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1979-03-29 第87回国会 衆議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年三月二十九日(木曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 山崎平八郎君    理事 今井  勇君 理事 羽田  孜君    理事 堀之内久男君 理事 島田 琢郎君    理事 芳賀  貢君 理事 古川 雅司君       愛野興一郎君    江藤 隆美君       津島 雄二君    中尾 栄一君       中村喜四郎君    平泉  渉君       福島 譲二君    角屋堅次郎君       柴田 健治君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    義濃 政市君       神田  厚君    津川 武一君  出席国務大臣         農林水産大臣  渡辺美智雄君  出席政府委員         農林水産政務次         官       片岡 清一君         農林水産大臣官         房長      松本 作衛君         農林水産大臣官         房予算課長   田中 宏尚君  委員外出席者         農林水産大臣官         房審議官    関谷 俊作君         農林水産省経済         局統計情報部長 柳井 昭司君         参  考  人         (畜産振興事業         団理事長)   太田 康二君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十九日  辞任         補欠選任   日野 市朗君     美濃 政市君 同日  辞任         補欠選任   美濃 政市君     日野 市朗君     ――――――――――――― 同日  理事馬場昇君同日理事辞任につき、その補欠と  して芳賀貢君が理事に当選した。     ――――――――――――― 三月二十八日  農林年令制度改悪反対等に関する請願(瀬野  栄次郎君紹介)(第二四一四号)  同(田口一男紹介)(第二四六一号)  同(古川喜一紹介)(第二四六二号)  同(吉原米治紹介)(第二四六三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二十七日  地域農政推進に関する陳情書  (第一五五号)  水田利用再編対策関連事業強化に関する陳情  書  (第一五六号)  予約限度超過米全量買い上げに関する陳情書  (第一五七号)  米の消費拡大対策推進に関する陳情書  (第一五八  号)  米の流通改善試案の再検討に関する陳情書  (第一五九号)  イネミズゾウムシの防除対策に関する陳情書  (第一六〇号)  温州ミカン園転換対策充実に関する陳情書  (第一六一号)  柑橘、牛肉輸入枠拡大反対に関する陳情書外  一件  (第一六二号)  第六次漁港整備計画達成等に関する陳情書  (第一六三号)  肉用牛生産振興に関する陳情書  (第一六四号)  卵価安定対策に関する陳情書  (第一六五号)  林業集落基盤総合整備事業促進に関する陳情  書  (第一六六号)  国産材振興対策事業創設に関する陳情書  (第一六七号)  森林組合新生発展特別対策事業創設に関する  陳情書  (第一六八号)  部分林造林林業資金融資措置に関する陳情書  (第一六九号)  マツクイムシ防除対策に関する陳情書外二件  (第一七〇  号)  宇都宮営林署強化充実に関する陳情書  (第一七一号)  姫路営林署存続に関する陳情書外一件  (第一七二号)  西都営林署存続に関する陳情書  (第一七三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件(畜産問題)      ――――◇―――――
  2. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事馬場昇君より、理事辞任したいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  ただいまの馬場昇君の理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、芳賀貢君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本日、畜産振興事業団理事長太田康二君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  7. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 この際、昭和五十四年度加工原料乳保証価格等について、政府から説明を聴取いたします。関谷審議官
  8. 関谷俊作

    関谷説明員 ただいまお配りしました資料につきまして、本日、畜産振興審議会酪農部会に提出いたしました政府保証価格等試算値につきまして御説明申し上げます。  資料の中には、縦書きの「畜産局長説明」と横書きの「保証価格等算定説明資料」と両方ございますので、両者読み合わせながら御説明上し申げたいわけでございますが、「畜産局長説明」におきましては、最初に、「最近における酪農及び需給動向等」をずっと御説明申し上げておるわけでございますが、最終的には、この資料で申しますと第二十ページ以下のところの「五十四年度の加工原料乳保証価格等」につきまして、基本的な考え方を御説明しておるわけでございます。  最初に、加工原料乳保証価格算定方式でございますが、これが横書きの「算定要領」の冒頭に出てまいります保証価格算式でございまして、一口に申しますと、従来から用いております算式、また算定の仕方をそのまま用いまして算定をいたしておるわけでございます。  内容的には、主要加工原料乳地域、昨年に続きまして北海道でございますが、生産される生乳相当部分加工原料乳であると認められる地域ということで、北海道における生産費を用いまして、これに、以下に述べますような評価がえによりまして、最近における物価水準あるいは労賃評価等を行いまして、算定をしているわけでございます。  これは「局長説明」と「算定要領」と、両方同じようなことが書いてございますが、飼育家族労働につきましては、労働省の毎月勤労統計調査に基づきまして算定される主要加工原料乳地域北海道製造業五人以上規模労賃直近三カ月水準により評価する。飼料作物家族労働につきましては、牛乳生産費調査に基づき算定されます農村雇用労賃を用いる。その他、副産物、物価修正資本利子等につきましても「算定要領」に御説明がしてございますが、この評価の仕方、あるいは物価賃金指数のとり方、資本利子算定の仕方、いずれも昨年度と同様でございます。  この算定結果でございますが、これがこの横書き資料の九ページから十ページに数値が書いてございます。横書きの十ページでごらんいただきますと、最終的な保証価格試算値は、この百キログラム当たりで八千八百二十円、一キロで八十八円二十銭という算定結果が得られております。これは現在の保証価格が八十八円八十七銭でございますので、これを六十七銭下回った試算値となっておるわけであります。こういうことでございますが、現在の諸事情を勘案いたしまして、政府としましては、五十四年度の保証価格は前年度に引き続いて据え置きとすることが妥当ではないか、こういうことで試算をしておるわけでございます。  続きまして、安定指標価格でございます。これは、結果的には昭和五十三年度の安定指標価格を据え置くということにいたしておりますが、その考え方は、最近、乳製品価格動向等を見ますと、若干安定指標価格を下回ったような動向でも推移しておりましたが、今年三月にバター脱脂粉乳不足払い法に基づく買い入れをいたしまして、それによりまして安定指標価格水準維持が期待される、こういう状況でございますので、安定指標価格を据え置くことにいたしたい。したがいまして、この数値は昨年と同じ数値でございますが、具体的な金額につきましては、この横書き資料の十五ページの欄に安定指標価格数値を掲げておるわけでございます。  次に、基準取引価格であります。これにつきましては、算定方法は全く従来と同様でございまして、「算定要領」の三ページにございますように、主要な乳製品製造業者販売価格から製造販売費用を控除をして、それで乳製品単位当たり支払い可能乳代を算出する、こういうような考え方でございます。製造業者販売価格につきましては、安定指標価格から卸売マージンを控除する。それから特に中心になります製造販売経費につきましては、横書き資料の四ページにございますように、農林水産省畜産局乳製品生産費調査に基づきまして、乳製品製造販売経費について日銀の卸売物価指数労働省の毎月動労統計調査による賃金指数、それの直近三カ月の変化率を用いて修正をしまして、利潤につきましても従来と同様な方法で算出をしまして、結果として基準取引価格につきましては昨年度と全く同じ数値でございまして、算定経過、数字的に十五ページ以下に書いてございますが、六十四円三十銭、十六ページの表の下欄の方にございますように、一キログラム当たり六十四円三十銭、こういうことになるわけでございます。  以上によりまして、保証価格据え置き、それから基準取引価格も前年同額、こういうことになりますので、補給金単価につきましては前年と同じ額になるわけでございます。  続きまして、生産者補給金交付対象になりますいわゆる限度数量について御説明申し上げます。  限度数量につきましては、考え方といたしまして、横書き資料の六ページから七ページにかけてございますが、昭和五十四年度の推定生乳生産量から、同年度の推定飲用向け生乳需要量特定乳製品以外の推定「その他乳製品向け生乳需要量推定自家消費量、要調整数量を控除して、考え方としましては、特定乳製品向け生乳需要量——特定乳製品と申しますのはいわゆる不足払い対象となっております乳製品生乳需要量でございます。このそれぞれの数値算定の仕方については、基本的には従来と同様なことでございまして、推定生乳生産量は、経産牛頭数推定しまして、それから一頭当たり搾乳量を乗ずる。飲用向け需要量については、一定の算式により関数を用いて算定する。「その他乳製品」については、これは若干横ばい程度という考え方算定をしております。自家消費量も、自家消費増加率を乗ずる。要調整数量は、これは生産者自家消費拡充努力等により調整を要する数量、それから推定特定乳製品向け生乳需要量は、これはやはり一人当たり需要量推定いたしまして、それに基づきまして算定をしておるわけでございます。これらの算定結果は、この横書き資料の二十五ページに生乳需給表ということで総括をいたしております。  これは前回も畜産局長から今年度の需給についても御説明を申し上げたところでございますので、今年度の実績見込みとの対比でごらんいただきますと、今年度につきましては、括弧内に掲げましたのが昨年三月の審議会諮問当時の見通しであります。これに基づきまして算定しまして、その諮問時点においては六百十二万二千トンということで需要供給が見合ったことになっておったわけですが、結果的にはその下欄の実数にございますような数値実績がなると見込まれまして、二十四万一千トンの供給超過ということでこれが乳製品になりましたので、現在三月時点で買い入れておりますものがこれに対応しておるわけでございます。バター脱脂粉乳買い上げ数量乳量換算が大体二十四万一千トンになる、こういう需給バランスになっております。なお、この場合、特定乳製品については百八十三万トンという限度数量等を設定した欄にございますが、実績はややこれを下回っておるというような百八十一万九千トンという実績需要として見込まれておるわけでございます。  五十四年度につきましては、先ほどちょっと申し上げましたようなことで、生産それからそれぞれの需要因子について算定をいたしたわけでございますが、端的に申しまして、生産につきましては五・二%の伸び、若干もっと伸びるのではないかというような見通しもございますが、こういう情勢でございますので、生産者方面でも生産を多少とも調整をしていただく、こういうような気持ちも期待をしておりますが、五・二%の伸び程度はどうしても出てくるであろう。それから需要については、飲用牛乳乳製品とも消費拡大努力をかなり見込みまして、言ってみれば需要見通しとしてはかなり大き目の限度いっぱいぐらいの見通しを立てました結果、それぞれこういう数値が出ておるわけですが、今年度の限度数量につきましてはこの特定乳製品需給欄に掲げております百九十三万トンという数値決定をいたしたいわけでございまして、二十一万トンというのは、この生乳生産と片方の見込みました需要との差がどうしてもこの程度は出てまいります。それを先ほど要調整数量と御説明したわけでございますが、「局長説明」でちょっとその分をごらんいただきますと、八ページから五十四年度の需給関係についての御説明に入っておるわけでございます。それぞれ説明がございますが、この九ページの後ろ三行日あたりからございますように、飲用牛乳消費拡大が非常に必要である、市乳化促進の上からも重要である。また十ページにございますように、乳製品需要についても非常に最大限の水準を見込んでいるので、達成相当努力を要する。こういう見込みからいたしますと、今後著しい需給の不均衡拡大が懸念される。こういう需要伸びを見ましても、なお需給均衡があるということで、こういうことによる非常に乳製品市場の混乱なり事業団買い上げになりました場合の管理運営上の限界がある。そういう諸問題を考慮しますと、非常に制度上の根幹にかかわるような重要な事態も将来生ずるのではないか、こういうことも憂慮されているわけでございます。  こういうことから、需要の安定的な伸び見込み酪農経営需要伸びに応じて安定的な発展を図るということでございますので、十二ページにございますように、五十四年度において発生が予想されるこの二十一万トン、これは見込みでございますから、数字がこのような形で出ますと、乳製品生乳につきましては関係者方々にも事態の重大さを十分認識いただいて、生乳自家消費促進及び用途の拡大濃厚飼料の給与の適正化等による生産の抑制、こういうことでこれを克服していかなければならない、かように考えているということでございます。  以上、これは限度数量関係につきまして今年度の需給情勢が五十三年度よりまたさらに厳しく見込まれるということでございますので、その需給関係について若干詳しく御説明申し上げ、それを踏まえた上で限度数量を百九十三万トンと算定をいたした、かようなことでございます。  以上、御説明を終わります。
  9. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 以上で説明は終わりました。     —————————————
  10. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
  11. 島田琢郎

