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1979-05-08 第87回国会 衆議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年五月八日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 藏内 修治君   理事 唐沢俊二郎君 理事 小宮山重四郎君    理事 竹中 修一君 理事 村田敬次郎君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上原 康助君    理事 新井 彬之君 理事 吉田 之久君       逢沢 英雄君    石橋 一弥君       宇野  亨君    越智 通雄君       関谷 勝嗣君    中馬 辰猪君       塚原 俊平君    西田  司君       福田  一君    堀之内久男君       森  美秀君    上田 卓三君       八百板 正君    山花 貞夫君       市川 雄一君    鈴切 康雄君       柴田 睦夫君    中川 秀直君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      金井 元彦君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 山下 元利君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      味村  治君         行政管理庁長官         官房審議官   中  庄二君         行政管理庁行政         管理局長    加地 夏雄君         行政管理庁行政         監察局長    佐倉  尚君         防衛庁参事官  岡崎 久彦君         防衛庁参事官  佐々 淳行君         防衛庁参事官  古賀 速雄君         防衛庁参事官  番匠 敦彦君         防衛庁長官官房         長       塩田  章君         防衛庁長官官房         防衛審議官   上野 隆史君         防衛庁防衛局長 原   徹君         防衛庁人事教育         局長      夏目 晴雄君         防衛庁衛生局長 野津  聖君         防衛庁経理局長 渡邊 伊助君         防衛庁装備局長 倉部 行雄君         防衛施設庁長官 玉木 清司君         防衛施設庁総務         部長      奥山 正也君         防衛施設庁施設         部長      多田 欣二君         法務大臣官房審         議官      水原 敏博君  委員外出席者         警察庁刑事局国         際刑事課長   水町  治君         科学技術庁原子         力安全局原子炉         規制課長    早川 正彦君         外務省アジア局         南東アジア第一         課長      中村  武君         外務省アメリカ         局外務参事官  北村  汎君         文化庁文化財保         護部記念物課長 逸見 博昌君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ————————————— 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   上田 卓三君     河上 民雄君 同日  辞任         補欠選任   河上 民雄君     上田 卓三君 五月八日  辞任         補欠選任   稲垣 実男君     森  美秀君   藤尾 正行君     西田  司君   増田甲子七君     堀之内久男君   森  喜朗君     石橋 一弥君 同日  辞任         補欠選任   石橋 一弥君     森  喜朗君   西田  司君     藤尾 正行君   堀之内久男君     増田甲子七君   森  美秀君     稲垣 実男君     ————————————— 五月四日  元陸海軍従軍看護婦の処遇に関する請願外六件  (愛知和男紹介)(第三二二七号)  同(福島譲二紹介)(第三二六九号)  同外三件(山口鶴男紹介)(第三二七〇号)  同(木村俊夫紹介)(第三二八七号)  同(受田新吉紹介)(第三二九八号)  同(玉置一弥紹介)(第三二九九号)  同(宮澤喜一紹介)(第三三〇〇号)  同外一件(小宮山重四郎紹介)(第三三一一  号)  同(武田一夫紹介)(第三三一五号)  同(谷垣專一君紹介)(第三三一六号)  同(野呂恭一紹介)(第三三一七号)  同(江藤隆美紹介)(第三三四二号)  同(和田耕作紹介)(第三三四三号)  元号の法制化反対に関する請願安島友義君紹  介)(第三二四四号)  同(安宅常彦紹介)(第三二四五号)  同(阿部未喜男君紹介)(第三二四六号)  同(井上泉紹介)(第三二四七号)  同(井上一成紹介)(第三二四八号)  同(井上普方紹介)(第三二四九号)  同(伊賀定盛紹介)(第三二五〇号)  同(伊藤茂紹介)(第三二五一号)  同(池端清一紹介)(第三二五二号)  同(石野久男紹介)(第三二五三号)  同(石橋政嗣君紹介)(第三二五四号)  同(板川正吾紹介)(第三二五五号)  同(稲葉誠一紹介)(第三二五六号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第三二五七号)  同(上田卓三紹介)(第三二五八号)  同(上原康助紹介)(第三二五九号)  同(枝村要作紹介)(第三二六〇号)  同(小川国彦紹介)(第三二六一号)  同(小川省吾紹介)(第三二六二号)  同(小川仁一紹介)(第三二六三号)  同(大出俊紹介)(第三二六四号)  同外三件(大島弘紹介)(第三二六五号)  同(栂野泰二紹介)(第三二六六号)  同外一件(山花貞夫紹介)(第三二六七号)  同外九件(米田東吾紹介)(第三二六八号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第三三三四号)  同外一件(上田卓三紹介)(第三三三五号)  同(岡田利春紹介)(第三三三六号)  同外一件(河上民雄紹介)(第三三三七号)  同外二件(土井たか子紹介)(第三三三八  号)  同(栂野泰二紹介)(第三三三九号)  同(中村茂紹介)(第三三四〇号)  同(吉原米治紹介)(第三三四一号)  旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願森下元  晴君紹介)(第三三〇一号)  台湾残置私有財産補償に関する請願瀬野栄次  郎君紹介)(第三三一八号)  同(藤本孝雄紹介)(第三三一九号)  有事立法及び日米共同作戦態勢強化反対に関  する請願湯山勇紹介)(第三三四四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四一号)  附属機関地方支分部局等に関する規定の整理  等に関する法律案内閣提出第五〇号)  許可、認可等整理に関する法律案内閣提出  第五一号)      ————◇—————
  2. 藏内修治

    ○藏内委員長 これより会議を開きます。  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴切康雄君。
  3. 鈴切康雄

    鈴切委員 防衛庁職員給与法の問題について、予備自衛官給与を上げるということについて、予備自衛官の問題についてはそれなりの論議は必要であろうかと思うわけでありますけれども、しかし一応わが党は、人事院勧告に基づいて出された一般職給与に準じて行われるいわゆる防衛庁職員給与についてはそれなりに賛成という形をとっておりますので、その問題はその問題にいたしておきまして——ちょっと待ってください、いま法務省がおくれているそうですが、やはり法務省が一番先の質疑ですから。——法務省の方がおいでになりましたので、それじゃ質問を続行いたします。  法務省にずっとお聞きしてまいりたいと思っておりますけれども、御存じのとおり、毎回のFX争奪戦については壮絶な戦いが繰り広げられて、常に黒いうわさがまつわっております。今回も第二次FXにおいては、報道されているところによりますと、松野氏に四億五千万円あるいは五億円の金が流れたのではないかという金の流れを確かめるために参考人としての事情聴取があったとも伝えられております。私はやはり毎回、第一次、第二次、そして一つの延長線として第三次FXという問題についても、決してそれがクリーンであるというふうには思われないわけであります。今回、黒い霧解明のかぎを握っていたと言われています日商岩井島田常務自殺によって、その解明は非常に難解をきわめているというのが事実であります。島田常務遺書を残した中に、「F15、他に何がありますか。対抗機は?良いものは、良い。必要なものは必要なんです。政治家便乗、でも良いものは良いのです。」というふうに書き残してあります。  そこで審議官にお伺いいたしますけれども、この遺書の中の「政治家便乗」ということは、文章のつながりから言うとF15関連したものであると判断されておられるのか、あるいはこれとは全く無関係であると判断をされているのか、その点についてお伺いします。
  4. 水原敏博

    水原政府委員 一部の報道鈴切委員指摘の亡くなられました島田三敬氏の作成に係るとされますメモの写しが報ぜられておりました。それによりますと、委員指摘のとおりの記載があることも承知いたしております。しかし、F15選定をめぐると、これに「政治家便乗」というものとがつながるかつながらないか、これにつきましては、現在捜査当局捜査中でありまして、捜査当局からの具体的な内容報告に接しておりません。  なお、この一部のマスコミ報道につきまして、これを法務省立場といたしまして公にコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。それにつきまして、現在捜査当局では、国会で大変御熱心に御議論なさっておられます事柄マスコミによって報道されておりますそれらの事柄をも踏まえまして、ダグラス、ボーイング、グラマン各社からわが国に流入したと思われます金の流れ解明に努めておるところでございまして、その過程でそれが何らかの犯罪容疑が認められるならば、捜査当局といたしましては、積極的にこの解明に努めておるところでございます。  ただ、具体的にどのような事柄について捜査をしているかということにつきましては、現在、鋭意捜査中でございますその捜査内容に属することでございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  5. 鈴切康雄

    鈴切委員 「政治家便乗」という言葉について、それはそのとおりあったのだということでありますけれども、その当時、検察側は少なくとも何らかの関心を持っておられたのか、犯罪につながらないから現在は余り関心を持っておられないのか、その点についてはどうなのでしょうか。
  6. 水原敏博

    水原政府委員 島田三敬氏の遺書につきまして、政治家便乗という内容があったかどうかにつきましては、ただ、そのような新聞報道がなされておるということを承知しておるという趣旨で申し上げたことでございますので、まず、それを御確認いただきたいと思います。  次に、この問題につきまして委員指摘のような点につきましては、先ほども申しましたとおり、従来ともに第三次FX問題につきましても、国会で御論議いただいておるところでございますので、捜査当局も相応の関心を持ってこれについては解明をしているものと思います。
  7. 鈴切康雄

    鈴切委員 日商岩井の金のルートは三つあったというふうに言われております。一つは、二百三十八万ドルのRF4E売り込みに基づいて、これが第二次FX政界工作として使われたのではないかということで、これがいま現在新聞報道に出ております。そのほか、百五万ドルの747SRの追加手数料でありますし、それから六万ドルとか百万ドルと言われているもう二本の政治の裏金の流れというものが実はあるわけでありますけれども、この問題については余り明快なあれはないわけでございます。これはやはり島田常務自殺をしたということで、その自殺の壁というものはかなり捜査の障害になっている、そういうふうに判断していいでしょうか。
  8. 水原敏博

    水原政府委員 現在、捜査当局では、これらの金の流れについて鋭意解明中でございますので、その具体的内容につきましての御答弁は差し控えさせていただきますが、島田三敬氏の自殺が壁になっていないかと言われますと、壁になっていないとは言えないと思います。
  9. 鈴切康雄

    鈴切委員 今回のダグラスグラマン航空機輸入にまつわる黒い霧について、国会としては、政府提出をした防衛予算のうちE2Cに関する予算凍結ということで処置をされておりますが、少なくとも国会において政治家を含む国会証人喚問を通じて徹底的に解明する必要があると私は思います。  ところが伊藤刑事局長は、四月二十五日の航空機輸入に関する調査特別委員会答弁では、早期警戒機E2Cについては犯罪嫌疑は見出すに至っていないという趣旨答弁をなされております。E2Cについて全く嫌疑がないのか、あるいは島田氏の自殺によって、関心を持っておったけれども壁にぶつかって、いまのところは嫌疑を見出すに至っていないのか、その点についてはどう御判断でしょうか。
  10. 水原敏博

    水原政府委員 四月二十五日の衆議院航空機輸入に関する調査特別委員会での伊藤刑事局長答弁は、犯罪容疑を見出すに至っていないという趣旨ではございませんで、議事録によりますと、このE2Cに関する捜査はどうなっておるのかという御質問に対して、現在までのところ検察当局としては強制捜査を必要とするような犯罪容疑を確認していないというふうに答弁をしておるわけでございます。  したがって、これが鈴切委員指摘島田三敬氏の自殺関係があるかどうか、これにつきましては、いまのところまだ捜査当局捜査中でございまして、具体的な報告に接しておりませんので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  11. 鈴切康雄

    鈴切委員 いまのあなたの答弁から言いますと、現在までの状況の中においては強制捜査をするに至っていないということは、やはりE2Cについてはまだまだ余韻を残している、こういうことであるというふうに判断していいわけですね。
  12. 水原敏博

    水原政府委員 現在、これに関します一連の捜査が継続中でございますので、いままだ余韻が残っておるとか、もうすでに切れてしまったとかいうことをこの場で答弁することは御容赦願いたいと思うのでございます。
  13. 鈴切康雄

    鈴切委員 F15について政治家に対する工作資金流れ検察側としては何らかそれはつかむことができたのか、あるいは嫌疑を見出すことができなかったのか、その点についてはどうなんでしょうか。
  14. 水原敏博

    水原政府委員 F15に関する御質問でございますが、先ほども申しましたとおり、現在まだ海部議院証言法違反容疑勾留をしまして、十五日が延長満期でございますが、それまでの間、まだ身柄を拘束してすべての面について鋭意捜査中でございます。その捜査具体的内容それから対象、これにつきましては捜査の秘密にかかわることでございますので、この程度で御容赦願いたいと思います。
  15. 鈴切康雄

    鈴切委員 いま、十五日まで海部を取り調べているというお話でございますけれども、そうしますと、大体十五日が最終めどであるというふうに判断していいでしょうか。
  16. 水原敏博

    水原政府委員 現在、勾留をいたしております身柄拘束期間が十五日ということでございまして、それの段階議院証言法違反の事実につきましては一応の結論を出すことになろうかと思いますが、その時点をもってすべての結論というわけではないと御理解いただきたいと思います。
  17. 鈴切康雄

    鈴切委員 そうしますと、いまの御答弁によりますと、海部氏の議院証言法に基づく内容のみのいわゆる起訴である、一応今回の勾留している目的というものはそういう内容である、そう判断していいですか。
  18. 水原敏博

    水原政府委員 委員も御案内のとおり、勾留しておる事実以外の事実について取り調べることは、別件勾留の問題にもかかわりますが、それにかかわらない限度におきまして、すべての事案につきまして解明に努めておる、このように御理解いただきたいと思います。
  19. 鈴切康雄

    鈴切委員 捜査最終段階を迎えているというように伝えられておりますけれども、すでに参考人として事情聴取を終えた者に対して国会証人喚問をすることが捜査妨げになるというふうに、あなた方はそのように判断をされておりましょうか。
  20. 水原敏博

