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1979-04-24 第87回国会 衆議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年四月二十四日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 佐藤  隆君    理事 今井  勇君 理事 羽田  孜君    理事 堀之内久男君 理事 山崎平八郎君    理事 島田 琢郎君 理事 芳賀  貢君    理事 馬場  昇君 理事 古川 雅司君    理事 稲富 稜人君       愛野興一郎君    江藤 隆美君       熊谷 義雄君    玉沢徳一郎君       津島 雄二君    中村喜四郎君       福島 譲二君    森   清君       小川 国彦君    角屋堅次郎君       柴田 健治君    新盛 辰雄君       竹内  猛君    野坂 浩賢君       日野 市朗君    松沢 俊昭君       武田 一夫君    野村 光雄君       吉浦 忠治君    神田  厚君       津川 武一君    菊池福治郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  渡辺美智雄君  出席政府委員         農林水産政務次         官       片岡 清一君         林野庁長官   藍原 義邦君         林野庁次長   角道 謙一君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察官  神澤 正藏君         文化庁文化財保         護部記念物課長 逸見 博昌君         林野庁林政部長 佐竹 五六君         林野庁指導部長 猪野  曠君         林野庁業務部長 秋山 智英君         建設省住宅局住         宅生産課長   高橋  徹君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 四月十三日  委員森田欽二君が死去された。 同月十九日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     増田甲子七君   國場 幸昌君     稲垣 実男君 同日  辞任         補欠選任   稲垣 実男君     國場 幸昌君   増田甲子七君     愛野興一郎君 同月二十四日  辞任         補欠選任   神田  厚君     高橋 高望君 同日  辞任         補欠選任   高橋 高望君     神田  厚君 同日  理事芳賀貢君同日理事辞任につき、その補欠と  して馬場昇君が理事に当選した。     ————————————— 三月三十日  肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第三九号)(参議院送付) 四月四日  畜産農家の経営安定に関する請願井出一太郎  君紹介)(第二七六〇号)  同(小川平二紹介)(第二七六一号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二七六二号)  同(倉石忠雄紹介)(第二七六三号)  同(小坂善太郎紹介)(第二七六四号)  同(清水勇紹介)(第二七六五号)  同(下平正一紹介)(第二七六六号)  同(中島衛紹介)(第二七六七号)  同(中村茂紹介)(第二七六八号)  同(羽田孜紹介)(第二七六九号)  同(原茂紹介)(第二七七〇号)  同(増田甲子七君紹介)(第二七七一号)  同(向山一人紹介)(第二七七二号)  斃殺畜評価額最高限度額引き上げに関する請  願(井出一太郎紹介)(第二七七三号)  同(小川平二紹介)(第二七七四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二七七五号)  同(倉石忠雄紹介)(第二七七六号)  同(小坂善太郎紹介)(第二七七七号)  同(清水勇紹介)(第二七七八号)  同(下平正一紹介)(第二七七九号)  同(中島衛紹介)(第二七八〇号)  同(中村茂紹介)(第二七八一号)  同(羽田孜紹介)(第二七八二号)  同(原茂紹介)(第二七八三号)  同(増田甲子七君紹介)(第二七八四号)  同(向山一人紹介)(第二七八五号)  昭和五十三年度加工原料乳限度数量枠拡大等  に関する請願井出一太郎紹介)(第二七八  六号)  同(小川平二紹介)(第二七八七号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二七八八号)  同(倉石忠雄紹介)(第二七八九号)  同(小坂善太郎紹介)(第二七九〇号)  同(清水勇紹介)(第二七九一号)  同(下平正一紹介)(第二七九二号)  同(中島衛紹介)(第二七九三号)  同(中村茂紹介)(第二七九四号)  同(羽田孜紹介)(第二七九五号)  同(原茂紹介)(第二七九六号)  同(増田甲子七君紹介)(第二七九七号)  同(向山一人紹介)(第二七九八号)  蚕糸業振興に関する請願井出一太郎君紹  介)(第二七九九号)  同(小川平二紹介)(第二八〇〇号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二八〇一号)  同(倉石忠雄紹介)(第二八〇二号)  同(小坂善太郎紹介)(第二八〇三号)  同(清水勇紹介)(第二八〇四号)  同(下平正一紹介)(第二八〇五号)  同(中島衛紹介)(第二八〇六号)  同(中村茂紹介)(第二八〇七号)  同(羽田孜紹介)(第二八〇八号)  同(原茂紹介)(第二八〇九号)  同(増田甲子七君紹介)(第二八一〇号)  同(向山一人紹介)(第二八一一号)  昭和五十四年度畜産物政策価格及び畜産経営の  安定強化に関する請願登坂重次郎紹介)(  第二八九二号)  農林年金制度改悪反対等に関する請願(栂野  泰二君紹介)(第二八九三号) 同月二十日  十トン以上二十トン未満漁船サンマ漁業に関  する請願椎名悦三郎紹介)(第三一五九  号)  米の生産調整反対及び地域農業振興等に関す  る請願瀬野栄次郎紹介)(第三二二三号)  農林年金制度改悪反対等に関する請願瀬野  栄次郎紹介)(第三二二四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  林業等振興資金融通暫定措置法案内閣提出第  三二号)      ————◇—————
  2. 佐藤隆

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先立ち、この際、謹んで御報告申し上げます。  本農林水産委員会委員として長い間委員会のために御尽力をいただきました森田欽二君は、去る四月十三日、逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。  ここに、委員各位とともに故森田欽二君の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。  御起立をお願いいたします。——黙祷。     〔総員起立黙祷
  3. 佐藤隆

    佐藤委員長 黙祷を終わります。御着席ください。      ————◇—————
  4. 佐藤隆

    佐藤委員長 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事芳賀貢君より、理事辞任したいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐藤隆

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  ただいまの芳賀貢君の理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 佐藤隆

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、馬場昇君を指名いたします。      ————◇—————
  7. 佐藤隆

    佐藤委員長 林業等振興資金融通暫定措置法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
  8. 島田琢郎

    島田委員 審議に当たりまして、わが国森林林業をめぐる現下の情勢はきわめて厳しい、こういう状況の中に置かれているのは十分各位の御承知のところであります。特に、ことしの林業白書もこうした点を厳しく指摘をしているようでありますが、林業停滞がもたらす影響というのは直ちには表面化しないわけでありますが、それが長期間にわたって徐々に進行してくる。このために、森林資源荒廃が表面化したときにはもはや手おくれであることにもなりかねないわけであります。今日の事態を深刻に受けとめていかなければならないわけでありますが、大臣はこの現状をどう認識しておられるのか、また、国内林業振興のための基本的な考え方をどのように持っておられるのか、その点をまずお聞きしたいと思います。
  9. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 御指摘のように、最近のわが国林業を取り巻く諸情勢はまことに厳しいものがございます。一つは、木材需要の伸び悩みということがあります。二番目には、それにもかかわらず外材の進出が思ったよりも非常に急激である。第三番目は、合理化近代化がおくれておって、そのための経営コスト、これが増大をしておる。したがって、林業の収益というものはなかなか上げづらい。何せ林業は非常に長い年月を要することでございますから、みんながそういうような気持ちになると、造林もしない、林道もつくらないというようなことになって、非常に国土荒廃を招く、これは非常に困ることであります。  したがいまして、何とかして林業経営者経営意欲というものを沸き立たせるような工夫をしなければなりません。そのためにわれわれとしてはいろいろな、現在出してある法案のような長期、低利の資金を融通したり、あるいは補助というようなものについても植栽から保育、その一貫した助成事業を行うというようなことなどをして、林業者意欲を持たせる。と同時に、やはり流通、加工、この問題も大きな問題でございますから、それのむだを省くことに力を入れていきたい。  そうして、やはり外材輸入については、これは全部切り落とすということは事実上不可能でございます。でございますが、極力秩序ある輸入というものに切りかえていって、そうして極端に国内材価の低迷、大きな障害になるというようなことはお互い困ることでありますから、輸入業者としてもプラスになるわけじゃないので、共通の利害を持っておるわけですから、これらにつきましては自粛をしていただいて、そのためのいろいろな情報の提供やいろいろなことを政府が行って、そうして混乱を起こさないように持ってまいりたい。  いずれにいたしましても、林業というものは国土荒廃に関する問題、一林業者利害だけではないというような大きな視野に立っていろいろな政策を立てていきたい、こう考えております。
  10. 島田琢郎

    島田委員 大臣は後段で少し述べていますけれども森林は単に経済的なそういう範疇でだけ物を考える、こういうことは許されないわけで、すなわち公益的機能、こういう言葉によって表現されますように、人間の生存にとって空気と水と緑というようなものは絶対的なものであります。つまり、酸素の生産工場である、こういうふうにも言えますし、また緑のダムでもあります。また日本人の憩いの場所でもあり、心のふるさととも言うべき性格を持っているわけでありますから、今日の過疎とか過密あるいは公害の全国的な広がり、続発する風水害、土砂崩れ、水不足、こういうものが続発をしている、こういう中で森林の持つ重要性というものは一層国民的にも認識を深めていかなくてはならない、こういうふうに思っているわけであります。単に経済的な側面でだけとらえるということになりますと、これまた誤りを犯すわけでありますが、しかし、今日のわが国森林林業現状については、いま大臣が述べましたように、この法案提案理由の中でも、あるいはまた林業白書でもかなり厳しくこの点は述べられているわけでありますが、まことに憂えるべき状態になっている、こういう点では認識一つにするものだ、こういうふうに思います。  しかしながら、いまお話にありましたように、外材輸入材価下落を背景として、一九六〇年対比木材生産が五六%、人工造林が五〇%まで落ち込んでしまった。そのために林業生産活動停滞は目に余るものがありますし、特に今日最も重要視しなければならないのは、第一には森林荒廃とその荒廃による国土保全、水、緑などが危機にさらされていることだ。木材輸入できても緑は輸入できないわけでありますから、この点についてしっかりした認識大臣もお持ちになっていただかないと、なかなか今日のこの危機を打開することができない、こういうふうに私は思うのです。  さらに第二には、森林林業経営基盤たる山村が、六〇年と七五年の対比でも、山村振興対象地域で三〇%、二百二十五万人減少した、こういうふうに言われるのであります。つまり崩壊しつつあるわけでありますが、これに関連して林業労働力量的不足、これも深刻であります。また高齢化女子化が進行している。しかも、後継者が非常に大きく減っている中でも、特に国有林、民有林合わせて九千名を超えるであろうと言われる振動病、つまり白ろう病の患者が発生をしている、こういうことでありますから、林業労働力の面からもわが国森林林業経営というのは破綻を免れないのではないか、こういうふうに見通さざるを得ないのであります。これは林業白書でかなり明らかにしている点でありますが、こういう認識もあわせてしっかり持っていただかないと、これは再建にならぬのではないか、こう思うのですが、この点についてはいかがですか。
  11. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 御指摘のとおりだと存じます。
  12. 島田琢郎

    島田委員 そこで、林業振興を図っていく上には何よりも長期の展望に立った確固たる指針が必要であります。現在、林野庁では森林資源基本計画及び林産物需給長期見通し改定作業を行っていると聞いているのでありますが、今回のこの改定の基本的な考え方改定の具体的な方向あるいはそのスケジュールについてはどうなっているのですか、お聞かせいただきたいと思います。
  13. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま御指摘になりました資源基本計画なりあるいは林産物需給長期見通し、これにつきましては前の国会でもいろいろ御指摘いただいておりますが、作成した時点と現在とでは日本経済情勢大分変わっておりまして、そのために乖離も大きくなっております。そういう点でただいま林政審議会に付議いたしまして、この審議をお願いしてあるところでございます。私どもとすれば、年内にはこの結論をいただきたいというふうに考えておりまして、鋭意林政審議会の方で御検討いただいております。  事務局といたしまして私ども現在考えておりますのは、資源基本計画につきましては、やはり森林機能最高度に発揮するというような目標を持ちました資源の整備、これをまず基本的に考えていきたいというように考えておりますし、そういう意味では現在の計画と変わりはないわけでありますが、内容とすれば、それぞれ国土利用計画等の問題あるいは造林林道目標値の問題、進度の問題、さらには木材需要多様化とただいまも御指摘になりました森林公益的機能の確保に応じました森林施業の検討というような問題、また労働力充足可能性の問題、こういうものにつきましても検討いたしまして、できるならばこういうものにつきましても施策の方向というものを盛り込んでいきたいというふうに考えております。  それから林産物長期需給見通しでございますが、これにつきましてはただいま経済企画庁を中心にいたしまして新経済七カ年計画が検討されておりますけれども、この経済成長率等を十分しんしゃくいたしまして、そういうもとにおきます用途別需要というものを見通し、そしてさらには外材が大きな問題でございますので、外材産地状況、こういうものも十分把握していきたいというふうに考えております。
  14. 島田琢郎

    島田委員 林政審にただいま諮問をしているということでありますが、私の質問に対して余り具体的に的確なお答えがなかったのでありますが、この改定に当たって非常に重要な目玉になりますのは、国産材外材比率をどのように見込むのか、これは大変大事だと思うのですが、この点は具体的にはいかがですか。
  15. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま日本木材需給を見ますと、三分の二は外材ということになっております。したがいまして、ただいま御指摘になりましたように、外材をどう見込むかというのは非常に大きな問題かというふうにわれわれも考えております。ただ、一方、戦後各地に造林地を積極的に造成するような推進をいたしております。したがいまして、そういう意味から自給率を上げていくということも、これも基本的な大きな課題であるというふうに考えております。さらにはただいまも御指摘になりました森林公益的機能、こういうものも発揮するためにもいい造林地をつくる、いい森林を仕立てることが必要でございますし、そのためにはある樹齢に達しましたらその回転ということが必要になるわけでございまして、そういう意味からの国産材供給量、こういうものも十分考えなければいけないというふうに考えております。  いまの段階では自給率等々をどのくらいに見るか、逆に言えば外材輸入をどのくらいに見るかということはいま端的にはお答えできませんけれども、基本的な考えとすれば、いま申し上げましたような国内のいろいろな国土保全上の問題、あるいは外材の事情を見ましても世界の森林資源というものが必ずしも十分でないといういろいろな見解もございます。そういう観点から将来に必ずしも外材輸入が保証できるものでもないというふうにわれわれ考えております。そういうこととあわせまして、山村のこれからの振興ということ等を考えれば、当然国産材をできるだけ生産量をふやしまして自給率を高めるという方向に持っていかなければいけないというふうに考えております。  したがいまして、先ほど申し上げましたように現時点でどのくらいの輸入量にするかということは申し上げられませんけれども、そういう考え方基盤にいたしまして、当分の間は相当量外材がまだ入りませんと、日本森林は若齢級が多うございますので、外材輸入に相当依存せざるを得ないと思いますけれども長期見通しといたしましては、いま申し上げましたような考え方で整備してまいりたいというふうに考えております。
  16. 島田琢郎

    島田委員 外材輸入適正化というのはこれは非常に重要な課題ですね。昨年の暮れからことしの年当初にかけまして非常に高騰しましたね。ばか値が出たわけであります。しかし、それも実際は消費の実態がないものですから、またもとのもくあみに戻ってしまう。一時的にばっと高値になっちゃった。実態一つもないものだからぺしゃんこになる。こういうようなことはこれからも出がちであります。そうすると、外材の節度ある輸入といいますか、林野庁がその目安なりしっかりした外材に対する認識を持っていませんと、いたずらに市場において騒ぎを起こすだけでそれは実際の実入りがない。こういう騒ぎにすぎないということになってしまいます。だから、私は外材輸入の問題というのは非常に深刻に受けとめて真剣に対処をしませんといかぬと思うのです。大体三分の二は外材に依存せざるを得ないという状態であるということは私も否定し得ないところでありますけれども輸入業者なんかがこうした高値につけ込んで、円高等の関係もあってこれを大量輸入するなんというようなことがいまこの騒ぎの中で出てきておりますが、外材ストックというのは現在でどれくらいあるのですか。  もう一つ、それと当然対比されるわけでありますが、通常、つまりノーマルな在庫量というのは一体何カ月分くらいを見込むのですか。それとの比較で、いまの外材ストックはどれくらいあってそれは正常なのか、不正常なのか。
  17. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいまの在庫、大体二・五カ月くらいになっております。われわれ一般的に大体このくらいの程度のものが適正な在庫量ではなかろうかというふうに考えておりますので、いまの時点では大体適正な在庫量現時点における需給関係バランスがとれているというふうに考えております。
  18. 島田琢郎

    島田委員 二・五カ月分のいまのストックで大体これがノーマルなんだという御説明でありますが、しかし私が先ほど質問いたしました長期見通し国産材外材比率というものを、いまの段階で的確に言うことはむずかしいというようなお考えでは、私は非常に心配が残ると思うのですよ。やはりそれは正確にいまからはじき出して、一体どこら辺で何年たったら——それは単年度ごとというのはいまの段階ではなかなか見通しは無理でしょうけれども長期見通しということになれば単年度ではありませんから、五年だとか十年だとか見込むわけでありますが、さすれば十年後は外材国産材比率をどのように持っていこうとお考えになっておるのか、この辺のところぐらいはお考えの中にないと、私はこの法案を出した意味もないと思うのですよ。それもないのですか。
  19. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま先生が御指摘になりました外材輸入につきましては、長期の問題と短期の問題があろうかと思います。したがいまして、私ども短期の問題につきましては、昨年の十月以来三カ月単位四半期単位と申しておりますけれども、その需要供給を半年先につきまして見通しまして、それを公表するという形で、短期的な需給については需要供給バランスがとれるような外材輸入ということを行政指導いたしております。  したがいまして、この方法を今後とも強力に進めてまいりたいということで、短期需給の問題についても対応してまいりたいというふうに考えておりますが、片や長期の問題につきまして、先ほど現時点ではお話しできないと申しましたのは、いままだ作業中でございまして、まだいまの時点で五年先大体外材がどのくらいだ、十年先どのくらいだということを申し上げるのはいまの段階ではむずかしいということを申し上げたわけでございまして、当然われわれ作業の過程におきましてはそういう問題も十分踏まえて対応してまいりたいというふうに考えております。
  20. 島田琢郎

    島田委員 これは農産物を生産するのとわけが違いまして、木というのは植えてその年切れるものじゃない。そんなあたりまえのことを私は言うつもりはないのです。しかし、何年に植えたのは何年に伐期に入る、そういうものをある程度見通せるわけです。そうすると、国内産材生産状況なり見通しというものが一つそこにしっかり出ているわけですね。そうだとすれば、全体で一体国内需要量は幾らあるのだ、すると十年後はどういうふうになるのだということは見通せないわけないのじゃないですか。そんな見通しも持ってないで今度の法案を出したって、法案がどんな機能をするというのですか、どんな意味を持っているのでしょうか。大臣、いかがですか、私の言うことは無理なのでしょうか。
  21. 藍原義邦

    藍原政府委員 御指摘の御意見もあろうかと思います。ただ、御存じのように、ただいまの日本造林地を見ますと、各齢級といいますか、毎年毎年同じような配分で育っておりません。たとえば若齢級が八〇%近くある、二〇年以下が。そういう関係で年をとったものは非常に少ないわけでございます。したがって、各年齢の林分がアンバラに分布いたしております。私どもとすれば、将来やはり伐採量ができるだけ一定していく方向にそういう森林を維持管理していかなければいけないという点もございます。したがって、たとえばいま切れる量が五百万立方だとか八百万立方ある、ところが来年になってそれががたっと落ちて三百万になる、三千万になるというような形では非常に問題がございます。そういう点を十分考えながら、今後どういう形で国産材国内需要を賄うように供給していったらいいか、その辺は十分詰めなければいけないということを考えております。  そういう点で、いま御指摘になりましたように、いまできていないのはおかしいという御指摘もございますけれども、そういう点を十分踏まえて見直してまいりたいということで、慎重に検討しておるというところでございます。
  22. 島田琢郎

    島田委員 長期見通し改定作業をいまやっているというのだから、これ以上無理なことはいま申し上げますまい。しかし、ちょっと見識がなさ過ぎると私は思うものですからね。まあ冒頭に指摘いたしましたように、大臣認識も私の認識も、国内林業の置かれている状況はきわめて厳しい、この点では一致いたしました。林業の収益性の低下によって林業者経営意欲は極端に阻害されている、この点も認識は一致しますね。さらに国産材生産加工、流通を担う事業体がきわめて脆弱化している、こういう点が悪循環を招いているということの認識も、これは同じだと思うのです。  その対策についてでありますけれども、やはりまず川上から事を始めなければいけませんから、造林の促進あるいは助長策というものを積極的に考えなければいけない。これは昨年の林業国会でも、実に何度にもわたってこういう議論が繰り返されました。特に近年、間伐材の売れ行きというのが極端に落ち込んでおりまして、間伐の促進事業という制度をつくってもなかなかこれが進展しない、こういうところにも問題はあるように思います。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 また、間伐が適期に行われないために保育期間が当然伸びているわけでありますが、これには費用もかかりますし、どう手当てしなければならないかという問題も非常に深刻になっているわけです。したがって、私どもは、今日その一環として本年度の予算においても民有林に対する十四の新規事業を計画し、また本法案が提案されてまいりました点もそういうところにある。こういう点では、私はこれを評価するにやぶさかでないし、積極的に賛意を表するものであります。ですから、本法案の早期の機能的な運用に私どもは大きな期待を持つものであります。  しかし、いま議論しましたような大事な基本にかかわる問題がまだ解明されないでいるというのは、この法の運用に当たっても果たして適正が期せられるかどうか、私は大変危惧するものであります。ぜひこの際、川上から川下まで一貫した手厚い行政の手が必要だ。そういう観点に立って考えますならば、造林の補助事業についても、あるいは保育の補助対象の問題にしても、これを大幅に拡大していくという構えが私はぜひ必要だと思うのですが、この点はいかがです。
  23. 藍原義邦

    藍原政府委員 先生御指摘のように、私ども造林については目標の約七割くらいの造林地ができ上がっておりますけれども、保育等について必ずしも十分でないという点を非常に危惧いたしております。そういう点で、林家が積極的に森林の保育に対する意欲が持てるような施策を講じなければいけないというように考えているわけでございますけれども、そういう点から、従前から対象にしておりませんでした農林公庫融資の中でも保育事業というものを融資の対象にしてまいりましたし、特に本年度からは造林について総合的な施策を考えようということで、大体一千ヘクタール以上ございます規模の森林集団を単位といたしまして、市町村の主導のもとに造林事業を集団的、計画的、組織的に実施いたします森林総合整備事業というものを創設いたしました。これはいままで保育等につきましても、保安林あるいは特殊なところにつきまして大体二十年ぐらいでございましたけれども、補助対象の年齢を大体二十五年までにするということ、それから保育のすべてを対象にするというような形で、下刈り、除間伐が積極的に行えるような方途を考えていこうということで、いま申し上げたような施策を講じたわけでございますし、また、ただいま御審議願っております法案にも載っておりますように、農林漁業金融公庫からの造林融資につきまして、その償還期限あるいは据え置き期間の延長という特例を設けようということで、造林者に積極的な造林意欲、保育意欲がわくような施策を講じておりますが、さらにこれにつきましても十分検討し進めてまいりたいというように思っております。
  24. 島田琢郎

    島田委員 そもそも、いつも大変問題になるのは不良造林地なんですけれども、面積把握についても、われわれの把握している実態林野庁当局が押さえておる面積とずいぶん違いますね。この不良造林地をどうするのですか。
  25. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林の不成績の造林地につきましては、御指摘のように先生方から御指摘になります数字と私どもが把握しております数字とは確かに大きく食い違いがございました。私どもも約四万ヘクタール強の不成績造林地につきましては、五十三年度中にできるものについては積極的な対応をし、さらに残ったものにつきましても五十五年ぐらいまでにはすべて完了するような対応をしていこうというふうに考えております。  また、あわせまして、本年度上期のうちに全体の造林地状況というものを把握いたしまして、さらにそれらについて不成績なものがあれば積極的に対応していこうという姿勢で現在営林局は鋭意調査中でございますが、国有林の三分の一以上が積雪地帯でございますので、どうしても昨年の秋に調査できませんので、雪が解けましたらその辺については十分調査をしてまいりたいというふうに考えております。
  26. 島田琢郎