    島田委員 昨日の食肉部会、また本日の酪農部会、それぞれ畜産振興審議会が開かれて政府諮問を受けて、すでに食肉関係答申がなされましたし、恐らくきょうの夕刻には加工原料乳関係答申もなされるでありましょうが、そういう経過の中で、冒頭、私は、政府日本畜産並びに酪農現状認識に対して、非常に認識に欠けるところがあるのではないかという感を深くいたしておるところでございます。  豚肉の値下げ諮問あるいは答申、そしてまた本日の乳価据え置き諮問、昨日の牛肉据え置き答申、これらに対して、私は、前段申し上げました考え方に立ってきわめて不当であるというふうに断ぜざるを得ませんし、一体、今後の将来の日本畜産酪農というものをどういう方向に誘導していこうと考えているのか、その点に対して一抹の不安をぬぐい切れないでいるわけでありますが、政府側として、ただいま説明のありました点はこれから質問をいたしてまいります中で明らかにしていきたいと思いますが、冒頭、まず、私は、五十四年度の乳価決定に当たって、その前にどうしても解決をしておかなければならない五十三年度分の二十万トン余にわたる限度数量オーバー分処理考え方政府側から聞いておきたい、こう思います。
  12. 関谷俊作

    関谷説明員 御質問の五十二年度のいわゆる限度数量超過分についての問題でございます。これにつきましては、限度数量意味というもののわれわれの考え方でございますが、やはりこれは制度本旨からしまして、生産者に対しまして一つ生産指標を与えるという趣旨と、また財政負担から申しましても不足払い一つ限度を明らかにする、こういう意味から設けられているという考え方でございまして、この超過分につきましても、安易に財政措置によりましてそれを補給をする、こういう考え方につきましては非常に問題がある、かように考えております。  特に、ただいま諮問に関連しまして御説明申し上げましたような需給動向でもございますので、今後さらに生産の過剰を誘引するようなおそれのある措置についてもこれは問題ではなかろうか、かように考えておりまして、本件については、そういう意味で安易に財政措置を講ずることは非常に問題がある、かように考えております。
  13. 島田琢郎

    島田委員 明快にそれをどうするのかというお答えが欲しかったのです。どうする考えですか。
  14. 関谷俊作

    関谷説明員 これにつきましては、今年の考え方としましては、私ども、あくまでもこの限度数量意味からしまして単純に超過分措置を講ずる、こういうことは非常に問題があると考えておるわけでございます。
  15. 島田琢郎

    島田委員 それでは、この分については交付金交付できない、こういうことですか。
  16. 関谷俊作

    関谷説明員 従来からの経過で申しますと、超過分のありました場合にも限度数量については改定をいたしてないわけでございまして、オーバー分については、昨年、一昨年につきましては、限度数量外の問題として、別途、補給金ないしそういうものと同様な措置が講ぜられていたわけでございますが、今年度については従来と同じような考え方をとることは非常に疑問がある、需給事情なり限度数量本旨からしましても問題があるということで、私どもの考え方としては、やはりこういうような措置をとることは妥当ではないのではないか、かように考えておるわけでございますが、最終的な取り扱いはいまだ決定をいたしておりません。
  17. 島田琢郎

    島田委員 きょうの審議会にも改定諮問はなされておりませんから、恐らく法に基づく改定によるこの処理というのはむずかしいだろう、この時点においてはそういうふうに認識せざるを得ないのですが、だからといってそのままにほっておくというわけにはいかぬでしょう。この点については、これは役人の立場では審議官は答えられないでしょう、最後に少しニュアンスのあるような発言がありましたが、これはあと政治的な判断にゆだねざるを得ないだろう、私もそう思います。  政務次官、政治的な判断で、これはどういうふうに処理しようとお考えになっておるか、その点ひとつお聞きしたいと思います。
  18. 片岡清一

    片岡政府委員 ただいま島田委員の御質問でございますが、これは酪農畜産に従事していただいている方たちが一生懸命に努力をせられた結果、非常に生産量がふえたということは喜ばしいことではございますが、ただ、この制度のあり方からいたしまして、これが余り過剰になりますと、先ほど申しました不足払い制度意味をなさなくなるといいますか、非常に維持が困難になる、そういう事態が起こることをわれわれは非常に心配しておるわけでございまして、そういう意味において、今日のような需給が非常に緩和しておる状況においては、やはり若干の厳しい態度といいますか、余り生産を刺激するような結果にならないような行政的な措置を講じなければならぬ、かように考えておる次第でございまして、いま審議官がお答えいたしましたような方針で臨みたい、かように思っておる次第でございます。
  19. 島田琢郎

    島田委員 実に冷たい答えなんですけれども、それでは、しぼり過ぎた、それはまさに生産農家責任だ、こうおっしゃりたいのでしょうか。
  20. 片岡清一

    片岡政府委員 島田委員はこの制度の由来については十分御存じだと思いますが、昭和四十年にこの法律ができたのでございますが、当時は北海道加工原料乳というものがまだ進展しておりませんで、その需給バランスが十分とれないというような状況でありましたために、何とかこれを振興して、そしてバターチーズ等農産品が適切に生産されるような状態に持っていきたい、こういうために、その足らざるところをひとつ政府の力でかさ上げして振興を図っていきたいというので、御承知のような加工原料乳生産者補給金等暫定措置法という暫定的な措置がとられたわけでございます。ところがいまやその情勢が非常に変わってきたということを御認識いただきたいので、何も冷たいのではございませんで、より一層安定した経営をやっていっていただきたい、そういうことをにらみながらこの措置をとっていきたい、こう考えておる次第でございます。
  21. 島田琢郎

    島田委員 制度仕組みとかそういうものは私はわかっていて、だから、限度数量改定諮問もなされていないのだから法律に基づくこの処理はむずかしいのだろうと大分譲った話をしているのです。本当は私は、その前に改定しなければならなかったこの制度趣旨を実行しなかった政府責任を追及したいところなんです。しかし、もうあと二、三日で終わる五十三年度の牛乳生産、この事態農民責任なのかどうかということが明らかにされなければいけないと思って、一体農民責任だと言うのですかと、そのことだけ答えてほしかったのです。制度仕組みなんか長々お述べいただかなくても私はよく知っています。絶対払わぬとおっしゃるのですか。そしてそれは、しぼり過ぎたのはまさに農民だからだという理由づけをされようとするのですか。そこのところはどうなんですか。
  22. 片岡清一

    片岡政府委員 私はでき過ぎたからそれが農民責任だとは絶対に思っておりません。それは農民方々がその命使に向かって前進をされた、そういう結果あらわれたことでありまして、私はそんな農民責任とは思っておりません。  ただ、しかし、それをそのままにしておきますと制度そのものにひびが入る、こういうことを恐れるためにやはり適当な行政措置を講じていく必要がある、こう考えておる次第でございます。
  23. 島田琢郎

    島田委員 買わないことを行政上の手だてとするということ自体おかしいとぼくは言っているのです。だって現に牛乳はできちゃったんですよ。これからの話じゃないのですよ。それは農民責任だから交付金対象にしない、こう言うのか。いまのお話だと、農民には責任がない。そうしたらこの責任はだれが負うのですか。そこのところを私は聞きたいのです。それは法律上はなかなかできないということを言うから、それではそのほかの方法として、昨年、一昨年とった方法があるでしょう。そういうこともできないのかどうか、それも含めてもう一回答えてほしいのです。——審議官じゃないよ。審議官なんかそんなこと答えられないだろう。それは政治判断しかないんだ。
  24. 片岡清一

    片岡政府委員 先ほどから申し上げておるようなことでわれわれはいま考えて、一応審議会諮問をいたしておるわけでございます。それらについてそれぞれの立場から審議会において審議せられて妥当な答申が得られるものと私は思っておりますので、その点御了承いただきたいと思います。
  25. 島田琢郎

    島田委員 そうすると、五十三年度のオーバー分についてもきょうの審議会諮問しているのですか。
  26. 関谷俊作

    関谷説明員 この点につきまして事務的に御説明申し上げますと、この「畜産局長説明」の中をちょっとごらんいただきたいわけでございますが、七ページのところに今年度需給問題がございまして、後ろ四行日あたりからこの限度数量超過問題についても触れておるわけでございます。  それで、いわゆる超過問題につきましては、まさに先生のお話がございましたように、従来のような扱いは当然審議会の本来の審議事項ではないわけでございますが、昨年も超過問題については審議会のご意見を聞きたいということで問題提起をしておりますので、当然本日の審議会の中でもこの問題についての委員各位の御意見はあろう、その結果があるいはきょうの夕方の集約のときに何らかの形で出るかもしれませんし、これは審議会の審議経過の問題である、かように考えております。
  27. 島田琢郎

    島田委員 その点はわかったのですが、しかし、私はこの際、やたらに生産を刺激する、そういう言葉を盛んにお使いになるから申し上げておくのですけれども、昨年のちょうどいまごろの国会審議でも、私からもこの五十三年度の限度数量の問題について、枠の設定に当たって幾つかの問題提起をしております。その時点でも、需給表に基づく結果として必ず年度末においては超過分は避けられないという事態を招くであろう、まあ二十五万トンの限度枠をふやすという点で昨年は決着を見たのでありますけれども、しかしそれでもなお相当牛乳は余る、限度数量をオーバーする分は出ますよ、こういう点に対して、当時農林大臣からも、せっかく一生懸命しぼった結果がそういう事態を招くようなことになれば、それはそのときにまた考えなくてはならないというニュアンスの発言もあってわれわれは了承したという経過があるのです。そのときにすでに、余りますよという点については大方の委員もそういう認識を持って政府説明を聞いたと私は思っているのです。非常に心配だから、各委員からこの点についても質問がたくさん出されたはずであります。結果は予測したとおりでしょう。そうしますと、本来ならば法の趣旨に基づいて改定すべき責任政府側にあったと私は思うのに、それをほってきたのですから、そういう責任をたなに上げておいて、いかにもしぼり過ぎた生産農民が悪いような印象に聞こえるのは私はいただけない。そういう意味では十分政府責任があるのではないか。  だから、きょうここに審議会の意見も聞きたいということで局長からの問題提起もなされていると説明を私は了解しますが、しかし、その前に政府側としても十分この問題の処理に対する腹構えというものがあってしかるべきではないか。その腹の内を私は聞きたいと思ってこうやって粘っているのでありますが、私の質問に対して正確にお答えになっていないものだから、私はこの点をきわめて不満に思って再度の質問をするわけなんですけれども、それでは一体財源がないのか、そういう点はいかがですか。
  28. 関谷俊作

    関谷説明員 財源の問題についてでございますが、昨年あるいは一昨年のこの問題を処理をする場合の財源につきましては、御承知のように畜産振興事業団の助成勘定から支出をしております。  これは今年度、五十三年度の場合には、もしやるとすれば、その助成勘定の財源というのは、いずれにしても、今年度発生いたしました、具体的には牛肉勘定等の牛肉差益その他が原資となりまして翌年度に持ち越されまして出るわけでございます。これについては、別に限度数量超過分とかそういうことではございませんで助成事業全体としましては約四百億円弱ぐらいの助成事業の規模は見込まれておるわけでございます。この内容につきましてはこれから検討するということでございまして、財源のあるなしということでございますれば、助成事業全体の財源の規模はその程度に見込まれておる、かように御承知おきいただきたいと思います。
  29. 島田琢郎

    島田委員 いま審議官が答えているように、昨年方式でこれを処理しようとすれば財源はあり余るほどあるのですね。やれないことはない、こういうふうに理解していいですね。
  30. 関谷俊作

    関谷説明員 これは財源の問題として言えば、助成勘定がそういう規模であるということを申し上げただけでございまして、私が申し上げておりますのは、限度数量超過分に対して措置をとることの意味、これが先ほど来申し上げておりますのは、需給関係なり従来の限度数量意味なりそういうものから申しますと、その措置意味が果たして適当であろうか、従来のような措置を安易にとってもいいものだろうか、かようなことを考えておるという趣旨でございます。
  31. 島田琢郎

    島田委員 四百億ほど金はあるのだから、これは事務当局の事務方の意見としてはいまの法の原則論から一歩も出ないだろう、最終的には政府判断によらなければならないでしょうが、これはやるだけの財源があるということだけは明確になった。  ところで、その責任の問題にもう一回戻るのですけれども、生産者は年度当初に当たって、ことしといいますか来年度になりますが、しぼる生産牛乳の量というものを見込みまして、それを指定団体に委託をいたします。指定団体は責任を負ってそれを処理するという、こういう立場にあるわけでございます。加工用の原料乳は、受けたメーカーが責任を持ってこれを処理する。当然のことですが、六十四円三十銭という基準価格で取引がなされておる。しかし政府は、昨年の加工原料乳のコストと見込まれる保証価格、これを設定をしてその差額二十四円を支払いをしている。そうなりますと、その差額の分は別として、コストとしては、昨年の決定された保証価格、これは農家の生産コストだという点についてはきちっと認識一致をしておかなければいけないわけです。生産農家のコストであるという点については、これは間違いないですね。
  32. 関谷俊作