    水原政府委員 これは大変むずかしい御質問でございます。と申しますのは、すでに捜査が完了しているという前提でございます。これは捜査が完了している者につきましては、これは国会議院証言法に基づいて御召喚なさるわけでございますので、これにつきましては、捜査当局法務当局としても何とも申し上げかねるわけでございますが、捜査が現在進行中、また一たん捜査は終わったやに見えますが、ほかの関係者調べとの関連で再びまた調べをしなければならないというような事情が生じるような関係者につきましては、率直に申しまして、国会での証人喚問捜査支障があると存じます。
  21. 鈴切康雄

    鈴切委員 国会においての証人喚問は、御存じのとおり証人喚問を通じて偽証罪とかあるいはそういう形で、何らかそれは検察側と両輪の形で解明を進めてきているわけですね。これは御存じのとおりであります。しかし、特定のいわゆる政治家等に対する証人喚問については、かなりの抵抗を示しているわけでありますけれども、事情聴取を終えた者に対して捜査云々でなくして、事情聴取を終えた者について国会として証人喚問することが捜査妨げになるということになれば、これは大変に公正を欠くようなことになるわけですね。ですから、そういう点についてどういうふうに判断をされているかということです。
  22. 水原敏博

    水原政府委員 これまでの事件国会から議院証言法違反で告発をいただきまして、それが貴重な手がかりになって捜査が進んだという事例もたくさんございまして、これは心から感謝いたしておるところでございます。さればといいまして、先ほども申しますように、捜査が完全に終了しておるということの判断が大変むずかしゅうございます。なるほど偽証、それから証言拒否という問題もございますが、捜査真実——取り調べと申しますのは、委員も御案内のとおり、自分の最も言いたくないことをしゃべらなければいけない場面がしばしばございます。そういう場合に間々経験するところでございますが、やはり検察官関係者一対一関係におきまして、そしてじっくりとその者との接触を持つ、そういう過程検察官人間性にほれたり、あるいは動かされたりということで真実を述べることが、大きな事件を通じての経験から見まして、通例のように考えるわけでございます。  ところで、そういう意味合いにおきましても、事案の真相を明らかにするためには、捜査の途中でそのように国会での御喚問がありますならば、やはり捜査大変支障があると考えますので、その点は私どもの願望ということでお受け取りいただいて、何分心中を御理解いただきたい、このように思います。
  23. 鈴切康雄

    鈴切委員 総理も、E2Cの凍結解除については、捜査解明を待って成り行きを見守るという態度を明らかにされておりますけれども、刑事局長国会答弁で、E2Cは犯罪嫌疑は見出すに至っていないという答弁だけで、それから先ほど答弁されただけで凍結を解除する条件にはならないと私は思っております。これからの捜査のいかんという問題もあるでありましょうし、灰色の部分があるか否かという問題が残されている以上は、国民凍結解除条件にはならない、そのように思っているわけでありますけれども、検察側はこの問題でもっと明確な形で国民の疑惑に今後おこたえになるつもりなんでしょうか。
  24. 水原敏博

    水原政府委員 E2Cの凍結解除の問題につきましては、法務検察立場から意見を述べる立場にないと思いますので、御容赦願いたいと思います。
  25. 鈴切康雄

    鈴切委員 今回のいわゆる捜査検察側では大詰めに来ているというふうに一部報道されておりますけれども、海部起訴段階においてその点明確に触れられるのか、あるいは今回の事件の中で時効職務権限あるいは自殺等で明確を欠く点が非常に多いわけでありますけれども、起訴した場合、公判維持に影響を与えるので報告を出さない方がよいというふうに考えておられるのでしょうか。
  26. 水原敏博

    水原政府委員 お尋ねは十五日の海部勾留満期、そしてその際の起訴段階で、もろもろの事情について公表する意思があるかどうかという御質問かと思いますが、先ほども申しましたとおり、十五日と申しますのは、議院証書法違反勾留しております海部勾留期間が満了するという時点でございまして、それでもって捜査が終了するわけではございません。いままで国会あるいはマスコミその他の関係からいろいろ寄せられました資料、SECの資料等も含めまして、各方面の問題について現在鋭意捜査中でございますので、それらの捜査が十五日でもって終了するとはとうてい考えられないわけでございます。  なお、それではその捜査終了時点で何らかの発表する意思があるかどうかというような御趣旨に承りましたが、それにつきましても現在まだ事案解明中でございますので、発表云々をする時期ではないと考えますので、御了承いただきたいと思います。
  27. 鈴切康雄

    鈴切委員 ロッキード事件のように、国会に何らかの形で報告をしたといういきさつがあったわけでありますけれども、今回はまだそういうふうな時期ではない、そういう判断をしてよろしゅうございましょうか。
  28. 水原敏博

    水原政府委員 そのとおりでございます。
  29. 鈴切康雄

    鈴切委員 今回の航空機等捜査に当たっては、検察側はすでに二けたから三けたにわたるいわゆる被疑者並び参考人事情聴取をされているというふうに聞いておりますけれども、もうそれくらいいっていましょうか。
  30. 水原敏博

    水原政府委員 この点も捜査の機密に関することでございますが、四月の二十五日の航特委におきまして、刑事局長が三けたに達しておるとお考えになって結構でございましょうということでございますので、その点から御推察いただきたいと思います。
  31. 鈴切康雄

    鈴切委員 三けたの中に、政治家のいわゆる参考人としての事情聴取というのも複数にわたって行われておりましょうか。
  32. 水原敏博

    水原政府委員 政治家からの事情聴取をしたかどうかについては、捜査当局から報告に接しておりません。
  33. 鈴切康雄

    鈴切委員 報告に接していないということは、なかったということなんですか、それとも、あるけれども報告を受けていないということなんでしょうか。
  34. 水原敏博

    水原政府委員 捜査対象がだれであったのか、それからどういうものであったのか、これにつきましては現在まだ捜査中でございますので、感触も申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  35. 鈴切康雄

    鈴切委員 職務権限がない場合とか、あるいは時効の壁によって、黒い金を受け取ったが犯罪が構成されないいわゆる灰色高官は、道義上、政治国民の前に指弾をされなければならないと思っております。  国会がどういう公表の仕方をするかは、当然これからの話し合いの結果になるわけでありますけれども、検察側国会に対して、灰色高官公表について何らか配慮する用意を持っておられるのか、あるいは検察側は全面的に国政調査権に対して配慮する、そういうお考え方を持っておられるのかどうか、それについてお伺いします。
  36. 水原敏博

    水原政府委員 委員案内のとおり、刑事訴訟法四十七条の捜査の非公開という問題がございます。それとの関連がございますし、現在まだ、先ほど答弁申し上げましたとおり相当幅広い関係捜査を続けておる段階でございますので、将来においてそれに応ずる意思があるかどうかをまだ全く検討する段階ではないわけでございます。  その程度で御了承いただきたいと思います。
  37. 鈴切康雄

    鈴切委員 刑事訴訟法第四十七条について、人権の問題等が明記されておりますけれども、御存じのとおり、ただし書きがあるということは、これはおっしゃっていただかなければならないわけですね。ただし書きというのは、公益を優先するという立場ですから、当然今回のこういう問題については、国民の公益ということは、国民自体が解明をせよという世論である以上は、これは公益優先という立場から灰色高官公表という問題も、国会においては当然これから論議されなくてはならないわけでありますけれども、国会において灰色高官公表というときに、刑事訴訟法四十七条の解釈の上に立って、そしてそういう結論が出たときに、検察側としては国政調査権に対して何らかのいわゆる配慮をするということはあり得るのか、全くもうそんなことはないというふうにおっしゃるのか、その点についてはどうなんでしょうか。
  38. 水原敏博

    水原政府委員 鈴切委員の御質問、大変むずかしい重要な問題の御質問でございます。私の立場からこの点に関する答弁は、御容赦願いたいと思います。
  39. 鈴切康雄

    鈴切委員 それではだれが答弁するのですか。
  40. 水原敏博

    水原政府委員 この問題につきましては、現在まだ捜査御継続中であることは先ほども申したとおりでございますが、それらのめどがつきました段階で、国政調査権が重要であることも踏まえ、刑訴法四十七条ただし書きの趣旨をも考えた上で、どう対処するかを十分検討することになろうかと思いますが、いずれにいたしましても、これは仮定の話でございますので、その点で御容赦いただきたいと思います。
  41. 鈴切康雄

    鈴切委員 それでは先に進ませていただきたいと思いますけれども、さきの国会において私がF15のエンジンの欠陥について質問をいたしました。これはアメリカの会計検査院の五十三年四月二十四日のF16に関する報告書によると、同機及びF15に搭載されているF100エンジンの重大な欠陥が明確に指摘されており、F100エンジンを搭載しているF15にも深刻な問題であると、そのように述べております。  そして五十二年の二月に米軍のスレー中将あるいは五十二年の四月に会計検査院の報告、あるいは五十二年の十二月にエンジン改善に関しての言及、そしていま私が申し上げましたように、五十三年の四月に米会計検査院の報告によって欠陥が指摘されているわけでありますけれども、その欠陥が指摘されているにもかかわらず、なぜF15を急いで採用しなければならなかったのでしょうか。
  42. 番匠敦彦

    ○番匠政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からF15のF100エンジンのふぐあいの件についてお話がございましたが、この件につきましては、その後の状況を若干御説明させていただきたいと思います。  このF100エンジンにつきましては、その後、制御用部品の信頼性の向上、それからエンジンの電子制御装置の改修及び燃料の管制装置といいますか燃料制御装置の改修等が実施されておりまして、一九七八年の十月まで、昨年の十月でございますが、十月までの米軍の、会計検査院で指摘されました一番焦点になっておりますスタグネーションストールの発生率の問題でございますが、累積の発生率が千飛行時間当たり一・六回というふうに減少しております。スレー中将が証言されたころは当初の時期でございまして、四・三回というようなことが発表されておりますが、現在はトータルの累積で約一・六回まで減少しております。それから一九七八年の十月一カ月だけを限って見てまいりますと、千飛行時間当たり約〇・七回まで非常に改善されている状況でございます。そしてまだ種々な改善の方策が実施されておりまして、ことしの四月以降には、エンジンの中の分流器の改修等を行いました場合には、この発生率が〇・一回まで減るというふうに米軍は予想しておる状況でございます。  したがいまして、わが国が導入するエンジンというのはこれからつくるわけでございますので、これらの改修がすべて実施されたものを入手するという状況になるわけでございまして、このエンジンのふぐあいの問題は、われわれが入手する時期までにはほとんど問題がなくなるというふうに予想している状況でございます。
  43. 鈴切康雄

    鈴切委員 エンジンのふぐあいについて、あなたは今度入手するまでには必ずそういう問題は解決すると、こうおっしゃっておりますけれども、エンジンのふぐあい、これには実は六つの問題があるということは御存じですね。会計検査院報告の中で言っております。一つは、タービンブレードのふぐあいとエンジン外へのタービンブレードの飛散、すなわち羽根が飛んでしまうという問題。二番目は、エンジンストール、エンジンが思うように回転しないという問題。それからエンジンスタグネーション、ストールの一極であるが、エンジンを停止させて始動するという問題。あるいは四番目には主要燃料ポンプのふぐあい。それから五番目は地上始動の問題、すなわちエンジンが始動しないということ。六番目にはアフターバーナーのふぐあいと耐久性の問題、すなわち加速のためにアフターバーナーを使うということが、これはなかなかふぐあいでむずかしい。会計検査院は、こういうエンジンに対する六つの欠陥を指摘しているわけですね。そうですね。  それでは、あなたのおっしゃるように、完全にエンジンがよくなるのは何年かかりますか。
  44. 番匠敦彦

    ○番匠政府委員 先ほどは主としてストールの問題について御説明したわけでございますが、先生おっしゃいましたように、会計検査院の報告には六つくらいの問題点が指摘されておりますので、その点若干説明さしていただきたいと思います。  最初のタービンブレードのふぐあいとタービンブレードの飛散の問題でございますが、最近の状況を申し上げますと、電子制御のふぐあいに対しまして改修が行われている。それから、同装置の冷却方法の改善等についてもすでに実施されておるということと、それからタービンブレードが外に飛び出したという問題につきましては、タービンのケースを厚くするというような改善がすでに実施されております。現在使っているF15については、その補強のバンドをつけているというようなことがございまして、着々と改善が実施されているという状況でございます。  それから、ストールの問題は、先ほどちょっと申し上げましたので、次に燃料ポンプのふぐあいでございますが、この件につきましては、主として寿命の問題でございまして、それで新しく設計したポンプを七六年の五月以降採用いたしましたと同時に、オーバーホールの間隔を七百五十時間に増加するように現在やっております。  それから地上始動の問題でございますが、若干手順の変更をいたしまして解決をしております。  それから恒久的な改善につきましては、七九年度、ことしの六月までに検討を終えるという計画と聞いております。
  45. 鈴切康雄

    鈴切委員 エンジンというのは大変に微妙なものであることは、あなたもよく御存じですね。ですから、私はそんなことを、アメリカの欠陥についてこれはどうなった、こうなったということをお聞きしているのじゃないのです。完全にエンジンの欠陥が直るのは何年かかりますかと聞いているのですよ。
  46. 番匠敦彦

    ○番匠政府委員 先生も御承知と思いますけれども、航空機のエンジン、ほかの部品も同様でございますけれども、完璧になるということはないわけでございます。現在運用しておるエンジンにつきましても、運用に伴って若干ふぐあいが出てまいりまして、それに対しまして技術変更提案というものを実施いたしまして、所要の処置を講じて運用しているわけでございまして、すでに米軍において認定的な試験を実施いたしまして、これで使用に供し得るという段階になりまして生産に移っているわけでございます。したがいまして、一〇〇%ふぐあいが起こらないという状態にはいつということはちょっと申し上げられませんが、これは運用に供し得る状態にすでになっているというふうにわれわれは考えている状況でございます。
  47. 鈴切康雄