    島田委員 不成績造林地という表現を使いますけれども、私どもはこれは不良造林地だと思うのですよ。大臣、この言葉の定義みたいなやりとりをするつもりはありませんけれども、不良造林地というのと不成績造林地とでは認識においてずいぶん違うと思うのですよ。不成績造林地というのは一体どういう意味ですか。
  27. 藍原義邦

    藍原政府委員 私ども造林をいたしました場合には必ずそれがいい山に成林するような努力をするわけでございますけれども、たまたま鳥害等々あるいは野鼠、野兎の害のために幼齢樹が食われたりあるいは枯れたりしたために植えつけ本数が減るということもございます。また、御指摘のように、あるいは怠けて、いい手入れをしなかったところもあるのかもしれませんけれども、そういう意味で、当初当然いい造林地にすべく造林したものが当初の成績どおりに成長していないものを私どもは不成績造林地というふうに呼んでいるわけでございます。
  28. 島田琢郎

    島田委員 そうすると、われわれの言う不良造林地は四十万ヘクタールある、こういう認識においてはそんなに隔たりはないわけですね。造林をした状態をつかまえてこれが成績いいか悪いかという判断、われわれは不良造林地と言う表現の中ではもっと大きな意味を持つわけです。つまりいま行われている造林状態考えますと、不良性を持っているというふうにわれわれは認識しているのです。大臣、いかがですか。
  29. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 成績の悪いものはやっぱり不良だし、不良なものは成績が悪いし、私は似たようなものではないだろうかと思います。
  30. 島田琢郎

    島田委員 それでは不良造林地ということですな。——はい。  それでは次に移りますが、林道整備の問題というのは、これまた非常に重要な問題なんですが、これが非常に不十分である。それが今日の国内林業停滞の大きな要因にもなっている。先ほども間伐材の売れ行き不振の問題についても触れたわけでありますが、間伐材についてだって林道網の整備いかんではかなりコストをダウンさせることができる。したがって、林道整備というのはきわめて重要な当面するやらなければならない仕事の一つであります。林野庁林道整備の促進にどのような具体策を持っているのか。  さらにまた、林道問題調査会、これがいろいろな林道にかかわります問題の検討をしているようでありますが、この中で国庫補助の制度化というようなことを言っているのですね。この点について林野庁はどう受けて立たれるお考えですか。
  31. 藍原義邦

    藍原政府委員 御指摘のように、林道整備についてはただいま私ども計画しておりますものに比較いたしまして必ずしも進度が十分でございません。この原因は、やはり林道をつけるところがだんだん経費が高くなる非常に奥地に参ったというようなこと、あるいは労賃単価の値上がり、さらには自然保護、環境保全という意味から従来に比べまして保全工法をとらなければいけないというような観点から、メーター当たりの単価も非常に上がってまいりました。そういう観点と予算が必ずしも十分伸びないという両方から、林道の延長が一時非常に停滞しておったために、林道の整備が非常におくれておるということは事実でございます。  したがいまして、私どもとしてはこういうものを克服するために、山岳地帯におきます効率的な施工技術というような問題、それからこれからの林業の中で間伐等々が非常に重要になってまいりますので、そういう間伐促進のための緊急整備の林道につきましては、一般の普通林道と違った間伐林道と俗に称するような林道考えまして、積極的に延長を図るというような問題、こういうことを考えまして積極的な林道の拡充を図っていきたい。さらには公共事業の林道予算だけではなくて、構造改善事業だとか、あるいは大規模林道、スーパー林道、いろいろな面から林道の整備を図って拡充を図ってまいりたいというふうに考えております。  それから、御指摘になりました問題、用地補償の制度化の問題だろうというように思います。用地補償の制度化につきましては、林道は、御存じのように、確かに公道的な性格と、それからその付近の林業基盤整備という問題とあわせまして、その林道が通ります森林所有者、森林経営者と申しますか、そういうものの共同施設であるという性格を踏まえまして、その用地補償というものが国庫助成体制の中で林道全体に及ぼす影響、そういうものがどういう状況になるかということを十分配慮しなければいけないというふうにわれわれも考えております。そういう点で、いまこの制度化につきまして実務的な検討を進めておる最中でございます。
  32. 島田琢郎

    島田委員 林道問題調査会の幾つかの検討事項では功罪がありますから、これはかなり慎重に取り扱わなければいけないという問題がございますから、軽はずみにこれを論議するということは避けたいと思うのでありますが、しかし、公共性の強いものについては全額国庫補助をやるというぐらいの構えがないと、林道の整備は抜本的にできるというようなことにはならぬのではないですか。これはどうです。
  33. 藍原義邦

    藍原政府委員 確かに、林道につきましては、最近旧来に比べますと公道的な性格も強くなってきておることは事実でございます。しかしながら、やはり林道をつけるということになりますと、その森林を持っております特定な森林所有者に利益をもたらすという点もございます。そういう点も十分考えなければいけませんし、あわせまして、現在国道なりあるいは県道といった地方道がございますけれども、こういうものにつきましても一部の特例を除きまして全額国庫という形はないわけでございます。そういう点から考えまして、全額国庫でやるというのはなかなかむずかしいのではなかろうかというように考えておりますが、一例を申し上げますと、一般の広域基幹林道につきましても後進地域の差額だとかいろいろなものがございます。したがいまして、一番上限は一般的には百分の六十五という補助率になっておりますけれども、高いところでは八一・二五%という補助率になるようなところもございますので、そういう点でわれわれとしても、現在の補助率を中心にいたしまして、さらに積極的な推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  34. 島田琢郎

    島田委員 そこで法案の中身について若干触れますが、先ほども指摘いたしましたように、国内林業、林産業はきわめて深刻な事態に立ち至っておる。それは造林、保育から素材生産、製材加工、流通に至る各部門を通ずる総合的な対策が強く望まれているところでありますが、その意味では、われわれは林業振興決議以来一貫してこの提案を続けてまいったわけでありますから、この法案はむしろ遅きに失したという感がするわけであります。  そこで、農林大臣が基本方針を定める、こういうことになっているわけでありますが、この法律全体を通じて基本方針がきわめて重要な役割りを果たしている、こういうふうに思われるわけでありますが、この際、基本方針を定めるに当たって大臣の基本的な考え方を伺っておきたいと思うのです。
  35. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 この基本方針は、法案にも書いてあるとおりで、これを定めなければならないわけでございますが、やはり林業経営の改善と国産材生産、流通の合理化というものを一体的に推進をする。そうして、いまあなたがおっしゃったように、いわゆる川上から川下に至る一貫した体質の改善を推進することによって林業国産材関連産業の振興に資することを旨として定めたいというのが、抽象的に言うと基本方針の骨子でございます。  具体的な内容については、本案の成立後に林政審議会の意見を聞くなど、専門家の立場から十分に議論をしてもらいたい、こう考えておりますが、現在私どもにおいて、こんなものが骨組みになるのじゃないかというようなことを参考に申し上げますと、まず一つとしては、林業経営の改善に関する基本的事項について、わが国林業経営が概して小規模で計画性を欠いているというようなことの事情等を考えていかなければならぬ。これに特殊事情というものを基本方針の中に十分に配慮をしていきたい。そのためには、所有している森林についての経営方針というものを明らかにしていく。また、伐採とか造林等の生産活動について、ただ思いつきで伐採されても困ることでありますから、これらの生産活動、造林、伐採は計画的にこれを進めるということを骨組みにしていきたい。それから、森林組合によるところの受委託の推進、これによってむだのない近代的な伐採、流通というようなものを考えていく必要がある。これらのことが、わが国林業経営が小規模であるから、その小規模なものに対処する内容としていってはどうか。  次に、第二番目といたしましては、国産材生産、流通の合理化に関する基本的事項について考えなければなりません。これにつきましては、国産材供給が小規模で断続的であって、外材に対する抵抗力が弱いということをまず頭の中に入れて、これを解消するためにはどうするか。まず、そのためには素材の生産及び取引の過程において、これが断続的でなくて継続的に、安定的にしかも計画的に行われるようにする必要がある。次には、国産材の製材加工については、これはきわめて近代的なロスのない体系を確立する必要がある。その次には、国産材の品ぞろえの機能等の強化を図って、市場においていろいろな多種目、大量の需要に応じられるような体制をつくり上げる必要がある。こんなことを基本方針の中で取り入れていったらいいのじゃないかということをまず提案をいたしまして、そして専門家の意見を聞いて、さらにそれを修正するなり充実するなり、あるいは物によってはそれは必要ないと言えば削る場所があるかもしれませんが、目下農林省として基本方針の骨組みとして考えているものはそんなことでございます。
  36. 島田琢郎

    島田委員 林政審に諮ってということでありますが、林政審の問題については、私どもはきわめて非民主的な運営がなされているということで、ここにかけていろいろ専門家の意見を聞くという姿勢には私は疑義を感じているわけでありますけれども、それはまた別な機会に譲らせていただきます。  次に、農林漁業金融公庫資金の特例について伺っておきますが、造林資金林道資金の現在の貸し付け状況というのはどうなっているのか。また、この資金についての借り入れ主体別の貸し付け状況はどうなっているか。つまり、私は大規模林家層の利用が多いのではないかと統計的には見ておるのでありますが、そういう状態にはなっていませんか。
  37. 角道謙一

    角道政府委員 農林漁業金融公庫の貸し付けの実績について御説明申し上げます。  農林漁業金融公庫の造林資金林道資金の五十二年度の実績は、造林資金について見ますと、大体六千二百件、金額にしますと約四百九十七億でございます。ただいまのは造林資金でございますが、これにつきまして主体別に見てみますと、都道府県あるいは市町村、造林公社、森林組合、農協等の公的主体の貸し付けが大体件数で八九%、金額で大体八六%と、その大半を占めているわけでございます。ただ、これらの資金森林組合の転貸もございまして、末端では会社あるいは個人に貸し付けられるわけでございますが、これらの私営造林について見ますと、大体中小規模の林家層の利用が大半でございまして、事業主体の個人が貸付件数でいきまして大体八六%、金額では五六%、この中で、経営森林規模が百ヘクタール未満のものは件数でさらに八五%、金額で六一%でございます。したがいまして、経営森林規模が百ヘクタールを超えるような個人、会社の造林資金の貸し付けの全体に占める割合は、件数では大体一三%、金額で一六%というような状況でございます。  次に、また、林道資金について申し上げますと、林道資金の五十二年度の貸し付けの実績は八百九十一件、金額にいたしまして四十五億七千五百万でございます。このうち、林業公社あるいは森林組合、農協等の公的主体に対する貸し付けは、件数におきまして八百四十三件、比率でいけば大体九五%でございます。また、金額におきましては三十九億六千五百万円、比率でまいりますと大体八六%と、ほとんどが公的主体に貸し付けられておる現況でございます。  このように、両資金とも公的主体なり中小規模林家層が貸し付けの大半を占めておりますので、現在の運用におきまして大規模経営に偏っておるということはないと考えております。
  38. 島田琢郎

    島田委員 そこで、今回の特例措置の運用が問題になるわけでありますが、いままでの公庫資金の使い方というのが、いま説明あった点でわかったのでありますが、しかし、今度特例措置が設けられますと、われもわれもと、こうなってきて、それが大規模林家層に偏っていくようなことがあっては、これは法の精神から逆行するものと言わざるを得ません。これに対する行政上の指導方針というのはおありでしょうが、お聞かせ願いたい。
  39. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま日本林業を営んでいただいておる方を見ますと、大半が中小規模の方が中心になっておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても、これからの林業を推進するためには、そういう方々が積極的に林業に取り組むという姿勢を持っていただく必要があるというふうに考えております。  そういう点で、今回の法案に盛り込んでおります精神は、積極的に林業経営に取り組む、その改善に取り組むという方々に対しまして造林資金あるいは林道資金の優遇というものを考えておるわけでございまして、規模の大小というものは基本的には考えておるわけではございません。ただ、いま申し上げましたように、日本林業の中心をなします方々が中小でございますので、そういう中小の零細林業者に対しましては森林組合あるいは林業改良普及制度、こういうものがございます。現地には普及員もおりますし、そういうものを十分活用いたしまして、改善計画等の作成あるいは所要な原資の借り入れ、こういうものの指導の徹底を図ってまいりまして、今回の特例措置の精神が十分生かされるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  40. 島田琢郎

    島田委員 つまり、非常に運用がこれから問題なのでありますから、この点についてのいまのような考えを基本に置いてしっかり行政指導をやってもらわないと、せっかくつくった法律が意味をなさない、こういうことになってしまいます。ぜひそういう方向でひとつ対処してほしい、こう思います。  また、この公庫資金の貸付枠というのはこれで十分なのかどうか。特別枠を設ける必要はないのだろうかという心配も一つあります。この点はどうですか。
  41. 藍原義邦

    藍原政府委員 貸付枠の問題でございますけれども、五十四年度におきます貸付計画額でございますが、造林資金につきましては、樹苗養成を除きまして六百四十三億ございます。これは対前年度一二五%の伸びでございます。それから林道資金は五十七億でございまして、対前年度の伸びが一五〇%というふうになっております。これはただいま御審議を願っております特例措置、こういうものの適用時期等を勘案いたしまして考えたわけでございまして、十分これに対応した資金であろうというふうにわれわれ考えておるわけでございます。
  42. 島田琢郎

    島田委員 次に、低利資金制度について少し聞いておきます。  国内林業振興を図る上で、国産材関連産業、これの体質改善や経営合理化を進めるというのは、これは大変大事なことでありますが、これまでこれら関連産業部門に対する助成策はだれが見ても不十分だった、こういうふうに思うのです。今回これらの部門を対象に新たな融資制度を創設するということは大変結構なことだと思いますが、一体国産材外材を同時に扱っている場合なんかどうするのか。国産材を扱っているところが主体だと言いますが、分けますと、国産材専門のところ、それから外材専門のところ、それから国産材外材を同時に扱っているところ、この三つに分けられますね。その場合の一番最後に言った、外材も同時に扱っているところのそういう事業主体は一体どう取り扱っていくのか、ここのところが大変大事だと思うのです。何%までなのか。全くそれは対象にしないのか。何%までという何かの限度がないと、国産材をちょびっと扱っていても、おれのところは貸付対象になるんだと言って、外材の方のシェアも抱き込んでこの対象になるというようなことになりますと、これはなかなかまとまりがつかない話になりますね。これはどう考えているのですか。  それから、一緒に答えてもらいますが、一件当たりの貸付限度額というのは一体どれぐらいに考えているのか。また金利でありますけれども、どの程度のものを考えているのか。それから金利の算定根拠というのは、どんなふうな考えのもとにこの金利を設定しているのか。また末端貸し出しに当たっての金利をどのように担保するのか。果たして林野庁の定める金利以内での貸し出し実行が確保できるかどうか、この保証はありますか。  もう一つ、市中の実勢金利が変動した場合、末端貸出金利はどうなっていくのか。実勢金利が変動するたびに末端金利が動き回るようでは、きわめてこれは不安定ですね。こういう点の金利上の問題というのはどのようにお考えになっているのか。五つほどまとめて質問いたしましたが、まとめてお答え願いたいと思います。
  43. 藍原義邦

    藍原政府委員 御指摘になりました外材国産材の扱いの度合いでございますけれども、私どももこの辺は十分配慮しなければいけないというふうに考えております。特に最近、三分の二が外材でございまして、国産材オンリーをひく会社というのは非常に数量が減ってきております。したがって、国産材オンリーの事業体だけというわけにはまいらないというふうに考えておりまして、一応いまの段階では、五割程度以上のものを対象にして考えていきたいというふうに思っております。  それから一件当たりの貸付限度額でございますけれども、この限度額を設定することが私どもとしても必要であろうというふうに考えておりますけれども、具体的な数字につきましては、資金需要実態を考慮いたしまして、できるだけ早い機会に財政当局とも詰めてまいりたいというふうに考えておりまして、いまの段階では大体五千万ぐらいではなかろうかというふうに考えておりますけれども、さらに詰めてまいりたいというふうに思っております。  それから金利の問題でございますけれども、どの程度のものを考えておるかという御質問でございますが、短期の運転資金につきましては五%、それから長期の運転資金につきましては六・三%、設備資金につきましては六・五ないし六・八というような形で考えていきたいというふうに思っております。  それから算定根拠は、後ほど林政部長の方から御説明申し上げます。  それから、実勢金利が変動した場合に末端の貸出金利はどうなるかという御質問でございましたけれども、その都度都度これを変更するということはわれわれとしても非常に事務的にも望ましくないというふうに考えておりますけれども、やはり市中の金融機関の実勢金利あるいは資金コストの動向、それから他の制度金融の動向、こういうものを十分勘案の上対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  44. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 ただいま長官が御説明いたしました金利の算定の考え方について御説明いたします。  この制度の仕組みは先生も御承知かと思いますが、都道府県が林業信用基金から低利の金を借り受けまして、それを市中金融機関に預託いたします。預託いたしますと、今度は市中金融機関がその低利の金と自分のところで調達いたしました資金と両方合わせてプールいたしまして、金利を決めて、それぞれ流通、加工業者等に対して融資をいたすわけでございます。したがいまして、その貸し付けの金利は、一つは、都道府県から借り受けました、その預託を受けました資金の何倍の資金を使って融資するか、いわゆる協調融資倍率と申しておりますが、私どもこれを一応三倍というふうに考えております。したがいまして、都道府県が市中金融機関に預託しますその金利が一%を考えておりまして、それに対して三倍で造成いたします資金、これはそれぞれ金融機関が資金コスト、短期資金長期資金、それぞれの資金コストがございます。それをあわせまして計算いたしました金利がそれぞれ、ただいま長官が御説明いたしました、短期運転資金につきましては五%、長期運転資金につきましては六・三%、それから設備資金につきましては六・五ないし六・八、かようなことになるわけでございます。したがいまして、これは市中金融機関のみずから調達いたしました資金のコストと、政策的な金融の資金とプールしておりますので、御案内のように最近のように公定歩合の引き上げ等があり金融が引き締まりまして、民間市中金融機関の調達資金コストが高くなりますと、これは若干、ただいま長官が御説明いたしましたこの貸付金利も上がってくることもあろうかと思います。これはもちろん直ちに短絡するわけではございませんで、他の金融機関の動向、それから民間の金融機関の資金調達コストの動向等を見きわめて決めることになるわけでございます。  それからなお、これの実行をどうやって担保するかというお話でございましたが、一つには、民間に都道府県が預託いたします際にきちっと契約で、これこれのそれぞれ政策的な、特に低利で預託するわけでございますから、政策的なこちらの希望する金利で貸してもらうということをはっきりと取り決めるわけでございます。それからまた融資の実行の状況につきましては、毎月各金融機関から実績の報告を都道府県が徴することにしております。そのことを通じてもチェックいたしますし、またさらに、多くの場合これにつきましては林業信用基金が債務保証をつけることになると思いますので、林業信用基金を通じてもその実行状況は確実にチェックできる、かように考えておるわけでございます。
  45. 島田琢郎

    島田委員 その信用基金の問題でありますが、今度の制度では都道府県への資金の貸し付けというのは林業信用基金が行うようになっているわけでありますが、そうなりますと、県は国と林業信用基金の両方から二重に監督を受けるようなおそれはありませんか。そうすると二重行政の弊害、こういうことになる危険性がありますが、この点はどうですか。
  46. 藍原義邦

    藍原政府委員 信用基金を通じまして県に貸すという形にしておるわけでございまして、いま先生の御指摘のような御心配もあるのかと思いますけれども、信用基金は県別にそれぞれ国が配分計画を決定いたします。それに従いまして貸し付け事務を行うという形になるわけでございまして、国が都道府県を監督するような監督的な立場でこの業務に関与するという形ではないわけでございまして、そういう点からは二重監督行政になるという心配はないというふうに考えております。  また、信用基金を活用することによりまして県の事務が煩瑣になるというようなことのないように、その制度の運用に当たりましては十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
  47. 島田琢郎

    島田委員 屋上屋を重ねるようなそういう二重行政というようなことになりますと、末端の方は迷惑するばかりでありますから、そういう点では十分配慮が必要だ、こういうふうに思います。  それから、初年度の融資枠は二百五十億ですね。そうすると、県別の融資枠の配分というのはどのようにやろうとお考えになっているのですか。それから、その基準についてもどうお考えになっているか聞きたいと思います。十分各県の資金需要に対応し得るような融資枠の確保を図るべきではないかと私は思うのですが、そうなりますと、二百五十億でいいのかという問題は当然出てくると思います。これは予測でありますけれども、ことしの実態を正確に踏まえていかなくてはならないわけですけれども、次年度以降の融資枠の拡充ということだって当然あり得ると思うのです。将来どの程度まで融資枠というのは拡大されると見込んでおられるのか、その点についても伺っておきたいと思います。
  48. 藍原義邦

    藍原政府委員 融資枠の配分につきましては、やはりそれぞれの県の資金需要実態、まずこういうものを把握しなければいけないと思っております。全体の融資枠等を総合勘案いたしまして、県のそれぞれの需要というものを見きわめながら配分してまいりたいというふうに考えておりますが、配分に当たりましては各県の国産材生産及び流通の合理化の進捗状況、あるいは素材生産量、また国産材の素材の需要量の推移、こういうものを十分勘案して調整していかなければいけないと考えております。  それから融資枠の問題でございますけれども、現在、昭和五十四年度は十月から実施する予定にいたしておりますので、五十五年につきましてはさらに二百五十億程度の貸付枠の追加というものが要るであろうと思いますけれども、五十六年度以降は、今後この運営が具体的にどうなっていくか、その動向を十分私ども把握して勘案してまいりたいと考えております。
  49. 島田琢郎

    島田委員 この法案ができる段階ですでに各県にどれぐらいの需要希望があるのかというふうなことはしっかりつかまえられた上で二百五十億という金額がセットされているのだと私は思うのです。ことしの場合は半年分でありますけれども、来年は倍にするんだ、その程度のことで果たして各県の需要に応ぜられるのかどうか、はなはだ疑問であります。私に言わせれば、どうもやることが——きっとあるのだろうと思うのですが、明らかにできない何か特別な理由があるのかもしれませんけれども、もうこの制度ができ上がる以前から一体各県でどういう状態になっているかというのを正確に把握してないで法案を出してくるというのもおかしな話ですね。そういう先の見通しのないそんな法案ではないと私は思って、かなり善意に受けとめていたのでありますけれども、その問題についてはまた別な委員が質問をすると思いますから、次に進みます。  最後に、国有林関係の問題について若干触れておきたいと思うのです。昨年制定されました国有林野事業改善特別措置法によって、一般会計から国有林野事業特別会計への繰り入れの道が開かれたわけでありますけれども、一般会計からの繰入額は現状ではきわめて不十分だと私は思っているのですよ。いままで述べてまいりましたように、あるいは大臣と私の考え方が一致するように、森林の持っております公益的機能、こういう点に着目をしてまいりますと、もっと一般会計からの繰入額というものは拡大していかなくては、とても大臣がおっしゃっているような、あるいは白書で述べているようなこういう事態を解決することはできないと私は思うのですよ。これは農林大臣の応援になりますけれども、大蔵省に対してももっと積極的にこれらの繰入額の拡大を図っていく、こういう積極的な姿勢が望まれると私は思うのですが、気構えのほどをまず承っておきたいと思います。
  50. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 国有林野特別会計への繰り入れにつきましては、私はこれで十分であるというようには思っておりませんけれども、しかし、五十四年度の予算におきましても総額で約八十億円、前年度の二倍というふうな大幅な繰り入れの増大を実はやっておるのです。特に今回は、先ほど言ったように公益的機能というものが林野にはあるのですから、どこでも切っていい、もうかりさえすればいいのだというわけにはいかない、したがってそういう点は一般会計でめんどうを見るのが当然じゃないかという交渉をいたしまして、保安林等につきましても、保安林の保育に要する経費というようなものも一般会計の対象にことしからしておるわけです。  また、林道の利用の問題でございますが、これは大きな利用という場合でなくて、約千五百ヘクタールぐらいの支配面積のところから千ヘクタールぐらいの小さな支配面積に通ずる林道であっても、これは一般会計である程度見なさい、こういうことにいたしましたり、一般会計の繰入率も改善を実はやってきておるところでございます。  したがいまして、今後とも私は、ただ一般会計に皆ぶら下がるというわけにいきませんが、極力自分の経営努力によって編み出される部分は経営努力によって編み出していただきますが、しかし、それでもなかなかいろいろな別な公益的目的のために切るべき年齢に達した木も切らせない、保存さしておくというようなものについては、当然管理費もかかるわけですから、こういうものは一般会計で見てもらうように努力をしていきたいと思っております。
  51. 島田琢郎