    関谷説明員 この保証価格意味でございますけれども、これは先生のまさに御質問のとおり、コスト生産費調査から生産費に一定の評価がえ等をしました推定生産費保証価格といたしておるわけでございますが、それについては、需給状況全体を考慮しまして一定数量までその保証価格対象にするという、あくまでも価格保証政策上の限度として設定されている数量でございますので、その超過部分について、価格政策上それが枠内にしろあるいは助成勘定等の実際の措置にしろ見るかどうかということは、価格政策としてのそこに一つ判断が入る、かように考えておるわけでございまして、やはり保証価格政策には一つ限度があるのではなかろうか、それが具体的にこういう数量にあらわれておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  33. 島田琢郎

    島田委員 オーバーした二十一万トンはそのコストのらち外であるというふうな、そういう考えに立つということですか。
  34. 関谷俊作

    関谷説明員 保証価格によりまして生産費から算定しました一定八十八円八十七銭、この水準政府措置により保証する、これが制度でございますが、その場合に、需給関係から申しましてやはり一定の限度、これは同時に生産指標であり財政負担限度である、こういうものから数量が出ているわけでございまして、やはりそこが保証の限度であるということを申し上げておるわけでございます。
  35. 島田琢郎

    島田委員 ぼくの言っておるのは、しぼった乳のコスト、それが百八十三万トンであろうと、その上に余分になっていると言われている二十万トンであろうと、それは生産農家にとっては保証価格というものはコストでしょう、限度いかんにかかわらず。オーバー分は六十四円、これがコストだとでも言うのでしょうか。つまり私が言いたいのは、補給金が積み重なって初めて生産農家のコストということになっているのですから、そのコストは政府が保証するというのがこの法のたてまえです。たまさか、あなたの方で勝手にと言えば勝手に百八十三万トンの限度を設けているだけにすぎないのであって、しぼられた乳は全部一様に八十八円八十七銭のコストである、こういうふうな理解というのがあなたの方にはどうも乏しいようなんだけれども、一体それはどういう考えでそういう区分けをした考え方が出てくるのですか。
  36. 関谷俊作

    関谷説明員 コストから算定しました一定価格を保証するわけでございますが、それについて需給関係から申しまして、無制限数量で保証するということではなくて、一定の数量までは保証する、これが制度の本体と考えておりまして、そういう趣旨からしますと、これを数量が出てくれば出てきたもの全部保証する、こういうたてまえではもともとないわけでございます。そういうことを申し上げておるわけでございまして、やはりそこに価格保証政策上の限界が初めから設けられておる、かように考えておるわけでございます。
  37. 島田琢郎

    島田委員 ぼくの言っているのは、牛乳のコスト、つまり加工原料用のコストというのは政府が決めた八十八円八十七銭なんでしょう。そこのところがあなたには理解されていないようだけれども、限度数量にやたらに固執されるけれども、しぼった乳のオーバー分は安く生産されているのじゃないのです。同じコストでしぼられているのですよ。そして、先ほど、それはひとり農民責任でないというその言葉には、恐らく政府にも十分責任ありというふうにお感じになっていると私は善意に理解をしておるのです。六十四円で買ったメーカーは、同じメーカーの中で百十八円以上の乳価で加工用以外の飲用乳向けの牛乳の買い入れがなされているのですよ。その半分の乳価で買っているメーカーも、時によっては生産者に対する責任を負わなければならぬというようなことにもなりかねないでしょう。しかし、法のたてまえから言えばそうはなっていないのです。だから、これは政府責任を負わなくちゃいけないので、何としてもオーバー分については前向きにこれを処理するという考え方が出てこないとおかしいと思うのです。  この問題だけに終始をしてしまえない時間帯がもう迫ってきたので、四つの通告をした中でまだ一つしかやっていないので、ここのところでつまずいちゃっているわけですけれども、私は、もうきょうの段階でオーバー分についての処理政府がこの席で明確にされるもの、こういうふうに期待をしていたのですけれども、どうも前に進みません。私どもは、正確にこの処理をするべきだという考えに立って、政府の今後の処置を望んでおきたいと思うのです。これは後ほど芳賀委員からこの問題についての詰めがあると思いますから、先に進みます。  さて輸入の問題なんですけれども、素朴な生産農民の気持ちとして申し上げるならば、六百二十万トンの国内の生産に対して、外国から二百五十万トンを超すような輸入が行われている。これは何と言っても理解ができるはずがないのです。輸入の問題についてはいままでもずいぶんやり合ってきたのですけれども、このままにほっておくようなことはこれは相ならない。明確に五十四年度以降における輸入の問題に対する政府考え方というのをきょうは聞いておきたいと思うのですが、どうですか。
  38. 関谷俊作

    関谷説明員 牛乳及び乳製品に対する輸入政策というか輸入制度のあり方の考え方でございますが、全体的には、これは不足払い対象であり、かつ畜産振興事業団の一元輸入管理品目でございますバター脱脂粉乳等を中心とします品目については、これは事業団の一元管理によって、需給状況に応じて安定指標価格相当上回りまして、国内物がない場合にはこれは輸入をする、こういうような調整措置を講じておるわけでございます。したがいまして、現在のような安定指標価格を下回りました事態では、全くこれは輸入はされない、事業団輸入はしない、こういうことになるわけでございます。その他の品目については、たとえば乳糖、カゼイン等ございますが、国内ではなかなか生産ができないものでありますとか、学校給食川脱脂粉乳のように特定の福祉等の目的から見ても外国製品の安価な物を入れなければならないというようなものでありますとか、そういうものにつきましては割り当てなりあるいは自由化なりという措置をとりまして海外からの輸入も認めておる、こういうような考え方でございますので、全体的には、現在の輸入政策なり輸入制度からしますと、不足払い制度の本体に影響するような形での輸入が行われることは防止し得ておる、かように考えております。
  39. 島田琢郎

    島田委員 具体的な点が明らかにされないのですけれども、政府の発表によります乳製品の輸入の関係資料を見ますと、いま審議官が話をしておりますように、チーズとか脱脂粉乳、こういうものが主体になって輸入が大幅に伸びているわけでありますけれども、しかし、国内でどうにもならない分が輸入されているという説明は私は納得できない。脱脂粉乳にしたってチーズにしたって、国内でやる気になれば何ぼでもやれるものですね。脱脂粉乳はもちろんバターをつくればできてくるものでありますから。特にチーズなんかは、この間も芳賀委員質問に対して大臣からかなり前向きの答弁があったので、私はその点を了とするものですけれども、しかしこの際、いつまでもこの点についての研究ばかり続けて実施に入らないということでは困るわけですから、大臣がお答えになった考え方というのは、いつごろからそれを実施に移そうと考えているのか、その点だけ聞いておきたい。
  40. 関谷俊作

    関谷説明員 チーズの問題でございますが、これの国産化問題というのは、私どもも非常に関心というか、何とかこういうことができないだろうかということは常々考えて、痛切にその必要性を感じておるわけでございます。ただ、御承知のように国内でできますチーズにつきましては、原料乳について不足払い対象にしておるわけでございますが、その製品価格という面から見ますと、不足払いをして乳価をある意味では下げておると言えば下げておるわけで、原料乳価をそれによって基準取引価格まで持っていっておるわけでございますが、それでやりましても現在のナチュラルチーズの生産コストが九百六十円対キログラムというような水準になりまして、国際的な市況から見ますと、日本へ到着しましたもののCIF価格が大体その三分の一くらいというような水準でございます。これは現在国際的にも乳製品の過剰傾向が強いということがこの辺に反映されておるわけでございますが、そういう現状の価格差を見ますと、国産化チーズについてもよほど工夫をしなければこれの生産には取りかかれない。いま生産者団体方面では、ソフトチーズとかコテージチーズとか、そういう多少鮮度の高いものについては国産で十分競争力があるのではないか。現在、国産のナチュラルチーズ、推定でございますが大体百トンぐらいはあるわけでございます。そういう状況から見ますと全然めどがないわけでもないわけでございまして、そういうことから申しますと、乳業メーカーなり生産者団体の乳業プラントなり、そういうところで具体的な国産チーズの生産振興計画を役所とも相談しながら考えていく、こういうことでございます。ただ、いまのような情勢から申しますと、すぐに来年からどんどんその生産が上がっていく、現在の需給緩和にいい傾向が出てくる、こういうことにはなかなかまいらないので、そういう意味で乳業メーカーなり生産者団体とも十分協議、検討しながらこの問題に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  41. 島田琢郎

    島田委員 そもそも牛乳需給計画というものは、きょうの審議会諮問されている内容を見てもそうなんですけれども、国内で生産された牛乳のみを対象にしてそれの需給計画が立てられておって、外国から入ってくる二百五十万トンを超すような乳製品を含めた需給計画というものはないのですね。ほかの食品にはこういうことはないのですよ。外国から入ってきたものを含めて国内の需給計画が立てられる、これが常識なんです。ところが、牛乳に関しては全く輸入物はアウトサイダーだ。そういう中で国内だけの需給計画になっているから大きな狂いが出てくるわけです。需給計画表というのは、加工原料乳の価格決定に際しての需給計画と、もう一つ外国物を含めた牛乳全体の需給計画表というものがなければ、酪農に関する限り牛乳の将来を展望していくことは非常にむずかしい、あるいは誤りを犯す、こういうふうに私は考えているのですけれども、そういう需給表をいままでも一切つくったことがない、こういうことなんですか。
  42. 関谷俊作

    関谷説明員 加工原料乳限度数量算定と直接関連します需要の見方でございますが、これにつきましては、輸入によっておりますものの中で見ますと、乳糖、カゼイン、ナチュラルチーズ、こういうものにつきましては国内の生産力が非常に弱い、あるいは中にはほとんどないものもある。それから、学校給食用の脱粉、飼料に使われておりますえさ用の脱粉、こういうものはそれぞれ畜産のためとか児童の福祉のためということで政策的に入れられているものでございまして、これをすぐに国産で代替し得る見通しというのは全くないわけでございます。  そういう状況でございますと、これを含めまして国内産の生乳需要算定するということは非常に実態に即さないことにもなりますので、加工原料乳限度数量等算定いたします場合には、そういう国産生乳の仕向け可能な需要、こういう範囲内で算定をいたしておるわけでございます。
  43. 島田琢郎

    島田委員 ぼくの言っているのはそういうことじゃないのだ。国内で使われる牛乳乳製品は総体的にきちっと需給計画のもとのところで見込んでおかなくてはならないのではないか、外国人が使うのではなくて日本の国内で消費するのですから。人が食べる食用であろうと、家畜が食べるえさであろうと、化学用に使われるものであろうと、それは全部牛乳からできているのですから、国内でしぼられる牛乳と外国から生乳換算で入ってくるものと全部合わせて全体の需給計画表というものがないと、将来どういうふうに誘導していけばいいかということはできないのじゃないですか。そういう意味需給表というものは政府にあるのですかということを聞いているのです。あなたに立ってもらうとよけいなことばかり答えて時間ばかり浪費してしまってちっとも前に進まないのですが、あるかないかだけ答えてください。
  44. 関谷俊作

    関谷説明員 需給計画表という意味では、ございません。これは国内生産乳の仕向け先をどうするかという意味での計画を立てるわけでございますから、ございませんけれども、入った実績を総括した、先生の申されておりますような意味での全体の需給がどうなっているかという一つの表にまとめたものはもちろんできるわけでございますが、計画としてはそういうものはつくっておりません。
  45. 島田琢郎