    鈴切委員 会計検査院においてはそんなことを言っていませんね。会計検査院においては、この複雑なエンジンの問題を解決するには相当な期間がかかると書いてある。そしてまた、相当のお金がかかるのだ、こういうことを言っているわけですね。あなたのように安易に、運用に供するような状態だというふうになるとは書いてありません。やはりこれをもとにしてお話ししていただかないと困るわけですね。  私ははっきり申し上げたいわけでありますけれども、たしか前に欠陥エンジンは重大な問題であるということを指摘しておいたけれども、昨年F15は西ドイツを中心にしてアメリカにおいても墜落しておりますね。その状況をちょっと報告してくださいよ。
  48. 番匠敦彦

    ○番匠政府委員 昨年度西ドイツに展開されましたF15の部隊におきまして五件の大事故といいますか、喪失に至りました大事故が起きております。
  49. 鈴切康雄

    鈴切委員 その喪失のいわゆる大事故が起きていることは、これは墜落したということでしょう。  それでは、墜落したのは何月何日に、事故の発生場所はどこであるか、それから事故の当時の状況、これについてもう少し詳しく御説明していただけませんでしょうか。
  50. 番匠敦彦

    ○番匠政府委員 昨年の四月十七日に、場所は北海でございますが、北海にミッションが終わって帰ってきましたときに事故が起こって墜落したというのが一回ございます。それから六月十五日に、同じく北海でございますが、戦闘訓練をやっているときにエンジンがとまって、その再着火に成功せずに墜落したという事故が二番目にございます。それから三番目に、七月六日でございますが、西独のピットブルグ基地で上昇飛行中に墜落してパイロットが死亡したという事故がございます。それから同じく十二月十九日に、西独のピットブルグ基地で火災が発生して墜落したというふうなことがございます。それから最後に十二月二十八日で、同じく西独のピットブルグ基地でございますが、戦闘訓練中に火災が発生して、再着火を試みたけれども成功せずに墜落したという、以上の五件でございます。
  51. 鈴切康雄

    鈴切委員 九月一日にアメリカのバージニア沖においての事故はなかったのですか。
  52. 番匠敦彦

    ○番匠政府委員 いま西独の分だけを申し上げましたが、先生おっしゃいましたように九月一日にバージニア沖でラングレー基地のF15が事故を起こしたということがございます。
  53. 鈴切康雄

    鈴切委員 この事故の原因は何によるのですか。一、二、三、四、五、六件ですね、この六件の事故の原因は何でしょうか。
  54. 番匠敦彦

    ○番匠政府委員 早速米軍の方に照会をしておりますが、それぞれの事故の原因についてはまだ調査中で、まだわからないということでございます。
  55. 鈴切康雄

    鈴切委員 事故の原因がわからない。あなたのお話しになった中には、エンジンの問題で墜落をしたというお話がありましたけれども、事故の原因がわからない、そういうF15が日本の国に入ってくるのでしょう。いつから入りますか、いつからどういうふうな状況で入りますか。
  56. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 五十三年度におきまして二十三機契約いたしたわけでございますが、これの取得が五十五年度から五十七年度にわたりまして入ってくるという計画になっております。
  57. 鈴切康雄

    鈴切委員 そのF15の墜落の原因がわからない。しかも、先ほどからお話がありましたように、エンジンに伴うそういうふぐあいあるいはエンジンの故障によって墜落するという可能性を持った飛行機が五十五年から入ってくるのですよ。もうあとわずかじゃないですか。そんな欠陥の飛行機を入れてどうなんですか。
  58. 番匠敦彦

    ○番匠政府委員 事故の原因についてちょっと補足させていただきますが、現在F15は運用開始をして以来、トータルで十件の事故を起こしておると聞いております。米軍の連絡によりますと、その事故を起こしておるうち四件は運用上の原因によるものである、それから三件は整備上の原因により発生した、残りの三件については調査中であるというふうになっておりまして、先ほどのあれを補足させていただきたいと思っております。
  59. 鈴切康雄

    鈴切委員 十件の墜落事故があった中で昨年度には六件も墜落しているのですよ。そうしてアメリカは、アフターバーナーのふぐあいと耐久性に問題があるということで、これは非常に火災を起こしやすいということで、実際にアフターバーナーを一時使用禁止という状態にまで持っていったのじゃないですか。
  60. 番匠敦彦

    ○番匠政府委員 西独に配備されております米軍のF15に事故が若干続いて起こりましたために、ピットブルグ基地の整備手順の見直しをすることが行われました。その間、在欧米空軍のF15については訓練飛行中はアフターバーナーの使用を制限するという措置を講ぜられたと聞いておりますが、これはすでに解除したというふうに米空軍の方から報告を受けております。  それから、先ほどの事故の件でちょっと申し上げたいと思いますが、F15の事故率でございますが、現在まで米空軍では、ことしの一月ごろの時点でございますが、トータルですでに十三万五千時間ぐらいフライトをしておるということでございます。この間の事故率を十万飛行時間当たりに換算いたしますと七・四件というふうになります。それで、ほかの従来の機種はどうであったかということを初飛行から十三万五千時間までの時点で比較いたしますと、いまの七・四件に対しまして、たとえばF4では二十四・八、F100では三十九・一、それからF104では四十六・〇であったという数字がございまして、F15はこれらの従来の飛行機に比べて事故が非常に少ない、安全な飛行機であるという数字が現在の時点で出ております。
  61. 鈴切康雄

    鈴切委員 安全な飛行機がどうして墜落するのですか。一年間に六機も墜落するというのは、どういうわけなんですか。
  62. 番匠敦彦

    ○番匠政府委員 これは統計の問題でございまして、集中して起こったということにはいろいろな原因があると思いますが、訓練上の問題、整備上の問題あるいはパイロットの練度の問題とか、いろいろな複合した結果がこういうふうにあらわれておるということでございまして、的確にどういう状況であったということは、まだ米軍の方からも連絡がございませんので、お答えははっきりとは申し上げられないと思います。
  63. 鈴切康雄

    鈴切委員 統計的の問題についてこれはどうだこうだというような数字よりも、現実的な問題を重視しなくちゃならぬでしょう。すでに昨年六機墜落しているのですよ。しかも、このF15の場合においてはエンジンがストールする、エンジンが思うように動かない、ぷつっと切れてしまう、あるいはまた、そのためにはエンジンを一度切ってまた始動に切りかえなくちゃならない、そういうような欠陥を持っているF100エンジン。これは戦闘機でしょう。もしもいざという場合に、戦闘が行われているときにエンジンがとまったらどうなるのですか。
  64. 番匠敦彦

    ○番匠政府委員 その点につきましても、統計上のことでお答えすることになるわけでございますが、先ほどお話し申し上げましたようにストールの起こる率というものが非常に減ってきている。目標としては千時間当たり〇・一回ということが大体間違いなく実証できるであろうというふうに考えております。そういたしますと、いざというときの場合は別といたしまして、わが国の一機当たり年間の飛行時間等を勘案いたしますと、二十年に一遍ぐらい起こるというような比率になるわけでございまして、それがたまたま戦闘状態に起きれば能力上非常に影響を及ぼすことは先生おっしゃるとおりでございますけれども、その確率というのは非常に少ないというふうに御理解いただきたいと思います。
  65. 鈴切康雄

    鈴切委員 あなたに聞いてもよくわからない。だから防衛庁長官、常識的に考えてくださいよ。F15が戦闘をしているその最中エンジンストールが起きた、とまった、これで戦闘になりますか。
  66. 山下元利

    ○山下国務大臣 ただいま政府委員が専門的立場から十分御説明申し上げているとおりでございますが、確かにスタグネーションストールの率も非常に少なくなってきておる。それは非常に希有の場合に起こり得るということは事柄としてないわけではないと思いますが、われわれとしては、そういうことはほとんど起こらないというふうに改善されておると思うわけでございますので、もちろん、御指摘のように戦闘中というときにそういうことが起こり得ないとは申し上げられませんけれども、まず大数観察上からは起こらないのではないか。また、われわれとしてもそうしたことがある場合にはできる限りの改善をいたしまして起こらないように努力しなければなりませんけれども、いま政府委員から申しましたとおり、大数観察上からはまずそうしたことは起こり得ないのではないかと思う次第でございます。
  67. 鈴切康雄

    鈴切委員 このF15は日本でつくっているのじゃないのですよ。あなたは改善をしますなんて言ったって改善できるわけはないじゃないですか。そして昨年六件も墜落しているこの現実、あなたはこれをどういうようにお考えになっているのですか。     〔委員長退席、村田委員長代理着席〕 F15を五十五年から入れようというのですよ。そのF15が原因不明で、しかもエンジンの故障等を含めて墜落をしているということに対して、あなたはどうお考えなんですか。
  68. 山下元利

    ○山下国務大臣 確かに墜落事故がある時期に連続して起こったことは事実でございますが、その原因につきましてはいろいろの原因があり得るわけでございまして、それは操作の問題とかあるいは練度の問題とかいうふうなこと、またあるいはそうしたものの複合した原因もございましょうし、すべてエンジンの欠陥によるものではないように思いますが、それは鋭意検討し、その改善に努力しておるようでございます。確かに連続して墜落事故が起こったことはまことによくないことでございますけれども、そうした経験を踏まえまして、私どもの聞く限りにおきましては十分な改善を図られておるようでございますので、われわれが導入する五十五年にはエンジンに関しましては心配ない形において導入できるという確信を持っている次第でございます。  なお、操作とかあるいは練度とかいうことにつきましては、これはまた別個の問題でございますが、これはそうしたことが起こらないように努力せねばならぬことは当然でございますので、私どといたしましては、五十五年からはこのいま起こっておる問題については鋭意研究されておりますので、心配のない状態において導入できると確信いたしておる次第でございます。
  69. 鈴切康雄

    鈴切委員 あなたは五十五年度に心配をしないように改善されたのを入れると言ったって、アメリカでは相当長期間、ブラウン長官は五年から六年かかると言うんですよ、このエンジンの問題については。いいですか。そうしたら、五十五年はもうすでにそういう欠陥のF15が入ってくるわけでしょう。とすると、こういうふうに西ドイツなどで六件墜落事故が起こった。その六件の墜落事故の延長にならないとだれが言えるのですか。そんな保証がありますか。
  70. 山下元利

    ○山下国務大臣 これは私も、言ってみますと、技術的な問題につきましては、専門家ではございませんけれども、先ほど政府委員も御答弁申し上げておるとおりに、その六件の事故は、目下原因究明中ではございますけれども、いろいろな原因があるようでございます。  もちろん、このエンジンの欠陥等につきましては、先ほど来御説明申し上げておりますとおりに、着々とその後整備し、改善に努力しておるようでございますし、私の受けております報告によりましても、米側からのいろいろな報告によりましても、改善されるというふうに私は自信を持っておるわけでございます。しかし、この上ともあってはならぬことは起こらないように努力することは当然でございますけれども、いままでのところ技術的な見地からいたしましても、われわれの導入までにはもうすでに十分な改善も図られておりますので心配ないと思うわけでございます。
  71. 鈴切康雄

    鈴切委員 改善をされておりますからというふうにおっしゃるわけですけれども、パイロットだって、人命を飛行機に乗せるわけですね。だから、このとおり昨年度もう六回も墜落をしているということ、これをもしわが国に延長して、こういうような事故が起こらないとだれが保証できますか、できないでしょう。となれば、改善をしたというそれまで待つのがあたりまえじゃないですか。完全に改善をした、もうそういう事故は起こりません、それまで要するにF15を購入するということは差し控えるのが当然じゃないでしょうか。できるでしょう、できるでしょうとあなたはおっしゃっておりますけれども、これには相当な期間もかかるし、相当な費用もかかるとアメリカの会計検査院が言っているのですよ。だから、みずからの失敗をごまかさないで、F15がこのような状態になって欠陥がある以上は、何らかアメリカにおいてこういう改善が行われました、そしてその改善の行われたことについてこちらの方からも調査団を出して確かめて、そしてそのときにF15防衛庁の方で購入をされるというんですから、私は決してF15を購入していいなんて言ってはいませんけれども、それが常識じゃないですか。防衛庁長官、言ってください。
  72. 山下元利

    ○山下国務大臣 先ほど政府委員が申し上げておりますとおりに、私も、スタグネーションストールの問題をとりましても千エンジン飛行時間当たりの発生率が約一・六回であったのが本年四月以降には〇・一回程度になる。千エンジン飛行時間当たり〇・一回というのは本当に何年に一回起こるか起こらないかというような状態である。すでにそのようになっておるわけでございます。  本来は、この発生率はゼロ回になるのが理想でございますけれども、それは機械のことでございますから、われわれとしても望みますけれども技術的な問題はあると思いますが、私は、そういうようなことは米空軍の方から報告を受けておるわけでございますから、ずいぶん、この点については心配ないものだと思うわけでございますが、素人の私が申しましてなんでございますけれども、そういう事実は、先ほどから政府委員がるる御答弁申し上げておる次第でございますので、御理解いただきたいと思う次第でございます。
  73. 鈴切康雄

    鈴切委員 理解できないですね。じゃ、たとえばF15が原因不明の墜落の事故を持ちながら日本に五十五年に入ってきたとしますね。あなたは、改善されているだろう、それから統計的にはそういう状態だから大丈夫だ、こうおっしゃっていますね。もし墜落したら、だれが責任をとるのですか。
  74. 山下元利

    ○山下国務大臣 私は、墜落のようなことは起こらないことを望んでおりますし、仮にそういうようなことが起こりますとすれば、それは私どもあらゆる問題についての責任は抱えておる次第でございます。
  75. 鈴切康雄

    鈴切委員 防衛庁長官、とってくれますね。ただしあなたはもうそのときには防衛庁長官でないかもわからない。しかしやはり責任の継承ということになれば、もしF15のそういう墜落事故があった、そしてそれがエンジンに基づいた墜落事故であったということになれば、防衛庁長官が責任をとる、こういうことでいいですね。
  76. 山下元利