    島田委員 それから、基幹作業職員の任用の問題でありますけれども、いまのような退職見合い程度のわずかな任用数では、有資格者が三千六百人以上もいるのでありますから、いまのテンポでいったら十数年もかかっちゃいますね。こんなテンポののろいことじゃどうにもなりませんし、また、林野庁におきます労使間の交渉経過から見ても、これはおかしいと思うのですよ。五十四年度の補正予算で基幹作業職員の立目人員数を拡大する、こういうことも含めて大臣はもっと積極的に最大限の努力を払うべきだと思うのですが、この点については大臣のお考えいかがです。
  52. 藍原義邦

    藍原政府委員 基幹作業職員制度というものが発足いたしまして、私どもも、これからの国有林で働きます作業員の方々の身分の安定と申しますか、雇用の安定と申しますか、そういうものは十分図っていかなければいけないというふうに考えております。そういう点で基幹作業職員の任用につきまして、鋭意組合とも話し合いをしながら対応をしておるわけでございますが、いま御指摘ありましたように三千名余の方々が現在任用されていないということで、ただいま労使間でこの折衝もされておるわけでございます。ただ、最近におきます直用事業の能率性の動向、高齢者の退職動向、こういうものを私どもは勘案しながら対応していきたいと考えておりまして、これらの見通しがテンポとして少しずれましたので、当初考えておりましたものよりも繰り入れのテンポがおくれておるわけでございます。しかしながら、いま御指摘のありましたように、五十四年度の補正あたりでこの立目人員を変更したらどうだという御指摘でございますけれども、これは私どもとしても非常に困難であろうというふうに考えております。ただ、いま申し上げましたように、作業員の身分というものは十分安定しなければいけないというふうにわれわれも考えておりますので、今後、先ほど申し上げましたような生産性の問題あるいは老齢者の退職の問題、こういうものを十分推し進める中におきまして積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  53. 島田琢郎

    島田委員 ところで、農林漁業金融公庫資金については、今回の法案によって償還期限、据え置き期間が延長されるわけでありますが、このような特例措置の必要性というのは何も民有林に限ったものではなくて、国有林でも共通する問題でありますが、なぜ国有林について同様の措置がとれないのか、この辺のところは大臣いかがです。
  54. 藍原義邦

    藍原政府委員 まず初めに民有林と国有林でございますが、先ほども申し上げましたように、民有林は大半の方々がやはり中小の零細な方々でございます。そのために林業そのものも、経営はしておられますけれども、これが通年的に継続する形ではなく、どうしても断続するというような形もございます。それに引きかえて国有林の場合には、国土の二割近い相当の面積を持ちまして大規模にやっておりまして、そういう観点から見ましても、規模あるいは性格という面から判断いたしましても、一般の民間の林業国有林とは性格の違いがあるというふうにわれわれ考えておりますし、また、国有林資金運用部の資金を借りておるわけでございますが、この償還期限及び据え置き期間につきましては十分優遇されておりまして、現時点におきましてこれをさらに緩和するというのは非常にむずかしいというふうにわれわれは考えております。
  55. 島田琢郎

    島田委員 私は、概括的に、今回の法案をめぐります林政全般にわたっての問題の提起を行ったわけでありますが、林業白書を見てみますと大臣は、大臣の性格なんでしょうけれども、甘えの構造は許さない、こういうものに貫かれている、そういう感じであります。私はその言わんとすることについて全面否定するものではありませんが、しかし、甘えを許さぬという前に、今日こういう状態になったという政府の責任というものをやはりきちっと明確にしなければ、これは納得せぬと思うのです。ですから、その点について今度の法案を契機にして、林野当局あるいは農林省全体の十分の反省がなくてはいけない、私はこう思うのです。活力ある山づくり、こういうスローガンだけ掲げても、それだけでは問題の解決はなし得ない。十分の反省をしながら、どこに問題があるのか、そしてどれをどのようにやっていかなくてはいけないのか、そういう具体的な着実な行政の目標を示しながら、その上に立って協力を求めていく、そういう姿勢に立たなければ、今日の山を国民のものに取り返すことはできない、私はこう思うのです。  そういう点に立って考えますならば、今度出されました法案一つ意味を持つものであることについて、私はこれを評価しますが、しかし、根底にあるものは、農林省自身が、いや政府自身が山をどういうふうにしていくのかという基本的な考え方というものをしっかりと国民の前に明らかにする、こういうことでなければいけないと私は思うのです。  その点について、最後に大臣の率直な見解を承って私の質問を終わりにいたしたい、こう思います。
  56. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 林野庁も一生懸命やってはきたのですが、いろいろ御批判を受ける点も多々あるだろう、私はこう思っております。特に民間の人から見ると、林野庁は国有林野庁じゃないかなんというような御批判も受けております。よく森林組合の大会なんかに参りますと、国有林のことでは非常に御熱心だけれども、民有林のことはめんどう見が足りないとかそういうような御批判もあることも私はよく承知をいたしております。  一方、国有林関係でどういうことが言われるかというと、いままでややもすると労使のごたごたのようなことだけが表に出て、それで幹部も労使の問題だけで、本当の事業内容の問題とかそういうことについて労使双方の話し合いがきちんといっていないというような点もあるだろうと私は思います。最近はかなり組合の方も、このままではとてもやっていけないというような自覚もして、認識もしていただいて、一緒になってひとつ何とか立て直しをしなければならぬというような空気でございますから、われわれはこういうようないい点は助長をして、やはり一緒になって、国有林の問題については、いろいろ御指摘のような点等も含めて、経営の改善、経営の健全化というものを私は図っていきたい。  それから、特に民有林の問題については、この法案等も契機といたしまして、やはり山づくりということは日本国土の崩壊を防ぐという非常に公益的な機能がありますから、こういうものも特に政府としては力を入れていかなければならぬし、また経営の問題についてもいろいろな手段を講じまして、林業家が意欲を持ってやっていけるような措置をきめ細かく手当てをしてまいりたい、かように考えております。
  57. 島田琢郎

    島田委員 終わります。
  58. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 野坂浩賢君。
  59. 野坂浩賢

    ○野坂委員 林業等振興資金融通暫定措置法案の内容についてこれから審議していきたいと思います。  大臣にお尋ねをしますが、あなたの提案理由の説明の中で「最近におけるわが国林業をめぐる諸情勢はきわめて厳しいものがあり、木材需要の伸び悩み、外材の進出、経営コストの増大等により、林業の収益性は著しく悪化しております。このため、伐採、造林その他の林業生産活動は著しく停滞し、また、国内木材生産、流通を担う事業体も弱体化しつつあります。これらの動きが今後とも続けば、国内木材供給力はさらに低下し、将来にわたる森林資源の整備充実に支障が生ずるばかりでなく、国土保全等の公益的機能の低下すら懸念されます。」そういう演説をされました。「このため、当分の間」こういうものをやるのだということであります。  「当分の間」というのはいろいろ解釈がありまして、一年か二年かというと、当分の間ということだけではよくわからぬのですが、大体具体的にその当分の間というのは何年ぐらいを農林大臣考えておるのでしょうか。
  60. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 これは、当分の間というのは本当に伸びも縮みも普通するものですから、非常にそういう点で不安な点があろうかと存じますが、私といたしましては、戦後植林もいろいろいたしておりますが、それがまだ伐採期に達していないというような点等も考えて、大体二十年間ぐらいかなというように考えております。
  61. 野坂浩賢

    ○野坂委員 わかりました。これからの森林造林計画等の二十年と合わせて大体それに合わせよう、こういう考え方だろうと思うのであります。  さらに、説明の三番目に、この法案は、先ほどもありましたように、川上から川下までやるのだが、この中では合理化を進めていくのだ、こういうことが書いてあるわけであります。この合理化の内容というのは一体どういうことを指しますか。
  62. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま御指摘になりました合理化といいますのは、やはり新しいこの金融制度を利用していただく方々が、これからの国産材振興というものを中心にいたしましてそれぞれの経営を近代化し、経営改善をしていただく必要がございます。そういう一つ目標に向かってやられる方々に対してこういう制度を設けようというふうに考えておりまして、そういう点で、合理化計画の内容といたしましては、事業経営の現状、あるいは事業経営上の問題点、さらには事業経営の合理化の基本方針、また事業計画資金計画、こういうものを中心にいたしました合理化計画をつくっていただこう、そしてそれを、大臣が決めます基本方針と合致いたしますものについては十分県で検討していただきまして対応してまいろうというふうに考えております。
  63. 野坂浩賢

    ○野坂委員 大臣がお決めになります基本計画というのは、先ほども、一応の案をつくって林政審議会にかけてその答申を得てやりたい、こういうことであります。この法律の三条にも書いてありますように、林業経営の改善計画というものが出されております。そうしますと、いま同僚議員が質問しましたように、いままでの融資は、大体大規模の森林所有者は一三%程度しか融資はしてなくて、あとは大体小規模経営者なのだということでございましたけれども、いま言われたように、近代化のための事業計画資金計画、あるいは企業経営の基本方針、そういうものを立てるということを県に出して、県がそれを認定するということになっておりますけれども、非常にむずかしくて小規模の事業経営者というものはこれを使わない、使えないという結果になるのではなかろうかと思うのですね。たとえば、農業の場合でも、いろいろと書類が多過ぎてなかなか使えないというのがいつも言われておるわけですから、これまたむずかしくて、大規模森林所有者はできますけれども、たくさんの従業員がおりますから。小規模の方々、三町や五町の人はめんどうだというかっこうでこれが使えないというかっこうに現実にはなるのじゃなかろうかと心配するのですが、その点はどうでしょうか。
  64. 藍原義邦

    藍原政府委員 御指摘になりましたように、私どもも、せっかくのこの制度が十分活用されないということになりますと非常に問題でございます。まして日本林業の中心になっていただいております中小の方々がこれを利用されないということになりますと非常に問題でございます。そういう点で、先ほども申し上げましたように、こういう改善計画等の計画をつくっていただく趣旨は、やはりその経営の改善の努力を前向きに姿勢として示していただくというのがねらいでございますから、その辺は十分考えながらそれぞれの認定をするように都道府県を指導してまいりたいというふうに考えておりますが、あわせまして、森林組合あるいは改良普及関係の組織、こういうものを使いまして、十分そういう方々にもPRをし、また指導をするということで、その辺の徹底を十分図って粗漏のないようにしてまいりたいというふうに考えております。
  65. 野坂浩賢

    ○野坂委員 大臣も御指摘になりましたが、特に小規模の森林所有者、経営者というのは断続的であって、継続的にやはり出荷なり伐採その他ができないという御指摘があったのです。森林組合全体でながめてみて、それをお世話をして、渡辺君はこの程度、藍原君はまあこの程度でやれという協議をして、一切をお世話をしていただくということができるでしょうか。森林組合に参りますと、いまごろの森林組合はなかなか経営も困難で小さなものにかまけていられないというような風潮が見られるように思うのですね。その点についてはその森林組合が責任を持つということになりますか。
  66. 藍原義邦

    藍原政府委員 御指摘のように、森林組合については確かに弱体のものも相当ございます。したがいまして、その辺につきましては、不安感がないわけではございませんけれども、県を通じまして十分指導をして、森林組合等を中心にいたしまして指導の徹底が図れるように私どもも指導してまいりたいというふうに考えております。
  67. 野坂浩賢

    ○野坂委員 この初年度の融資枠二百五十億円ですね。それは十月から実施をされるわけです。それで、いままでの農林予算は、皆さんは非常に積み上げ方式で、要望事項があってそれをまとめて、これは予算をたとえば一一九%以上は要求できないよと大蔵当局が指摘をしますから、それを突き破るために努力をされますね。この二百五十億は十月からですけれども、そういうような計算をして積み上げられたものだと思うのですね、半年分ですけれども。だからその場合には、大体何町歩、何町歩、何町歩というかっこうで分けて出されるものなのか。そうしないと、大規模の経営者だけがきわめてスムーズに書類作成をして借りていくという懸念があるわけですが、その点についての分け方をちょっと具体的に、林野庁としての考え方をお示しいただきたいと思います。
  68. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま御指摘になりました二百五十億というのは、融資制度の新しい制度の問題でございますけれども、これにつきましては、現時点ではどういう枠組みで、いま先生が御指摘になったような大きな者と中ぐらいな者と小さな者とどういうようにするかというところまで詰めておりませんけれども、先ほどもちょっとお答え申し上げましたが、やはりある一定の限度は設けなければいけないというふうに考えております。  それから、この資金を使う方が製材業あるいは加工業、さらには市場関係の方ということでございまして、大半が中小に該当する方でございまして、いま御指摘になったような心配はわれわれもそうないというふうには考えておりますけれども、それにつきましてもやはりある程度の限度は設けてその貸し出しはしていきたいというふうに考えております。
  69. 野坂浩賢

    ○野坂委員 考えていただいて貸し付けを行われるわけですが、限度額というのは五千万ということをお考えになっておるわけですし、いま国内産材外材も両方やっているのがほとんどですからね。そういう状況からして分けてやっていただきたいし、山の問題についてもちゃんと分けてやっていただきたいと思います。そういうことを特にお願いしておきますから、そういう基準が示されましたら私どもにもいただけますね。それは後で立つときに一緒に答えてください。  それから、たとえば林道ですけれども林道等についても百分の四十五から百分の六十五ぐらいまでありますね。三分の二というのもあります。これは林道をつくるとき補助金を出すということなんです。長官は山を歩かれたことは何回もあろうと思うのですが、県道なり、あるいは国道沿いに山のある山持ちさんというのは大体大規模の森林所有者でございます。奥地に行くほど国有林と小規模の森林所有者なんです。林道をつけますときに、大森林所有者の場合はすぐ道路に出ますから林道が要らないわけですよ。奥地に行くほど小規模所有者が多い。林道をつけるときに問題になるわけです。いまは土地代金というものは補助対象になっていないのです。県道でも町道でも、あるいはもちろん国道でもですが、その用地取得の金が一番問題になるわけですね。そのためになかなかつけにくいのです。そういう用地買収費というものもこれから考えていかなければ、結局、小規模の森林所有者のことを、いつも国会では弱い者のためにあるという立場から言われるのですけれども、現実はみんな強い者だけが得をしておるということになるわけですよ。あなた方の志と違って現実はそういうことになっておるわけですが、そういう点についてはやはり考えていかなければならぬじゃないかということを、山を歩くたびに思います。特に最近、地方選挙で山の中をずっと歩きましてその感を一層深くしたのですが、それについては、林道の用地買収についても適正な値段として考えなければならぬじゃなかろうか、こう思うのですが、どうでしょうか。これは大臣にお聞きした方が力強いからいいじゃないかと思うのです。
  70. 藍原義邦

    藍原政府委員 初めに先ほどの、これからの二百五十億のあれについての今後のいろいろな事務的な整理ができました段階におきましては、また十分この点について御説明いたします。  それから林道の問題でございますけれども林道につきましては、いま御指摘になりました国道、県道、そういう公道とは一般的にはやはり考え方が違うというふうにわれわれは考えております。と申しますのは、国道、県道、市町村道、こういうものはやはり不特定多数と申しますか、一般の国民のための道路でございますし、林道ということになりますと、やはりその森林を持っている所有者にそれ相応の利益が還元されるわけでございまして、そういう点では、産業基盤としての性格がございますので、一般の公道、県道とは大分性格が違うというふうに考えておりますが、最近やはり林道についても用地補償をしてほしいという声が非常に出てきております。したがいまして、私どもも検討会を設けましてこういうものの検討をしていただいておるわけでございますけれども、やはりこういうものを負担する場合にはこれからの林道整備のあり方というものを基本に考えなければいけませんし、そういうものを基盤にしながら、用地補償というものをどうとらえていくか、またする場合にはどの程度のものをするのか、どういうところをするのか、十分検討を進めていかなければいかぬというふうに考えておりまして、目下鋭意検討を進めておる段階でございます。
  71. 野坂浩賢

    ○野坂委員 たとえば県道を認定する場合、県道がここにありましてもう一つどうしても生活道路が欲しいという場合は、町道をつけまして舗装をして、そしてこれを県道認定する。道路法の五十七条ですか、網の目状で並行した場合いかぬとか、いろいろ法律がございます。そういうことから、林道をつくってやはり町道にしなければ後の維持改善ができないですね。だから、生活道路から公道になっていくという姿が非常にあると思いますが、それは何%ぐらい林道から町道なり県道になったのがありますか。
  72. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま数字を調べます、ちょっとお待ちください。——パーセントはいまちょっと出しておりませんけれども、四十六年から五十二年の約七年間でございますか、この間に公道へ移管されたものが三千八百キロございます。
  73. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それは何割になりますか。
  74. 藍原義邦

    藍原政府委員 現在九万四千キロばかりの林道がございます。したがいまして、それで比率を出しますと四%ぐらいかというふうに考えられます。
  75. 野坂浩賢

    ○野坂委員 ありがとうございました。  そういうふうに林道も生活道路になりつつあるわけです。山に行きましても、普通林道なんかは舗装してない場合はほとんど通れなくなってきまして、だれが維持修繕をするのかということがわからなくなって、町もようしないし、部落もようしない、そういうことになりがちなんです。だから、その維持修繕のことは町にお願いするよ、つくるときだけだよという条件をあなた方はつけられますけれども、そういう林道という、受益者のためにつくったのだから当然受益者がやるべきだということになるでしょうけれども、ある程度維持修繕についても十分配慮してもらわなければ、無籍道路になって、せっかくつくったものが生きてこないということが公道にならない場合はあり得ると思うのです。それに対する考え方なり維持修繕に対する意見はどういうふうにお考えだろうかと思うのであります。  それからもう一点、用地取得費については検討中ということでありますが、これはぜひやってもらわなければ、何年検討されたのか知りませんが、ことしぐらい結論を出して前向きに善処する、そういう答弁をしてください。
  76. 藍原義邦

    藍原政府委員 林道の維持管理につきましては、確かに御指摘のように十分維持管理をしていない林道もあるかと思いますけれども、現在、維持管理につきましては、地方交付税の中に積算されております。幅員が四メートル以上のものにつきましてはメートル当たり百八十円、一・八メートルから四メートル未満のものにつきましては百円という形で交付税の中に一応算入されておるという形で、こういう中で市町村を中心に維持管理をしていただくという形になっております。  それから、先ほどお答え申し上げました用地の問題でございますが、私どもも、そういう要望が年々強くなっておりますので、できるだけ早い機会に結論が得られるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  77. 野坂浩賢

    ○野坂委員 余りこの問題にかかわっておってもいかぬのですが、百円や二百円は、それで維持修繕ができるとは思わぬですね。それはやっておるのだからいいじゃないか、こういう考え方では、これはできません。それに交付税というのは自由に使えるというふうに地方交付税の法律の三条にも四条にもちゃんと書いてありますから、そうするとわかりませんから、その点についてはちゃんと別に出せばいいじゃないですか。交付税の中に入っておる。そして、あげるならもっとはっきり明記して、百円でやれなんということは、とってもできません。これはけたが違うのじゃないかといま耳を疑っておるのですけれども、交付税の算定の基礎になる、だから当然だということで——藍原長官はいまの地方財政御存じないかな。地方財政は余って困っておるのじゃないのです。国以上に苦しいのです。そういう中でこれでやれというのは当然だとお考えですか、無理だとお考えですか、どうです。
  78. 藍原義邦

    藍原政府委員 林道ばかりでなく、いろいろな施設の維持管理というのは、やはりその施設所有者が維持管理するのがたてまえになっておりますし、そういう点で、林道については特にやはりいろいろな問題がございますので、交付税の中でも算定されておるというふうにわれわれ理解いたしておりまして、必ずしもこれが十分であるというふうには私も申し上げませんけれども、そういう形の中で鋭意それぞれの林道の管理責任者が林道の維持管理をしていただくというふうに現在のたてまえにもなっておりますし、そういう御努力をしていただきたいというふうに考えております。
  79. 野坂浩賢

    ○野坂委員 議論はこのぐらいでやめますけれども、議論する者は楽ですけれども、やる者は大変なんです。もっと考えていただかなければならぬと思います。自治省にも言っておいてください。  いまお話があったわけですが、外材はいま国内用材の三分の二ですね。こういうことでやられておる。国産材振興のためにこういう法律も出てくるわけですね。今度東京ラウンドで調印をされて、関税引き下げが行われることになったのです。それはなぜそういうふうになったか、そしてどういう影響を持つのか。一方外材がどんどん入って、これは大変だ。そして林業白書にも、そういう規制はしない、耐えてがんばれということだけ「むすび」に書いてあるわけです。規制もやらぬし、関税は引き下げた。国産材はそれに対応するような努力をしなければならぬ。そう言っても、そういうことでどんどん入れるような条件をつくるというようなことは、国産材振興に大きな影響があるのじゃないか、私はまずそう思いますね。その点については林野庁長官としてはどうお考えですか。
  80. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま御指摘の関税の問題でございますけれども、MTNの交渉の中で木材につきましても関税の交渉が相当厳しく行われまして、     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 現在、木材について見ますと、丸太はキリを除きまして大半のものが無税で入る形になっておりますし、製材につきまして特殊なものを除いて、たとえば松類等々の百六十ミリメートル以上のものについて関税はかかっておりまして、大半のものが無税、裸のような形になっておるわけでございます。そういう点で、私どもといたしましても、日本林業が現在こういう状況でございますし、国内木材需給が必ずしもつり合った形で行われておりませんので、現在設定されております関税につきましては極力現状維持をしたいという考え方で対応したわけでございますけれども、米国あるいはカナダ、ニュージーランド、東南アジア、こういう諸国から、林産物につきましての即時かつ大幅な関税の引き下げの要求が相当強い形で行われたわけでございます。そういう中で、私どもといたしましても、どういう品目を選択したらいいのか、あるいは引き下げ幅はどのくらいにしたらいいのか、また、下げる時期はどうしたらいいか、この辺は十分慎重に配慮いたしまして交渉をしてまいりました。  そういう中で、松類につきまして関税の引き下げを一部行う、それから普通合板につきましても六ミリ以上のものにつきまして一部の関税の引き下げを行うということにしたわけでございますけれども、こういう点もやはり国内林業に影響のないように、その辺は十分配慮して考えまして、実施時期等につきましても一九八四年からという形で、その間に十分そのくらいの対応ができるように、国内の対応ができることを見通しまして、実施の時期等も考えて交渉したわけでございます。  ただいまそういう観点から、国内木材需給というものはやはり外材に非常に左右されますので、短期的問題として、国内におきます木材需給というものを計画的に安定的に外材が入るような形で抑えるという必要はございます。そのために三カ月単位木材需給というものを関係者寄り集まりまして検討し、それを公表し、さらにその結果をチェックするという形で、昨年の十月から繰り返しやっておりまして、今後もそういう形の中で秩序のある安定した輸入がなされるような指導は確保してまいりたいというふうに考えております。  同時に、一九八四年までの間に日本林業がさらに基盤の強いものになるような、構造改善事業等々を中心にいたしました林業の推進等々を含めいろいろなもろもろの施策を行いながら、すでに相当な部分が裸でございます林業でございますし、さらにこれからの問題についても十分対応できるような施策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  81. 野坂浩賢

