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1979-05-22 第87回国会 衆議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年五月二十二日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 藏内 修治君   理事 唐沢俊二郎君 理事 小宮山重四郎君    理事 竹中 修一君 理事 村田敬次郎君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上原 康助君    理事 新井 彬之君 理事 吉田 之久君       逢沢 英雄君    稲垣 実男君       福田  一君    栂野 泰二君       八百板 正君    山花 貞夫君       市川 雄一君    鈴切 康雄君       柴田 睦夫君    中川 秀直君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      金井 元彦君  出席政府委員         内閣官房長官 加藤 紘一君         人事院事務総局         任用局長    長橋  進君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         行政管理政務次         官       粕谷  茂君         行政管理庁長官         官房審議官   中  庄二君         行政管理庁行政         管理局長    加地 夏雄君         行政管理庁行政         監察局長    佐倉  尚君         防衛施設庁総務         部長      奥山 正也君         防衛施設庁施設         部長      多田 欣二君         厚生省医務局長 佐分利輝彦君         運輸省航空局次         長       永井  浩君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    文田 久雄君         警察庁長官官房         企画審査官   森広 英一君         宮内庁長官官房         秘書課長    長門 保明君         北海道開発庁総         務課長     大橋  斉君         防衛庁長官官房         法制調査官   中門  弘君         防衛庁装備局航         空機課長    田中 守男君         経済企画庁長官         官房参事官   横山 太蔵君         科学技術庁長官         官房総務課長  谷口 光夫君         沖繩開発庁総務         局総務課長   関  通彰君         法務大臣官房調         査官      建持 忠雄君         法務省入国管理         局総務課長   関  栄次君         外務大臣官房書         記官      石垣 泰司君         外務省アメリカ         局安全保障課長 丹波  実君         大蔵大臣官房企         画官      高木 幸雄君         大蔵省主計局調         査課長     公文  宏君         大蔵省理財局特         別財産課長   高橋 公男君         文部省学術国際         局研究機関課長 齋藤 諦淳君         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 岡部 祥治君         厚生省社会局庶         務課長     吉江 恵昭君         厚生省社会局更         生課長     板山 賢治君         厚生省援護局庶         務課長     水田  努君         農林水産大臣官         房文書課長   高畑 三夫君         水産庁漁港部計         画課長     福地 辰馬君         水産庁漁港部建         設課長     木村 茂雄君         通商産業大臣官         房参事官    弘津 匡啓君         運輸大臣官房審         議官      西村 康雄君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部業         務課長     橋本 昌史君         運輸省航空局技         術部長     森永 昌良君         郵政大臣官房審         議室長     村田 一己君         労働大臣官房参         事官      田代  裕君         労働省婦人少年         局庶務課長   甘粕 啓介君         建設大臣官房文         書課長     松原 青美君         自治大臣官房総         務課長     大林 勝臣君         日本国有鉄道旅         客局営業課長  佐々木峻一君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ――――――――――――― 委員の異動 五月九日  辞任         補欠選任   宇野  亨君     金丸  信君   越智 通雄君     久野 忠治君   関谷 勝嗣君     瀬戸山三男君   塚原 俊平君     森   清君   森  喜朗君     中尾 栄一君 同日  辞任         補欠選任   金丸  信君     宇野  亨君   久野 忠治君     越智 通雄君   瀬戸山三男君     関谷 勝嗣君   中尾 栄一君     森  喜朗君   森   清君     塚原 俊平君 同月十日  辞任         補欠選任   柴田 睦夫君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   寺前  巖君     柴田 睦夫君     ――――――――――――― 五月十日  台湾残置私有財産補償に関する請願外三件(大  坪健一郎紹介)(第三三七九号)  同(辻英雄紹介)(第三三八〇号)  元号法制化反対に関する請願岩垂寿喜男君  紹介)(第三三八一号)  同(大原亨紹介)(第三四〇八号)  同(竹内猛紹介)(第三四三八号)  同(栂野泰二紹介)(第三四三九号)  同(小林政子紹介)(第三四九八号)  同(東中光雄紹介)(第三四九九号)  同(松本善明紹介)(第三五〇〇号)  元陸海軍従軍看護婦処遇に関する請願(新村  勝雄君紹介)(第三三八二号)  同(大原亨紹介)(第三四〇六号)  同(中川秀直紹介)(第三四〇七号)  同(小沢辰男紹介)(第三四三四号)  同外一件(亀岡高夫君紹介)(第三四三五号)  同(久保田円次紹介)(第三四三六号)  同(与謝野馨紹介)(第三四三七号)  同(愛野興一郎紹介)(第三四九〇号)  同外一件(伊藤公介紹介)(第三四九一号)  同外一件(石川要三紹介)(第三四九二号)  同(寺前巖紹介)(第三四九三号)  同(不破哲三紹介)(第三四九四号)  同外一件(福田篤泰紹介)(第三四九五号)  同(藤原ひろ子紹介)(第三四九六号)  同(三池信紹介)(第三四九七号)  旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願田川誠  一君紹介)(第三四〇九号)  同(稲垣実男紹介)(第三四二九号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第三四三〇号)  同(塚原俊平紹介)(第三四三一号)  同(村田敬次郎紹介)(第三四三二号)  同(森喜朗紹介)(第三四三三号)  同(逢沢英雄紹介)(第三四七四号)  同(宇野亨紹介)(第三四七五号)  同(越智通雄紹介)(第三四七六号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第三四七七号)  同(倉石忠雄紹介)(第三四七八号)  同(藏内修治紹介)(第三四七九号)  同(小宮山重四郎紹介)(第三四八〇号)  同(齋藤邦吉紹介)(第三四八一号)  同(竹中修一紹介)(第三四八二号)  同(中馬辰猪紹介)(第三四八三号)  同(塚田徹紹介)(第三四八四号)  同(中曽根康弘紹介)(第三四八五号)  同(野呂恭一紹介)(第三四八六号)  同(福田一紹介)(第三四八七号)  同(増田甲子七君紹介)(第三四八八号)  同(和田耕作紹介)(第三四八九号)  旧南樺太残置私有財産補償に関する請願(伊  藤宗一郎紹介)(第三四二八号)  重度戦傷病者に対する特別加給改善等に関す  る請願伊藤宗一郎紹介)(第三四七一号)  旧満州航空株式会社従業員恩給法令外国特  殊機関職員として指定に関する請願足立篤郎  君紹介)(第三四七三号) 同月十一日  元陸海軍従軍看護婦処遇に関する請願(中村  正雄君紹介)(第三五三一号)  同外二件(越智通雄紹介)(第三五三七号)  同(大坪健一郎紹介)(第三五三八号)  同(高沢寅男紹介)(第三五三九号)  同(竹中修一紹介)(第三五四〇号)  同(栂野泰二紹介)(第三五四一号)  同(田中伊三次君紹介)(第三五九五号)  同(宇都宮徳馬紹介)(第三六二三号)  同(金子みつ紹介)(第三六二四号)  同(鳩山邦夫君紹介)(第三六二五号)  同(藤田高敏紹介)(第三六二六号)  救護看護婦処遇改善に関する請願藤波孝生  君紹介)(第三五三五号)  同(大内啓伍紹介)(第三五九四号)  重度戦傷病者に対する特別加給改善等に関す  る請願伊藤宗一郎紹介)(第三五三六号)  有事立法及び日米共同作戦態勢強化反対に関  する請願竹内猛紹介)(第三五四二号)  元号法制化反対に関する請願外一件(山花貞  夫君紹介)(第三五四三号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第三五九三号)  旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願甘利正  君紹介)(第三五八八号)  同(大内啓伍紹介)(第三五八九号)  同(工藤晃君(新自)紹介)(第三五九〇号)  同(河野洋平紹介)(第三五九一号)  同(高橋高望紹介)(第三五九二号)  同(稻村佐近四郎紹介)(第三六二二号)  傷病恩給等改善に関する請願外一件(中曽根  康弘紹介)(第三六二七号) 同月十二日  有事立法及び日米共同作戦態勢強化反対に関  する請願松本善明紹介)(第三七四三号)  同(山原健二郎紹介)(第三七四四号)  傷病恩給等改善に関する請願宇野宗佑君紹  介)(第三七四五号)  同(武藤嘉文紹介)(第三七四六号)  旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願河村勝  君紹介)(第三七四七号)  同(古寺宏紹介)(第三七四八号)  元陸海軍従軍看護婦処遇に関する請願越智  伊平君紹介)(第三七四九号)  同(登坂重次郎紹介)(第三七五〇号)  救護看護婦処遇改善に関する請願外十件(倉  石忠雄紹介)(第三七五一号)  同外二件(佐野嘉吉紹介)(第三七五二号)  同(羽田孜紹介)(第三七五三号) 同月十四日  旧治安維持法等による犠牲者補償に関する請  願(中川秀直紹介)(第三九五一号)  同(柴田夫君紹介)(第三九五二号)  元号法制化反対に関する請願上原康助君紹  介)(第三九五三号)  元陸海軍従軍看護婦処遇に関する請願新井  彬之君紹介)(第三九五四号)  同(加地和紹介)(第三九五五号)  同(清水勇紹介)(第三九五六号)  同(山花貞夫君紹介)(第三九五七号)  救護看護婦に対する処遇改善に関する請願(新  井彬之君紹介)(第三九五八号)  救護看護婦処遇改善に関する請願外七件(塚  原俊平紹介)(第三九五九号)  同(瀬戸山三男紹介)(第三九六〇号)  傷病恩給等改善に関する請願稲村利幸君紹  介)(第三九六一号)  同(中曽根康弘紹介)(第三九六二号)  同(加藤紘一紹介)(第三九六三号)  台湾残置私有財産補償に関する請願後藤田正  晴君紹介)(第三九六四号)  同(瀬戸山三男紹介)(第三九六五号) 同月十五日  傷病恩給等改善に関する請願安倍晋太郎君  紹介)(第四一〇〇号)  同(愛野興一郎紹介)(第四一〇一号)  同(荒舩清十郎紹介)(第四一〇二号)  同(江藤隆美紹介)(第四一〇三号)  同(田中夫君紹介)(第四一〇四号)  同(地崎宇三郎紹介)(第四一〇五号)  同(濱野清吾紹介)(第四一〇六号)  同(藤本孝雄紹介)(第四一〇七号)  同外一件(山口シヅエ紹介)(第四一〇八  号)  同(山崎平八郎紹介)(第四一〇九号)  救護看護婦処遇改善に関する請願外二十七件  (安倍晋太郎紹介)(第四一一〇号)  同外二十四件(石橋一弥紹介)(第四一一一  号)  同(堀内光雄紹介)(第四一一二号)  同(三池信紹介)(第四一一三号)  同(山崎平八郎紹介)(第四一一四号)  旧治安維持法等による犠牲者補償に関する請  願(岩垂寿喜男紹介)(第四一一五号)  台湾残置私有財産補償に関する請願池田行彦  君紹介)(第四一一六号)  元号法制化反対に関する請願上田卓三君紹  介)(第四一一七号)  同外二件(上原康助紹介)(第四一一八号)  同(渡辺芳男紹介)(第四一一九号)  元陸海軍従軍看護婦処遇に関する請願(鯨岡  兵輔君紹介)(第四一二〇号)  同(兒玉末男紹介)(第四一二一号)  同(佐々木義武紹介)(第四一二二号)  旧満州航空株式会社従業員恩給法令外国特  殊機関職員として指定に関する請願野呂恭一  君紹介)(第四一二三号)  有事立法及び日米共同作戦態勢強化反対に関  する請願長谷川正三紹介)(第四一二四  号)  同(湯山勇紹介)(第四一二五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十二日  元号法制化促進に関する陳情書外八件  (第二二八号)  有事立法制定反対に関する陳情書  (第二二九号)  米軍機墜落事故による被災者の救済及び事故処  理の適正に関する陳情書  (第二三〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  附属機関地方支分部局等に関する規定整理  等に関する法律案内閣提出第五〇号)  許可認可等整理に関する法律案内閣提出  第五一号)      ――――◇―――――
  2. 藏内修治

    ○藏内委員長 これより会議を開きます。  附属機関地方支分部局等に関する規定整理等に関する法律案及び許可認可等整理に関する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  3. 上原康助

    上原委員 提案されております許認可等整理に関する法律案、それと附属機関地方支分部同等に関する規定整理等に関する法律案について、その内容と、またこの法案と関連のある事項につきまして、若干質問させていただきたいと思うわけです。  そこで、行政改革の問題は歴代の政府が絶えず強調してこられたことなんですが、私どもから見ますと、その進捗といいますか、あるいは内容というのがなかなか期待されるものになっていない感を受けております。もちろん、せんだっても長官から御指摘ありましたように、この行政改革の問題とか、いい意味での合理化といいますか、効率的政府運営というのは、総論においては賛成であるけれども、各論になるとなかなかいろいろ支障がある。また抵抗も強いというのも事実かと思うのですが、問題は、行政改革を進めるに当たって何を重点に進めていくかということと、国民の側、地域住民へのサービスの提供、あるいは行政措置迅速化ということがより重要視されなければいけないと私たち考えているわけです。  そういう点から、まず最初に、発足しました大平内閣行政改革に対する基本的な考えといいますか、いろいろ大平さん特有の、チープガバメントにするんだ、小さい陣容、小さい機構で大きな効果をもたらす、効率を上げるというような表現で、行政改革に対しても意欲的に取っ組んでいくというようなことをキャッチフレーズにしてきたわけですが、だんだんだんだん、おやりになっている内容というのは、何か非常にせせこましく、かつ当たりさわりのない行革をやろうという方向に後退をしているんじゃないかという感を深くしております。  そこで、官房長官もおいでになりましたので、大平内閣行政改革に対する基本的な姿勢といいますか、考え方というものについて、もう少し明らかにしていただきたいと思うのですが、この点につきましては、長官官房長官の方からひとつ明確にお答えを賜りたいと思います。
  4. 金井元彦

    金井国務大臣 大平内閣が昨年の十二月に発足をいたしまして、一月のたしか十六日だったと思いますけれども、閣議了解をもちまして行政の簡素、効率化についての決定をいたしたわけでございますが、組閣早々でありますし、しかも一昨年の十二月に福田内閣行政改革についてかなり広範にわたる閣議決定をいたしております。そこで、その方針というものを踏襲し、なお、それに若干のものを本年一月につけ加えて、これを進行させるという方策をとった次第でございます。  行政改革につきましては、御承知のように、機構に関するもの、あるいはそれ以外にいろいろな面にわたって行われますので、小さなものの積み重ねもあれば、あるいはまた骨組みを変えるという問題もあり、いろいろな面にわたっておる、こう存ずるのであります。  大平内閣といたしましては、行政改革について消極的な気持ちは全然持っておりません。積極的にこれをやっていこうという態度でありますけれども、ただ実行が伴わなければいけないということを強く考えております。したがいまして、実行の伴わないことをぶち上げるということでなしにいこうという態度でもって進んでおるわけでありまして、なお、行政改革につきましては、世の中情勢というものもだんだんに厳しくなっておりますし、また国民の要望も強いものがありますので、さらにこれを検討して打ち出したい、かような気持ちを持っておるような次第でございます。
  5. 加藤紘一

    加藤(紘)政府委員 ただいま行政管理庁長官がおっしゃいましたように、われわれ内閣といたしましては、行政改革重要性を十分に認識し、そして、先生御指摘のような後ずさり、後退ということを考えてはおりません。この問題は、現在の社会経済情勢、特に財政再建に対する国民皆さんの御理解を得るためにもきわめて重要な問題と考えておりますので、着実に一歩一歩、そして、言ったことは必ず実行できるようなそういうペースでしっかりとやっていきたいという政府方針に変わりはございません。
  6. 上原康助

    上原委員 おっしゃっているのは、あるいはそのとおりかもしれません。しかし、いまお二人の御答弁を聞いて非常に奇異に感ずることは、実行が伴うものでなければならない、当然そうですよ。言ったことは必ず実行する。言葉じりをとらえるわけじゃありませんが、そうすると、いままでの内閣は言ったことは実行してこなかった、また実行の伴う行政改革方針でなかった、そういうふうにも受け取れますね。  それでは具体的にお聞きしたいと思うのですが、当初チープガバメントにしていくんだ、安上がり政府というふうに訳すのか、いろいろあると思いますが、要するにチープガバメントですから安くて済む、余り費用がかからないということでしょうね、中身としては。しかし、これはだんだん指摘をされて、いま後退も何もしていないということの御答弁があったのですが、去る三月八日でしたか、参議院の予算委員会では、チープガバメントと言ったことは誤解を招いた、効率的な政府ということを言いたかったのが私の真意だったというふうに軌道修正をしたというふうに報道されたわけですね。  そこでチープガバメントということと、効率的な政府あるいは安上がり政府というのとは、具体的にはどう違うのですか、大平さんのお考えというものは。この点に関する解明はまだないですね。
  7. 加藤紘一

    加藤(紘)政府委員 予算委員会総理みずからお答え申し上げたとおりでございまして、それでわれわれが考えております行政改革及び簡素、合理化、こういうものをどういう形で表現したらいいのかということでいろいろ迷っておったことは事実でございます。そしてその中で当初チープガバメントという言葉もいろいろ出てまいりましたけれども、テープということですと、訳語だけがひとり歩きいたしまして、そして何にもやらない内閣がいいことなのではないかという発想にとられがちだということも心配として出てきたことも事実でございます。  それで当初アダム・スミス以来の夜警国家という考えというふうにとらえられていたところもあったわけでございまして、その時代といまとは違うのだ、やらなければならないことはきちっとやっていかなければならぬのだ、しかし、それを効率的にやっていかなければいかぬのだというのが私たち真意でございまして、そういう意味では、やはり効率化と言った方が、より国民皆さんから御理解得られるのではないか、誤解を招かないのではないかということで、効率的な行政という言葉というものが、より適当であると思ったことは事実でございます。したがって、私たちの本意とは、精神は一つも変わっておりません。
  8. 上原康助

    上原委員 そうしますと、ここで余りこういう表現とかでやりとりしたくありませんが、問題は行政改革に対する大平内閣基本姿勢の問題だと思うのです。効率的政府ということとチープガバメントというのは同義語的に理解していいのですか。効率的政府運営というのは、具体的にはどういうことを行政改革の中、政府行政運営の中で生かそうとしておられるのか、それを私は聞きたいわけです。  やるべきことはやらなければいかない、これも当然の理屈ですよ。具体的には行政改革の中で効率的政府運営ということ、あるいはさっきおっしゃいました行財政の再検討、今日的経済状況にマッチをした政府運営のあり方ということ、概略で言うと、即それが行政改革に求められている基本なんだと思うのですよ。その中身と、今後、そういうことに対して具体的にどういうことを着実に大平内閣はやっていかれようとするのか、それがまだまだきわめて不明確なんですね。その点、もう少し明確にできますか。
  9. 金井元彦

    金井国務大臣 チープガバメントという言葉に対しまして、こういう質問が出たわけでございます。安上がり政府あるいはチープガバメント、こういうことによって、できるだけ金を使わないということで福祉等をも減すんでなかろうかというふうな疑問を出されたのでありまして、いやそうではないんだ、やるべきことはちゃんとやっていくんだ、ただし、やるについては効率的にむだのないようにやっていくんだ、こういうことで表現を変えたといいますか統一したといいますか、そういうことであります。今後、さような見地に基づきまして、世の中の動きに応じまして、時代的に見てこれを改革すべきものは改革をしていく。とにかく常にフレッシュで簡素、しかも効率的な行政運営をやっていく、また機構にいたしましてもさような考えに沿っていくような機構に必要なものは変えていく、改廃をする、かような考え方であるというふうに御理解をいただきたいと存じます。
  10. 上原康助

    上原委員 まだちょっと釈然としませんが、少し議論を進める中でお尋ねを続けていきたいと思うのです。  そこで、だんだん時間がたつにつれて当初の意欲というか意気込みから後退をしてきたのじゃないのか。もちろん、私は行政改革をがむしゃらにやれという立場で言っているわけじゃないのですね。冒頭申し上げましたように、国民サービスというものあるいは公務員の立場、仕事に対する意欲、そういうものを総合して行政改革というもの、行政機構というものは考えていかなければいかないという立場でとらえているわけですが、そこで、一つには御承知のように、福田内閣時代昭和五十二年の十二月二十三日でしたか、「当面する厳しい内外の諸情勢にかんがみ、行政合理化効率化を図るため、差し当たり下記の措置を講ずるものとする。」ということで、「行政改革の推進について」という閣議決定を見て、これに基づいて行革を推進しようとしてこられたわけですね。  その中で中央省庁の再編統合といいますか、やれ住宅省をつくるんだとかあるいはエネルギー省の設置をやるんだというふうに相当大きく行政改革断行というものをぶち上げて、恐らく先ほどの御答弁はそういった福田内閣時代のぶち上げと実際にやってみようとしたらなかなかうまくいかなかった、だから、その轍は踏むまいということで、できるものから、実行可能なものからというふうに慎重な態度にならざるを得なかったと思うのですが、今回、大平内閣になって、五十四年一月十六日に「行政の簡素、効率化の推進について」ということで、しかも、これは閣議了解ですね。このことはすでにほかの委員会でも議論もなされているわけですが、閣議決定閣議了解という面から見ても、私はやはり行政改革に対する基本姿勢という面で大平内閣の場合はかなり慎重さといいますか、後退をしてきている点は見逃せないと思うのですね。この違いはどこにあるのか。なぜ福田内閣時代に出された閣議決定そのものを受けて、閣議決定ということで行政改革を推進をしようという方針は出せなかったのか。  出せなかった理由、また出すべきでなかったということであるならば、福田内閣時代閣議決定として出されたものは的確でなかったのかどうか。そういうことも含めて、国会に対しても国民に対しても明らかにしていただかないと、そのときどきの政府の、何か一つの政策というか政治姿勢のアドバルーンみたいに打ち上げて、実際は具体的な成果は期し得なかったということになると、行政改革についてはますます混乱を招くおそれはないのかどうか、そういうことについて、もう少し明確にしておいていただきたいと思うのです。
  11. 加藤紘一

    加藤(紘)政府委員 いま先生の御指摘は、福田内閣時代においては閣議決定があったではないか、大平内閣の場合には閣議の了解ではないか。そこで、慎重であるのはわかるけれども、ある意味では後退したのではないか、こういう御指摘だったと思います。  結論から申しますと、私たち行政改革を積極的に進めていかなければならないという意思については、後退はございません。そうして、了解と決定につきましても、双方とも行政各部を拘束するという意味において違いはないのであって、結論的には、私たちの意気込みに違いはない、こう考えております。もちろん、閣議決定というのは機関としての決定でございますが、了解の方も、行政各部の統一保持等の理由で、各行政機関の意思を統一し、そして拘束していこうということでございますので、その点だけで私たち内閣の意思が後退したとおとりいただいては残念だと思います。  内閣としては、この行政改革というのは、先生冒頭におっしゃいましたように、総論賛成で各論反対の大変むずかしい問題であるということを人一倍意識しておるつもりでございます。そして、そのむずかしさを意識しながらも、人一倍やらなければならぬというふうに覚悟を固めておる次第でございます。
  12. 上原康助

    上原委員 これもお尋ねするまでもないのですが、もちろん、福田内閣時代より大平内閣になってから行政改革に対する姿勢後退をしたとか、あるいはそういうふうに言われるというのは心外だという、そのお気持ちはわかりますよ。また、そうですとお答えしないでしょうね、私だってあなたの立場に立つと、そうは言わないと思う。しかし、閣議決定閣議了解は明らかに違うわけでしょう、閣議全体を拘束する、政府全体を拘束するあり方としては。それは同じですか。
  13. 加藤紘一

    加藤(紘)政府委員 細かな法解釈の問題になるかもしれませんが、機関としての意思を決定するのは決定であり、そして了解の方は、行政各部の意思の統一を図っておかなければならないということでのものであるという意味においては、若干のニュアンスの差はあろうかと存じておりますが、行政各部を拘束するという意味では、その力においては大きな違いはないと考えております。
  14. 上原康助

    上原委員 閣議の決定と了解がどう違うかという法的見解まで論争しても余り意味がないかもしれませんが、われわれとしては、了解ということと閣議決定でなされたということとは、政府の意気込みというか、意欲というか、あるいは国民に与える印象としては大きな違いがあるということを指摘をしておきたいと思いますし、また、そういう法律に詳しい方々がお書きになっているものを参考にしても、閣議決定事項と了解事項には差異があるんだということになっているわけで、ここいらにも何か行革に対する——どういうふうに行政改革というものをとらえてやっていこうとするのか、その都度内閣のキャップの政治姿勢とか、あるいはこの性格というか、個人的な性格によって行革問題が左右されるということはあってはいかぬと私は思うのです。その点も指摘しておきたいと思うのです。  そこで、逐次法案の内容に入ってみたいのですが、今回の出されている法案二つを見て感ずることは、政府行政運営を縦割りというか、あるいは各所管大臣なり長官などの権限を拡大をしていくことにどうも重点が置かれている感がしないでもないわけですね。そういう意味では、私たちはこの種の特に附属機関、地方支分部局にかかわる件については、基本的には法律事項であるものを政令なり省令に格下げというか、委譲するということには賛成しかねます。  そこで、先ほども申し上げましたが、たとえば福田内閣時代決定事項がいろいろありますね。行政改革計画事項というもの、五十二年十二月二十三日に決定をされて、先ほど引用しましたそういった行政機構あるいは定員管理、特殊法人、審議会、補助金のあり方、行政事務、地方事務官制度、地方公共団体に対する件、こういうこと等について具体的にどういう成果を挙げたのか、進捗状況がどうなっておって、それが行政改革の一環として具体的にどういう成果を挙げ、どういうふうに皆さんの計画というものが推進をされてきたのかどうか、この点まず明らかにしていただきたいと思うのです。
  15. 加地夏雄

    加地政府委員 一昨年の閣議決定をやりまして、その後、先ほどお話し申し上げましたように、一月十六日にさらに追加した形で閣議了解をやったわけであります。  御質問の、一昨年の閣議決定の実施状況について簡単に申し上げたいと思いますが、まず、五十二年の閣議決定に基づきまして、法律事項に関する問題といたしまして国会に御提案を申し上げました法律案が六件でございます。この六件の法律につきましては、御案内のとおり四件は昨年の通常国会で成立をいたしまして、今国会に継続審議で現在審議を煩わしていただいておりますのが二件でございます。さらに、この一月の閣議了解に基づきまして、ただいま御審議をいただいております二件、これを御提案申し上げまして、全体として八件の法律案をお願い申し上げておるわけであります。  それ以外に法律改正を要しない事項につきましては、五十三年度予算に具体的に計上できるものは措置をいたしまして、着実に実施をやってまいっておりますけれども、法律改正を要しない事項についての御説明を申し上げますと、まず一つは、「中央省庁の課、室、官等の整理、」これを全体として五%、二カ年にわたって整理をするということでございましたが、この課、室、官の整理は、五十三年度、五十四年度を通じまして五十一の整理は達成する予定でございます。  さらに、出先機関の問題といたしまして支所、出張所等約一千カ所の整理というのがございますけれども、これは五十三年度末に約六百、さらに五十四年度におきましては三百を整理することを予定いたしておりまして、あと百カ所が五十五年度以降に繰り越されるということでございます。さらにこの一月十六日の閣議了解では、追加した形で附属機関につきまして六省庁十二機関の合理化を進めておるわけでございます。五十四年度以降着実に実施をやっていきたいということでございます。  定員につきましては、御案内のとおり現在第四次の削減計画、二万八千人の削減という計画が進行中でございますけれども、五十三年度におきまして六千六百人、それから五十四年度におきまして四千八百人、着実に削減を実施いたしておるわけであります。  そのほか特殊法人につきましては、五十三年度以降合理化予定法人十一法人の中で九つの法人につきましては現在合理化を実施中でございまして、あと二つの法人につきましては今後の課題に残されているという状況でございます。  それ以外に、御承知のように特殊法人につきましては役員の退職金の二割のカットの問題でございますとか、政府事業の合理化、五十四年度におきまして国鉄で五千人、林野庁で九百人、アルコール専売事業で四十人、こういう形の定員の削減を実施いたしております。  そのほか補助金の整理あるいは事務の合理化ということも実施いたしておりますけれども、補助金につきましては、五十三年度におきまして千二百二十二億円、五十四年度予算におきましては千二百七億円を廃止、減額する予定にしておるわけであります。そのほか補助金の事務手続の改善等につきましては、全体の見直しを進めまして、着々と実施をいたしておるわけであります。  一昨年の閣議決定並びにこの一月の閣議了解に盛り込まれた事項についてのこれまでの実施状況は、以上申し上げたとおりでございます。
  16. 上原康助

    上原委員 いま大体御説明ありました。今年一月十六日に閣議了解して追加をされた分までの大まかな説明があったのですが、これらの諸計画の実施状況あるいは進捗状況、昭和三十九年の臨時行政調査会の答申以降現段階までずっと行政改革が進んでいるわけですが、現在までのその進捗状況を総合して言うと、どの程度進捗しているのか。また当初計画が出されてから今日まで積み残されてできなくっているのはどういうものなのか、この点も明らかにしておいてください。
  17. 加地夏雄

    加地政府委員 臨時行政調査会の答申をいただきましたのは三十九年でございまして、これを政府部内で具体的に行政改革という形で取り上げましたのが四十二年から四十四、五年にかけてでございます。その趣旨を受けましてそれぞれの行政改革を進めてまいったわけでございまして、具体的に申し上げますと、たとえば特殊法人の整理という形で申し上げますならば、当時九つの特殊法人の整理を実施いたしておるわけであります。その後、五十年になりまして特殊法人全体についての見直しをやりまして、十八法人を取り上げて、その整理合理化を進めてまいったわけでありますけれども、それが実は一昨年の行政改革の中に取り込まれて、先ほど申し上げたような実施状況でございます。  したがいまして、過去の行政改革全体を通じて申し上げますならば、政府方針として取り上げた改革事項につきましては、もちろんその時点、その時点におきます予算に計上した問題もございますけれども、何年かフォローしながら着実に実施に移していったというものもあるわけでありまして、おおむね政府方針どおりに実施をしてまいったというふうに考えております。
  18. 上原康助

    上原委員 われわれには必ずしもそうは思えないのですがね。いろいろ資料なども出されているのですが、行政改革の措置は全体計画についてはまだ六八%あるいは七〇%程度の進捗状況じゃないんですか。どうなんですか。
  19. 加地夏雄

    加地政府委員 行政改革で取り上げます問題は、御承知のように非常に広範な問題でございまして、先ほどは特殊法人についての例を申し上げたわけでございますけれども、行政機構、定員、特殊法人、その他行政事務とか補助金とか非常に広範な問題がございます。御質問の具体的なお答えとして、たとえば臨時行政調査会で答申のあったものについてその後政府部内で実現状況はどうかということに限って申し上げますと、臨調答申の具体的な事項全体で五十の中で完全に実施をいたしたものが十一事項であります。それから一部実施をいたしましたものが二十九事項、合わせまして約四十事項。ですから、約八割は何らかの形において実現をしたということでございます。たとえばその中で実現をしていないものが約二割、十ございますけれども、この中にも、その趣旨に沿って関係法律案を現実に国会に御提案申し上げたけれども成立を見なかったものとか、そういうものもあるわけでありまして、全体としては八割の実現状況になっておろうかと存じます。  あと具体的な細かい点についてはずいぶんございますので、全体としてのそういう答弁で御了承いただきたいと思いますが、もしあれでございましたら、個々の問題についても御答弁申し上げたいと思います。
  20. 上原康助

    上原委員 それともう一点、課、室、官等の整理の具体的な状況ですね。これはどういうふうに進められてきたのか。実際に課なり室の整理といいますか統合、まあ統合もあるでしょう、あるいはポストを含めて、皆さんが進めてこられた実態というのはどういう内容になっておるのか、これも明らかにしておいていただきたいと思います。
  21. 加地夏雄

    加地政府委員 課、室、官の整理につきましては、先ほどお答え申し上げましたように中央省庁における課長クラスのポスト、全体として五%を二年間に整理をするということで、その数が五十一でございました。その五十一につきまして、五十三年度におきまして三十三、この五十四年度予算におきまして十八の課、室、官を整理するということで、これはほぼ予定どおりに実施することになっております。  具体的にどういう形で廃止をするのかということでございますが、それは各省庁におきまして、全体のそういった課、室、官の見直しをやっていただきまして、事務の統合でございますとか縮小でございますとか、そういう形を通じて課、室、官の廃止を実施いたしておるわけでございます。
  22. 上原康助

    上原委員 私がお尋ねしているのはそういう内容のものではなくて、課、室、官の実際に廃止されたポスト、課長とか室長とかいうのではなくて、むしろほとんど官というのが多いわけでしょう。どうしてそうなるのかということをお尋ねしておるわけですよ。
  23. 加地夏雄

    加地政府委員 課、室、官五十一の整理の中で、確かに御指摘のように、五十三年度におきましては、官と申しますか、課という組織よりも官の廃止が多うございました。ただ、五十四年度に参りましては、相当、課の廃止も出ておるわけでありますけれども、なぜそういう形になるかということは結局、先ほど申し上げましたように、各省がそれぞれの課、室の持っている業務を全体として見直しをいたしまして、そういう業務の性格とか内容につきまして十分検討した上でその廃止する課、室、官を選ぶ、こういうことになりますので、結果として課、室、官の整理の中で官のウエートが高いという形になっておるわけでございます。
  24. 上原康助

    上原委員 説明としてはわかりますが、これも確かにむずかしい面もあろうかとは思いますが、果たして行政改革にそういう形でつながるかどうか、非常に疑問を持たざるを得ませんね。  そうしますと、五十四年度の十八というのは、課になるわけですか。
  25. 加地夏雄

    加地政府委員 五十四年度の場合で課をつぶす例を申し上げますと、通商産業省の場合のたとえば産業政策局の商務課とか運輸省の情報解析課とか郵政省の国際業務課あるいは労働省の統計情報部の管理課、こういった課の廃止があるわけでございます。
  26. 上原康助

    上原委員 なぜそういうことを一、二の例として取り上げたかといいますと、行政改革をやるのだ、あるいは安上がり政府運営にしていくのだ、人員は極力抑えるのだと言いながらも、実際は何とか当たりさわりのないところだけを手をつけていく。これはいろいろ支障はあると思います、私もわからぬわけじゃありません。そういう行政改革なり人員の見直しというだけで果たしてうまくいくのかどうかという疑問を持たざるを得ないわけですね。そういう面が今日までずっと続けられてきているのじゃないのか。課長ポストというのは減らせない、室も減らせない、参事官なら何とかできる、そのくせ問題の一般職の職員については非常に合理化をやっていく、こういう姿勢であってはいけないのじゃないでしょうかね。その点の指摘をしておきたいわけです。
  27. 加地夏雄

