案によります融資上の特例措置が不要になるというようなことがあれば、この「当分の間」というのはその時点において経過をするものである、そういうふうに考えておるわけでございます。
  153. 神田厚

    ○神田委員 さらに、林業経営改善計画、合理化計画は知事がその認定をする、こういうことを言われております。認定要件及び認定の仕方によっては、せっかくの特例措置が生かされなくなるおそれがある。こういうことから、この認定につきましても極力簡便にして、これらがうまく使われるようにしなければならない、こんなふうに考えます。と同時に、森林の所有が二県以上にわたる場合は、その所在する県ごとに計画を出すことになるのかどうか、この二点をお伺いしたいと思います。
  154. 角道謙一

    角道政府委員 この法案によりまして金融上の特例措置を講ずるという観点がございますので、こういう政策を達するためには、個々の林業経営者に対しましても経営改善計画というものを立てていただきまして、それに従ってわれわれの考えております政策意図は到達されるということをねらいとするためにこの経営改善計画という手続を定めたものでございますが、御趣旨のとおり、手続上非常に複雑である、あるいは煩瑣であるということでせっかくのこの法案が生かされないということになることは私どもとしては避けたいと思いますので、この現実の作成あるいは認定手続等につきましては極力簡素化を図りまして、個々の事業者に負担がかからないように配慮していきたいと思っております。また、そのために森林組合、市町村等、その他の組織を通じましても十分指導をいたしてまいりたい、かように考えております。  第二点の、森林の所有が二県以上にまたがる場合には、私どもといたしましては森林のたてまえから見まして団地ごとに経営改善計画を立てていくというように考えておりますので、団地が二県以上にまたがる場合には一つの経営改善計画につきまして関係県で協議をして関係県知事の認定をいただくというように考えております。
  155. 神田厚

    ○神田委員 次は、国産材産業振興資金制度、この資金の問題について二、三お尋ねしたいと思います。  まず第一は、この制度が国からの出資方式のほかに利子補給方式を行うことになっている、こういう方式をとったのはどうしてかという問題であります。  さらに第二点は、国産材産業振興資金と従来からの中小企業関係の融資制度との関係はどのようになるのか。  第三点は、都道府県によってすでに国産材産業振興資金制度と類似した制度を発足させて運用しているところがあるけれども、これらとの調整はどういうふうに考えるのか、林野庁としてはどういう指導をするのか。  四番目には、国産材産業振興資金が外材の流通確保、つまり外材の方に利用されたり間接的に外材の振興に資するようなことになるおそれがないかどうか。  この四点をまずお伺いしたいと思います。
  156. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  第一点の、国産材産業振興資金制度につきまして、国の出資のほか利子補給方式を定めることといたしましたのは、国の一般会計の財政事情が非常に厳しい現状にございますし、また今後の財政事情によりましては、国からの出資だけで本林業信用基金に対します資金供給は円滑にできるかどうかというような将来の問題としては不安もございますし、そのときの財政事情によりまして出資あるいは利子補給、この二つを併用する、あるいはどちらかをとるというようなことを可能にしていくことが今後の国産材産業振興資金制度を安定的に運営していくために必要であるということからこの二つの方式をとり得るということにしたものでございまして、本年度は国からの出資二十五億のほかに約六億余りの資金借り入れに対して利子補給を行うという方式をとることによりまして、約三十一億余りの原資を供給することにしているわけでございます。  第二点の、国産材産業振興資金制度と従来からの中小企業関係融資制度との関係でございますが、従来の中小企業関係融資におきましては、一般的な中小企業の振興という観点から必ずしも林業に限りませず、広く中小企業一般に低利融資の制度が開かれておりますが、今回の法案におきましては、特に国産材産業を育成、奨励していくという観点から新しい資金制度をとることになったわけでございまして、結果的においては重複する面もあるかもしれませんが、私どもとしては特に本法案によりまして国産材産業の育成、振興を図っていきたいというように考えておるわけでございます。  第三点の、都道府県で現在同様の制度をとっているものがあるではないか、この調整をどうするかというお尋ねでございますが、現在これと類似の制度をとっておりますのは十八道県、約二十八ぐらいの事例がございます。ただ、この内容は私どもの本法案に考えております国産材産業振興資金制度と必ずしも一致はしておりませんし、私どもとしましては本制度を円滑に運用していくわけでございますが、各県は、場合によりましてはその県で行っておりますものを廃止いたしましてこれに統合するものもあるかもしれませんし、その辺は今後の県の自主的な判断を見ながら調整をしてまいりたいというように考えております。  第四点は、国産材産業振興資金が外材の流通確保のために利用されることがないように十分指導監督しろということだと思います。私どもといたしましては、まず資金借り入れにおきましては、合理化計画において過去の国産材あるいは外材の使用状況等を正確に記載していただく、また今後の運用状況についてもそれらの事業運営の仕方を記載していただきまして、十分これをチェックしていく、また金融機関あるいは林業信用基金におきましても債務保証等の形で十分事業運営の中身をチェックできると思いますので、この点については外材業者のために利せられることがないように十分指導監督をしてまいりたい、かように考えております。
  157. 神田厚

    ○神田委員 さらに、二点お伺いします。  この国産材産業振興資金制度の貸付予定者としては、団体を予定しているのか個人を予定しているのか。また、制度上大企業を排除していないようでありますけれども、大企業にはどのような態度をおとりになるのか。やはりその対象は極力中小企業にしぼるべきではないかという考えを私どもは持っております。  さらに、この資金制度国有林野事業の改善にもある意味では積極的に活用をされなければならないのではないか、活用をすべきであるというふうな考え方を持っておりますけれども、その点はいかがでございますか。
  158. 角道謙一

    角道政府委員 国産材産業振興資金制度の貸付対象者といたしましては、国産材素材業者あるいは製材業者等、現状から見ますと非常に零細、また経営が必ずしも安定的でない事態がございますので、これらの業者の大型化あるいは経営の安定を図りますためにはできる限り共同あるいは組合というものを通じまして取引をするということが一番望ましいと思いますので、組合またはそういう共同で共同取引を行うものを対象として考えたいと考えております。  第二点の、大企業の取り扱いでございますけれども、本資金制度が県の資金あるいは金融機関におきまして四倍の協調融資ということを行います関係で、私どもといたしましては、たてまえ上は規模の大小というものについては特に制度上考えておりませんが、実行の面におきましては、貸付限度を設定する等、これら大企業の優遇策にならないように、特に中小企業を対象にしてこれが運用されるように、また、その辺の大規模業者に対して有利にならないように十分配慮してまいりたいと考えております。  第三点の、本制度国有林の材を買っております業者にも適用できないかというお話でございますが、当然国有林からの素材購入業者等にもこれらの資金供給を行うということによりまして、国有林材の購入業者についても十分な援助ができる、また業者の方もこの制度を十分積極的に御活用いただきたいというように考えております。
  159. 神田厚