    ○野坂委員 先ほど島田君も質問したのですが、この三分の二と三分の一の状況ですね。松属の製材とか合板については一九八四年ですが、その他も全部そうですが。それと一九八四年までにはどういう体系になるのか。あなたがお考えになっておるその道程はこの東京ラウンド交渉との密接な関係があろう、こう思いますので、国産材外材との比較は一九八四年を山にして計画はされておって、そして国産材が十分やり得ると判断されて、八四年からやる、合板や松製材もそういうことになったのだろうと思いますが、その具体的な内容と数字を説明してもらいたいということが一点。  それから外材の丸太については裸だ、こうおっしゃった。国産材についてはどうなんですか。木材引取税は標準税率はたしか二%くらい取っておるのじゃなかろうかと思うのです。これについては是正していかなければならぬじゃないかというふうに思うのですが、それについての考え方ですね。国税の場合、あなた方の出された林業白書にこれについてはいろいろ書いてありますね。適用期限を二年延長するとかそれを項目でずっと書いてありますが、こういう引取税についても考えていかなければ対応できぬではないか、こういうふうに思うのですが、その点はどうです。
  82. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほどの関税の問題でございますけれども、さっき申し上げましたように、日本木材需要の大宗を占めます杉、ヒノキ、こういうものに見合うアメリカから参ります米ヒバ、米杉、米松等については関税がかかっておりませんので、すでに裸の状況でございます。したがいまして、今回問題になりました松属というのは主としてニュージーランド、アメリカの一部という形でございまして、全般といたしますれば日本木材需給にさほど大きな影響は及ぼさない。ただ、松が主体になっております岩手県あるいは愛媛県ですか、一部の地方にそういうところもございます。そういう点ございますので、その辺はわれわれも十分配慮しながらさっき申し上げたような形をとったわけでございます。  それから国産材にかかっております木材の引取税でございますけれども、これにつきましても従来からこれを廃止せよという声もございます。しかしながら、一方では、一部の山村におきましてはこれが非常に地方の財源になっております。したがいまして、その辺が非常にむずかしい問題でございますし、これを廃止してそれにかわる財源というのもなかなか見出せないということで、この廃止もなかなか踏み切れない状況になっておりますが、私どもといたしましても、確かに外材にかかっていないで国産材だけにかかるという点については問題もあろうと考えておりまして、この問題についても鋭意検討は進めなければいかぬと考えておりますが、片やそれだからといって外材に課徴金がかけられるかということになりますと、先ほど申し上げましたように、外国から、日本木材のいいお得意さんだということで非常に強烈な輸入の圧力がございます。そういう中で外材に強権的な発動をするということは非常に国際的にも問題があるということで、これは非常にむずかしい問題だとわれわれは理解いたしております。したがいまして、今後この国産材にかかっております木材引取税については、どういう方法で取っていくのか、非常にむずかしい問題もございますけれども、ただいま問題になっております一般消費税等の問題がございます。もしそういう問題でも出た場合には、それとの関連において十分対応してまいりたいというふうにも考えておる次第でございます。
  83. 野坂浩賢

    ○野坂委員 三十分で終われということですので、これで午前中の質問を終わりまして、午後質問しますが、劈頭に林野庁長官から、一九八四年国産材は対応できる、こういうことでありますから、それの年次別の計画の数字を発表していただいてそれから質問に入りたいと思います。
  84. 佐藤隆

    佐藤委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十八分休憩      ————◇—————     午後二時三十四分開議
  85. 佐藤隆

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。林野庁長官
  86. 藍原義邦

    藍原政府委員 午前中先生から御質問ございました問題につきまして、ちょっと私の方で御質問の趣旨が十分でないかと思いますけれども考え方としてこういうことでなかろうかと思います。と申しますのは、今回の措置をとりますと国産材供給がふえるであろう、それから一方、関税を下げれば外材輸入がふえるであろう、その辺をどう調整して考えているのかという御質問だろうと思います。  今回関税の引き下げの対象になります松属等につきまして見ますと、これは全体の製材の輸入品の中の約二・八%でございますし、それから丸太を含めました輸入量に対しましては〇・二%というきわめて微々たるものでございます。したがいまして、全体の影響はきわめて少ないというふうに考えておりますけれども、逆にまた、いま御指摘になりました問題について一般的に見ました場合、今回の措置でこれがどのくらいになるかということは非常に算定もむずかしゅうございますし、逆にわれわれとすれば国産材が漸次増加していくというふうにも考えておりますけれども、今回の措置でどれだけの効果があったかということを独立して推計することはきわめてむずかしいのではなかろうかというふうに考えております。ただいま検討しております長期需給見通し、この策定作業を進めておりますけれども、その一環として検討いたしまして、後日また検討結果が出ました場合にはお示しすることで、御了解いただきたいと思います。
  87. 野坂浩賢

    ○野坂委員 後日、検討結果をお話しいただきたいと思います。  先ほど同僚議員からお話がありました公定歩合の引き上げ、貸付金利の末端金利の不動、こういうものにつきまして確認をしておきたいのですが、お話が部長からございましたように、政府林業信用基金に出資し利子補給をする、あるいは債務保証をやる。そこから都道府県に持っていく、貸し付けをする。原資供給をそこからやるわけですね。そうすると、利子補給もやるわけですから、公定歩合が引き上げになっても、たとえば農協の基準金利が九・五%で、この利子補給等は政府が行って、五%なら五%にするということにしておるわけですから、この公定歩合の引き上げで、協調融資とはいえ低金利で預託をするわけですから、その貸付金利は動かないようにしなければ、初め借りた人と後から借りた人との問題点も出てこようし、また、一遍借りた人はその金利が途中で上がることはないと思いますが、その点はどうなのか。それこそ経営改善計画が立たないということになってまいります。すでに公定歩合の引き上げは〇・七五行われようとしておるわけですから、それらの関連についてもう一度明確にしておいてもらいたいと思います。
  88. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 ただいま御指摘の点、先ほど御説明いたしましたように、都道府県が供給いたします低利で預託いたします資金の割合が一、これに対して、それぞれ市中金融機関が独自の資金源を使って調達いたします資金量が三の割合になっております。この三の割合になっております資金は、一般にただいま地方銀行等では、短期資金については大体六%ぐらい、長期資金については八%、さらに長期運転資金については八%、長期の設備資金については八・七%ぐらいの資金コストになっているわけでございます。したがいまして、もちろん公定歩合が引き上げになりましたから直ちにそうなるということではございませんけれども、この三の割合の自己調達部分につきましては、銀行の資金コストが上がってくることになるわけでございまして、そうなりますと、地方銀行の経営採算という問題もございますので、私どもとしては極力据え置きたいという気持ちはあるわけでございますけれども、やはり銀行の経営も無視することはできませんものでございますので、この辺につきましては、上がる可能性もなしとしないわけでございまして、今後の金融情勢の推移、公定歩合が引き上げになって直ちに地方銀行の資金調達コストが上がるかどうかという問題もございますので、その辺をよく見きわめまして取り決めていきたい、かように考えておるわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、先生御指摘ございましたように、一回貸し付けたものを途中で金利を上げるなんということは、これはないことははっきりいたしております。
  89. 野坂浩賢

    ○野坂委員 その場合に利子補給というかっこうで末端金利が動かないようにする。もちろん協調融資で一しかやらなくて、市中金融機関は、銀行は三倍をやるわけですから、その分の利子補給というものは政府の方で考えた方が——初め資金計画を立て、改善計画を立てさせておいて、その金利で計画を立てるわけですから、途中から上がるということになると、むしろ政府の方に責めが出てくるのではないか、こういうことになろうと思うのです。その点については、いま短期は五%とか、長期は六・五ですか、設備資金が六・五から六・八、この範囲内で二十年間はやるのだ、こういうふうに農林大臣の趣旨説明の当分の間という意味も含めてやられたのなら、それだけの利子補給をして、これで経営を立て直すのだということにしなければ意味がないではなかろうかとわれわれは思うのですが、大臣、いかがですか。
  90. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 この問題は、金融の根本問題でございまして、制度資金はこれ一つではないわけです。土地改良にしても、その他たくさんの制度資金があるわけですから。いままでの例からすると、金利の上がったものは、すでに借りてしまったものはそのままだけれども、新しく借りるというものについては新しい金利体系ということになっておりますので、御趣旨はわかりますが、これにだけ特別なものを設けるということは非常にむずかしいのじゃないか、私はかように思っております。
  91. 野坂浩賢

    ○野坂委員 大臣もよく御存じのように、農林漁業のうちの農業改良資金とか近代化資金、これについては法律で〇・五ずつ下げましたね。そういうかっこうで、足らざるところは利子補給で埋めて、農業の再建なりあるいは林業経営の向上なり、そういうことの趣旨からこの間の法律改正も行ったわけですから、そういう意味から考えれば、そのような姿をさせることが原理原則ではないか。農業の場合もそのような措置をとっておるというのが今日の現状ではないですか、どうでしょう。
  92. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 そのようにあることが望ましいと思いますが、これは事農業だけではなくて、政府の関与している相当長期の、四十五年なんというのはありませんけれども、中小企業でも機械の近代化でも何でも同じような制度があるわけですよ。したがって、これだけを特別扱いするということは、林業で特に長いからという点もありましょうが、これはなかなかむずかしい問題である。よく検討をさしてもらいます。
  93. 野坂浩賢

    ○野坂委員 この法案の趣旨は、たとえば造林資金は三十五年を四十五年にする、据え置きは二十年を二十五年にする、林道資金は二十年が二十五年、据え置きが三年が七年ということになっておりまして、他の農業とかあるいは商工業というのとはこれを見ても性格が非常に違っておるわけですね。四十五年もしなければ一人前の木にならない、伐期にならないということから考えても、この金利問題については十分考えていかなければならぬというふうにわれわれは考えるわけです。いま検討されるということですから、検討をして善処していただくようにお願いをしておきたいと思うのであります。  時間がございませんから多くを申し上げませんが、これの政府の金を信用基金に出して、そして信用基金の方から県の方におろす、こういうことになっておりますね。この林業信用基金の方に一遍入れていくというのはどういう意味があるわけですか。県の方にすぐに行ってもいいじゃないですか。それは天下りの関係ですか。
  94. 藍原義邦

    藍原政府委員 国から県に資金を貸し付ける場合には、二通りあろうかと思います。一つは、特別会計を新設いたしまして、国がみずから貸し付けを行うという方式、もう一つは、特殊法人を設けまして、それを受けざらとして活用する方式、この二つがあろうかと思います。その二つのうちの特別会計の新設によりましてやることよりも、現在ございます法人を使いましてこれを活用する方が、この両者を比べた場合にはベターであろうというふうにわれわれ判断いたしております。  そういう観点から、信用基金を通じてやることにいたしましたし、また御存じのように、信用基金は三十九年にできましてからもう相当な年月がたっておりまして、その間、林業関係の業界に対しての債務保証をやってきております。そういう点で非常に熟しておりますので、そういう知識をも十分活用しながら、この制度に乗せて運用していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  95. 野坂浩賢

    ○野坂委員 この制度の発足によって、林業信用基金の方は機構の改編なり改革というものが行われるわけですか。
  96. 藍原義邦

    藍原政府委員 これだけの業務がふえますから、当然そういう意味で仕事がふえるということで、組織なり定員につきましては適正な事業ができるような対応をしなければなりません。その業務量等に対します具体的な検討を行いまして、所要の措置は講じてまいりたいというふうに考えております。
  97. 野坂浩賢

    ○野坂委員 こういうシステムをつくられるわけでありますから、当然、林業信用基金あるいは二百五十億に対する積算の根拠等、各県から吸い上げられたというふうに思うのです。だから、林業信用基金の方は何らかの改革を行いますという話し合いがあなたとできておるのじゃないですか。何にもありませんか。何とかなるだろうということですか。
  98. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいまも御説明申し上げましたように、業務量がふえるわけでございますから、そういうものの見合いにおきまして、それなりの措置は講じなければいかぬというふうに考えておりまして、その検討は進めておる段階でございます。
  99. 野坂浩賢

    ○野坂委員 冒頭午前中にもお話を申し上げましたように、外材が三分の二という現状から、国産材需給の問題、需要の問題を上げていくために、住宅の問題等も大臣からもお話がありました。  そこで、林野庁で取り扱っていらっしゃる在来工法の問題がありますね。これに対してハウス55というのがありますね。これは建設省なり通産省でやっております。在来工法もここ二、三年予算もついておるわけですが、どのような進展状況でハウス55に対応しておるか。ハウス55に対しては、どのような見解を林野庁としてはお持ちであり、その経過等は注目をしていらっしゃると思いますが、百平米当たり昭和五十五年には五百万円でできる、こういうかっこうになっておるのか、長官から経緯と考え方を聞いておきたいと思います。
  100. 藍原義邦

    藍原政府委員 ハウス55につきましては、建設省なり通産省でやっておられる問題でございまして、あえて私どもが云々する問題ではないというふうに考えておりますが、私どもの調査によりますと、日本人の嗜好として、やはり在来工法による在来の住宅に住みたいという志向が強いというわれわれの調査が出ております。したがいまして、従来の日本独得の在来工法でございます建築を推進する必要がある。ただし、それにはやはりいままでのようなままでいいわけではございませんで、それなりに近代的なもの、部材を少なくするとか、コストを下げるとか、いろいろな努力をしなければいけない。そういう観点から、現在ございます日本住宅・木材技術センターというところでその研究、技術開発、普及をやっておりますし、あわせまして、在来工法によります住宅のモデル展を、国の助成によりまして都道府県の方に助成をして、ただいまそういう展示をして一般にPRをするということもやっております。そういう観点から、私どもとすれば、日本の建築史の主体をなします在来工法の住宅というものを国民全体の方々につくっていただくような努力をすべきであろうという観点から、林野庁の立場としてのPRなり技術開発については、今後とも積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
  101. 野坂浩賢

    ○野坂委員 予算はいままでにどのくらい使われておるのですか、累計。
  102. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま申し上げました在来工法の住宅部材流通消費改善対策事業の予算を申し上げますと、五十四年度で一億八千二百五十七万円になっております。
  103. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いままでの累計。
  104. 藍原義邦

    藍原政府委員 五十二年が五千五百万、五十三年が一億二千八百万でございますから、合計いたしまして約三億六千万ぐらいでございます。
  105. 野坂浩賢

    ○野坂委員 林野庁としてはそうやっておる。在来工法でやった方が国民的な嗜好があるということは建設省や通産省にもちゃんと言っていらっしゃるわけですか、そういう話し合いは。どうです。
  106. 藍原義邦

    藍原政府委員 住宅そのものの行政指導官庁は建設省でございます。したがいまして、私どもはそれに必要な資材としての木材についていろいろな点から住宅の問題にも触れておるわけでございまして、建設省とは十分連絡をとりながらその辺を推進いたしております。
  107. 野坂浩賢

    ○野坂委員 ハウス55は十五億三千万の国の助成金が出ております。御承知のとおりです。在来工法はいまあなたが説明されたように三億六千万、こういうことになれば、やはり度合いが違うじゃないですか。日本の住宅は日本の国民全体がいわゆる材木で建てたい、こうおっしゃっておって在来工法を推進しておる。片っ方の通産や建設省は十五億三千万の助成金をもって、トヨタとかミサワとか、そういうところがどんどんやっておるというかっこうでは太刀打ちできないで、需要の低迷があるというようなことを他人行儀のようなことを言って書いておったって意味はないじゃないですか。もっとやらなければならぬじゃないですか。これは予算が少ないじゃないですか、予算を尺度にするわけじゃないけれども。もっと在来工法の振興なりPRなりモデルのセンターなり、そういうものを充実強化をして、府県でもっとやっていかなければ、大工さんや左官さんの仕事が問題になるじゃないですか。この点はどうですか。
  108. 藍原義邦

    藍原政府委員 御指摘のように、予算面から見たらその点は少ないのかもしれません。しかし、私どもとすれば、先ほど申し上げました日本住宅・木材技術センター、これも林野庁と建設省の共管でございます。そういう観点から建設省の方も木材住宅についてはいろいろ関心を示していただいておりますし、そういう面、建設省の住宅行政と合わせながら、住宅資源としての木材についてのよさをさらにPRしながら今後とも積極的な対応をしてまいりたいというふうに考えておりまして、今後ともそういう面での努力は十分払ってまいるつもりでおります。
  109. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私たちは文句を言っておるわけじゃないですからね。いまの木材の問題なり、たくさん木材関係者、川上から川下へという、そういうことで、一人親方の大工さんたちたくさんいらっしゃるのですから、十分配慮してもらわなければ太刀打ちできませんよ。三億六千万は安過ぎますから、大臣、今度はちゃんと予算をもっと要求してとってもらって、本当の林野庁なり農林省の力というものも信頼を受けるような措置をとっていただきたいということをお願いしておきます。  建設省の方にお尋ねをしましょう。このハウス55は、五十五年にいよいよ販売の方に入るわけですか。時間がありませんから申し上げておきますが、百平米五百万円というのは可能かどうか。それから、暖房その他もしてということであったと思うのですが、それらについての今日までの状況、それもお話しいただきたいと思います。
  110. 高橋徹

    高橋説明員 お答え申し上げます。  ハウス55の開発計画の経緯でございますが、これは昭和五十一年に新住宅供給システムの提案競技ということを行いまして、二十の応募があり、そのうちから三つのものを選びまして、通商産業省と共同して技術開発を進めてきたというものでございます。五十一年度からは要素技術、いろいろ着想がございましたが、その実現の可能性の検証、それから全体のシステムの確立ということで研究開発を行っておりまして、五十二年度にかけまして、部材、工法、製造技術、施工機械等を中心として要素技術についての実現可能性の検証を続けてまいった、こういうことでございます。五十三年度それから一部繰り越しまして五十四年度にかけましては全体の技術の見直しを行いまして、現在は実験住宅を十三棟試行建設いたしまして、防火とかあるいは居住の実験を進めているところでございまして、現在研究は進行中ということでございます。  価格についてのお尋ねでございますが、この新住宅供給システムの開発に当たりまして、昨年末に先ほど申し上げましたいままでの研究の総括を行ったわけでございますが、その際は、当初この研究開発のスタートのときに定めました百平方メートルの住宅を昭和五十年価格で五百万円台、それは集中暖房を含むということでございましたが、その目標を変えないでさらに今後の二年間努力していただく、こういう集約をいたしておりまして、そのとおり関係者の方々に努力をしていただきたい、こう考えて研究開発を続行してもらっているという段階でございます。
  111. 野坂浩賢

    ○野坂委員 住宅産業新聞等を読んでみますと、工場の側は研究だけで企業化は約束をしていないというふうに新聞にも載っておりますし、五十五年度に本格供給するというスケジュールを立てるのなら、工場生産設備の建設なり販売体制の確立あるいは共販会社構想というようなものがいろいろ新聞等で指摘をされておるわけですけれども、これは相当年度がずれるという傾向にありますね。五十二年度に実施計画を出すとかは、一年三カ月くらいおくれたですね。そういうことになってまいりますと、相当おくれて、五十一年度で五百万円方式だから、物価が上がれば七百万になるということでしょうけれども、いまの状況からすればそういうものはなかなか可能性が少ないのじゃないかというふうに思われるわけですが、見通しとしては、いつからその販売体制に入るのですか。もし相当おくれるということになれば、もっと林野庁なり農林省と話し合ってもらって、国民嗜好というものも十分判断の材料に入れてもらわなければいけないのじゃないかというふうに思うのですが、その点はどうお考えですか。
  112. 高橋徹

    高橋説明員 お答え申し上げます。  前半の見通しの方の御質問でございますが、現在十三棟の実験住宅を建設し、その中での実験が進んでいる状況でございますし、またさらには、建築学の相当多数の先生方に、その開発し得たもの、これからするものの評価をお願いしている段階でございますので、現在まだその企業化なり商品化なりの明確な見通し、何年何月というような見通しを持つ段階には至っていないわけでございます。  また、後段のお尋ねでございますが、私どもの施策の一つといたしまして、在来工法の合理化の予算を計上をしているわけでございますが、先ほどの林野庁長官からのお答えのとおり、私どもとは緊密な連絡をとり合っておりまして、その意味で国民のその嗜好に合った、いわば土俵の中で組んでいただけるような合理化を図って、最終的には国民の選択にお任せしていきたい、これを基本理念として考えておるわけでございます。
  113. 野坂浩賢

    ○野坂委員 この問題はまた改めて時間設定をして質疑に入りたいと思いますが、さらに国有林の問題について、この間の大臣の所信表明の演説に伴う質疑の中でも問題を提起しておいたわけですが、この間の参議院の農林水産委員会で、先ほど不良造林地の問題、不成績造林地の問題、こういうふうな問題は同じだという話を大臣がしたわけですけれども、この農水でこの不良造林地の面積の問題については、林野庁は四万ヘクタール、職員の仲間の皆さんが調べたところによると、五〇%調べて十九万六千八百ヘクタールあるということを言っておるわけですね。一〇〇形とすれば、これを倍率ですれば大体四十万あるのじゃないか、こういうことです。  で、あなたの答弁は、五十三年の作業が終わった後に造林地の全面的な見直しを行いますというようなことが言われております。その結果は、一応五十三年度終わったわけでありますから、それらについてどのように掌握をされておるのか。それから四万ヘクタールは、五十三年度までやったし、五十五年度までには終わるということですけれども、この見直しを、不成績造林地ですか不良造林地ですか、そういうものの面積について話し合って一致していかなければならぬ。現実に、あなた方が机の上で計算されるのとは違って、現場を見ておるわけですから、不成績といいますか不良造林地はあるわけですからね。そういうふうな点についてはどのようにお考えなのかということが一点と、財政再建の問題もこれからお尋ねをしなければなりませんが、時間がありませんから。  この山づくりの問題についてはいろいろ学者の皆さんから資料が出されております。たとえば民有林でも国有林でもそうですが、地ごしらえから植えつけ、補植、下刈り、保育、こういうふうにやられるわけですけれども、これは「地拵事業は成林の成否を決める基礎作業であるから保育における下刈作業と同様最重点事業として実施する。」こういう考え方でこの造林事業の方針書というものは大体各局が出しておるわけですか。
  114. 藍原義邦

    藍原政府委員 御指摘のように、山をつくります場合には植える前に地ごしらえ、これが非常に重要でございます。地ごしらえが不十分であれば、苗木の活着も悪うございますし、またいい成長もしないということで、造林事業のやはりまず基盤になります地ごしらえについては十分対応するような指導はいたしております。
  115. 野坂浩賢

    ○野坂委員 不良造林の話は答弁を受けなかったのですが、では、いま私が読んだような方針で大体各局とも進められておる、こういうことですね。
  116. 藍原義邦

    藍原政府委員 不成績造林地の問題でございますけれども、私ども先般の国会におきましてもお答え申し上げましたとおり、四万ヘクタール余のものがあるというふうに申し上げておりますけれども、現在そのうち改植を要するものは約七千六百ヘクタールでございますけれども、五十三年度末にこのうちの約三千七百ヘクタールを実行いたしまして、残余の三千九百ヘクタールにつきましては大体五十四年なり五十五年には完了する予定にいたしております。それから、早期に保育を要する造林地約三万二百ヘクタールございますけれども、これは五十三年度末をもちまして約二万一千七百ヘクタールを改善いたしまして、残余の八千五百ヘクタールにつきましては五十四年、五十五年に実施する考えでございます。  なお、先ほども先生おっしゃいましたけれども、五十三年度造林事業が完了した時点におきまして把握するという予定にしておりまして、これはやはり国有林の場合積雪地帯が多うございますので、この積雪完了を待ちまして夏ごろまでには把握して、その対応はまた十分考えてまいりたいというふうに考えております。
  117. 野坂浩賢