    加地政府委員 多少議論めいた話になって恐縮でございますが、先生の御指摘のようなことがもしあるといたしますと、それは一つは、そういった改革のやり方が手法としていいのか悪いのか、こういう問題になるわけでございます。もともと行政改革の手法にはいろいろございますけれども、いまのたとえば課、室、宮の整理の場合でいきますと、いわば各省に一律で割りつけるわけでございます。本来、御指摘のように行政改革を進める場合には、その課なり室が持っておる業務そのものの見直しをやりまして、その業務そのものがなくなる場合に廃止をする、そういう業務整理が先行いたしましてそれに基づいて組織なり定員が動いていく、こういう方法をとるべきだろうと思うのでございます。  ただ、現実問題としてそういう形ばかりでも行政改革は進みませんので、いわゆる一律論という形でそういった課、室、官の整理をやる場合があり得るわけであります。これはやはり一つの手法としてやむを得ない方法でもございますし、それによって全体としての行政機構が縮小するという効果が上がればそれも一つの方法であろうかというふうに考えておるわけでございます。
  28. 上原康助

    上原委員 次に、五十四年度の中央計画監察等の予定計画というものが策定されているわけです。これも盛りだくさんの行政監察をして、その上でさらに改革をやっていこうということだと思うのですが、これの実際の実施がどうなっているのか、ここに、計画に盛られていることが五十四年度中に十分可能なのかどうか、考え方と現段階における計画の進捗状況あるいは年度末における実施調査のまとめがどうなっていくのか、明らかにしていただきたいと思います。
  29. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 五十四年度の中央計画監察予定計画についてでございますが、今年度は全部で十四本の監察、調査を予定しております。それで、私どもの方では、これを四半期ごとに割り当てて実施していくという方法をとっております。これは予定計画でございますけれども、各四半期ごとに実施してまいることは、毎年ほぼそのとおりになっております。ただ、緊急に調査なり何かを実施する場合には若干予定が狂う場合もございますけれども、ほとんどそういうことはなく毎年やっておりますので、このとおり実施されるものというふうに考えております。  なお、監察は御存じのとおり、いろいろ調査をしまして、行政の実態を踏まえまして分析し、判断していくわけでございますので、その後で取りまとめにつきましては、若干時間がかかるものもあるわけでございます。でございますので、第一・四半期、第二・四半期と順次実施してまいりまして、それぞれの監察なり調査なりというものは取りまとめの段階に入りまして数カ月かかるというのが普通のやり方でございます。
  30. 上原康助

    上原委員 そうしますと、この五十四年度計画としておつくりになったものについては、今年中で十分監察をやって、その結果をまとめることができる、実現可能だということですか。
  31. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 おおむねそのとおりでございます。ただ、まとめる場合に、たとえば第三・四半期、第四・四半期といったようなものは取りまとめが来年度になるというふうにお考えいただきたいと思います。
  32. 上原康助

    上原委員 その結果によって、行政改革なりあるいは先ほどから若干議論があったこと等についてどのような影響があるとお考えですか。
  33. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 その点につきましては、監察あるいは調査の中身によっていろいろございますけれども、必要に応じて各省庁には、当然私どもの結果について勧告すべきものは勧告し、所見表示をするものについては所見表示をしておくという措置をとるわけでございます。さらに、必要に応じて、財政の問題であれば大蔵省当局等にそれぞれ連絡をして、行政改革に資するように努めているわけでございます。
  34. 上原康助

    上原委員 次に、許認可事項についてちょっとお尋ねしておきたいのですが、現在、許認可事項というのはどのくらいの件数あるのか。一説には一万八千件もある、あるいは二万件もあると言われているのだが、一体どのくらいの件数になっているのか。
  35. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 許認可等と一口に申しましても、いろいろな種類がございますし、非常に多岐にわたっておりますので、この総数を把握するということは、そのとらえ方により、把握の仕方によって非常に違うわけでございます。それで、ただいま先生御指摘の数字等いろいろな数字があるわけでございますけれども、私ども、ちょうど一万ぐらいじゃないかというふうに考えております。この数字は、五十二年十二月に、先ほどから議論になっております閣議決定の際に各省庁が把握をした事項数を集計しますと、大体一万という数字が出ております。そのほか、三十九年の臨時行政調査会のときの数字、あるいは第一次の昭和四十三年の行政改革計画のときの数字等、いろいろ食い違った数字がございます。  ただ、それぞれたとえば国民生活に、国民生活と申しましても、個人も法人もあるわけでございますけれども、そういうものを規制するのを主としてとらえた数字とか、あるいは各省庁内の報告類までも全部含めた数字とか、いろいろな性質の数字が入ったり出たりしておりますので、若干食い違っておりますけれども、現在私どもは、先ほど申しましたように、五十二年十二月に各省庁の把握したものを集めました約一万というふうに考えております。
  36. 上原康助

    上原委員 約一万、あるいはもっとあるのじゃないかと思うのです。  行政管理庁長官、これだけ許認可事項というのが膨大な数に上っているわけですね。そこで、そういうものの許認可を受けるに、地方自治体との関係もあるし、地方支分部局との関係もある、あるいは中央官庁との関係もある。その一万件の中で、中央の許可、認可を得なければいけないのはどのくらいなのか。あるいは地方支分部局段階でできるもの、場合によっては地方自治体との関係、地方でできるものもあるでしょうね。おおむねその分類はされているのですか。そこに非常に行政の繁雑さがないかどうか。
  37. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいまの数字でございますが、これは国民の権利義務と申しますか、そういうものに関係の深いものということで集めたのが大体約一万。それで許認可を行使しております権限でございますけれども、地方公共団体あるいはブロック機関等に委任されているものもございますので、その詳細については、ちょっと現在のところ把握しておりません。そういう実情でございます。
  38. 上原康助

    上原委員 それはおかしいのじゃないですか。そういうものを詳細に把握をしないでは、許認可事項の簡素化というもの、あるいは行政改革——まさにそれこそ手がけるべき問題じゃないでしょうか。地方にもっと権限の委任をするとか、中央官庁の許認可を受けるようなところまでしないでも可能なものがたくさんあると思うのですね。  だから、われわれから見ると、そういうものを具体的に調査をして、国民なりにその便宜を図って行政の簡素化をしていく、事務的繁雑さを少なくしていく、そういうことが本来の行政改革あるいは国民が求めていることだと思うのですね。はるばる地方から中央に来て、一々書類を何カ月か前に出して、係長から課長補佐、課長補佐から課長部長あるいは局長、事務次官、大臣というふうな、そういう官僚機構のあり方というものについての研究というもの、簡素化というものが大事じゃないかと思うのだが、その実態数を把握してないということはおかしいのじゃないですか。
  39. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 先生の御指摘、全くそのとおりだとわれわれも考えております。ただ、何分にも数が多くて、それからいろいろ変わってまいりますということで、なかなか把握が困難な場面がございますけれども、各省庁と協力して、いま御指摘の点をよく把握するように努めてまいりたいと思います。  なお、権限の委譲、中央官庁にある権限をブロック機関もしくは県知事等に委譲するというような場合がございますけれども、権限の委譲は、必要なものはできるだけそのようにやっていくように努めているわけでございます。
  40. 上原康助

    上原委員 全くそのとおりなら、少し真剣におやりになってみたらどうですか。これだけ行政の簡素化とかいろいろおえらい方々が言う割りには、実態が伴ってないということだ。権限の委譲をやりなさいといったら、法律事項であるものを政令に下げたり省令にしたり、そういうことだけが権限の委譲じゃないと思うのですよ。いろいろな許認可事項をやるのに、各地方からあるいはブロックに、また中央にという繁雑さを省いてもっと簡素化をして、国民に便宜を与えていって行政効率を上げるという、まさにそれが大事な点じゃないのかということ、その点はいつかも指摘したことがあるのですが、いまだに実態さえ把握されていない。  だから、われわれは皆さんが国会の場で答弁なさることをなかなかそのままストレートというか、素直に理解できない面があるということを指摘しておきたいと思いますので、この件については早急に実態把握をする。そうすれば、公務員の皆さんだって書類づくりの、要らぬ仕事までやる必要はないと思うのです。その分をもっとほかの面に行政サービスをやれば手間暇が省けるのじゃないですか。これは長官のお考えを少し明らかにしておいてください。
  41. 金井元彦

    金井国務大臣 ただいまお話しのとおりの考え方に基づいておるわけでございますが、調査の点において遺憾な点があった、こう存じますけれども、できるだけそういう手間を省くということの趣旨のもとに努力をしておるという点は、御理解をいただきたいと存じます。
  42. 上原康助

    上原委員 これとの関連でもう一つは、許認可事項の場合、もちろんその設置するあるいは認可をしていく法律事項、規則事項、いろいろあると思うのですが、その一定の基準ですね。そういうものも統一的なものというか、設置をする場合にはどういう基準で設置をするのだ、あるいはどういう手順を踏んでやるのだというのは、もちろんそれは個々のケースによっていろいろ違ってはくると思うのだが、これもいまのところばらばらですね。ある面では、中間企業が入ってますます複雑にして、その面でいろいろな手数料をもらっている、こういうケースがたくさんあると思うのだ。この点はどういうふうに簡素化をしていこうとしておられるのか、今後の改善方、お考え方を聞かしておいていただきたいと思います。
  43. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいまの許認可等の新設の話でありますけれども、これにつきましては、新設はなるべく抑制措置をとる方がいいのじゃないかということで、昭和四十四年七月十一日の閣議決定行政改革計画に、これは第二次でございますけれども、検討事項の一つとして取り上げられております。それで、その関係機関で検討の結果、四十七年の六月三十七日に閣議口頭報告ということで、許認可等の新設抑制についてという項目の中で、各省庁における自律的抑制をやっていく、二番目に予算定員等の審査を通ずる抑制、それから三番目に根拠となる法令等の審査を通ずる抑制、こういうことを極力やっていこうじゃないかということになっております。  それからどういう基準かというお話でございますけれども、整理をしていくという基準が臨時行政調査会の改革意見において示されております。それで新設する場合にも、各省庁はそういうものを参考にして判断基準にしているというのがやり方の実情でございます。  ただ、新設について、どこか一カ所で新設を見ていて把握して、やっていくということではございませんので、若干把握が困難な面があろうかとは存じております。
  44. 上原康助

    上原委員 いまの件につきましても、もう少し十分な設置基準とかあるいは各省庁ばらばらじゃなくして、もちろんそれはなかなか容易でない面もあると思うのですが、統一的な設置基準、考え方というものをぜひ検討していただきたいと思います。  そこで、いま幾つか指摘をしながら、今度の法案の内容というものと従来のいきさつ、経緯というものを少し取り上げてみたのですが、冒頭申し上げましたように、特に附属機関、地方支分部局の場合に、従来法律事項であったものを政令に委任をする、そういうことがずっとこの法案が提案されるたびになされてきているわけですが、本来、法律事項であるものはやはり国会の審議権、あるいは安易に機構を廃止をしないという面で、省令にするとか政令にするというようなことは慎むべきだと思うのですね。  これはもう指摘をするまでもないのですが、たとえばかつて第一回国会においては、労働省設置法案の審議の過程においても、部局等については省内において部局の所掌事務の一部を変更することができる、要するに大臣権限ですべてやろうというようなことに対して、そういうことはよくないということで修正案が出されているわけですね。やはり行政府の部局だから政令に委任してもよろしいということは言えない。立法機関の責任を果たす意味でも、そういうことについては法律事項にすべきだということが明確にされている。  その後、そういう原則の上に立って国家行政組織法もできましたし、またその改正案を、あれはたしか四十六年ですが、提案されたのだが、廃案になったいきさつがある。だが、行政の簡素化ということで、だんだんそういうところだけに力を入れてきているきらいがなきにしもあらずなんですね。この点については、最初申し上げましたように、私たちはやはりにわかに賛成するわけにはいかない。もちろん必要性のあるものもありますよ。したがって、今回のこの法案の内容というものは、政府が一方的にやりやすいような機構のあり方というものを考えようとしている。そういう意味では、たとえば大臣権限なり、国会の審議権というものがないでできるということになると、逆に機構が膨張する、拡大されていくおそれもあると思う。こういうことについてはどういうふうにお考えなのか。国会のコントロール権の問題。  もう一つは、国民の必要なものが設置され、不必要なものが果たして廃止されていくのかどうかという問題ですね、政令に移行した場合に。  そこで、具体的な面としては、建設省もおいでいただいていると思うのですが、この法案の中にはほかにもたくさんありますよ。法務省関係についても問題があると私たち見ているし、とてもでないが全体を触れるわけにはまいりませんので……。建設省の場合にしても、当然単独の建設省設置法の一部改正案を出すべきだったと思うのですね。すでに国土地理院とかあるいは土木研究所、建築研究所、三つですかね、これについては実態的には筑波に移転をしているようですね。だが、この法案の中でしかこれらの改正案も出されていない。まあ紛れ込んだという言い方は悪いかもしれませんが……。本体はまだ移転はしてないでも全体的には移転をしているかっこうになっている。これは実際はどうなっているのですか。
  45. 松原青美

    ○松原説明員 いま御指摘の私の方の国土地理院、土木研究所及び建築研究所でございますが、筑波地区の施設が概成いたしました。約九〇%の進捗率でございます。各機関ごとに筑波地区に筑波分室を設置いたしまして、逐次職員と物品の移送を終わりまして、現在ほぼ分室の整備が完了した、こういう段階でございます。
  46. 上原康助

    上原委員 建築が完了して、実際にあそこに人も移転しているわけでしょう。そこはどうなんですか。
  47. 松原青美

    ○松原説明員 先ほど御説明申し上げましたように、筑波に筑波分室というものを設置いたしまして、現在活動を開始いたしておるわけでございます。  これはちょっと御説明さしていただきますと、筑波地区でほぼ施設が、先ほど申し上げましたように九〇%の概成を見た、新しい大型の実験施設も整備されてきたわけでございます。特に研究者としましては、このような施設を用いた新しい研究に早急に着手したいという希望が非常に強い、私どもも、せっかくこういう新しい施設が整備され、早くから十二分に活用をいたしたい、こういうことが適当ではないかと考えたこと。  もう一つは、あるいは私的なことで恐縮なのでございますが、職員の子弟の教育上の問題が非常に大きな希望としてございまして、三月末から四月の初めの、新規入学をする児童を抱えている家庭とか、いま現在、小中学校に行っている家庭にとっては新しい学期から子供を新しい学校に通わしたい、こういう希望が非常に強かったものでございます。  そういうことから、私どもとしましては、御指摘のように建設省の設置法は改正されておりませんで、この問題との調整について考えまして、建設省設置法のたてまえを崩さずこれを調整するにはどうしたらいいかということで、筑波分室を設置いたしまして、筑波地区におきます業務を開始いたしたわけでございます。  このような事情でございますので、ひとつ御了承願いたいと思います。
  48. 上原康助

    上原委員 私は、移転に反対しているのじゃないのですよ。あなたのお名前が松原さんだから、「原」が入っているから同情するわけじゃないのだが、ぼくはそのことは必要性は認めているんだよ。この間の厚生省設置法の場合も、厚生大臣は前科二犯ですと言ってここでわびた。法律を改正しない前に移転をやった。移転そのものの必要性なり、もう受けざらができているから、四月一日という年度のこともあるから、そういう事情はようわかる。そういう必要性があれば、単独法でも出して間に合うようにやるのがやはり皆さんの国会に対する一つ姿勢じゃないといけませんな。そのことを指摘しておきたいのですよ。  こういう法律にみんな包含をして、こんな膨大なもの、よっぽど気をつけて見なければわかりませんよ。できてしまってからしまったと言っても、皆さんは手をたたく、それじゃいかないのじゃないかと言っている。行政管理庁長官。これがたくさんあるのですよ、本当にもう。  だからうっかり法律事項を、行政簡素化だから、あるいはそういったやり方が行政上都合がいいからというだけで国会の審議権というものを無視した——無視するおつもりはないかもしれないのだが、結果的には無視されて、どんどん機構というものが安易に運営されていく、統廃合されていく、そのことはやはりおよしになった方がいいだろうということを言っているのです。しかも、この法案は四月一日からやろうというのに、三月十六日にしか内閣委員会に付託されていませんよ。できるはずはないじゃないですか。あなたはもういいですよ。行政管理庁長官、どうお考えですか。こんなことはよろしくないですよ。このほかにもたくさん例はあります、建設省を例に挙げましたがね。
  49. 金井元彦

    金井国務大臣 このたびの附属機関等の法案につきまして、私どもの考え方は、現在ありますところの設置法に基づく決め方が、物によりまして非常に区々になっておるわけであります。たとえば位置につきまして、あるものは省令で決まっておるし、あるものは法律で決まっておるというふうに、非常に区々になっておるのは御承知のとおりであります。それで、これを統一をいたしまして、駅の軽重に応じて法律あるいは政令、省令、こういうふうに整理をいたそうというのがその目的であります。  先ほど御指摘がありましたように、過去の設置法に関する経緯のあることも承知をいたしておりまして、国家行政組織法を変えるということでなくして、組織法で決まっておる範囲内においてさような整理をいたす、こういう考え方でやっておる次第でございます。したがって、国会の審議権を狭めようとかなんとか、さような考え方は毛頭持っておらない次第でございます。
  50. 上原康助

    上原委員 これはあなた、大臣が国会の審議権を狭めるような法案を出しましたと言う人がいますか。結果的にそうなるんじゃないかという心配、そういう心配というよりもそういうことが拡大をされてきておる事実を私は幾つか指摘しているわけで、だからわれわれは、この法案にはにわかに賛成できません。  そこでもう一つ。きょうは防衛庁呼びませんでしたが、防衛庁の場合にもいろいろあるんだよ、シビリアンコントロールの面から。防衛二法は審議の入り口もないかもしれませんが、そのときにもまた指摘をいたしますが、そういうことが随所に出てきているということを指摘をしておきたいと思うのです。  したがって、さっきも申し上げましたが、こういう行政改革をやるに当たって、確かに今日の国民行政あるいは政治、財政に対する意見などから、われわれも全く行政改革なり、いわゆるそこで働く職員なり労働者の立場というもの、意見というものもよく聞いた上での合理化といいますか、機構の統廃合、整理というのは必要性は認めますよ。ただ、上から権力的にやるというのは、これはまかりならぬことで、そういう意味では、国会の審議権というものを十分尊重してもらいたいということ、また、いまのようなやり方で行政機構改革につながる結果になるのかどうかという疑問を持たざるを得ないわけですね。  今回のこの支分部局の問題等は、ある意味では行政組織法の地方版の改悪ですよ。昨年の農林省設置法のとき、営林局の問題などもいろいろ出ましたね。そういう意味では、あれだけ修正されたものだから、今回そういう農林省の場合はその面は尊重されている。だから、横並びといっても、統一性、画一性がいいとは言わないが、そういう面も欠けているわけだ、皆さんは横並びをしている、統一性をとりたいと言っているのだが。だから、抵抗の強い方はそのままにしている、ちょっと油断するところはどんどん思うようになっていくというおそれがあるということを指摘しておきたいと思うのです。  こういうものについて今後法案を提出なさる場合に、もっと慎重に検討をすべきだと思うのですが、この点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  51. 金井元彦

    金井国務大臣 行政機構改革等につきましては、これはなかなか影響が大きいわけでありますので、私どもも慎重にやっておるつもりなんでございます。今回のことにつきましても、決してただやりやすくするという単純な考え方でなくして、やはり物事は同じようなウエートのものは同じようなやり方でいく、こういうふうにすることが正しいのじゃないか、こういう考え方で組織法の範囲内における整理をいたそう、かような考えであることを御理解いただきたいと思います。
  52. 上原康助

    上原委員 そこで、いま指摘をしましたことについては、われわれももっと関心と監視をしたいと思うのですが、特に政府の方でも御配慮をいただきたいと思います。  時間の都合もありますので、次に進みますが、行政改革をする場合も定員法は動かさない、いろいろ言われているのですが、また機構の場合だってビルド・アンド・スクラップというか、そういう立場でやるのだと言いますが、一点、きょう大蔵省は呼びませんでしたが、行管の方にお尋ねをしておきたいのですが、一般消費税を導入するとなると、国税庁の職員を大幅に増員をしなければいかないという報道がなされましたね。一説には八千人も必要だ。そうすると、これは消費税そのものも問題なんだが、行政改革という面からも、皆さんのこれまで言ってこられた論理、理屈とは違うわけですね。ここいらの検討は行政管理庁ではなされているわけですか。  また、仮に消費税導入をすると、国税庁職員が新たに八千名ぐらい必要だ。いまの定員法では、皆さんの言い分では、いろいろこれも問題はありますが、これは人勧あたりのところで議論をしてみたいのですが、まだ五千六百人ぐらいの余裕があるので、八千人となると、それを抑え込めば大体いけるのだというような検討がなされているとかいないとかいうお話なんですが、この点について、一般消費税導入問題と行政改革あるいは定員法との関係については、行政管理庁ではどのように御検討なさっているのか、きょうは見解だけをお聞かせいただきたいと思います。
  53. 金井元彦

    金井国務大臣 一般消費税の問題につきましては、まだ内容的に固まっておらない点が多々あるようであります。なおまた、徴税人員がどのくらいかかるかということについても、まだ私どもは聞いておりません。ただ、大蔵大臣の言うところでは、できるだけ徴税人員はかけないようなやり方でやりたい、こういうことを言っておりますので、私どもはもう少し内容がコンクリートになってから検討を加えたい、かように存じておる次第であります。
  54. 上原康助

    上原委員 しかし長官、そんなことができますかね。どういうことをなさるか、これは十分関心を持っておきたいと思うのですがね。  次に、週休二日制の問題を人事院にお尋ねしておきたいのです。これもいろいろな経緯があるわけですが、大平総理も何かせんだってアメリカに行かれて、小さい口元をぱっちりあけたのかわかりませんが、この週休二日制を本腰を入れてやりたい、日本人の働き過ぎということ、あるいはウサギ小屋の話もあったかもしれませんが、今度は本気で週休二日制を導入していくということのようです。私は、以前から週休二日制は、これは社会の趨勢であり、当然必要があるのだ。むしろ、いろいろ批判する向きもありますが、公共部門といいますか、銀行とか郵便局、そういう面を含めて先導的にやるべきだという主張をやってきたわけですが、実際問題としてどうなんですか。週休二日制問題については、今度の夏の人事院勧告のときに勧告を出されるのかどうか。
  55. 金井八郎

    金井政府委員 職員の週休二日制をどういうふうに進めていくか、方策をどういうふうに決定するかということにつきましては、先般試行が終わりましたが、その試行の結果を慎重に分析検討いたしますし、さらに関係機関との調整ということも必要だと思いますので、そういうことを経て決めていきたいというふうに現在考えております。  現在のところ、大部分の試行結果の報告をいただいておりますので、それについての分析検討をし始めたところでございます。したがいまして、今後、週休二日制につきまして勧告するかどうか、あるいは内容をどのようなものにするかということにつきましては、この検討を経た上で決定されるというふうに考えております。その結論的な時期と申しますと、これらの分析検討に要する期間等も考えますと、例年行っております夏の給与の報告の時期が大体一つの目安になるのではないかというふうに現在考えております。  それから、仮に勧告した場合の週休二日制の内容、形態につきましても、いま述べましたような検討を経て決めることになるわけでございますけれども、いままで二回試行を行いましたその形態が四週五休制ということでございますので、いろいろこれから検討はしなければなりませんけれども、大体そういうことが一つの目安になるのではないかというふうにも考えております。  以上でございます。
  56. 上原康助

    上原委員 そこで、いま申されましたように、人事院ではそういう調査をして、民間における実施状況なり、すでにまた試行も二カ年以上やってきている。その結果が夏の人勧で勧告になるのか、あるいは意見になるのかわかりませんが、行政管理庁長官、週休二日制問題というのは、これは単なる人事院の問題だけじゃないと私は思うのですね。行政改革問題との関連も十分あると思うのですよ。  一説に何か、住民サービスの低下は来さない、人員は増員しない、政府の窓口は従前どおり運用します。まるで手品みたいな話だね、これは。それができればそれにこしたことはないかもしれませんが、要するに、土曜日は休むのが社会の通念だ、そういう方向に日本の社会構造というか、経済構造も行政運営していかなければいかない段階に来たということを、まず政府がその基本を明確にして、国民に対しての協力を求めない限り、これはできないと思うのですね。  そういう意味では、ある面では増員をせざるを得ない面、あるいはまた、若干の行政サービスが一時窓口が閉められたりして御不便を感ずる面もあるかもしれないのだが、そのことは一時的なことであって、全体的にうまく運用されていった場合には、週休二日制が十分可能なんだという確固たる指針というものを、この際政府全体、行管あたりで出さないと、私は、週休二日制というのは、いまのように政府がきれいごとを言っておったらできないと思うのですよ。これはどうなんですか。この件に対しては、もう少しはっきりした基本方針といいますか、考え方というものを、この際明確にすべきでないのかどうか。
  57. 金井元彦

    金井国務大臣 御指摘のように、何もかもうまくということは、これはできない相談でありまして、それは、ただ言葉だけのことになろうか、こう思います。大きな流れといたしまして、週休二日制というのは大勢であろうかと思いますけれども、それにはただいま御指摘のように、いろいるな面における調整なり、また特に国民理解を求めるというふうな措置がなされなければいけないんじゃないか、私はかように考えておりますので、さような多面的な調整というものを考えた上で実施に移すということが適切でないか、かように考えております。
  58. 上原康助

    上原委員 ちょっと余り歯切れがよくないのですが、では人事院にもう一遍お尋ねしておきたいのです。  人事院としては四週五休制というんですか、そういうことをお考えになっておられるのか、それとも、もう一遍念を押すようで恐縮ですが、夏の給与勧告の段階において、この週休二日制の問題については、はっきりした勧告なり意見書というものをお出しになるのか。その場合も従来から主張したように予算あるいは定員をふやさず、四週間に一回休みとするとか、あるいは職員が交代制で休み、官庁は閉めない、開庁方式ですね。そうなると、やはりアンバランスがまた出てくると思うのですね。  特に厚生省、看護婦、医療機関とか、あるいは法務省の刑務所、そういった面の職員は、現在でも四十八時間拘束されている。当然そういう職員に対しても時間を短縮していくとか、場合によっては増員もやむを得ない、週休二日制を実行していくには。その意味では、本気でやろうとすると予算も若干増加する面もあるんだということにならざるを得ないと思うのですね。(「チープガバメント」と呼ぶ者あり)テープどころか、頭でっかちのチープガバメントだ。  そういう点について、これは今後の給与問題の議論で、いろいろ定年制問題等も出てきますから、あるのですが、もう少しそこいらを明らかにしていただけませんか。
  59. 金井八郎

    金井政府委員 先ほども申し上げましたように、今後の施策として週休二日制の形態をどういうふうにするかということは、いま検討を始めたところでございますので、これから決めることでございますけれども、過去二回の試行は四週五休制でやっておるということでございますので、それが一つの目安という意味で先ほど申し上げたわけでございまして、なお、民間におきます週休二日制の導入された際のいろいろの事情であるとか、そういうことももちろん参考にしながら考えておりますが、公務員の場合は、国民生活に密着した業務というものを非常に多く抱えております。そういうことで、行政サービスを急激に変えるということは、国民大方の納得という点から見ましてもなかなか問題があろうということでありますので、できるだけそういう点を避けながら導入すべきだという立場で、そのために過去二回試行もお願いしたわけでございます。  そういうことでございますので、御指摘の予算定員の関係につきましても、過去の試行におきましては、全体として予算定員の増高を来さないような形で週休二日制の試行をやろう、こういうふうに政府にも要請したわけでございますので、これは先ほど申しました民間で週休二日制を導入した際にも、生産性の向上であるとかあるいは勤務時間意識の高揚であるとか、そういうようなことを中心に導入されていたわけでございまして、そういう意味では、安易に定員等を増加させればいいんだというわけにはなかなかいかないという面があることは確かでございます。  したがいまして、これらのことをいろいろ各方面からの御意見もございますし、いろいろむずかしい問題もございますけれども、これから二、三カ月の間に、そういう点につきまして鋭意検討を進めまして、結論を出したいというふうに考えております。
  60. 上原康助

    上原委員 それと直接は関連ありませんが、もう一つ、定年制の導入問題が最近非常にクローズアップされてきたような感じがするのですが、この件はどのように御検討し、今後どういうふうに——仮に定年制を制定といいますか、実施していくということになると、どのような手順でやっていかれるのか、この点も今後の議論の材料としてひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  61. 長橋進

    ○長橋政府委員 定年制につきましては、昨年二月、総務長官から貴意を得たいという書簡をちょうだいしまして、すでに一年以上たっておりますので、結論を得次第、人事院の考え方というものを公的に明らかにしたいというふうにいま一生懸命作業をしておるところでございます。  その内容等につきましては、いままとめの段階に入っておりまして、これからいろいろ具体的な詰めをしなければならぬということで、具体的にこの内容を申し上げる段階ではございませんけれども、なるべく急ぎまして、早く結論を出したい、このように考えております。
  62. 上原康助

    上原委員 その場合に、定年制問題で内容を急ぐということですが、公務員法二十三条に基づいた意見ということになるのか、あるいは二十八条の情勢適応の原則というような立場での勧告ということになるのか、もしいまの段階でお答えいただければ、お聞かせをいただきたいと思います。
  63. 長橋進

    ○長橋政府委員 公務員法のどの条文を根拠にして公的な見解を明らかにするかということは、いま検討しておるところでございますけれども、これは私見でございますけれども、やはり新しい制度をつくるということでございまして、既存の勤務条件というものを改善するというようなことは若干ニュアンスの違いがあるのではなかろうかというふうに考えております。したがいまして、ただいま御引用されました公務員法の二十三条とか二十八条ということを対比して考えますと、どちらかと言えば、二十八条の発動ということについてはやや消極的な考え方を持っております。しかし、いずれにしましても総務長官から書簡をいただいておりますので、それにお答え申し上げるということがまず第一にしなければならぬことではないだろうかというように考えております。
  64. 上原康助

    上原委員 参考にしておきたいと思います。  そこで、人事院にあと一点だけ確かめておきたいのですが、公務員の年金制度の改正法案が出されて、いろいろいま審議が進められつつあるのですが、問題点が多いように感じております。どうして人事院は、この公務員の退職年金の改正法案が政府から出される前に、——国家公務員法の言七条なりあるいは百八条には、退職年金制度についての規定がございますね。これは労働条件の一環として年金制度というのが設けられて、その内容の変更なり改定がある場合は、当然人事院はこの法律の趣旨に沿った意見なり見解というものを明らかにして、法案改正というものもやるべきだったとわれわれは思うのですが、これがなされなかったいきさつなり、どういう御見解を持っておられるのか、この点、ちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。
  65. 長橋進

    ○長橋政府委員 せっかくのお尋ねでございますけれども、所管が違いますので、責任ある答弁をちょっと留保させていただきたいと思います。
  66. 上原康助

    上原委員 給与局長のようですから、ひとつ給与局長に私からそういう指摘があったということを伝えて、次のときにまたお答えください、いいですね。——しかし、そのくらいのことは、任用局長でも十分お答えできるのではないですか。むずかしいことをお逃げになってはいかぬよ。——わかりました。その点は留保しておきます。  そこで、最後に沖繩開発庁を呼びましたので、行政改革の問題との関連で、沖繩開発庁の機構のあり方について少しお尋ねしておきたいと思うのです。これは行政管理庁もぜひお聞き取りをいただきたいのです。あと防衛施設庁と外務省においでいただきましたが、時間の都合でそこまで入れないかもしれませんので、そのときはひとつ御勘弁をお願いしたいということをここでお願いしておきたいと思います。  私がなぜ開発庁の機構を若干問題にするかといいますと、御承知のように、沖繩開発庁のもとに総合事務局が設置されておって、農林水産、運輸、外務、建設等々の各省庁の出先機関を総合しているわけですね。これは他の官庁には例のない唯一の総合事務局として存在しているわけですが、果たしてその設置目的に沿った運営がなされているのかどうか、疑問を持つわけです。  同時にまた、総合事務局長は、各省庁の行政、特に許認可の権限等について、それぞれの主務大臣の指揮監督を受けなければならないことになっていると思うのですが、このことと、沖繩の振興開発に関する総合調整という本来の目的を達成するためにどう関連づけられているのか。どうも縦割りの行政になっておって、名前だけが総合事務局あるいは開発庁であって、十分機能を果たしていないのではないかという感じを持っているわけなんです。したがって、各省庁の大臣の権限の範囲というものを沖繩開発庁長官にもっと移譲するとか、それを受けて総合事務局長の権限を強化をするとか、そういう意味で総合調整能力、機能というものを充実していく必要はないのかどうか、この点について開発庁は、現在どういうふうにお考えになっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  67. 関通彰

    ○関(通)説明員 ただいま先生からお話がございましたように、沖繩開発庁の出先、沖繩総合事務局は、数省庁の地方支分部局が一つの組織になっているという、最近の地方支分部局の形としましては、大変ユニークなものと言えるのではないかと考えております。  復帰以来七年たっているわけでありますが、その間沖繩は、特に他の地域に比べまして密度の高い振興開発事業を実施いたしてきております。開発庁といたしましては、各省にまたがる振興開発事業は、できるだけ一元的に事業間の総合調整ができるように努力してまいったところでありますし、またそれが、開発庁の組織がつくられましたねらいであったかと思っております。七年の事業を振り返ってみますと、もしこれがばらばらの組織であったときに比べますと、それなりの成果は上げてきているというふうに私ども考えておりますし、また、平素仕事をいたしておりまして、各分野の業務の調整というのは、一番意を用いているところでございますし、今後ともさらに総合調整には努力してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  68. 上原康助

    上原委員 総合調整に努力をするというのはわかるのですよ。実際過去七年、そういう面で支障がなかったのかどうかということを聞いているわけで、本当は皆さん、各省庁に頭上がらぬと言っては失礼ですが、どうにもならぬ状況になっているんじゃないか、いま縦割り行政だけでいって。総合調整能力というのが果たし得ない段階にあるんじゃなかろうか。沖繩開発庁をなくしなさい、不必要だということを言っているわけじゃありませんが、そういう機構のあり方ではいかぬじゃないかということなんですね。どうなんですか、そこいら。
  69. 関通彰