    ○神田委員 次に、この法案によります金融の特例措置があるわけでありますけれども、この特例措置による行政効果、これはどの程度見込んでおられますか。
  160. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど来いろいろ御説明いたしましたけれども、こういう特例をやりますことによりまして、私どもといたしますと、従前からやっておりましたいろいろな推進と合わせまして、造林事業あるいは林道事業の活発化、さらには造林意欲の高まりに伴います伐採促進効果、それから林道網の整備に伴います保育、間伐等の森林施業の管理の適正化、こういうものが助長されてくるであろうというふうに考えております。
  161. 神田厚

    ○神田委員 時間が来ましたので、最後に大臣にお尋ねをいたします。  こういう民有林の経営動向というものが当然国有林にも敏感に反映をして、国有林の管理が民有林ほど総合化はしていないようでありますけれども、非常にしわ寄せが、国有林野の特別会計の赤字ということで年々一般会計からの持ち出しを多くしているわけであります。こういう中で、やはり国有林野事業の改善を全体的に進めていかなければならないと思うのであります。そういう中で、一つはやはり労使関係の円滑化が当然考えられ、必要であるというふうに思うわけでありますが、この国有林野事業の改善を進めるに当たって、大臣としては労使関係の問題をどのように考えておられるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  162. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 国有林は、先ほども言ったように、必然的に経費がかかる部分も出てくるのです。それはそれとしてある程度やむを得ないと私は思う。しかしながら、作業の仕方とかいろいろな計画の立て方とか、そういうようなものについては、もっともっと効率的な、合理的な、近代的なやり方があるのではないか、創意工夫をもっとすべきであって、親方日の丸的なことは困りますよ、しかし労使紛争ばかりやっておってもこれもまた困ることでありますから、お互いに現在日本の置かれている立場、財政上の状況、また一般社会の批判、こういうようなものにも謙虚に耳を傾けて、改善すべきものは労使一体となって改善をしてもらいたいということを言っておるわけでございます。私は、最近はずいぶん空気が変わってきていい方向に向かっておるもの、かように考えております。
  163. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  164. 佐藤隆

    佐藤委員長 津川武一君。
  165. 津川武一

    ○津川委員 提案されております林業等振興資金融通暫定措置法案、これをつくらなければならなかった背景に対して若干お尋ねしてみます。  その一つに、外材の輸入、木材自給率の低下している状態がございます。この外材の輸入による国産材の受けている打撃、これは何とか考えなければならないと思います。この間出されました林業白書は「国産材の自給率は前年より更に一・三ポイント低下して三三・六%と過去最低となった。」としております。日本の木材輸入量は世界木材貿易量の五割、日本の輸入品目の中で二位、一兆二千億円にも達しております。林業白書は世界の木材資源の需給見通しについて、わが国がこれまでのように豊富かつ低廉な外材の供給に依存し得るかどうか楽観を許さない状況にあると指摘しております。すでに丸太の輸出規制が各国で相次いで行われており、製材品での輸出圧力が今後ますます強まり、製材品輸入の増大が心配されております。製材品の輸入の増大は、林業家だけでなく製材業者を初め関連業界に重大な打撃を与えることになります。製材品の輸入増大の問題に対してどのように考えられているのか。そもそも輸出国の丸太輸出規制などの動きは、日本の大商社を中心にした無秩序なもうけ本位の輸入が行われてきた結果であり、秩序ある輸入体制の確立は、今日ますます重要な課題となっております。この間、ある事情からソ連の経済界の幹部会の方と会いまして、丸太での輸入、日本に輸出されないかと言ったら、いままで扱ってきた日本の業者が、それを丸太でなくやってきたのだから急に変えるわけにいかないというような話になっておるわけであります。昨年から四半期ごとの需給見通しを立てて進めてきておりますが、需給計画について国産材の供給体制を確立する、外材については不足分だけ輸入する、こういうことを制度的に確立すべきであると思いますが、この輸入の体制と、丸太でなく加工品で輸入されていることに対して、政府もやっぱり態度を明らかにしていくべきだと思いますが、この二点、まず答えていただきます。
  166. 藍原義邦

    藍原政府委員 外材の輸入の比率でございますけれども、確かに白書に書きましたように、最近では一番落ち込んだわけでございます。と申しますのは、やはり先ほど来論議になっております国産材に対するいろいろな問題あるいは林業経営者自身の林業意欲の停滞、もろもろの因子がございまして国産材の伐採量が減ってきております。それに加えて外国からの日本に対します木材の輸出圧力と申しますか、非常に強いものがございます。先般行われましたMTNにおきましても、アメリカ、カナダ、ニュージーランド等々を中心にいたしまして日本に相当の、木材の輸入に関します関税の問題だとかあるいは規格の問題に対していろいろな強い要請があったわけでございます。特に日本が世界の木材輸入国でございますので、そういう状況になっておりまして、あわせて御存じのとおり木材についてはほとんどが自由化されておりまして、関税はほとんどかからないという状況でございます。  そういう観点がございますので、どうしても木材の輸入の圧力が強いということ、それともう一点は、外材の方が国産材よりも安いということ、その辺が家を建てる方々あるいは家を建てる商売をしておられる方が安い材の方がよろしいということでどうしても外材をよけい使われるという問題もございます。この辺について、われわれとしても国産材のよさを先ほど来言われておりますけれども、いろいろ考えていかなければいけないと思いますが、そういう形で外材の比重が高くなってきております。しかしながら、私どもといたしましては、ただいま基本計画の見直し等々需給の見直しもやっておりますけれども、やはりこれだけ造林地を、現在九百万ヘクタール余をつくりまして、将来これが伐期に達しました場合には徐々に国産材も出てまいるわけでございますから、将来に向かいましては自給率が高まるような形でこれからの需給見通しというものは立てていかなければいけないというふうな基本的な考えで現在作業をしておる段階でございます。  それから、製品輸入の問題でございますけれども、製品輸入の問題は、確かに現在昭和五十二年におきます製材総輸入量は約三百六十万でございまして、これは国全体の製材の生産量の約九%でございます。したがいまして、丸太に比べますと輸入量はきわめて少ないと言えるかと思います。しかしながら、アメリカあるいはカナダ、さらには東南アジア等におきましても、カナダはもともと製材の輸出だけでございますけれども、最近、自国におきます生産付加価値の向上あるいは自国の産業の保護というような意味から、丸太ではなくて製材を輸出するという傾向が強くなってきております。しかしながら、やはり日本には二万余の製材工場がございますから、それらの製材工場のことを考えた場合にはできるだけ丸太で輸入してほしいという要望を私どもも必要な場では言っておりますけれども、世界の趨勢としては製材に切りかわる可能性は私は高いというふうに想定しております。そのためにも日本の製材工場あるいは木材生産業が生産付加価値を高め、あるいは生産コストを下げて能率を上げ合理化をいたしまして、世界の競争に勝てるような形をとらなければいけない、そういうふうに考えておりまして、今回この法案でいろいろお願いしておるのも、そういう趣旨も入っておるわけでございます。したがいまして、製品輸入の傾向というのは今後世界の趨勢としてはあり得る。しかし、日本としてはやはり日本の独特の木材の使い方等々ございますので、できるだけ丸太で輸入していただくような方向を考えながら、あわせて日本の製材工場をさらに強化し、合理化を図りながら、今後国産材が国内に出回る時期まで、合理化その他によりまして製材工場等が強化されることをわれわれとしては期待しておるわけでございます。
  167. 津川武一