    島田委員 しかし、いま私が言ったように、国内で一〇〇%生産されているのじゃないのだから、外国から入れてこなければならない部分はあるわけだ。しかし、国内で生産されたもの、入ってきたものを含めて全部国内で消化しているわけでしょう。酪農近代化計画というものは、単に国内の牛乳動向だけを見通して計画を立てているだけではいけないのじゃないか。そうなっておらぬから、私の言うようなことになっておらぬから、外国から入ってくるものはどんどんふえていく、それで国内の生産を圧迫する、こういうことになるのではないか。しかも、外国から入ってきたものの細かな用途先なんというのはほとんどつかまえられていない、こういうことですから、カゼインなんかだって昨年に比べて二割も多く入ってきている、全体の量から言えば大したことないかもしれないけれども。そしてそれが単に製紙とか塗料とか食品安定剤に使われているらしいということだけはわかるけれども、どういうところにどのように使われているのかのそういう明確な追跡資料もない。こういうことでは、私は、牛乳が足りないときならいざ知らず、外国から入ってきたものを入れるとだぶつくような状態をつくっている、こういうことを考えると、全体の需給表、需給計画に基づいて、やはり日本酪農というものをどのように誘導していくかということが必要な時期に来ているのですから、それがないというのはおかしいというのが私の主張なんです。  時間が来てしまいましたから、話の途中ですけれどもこれでやめますが、しかし、きょうの質疑を通じて、どうも日本酪農政策というものが十分理解されるような政府側説明というのがなかったことがきわめてこれは残念であります。また時期を改めまして、この酪農問題についてはもう少し論議を重ねていかなくては私は将来に向かってきわめて不安である、こういうふうに思っていますから、そのように察してもらって、きょうは時間が来ましたからこれでやめますが、ひとつ、価格の決定に当たって将来を誤るようなことのないような、そういう前向きの決定をされるように要求をいたしておきたいと思います。
  46. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 芳賀貢君。
  47. 芳賀貢

    芳賀委員 農林大臣が出席されるまでの間に、三月二十六日には「昭和五十三年牛乳生産費」が公表されまして、翌日三月二十七日には今回の保証乳価決定の基礎をなす五十三年の北海道における牛乳生産費の公表が行われたわけでございます。この公表の内容を検討いたしまして、私としては、従来の農林省統計情報部の行った牛乳生産費調査の内容に対して数段の改善が加えられておることを評価するにやぶさかでないわけです。この問題については、昭和四十年に現在の加工原料乳補給金制度というものが制定されまして、四十一年から現行の加工原料乳に対するいわゆる保証乳価の一連の制度が実施されておるわけです。もうすでに十三年を経過しておるわけですが、毎年農林省の牛乳生産費を基礎にして保証乳価算定するわけでありまして、問題点は、必ず実乳量に対して三・二%換算の水増し乳量を分母にして百キロ当たり生産費算定するわけでございますからして、その分だけ生産者に対する保証乳価というものが不当に低く抑えられてきておるわけでございます。これは牛乳生産費の調査目的が低乳価政策の上に立っておるわけではありませんが、これを利用する農林省の畜産局、あるいは農産物生産費の場合には食糧庁もそうですが、今日まで悪用してきていますね。この弊害を除去するためには、やはり大事な生産費調査の内容というものを明らかにする、そして別途畜産局あるいは食糧庁が、牛乳保証価格であるとかあるいはまた政府生産者米価を決める場合は明確な内容によって決定すべきであるという、そういう論議を毎年してきたわけですが、この牛乳生産費調査の結果を見ると、十数年ぶりでようやく、国民が見てもあるいは利用者が内容を見ても、なるほどこういうことになっておるかということがわかるわけです。  たとえば、北海道生産費がきょうは関係がありますからこちらから申しますが、北海道の「昭和五十三年牛乳生産費」、その一ページの要旨の1、これは三・二%の水増し換算によるところの生乳百キロ当たり生産費が七千九百六十四円、その下に、搾乳牛通年換算一頭当たり生産費というのが四十七万七百六十一円、これは明確に掲載されておるわけです。この分では前年度よりも七・五%生産費が上昇しておる。それから三・二%換算の百キロ当たり生産費では昨年よりも三%生産費が増加しておるということが掲載されております。  それから二番目の解説の中にも、横書きの三段目には、五十三年の生産費を搾乳牛通年換算一頭当たりで見ると四十七万七百六十一円であるということが、これはことしは解説にもわかりやすく載っておるわけです。  もう一つは全国の生産費の方が正確でありますが、解説の次に「利用上の注意」というのが記載されておりまして、その二番目には、生乳百キロ当たり生産費は、まず一頭当たりの搾乳量を分母にして、一頭当たり生産費を分子にすることによって求めた答えが生乳百キロ当たり生産費である。これは搾乳量ですから、いわゆる三・二%の水増し数量に対して、われわれは実乳量ととらえておるわけです。この計算でやると、実乳量、本当の牛乳ですね、搾乳された生乳のつまり生産費というものがこれによって出てくるわけです。  これが基本調査の結果でございまして、これを次の段で、乳脂率三・二%換算乳量で生産費を求める場合には、前段の一年間の搾乳量に北海道においては三・五九%の乳脂率を掛けたものが乳脂肪量ということになるわけです。乳脂肪量がことしは百八十九キロ、五千二百六十七キロの搾乳量に対して三・五九%の乳脂率でございますから、当然回収される乳脂肪、これが百八十九キロということになるわけです。三・二%に換算する場合は、この乳脂肪量の百八十九キロを分子にして、三・二%、〇・〇三二を分母として計算をいたしますと、いわゆる水増し数量と言われる五千九百十一キロの乳量というものが出てくるわけです。農林省の実乳量百キロ当たり生産費は、この分だけは残念ながら公表資料の中に載ってはいないのですけれども、これは計算したら当然出てくるから、普通の知能のある者はすぐわかるわけです。一頭当たり生産費の四十七万七百六十一円を分子にして、水増し数量の五千九百十一キロを分母にして計算をした結果というのは、これは北海道生産費調査の要旨の第一段目に出ておる。これが七千九百六十四円ということになるわけです。  こういう点が昨年までは全然不明確で計算のしようがなかった。ところがことしは、特に昨年来の委員会の論議、あるいは十数年来の指摘の結果としてわかるようになったのです。いいですか関谷審議官、これはわかるでしょう、実乳量なら幾らということが。こういう努力というものはわれわれも評価をしますし、また農林省の内部においても適正な評価を下す必要があると思うのですよ。  大臣が来れば聞きますが、この際、片岡政務次官としては、従来当委員会理事もやっておられますし、私のこの指摘事項についても十分承知されておると思うので、その点から見て今回の全国並びに北海道牛乳生産費の公表の内容というものに対して、一体どういう評価を持っておられますか。
  48. 片岡清一

    片岡政府委員 芳賀先生の御指摘の点は、私もまだ不勉強でございまして、十分な細かい点にはまだ認識がございません。理解は十分ではございませんけれども、しかしわれわれは、かねがね先生が御指摘になっておる点については、農林水産省としても十分御意見を踏まえていままで勉強をしてきておることは事実でございます。今回も十分その点は審議会で申し上げてありまして、今回の審議会で十分それらの点を踏まえながら委員各位の御審議を賜るものと考えておる次第でございます。
  49. 芳賀貢

    芳賀委員 片岡さん、私の言っておるのは、これは同じ農林省内部でも畜産局は迷惑顔しておると思うのですよ。つまらぬことをやってくれたなというふうに考えておると思うのですよ、同じ農林省の中でも。しかし、農林省の行う統計調査という目的から見れば、これで十分ではありませんよ、まだ十分ではありませんが、今回の生産費調査の公表の内容というものは、国民に対してわかるようになった、わかりやすくできておる。また、われわれ関係する者についても、これも明確になったわけですが、その点がわかりやすくなったとあなたは思っておるか、困ったものだと思っておるか、その点を正直に言ってもらいたいと思うのですよ。
  50. 片岡清一

    片岡政府委員 改善であると心得ております。
  51. 芳賀貢

    芳賀委員 わかりました。  そこで、柳井統計情報部長にお尋ねしますが、ことしの生産費調査の結果によりますと、公表の内容でわかる点とわからぬ点があるのですが、この点は順序を立てて一応この委員会において明らかにしておいてもらいたいと思います。  まず、搾乳牛一頭当たり生産費、その次には、通年の搾乳量が幾らであるか、それからこれに対する平均乳脂率が幾らであるか、これによって計算された乳脂肪量が何キロになっておるか、その結果として一頭当たり生産費を分子にして搾乳量を分母にして計算した場合のいわゆる実乳量百キロ当たり生産費、これは第二次生産費ですが、これがどうなっておるか、この点を表にして出してもらえればいいのですが、順を追って明確にしてもらいたいと思います。
  52. 柳井昭司

    ○柳井説明員 お答え申し上げます。  全国と北海道の数字につきまして申し上げます。  まず、搾乳牛一頭当たり生産費でございますが、全国につきましては四十七万六千二百二十二円、北海道につきましては四十七万七百六十一円。それから……(芳賀委員「柳井さん、別々にやってください、ごっちゃになるから」と呼ぶ)そうでございますか。  まず、全国で申し上げますが、次に通年の実乳量ということでございますが、全国は五千百二十キログラムでございます。それから平均乳脂率が三・四八、乳脂肪量は百七十八キログラム、それから三・二%換算の乳量は五千五百七十八……(芳賀委員「そこはいい、そこへいく前に、その百キロの生産費が幾らかということ」と呼ぶ)実乳量ベースでの第二次生産費は九千三百一円でございます。それから三・二%換算でございますと五千五百七十八キロで、その生産費は、お手元にございますように、八千五百三十五円と、こういうことです。(芳賀委員「三・二%換算乳量の乳脂肪量は幾らですか」と呼ぶ)乳脂肪量は百七十八キロでございます。(芳賀委員「それから百キロの水増し生産費は」と呼ぶ)八千五百三十五円でございます。  それから北海道を申し上げますと、一頭当たり生産費でございますが、四十七万七百六十一円でございます。それから実乳量でございますが、五千二百六十七キログラム、平均乳脂率が三・五九%。それから実際の実乳量ベースの第二次生産費が……(芳賀委員「乳脂肪量」と呼ぶ)乳脂肪量は百八十九キログラム、それから実乳量ベースの第二次生産費が八千九百三十八円、三・二%換算乳量が五千九百十一キログラムで、それをベースにいたしました生産費が七千九百六十四円、こういうふうなことになっております。
  53. 芳賀貢

    芳賀委員 これは後でいいんですけれども、見やすい表にして両方のものを出してもらいたいと思います。  そこで関谷審議官にお尋ねしますが、今回の保証乳価の計算は、補給金法による主要な生産地域、すなわち北海道における牛乳生産費調査を基礎にして、生産費調査というのは昭和五十三年の結果ですから、五十四年度の保証乳価算定する場合には当然評価がえをしないと実態に合わぬということになるわけです。そこで、北海道の五十三年の牛乳生産費を基礎にして昨年同様に算定したということが審議官からも、また畜産局長のあいさつの中にも載っておるが、農林省の牛乳生産費は実態調査に基づいたそれが生産費の基礎になるのですね。だから、本来から言いますと、保証乳価は水増しでやるというのは算定上は間違いなんですよ。  そこでお尋ねしますが、いま柳井部長から説明された、北海道における搾乳牛の生産費が四十七万七百六十一円、それから搾牛量が五千二百六十七キロ、乳脂肪率が三・五九%、乳脂肪量が百八十九キロ、これによる生乳百キログラム当たり生産費が八千九百三十八円、これが昭和五十三年の北海道における牛乳生産費ということになっておるわけですね。関谷審議官もかつては畜政課長もやっておるわけだから、これは間違いないでしょう。どうですか。
  54. 関谷俊作

    関谷説明員 今回の生乳生産費につきましては統計情報部から出ました三・二%換算……(芳賀委員「ここまでが間違いか間違いではないか」と呼ぶ)それは統計情報部の方で算定されました数値について、別に間違っているとは考えておりません。
  55. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、保証乳価計策方式が、従来はこの生産費を基礎にして、乳最については三・二%の水増し方式で百キロ当たりあるいは一キログラム当たり生産費算定するということになっておるが、この三・二に換算する場合は、先ほど申したとおり、ことしは乳脂肪量の百八十九キロというものを基礎にしなければ三・二%の水増し数量が出てこないのですよ。そういう厳格な計算をされたかどうか、その点はどうですか。
  56. 関谷俊作

    関谷説明員 私どもで用いました生産費は、三・二%換算、統計情報部で出たその数値をいただいて計算をしておるわけでございまして、途中の乳脂肪量の部分よりも結果の三・二%換算乳量で出ましたものをいただいておるわけでございます。
  57. 芳賀貢

    芳賀委員 それはおかしいんじゃないですか。この三・二%の水増し換算する場合の方程式というのはちゃんとあるのですよ。いいですか。生産費の公表された内容の「利用上の注意」というところがあるでしょう。これにちゃんと三・二%計算をこういうふうな方式でやりますよということが出ておるのですよ。あなた方は大学卒業生だからね。これを見れば、基礎になる乳脂肪量というのは幾らかということでしょう。それを三・二%で除した場合に水増し乳量というのが出てくるわけですからね。だから、実乳量に対してその三・二%と三・五九%の差額分というものは、架空の数量がそこへ生まれてくるわけです。その点を毎回私が指摘しておるのですよ。そこがよくわからぬければ、柳井部長、あなたから水増しのやり方、ぼくは乳脂肪量を基礎にしてやるんだということを言っているんだが、どういうふうにやったか、それを……。
  58. 柳井昭司