    ○関(通)説明員 復帰後の沖繩におきましては、先ほどもちょっと触れましたように、本土に比べまして非常に密度の高い振興開発事業を実施いたしておるわけでございます。開発庁の主要な業務であります振興開発事業の調整につきましては、農林水産省あるいは運輸省、建設省、多省庁にわたります業務の調整を、それなりに成果を上げてきているというぐあいに考えております。  先生の御指摘にございますように、行政はかなり広範な分野にわたっておりまして、その間の連絡調整につきましては、私ども今後もっと努力をしなければいけないというぐあいに考えて、努力しておるところでございます。
  70. 上原康助

    上原委員 これは大臣にお尋ねした方がいい事項なんで、きょう開発庁長官お見えになっていませんので、なかなか事務段階でお答えしにくいかもしれませんが、たとえばいまあなたも御答弁ありましたように、総合事務局内の各部長というのは、ほとんど各省庁から出向した役人さんで占められているわけですね。各行政は縦割り行政になっている。これは法律上もそうなっているわけで、いまの機構上ある程度はやむを得ないと思います。だから、その許認可事項も各省庁と直結しているわけで、沖繩開発庁とは無関係になされている面が多いわけですよ、行政管理庁長官。これじゃいかぬと思うのです。やはり開発庁なら開発庁の出先の総合事務局長が所掌して、そのことを開発庁本庁にも、あるいは各省庁にもいろいろ報告をする、また指示も仰ぐということでなければ、総合調整能力は出せないのじゃないですか。実際問題、そうなっていないのです。  それはほかにもたくさん例があります。たとえば総合事務局の公取室が行った、せんだって私、沖繩北方対策委員会で取り上げたんですが、ガソリン価格に関する強制立入検査の報告書は、公正取引委員会だけに報告されて、開発庁の場合には、本庁にも来なければ総合事務局にもなかった、こういう状況なんですね。一事が万事とは言いませんが、この種の例というのは多いわけですよ。これでは総合調整能力は果たせないんじゃないですか。せっかく機構はできて、権限もあるにはあるかもしれませんが、縦割り行政というものを重視をし、そういうしきたりになっているがゆえに、本来の目的が果たせない、達成できないという状況になっているわけですね。こういうことについても、行政管理庁はやはり管理というか監察をする、あるいはまたいろいろやる権限があるわけでしょう。これはどうお考えですか、改善をする意味で。
  71. 金井元彦

    金井国務大臣 これは研究課題だと存じますので、ひとつ研究さしていただきます。
  72. 上原康助

    上原委員 研究課題もいいですがね、沖繩開発庁設置法ではこういうふうにうたわれているわけです。第三条に「任務」というのがあって、第四条で「所掌事務及び権限」というのがある。これはずいぶんたくさんあって、九つ挙げてありますが、その三で、「振興開発計画の実施に関し、関係行政機関の事務の総合調整を行なうこと。」さっきから、やっている、やっているということは言っているわけですが、どうもそれが十分なされていないと私は思う。  それで第六条では、「沖繩開発庁の長は、沖繩開発庁長官とし、国務大臣をもつて充てる。」二項、「沖繩開発庁長官(以下「長官」という。)は、沖繩開発庁の所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、説明その他の必要な協力を求めることができる。」三項、「長官は、特に必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、振興開発計画の実施に関する重要事項について勧告し、及びその勧告に基づいてとった措置について報告を求めることができる。」かなりの権限は、一応法律上、この設置法では与えているわけですね。  では、これまで沖繩開発庁は、この第六条の長官権限を行使するというか、生かして、本当にそういうことを、行政の中なり振興計画の中でやってきたかというと、私は疑問を持たざるを得ない。さっき取り上げたガソリン価格の問題しかり、深刻になっている雇用、失業対策しかり、戦後処理のいろいろの未解決問題も、政府全体の連絡協議会がそういう対策委員会を持ってやれと、国会で厳しく言うと、検討します、努力いたします、やっていますと言うんだが、なかなか成果としては出ていない。これは総務課長、どうなんですか。具体的に私がいま引用した条文に基づいてやった過去の実績なり具体的なケースがあれば、ひとつ明らかにしていただきたいと思うんですよ。恐らくないんじゃないかね。
  73. 関通彰

    ○関(通)説明員 ただいま先生から御指摘ございました条文の、長官の勧告という形をとったことはこれまでございませんが、各省庁に報告を求める、あるいは意見を述べるということは、詳細な問題を含めますと、実は通常の行政でかなり頻繁に実施しているわけでございます。  具体例で申しますと、特に振興開発事業の場合、年度当初各省庁が振興事業の計画をつくります早い段階で、局長あるいはさらに上の段階で各省庁との密接な連絡をとっているわけでございます。表立った予算編成前に連絡をとっております。  また、雇用問題につきましては、御指摘がございましたように、沖繩の非常に重要な問題でございまして、直接長官、労働大臣等ともかなり、私が承知しておりますだけでも数度にわたると申し上げられると存じますが協議をされておりますし、また労働省はそれに応じていろいろな施策をお立ていただいているというような実情でございます。
  74. 上原康助

    上原委員 さっき金井長官、検討課題としてということでしたが、いま私が引用した条文を見てもかなりのことがやろうと思えばできると思うのですね。だから、それは最初のころは大分意欲はあったと思うのですよ、こういうこともやろうと。しかし、だんだん時がたつにつれて、なれっこになったといいますか、実際に与えられている権能というものを生かし得ない緩みがあるんじゃないかという気がして、これはいずれまた議論をいたしますが、こういうことを着実に遂行、推進していかないと、これは沖繩開発庁無用論がまた出ますよ。予算のときに総合調整するのは、これはほかのお役所だってあたりまえのことなんで、常時こういうことをやるのが行政の本来の姿勢でなければいかぬと思うのですね。  特に、これだけいろいろ問題があるのです。私がいま言った、境界不明土地問題とか旧軍が接収した土地問題あるいは市町村つぶれ地の問題とか対米放棄請求権の補償問題、交通変更に伴う営業補償の問題等々、こういうことは沖繩開発庁単独でできないものであるならば、当然長官権限を行使をして各省庁に資料も出しなさい、あるいは重要事項については勧告を求める。その勧告に対してまたどういうふうにやっておるのか、勧告を求めることもあるし、勧告することもできるわけですね。その勧告に対してどういうふうな結果になったのか、管理庁長官は報告をやれと言うこともできるわけなんで、これをやらないことがおかしいと私は思うのです。  同時に、総合調整能力ももっと出先の方にも与えてもらいたい。出先の方は全然知らずにみんな東京だけに高い旅費を使っていろいろ陳情、要請をやっている。これじゃ行政の簡素化にもならないし、これはチープガバメントになりませんよ。むだ遣いになる面も多いと私は思う。こういうことについてもう一度行政管理庁長官の、これは閣議でもこういう問題等についてはもっと御検討をいただいて、やはり政府のあらゆる機構の実態ということとどう運用されているのか、どういうふうに大臣なり長官の権限というものが行使され、そのことが国民なり住民にどのように好影響を与えたサービス行政というものがなされているかを、やはり行政管理庁長官はもっと監督をせねばいかぬと思うのですよ、単なる検討事項じゃなくして。これだけ指摘すると、こうしなければいかないというお考えが当然あると思うのですが、聞かせていただきたいと思います。
  75. 金井元彦

    金井国務大臣 私、具体的なことをよく存じませんが、ただいまの御指摘を承っておりますと、この機関の存在がプラスになっておるか、マイナスになっておるかという面につきましても、研究をよほどしてみなければいかぬのじゃないか、こういう感がいたします。さような意味におきまして、沖繩開発庁の問題につきましては、十分ひとつ検討さしていただきたいと存じます。
  76. 上原康助

    上原委員 なかなか慎重のようですね。  次に、まだ時間が残っていますから、最後に、これは予定のきょう質問したいことでしたので、この法案とは直接は関係はないのですが、いろいろこれまでのいきさつがありますから、緊急問題ですので、防衛施設庁、お見えになっていますから、それと外務省にちょっとだけお尋ねしておきたいと思うのです。  実は本委員会でも私、もうすでに取り上げましたし、またこの間沖繩の復帰の日に当たる五月十五日には施設庁長官にもお会いをして、いろいろ事情も聞いたのですが、例の五月二日に発生した金武村伊芸における砲弾の破片落下事故の原因というものがまだ究明されてないわけですね。解明されていない。解明されていないにもかかわらず、さらにその後照明弾が二発、住民地域にというか、いわゆる基地の外に落下をした事件が相次いで起きている。だから軍事演習が非常に激化をしているんで、原因究明を早急にやると同時に、この種、住民に被害を与える危険の大きい事故については少なくとも即時やめなさいということを再三言ったのですが、そういうことも政府はやろうとしない。現在の段階はどうなっているのかということを簡単に……。  それと、先日私が施設庁長官にお会いしたときには、先週いっぱいで那覇施設局が調査をしていることについては発表するということを言っておられたのだが、これもまだなされていない。これをうやむやにするということは絶対にいかないと思うのですね。そんなミステリアスのことではいかないと思うんだ、この事故は。簡潔にひとつお答えをいただきたいと思います。
  77. 奥山正也

    ○奥山政府委員 ただいま先生御指摘の件でございますが、事故発生以来、防衛施設庁といたしましてもその原因の究明につきまして鋭意努力を重ねておるわけでございまして、ただいまその調査の段階も最終的な段階に入っておるわけでございますが、今週末には局からもその調査結果を聴取いたしました。さらに東京におきまして専門家等の意見も聴取し、それを取りまとめまして、いまのところ来週早々ぐらいにはその結果を公表できるのではないかというつもりで進めておるわけでございます。
  78. 上原康助

    上原委員 だんだん延びるのじゃないですか。先週いっぱいと言って、また今週になったら来週と言う。何でそんなに時間がかかるのですか。  それと、われわれは、これはどう見たって米軍の演習による破片だと思うのですが、それ以外考えられない。その点については、防衛施設庁はどうお考えなんですか。アメリカ軍の演習による破片落下なのか、あるいはそうでないという確かな証拠があるのかどうか。そこを含めてお答えください。
  79. 奥山正也

    ○奥山政府委員 この事故は本当に不可思議な事故でございまして、私どもも——要は、米軍の方はその発見の前後三十分ぐらいの間は演習はしてなかったというふうに言っております。そういうこともございまして、それではこの破片がどうしてそこにあったのかということを究明すべきであろうかと思います。いろいろ物理的、技術的な面から究明をいたしておるわけでございます。  まず、二百三ミリの飛び方、それから弾痕があるかどうか。それからその着弾いたしました場所から、もし仮に飛び散ったものといたしますれば、それがどうして飛んだのであろうかというようなことを調査しておるわけでございますが、おくれました理由は、航空写真を撮りまして現場を撮影しておるわけでございます。目下沖繩は天候が悪うございまして、飛行機の飛ぶ時間が制約されました結果、その写真のでき上がりが遅かったというのが、大きなおくれました原因でございます。  以上でございます。
  80. 上原康助

    上原委員 そうしますと、今週いっぱいには調査結果がまとまるということでございますね。
  81. 奥山正也

    ○奥山政府委員 今週中に局から調査の結果を持ってまいりまして、東京におきましてもその結果をさらに検討いたしまして、来週早々にはまとめたいと思っておるわけでございます。
  82. 上原康助

    上原委員 それと、皆さんは絶えず、当日五月二日のその時間帯、十時半から十時四十分くらいの間は、米軍は演習をしてなかったんだということを言っているから、アメリカの砲弾の破片ではあるけれども演習による破片じゃないんだ、これもおかしな言い回しですよね。  それでは、五月一日、二日、三日、米軍はどういう演習をやって、どういう砲弾を撃っておったのか、時間を含めてその確実な資料を提出してもらいたい。それはできますね。
  83. 奥山正也

    ○奥山政府委員 ただいま御質問ございました件を含めまして調査中でございますので、正確な時刻でございますとか、そういうものも調査をいたしたいということでやっておるわけでございます。
  84. 上原康助

    上原委員 ですから、アメリカがその時間帯に砲弾を撃っていなかった、演習していなかったということの証明がいまのところはないわけでしょう。アメリカがそう言っているから、ロビンソン調整官の報告によって、そうなっているわけだ。それじゃわれわれは納得できないのですよ。五月二日を重点に、一日、二日、三日、どういう内容の演習を行って、どういう砲弾を撃っておったのか。その時間帯も種類も全部資料を提出してもらわなければいかぬわけです。それはできますねということなんですよ。
  85. 奥山正也

    ○奥山政府委員 調査の結果に基づきまして、これは米軍の演習でございますので、米軍とも調整をいたしまして、可能ならば提出させていただきたいと思います。
  86. 上原康助

    上原委員 可能ならば提出じゃ納得できませんよ。では、アメリカが隠しておったらわからないじゃないですか。それは提出してください。  それと、あと二、三分ちょっといただきますが、もう一つ、これとの関係もあるのですが、外務省も来ておられると思うので、お尋ねしておきたいのですが、最近、非常に演習が激化をしたということと、したがってキャンプ・ハンセンあるいはキャンプ・シュワブの演習場のあり方そのものが問題じゃないかということなども指摘をして、私は、明らかに不適格な基地だ、しかもアメリカの演習の中身あるいは使用する砲弾の性能といいますか、そういうのもだんだんよくなっているというか、いろいろなあれがあると思うので、そういう面では再検討をする必要があると思うのですよ。そのことはわれわれが言っている再検討とは大分違うような感じがするわけです。  西銘知事は盛んに県議会などで、基地使用協定を締結するのだ、その使用協定の内容については現在政府、米軍、県の三者間で話し合いを続けている、使用協定によって被害を防止していくことができるということを言っているわけですが、私は非常に疑問を持っているのですね。  現在、その使用協定を結ぶために政府、県、米軍間で話し合いがなされているのかどうか。なされているとすれば、どういう話し合いをしているのか。また、こういう使用協定を県と締結することができるとすれば、どういう根拠に基づいてなされるのか。この点だけは、きょうのところお答えをいただきたいと思います。
  87. 丹波実

    ○丹波説明員 お答えいたします。  その基地使用協定、確かに先生言われるとおり、実は私新聞などでは読んでおるのでございますけれども、県知事が具体的にどのようなことを考えておられるのか、ちょっと承知しておりませんで、この点、実は県知事があした外務省に来られて問題提起されると承知しておりますので、お話をよくお伺いして、どういうことを考えておられるのかを承知した上で、外務省としても沖繩県民の御心配を少なくするためにできることがあれば、していきたいと考えております。  ただ、基本的には、御承知のとおり基地の使用のあり方というものは、合同委員会を通ずる政府間の協定で決まっておりますので、そこでその三者間の協定と言われるところがちょっとよくわからないので、お話をよくお伺いしてみたい、こういうふうに考えております。
  88. 上原康助

    上原委員 施設庁はこの件について、いまのお答え以外に何か申し入れがあったのですか。
  89. 多田欣二

    ○多田政府委員 お答えをいたします。  私どもの知っている範囲で申し上げますと、知事さんは昨年就任以来、使用条件の改定と申しますか、そういうことについて強い御要望をお持ちだということはよく承知をしております。最近に至りまして、知事さんは、いわゆる現地の県あるいは那覇防衛施設局、現地米軍、三者の間で演習場の使用をめぐるもろもろの問題についていろいろ協議をしたいという御要望をお持ちのようでございます。この点につきましては、現地の意向を把握したり、あるいは演習場の安定使用というような面で大変有効だと思いますので、私どももできるだけ御協力をしたいという感じで、現在那覇防衛施設局と県との間でその協議会のあり方等について打ち合わせをしている、こういう状況でございます。
  90. 上原康助

    上原委員 もう終えますが、大体わかった。協議会と言ったら、アメリカも施設局も政府も一緒にコーヒー飲みましょうというのは、これはよくあることなんだよ。たまにはお酒飲むかもしらぬし、皆さんは。それを言っているんじゃないんだ。私もさっき外務省が言うとおりだと思うんだ。私もロビンソン調整官に会いましたが、盛んにこういうことを言っているのだが可能かと言うと、いや五・一五メモ、政府間の合意事項があるから、そんなことはとてもできません、その範囲の話し合いならやりますということが基本姿勢なんだ。それをあたかもできるように言うから、私も疑問を持って改めて政府の見解を聞いてみた。そんな器用なことができれば、あなた、基地のそんな被害なんかとっくに出るはずがないじゃないですか。  どういう使用協定を結ぶかについては、現在のところ、話し合いはないわけですね。その点だけははっきりさせておいてください。煮詰めているということを報道されているものだから、私は煮詰めているということなら、それはやっぱり外務省が入らぬとできないと思うのですよ、政府、米軍、沖繩県というわけだから。さっきの安保課長の御答弁で尽きていると思うのですが、そういう煮詰めて協定を結ぶというような作業は、現在進んでいないわけですね。
  91. 多田欣二

    ○多田政府委員 私どもの理解も先ほど外務省からお答えをしたとおりでございますし、知事さんもその点については、恐らく誤解はないのではないかと思います。  ただ、合同委員会で取り決められております使用条件等を検討するに際して具体的に問題点を詰めるという意味では、そういう現地における協議会ということも大変有効ではないだろうかというふうに私どもは考えております。
  92. 上原康助

    上原委員 時間をちょっと経過しましたので、本会議の都合もありますから、これで終えますが、さっきの事故の調査の真相の解明については早急にやっていただきたい。同時に、爆音被害を含めて軍事演習というものについては、私はやはり全部やめなさいという主張をするわけですが、それだけではなかなかお互いの合意点というのが見出せないという面もありますので、少なくとも県民の生命、財産あるいは生活に支障を与えている、あるいは不安を与えていることについては、それは皆さんはアメリカと共同責任ですから、そういうことのないように、特に強く改めてこのことについての私の要望、要求を申し上げて、きょうの質問を終わりたいと思います。
  93. 藏内修治

    ○藏内委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後四時四十六分開議
  94. 藏内修治

    ○藏内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山花貞夫君。
  95. 山花貞夫

    山花委員 許可認可等整理に関する法律案の中で、航空法の改正があります。  航空法二十六条について、現行の申請資格につき、「技能証明の要件」ということで法改正がなされるわけでありますけれども、ここでの問題点と、この改正によりまして、懸案である行政事務軽減の見通しというものがどのようにあるのか。なお、こうした手続の便宜を図ることによって、試験の制度が安易にわたるという心配がないのか、この点について運輸省の方からお伺いいたしたいと思います。
  96. 永井浩

    ○永井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御審議をいただいております航空法関係は、御指摘のように、航空機の技能証明の制度の負担の軽減を図るというのが趣旨でございます。  現在、航空機の操縦その他の航空業務に従事している者は、技能証明を持たなければならない。技能証明を申請いたします場合には、それぞれ一定の年齢あるいは飛行経歴が必要でございまして、それに基づいて申請を出す、さらに、申請を出しますと学科試験、学科試験に合格いたしますと実地試験ということで、最終的に合格いたしますと技能証明を受けられる、こういう制度になっております。  それで、今回の改正は、その技能証明の申請を出す、つまり学科試験の前に一定の年齢あるいは飛行経歴に達しているという証明書を出さなければならないわけでございますが、一般に証明の申請をいたしましてから証明書の交付を受けるまで、学科試験とか実地試験がございますので、約一年以上かかる。その間に当然年齢も経過いたしますし、訓練のための慣熟も向上してまいると思いますので、この申請時の資格を証明書の交付時に改める、これによりまして申請者の負担を軽減いたします。  一方、行政事務の方の立場から申し上げますと、学科試験の前にこれらの経歴を審査しなければならない。ところが、学科試験、実地試験が終わりますと、大体三分の一程度に人数が減っておりますので、そういった意味では経歴の審査等の件数が減ってまいります。また学科試験は年に二、三遍程度しか行いませんが、実地試験は随時行っておりますので、そういった審査の業務も年間平均してならされる、こういったことで行政事務が平準化される、このように考えております。  また、御指摘のような技能の熟度あるいは安全に関して問題ないかということでございますが、一定の年齢あるいは経歴というのは、最終的にその証明書を交付したときにあれば十分であると考えておりますので、その点は何ら問題はない、このように考えております。
  97. 山花貞夫

    山花委員 いまのお話の中で、特に自家用操縦士の関係について伺っておきたいと思いますけれども、後ほどの質問との関連におきまして、資格別航空従事者のうち、自家用操縦士につきましては、現在資格を持っている者が何名ぐらいいるのか、毎年の受験の数と合格の率はどうなっているのか、この点について御説明いただきたいと思います。
  98. 永井浩

    ○永井政府委員 第一の御質問でございます、現在自家用パイロットの資格を持っておる者がどのくらいおるかということでございますが、本年の一月一日現在、資格を有している者は六千二百八名でございます。この内訳を申し上げますと、飛行機、いわゆる固定翼が三千二百七名、それから回転翼航空機、ヘリコプターでございますが百二十五名、それから滑空機、グライダーが二千八百七十六名、合計で六千二百八名が自家用パイロットの資格を持っておるわけでございます。  それから受験状況でございますが、最近三カ年、五十年から五十二年の平均をとりますと、九百数十名が技能証明の申請をいたしております。それで先ほど申し上げましたように、学科試験、実地試験と行いまして、最終的には四百三十二名が技能証明の交付を受けている、こういうのが現状でございます。
  99. 山花貞夫

    山花委員 いま御説明いただきました自家用操縦士を含めまして、その訓練のためにも使用されているわけですが、東京周辺にある、一般に調布飛行場と言われている施設につきまして、お伺いいたしたいと思います。  このいわゆる調布飛行場の面積、滑走路の長さ、エプロンの設備、面積、こうした今日段階における設備の概要について御説明いただきたいと思います。
  100. 永井浩

    ○永井政府委員 調布飛行場の概要でございますが、面積は約八十ヘクタールでございます。それから滑走路は、長さが千メートル、幅三十メートルでございます。エプロンにつきましては、アスファルト舗装をいたしておりますのは千九百平米、それから舗装のない場所が二万八百平米、こういうことでございます。建造物といたしましては、航空局の出先機関でございます空港事務所あるいは気象庁の事務所、その他の国の出先機関あるいは民間の整備工場あるいは航空会社の事務室、格納庫、こういったものがございます。
  101. 山花貞夫

    山花委員 いま概要について御説明いただきましたけれども、ここには航空関係の会社多数が設備を持ち、かつそこに帰属する飛行機が多数駐機しているようであります。  この調布飛行場内にある航空関連会社の数と内訳、また各会社が所有している飛行機の数、これについてできるだけ詳細にお話をいただきたいと思います。
  102. 永井浩

    ○永井政府委員 調布飛行場に現在常駐いたしております航空関連会社、これは現在三十二社でございます。そのうち航空法によりまして不定期航空運送事業あるいは航空機使用事業を免許を受けて営んでおりますのが十六社、その他は航空関係の整備工場とかあるいは給油施設とか、そういったものでございます。  それから現在調布空港では、常駐機数を百十機という枠で抑えておりますが、現在それを若干下回った数になっております。そのうち、先ほど申し上げました不定期事業あるいは使用事業、いわゆる事業用の小型航空機が七十四機でございまして、これが常駐しております。そのほかに自家用機が三十機程度、これが現状でございます。
  103. 山花貞夫

    山花委員 いま御説明になりました各社の従業員の数は、どの程度になっておりますでしょうか。
  104. 永井浩

    ○永井政府委員 多少出入りがあろうかと思いますが、ことしの初めで約八百三、四十人がこの関係の企業に従事している、こういうことでございます。
  105. 山花貞夫

    山花委員 もう一点お伺いしておきたいと思いますけれども、先ほど御説明いただいた各航空会社が、この調布飛行場をどのような目的で使用しているのか、使途、目的について御説明をいただきたいと思います。
  106. 永井浩

    ○永井政府委員 使途はいろいろございまして、たとえば先ほど申し上げました不定期航空事業あるいは使用事業につきましては、不定期航空事業であれば、たとえば遊覧飛行とかその他旅客の運送を行っております。それから使用事業は、たとえば航空測量とか、そういった飛行機を利用してのいろいろな経済活動、それからパイロットを希望する者の操縦訓練、さらにこの調布空港には航空機の整備会社がございますので、そういった整備会社に修理のために来る飛行機、こういったものがございます。
  107. 山花貞夫

    山花委員 概略調布飛行場の施設の関係についてお伺いしたわけですけれども、とにかくたくさんの会社があり、たくさんの飛行機がここに駐機し、かつ多数の従業員が働いている、こういう現状のようであります。われわれはこの調布飛行場について、後に質問したいと思いますけれども、飛行場としての本来の施設を持っていない、保安施設を持っていない場外の離着陸場であるにもかかわらず、大変多数の飛行機が離着陸をしている、危険ではないか、こういうことを日常的に痛感しているわけであります。  その観点からお伺いしておきたいと思うのですけれども、この飛行場に対する離着陸の数について、年次別にできれば少しお伺いしたいと思うのですが、現状は一体どのくらいの頻度で使用されているのか、この点について明らかにしていただきたいと思います。
  108. 永井浩

    ○永井政府委員 いま手元に五十三年の暦年の離着陸回数しか数字を持っておりませんが、五十三年一月から十二月までの数字で、回数は一万九千六回でございます。過去においても大体この前後の数字の飛行機が離発着している、こういうことでございます。
  109. 山花貞夫

    山花委員 いまのお話は着陸の回数ではないでしょうか。離陸の回数についても把握されておられると思いますけれども、いかがですか。
  110. 永井浩

    ○永井政府委員 はい、着陸回数でございます。
  111. 山花貞夫

    山花委員 離着陸ということでお伺いするとどのくらいになるでしょうか。
  112. 永井浩

    ○永井政府委員 統計の日にちが年度にまたがる場合は、多少小さな数字で違うかと思いますが、おおむねこの倍だとお考えいただければよろしいかと思います。
  113. 山花貞夫

    山花委員 もう一つ伺っておきたいと思います。  月によって、あるいは日によって離着陸の頻度が違っていると思いますけれども、平均どの程度の離着陸があるのか、過去において一番多かったときはどの程度なのか、この点についてお話をいただきたいと思います。
  114. 永井浩

    ○永井政府委員 いま手元に日別あるいは月別の数字を持っておりませんので、的確にお答えいたしかねますが、それほど月あるいは日によって差がないのではないかと考えております。また詳細調べまして、後ほど御報告いたしたいと思います。
  115. 山花貞夫

    山花委員 私がいただきました資料によりますと、若干前で五十一年度でありますけれども、最も少ない月が六月、多い月が十二月、十二月でも日曜日には大体毎日曜日二百回以上の離着陸があるようであります。一番多い日にちで二百二十三回という数字が出ているわけであります。飛行時間から計算いたしますと、この調布飛行場における離着陸の許可は八時半から四時半まで八時間でありますので、二百二十三回ということで計算いたしますと、一時間に約二十八回、要するに二分間に一回ぐらい離着陸が繰り返されているわけであります。これは、運輸省航空局監修、航空振興財団がつくりました「数字でみる航空」の七九年度版などを拝見いたしますと、第一種、第二種、その他共用飛行場まで含めまして離着陸の数が記録として掲載されていますが、これらと比較いたしましても離着陸の頻度が他の飛行場に比べて大変多い、こういう実態ではないでしょうか。この点について実情をどのように把握されておりますでしょうか。
  116. 永井浩

    ○永井政府委員 御指摘の回数は、わが国の主要空港においては、さらにもう少し大きい数字の空港もあろうかと思います。ただ、小型機だけでこういった離発着回数があることにおいては、恐らく日本で離発着の一番多い回数だと思います。
  117. 山花貞夫

    山花委員 第一種空港、第二種空港、そしてその他の空港との比較をいたしますと、第一種といいますと東京、大阪の国際、国内空港というところでございますけれども、こういうところよりもむしろ多いくらいである。第二種空港につきまして平均をとりますと一日二十八回ということでありますから、新潟の国際、国内、名古屋の国際、国内、福岡の国際、国内空港などを含めての第二種空港と比べましても二百回と約三十回、これだけの大きな差があるわけであります。その他の空港などについて見てみますと、三種の空港を平均いたしますと、全国的な平均は一日六回という数字が記録されているわけであります。  いま、小型であることもあって離着陸が大変多い、日本で離着陸が最も多いのではないかというお話を伺ったわけでありますが、飛行場であるならば、コントロールタワーのコントロールによって安全を期待することができるかもしれない。しかし、この調布の飛行場は飛行場ではないのではないでしょうか。先ほど申し上げました「数字でみる航空」という冊子によりましても、その他の空港については、無線施設等の設置状況とか灯火施設の設置状況とか、空港として備えなければならない設備がほとんど整っているわけであります。調布の場合は全部空欄でありまして、施行令関係で必要とされているような施設も全くありません。NDB、無指向性無線標識施設あるいはVOR、超短波全方向式無線標識施設などから始まりまして、一切のこうした設備が施されていないわけであります。  大体これは飛行場なんでしょうか、飛行場ではないのでしょうか、この点を明確に伺いたいと思います。飛行場でないところに日本で一番たくさんの飛行機が離着陸しているというのは、一体どういうことなんでしょうか。
  118. 永井浩

    ○永井政府委員 調布飛行場の航空法上の地位について申し上げますと、地権者であります東京都あるいは地元との調整が現在なされておりませんので、いわゆる航空法上の飛行場、つまり航空法に定める飛行場設置の手続がとられていないわけでございます。  ただ、航空法七十九条のただし書きがございまして、飛行場以外の場所においても運輸大臣の許可が得られれば、その場所において離発着することが認められておるわけでありまして、調布飛行場は、そういった航空法上の立場から申し上げますと、七十九条ただし書きに基づく場外の離発着場、こういう地位に置かれております。
  119. 山花貞夫

    山花委員 要するに、離着陸をしている法的な根拠は、航空法七十九条のただし書きである、こういう御説明であります。しかし、この七十九条は飛行場の設置についての規定ではないはずであります。そういたしますと、とにかく飛行場ではない。ただ、ただし書きによりまして離着陸が認められた場所であるということにすぎないのだと思います。たとえば農薬散布のためにヘリコプターが飛んだりおりたりする、あるいは航空写真のために、特定の限定された目的のために小型飛行機が離着陸をする、こういうごく特殊な場合に運輸大臣の許可を受けて認められる、これが七十九条のただし書きということではないでしょうか。  とにかく、法七十九条の原則にありますとおり、「航空機は、陸上にあっては飛行場以外の場所において、離陸し、又は着陸してはならない。」これが原則のはずであります。このただし書きというのは、例外のはずです。例外の施設に日本で一番多く飛行機が離着陸をしているというところに、われわれは疑問と不安を覚えざるを得ないわけでありますけれども、この運輸大臣の許可の基準というのは、一体どうなっているのでしょうか。許可基準について御説明をいただきたいと思います。
  120. 永井浩

    ○永井政府委員 航空法七十九条ただし書きの許可の運用につきましては、私ども内規を持っておりまして、その内規の中で、たとえば滑走路の長さ、幅がその飛行機の離発着に十分であるというようなこと、あるいは離着陸のための飛行の経路に障害物件がない、あるいは離着陸の際に一般の人がその周辺に立ち入らないような危険防止の措置がとられているかどうかということを確認の上、許可を行っておるわけでございます。
  121. 山花貞夫

    山花委員 いまの御説明は、許可の条件だと思います。私は、いわば許可の要件について聞いているわけであります。いまのお話のような飛行の安全性その他ということについては、その設備についての条件の問題であります。根本的な許可の要件について内規があるはずです。この点について、もう一度確認的にお伺いいたします。
  122. 永井浩

    ○永井政府委員 許可をする前提といたしましては、当然その場所に離着陸する必要性と申しますか、そういったものが前提にあるわけでございます。
  123. 山花貞夫

    山花委員 必要性だけでしょうか。ほかにも要件としてあるのではないでしょうか。必要性さえあればそれでいいんですか。そうじゃないと思いますよ。
  124. 永井浩

    ○永井政府委員 私どもの内規の許可の要件でございますが、おおむねいま私が申し上げたことが書いてございます。あとは、具体的事例につきましてケース・バイ・ケースで判断する、このように処理しております。
  125. 山花貞夫

    山花委員 できましたら、後ほど内規そのものを拝見さしていただきたいと思いますけれども、私どもが把握しておるところでは、先ほどお話しいただきました許可の諸条件、施設あるいは環境の条件については、当然の前提といたしまして、離着陸の七十九条ただし書きの許可の要件といたしましては、先ほど御説明ありました、やむを得ない事由と申しましょうか、必要性の問題、第二番目には安全性の問題、さらに騒音公害などについて被害を及ぼさないということがあるのではないかというように、従来、解説その他を通じて把握しておったわけでありますけれども、その点については時間の関係もありますから、後ほど内規を拝見さしていただきまして、また御説明をいただきたいと思います。  いまのような許可の条件についての内規があるといたしまして、具体的な離着陸の許可の手続については、現状どうなっているのでしょうか。
  126. 永井浩

    ○永井政府委員 ただし書きの許可もいろいろ態様がございまして、単発的に一回限りの場合と、ある程度継続的に使用する場合と分かれておりまして、後者の場合には、一定の期間を認める。たとえば一カ月とか三カ月の期間を付して継続的に離着陸を認める、こういう手続をとっております。
  127. 山花貞夫

    山花委員 いま簡単に御説明いただきましたけれども、許可の手続につきましては、航空法施行規則に規定があるということではないでしょうか。第百七十二条の二「法第七十九条但書〔離着陸の場所の制限免除の許可〕の許可を受けようとする者は、左に掲げる事項を記載した飛行場外離着陸許可申請書二通を運輸大臣に提出しなければならない。一 氏名及び住所 二 航空機の型式並びに航空機の国籍及び登録記号 三 離陸し、又は着陸する日時及び場所(当該場所の略図を添附すること。) 四 離陸し、又は着陸する理由 五 事故を防止するための措置 六 飛行計画の概要(飛行の目的、日時及び径路を明記すること。) 七 操縦者の氏名及び資格 八 その他参考となる事項」ということではないかと思いますけれども、私は、離着陸の許可について御質問いたしまして、いま大変簡単なお返事をいただいたというところにも、実は不安を感ずるわけであります。  いま私が指摘いたしました、この航空法施行規則によりますと、運輸大臣に、これこれこういう内容を明らかにして許可をとりなさいということが厳格に規定されています。当然だと思います。原則は飛行場でなければ離着陸できないのに、例外的に安全な場所については、一定の要件があればこれを認めるということですから、厳格な手続が必要でしょう。ところが、実際の手続はきわめて安易になされているんじゃないでしょうか。包括的に一月くらい使わしてもらいたい、あるいは書面につきましても形式的になりまして、離着陸の許可というものが大変安易になされているのではないか。したがって、とにかく飛行回数はたくさんふえている、それで大変危険な状態も出てきているのではないかと思いますけれども、こうした離着陸許可の申請などの手続について、一体万全の管理、監視の体制があるかということについて不安でありますので、お伺いいたしたいと思います。
  128. 永井浩