    ○山下国務大臣 事故の原因が那辺にありますかは、その時点において判断せねばなりませんが、その責任に帰すべき原因によります場合には、当然それは責任を感ずるべきものであると考えておる次第でございます。
  77. 鈴切康雄

    鈴切委員 これくらいF15についてエンジンの欠陥が非常に言われているわけですから、しかも西ドイツなどにおいて昨年はもう六件も墜落しているという現状を考えたときに、もう少し慎重であってしかるべきじゃないだろうか、私はそのように思うのです。  それはあなたの方と意見の食い違いがあるわけでありますけれども、しかし「防衛経済情報」の五十三年三月十五日、これは前防衛庁開発官である夏村繁雄さん、それから航空自衛隊の前技術部長永盛義夫さん、この人のいわゆる「防衛経済情報」、ここには、「F—15に対抗するドッグファイト性能に優れたソ連の戦闘機MIG—29は未だにテスト中である」と言って、「展開までには従来の例からすると六〜七年の余裕があると思われ、F—15の整備は二〜三年遅らせてもよいように思われる。」ということを結論で専門家が言っているわけです。となると、このF15について五十五年から入れようというよりも、むしろ二、三年おくらせてもよいというふうに専門家が言っているわけです。実際にソビエトのミグ29はいまのところテスト中であって、これが完成機になるについてはまだまだ六、七年かかる、こう言っているわけでしょう。なぜその中にあって、早くこれを決めなくてはならないのでしょうか。
  78. 原徹

    ○原政府委員 F15の整備につきましては、現在の航空自衛隊の戦闘機はF4とF104でございますが、その104がダウンをしてしまうわけでございます。耐用年数が切れるわけでございます。でございますから、104はなくなる。そのなくなるのに応じてやはり新しい戦闘機がどうしても必要であるということでございますので、五十五年からF15が入りませんと、いまの104がだんだん落ちていきます。戦闘機部隊、いま十個飛行隊があるわけでございますが、十個飛行隊が維持できなくなるわけでございますので、どうしても新しい戦闘機を五十五年から入れないと私どもとしては防空上の欠陥になる、そういうことでF15を五十五年度から入るようにする、これはぜひ必要であるという点を御理解いただきたいと思います。
  79. 鈴切康雄

    鈴切委員 五十一年度にはF15を一年間ずらしてファントムをつくるということに決めたでしょう、そうですね。五十一年十二月に防衛庁ではF15を内定した。ところが五十二年十二月までファントムを一年間繰り延べてF15を見送った。こういうことは技術的にできないんでしょうか。
  80. 原徹

    ○原政府委員 五十一年十二月に防衛庁として内定をいたしましたが、当時内閣の変更等がございましたために、一年間ずれた。その際やはり穴があくものですから、それを埋めるためにF4を追加生産いたしたわけでございますが、八〇年代の脅威ということを考えますと、F4ですべていくというわけにはまいらない。やはり新しい性能の航空機がどうしても必要であるという判断で、一年ずれましたが、そのF15を採用したわけでございます。  それから、先ほど技術的の点、確かに政府委員答弁したとおりでございます。全体としては、F15はアメリカで第一線で実際に運用をしておる飛行機でございます。技術的に改善すべきところは改善をしなければならないし、それはだんだん改善されていくものであることも、これは新しい飛行機ができますと、大体いつでもそういうことをたどっておりますが、そういう意味から申しましても、事故率は非常に少ないし、これから改善されるということであれば十分実用に適する飛行機であるというふうに考えております。
  81. 鈴切康雄

    鈴切委員 八〇年代の脅威に対処するというようなお話でありますけれども、五十一年にそういう措置がとられたのですから、F15のエンジンの欠陥等は、ここで会計検査院によって明らかになっている以上は、当然、その間においても改善されるまでファントムをやるということ、これは実際にはもう常識なのですね。それを、何でも高いものであればよい、そしてまた、すぐに脅威を想定してF15というような形をとるということ、これは防衛庁にはかなり問題があると私は思うのですね、実際には。  そこで、私、ちょっとお尋ねしますけれども、いま現在防衛庁は、日本の国に原子炉は幾つあるというふうに考えておりますか。
  82. 原徹

    ○原政府委員 原子力発電所の所在地としていまあるものは、いまここで勘定いたしますと十一でございます。建設中が四つでございます。そのほかに、恐らく東海村とか、いわゆる科学技術庁の方でやっておりますような原子炉、そういったものがございます。
  83. 鈴切康雄

    鈴切委員 防衛庁は日本の国を守るとか、あるいは国民の生命、財産を守るとかおっしゃっていますね。あなた、原子炉に対する認識が大変間違っているのじゃないか。科学技術庁に聞いてみましたら、大体七県にまたがって十九基あると言うのですよ。それで、もしいま現在、かなり高度なミサイルあるいは中距離弾道弾、原潜によるミサイルの発射、こういうものが通常兵器によって一斉に原子炉に集中攻撃を加えられたらどうなりますか。
  84. 早川正彦

    ○早川説明員 先生おっしゃいましたように、現在原子力発電所は十九基運転をしております。これは実用の発電所でございます。  いわゆる原子炉等規制法によりまして原子炉の設置の許可あるいは後の工事計画の認可、使用前検査あるいは定期検査等、これらを通じまして安全の確保ということに努めているわけでございますが、設置に際しましては、敷地の周辺のいろいろな事象あるいは原子炉の特性と申しますか、あるいは原子炉施設に設けられております安全防護施設、こういうものを十分考慮いたしまして、技術的な見地から見まして最悪の場合、その場合に起こるかもしれないと考えられます重大な事故、これをわれわれは重大事故というふうに言っておりますけれども、これを想定する。それから重大事故を超えるような、技術的な見地からは起こり得ないような事故、これを仮想事故と言っております。そういうものを仮想する。このいずれに対しましても、想定した、あるいは仮想したこれらの事故が万一起きましても、一般の周辺の公衆に対して放射線の障害を与えないというふうに安全対策を講じているわけでございます。  先生御指摘の、有事に際しまして、軍事力によります原子炉施設を目標とした意図的な武力攻撃、こういうものについては、いま申しました重大事故においても想定をしていないわけでございまして、そういう意味では、いま先生から御指摘いただいたような有事に際しての措置として安全対策が講じられているというわけではございません。
  85. 鈴切康雄

    鈴切委員 防衛庁は、いわゆる原子炉に対して敵の攻撃を受けたという形に対して、どういうふうな想定をされているのでしょうか。たとえば相手方の核兵器に基づいては、それは確かにあなた方はアメリカの核抑止力に頼るというふうにおっしゃっておりますね。通常兵器に基づいてミサイルが発射され、そして原子炉に集中攻撃があった場合、これに対してはどういうふうな防衛上の想定をされていましょうか。
  86. 原徹

    ○原政府委員 自衛隊はまず侵略を未然に防止するためにあるのが主たる任務、またそういう場合、どういう状態でその原子炉が攻撃を受けるかと申しますれば、やはり航空攻撃ということが主たる攻撃の態様になるだろうと思いますから、そういうことからすれば、その原子炉に到達する前にそういう航空機を撃墜するというのが自衛隊の任務でございます。  これは、いわゆる有事の場合に、たとえば都市が爆撃を受けたというような場合でも同じでございますが、そういう場合にどうするかということは、これはやはり民間防衛の問題でございまして、防衛白書でもそういう見地も含めまして民間防衛の研究はやらなければならないというふうに考えておりますし、いまの原子炉に対する事故についても、それは同じことではないかというふうに考えます。
  87. 鈴切康雄

    鈴切委員 防衛局長は、いわゆる攻撃の態様を航空機のみに限定されておられるようですけれども、全くそれはナンセンスですね。いまの近代的な兵器から言いますと、そんなような航空機によって爆弾を投下されるとか、それもあり得るでしょう。あり得るわけでありますけれども、大体原子炉は御存じのとおり、海岸ふちにずっとあるわけですよ。となりますと、ミサイルの発射、あるいは潜水艦からの発射等々、幾らでも攻撃の態様というものはあるわけです、実際には。それで先ほど科学技術庁が言ったのは、それは全く平和時において万が一に放射能が漏れるというようなそういう問題については、原子炉規制法に基づいてそれだけの対処をする、こういうことなんでしょう。相手が意図的に破壊を目的にしたときに、もし原子炉をやられた場合に、まさしくそれは明らかに通常兵器によって原子兵器にかわり得るような状態になるのじゃないですか。そうならないとだれが言えましょうか。たとえて言うならば、ぶつかって被覆管が破れた、臨界になった場合にはどういう状況になりますか。そういうことだってあり得るわけですよ。いわゆる原子炉を攻撃されたときの放射能はどうなりますか、国民はどうなるのですか。
  88. 早川正彦

    ○早川説明員 先生の御質問を二つに分けさせていただきたいと思います。  有事に際しまして原子力発電所が攻撃にさらされまして現実にそれが事故に結びつくかどうか、この点については別の問題といたしまして、仮にいま先生がおっしゃいましたように原子力発電所の潜在的な危険性という点でお話をさせていただきますと、たとえば百万キロの発電所の場合には十の九乗とか十の十乗のキュリーの放射能を内蔵しているわけでございます。こういう潜在的な危険性を持っている施設でございますので、原子炉等規制法におきましても、原子炉の位置、設備、構造としてそういうものが周辺に行かないように、あるいは周辺に対してインパクトを与えないように、災害を与えないようにいかにするかということで安全規制をしているわけでございまして、現在、先生がおっしゃった現在の発電所で急に臨界事故が起こるということについては万全の措置が講ぜられておりまして、あり得ないということでございます。
  89. 鈴切康雄

    鈴切委員 現在の状況の中にあってそういうことは全くあり得ないとおっしゃるでしょう。しかし、あり得ないはずであったのが、たとえばアメリカにおける放射能漏れというのがあったのですね。だれもあり得ないなどということは考えられるはずがないのであって、特に有事の場合においてそういうことは今後当然想定される一つの問題事故じゃないかと私は思うのです。そうした場合に攻撃をかけられた場合において、国民の生命、財産というものに対しては大変に損傷されるということは間違いないですね。F15とかそういうよい近代装備を積み重ねていったからといってそういう問題が未然に防げるというものではない。軍事力は確かに、安全保障の中においてある程度の位置は、私決して否定するものではないのです。やはり何といっても安全保障の根本はどこの国とも仲よくしていく、あるいはまた外交、文化というものによってそういう危険性の起こらないような状態をつくり出さなければいけないでしょう。ところが防衛庁は、ただただ軍事力という形で、それだけしかないわけだ。F15も欠陥であるエンジンを積んでいるのをいち早く入れようとしている。こういうやり方に問題があるのではないか。防衛庁長官は国務大臣でもあるので、当然もう少し高い見地に立って、こういう問題をどうすべきかということについて、安全保障の全般的な考え方に対してどうお考えになっているでしょうか。
  90. 山下元利

    ○山下国務大臣 平和と安全を期することはまことにわれわれとして大事なことでございますし、そのためには御指摘のとおりに外交努力等は当然大事な問題でございます。そうした中においてわれわれとしてはいかに防衛努力をやるかということでございます。私どもは、決して軍事力というかそうしたものを優先するようなつもりはございません。ただ、そうした外交も含めました総合安全保障と申しましても、やはり防衛政策がきちんといたしませんと、それは中身のないものになります。そうした位置づけにおいての防衛政策を進めていくのがわれわれの考えでございます。そしてF15の問題につきましては、防衛庁としては長い間かかりまして専門的に検討いたしました結果、次期主力戦闘機としては最適であるという結論を出したわけでございます。  また、御指摘のように西独におきますところの事故もございますけれども、その事故の原因につきましては、いろいろな原因があるようでございますが、一々につきましてもいま解明が進められておりまして、導入機におきましては心配のない状態になるのであろうと思っておるわけでございます。したがいまして、私どもは決してそれでもうすべてだとは思いませんが、少なくともわが国が防衛というものをしっかりやるという意味におきましては、決められましたことを着々と進めていくことが大事でございます。しかし、同時に、御指摘のとおりに、平和を守るための外交努力が大事なことは申すまでもございません。それは当然の前提でございます。そうした中において、われわれは防衛はどうあるべきかということを考えておる次第でございまして、その中におきましては、ただいま申し上げておりますとおりに、いままで考えました点は着実に進めていくことがこれまた大事な点であると思う次第でございます。
  91. 鈴切康雄

    鈴切委員 大分時間がなくなってまいりましたので、はしょってお聞きいたしますけれども、今回、五十五年度の業務計画の作成に際して指針とすべき事項に関する長官指示というものが出ましたね。「防衛計画の大綱」と今回の五十五年から五十九年までの間の業務計画の指針との兼ね合いはどうなるのか。いままで、たしか、四十七年から四次防が始まりまして五年間、それからはポスト四次防という形になっておりましたね。ポスト四次防から、今回はまた五年を区切っていわゆる中期業務見積もりの策定をし、業務計画の指針というものをお出しになった。これはポスト四次防の次の五次防というふうに判断してよいのでしょうか。
  92. 原徹

    ○原政府委員 いまの全体の関係みたいなところについてちょっと御説明させていただきます。  三次防から四次防までは、その五年間にどれだけの装備をつくるか、そういう計画をつくっておったわけでございますが、「防衛計画の大綱」ができまして、部隊の規模については、大綱の別表に決めました規模でやろうということに決めたわけでございますので、後はそれを更新、近代化していくということで「防衛計画の大綱」ができたわけでございます。それでございますから、四次防、三次防のような五カ年計画で物を調達、装備するということはやめたわけでございまして、そのやめたということはいまでも変わっておらないわけでございます。  そうすると、いまの中期業務見積もりというのはどういうことなのか、こういうことになってまいりますが、毎年予算を要求し、そしてこれをやっておくために、毎年予算編成の前提となるような業務計画というのをまずつくらなければならない。その業務計画に基づいて予算要求ができるのでありますが、主要な事業だけにつきましては、若干中期的な展望をもって事を処した方が年々の業務計画をつくるにつきましても参考になる。中期業務見積もりというのは、そういう年度の業務計画をつくる際の参考資料として主要事業だけについてやるということでございまして、全体を三次防とか四次防のように、たとえば技術研究本部でやりますような研究開発というものについてとか、それは外れておりますし、それからいまのいわゆる維持費みたいなものの積み上げもやりませんし、そういうことで主要な事業についてだけ中期的な展望をもってやろうというのが中期業務見積もりでございます。そういう関係になっておるわけでございます。
  93. 鈴切康雄