    ○柳井説明員 農家ごとに乳脂肪量なり生産費等を計算して、それを五十三年二月一日の畜産統計による階層別のウエートで加重平均いたしまして、それを全国的に延ばしておる、こういうことでございます。
  59. 芳賀貢

    芳賀委員 そうじゃないですよ。これはあなたが新しく、いいですか、これがあるでしょう、「利用上の注意」、この計算をやった結果どうなったかということです。これは乳脂率三・二%換算乳量を出すには、乳脂肪量を分子にして換算すべき三・二%を分母にして計算すると水増し乳量ができるということ、これはちゃんと方程式が載っているじゃないですか。これは数字が入ってないから、数字を当てはめればどうなるということをはっきりしておいてもらいたいと思います。
  60. 柳井昭司

    ○柳井説明員 お答え申し上げます。  北海道でございますと、全国ベースの計算といたしましては、八千九百三十八円に三・二%換算乳量分の実乳量ということで五千九百十一キロ分の五千二百六十七キロを掛けまして算出いたしますれば、七千九百六十四円という数字が出てくるわけでございます。
  61. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、そうじゃないですよ。この算定方式から言うと、まず乳脂肪量というものがわからなければならぬでしょう。その乳脂肪量、これが北海道では百八十九キロですよ。いいですか。北海道の搾乳量五千二百六十七キロに対して、乳脂率が三・五九%だから、脂肪歩どまり、乳脂肪量は百八十九キロ、これはさっきあなたが言ったとおりなんです。換算するためには、この百八十九キロというのは実乳量掛ける乳脂肪率ということになっているでしょう。これを分子にして三・二%に換算するのであるから、分母は〇・〇三二ということで計算をすると、つまり三・二%水増し換算の五千九百十一キロが出るのじゃないですか。違いますか。
  62. 柳井昭司

    ○柳井説明員 「利用上の注意」に書いてございますように、生乳百キログラム当たり生産費につきましては、一頭当たりの搾乳量分の一頭当たり生産費というような形で求めるわけでありますけれども、統計情報部の調査におきましては、この際、その分母となる乳量には従来から乳脂率の三・二%換算乳量を用いておるわけでございます。こういうふうにいたしまして個々の農家ごとにこういう形で積み上げてきたものを、先ほど申し上げましたように、畜産統計におけるところの地域別、階層別の戸数というものを加重平均して算出しておる、こういうことでございます。
  63. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、あなたはさっきは明快に説明したじゃないですか。何も畜産局の低乳価にこだわる必要はないですよ。何のためにこういう方程式を載せたかということを聞いているのだから、その三・二%換算を行う前段の計算というものがあるわけでしょう。それが私が言っている乳脂肪量の百八十九キロなんだから、これに対して三・二%、〇・〇三二で割れば、結局水増し乳量の五千九百十一キロになるわけでしょう。五千九百十一キロを分母にして一頭当たり生産費、これは水増しをした場合もしない場合も一頭ですから、四十七万七百六十一円であることは間違いないわけですね。だから、実乳量によるところの乳脂肪の量とかあるいは脂肪率であるとか、実乳量の百キロの生産費というものはどれだけになっておるかということがまず明らかにされないと、それを基礎にして畜産局が三・二%換算の保証乳価を計算しようとしても、このもとになる数字というものが不明確では、結局ごまかしたのじゃないかということになるのですよ。この計算の順序というものを追っていけば、なるほどこうなって、それで低乳価になっておるのかということがわかるのです。だから、統計情報部のやる仕事と、それからそれを参考にして畜産局がやる仕事というものを画然と区分しておかぬとだめなわけです、共同謀議ということになると、えらいことになってしまうわけだから。  それじゃ、農林大臣が出席されたので、大臣にお尋ねしたいと思いますが、その前に関谷審議官に確認しておきたいことは、先ほど来統計情報部長から説明のありましたとおり、北海道牛乳生産費を基礎にして保証乳価を計算したわけでございますが、実乳量による百キログラム当たり生産費が八千九百三十八円である。それから三・二%の乳量換算した場合には乳量が当然ふえるわけですから、結局実乳量の場合には五千二百六十七キロであるのが、三・二に換算すると五千九百十一キロになって、これを分母にして、一頭当たり生産費である四十七万七百六十一円を割って、百を掛けると、百キロ当たりの三・二%換算生産費、第二次生産費、これが七十九円六十四銭となって出てくる、ここまでは確認できるわけだね。どうですか。これを確認してから大臣に質問したいと思うのです。
  64. 関谷俊作

    関谷説明員 ただいま統計情報部長からも御説明がございましたが、三・二%換算乳量というものは、観対の個々の個票に出ておる、こういうことでございまして、私どもの算定結果、いま用いておりますのは、農家ごとの三・二%換算乳量を用いまして、それを乳量ウエートを掛けまして算定しておるわけでございます。全国数値から直ちに算定をするということではございませんで、農家ごとの個票から積み上げたものを乳量ウエートを掛けまして算定をいたしております。
  65. 芳賀貢

    芳賀委員 これは大変なことを言い出したのじゃないですか。じゃ、北海道における調査農家の野帳、農家の個々の毎日毎日の出荷乳量に対する三・二%換算の野帳はあるのですか。——関谷審議官に聞いておるわけです。あなたじゃない。畜産局に聞いておるのじゃないか。それがあるかないかです。
  66. 関谷俊作

    関谷説明員 個票をいただきまして、それを乳量ウエートを掛けて計算しておるわけでございます。
  67. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、それはおかしいじゃないですか。これは毎日毎日生産者が搾乳した生乳を出荷するわけですからね。受託生産者団体である農協を通じて工場に出荷するわけですからね。毎日毎日の出荷といっても、たとえば搾乳牛が二十頭おれば一頭一頭乳脂率は違うのです。全部同じというわけにはいかぬですからね。そういうものを毎日毎日搬入して、そこで工場側と立ち会って乳脂率を確認する、そういう詳細な野帳、個票ともいいますが、これは普通は野帳というのが正当な表現ですが、それが畜産局の手に入ってそれを検討して作業したというのですか。しかも、毎日毎日実乳量を委託農家が三・二男に換算をして、そうして資料を整えて報告しているということになっているのですが、そうはなっていないと思うのです。
  68. 関谷俊作

    関谷説明員 畜産局の算定手続としましては、三・二%換算乳量によります生産費は、個票がございまして、それをいただきまして算定をしておるわけでございます。
  69. 芳賀貢

    芳賀委員 生産者はそういう三・二%換算とかなんとかを毎日やる必要はないのですけれどもね。本当にあれば、これは公開すべからざる資料ではあるが、後で内容を確認させてもらいたいと思うのです。それはいいですかね。この場限りの論議じゃなくて、そういう毎日毎日の換算された個票というものは、全調査農家が作成をしてそうやっておるのか、これはどうなんですか。
  70. 柳井昭司

    ○柳井説明員 農家におきましては毎月毎月の調査簿を書いておるわけでございますが、その調査簿に実乳量、それから乳脂率とございますので、月ごとに農家ごとの三二%の換算乳量なり生産費が出てきておるわけでございます。月単位でございます。
  71. 芳賀貢

    芳賀委員 それは農家にやらしておるのですか。
  72. 柳井昭司

    ○柳井説明員 それは農家からいただきますところの伝票をベースにいたしまして、私たちの方の調査組織において換算しておるわけでございます。
  73. 芳賀貢

    芳賀委員 そうなると、農家の場合は実態に基づいた調査でしょう。それを集めて農林省が勝手に三・二%とかそういう手を加えておるのじゃないですか。そうなると、関谷君の言うのと全然違うですよ。農家のやったのを集めてきて個票によってこうなりましたというのと大分違うじゃないですか。
  74. 柳井昭司

    ○柳井説明員 この点につきましては前々から申し上げておりましてくどくなると思いますけれども、統計情報組織といたしまして三・二%の乳脂率換算の生産費を算出しておるわけでございますので、その統計技術的な面からいたしましてどういう方法がいいかということになろうかと思うわけでございますが、それぞれ農家の段階におきまして実際の乳量なり実際の生産費が月別にわかるわけでございます。実際の乳量あるいは乳脂肪量はわかるわけでございますが、それをベースにして統計の職員が三・二%換算の乳量なり生産費を出す、こういう仕組みで私たちゃっておるわけでございます。
  75. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、実乳量から三・二%に換算する場合、まず乳脂肪量を求めなければ三・二%の換算はできないのですからね。加工乳を主体にした生産費調査というのは、別名は乳脂肪の生産費調査と言っても差し支えないのですよ。これは根本はそうなっているでしょう。どうですか。
  76. 柳井昭司

    ○柳井説明員 昭和七年でございますか、三・二%の乳脂率をベースにいたしまして取引がなされておる、こういう実態もございまして、私たち昭和二十六年の生産費調査を実施する段階におきまして、利用上の配慮等も加えまして三・二%換算の生産費というものを出してきておるわけでございます。そういう意味におきましては、農家の段階では実際の乳量は出てまいるわけでございますが、その段階におきまして農家ごとに何%の乳脂率かということがわかりますので、私たちの方では三・二という形に置きかえましてやっておるということでございます。
  77. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう方式でやるとすると、委託農家は何のために農林省に頼まれて大事な牛乳生産費調査をやっているか、やはり目的をちゃんと知らして、だからひとつ協力してくれと言わぬと、途中から勝手に農林省が計算を加えて低乳価の基礎をつくる、そういうことが最初からわかっていれば、何も好んで自分の生産した生乳の値段が下がるような調査の協力はしないと思うのです。最終的にはどこまであなたの調査した資料を使うということを約束事としてはっきりさせてからそれでも協力するわというのであればいいと思うのですがね。今後はぜひその点を明確にしてやるべきだと思います。  それから、もう一点お尋ねいたしますが、結局乳脂肪量を基礎にした生産費方式ということが言われておるわけですから、そうなりますと統計情報部の三・二%、一キロ生産費が七十九円六十四銭であることははっきりしておるわけですから、これに対してそれでは乳脂率一%あるいは〇・一%についての生産費は一体幾らになるか、この点はどうなりますか。
  78. 柳井昭司

    ○柳井説明員 北海道について申し上げますると、三・二%換算乳量の第二次生産費が七千九百六十四円でございますので、それを三・二で割りますれば〇・一%で二円四十九銭、こういう数字が出てまいるわけでございます。
  79. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、〇・一%で二円四十九銭、これが脂肪率による生産費の〇・一%単位の生産費計算上の格差ということになるのですか。
  80. 柳井昭司

    ○柳井説明員 いま申し上げました二円四十九銭というのは、一キログラムにつき〇・一%の場合でございますが、いま申し上げましたように、七千九百六十四円を三・二で割りますれば〇・一%当たりが二円四十九銭になる、こういうことでございます。
  81. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ、三・二%の生乳の場合は一キロ当たりが二円四十九銭になる、三・五九%の場合にはどうなるのですか。
  82. 柳井昭司

    ○柳井説明員 いまのは三・二%換算乳量五千九百十一キログラムということではじいたのと同じになりますので、〇・一%で一キログラム当たり二円四十九銭になるのではないかと思います。
  83. 芳賀貢

    芳賀委員 三・五九%でも三・二%でも同じですか。
  84. 柳井昭司

    ○柳井説明員 いま申し上げましたように、〇・一%で一キログラム二円四十九銭ということでございますので、三・五九の乳脂率ということになりますれば百キログラム当たりにいたしまして八千九百三十八円、そういう形になると思います。
  85. 芳賀貢

    芳賀委員 乳脂率が三・五九%の場合、乳脂率〇・一%について幾らの生産費になるか、それを聞いているのです。三・二%換算はわかったのです、二円四十九銭ですから。これは三・二%換算の場合だ。それを生のままの三・五九%の場合の〇・一%当たり生産費、これは幾らになるのか。これもわかるわけでしょう。
  86. 柳井昭司

    ○柳井説明員 二円二十二銭になります。
  87. 芳賀貢

    芳賀委員 どうして変わるのですか。同じ牛から同じ五千二百六十七キロの乳が出ておって、それから回収した脂肪量は百八十九キロ、だからこれは脂肪量は同じでしょう。それが違うというのはおかしいんじゃないですか。
  88. 柳井昭司