    ○永井政府委員 七十九条の手続につきましては、ただいま先生がお読みになりましたとおりでございます。     〔委員長退席、唐沢委員長代理着席〕  それで、いわゆる場外離着陸場といたしましては、たとえばある学校の校庭に必要に応じておりるといったようなケースと、それから調布飛行場のように、かなり恒常的に使っておりまして、航空法上の飛行場ではございませんが、実質的には飛行場と同様な機能を果たしているところとでは多少違いまして、特に調布飛行場におきましては私どもの事務所を置いておりまして、そういった必要な手続を全部そこの場所において受け付け、チェックできるような体制になっております。
  129. 山花貞夫

    山花委員 いまチェックするとおっしゃいましたけれども、実は私は、実際に今日の時点で調布飛行場において提出されている申請書のコピーをいただいてまいりました。中を見てみますと、実は先ほど指摘いたしましたこの百七十二条の二に掲げられているような要件は書かれておらないわけであります。特定の会社の名前を出すことははばかるかもしれませんけれども、きわめて簡便化した記載である。たとえば日の出から日没までの間であるとか、日時につきましても、五十四年四月の何日から六月の何日までであるというようなかっこうで、何カ月も一括いたしまして、それで時間も指定していない。かつ、ここに記載されているような略図その他の記載事項についても、全く記載されておらないわけであります。いわば、いまおっしゃったとおり、実質的には飛行場である、しかも日本で一番離着陸が多いというような使用のされ方の中で、この運用がきわめて安易になっているのではないでしょうか。そして、二分間に一回ということ、しかもこれがもっともっとふえていく心配もあるということでありますと、われわれは大変危険に思います。  先ほど、事務所も設けているということでありますけれども、この事務所につきましては、過日決算委員会の方で、行管の関係でも問題になったところであるわけですが、大体こういうところに事務所を設けているとはいいながら、こうした現実の管理につきまして見るときには、われわれは大変ずさんではないかという印象を強くしているわけであります。もっとこうした問題については、運輸省としても、これから伺いますけれども、万一事故が起こったらどうなるかというような不安を周辺住民に与えているということでありますから、こうした手続につきましては、チェック機能というものを強めるべきではないかというように考えますけれども、この点いかがでしょうか。
  130. 永井浩

    ○永井政府委員 調布飛行場につきましては、過去にいろんな経緯がございまして、航空法上の飛行場という扱いにはなっておりませんが、私ども、飛行場を管理維持するだけの最低限の努力はしているつもりでございます。  特に、先ほど御指摘ございましたように、小型飛行機専用でございますので、計器飛行を行うような空港の設備はございませんが、管制官等も置いて十分にその点は安全に配慮して運営している、このように考えております。
  131. 山花貞夫

    山花委員 実際には、無事故ということではなくて、事故がこれまで幾度か起こっているはずであります。年次別ということも含めまして、これまでの事故の概況について御説明いただきたいと思います。  また同時に、調布飛行場内における事故だけではなく、ここから飛び立った飛行機の事故、あるいはここに向かう飛行機の事故につきましても、付言して御説明をいただければと思います。
  132. 永井浩

    ○永井政府委員 調布関係の航空機の事故について御説明申し上げます。  昭和五十年から、以下暦年でございますが、飛行場内の事故件数と、それからこの調布飛行場を離発着した飛行機が場外で起こした事故件数を申し上げますと、五十年が場内事故が一件、場外がゼロでございまして、合計一件でございます。それから五十一年が場内事故が四件、場外が二件で、合計六件でございます。それから五十二年が場内がゼロ、場外が一、合計一でございます。それから五十三年は場内がゼロ、場外が一、合計一でございます。五十四年は現在までのところ場内外とも事故はございません。
  133. 山花貞夫

    山花委員 いまの事故の中で、人命にかかわるような事故というものがあったでしょうか。あったとすれば、具体的な事例、日時等、その概要について御説明をいただきたいと思います。
  134. 永井浩

    ○永井政府委員 場内の事故につきましては、人員の死傷の関係の事故はございません。  それから、調布空港を発着した飛行機が起こした場外での事故でございますが、まず最初に、五十一年の三月に起こしましたのは、これは人員が死亡一名でございますが、これは機長が多分自殺の意思で世田谷区の児玉邸に突入したという事故でございます。それから、五十一年十一月に、この空港を飛び立ちまして富山へ向かう途中、北アルプス連峰に衝突して墜落した事故がございます。これは死亡が三名でございます。それから五十二年の十月に、埼玉県の荒川で電話架線に接触して墜落した事故がございますが、これは死亡一名でございます。  人身にかかわる事故は以上でございます。
  135. 山花貞夫

    山花委員 たまたま周辺に墜落したという事故は、これまで起こっていないようでありますけれども、本来の飛行場でない、そういう意味におきましては保安設備についても不十分である、かつ、後ほど質問いたしますけれども、それなりの理由があって、必要な保安施設についての予算執行をすることも現実にはできない現状である、こういう状況でありますと、いまたまたま死亡事故その他につきましては、墜落地点が周辺から離れたところでありますので、地元に被害は与えておりませんけれども、しかし、こうした被害というものがこの調布飛行場周辺に与えられる、こういう危険ということをこれまでの事故について御説明いただきますと、われわれは強く不安に思うわけであります。  そして、根本的な問題について伺いたいと思うのですけれども、飛行場でなくて、場外の離着陸場として運輸省が使用、管理していますけれども、本来は七十九条の許可の問題というのは、いわゆるその土地の地権、所有権その他とは無関係ということだと思います。本来、今日調布飛行場として運輸省がここを使用していることは、不法占拠ということではないでしょうか。われわれは、不法占拠である、こういうように考えざるを得ない実情があります。  この点について伺いたいと思うのですけれども、今日、調布飛行場のいわゆる土地の所有者の内訳はどうなっているでしょうか。土地の所有者に対して、地代その他の使用料を払っているでしょうか、まず、この点について伺いたいと思います。
  136. 永井浩

    ○永井政府委員 現在、空港用地約八十ヘクタールのうち六十八ヘクタールが都有地でございまして、残りの十二ヘクタールが国有地でございます。六十八ヘクタールの都有地に対しては、地代は払っておりません。
  137. 山花貞夫

    山花委員 都有地でありますから、他人の土地を使っているわけであります。他人の土地をただで使っている法律的な根拠はあるのでしょうか、この点について伺いたいと思います。
  138. 永井浩

    ○永井政府委員 調布空港の問題につきましては、戦前からのいろいろな経緯がございまして、なかなか都との調整が進んでおりません。都の立場としては、現在の飛行場の存続を正式に認めておらず、暫定的なものと考えておりますので、都の方からも特段の請求はなされてないわけでございます。  一方、戦前のことでございますけれども、この飛行場について国が無償使用し得るという問題もございまして、こういったものがありますので、現在のところこの地代の扱いについては、関係省庁あるいは都とも協議中でございますけれども、まだ未決定、こういう状況でございます。
  139. 山花貞夫

    山花委員 いまの土地の使用料でありますけれども、後ほどまた伺いたいと思いますが、かつて米軍が接収しておりましてこれを使用していた時代がありました。この当時は年間の土地使用料というものが東京都に対してずっと払われてきたわけであります。     〔唐沢委員長代理退席、委員長着席〕 ところがこの米軍基地について、これが解放された後、むしろ今日の時点になりましてから地代が払われなくなっている、こういう実情であります。  つい最近でありますけれども、大体使用料を算出するとどれくらいになるかということにつきまして都の政策室に問い合わせたわけでありますけれども、大体評価額から計算いたしますと、平米当たり五万八千円の評価額として、行政財産の乗率千分の二・五を掛けると百四十五円という数字が出る、これを単価として先ほどの六十八ヘクタール、若干私どもの計算と違っていますけれども、およそその数字を掛けますと、年間の使用料として大体十億円になる、こういう計算を東京都ではしているわけであります。これは都の計算でありますけれども、本来、東京都に対しては十億円の土地使用料を払わなければならないのにこれを払わないでいる。  かつ、離着陸につきましては、料金を取っているのではないでしょうか。運輸省は、この離着陸につきまして、あるいはその他の問題につきまして料金を現に離着陸をしている飛行機の会社などから徴収していると思いますけれども、その内訳、金額はどのくらいになるでしょうか、できれば、暦年で少し詳細にお伺いしたいと思います。
  140. 永井浩

    ○永井政府委員 空港の使用料、これの内訳はちょっと手元にございませんが、着陸料、夜間照明料、停留料、こういったものの合計でございます。これを普通、空港の使用料と申しておりますが、五十年度でこれらの収入が八百九十六万一千円でございます。それから五十一年度で九百六十八万円、五十二年度で千五百九十八万五千円、このようになっております。
  141. 山花貞夫

    山花委員 私がいただいた資料にも、大体いま御説明いただいた数字が書かれてあるわけでありますけれども、その内訳について、もうちょっと詳しく見てみますと、たとえば一番最後、五十二年度一千五百九十八万五千二百円の内訳としまして、普通着陸料が八百三十八万三千円、夜間照明料が百七万九千円、停留料が六百五十二万四千円ということではないかと思います。  要するに、運輸省は地主に対しては地代を払わないで、一方ここを使っている者に対しては停留料を含めて金を取っている、これはおかしいのではないでしょうか。もう一遍、なぜこういうことができるのか不思議ですので、確認的にお伺いしたいと思います。重ねて、地代を払わなくて、一方からは取るということが行われている、この法的関係について御説明いただきたいと思います。
  142. 永井浩

    ○永井政府委員 東京都との地代の関係につきましては、先ほど申し上げましたように、都との間が未調整でございますので、これは払っておりません。  それから、空港使用料を徴収いたしますのは、営造物管理、これは広い意味でハード、ソフトを含めた管理権という意味で徴収しているものでございます。
  143. 山花貞夫

    山花委員 大事な点だから確認しますけれども、協議が調っていないから払っておりませんというお話でした。本来払うべきものだけれども、協議が調っていないからまだ払っていないのだ、こういうように伺ってよろしいですか。
  144. 永井浩

    ○永井政府委員 これは先ほどちょっと触れましたように、戦前の協定あるいはその後の空港を取り巻くいろいろな情勢等を判断いたしまして、戦前の協定におきましては逓信省が、つまり後の航空局でございますが、使用する場合には無償で使用できるという協定になっております。これが戦後、もちろん憲法も変わりましたし、諸般の立法等もございますので、直ちにそのまま有効かどうかという問題はなおあろうかと思いますが、そういった意味で国と都の立場がこの地代に関してどういった関係にあるのか、これについては、なお詰める必要があろうか、このように考えております。
  145. 山花貞夫

    山花委員 御説明に矛盾があるわけでして、戦前のたとえば無償使用についての協定を根拠にするならば、本来払う必要ないということなのでしょうか。とするならば、東京都と協議する必要はないわけであります。しかし、戦前の契約が無効であるという前提ならば、東京都と協議して払わなければならない。先ほどの私の質問は、本来払う義務があるのだけれども、東京都と話し合いがついていない、こういうふうに伺ってよろしいのでしょうか。それとも、もともと払う必要はないんだから、この点を東京都に納得してもらうんだ、こういうことなんでしょうか。いずれの立場かを明らかにしていただきたいと思います。
  146. 永井浩

    ○永井政府委員 その戦前の協定が有効であるかどうかという法律問題、それから現在使用しているという事実関係、あわせて地代は払うべきかどうか、払うとすればどの程度のものを払うべきか、こういったものを検討中でございます。
  147. 山花貞夫

    山花委員 検討中で、これまで一体何年くらい検討されてきたのですか。検討と言ったって、二、三カ月検討とか一、二年検討とかあるかもしれませんけれども、何年間ずっと検討されて、東京都にいま時価十億の地代を払っていないということなのでしょうか。
  148. 永井浩

    ○永井政府委員 米軍から返還された時点で暫定的に東京都から三年間使用を認められ、その後私どもが継続使用を申し入れておりますので、その間ずっとあったわけでございますが、特に先般、五十二年だったと思いますが、東京都知事が運輸大臣のところへ来られまして、この調布問題について何らかの解決をしようという動きもございましたので、そういった線を含めまして早急に結論を出したいということでございます。
  149. 山花貞夫

    山花委員 はっきりおっしゃらなかったけれども、米軍返還以来ということですと、これまで七年ほど検討を続けてきたということのようであります。七年間検討している間、地主に一銭も金を払わない、一方では料金を徴収しているというのは、一般の常識では考えられないと思います。  検討の対象になっている戦前の契約につきまして、その有効、無効については、運輸省としてはどのように把握しておられるのでしょうか。
  150. 永井浩

    ○永井政府委員 先ほども申し上げましたように、この成文、書いたものの上では現在も有効だと私ども考えておりますけれども、終戦をはさみまして非常に古い話でございますし、その後諸般の立法あるいは社会情勢の変化等もありますので、直ちに有効、無効という判断を下すには非常にむずかしい問題だ、このように考えております。
  151. 山花貞夫

    山花委員 いま、書いてあるものの限りにおいては有効だと思うけれどもとおっしゃいましたけれども、それは正確を期したいと思うのですけれども、昭和十五年三月三十日、陸軍次官、航空局長官、東京府知事、三者の間で契約されました陸軍省、逓信省並びに東京府における「調布飛行場設置ニ関スル協定書」及びこの附属文書を指しておっしゃっているのでしょうか。この点、確認をしておきたいと思います。
  152. 永井浩

    ○永井政府委員 そのとおりでございます。
  153. 山花貞夫

    山花委員 書いてある限り有効だという御説明ですけれども、要するに、これは当時のいわゆる帝都防衛という観点からつくられた戦時用飛行場である、こういうように私たち理解しています。そういう関係から、陸軍が使う場合には用途を変えない限り無償というような規定もあるわけでありますけれども、内容を見てみますと、いわば今日の言葉をかりれば、有事の対策として設置された有事立法的な色彩を持ったものであるということになると思います。  たとえば「作戦並飛行上支障ナキ範囲ニ於テ航空局建物及工作物等ノ施設地域トシテ之ヲ認ムルモ戦時ニアリテハ当該地域及地域内建物及工作物等ハ作戦ノ為使用シ得ルモノトス」あるいは「戦時作戦上必要アル場合ハ前号ニ拘束セラルルコトナキモノトス」、いわゆる徴収、徴用の関係についての規定も含まれているわけであります。これ自体が有効であるということは、とうてい考えられないのではないでしょうか。  また、いま、書いてある限りについては有効である、こういう御説明をされました気持ちの中には、無償使用問題についての条項があるからということが頭の片すみにおありになったのではないかと思いますが、先ほどの御説明の中にも含まれておりましたとおり、戦前の公用徴収と戦後の公共目的のための私権の制限というのとは全く制度を異にしています。憲法二十九条の存在を前提にすれば、戦前のこうした契約が通用するはずがない。ということであるとするならば、この契約につきましては、一つの時の流れ、その中での飛行場設置についての約束事としては当時のものを知る資料になるけれども、今日これを有効であるということを前提として、この使用について東京都と交渉する、こういうことはどだい無理なのではないでしょうか。この点について御見解を承りたいと思います。
  154. 永井浩

    ○永井政府委員 調布空港の戦前の協定につきましては、十五年と十八年と両方ございまして、いま先生御指摘のものは十八年のだと思います。十五年の協定におきましては、陸軍省、逓信省がこれを使うときは無償と書いてございまして、確かに陸軍省が使用するというのは国防のためだと思いますが、逓信省は当時民間航空を所管しておりましたので、これは国防ということではない、このように理解しておるわけでございます。
  155. 山花貞夫

    山花委員 いま十五年協定と十八年協定を区別して、だからということで説明されましたけれども、実は御理解が少しく違うのではないかと思います。十五年協定のいま御指摘の第十二条「陸軍、逓信両省ハ本飛行場が飛行場トシテノ用途ヲ変更セザル限り之ヲ無償使用スルモノトス」という部分が確かにありますけれども、そのただし書きの方をごらんになっていただきたいのですが、「但シ使用条件竝ニ維持管理ニ関シテハ更ニ協議スルモノトス」、こういう条項がありまして、これに基づきまして経過的には明らかであります、十八年の協定ができ上がっているわけですから、十五年の協定と十八年の協定とはまさに本文と附属文書という関係で一体のものであるというように理解しなければならないと思います。この二つを分けて考えるというのはおかしいのではないでしょうか。実はこの問題について詰める必要もあると思いますけれども、そこでは議論が細かくなるかもしれません。ただ私は、十五年協定、十八年協定というものは本文と附属文書ということで一体の文書であるということだけを指摘しておきたいと思います。  そしてこの一体の文書について、とにかくこれからも無料で、先ほど、くどいようですけれども、年間十億の土地使用料というものを、これが正確に計算すれば幾らになるかということは別にしまして、一銭も東京都に払わないで使っていくということで七年も経過しているということでは、これは大変問題ではないでしょうか。この現状というものはいわゆる不法占拠ということにならざるを得ないのではないでしょうか。これまで御説明いただいた以外に、もしこういう根拠があるから使っていけるのだという点があるとすれば、御説明をいただきたいと思います。御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  156. 永井浩

    ○永井政府委員 調布空港につきましては、るる申し上げましたように過去からいろいろの経過がございまして、私どもとしては、いわゆる不法占拠といったようなつもりで使用しているわけではございません。東京都との折衝、これは現在もまだ調っておりませんが、そういったものを通じて、何とかしてこの空港を継続して使いたい、こういう立場にあるわけでございます。
  157. 山花貞夫

    山花委員 運輸省の方がそういうつもりでないと言っても、経過的にはやはり不法占拠とならざるを得ないのではないかというようにわれわれは考えざるを得ません。実はこの調布飛行場につきましては、調布基地の返還というのに伴いまして、地元の市議会あるいは地元の各種団体でありますけれども、ほとんど気持ち一つにして、市民のための使用、飛行場としての存続は反対である、こういう意思表示をずっと続けてまいりました。そういう中でいまの不法占拠問題も絡んでまいりまして、運輸大臣に対して幾度か陳情、要請も行いました。従来のわれわれの記憶では、とにかく他に代替の飛行場を検討するから何とかもうちょっとがまんして暫定的に使わしてもらいたい、これがこれまでの経過ではなかったかと思います。  東京都の方におきましても、暫定的に使うならということで三年間の猶予を与えたりした、こういう経過があったということではないでしょうか。運輸省の方で、従来は他に代替飛行場を探すということを東京都に対しても回答していたのではないでしょうか。そして、そのことにつきましては、私もかつて運輸大臣あるいは航空局長からそうした御説明を受けた当事者でありますけれども、代替飛行場ということについて、一体これまでどういう経過があったのか。あるいは今後こうした問題について、従来の話題の中では羽田沖といったようなことが議論となっておりましたけれども、運輸省としては、従来の約束事につきましてこれを尊重するという意向を今日お持ちであるかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  158. 永井浩

    ○永井政府委員 御指摘のように、調布空港を廃港にしてよそに移れ、こういう御要望が地元にあり、また当初東京都の方に申し入れがあったということは、私どもも承知しております。  ただ、代替空港でございますけれども、羽田空港にこれをあわせて収容するとか、あるいは調布と同じような規模の場所を東京近辺に探すという作業もいたしましたけれども、実際問題としてこれは不可能であるということでございまして、その後、現在の調布空港について存続を強く都の方に要望しておるわけでございます。それで、都の方におきましても、そういった航空上の立場理解いただいたのかと思いますが、調布空港について規模を縮小し、あるいは地元との調和を図りながら存続するという方向で検討したい、こういう意向であると聞いております。
  159. 山花貞夫

    山花委員 いまのお話につきましては、まだ全く協議が進んでいない、一つの提案ということについての御説明のはずであります。従来のいわば使用の関係で交換されている公式の文書によりますと、運輸省関係からは四十七年三月十日に航空局長の方から「調布飛行場について」ということで東京都知事あてに文書が出されています。これによりますと、先ほど御説明いただいたところと重複しない程度に指摘すれば、「本飛行場の将来の取扱いについては、代替空港の検討等をも含め慎重協議の上別途処理することとし、さしあたり暫定的に飛行場として使用する場合における措置についてご協力を得たく」、これが運輸省から東京都知事に対する申し入れであります。  これに対する回答が、四十七年四月三日、運輸大臣に対して東京都知事が回答いたしました。暫定的に仕方がないから使用してもらおう、明確にしなければならないことは、都としてはこの期間を三年以内としたいことである。「この場合、飛行場の施設、機能は拡大しない、すなわち、離着陸する飛行機の機種、機数および使用区域は、あくまで現状以下に止めるとともに、必要最少限の補修のほか一切の施設の変更を行なわないことをお約束いただきたいと思います。」こういう条件をつけまして、「代替空港の適地を選定のうえ、移転していただきたい」という希望をつけまして、そして三年間の暫定使用ということができた、これが経過だと思います。  いわば今日の不法占拠の問題につきまして、一つのクッションとしてはこういう文書のやりとりがあるということにもなるわけですが、われわれが指摘したいのは、先ほど御説明になりました規模を縮小し、存続するということについての東京都の提案云々ということではありましたけれども、従来の流れを見てみますと、そうした提案その他につきまして地元の自治体、調布とか三鷹とか府中、こういうところと協議が全く進まないまま、あるいは地元の同意が全く得られないままに機能を拡大するということが一方的に行われてきたのではないだろうか。離着陸の数についてもしかりです。ここに駐機している飛行機の数についてもしかりであります。あるいは飛行場の機能についてもしかりであります。既成事実に乗っかりまして飛行場の機能というものを拡大拡大してきたというのがこれまでの運輸省の態度ではなかったか。この点について御見解を承りたいと思います。
  160. 永井浩

    ○永井政府委員 確かに前東京都知事が御提案になりました件につきましては、地元の関係公共団体等につきまして未調整でございます。そういう意味では一つの案でございますが、私どもとしては、ぜひ東京都と地元との調整が図られまして、この飛行場が継続使用できるという方向を希望しておるわけでございます。  それから、規模拡大ということでございますが、東京都が三年間の暫定使用を認めるという返事に関連いたしまして、常駐機数を百十機というふうに抑えておりまして、これは現在も守っておりますし、それから離発着回数につきましても、年次によって多少でこぼこがございますが、他の空港のように毎年毎年急増していくというようなことではございません。それから、施設等につきましても拡張その他行っておりませんので、私どもは現状で凍結している、このように考えております。
  161. 山花貞夫

    山花委員 答弁を正確にお願いしたいと思うのですけれども、東京都は規模を縮小して飛行場として使用することを認めるということは言っていないはずであります。いまの御答弁にそうありましたけれども、それを一つの提案として地元に対して話している、そういう経過が運輸省の方にも報告されているということだと思いますが、もし、東京都がすでにそのことを具体的に正式に運輸省に提案したということであるとするならば、これはまた別の問題が生じますから、その点についてひとつ確認をいたしたいと思います。一つのまだ提案でありまして、それが地元自治体などの同意を得た具体的な決定ではないということだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  162. 永井浩

    ○永井政府委員 そういう提案で地元と調整を図りたい、こういう趣旨で、お説のとおりでございます。
  163. 山花貞夫

    山花委員 なお、離着陸の回数についてもそれほど増加していないということのようですけれども、先ほど指摘いたしました何百もある日本じゅうの飛行場における離着陸の増加傾向と比較いたしますと、やはりこれはずば抜けてふえている飛行場の一つであるということは、私たちは数字の上で明らかだと思います。この点につきまして、もし私どもの数字の把握について不正確でありましたら、御説明いただきたいと思うのですけれども、実はこれまでちょっと触れておりませんけれども、この飛行場機能の拡張ということと関連いたしましてこの調布飛行場、これまでのお話の中では民間の会社施設の関係だけ御説明いただきましたけれども、これが海上自衛隊の航空機の整備基地としての機能を果たしているのではないかというように私たち考えています。防衛庁の方から、この調布飛行場の防衛庁における使用の実情について、お伺いいたしたいと思います。
  164. 田中守男

    田中説明員 お答えいたします。  防衛庁としましては、海上自衛隊が四十六年以来旧調布飛行場におきまして、新日本航空整備工場でB65型航空機のオーバーホールを行っております。これはオーバーホールの期間は一機当たり約三カ月で、オーバーホールそのものは二十五カ月間隔で実施することとしております。
  165. 山花貞夫

    山花委員 海上自衛隊が保有しているB65の機数は何機ぐらいでしょうか。そしていまの御説明ですと、約二十五カ月の周期でオーバーホールしているということですけれども、日常的には、その保有機数につきましてどこに常駐しているということなのか、どこの基地にいるのか、それが二十五カ月ごとにオーバーホールとして調布の飛行場に来ているのか、この辺の詳細についてもお話を伺いたいと思います。
  166. 田中守男

    田中説明員 お答えいたします。  海上自衛隊が現在保有しておりますビーチクラフトのB65は二十九機でございます。配備基地としましては徳島教育航空群に二十七機、それから第一航空群、これは鹿屋でございますが、一機、第二航空群、八戸の基地に一機あります。
  167. 山花貞夫

    山花委員 調布のこの基地に持ってまいりまして整備をしている機数でありますけれども、たとえば昨年度、予算との絡みもありますが、何機ぐらいのオーバーホールをしたということでしょうか。それから、調布の基地以外にオーバーホールをするというような場所はあるのでしょうか。ほとんどすべてが調布に集中しているということではないでしょうか。
  168. 田中守男

    田中説明員 五十三年度は、B65のオーバーホールの機数は十機でございまして、そのほかビーチクラフト航空機は、防衛庁としましてはTC90型航空機を持っておりますが、これは新日本航空整備で修理を実施していただいておるのですが、仙台飛行場で実施しているというふうに聞いております。
  169. 山花貞夫

    山花委員 いまのお話のうちB65の方ですけれども、海上自衛隊で現在保有機数二十九機とおっしゃったと思うのですが、五十三年度予算で十機というお話を伺っていきますと、大体二十五カ月周期でということならば、海上自衛隊の保有しているこのB65型飛行機につきましてはすべてこの調布でオーバーホールしている、こういうことになるわけでしょうか。
  170. 田中守男

    田中説明員 そのとおりでございます。
  171. 山花貞夫

    山花委員 運輸省の方に伺いたいと思うのですけれども、いまの御説明によりますと、海上自衛隊の保有しているB65型の全機数が恒常的に数年にわたって調布基地に飛来し、ここでオーバーホールをしているということであるとするならば、いわばこれは海上自衛隊の調布基地、整備基地、こういう感覚で受けとめられるものではないかと思います。  結局は、先ほどの七十九条ただし書きによって離着陸を許可しているということだと思いますけれども、こうしたいわゆる民間の場外離着陸場につきまして自衛隊の飛行機が飛来する、こういう問題につきましては、運輸省独自の判断で許可されているということでしょうか。地主である東京都あるいは地元関係市町村の意見、同意などは全く必要なしということでしょうか。
  172. 永井浩

    ○永井政府委員 調布飛行場を飛行場として管理するのは運輸省の権限でございますので、その離発着については関係の公共団体と協議する、あるいは承認をとるという必要は、法律上のたてまえはございません。これはほかの空港におきましても、民間航空機以外の国の飛行機あるいは防衛庁の飛行機等が飛来することがございますが、これも同様でございます。  ただ、一般論として申し上げれば、私どもとしては、こういう空港が地元の社会と調和のとれた形で運営されていくということが望ましい、このように考えております。
  173. 山花貞夫

    山花委員 いま望ましいとおっしゃいましたけれども、現実にこの海上自衛隊の航空機の飛行基地として長年にわたって使用されてきている、その経過の中で地元自治体あるいは東京都の同意を得る、あるいは通告すらしていないというのが実情だと思います。  ついせんだって私もこの飛行場に行きまして、海上自衛隊の修理の状況を写真に撮ってまいりましたけれども、先ほどの修理工場の中などは海上自衛隊のビーチクラフトが、65型だったと思いますが、五機ほど入っておりまして、これで満杯であります。いわば民間の飛行機の整備というよりも、いま行って見た感じでは、海上自衛隊の飛行機が修理工場を占拠している。まさにこれは調布の、海上自衛隊の航空基地のような実態になっている。実情を調べまして大変びっくりしたわけでありますけれども、われわれは、こうした恒常的な基地化しているということに対して強く抗議の意思を表明するものであります。  同時に、こうした問題につきましては、単に七十九条の離着陸の許可ということから安易に飛行機の離着陸を許可するということを通じて、もしこういうことが許されるとするならば、あちこちの飛行場につきまして、これは日本の自衛隊の飛行機だけではなく、他国の軍隊の飛行機まで離着陸の許可があるということになるではないかということになり、不安も覚えるわけであります。こういう離着陸の許可の関係につきまして、こうした問題点というものについて一体どうお考えになっておるのか。他国の飛行機だって来ても構わない、自衛隊だって構わない、先ほど冒頭に御説明になりました必要性があればよろしいということに尽きるのでしょうか、この点御説明いただきたいと思います。
  174. 永井浩

    ○永井政府委員 一般的なお話でございますけれども、こういった飛行場におきましては、その飛行機の種類あるいは性能等によりまして、たとえばこの飛行機はこの飛行場にはおりられないというような制限がございますが、そうでない場合は、どの飛行機でもおりられるというのが原則でございます。  ただ、私ども所管しております空港は、民間航空のための飛行場でございますので、その民間の航空を妨げるような形での使用は、これは着陸を許さないとかあるいは望ましくないということで処理するわけでございますけれども、原則としてはそういうことでございます。
  175. 山花貞夫

    山花委員 御説明、納得できない部分がありますが、時間の関係があるので、もう一つ伺っておきたいと思います。  基地機能、飛行場の機能強化という観点からですが、昨年のことですけれども、二地点間航空飛行ということにつきまして、新しいいわば民間の営利企業に対して飛行を許可したということがあったのではないでしょうか。この実情について御説明をいただきたいと思います。
  176. 永井浩

    ○永井政府委員 昨年、五十三年の三月でございますが、中央航空という不定期事業を経営しております会社に対しまして、不定期航空の中の一態様としての二地点間輸送、これは東京地区と新島との間の輸送でございますが、これを認めております。これは特に新島地区の人たちが非常に不便である、船でしか東京まで来れないあるいは大島まで飛行機で参りまして、大島から船で来る、こういった非常に不便だということで再三陳情がございまして、こういった二地点間の輸送を認めたものでございます。
  177. 山花貞夫

    山花委員 いまの利用実態ですけれども、現実に許可している回数あるいは営業内容などにつきまして、把握されておるところがありましたら、御説明いただきたいと思います。
  178. 永井浩

    ○永井政府委員 不定期航空事業でございますので、特にダイヤを決めて一日何便とかあるいは週何便ということではございませんが、五十三年の三月二十四日からこの二地点間輸送をやりまして、五十三年の十二月末までの数字でございます。約九カ月でございますが、六百二十一往復やっております。一日平均二・二往復程度でございまして、九人乗りの飛行機を使用しておりますが、この間約八千三百人の輸送を行っております。
  179. 山花貞夫

    山花委員 伺うところによれば、利用率は大体七〇%から七五%であると伺っておるわけですが、先ほどお話がありました新島の皆さんが不便であるという問題につきましては、かつて大島の空港が閉鎖された時期でありますけれども、人道上の見地から新島からの小型飛行機の離着陸を認めてもらいたい、こういう話が地元市町村にありまして、新島のたしか村の責任者の方もいらっしゃったりして、それでそういうお困りの事情ならば結構でございましょう、調布市の側がそういう回答をしたという過去の歴史はありました。  しかし、最近のこの二地点間飛行許可につきましては、地元市町村自治体としては全くつんぼさじきであります。すべてが運輸省の腹一つで、先ほどの海上自衛隊の整備工場としての恒常的な基地化についてもしかり、この二地点間航空についてもしかり、一方的に調布飛行場の機能というものを強めているということではないでしょうか。私たちは、そうした現状に対して大変不安を感ぜざるを得ないわけであります。先ほど申し上げましたとおり、飛行場ではない。飛行場ではない場外の離着陸場にすぎないこの調布の飛行場につきまして、日本で一番離着陸が多い。しかも、これまで明らかになった経過のとおり、年間十億円という地代を東京都に払わずいま運輸省の方が使っている、こういう状態の中で、予算の執行について、きょうは時間がありませんから省略いたしますけれども、保安の設備につきましても、こういう問題がありますから、昨年も未執行に終わっているはずであります。先ほど管制所その他についてお話がありましたけれども、最近ではそういう予算が未執行になって終わっているということであるとするならば、将来何らかの事故が起こる心配というものが大変残されている危険な場外の離着陸場であるというように言わざるを得ないのではないでしょうか。  なお、この問題につきましては、きょうは時間がありませんので、またの機会に譲りたいと思いますけれども、何としてもこうした問題については解決をしてもらわなければならないということだと思います。これまでの質疑の中から明らかになりましたとおり、地元の自治体、住民の意見というものを全く無視して一方的に運輸省が事を進めるということの解決であってはならないと思います。これまでの経過の中で国側が、運輸省の側が地元自治体に対して、あるいは住民に対して約束した約束事を尊重するという立場で、われわれは解決をしてもらわなければならない、努力してもらわなければならないと思うわけですけれども、そうした今後の解決の方向につきまして、私の申した見解についての御意見を承りたいと思います。
  180. 永井浩

    ○永井政府委員 いまの御質問にお答えする前に、ちょっと先ほど先生の方から規模が拡大しているのじゃないか、数字があったら示せというお話でございましたので、説明させていただきますと、いま私どもの手元に四十七年から五十三年までの着陸回数の数字がございます。おおむね年二万回前後でございまして、千数百回の前後がございますが、四十七年を例にとりますと二万一千八百七十七回、五十三年が一万九千六回、こういうことでございますので、私どもとしては、着陸回数は横ばいである、このように考えておるわけでございます。  それからこの空港につきましては、私どももいろいろ問題を抱えていることは十分承知しております。ただ、小型空港としてどうしても関東地区に必要である、東京近辺に必要であると私どもは考えております。そういった航空行政立場と、それから地元の立場と何とか調和してできないものだろうかということでございまして、先ほど申し上げましたような東京都の方の一つの御提案と申しますか、そういうものも私どもとしてはよりどころといたしまして、周辺の方の理解を得ていきたい、このように考えておるわけでございます。
  181. 山花貞夫