    ○津川委員 そこで、ソ連の経済界の幹部会の人たちも、日本の事情がそういうことであるならば、いままではそうだけれども、考えてみなければならないだろうとも言ってくれているのです。そこいらは具体的にはやはり業界も指導して、また、ときに林野庁が直接乗り出すことも必要かと思いますが、その点を要請して次に進んでいきます。  第二の問題は、この法案の対象になるのは杉だとかヒノキだとかヒバだとかカラマツだとかいう針葉樹だけですか、それともキリだとか竹だとか漆などという濶葉樹も対象になるのでしょうか、この点まず答えていただきます。
  168. 藍原義邦

    藍原政府委員 いまの日本の山村におきまして針葉樹ばかりでなくて、いま先生が御指摘になりましたようなキリだとか竹だとかいろいろございます、そういう広葉樹も重要な産物でございますから、当然対象にいたします。
  169. 津川武一

    ○津川委員 そこで、木材の自給率を高めていく、外材が多くて困るというものの一つの典型に漆がございます。輸入が九九%、こういう状態でございます。そこで、政府も国内に需要があるのだからそういう林産物はできるだけ国産材で供給する、こういう課題を追求して、今度、ことし、五十四年の三月に、特用林産振興基本方針なるものを出しております。これは私はよかったと思って、これなりに評価しております。そこで、「特用林産の振興の目標」というところに「伝統的工芸品の原材料として必要な竹、桐、うるし等の特用林産物については、その持続的な生産の確保に努める。」  ここで漆を取り上げてみます。輪島塗、会津若松、それから津軽塗、いろいろな形で伝統工芸品として出ております。この原材料である漆の持続的な生産の確保に努めるというのはどういう意味なのか。いまあるだけ努めていくのか。私は輸入が九九%の現状で、現状を維持していくだけでなく生産を拡大すべきだと思うのです。というのは、輸入漆はキロ五千円から八千円、日本の国内産が二万五千円からしているのです。そして、国内産のものは良質なんです。日本のものを使うのと外国の輸入品を使うものじゃ使用期間、もっている期間が二十年も違う。しかも、九九%の輸入。とすれば、国内でつくる漆を持続的な生産の確保に努めるでは、要請にこたえ得ない、拡大すべきだと思うのですが、この点の政府の見解を伺わしていただきます。
  170. 藍原義邦

    藍原政府委員 御指摘になりましたように、いまの三月につくりました特用林産振興基本方針におきましては「うるし等の特用林産物については、その持続的な生産の確保に努める。」こう書いてございます。これは「確保」という言葉でございますけれども、現在そういう漆等を使いましていろいろな伝統的な工芸を含めたいろいろなことをやっておられます。そういう方々のそういう技術というものは十分確保していかなければいけませんし、それに必要な漆については当然確保すると同時に、また、その裏では国内でもこの生産を今後図っていこうということを含んでおるわけでございます。
  171. 津川武一

    ○津川委員 確認しますが、現状を維持していくだけではなくて広めていくわけですね。いかがです。
  172. 藍原義邦

    藍原政府委員 日本の漆そのものは非常に少のうございますから、こういうものはふやしていこう、こういうことでございます。
  173. 津川武一

    ○津川委員 もう一つ必要なものとして、輸入が五〇%以上の作目として漆だとかキリ材だとかシュロの皮、松やに、こういうものを挙げているわけでありますので、漆に対して自給率を上げる、こういう年度計画なんかひとつ立ててみたらいかがかと思うのですが、そうでないとなかなか進まないと思うのです。この点はいかがです。
  174. 藍原義邦

    藍原政府委員 こういういま御指摘になりました特用林産物につきましては、まず全国的な計画を立てる前にそれぞれの地域の特性がございます。したがいまして、今度つくりましたそういう方針に基づきまして、それぞれの県におきましてもこれに基づいたいろいろなことを考えていただきまして、そういうことを積み上げながら、われわれとしても全国的なものに対応していきたいと考えております。
  175. 津川武一

    ○津川委員 そこで、地域の特性ですが、いま国内産の生漆が一番多いのは、岩手県の浄法寺、茨城県の久慈郡、ここは伝統工芸品が余りないところだ。したがって、石川県の輪島だとか福島県の会津若松だとか、それから津軽地方だとか、そういうところを拡大する重点地域として政府としても考えて、そこのところに集中的にやるべきだと思うのですが、ここいらはいかがでございますか。
  176. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど申し上げましたように、それぞれの県におきまして年度別に計画をつくっております。たとえば、青森県あるいは福島県、それから新潟県、石川県、岐阜県等々で計画をつくっておりまして、私どももそういう計画をそれぞれその他の県におきましてもつくっていただきまして、漆の振興を図っていくようなことを考えていきたいと思っております。
  177. 津川武一