    ○野坂委員 先ほど私が読んでそのとおりですかと言ったのは、造林事業の方針書を、各営林局は、先ほど言いましたように地ごしらえから植えつけから保育から補植から、そういうものを含めてやるのですが、まず、「地拵事業は成林の成否を決める基礎作業であるから保育における下刈作業と同様最重点事業として実施する。」こういうふうに大体指導されておるわけですね、そうですかということです。
  118. 藍原義邦

    藍原政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  119. 野坂浩賢

    ○野坂委員 もうやめなければならぬのですから、申しわけないですが、これは一九六二年の四月に営林局長は出しておるわけです。ところが、一九七一年の四月になりますと、「地ごしらえは、植付および保育作業に支障のない最小限の作業を行うため、枝条存置地ごしらえを原則とする。」と、こういうふうに変わっておるのですよ。だからあなたの方針とは違っておるのです。なぜそういうことになっておるかといいますと、その証拠には、人間の数をおかしいことをやっておるのですよ。一九五九年、六〇年の当時から七二年に推移しますと、いまの地ごしらえなり植えつけなり補植なり、そういうことを、あなたがおっしゃったような姿なのに、更新の場合はヘクタール当たり五十二・九四人だったものが、一九七二年はヘクタール当たり二十二・一五人になっておるのです。保育はヘクタール当たり十二・三人がヘクタール当たり五・四六人になっておるのです。そういうふうに造林方針書というのが変わってきたのは、これを計算をしますとこういうことになってくるわけです、全部。いま私が言った四項目に合わせて計算をしますと、こういうことになります。だから、あなたの言っていらっしゃることを各営林局長は歪曲をして造林方針書をつくっておるということになります、あなたの答弁からすると。これを直してもらわなければなりません。だから、枝条でも、前は植えつけをするときは全部枝を取って、全部刈り取ったものです。それを枝条も存置していいかげんにして、いや技術水準が上がったとか、いや機械をつくったといいますけれども、植えつけにそう変わりはないですから、これは逆計算をしておるのです、そういうこと数字を出して。だから、これは直してもらわなければなりませんよ。だから、不良造林なんかでも見方がこれだけ違ってくるのです。私どもが言うようにこれの見直しをしてもらって、四万と四十万とは十倍違うわけですからね、それをちゃんと見直しをしてもらえますか、どうですか、林野庁長官
  120. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま先生御指摘の細かいところを私もちょっと承知いたしておりませんけれども造林事業の基本でございます地ごしらえ、それから下刈り、これは確かに造林事業の中心でございます。そういう点で、いま先生が御指摘の点があるかどうか十分調査をいたしまして、その点について姿勢としては従前も現在も変わっておらないわけでございますから、いい山ができるような造林技術を中心にいたしました造林方針書に基づいて造林が推進できるような努力をしてまいりたいと考えております。
  121. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間がありませんからこれで私の質問を一応終わりますが、いつかの機会にこの問題を取り上げていきたいと思っておるのです。一九五九年、六〇年当時とその方針書は変わっていないということをいまお話しになったわけでありますから、それを含めて不良造林の見直しをこの際行って、この次の国会のときには明確に資料を提出をして、この見直しをこのようにいたしましたということを報告をしてくださるようにお願いをして、私の質問を一応終わります。ありがとうございました。
  122. 佐藤隆

  123. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 本日の委員会に、かねて懸案でありました林業等振興資金融通暫定措置法案が提案され、審議される運びになったわけでございまして、同僚議員の質問に引き続きまして、わが国森林林業をめぐる国際的、国内的諸問題、それに引き続いて法案の中身についても若干基本的な問題を質問をいたしますので、答弁については簡潔にポイントを大臣並びに政府委員の方から御答弁を願いたいと思います。  まず、冒頭に国際的な問題から入りたいと思うのでありますけれども、やはりこれからの政治、経済の重要な問題として、原油等エネルギーの問題、食糧問題あるいは森林林業問題といったような資源問題というのは、国際的にもこれから非常に重要な政治課題経済上の問題であることは、これは論をまちません。特に、きょうは森林林業の問題を中心にした論議を展開するわけですけれども、国際的に森林林業資源状況がどうであるか、あるいは需給状況がどうであるか、その中における日本森林林業実態と国際的なかかわり合いというものについて、若干お尋ねをいたしたいと思うわけでございます。  御案内のとおり、林業白書でも触れておりますけれども、一九七六年の世界の木材消費量は約二十五億立方メートルでありまして、そのうちの用材消費が十三億立方メートル、薪炭材消費が十二億立方メートルというふうに書かれておるわけであります。わが国の場合、林業関係では年間、昭和五十二年の場合一億二百九十万立方メートルでありまして、いわば国際的な木材の全体の中では約二十五分の一という比重を占めておるわけであります。  わが国森林面積は、申し上げるまでもなく二千五百二十六万平方メートル、これは五十一年三月の数字でありますけれども国土の六七%を占める森林国ということに当たると思いますが、しかし一人当たりでは〇・二二ヘクタール程度でありまして、世界平均の五分の一程度にすぎない、こういった状況に置かれておるわけであります。  そこで、そういった状況の中で、世界の木材現時点における輸出入の状況はどうなっているか、あるいはその中において日本のウエートはどの程度を占めておるかという点について、まず御答弁を願いたいと思います。
  124. 藍原義邦

    藍原政府委員 御指摘木材の輸出入の世界の状況でございますけれども、FAOの統計によりますと、一九七六年におきます世界の木材貿易は、丸太が約一億一千万立方でございます。その主な輸出国はアメリカ、ソ連、インドネシア、マレーシア等、主な輸入国は日本、西ドイツというふうになっております。  それから、製材品では、製材されたものでございますけれども、これにつきましては約六千五百万立方でございまして、その主な輸出国はカナダ、ソ連等で、主な輸入国はイギリス、フランス、西ドイツ、こういうふうになっております。  わが国木材輸入量は、世界の木材輸入量のうち、丸太で約五〇%、製材で約五%を占めております。日本の場合、御存じのとおり、在来工法建築というものが中心になった木材使用でございますので、製材のあり方が諸外国と違うということで、製材品の輸入が非常に少なくなっておりますけれども、それに反しまして、丸太につきましては世界の輸入量の約半分が日本輸入されておるという実態でございます。
  125. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いまも林野庁長官から御答弁がありましたように、FAOの一九七六年の数字によれば、産業用丸太の場合、国際的な輸入の中で半分を少し超える程度の比重を占めておる。それに引き続いて韓国、西ドイツ、アメリカ、カナダといったような順序になっておるけれども、数字的には非常に段差があるといった状況にございます。  それから、製材の面では、いまお話しのように、輸入面ではアメリカ、イギリス、フランス、西ドイツに次いで日本が五番目でありまして、三百二十七万四千立方メートルということになっておるわけでございます。これは主としてアメリカ、カナダ等から入っておるという状況になっておるわけでありまして、全体的な中では丸太で約半分、それからいま申しました製材関係輸入の中では約五%を占めておるというのが今日の現状でございます。  そこで、そういった状況の中で、わが国外材輸入の比重というのは、林業白書でも指摘しておりますように、年々歳々増大をしてきておる。これが国内におきます林業経営あるいは林業関連産業というものに非常に甚大な影響を与えておるといったような状況にあることは、林業白書指摘するところでありますが、これから長期展望に立つ場合、いま外材という場合は米材やソ連材やあるいは南洋材というものを中心に輸入しておるわけでございますけれども、こういったものが将来展望の中で相当安定的に入るのかどうか、あるいは白書も指摘しておるように、非常に窮屈になっていくというふうに判断をしておるのかどうかといったような点について、引き続き御答弁を願いたいと思います。
  126. 藍原義邦

    藍原政府委員 日本輸入いたしております材を大別いたしますと、米材、ソ連材、南洋材、この三つに分かれるかと思います。  この三つについて現状を見ますと、米材につきましては主として西海岸から入ってくるわけでございますが、西海岸の諸州におきましては成長量を上回って伐採しておるという状況がございます。それに加えまして、今後十年くらいの間、世帯増を反映いたしました住宅需要の増加、こういうものが見込まれるというふうに言われております。それから一方では、自然保護運動の高まりというものがございまして、対日木材輸出は長期的には減少の傾向に推移するのではなかろうかというふうに予想されております。  また、米材の中に入っておりますカナダのBC州でございますけれども、ここにおきましては資源的には大分余裕はございます。ただ、経済的な面積の九〇%を占めます州有林からの丸太輸出というものが禁止になっております。そういうことで、製材につきましては今後とも供給の余力が残るというふうに見込まれますけれどもわが国ではやはり丸太の需要が多いわけでございまして、丸太の形態での輸入量の増加はそう期待することはむずかしいであろうというふうに考えております。  それから、ソ連材でございますけれども、ソ連は極東地域の森林資源は非常に豊富でございます。また、地理的にも日本に輸出するには非常に適した地域でございますけれども、最近だんだんその伐採地点が奥地に移動いたしておりまして、そういう意味では非常にコストがかかるような状況になっております。それから、人口が少なくて基盤整備的な問題がいろいろあるということ、こういうことから、生産量を急激に増大することは非常にむずかしいであろうというふうな判断をいたしております。  そういう意味から最後の南洋材について見ますと、南洋材は御存じのとおり、森林資源の減少によりまして次第に生産量が減少するという傾向にございます。一例を挙げますれば、日本にはかつてフィリピンが一番よけい入っておったわけでございますが、現在はフィリピンは非常に少なくなってきておりまして、それがインドネシア等に移っておるわけでございまして、そういう意味からも非常に今後減少するであろうというふうに見られます。  また一方、東南アジアにおきましては、自国の木材生産業の付加価値を高めるという観点から、木材輸出の規制という問題も現在強化を進めておる状況でございまして、そういう観点からも輸出量もかなりの速度で減少していくのではなかろうかというふうに考えております。  総じまして、どの地域もこれから輸入量がふえていく期待はそう持てないというふうにわれわれは考えております。
  127. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いま林野庁の長官からも御答弁のように、わが国は丸太を中心に相当な外材を入れておるわけでありますけれども、その中心地域であります米材を見てもソ連材を見ても、あるいは南洋材を見ても、将来展望の中では非常に窮屈になっていくというふうに判断せざるを得ない。特に南洋材等については、いままではアフリカ等に依存しておった欧州諸国が、東南アジア方面からの南洋材輸入というものに対する動きも出てきておるわけでありまして、世界の木材資源状況あるいはいま言ったような日本外材輸入する場合の関係国の状況というものを見た場合に楽観を許さない。したがって、基本的にわが国林業の問題をどうするかということが真剣に問われておる時代に入っておるということは明らかであります。  そこで、五十三年度林業白書の中では、世界の木材需給はおおむね二十世紀末以降かなり窮屈になるだろうという判断を示しておるわけでありますけれども、この判断の根拠について説明を願いたい。
  128. 藍原義邦

    藍原政府委員 白書に述べました経緯でございますけれども、これにつきましては、いま私が御説明申し上げましたように、東南アジアの過去における経緯、それから現在の状況、それから北米材につきましての森林資源状況、さらにはソ連材の伐採地点の状況、こういうことから判断いたしましてもいろいろな制約条件が非常に多いということ、そういう観点から今後木材輸入を増大し続けるというのは非常にむずかしいであろうという判断をいたしたわけでございますが、さらに、これはまだ確定したものではございませんけれども、FAOと各国の民間グループの間で現在二〇〇〇年におきます世界の木材需給見通しというものを検討を進めております。こういう中におきましても非常に逼迫するであろうというようなことが見られておるという話を私ども伺っております、これはまだ確固たる資料はございませんけれども。それから、米国の大統領府が出しました賃金及び価格安定委員会報告書によりますと、「一九八〇年以降二〇〇〇年にかけて米国内においては木材需要量が輸入を含めた木材供給量を大幅に上回ることが見込まれている」こういうようなことも書かれておりまして、こういうことを総合いたしますと、白書に書きましたような判断になるということでございます。
  129. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 また、同じく林業白書の中で、国内の戦後の造林地が二十一世紀初頭において本格的に生産力化する時期を迎える、こういうふうに言っておるわけですが、なるほど人工林の林齢の関係から見まして一年から十年生が三二%、十一年から二十年生が三八%、これで七割を占めておるという状況から見て、そういう判断が可能だと思うのでありますけれども、そうするならば、数量的にどれくらいの国産材生産量というものが将来上積みされてくるのかという問題の判断についても、御説明を願っておきたいと思います。
  130. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま御指摘になりましたように、現在の森林造林地の分布状況を見ますと、二十年以下が七割近く賦存しておるわけでございまして、そういう観点から見ましても、あと二十年たちました二十一世紀になりますとそういうものが伐期に達しまして相当の伐採量になるというふうにわれわれは考えておりますが、これは具体的にどの程度かという御指摘でございますけれども、現在、先ほども御説明申し上げましたけれども資源に関する基本計画等々の見直しをやっておりまして、その中で検討することにいたしておりまして、現在具体的にはまだ数字は出しておりませんけれども、簡略に申し上げますれば、現在、五十二年の実績の二倍以上のものが出てくるのではなかろうかという想定はいたしております。
  131. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは日本が先進国として特に発展途上国、あるいはわが国が将来ともある程度外材というものの輸入ということを否定することはできない、そういったような立場から、一方では経済協力、一方では資源的なそういう面の確保といったようなことから、長期展望から見て発展途上国の林業というものに対するいろいろな手当てというものを、国際的な視野から、あるいは林業の今後の需給状況といったような点から考えていくことは当然必要だろうというふうに思うわけですけれども、国際協力事業団等による林業に対する海外協力といったようなものを今日までも進めてきておるわけでありますが、その実績あるいは今後の考え方はどういうふうに進めていくのかという点についても、簡潔にお答えを願いたい。
  132. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 昭和四十九年の八月国際事業団の設立以来、わが国林業分野の技術協力は事業団を通じてやってきております。専門家の派遣と機械供与を組み合わせたプロジェクトあるいは相手国の中堅技術者のわが国への受け入れ等を中心にやってきておりまして、現在プロジェクト協力はフィリピン、インドネシア及びビルマの各国において、研修員の受け入れを毎年約二十カ国を対象に実施をしておるところであります。
  133. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 先ほど来お話が出ておりますように、国際的な森林林業資源状況あるいは需給の伸び、わが国のこれからの経済発展と木材等の需給状況、外国に依存する度合いといったような観点と、先ほど来申しておりますように、先進国としての発展途上国に対する経済協力といったような面とを兼ね合わせて、林業サイドにおいても今後ともやはり発展途上国に対する経済援助というものは、従来以上に積極的に進める姿勢が必要であろうというふうに私は思います。  そこで、最近東京ラウンドなどで海外から木材輸入する場合に、これは海外という場合は米国とかカナダとか東南アジア諸国が中心でありますけれども、海外からの木材輸入についての要請と関連をして、特に木材関税引き下げ、あるいは製材及び合板のJASの改正問題という要請が出てきておるわけでありますけれども、そういう問題に対する対応はどういうふうにしておるのか、お答えを願いたいと思います。
  134. 藍原義邦

    藍原政府委員 御指摘になりましたように、今回のMTN交渉で非常に米国あるいはカナダ、ニュージーランド等々から、木材輸入の増大に関連いたしまして、関税の引き下げという問題がございました。それから、JASの規格の見直しという問題と両方あったわけでございますけれども、こういう問題に対しまして、私どもといたしましてはやはり日本林業、林産業ということを十分考えて引き下げ品目の選定だとかあるいは引き下げ幅、それから引き下げの時期、こういうものについて慎重に配慮いたしまして、その結果、普通合板の六ミリ以上のものにつきまして、それからまた松属等の製材等の品目につきまして、関税の引き下げを一応行うことにしたわけでございます。  この引き下げは、普通合板の六ミリ以上のものにつきましては一九八四年以降二〇%のものを一七%にするということ、それから松属等の製材につきましては一九八四年度以降一〇%のものを六%にするということで一応話をつけたわけでございますけれども、こういうことによりまして国内林業あるいは林産業に影響がないかという御指摘も先ほどもございましたけれども、私どもこれからの外材の秩序ある輸入というような形での行政指導を十分通ずることによりまして需給の安定を図る、と同時に、国内におきましては林業構造改善等々を中心にいたしましたもろもろの施策によりまして林業の体質を強化するということによって対応してまいりたいというふうに思っております。  それから、JAS規格の問題でございますけれども、これは現行のJAS規格というのは消費者保護の観点から定められておりまして、これは貿易のいろいろな障害ということとは無関係でございますけれども、合板の接着剤の試験の問題、接着力の試験でございますけれども、この方法が違うということで、これについての問題が中心になりまして改善要求がございました。これにつきましては、わが国におきましても検討するということで態度表明を行ったところでございまして、今後この線に沿いまして検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  135. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 外材輸入に関連する問題で、さらに一、二点お尋ねをしておきたいと思うわけでございます。  今日の日本木材生産等の状況から見て、ある程度外材に依存せざるを得ないという実態は、これは否定できないと思うわけでありますけれども、しかし外材輸入の増大に伴ってわが国森林林業に非常に深刻なマイナスの影響を与えておることもまた否定できない現実であります。したがって、外材輸入適正化問題については、政策的にもきちっと確立をしていかなければならぬ情勢を迎えておる。ことにわが国の場合は、これは外材輸入、その他でもそうでありますけれども、農林漁業について言えば、えさを外国から相当大量に輸入する、あるいは外材木材需要の相当部分を依存するという形の中で、そういった商社あるいは国内の受け入れ体制がビルトインされてまいりますと、日本関係業界への影響とは全く別の経済作用によってそういうものが拡大傾向で強く働いてくるということは、現実の経済情勢の中では否定できない事実であります。そういった問題も含めて、木材需給調整、特に外材輸入の調整機能についてはやはり農林水産省が主体になって、そこで一元的にそういう問題を掌握しながら、木材の安定的供給あるいは価格安定をきちっとやっていくということが特にこれからは非常に重要な時期を迎えるのではないか、こう思うわけでありますけれども、この点については渡辺大臣から御答弁を願いたいと思います。
  136. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 外材輸入が非常に無秩序に入ってくるということは、市場を混乱させて日本木材生産に非常な悪影響を及ぼす、それは当然であります。したがいまして、農林省といたしましては、かねて木材需給協議会というようなもの等もこしらえて、木材所有者や木材業者、輸入業者、消費者、いろいろそういうような方々の代表を五名程度入れてやっておるわけであります。今後ともそれらの情報をよくとって過ちのないようにやっていきたいと思っております。  いずれにいたしましても、木材は自由化をされているものでありますから、それを何か一元的に、畜産事業団のようなものでもこしらえてやったらどうだという意見もありますが、なかなかそれはむずかしいと私は思います。しかしながら、通産省とよく連携をとりまして、輸入商社の方も暴落したり何かしては困るわけですから、お互いに秩序のある輸入をするように、自主的な規制といいますか、自主的な自粛をしてもらうように行政指導をしてまいるつもりでございます。
  137. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 大臣の私の質問に対する答弁としては、不動の信念と方策という受けとめ方が率直に言ってできがたいのでありますけれども、ただいま渡辺大臣の御答弁の中で、木材需給対策協議会というふうな現行の協議会の問題についても触れられたわけであります。そこで私は、これからのわが国林業対策としては、この木材需給対策協議会を、学識経験者あるいは森林所有者、木材関連業者及び輸入業者、消費者、林業及び建設労働者を代表するそれぞれ五名程度の委員でもって構成する木材需給調整審議会といったようなものに改組をして、この審議会の意見を聞いて、木材需給計画といったようなことで適正な外材輸入あるいはそれと見合う国産材の積極的な振興対策を図っていくことが、これからの長期展望に立てば必要な段階に来ているのではないかと思う。審議会にいたしましても、こういった対策の協議会にいたしましても、きわめて深刻な今日情勢の中では、そういう趣旨の改組をやりながら、わが国森林林業関係の果たすべき役割りについて、きちっとそれが確立していくような方向で推進をする段階に来ておるというふうに思うわけでありますけれども、この点について大臣から御答弁を願いたいと思います。
  138. 藍原義邦