    山花委員 申し上げましたとおり、地元自治体あるいは地元関係諸団体、地元住民の希望を十分聞いて、一方的に既成事実の上に乗っかって横車を押すようなことはないようにしてもらいたいというのが私どもの希望でありますし、また問題が将来に少しわたるということであるとするならば、この過程におきまして、実は国有地の使用関係について地元住民の要求もいろいろありますので、その点については、運輸省になお御協力をお願いしたいと思う点もあるわけですが、あと質問が二つほど残っておりますので、以上の希望を申し上げまして、関連する次の質問に移っていきたいと思います。  大蔵省にお伺いしたいと思うのですが、先ほど来話題の中に出てきておりますこの基地が返還された後のことでありますけれども、都有地と国有地ということが区分として明確になりました。実は跡地利用の問題についてきょう伺うだけの時間がありませんので、これまでの質問の関連で一つだけ大蔵省にお伺いしておきたいと思います。  この跡地につきましては、従来のその基地炉解放された後の利用につきまして、なお地元を含めての関係団体の協議が続行中という今日の段階であります。一部都有地につきまして、地元市町村が運動場その他ということでお借りしているわけですが、五十一年の八月ごろ国有地の管理の必要性からということだと思いますが、バラ線などが張られまして、一般公道からこの運動場などに通行するに大変不便であるということから問題が起こりました。不粋なさくが国のなわ張り根性だなんということで新聞にも出た経過があるわけですが、われわれはこうしたことにつきまして、今日時点で解決できるところから解決していただきたい、こういうことで国有地を通過して都有地の運動場に行けるようにということで御協力をお願い申し上げました。地元の住民も署名などをしてお願いしたりした経過があるわけですが、ことしに入りましてから地元の自治体からも要請が出たと伺っておりますけれども、この運動場に通ずる国有地の使用につきまして大蔵省の特財の方におきましてもぜひ協力をしていただきたい、こう要請しておった件があるわけですが、この点につきまして、現状、手続がどうなっているか、伺いたいと思います。
  182. 高橋公男

    高橋説明員 お答えいたします。  御質問の問題は、米軍から返還になった旧関東村住宅地区のうち、都有地部分の一部を、これは先ほど先生が御質問になっておられました調布飛行場の西沿いの細長い部分及び南側の部分だと思いますが、その部分を東京都が地元調布市等に運動場として使用許可をしているという状況にあるわけですが、この運動場等と国道二十号線、甲州街道ですが、その間に同じ関東村住宅地区のうち国有地の部分、これがくさび状に介在している。そのために甲州街道から運動場への出入りをするためにはかなり迂回をしなければならないということで、国有地の一部を通路として開放してほしいという要望が地元から出ていた問題であろうと思います。山花先生からも地元の声として御要望いただいていた問題でございます。この問題につきましては、国有地である関東村住宅地区全体の利用計画の大綱を私どもは早急につくらなければならない立場にございまして、すでに国有財産中央審議会に諮問しているところでございます。いずれ地元地方公共団体の地元としての利用計画案がまとまるのを待って、大蔵省としていわば国の利用計画案を作成して、同審議会に御審議をお願いしたいと考えているところでございます。  そこで御質問の要望の処理についてでございますが、これを現時点で認めるということになりますと、跡地全体の利用計画の策定に先立って先行的に処理をするということになるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、全体の利用計画を策定するまで待てないかどうか、それから全体の利用計画の策定に支障を及ぼさないかどうか、それからこれを認めた場合に他の隣接国有地の管理等に支障が生じないかどうかというような点について検討してまいりました。ちょうど先ごろ、先ほど先生が御指摘のとおり、その問題の通過を要望されている国有地の地元である調布市から正式に要望書が提出されましたので、私どもといたしましては以上の諸点を踏まえながら同市と協議をいたしてまいりまして、つい二、三日前に同市の要望に沿って跡地全体の利用計画が策定されるまでの間、暫定的に一年更新で同市に通路に当たる部分を管理委託しようということを内定いたして、同市に連絡をいたしました。  今後のスケジュールの問題ですけれども、私どもは処理方針を決めた以上、できるだけ早急に処理をしたいと考えております。大蔵省と調布市との間で細かい条件を詰めて今後管理委託契約を締結することになりますが、この事務的な手続に要する期間を考慮しますと、遅くとも六月の中旬くらいまでには契約の締結にこぎつけられるのではないか、そのように考えております。  なお、契約締結いたしました後に、調布市としてこの通路の部分の門扉あるいは通路の両側の境界に金網のさくを張るというようなことになっておりますので、それらの工事のために若干の日時を要するのではないかと思います。そういう工事を終えた後、市民に通路として開放されることになると思います。  以上です。
  183. 山花貞夫

    山花委員 ありがとうございました。  時間がありませんので、もう一つだけ伺っておきたいと思うのです。行管の関係ですけれども、きょう話題となりました調布周辺の問題、調布とか多摩の関係でありますが、いわゆる手小荷物の配達の問題につきましてかつて地方監察がありまして、それに対する回答などがあったわけですが、これまた長年にわたって未解決のまま残されている現状があるわけであります。これまでの監察の経過と現状につきまして、ひとつ行管の方から御説明いただきたいと思います。
  184. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいまお話しの監察でございますが、私どもの関東管区行政監察局が実施しました、五十一年度でございますが、手小荷物取扱いに関する地方監察というのをやったわけでございます。御指摘の地域は大規模団地がかなりできました、急速に市街化している地域でございます。この中に手小荷物の配達区域外となっているところが少なくなく、これらの地域から配達区域に入れてくれという要望があったわけでございます。  それでいろいろ調べた結果、昭和五十一年八月十九日でございますが、関係鉄道管理局に改善意見を連絡したわけでございます。東京西鉄道管理局に、これは新宿を中心にして東京都の西の方を管理しているわけでございますが、当面、私鉄沿線のうち人口密度が特に高い調布市の配達区域外地域の解消を重点として、配達取扱駅等について陸運局及び私鉄と協議するようにというような所見を申し上げたことがあるわけでございます。  なお、その後国鉄の方から一応回答がございました。これは結局、小田急あるいは京王帝都というものと協議を続けてきて、それで京王線のつつじケ丘と、あの辺の団地の荷物取扱駅等のことについて速やかに協議の結果、結論を得たいというような回答があったわけでございます。  それで現在どうなっているかというと、調布市の未配達区域の問題については、国鉄側が京王、小田急両社に、三者でいろいろ分担してやっていこうじゃないかというような案を私鉄側に示しまして、私鉄側と交渉しているわけでございますが、まだいろいろな細かな条件でいろいろ意見がありまして、意見交換を実施していると聞いております。  現在の状況は、そのように私ども承知しております。
  185. 山花貞夫

    山花委員 いま御説明の中に多摩市の関係がちょっと抜けておったと思うのですが、この周辺市町村の場合には、東京都区内を含めましてほとんど手小荷物の配達が完了しているわけであります。いま御説明ありましたとおり、私鉄の協力も得て、通運業者の協力も得てというところもありますけれども、エアポケットのように調布全体の中のほんの一部だけが未配達になっている、多摩市は未配達になっているということから、地方監察の中でこの二市について指摘がありまして、監察の指導がなされました。  これに対して、いま御説明いただきましたとおりの回答がそれぞれあったようではありますけれども、実はこれは監察のしっ放し、回答のしっ放しではないか、われわれはそう考えざるを得ないわけでありまして、御説明のとおり大体国鉄当局も、われわれが行きますと、もうすぐできますよ、こう言います。私鉄に行きましても、小田急でももうちょっと待ってください、京王に行けばもうちょっと待ってください、しばらくたって行きますともう一息です、また半年ほどたって行きますともうちょっとです、協議がこれまた連綿として何年も何年も続いているということであります。  行管の関係に伺いましたら、監察をした後一遍回答が来れば一応それは信用するのだ、その後のアフターケアについてはなかなかできないというようなお話も伺ったわけですが、であるとするならば、行管は確かに指摘するのはいいのだけれども、後のほったらかしの現状につきまして何もできないということでは困るのじゃなかろうか、再度の監察あるいは後の処理につきまして何らかの指導的な役割りを果たしていただく必要があるのじゃなかろうかと思うわけであります。  実はこの問題、長年にわたって未解決のまま放置されている、しかも行政監察がきちんとなされて、回答もあるのに未解決であるということで、住民の不満も大変高まっているわけでありまして、行政管理庁の信用にもかかわる問題でもありますので、一体こういう問題についてはどうしたらいいかということにつきまして、本来の行管の監察の方向に向けての見解と方針というものを何とか打ち出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  186. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいまの御指摘でございますが、現在、地元の市並びに国鉄それから私鉄というのが寄っていろいろ協議を重ねている最中でございますので、私ども一応所見を表示しまして、その方向に沿って協議をしているわけでございますので、私どもとして現在すぐにまた何かを申し上げる、あるいは再監察をするということは考えてございませんけれども、その成り行きを見守っているわけでございます。  うまく解決しなかったならばどうするかということになるのでございますけれども、決して監察のしっ放し、勧告、所見の言いっ放しということに終わってはいけないということは、もう先生御指摘のとおりだと考えております。
  187. 山花貞夫

    山花委員 お話はわかるわけでありますけれども、ただ現実には延びて延びて、私が見たところではコストの関係もありますから、みんなお互いに荷物をほかに預けようということでありまして、これは運輸省の方にもできれば見解をお伺いしたかったわけですが、もう時間が二、三分過ぎましたので、終わりたいと思いますけれども、いまの状態では困るわけであります。  とにかく、広いたくさんの問題の中からこの問題をわざわざ地方監察で指摘されたということは、それなりの背景なり動機なり必要性の中から選んだ、そういう意味では非常にポイントの行政監察だったと思うものですから、再監察の問題なり、何とか実現のための方策について行管の方としてもひとつ御検討いただきたいと思いますし、これは国鉄の関係でありますので、運輸省の方のいろんな規則の関係も絡んでいるようでありますけれども、これは最後に要望しておきますけれども、こうした問題についてひとつ解決のためにそれぞれの省庁御努力をいただきたいということを要請いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  188. 藏内修治

    ○藏内委員長 新井彬之君。
  189. 新井彬之

    新井委員 大変遅くまで御苦労さんでございます。  まず、大平内閣行政改革基本姿勢についてお伺いをいたします。  昭和五十二年十二月二十三日、当時の福田内閣による「行政改革の推進について」という閣議決定がなされておりますが、これを引き継いだ形で昭和五十四年一月十六日「行政の簡素、効率化の推進について」という閣議了解がされておるわけであります。福田内閣閣議決定のタイトルは「行政改革の推進について」となっておりますが、大平内閣の場合は「行政の簡素、効率化の推進について」、こういうぐあいにまず異なっておりますが、タイトルが違っておるこの行革は、どういうことを考えているのか、またどういうイメージで進めていこうとしているのか、最初にお伺いいたします。
  190. 金井元彦

    金井国務大臣 一昨年の十二月の福田内閣行政改革についての閣議決定、かなり広範にわたりましていろいろな決定があったわけでございますが、大平内閣が昨年の暮れに発足をいたしまして、発足早々でありましたので、福田内閣で決めました閣議決定を踏襲をし、さらにそれに若干つけ加えるということでこれを継続していく、こういう考え方でそのことを閣議で再確認をし、発足をした、こういう形になっておるわけでございます。  したがいまして、現在やっておりますことは、福田内閣のときの閣議決定並びにそれに本年一月の閣議了解事項を加えたものを実行中である、推進中である、かように御理解をいただきたいと存じます。
  191. 新井彬之

    新井委員 福田内閣閣議決定大平内閣閣議了解を合わせたものをいま推進をしているんだということでございますが、大平内閣の場合においてもやはりこれは当然閣議決定をすべきではなかったかと思うのですが、その点はなぜ閣議了解になっておるわけでございますか。
  192. 金井元彦

    金井国務大臣 すでに閣議決定がありましたので、それをさらに進めていくということを意思統一をした、なお、その際に若干のものをつけ加えた、かようなことでございます。
  193. 新井彬之

    新井委員 そうしますと、福田内閣行政改革というのは、初めは非常に意気込んだ行政改革であったわけでございますが、それがだんだんとしりすぼみになって、閣議決定に出てきた分については、初めのやるということよりも非常に後退をしたように思うわけでございますが、大平内閣がそれに対して若干つけて、それを閣議了解にしたということにおきましては、非常に後退をしているというような見方でいろいろ言われておるわけでございますが、その後退をしているかどうかということについて、いかがお考えになっておりますか。
  194. 金井元彦

    金井国務大臣 福田内閣決定をしましたもの、それは継続して実行を進めておる次第であります。ただ、最初の一昨年の閣議決定というものがかなり華やかに打ち上げられまして、実際実行に移りました場合に、それを短期間に処理をするというに至らなかったわけでありまして、ある程度のものが引き続いて懸案事項として残っておる、こういう実情であったわけであります。  大平内閣といたしましては、とにかく決められているものの実質というものを実現をする、こういうことに重点を置いた、そのことについて閣議決定という機関意思を決めるというところまではいきませんでしたけれども、意思統一はそれによって、それを踏襲していくんだということを再確認をした、こういうことでございます。したがって、大平内閣になりまして後退をしたわけではなくして、その線に沿って進めておる、実質的な効果をおさめるべく推進中である、かように御理解をいただきたいと存じます。
  195. 新井彬之

    新井委員 大平内閣で言う行政改革が五十四年度の予算ではどのような反映をされているかということが一つです。  それから、五十二年十二月に福田内閣閣議決定をしたものは、年次の定まっているものもあれば、定まっていないものもありますが、それらの進捗状況はどうなっているか。  それから、五十三年度で未達成のものはどういう理由によって達成ができていないか、この点についてお伺いをいたします。
  196. 加地夏雄

    加地政府委員 ただいま大臣から申し上げましたように、現在におきましては、一昨年の閣議決定とこの一月に決定をいたしました閣議了解、この二つを合わせて実施をいたしているわけでありまして、最初に現在までの実施状況について御報告を申し上げたいと思います。  もちろん、五十二年の暮れに決定をいたしました閣議決定の場合には、五十三年度予算で具体化できるものは極力具体化をしてまいったわけでありまして、その五十三年度の実施状況と今日を含めて申し上げますと、一つは、大きく分けまして法律関係、法律事項にまたがる問題がございます。これにつきましては、御案内のとおり、昨年六件の法律案を御提案申し上げ、そのうち四件を成立させていただきまして、二件が今通常国会に継続になったわけであります。さらに、この一月十六日の閣議了解を受けまして、ただいま御審議をいただいております二件の法律案をお願いしているわけでございます。  そのほか、法律改正を要しない事項で政省令移行の問題でやっておりますのは、たとえば中央省庁の課、室、官の整理でございますとか、地方支分部局一千カ所の整理、こういった問題がございまして、これは着実に実施をいたしておりますけれども、なお一部支所、出張所の問題につきましては、百カ所程度が五十五年度に送られるという形になろうかと思います。  そのほか、特殊法人の整理でございますとか、あるいは事務、事業の整理というものを着実に進めておるわけでありまして、具体的に申し上げますと、特殊法人の合理化につきましては、現在十一法人につきまして整理合理化を実施中でございます。  それから、定員の削減の問題につきましては、これは四次計画の中で五十三年度、五十四年度引き続き着実に削減をやっております。  それから、新たにこの一月の閣議了解で追加された問題といたしましては、附属機関につきまして、六省庁十二機関の合理化を現在実施中でございます。  そのほか、政府事業の合理化でございますとか、あるいは補助金の整理合理化といった問題を着実に実施をやっておるわけでございます。  この二次にわたる改革方針で具体的に取り上げながら、まだ今日残っておる問題について御説明を申し上げますと、一つは定年制の導入の問題でございます。これにつきましては、御承知のように、現在、人事院で御検討をいただいており、その意見を待っておるわけでありますけれども、具体的にそういった意見が出された場合に備えまして、着実にいろいろな周辺問題を含めまして準備、検討を進めておるということでございます。  地方事務官問題については、御承知のとおり、運輸省の陸運関係の問題につきましては、昨年来道路運送車両法の一部改正という形で御提案申し上げておりますが、今通常国会に現在御審議をお願いしておる状況でございます。なお、厚生省あるいは労働省の社会保険、労働保険の問題につきましては、二年間のうちにめどをつけるということになっておりますけれども、現在、関係各省と協議を進めておるわけでございます。
  197. 新井彬之

    新井委員 これについてもいろいろ言いたいことがありますが、時間が余りありませんので、後でまたお話しします。  「省庁、部局等中央行政機構の、再編成についても、引き続き検討を進めるものとする。」ということになっておりますが、その後どのような検討がされておるのか、今後の取り組みについてどのように考えておるか、お伺いいたしておきます。
  198. 加地夏雄

    加地政府委員 中央省庁、部局の再編成の問題につきましては、一昨年の閣議決定の際に前福田内閣におきまして相当いろいろと議論をされたことは御承知のとおりでございますが、結果といたしましては、省庁レベルにつきましては結論を得るに至らなかったわけでございまして、部局の問題につきましては、先ほども申し上げましたけれども、農林省の特に水産行政部門につきまして、水産庁の部の設置という形で、農林省の設置法の一部改正という形でお願いをしてきたわけであります。  こういった省庁の問題あるいは部局の再編の問題というのは、御承知のように、行政組織のいわば基幹、基本になる問題でありまして、軽々に改編を行うわけにはいかぬわけでありますけれども、私どもは、今日依然としてこの問題は非常に重要な課題であろうというふうに考えております。昭和五十五年度の予算編成、これから各省におきまして概算要求をし、編成をしてまいるわけでありますけれども、私どもはそういった五十五年度の予算編成の時期においてさらに検討をしてみたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、地方支分部局の整理再編の問題、これは先ほど申し上げましたように、支所、出張所約千カ所の整理という方針が出ておりますけれども、五十三年度までに約六百、本年度、五十四年度予算におきましてさらに三百を予定いたしておりまして、約九百が実施済みになるわけでありますけれども、あと百カ所につきましては、五十五年度以降の検討にゆだねられるということでございます。  それから、ブロック機関、府県単位機関につきましても、五十二年の閣議決定におきまして四省庁十二機関といった一部のブロック機関についての整理方針決定いたしまして、すでに大半は実施しておりますけれども、この問題につきましても今後引き続いて検討する必要があるというふうに考えておりまして、これから特に監察局を中心にいたしまして、そういった出先機関の実態の見直しということで調査を続けてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  199. 新井彬之

    新井委員 課、室、官等の整理の内訳は、どのようになっておりますか。
  200. 加地夏雄

    加地政府委員 この課、室、官の整理も実は一昨年の閣議決定の中で決められたわけでありますが、中央省庁の課長級のポスト、全体として約五%、五十一のポストを二年間で整理をするという方針が決まったわけでありまして、これは着実に実施をいたしておりまして、五十三年度におきましては三十三、五十四年度予算におきましては残りの十八を整理する計画で現在実施をいたしておるという状況でございます。  そういった課、室、官整理内容がどうなっているかという問題でございますけれども、五十三年度の整理の状況を申し上げますと、三十三の整理の中で、課の整理が五、室の整理が三、二十五が官の整理でございます。
  201. 新井彬之

    新井委員 官の整理が比較的多いわけでございまして、これは非常に簡単にできるというようなことだろうと思いますけれども、やはりもっと課の整理を多くやった方がいいのじゃないかと思いますが、いかがお考えになっておりますか。
  202. 加地夏雄

    加地政府委員 この課、室、官五十一の整理につきましては、いわゆる一律論と申しましょうか、各省の規模によりまして一定の率で各省でそれぞれ整理をしていただくという方針をとったわけであります。したがいまして、各省で御検討いただいた結果がいま申し上げたような形になったわけでありますけれども、これは一つには、現在やっている課、室、官の行政事務の内容でございますとか、性格でございますとか、そういうことを各省において十分検討された結果こういう形になったわけであります。  ただ、確かに五十三年度におきましては、課の整理が少なくて、官の数が多かったということは事実でございますけれども、行政事務の内容、性格といったものを検討された結果としてこういうふうに出てきたということだろうと思っております。
  203. 新井彬之

    新井委員 先ほど答弁もありましたけれども、中央省庁とか部局等の中央行政機構の再編成、これは今後も検討するということにはなっておりますけれども、なかなか進まないということが一つありますね。それから、いまも話がありました課、室、官ですね、こういう整理につきましても、各省庁にお任せになっておるということでございますけれども、なかなかやりづらいようなところがあろうかと思いますが、そういうところをひとつてきぱきと見てあげるということが非常に大事なことではないかというぐあいに思うわけでございます。  それから、大平総理が当初言いましたチープガバメント、これは安上がり政府というよりもむしろ簡素で効率的な政府と受けとめてもらいたい、このように大平総理は言っているようでございますが、要するに、別の表現を使ったまでで、安上がり政府を目指しているということには変わりはないと思います。現状は、安上がり政府あるいは簡素で効率的な政府となっているかと言えば、いろいろな指摘をされている状況から見ると、そういうことにはなっていないというのが現状であろうかと思います。  それではどのようにして今後この目的を達成していくのかということが残るわけでございますが、一つ考え方として、アメリカのゼロ・ベース・バジェットという発想に基づく考え方を取り入れた行革を進めていくことも一つ考え方であろうかと思いますが、大平総理もこの考え方を行革の中に取り入れることについては肯定的であるというふうに聞いておるわけでございますが、行政管理庁長官としては、今後具体的にはそういう問題についてどういうお考えを持っておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  204. 金井元彦

    金井国務大臣 ゼロベース予算という考え方と同じように基本から洗ってやったらどうだ、これはできれば非常に望ましいことだ、私どももこう考えております。しかしながら、非常に広範多岐にわたる問題でございますので、私どもといたしましては、まず、各省庁に対しまして自主的に洗い直しをしてくれということを要望いたしておる次第でございます。  なお、また反面におきまして、私どもの方からこういうものについてはこうしたらどうだという考えを述べるという、両面でいったらどうか、こういう考え方を持っております。したがいまして、現在やっておることにつきまして、もう既定のものを少しずついじるということでなくして、基本的な検討というものは加えてまいりたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  205. 新井彬之

    新井委員 これはいろいろな考え方がありますが、これはやはり一番基本的な大事な問題ではないかと思うわけですね。だから、これは福田内閣にしましても、大平内閣にいたしましても、増分査定主義ということでいままでやってきたということに私は認識をいたしておるわけでございますけれども、ゼロベースの発想に立った行革というものの検討があわせて行われていかなければ本当の行革というものができないのではないか、こういうぐあいに私は考えるわけでございます。  だから、いまも答弁がございましたけれども、この前の福田行革のときも一応ゼロベースということを基礎にしてああいうものがある。それから、今回の大平内閣閣議了解にいたしましても、そういう考え方に立っているかと思いますけれども、まだまだ実際問題としてのそういう査定というものが非常に弱いように思うわけでございます。そういうことで、もう一度その点についてどのようにされるか、御答弁をいただいておきたいと思います。
  206. 金井元彦

    金井国務大臣 恐らく新井先生は、かなり大きく省庁の統廃合とかあるいは部局の削減とかというふうなことを念頭に置いてお話しになっているのではなかろうかと推察をいたすわけでございますが、省庁の統廃合というふうな問題は、これは軽々に持ち出すということは非常にむずかしいことでございます。しかしながら、これはやはり十分検討を加えてやるべきことである、こういう考え方で進めております。  したがいまして、ちょうど予算の査定においてゼロベースで物を考えると同じく、発想はさような考え方考えますけれども、予算の場合には、これは大蔵省が予算をつけなければ全然成り立たないわけであります。私どもの方の場合には、すでにあるものにつきまして話し合いをして、それの変革を求める、こういうことになる。若干行き方に相違があるものでありますから、発想方法は同じ考えでやりたいと思いますけれども、やる手段としては、そこのところに若干の相違が出てくるという点は御理解をいただきたいと思います。
  207. 新井彬之

    新井委員 昭和三十七年当時の、佐藤喜一郎さんを長とする佐藤委員会あるいは臨調等から提言がいろいろあったわけでございますけれども、臨調等が出されたときは高度経済成長時代の入り口に当たる時期であり、現在は国家財政の危機が叫ばれて、政府では盛んに増税を主張し、経済は減速経済下に入ってきておるのが現状であります。この傾向は今後長期にわたって続くことが予想されるわけですが、そういう新しい局面を迎えて、ここらでもう一度洗い直しをしなければ、行政管理庁や行政監理委員会等の位置づけにおいても考え直さないと、行政管理庁や行政監理委員会自体が行政改革の対象になりかねない、こういうぐあいにも考えるわけでございます。そういうわけで、そういう問題についても、よほど全体を洗い直して、国民皆さんがだれでも納得するような、そういうことでなければならない、こういうぐあいに思います。  そこで、行管が横並びの役所であっては非常にやりにくい、こういうふうな意見があるわけでございまして、会計検査院のように独立した役所にした方が、本来そういう問題についてどんどん指摘もできるし、変わるのではないかという提言がなされておりますけれども、現状のままでそれは十分やっていけるものかどうか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  208. 金井元彦

    金井国務大臣 ただいま、横並びの機関として行管があるよりも、むしろ会計検査院のごとく独立した機関になった方がやりいいんではないか、こういう御質問でございましたが、これは両方の考え方が成り立つのではなかろうか。独立機関である方が実効が上がるか、それともやはり閣内にあって——これはやると申しましても、結局は内閣としてやることになるわけでございます、大きなことは。その方がむしろ実効が上がるかという点については、私もちょっとにわかに断定を下しかねております。  ただ、現在はかつての高度成長の時分と違いまして、世の中は非常に厳しくなっております。そして簡素、効率的な政府を要望するという声も非常に強くなっておりますので、私どもは、やはりこの国民の要請にこたえるべくやらなければいけないのではないか、かような決心をいたしておる次第であります。  ただし、それじゃ何をすぐ具体的にやるか、こうおっしゃいますと、やはりこれについては相当の準備なり根回しも要るものでございますので、いま具体的なことを挙げるわけにはまいりませんが、決意におきましては、現在の行革に対する国民の要請が非常に強いということは十分含んでやってまいりたい、かように考えております。
  209. 新井彬之

    新井委員 確かに、内閣行政改革なら行政改革をやりますということで一つ方針を出すわけでございますけれども、その方針を出す一番のデータを持ち、こういうところは直さなければいけませんというのは、行政管理庁がしっかりしておらなければいかぬということであります。したがいまして、長官が、これはやはりむだを省いて何とかしなければいかぬというようなことでいろいろなことを提言して、五%削減であるとかいろいろなことをやるわけですね。  ところが、現実の各省庁はなかなかそうはいかぬというような実態があるわけでございますので、よほどこの行管庁そのものが強い立場といいますか、やはり本当にそうだなというだけのものを持ってやらなければ、これは進むわけなんかあるわけないわけですね。だから、幾ら閣議決定をしようとしたって閣議決定ができないくらい、各省庁の長と言えばみんな大臣でございますから、その大臣が、いや自分のところをそんなに削られたのでは仕事ができないと言えば、これは閣議決定一つできないというのが現状であるわけです。会計検査院とか、そういうようなほかの立場国民の世論に訴えてでも変えていくのだという形でなければ、これはやはり私は現実問題としてやりづらくてできないだろうというように考えるわけでございまして、そういうこともお含みおきをいただいて、そういうことで全力を挙げてやっていただきたい、こういうぐあいに思うわけでございます。  それから、行政改革を行うについては、行政の経済性というものが当然考えられなくてはならないわけであります。役所の仕事と普通のマーケットシステムにのっとっている企業との間に、能率の上でどのくらいの差があるか、どの程度のむだ遣いがあるかということがよく指摘されているわけでございますが、そういうことを試算をされておりますか。
  210. 加地夏雄

    加地政府委員 先生御指摘のように、公務部門の仕事と申しますか、行政機関の仕事は、民間と比べて非常に性格が違うわけであります。民間企業におきますと、利潤の追求とかあるいは市場競争原理というものが働くわけでありますけれども、一方、公務部門で取り扱っております問題は、国民の福祉でございますとか国民生活に非常に密着した行政事務でございまして、その意味では、そういった民間企業に働く原理よりも、公平性でございますとか確実性でございますとか、そういう形が通常働くわけでございまして、その意味においては確かに民間に比べて能率が落ちるという御指摘もあろうかと思います。  ただ、そういった公務の性格は別といたしまして、やはり公務部門におきましても積極的に能率の向上に努め、行政事務を簡素にして効率な形で運営する必要があるわけであります。そういった公務部門の中でも、御承知のように現業部門におきまして、やや民間に近い現業的な仕事をやっておる部門もございますけれども、そういった意味で民間との能率の対比というのは、御指摘のような測定できるというものではまずないわけでございます。ただ、やはりそういった能率化、簡素化を図るために、現実には私ども毎年度の組織の査定なり増員要求の査定の際には、そういった実務の内容を十分考えながら、極力能率的な形でされるような知恵をいろいろ使いまして審査をやっておるというのが実情でございます。
  211. 新井彬之

    新井委員 一昨年、NHKの経営委員で朝日新聞社社友の吉武信氏が、ある雑誌の対談で次のようなことを言っておるわけです。   私は今日座談会があるからというので、ちょっと見てみましたら、面白い数字が出てました。臨調の調査報告が出ましたね。あれの序文に佐藤喜一郎さんが、当時の三井銀行の会長が書いておられて、一体いまの状況に応じてむだは幾らかということを臨調で調査させた。試算を出させたら、一兆円だというんですね。五千億だという人もありますけれども、私の方の数字では一兆円に出たと、こういうことを書いておられたんですよ。そのときの予算が幾らかというと、四十二年度の予算が、四兆九千億なんですよね。その前の四十一年度が四兆三千億。案外ふえてませんね。五兆円の一般会計の中で一兆円というと、五分の一でしょう。いま二十八兆五千億の中に仮に普通の民間会社に比べて、五分の一のムダがあるといいますと、五兆七千億のムダがあるということになりますよ。数字だけの話ですが。公害行政、福祉行政、いろんなものが出てきておりますから、行政がふくらんでいる理由もありますけれども、民間育ちのものから見ればムダがある。そのムダは一体どの程度だということは、こちら側としても一つの議論の問題になると思うんですよ。 こういうぐあいに述べているわけでございますが、こういうことを御存じでございますか。
  212. 金井元彦

    金井国務大臣 ただいまのことは伺っております。いま御指摘のように、政府のやっておること、これについて民間と比較した場合に相当非能率あるいはむだがあるのじゃないかという点については、これは世間で広く言われておることでありまして、私どもとしては、よほど戒心して当たらなければいけない、かような考えを持っておる次第であります。  ただ、佐藤臨調会長が長年にわたって調査をされまして、ああいう非常に膨大な答申を出されたわけでございますけれども、ああいうものをまたやるということ、これはなかなか容易なことではございません。しかし、その時分から見て非常に改善されておるという証明もないわけでございまして、私どもはそういう点については、こういう御時世に処して、よほどその点は引き締まっていかなければならぬのじゃないか、また行政の簡素、効率化についてもさような見地に基づいてやるべきでなかろうか、かように考えておる次第であります。
  213. 新井彬之

    新井委員 確かに民間企業と比べろと言いましても、先ほど答弁がありましたように、非常に比べにくい面があるわけですね。では、どういうところが比べにくいのかというようなことも明確にして、そして比べられるものは比べていったらいいじゃないか、こういうような意見もあるわけでございます。そういうわけで、実際問題そういうことの内容も何もしない、行政管理庁なんというものがあること、これ自体がもう行革の対象ではないか、そういう何もやらないようなむだな省をなくしていかなければいかぬのじゃないかというような意見まで出てくるのが現状にあるわけでございますね。  したがいまして、行政管理庁の方は一生懸命におやりになっていることはよくわかりますし、努力されていることはよくわかりますけれども、やはりそういうような問題が出てきた場合に、全体的にはできにくい場合がありましても、できるものは一つの比較として出す。まあ確かに配置転換するにしても配置転換がしにくいとか、あるいはまた首切りなんかでもやりにくいだろうとか、いろいろのことも指摘をされておるわけでございます。そしてまた逆に非常に忙しい役所、たとえて言いますと、登記所とか入管とか保護観察、こういうようなところはめちゃめちゃに忙しくて、もっと本当に人がいなければ十二分に国民皆さんにこたえていくことができない。こういうようなところから食糧事務所だとか食糧検査官、そういうようなところは本当に忙しくない。非常にアンバランスがございまして一概には言えないわけでございますけれども、そういうものを、さっきも私はゼロベースから見ていくのだということを申し上げましたが、予算の面におきましても人員の配置の面におきましても、当然仕事量とその人員の適正な配置があってこそ、国民皆さん方にそれだけちゃんとおこたえすることができるのではないか、こういうぐあいに考えるわけでございます。  それからもう一つ行政機構や人員を減らすということについては、そのまず第一の条件は、前提となりますことは行政事務を減らすことであります。行政事務を減らせば自然に機構も人員も減ってくるわけですから、行政事務をそのままにしておいて人員や機構を減らそうとしても、そこにはおのずと無理が生じますし、行革のまず第一番は行政事務を減らすことに最重点を置かなければいかぬ、こういうぐあいに指摘もされているわけでございます。今回、許認可等整理、これが行われようとしておりますけれども、まだまだ非常にやりやすいことしかやっておりませんし、大した内容のものはないのだというような指摘があります。こういう許認可の整理におきましても、もっと大胆にやっていくようなことをしなければならないと思いますが、いかがお考えになっておりますか。
  214. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 許認可のお話でございますので、私からお答えさせていただきます。  今回の法案でございますけれども、過去九回にわたって同種の法案を国会にお願いしまして、審議をしていただいているわけでございます。各省庁の重要な施策あるいは制度の基本的な部分に及ぶものはこの法案には盛り込まないように配慮をしてまいっておるわけでございます。それで、この法案自体、国民の負担の軽減あるいは行政事務の簡素化、こういう点から一括整理することが可能であるというようなものをこの法案に盛り込むことが適当であるという観点からやっておりますので、やはり比較的事務的な事項が多くなるということでございます。  いずれにしましても、国民の負担の軽減と行政事務の簡素化を目指しているということは同じでございますけれども、許認可整理法案に限って言えばいま言ったような事情があると私ども考えております。
  215. 新井彬之

    新井委員 さっき私が言いましたけれども、むだ遣いの問題ですね、要するに行政のむだという指摘をされていることについて、これはもう何らかの形で全体でなくてもいいから国民皆さんに、いやそうはなっておりませんということを明確にしなければいかぬということが一つありますね。  それから、非常に忙しい役所、比較的暇な役所、本当に暇な役所、そういうようなところも、こうなっているということをやはり明確にしなければいかぬだろうと思いますね。その上に、今度は行政改革を進めるというならば、事務量をいかに合理的に減らしていくか、こういうものがミックスされないと本当の行政改革はできないのじゃないか。ほっておけばだんだんふえるというのが組織でございますし、人であるということは法則でも明らかになっておるわけでございますから、そういう問題について一遍答弁を聞いておきたいと思います。
  216. 加地夏雄