    ○柳井説明員 実乳量によりまするところの生産費が八千九百三十八円でございまして、これを三・五九でいたしますると二円二十二銭、こういうことになりますし、七千九百六十四円というものを三・二で割りますれば二円四十九銭ということになろうかと思うわけでございます。
  89. 芳賀貢

    芳賀委員 それは計算のやり方が違うのですよ。その三・二%の場合は、百キログラム三・二換算の生産費が一キロにすれば七十九円六十四銭でしょう。それを三・二で割ったから二円四十九銭ということになったんでしょう。だから、三・五九の場合七十九円六十四銭を割ったんでは答えが出てこないんですよ。同じにするためには、実乳量の生産費である一キロにすれば八十九円三十八銭を三・五九で割ればその答えはやはり二円四十九銭ということになるわけです。とにかく回収された、歩どまりされた乳脂肪量というのは、水増しをしても水増しをしなくても、これは厳然として百八十九キロに変わりはないのですから、こういう基本になる点をきちっと整理しておいてもらわないと、ごまかし計算で去年よりは六十七銭下がるけれども据え置きにしておいてやるというようなことになってしまうわけだから、生産費調査の結果というものはあくまでも厳正に正確無比であるというものをちゃんと固めておいて、それを行政的に米価とか保証乳価の計算に使う場合はそれは別な領分でやるわけだから、そこまであなたが何もかもどろをかぶる必要はないと思うのですよ。     〔山崎(平)委員長代理退席、今井委員長代理着席〕 前回もその点をきちっと整理をしておいてもらいたいということを言ったわけです。  そこで、最後にもう一点だけはっきりしておいてもらいたいのは、結局実乳量方式で計算する場合と三・二%で計算する場合の百キロ当たり生産費は違ってくるわけですね。その差は一体どうなっているかという点はどうですか。
  90. 柳井昭司

    ○柳井説明員 実乳量ベースの第二次生産費は、北海道の場合に百キログラムで八千九百三十八円、それから三・二%換算乳量をベースにいたしました第二次生産費は七千九百六十四円ということでございますので、この差は百キログラム当たりにして九百七十四円、一キログラム当たりにして九円七十四銭、こういうことになろうかと思います。
  91. 芳賀貢

    芳賀委員 一キログラム当たり九円七十四銭ですね。それだけの違いが出てくるわけですからね。  それでは、大臣に待ってもらったから質問をいたします。  そこで、第一の質問は、前回三月二十二日の当委員会において大臣に対して私から重要な点について質問をしたわけでございますが、その中で未確定分として残っておる点をまずお尋ねいたします。  それは、昭和五十三年度の加工原料乳限度数量について、これは百八十三万トンが年当初に大臣告示によって設定されたわけでございますが、年度末になってこの限度を超過する数量がおおよそ全国で二十万一千トンに達する。そこで、この二十万一千トンの扱いについては、処理方法としては、一つは、開かれる畜産審議会に農林大臣から諮問をしてこの超過分というものを法律に基づいて限度数量改定という措置処理をするか、あるいはまた、従来行ってきた補給金に見合う金額を畜産事業団の助成金勘定の方から支出して行政的に処理をする、二つの方法しかないわけでございますが、これについては先日は、大臣として、非常に大事な問題であるのできょうは明確に答えるところまではいかぬ、当然畜産審議会に対してもこの分の扱いについては相談をして——諮問をするとまでは言っておりませんが、審議会の意見も聞いて善処したいというお話でございましたが、もうきょうはすでに三番町において畜産審議会酪農部会が開かれておるわけでございますので、この取り扱いについて農林大臣の方針を聞かせてもらいたいと思うのです。
  92. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 御承知のとおり、不足払い法昭和四十年にできた法律ですから暫定措置法として当分の間やる。それで、当然北海道等が非常に酪農が困ったということで、私が説明する必要もなく芳賀さんの方がよく知っている話でございます。そこで、限度数量というようなものを設け、安定指標価格というものをつくってこの仕組みをこしらえたわけであります。したがって、不足払い法では、限定数量を超過したから超過したものはみんな見ていくんだ、こういうことになってまいりますと、実際問題としてこれは制度維持が非常に困難になるという危険性が非常に多いわけでございます。したがって、原則的には限度数量をオーバーをしたものについては不足払い対象にしないというのが原則でございます。  しかし、去年は非常に天気もよかったし、それからえさも安いし、出かせぎに行く場所もないし、それで牛の手入れが滞りなくできて臨時的に生産がふえたのだという意見が生産者の中にあります。その点は一部認められる意見ではないか。これは恒常的なものである場合と臨時的に去年だけがふえたのかという問題とでは、私はかなり性格が違うのじゃないかという気もするわけでありまして、そういうような点等も考えて、原則的にはこれは見ないという原則でございますが、本日の審議会等の意見も聞いて最終判断はしてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  93. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、審議会の意見が全体として、ことしの超過した二十万一千トンについては従来の方法で大臣として行政的に善処すべきであるというような意見が出された場合には、その線に基づいて実行するというふうに解釈していいですか。
  94. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 審議会が満場一致をもってそういうような御意見があるというふうに私考えておりません。しかし、審議会のいろいろな経過というようなことは、これは私としてはできるだけ尊重していきたいというように考えております。
  95. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、審議会委員はこれは大臣任命の委員だから、端的に言えば御用委員ですね。あらかじめ根回しをしてあるから全部が賛成ということにはならぬ、こういう判断ですか。
  96. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 そういうようにうがった考え方を持っているのではなくして、その不足払い法という法律のあり方というものを考えていけば、当然的に限度数量を超過したものをみんな見ていくということでは、不足払い法維持できなくなる。現在の財政事情から見ても、それからまた過剰生産に拍車がかかってくるというような点から見ても、好ましくないと思う人も私はいるのじゃないかという気がして言っただけの話でございます。
  97. 芳賀貢

    芳賀委員 しかし、委員の中には生産者代表もあるし、また大臣任命の委員としても良識のある委員も決していないわけではないですからね。委員会の大勢として、やはりこの際五十三年度の超過分については従来どおり善処すべきであるというような場合には、これは当然大臣として前向きに処理すべきであると思いますが、その点はどうですか。
  98. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 審議の経過その他をお聞きをした上で決定をさしていただきます。
  99. 芳賀貢

    芳賀委員 審議会の意見を尊重するということはわかりました。  それでは、一番肝心な本家である当農林水産委員会において、この際五十三年度の超過分の二十万一千トンについては少なくとも従来同様の方法政府としては善処すべきである、こういう意向が出された場合には尊重されますか。
  100. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 委員会がどういうような御決定になるかわかりませんが、しかし、不足払い法という法律趣旨から見て、毎年これはことし限り、ことし限りで、毎回事実上超過分を見てきたということなんですよ。ですから、これを続けていけばどうなるかということについてはおのずからおわかりになると思っておるので、私は当委員会においてそのような結論が出るとは期待しておらないわけです。     〔今井委員長代理退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  101. 芳賀貢

    芳賀委員 あなたが期待しなくても、委員会として良識の上に立ってこれはこうせよという場合もあるでしょう。そういう場合は、審議会の方は尊重するが、委員会の方はどうあっても尊重しないというほど頑迷な大臣じゃないと思うのですがね。
  102. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 別に委員会を尊重しないと私は言っているわけじゃありませんで、ただ委員会で御決議になっても、それは司法、行政、立法はみんな別ですから、全部そいつをそのとおりやらなければならぬということもないと私は思うのですよ。しかし、委員会の審議の経過とか、特に御決議があるということになれば、それを尊重しないなんということは私は申し上げることはできないと思います。
  103. 芳賀貢

    芳賀委員 大体、意のある点はわかりました。  それから次に、五十一年度は乳質改善奨励金がキロ一円、五十二年、五十三年はそれぞれ一円七十五銭、これは実質乳価だぞといって畜産振興事業団から支出をしているわけです。この扱いについてはどうされますか。
  104. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 これもスタートしたときには乳質の改善奨励金というようなことでつけたわけでございますが、かなり乳質も改善されておるので、私はこれは一挙に全部廃止するのはいかがかとも思っているのですが、見直す必要があるのではないかと考えております。
  105. 芳賀貢

    芳賀委員 それは五十四年分から見直す必要があると考えておるとすれば、この五十三年の百八十三万トンは文句はないわけだから、あと限度数量超過分といわれる二十万一千トンについては、いままではその分に対しても補給金見合いの二十四円五十七銭、それに一円七十五銭をつけて、そしてこれは生産者交付をしておったわけですから、二十万一千トンに対するこの一円七十五銭、これはやるわけですね。
  106. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 これも限度数量オーバー分をどういうふうに取り扱うか、その取り扱い方と関連をしたものになってこようかと。この取り扱い方もいろいろ考えられるわけですから、したがって、いろいろなことが考えられるということであります。
  107. 芳賀貢

    芳賀委員 これは大臣たちのグループのいわゆる総合農政といったか何といったか、総合農政で、価格は抑える、米価でも乳価でも値段は抑えるが、そのかわり、構造政策という形で別途所得の確保を図るようにしてやるというようなことで、つかみで一円とか一円七十五銭とか、いろいろつけた経過があるのですよ。それが乳価以外は全部整理されて、御承知のとおり基本乳価にそれぞれ合算されておるわけですから、残された乳質改善奨励金の一円七十五銭を、先日も私言いましたとおり、五十四年の保証乳価を決める場合には、まずその基礎の価格にこれを合算をして、それを基礎にして五十四年分の保証乳価というものを法律に基づいて算定すべきじゃないかということを言ったわけです。この点については、この審議会に出された政府資料によると、これが全然熱意のほどもわからぬわけですが、これはどういう配慮をされますか、五十四年度以降については。
  108. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 乳質改善奨励金の一円七十五銭のものは審議会事項ではないと思っております。
  109. 芳賀貢

    芳賀委員 審議会諮問をする前に、政府の作業として当然これは合算をして、そうしてこれでどうですかというのが手順なんだ。それをやってないように思うので、それでどうだったかということを聞いているんですよ。
  110. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 ですから、審議会がけさ始まったばかりなのに、ここで私が皆結論を言ってしまったんではそれこそしかられてしまうわけですよ。言え言えと言われれば言わないこともないかもしれませんけれども、それはじっと私もこらえて、結論は言わないようにしておるわけであって、余りここで急に攻められて、私がいい結論を言えばいいけれども、悪い結論を言ってしまったときに、国会で言ってしまったら動かせませんからね。したがって、これは審議会が終わるまで、私も多少の幅は持っておりますので、この程度にしておいていただきたい、こう思います。
  111. 芳賀貢

    芳賀委員 審議会が終わるまではじっとがまんしておる、そういうことですか。
  112. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私ががまんをすると言ったのは、ここで結論を出すことをがまんをしていただきたい、むしろそういう意味です。私は、審議会が終わる前に、これについてはこういう扱いをする、これについてはこういう扱いをする、全部ここではっきりした答えを出してしまうわけにはいきません、それは審議会軽視としかられてしまいますから。
  113. 芳賀貢

    芳賀委員 それから次に、そういう悪い結果にはならぬと思いますが、仮に万が一にも超過分の二十万一千トンに対して全然何らの配慮をしないという場合、そういうことはないと思うが、もしそういう場合、先日私が言いましたとおり、すでに生産者が農協の手を経て、受託団体であるホクレソの手を経て乳業会社に、用途は全部加工原料乳として搬入して、もうどれだけ受け取りましたという伝票をもらっておるわけだから、これに全然補給金見合いの助成金がつかぬということになると生産者は黙ってないと思うんですよ。もしその場合は、保証乳価を確保するという意味において二十四円五十七銭というものは一体だれが政府にかわって負担をするかという問題が当然起こるわけですよ。その場合は大臣としては、当然これは安い乳を制度のおかげで買っておるのだから、会社がその分を負担すべきであるというふうに考えておられるか、あるいは生乳指定団体であるホクレン、受託機関である農協がこの分については負担すべきである、そのいずれかに負担をさせなければ、生産者としては、いかに自民党大平内閣のもとでそういうことを決めても、どうもありがとうございましたというわけにいかぬと思うのですよ。政治見通しの明るい大臣としては、そういう事態が生ずることもあり得るという判断を持っておられると思うが、その場合に、一体ホクレンに負担させるか乳業会社に負担させるか、どうお考えですか。
  114. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私の方は、この加工原料乳不足払い法というのは保護政策でございますから、百八十三万トンについては政府が保護をいたします。つまり、安定指標価格からすれば一キロ六十何円でしか売れない、しかし生産者の方はそれでは困るというようなことで、八十八円にして、その差額二十四円を政府が保証しましょう、しかしそれは無制限というわけにはいきませんよ、それは百八十三万トンの中ですよ、こういうことになっているわけですから、それをオーバーした分は、保証するというお約束は実はしてないわけです。しかしながら、あなたのような現実的な話が出ておることも事実なんであって、したがってわれわれとしては、政府は保証はしないというのが原則なんです。それで、どういうふうにするかについては、審議会の意見やいろいろな皆さんの意見を聞いておるわけですから、三十日までに決定をするということでございます。
  115. 芳賀貢