    ○津川委員 それぞれの地域で計画を立てている、結構です。  そこで、津軽弘前で百町歩ばかり見てみました。いいですよ。ところが、傾斜地、水がたまっている谷地はろくすっぽ育っていないのです。そこで、重点でやるとすれば、いいところ、国有林野で活用ができるところ、これが一つ、この活用はやはり漆の中でやるべきだと思うのです。それから、この資金の援助をかなりいいところにやって、それで施肥も十分にしていく、こういう形でやらなければ、いま植えても余りよくないのです。そこで、政府のやり方は一体何なのかという問題が出ているのです。二つ目には、そういう点でこの資金で民有林の中のいいところに育てていく。というのは値段がうんと違う。やれば採算がとれるところなんです。  もう一つは、国有林野で林野庁が、こういうふうにやるべきだというのでモデルをつくっていく。九九%という輸入を五〇というところまで落としていくとしても、かなりの努力も必要だし、私はそんな体制が必要だと思うのですが、この点はいかがでございますか。
  178. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど申し上げましたように、特用林産物につきましては、従来必ずしもいろいろな意味での助成なりあるいは意欲なりが十分でなかったとわれわれ考えております。したがいまして、今回林野庁におきましてああいう基本を立てまして、これから県を十分指導していきたいというふうに考えておりますが、先ほど御指摘になりました青森の例あたりも、その辺の技術的な指導その他が十分でなかったのではなかろうかという気がいたします。今後、県を通じましてそういう特産物についての技術的な指導というものはわれわれとしても十分推進してまいりたいというふうに考えております。  それから、国有林でこれを自分でやったらどうだという御指摘でございますが、私ども国有林が直営でこれをやろうということは、いまの段階では考えておりません。ただ、それぞれの地方におきまして国有林を活用して漆を植えたいという御要望があれば、部分林制度等におきまして、われわれとしても十分その適地について対応して考えてまいりたいというふうに考えております。
  179. 津川武一

    ○津川委員 もう一つ漆をつくっていく上での障害は、漆を切って出しますね。手がかぶれる、顔がかぶれるのです。漆かぶれが出る。それで皆さんおやりにならないわけだ。この障害があるのです。ところが、実際に漆器をやっているところでは、会津でも輪島でも私たちの津軽でもそういう職人がなれていてもう大丈夫なんです。そういう熟練の伝統工芸がないところでやってみても漆かぶれでついてきてくれない。したがって、地域を選定する初めのときにはそういう教育もする、援助もする、こういうことが必要なんですが、この点のお考えはありましょうかしら。
  180. 藍原義邦

    藍原政府委員 漆の山をつくられる造林事業については、現在でも補助対象にいたしております。ただ、いま先生指摘になりましたような点につきましては、そういう地域中心にしてわれわれも考えていきたいと思いますので、そういう地域中心にしてだんだん後継者をつくっていけば、先生指摘になりましたようなかぶれない専門家が出てくるのだろうというふうに考えております。
  181. 津川武一

    ○津川委員 それで広葉樹、漆に対するものは終わって、次にまた法案の具体的な内容に入っていきますが、造林する人に対して据え置き期間を二十年から二十五年に延長、償還期間は三十五年から四十五年に延長、これはやはりよかったと思うのです。私も、かつては途中で前渡金を払えというので要求したことがございますが、そういうことにもまたこたえてくれたと思う。森林組合や造林している人たちに聞いてみましたら、政府の前進の姿はよくわかりました、だが、二十五年据え置いて、戦争直後であったならば間伐して売れて、お金をとって払えた。いま間伐しても売れないので何で払うのだろうか。二十五年の据え置き期間が来て、切っていって、それにお金をつけていかなければならないのじゃないのかと言うのです。ヒノキとヒバを植えて、三十五年から四十五年に延ばしたことはよくわかりますけれども、四十五年で売れるだろうか、問題はここなんです。したがって、せっかくつくってくれても使うに事欠くのじゃないか、こういう心配が実はあるのです。しかし、私は延ばしたことはいいと思っている。それで、私にもジレンマがあるのです。ここいらに対する実際の造林に対する援助、この指摘した二つのことに対するお考え方、これはこれでいいと思う。だけれども、何かこれでは不足だ、さあ使う人が出てくるかなという心配に実際上ぶつかりました。この点の御見解はいかがですか。
  182. 角道謙一

    角道政府委員 造林費につきましては農林漁業金融公庫でも林業関係の融資の大宗を占めておりまして、相当の希望はあるわけでございますが、いままでの据え置きの期間あるいは償還期間が、それぞれ伐期等から見ましても若干足りない部分がございましたので、その点におきまして融資面では造林関係一つの障害があったというふうに考えております。そこで、現在の政府の政策融資の面では、大体従来の農林漁業金融公庫の三十五年というのが一つの限界のようになっていたわけでございますが、それを私どもも特例を認めていただく。特に林業は伐期が長いというところから、今回ようやく十年延ばして四十五年ということにしまして、また据え置きにつきましても従来の二十年を、間伐の時期も長くなってきておりますので、その間伐収入が見込める二十五年にしたわけでございます。これらの償還期間の延長、据え置き期間の延長によりまして、金融の面では造林関係者に対して相当造林意欲を与えるものと期待をしているわけでございます。
  183. 津川武一

    ○津川委員 この間、当農林水産委員会の現地視察で、私たち青森県の大畑営林署へ行ってみました。あそこではヒバを育てるのに混牧林なんか使って二十年か三十年短縮しているのです。ああいう指導措置があわせて行われませんと、ちょっとというわけなんです。この点の指導、保育、ときによると肥料、そういうところまで必要だし、植えてから今度は下刈りをやって保育をやるのに四年ぐらいではだめで八年ぐらい、それから枝打ちにしてもかなり経費がかかっていく。収入がふえないうちにいく。この二つの点の指導がほしいという。この延長はそこまで、終わるまでこのお金は貸してくれるのか、この疑問が出ましたのが一つと、その資金だけでなくて、そういうふうに早く育つような営林指導というのですか、言葉は何というのですか、指導上の問題が実際上に提起されたわけなんですが、ここいらはどうでございますか。
  184. 藍原義邦

    藍原政府委員 これからの林業経営を近代化し、改善していくためには、新しいいろいろな技術を導入し、また、その技術を現地の森林所有者なり森林経営者に徹底しなければいけないというふうに考えております。したがいまして、いまおっしゃいましたような問題、こういうような新しい制度によるにはどうしたらいいかというようないろいろな技術、これはわれわれとしても十分県を通じ、また県におります普及員、指導員を通じて指導を徹底することによりまして、実際の山を所有しておられる方、あるいは林業を経営しておられる方がそういう技術を習得しながら近代的な改善をされた林業経営をされるような指導をしてまいりたいと考えております。
  185. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、この資金で造林する人たちには実際上のそういう営林上の指導援助はつきものだと考えて必ずやる、必要条件としてついているというふうに考えていいのですか。
  186. 藍原義邦