    加地政府委員 行政改革なり、あるいはむだをなくするために事務の整理をやるべきであるという御主張でございますが、全く私どもも同感でございます。行政改革を進める場合にいろいろな手法がございますけれども、確かに一番オーソドックスな方法は、そういった事務、事業を十分吟味いたしまして、それを整理した上で機構なり定員を整理していくということでございますが、なかなかそういった方法だけでは行政改革はできないものでございますから、いわば一律的な形でもやっておりますけれども、少なくともそういった事務の整理をやるべきであるという点については全く必要でございまして、行政改革計画の中でも事務、事業の整理ということで、先ほども申し上げましたように許認可の整理でございますとか、今回はさらに法令の整理あるいは報告の整理、こういった関係で事務の簡素化、こういう形を極力進めていっておる状況でございます。
  217. 新井彬之

    新井委員 それから先ほども答弁で出ましたが、特殊法人というのは現在百十一ございますね。その中で十一法人を切っていくと言われておるわけでございます。この特殊法人が今後も整理されていくということで資料もいただいておるわけでございますが、どうですか、これから整理できますか。
  218. 加地夏雄

    加地政府委員 特殊法人の整理合理化の問題につきましては、これは一昨年の閣議で、先ほど御説明申し上げたような決定もいたしておりますし、さらにこの一月の閣議了解におきましても、そういった整理合理化を進めるとともに全体の特殊法人の見直しをいたしまして、内部の事業でございますとか事務でございますとか組織についても再検討し、その実態調査を見た上で整理合理化を進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  219. 新井彬之

    新井委員 特殊法人の整理行政改革後退ぶりを見ていきますと、まず、昭和五十年四月二日の行政監理委員会の提言では四十四法人を整理再編成、五十年十二月十八日の自民党行財政改革特別委員会方針を出しておるのは、三十七から八法人を統廃合、全体の三分の一を統廃合する、五十年十二月二十五日の行政管理庁の計画案では二十法人を整理、五十年十二月三十一日の閣議了解では十八法人を整理、五十二年六月十一日の行政管理庁の改革案では六法人を整理、五十二年七月二十四日現在までに廃止が決まったものが三法人のみ、こういうぐあいにずっと後退をしているわけでございます。  それで、昭和三十年に三十三しかなかった特殊法人が現在は百十一にもふえておるわけでございますが、このように特殊法人が乱立されてきた背景を大臣はどのようにお考えになっておるか、まず初めに、お伺いしておきたいと思います。
  220. 金井元彦

    金井国務大臣 特殊法人が昭和三十年代からずっとふえてまいりまして、たしか昭和四十二年が最南であったと思うのです。そのときは百十幾つかになったと思いますが、それ以来これを減らすことに非常に努力してまいった。これは新たにできる法人、必要に応じてつくらなければならぬ法人もございますので、その間に入り繰りが出てきておるわけでありまして、総数におきましていまのところ、昭和四十二年から減り方は少のうございますけれども、その間にある程度のものが増加し、ある程度のものが減った、その差が出ておるわけであります。特殊法人を改廃するということはかなり困難を伴う問題でありますけれども、それだけに努力をしてまいった、しかし、今後ともこの困難をさらに乗り越えてやっていかなければならぬ、かように考えておる次第であります。
  221. 新井彬之

    新井委員 特殊法人、どうしても必要なものもございますし、本当は統廃合してしまった方がいいのも大分あるわけですね。だから、きょうはどれがいいとか悪いとかという議論はいたしません。いたしませんが、特殊法人というのは悪くても結局なかなか廃止できないということは、どういうところから来ているかということについて、いろいろの方が提言をされているわけでございます。  昔は、事務次官を十年ぐらいやっておったようでございますし、局長も五年や十年はやっておった、こういうことでございますが、いまは事務次官が一年から一年半、局長も一年から一年半ぐらいでやめてしまう。そうしますと、一人の事務次官ができますと、同期の局長が全部退職するというような慣例があるようでございます。そういうわけでございますから、五十三歳から五十五歳ぐらいまでの方、これから本当に仕事をしなければいけない、これから本当にお役に立たなければいけない方が退職してしまう。  そういうことになりますと、各省では、これらの退職者にもっと働いてもらわなければいけない、遊ばせておくわけにもいかない、こういうことで、各省庁の息のかかった民間企業への天下りには限度がありますし、甘いものではありますが、国家公務員法百三条の規定によって、人事院の承認が必要という制約もあるわけでございますから、どこかにさばかなくてはならない、特殊法人をつくってそこにはめ込むしかない、そこで新設法人の役員のポスト一つをめぐって関係省庁が分捕り合戦を演ずるのも当然のことである。そして、昭和三十年の三十三特殊法人が百十一にふくれ上がっておるのが現状である。  昨年出された政労協の天下り白書によれば、報告のあった六十五法人の全役員数は三百九十七人で、内三百十五人が天下り役員で実に七九・三%の占有率を持っており、前年より二・八%も増加をしている。逆に民間からの登用は九・一%しかないのが実態であるという結果が出ております。五十歳前後と言えばまだ働き盛りであり、多年蓄積した知識もある。それを退職させてしまうというのは、人材の使い方としては非常な不経済である。民間会社でも五十五歳定年制をとるところは減りつつあり、五十七、八歳定年制が増加の傾向にあります。したがって、定年制を仮に六十歳ならば六十歳に引いて、だれが次官、局長になっても同期生はできるだけやめさせない。官僚の知識や経験は国民の税金によって蓄積されたものであるから、官庁で国民のために大いに奉仕をしてもらい、天下りは例外なのだという意識の変革とともに、行政の力でそのような方向に持っていくべく方策を講ずべきである、こういうような意見があるわけでございます。こういうことについてどのようにお考えになっておるか、お伺いしておきたいと思います。
  222. 加地夏雄

    加地政府委員 確かに先生御指摘のように、公務員を長年やりまして、退官後特殊法人に流れていくという例は相当多いわけでありまして、御指摘のように、それはむしろ政府部内にとどまって積極的に活躍をさすべきではないか、こういう御提案でございますが、私どもも、その御趣旨におきましては全くそういうことであろうかと思います。ただ、やはりある年齢に達しまして退官した場合に、そういった役人、公務員の期間中に経験をした経歴を活用して特殊法人に行って、再びそこで業務をやるというのが現状でございまして、そういった一つの公務員としての高い見識を持った方々がそういう特殊法人に行っているのが普通であろうかと思います。  ただ、天下りの問題につきましては、いろいろ厳しい御批判もございますけれども、そういった適材適所で経験を生かし、活用していくということも私どもは必要であろうというふうに考えておりますが、そのために、結果として世間の批判を仰ぐようなことがないようなことは十分考えていくべきではないかということで、行政改革の一昨年の閣議決定に当たりましても、こういった特殊法人の役員の選任の問題につきましても閣議決定をいたしまして、そういった趣旨のことを決めた次第でございます。
  223. 新井彬之

    新井委員 これはやはり基本的にそういうようなことも考えていかないと、国家的な損失にもなるということもあるわけでございます。人生わずかに五十年という、昔は五十年が平均寿命ですね。たとえて言いますと、いまは男性が七十二・六歳ですか、そういうことになっておりますけれども、五十年のときの定年制というのは——定年制といいますか、働いていたのは何年だと思われますか。何年まで働けたと思いますか。もう一歩進めれば、いまの公務員の方が大体五十三歳から五十五歳ぐらいでやめられますね。それはずっと昔へ戻っていけば大体いつごろに決められたことだと思いますか。
  224. 加地夏雄

    加地政府委員 私も実は役人、三十年近くなるわけでございますけれども、私どもが役所に入った当時のそういった局長なり次官がおやめになる年齢、それと今日とを比較いたしますと、確かに十年近く長くなっておるのではないかという気がいたします。  したがって、公務員全体につきましては、勧奨退職年齢というのが各省通じまして大体平均五十七、八歳ということでございますが、局長、次官をやって公社、公団に行くというふうな場合には、確かに五十三歳、五十四歳でやめている場合が多いわけでありまして、これはやはり一つの戦後の現象であろう、こういうふうに考えております。
  225. 新井彬之

    新井委員 いや、私の言い方がちょっと悪かったと思うのですけれども、大体役所におきましても、また民間におきましても、とにかく一つの会社で一生働けたということですね。ところが、寿命がどんどん延びたわけですね。七十二歳に現在なっておりますね。そうしますと、当然五十歳でもお体が悪くて働けない方もいらっしゃるでしょう。そういう方はやはり年金とかいろいろな社会保障制度においてそれを補わなければいけませんけれども、現実に元気な人が家にいたからといって、楽しくも何もないわけですね。何かやはりやっておきたい。まして自分がそれだけの力がある人であれば、どこかに行って、自分のためだけじゃないんですね、社会のためにも国家のためにもお役に立つということは非常に喜ばしいことであるわけです。  そういうわけでございますから、当然そんな五十三歳とか五十五歳で有為な人材がやめていくこと自体、それはよそへ行ってどんどん活躍の場があったらいいですよ。しかし、五十三歳あるいは五十五歳に来たときまでの知識の蓄積というのは、あくまでも国民の税金によって、それだけの知識の蓄積ができておるわけでございますから、それがよそへ行くということもいいことだけれども、もう一歩進めていけば、やはり国民皆さんにいよいよこれから奉仕するんだということの方が大事じゃないか。  したがいまして、これは行政管理庁だけではございません。定年制の決定とかそういうような問題については、大きな全体的な問題でございますから、あれでございますが、それの歯どめをかけるということになれば、当然やはりそういうような問題で、その有為な人材が、逆にいけば、じゃどこで社会のため、国家のためにやってくれているんだというような考え方をしなければいけないですね。それを法人に行ったからいけないとかいいとかいうんじゃなしにやっていかなければいけない。  ただ、私が言いたいことは、内容的に見て統廃合しなければいけないような法人があるわけですね。もう昔は本当に必要だったんだ、それでつくってみたけれども、いまはその内容をこういうぐあいに変革しなければいけない、あるいはこういう形に改組してやっていったらもっと力が出るだろう。ところが、一回でき上がった一つの法人というのは、どうしてもやはり一つの型といいますかそれをつぶしたりつくったりするということは大変な力が働くわけでございますから、そういうぐあいにうまくいけばいいんだけれども、なかなかうまくいかないわけですね。  そういうわけで、私はその方々にもっと働いていただくために、この一つの法人なら法人というものがこういうわけでもういまは逆に人件費だけに食われて、そういう仕事は余りないんだという場合に、やはり新しい分野において、こういうことでひとつ社会のためにも国家のためにも働いていただきたいといって、まあ本当に役に立つ法人をつくるということも結構でしょう。それと、もう一つは、そういう方々がまたほかの立場で働けるようなことをめんどうを見てあげることもいいことじゃないか、こういうぐあいに思っているわけでございます。  そこで一つの解決案としては、こういう方々がやめないように、そして本当に力を発揮してもらうようなことを考えていかなければいけないんじゃないか、こういうぐあいに思っておるわけでございますが、その点については、いかがでございますか。
  226. 加地夏雄

    加地政府委員 非常にごもっともな御意見と私ども承りましたが、これを御指摘のような形で抜本的に解決するためには、現在のそういった幹部公務員の採用、任用の問題でございますとか、あるいはもっと別の見方をいたしますと、公務部門というものをもう少し広げて考えた場合に、特殊法人もこれまた政府機関でございまして、要するにそういう政府職員あるいは政府機関職員全体を通じて考えるという考え方もありましょうし、そういった基礎になる条件で非常にむずかしい問題がいろいろあろうかと思いますけれども、御指摘のような点は十分考えてやっていくべきではなかろうかと思います。  もちろん、私こういうことを申し上げましても、こういった公務員の定年制の問題でございますとかあるいは人事、任用の問題というものにつきましては、直接に権限を持っておるわけではございませんで、ただ、せっかくの先生の御提案でございますので、いま承りました範囲におきまして私の考え方を申し上げたわけでございます。
  227. 新井彬之

    新井委員 アメリカでは、官僚はどうして予算を取ってくるかということよりも、むしろ予算の削減の方に相当働くが、日本では逆だという批判も聞くわけでございますが、官僚の上の方は予算の分捕り、下は能率を考えないという批判がされておるわけでございます。この機構をどうやって直していくかということになるわけでございます。そういうようなところも本当に考えていかなければいけないと思うのです。  私も、まだ学生時分だったですか、何か講義で聞いたことがありますけれども、いままで確かに日本の官僚というのは予算を幾ら取ってきたということで非常にあれがあったのですけれども、アメリカのGHQが来まして、そういうことで金を使うと言ったら、そんなことをしたら納税者が黙っていないだろう、だから、それはだめだぞということを再三にわたって言われた、こういうわけですね。だから、やはり一つのお金を使うにいたしましても国民に還元をしていくのだという形で物事を考えなければいけない、こういうことを私非常に感ずるわけでございまして、これも行政改革一つの非常な大事な柱じゃないかというぐあいに思うわけでございますが、そういう面については、いかがお考えになっておりますか。
  228. 加地夏雄

    加地政府委員 いまアメリカの役所の例を出されまして、日本の役所における実態というものをある意味において御批判されながら、それに対する対策を考えるべきではないか、こういう御指摘でございますが、確かに、これは日本の予算制度あるいは予算の執行制度、そういった全般にまつわる問題でもあろうかと思いますけれども、基本的にはやはり日本の公務員は仕事好きと申しましょうか、与えられた職務の中で最大限に予算を取り、仕事をやっていく、こういうこともあろうかと思っております。そういう面では必ずしも悪いことではないわけでございますけれども、やはり予算の執行の面におきましても、そういったいろいろなことを考えて、改善をしていくべきであろうというふうに考えております。
  229. 新井彬之

    新井委員 いまの問題は大蔵省にもちょっと後で答弁を願いたいと思うのです。  これは例がいいのか悪いのかわかりませんが、戦前の予算というのは、人件費に対するボーナスとかそういうものは一切入っていなかった。そこで、とにかく一括の予算をもらっていろいろ仕事をして、いろいろの経費を節減して、事務経費なんか非常に節減して、そうしてその残った予算でボーナスが出た。こういうわけですから、一生懸命にみんなは経費節減とか、何とかボーナスもふやさなければいけないということでも努力されたということを聞いておるわけでございます。  それ自体がいいことだったのか悪いことだったのか、ちょっとわかりませんけれども、いまは一回各省庁で予算を取りますと、その省庁で予算を余らせた場合は来年度の予算に影響する、だから、どうしてもことしはこれの分はこれで全部使って、来年はこれだけ要るんだということで言わないといけないから、予算が余ろうとすると出張だということで、みんなとにかく出張へ行って金をなくしておけということにもなりかねないというようなことにもなっておるようでございます。要る費用は、やはり当然使わなければいけません。けれども、そういうようなことについて、大蔵省はさっきの問題と、こういう問題についてはどのように見ているのか、答えていただきたいと思います。
  230. 公文宏

    ○公文説明員 いま新井委員の御指摘になりました予算の編成のシステムを変えていくべきではないか、あるいは予算編成の考え方をもう少し改善をしていくべきではないかという御指摘でございます。  先ほど行政管理局長の方からもお答え申し上げたことと全く同じでございますけれども、いまの予算編成のプロセスと申しますのは、やはり国民各位が抱いております財政に対する需要、財政に対する要請、そういうものを調整しながら一つの予算につくり上げていくプロセスでございまして、そういう意味から申しますと、これはアメリカも日本もほかの国も同じようなプロセスを通じて予算編成をやっていくということでやっておるわけでございます。  ただ、いま御指摘ありますように、やはりどこの国でも多かれ少なかれ同じような形でやっておりますそのプロセスの中で、いかに効率的な予算編成をやるかということではないかと思います。その点につきましては、私どももいろいろ努力はしているわけでございまして、たとえばスクラップ・アンド・ビルドの原則を徹底するとか、それから概算要求を各省からいただきます場合にも、できるだけその枠を厳しくして、各省の中で優先順位の選択をやっていただく、そういうような問題をいろいろな形でお願いをしているということでございます。     〔委員長退席、竹中委員長代理着席〕  それから、昔は、給与と申しますかボーナスについて、努力をして余った場合には、それをボーナスに回したという例を御指摘でございます。確かにそういうような面が昔はあったように私どもも聞いておるわけでございますが、いまは先生御承知のように給与制度がきちっと法律で決まっております。そういう形でのボーナスの還元というのは制度上むずかしいというふうには思いますけれども、先生の御指摘は、要するに何か工夫をしながら予算の効率的な執行を図れということだと思います。その点につきましては、私ども今後とも努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  231. 新井彬之

    新井委員 まだたくさんありますが、もう時間が来ちゃったので、これを聞いておかないといけませんので、次に、法案の内容について若干聞いておきたいと思います。  附属機関地方支分部同等に関する規定整理等に関する法律案の方でございますが、この法案のメリットは何でございますか。
  232. 加地夏雄

    加地政府委員 御提案申し上げている法律案は、御案内のように、現在、地方支分部局、いわゆる国の出先機関でございますとかあるいは附属機関につきまして各省の設置法でいろいろ規定をされておるわけでありますけれども、その規制の内容が非常に区々であるという実態がございまして、そういったいわば規制の整序をやるというのが一つのねらいでございまして、それをやることによりまして、一方におきましてやはり今日の社会、経済情勢の変動に対応しまして行政組織も流動的、弾力的に対応する必要があるわけでありまして、そういった行政組織のいわば合理的な再編成の基盤を整備する、こういうのが内容でございます。  メリットはどうかということでございますが、たとえば、いままでの例で申しますと、ある省の設置法におきましては附属機関の位置が変わるだけで一つの設置法の改正を一々やらなくてはいけない、こういうふうな問題もございます。それからもう一つは、新しい行政需要に対応いたしまして新しい機関を設置するという場合に、スクラップ・アンド・ビルドと申しましょうか、そういう合理的な再編がやりやすくなる、こういった点が今回御提案申し上げておる法律案のメリットであろうかというふうに考えております。
  233. 新井彬之

    新井委員 では、一番目の答弁のありましたメリットの方なんですが、この法律案昭和四十八年に仮に成立されていれば、純法律的には、提出された法案がこの委員会で一体何本少なくて済んだことになっているわけですか。
  234. 加地夏雄

    加地政府委員 具体的な本数はちょっといま調べておりますけれども、先ほど申し上げましたように、附属機関の位置だけの変更でございますとかあるいは出先の出張所の設置のために設置法改正という形で国会にお願いをしてまいりましたのは相当な件数になろうかと思います。御指摘の四十八年以降何件になるかというのは、いまちょっと計算しておりますけれども、後ほど御報告申し上げたいと思います。
  235. 新井彬之

    新井委員 これは、行政管理庁から聞いていろ答弁では、四十八年に法務省が一本ですね。それから五十二年に農林省が一本、五十三年に科学技術庁が一本で、計三本になると思いますが、いかがでございますか。
  236. 加地夏雄

    加地政府委員 四十八年の場合は、確かに四十八年の国会にお願いをいたしましたのは法務省の設置法一件でございます。それから、四十九年におきましては運輸省設置法一本、それから五十二年で農林省設置法の改正でございますが、それから五十三年度は科学技術庁の設置法と法務省の設置法でございます。したがいまして、五本ということになろうと思っております。
  237. 新井彬之

    新井委員 そうすると、四十八、四十九、五十、五十一、五十二、五十三、五十四、七年、まあ六年としてもいいですね。六年間で五本ですね。そうしますと、別にこの法律案が通ろうと通るまいと、きちっと設置法を出していただいたら、そんなに遅れるとかいうことには余りメリットがないのじゃないか、こういうぐあいに思いますが、いかがでございますか。
  238. 加地夏雄

    加地政府委員 四十八年以降、御指摘のように、ここ数年間の問題はそうでございますが、今後考えられますのは、たとえば各省の附属機関の中で今後も筑波への移転とかそういった問題、十分ございましょうし、それから問題は、ですから、確かに全体としての件数から見ればそういう御議論があろうかと思いますけれども、そういう位置の変更だけで設置法の改正をやっているというのは、実はごく限られた省庁の設置法でございまして、通常の場合でいきますと、この法案に盛られておる問題の、たとえば内容によりましては、ほかの多くの設置法の中ではすでにそれは法律事項ではなくて政省令で行われている例が相当多いわけでございまして、そういった各省間の設置の規制のアンバランスを是正しようというのが主たるねらいでございます。
  239. 新井彬之

    新井委員 なぜ府県単位機関を政令にして、地方のブロック機関は法律に残したのかということでございますが、いかがでございますか。
  240. 加地夏雄

    加地政府委員 ただいま申し上げましたように、現在、各省の設置法で規制をされておるその方法を統一的にしよう、こういう基本的な考え方考えたわけでございまして、現在、都道府県単位に置かれている機関とブロックに置かれている機関の設置形式を見ますと、各省設置法でまいりますと、府県単位機関では大多数が政省令移管になっておる。ところが、ブロック機関につきましては、ほとんどが法律事項になっておるということであります。  そういう実態はなぜかということでありますけれども、御案内のとおり、府県単位機関に比べまして、ブロック機関というのは国の行政機関のいわば基幹になるものでございまして、非常に重要な広域的な行政事務をやっておる機関でございます。私どもはそういった実態を十分考えながら、今回、都道府県単位機関は全体として政省令移管になっている実態に合わせよう、こういうことでございまして、そういう不均衡是正という観点からの整序でございますから、国の重要な行政機関の骨格になっておるブロック機関、しかもそれは現在ほとんどが法律になっておりますが、そこまで今回手をつけるというのはもともと立案いたしました趣旨を超えた問題でございまして、もしそういうところまでの改革考えるならば、当然それは国家行政組織法の改正、こういったことでお願いすべき性質のものではなかろうか、こういうふうに考えたわけでございます。
  241. 新井彬之

    新井委員 いまの答弁では、現行の各省庁設置法においては附属機関や地方支分部局に関する規制が横並びに統一されていないからそれを統一するものである、こういうことになっていますね。それなら、農林省設置法では営林支局を法律事項で残しておりますね。これはどういうことですか。
  242. 加地夏雄

    加地政府委員 御指摘の農林省林野庁の北海道におきます営林局の支局の問題、これは非常に生々しい問題でございますが、昨年、農林省設置法の一部改正の際に、当委員会において国会修正をされた経緯がございます。たしか当時、農林省の案では、支局にした場合にはそれは省令設置という案であったと思いますけれども、当委員会、国会の御意思として、法律上設置なり所掌事務を書く、こういうことに御修正をいただいたわけであります。したがって、内容的には、従来の営林局に近いいわば準ブロック機関的な御判断をいただいたのではなかろうか、こういうことで、今回はむしろ府県単位機関という形ではなくて、準ブロック機関、こういうことで今回の改正案の中には入れなかったわけでございます。
  243. 新井彬之

    新井委員 これは非常に苦しい答弁だと思いますが、まあそれも後で一緒にお話ししますが、それでは、出張所等の府県単位未満の機関の名称、位置は省令で定めるとしているが、全機関六千八百七カ所のうち、入国管理事務所出張所九十九カ所、これはどのようになっておりますか。
  244. 加地夏雄

    加地政府委員 今回の改正案の中に、この入国管理事務所の出張所は法律事項から一般の出張所と同様に省令事項に落としていただきたいという内容でございます。
  245. 新井彬之

    新井委員 その入国管理事務所出張所ですね、これを同じように省令におろすようになっているわけですか。
  246. 加地夏雄

    加地政府委員 そのとおりでございます。
  247. 新井彬之

    新井委員 先ほどの営林支局の問題については、これは国会で法律事項として残すということで決定されたわけですね。それから、入国管理事務所出張所がいままで法律事項になっていたのは、これも法務省設置法改正の際に、入国管理事務所出張所を省令移管にしようとするのを衆議院内閣委員会で削除された、こういう経過があることは御存じですか。
  248. 加地夏雄

    加地政府委員 御指摘のような事実が過去にあったことは十分私ども承知をいたしております。で、当時そういった問題がありましたのは、入管の出張所のそのものの問題というよりも、入国管理行政全体についての御議論の中で最終的にそういう扱いをされたというふうに理解いたしておりますが、今回取り上げましたのは、この入管の出張所というのは、御承知のように入国管理事務所のいわば二次出先機関でございまして、そこにおる職員もわずか数名、非常に零細な出張所でございまして、今回の整理考え方からまいりますと、ここだけ法律に残しておく必要はないのではないか、こういうふうに判断したわけでございます。
  249. 新井彬之

    新井委員 中央省庁の局部、附属機関等の設置の政令への移管については、国家行政組織法、労働省設置法等が審議された第一回国会、第二回国会等での審議の過程で政府原案が国会で修正されて現行法になった経緯があることから、昭和四十六年以降三年にわたって国家行政組織法の改正案が国会に提出された際にも、当時、一度国会で決着がついたものの蒸し返しだとする声が聞かれたぐらいでありますが、それと同じようなことを今回また行おうとしているわけでございますが、国会の意思を本当に尊重しているというならば、今回のような形で法案が出されてはこないはずであると思いますけれども、その件については、どのようにお考えになっておりますか。
  250. 加地夏雄

    加地政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたように、行政組織に対する国会のコントロールと申しましょうか、つまり行政組織の中でどの部分まで法律事項にするか、あるいはどれ以降のものを政省令以下にするかという問題がございまして、いままで御議論をいただきましたのは国家行政組織法のいわば基本問題にまつわるような問題でございます。御案内のとおり、たとえば中央省庁における局でございますとか部とか、そういった各省の行政組織の基幹部分を含めてそれを政令以下に落としていただきたい、実はこういう議論が過去に行われてきたわけでございます。  私どもは、そういったことに対しまして、国会の御判断のあれも十分承知をいたしておりまして、今回御提案申し上げておりますのは、そういった国家行政組織法の基本問題に触れるような観点から取り上げた問題ではございませんで、現在の国家行政組織法の八条ないし九条の規定の範囲内におきまして、先ほど申し上げましたように、零細小型のそういった出先につきまして整序をし、合理化をしたい、こういうことでございまして、その意味で国家行政組織法の基幹にかかわるような改正を考えているわけではないということでございます。
  251. 新井彬之

    新井委員 確かに国家行政組織法の八条ないし九条がありますけれども、これは第一回国会、第二回国会、あるいは昭和四十六年から国家行政組織法の改正案が提案をされた経緯から見まして、今回は確かに国家行政組織法そのものではないかもわかりません。しかし、そういう組織の一つ一つの末端を自由にいじくるということから考えますと、これはやはり大きな目で見れば当然国家行政組織法そのものであるというぐあいに考えるわけでございまして、そういうことについてはもう少し説得力のある説明をいただかないとちょっと納得のできない問題である、こういうぐあいに思うわけでございます。これはその当時の議事録であるとか、いろいろ論議はされておりますから、いまもう時間がほとんどありませんので、これをやるとあと二時間ぐらい必要になってしまいますので言いませんけれども、これが本当に行政改革のみんなの役に立つためのものであるというならば悪くはないと思います。  だけれども、一つは、具体的に例を挙げますと、閣議決定の中では、府県単位の地方支分部局については、行管庁の地方監察局を三カ所、郵政省地方郵政監察局支局を二カ所、大蔵省の財務部を二カ所廃止することとされておりますが、このうち行管庁地方監察局のみが個別の名称、位置、管轄区域が法律事項となっていたので改正案を出して、昨年七月に廃止をしております。郵政、大蔵両省は省令で、郵政省は七月に廃止しているものの、大蔵省はことし一月ようやく一カ所廃止をしている。  こうした結果から見ても、政省令であっても必ずしも法律事項よりも早く機動的、弾力的に廃止される保証はないとも言えるわけでありますから、そういうことならやはり一番の骨子であるべき法律としてきちっと残してやっていった方がかえって明確になるのではないかと思いますが、いかがでございますか。
  252. 加地夏雄

    加地政府委員 先ほどからいろいろ申し上げておりますが、今回の法律案を御提案申し上げました趣旨は、各省でまちまちになっておるそういった出先機関の設置でございますとか、あるいは附属機関の設置について整序をしたいということでございまして、そういう趣旨で実は法律案をお願いしているわけでございます。  ただ、先生いま御指摘のように、それじゃ具体的にそれがどういうメリットがあって、行政改革を進めていく場合に具体的な問題として、たとえばおととしの閣議決定に基づく実際の実行状況を見れば、余りそういった今回の法律案を提案する理由はないではないか、こういうお話でございますが、この行政改革を具体的に進めていって、その施設をどうこうするということとは、直接にはこの改正は結びつかないわけでありまして、具体的に行政改革として施設の整理統合をやっていくということは、やはりまた行政改革の別途の観点からいろいろ検討をやっていくわけであります。  そういう場合に実施の問題でまいりますと、一度決まったそういう機関の統廃合の問題にいたしましても、その機関で持っておる業務の内容でございますとか、あるいは性格でございますとか、あるいはその機関がその地域経済なり地域社会に持っておる影響度とか、そういうことによっていろいろそういう整理の時期が異なってくるわけでありまして、たとえば御指摘のように郵政の支局でございますとか、行政監察局でございますとか、こういうところはわりと地元とのそういう関係は少ないものですから、計画どおりに進行いたしますけれども、その他の機関につきましては、そういった事情を考えながら地元の説得をしつつ進めるということによって、時間的にずれるというのが実態でございまして、それといま御提案申し上げておるこの設置法の改正がそれに関連してどの程度効果があるかという問題とは全然別な問題ではなかろうか、私どもはこういうふうに考えているわけでございます。
  253. 新井彬之

    新井委員 いや、その辺がちょっとわからないのでございますが、では何のために改廃をするのかということですね。横並びで全部やるということと、それから新しい機関をつくるときにスクラップ・アンド・ビルドが簡単にできるとかいうようなことのためにやるというわけでしょう。それなら、現実に一つのスクラップをしようとするときになかなかそういうことでできないというようなことがあるわけでございますから、そういうような問題についても国会でいままでどおり審議をしていって、そこで決定をしていったってちっともおかしくない。ただ、そういうことをやっていると、極端に言えば日にちも物すごくおくれるし、それからこういうことでは非常にマイナスになるんだということなら別でございますが、いまも一つ例を挙げましたけれども、そういうことでもなさそうですね。  それから、またもう一つの問題を言っておきますと、ブロック局の次長、部を政令に統一した事項については、現在の部担当の職をどう扱うのか。たとえば、行管庁の管区監察局の部は法律事項となっておりますが、中部管区監察局には部相当の総務管理官が訓令で設置されていると聞いておるわけでございます。この職は、北海道の三地方監察局が福田行革の範を示すために分室に降格されたための見返りとも言われており、五十四年度に九州管区にも設置されることになっております。  行革を促進する行管ですらこういう状態でありますから、ましてや他省庁では、地方支分部局や附属機関規定について、政省令に移管して再編成が容易になれば、行管庁が各省庁に押し切られて機構がまた肥大化するおそれも出てくる、こういうような指摘もされておるわけでございますね。こういうことについては、いかがお考えになっておりますか。
  254. 加地夏雄

    加地政府委員 恐らく先生の御指摘は、今回の法律案でこういった管区局の次長であるとか部長を法律から政令に落とした場合に、いわゆる行政組織全体が膨張する形になるのであって、膨張抑制という形からいけば適当ではないではないか、こういう御指摘であろうかと思います。  一方におきまして、行政機構の膨張を抑制するというのは、ここ数年来政府方針でございまして、私どもとしては、極力こういった行政機構の膨張を抑制しておるわけであります。  それとこの法律案との関係でございまして、こういう改正をしたがゆえに膨張抑制あるいは歯どめがなくなるではないかというふうに私ども実は考えておりません。もともと行政機構の膨張につきましては、政府全体としてこれを抑制するかどうかという強い姿勢があるかないかによって決まってまいるわけでありまして、出先におけるブロック局における次長、部長のポストが、これを政令化することによって歯どめがなくなって膨張するのではないかという心配は私どもないものと、むしろわれわれとしては積極的に全体の合理化を図りながらそういう膨張を抑制していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  255. 新井彬之

    新井委員 その問題についてはもっと具体的にいろいろ突っ込んで聞きたいと思うのですが、時間があと三分しかありませんし、ほかの省庁も来てもらっておりますので、一つの問題だけについて質問をして終わりたいと思います。  それで、「新しい時代に対応する地方行財政に関する措置についての報告」というのが、昭和五十三年十一月十日、全国知事会から出ているわけであります。     〔竹中委員長代理退席、唐沢委員長代理着席〕 これはいろいろと内容があるわけでございますが、「「権限の委譲」については本省権限を国の出先機関の長に委譲する事例が多く、また「手続の簡素化」では、許可申請書類からの「財産目録」の削除のごとく添付書類の一部削除や申請書数の部数削減等が主な内容で、国・地方を通じての整理合理化はほとんど実現をみていない。」こういうような指摘がございまして、これは許認可の方ですが、具体的に許認可名がありまして、根拠法令があって、制度の概要、運営の実態と改善意見というのが出ておるわけでございます。  今回は農林水産省、運輸省、大蔵省及び厚生省、いろいろ提言が出ておりまして、これについてはいろいろ全国知事会から出て、担当部局の人が非常に困っておるにもかかわらずなぜこれをやらないのかというと、検討結果の概要ということで全部答弁が来ているわけでございますので、これも時間がかかるわけでございますが、行政管理庁長官も前は兵庫県知事をおやりになっておりまして、立場が変わるといろいろ変わられるかもわかりませんけれども、現実に国から権限の委譲であるとか許認可の事項であるとか、いろいろのものが担当部局へ来まして、これはこういうふうに変えてもらった方がいいんだというようなことについていろいろ知事会で提言されているぐらいでございますから、知事のときにはそういう代表として参加をされたと思います。  そこで、各省は各省でまたこれは言い分がございまして、なかなかこれは議論がまとまらないのでございますが、こういう提言のあった問題についての許認可、これはいま言った農林水産省から厚生省までこういうことについてはもっと担当者とひざを突き合わせて、よく話し合いをするべきではないかと考えておるわけでございます。そうしてどこに食い違いがあり、勘違いがあるのかということをやっていかなければ、これだけ繁雑な法律事項それから許認可事項については、なかなか行政としても大変なことになろうかと思いますので、そういう問題について各省庁、どのように今後対処されるのかお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。  まず、農林水産省から……。
  256. 高畑三夫

