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松形参考人 お答え申し上げます。
ただいま
先生から六点につきまして御質問いただいたわけでございますが、まず第一点の、最近の保証の現状はどうか、あるいはその中身についてわかっているところを述べろと、こういうことでございます。御承知のように四十八年以来、石油ショック以来の不況でございます。しかし、そういう減速経済の中にあっても、あるいは中にあったからということも理由になろうかと思いますけれ
ども、この五カ年間、五十二
年度までの伸び率といいますか、保証の伸び率は一四・四%くらいずつ大体伸びてまいっております。その中で、先ほどちょっと申し上げましたけれ
ども、組合の保証を十割にしたとか、あるいは保証倍率を五割ふやしたとか、そういう
制度改正等もあったかと思いますが、しかし、五十三
年度になりますと、金融の大変な緩みがございまして、保証等を要しなくても金融
機関がどしどし資金を出すというような現象等がございまして、五十二
年度と大体横ばいというような傾向にあろうかと思います。この数字をちょっと申し上げてみますと、四十八年が二百七十九億、四十九年が三百六十三億、五十年が三百九十三億、五十一年が四百二十億、五十二年が四百九十七億、五十三年の見込みが横ばいの四百九十五億というような数字になろうかと思います。
なお、使途別でございますけれ
ども、簡単に申し上げますと、製材が七一・六%になっております。つまり、五十二
年度の四百九十七億を分解いたしますとそういうことで、素材生産が二七・一%、残念ながら苗木とか薪炭、キノコ生産とかそういう面につきましてはわずかでございまして、一・三%しかない。
それから、これを会社、個人等に区分いたしてみますと、会社が過半を占めておりまして五一・八でございまして、私
どもの基金の資金別の特徴でございますけれ
ども、組合利用がその次に三三・九、約三四%あるというのが特徴になっておりますが、個人は一四・三%になっております。
なお、融資
機関別でございますけれ
ども、これは地方銀行が四三・九%、相互銀行が一五・三%、商工中金が一五・三%等になっておりますが、近ごろ商工中金利用というのが極端にふえつつあるというのが現在の保証の
実態でございます。
なお、
先生御
指摘の、都道府県別のばらつきがあるんじゃないかということでございますが、まさにその御
指摘のとおりでございまして、実は北海道が一番多くて五十二億、その次が奈良県の約三十三億ということで、森林が少ない
関係もございますけれ
ども、沖繩の千六百万というようなばらつきがございます。しかし、私
ども、県を
中心といたしまして、金融
機関なりあるいは
関係業界にお集まりいただいて、県段階の協議会、あるいは郡単位ごとに各金融
機関の支店あるいは
関係地域の
林業者というような
方々等集まっていただく協議会をそれぞれ持ちながらPRいたしておるわけでございますけれ
ども、残念ながら、このようなばらつきがあるという
実態でございます。しかし、ただいま御審議いただいているような新しい国産材に対する
制度が発足いたしますならば、しかも、これは十割保証ということになっておりますので、その
意味では非常に利用が
促進されまして、ばらつきが少なくなるのではないかということを期待いたしているわけでございます。
次に、保証をいたしますと、こういう不況でございますから、代位弁済が出るのでございますが、これも五カ年間くらいを見てみますと、四十八年は五千六百万、四十九年が約二億、五十年が六億四千万、五十一年が六億七千万、五十二年が七億七千万、それから五十三
年度が八億八千万と、五十年から非常に急激にふえておるわけでございますが、これは御承知のような景気の停滞、あるいは業界自体が抱えております体質の弱さ、あるいは倒産等が続出したというような事態を反映いたしまして、このような非常に大きな代位弁済が行われておるという
実態でございます。
それに対しまして、こういうことでは財政上も大変
関係があるわけでございますが、求償権の残高の増加理由とその対処方針はどうだという御
指摘でございますが、ただいま申し上げましたように、求償権の増加というのはそういうふうに累積いたしておりまして、それは回収というのが一面ございます。発生と同時にその求償権の回収というのがあるわけでございますが、不況に伴いまして弁済能力というものが非常に低下していることが第一点でございます。それから物的担保の評価といいますか、処分も停滞いたす傾向でございますし、倒産等の
関係でやや長期の会社更生法の適用というようなこと等がございますので、なかなか思うようにいかないというのが
実態でございますが、五十三
年度になりまして、基金といたしましても体制を整えまして、そして担保物件等の強制処分というようなことは避けておりますけれ
ども、任意処分等を
中心といたしまして回収しておりまして、この四年間ぐらいは大体一億五千万
程度でございましたけれ
ども、五十三
年度は四億をちょっと超すというような回収ができたわけでございます。しかし、何といたしましても、私
ども基金は政府
機関でございまして、御
指摘のような中小
企業の
方々の金融のお世話をしているという
立場でございますから、債務者の再建を阻害したり
生活に困るというようなこと等は避ける。しかも、長期に計画を立てて回収をするというようなこと等を配慮いたしておりまして、この回収の手段が過酷になるというようなことは絶対避けるような心構えを持って今後も回収に当たろう、こういうことを考えておるわけでございます。
なお、先ほど新しい
制度についての基金の対処はどうするか、あるいは今後不安要素があるから何かこれに気づくことはないかというような御趣旨かと思いますが、私
どもの基金は、農業とか漁業あるいは各県にございます信用保証協会等が扱っております中小
企業の金融という、大体
制度金融が中核になってそれを保証する、こういう仕組みになっておりますけれ
ども、
林業につきましては必ずしもそういうことでなくて、一般市中金融からの金を保証するという仕組みになっております。今回このような画期的な
制度ができまして、その一部が
制度金融的なものの保証というものが加わるわけでございまして、この画期的な
仕事に対する基金としては、金融面の実行者になるわけでございますから、先ほど申し上げましたように、十五年間の経験というものを十分生かしながら、
林野庁で示されます
基本的な方向を十分踏まえて、県なりあるいは各種金融
機関と十分連絡をとりながら、そしてこの
制度の成果が実現できますように私
どもも努力してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
なお、何か不安というようなものはないかということでございますが、もしあると私想像いたしますれば、
林野庁としょっちゅう連絡をとっておりますから、格別ということはございませんけれ
ども、本
制度に対する期待というものが
関係業界は大変高いわけでございます。特に素材生産業の
方々の期待というものが大きいと思うわけでございますが、
林野庁では数年来予算をつくられましてこれの組織化、協業化ということを積極的に進めておられます。しかし、素材生産業の
実態とかあるいはいろいろ含んでおる問題等がございます。したがって、必ずしもそういう期待どおりに進んでないというふうにも聞いております。しかし、この
制度を受けるには組織化が前提でございます。したがって、この
制度の発足が契機になりまして、素材生産業の組織化というものが大いに前進するという期待が持たれるわけでございますが、今後もこの組織化ということにつきまして、私
ども金融面からもひとつ大いにお手伝いをさせていただきますけれ
ども、
林野庁等におきましてもこの組織化ということをねらっておられるわけでございますから、一層
推進していただければ、不安もなく、これが前進するのではないかというふうに考えておるのが現実でございます。