    鈴切委員 長官は八月に訪米されてブラウン・アメリカ国防長官と会談をするというふうに言われておりますね。両国の事務レベルで七月末にハワイで安全保障問題についての会議を開くということですけれども、この二つの兼ね合いと、もう一つは、山下防衛庁長官はブラウン長官とどういうことをお話しになってこられるのですか。
  94. 山下元利

    ○山下国務大臣 かねがね申し上げておりますが、アメリカの国防長官とわが国の防衛庁長官が毎年交互に往復いたしまして話し合いをしておることは、御承知のとおりでございまして、ことしは私の方からアメリカへ参る順番になっておるわけでございますが、つきましては、この八月に行くことにつきましての先方からの話もございましたので、私といたしましては、これに参りたいと思っておる次第でございます。しかし、いまのところそれが決まっておる程度でございまして、日程等についても決まりませんし、どのような話をするかにつきましても、まだ決まっておりません。  ただ私は、日米安保条約が結ばれておる両国のことでございますので、その信頼性を高める見地からいたしましても、隔意ない話し合いをいたしたいと思っておりますけれども、具体的にどのようなことをするかにつきましては、まだ日程等も決まっておりませんので、現在、申し上げる段階ではございません。
  95. 鈴切康雄

    鈴切委員 今回、ソ連が新鋭爆撃機バックファイアあるいはミンスクを極東に配備したというようなことを聞いておりますけれども、これに対して防衛庁はどういうような情報を得ているのか、また、日本に対する脅威をどのように分析をされているのか、ソ連の配備の意図はどういうふうに考えておられるのかという問題と、それから、五十二年から「防衛計画の大綱」に基づいて進められてきておりますが、今度は、バックファイアとかミンスクは日本海だけの脅威でなくして、太平洋上のソ連軍用機によるいわゆる艦艇攻撃に、果たして有効に対処できるかどうかという問題があるわけであります。その点はどういうお考えでしょうか。
  96. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 ミンスクとバックファイアについてだけ、まずお答え申し上げます。  ミンスクと申しますのはキエフ級空母でございまして、主として潜水艦に対する任務を持っておる多目的空母でございます。米国の攻撃型空母に比べまして戦力的には劣るものでございますけれども、もしこれの極東配備が行われた場合には、アメリカの海軍に対しまして種々の面で制約要因となる。また、西太平洋からインド洋にかけてのプレゼンスの象徴的意義や局地戦介入能力の増大等の点で注目される航空母艦でございます。  また、バックファイアにつきましては、ソ連の遠距離航空隊と海軍航空隊の両方に逐次配備されておるものでございます。もし極東の海軍航空隊に配備された場合には、バックファイアは、従来のバジャーに比べまして行動半径がはるかに大きく、最大速度も倍以上ございます。さらに、すぐれた電子戦能力及び低空侵入能力を有しております上に、数百キロメートルの遠距離から発射できる対艦・対地ミサイル、キッチン、キングフィッシュ等を搭載できますので、ソ連は、従来よりも格段にすぐれた対艦攻撃能力を有するに至るものでございます。したがって、西太平洋の米海軍及びわが国の海上交通路に対しては、潜在的脅威となるものでございます。  これにいかに対抗するかということにつきましては、一九八〇年度のアメリカの国防報告によりますと、同報告も、バックファイアをソ連の潜水艦と並べまして、海上交通路に対する最大の脅威であると書いてございますけれども、これに対しましては、西太平洋におけるアメリカの航空母艦と、日本を基地とする空軍とによって対抗する、そう書いてございます。
  97. 鈴切康雄

    鈴切委員 最後に御質問申し上げますけれども、ある新聞の一面記事に、予備自衛官を大幅に増員をする、防衛庁はそれを検討着手をしている、それについては、いままでは予備自衛官は大体四万人体制であったところが、それを今度は一挙に四倍の十八万人体制にしながら、法を改正して、そして一般募集をして、予備自衛官をいつでも有事に備えるような体制をとるというようなことが一部報道されていますね。これに対して、その真偽のほどはどうなのかということが一点。  最後ですから、ついでに聞いておきますけれども、いまの予備自衛官の年に五日間くらいの訓練のあり方、これで果たしてよいのかという問題もあるでしょうし、それから、高年齢になってきた場合、予備自衛官として果たしてたえられるかという問題もあるでしょうし、そういうふうなことになったときに、これはどういうふうにお考えになっておるのか。その二点についてお伺いいたします。
  98. 原徹

    ○原政府委員 前半の点についてお答えをいたします。  一つの新聞に、防衛庁予備自衛官を十八万にして、そのために法律改正をするという記事が出ておりましたけれども、これは全く事実無根でございます。それはそのとおりでございまして、私たちは、いま先生がおっしゃいました五日間の訓練期間でいいかどうかとか、あるいはこれは防衛出動が出たときに招集するのがいいかどうかとか、そういう問題は考えなければならないと思っておりますけれども、いきなり十八万にするというような考え方は現在持っておりません。
  99. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 御承知のとおり、現在の予備自衛官は、士長以下につきましては三十七歳以下、それから三曹以上につきましては停年に二歳を加えた年齢ということで採用しておりますが、いま御指摘のような、予備自衛官自体に停年という制度はございません。われわれとしては、老齢化による能力の低下というか、そういったものを防ぐために、実効上あるところで切るということは考えなければいけない、こういうふうに考えております。現在、平均年齢は三十二歳くらいというふうに御理解いただきたいと思います。
  100. 鈴切康雄

    鈴切委員 私の持ち時間が終わったようでございますので、これで質問を終わります。  ありがとうございました。
  101. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     午後一時五十九分開議
  102. 藏内修治

    ○藏内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。中川秀直君。
  103. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 当委員会でいま審議を進められております給与法の一部改正案について若干のお尋ねをし、そしてまた、さらには、防衛問題全般にわたりましてきょうはお尋ねをさせていただきます。  まず、職員給与法について簡単にお尋ねをいたしますが、予備自衛官手当の月額を現行の二千円から三千円に改定する理由について、提案理由説明では「経済情勢の変化等にかんがみ、」とあります。これはどういうことを意味しているのか、もう少し詳しく御説明を願いたいと思います。
  104. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 現行の予備自衛官手当二千円につきましては、四十七年に千五百円から二千円に変更していただいたわけでございますけれども、その後の物価の上昇が非常に厳しいものがございまして、そういった面から二千円の手当の価値自体も低下しております。そういったことをわれわれは「経済情勢」というふうに理解しております。ただし、それだけではございませんで、昨年のベアの状況であるとか、あるいは従来の予備自衛官手当の上げ幅の経緯、そういったものを含めて総合的に勘案して、今回三千円にお願いしている。したがいまして、「等」というのはいま申し上げたように、従来の上げ幅、それからベアの状況、そういった厳しい財政嘉情ということを含めて意味しているというふうに理解しております。
  105. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 いまお挙げになった理由は、物価にしろ、ベア上昇にしろ、従来の上げ幅にしろ、財政事情にしろ、いずれにしても経済情勢というか、そういう部分の理由ですね。言葉じりをとらえるわけではありませんが、提案理由説明には「経済情勢の変化等にかんがみ、」と、「等」というのが入っているのですが、この「等」というのは、経済情勢の変化以外の何かがあるのかどうか、ちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
  106. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 大きくとらえますれば、経済情勢の変化というふうに申し上げてもいいのかと思いますけれども、経済情勢の変化に私どもが意味をつけるとすれば、物価の上昇ということであろうかと思っております。それから、その「等」というのを強いて申し上げれば、従来の上げ幅、財政事情、それからいま申し上げたように昨年のベアの状況というふうなことで、これらを総合して三千円にお願いするという意味で、われわれ「等」という字をつけさせていただいたわけでございます。
  107. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 観点を少し変えてお尋ねいたしますが、自衛隊法の予備自衛官に関する規定を拝見いたしましても、あるいは訓令等の規定を拝見いたしましても、あるいは施行令等の規定を拝見いたしましても、予備自衛官の任務、つまり国の安全を守る上での予備自衛官の役割りというものの具体的な内容、明文化は見当たりません。この役割りというものはどういうふうに位置づけておられるのか。たとえば後方支援であるとか後方警備であるとかいう言葉で、これは後ほどお尋ねいたしますけれども、最近、増員の計画があるというようなことに関連をして、そういうものが提示されてきておりますけれども、法の上では何も書いていない。その辺はどうなのでしょうか。
  108. 原徹

    ○原政府委員 予備自衛官でございますから、有事の場合に現役の自衛官で足りない部分を補う、予備自衛官という言葉の意味はそういうわけでございます。そしてその任務といたしましては、後方の警備あるいは後方の支援あるいは戦闘で損耗ができた場合の補充ということが予備自衛官のある意味でございます。
  109. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 先日の委員会でもこのやりとりがあったのですけれども、訓練期間が「年に二回以内」「二十日をこえない」というふうに自衛隊法ではなっていますが、現実では年一回五日間ぐらいのものであるという御答弁もあるわけであります。このような訓練で、ただいま防衛局長が言われた後方警備だとか後方支援だとか、正規部隊の損耗の補充だとかいうような役割り、任務が果たされるのであろう、そういうふうにお考えになるのか。これは単に訓練期間の問題だけではないと思いますけれども、いまのような制度で防衛庁が期待しているような、そういう役割りを果たせるものかどうか。いかがですか。
  110. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、現在行われております訓練の実態が、自衛官退職後一年未満の者につきましては、まだ訓練の効果が相当残っておるであろうということから一日訓練、八時間ということになっており、それ以外の者につきましては、五日間、四十時間の訓練ということになっております。  訓練の内容は、精神教育あるいは新しい内外情勢、自衛隊の現況、業務の概要等についてもう一度知識を新たにしていただくということでございまして、本来の任務がそういう後方支援業務でございますし、また実際ほとんどの者が就職いたしております関係上、勤め先の休暇とかその他の関係から、五日間が妥当な期間であろうと判断いたしております。また、訓練の内容により、その課せられる任務が後方支援であるとか、あるいは軽普通科連隊の任務といった任務でございますので、何とかやれるであろう、かように考えております。
  111. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 大臣、お聞きになっていて、そういう後方支援とか後方警備とか、あるいは場合によっては正規部隊の損耗の補充もあるわけですが、いまのような状態でそういう役割りが果たせるとお考えになっていますか。
  112. 山下元利

    ○山下国務大臣 御指摘の点につきましては、私どもも、この制度が目的を十分達するためにはさらに改善すべき点があると思います。将来そうしたことを考えてまいりたいと思いますが、現実におきまして、ただいまも申しましたような退職後の勤務の状況等もございますために、現実可能な範囲内においてこのような形になっていると思うわけでございますけれども、そうした諸般の事情も十分考えに入れながら、やはり制度はあるわけでございますから、その制度の目的、趣旨に沿うように今後さらに努力してまいりたいと思う次第でございます。
  113. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 法律では二十日の範囲内で訓練をするということになっているわけですけれども、量ばかりではなくて訓練の質も問題だろうと思います。そういう役割りを期待するからにはやはりそれだけの訓練もしなければいけない、努力をお願いしなければいけない点もあろうかと思います。  重複する質問は避けたいのでありますが、防衛局長にお尋ねをいたしますけれども、先ほど午前中の質疑で、一部報道で出ております「予備自衛官を大幅増 防衛庁が検討着手」という問題についてやりとりがございました。御答弁を聞いておりましたが、一遍に十八万人にふやすつもりはないのだというような御答弁でございました。しかし、この報道の中で一点見逃せないのは、現行の自衛隊経験者だけという自衛隊法六十七条一項に書いてある予備自衛官の資格だけではなくて、自衛隊法を改正して、自衛隊経験者以外からも採用することを考慮しているというふうに報道されているわけですが、この点はいかがなんですか。
  114. 原徹

    ○原政府委員 全体といたしまして、わが国の自衛隊の予備勢力というものにつきまして考えますと、必ずしも十分でないという認識は持っております。それから中期業務見積もりにおきましても、若干の増員はただいま考えております。しかし、現在の情勢のもとにおきまして、やはり自衛官をやった経験者、それから予備自衛官を採用するという現在の制度につきましては、ただいまのところこれを変える考えはございません。
  115. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 報道によりますと、国民の世論調査で「「自衛隊に参加して戦う」と答えた人が全体の七%あった。志願者は多いと思う」と同庁幹部の話なんてこう出ているわけですね。いまの御答弁ではそこまで考えていないというお話でありますが、内部的にも検討する場合にはしっかり方針を定めてやらないと無用な誤解を生むこともある、この点は御注意を願いたいと思います。  さらに、最後に一点だけ予備自衛官の問題についてお尋ねをいたしますが、昭和四十五年の四次防計画では予備自衛官の増員の計画がありました。当時実現はしなかったのでありますけれども、そのときは予備自衛官六万人構想というのがございました。そして、さらに重要なのは、全国各地に警備連隊あるいは郷土防衛隊を組織するということを計画している。これは単に一部報道だけではなくて、四次防の計画の中にも留守部隊で四十一個連隊程度を見込まれるというふうな、そういう表現が入っておりましたり、あるいは当時の座談会で、衣笠陸上幕僚長が警備連隊をつくる、そういう構想があるんだということをはっきり新聞の座談会でも言っておるわけでございますが、今度の中期業務見積もり、五十五年度から五十九年度までのものですけれども、これには、四次防の際に計画をされ、そしてまだ実現はしなかったわけですけれども、この予自衛官六万人構想あるいは警備連隊、郷土防衛隊構想、これは入っているのですか、入っていないのですか。
  116. 原徹