    ○高畑説明員 全国知事会の報告に盛られております許認可事項の提言につきましては、農林省といたしましても十分検討したわけでございます。  当省関係としましては十六項目ございまして、その検討結果に基づきますと、その多くは病害虫防除でございますとか家畜保健衛生等、一定の行政水準を確保する等それぞれの分野の行政の推進におきまして重要な役割りを果たしておる制度でございます。したがいまして、当分の間これを整理するということができないものがあるわけでございます。  しかしながら、この提言の中には、やはり指摘の線に沿って今後検討すべきものもございます。したがいまして、これらにつきましては、今後行政改革の一環といたしまして十分整理合理化の可能性等につきまして検討してまいりたいと思っておりますし、また情勢変化によりまして、整理合理化の余地の出るものもございます。したがいまして、これらにつきましても十分そういった情勢変化を踏まえまして検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  257. 吉江恵昭

    ○吉江説明員 お答えいたします。  先生御指摘の全国知事会からの許認可整理の要望につきましては、厚生省につきましては六項目ございまして、すでに一つは措置済みでございます。  残りのものにつきましても、先生ただいまおっしゃったように、都道府県の職員とさらに具体的にいろいろお話し合いを詰めまして、可能なものから整理合理化する方向でただいまも検討を続けておりますし、これからも続けてまいりたい、かように考えております。
  258. 西村康雄

    ○西村説明員 運輸省関係につきましては、御指摘の事項は四件ございます。  これらにつきましては制度の沿革、その制度の設置理由等、多少全国知事会と考え方を異にするものもございますが、都道府県知事の事務処理の実情等、もう少し検討させていただきまして、その中にはなるほどごもっともと思われるようなものも少なくないと思いますので、そういうことにつきまして都道府県とよく連絡させていただきまして、その上で検討して結論を得ましたものについては実行させていただきたいと思っております。
  259. 新井彬之

    新井委員 では、いま答弁がございましたので、要するに向こうが言っていることが間違っていることであっても、それはどういうところが間違っているのだということをよく話し合いをしていただかないと、いつも同じものが出ているということなんですよ。だから、毎年同じことが許認可事項で、なぜしないのかと出てくるのですから、それをほっておく手はないと思うのですね。当然理由があって現場で言ってきているわけでございますから、それについてはどこに聞き違い、勘違い、それから思い違いがあるのか、現実にできるかどうかということをやっていただきたいということでございます。  では、大変遅くなりましたけれども、質問を終わります。
  260. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員長代理 柴田睦夫君。
  261. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 附属機関、地方支分部局整理法案、それから許認可整理法案に関連しての質問ですが、まず大平内閣行政改革方針の問題です。  大平内閣は、ことしの一月十六日に「行政の簡素、効率化の推進について」という行政改革計画を閣議了解したわけですが、この計画は福田内閣行政改革とどのような違いがあるか、長官にお伺いいたします。
  262. 金井元彦

    金井国務大臣 一月十六日の閣議了解は、一昨年の暮れの福田内閣行政改革についての閣議決定、これを再確認いたしまして、さらに若干のものをつけ加えた、こういうふうに御理解をいただきたい、かように存じます。
  263. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 私は、これらの行政改革に当たって国民への行政サービスの低下があってはならないということを強調したいと思うのです。行政改革国民本位で、このことを貫くためには民主的に進められなければならないと考えておりますが、大臣はどのような見解を持っていらっしゃいますか。
  264. 金井元彦

    金井国務大臣 お話のように、行政改革国民のためにするということは、もう申すまでもないことでございます。その点においては、いま御質問の趣旨と全く同感でございます。
  265. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 大平内閣行政改革での目新しいものに、「附属機関等の整理」と「行政組織編成の改善」というのがあるわけです。  まず附属機関整理でありますが、これに着手したねらいは何にあるのか、その点、お伺いいたします。
  266. 加地夏雄

    加地政府委員 一昨年の行政改革計画の中では、御案内のように、非常に広範な事項にわたりまして改革計画を進めてきたわけであります。いま御質問の附属機関の問題を一月の閣議了解の際に取り上げた理由は何かということでございますが、一昨年の行政改革計画の中ではこの附属機関の問題についてはわりと手がついてなかったという実情もございます。そういう点に着目をいたしまして、政府機関全体にわたって合理化を進めていく必要があろうということから、附属機関整理、とりあえず五十四年度におきましては六省庁十二機関の合理化を進めることにしたわけでございます。
  267. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いまの六省庁十二機関、それから筑波移転というのが別紙一で示されているわけですけれども、ここに書いてある以上に具体的な計画を持っているのかどうか、お伺いしたいと思います。
  268. 加地夏雄

    加地政府委員 この一月の閣議了解の中で別紙に掲上いたしましたのは、とりあえず五十四年度予算において実施を実現したい、こういう考え方で入れたものが大部分でございまして、たとえば法務省の少年院でございますとか筑波研究学園都市への移転の試験研究機関の合理化の問題でございますとか、ここに盛られている部分は、現在それぞれ具体的に整理合理化を進めておるわけであります。  具体的に申し上げますと、農林省の生糸検査所につきましては全体の定数でございますとか内部組織の合理化、そういうものを進めておりますし、植物防疫事務所あるいは動物検疫所の出張所の合理化という問題も現に実施をいたしておるわけであります。筑波移転に伴う問題といたしまして、建設省の土木研究所関係につきましては組織の合理化を進めておりますし、それから厚生省の国立更生援護機関の統合につきましては、共通管理部門の合理化を初めといたしまして今年度中には実施する予定でおるわけでございます。
  269. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 これはやはり具体的に明らかにしていかなければならないというように考えるわけです。ここに書かれている内容を見てみましても、国民生活と密接に関係する機関の整理合理化というものが含まれているわけです。これが国民に明らかにされないで整理合理化していくということになりますと、大変な問題になります。特に重要な「国立病院、国立療養所の計画的再編整備を推進する。」ということがあるわけですけれども、この計画はどうなっているのか、厚生省にお伺いいたします。
  270. 加地夏雄

    加地政府委員 この閣議了解の中に入れております「国立病院、国立療養所の計画的再編整備」ということで具体的に五十四年度予算に計上いたしておりますのは国立病院、国立療養所の統合の問題、それから国立療養所から国立病院への転換という問題がございまして、それぞれ一カ所ずつ具体化をしてまいるということになっております。さらに、五十五年度におきましては国立療養所の病院への転換が一カ所、五十六年度においては国立病院への転換が二カ所、こういう計画を内容としておるわけでございます。
  271. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 厚生省の担当が何かちょっと手違いで来てないようですが、はなはだ困ることですけれども、行管庁の方で言われるならば少し言います。  国立病院・国立療養所の懇談会というのがあって、ここで検討されているということを聞いているのですが、現在、国民の医療需要の増大、それから地域医療における国立病院の役割り、そうした点から考えてみて、削減がされるということはこれは重大な問題であります。この懇談会での検討の方向は削減の方向であってはならないと考えるのですが、この点、行管庁は、そういう方向では行かないのだということを断言できますか。
  272. 加地夏雄

    加地政府委員 私どもは現実に過去十年余り定員管理をやってまいっておりますけれども、いわゆる国立病院、療養所のような国民の医療の要請によりまして非常に行政需要の強いところには全体の定員の配置を極力厚くする、こういう形の配分をやってまいっておるわけであります。そういう政府全体の定員管理計画の中で、国立病院のみならず、たとえば大学の新設の問題でございますとか、そういった行政需要の強いところには重点的に増員を配置しておりますし、一方、その財源として政府全体の合理化という形で削減計画を実施しておるわけでございます。
  273. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 先ほどの質問にも関連するのですが、そしてまた、行管庁の方では言葉が抜けていたと思うのですけれども、大平内閣附属機関整理合理化に着手した背景には、この定員削減を初めとして財政対策上で大きな効果が期待できるというねらいがあるというように私は考えております。  そこでお聞きするのですが、行政機関全体に占める附属機関の定員配置の比率はどうなっておりますか。
  274. 加地夏雄

    加地政府委員 現在の国家公務員全体の定員の中のそれぞれ附属機関別のあれはちょっといまのところ、具体的な数字は精査しておりますけれども、いわゆる附属機関の職員の数は、行政機関職員全体の中の約三割というふうに見込んでいただいてよろしいのじゃないかというふうに考えます。
  275. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 これを行政機関別に見てみますと、たとえば防衛庁は九九・八%、文部省は九八・九%、厚生省が九五・四%、こういうふうになっております。このうち厚生省や文部省といったところは、国民への行政サービスの低下につながるものについては整理合理化の名のもとに削減して、防衛庁の附属機関、すなわち自衛隊の部隊などについては削減を行わない、今度の法案はそういう趣旨になっているのですけれども、これは重大な問題であると考えます。防衛庁の附属機関、すなわち自衛隊の縮小、削減はなぜやらないのか。これは長官の御見解をお伺いします。
  276. 加地夏雄

    加地政府委員 私どもが現在直接に定員管理の対象にいたしておりますのは、国家公務員の中で非現業、現業を含めまして八十九万人であります。  御質問の、自衛官の場合になぜ削減の対象にしないかということでございますが、申し上げるまでもございませんが、自衛官はいわば国の防衛の問題でございまして、一般のそういった国家公務員現業、非現業の職員に比べまして、国の防衛力を考えた配置の問題でございまして、そういう意味から定員削減の対象にはしておらないということでございます。
  277. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 国民へのサービス機関については縮小、削減が行われる、防衛庁の職員については減らされるどころか、いまの傾向はふやしていく。これについて長官はどうお考えですか。
  278. 金井元彦

    金井国務大臣 人員の削減の問題につきましては、私どもは大体総定員法の枠というものを押さえまして、その中で、一方で、ある率の削減をすると同時に、必要な方へ向かってはこれを充足をしていく、こういうことをやっておるわけでございまして、いままでに約十年間に十二万八千というものを削減いたしましたが、他面におきまして十二万の充足をいたしております。その主なものは病院とかあるいは学校という方面へ充足をいたしておる次第でございまして、その間におのずからそういうものが充足をされてくる、こんな形になっておるわけであります。  お尋ねの自衛官の問題でありますが、これは別途になっておりまして、また別途の考えをすべきではなかろうか、かように考えております。
  279. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次に、国家公務員の定員管理の問題ですが、閣議了解によりますと、「十一年間にわたる国家公務員定員の合理化の成果を踏まえて、」こういう言葉が入っているのですが、これはどういう意味なのか、お答えを願いたいと思います。
  280. 加地夏雄

    加地政府委員 ただいま長官から御答弁申し上げましたように、その趣旨は、この十一年間にわたりまして国家公務員の全体の削減といたしまして十二万八千人の削減を実施したわけでありますが、その削減をいわば原資といたしてと申しましょうか、削減した定数を国立学校とか病院、療養所、そういった新しい行政需要の強いところに重点的に配分をしてまいったわけでありまして、その数が約十二万人でございますから、十一年たった今日おきましても四十二年度末の定員に比べまして、なおかつ国家公務員定数が八千人縮減の成果を上げておる、こういうことを考えておるわけであります。
  281. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 歴代の内閣の定員管理を見てみますと、たとえば現行総定員法の定員枠として法定された一九六七年、昭和四十二年度末予算定員と本年度予算政府原案の定員の増減を見てみますと、国の行政機関全体の定員はこの間に一万六千四百七十六名増となっているのですが、防衛庁の増員一万五千八百七十四名を除きますと、その他の機関では全体としてわずか六百二名ふえているにすぎないわけであります。こうした実情も成果だというふうに考えていらっしゃるのですか。
  282. 加地夏雄

    加地政府委員 削減と増員の差の数の問題については、私が申し上げた数と先生いまお話しになった数は若干違っておりますが、その数は恐らく沖繩の関係の定員が入っておる数字だろうと思います。その意味におきましては、御指摘のとおりの結果を私どもも考えておるわけでございます。
  283. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 これらの内訳で、省庁別、組織別に国民生活関連の分野の定員の増減を見てみますと、学校が二万一千七百四十二名増、病院が三万四百六十八名増。いわゆる当然増もあるのですけれども、厚生省の試験研究機関が百十七名減、農林省の試験研究、検査、指導機関が四百五十九名城、気象庁が三百二十九名城、郵便局関係が八千二百十七名減、労働基準関係が三百十三名減、職業安定関係が千二百二十七名減、労働保険関係が四百二十四名減などというようになって、これらは行政需要が増大しているにもかかわらず定員は逆に減っているという状況にあるわけです。特に農林関係は一万一千四百二十五名減、林野関係が六千六百二十名減で、大幅な定員削減が行われているということは見逃すことのできない問題であると思うのです。  これに対して防衛本庁、ここでは一万五千七百五十三名増、防衛施設庁は百二十一名増、国家警察四十八名増、公安調査庁四名増、海上保安庁五百二十七名増といったように、人民弾圧関係機関の定員は減員されるどころか逆に増員され、大量の過剰定員が温存されているわけです。こうした国民生活にとって不要不急の諸機構の定員を大幅に削減して、反対に国民生活にとって必要不可欠なものを残すということをやるならば、国民生活に奉仕する方向で合理的かつ効率的な定員管理ができるように考えるのですが、この点、大臣はどうお考えか、お伺いします。
  284. 金井元彦

    金井国務大臣 ただいま治安関係とかあるいは国防関係が弾圧機関であるというふうな御表現があったようでございますが、私どもさようには考えておりませんので、これはそれぞれに理由があって増減をしておる、全体として見ますならば、これはやはり国民の幸せということを基本考えてやっておる、かように御理解をいただきたいと思います。
  285. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その点は、大いに見解を異にします。  次の問題ですが、閣議了解では公社、現業等政府事業の合理化方針も決めております。これは昨年六月十九日の公企体等基本問題会議の意見書に基づいて、公企体等関係閣僚会議事務局が昨年十二月二十五日に取りまとめた検討結果を行政改革計画として掲げたものであります。公企体等基本問題会議は三公社五現業職員の労働基本権、主としてスト権ということになるのですが、この基本権の回復について検討することを名目にして設置されたものでありますが、提出された意見書は、経営の分離、民営移管を前提にしてその一部にだけ労働基本権を付与するというもので、それは三公社五現業労働者の労働基本権回復闘争を分裂させる、労働基本権剥奪を固定化することをねらったものであるというように解しております。  こうした意見書に沿って出された大平内閣の、経営形態のあり方と経営合理化方針は、部分的には国民の要求や批判を反映して一定の改善を図ろうとするものもあるのですが、全体としては国民へのサービスの切り捨て、公社、現業労働者への労働強化と権利侵害の固定化を強いるものとなっているというように解しております。  私は、この中でアルコール専売の問題についてお聞きしますが、千葉市に通産省のアルコール工場があります。これはさきの公企体等基本問題会議の意見書に基づいて民営移管が進められようとするものですが、このアルコール工場の工場長を初め職員がこぞって反対しております。これを受けて千葉県議会と千葉市議会が、地方自治法の第九十九条に基づいて民営移管に反対する意見書を出しております。こうした意見は尊重さるべきものであると思いますが、どのようにお考えですか。
  286. 金井元彦

    金井国務大臣 アルコール工場の問題をお取り上げになりましたが、この問題につきましては、ただいま通産省におきまして懇談会を設けまして各方面の意見を徴して結論を得たい、こういうことで鋭意努力をいたしておる最中でございますので、私どもといたしましては、地元千葉県の県議会の御意見等もありますけれども、総合的な判断においてこれを受けとめたい、かように考えておる次第であります。
  287. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 県や市の意見、それからまた工場の意見、十分に尊重してもらいたいということを要望しておきます。  次に、附属機関、地方支分部局整理法案についてもう一歩具体的にお聞きします。  今回の法案は、さきに述べた閣議了解に基づいて附属機関、地方支分部局の整理を進めるために、法律で設置を定める形式を政令以下に移管するものであって、これは大変重要な内容であるというように考えております。これはまた一九七一年以降三回にわたって国家行政組織法の改正案を国会に提案され、わが党はもちろん、広範な国民の反対で審議未了、廃案となったものの焼き直しと言えるものでもあります。     〔唐沢委員長代理退席、委員長着席〕  国家行政組織法は、国の行政機関を中央行政機関と地方支分部局及び附属機関とに大別して、その設置等については法律の定めるところによることとしております。いわば行政機関法定主義とも言えるものだと思うのです。この規定は、行政府による戦前のような専制的な行政組織編成に規制を加える、つまり各行政機関の設置目的、名称、位置、管轄区域、内部機構など、その設置、統廃合にかかわる基本的事項を立法府の統制のもとに置くために、政府の原案は政令で定めるというようになっていたものを、衆参両院の修正によってこういうふうになったわけです。そういう意味で今回の法案は、国家行政組織法のいわば行政機関法定主義のたてまえ、これに反するものであると私は考えておりますが、御見解をお伺いします。
  288. 加地夏雄

    加地政府委員 国家行政組織法の改正の問題につきまして、過去いろいろ御指摘のような事実があったことは、私どもも重々承知しておるわけであります。その際の御議論は、一つはやはり国の行政組織に対して国会がコントロールすべき問題と、一方におきまして行政組織の機動的、弾力的な運用を図る問題、こういう二つの調和点の問題であろうと思います。かつて国家行政組織法で問題になりましたのは、そういった面におきましてはいわゆる行政組織の基幹をなす中央省庁の局、部につきましてもこれを政令以下にしたい、こういう内容で、いわば国家行政組織法の基本的な問題についての御議論があったわけであります。私ども、そういった問題点は十分頭に入れた上で、今回御提案申し上げておりますのは、そういった基幹部分の問題ではございませんで、現在の国家行政組織法八条、九条の枠内におけるいわば不均衡是正を考えたわけでございます。  国家行政組織法八条ないし九条を受けまして各省設置法におきましては、附属機関、地方出先機関の規制につきましては、一方において法律事項になっているものもございますし、政令あるいは省令、こういう非常にばらつきがあるわけでありまして、それを「法律の定めるところにより、」という趣旨を受け継ぎまして、すべてそういう行政組織の機関の総称でございますとかあるいは所掌事務については、もちろんこれは法律に残すわけでありますけれども、個別の設置でございますとかあるいは位置といった問題につきましては、政省令以下にお落としいただきたい、こういうことで考えたわけでございます。
  289. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 国のコントロール、それから弾力的運用、この二つ言われるわけですけれども、この弾力的運用ということが強調されると、やはり戦前と同じようなかっこうになっていく。そういう意味でまさにいわば行政機関法定主義の原則というものを広くやって、そして新憲法の趣旨にのっとった行政が行われなければならないというように考えております。  行政組織法の学者、研究者も、一例を挙げますと、直接外部と関係するものは、外部のものに対しその行為を国または公共団体の行為と認めてそれに服従することを命ずる意味を含むもので、したがって、法治主義の原則上それは必ず法規の形をもってしなければならない、こういう学者の見解、これはいわば通説だと思うんですけれども、このような見解があるわけです。そういう意味で、この弾力的運用ということ、これが進み過ぎると、まさに行政の民主主義の原則を破壊してしまうという問題ですから、これはきわめて重大な問題であるというように考えております。  そこで、いまばらつきということを言われましたけれども、この行政管理庁の説明では、規制形式のばらつきを是正し、規制形式を統一するということであるわけですけれども、これは政府が国家行政組織法の立法趣旨を恣意的に解釈運用してきた結果そういうことになったので、これらの責任をたな上げにしてやるということも、これは大きな問題であります。設置規制形式のばらつきは、国家行政組織法の立法趣旨に沿って考えれば、国会による規制を強化する方向で是正することが必要であり、このことこそやるべきであると思うんですが、もう一度見解をお伺いします。
  290. 加地夏雄

    加地政府委員 現在の各省の設置法の規制の仕方が区々ばらばらであることは事実でございます。そういったことがなぜ行われるかということでございますが、それはまさに国家行政組織法八条、九条の解釈として行われておるわけでありまして、その国家行政組織法八条ないし九条におきましては「法律の定めるところにより、」設置できる、こういうふうになっているわけでございます。その趣旨は、やはり御指摘のように、国の出先機関あるいは附属機関におきましては、国民生活に非常に関係のある行政権限の行使ということももちろんございましょうし、そういう意味においてその機関の総称と申しましょうか、どういう機関がどういう所掌事務を持ってやっていくか、こういうことについては、まさに八条、九条が書いてございますように法律で書くべき問題であろう、こういうように考えるわけであります。  ただ、そういった機関の総称とか所掌事務のほかに個別的に個々のそういう機関を設置する、こういう問題につきましては、八条ないし九条の解釈といたしまして、それは必ずしも法律を要する問題ではなくて、それぞれの行政機関の長の判断とかそういう技術的な専門的な判断でやっていっていいのではないか、こういうことから、現に大多数の各省の設置法におきましては、個別設置につきましては政令または省令になっておる、こういう実態があるわけでありまして、私どもはそういう実態に合わせて、一部法律に残っておる部分を結果として政省令に下げていく、こういうことでございまして、先生御指摘のような、そういった大変大それたといいますか、行政機関法定主義に反するということではなくて、現在の国家行政組織法の枠内で許される範囲の改正を考えておる、こういうように考えておるわけでございます。
  291. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 私は、政治的ないまの時代背景から非常な危惧を持つわけですけれども、この法律は設置規制の形式ばかりでなくて、さきに述べた附属機関や地方支分部局、すなわち地方の出先機関を内閣の判断だけでどのようにも廃止統合できるようにするものである、附属機関について言えば国民生活に関連のある機関を次々に削減するねらいを持っている、地方支分部局についてもやはり同様だ、こういうふうに見ているわけです。  お尋ねしますが、閣議了解では、福田内閣当時の地方支分部局の整理再編成計画を受け継ぎ、当面千カ所の整理を進めるとあるんですが、これはいまどこまでいっているのか、また今後どのように進めようとするのか、お伺いします。
  292. 加地夏雄

    加地政府委員 一昨年の閣議決定におきましては、御指摘のように支所、出張所を中心にいたしまして、地方支分部局の整理を約千カ所という計画を立てておるわけでありまして、五十三年度におきましては約六百カ所、五十四年度におきましては三百カ所を実施する予定で進めておるわけであります。したがいまして、残りの約百カ所の支所、出張所が五十五年度以降に繰り越されるわけでありますけれども、私どもは五十五年度以降残りの百カ所についても実施をするように推進をしてまいりたい、こういうふうに考えているわけです。
  293. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 法務局及び地方法務局の出張所について見ますと、現行の整理計画によって整理統合ということになっておりまして、一人庁が二百、二人庁が二百カ所のうち約百カ所整理統合するものであるわけですが、これはこの計画どおり進める方針であるかどうか、お伺いします。
  294. 加地夏雄

    加地政府委員 登記所の出張所の問題につきましては、一つはやはり今日の交通通信が非常に発達した時期でございますから、かつて大正、昭和の初期において設置されたものは、そういった事情から見ますと統合してよろしいのではないかという問題もございますし、同時にまたそこに働く職員におきましても、たとえば一人庁の例でございますと、通常の規模の機関に勤める職員に比べますと勤務条件その他の問題もございましょうし、極力そういった一人庁、二人庁は大きな規模に統廃合していくという方針はもうすでに数年前から法務省においても方針を決められて実施をしてまいっておるわけでございます。そういうことでございまして、私ども今回の合理化の中でそういった従来の方針どおり進めていただきたい、こういうふうに考えているわけであります。
  295. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この法務局関係のように国民の生活と密接にかかわる問題はどこに置くのか、幾つ設置するのかという問題が大きな問題になってまいります。これをすべて政令以下に移管すれば政府考えで幾らでも廃止できるということになります。行管の説明を聞きますと、新たな設置は地方自治法百五十六条というものを持ち出してきて、地方支分部局はこの百五十六条で制限されるということを言うんですけれども、地方支分部局は極力廃止する方向ということですから、この地方自治法の関係では、そういう意味では全く歯どめがなくなるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  296. 加地夏雄

    加地政府委員 今回お願いしている法律案考えておりますのは、先ほど申し上げましたように、各省庁を通じまして統一的な基準で整理をしたい、それが結果として、もし今後行政需要が出てまいりまして新しくつくる場合、あるいは行政需要がなくなってそれを統廃合していく場合、こういう場合のいわば合理的な再編の基盤ができるということを申し上げたわけであります。しかし、それと別に、御質問のように現実にそういった附属機関あるいはその地方支分部局の統廃合を考えていくという問題は、やはりそれぞれの附属機関、地方支分部局の業務の実態等を考えまして、必要があるものはその後もちろん伸ばしていくし、それから必要ないものは統廃合していく、こういう観点から進めていくわけでありまして、確かにこの改正案がそういった統廃合に全然メリットがない、関係がないとは申し上げませんけれども、それは別途の観点からそういう改革が進められるわけでありまして、必ずしもこの法案がイコールそういう形ですべての附属機関、地方支分部局の統廃合につながる、こういうことではないと私どもは考えているわけであります。
  297. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 厚生省の医務局長がお見えになったそうですから、もとに戻りまして、ちょっと確かめておきますが、この行政改革の中にあります「国立病院、国立療養所の計画的再編整備を推進」ということがあるんですけれども、この計画がどうなっているのか、それからこの国立療養所懇談会で検討されているようですけれども、検討の方向は削減の方向であってはならないというように考えるんですが、厚生省の方ではそういう方向ではやらないということを断言できるのか、この点をお伺いします。
  298. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 本年度は、たとえば国立療養所で函館の国立療養所と函館の国立病院、同一市内でございますが、その統合が進められております。また大分では、国立大分病院と国立療養所二豊荘、これも大分の同一市内でございますが、統合が進められております。しかし、その後はどうなるのかということになりますと、私どものところの方は、現在のところ整理統合は考えておりません。先生も御存じのように、国立療養所の職員もふえているわけでございますし、またベッドの数も少しずつはふえているわけでございます。また具体的に御質問のございました国立病院、療養所の統廃合というようなことも考えておりません。  また、二番目の御質問の現在国立病院・療養所問題懇談会でどういうふうな議論がされているかということでございますけれども、現有の勢力でいかに国策医療を推進していくか、中には小さな病院、療養所もございますので、そういったものについては地域医療を担当するというような色彩が強いかと思うのでございますが、いかに当該地域の医療を担当していくかといったことが審議されているところでございます。
  299. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 局長に対する質問はそれで終わります。  それから附属機関で重大な問題は有事即応の態勢づくりを進める防衛庁、自衛隊の問題であると考えております。防衛庁の機構は他の省庁と同様に、実定法上は中央行政機関と地方支分部局及び附属機関等によって構成されておりますが、特徴的なことは、その機構と定員の圧倒的部分が附属機関等に集中しているわけです。そして現在法律で定められている部隊の編成や陸上自衛隊の方面総監部や師団司令部、海上自衛隊の地方総監部、航空自衛隊の航空総隊、飛行教育集団、航空方面隊、航空混成団、それから航空団、保安管制気象団などの名称、位置の規定が、本法案のように政令以下に落とすことがある、ばらつきをなくすというようなことが言われておりますからなお心配なんですけれども、こういうことになると大変なことになります。  現に三矢作戦の研究では、政府機関の臨戦化のための法令整備として、最高防衛指導機構の確立や重要防衛生産増強のための行政機能の一本化、国家総動員法施策実施のための機構整備、非常時行政特別法、非常時行政簡素化などといったテーマを掲げて、こうした国防国家機構づくりの最大の眼目として内閣総理大臣の権限強化のための法令整備を打ち出したということはもうすでに知られているところでありまして、これらは自衛隊制服組によって検討されたのであります。  この法案では防衛庁関係は除かれているわけですけれども、今回の法案はこうした反動化の突破口をなす、そういう危惧、不安を持つわけですけれども、大臣は、このようなことは絶対にあり得ないということを約束できるかどうか、お伺いします。
  300. 金井元彦

    金井国務大臣 今回御提案申し上げておる改正案は、自衛隊は含んでおらないことはもう御承知のとおりであります。したがいまして、今回の改正案が出たからといってそれを突破口にするとか、さような考えはいささかも持っておりません。
  301. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それから本法案のもう一つの重要な問題点は、国会の審議権、監視機能を著しく弱めるということにあると思います。今回の改正案にはついせんだって、一カ月ちょっと前ぐらいにこの委員会を通過して成立いたしました厚生省設置法の国立リハビリセンターの位置が今度は省令に格下げされるわけです。また、いままで設置及び移転の際問題となったものがすべて政省令で事足りることになる。これは国会の機能を著しく弱めるものであるわけですけれども、いままで国会で審議してきた、そして法律として通したもの、それをそういうふうにやるということについて行管庁はどういう考えを持っておられるのか、お伺いします。
  302. 加地夏雄

    加地政府委員 先般、厚生省の設置法を当委員会でもお認めいただいたわけであります。この厚生省設置法と今回お願いしておりますこの法案との関連でございますけれども、一つは立法の技術的な問題もあろうかと思いますけれども、厚生省設置法は、いわゆる予算関連法案として先行して御審議をいただいたわけであります。  その後に、予算関連外の法案として三月の中旬に御提案申し上げたわけでありまして、そういう立法技術的な面からまいりますと、厚生省設置法を御承認いただいた後、当然この法律案によって、この法律案の趣旨に基づく改正をやっていただく、こういう形になろうかと思うのでございます。あくまでも立法技術上の問題でございまして、先後関係の法案の取り扱いの結果である、こういうふうに考えております。
  303. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 また今回の法案の中には、入国管理事務所出張所の名称、位置を省令に格下げする規定も置かれております。入管事務所出張所は、現在横田や岩国の米軍基地に置かれておって、安保条約で米軍基地からの出入国を許されている米軍人、軍属の不法な出入国を規制し、国の主権を守る立場から置かれているわけです。こういう機能を持つ入国管理事務所出張所を省令に落とす、それだけでなくて、さらに地方自治法百五十六条の適用外とするということは、これは大きな問題であると思います。国の主権を守る立場からも、また国の主権を国会が監視をするという意味からも、これらの規定は非常に重大な問題であると思うのですが、この点についてはどう考えておりますか。
  304. 加地夏雄

    加地政府委員 人骨の出張所は、たとえば昭和二十七年の時点で申し上げますと三十八庁でございまして、当時出張所を経由して出入国をする人の数は約十万人であったわけであります。そういった時代を経まして、今日では御承知のように入管出張所そのものの数も九十九庁、約三倍になっておりますし、出入国する人々の数も約一千万、こういうふうに変わっておるわけであります。  こういった国際交流が非常に緊密化をしてまいりまして、出入りする人々の利便の問題とか、あるいは法務省の事務処理体制の問題でございますとか、あるいは地元の要望というものを考えました場合に、この出張所そのものは、いわば入国管理事務所の二次出先という性格のものでございますので、権限的に見ましても、それほど大きな権限を行使する機関でもございません。そういった面から規模も数人程度のきわめて小規模な役所でございまして、確かにこういった権限を行使いたしますけれども、港湾関係の機関で税関でございますとか検疫所でございますとか、そういうところはすでに出張所の設置根拠というものが政省令以下になっておるわけでございまして、そういうものとの均衡上、やはりこの入管出張所も省令に落としていただきたいという趣旨でございまして、弾力的にそういった運用ができる体制がむしろ望ましいのではないかというふうに考えたわけでございます。
  305. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 労働省関係ですが、今回の整理法案では婦人少年室の管轄区域及び名称を政令事項に落とす内容があります。  この婦人少年室については、昭和四十三年十一月二十六日、行政管理庁長官、労働大臣、自治大臣、この三大臣の覚書で地方自治体へ移管することが決められているのですが、労働省はこれについていまどういう見解を持っておられますか。
  306. 甘粕啓介

    ○甘粕説明員 多分先生の御質問は、四十三年におきまして婦人少年室を地方に移管するという話と今回の設置法改正との関係につきましてのお尋ねだと思います。  今回の設置法の改正案につきましては、ただいまずっと行政管理庁の方から御説明ありましたように、行政組織に関する規定の形式を統一化するということで、その一環といたしまして婦人少年室につきましても名称、位置、管轄区域等を政令事項に落とすということの整理を行われているものというふうに思っております。したがいまして、今後設置法の改正と婦人少年室の移管の問題とは全く別物だというふうに理解しております。
  307. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 聞いているのは、この覚書で移管するということを書いてあるのだけれども、労働省としては現在どう考えているかということを聞いているのです。
  308. 甘粕啓介

    ○甘粕説明員 婦人少年室の問題につきましては、あれは四十三年で十年前のときのことでありまして、その後、婦人少年行政をめぐる情勢、環境というものは非常に変わってきております。私ども一番痛感しておりますのは、婦人労働者が非常にふえてきたということに伴いまして、そういう勤労婦人の労働環境の問題なりあるいは男女平等の問題なり、そういう労働関係に非常に色彩の強い行政需要がふえてきているというふうに思っております。そういう立場からもう一回新たに判断されるべきものではないかというふうに考えております。
  309. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この婦人少年室は、設置以来国の機関として置くのか、地方自治体に移管するのかということが絶えず問題になってきたわけです。しかし、婦人労働問題などが重大な時期にもあって、これらの地方自治体移管はまさに重要な問題であります。この関係大臣の覚書には、十年前ですけれども、当時の木村武雄行政管理庁長官も加わった覚書になっているのですが、こうした婦人少年室を国の機関として存続を進めるべきであるというのが私の考えですが、行政管理庁長官はどのようにお考えですか。
  310. 加地夏雄

    加地政府委員 この四十三年の三大臣の覚書でございますが、この問題は、御承知のように地方事務官問題と非常に関連をいたした問題として取り上げられたわけでありまして、地方事務官問題については、御承知のとおり、別途検討ということで今日まで実は解決を見ないでまいっておるわけであります。なお、この問題につきましても、当時そういった地方事務官問題と絡めた問題でございまして、今日まで、その後具体的にこの問題についての処置の話が進行していないというのが実態でございます。
  311. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 大臣、国の機関として存続すべきであるというようにお考えですか、いかがですか。
  312. 金井元彦

    金井国務大臣 ただいまのところでは、現状を肯定をいたしております。
  313. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次に、許認可等整理に関する法案に関連してですが、政府は一昨年の十二月の行政改革計画に基づいて、五十三年度末までに千二百四十事項を整理する方針を出していたわけですが、本改正案による整理を含めて、現在までの措置状況はどのようになっておりますか。
  314. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 現在までの措置状況は、現時点では千二百四十事項のうち千百三十事項が措置済みとなっております。これは大体九〇%を上回る率になっております。残余の約百十事項についても引き続き措置することとしておりますけれども、このうち、今回お願いしております法律改正を要する事項で一括整理することが可能なものについては、今国会に提出して御審議をお願いしている次第でございます。
  315. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 へい獣処理場等に関する法律の一部改正について、施設及び区域の変更を許可から届け出に改正するということがあるのですが、この変更の件数は全国で一体どの程度あるのか、そしてまたこの規制を緩和するということによるメリットはどこにあるのか、お伺いします。
  316. 岡部祥治