    藍原政府委員 それはこれに必要条件としてついているということではございませんで、当然、県その他関係森林組合等々にそういう専門家がおりますから、そういう方々に私どもとしても十分指導をいたしまして、現地のそれぞれにおいてそれなりの技術指導をしていただくような行政指導をしてまいりたいということでございます。
  187. 津川武一

    ○津川委員 私は一度この委員会で、ヒバやヒノキをつくると八十年から百二十年かかる、植えた人は自分の世代の中にその富を享受することなくあの世へ去っていく、したがって、やがて成木して売り払うときのものを担保にして途中で前渡金を渡したらどうかという質問をしたのです。そういうことを森林組合の人が私に話してくれたのです。今度その人のところに行ったら、あれはよく質問してくれた、だが先生、もっと別なのがあったんだ、こういう話なんです。それは特定分収契約設定促進特別事業、これで公的にやると途中でお金が出るのですね。公的なものにはお金が出ているんだ。民有林のものにも、出ていくものを担保にして途中で前渡金でもいいし、融資でもいいし——そういう仕組みが公のものにはあって民にはなかった、これは少しおかしいんじゃないか、もう一度聞いてみてくださいというわけなんです。この公、民の差別をなくして民にも何らかの形で、いますぐにこうするということは言えないかもわかりませんけれども、そこらの考え方が必要だと思うし、まあ私も何と質問していいのか微妙なものでわかりませんが、私の気持ちわかってくれたと思うのですが、ここいらはどうなんでございますか。
  188. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 若干法律的、技術的な問題もございますので、私からお答えいたします。  先生指摘になりましたような特定分収制度でございますが、これはわが国のように非常に資源構成が若齢林分に偏っている、要は育ちつつある木を持って、しかも、その保育のための投資が非常にかかる、こういう状態のときは非常に有効な行政手法なわけでございます。林野庁といたしましては、そういう意味でこれをさらに拡大することができないかということで実験実施を試みているわけでございます。そして、そのために若干の普及費、それから計画費等について助成をやっているわけでございますが、ただ、これは何分二十年、三十年先の問題にもなるわけでございまして、その投資をなさる民間の方々にとってみれば、かなりのリスクも伴うわけでございます。そのような意味で、現在、公有林を中心にこの分収制度の実験をやっているわけでございます。実はこれは法律的に申しますと民間でもやれるわけでございまして、現にそういう例もあるわけでございますが、このまま一般的に放置していいものかどうかという問題もございます。したがいまして、私ども、現在までの実験結果に基づきまして、さらにこれを広く制度化するというようなことを考えるべきかどうか、早急に結論を出したいというふうに考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、この特定分収という制度は、現在のようなわが国の林業の状態から見まして非常に注目に値する制度であることは間違いございません。これが現在の私ども考え方でございます。
  189. 津川武一

    ○津川委員 本当に植えたいという人がそれを宝として自分の幸せに使うとなれば、またかなりふえるということで、この官的な一つの実験を民有林についてもおやりになってみたらと思いますが、大臣いかがでございますか、そのお気持ちはありませんか。
  190. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 民間でもこれはいまやっているのです、県あたりが指導しているのかどうか知りませんがね。ただ、二十年ぐらいたったもので分収するというから、あと十年間置くとか、買う方はかなり金を出すのでしょう。現に契約自由ですからそういうような方法もあります。それを制度化するかどうかということは、いまこの制度ができたばかりですぐに結論を出すのはまだ早いと私は思います。また、あと十年たてば切れるし、値段もいい、いますぐ切りたくないし、金が欲しいという場合は、それは立木が担保でお金を借りる方法もありますから、十年間ぐらいのお金を借りる方法もあるわけです。だから、木が大きくなっていれば、あと十年間を待たずしても、差し迫って臨時の金が絶対入らないということじゃないので、そこらの融資や何かのことを工夫すれば、伐期に達しないのに切るというようなことのないようにできるし、また、そこにむずかしい問題があれば、そういう点は伐期に達する前にお金が欲しいために切ってしまうことのないような仕組みは、それは考えてもいいと思います。
  191. 津川武一

    ○津川委員 いま大臣が答えたところは、これからの造林が進むか進まないかのかなりかなめになるのです。したがって、そういう制度をあれやこれや考えていただいて、公的なものも民的なものも、あらゆる力、施策を動員して進めていただきたいと思うのです。  そこで、この制度ができて造林する場合、もう一つ実際の林業者の悩みは、第一線で働く林業労働者後継者がないことなんです。もう実際山で造林に働いている人たちの平均年齢は、林野庁でも四十六、七になっていますが、この人たちも四十を超してしまっている。そこで、次の後継者がなければ日本の森林の営林が続いていかない、こういうことになっております。この間も地元の森林組合と話してみましたが、もう十年もすると林業労働者はいなくなってしまうのじゃないかというふうに森林所有者が心配しております。県でも、森林所有者の後継ぎを中心に何か学習の学校をやっています。ところが、それは労務者を使う方のもので、実際の一線で造林に働く農民の教育、後継者確保が困っているのです。ある林業者は自分で雇ったそういう農民に、まず自動車の免許を取らした。ブルの免許を取らした。集材機の免許を取らした。大型トラックの免許を取らして、今度はいてくれるだろうと思ったら、取ってしまったらみんないなくなっちゃった。この悩みが非常に多いのです。したがって、一つには森林所有者で後継ぎしてやっていく人の教育、と同時に、一線で働く人たちの教育、待遇の改善確保ということが、林業を進めていく上に緊急に必要になってきたわけです。資金を円滑に運ばせるとすればこれが必要になってまいりましたが、この点はいかがでございますか。
  192. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 日本は自由主義社会でございますから、職業が自由で移転も自由ですから、待遇が悪ければいなくなってしまう、これは仕方がないですね。ですから、そういうふうにしないように、林業労働者に対して労災保険も掛けてやる、それから退職金制度もこしらえるというようなことで、できるだけ労働者の待遇改善をしなければ、幾らおりなさい、おりなさいと言っても、それは逃げられてしまいますよ。だから、逃げられないように待遇改善を図っていくということが一番簡単で明瞭な話ではないか。したがって、政府としては、森林組合その他で働く人なんかについても、できるだけ他産業との均衡のある待遇にするように助成もし、奨励もしておるところであります。
  193. 津川武一