    ○原政府委員 四次防の政府決定の案につきましては、予備自衛官の構想は出ておらないわけでございますが、当時やはり後方警備といたしまして、いわゆる警備連隊というものを考えようということはあるわけでございまして、現在、私どもが防衛二法を改正いたしまして千人の増員を要求いたしておりますが、これの目的も後方警備ということで普通科連隊が有事の場合に戦闘地域に赴いた場合の後方地域におきましてその警備の連隊、これは主として普通科の部隊になるわけでございますが、そういうものとして千人をいま防衛二法の改正でお願いしているわけでございます。中期業務見積もりにおきましても、そういう線に沿って何人にするかはまだ決めておりませんけれども、そういう方向で進みたいと考えております。
  117. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 そうしますと、中期業務見積もりでは、四次防の際に検討された、たとえば六万人程度、人数はまだ決めてないというお話ですけれども、その程度の増員と、あるいは同時にまた編成としての警備連隊、郷土防衛隊、そういうものをおつくりになる、こういうことを予定しておるわけですか。
  118. 原徹

    ○原政府委員 六万人とかいう、そういう数字にはとてもいくことを考えておりません。まだもっと少ないことを考えておりますけれども、要するに後方の警備、それでそのための連隊というものは頭に置いて、そういうものをつくる方向で検討しておる次第でございます。
  119. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 わかりました。それでは予備自衛官の問題については、その程度にさしていただきます。  いま出た中期業務見積もり等にも関連をいたしまして、これからこの日本の安全保障、とりわけ総理並びに防衛庁長官の訪米あるいは訪韓、東アジアの軍事情勢、そんな問題にしぼりまして、あと残された時間をお尋ねをしたいと思います。  まず、そこで最初にお伺いをしたいのは、最近の東アジアの国際環境、とりわけ軍事環境の変化に関することなのであります。これまた報道でありますが、永野陸上幕僚長が先々月の二十八日でありますけれども、丸の内の日本工業倶楽部で開かれた財界人の集まりである防衛懇話会で「アジアの軍事情勢」という講演をなさっております。そこでは極東ソ連軍の増強ぶりが強く指摘をされておりまして、ソ連はヨーロッパ方面の増強を終えて、次第にアジア、極東方面の軍事力の改善に力を入れている、あるいは中東方面の軍事力の改善に力を入れている、米国は中東での軍事的な巻き返しを図っていて、今後とも米国の目が中東に向けられる可能性が強い、したがって、日本がもう少し防衛のレベルを高めなければならない客観的な情勢が出てきた、以下、詳しく極東ソ連軍の状況がこのように改善をされているということをるる述べられておるわけであります。その中には、何回も当委員会でも議論になっておりますバックファイアやミンスクの極東配備の問題も触れておられます。あるいは国後、択捉両島のソ連軍基地の動向、これについても触れております。ソ連極東陸軍の増強ぶりも触れておるわけであります。そこで、そういうものを総合して、陸幕長は「防衛計画の大綱」、昭和五十一年に策定をされたこの大綱が作成された当時とは極東の軍事情勢は大きく変わった、状況が変化してきており、近い将来の大綱の修正にぼつぼつ頭を向けていかなければならない、こういうふうに述べておられるわけであります。  長官にお伺いをいたしますが、長官は極東の軍事情勢をどのように認識しておられるか。やはり陸幕長の言うように、情勢が大きく変化したとお考えになっているのかどうか、いかがですか。
  120. 山下元利

    ○山下国務大臣 近年におきますところのソ連の軍事力増強に伴いまして、米ソの軍事バランスの変化が生じておりますことは、これは事実でございまして、したがって、情勢は従来よりも厳しさを増しているということは私も申しているとおりでございまして、ただ、「防衛計画の大綱」が策定されました当時と、その策定の前提となるべき国際情勢においてその基本的枠組みはどうかと言いますと、私は基本的な枠組みにつきましては変わっていない、かように考えている次第でございまして、したがいまして陸幕長の発言も、私は決してそれは「防衛計画の大綱」を修正することを示唆したものではないということでございまして、その点において、私と陸幕長の意見は一致しておるわけでございます。  繰り返し申しますけれども、まことに情勢は厳しいものがございますけれども、しかしながら「防衛計画の大綱」を修正することはいま必要でない、このように考えている次第でございます。
  121. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 この「防衛計画の大綱」は、いわゆる基盤的防衛力構想というふうに別名で呼ばれているわけで、これについては制服の方々からもあるいは元制服OBの方々からもいろいろな批判の声というか、この点についてのいまの長官の御答弁とは違う声があちこちで上がっているわけです。その最大のものは、この基盤的防衛力構想において国際情勢とりわけ軍事情勢がここしばらくは変化をしないという大前提でつくっている、しかし、もう相当変化してきているではないか、こういう御趣旨であります。  加えて、ただいま申し上げましたように陸幕長御自身も、長官のお話ではありますけれども、状況と情勢が変化してきておりと、こういうふうにはっきり言っておる。そして直ちにいま大綱の修正ということではないけれども、近い将来その修正にぼつぼつ頭を向けていかなければいけない、こう言っておるわけですね。いま長官の御答弁だと、その点では、直ちに修正するものではないという点について陸幕長も私も意見は一致しておるんだというお話ですが、ぼつぼつ頭を向けていく方にはどうなんですか。そこも一致しているのですか。
  122. 山下元利

    ○山下国務大臣 その点につきましても、いろいろ言葉のあやはございますけれども、基本的に一致いたしております。やはり私どもは、率直に申しまして、情勢というものはいつも注視しておらねばなりません。情勢は変化いたします。しかし、その変化がいかようなものであるか、すべて大綱を修正するに至るまでの重大なものであるかどうか、これはいつも見ておらねばならぬわけであります。したがいまして、私どもは冷静に注視いたしておりますけれども、そしてまた注視の中におきましては、やはり変化というものをずっと見ておりますけれども、いまのところ、それによりまして直ちに「防衛計画の大綱」を修正する必要には至っていないということでございます。しかし、私どもは、情勢はいつも注視していなければならぬことは事実でございまして、そうしたことを陸幕長はそうした表現であらわしたかと思うわけでございまして、基本的にはいささかも食い違いはないと信じておるわけでございます。
  123. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 相手のあることでもありますし、後ほどるる細かくお尋ねをいたしますが、情勢というものはまさに流動し、質的にもあるいは量的にも変化をしてきておるわけであります。そういう中で国防の任に当たられる大臣御自身が、やはりそういうものを冷静にお踏まえになって、余りあちこちに右顧左べんし遠慮をすることなく、これが国のために必要だということになったならば、その点は防衛庁内局、制服、双方の意見を十分くみ上げて、政治としてそれに取り組むという姿勢を忘れてはならないと思うわけであります。そういう意味で陸幕長御自身がぼつぼつ大綱の修正に頭を向けていかなければならぬと言われておる、その状況というものをよく踏まえて、その点については、大臣として政治の部分でひとつ御努力を願わなければいけない、私はそのように考えます。いまの御答弁、基本的にその部分も一致しておるということでございますから、それで結構でございますが、ひとつそういう方向で御努力を願いたい、お願いを申し上げておきたいと思います。  そこで、まず第一にお伺いいたしますが、その状況の変化のうちの国後、択捉の極東ソ連軍の基地づくりについての情報はその後どうなっていますか、伺っておきたいと思うのです。  前通常国会でこの問題が議論をされた、私がお尋ねをして、伊藤防衛局長が御答弁になったそのときが最初だったと覚えているのでありますが、そのときの御答弁では、ちょうど宗谷海峡、オホーツク海の結氷凍結がもう始まっておるので、基地づくりは当面固定をした、そういう御判断があって、国会、この委員会でも御報告があったわけでありますが、もう氷はとっくに解けておるわけであります。揚陸艇の動き、あるいは新たに増強の徴候、そういうものはあるのかないのか、そういう点についてしっかり調査をしているのかどうか、いかがですか。
  124. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 お答え申し上げます。  防衛庁は本年一月の下旬に、御指摘のとおり結氷期を迎えまして、昨年の夏以来国後、択捉両地域に戦車及び火砲を含む相当規模のソ連地上軍が配備され、基地の建設が行われていると発表いたしました。その後、結氷期の間でございますけれども、若干の基地の建設が継続していたようでございます。結氷期が四月の末にそろそろ終わりまして、本年度もまた新しい動きがあるいは始まるかもしれないということで、今後ともおさおさ怠りなく情勢を注視してまいる所存でございます。
  125. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 そうすると、この連休中というか、氷が解け始めたこの十日ぐらいといいますか、その辺ではまだそういう徴候はないということかどうか。  それからもう一点、一部の情報では、地対空ミサイルも配備をされたという情報がありますね。この点はいかがなんですか。
  126. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 国後、択捉両島に関しましては、択捉島の単冠湾は不凍港でございまして、結氷期中でも津軽海峡を通る船舶の通航はあったわけでございます。これは結氷期中も若干ございましたし、また今後もますます種々の航空機、艦船の往復があるというふうに予想しております。ただ、その結果、基地の建設がどのくらい進むか、これはやはり時日をかけないと確認できないものと思います。  それから、地対空ミサイルの配備はいまだ確認しておりません。
  127. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 確認をしてないというお話ですが、おやめになった統幕議長の栗栖さんが——たしか栗栖さんの時期に、この国後、択捉のソ連軍の基地づくり、地上部隊の駐留というものが始まった。その栗栖さんがその後おやめになって書いている論文によりますと、戦車、大口径砲、火砲ですね、それと地対空ミサイルも配備したという情報がある、こう書いてある。防衛庁として確認してないのですか、本当に。
  128. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 戦車及び火砲につきましては、諸般の情勢から総合いたしまして、すでに配備されていると判断しております。  ただ、地対空ミサイルにつきましては確認しておりません。
  129. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 引き続きおさおさ怠りなくという御答弁でしたが、その方向で御努力を願いたいと思います。  極東ソ連軍の増強に関連して、さらに具体的にお伺いをするわけでありますが、ソ連の超音速戦略爆撃機バックファイアがもうすでに数カ月前極東へ配備されたという情報、これはすでに報道されていますね。  たとえば四月の二十九日付、この連休中ですが、アメリカのボルチモア・サンという新聞が米政府筋の情報として、ソ連空軍がウラジオストク北方八百キロにあるコムソモルスク基地に最新鋭のバックファイアを配備したと報じた。そのコムソモルスク基地に配備されたバックファイア爆撃機の機数は九機。このことについては、米情報機関の高官が訪日して防衛庁当局に通報した。そうしたところ、日本筋から一部の新聞に漏らされたが、このときは空軍機ではなく海軍機と誤り伝えられたため、日本政府はそれを口実にしてこの情報を否定したとボルチモア・サン紙は報じている。こういう報道が出ていますね。あるいは別の報道では、すでにバックファイアが数カ月前に極東に配備されたことは政府筋が確認しているという新聞報道がある。どうなんですか。
  130. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 ソ連のバックファイア爆撃機につきましては、遠距離航空部隊配属のものと海軍航空部隊配属のものがございます。バックファイアが近く極東に配備されるだろうということは、ことしの初めのウィズナー太平洋軍司令官証言、あるいは米海軍の情報部長シャピロの証言等でも明らかでございまして、われわれとしてもいつ配備されても不思議でない状況だというふうに了解しております。しかし、バックファイアが極東に配備されたという情報をわれわれは承知しておりません。
  131. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 そうすると、この報道は誤りですね。このバックファイアの極東配備の情報を米情報機関の高官が訪日して防衛庁当局に通報した、この報道は誤りである、あるいは政府筋が確認をしたというのも誤りである、こういうふうに理解してよろしいですか。
  132. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 バックファイア爆撃機が極東に配備されたという情報を米高官が防衛庁に伝えたという情報は正確でございません。
  133. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 わかりました。  もう一つお尋ねをいたしますが、キエフ級空母の二番艦ミンスク、これも六、七月ごろまでには極東に配備されていると言われていますね。いまどこにいるのですか。
  134. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 お答え申し上げます。  キエフ型空母ミンスクは、随伴艦数隻とともにインド洋を北上いたしまして、四月末ごろにモーリシャス島に停泊したという情報がございます。
  135. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 その随伴艦の中には、水陸両用強襲輸送艦イワン・ロゴフも随伴していますか。
  136. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 イワン・ロゴフにつきましては、大西洋を南下してインド洋に至るまで行動を共にしておりますけれども、モーリシャス島に停泊したときに、同時に停泊したかどうかについては確認しておりません。
  137. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 わかりました。いずれにしてもインド洋までは一緒に、随伴していたようですね。そしてまたその随伴艦も一緒に極東に配備されると私どもは伺っておるわけです。この海空の二つの新しい増強は日本の安全に対してどのような脅威になるのか、もうすでにいろいろな報道が出ているわけでありますが、当委員会でも、まずきちっとした政府の見解をお伺いしておきたいと思います。
  138. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 まず、バックファイアについて申し上げます。  バックファイアは、ソ連の遠距離航空隊と海軍航空隊の両方に逐次配備されつつある模様であります。いま申し上げましたように、極東海軍航空隊には未配備と承知いたしております。もし極東海軍航空隊に配備された場合のことを考えますと、バックファイアという飛行機は、従来のバジャーに比べまして行動半径がはるかに大きい。最大速度も倍以上ございます。さらに、すぐれた電子戦能力及び低空侵入能力を有しております上に、数百キロメートルの遠距離から発射できます対艦ミサイル、キッチン、キングフィッシュを搭載しておりますので、ソ連は従来よりも格段にすぐれた対艦攻撃能力を有するに至るものでございます。その結果、西太平洋のアメリカ海軍及びわが国の海上交通路に対しまして潜在的脅威になるものであると考えております。  ミンスクにつきましては、ミンスクはいわゆる対潜空母でございまして、アメリカの攻撃型空母と比較いたしますと戦力には差はあるのでございますが、アメリカの潜水艦の活動その他西太平洋における米海軍の活動にとっては種々の制約要因になり得る。それから政治的には、東南アジアからインド洋にかける地域におきます政治的プレゼンスあるいは局地的介入能力を有するに至るという意味で、重大な意味のある配備だと存じております。  イワン・ロゴフは極東に来るかどうか、いまだ確認しておりませんけれども、極東に来ると一般に推定されておりますミンスクと同行して、いまインド洋にあります。イワン・ロゴフは一万数千トン級の揚陸強襲艦でございまして、戦車と申しましても水陸両用戦車でございますけれども、約四十両と海兵隊一個大隊を同時に搭載いたしまして、それでヘリ数機及びホバークラフトを持っておるようでございます。
  139. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 どういう脅威になるのですか。
  140. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 これはソ連が持っております極東及び東南アジア及びインド洋地域におきます強襲揚陸能力の向上に寄与するものと考えます。
  141. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 大体わかりますが、抽象論でなくて、より具体的に言いますならば、まず、バックファイアについては、非常に航続距離の長い、そしてまた超音速の、しかも打撃力の高いこの戦略爆撃機が配備されることによって、第七艦隊が相当の脅威を受けて、米空母の行動そのものが非常に用心深く慎重になって、わが国周辺海域への展開を控えるというおそれもある、そういう理解もありますね。それが第一点。  それからミンスクについては、いま言った政治的なプレゼンスもあるでしょう。あるいは対潜能力が非常に向上するということもあるでしょう。それからそれに随伴しているイワン・ロゴフですか、これは揚陸能力、強襲能力で、たとえばいままでわが国の北海道方面においてヘリボーンなどという形での脅威が一つありました。今度はヘリボーンだけでなく海からのヘリボーンといいますか、そういうものも十分ある。あるいはホバークラフトその他の脅威もある。こういうふうに理解していいか、それが第二点。もう少し具体的にお伺いをしたいのですけれども、いかがですか。
  142. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 バックファイアにつきましては、確かに非常にすぐれた対艦攻撃能力を持っておりますので、西太平洋におきます米軍及びわが国の通商路、海上交通路にとりましても潜在的脅威となるものでございます。またバックファイア、ミンスクもそうでございますけれども、その配備によってアメリカの第七艦隊の機動部隊の行動が制約を受ける、この点は全く御指摘のとおりでございます。ただ、一九八〇年度の米国防報告によりますと、この国防報告もまたバックファイアをソ連の潜水艦と並んで海上交通路に対する最大の脅威というふうに指摘しておりますが、これに対抗するにはアメリカ側としては西太平洋における航空母艦、それから日本を基地とする空軍、これによって対抗するというふうに言っております。また対抗するということは、それだけ勢力がそがれるということで、また逆から言えば制約要因にもなるわけでございます。  それからミンスクにつきましても同様のことでございまして、ミンスクそのものはアメリカの機動部隊と比べまして戦力が落ちるのでございますけれども、ミンスクがいて、しかもアメリカの潜水艦に対しまして対潜行動を行う、これに対しましてアメリカもある程度の艦艇をもって対さなければならない。アメリカ海軍は、現在非常に艦艇の不足をかこっておりますので、これまた制約要因になるというふうに考えております。  それから、イワン・ロゴフにつきましては、イワン・ロゴフが配置される地域におきまして上陸能力が増加する、これはもう疑いのない点でございます。
  143. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 ことさらソ連を敵視するようであってはならないと思いますけれども、脅威を与える能力をソ連が持っているとすれば、脅威は脅威として冷静に受けとめて、そのための対応策は講じる、これが国の安全の基本だと思います。  長官にお伺いいたしますが、長官は、今回訪米の予定があると言われております。その際、米第七艦隊の空母二隻を日本周辺海域に常駐をさせるように要請をするという御意向であるように伺っておりますが、これに間違いはございませんか。そして、その場合に、御案内のように第七艦隊の空母は二隻しかありません。いま第七艦隊は西太平洋のみならず、インド洋、中東方面も担当守備範囲に持っておって、たとえば三月に空母コンステレーションは中東方面へ行きました。四月中旬にミッドウェーも派遣しています。そして、いまコンステレーションは、一時的に西太平洋に戻ったのか、これから戻るのかわかりませんが、戻るものの、その後は米本土に寄港をするという情報もあるわけであります。  そういうことを考えてみると、常時空母二隻を日本周辺に置いておいてくれと言っても、いまの第七艦隊の空母は二隻しかないわけですから、当然米側に折衝をする際には、インド洋の方はインド洋で新しい艦隊をつくって、西太平洋での米海軍力のプレゼンスは減らさないようにしてもらいたい。一部伝えられるところによると、米国内でも、インド洋、中東方面には第五艦隊を創設して、第七艦隊は二隻空母体制で西太平洋のプレゼンスをかっちり守るようにすべきだという意見も一部軍事筋にはある。そういうことを受けて、そこまでおっしゃられるつもりなのかどうか、それも含めてお考えを聞いておきたいと思います。
  144. 山下元利