    芳賀委員 これはじっとがまんするわけにいかぬですよ。とにかく生産者に対して再生産を確保するための保証価格として、補給金が出ようが出まいが、八十八円八十七銭というのは一キロ当たり生産者に対する価格支持の線ですからね。最低線ですよ。これより高く取引したって構わぬということになっているわけだから。その場合、その補給金が来ないから生産者は六十四円五十七銭であたりまえだということにはならぬと思うのですよ。いいですか、ここが大事ですよ。それじゃ、政府が事業団から出させぬということであればそれをだれが負担するかということになれば、結局指定団体であるホクレン、農協、あるいはまた安い乳をもう十何年も供給されておるところの乳業会社、このいずれかが負担しなければならぬということになると思うのですよ。その場合、農協か、指定生産者団体か乳業会社か、どちらに負担させるのが至当というふうに大臣は考えておるかということを聞いておるわけです。
  116. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 それは乳業会社が負担をしたかったらなさっても私は別にどうこう言うわけじゃないのであって、要するに乳業メーカーは六十四円三十銭しか買えないというところで、それじゃ生産者の方がもうからぬということなものですから、計算の仕方がどうだこうだというようないろいろな御議論もございますが、八十八円幾らというものを保証価格としてはじいて、その差額については百八十三万トンについてだけ政府は保証をしますということを言っているので、仮にこれが二十万トンだか五十万トン、六十万トン、七十万トになっておったらそれは負担し切れるものじゃないのですよ。(芳賀委員「どっちに負担させるかということなんですよ」と呼ぶ)だから、それは私はそこまでは干渉できないのですよ、政府は。政府は自分の持つものを持つか持たぬかということですから……(芳賀委員「いや、干渉じゃないですよ。指導、おまえさんの方がこれは持つべきでないかという」と呼ぶ)いやいや、そこまではなかなか私どもの方もいま言える段階にございません。
  117. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう指導力というのはないのですか、行政責任において。生産者を見殺しにするわけにはいかぬじゃないですか。人情大臣と言われる渡辺美っちゃんが、生産者、おまえ犠牲になれ、そういうわけにいかぬでしょう。大臣、これはことしだけの問題ではないのですよ。来年度の需給計画から見て、限度数量というものはいま政府案としては去年よりも十万トン増しの百九十三万トンですよ。本来はそれよりも二十一万トンふえた二百十四万トンを五十四年度の限度数量と定めなければならぬのを百九十三万トンとしておるわけだから、もう最初から二十一万トンの生乳調整分ということでこれを除外してあるでしょう。そうなってみれば二十一万トンというものに対しては当然これは加工原料向けに工場へ出荷しても二十四円五十七銭の補給金は当たらないわけですからね。飲用向けにも余って売れない、それから原料乳としても正当な価格で販売ができないというものが年の当初から二十一万トン予測されておるということになると、来年生産される二十一万トンというものは、政府として一体どのような方向に向けて、生産した農家に対してその生産費、所得を回収させるようにするか、その具体的な案がなければ、米と同じような方式でそう簡単に農民切り捨てをやるわけにはいかぬと思うのですよ。その案があれば示してもらいたい。
  118. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 その調整分については、まず飲用牛乳の消費の拡大ということに最大の力を払っていきたい。それでもなおかついろいろな余分が出るような場合は、生産者のところでの自家消費促進、用途の拡大、さらには濃厚飲料の給与の適正化等によって生産の適正な数量を実現するようにみんなで努力していっていただきたいということを言っておるわけでございます。
  119. 芳賀貢

    芳賀委員 結局、前任者の中川一郎大臣さえできなかったことを今度あなたはあえて強行するわけですから、それがどんな結果を生むかということは、これは十分慎重を期してやっていかなければならぬと思うのですよ。  これに関連して、乳価のプール制というのが補給金法発足以来ありまして、制度を基礎にして、都道府県段階においては飲用向け、加工原料乳向けの販売された乳代というものをプール計算をして、そうして均衡のとれた形で生産者に支払いしておるわけです。これは都道府県ごとの実績表もあるからやっておるということがおおよそわかるわけです。ただ、法律を審議して、われわれの主張としては、やはり米と同じように、あるいは農安法の農産物と同じように、全国段階で一元的に集荷するとかあるいはプールするというような全国プール組織というものが農協の共販体制の中に実行されぬと、将来混乱を生ずるおそれがあるということを指摘いたしまして、当時この法案を上げた際、附帯決議の第一項にこれが載せてあるわけなんですよ。今度のように調整分が二十一万トンも出るとか、限度数量を超えた分に対しては何ら政府が積極的な措置を講じないということになると、これはやはり新たな全国的な、生産者団体等によるそうした共販体制とかプール組織というものが当然必要になると思うのですけれども、こういう点については農林当局として検討を加えておるかどうかという問題。  それからもう一つ、大臣、もう時間がないから質問だけ言いますが、この消費拡大の中で飲用牛乳の消費が実は水増しになっているのですよ。これは厚生省の食品衛生法の中の乳等省令を見ても、一般の普通牛乳というのは乳脂肪率が三%以上ということになっておりますね。三%の乳脂率があれば普通牛乳として販売してもいいということになっておる。ところが、現在においては三・五九%というような高い脂肪率になっているわけですから、この乳肪率三%以上の分は、脱脂乳をまぜて量をふやして、三%の普通乳に処理して販売するか、あるいは三元分離機にかけて三%以上の脂肪を抽出し、生クリームにして高級菓子等の製品に使用するということになると、水増しをした場合には二八%牛乳が量的にふえるわけだから、そういうことをさせないように、搾乳したままの濃厚な生乳というものをそのまま飲用に回すということになれば、そこで量的にはまだまだ飲用の方に回る数量というのは出てくるわけです。それから、そういうふうに厳格にやれば、飲用牛乳から三%以上は生クリームをとって高級菓子の原料に使うとかなんとかということをしないで、そういうものが必要であれば加工原料乳の中から生クリームを製造するということをしないと、ますます値段も水増しで低乳価、飲用乳も会社本位の、水で薄めて高い牛乳を売らしておるというような結果になるので、この点については、やはり消費拡大の基本に関する問題ですから、後で資料を出してもらいたいと思うが、その点をどうするか。  それから、前回も言いましたとおり、少なくとも輸入税粉の生乳換算の八十万トン等については大臣も検討すると言っておられたが、この点は速やかに積極的な検討を加えて、よそから安いからといって脱脂粉乳をどんどん入れて、自分の国で生産されたバターとか脱脂粉乳が余ってどうしようもない、そのしわ寄せが生乳生産の面で米と同じように生産制限が行われるということになるわけですから、この点についてもはっきりした方策を立ててもらいたい。  それから、国産チーズの問題についても、いろいろむずかしい問題はあるが、やはり乳製品の製造の拡大という意味から見ても、もう思い切って畜産事業団から助成措置でも何でも講ずることにして、製造開発を進める。  もう一点は、酪農家の負債整理対策の一環として、相当額の経営改善資金というものを出しておるわけです。最高限度一戸当たり八百万ですが、これがちょうどことしから返還の時期に入るわけであって、二月当たりにすると利子をつけて大体二百万円程度ことしから五年間償還しなければならぬということになるので、こういう点についても、毎年毎年乳価据え置きとか、今度は限度数量も制限するというようなことになると、せっかく基盤のできた酪農家が借金を払いたくても払えぬということにもなるわけですから、この負債整理対策についても抜本的な検討をして、酪農の正常な伸展ができるようにすべきである。  以上の点について、それぞれ大臣から明快な答弁をしてもらって、それできょうは質問を終わりたいと思います。
  120. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 順序が多少前後するかしれませんが、牛乳需給調整問題については、そういうようなお話が農業団体の中からもあることを聞いております。したがって、現実に即したような方法を一緒になって考えていきたい。いずれにしても、不足払いというものは限度数量を設けないで維持できるものではございません。したがって、これは不足払い制度がやはり維持された方がいいという生産者の方が圧倒的に多いという現状にかんがみ、この制度がこの窮屈な財政の中でも維持できるようなことを第一義的に考えて進めてまいりたいと思っております。  なお、脱粉の問題については、これは非常に大量なものが輸入されていますが、ほとんどすべてと言っていいくらい生産者用のものであります。つまり、えさになっておるものでございます。これについては国内の脱粉もあるのでありますから、生産者の方とも話し合いをして、極力国内のものもまぜて使ってもらうように今後行政指導してまいりたいと考えております。  チーズについては、これは非常に嗜好の問題があるので、なかなか安いから売れるというものじゃない。やはり趣味嗜好に合うようなものが必要なんで、その技術は、日本は歴史が浅いし、向こうは何百年という、何千年かもしらぬ長い歴史を持っておるところと比べて、どうしても多少見劣りがするということが言われます。したがって、これについて生産者団体その他メーカーにしても、新技術の開発というようなことにはわれわれとしてもできるだけ協力をしていきたい、かように考えておるわけであります。  それから、まぜ物牛乳の話でありますが……(芳賀委員「いや、まぜ物じゃないのです」と呼ぶ)薄める、脂肪を抜き取って脂肪分を少なくするという牛乳の問題は、これは一般的には困ることでありますが、何かちゃんと表示をさせるとか何らかの方向が必要であって、いまうちの娘なんかもそうなんですけれども、もっと太ったらよさそうなものだが結局太りたがらない、脂肪をなるべく少なくするというようなことで、むしろローファット牛乳といいますか、そういうものを買ってきて飲む、私は天然自然のものがいいと言っているのですが、親子の間でもなかなか意見の調整ができないというぐらいでございまして、一般消費者についても強制するわけにはいかないものですから、そこらのところは消費拡大につながる方向で現実的にこれも措置していかなければなるまい、かように考えておるわけであります。  なお、負債整理の問題は、これは負債があるけれども資産も持っておって、酪農全体の収益性は決して悪くありません。ありませんが、何分急激な近代化を行ってきたというために、黒字倒産は困るわけですから、結局勘定合って銭足らずというような状態であることは私は想像できるわけであります。したがって、この経営の資金の問題等については十分に実情に合うようなことを検討してまいりたいと思っております。
  121. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 津川武一君。
  122. 津川武一

    ○津川委員 養豚のインテグレーションについて、最初質問してみます。  昭和四十年、豚の頭数が三百九十七万頭、五十二年になると、養豚農家の懸命な努力によって八百十三万頭まで上がっております。このふやすに至りた過程で養豚農家の借金が大変ふえまして、五十ないし百頭層では四百六万円の借入金、三百頭以上では九百六十万円の借入金、こうして養豚農家は一生懸命苦しんでやっております。そこへ今度中心価格がダウンになる。えさもまた上がりそうだというので、農家の悩みも非常に大きいのですが、一番心配しているのは、インテグレーションが養豚、肉牛、こういうところに入ってくるんじゃないかという心配なんです。鶏のことで農家が非常に苦しんで、苦い経験を味わっておりますので、肉牛と養豚にインテグレーションが、資本系統のものがいまどれぐらい入っているか、わかっていたら教えていただきたいと思います。
  123. 関谷俊作

    関谷説明員 養豚関係のインテグレーションでございます。なお、肉牛でございますが、これももちろん全くないわけではございませんが、全体としては肉牛の肥育部分に若干企業的なものが出てきておる程度でございまして、養豚のインテグレーションが当面いまの問題として提起されておるわけでございますが、大体二つタイプがあるのではないか。  一つは、企業が農家との間で生産物の販売、企画面、数量等について契約をしまして生産する、言ってみれば契約生産タイプのものと、直営農場ということで直接資本参加等もしました形で農場を経営するもの、こういうものがあるかと思いまして、これはなかなか実際の調査方法等はむずかしいわけでございますが、五十三年度、都道府県に照会をしまして調査しました結果で大体申し上げますと、契約飼養生産の方が全国で五十四程度の事例が報告されております。飼養頭数割合で申し上げますと、全国飼養頭数に対して二・八%程度、直営農場が全国で九十七事例、飼養頭数が三・九%程度、こういうことで割合としては全体から見れば小さいものであるし、傾向としましては、必ずしも増加するという傾向ではないのではないか、かように承知しております。
  124. 津川武一