    藍原政府委員 木材需給の問題は、ただいま大臣からお話がございましたように、完全に自由化されておりまして、非常にむずかしい問題もございます。しかしながら、私どもといたしましても、これからの日本林業を推進する上からも、さらには木材の価格を安定させるためからも、木材需給につきましては、やはり安定的に輸入されることが望ましいという観点から中央に木材需給協議会を設けまして、この中で木材需給について鋭意検討しておるわけであります。  それで、この木材需給協議会のメンバーでございますが、先生十分御存じかと思いますけれども、この中には学識経験者、それから業界の代表、さらには関係行政機関の職員、こういう者に入っていただきまして構成しておるわけでございまして、現在の木材需給関係を検討するメンバーとしては、こういうメンバーで十分こなし得るのではなかろうかというふうに私ども考えておる次第でございます。
  139. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは事態の認識の問題について少しく甘さがあるといいますか、従来の惰性に流されておるというか、先ほど申したようなこれからの情勢から見て、私が言ったような考え方も取り入れて改組をしていくという積極的な姿勢がやはり必要だと思う。  私もかつて米価審議会とか畜産の関係審議会とか、えさの審議会とか、いろいろなところに関係がありましたけれども、大体大臣任命の審議会あるいは協議会といったようなものは、御用機関とは申しませんけれども、幅広く各界各層の意見がそこで述べられて適正な対策が出てくるという実態には必ずしもなっていないと思うのです。  そういう面から見て、森林林業問題というのはまさに全国民的な大きな問題でありまするから、いま言った点については速やかに前向きな検討のもとで対応策を考えてもらいたいと思うわけですけれども、この点、渡辺大臣から御答弁を願っておきたいと思います。
  140. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 現在、木材需給対策中央協議会というものがございまして、その中には、かなり各界各層から入れておるのであります。国産材生産者の代表として三名、輸入業者代表として四名、それから木材加工、流通業界が大体八名、関係行政機関が五名と大体二十五名で、実際に木材の流通、加工の取り扱いをやっている人は網羅しておるつもりでございます。
  141. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 まさに官僚的答弁といいますか、答弁については不満でありますけれども、私どもの意見については謙虚に受け入れて検討してもらいたいということを強く要請しておきます。  そこでもう一点、この外材輸入問題では、本委員会で以前に林業振興に関する決議をいたしました。これは重要な決議でありますけれども、ここにおられる芳賀さん、私、与野党間の協議の中でこれを決めたわけでありますけれども、院の委員会の決議もいただいたわけです。そういう重要決議の中で、輸入外材について課徴金制度を検討する、これを財源として国内林業振興と木材価格の安定を図るという趣旨で、輸入外材に対する課徴金制度の創設ということを決議しておるわけであります。これらの問題についてどういう検討をやってきたのか、あるいは今後どういうふうにやっていくつもりなのかという点についてお答えを願っておきたいと思います。
  142. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 実は、私も一時そういうことを考えたことがあるのです。課徴金というのはむずかしいから、木材引取税を輸入木材にまでかけてはどうかとか、いろいろ検討してみたのですが、波止場に揚がった市町村にだけいくのかとか、地方税なものですから、なかなかそこらの理屈が詰まらない。結局立ち消えになったわけですが、日本が輸出が多いというようなこともあって、そのうちに世界各国から門戸開放、機会均等、関税引き下げのような要求が日本に対して強く出ておることは御承知のとおりであります。まして、近くMTNの交渉が行われるというような状態の中で取りまとめをしていかなければならぬ。そこで、多角的貿易交渉では、つい最近やっと木材関係等についても関税等の話がついてきたところでもあって、このような段階の中でいま課徴金をつくるということは、全体的な世界経済の流れに逆行するというような状態で、容易にこれはできないと私は考えます。ことに関税及び貿易に関する一般協定においても、原則的にそういうことは禁止されておるところでありますし、なお、輸出国におけるところの丸太輸出というものを規制しよう、加工品だけしか日本に売らせまいというところまで発展しますと、あべこべにこっちのデメリットの方が多くなるということも考えられるわけであります。  そういうようないろいろな事情を考えまして、いまのところ課徴金というものがちょっとかけにくいというように考えております。
  143. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 林業振興に関する決議をやった当時とその後の国際的な情勢というものには、いま大臣も若干指摘されたような情勢の変化といいますか、東京ラウンド等を通じての諸問題といいますか、そういうことはあると思いますけれども、これはこれとして、やはり今後の対応策の中で十分検討していってもらいたいということを要請しておきます。  そこで、先ほど来申しておりますように、国際的な森林林業状況外材の相手国の展望あるいはそういった中で打撃を受けておる国内林業、関連産業といったような問題の現状の中で、特に外材主導型の木材需給体制といったような今日の状況の中で打撃を受けておる国内林業及び関連産業に対して、今後基本的にどういう対策を講じていこうとするのか、この点についても御答弁を願っておきたいと思います。
  144. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 法案説明の中でも私が申し上げたとおり、木材を取り巻く環境は非常に厳しいものがございます。それは角屋委員指摘のとおりでございます。したがいまして、われわれとしては、外材については秩序ある輸入というものを行政指導によって行っていくということであります。国産材につきましては、国内森林資源状況等に対応して、今回もいろいろな政策をつくっておるわけでございますが、やはり生産性の高い木材生産をやっていく。また、国内需要に見合ったような木材生産するというようなことを基本といたしまして、そのための造林あるいはその間のいろいろな助成事業、間伐に対する助成あるいは出荷体制、加工、流通等の近代化合理化を一層進めてまいるつもりでございます。
  145. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この機会に、昨年の森林組合法の議論、いわば林業国会ということで林業問題に対する真剣な議論をやり、そして森林組合法の委員会処理の際に、重要な附帯決議というものを十項目にわたってつけたことは御案内のとおりでございますけれども、それらのうちの重要な数点の問題について、若干お尋ねをいたしたいと思います。  まず、昨年の五月一日に森林組合法が公布されまして、十月の二日付をもって本法が施行されたわけでございますけれども、この施行後、本法の中にあります共済事業、監査事業、信託事業及び林地処分事業についていかなることを取り決め、実施に移しているかという点について、簡潔に御答弁を願っておきたいと思います。
  146. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま御指摘の事項について御説明申し上げます。  まず、共済事業でございますけれども、この事業の円滑な実施を図るために、五十三年の八月に、事業実施上の留意事項等につきまして関係団体に通知いたしております。  それから、全国森林組合連合会は、森林組合法の第十九条の規定に基づきまして、森林災害共済規程を同年十月に定めまして、農林水産大臣の承認を受けております。その後、この規程に基づきまして、事業を円滑に実施しておるという実態でございます。  この事業の健全な育成を図るために、異常危険準備金の損金算入が五十四年の四月一日以降認められることになったという状況でございます。  それから、監査事業でございますけれども、この事業の趣旨の周知徹底とその円滑な実施を図るために、五十三年の七月に森林組合連合会監査事業指導要領及び同監査規程例を定めました。  それから、全国森林組合連合会及び都道府県森林組合連合会は、森林組合法第百二条の規定に基づきます森林組合連合会監査規程を定めまして、農林水産大臣の承認を受けております。  それから、全国森林組合連合会は、森林組合監査士試験を適正に実施するために、同年の十月に森林組合監査士試験規程を定めまして、農林水産大臣の承認を受けております。  それから、全国森林組合連合会は、森林組合監査士試験規程に基づきまして、同年の十一月に森林組合監査士試験を実施いたしまして、その合格者に対しまして資格を与えております。  それから、五十三年度におきます監査事業の実施状況は、全国森林組合連合会が四県森林組合連合会を、四十六都道府県森林組合連合会が百九十八の森林組合を対象に実施しております。  それから、信託事業及び林地処分事業でございますけれども、これらの事業は、森林組合法制定以前から森林組合の事業範囲とされていたものでございますけれども森林組合法におきましては、これら事業の適正かつ健全な運営を確保するため、これらの事業を行う森林組合等は、森林経営信託規程及び林地処分事業実施規程を定めまして、行政庁の承認を受けることとされております。このために、森林経営信託規程例及び林地処分事業実施規程例を五十三年七月に定めまして、都道府県知事に通達しました。  以上の状況でございます。
  147. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この附帯決議の第六項で森林組合のことに触れておるわけでありますけれども、この附帯決議の中では「森林組合が林業活動の中核的担い手として造林、林産、販購買等の事業を実施し易い条件を整備し、また信用事業を行い得るための基本的条件の整備等について早急に検討を行うとともに」云々と、こういうふうになっておりまして、森林組合に対する懸案の信用事業付与ということについては早急に検討して結論を得るということが附帯決議の中で注文をされておるわけであります。  この問題に対する従来の検討経過と今後の取り扱いについて、お答えを願っておきたいと思います。
  148. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 第八十四回国会の衆議院農水委員会において、そのような附帯決議がなされておるわけでありますので、これにつきましては農林省としても真剣に検討をしてまいりました。  経過としては、森林組合系統組織の信用事業問題について、学識経験者などの参加を得ながら、昭和五十三年十二月よりこれまで三回にわたって会議をしてまいりました。そして、信用事業問題にかかわる過去の経緯の洗い直し、農林水産業務への資金循環の検討、信用事業能力の付与を主張する実態的な根拠について、その系統機関の意見聴取等を行ってきたわけでございます。  これにつきまして、いろいろむずかしい問題が実は出ておるわけであります。  内部的には、現金収入が断続的で預金を経常的に集めるということがなかなかむずかしいいまの状態にある、あるいは経営基盤の弱小な組合が多い、したがって信用事業を行うに必要な施設運営費等の確保について困難性がかなりある。また、経営基盤の確立している一部の森林組合が信用事業を実施するとしても、為替業務を行うためのネットワークの形成等に困難な問題がある。組合員に対するサービス等についても困難な問題があるというようなことがいろいろ言われておるのであります。  外部的な問題としては、現在ある金融機関の採算性が低下傾向にあるということ、農協その他の既存の金融機関との調整がなかなか——これは同じ人が農協にも信用組合にも森林組合にも入っているが、そこらの混乱の起きる可能性がかなりあるというようなことなどで、まだ最終結論は出しておりませんが、現在の段階において森林組合に信用事業を与えることは時期尚早ではないだろうかというような気がいたしておるのであります。
  149. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは委員会からの注文であり、一つの宿題でありますので、現段階においてはなかなかむずかしいという集約をされましたけれども、この問題については積極的にさらに検討し、実現の方向で努力してもらいたいということを強く注文をしておきます。  それから、附帯決議の第七項の中では、「林業労働災害及び振動障害等職業病の発生防止のため適切な措置を講ずること。」というのが書かれておりまして、これは非常に重要な問題の一つであります。  そこで、これは民有林もありますし国有林もあるわけですけれども、一応民有林では、五十三年三月末現在で労働者災害補償保険による療養継続中の者が二千七百五十七人、国有林野事業では、五十三年十二月末現在で公務災害認定者は三千四百三十九人と白書では言っておるわけでありますけれども、午前来の質問でもありますように、国有林の場合ももちろんでありますけれども、特に民有林は潜在化しておったのがいま顕在化しておるわけでありまして、これは恐らく一万を超えていくのではないかという予測もあるわけであります。  こういった問題に対する発生状況と治療体制というものはどういうふうにやっておるのか、その点についてお答えを願います。
  150. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま御指摘になりましたように、振動障害の発生状況は、民有林につきまして、五十三年三月末で二千七百五十七名というふうになっておりますし、それから国有林野の職員につきましては、認定患者が五十四年三月末で三千四百六十名となっております。  これらの治療体制でございますけれども、労働省、厚生省、それから林野庁が三者でいろいろと協議検討いたしまして、振動障害対策推進関係省庁連絡会議を設けておりますけれども、その決定に従いまして、労災病院、営林病院、国立病院等の医療機関によりますネットワークの形成を進めておる段階でございます。県単位でこういうネットワークをつくっていただきまして、その中で治療体制を図っていこうということで、現在鋭意その拡充を図っておる段階でございます。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕  それから、国有林につきましては、温熱療法を中心といたしました効果的な治療を推進するために、関係省庁の協力を得まして入院ベッドの確保を図るほか、営林病院等の設備の充実、それから既設病院への病棟の併設等の措置を講じているところでございます。
  151. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これはたとえば国有林の場合は医療の指定病院というのは全国的には三百四十九というふうに承知しておるわけですけれども、ただ、過般私、紀州路の方へ参りまして、新宮営林署の大又事業所の方に行ったときに、従来白浜の方でやっておる治療を勝浦の該当病院で受けられればという話が希望として出ておりまして、これは御答弁というよりも、そういった問題等については、それらを含めて今後患者等の治療体制に万遺憾のないように推進をしていってもらいたいということを希望申し上げておきたいと思います。  引き続きまして、当面の法案の中身に関連します造林林道等の問題について、若干法案の前にお尋ねをいたしておきたいと思います。  この白書でも言っておりますように、再造林にいたしましても、あるいは拡大造林にいたしましても、いろいろな障害条件があって造林がなかなか進まない、停滞傾向である、むしろ減少傾向であるといったようなことが言われておるわけでありますけれども、そういうものを積極的に進めていかなければなりませんが、まず、この造林の補助率あるいは造林の補助単価、あるいはこの造林の場合特に査定係数というのが御承知のようにあるわけでありますけれども、これらの考え方についてお答えを願いたいと思います。
  152. 藍原義邦

    藍原政府委員 造林事業につきましては、ただいま御指摘になりましたように、補助率と査定係数とがございます。  民有林の造林事業の推進のためには、やはり自主的な努力の助長ということが中心になりまして、これを推進するために、補助率といたしましては原則として十分の四というふうにしておるところでございます。しかしながら、造林事業にはいろいろな事業の仕方がございます。たとえば団地造林あるいは森林施業計画造林、そういうような造林の仕方がございますし、それから造林が行われている地域が普通林であったりあるいは保安林という制限の林地である場合といろいろございます。そういういろいろな事業実行の差異がございますので、実質の補助率にさらに格差をつけるために査定係数というものを設けまして、それぞれのウエートに応じました造林を推進していこうということを考えておるわけでございまして、それぞれの区分に応じまして八〇から一七〇の範囲におきまして定められた査定係数を掛けるということをやっております。
  153. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 造林の場合は、一般造林事業、民有林造林の補助事業の中身を見ますと、一般造林事業、この中は再造林、拡大造林、復旧造林、それから新たに本年度から森林総合整備事業、これは再造林、拡大造林、天然林改良、それに保育を取り上げて、人工林、天然林を含む保育ということで、新たに森林総合整備事業というのを実施しようとしておる。これは先ほどの委員の質問に対しても御答弁がございましたが、この森林総合整備事業の本年度プランというものについて、簡潔に御答弁を願っておきたいと思います。
  154. 藍原義邦

    藍原政府委員 森林総合整備事業は、従来から造林の推進がなかなか思うようにいかないという点もございまして、市町村長を中心にいたしまして造林に対します計画をつくらせまして、それを組織的、計画的に実行させようというのがまず大きなねらいでございます。  そういう観点から市町村が中心になって計画をいたしまして、その計画に基づきまして集団的にやる事業の仕組みでございますけれども、規模といたしましては大体一千ヘクタールぐらいのものを一つの地域といたしまして森林総合整備地域をまず指定するということでございます。そして、この指定地域の中につきましては、人工林の造林それから保育、こういうものを総合的に推進する形の整備計画をまずつくっていただくということでございます。そしてその事業は、市町村あるいは森林組合、林業公社等の公的組織体がこれを実施していくということを考えております。  助成の方法といたしましては、再造林から拡大造林あるいは天然林改良、保育、下刈り、除間伐を含めましたすべてにつきまして一括して補助対象にしていこうということでございます。  それから、補助対象の林齢につきまして、従来造林事業は二十年でございましたけれども、これを二十五年に五年延長するという形でございます。  それから、補助率は十分の四といたしますけれども、新たな査定係数を適用することによりまして助成内容の充実を図る、こういうような事業を考えまして、森林総合整備事業というものを実行いたしましてこれからの造林推進をさらに積極的に進めてまいりたいということでございます。
  155. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 造林について、いわゆる人工造林計画と実績問題、これは御案内のとおり、人工造林計画量というものは、五十一年三月改定の全国森林計画、四十八年から六十二年度にかけての計画量、これの人工造林計画量は、民有林の場合三百六十九万五千ヘクタール、国有林の場合七十五万九千ヘクタール、締めて四百四十五万四千ヘクタール、これが四十八年以降五十二年までの人工造林実績で見ますと、予定より相当にやはり落ち込んでおるといった実態にあろうと思うのであります。これを積極的に推進をしていくためには、造林に関するわが党提案の法案等も含めて積極的な姿勢がやはり必要であるというふうにわれわれはかねてから考えておるわけでありますけれども、これらの従来の実績とこれからのスピードアップについてどう考えているのか、お答えを願いたいと思います。
  156. 藍原義邦

    藍原政府委員 御指摘になりましたように、ただいま私どもが立てております長期計画、これと比較いたしてみますと、昭和九十六年度目標人工林面積として千三百十四万ヘクタールが示されております。また、五十一年三月改定の全国森林計画におきましては、期間内に四百四十五万ヘクタールの人工造林地が計画されておりますが、こういうものに対しまして、五十一年三月末現在の人工林の状況でございますが、九百三十八万ヘクタールで、森林資源に関する基本計画に対しましては七一%、それから四十八年から五十二年までの造林実行量は百十五万ヘクタールでございまして、全国森林計画の年平均の計画量に対しましては達成率七八%となっておりまして、いずれも計画よりも低目になっております。こういう点、私ども非常に今後この対策を講じなければいけないということで、先ほど御説明いたしました森林総合整備事業というものも、こういうことを考えまして私どもその対策を練ったわけでございまして、今後とも造林の推進につきましては鋭意積極的な対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  157. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次、林道問題に入りますけれども林道長期計画と実績という問題は、現状はどうなっているか、お答えを願いたい。
  158. 藍原義邦

    藍原政府委員 林道につきましても、森林資源に関する基本計画におきましてその長期計画を予定いたしておりまして、昭年九十年度までに総延長二十六万七千キロメートルを整備の目標といたしております。それに対しまして現在の整備状況は、昭和五十二年度末現在におきまして九万四千キロメートルで、目標に対します達成率は三五%となっております。  それから一方、四十八年から六十二年までの十五カ年間を計画期間といたします全国森林計画におきます林道の開設、延長計画は十二万八千キロメートルになっておりますけれども、これに対しまして四十八年度から五十二年度の五カ年間の開設実績は一万五千キロメートルでございます。この計画に対します達成状況を年平均で見ますと三六%ということになりまして、いずれの面から見ましても達成率が非常に低いということでございます。  この主な理由は、やはり四十八年のオイルショックを契機といたしまして諸資材の高騰あるいは労務費の上昇、それから自然環境保全のための工法の非常な単価増というような点、これらのものが中心になりまして、延長が延びないという状況でございますが、私ども、これらにつきましては工法のいろいろな研究等をいたしまして、できるだけこの計画に沿うような林道延長ができますような努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  159. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いま長期計画と実際の実績というものを造林について見ましても、あるいは林道について見ましても、いわゆる計画と実績との乖離というものが非常に顕著である、これはやはり積極的に拡大をするようないろいろな施策というものを進めなければならぬ。それの一つとして、先ほど論議しましたようなことも入りますし、今回のこういう法律の制定を通じて、さらにバックアップをするということも一つの力を持つと思いますが、林道の場合に高速道路等一般国道、都道府県道、市町村道、それから農道、林道林道が各道路の中において、全国的に見てどういう比重を占めておるかという点についても簡単に御説明を願っておきたいと思います。
  160. 藍原義邦

    藍原政府委員 これは建設白書等を中心にいたしまして調べたものでございますけれども、現在林道を一とした場合に農道が二・三、それから高速道路、一般国道、都道府県道、市町村道、こういうものを合計いたしました公共道路、これが一二・八というふうな割合になっております。
  161. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 高速道路等が〇・〇五、一般国道が〇・五、都道府県道が一・五、市町村道が一〇・七、それらを合計して一二・八、これは林道を一として、農道が二・三、こういった道路内におけるそれぞれの種類別のウエートというものはそういうことですけれども、いわば国土の七割近くを占めておる森林地帯あるいは山間、そういうところにおける林道のこれからの開設の促進、もちろん山村部といえども国道もあればあるいは都道府県道もあるわけでありまして、これだけがあるわけではありませんけれども、さらに林道についても、計画が非常に落ち込んでおるわけでありますから、積極的に推進する、これが造林あるいは林業経営関連の産業の振興にも密接にかかわってくるということであろうと思いますので、今後積極的に進めるということで御努力を願いたいというふうに思っております。  そこで、今度の昭和五十三年度林業の動向に関する年次報告の中で、森林公益的機能といったような観点から、これを果たしていくために、いろいろな制約条件を受けておる。制約条件を受けながらそういう森林公益的機能を果たしていくということで、林業者としては非常な努力をしていっておる。そういった問題についてはいわゆる上流、下流を含めての経済機能公益的機能の中で、特に公益的機能の観点から、受益者負担の考え方というものを森林資源の整備を進める場合に考えていくことが必要であるということで、木曽三川等の事例も引きながら問題を提起しておるわけであります。これは森林の持つ実際の公益的機能といったような点について、林業白書にもさらに触れられておりますけれども、これは今後具体的にはどういうふうに進めていこうと考えておられるのか、お答えを願っておきたいと思います。
  162. 藍原義邦

    藍原政府委員 森林につきましては、御存じのとおり、水源涵養の機能あるいは国土保全機能、さらには環境保全機能等々あるわけでございますが、そういう機能が一般の国民全体に受益としてはね返ってきております。こういうものをわれわれとしても何とか捕捉できないかということで検討は進めておるわけでございますけれども、現在林野庁としてやっております措置を申し上げますと、二県以上にまたがります重要な十流域につきまして、森林造成推持費用分担推進調査を実施いたしまして、森林の持っております諸機能及び上流域の費用負担の実情、下流域の受益の実態というものについて調査を進めておる段階でございます。こういう調査の結果等を将来利用いたしまして、森林の造成維持費用の分担のあり方を検討してまいりたいというふうに考えておりますが、こういうものの検討を踏まえまして、水需給の逼迫が見込まれております重要な流域の水源涵養を図るために、五十二年度から共同水源林造成特別対策事業を実施いたしまして、下流の負担において水源地域におきます水資源造成の推進を図っておるというのが実態でございます。さらに、冒頭申し上げましたように、この問題は非常にむずかしい問題をはらんでおりますけれども、私どもといたしましては十分この辺を踏まえて真剣な検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  163. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 森林災害の問題では火災があり、台風があり、あるいは松くい虫の被害があり、カモシカの被害があるといったように、せっかくいろいろ森林造林をし、保育をし、そして経済機能も発揮するような方向に持っていく過程でいろいろ災害が起こるわけでありますが、そのうちの一つのカモシカ問題という点について少しくお尋ねしておきたいと思います。  カモシカによる被害の状況、最近ときどきマスコミの俎上にも上るわけですが、そういった問題についてどう対応していっておるか、最初に林野庁の方からお答えを願っておきたいと思います。
  164. 猪野曠

    ○猪野説明員 お答え申し上げます。  カモシカによる森林の被害でございますけれども、民有林と国有林合わせまして昭和五十年には千九百五十ヘクタールくらいございました。それがその後徐々にふえてまいりまして、昭和五十二年度には三千ヘクタールをちょっと超えたといったような数字になって、増加の傾向にあるわけでございます。  五十二年度の被害の状況を地域別に見てまいりますと、民有林では、十の県で二千五百ヘクタールの被害が発生しております。このうち主な県といたしまして長野県、岐阜県、岩手県、この三県を合わせまして民有林の被害の約九割近くを占めているわけでございます。  それから、国有林におきましては、七つの営林局で五百ヘクタールの被害が発生いたしておりまして、このうち長野、東京、名古屋の三営林局を合わせまして約八八%、九〇%近い被害が出ているわけでございます。  そこで、これに対する対策でございますけれども一つは当面の対策といたしまして、カモシカは非常に貴重な動物でございますので、これの保護を図るといったことを旨といたしまして、あわせてこれによる被害の防止を図る、そして林業経営の安定を図るといったようなもろもろの問題を調和させなければならないといったようなことがございまして、なかなかむずかしいわけではございますけれども、これらを両立させていくことが必要であろうかというふうに考えております。  このため文化庁、環境庁、それから林野庁の三庁におきまして種々御相談を進めているわけでございますが、カモシカの生態とかあるいは生息の分布状況、カモシカの食害防止の方法だとか、いろいろな調べなければならないことも多いわけでございまして、これらを三つの庁で分担しながら現在進めているわけでございます。また、五十三年の九月に、三庁で協議をいたしまして、特に被害が激甚でございます岐阜県あるいは長野県、これにまたがっております御岳、乗鞍地域に所在する国有林に保護区域を設定したわけでございます。そして、それ以外の地域におきましては麻酔銃による捕獲を文化庁、環境庁が中心となってやっているところでございます。  今後の対策でございますが、林野庁といたしましては、基本的には保護区域を設定して、これ以外の区域では種の指定を解除してもらいたい。それからいま一つは、保護区域外のカモシカにつきましては、被害防止のため、必要な場合は有害鳥獣として駆除できるようにしていただきたいというようなこと、そういった措置が必要であるというふうに考えまして、いままで申し上げましたいろいろな調査あるいは麻酔銃による捕獲措置の結果等を踏まえて、文化庁、環境庁との間で協議をいたしまして、できるだけ早く今後の方針を定めたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  165. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この点について文化庁の方からおいで願っておりますが、カモシカのこういった問題に対する文化庁の見解をお答え願っておきたいと思います。
  166. 逸見博昌