    ○山下国務大臣 私の訪米につきましては、アメリカの国防長官と日本の防衛庁長官とが定期に毎年話し合うということでございまして、それで、ことしはこちらから参る順番でございまして、いまのところ日程もはっきり決まっておりませんし、どのような話をするかにつきましても、具体的には決まっておりません。ただ、先ほど政府委員から申しましたとおりに、西太平洋方面におきますところのソ連軍の予想される配備等によりますところの軍事バランスというものは十分私ども注視しなければならぬわけでございますので、その西太平洋におけるところの情勢がわが国の平和と安全に至大な関係を持つことは申すまでもないところでございますが、十分そうした情勢をも踏まえて私どもとしては参りたいと思うわけでございますけれども、具体的にどのようなことを協議するかはまだ決まっておるわけではございません。
  145. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 なかなか、外交交渉でもあり、しかも、日本側にとっても、米側にとっても事安全に関する事柄でありますから、いかに国会の場とはいえ、おっしゃりにくいこともあろうかとは私も思います。しかし長官、また栗栖さんの話を出して恐縮ですが、栗栖さんはおやめになってからこういうことを書いている。   この点に関連して、痛感させられるのは日米の人的交流の貧弱さである。NATO加盟国の場合、もちろん言葉が通じ合うという理由もあるだろうが、なにかあるとすぐ大臣がアメリカに電話をかけて、大臣同士で情報交換をしている。参謀総長同士も気やすく電話をして話し合っている。   少しでもNATO諸国正面に緊張状態が発生すれば、首相、国防大臣、参謀総長あたりがワシントンに飛び、ひざ詰め談判をし、話を詰めて帰ってくる。つまり、ある程度の保障をとるわけだ。それでもなにか起こると不安だから、また飛んでいく。絶えずアメリカに念を押しているのである。   対するに、わが日本は、核に関する委員会はもちろん設置を要求したことさえないし、人的な交流、連絡もほとんどない。防衛庁長官が数年に一回ぐらい訪米するのが関の山で、これもほとんど儀礼訪問にすぎない。話題としてはいろいろ出るようだが、表面的なものばかりで実質的な意味はうすい。 つまり、  交流が緊密でないので、詰めができない。総花的に話し合ってくるだけの話である。 この指摘はどう思いますか。  国会の場で、訪米に当たって、ソ連極東軍の増強についてこれだけの脅威がある、政府委員答弁でもあったように、大変な心配があるというときに、話し合うことを決めていないとかいうだけでいいとは私は思えない。かなり具体的に突っ込んで言ってきていただかなければ困ると私は思うのです。長官、その辺の御決意はどうですか。
  146. 山下元利

    ○山下国務大臣 いろいろ前統幕議長の発言等について御紹介がございましたが、率直に申しまして、アメリカの国防長官とわが国の防衛庁長官は数年に一回ではございませんで、毎年お会いしておるわけでございます。その場所がアメリカか日本かということでございますから、その点については御了解いただけると思いますし、なおまた、いま日米防衛協力の指針もできまして、これはあくまで文民統制の原則の中におきますところの緊密ないろいろの連絡をやっておるわけでございますので、いまの御指摘ながら、私どもとしては日米安全保障条約が円滑に運用され、機能するように努力しているところでございます。  そして、私のこのたびの訪米につきましても、これはただいま具体的にどうだということを申し上げることはできません。その点は御了承願いたいと存じますけれども、日米安全保障条約体制下にありますところの両国の問題につきまして、やはり信頼性を堅持していくということ、そしてまた、その条約の運用が円滑に図られるということが大事な点でございますから、私どもはそうしたことを踏まえまして率直に話し合ってまいりたい、このように考えている次第でございます。
  147. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 私、お尋ねをしたいのは、長官、基本的な姿勢はそのとおりです。私何も申し上げることはありません。ただ、先ほど来の話の連関で御答弁願いたいのでありますが、お尋ねをしているような極東でのわが国の安全に深くかかわってきているミンスクの配備だとかバックファイアの配備だとかいう具体的な話、これも国の安全に責任のある長官として——これは国民の生命、財産に関することです。率直に具体的に話し合ってきていただかなければ困る。余り抽象的な議論ばかりしたって、抽象的な議論も意思疎通も大事でありますけれども、先ほどお話をしたような空母二隻の常駐体制の話だとかいろいろなことはもう当然具体的に、真剣に、相当の決意で話し合ってきていただかなければ困ると私は思う。その点についてお尋ねをしているのです。いかがですか。
  148. 山下元利

    ○山下国務大臣 私もわが国の防衛庁長官でございますから、わが国周辺の情勢につきましては十分認識し、また日米両国の防衛の責任者が話し合うときに、その認識というものはやはり非常に大事な点であろうと思うわけでございます。その認識の上に立って私ども十分話し合ってまいりたいと思いますけれども、具体的にいまの御指摘のようなことにつきましては、ただいまここで申し上げることはできませんけれども、しかし、御指摘の御趣旨は十分承ってまいりたいと思う次第でございます。
  149. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 よくわかりました。言いにくいこともあろうかと存じます。ひとつ国の安全の問題でありますから相当の御決意で行っていただきたい、このように思うわけであります。  時間がいよいよなくなってまいりました。お尋ねしたいことがたくさんあったのですが、あとはポイントだけをお尋ねいたしますが、いままで海上自衛隊というもののあり方、役割りというものは、言ってみますと三段論法の一つ段階というような感じが私にはしているのです。つまり日本の周辺海域、海の守り、これは直接的には第七艦隊にお願いをする、そして第七艦隊が日本を守るのに煩わしいこと、たとえば掃海業務とか対潜業務とか、こういうものは海上自衛隊がやる、海上自衛隊がそういう行動をするのに煩わしいことは地方隊がやるというような仕組みであったかと私は理解をする。  このたびバックファイアやミンスクの配備によって海上自衛隊のあり方も少しは変質してくるのではないか、いや変質しなければいけないのではないか、こういう議論があるわけであります。私もそれについてはそうかなという気が強くする。これからの海上自衛隊の役割りについて、その位置づけについて第七艦隊との絡み、バックファイア、ミンスク配備との絡みで全く変更しなくてもいいのか、何らそういう点について検討する用意があるのかないのか、その辺いかがですか。
  150. 原徹

    ○原政府委員 海上自衛隊の任務につきましては、御指摘のように、周辺海域におけるわが国の海上防衛をするわけでございます。その際にもちろん日米共同対処、ガイドラインで決めておりますようなことに従って、今後ガイドラインに基づく研究を進めていくわけでございます。  ただいまバックファイアが来たということで、それでは直ちに海上自衛隊の任務が変わるのかどうかという点でございますが、基本的にはやはり安保条約がございまして、日本防衛のために日米共同対処ということでございますから、そこは変わらないわけでございますが、バックファイアについて申しますならば、確かに太平洋における空からの艦艇攻撃という部面、それは大変大きな問題になるわけでございましょうから、そういう意味から申しまして、今後の艦艇の建造等につきましては、防空能力と申しますか、そういうものにつきましては、さらに一段と改善をしていかなければならないだろう、そういうふうに考えております。
  151. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 この点についても一言だけ申し上げておきますが、大変口幅ったいことを素人が申し上げるようでありますけれども、中期業務見積もりで海上自衛隊のこの部分についての記述も御計画も読みました。対潜水艦戦、対航空機戦中心に整備が進められていたものを、今度の業務見積もりではミサイル戦というか、そういうようなものへの対応策も相当考えているというふうな報道流れているわけで、それも私は読んでおるわけであります。  しかし、先ほど参事官も言っておられましたけれども、バックファイアが配備になって、第七艦隊の行動自身が相当制約をされる、あるいは控え目になるといったときの海上自衛隊のあり方、そしてそういうものからする日米共同作戦のあり方、これはやはりいまから真剣に考えておかなければいけないと思います。これはひとつ私の素人なりの勘といいますか、話としてお聞き取りを願って、そんなものは一笑に付することなのかどうか、よく考えてもらいたいと思います。これはひとつお願いしておきます。  外務省の方もお越しをいただいているのにまことに申しわけありません。お尋ねしたかったのですが、時間がなくなりました。そこでポイントだけをお伺いをいたしますが、長官、カーター大統領が六月の三十日、サミットの後に韓国を訪問されます。在韓米地上軍の撤退も一時期計画をされたよりは少なくなって三千四百人、第二次の撤兵については、とりあえず一時延期ということになっている。韓国側は、第二次の撤兵について中止することをカーター大統領が約束してくれることを望んでいます。そういうことになるかもしれないという情報もあります。そして、それとの関連でお伺いをしたいのですけれども、前金丸長官は日韓台は運命共同体と述べられたことがあるのです。現長官はどうお考えですか。
  152. 山下元利