    ○津川委員 養豚農家が困難になってくると資本を持っておる人たちが進出してくる可能性が非常に多いわけです。したがって、養豚農家では、芽のうちにこれを抑えてほしい、こういうことが実態なんです。  そこで、具体的な例を挙げてみますと、岩手県の金ヶ崎町です。町の養豚頭数に匹敵する企業養豚の進出が去年の十一月に表面化した岩手県金ヶ崎町では、農協青年部を中心に地元農家の間に、地域の農業と社会を破壊するものだ、農家の生活を侵害すると反対運動が盛り上がっております。この企業養豚は、業界の大手である曽我の屋グループ、社長曽我達夫、資本金八億一千万円、本社神奈川県平塚市南金目、これが進出してきます。この会社の計画によると、年間出荷頭数は一万七千頭、これが規模、町内養豚農家の年間出荷頭数とほぼ同じであります。このために、十九日から始まった同町議会でも取り上げられる一方、農協では、企業と農業は基本的な考え方に相違があるという反対運動を起こしております。現実に問題になっている。  こういうのが一つまた進むと、次々と行っていくわけです。ふえそうもないなどと言っていないで、これを芽のうちに抑えていかなければ、養豚の農家にとって、この間の鶏卵、鶏みたいに大変なことになりますので、これに対して具体的な方針を伺わせていただきます。
  125. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 これはうらはらの問題でして、要するに牛乳の場合は限度数量がありますから、限度数量を超したものは不足払いの保証金を出しませんよということが言えるわけですね。豚の場合は限度数量がないですから、いまこれは下支え価格ですから、この価格が実勢よりも、実際うんともうかるような仕組みにもしなっていれば、いまあなたの言ったような大規模なものができた場合に過剰になる、値段が下がるという場合は、事業団はどんどん買い上げなければならぬということになるわけですね。ですから、余り支持価格が高いということは、逆にこういうグループがたくさんできるという危険性を持っているわけなんですよ。これはうらはらなんですよ。これは非常にむずかしい問題です。消費者サイドだけからすれば、それは安い方が、大企業がつくろうが中小企業がつくろうが、安くてうまいものはいいというのが大体消費者の感覚でしょう。しかし、われわれ農林省としては、消費者のこともわからないわけではないが、やはり国内に現実に生産者もおり、国内で生産をするということも必要なことであるから、近代化をしながら、そんな大手のものにばかり任せるというのではなくて、いままでやってきた専業的な養豚農家の安定も図っていかなければならぬ、そういうこと等も考えてやっておるわけであります。これを法律で抑えるというようなことはなかなかむずかしい問題でございますから、豚肉価格がうんと低落して事業団が買い切れないなんというときには、これはもちろん生産調整をやってもらわなかったら制度が崩壊してしまいますから、みんなが損するわけですから、そこらのところはよく現実を見ながら適切な措置をしてまいるつもりであります。
  126. 津川武一

    ○津川委員 資本が大きければ、えさを入れてやるという点でも有利だし、流通の過程で非常に有利な面があるのです。  いま芝浦で豚肉を出していきますね。ところが、そうやらないで、企業、スーパーは大きなところから、大規模な養豚農家から直接入れているのです。この企業が入るとすごい力になる。したがって、豚の値段が下がってきて農民的な経営が成り立たなくても、ここで成り立つ。したがって、かなり大きな破壊力になると思うのです。法律でできないとしても、やはり農林省の指導行政なり、こういう業者を直接呼んで話するなり、そういうことが具体的に必要になっております。これが一点。  それから、岩手県の金ケ崎町に対して、ここまで町議会も農協も養豚農家も出ているので、これをこのままやると、先ほど話したとおり養鶏農家の場合と同じなのです。ここで成功すると出てきますので、この二つのことを重ねて聞きます。どうしても渡辺大臣に抑えてもらわなければならぬ。それは法律でできなかったら、あなたの政治能力でも指導でも、何らかの形で抑えてもらわなければならぬというのがいま現実の問題なのです、重ねてお答え願います。
  127. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私の聞いたところでは、その曽我の屋養豚というのは非常に昔からやっておるまじめな養豚家という話を聞いております。大規模な養豚でコストダウンができるということは、要するに日本の豚肉生産が国際競争力がつくということですから、一概にそれは悪いのだということもなかなか現実には言いづらい。豚は現在自由化になっているわけです。貿易自由化で、日本に入れたかったらどんどんだれでも売ってきていいわけです、差額関税というものは少しばかりあるけれども。ですから、名実ともに国際商品になっているわけです。豚肉というのは。したがって、外国からえさを持ってきて与えながら日本の豚、鶏というものが国際競争力に太刀打つことがややできる程度までなったということは、そういう意味ではやはり産業としての養豚、産業としての養鶏というものを考えると、消費者もその恩恵を受けているわけですから、それは悪いことである、もっと豚肉は消費者価格を高くしなければならぬということも、なかなか農林省としては言い切れないむずかしい問題があります。ありますが、そういうようなことが急激にもし膨大な資本で行われるという場合は、それは社会にいろいろなひずみを起こしますから、それは私は行政指導で、なだらかな傾斜は仕方がないとしても、急激な革命的なことは社会の混乱を起こしますから、それは適切な指導をしていかなければならぬ、こう思っております。ただ、曽我の屋グループに対して直ちに私が呼び出して、おまえ、ともかく一万頭もつくるのはとんでもない、やめろということはなかなか言いづらい。もうすでに三千頭、五千頭というのは、地方でも個人経営でも実際問題としてかなりあります。ですから、曽我の屋グループが年間一万七千頭出荷するから、これは悪の企業だというように断定はちょっと私としてはいまのところいたしかねると思っております。
  128. 津川武一

    ○津川委員 このことだけでこれはもうだめになっちゃって、ほかの質問はできなくなってしまいましたね。弘前である業者が市場を通じないで、養豚農民生産したものを大きいところから買ってきて半分以上占めている、これにこういうグループがくっついたら大変なことになるわけです。大臣のいまの話だと、黙って経過を見ようじゃないかというふうにも聞こえるのだけれども、あなたの強い政治力で一応呼んで事情調査していただく。それから、畜産局には岩手県のこの金ケ崎で現地調査していただく。この二つぐらいはしていただかなければならないと思いますが、これをひとつ答えていただきたい。  この問題で時間がなくなってしまったので、もう一つ今度は肉牛です。これは大手鉄鋼メーカーの新日鉄が肥育牛の生産に乗り出してきている。これは同社の子会社のジャパン・デベロップメント株式会社、本社は東京都中央区、社長は石井靖丸、千葉県富津に一個牧場を建設している。現在八十頭肥育しているが、将来一千頭の規模に拡大する方針。販売は市場を通さず、新日本製鉄員などに供給していくことになる。地元農家では、大きな進出ではなく、農家の畜産に対する圧迫にはならないと見ているが、先覚者はここにもまた恐ろしい芽を見ているわけであります。こういう状態で、この状態に対しても何らかの形で指導なり懇談、農林省も乗り出していただかないと農家の不安が大変だと思うわけです。  この二点か三点について答えていただきます。
  129. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 新日鉄が豚飼いしているか牛飼いしているか知りませんが、不景気で八万人もいる労働者に月給を払うのもなかなか大変だ。したがって、仕事の方も暇だから、自家用品としてあるいはそういうようなことをやっておるのかもしれません。しかし、そのこと自体を私どもが抑えるということは、これはなかなかできないと思います。それは社員用としてつくって、社員に売っているかあるいは食わしているか知りませんが、なかなか高い肉は社員としても買って食えないから、せめて会社のものでできるだけ安く、利潤も取らずに勤労者に食べさせてやろうというのですから、これも悪いのだということは、幾ら肉牛生産者と競合関係にあるとはしても、高いのまではなかなか手が届かないという労働者もたくさんいることも事実なので、それもいかぬということはなかなか私は言えないのじゃないか、かように思います。
  130. 津川武一

    ○津川委員 金ケ崎の調査は……。
  131. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 それは調査は、農政局もありますから、どういうようなことになっているのか、そこで公害問題でもまた起きて騒いでいるのか、豚何千頭とかいうことになれば当然公害問題みたいな話はくっついてくる話ですから、実態は調べさせていただきます。
  132. 津川武一

    ○津川委員 インテグレーションに対するいまの大臣の答弁、私農民に報告しますが、農民は恐ろしく怒ると思います。もう一度ぜひ検討していただかなければならぬ事態になるかと思いますが、またそのときはそのときでやります。  そこでもう一つ、先ほど問題になっていた五十三年度の加工原料乳限度数量超過分を奨励金、補給金対象にしていただかなければならぬということなのですが、小麦の場合は、国でふえた分だけ輸入を抑えると言ってきたのです。乳製品は、生乳がふえて乳製品をつくる能力がふえていく、供給するものがふえていく、そうして輸入を減らすべきじゃないか、こういう立場からいくと、やはり抑えるのでなく、限度数量を制限するのではなくして、そのまま受け入れて輸入を減らしていく、そういう計画を立てていくべきだと思うのです。小麦に対してそれを国民に約束しておって、なぜ乳製品牛乳に対してこういう立場をとるのか。だから、どうしても限度数量補給金、奨励金の対象にしていくべきだと思うのです。この点が一つ。  もう一つには、青森県だけでも七千五百トンぐらいが余るわけですが、これで一億八千万円ぐらいの収入減になります。酪農農家の生産意欲がこれで落ちていく。いま日本の農業にとってみて一番大事なことは、農家の生産意欲を衰えさせないこと、これは農政上の非常に大事な問題であります。こういう立場からもう一回超過分考えてみる必要があると思いますが、これが私の挙げる二点。  三点目は、水田利用再編対策の転作、ここでもまたこういう点で牧草、えさへの転作にもかなり影響があると思いますので、この点、政治的にもう一度一考をしていただけないかなという農民の嘆きと要求というものをここで大臣にぶつけてみるわけであります。  お答え願いたいと思います。
  133. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私は、小麦の輸入を抑え込むとは言わないのです、それは国際問題になりますから。しかし、不足しているから輸入をしているのであって、国内で生産をされれば、その分だけは自動的に政府が買うのですから少なくて済むでしょう、結果的には少なくなるでしょうということを言ったわけであります。  それから、脱粉なんかの輸入については、先ほども言ったように、これはえさなんです。えさメーカーとか全農とか、そういうふうなところからの申請があって政府は認可をしておるわけですから、五分の一なものですから、国産の脱粉を全部えさで食わせろといったって、売る方の値段が青天井でその分だけ全部反映して売れるという品物でもないし、したがって生産者の方はえさとしては輸入の脱粉を使いたい、これは私は当然のことだと思う。しかし、お互いさまのことだから、国内のものも使ってもらいたいというような行政指導は今後いたしますということを申し上げておるわけです。その結果は、需要がなければ輸入しないわけですから、輸入脱粉が減るということになってくるわけです。  それから、限度数量の五十四年度の引き上げの問題については、これは諸般の事情を考慮して、ことしよりも十万トンふやした百九十三万トンにすでに諮問を出しておるわけです。それで、畜産審議会の意見を聞いておるという最中であります。  それから、オーバー分の問題については、これは芳賀さんのときに詳しくお話をいたしましたように、やはり限度数量というものがあって不足払い制度というものが成立しているのですから、これが無制限みたいな話になると、裏返しに言えば不足払い制度をやめるという話ですから、したがって、どっちに重点を置くかというと、私は、生産者の方は不足払い制度を置いてもらった方がいい、一割くらいのものは多少手取りが安くても九割のものが保証された方がいいという人の方が多いという原点に立って、今後酪農の安定的発展を図る方がいいのじゃないかという考えに立っておる、こういうことであります。
  134. 津川武一

    ○津川委員 もうこれで終わりますが、大臣、乳製品日本でできた材料、牛乳からつくるということを基本的な立場にして、そのふえた分だけ輸入を減らすという政策をぜひとるべきだということを強く強く指摘して、五十四年度は十万トン限度数量をふやしたというが、いま農民が一番問題にしているのは五十三年度なんです。これに対して再生産費が償われるようなかっこうの配慮をしていただくことを要請して、私の質問を終わります。
  135. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後一時二十三分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