    ○逸見説明員 御説明いたします。  抜本的な対策につきましては現在環境庁、林野庁と八月末を目途に検討しておりますこと、ただいま林野庁から御答弁いただいたとおりでございます。  その骨子といたしますところは、ただいま申し述べられましたが、繰り返し申しますと、二つございますが、まず一つは、カモシカの種としての保護に必要な地域を天然記念物に指定しまして、これを適切に保護管理をする、そして、それによりまして地域内のカモシカの個体数を維持する、これが第一点でございます。もう一つの点は、指定しました地域以外のカモシカにつきましては、食害の発生状況との関連で有効適切な方法で捕獲をいたしまして、生息数のコントロールを図る。こういった抜本的な対策を八月末を目途に検討いたしております。  それとあわせまして、文化庁独自の立場での施策も数年来講じてまいっておりまして、たとえば幼樹、すなわちカモシカの食害の対象になりますような小さな木にポリネットというふうな袋をかぶせまして幼樹を保護するというようなこと、それからカモシカが一定の地域に入らないように保護さくを設けるというようなこと、それから保護捕獲といいまして麻酔銃によってカモシカを捕獲するというようなこと、それから、そういった形で捕獲いたしましたカモシカを一定の場所に生かしておく保護施設の設置、こういった事業に対しまして地方公共団体の要望に応じまして補助をいたしておるところでございます。  こういったさまざまな施策によりまして、カモシカの保護、林業等との調和を図るべく努力を続けておるところでございます。
  167. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間が迫ってまいりましたが、いままで議論をしてまいりましたこと自身が林業等振興資金融通暫定措置法案とのかかわり合いが基本的にもあるわけでございますが、若干、午前の同僚議員の質問との重複を避けて、この法案について数点お尋ねをしておきたいと思います。  この法案の第一条、目的のところは、「当分の間」についての大臣からの御答弁もございました。それから、基本方針についての大臣としてのお考え方についても御答弁がございました。私はむしろこの法案について、特に基本方針をなぜ設けたのかというふうに逆に尋ねたいところでありますが、いずれにしても基本方針を設け、これを受けて林業経営改善計画は、第三条第三項第一号で、基本方針に即して改善計画がつくられているかどうかということで認定が行われる、また第五条第三項第一号で、合理化計画が基本方針に即しているかどうかで認定が行われるという形に相なっておるわけでありまして、これはもう時間の関係上答弁は求めないことにいたします。  ただ、林業経営改善計画の場合に、林業を営む者が林業経営改善計画を作成して都道府県知事に提出をし、その認定を受けるわけですが、この場合に、森林の所在地を管轄する都道府県知事、仮に林業を営む者が隣県にまたがって一つの団地をもってやる場合の林業経営改善計画はどういうふうにして出していくことになるのか、あるいは第三条第二項第三号のところで、「前号の措置を実施するのに必要な資金の額及び調達方法」こういうふうになっておりますけれども、認定というのは資金を受けるためのいわば。パスポートであって、実際には資金を受ける場合にはさらに公庫等の審査といいますか、そういうものが行われて資金が貸し付けられるということであろうと思いますが、そういうふうに理解をしていいかどうかといったような第三条の問題について、簡潔にお答えを願いたいと思います。
  168. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  森林が二県以上にまたがっている場合には、この経営改善計画は原則として団地ごとに立てていただくということを考えておりまして、この各県に所在する森林がそれぞれ根っこの団地であります際には、それぞれ団地ごとに、各県ごとに経営改善計画を出していただくということでございます。  ただ、一団地の森林が二県以上にまたがる場合には、当該団地につきまして一個の林業経営改善計画を立てていただきまして、これを関係県知事が共同で認定をするという手続になるわけでございます。  それから、第三条第二項第三号の資金の額等につきましては、御指摘のように、本来資金調達の計画でございますが、これにつきましてはそれぞれの林業者の経営ごとに内容も変わってまいりますので、それらの実情に従いましてそれぞれの資金の調達の方法を定めていただく、それに従いましてこちらも考えるということでございます。  また、農林漁業金融公庫が具体的な貸し付けをいたします場合におきましては、本来貸し付けを行うわけでございますから、債権者の立場から、たてまえとしては債権保全その他につきまして審査をするということになるわけでございます。
  169. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 第五条の合理化計画を受けて、第六条の林業信用基金の業務の特例等に基づいて、林業信用基金から都道府県に対する貸し付けの問題とかあるいは債務保証等の規定があるわけでございますが、この場合に、第六条の第二号のイ、ロ、ハの問題に関連して少しくお尋ねをしておきたいと思います。  ロのところでは「木材卸売業者等(資本の額又は出資の総額が一千万円以下の会社並びに常時使用する従業者の数が百人以下の会社及び個人に限る。ハにおいて同じ。)」こういうふうな形で以下続いておりますが、この一千万円以下、百人以下の会社及び個人に限るという点が、中小企業基本法との関連、あるいは新たにこれによって貸し付けようとする木材関連の生産、流通関係のものが入るわけでありますけれども、これらの点について少しく御説明を願いたいと思います。
  170. 角道謙一

    角道政府委員 お答えを申し上げます。  第二号のロの要件を定めます場合には、この業務が、本来的に今回林業信用基金において行わせるという観点から、原則的には林業信用基金とバランスをとるという観点から、資本金につきまして一千万円ということを定めたものでございますが、ただ、常時従業者につきましては、中小企業基本法におきまして百人以下という定めがございますので、この中小企業基本法の基準をしんしゃくいたしまして、これにつきまして現行の百人というものを従業者の方の規模としたわけでございます。
  171. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 法案についてはまだわが党でさらに質疑がなされてまいりますので、私自身も予定した質問事項はまだほかにもございますけれども、一応数点についてお尋ねをするということでとどめたいと思います。  そこで、この法案の第二条の基本方針の関連の中で第三項に「農林水産大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、林政審議会の意見を聴かなければならない。」ということで、林政審議会が出てまいるわけであります。つまり、今日までもそうでありますし、これからの問題についても林政審議会の意見というのが非常に重要な役割りを持ってくるわけでありますけれども、現行の林政審議会というのは官僚のOBであるとかあるいは業者団体代表中心に十五名で構成されておるわけでありまして、今日の水の問題あるいは緑の問題、きれいな空気等の国民的な要請、加えてますます深刻化しておる森林林業現状等、それから林業労働者の問題等を踏まえてこの困難を打開をしながらわが国森林林業関係を発展をさしていくというためには、林政審議会の民主的な強化というものが必要であるというふうに私は考えておるわけでありまして、これはかねてからわが党からもそういう意見を提示しておるわけでありますけれども、この場合に林政審議会のメンバーというものを二十人程度にいまの人数より拡大をいたしまして、中立的な学識経験者に冷静、客観的な立場から審議をしてもらうということで、これは大体半数近く、そして林業木材関係の労働者等も含めて、これは現地で生々しい体験の中で今日の森林林業実態に触れる、また苦労をなめている林業木材関係労働者の代表というものをできれば五名程度も含めて、広く開かれた審議会としてそれが今後の森林林業の発展に大きな役割りを果たすということが必要であるというふうに私は考えておるわけでありますが、これらの問題についての大臣の見解を聞いておきたいと思います。
  172. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 林政審議会のメンバーにつきましては、これは御趣旨のようなことで、一方に偏らずになるべく広い視野から、大所高所から物を見られる人ということが必要でございます。その一面、やはり実務に明るいというような人も必要でございますので、すでに御承知のようなメンバーにしてあるわけでございます。  民主的に行われるかどうかということは、一にかかって審議会運営のやり方にかかっているのじゃないか、こういうように考えておりますので、御趣旨を体して、審議会の運営については極力皆さんの意見が十分反映できるように運営をしていただきたいと考えております。
  173. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いまの渡辺大臣の答弁はきわめて慎重、低姿勢でありますが、中身がないですね。  私は、同僚議員に引き続いて、国際的な視点から森林林業問題、わが国森林林業の置かれておる深刻な実態とその打開という点から、制限された時間でありますから十分意を尽くしませんでしたけれども、ある程度議論をしてまいりましたが、やはり森林の持つ公益的機能あるいは経済機能、特に国際的な視点から見たわが国現状というものはこのままに放置することはできない。林業白書あるいはこれに基づく新年度の施策というものが発表されたときにも、マスコミは今日の深刻な森林林業実態あるいはまたそれをどうしていくかという点については共感を覚えながら、ともどもに国民的なコンセンサスを得てこの難局を打開していかなければいかぬという提言が広くマスコミの論調の中にも出ておったと私は思うのでありまして、それだけやはり、森林林業の問題は単に林業経営に携わる者あるいは林業労働者あるいは山村あるいは林業関連産業関係者といった限定された問題ではなしに、上流から下流まで含めた広く国民的な問題であるという点から、今日の問題の打開については真剣に政府としてこれが対応をやっていかなければならぬ。積極的な対策について、予算であれ、あるいは財政投融資であれ、あるいは新しい立法であれ、私はきょうは触れませんでしたけれども間伐の問題等についても、惰性ではなくて、新しいやはり対応策というものを積極的に取り組みながら、造林についても林道についても林業経営についても、あるいは関連の産業者の今後の問題についても、明るい展望が開かれるというふうなことを進めていくのは、まさにこれは政治の責任である、また国会に籍を置くわれわれの連帯的な責任であるというふうに私は認識しておるのでありまして、これからのこういった問題に対する取り組みについて、最後に渡辺農林水産大臣から決意のほどをお答え願って、私の質問を終わりたいと思います。
  174. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 包括的に申しまして、私も同じような姿勢で取り組んでまいる所存でございます。
  175. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 以上でもって私の質問を終わります。
  176. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 古川雅司君。
  177. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 ただいま議題になっております林業等振興資金融通暫定措置法案につきまして、若干の御質問を申し上げたいと思います。  限られた九十分という時間の中で、私は、第一に本法案関係する問題点、次に国有林野事業の特別会計の財務状況に関する問題点、三番目に本法案に多少関連をさせながら、いわゆる林政問題の一般について、最後に木材の備蓄対策事業の問題点、この四項目にわたってお伺いを進めてまいりたいと思います。午前中来の質問に多少重複をするかもしれませんが、あらかじめお許しをいただきたいと思います。  最初に、本法案に関する問題点についてでありますが、この法案をなぜ暫定法にしたか。法案で言う「当分の間」ということについては、暫定期間を約二十年間ぐらいとの御答弁でございました。二十年間が「当分の間」ということになるのか、その辺が非常に不明確でありますし、暫定法としたその辺の理由づけがまだあいまいではないかと思いますが、まず、この点からお伺いしてまいります。
  178. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 通常「当分の間」というのは、具体的に五年とか十年とか限定的なことを言うように思うかもしれませんが、私はそうは考えないのであって、戦後植栽林が本格的な伐期に達するまでの間というように考えますと、時間的には大体昭和七十年代のころにいまの植えたものが伐期に達する。その間にもどんどん木も植えていかなければならないということを考えると、大体二十年ぐらいかなということを申し上げたわけでございます。
  179. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 以下、逐条的に本法案の基本的な問題についてお伺いを進めていくわけでございますが、まず第二条で「農林水産大臣は、林業経営の改善並びに国内木材生産及び流通の合理化に関する事項についての基本方針を定めなければならない。」と、このように合理化を一体的に推進することを旨としてこの法律を作成するというふうにしているわけでありますが、どのような事項に対して、いかなる合理化を図る計画なのかということが具体的には述べられていないわけでありまして、今後の林業施策に重要な影響を及ぼすものと考えられますし、この法が制定された後にそうした基本的な考え方が明確になっていくのか、その点を明らかにお示しいただきたいと思います。
  180. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたから、簡潔に申し上げますが、基本方針の基本的な考え方ということにつきましては、川上から川下に至るまでの一貫した体質改善を推進することによって、林業及び国産材関連産業の振興に資する、こういうことを目的にして基本方針をつくっていきたい、そのためには審議会の意見も十分に聞いてまいりたい。  現在の段階では、決まっておるわけじゃないけれども日本森林経営が概して非常に小規模で計画性を欠いておるという視点に立脚をして、この所有森林についての経営方針をきちっと明確にしていく。それから、もうばらばらで無計画、地域的な統合性がない、整合性がないということでも困るから、そういうようなものについてひとつ歩調を合わせていくとか、伐採、造林等の生産活動について計画性を持たせるとか、森林組合の受委託の推進等の事業の実行方法でむだのないようなことをどうしたらできるか、こういうようなことを方針に織り込んでいくとか、あるいは流通面について、これも合理化というものを、生産、流通の合理化をもっと徹底していかなければならぬ。したがって、素材の生産とか取引の安定的なしかも計画的な方法、それから製材の加工の高度化、国産材の品ぞろえの機能の能率化というようなこと、木材市場の近代化、こういうようなものを基本方針として考えていきたい。  さらに、この林業の経営改善の計画とか合理化計画というものの考え方はどうなんだということでございますが、これらにつきましても、いま言ったようなものの中で、農林漁業のいわゆる系統資金の償還条件を緩和をしていくとか、あるいは国産材産業振興資金制度による素材生産業者への低利融資資金の提供等の金融上の特別措置を図っていくとか、また、わが国林業及び国産材関連産業の一貫した体質の改善に役立つような何か合理化計画を図っていくなどを基本として考えてまいるというつもりでございます。  これらにつきましても、基本方針については審議会の意見を聞き、まだ固まったわけではございませんので、皆さん方からも建設的な御意見がございますれば、そういう意見も十分取り入れて、せっかくこしらえるものでありますから、紙の上に書いただけでなくて、実務にも役立つようにしてまいりたい。それが、あんまりむずかしいことを書いちゃって、利用者がなくなっちゃうようでも困りますから、そこらのところは臨機応変にやっていかなければならない、こう思っております。
  181. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 基本的な考え方についてはよくわかりました。  そうなりますと、いわゆる既存の関連法との調整をどうするかという問題が起こってくるわけであります。  第三条は、「林業を営む者は、林業経営改善計画を作成し、これを当該林業経営改善計画の対象とする森林の所在地を管轄する都道府県知事に提出して、当該林業経営改善計画が適当である旨の認定を受ける」というふうになっておりますが、この林業経営改善計画と、森林法に定める森林施業計画との関連並びにその調整、また第五条の合理化計画の場合も、林業基本法とのどのような関連になるのか、その点の御説明をいただきたいと思います。
  182. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  林業経営改善計画につきましては、本法案におきまして農林漁業金融公庫から造林資金あるいは林道資金につきまして長期の融資を行うという観点から、それぞれの個別の経営に即しまして、もっぱら経営の観点からその当該経営がうまくまいりますように、それを判定するために経営改善計画を定めたものでございまして、したがって、もっぱらこの林業経営の中身あるいは経営をいかにして改善していくかということがこの主体になっておるわけでございます。  ただ、実際上は林業経営でございますから、経営をうまくやっていくためには施業の面におきましてもどういうことをしなければいかぬかという点がございますので、施業の面におきましては、御質問のとおり、森林施業計画と密接に相関連するというふうに考えておるわけでございます。ただ、施業を具体的に円滑に実施するためには事業計画をどのようにしていくか、あるいはこれを実施するためには資金面でどのような手当てをするか、あるいはどういう調達をするか、どういう償還をしていくかというようなことを知る必要がございますので、ここで林業経営改善計画を定めたものでございます。  また、全国森林計画につきましては、全体的な、全国的な森林資源捕捉という観点からこれを定めておりますので、この個別経営の立場から言っております林業経営改善計画とは基本におきましては一致するものでございますけれども、片方は全国的なもの、片方は個別の経営から考えておるものということにおきまして相違はしておるわけでございます。
  183. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 基本においては一致し、そしてまた個別においてはその対象において個々にまた調整を図っていくという意味の御答弁に受け取ってよろしゅうございますか。
  184. 角道謙一

    角道政府委員 ただいまの御質問のとおり、個別の森林施業計画は全国森林計画並びに地域森林施業計画に即するものでございますし、また、この法案に申します経営改善計画はそれぞれの方の個別の施業計画と密接不可分のものというふうに考えております。
  185. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 この法案に対して農林水産省が期待を抱いているその一つは、第四条の農林漁業金融公庫の償還期限及び据え置き期間の特例措置によって、造林資金については据え置き期間が間伐収入期、償還期限は主伐期にほぼ合致することになって、林道資金についてもそれぞれ条件が緩和されることになるわけでありますが、このことによって森林所有者が直接的、間接的に動機づけられて、いわゆる基本方針に沿った伐採、造林意欲等が向上する、図られていくというふうに解しておられるようでありますが、その期待どおりと解してよろしゅうございましょうか。
  186. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 これは法律を見ますと、いろいろ基本方針だの合理化計画だの何のとごてごて書いてあるものだから、非常にむずかしいようにとられると私は思うのですよ。しかし、よく考えてみると、それは基本法や施業計画というものがあって、それに従った中で、この個別のものの個々の経営主体のまた計画があるわけですから、それをつくって出してください、したがって、合理化といってもそれぞれの地域によって違うので、あなたの場合はどういうふうにすれば自分の市場なり自分の木材屋なりあるいは生産者なりがいまよりも合理化できるのか、しかも、それが施業計画や何かに違わないということの説明がつけばいいんであって、少しむずかしく書いておかないと、これは大蔵省が、ともかくいまだかつてないような四十五年なんていう金利のものをつくるわけですから、少しむずかしく書いてあるというだけのことではないかと私は思っております。
  187. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 そうなりますと、本法案による融資制度の貸付総額、これは午前中来御質問が続いておりますけれども、初年度において半年分として二百五十億円としておるわけでありますが、近年の国産材をめぐる情勢について非常に多くの議論があるわけであります。その一層の充実強化を図る必要からも、今後の制度の運用、しかも「当分の間」を二十年と設定しておられる以上、今後の見込みというものについて改めてお伺いしておかなければならないと思います。
  188. 藍原義邦

    藍原政府委員 当分の間この施策を続けるわけでございまして、私どもといたしましても、その間、今後どうなるか、その推移は見なければいけませんけれども、さしずめ昭和五十四年度は二百五十億円ということになっておりますけれども、これは十月からの実施でございますので、五十五年度につきましてはさらに二百五十億円程度のものが必要ではなかろうかというふうに考えております。五十六年以降につきましては、この実施状況をわれわれとしても十分見きわめながら、具体的に検討してまいりたいというふうに考えております。
  189. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 林業関係の金融につきましては、申し上げるまでもなく既存の諸制度にさらに今回こうした金融措置と充実化が図られるわけでありますが、はえば立て、立てば歩めの親心じゃありませんが、農業、漁業においてはそれぞれ近代化資金制度がございます。昭和三十六年及び昭和四十四年にそれぞれ発足しておるわけでございますが、林業についてもそういったものがこれから必要になってくるのではないか、そういう対処が必要ではないかというふうに考えられますが、これはいかがでございましょうか。
  190. 藍原義邦

    藍原政府委員 御指摘のように、確かに林業については近代化資金がございません。これは先生御存じだと思いますけれども森林組合が現在信用事業をやっておりませんし、そういう問題がまずございます。それから、林業金融全体の中での系統資金のカバー率がきわめて低いという問題もございます。こういう点で林業の金融に対するいろいろな実態が農業あるいは漁業に比べまして違いがあるということがあるわけでございますけれども、この問題もそういう横並びのものを考えますと、さらに今後慎重に検討していく必要があろうというふうには考えております。
  191. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 法案の中の林業信用基金についてでありますが、国産材産業資金にかかわる原資供給事業、これを行う都道府県に対する資金の貸し付けは、政府から特殊法人である林業信用基金に出資及び金融機関からの貸し付けに対する利子補給、さらに債務保証を行う。この林業信用基金により都道府県に貸し付けがなされる仕組みになっておるわけでありますけれども、たとえて言えば農林漁業金融公庫などがあるわけでありますが、あえてこの特殊法人が仕組みの中に加わる理由、これをひとつ明確にお示しいただきたいと思います。
  192. 藍原義邦

    藍原政府委員 国が県に資金を貸し付けます場合に、特別会計を設けてやる場合と、特殊法人をつくりましてそれを受け皿としてやる場合と二通りございます。今回のこの制度につきまして、私どもとすればやはり特殊法人を受け皿にしてこの資金の貸し出しをした方がベターであるというふうに判断いたしております。その場合に、いま御指摘のように、公庫等を使わないでなぜ信用基金を考えたかということでございますが、御存じのように、林業信用基金はすでに昭和三十九年から発足いたしておりまして、従前から木材関係林業関係の業界に対して市中銀行から貸し出すものに対しての債務の保証をいたしております。そういうことで、相当の事務的な経験を積んでおりますし、また林業あるいは林産業の実態にも十分通じておりますので、今回のこの措置につきましても林業信用基金を通じて行うことがよりベターであるというふうにわれわれは判断したわけでございます。
  193. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 本法案の第六条に、林業信用基金法の第二十九条、業務についての一部改正が盛り込まれておるわけであります。本来林業信用基金法の目的は「林業者等が農林中央金庫その他の融資を行なう機関から借り入れる場合にその借入れに係る債務を保証して、その資金の融通を円滑にすることを目的とする。」というふうにうたわれております。あくまでも債務保証を目的としておるわけでありまして、第二十九条、業務の一部改正だけでなくて第一条の目的そのものも改正をしなければならないのじゃないかというふうに思われるのですが、この点どうなのか。  なぜこの特殊法人について触れるかといいますと、この仕組みによって非常に大きな金利に伴ういわば利益というものを得ると思われますし、しかも、この役員を見てまいりますと、大変恐縮でありますが、理事長は前林野庁長官、それから常務理事が二名おられますけれどもこれも東京営林局長、熊本営林局長という前歴を持っておられるわけでございます。いわゆる天下り機関の擁護という懸念も抱かざるを得ないわけでありますが、その辺をまた明確に御答弁いただきたいと思います。
  194. 藍原義邦

    藍原政府委員 林業信用基金が都道府県に対します資金の貸付業務を行うことになります根拠、この法案の第六条の法文をごらんになりますと、「林業信用基金は、林業信用基金法第二十九条に規定する業務のほか、この法律の目的を達成するため、次の業務を行う。」こういう規定を設けておるわけでございまして、これは本法の第一条の目的を達成するために、本法律案に基づきまして基金に基金法第一条の目的外の業務を付与するということでございますので、基金法の目的規定の改正は必要ないというふうにわれわれは判断いたしております。  それから、先生御指摘になりました役員の問題でございますが、私ども、今回のこの措置に対応いたしまして理事の増員ということは考えておりません。
  195. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 いろいろ理由はあると思われますけれども、この国産材産業資金の運用に伴い、借り受け者は金融機関から貸し付けを受けた段階で同じく林業信用基金から債務保証を受けるという、この基金が二重に関係を持ってくるわけであります。大臣はこの林業信用基金法第四十条によって監督義務があるわけでありますが、これはしっかり監督していかないと思わぬミスを生ずるのではないかという懸念を抱くわけでありますが、大臣の所感をお伺いしたいと思います。
  196. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 これは基金に取り扱わせるわけでございますが、基金はいろいろなことで手なれてもおるし、また、これくらいの仕事はできるのじゃないか。公庫や何かに持っていったとしても、それはやはり人数が、事業がふえればふえるわけですから、最小限度の人数で、しかも現在の体制でやれるというならば基金がいいだろうというようなことで基金に仕事を、これは併設するということにしたのでありまして、それは所期の目的が達成できるように十分に監督をしてまいるつもりであります。
  197. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 以上、本法案に関する問題の提起と御質問を申し上げたわけでございますが、次に本法案に関連をいたしまして、国有林野事業特別会計の財務状況について若干お伺いを進めてまいりたいと思います。  国有林野事業は、国の所有に属する森林原野の管理経営を企業的に経営することを目的として、国有林野の管理経営事業や民有保安林の買い入れ事業を行っているわけでありますが、初めにこの国有林野事業の収益と費用額について、これは四十九年度から五十二年度までを挙げてまいりたいと思います。  これは御質問を申し上げる予定をしておりましたが、時間の関係でこちらで申し上げますが、四十九年度は収益が二千四百五十五億円、費用が二千二百四十一億円、五十年度が二千四百六十六億円に対して二千六百億円、五十一年度が二千七百四十三億円に対して三千二百四十七億円、五十二年度が二千六百六十六億円に対して三千五百七十三億円、このようになっておりますが、これに相違ございませんか。
  198. 藍原義邦

    藍原政府委員 相違ございません。
  199. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 それで、この収益額と費用額との差を見ますと、四十九年度では二百十三億円の黒、それから五十年度が百三十四億円の赤、五十一年度は五百四億円の赤、五十二年度は九百六億円の赤ということになりますが、これにまた相違はございませんね。
  200. 藍原義邦

    藍原政府委員 そのとおりでございます。
  201. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 このように国有林野事業の五十二年度では実に九百六億円もの赤字を出す財政状況になっております。これはいろいろ原因も議論をされましょうけれども、過去における過伐あるいは近時における自然環境保護の要請等に起因した収穫量の減少あるいは景気の停滞というものが収入の伸び悩みにつながっているというような理由があるのじゃないかと思います。林野庁として事業に対する見通しなど、この際積極的に行っていかないと、この赤字額がますます増大をしていくのではないか。ちなみに、具体的な問題でございますけれども国有林野事業として立木を素材にする製品生産事業があるわけでございますが、昭和五十一年度生産量が四百六十七万立方メートルでありますけれども、そのうち国自身の直用の作業による生産量、これを見ますと三百六十万五千立方メートル、民間の方が百七万四千立方メートルというふうになっております。林野庁がこの素材の生産を行うに当たっては、企業的な能率性の判断の指標として標準林内生産性を採用しているわけでありますが、このことも含めてこの財政状況実態と今後の対処をどうしていくか、御答弁をいただきたいと思います。
  202. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま御指摘になりましたように、国有林の財政状況はきわめて悪くなっております。その原因も、先生ただいま御指摘になりましたとおりでございまして、私どもといたしましても国有林の財政を早く立て直さなければいけないというふうに考えておるわけでございますが、そのためにも、昨年御審議いただきました国有林の改善特別措置法、これに基づきまして国有林の改善を改善期間中に鋭意進めてまいろうということで、ただいま改善計画を立てまして鋭意努力をしておる最中でございまして、今後この計画に基づきまして期間中に財政が立ち直るように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  203. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 先ほど挙げました五十一年度の場合の生産量でございますが、四百六十七万立方メートルのうち三百六十万立方メートルが国の直用作業であるわけであります。この直用作業の事業所でいわゆる標準林内生産性に対して実質生産が五〇%を割る、五〇%以下の事業所につきましては営林局別に非常に偏っている向きがあるわけでございますが、これもこちらで申し上げますと、北見営林局が一、青森が七、秋田が四、前橋が四、長野が六、熊本が十六というふうに数字が上がっております。  こういった実態について、特に実績生産性とその達成率について実態をどのように掌握をして今後の対策を考えていらっしゃるか、その点ひとつお示しをいただきたいと思います。
  204. 秋山智英

