○八百板
委員 受け入れるための学校の施設とかいろいろな準備で制約があるというお話もございましたが、学校というふうに局限して
考えずに、
日本の全産業なり全機関がもっと幅広く受け入れる、こういう形で留学生、研修生の受け入れ体制を
考えるべきではないか、私はそういうふうに思うのであります。現に中国が
日本に留学を求めておる、
先ほど理工科系が多いというお話がございましたが、なるほどそういうこともそのとおりあらわれておると思います。
しかし、今日中国が国の建設の基本として取り組んでおりますのは、まず第一に農業であります。農業を基礎にしてその上に軽工業、重化学工業、こういうふうに順序をつけて着実にやっていこうというのがただいまの中国の
基本方針であります。そういう
意味から申しますると、
日本の農業の先進性に学んで、まず
食糧の完全なる自給体制をつくっていきたいというところに非常に強い中国の
要望があることは明らかであります。しかしながら、現実に、さてそれならば農業で
日本に学ぶべきものは何か、こういうことで中国の
立場をそんたくいたしますと、中国の今日求めておりまするのは、具体的な実際的な役に立つという学問と実践でありまして、そういう
意味合いにおいては、中国の研究者なり研修希望者なりがいまの
日本の大学なり研究所に入りましても、たとえば農業にいたしましても、
日本の学園の研究部門に入りましても、言ってみれば役に立たない、こういうふうな面がありありとあるように私は思うのであります。
日本の大学は、農業だってそうでありまするが、農業を一生懸命大学でやったって、後で農業につく人はありません。農という字のつく大学の問題を専攻いたしてまいりましても、後はレジャー部門の仕事についたり、まるまる
関係のない方面に行ったりしてしまう場合が多くて、実践に余り役に立たない、こういう農業の学校の現状であります。農業だけではありません。ほかの場面でも、大学でオーソドックスなアカデミックな基礎理論などを勉強いたしましても、それが果たして実社会とどういうふうに結びつくかというふうに
考えますると、
日本の大学の場合さっぱり役に立たない。役に立つのは、その人間が一応物を判断するとか物を勉強するとかというそのやり方、そういう
一つの能力を身につけたという程度のものであって、それが本当に実社会で役に立つためには、大学を出てから実社会の中で実践の問題に取り組んで、そして十年、二十年たってようやく何とか役に立つ、こういうふうな形の
日本の学校制度のように私は見ております。
そういうふうに見てきますと、いま中国が現実に求めようとしておる具体的な生産の発展に役立たせようとし、近代化の方向で
日本に学ぶという
立場で来ましても、
日本の研究室に入っても学んですぐに足しになるものではないという面が非常に多いと思うのであります。でありますから、十年、二十年たってやがて成果を上げるような基礎的勉強も、もちろん並行して必要でありまするけれども、現実にただいまの時点において役に立つ技能的な研修、実践的研修、こういうふうなものをいま非常に求めておる、これが中国の現状であります。そういう
意味から申しますと、のどから手が出るように
日本の農業に学びたい点はありまするけれども、これを学校に入って学ぶという形では目的を達成することができない、これが率直な今日の現状だと思うのです。
そういう
意味で、この留学生の受け入れにつきましては、基礎的な研究、学問の
分野でこれを受け入れると同時に、第一線の職場、農業の職場あるいは工場の職場でこれを受け入れて協力するというような
考えに立って、留学生、研修生というようなものに余りこだわらないで、大学を出た者を
日本の研究所に入れてどうするのだというふうに余りこだわらないで、実効のあるような
交流、留学の方法を
考えていくべきだと私は思うのであります。この点につきまして、
大臣もよく御存じなわけでありまするから、いままでの留学生を受け入れてきた型にとらわれないで、大学のどこにどうだからどうだというのではなくて、もっと広い
日本の職場、研究機関、大学、そうしたところでこれを受け入れるという幅の広い総合的な構想があってしかるべきだと思うのですが、こういう点について、
大臣はどんなふうにお
考えでしょうか。