    ○岡部説明員 へい獣処理場等に関する法律の三条でございますが、先生御指摘の三条二項によります変更の許可は、私ども承知いたしておりますのは、五十二年中におきまして二十府県におきまして八件でございます。  それで、今回改正をお願いいたしたいという理由といたしまして、変更に当たりまして事前に届け掛をさせまして、その時点におきまして十分構造施設の基準に合うかどうかということを事前にチェックできる。さらに、変更許可後でございましても、いわゆる環境衛生監視員が立入検査をいたしまして、構造施設の基準に適合しないものにつきましては改善命令その他の行政措置ができるということで、今回この簡素化をお願いしておるという次第でございます。
  317. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうすると、簡素化しても十分な行政指導ができる、結論はそういうことですか。
  318. 岡部祥治

    ○岡部説明員 事前の届け出、事後の監視によりまして、十分な行政措置ができると考えております。
  319. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 私の千葉県のある化製工場と動物油脂業の全国団体の関係者に意見を聞きましたところ、業界が過当競争状態にあるので、届け出に変えるとなると、設備拡大を容易にし、それに拍車をかけ、中小の業者が多いため悪臭などの公害規制も不十分になり、住民にも迷惑をかけるおそれがあって問題だと言っております。このように当該業者が規制緩和を喜ばず、むしろ住民への影響を心配しているわけで、賛成しているのは変更が自由にできる一部の大手業者だけということになるのじゃないかと思うのです。こういうような問題がある限り、現行どおり許可制にしておく方がいいのじゃないか。そういう意味で、この改正部分については本法案から削除すべきである、これはすでに説明がありましたので、私の見解としてそれだけ言っておきます。  それから、この改正案では、「構造設備その他厚生省令で定める事項を変更しようとする者は、」となっているのですが、「厚生省令で定める事項」とはどういう内容なのか。変更の範囲、たとえば設備の拡大などについての制限はあるのかどうか、お伺いします。
  320. 岡部祥治

    ○岡部説明員 届け出事項として考えておりますのは、当該へい獣処理場の構造設備、それから申請者の住所氏名、所在地、製造品目あるいは取扱原料、あるいは処理方法、こういうものを考えております。
  321. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 届け出制にしても、公害などの問題で現状を絶対に悪くしないような行政指導をしなければならないということを強調したいと思います。  次に、身体障害者福祉法の一部改正について、身障者の援護施設に従事する者の養成施設を付置する場合、認可制になっているのは、一定の基準以上の施設を保障する意味があるからではないかと思うのです。地方自治体レベルで、この法律に基づく養成施設がまだ一件もつくられていないというように聞いております。このような実態だから認可制も意味を持たないというような消極的な姿勢から規制を緩和するのではないかというように思うのですが、この点はいかがですか。
  322. 板山賢治

    ○板山説明員 身体障害者の更生援護施設に働きます職員の養成訓練、御指摘のとおり大変に重要な問題でありますが、実は身体障害者福祉法が二十四年に生まれまして、続いて二十六年に社会福祉事業法というものが制定されました。社会福祉一般に従事します職員の訓練等につきましては、この事業法に基づいて都道府県等も実施をする、さらに身体障害者の専門従事者としての理学療法士あるいは作業療法士等につきましては、医療従事者の養成体系の中で養成をしていく、こういった問題がございまして、各都道府県あるいは地方自治体等におきまして、この専門の養成施設の設置をいままで見ていない、その設置にまで踏み切ることができなかったし、必要がなかったというふうに私どもは考えているのでございます。  それで、先ほど御指摘のありました、御審議あいただいて成立をいたしました国立の身体障害者リハビリテーションセンターにおきましては、国の手で、さらにこういった一般的な従事者養成とはまた別な体系として、レベルの高い専門従事者の養成に努めていきたい、このような構想を持っていま取り組んでおるところでございます。
  323. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この機会に身障者の問題についてお尋ねしますが、身障者の国鉄運賃、特に特急料金の割引についてですが、介護を要する一般の身障者については国鉄は五〇%の運賃、料金の割引を行っているのですが、特急料金については現在も割引を行っておりません。ところが、傷痍軍人などの戦傷病者は昨年九月から特急料金の全額割引を行っているそうですが、なぜ同時に一般身障者にも特急料金の割引を行わないのか。これは関連する厚生省、運輸省、国鉄、それぞれ簡単に答えてください。
  324. 水田努

    ○水田説明員 お答え申し上げます。  先生御承知のとおり、戦傷病者に対する国鉄乗車の取り扱いというのは、大変歴史的な沿革のある制度でございまして、私ども承知いたしておりますのは、昭和二年、鉄道省が、いわゆる公務で国家のために負傷された傷痍軍人に国家保障の見地から無賃乗車の扱いをするという制度が創設されました。これが、戦後、軍人恩給の停止と同時に一時停止されたのでございますが、軍人恩給が復活したのとほぼきびすを接しまして、運輸省の方で同趣旨から制度が復活し、厚生省の方で傷痍軍人に対する公費負担医療を中心としました戦傷病者の特別援護法という制度をつくりました際に、運輸省が所管しておりました法律を吸収合併した、こういうことでございます。  現状は、年間二回から十二回までという、これは障害の程度に応じてきわめて制限的なものでございますが、戦前からのいわゆる国家保障という見地で、国の基幹的な交通機関である国鉄について最低限の乗車の保障をするという形をとっているわけでございまして、昨年九月、特急につきまして無料化を図りましたのは、いわゆる最近の国鉄の利用状況が、特急を利用する頻度がかなり高まってくるという状況にかんがみて措置がなされたものでございます。  一応、戦傷病者に対する特急が昨年無料化された経緯、沿革、その特性というものを御説明、御報告をさしていただきます。
  325. 橋本昌史

    ○橋本説明員 戦傷病者に対しまして、特急を昨年から無料で行っておる制度がございますが、これにつきましては、現在、運賃について無料化しておりますことと並行いたしまして、各種の公共割引制度について全面的な見直しを行っておりますが、その一環として、今後関係省庁で詰めていく、こういう前提のもとに割引を実施しているわけでございます。  御指摘の、身障者に対して特急について割引ができないかという点につきましては、御承知のような国鉄の財政危機の状況にかんがみまして、国鉄の負担でこのような割引をするということはなかなか困難でございまして、もし割引制度を導入するといたしましたら、国鉄の負担にならない方向で検討していかなければならないと考えております。
  326. 佐々木峻一

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  ただいま運輸省の方からもお答えがございましたように、私ども国鉄財政の状況、大変窮迫いたしておりますので、国鉄の負担におきましての割引ということを拡大することは非常にむずかしゅうございます。関係省庁にお願いをいたしまして、その辺のところの検討を願っておるところでございます。
  327. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 一方は国家保障、一方は社会保障という考え方のようですけれども、国家保障としては割引は実施するが、社会保障としては割引を実施しないというのは、国全体の施策としては格差を設けることになると思うのですが、この点について厚生省はどう説明されるのか、お伺いします。
  328. 板山賢治

    ○板山説明員 私ども、身体障害者福祉対策一般を担当いたします立場で、先生のいまの御指摘に対しましてお答えを申し上げますと、実は心身障害者対策基本法というものがございまして、この基本法にあります精神といいますか趣旨というのは、国及び地方公共団体あるいは各事業主あるいは民間各分野がそれぞれの立場で、その相応する程度に応じて障害者の福祉のために各種の措置をとるように、このような規定があるのでございますが、その一つ規定の中に、国鉄運賃の割引についても「日本国有鉄道は、」という規定がございます。  ただ、この規定は、そういった努力目標といいましょうか、一つの障害者福祉のありようを規定いたしたものでございまして、これにどのように対応していただくかは、各事業主なり、あるいは国鉄でございますと、国鉄の財政事情その他の状況の中でどこまでやれるかということについて御努力、御検討いただくという趣旨のものでございます。障害者団体その他は確かに、先生のお話のように国鉄運賃あるいは特急料金につきましても割引をという願いを持ってはおりますけれども、いまお話しのありましたような状況の中でこれにどのように対応していただけるか、私どもこれから慎重にお話し合いをした上で御努力をいただきたい、このように思っております。
  329. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 関係者から見ますと、どこが負担しようが実施さえしてくれればよいというわけです。これは検討するということですが、行政管理庁長官、その点についても関係省と国鉄との間で前向きに検討させていくかどうか。そういう答弁をしていただければ、これで長官に対する質問は終わります。
  330. 金井元彦

    金井国務大臣 ただいまの点でございますけれども、関係省におきまして検討をしておるという状況でございますので、できるだけ早期に結論を得るように努めたい、かように存じます。
  331. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 あと、許認可の航空法の関係でありますので、長官、朝からお疲れでしょうからどうぞ。ちょっと長くなりますから、あしからず。  航空法の一部改正案の問題ですけれども、技能証明等を取得しようとする受験資格者の制限を緩和するという今回の改正につきましては、安全性という問題にも影響があると考えられますので、賛成できないものであります。中でも特に操縦士、航空士、航空機関士は、安全性という点からも申請時までに決められた年齢、飛行経歴等を有して受験するのが妥当であると考えます。たとえば操縦士ならば、規定の飛行時間を確保することによって緯度を一定の段階に高め、そして受験に臨むという現行の制度の方が合理的であるというふうに考えます。運輸省は改正の主たる理由として、自家用操縦者の便宜を図るのだ、また小型機業界からの要請もあったという説明をされているのですけれども、その関係者や関係団体に私聞いてみましたところ、本法改正の要求はしていないし、また現行のままでもよいという意見も聞いております。また、改正の事実も知らなかったというようなことでありました。受験の緩和というのはいいけれどもということであります。そういう私の調べたところから見てみましても、この点の改正については、私は反対であります。  そこで、この機会に日本航空における外国人パイロット及び外国人機長問題について若干の質問をしたいと思います。  これまでも外国人パイロット問題については委員会で論議され、日本人パイロットへの切りかえを指摘されてきたところであります。外国人の場合、日本人と生活、習慣、考え方、言語の違いがあります。日本人との融和を図る努力をしているとは言っても、チームワークという側面では微妙でかつ非常にむずかしい要素を秘めているということを聞きます。だからこそ、外国人パイロットから日本人パイロットへの切りかえが長年の一つの大きな課題となってきたのではないか。この点、いかがですか。
  332. 森永昌良

    ○森永説明員 外人パイロットの問題につきましては、先生いまお話しのとおりに前々からの大きな懸案でございまして、特に五十二年一月のアンカレジにおける事故の後、国会で三月から五月にかけて各種の委員会においていろいろと御審議をいただきまして、そのときに運輸省並びに日本航空からも先生の御趣旨と同じことで、なるべく早い機会に減らしていくという方向につきましては御答弁申し上げておるところでございます。
  333. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 現在、日本航空の全体のパイロットのうちで外国人のパイロットは何名いるのですか。また全体の機長のうち外国人機長は何名いるのですか。
  334. 森永昌良

    ○森永説明員 現在、日本航空の外人の機長は九十一名、これはことしの四月一日現在でございます。それから全部の機長が五百四十六名、したがいまして、パーセントにいたしますと一七%を占めております。  もう一つの御質問は、ちょっと理解ができなかったのですけれども……
  335. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 全体のパイロットのうちの外国人のパイロット。
  336. 森永昌良

    ○森永説明員 全体のパイロットでございますか、機長以外のパイロットを含めてということでございますか。
  337. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 はい。機長はそれでわかりましたけれども。
  338. 森永昌良

    ○森永説明員 全体のパイロットとなりますと、先ほどの機長五百四十六に、さらに副操縦士として五百九十五、それからセカンドオフィサーと言っておりますが、まだ操縦桿は握っておらない次のポストにいる人が三百九十一名、これを足しますと約千五百になろうかと思います。この中で外人としては、機長以外には、副操縦士あるいはセカンドオフィサーには一名もございません。
  339. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 運輸省は今日まで、日本航空における外国人パイロットから日本人パイロットへの切りかえが順調に進んできていると見ているのかどうか、お伺いします。
  340. 森永昌良

    ○森永説明員 先ほど御説明申し上げましたとおり、五十二年三月から五月にかけて国会でいろいろ御答弁申し上げているのは、人によってニュアンスの違いはございますが、五十七、八年という表現でゼロにしたいということをお答えしているわけでございます。その当時どういう前提でこういう答えをしたか、私もいろいろ調べておりますけれども、いまの段階で考えますと、この達成は非常に努力を必要とする、裏を返せば非常にむずかしい。しかしながら、何とかがんばってこの方向に持っていくように努力していきたいと思っております。
  341. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 外国人パイロットの日本人パイロットへの切りかえについて、昭和五十二年五月二十五日の衆議院の交通安全特別委員会で、日本航空の高木副社長は、大体五十七年の終わりか八年と御了承いただいて結構ですと言明しているわけです。つまり切りかえを五十七年から五十八年までに終わらせるという趣旨の答弁を当の日本航空の方でしているということですが、この事実は承知しているわけですか。
  342. 森永昌良

    ○森永説明員 承知いたしております。
  343. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 さらに同年の二月二十五日、衆議院の運輸委員会で、当時の高橋航空局長も、「日本航空では当初五十九年ごろと言っておりましたけれども、いまあらゆる努力をしてこれを縮めるようにということを指導いたしております。」「日本人機長に一日も早くかえるということを指導してまいるつもりでございます。」と答弁しているのですが、現在もなおこの行政指導は、貫いているということに変わりはないわけですか。
  344. 森永昌良

    ○森永説明員 その後いろいろ客観情勢が変わってまいりました点もございますが、極力そういう方向で努力してまいりたいということでございます。
  345. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 五十七、八年までの切りかえが何だかむずかしい、特に努力を必要とするというような御答弁があったのですけれども、その原因はどこにあるのですか。
  346. 森永昌良

    ○森永説明員 機長養成の主とした機材となっておりますダグラスDC8が大きな騒音の関係から、飛行機自体としてはライフはまだございますけれども、世界じゅうから締め出しを食う時期が非常に早くなってきているという状況が一つございます。  それから、機長になるべき要員の人たちが機長の養成コースに入るためにはある程度の飛行時間を経験しておく必要があるわけですけれども、いまのソースになる人たちが入った時期からのいろいろな経緯がございまして、ある時期、いまから訓練に入るような人たちが飛行時間の点で若干足りない人たちのいるグループが、もうしばらく後に出てくるというような要素もございまして、いろいろほかにもございますが、そういった一、二の例を申し上げましたけれども、それ以外に、たとえば、手をいろいろそれに関連して打ってもきておりますが、それもなかなか予定どおりの成果を得てないという点もございます。
  347. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうすると、切りかえのおくれを取り戻すために日本航空当局はどういう改善策を講じているのか、またそのために運輸省はどういう指導をしているのか、この点、いかがですか。
  348. 森永昌良

    ○森永説明員 日本航空は、先生御承知のとおりに持っております路線からしまして、いわゆる機長養成に最もふさわしいと言われておりますある程度大きさの小さい、たとえば727とか737とか、このクラスの飛行機をほとんど持っていない、いわば大型ジェット機だけ持っている会社でございまして、世界でもほかに例は一、二しかない程度でございます。したがいまして、たとえば同じような例で考えられますパンナム等は、大体キャプテンのソースをアメリカの空軍に求めていたりしておりますので、そういうところはそれなりでそういう対策はあるわけでございますけれども、日本航空は、そういう状態の中で機長を養成していかなければならない。そのDC8が、さらにだんだん国内線の中でどんどんDC10とかあるいはジャンボとかいうものにかわってきて、たとえば数字で申し上げますと、昭和四十八年ごろ国内線に飛んでおりましたDC8は十八機ございましたけれども、本年度ではそれが八機になっておりますし、その当時はワイドボデーとしては一機程度しか飛んでおりませんでしたのが、現在DC10が六機、ジャンボが七機というのが代替になってしまっておりますので、機長養成の場がだんだん小さくなってきている。それで養成のエフィシェンシーも非常に悪くなってきておるわけでございます。これを何とかするために、まず、五十二年ごろから、いろいろ問題になりましたので、国内線だけで養成しておりましたのをもう少し範囲を広げて国外でも比較的養成に適する路線があるのじゃないかということで探しまして、近距離の国際線、主として東南アジア方面でございますが、そういうところでも機長養成の場として国内線同様に認めようという拡張を五十三年ごろに実施いたしました。  さらには、日本アジア航空系列の会社でございますけれども、そこで機長養成もやったらどうか。さらには、五十二年に導入しましたDC10で、DC8とは別にDC10によってダイレクトに機長を養成することを始めようじゃないか。こういう計画を次々に出しまして、それぞれは、アジア航空の場合はまだ十分にスタートしておりませんが、ほかのものはすべてスタートしたわけですけれども、当初もくろんだ予定数ほど消化ができていない状況にございます。  さらに、これではいかぬということで最近幾つか新しい試みを考えておりまして、たとえばその一、二を御紹介いたしますと、現在香港が、飛行場に入るときに従来非常に操縦がむずかしいということで、東南アジアの中でも香港だけはその訓練の場所として適用を外しておったわけですけれども、最近いろいろ環境が変わりましたので、香港もそこに入れようということも近いうちにやりたいと思っておりますし、機長になる前にいわゆる機長の座るレフトシート、左側の操縦席に座って、ある程度けいこをする期間があるのですけれども、これが従来、一年半ほどかかっておりましたのを一年に詰めまして、そのかわり訓練は質を落とさないように密度の濃い訓練をしていくというようなことも考えておりますし、そのほかに最近どんどん増備してまいりましたボーイング747、いわゆるジャンボによって、DC10と同じようにダイレクト養成をしてみようじゃないかということで、現在四名試みにスタートしておりますし、近いうちにさらに後続の計画もあるというようなことで、いろいろといままで打ってきてまだ成果の上がってない分をカバーするために、いま幾つか例示を申し上げましたけれども、実施に間もなく移そうとしている、あるいは移し始めたものもございます。
  349. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 まあいろいろなことを聞きましたけれども、私は、日本航空当局者自身がこの外国人パイロットの日本人パイロットへの切りかえを本当にまじめにやる姿勢があるのかどうか疑問を感じております。  と言いますのは、昭和五十三年十月四日に日航本社において朝田社長初め重役陣など日航当局側と日航乗員組合との間で経営協議会が行われたそうであります。その席上で、ある重役は、外人雇用をなくすとの国会発言は発言時点における見通しの話であり、外人削減は行わないと発言したということです。この発言は、朝田社長も出席してのことですから、まさしく会社の方針とも言うべきものです。国会で高木副社長が答えたこととは全く反対の発言をしているのであります。私は、そこに出席していた当事者から聞いたので間違いないと思うのですが、この発言が事実だとすると、許せないことであります。運輸省の行政指導を全く無視しているばかりか、国会で高木副社長が答弁したことをも覆している、高木副社長の答弁はうそだったと言わざるを得ないのですが、運輸省はこの事実は知っておりますか。また、この外人削減は行わぬという方針を現在日航がとっているのかどうか。そういう方針をとるということを運輸省は日本航空当局から聞いているのか。そういう点についてお伺いします。
  350. 森永昌良

    ○森永説明員 昨年の十月四日の件、全く私ども聞いておりません。  それから、この機会に申し上げたいと思いますが、これは一昨年九月二十七日、マレーシアのクアラルンプールで日本航空のDC8が事故を起こしまして三十数名の方がお亡くなりになった大きな事故は先生御承知のとおりだと思いますが、その後も十一月、十二月にかけまして国会でいろいろと御審議がなされまして、その一つ委員会で、私どもの当時の航空局長が、現在の日本航空における会社と乗員との関係の問題についてはかなりの危機感を持っている。この事故を機会に、高い次元でこの問題の根本から改善策に取り組んでほしいというようなことを申し上げているわけでございます。  いまの経営協議会の話もそうでございますが、やはりいま外人の機長は依然として百人近い状態が続いている。一方、その下の副操縦士、さらにはその下のセカンドオフィサーのところではかなりのそういう地位の人たちが余っているという、全く正反対の事態が現在続いているわけでございまして、非常に乗員の人たちに不満があり、いろいろな意味で実は年じゅうごたごたしているわけでございます。それもこれもいろいろもとをたどりますと、採用の段階から、その後の会社としての各時点の養成の段階から、オイルショックを初めとして客観情勢が当初予想しなかった事態がいろいろあらわれてきたこともこれまた事実でございます。  この荒波は、全日空、東亜国内航空、規模の差はございますが、やはり同じように出たわけでございまして、その辺も含めて、ほかの会社ではその機会に十分話し合いをして、修正すべきところは修正して今日に至っている。その辺につきまして、日本航空については、まだその辺がお互いの間の十分なコミュニケーションがうまくいってないのじゃないか。実は私も行政指導の問題に関連して責任者の端くれにおりますので、機会があるごとに現在の乗員問題のネックは何なのか、どうしたらいいのか、私どもとして許される範囲では試みはいろいろやってみたいのだけれども全部出しなさいということを実は言っているわけでございますが、私どもの意がなかなか十分に徹底しないと申しますか、予定どおりうまくいかないので、私自身大いに反省しておるわけでございますが、この機会にもっと強力に会社を指導して、少しでも一人でもそういうあるべき姿の方向に一日も早く持っていく努力を、この際決意を新たにして取り組みたいと思っております。
  351. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いまの経営協議会の話、御存じないということですから、これも調べてもらいたい。それから、外人削減を行わないという方針をとっているということについても、これも調べてもらいたい。そうした問題がやはり労使関係の重要な問題になっているわけで、基本は、やはり日本人パイロットへの切りかえを速やかに実施するように行政指導しなければならないというふうに思うわけです。  日本航空の外人パイロットがIASCOから提供を受けているという問題があるわけですけれども、日本航空はこのIASCOと役務提供契約を結んでいると聞くのですが、IASCOとの関係及び契約内容を明らかにしていただきたいと思います。
  352. 森永昌良

    ○森永説明員 IASCOと日本航空との関係でございますが、雇用関係につきましては、JALとIASCOとの関係は役務提供契約に基づきましてJALが必要とする人員の派遣を求める、IASCOのクルーの直接の雇用者はIASCO自身でありまして、人事面、給与の支払い面、福利厚生関係面はIASCOが管理していると聞いております。ただ、IASCOより人員の派遣を求める場合は、日本航空としての運航に適した者に来てもらわなければ困りますので、その面について採用の基準を提示しまして、書類あるいは面接試験等に立ち会うことにしていると聞いております。  それから服務につきましては、日本航空はIASCO乗員の行動を統制し監督、命令、管理する権限を有している、すなわち、日本航空の社内の規則及び規定を適用しまして、特に安全運航のための訓練審査を含め、運航面に関しては航空法及び社内のもろもろの規則を日本人の乗員と同様に適用していると報告を受けております。
  353. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ちょっと時間がオーバーしておりまして申しわけありませんが、少々がまんしていただいて、もう少し、急いでやりますからよろしくお願いします。  昭和五十二年の三月十五日の衆議院予算委員会の第六分科会で、当時の高橋航空局長は「労務供給につきましては、当然職業安定法に基づく許可を受けていると思います。」こういう答弁をしているのですが、IASCOという会社は、日本国内での職業安定法に基づく労務供給の労働大臣の認可を受けていないと思うのですが、いかがですか。
  354. 田代裕

    ○田代説明員 お答え申し上げます。  わが国においては、労働者供給事業につきましては職業安定法の第四十四条で、次条の四十五条に規定いたします労働組合法による労働組合が労働大臣の許可を得た場合、これは行えるということになっておりますので、IASCOにつきましては、許可はされておりません。
  355. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうすると、前に高橋航空局長が答えたのはうそであったということになります。  そして職業安定法の第四十四条によりますと、そういう関係で許可を受けてなければ労働者の供給をしてはならない、またその者から労働者の供給を受けてはならないという規定になっているわけですから、少なくとも日本国内においては、これはこの職業安定法違反になると考えるのですが、いかがですか。
  356. 田代裕

    ○田代説明員 IASCO社は、先生御承知のとおりに、これは米国カリフォルニア州にある企業でございまして、米国におきまして国内法による適法な活動をしている企業でございます。そういった点で、現在の職業安定法で言う供給をしておる、形式的には確かに労働者供給事業という点に非常に紛らわしいと申しますか、近い形のものだというふうに考えられますが、実際に職業安定法を適用する場合におきまして、米国におきます企業につきましてわが国の国内法の適用ということはいたしかねる状況でございます。  それからまた、労働者の供給事業は先ほど申し上げましたように、許可をとるという形になっておりますが、その労働者供給事業を行う者から紹介を受ける、その受け入れを行うということについても禁じられておりますけれども、いま申し上げましたとおりに、供給する側が国内法の適用外ということなので、現在職業安定法違反ということにはならないというふうに考えております。
  357. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それは日本の刑法の場合を見ても、国内における犯罪を処罰する、こういう規定がある。ですから外国では適法なことであっても、最近航空疑獄が有名ですけれども、外国では処罰されないことであっても日本人ならば処罰される、日本人ならば取り締まりの対象になる、こう解釈するのが当然だと思うのですけれども、あなた方はこの問題については、十分な検討をなさっているのですか。
  358. 田代裕

    ○田代説明員 労働省といたしましては、検討しました結果、先ほど申し上げたとおりの見解を持っておるわけでございます。
  359. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この問題も重大な問題ですが、余り時間が過ぎると委員長に悪いですから、やめておきます。  日本航空における日本人機長養成が非常におくれているという問題があるわけですけれども、機長不足は、安全性の問題、そしてまた、さきに質問しました外国人機長の日本人機長への切りかえ問題とも不可分の関係にあると考えます。日本航空における機長養成というのは、いま運輸省は非常に厳しい状態だというように言われましたけれども、実績を見てみますと、日本航空乗員組合の調査によりますと、昭和四十五年が五十七名、四十六年が四十七名、四十七年が三十一名、四十八年はゼロ、四十九年が二十五名、五十年が三十一名、五十一年が二十六名、五十二年が二十九名と、四十六年以降極端に下降しているのですが、これは運輸省の調査と合っておりますか。
  360. 森永昌良

    ○森永説明員 機長としての昇格発令者を各年度別に日本航空から取り寄せた資料によりますと、五十年度三十一と先生おっしゃいましたけれども、三十というふうに私ども聞いております。
  361. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 機長が不足をしておりながら、しかも機長養成数を拡大できず、むしろ下降しているというこの現象はどこに原因があるかということになりますと、先ほどるる説明がありましたけれども、それは日航当局からの報告を受けてそういう説明になるのか、またその問題点を解決する策についてどう指導しているのか、お伺いします。
  362. 森永昌良

    ○森永説明員 DC10によるダイレクトの機長養成、あるいは東南アジアに対象路線を広げるというようなことを先ほど御説明しましたとおり始めたわけでございますが、それぞれのときに、年間の養成数四十というような数字は出ておったわけでございます。それがいま先生からお話のあったとおりに、一番新しい五十三年度におきましても四十という数字は出ておりません。  したがって、本来ならば、このころはもう四十という数字が出てきても少しもおかしくないわけで、先ほどから幾つか試みを申し上げましたけれども、それがそのとおりいかなかった原因がどこにあったのか、どうすればそれは防げたのか、ではそれを直していくためにはどうしたらいいのかというのを個々に詰めた話をしたいということで、繰り返し私は会社に言っているのですけれども、なかなか決め手になるようなものを出してこない。私ども、十分な指導がいまの段階ではまだまだ徹底していないということを大変申しわけなく思っているのですが、そこを詰めていかないと、今後の対策も出てこないのではないかというふうに思っております。
  363. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この機長養成問題についても、日本航空当局は真剣に取り組もうとしているのかという問題で疑問を感じるわけです。  たとえば、昭和五十一年十一月十二日付、日本航空管理部資料の試算(ケース5)によりますと、六十三名の機長養成が可能だとしております。ケース5とは、OJT路線は近距離国際線を含む、新人機長フィックス期間を〇・五年とする、LS期間を〇・五年と短縮するなどして、六十三名の養成が可能だという数を出しているわけです。また、関係者の中には、現状の機材、路線構成でも、改善策によっては百名近い機長養成が可能であるという指摘もあります。  しかるに、日本航空当局は、年間四十名という計画を出しているので、これではもちろん足りないのですけれども、機長養成を本当に進めようとしていないのではないかと疑わざるを得ないわけですが、運輸省はいま指摘した点を含めてどういう報告を受けているわけですか。
  364. 森永昌良

    ○森永説明員 年間の養成数につきましては、いま先生お話しのような大きい数字の意見も一部にあることも聞いておりますけれども、私どもの考えた限りでは、やはりこれまた数だけ養成するわけにいきませんので、質を決して落としてはいけないわけでございますので、その辺も相考え、現在の使用機材、使用できる路線等をいろいろ考えますと、やはり四、五十というところがいまの段階では妥当な線ではないかと考えております。したがって、それをどういうぐあいにさらにふやしていく方法があるかというのは、これから勉強すべきことじゃないかと思っております。  それから、この機会に一つだけ数字を申し上げておきたいのは、訓練を始めましてから機長になることを認めるまで、いわゆる機長に昇格するまでの間に淘汰される人たちがいるわけで、これも会社側の資料によりますと、四十八年から五十三年までの六年間に、平均いたしまして一八%の人が脱落していっているわけでございまして、二割に近い人が落ちている。この辺も、やはり質の面でこれをそうルーズにするわけにもいきませんし、ここら辺も養成数がはかばかしくいかない原因の一つになっているかと思います。
  365. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 運輸省は、機長の養成数を拡大するために行政指導を強化しなければならない立場にあると思うわけです。具体的な指導が必要であると思うのです。  そこで、一つ申し上げますと、日本航空の機長養成数の拡大を阻んでいる大きな要因の一つに、レフトシート制というのがあります。このレフトシート制は、日本航空特有のものであるらしく、他の航空会社には見当たらないわけであります。機長の養成期間を比較すると、日航はレフトシート制を含め約二十四カ月、全日空は三・五カ月、エアフランスは約四カ月、ルフトハンザは約四カ月となっております。日本航空だけ大幅に養成期間が長くなっているわけです。  実は、このレフトシート制度の期間は、日航の機長養成期間の中に組み込まれ、養成期間約二十四カ月のうち、平均約十八カ月間をここが占めております。しかも、この期間に実施されることというのは、安全対策や技量向上のためとは全く関係のない労務管理対策を推し進める場となっているとして、乗務員などが不必要なものだと強く反対しているわけです。  たとえば、レフトシート期間中の第一次面接では、「組合のやり方をどう思うか」とか、「組合といま争点になっているのは何か」とか、「ストライキをどう思うか」、こうした質問をするなど、機長養成とは無関係の、まさしく組合を分断し、差別、選別の労務管理政策を推し進める場になっていることは明らかであるわけです。運輸省は、日航当局のこのようなやり方をやめさせるべきであると思うわけです。ほかの会社と比べてみても異常な状況ができているのですが、この点についてはどのように考えますか。
  366. 森永昌良

    ○森永説明員 いわゆるレフトシート訓練というのは、先生御承知のように、四十七年にインドのボンベイあるいはソビエトのモスクワ等で大変大きな事故が起きたわけでございますが、その反省から会社が採用した制度というふうに聞いております。  そしてその理由として、こういう他に例を見ない長期間で複雑な左席操縦訓練をやる理由といたしまして、ほかの会社でございますと、その企業の中に小型の飛行機から大きな飛行機までバランスよくあって、それでだんだん小さい飛行機で腕をみがいてまた上に上がっていくというやり方ができるのに対して、日本航空だけは、機材の構成上大型機しかないという特殊性から、またさらには、先ほど申し上げたように、パンナム等のように空軍からそういう経験のある人を受け入れるというふうなことができない、本当に世界に例のない環境のもとで何とかりっぱな機長を養成していかなければならぬというところからスタートしたというふうに聞いております。  その長い期間の中にそのようなことがかなりのウエートを持ってやられているということになりますと、やはりそれなりの意見もまた出てくるかと思いますが、いずれにいたしましても、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この乗員の人たちと会社側との関係が正常化とは言い得ない状態が長い間続いておりまして、二年前に当時の局長が申し上げた危機的な状況というのがいまの段階でもほとんど変わっていないという状況でございますので、やはりその基本を改めずしてすべての施策もなかなか円滑にいかないし、いい方向も見出し得ない。やはりこの際お互いに初心に返って、どうしたら質のいい機長を、なるべく短い能率的な期間にいかにして養成するかということを、真剣にお互いの枠を越えて議論し合って、その結果、役所のサイドで制約しているものがあるとすれば、そこで私どもがそれを極力外して、そういうのが実現の方向に行くように考えてあげるということだと思いますので、そういった方向でやるように、繰り返し繰り返し私は自分の力の限りを尽くしてやってきているわけでございますが、成果を見ていないのは大変申しわけないと先ほどから思っております。
  367. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 安全対策や技量の向上訓練などと関係のないレフトシート制を機長養成の中に組み入れているということについては、再検討をさせるべきであるというように考えます。また、レフトシート制が機長養成数拡大のネックになっているということ、さらに安全対策や技量向上とは関係のない内容となっていること、ほかの航空会社にはないという点で問題があるように思うわけです。日本航空の機長養成制度、安全対策及び技量向上面などから全般を見直して撤廃すべきものは撤廃するなどして、機長養成数の拡大を十分図れるようにすべきであるということを提言いたします。  運輸省は、以上の点について行政指導を検討し、そうした方向で指導するかどうかお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  368. 森永昌良

    ○森永説明員 日本航空におきましても、現在セカンドオフィサーにたくさんだまっている乗員の人たちの不満を解消するために新しくフライトエンジニア、いわゆるパイロットにならないで航空機関士としての仕事だけにずっと専念するという制度を復活導入するようなことを決めるための委員会が開かれ、昨年の春答申が得られました。さらには、ジャンボの機長をダイレクト養成する制度を去年の暮れ導入する等、いろいろ先ほどから私が余り大変な状態のようなお話ばかりいたしましたけれども、そういう状態の中でもいろいろと新しい試みは、皆さんの若い方の話も聞きながら少しずつは動いてきておりますので、とにかくそういうものを今後ますます広げていってお互いの一致点を見出していただいて、それを私ども、繰り返すようでございますが、行政サイドからそれをさらに軌道に乗せるような形に持っていくというのが一番スムーズではなかろうかと思っておりますので、そういう方向で今後努力してまいりたいと思います。
  369. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 会社側の不当なやり方をやめさせるように指導されることを強く求めて、質問を終わります。
  370. 藏内修治

    ○藏内委員長 次回は、来る二十四日木曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時五十六分散会