    ○秋山説明員 お答えします。  先生御指摘の標準生産性に対しますところの実績の林内生産性、すなわち相対生産性の悪い営林局でございますが、これは北見営林局、青森営林局、秋田営林局、前橋営林局、長野営林局、熊本営林局の六局ございまして、北見につきましては相対生産性九二、青森につきましては七六、秋田につきましては七一、前橋が六〇、長野が五〇、それから熊本が一番悪くて三九ということであります。  そこで私ども、この製品生産事業につきましては、国有林の財政におきましてはやはり非常な重要な地位を占めておりますし、かつまた地域の木材生産業につきましては計画的、安定的に供給するという面できわめて重要な仕事でございます。したがいまして、先ほど長官が御説明申し上げましたとおり、ただいま改善計画を策定いたしまして、これに基づきまして企業的な能率性尺度を厳正に適用いたしまして、よりよい直営、よりよい経営というふうな一つ考え方に立ちまして積極的に改善努力をしてまいりたい、かように考えております。
  205. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 いま挙げました三十八の事業所の場合、いまの御答弁では今後の計画をいま作成中だというようなことでございましたけれども、いわゆる直用による素材生産を実施するに当たって、各事業所が年間の計画生産量を決定してきたわけであります。しかし、実際にはこの財政状況を見ますと、五十年度から赤字に転じているわけでございまして、この三十八事業所を特に挙げて考えましても、計画生産量に対して実績生産量をどう見込み、また調整をしていくかということについては、いまごろ考えているということではちょっと信じられないわけでございますけれども、すでに五十年度から赤字に転じているという実態から見て、対策について非常に立ちおくれているというふうに理解をしてもよろしいのでしょうか。
  206. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま業務部長がお答え申し上げましたように、私どもの指導も不十分な点もあったかと思いますし、また現地のいろいろな事情もあったかと思いますけれども生産性が非常に低いということにつきましてはわれわれも非常に反省をいたしております。したがいまして、いま御指摘のように、その努力の仕方が遅いではないかということでございますが、過去の問題等は過去の問題といたしまして、私ども、改善期間中にこれが鋭意改善されるような努力を今後積極的にしてまいりたいというふうに考えております。
  207. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 そうしますと、今後の問題でございますけれども国有林野事業特別会計の財務状況、こういった実態にかんがみまして、いわゆる内容が、直用による製品生産の収入が本特別会計の主要な収入になるわけでありまして、この直用による製品生産事業を実施するに当たっては、やはり進行状況実態の掌握ということがかなり同時的に進められなければいけないのじゃないか。それに対する措置というものを機敏に講じていかなければならないのじゃないか、このように考えるわけでございますが、それでよろしゅうございますか。
  208. 藍原義邦

    藍原政府委員 御指摘になりましたように、私どもこれから、直営生産事業はもちろん請負事業につきましても、その生産性につきましては十分これを実態的に把握いたしまして、改善すべきものは改善し、改善してもどうしても能率の上がらないものにつきましてはそれなりの事業形態を変えるというようなことまで考えまして、今後国有林の財政が悪くならないような努力はしてまいりたいというふうに考えております。
  209. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 第三項目目にいわゆる林業行政の一般的な問題について二、三点お伺いを進めてまいりたいと思います。  木材長期需給見通しにつきましては、これまた午前中来いろいろ御質問があったわけでございますが、本年度中を目途にしているということでありますけれども、いわゆる林業の基本となる計画でございまして、昭和四十八年に策定して以来わずか六年間という短い期間で変更をしなければならないという事態が生じているわけでございます。こういう非常に見通しのむずかしい中で、本年度じゅうにできるこの改定作業、これにどれだけの期待を抱くことができるのか、林業に携わっている皆さんにとっては一つの大きな期待材料でもあるし、同時に不安材料でもあるというふうに思うわけでございますが、この際、改定作業見通しについてひとつお答えいただきたいと思います。
  210. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま御指摘になりました長期需給見通しでございますけれども、これについては四十八年に策定いたしましたが、その後の日本経済の大きな変動、このために現時点では大きな乖離が出たわけでございます。  いま御指摘になりましたけれども、やはり林業を営む者にとりましてはこういう長期見通し、こういうものが非常に重要な指針になりますし、私どもといたしましても慎重にこの検討は進めなければいけないというふうに考えておりますが、そのために期間が余り遅くなってもまた問題があるというように考えます。そういうことで、本年中に検討を終了したいというふうに考えておるわけでございますが、考え方といたしましては、国土利用計画、こういうものとの整合性、あるいは造林林道目標数値あるいは進度の見直し、それから将来の木材需要多様化、あるいは森林公益的機能の確保に応じた森林施業の検討、それから所要労働力充足可能性の検討等、こういうものを行いながら、その目標達成を図るための施策の方向まで織り込んだ見通しを立てていきたいというふうに考えておる次第でございます。  それから、いま申し上げましたのは森林資源基本計画でございますけれども需給見通しにつきましては、ただいま経済企画庁が検討いたしております新経済七カ年計画、この経済成長率等をしんしゃくいたしまして用途別需給を見通すほか、特に外材が大きな問題でございますので、外材産地状況等について十分把握するよう努め、長期見通しが誤りのないような形でつくられるような努力を、改定作業を進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  211. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 この木材長期需給計画に非常に大きなかかわりを持ってくるのが外材輸入問題でございますが、今日の林業の不振となっている原因を考えますときに、林業振興を図るために国産材需要拡大策もまた必要になっているということが指摘をされているわけでございます。一具体例でありますが、たとえば広島県では、県内で生産された木材で住宅を新築した場合に、住宅金融公庫の融資にさらに五十万円を上乗せ貸し付けをする、こういったことを制度として行っているわけでございます。たとえば、このような国産材で住宅を新築する場合に金融上の何らかの優遇策を講じるということを考えて、これも林業振興の一助にするということもあるのではないかと思いますが、この広島県のほかにこうした施策を行っているところがあればお示しをいただきたいと思いますし、また、こういった行き方について林野庁としてはどのようなお考えを持っているか。これは県のような地方自治体に任しておいていいものか、あるいは国全体として検討をし、全体に実施していく方向考えておられるかどうか、その辺お伺いをしたいと思います。
  212. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま御指摘になりましたように、広島県でそういうことを行っておるということで、私たちも承知いたしております。そのほかに高知県におきましても似たようなことをやっておりまして、現在われわれとしては広島県と高知県ではなかろうかというふうに承知しております。  林野庁といたしましてこれに対してどうかという御質問でございますけれども、国全体といたしまして住宅金融公庫の融資があるわけでございまして、これに対して特に国産材を使った住宅に対して優遇措置を講ずるという問題、これにつきましても建設省といろいろ話をしていることもございます。しかしながら、公庫の融資というのは、先生御存じのとおり、住宅政策上の必要性から行われておりまして、特定の資材というようなもの、あるいは特定の産業の振興を図るというようなこと、これらを直接に目的にしたものでございませんので非常にその辺がむずかしいというようなこと、それから融資に当たりまして国産材の使用状況を個々にチェックするということが技術的にも非常にむずかしいという問題もございます。  こういう点、非常にむずかしい問題がございますけれども、なお関係省庁に対しまして検討の要望はしてまいりたいというふうに考えております。
  213. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 林業振興のために数々の施策を行っているわけでありますけれども、そういった施策の一つ一つが、末端の林業者に周知されているのかどうかというふうに疑問に思うことがときたまあります。そういう施策のPRが不足していることによって、これがまた林業不振に一つの大きな輪をかけているのではないかということも心配されるわけでありますが、林業振興のための諸施策のPRについてどのように進めていらっしゃるか、対策をお伺いしたいと思います。
  214. 藍原義邦

    藍原政府委員 林業振興のためにPRが必要であることはわれわれも十分理解いたしておりまして、また、これが十分行われませんと、諸施策の徹底が図れないということもまた言われるわけであります。そういう観点から、私どもといたしましても印刷物あるいはテレビ、ラジオ、こういうものを手段といたしまして、林業者に対しましてそれぞれの施策に対してのPR、あるいは林業振興諸施策を広く国民に知らせ、また関係者に知らせるような努力をしておるわけでございます。また、それぞれの県には普及員等もおります。したがいまして、そういう国の施策等々につきましても、そういう組織を通じましても十分PRをしているわけでありますが、まだ不十分な点もございますので、今後さらにこの面についてもせっかく努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  215. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 林業の施策を進めていく最先端で、たとえば営林署に属する皆さんが、非常に厳しい生活条件、また作業条件の中で奮闘していらっしゃるわけでございます。また一方には、営林署の中には事務屋さんが非常に多い。実際に山の中に分け入って、林業振興のために精力的に動き回るというか、仕事を進める人が、数の上においてもまた力量の上においても少し足りないのじゃないかという指摘をしばしば耳にするわけでありますが、たとえば林業技術についても、その普及や強化、対処、そういったものが十分今後行われるのか、あるいはまた山村地域における将来の林業の担い手、いわゆる雇用を確保していく、安定させていく、他の産業の従事者と十分均衡のとれた労働条件を確保するということについて、どれだけきめの細かい実態の掌握をしているかというような問題、あるいは農業、漁業などと同じように、林業に従事する方々の中で青少年が後継者としてどれだけ育っているか、その実態について林野庁がどこまで掌握し、問題点をまとめながら今後に対処していかれるのか、以上、例を三つ挙げましたけれども林業振興のための施策がさらに強力に推進されていくために、いま申し上げた点にどのように取り組んでいらっしゃるか、御答弁をいただきたいと思います。
  216. 藍原義邦

    藍原政府委員 林業の施策を推進するためには、普及活動等を中心にいたしまして、特に山村地区を中心にいたしましてそれぞれ人を配置して、その普及を図る必要があろうということは御指摘のとおりでございます。そういう観点から、現在林業普及指導員を都道府県にも配置しておりますし、そういう普及員を中心にいたしまして積極的な活動を推進しておるわけでございますが、普及員の活動を助長するために、職員の資質の向上を図るための研修の実施もいたしております。それから、集合駐在によります普及活動の効率化という問題に対しても対処をいたしておりますし、巡回指導のための機動力の整備等の措置を現在実施しているわけでございます。それから、技術士の養成あるいは指導林家活動促進、こういうものも現在進めております。  いろいろなことをやっておるわけでございますけれども山村そのものはある意味では過疎化もいたしておりまして、なかなかそういう適任者もいないという問題もあろうかと思います。しかしながら、それに負けずに、われわれといたしましても、林業の普及のために今後これらの問題についても、造林林道等の推進と同様な力を注いでまいりたいというふうに考えております。
  217. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 まあ伺いようによっては非常に心もとない御答弁とも受けとめられるわけでございますけれども、過疎化という御説明もありましたし、そうした林業振興のための諸施策を進めていく人材の問題もいま御指摘になったわけでありますが、精神的にこれじゃいけない、これから強化していかなければいけないし、強力に進めていかなければいけないとしながらも、現状においてやはり何らの手を打たなければ、いまの状態をずっと続けていくことになる、ますます衰微の傾向をたどっていくことになるのではないかということが心配されるわけでございます。現状を認め、現状に従っていくしかないという本音と受け取ってもよろしゅうございますか。
  218. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほども申し上げましたけれども、普及事業は普及事業として推進すると同時に、やはり山村を整備することもこれまた必要かと思います。そういう観点から、これはサイドからのそういう施策の推進になろうかと思いますけれども山村地域の環境整備等々を行いまして、生活環境を整備するということも現在進めておりますし、林業構造改善事業、これらもやはりそういう意味から言えば林業の施策を推進する大きなもとにもなるわけでございます。  私どもはそういう観点から、普及という事業とあわせまして、そのほかの事業におきましても、いま申し上げましたような山村地域の基盤整備ということの中から林業の施策の推進ということを図るべく努力をいたしておりまして、今後もこの問題についてはさらに努力を進めてまいるつもりでございます。
  219. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 さっきも申し上げましたとおり、この点はやはり第一線で仕事に携わる、たとえば営林署の署員の皆さんというふうに私は申し上げましたけれども、そうした皆さんがいわゆるモラールを持って、意欲を持って仕事に取り組めるという条件づくりも非常に大事ではないか。時間の都合で一々御指摘はいたしませんけれども、そうした現地の皆さんの抱えている悩みや、あるいは現状を変えていくために持っていらっしゃるいろいろな要望というものをもっと積極的にくみ上げて、喜んでやりがいのある取り組みができるように、ひとつ今後とも監督、そしてまた御指導をいただきたいことを御要望申し上げておきます。  一般問題の最後に、いわゆる水資源の問題になるわけでございますが、私も建設委員会国土庁を中心にした水資源対策については一度伺ってまいりましたし、建設省を初めとして各省庁にわたりますが、ダム建設計画実態等についても見てまいりました。御承知のとおり、水資源を確保するためのダムの建設事業というのはいろいろな問題点があって、なかなか計画どおりには進んでいない。そういう実態の中で、いわゆる森林による水の確保ということが改めて見直しをされているわけでございます。ダム建設には非常に膨大な時間と費用、そして労力を要するわけでございますが、一つのダムをつくることを考えれば、もっと森林保全をすることによって水資源を確保することができるという専門家の指摘もあるわけでございまして、林野庁としてはその辺の考え方について、国土庁あるいは建設省と連携をとりながら、これから技術的な、またそうした水資源対策の取り組みの中における林業の位置づけ、またそれに対する国の財政の配分、そういったことに検討を進めておられるか、おわかりになる段階で結構でございますので、お示しをいただきたいと思います。
  220. 藍原義邦

    藍原政府委員 森林機能は、先生十分御存じのとおり、木材資源としての機能だけではなくて、水資源涵養あるいは国土保全、さらには環境保全機能を持っておるわけでございまして、林野庁といたしましても、この森林公益的機能については十分配慮した施策を従前からやっておるわけでございます。  その中でも水資源の問題でございますけれども、まず一番大きなのが保安林でございます。水資源涵養の水源涵養保安林、この整備を積極的にまず進めております。それから、水源林造成事業というのをやっております。それからさらには、共同水源林造成特別対策事業というのを進めております。こういう形の中に、五十四年度からは重要水源山地の整備治山事業というのを進めることにもいたしております。  これらの内容を簡単に申し上げますと、水源涵養保安林につきましては五十三年の三月末で約五百三十万ヘクタールございます。第三期の保安林整備計画に基づきまして、昭和五十八年度までにさらに約四十万ヘクタールの森林を保安林といたしまして指定する目標を組んでおるわけでございます。  それから、水源林造成事業は、昭和三十六年から森林開発公団が実施しておるわけでございまして、五十二年度末までに造林面積の累計は約二十七万ヘクタールに及んでおります。  それから、共同水源林造成特別対策事業は、昭和五十二年度から実施しておりまして、水需給の重要な水系の上流区域における民有林を対象といたしまして、上下流の都道府県等が費用を分担する計画的な水源林の造成整備を推進することとしておるわけでございます。  それから、いま申し上げました五十四年度から創設されました重要水源山地整備治山事業は、水需給の重要な水源山地の一定地域につきまして森林の水源涵養機能を高度に発揮させるために治山施設の整備を緊急かつ総合的に実施し、ダム群を流域の中につくりまして水を十分地下に保留するという施工でございますけれども、そういうことによりまして水資源の確保とあわせまして国土保全を図ろうということで、本年度を初年度としてこれから計画を組むわけでございますけれども、このように水資源の問題につきましては、林野庁といたしましてもやはり林野行政の一環として真剣に取り組んでおるところでございます。
  221. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 では、第四項目目といたしまして、木材の備蓄対策事業の問題についてお伺いをしてまいります。  行政管理庁は五十三年十二月に木材備蓄対策事業の実施状況に関する調査結果をまとめておられますが、これを林野庁に報告をしていると思いますけれども、簡単に御説明を願います。
  222. 神澤正藏

    神澤説明員 御説明申し上げます。  行政管理庁では、毎年度新規に発足する行政施策につきまして、発足後一定期間、おおむね三年ないし四年ぐらいでございますが、一定期間を経過しました年度に、その実施状況、それから効果等、いわば健康診断的に調査しまして、行政施策の企画立案あるいは行政運営の改善に資する、こういったねらいで新規行政施策の定期調査ということをやっております。今回の木材備蓄対策事業の実施状況に関する調査もこの定期調査の一つとして、発足しました昭和四十九年度から五十二年度までの約四年間の事業の実施状況を見たものでございます。  この調査の結果、この備蓄事業が木材の量的確保を図るための事業というよりも、むしろ木材需給短期的不均衡によって生ずる価格の高騰に対処するための事業、こういった性格が強いと考えられるのではないだろうか。それから第二点目で、木材価格の一時的高騰の大きな要因といたしましては、木材需給及び価格に関する情報の不足による買い急ぎ等があると考えられるのではないか。それから第三番目に、備蓄製材の品質保持が困難である。こういった諸点を考え合わせますと、基本的には情報収集提供事業をより効果的に実施する方向で見直しを行う必要があるのではないであろうかということですが、当面検討をお願いするべきものとしましては次の四点ぐらいを私どもでは指摘をいたしたわけでございます。  その第一点は、備蓄量は現在量程度以下にとどめることでいいのではないか。それから第二番目が、備蓄木材の品質保持を図るため、保管方法につきまして改善を図っていただくということ。それから第三番目が、備蓄木材の放出時期、価格の設定あるいは放出時の適正な流通確保等についての運用基準を策定していただくこと。それから第四点目が、備蓄基金の運用に関する経理を適正化していただくこと。以上の四点を当面の検討課題として指摘いたしたわけでございます。
  223. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 林野庁は、この調査結果の報告をお受けになったわけでございます。特に、いま行政管理庁の方から最後に四点にわたっての指摘もあったわけでございますが、以下具体的にお伺いをしてまいりますけれども、備蓄目標量を一応首都圏、中京圏及び近畿圏の三大都市圏における木材価格高騰時の超過需要量に相当する製材三十万立方メートル、合板六百万枚としているわけでございますが、最終目標量、それから目標達成時期等についてはまだ明確にされていないわけでございます。行政管理庁の指摘もあることでございますが、これはどのようにお考えになっていらっしゃるか、まずお伺いしたいと思います。
  224. 藍原義邦

    藍原政府委員 備蓄量でございますけれども、この備蓄対策事業が発足いたしましてから逐次備蓄量の充実に努めてまいりまして、五十三年度末におきましては製材が十八万立方、それから合板が三百六十万枚の備蓄を予定しておりましたけれども、五十四年度におきましては、最近の経済基調の変化に件います木材需給構造の変化等を考えまして、製材につきましては十四万立方、合板につきましては三百六十万枚というふうにいたしております。  これはただいまお話がございましたけれどもわが国の木材価格の主導的役割りをいたします三大都市圏の製材につきましては、建築用主要構造材の約半月分でございます。それから合板にありましては、建築用主要普通合板の〇・一カ月分に相当するものでございまして、短期的な不均衡によります木材価格の異常高騰時には十分対応できるというふうに考えております。
  225. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 第二点は、備蓄機構では、備蓄木材の保管中における品質の低下に応じておおむね二年を目安にして更新のために売り渡しを行うというふうにしているわけであります。しかし、その市況の低迷下においては品質の低下した備蓄木材、特に備蓄製材の売り渡しが非常に困難であるという事情もございまして、備蓄製材の昭和五十一年度及び五十二年度の売り渡しは、計画量十二万九千立方メートルに対して実績は五万五千立方メートルにすぎない。こうした備蓄製材の品質の保持あるいは売り渡しの実態について当然改善される必要があるのじゃないかというふうに指摘されておりますが、この点はいかがでございますか。
  226. 藍原義邦

    藍原政府委員 備蓄の品質保持でございますけれども、確かにこれにつきましては従来経験がございませんでしたために品質の保持が十分でなかったという点はございました。そこで、これにつきましても次のような改善を現在図っております。  まず、通気性のよい良好な倉庫の選別、これがまず第一でございますので、こういう選別を図るということ。それから、保管倉庫の床面積単位当たりの保管量の減少、できるだけ単位面積当たりの保管量を少なくするという形で通風をよくするということもあるわけでございますけれども、そういうこと。それから、従来やってまいりました直接買い入れ保管方式のほかに流動的な混合保管方式、これも取り入れまして、こういう形で品質の保持に今後努めていきたいということで現在この改善を図っておるところでございます。
  227. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 三点目は、いわゆる放出時の適正な流通確保の方法と申しますか、木材価格の異常高騰時における備蓄木材の売り渡しは現在まで行われていないわけであります。また、備蓄木材の放出の時期あるいは価格の決定、それから最初に申し上げた放出時の適正な流通確保の方法、そういったいわば運用の基準といいますか、その辺も明確ではないのじゃないか。これはあるいは策定について御検討なさったかもしれませんが、今後の問題としてこれはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お示しいただきたい。
  228. 藍原義邦

    藍原政府委員 木材の備蓄はやはり異常高騰時に放出するというのがこの趣旨でございまして、そのためにどういう時期に放出するか、基準を決めるべきではないかという御指摘でございますけれども、実はことしの一月、合板につきまして放出をいたしました。これは昨年の暮れからことしの一月にかけまして非常に合板の価格が急騰いたしましたので、一月の末にこれを二十四万枚放出したわけでございますけれども、これもこれだけの効果かどうかわかりませんけれども、一月の後半から合板の価格は下がっております。そういう観点から、ある意味では効果があったのではなかろうかというふうにわれわれは考えておりますけれども、この放出の時期でございますけれども、これをいつ、どういう時期というふうに明定することは、これまた非常にむずかしい問題だろうと思います。逆に、そのときの状況判断を的確にすること、この方がよりベターな場合があるのではなかろうかということで、私どもといたしましてはこの放出の時期につきましては高騰するおそれがあると認められる場合というふうに決めておりまして、この辺は私どものやはり十分なる情報キャッチによります判断が必要であろうというふうに考えております。
  229. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 この備蓄機構における経理の事務処理が適切であったかどうか、その問題点でありますが、備蓄機構の備蓄基金造成額、これは昭和五十二年度末で十一億二千二百万円となっておりますが、これは一般管理費に充当されることになっておりまして、備蓄基金の運用益についてはいま申し上げた事務処理が適切なのかどうか、この点非常に疑問が残るわけでございます。この点ひとつ明確にお示しいただきたいと思います。
  230. 藍原義邦

    藍原政府委員 この点についても御指摘を受けたわけでございまして、確かにいままで備蓄の機構の運用益を雑収入として、分けて経理をしておらなかったという点が指摘されたわけでございまして、新たに基金の運用益に関する勘定を設けまして、その経理を明確にするということで対応いたしております。
  231. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 以上、大きく四項目にわたり、また、それぞれ項目の中で何点か問題点をお伺いしてきたわけでございますが、本法案がいわゆる振興資金の融通暫定措置法になっておりますけれども、これが単に振興資金の融通の問題だけではなくて、さらに一時的な暫定的な措置に終わることなく、林業全体のいま抱えている大きな悩み、問題点の打開に大きく寄与し、そしてまた林業振興のための諸施策がさらに強力に進められていくことを期待をして、私の質問を終わりたいと思います。  最後に、大臣の御決意のほどを一言伺いまして、質問を終わります。
  232. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 御趣旨を体しまして、林業振興については鋭意十分に努力をしてまいるつもりでございます。
  233. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次回は、明二十五日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十五分散会