    ○津川委員 待遇改善、これは絶対必要だ。もう一つは技術の習得、そこからまた山に対する情愛が出てきます。そこで、県では学校みたいなのが所有者にはあるけれども、一線で働く人にない、何とかならないかという話ですが、前段に続いて、この後段の点を大臣に答えていただきます。
  194. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま大臣お答えになりましたとおりでございますが、技術の問題としては、林業技術実習指導施設というものをただいま全国に十九カ所つくっておりますし、建設中のものが十カ所ございます。そういうものを通じまして、技術の習得というものをそれぞれの県でやっておりまして、現在、一年間の大体の状況を見ますと、こういうところで二万七千二百人の方々がトラクター、集材機の実習技術訓練を受けたという実績も出ております。それから、チェーンソーの使用方法につきましても二万二千六百人の方が受けたというような実績も出ておりまして、私ども、こういう面についても今後とも充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  195. 津川武一

    ○津川委員 それも私聞きましたけれども、入っているのはやはり森林所有者が中心だそうです。  そこで、繰り返しますけれども、雇われて一線で働く人たちを学校に、講習に入れさせていく道を開いてくれというのが、実際にその人たちを使う人たちからの要求であったので、この点も十分含んで指導していただくようお願いしておきます。  その次は、仮称になっている国産材供給近代化資金でございますが、国産材を何割扱えばこの資金の対象にしてくれるかという製材業者の話です。いま実際の製材業では外材が七割ぐらい、国産材が三割、漏れ承るところによると、五割ぐらい国産材を扱わないとこのお金の融資の対象にならないというふうに聞いておりますが、ここらはどのぐらいのめどなのでございましょうか。できるだけ国産材を扱っている人たちにこの資金を使わせていただきたいと思う配慮から、この質問になったわけであります。
  196. 角道謙一

    角道政府委員 国産材振興資金制度のねらいは、国産材の素材生産者あるいは製材業者の振興でございます。私どもといたしましては、国産材を専門にやっておるところは無論でございますけれども、やむを得ず外材を扱っている業者等につきましてもこれを対象にするという観点で、原則といたしましては大体五割を考えておるわけでございます。
  197. 津川武一

    ○津川委員 黒石というところと南津軽郡の製材業協会の皆さんに集まってもらったのです。それで、国産材の専業製材所があるかと聞いたら、ないのですね。皆さん全部、外材を扱っているわけです。この法案で言うと、国産材の振興ということで提案されているわけですが、現在の外材体制のもとで、国産材専門の工場がぐんぐん減少している、外材併用工場が圧倒的に多くなっているわけです。そこで、三割ぐらいに落としていただかないと無理じゃないか。五割では、さああなたたちこのお金を使えるかと言ったら、だれもないのです。製材業者の協会に入っている皆さんの中で、五割でいける人はあるかと言うと、ないと言う。どうしても下げていただきたい、実情を見てほしいということなんですが、この点重ねてひとつ。
  198. 角道謙一

    角道政府委員 先生の御指摘もよくわかるわけでございますが、本来のこの制度のたてまえが国産材生産振興ということになっておりますので、私どもといたしましては、原則としてはやはり五割という線は貫きたいわけでございます。ただ、地域の事情で、どうしても国産材が購入できないとか手に入らないという場合、ただ、その場合でも、国産材を相当程度量としてまとまってやっているというようなものがあるとすれば、この辺については例外的に特認というかっこうで処理することも検討してみたいと考えております。
  199. 津川武一

    ○津川委員 特認で検討してくれるという、恐らくそんなことになるのじゃないかと製材業者も言っていましたが、そこで、国産材の原木が手に入るかという問題なんです。営林署の払い下げ、これを公入札でやると、あそこは東北木材などの大手にいってしまう。この資金を借りるために国産材の扱い高を多目にやってみよう、努力してみるというのです。そして、その比率を特認でもいいから三割から四割、五割に上げてみたい、本気でそう言っているのです。そこで、どうしても国有林野の木材の払い下げに、皆さん制度の中にも随意契約がありますが、公入札もときに必要だろうけれども、そういう場合、具体的に随意契約の相談に応じてくれるのかという話なんです。ここのところが今度行ってみましたら話になったわけであります。この点はいかがでございます。
  200. 藍原義邦

    藍原政府委員 いまそういう御指摘がございまして、確かに地域においてはそういうところもあろうかと思います。ただ、今回のこの考え方といたしましては、共同的に仕事をしていただくということも精神に入っておりまして、国有林の売り方については、従前からいろいろの御指摘を受けたり、おしかりを受けたりし、随契が多過ぎるとかいろいろな御指摘も受けておるわけでございます。したがいまして、われわれとしても国有林の売り払いについては、適正な売り払いができるようにいま月々改善をいたしておりますけれども、こういう国の一つの方針があるとすれば、それにもある意味では協力しなければいけない。そういう場合には、協同組合等による共同購入、こういうものの推進を図っていただきまして、そういう中でこの資金制度の活用を十分図っていただくように私どもも御指導申し上げたいというふうに考えております。
  201. 津川武一

    ○津川委員 随意契約にいろいろな批判も出ているでしょうけれども皆さん立場から言っても、地元の産業を育てる、国有林野を育てるために貢献した人たちに随意契約をするということになっておりまして、これはぜひ実現してほしいし、今度この法律ができれば、法律を有効に運用するとすれば、随意契約のことはかなり必要なんです。したがって、この法律を運用していく上で、計画を立てるときに、随意契約のことなんか具体的に相談されますが、その節は懇切丁寧に応じていただかなければならなくなりましたが、いかがでございます。
  202. 藍原義邦

    藍原政府委員 当然国有林も国の施策に従っていろいろ対応はするわけでございますけれども、個人個人の問題ということではなくて、先ほど申し上げましたように、やはり共同的に運営していただくというのがこの精神のねらいでございますから、地元でいろいろそういうお話がございましたら、われわれもこの法の精神を十分お話ししながら、そういう形で国有林の適正な販売ができるような形の中に地元の振興を図るという意味から、われわれとしても御指導を申し上げたいというふうに考えております。
  203. 津川武一

    ○津川委員 そこでまた長官から、はしなくも、皆さんが心配している共同化という言葉が出たのです。この法律でも、都道府県知事による合理化計画の認定、つまり合理化計画を立て、それで知事が認定して、そして資金を出す。そこで、素材生産業、木材製造業の合理化計画についてかなり心配を持っているのです。合併を言われるのではないか、共同化を条件とするのではないかと心配していることが、いま林野庁長官答弁の中からはしなくも出てきたわけです。この点で、この間秋田県の林務部の製材業構造改善アンケート調査をやりましたが、業界の将来の見通しなどについて、過当競争が激化し、淘汰される企業が多くなるという心配を持っている人がそのアンケートの中で八五%、そしてまた自分たちの営業改善、これは構造改善と彼らは言っていましたが、近代化促進、合同、合併という合理化計画、この方式はかなりの部分が、三〇%近いものがどういうものかという疑念を出しているわけなんです。無理な合併、共同化はかえって状態を悪くする場面がありますが、この点、無理するつもりはないでしょうね。十分に話し合い、納得、ここいらが合理化の計画でなければならぬ。この点非常に心配していました。この点、計画を立てさせる、このお気持ちはどこにありましょうか。
  204. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま御指摘になりましたけれども、この法案にも書いてございますけれども、精神としては、最近の国産材が外材になかなか拮抗できるような形になっていない。そのためにはやはりある意味での大型化なり計画化、こういうものが必要であろう、そういうことをねらいにいたしましてこの制度を考えておるわけでございまして、いま日本の製材業界の方々の一番の問題なのは、やはり零細小規模というところに問題があるわけでございます。したがって、そういう方々ができるだけ、別に強制的な共同ではございませんけれども、あるいは合併ではございませんが、ある意味でやはりその地域地域方々が協同組合あるいは共同して購入されるというシステムをつくっていただいて、そして、やはりみんなで協力しながらある意味では外材に対抗してこれから伸びていこうという姿勢を示していただく必要があるわけです。そういう意味で、私どもやはりこの制度については、設備資金については別でございますけれども、運転資金の方については、共同されて購入されるようなものについて対応を考えたいというふうに思っておるわけでございまして、ひとつ地方におかれましても、私どもそういう指導を今後、国有林においても当然でございますが、県の指導機関を通じましてもそういう指導をしながら、国産材を扱う方々が外材に対抗できるような、これから強い体質になっていただくための施策として考えていきたいというように思っております。
  205. 津川武一

    ○津川委員 無理して押しつけにならないように要請して、質問を進めていきます。  その次の問題は、大工さんなんです。製材業者が一様に言うのは、いまの大工さんが国産材を使ってくれない。外材が安いものだから、使いやすいものだから、外材に走ってしまう。請負をやると、決まって全部外材だそうです。今度は、一日の日当で雇うと国産材を使ってくれるそうです。どうして国産材を使わないのかと言ったら、高いこともさることながら、節がある、使いづらい、こういう点なんです。そこで、どうしても国産材をふやすについてここに難点もある。そこで、国でつくる公営住宅、これに国産材を使うように一生懸命行政指導を要求してくれませんか、もっといいことは、国でつくるものには国産材何割使うという規則にしてくれないか、こういうことなのでございます。この点、日本の住宅建設における、体育館などにおける国産材の使用を勧める、奨励する施策がかなりいま必要になってきていると思うのですが、いかがでございますか。
  206. 藍原義邦

    藍原政府委員 住宅そのものの問題になりますと、これは所管が建設省になりますので、私どもとしてそういう行政指導をするわけにはなかなかまいりませんけれども、われわれとすれば、やはりまず第一としては木造の住宅をつくっていただくようなことを考えなければいけませんし、さらには国産材の振興ということで、できるだけ国産材を使った住宅を建てていただきたいということで、在来工法の部材を改良するなり、あるいは住宅・木材技術センターにおきまして建設省と共同いたしましていろいろな技術開発をいたしております。そういう面から、林野庁としては国産材を使った在来工法の木造住宅が建設当局の方で御指導いただけるような技術開発をしながら推進をしていくことがわれわれの責務だというふうに考えておりまして、そういう研究開発を進めながら国産材がよけい使われるような努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  207. 津川武一

    ○津川委員 そこで、製材業者、やはり視野が高いと思いました。私、感心しました。将来外材と国産材の関係を処理するときに、使いやすいものをやるためには、いまのうちに徹底的な枝打ちをやれというのです。過去に枝打ちを怠ったとは言わないけれども、それがいま外材との対抗で不利な条件にあるので、林野庁の森林を育てる基本方針の一つとして枝打ちを確立せいという、こういう考え方なんですが、これはどうです。
  208. 藍原義邦

    藍原政府委員 造林技術といたしまして、枝打ちというのは当然一つの技術に入るわけでございますが、日本じゅうの木全部が枝打ちをすべきかどうか、これは非常に問題がございます。したがいまして、適地適木と申しますか、あるいはその地域地域の商品の需要度、こういうものを勘案しながら、その必要なところについては当然今後枝打ちを十分しなければいけないというふうに考えておりますし、そういう面での指導も今後おさおさ怠りなくやってまいりたいと思っております。
  209. 津川武一

    ○津川委員 この点で、外材が安いからというもう一つの問題が出てきたわけですが、農林水産大臣は、国内産木材の生産、流通の合理化に関する基本方針を定めることとしておりますが、基本方針の考え方について少し触れてみたいと思います。特に流通の合理化昭和四十五年と五十三年と比べてみました。立木、四十五年を一〇〇とすれば五十三年には一四三でございます。丸太、四十五年を一〇〇とすれば五十三年は一五九になっています。そこで、原材の価格上昇よりも、製材した場合、加工した場合の上がり方が強い。そこで、国産材を使う人にとってみれば高いものになる。この点はやはり流通と価格形成の中で監督も指導もしていかなければならぬ、これが木材業者の意見でありました。二つ目には、外国産材輸入で、円高のメリットはどこに行っているのか。円高のメリットの半分ぐらいしか大工さんや消費者たちに返ってないのじゃないか。この円高のメリットを、できるだけ価格を上げない面、下げる分に全部を注ぐべきだというわけであります。三つ目に出たのは、ソ連材の輸入が輸入業者にやられているために値上がりする。漁業では、北海道の漁業協同組合、道連が直接やっている。そこで、木材製材業者の協会が直接向こうから入れたならば、この価格がもっと下がるのだ。外材の価格が安いこと、この点で価格の問題がかなり出たわけであります。業者としては安い外材をさらに安くするという点の矛盾を考えつつも、やはり全体の日本生活の面で、こういう価格の問題が出てきたときに、私は木材製造業者たちの良識が非常にりっぱだと思って感心して聞いたわけですが、この価格に対する政府の施策を伺わしていただきます。
  210. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 円高の問題は、これは木材は自由ですからね。いままでのように過剰ぎみでだぶついているという状態ですから、これはじわじわと還元されるものは還元されるようになってきております。  それから、対ソ連貿易の問題は、これは木材の団体だから悪いとか商社だからいいとか、そんなことソ連は言っていないはずです。団体で入れておるところもあるし、個人で入れている人もあるし、商社で入れているところもある、まちまちでございます。したがって、零細で自分が取引できない場合がもちろんありますから、そういうのは適当な、それらの木材で対ソ連貿易をやっている団体に加入すればその配分にあずかることができる、かように思います。
  211. 津川武一

    ○津川委員 次は、農林漁業金融公庫の造林資金の貸付限度額を引き上げるということであります。現在、農林漁業金融公庫の貸付金の限度は貸し付けを受ける者の負担する額の八割以内、こうなっております。造林資金は、造林資金の標準単価で見ても五十三年度で四十三万四千円となっており、五年前のほぼ倍という状態。したがって、負担する額の八割以内になってくると、直接借りられないで自分で支度しなきゃならぬ額が大変大きくなっております。地方公共団体に対する貸付金についてはこういう限度が適用されていません。そこで、林業者についても限度額を引き上げなきゃならなくなりましたが、いかがでございます。
  212. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 公庫資金の融資の原則といたしまして、やはり何がしか自己責任を明確にさせるという意味で何割かの自己調達分を残しているのが原則でございます。確かに土地改良資金等の一部に十割融資に近いものもございますが、そのような考え方もございますので、造林拡大のためにきめ細かく私どもは公庫融資についても配慮してまいりたいと思いますけれども、現在のところ、この融資限度をさらに引き上げるということはちょっと考えておらないわけでございます。
  213. 津川武一

    ○津川委員 造林のために要する費用がこの五年間で二倍になっているのですよ。したがって、二割負担というのはかなりこたえるわけです。したがって、借りられるような条件をつくることを再検討していただくことを要請して、最後の質問に入ります。  林業信用基金の現状と業務拡大についてですが、林業信用基金法によって林業に独自の債務保証制度が確立されておりますが、その使命、目的を効果的に発揮していくためには、林業信用基金の業務である債務保証の物的基礎となる資本金の増額が求められております。発足以来今日までどのくらい増加されて豊かになっているでしょうか、これが一つ。  それから、直接の利用者である林業者等の出資者数を見ると、昭和四十八年度末六千二百六十七名から今日まで余りふえていないのじゃないかと思いますが、対象者数は三万七千、この中から六千二百、きわめて少ないようですが、どうしてこんなに少ないのか。出資者が喜んで出資するように施策を考えるべきであると思いますが、この二点を伺って私の質問を終わります。
  214. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  林業信用基金に対しまして出資資格を有しているもの、出資者の割合でございますけれども、素材生産業者あるいは製材業者で見ますと、御指摘のとおり個別事業者では一八%と低くなっております。一般的に組合の関係を見ますと五〇%の加入状況になっております。この状況によりまして、組合の出資によりまして実質的にはこの資金の借り入れはできる、また基金の債務保証は可能であるというように考えておるわけでございます。そういうことで、今後もこの組合を利用しながら債務保証を進めていくという方向でやっていきたいと考えております。
  215. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  216. 佐藤隆

    佐藤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  217. 佐藤隆

    佐藤委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  林業等振興資金融通暫定措置法案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  218. 佐藤隆

    佐藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  219. 佐藤隆

    佐藤委員長 この際、本案に対し、今井勇君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。島田琢郎君。
  220. 島田琢郎

    ○島田委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、林業等振興資金融通暫定措置法案に対する附帯決議案について、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     林業等振興資金融通暫定措置法案に対する附帯決議(案)   最近における森林・林業をめぐる諸情勢は、極めて厳しく、このため、国内林業及びその関連産業の生産活動は著しく停滞の度合を深めており、このような動きのまま推移すれば、将来の森林資源の整備充実に重大な影響を及ぼすことになる。よって政府は、今日の事態を深刻に受けとめ、早急に打開策を講ずることが必要であり当面左記の事項の実現に努めるべきである。     記  一 「森林資源に関する基本計画及び林産物の需給に関する長期の見通し」については、海外の森林資源事情及び世界の木材需給動向並びに我が国の自給力等を的確に予測して、長期間の我が国森林・林業の指針たり得るよう早急に改定し、これに即して諸施策整備充実を図ること。  二 木材の需給及び価格の安定による我が国林業の安定的な発展を期するため、木材の価格・需給動向の的確な把握とこれに即した指導の強化等を通じ外材の秩序ある輸入を図ること。なお、外材輸入については数量及び価格に対する調整措置を講ずるよう引き続き検討をすすめること。  三 国内産木材の需要を拡大するため、在来工法による木造住宅の建設の促進等に関する各種施策の充実強化を図ること。  四 本法の運用に当たつては、中小・零細林家及び事業者に十分配慮するとともに、経営改善計画及び合理化計画の認定についても、その手続きの円滑な処理を図るほか、低利融資制度については、資金需要の動向等に応じ所要の資金枠の確保等に努めること。  五 林業者等の資本装備の高度化と林業経営の近代化促進し、その健全な発展に資するため、制度金融の改善充実を図るとともに、農協等の系統資金の導入についても、円滑に図り得る方途を検討し、その早期実現に努めること。  六 我が国林業の生産性の向上及び生産活動の活発化を図るため、林道網の整備、造林の推進、保育・間伐の適切な実施及び間伐材の有効利用等について助成の強化に努めること。  七 山村地域における林業の担い手を確保するため、計画的な森林施業の実施を主体とし、特用林産物の生産・加工及びその他地域の産業との組合せ等によつて雇用の安定と労働条件改善に努めるとともに、生活環境改善など山村地域の振興対策を積極的に進めること。  八 林業労働における振動障害、腰痛等職業病の発生防止並びに治療方法改善開発及び治療施設の充実について、特段の措置を講ずること。  九 松くい虫の発生状況にかんがみ、特別防除の適切な実施、被害木の伐倒駆除の強化拡充、被害地の樹種の転換、抵抗性品種の導入など地域の実情に即した総合的な松くい虫防除対策を講ずること。  十 国有林野事業については、経営改善を計画的に進めるとともに、民有林の振興に関する助成措置を勘案し、所要の財政措置の拡充に努め、不成績造林地の解消を含む造林内容の充実、林道開設等の生産基盤の着実な整備を図ること。また、国土保全、水資源のかん養、保健休養等森林のもつ公益的機能の発揮に特に努めること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通してすでに各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  221. 佐藤隆

    佐藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  222. 佐藤隆

    佐藤委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。渡辺農林水産大臣
  223. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、善処してまいる所存でございます。     —————————————
  224. 佐藤隆

    佐藤委員長 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 佐藤隆

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  226. 佐藤隆

    佐藤委員長 次回は、明二十六日木曜日午前九時四十五分理事会、午前九時五十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時一分散会