    ○山下国務大臣 韓国の安全が朝鮮半島における平和の維持に非常に緊要でございまして、また朝鮮半島におきますところの平和と安全の維持は、日本を含む東アジアの安全のために重要なかかわり合いを持っているという従来からの基本的認識には変わりはございません。
  153. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 毎度お伺いをする御答弁なのでありますけれども、わかりました。  それならそれで結構でございますが、永野陸幕長が四月三十日に韓国を訪問いたしましたが、これはどういう目的だったのか。山下長官が訪韓をするための露払いだという観測記事も一部には流れておりますけれども、この点はどうなのか。長官御自身に韓国訪問の御意思があるかどうか、この点をお伺いいたします。
  154. 山下元利

    ○山下国務大臣 永野陸幕長は、大韓民国陸軍参謀総長の招きによりまして、同国の軍事施設等を視察するため四月三十日から五月四日までお伺いしたものでございます。  私の訪韓につきまして具体的な計画はまだございません。ただ、先ほど申しましたとおり、朝鮮半島におきますところの平和と安全の維持はわが国の安全にとりましても重要な関連を有しておりますので、韓国を訪問し、関係者にお目にかかるというふうなことは有意義なことであると考えております。
  155. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 さらにお伺いをいたしますが、ソ連政府の機関紙のイズベスチヤは、山下防衛庁長官がベトナムにソ連が空軍基地を建設したと述べたことを取り上げて、全く根拠のないことだと真っ向から基地建設説を否定したとあるのです。長官は、何かソ連がベトナムに基地を建設したというようなことをどこかでお話しになったことがあるのですか。
  156. 山下元利

    ○山下国務大臣 イズベスチヤ紙が、ソ連がベトナムに空軍基地をつくっていると私が申したというふうに報道せられているようでございますが、私はいまだかつてソ連がベトナムに基地をつくっていると申したことはございません。ただ、この前TU95ベア二機がベトナムのダナンに着陸したことも確認されております。これは四月二十六日にソ連に帰投いたしましたけれども、そうしたソ連の飛行機が一時期ベトナムの空軍基地におったことは事実でございまして、そういったことにつきまして私どもとしては十分注視いたしておるわけですけれども、恒久的なソ連の空軍基地が設置されたという情報には接しておりません。したがいまして、私も空軍基地をつくっていると申したことはございませんが、ただ、そうした事実がございましたことについて、われわれは相当注視しておるということを申したことはございます。
  157. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 この問題につきましては、どうも外務省と防衛庁の間に若干の意思疎通に欠ける点があるというか意見の違いがあるような気がしてならない。これはかなり情報にお詳しい方から聞いた話でもあります。これはもうお尋ねをいたしません。防衛庁、外務省、この問題は経済援助の絡みもございます。ひとつ慎重かつ真剣に、そしてまた双方日本の国益のためにうまく連携をとり、協議をして、経済援助の問題も含めまして、今後もあることでございますから対処していただきたい、これはお願いをしておきたいと思います。  時間がなくなりましたので、最後に一つだけお伺いをいたします。  中期業務見積もりの中で幾つかの検討課題が挙げられています。また、長官がそれに基づいて出された五十五年度の業務計画についての指針とすべき事項、これにつきましてもいろいろの事項が述べられております。その中で大型プロジェクトがずいぶん出ております。たとえばポストバッジあるいはポストナイキ、ホークが出ております。しかし、私が何回も当委員会で取り上げておるのでありますが、大型プロジェクトがメジロ押しにもかかわらず、その見積もりの中に研究開発費は一項も設けられてはいない。これはきわめて重要な問題なんです。私何回もこれでやってきた。金丸長官の時代に私が、坂田長官時代に五年間で研究開発費を二%にする——いまわが国は防衛費に占める割合は〇・九%です、欧米各国は一〇%から、核研究をやっていない西独でさえ五%使っている、わが国は余りにも低過ぎるではないか、ライセンスアビリティーの問題もある、これはひとつぜひとも真剣に取り組んでいただかなければならない、坂田長官もその意味で五年間に二%とおっしゃったはずだが、それからもう五年近くたっている。長官、これはどう思われるかと申し上げたら、金丸前長官は、五十四年度予算では目玉として取り上げる決意ですとおっしゃった。ところが、今度の業務見積もりや業務計画の指針を拝見いたしますと、この点に触れていない。何だか行ったり来たりで、国会でわれわれが一生懸命議論したって何にもならないし、本当にそれを真剣に考えているのか疑わしいという気持ちにもなる。この点について政府の見解と長官の決意をお伺いして、時間がないからしようがないからやめます。
  158. 原徹

    ○原政府委員 中期業務見積もりと、業務計画についての指示のことで、研究開発に触れてないという点でございますが、実は中期業務見積もりというものは三幕僚監部に対しましての主要な事業についての見積もりでございますために、技術研究本部、これが研究開発の主流をなすところでございますが、そういうものとして業務見積もりができてないためにそのことが入ってないわけでございます。したがって業務計画の指示につきましても、これは別途また指示が出るわけでございまして、いまの二つのところに出てないということは、そういう意味で御理解いただきたいわけでございます。  私ども、御指摘のように研究開発費がわが国の防衛費の中で非常に少ないということについては、再三長官が答弁をいたしておりますように、これを増額するつもりになっております。そういう点をまず御理解いただきたいと思います。
  159. 山下元利

    ○山下国務大臣 ただいま防衛局長から業務計画と研究開発とのかかわり合いについて御説明申し上げましたので、御理解賜りたいと思いますが、本年度予算におきましても研究開発の占めます比率はふえております。これは金丸長官のおっしゃるとおりでございます。ただ、そのふえ方は、胸を張って言うほどではございません、まことに微微たるものでございますが、ふやす方向にあることは確かでございまして、今後とも、私どもとしては研究開発を進めていく、それに重点を置いていくという意思には変わりございませんので、その趣旨に沿って努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
  160. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 終わりますが、いまの御答弁関連をして一つだけお話をしておきます。また、お答えがあればなおのことありがたいですが、ポストバッジなんかの大型プロジェクトは、長官は国産で考えておられるのか、輸入で考えておられるのか、あるいは共同開発、機能分担方式で考えておられるのか、この辺はきわめて重要な問題、これは研究開発の問題とも絡んでくる、だからお尋ねをした。この点について御答弁があればお伺いをします。
  161. 原徹

    ○原政府委員 バッジにつきましては、五十五年から五十九年までの間に何らかの対処をしなければならない問題だと考えておりますが、ことし、そのバッジシステムについて再評価と申しますか、そういうための予算がつきました。いろいろ機能的に不十分である面があると言われておりますので、まずそれをどういうふうに評価をするかということから始めたいと思っております。それができましたら、その後どうするかということに順々になるわけでございまして、まだそこをどうするかというところまでは行っておらない、タイミングがまだそこまで行っておらないということで御理解を得たいと思います。
  162. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 終わります。
  163. 藏内修治

    ○藏内委員長 岩垂寿喜男君。
  164. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 最初にちょっと予定にはなかったのですが、きのう来の松野元防衛庁長官のいわゆる職権に基づく犯罪、これは時効という理由で立件できなかったとしても、明らかな犯罪であると言わざるを得ません。山下防衛庁長官の先輩でございますから、この問題についてどのようなお感じを持っておられるか、率直にお述べをいただきたいと思います。
  165. 山下元利

    ○山下国務大臣 ただいま御指摘の点は、報道せられている限りで私は承知している次第であります。私は、かねがね申し上げておりますとおりに、防衛庁の航空機購入につきましては、関係当局によりまして十分な解明を進めていただける、こういうことをお願いいたしている次第でありまして、その関係当局による解明が進められていると思う次第でございます。  ただ、私ども防衛庁といたしましては、この航空機購入につきましてはもっと純粋に防衛上の見地から専門的、技術的に検討してまいったわけでございまして、防衛庁のあずかり知らないところにおいて何があったかは関係当局の解明に待つのではございますけれども、そのわれわれの機種選定について不当な圧力があったとか影響を受けたということは絶対なかったのでございまして、したがいまして、解明解明として十分進めていただくと同時に、われわれ防衛庁といたしましては、機極選定の経過につきましては、繰り返し申すようでございますけれども不正はなかった、このように信じておる次第でございます。
  166. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 航空機の価格に、あるいは利益の中に当然その金額が上乗せされていることは事実ですよ。そうでなければもうからない商売をやるわけはないのですよ。そういう意味では、防衛庁が使っている飛行機に国民の血税が支払われているというふうに私は思うのです。この辺は私、非常に重大だと思うのです。財政的な意味でも国民に非常に大きな迷惑をかけている。だから、防衛庁はかかわりございませんという議論だけでは済まないと私は思うのです。もう一遍御答弁をいただきたいと思います。
  167. 山下元利

    ○山下国務大臣 その問題につきましても、関係当局の解明を待たねば、私としてはただいま申し上げた以上のことは申し上げられません。  ただ、航空機の価格につきましては、従前も防衛庁としてはあらゆる努力をいたしまして、厳正に価格を調べてまいった次第でございますけれども、特にロッキード事件の経過にかんがみまして、その尊人についての価格決定等につきましては、慎重の上にも慎重を期して、いま御指摘のように国民の皆様に不信を抱いていただくことのないように努力している次第でございまして、その感はいまさらに深くいたしております。
  168. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私は、いまのことを言っているよりも、実はこの時代のいきさつのことを聞きたいわけですけれども、時間がございませんから、それ以上言いません。しかし、安全性やその性能よりも、いわば札束が選んだ黒い飛行機と言っても私は差し支えないと思う。そういうもので私たち国民の平和や安全が守られているなどと考えられることは、国民としても迷惑千万です。また、自衛官がそんな飛行機に乗せられているということも私は大変不幸なことだと思うのですよ。国民や自衛官に対して——少し過ぎ去ったことではありましょうけれども、やはり防衛庁とのかかわりにおいてこういう事件が起こったのです。だから、今後考えますと言うだけじゃなしに、やはり政治的な意味で防衛庁の重い責任というものは避けられない。この点については、いささかもその責任をお感じになりませんか。
  169. 山下元利

    ○山下国務大臣 私どもといたしましては、従来ともに防衛庁としては厳正に処してまいったことにつきましては確信を持っておるわけでございます。しかしながら、いま関係当局によりまして解明が進められておりますので、いまその解明を待っておる次第でございますが、従前ともに、今後ともにあくまで国民の疑惑を招かないように努力せねばならぬという感を一層深くしておる次第でございます。
  170. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いわば防衛庁を舞台にした事件、不祥事、これは間違いない事実でしょう。結果的には防衛庁も無関係じゃないと私は思うのです。E2Cまでつながっているかもしれない、こういう問題点があるわけです。したがって、先輩でありますけれども、そうした行為、そういう犯罪に対して防衛庁自身が姿勢を正すということを、将来に向かって姿勢を正すだけではなしに、過去のそういう現実、もうすでに新聞に報道されているだけでなしに、問題の焦点はお互いに理解し合っているところですが、それについて防衛庁自身として遺憾なことであり、責任を感ずる、これが国民に対する態度ではないだろうか、私はこんなふうに思いますけれども、この点はどのようにお考えですか。
  171. 山下元利

    ○山下国務大臣 繰り返し申すようでございますけれども、この問題については、まだいまのところ関係当局におきまして解明が進められておるのでございまして、現段階において私から申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、私といたしましては、防衛庁の航空機購入につきましては、あくまでそれは防衛庁の購入するものでございます、物がそうでございますから。とにかく従前ともに、今後ともにわたりましても国民の疑惑を生じないように一生懸命努力せねばならぬ、このことを痛感いたしておる次第でございますが、いま御指摘の点につきましては、現在関係当局の解明が進んでおる最中でございますので、私の立場から申し上げることは控えさせていただく次第でございます。
  172. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ちょっと伺っておきますけれども、松野元防衛庁長官に、防衛庁の人事などの際に、あらかじめこういうふうにしたいと思いますがと言って報告をして了承を得てきたというふうないきさつが報道などにありますが、そういうお立場ですか。
  173. 山下元利

    ○山下国務大臣 御質問趣旨を間違えてはいけませんので、慎重を期しまして、お待たせいたしまして申しわけございませんが、さようなことは絶対にございません。
  174. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 歴代の防衛庁長官でそういうふうなことをやるということは、防衛庁としては一切ないと断言できますね。
  175. 山下元利

    ○山下国務大臣 あくまで人事は防衛庁長官として、その衝におる者の責任において行われるわけでございまして、いまのようなことは絶対にございません。
  176. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この問題は明らかにされてくるわけでありますから、そしてそれは防衛庁を舞台にした事件であることも事実なんです。たとえ話としてよくないけれども、民間航空の問題でもわれわれとしては許せないという立場をとっています。ましていわんや、これは国民の血税そのものがこういう形で犯罪を起こしている、そういう問題を防衛庁自身がもっと過去にさかのぼって、防衛庁が持っている体質と私はあえて言いませんけれども、やはりつきまとうそういう条件についてもっと責任を感じないと国民に対して申しわけができないだろう、こういうふうに思いますので、その点は重々に責任を痛感していただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  では次に、予備自衛官の問題に移りますが、予備自衛官の充足率はいまどのぐらいになっていますか。
  177. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 五十四年三月三十一日、五十三年度末の数字を申し上げますと、陸上自衛隊の予備自衛官三万九千人の定員に対して現員も三万九千人、一〇〇%。それから海上自衛隊の定員六百人に対して五百九十五人、九九・二%。両方合わせましてほぼ一〇〇%近い、こういう状況でございます。
  178. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この制度の法的根拠というのは、隊法七十条以下の消耗補充という考え方ですね。その考え方は、いまでも変わっていませんか。
  179. 原徹

    ○原政府委員 予備自衛官の機能と申しますか、そういうものを申しますと、一つには後方警備であり、一つには後方の支援であり、そうしてもう一つは損耗ができたときの補充だと、そういうふうに考えております。
  180. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 かつて四次防構想の中で、四十一都道府県に警備連隊をつくる、警備連隊式の予備自衛官を募集しておくという決定があったわけですが、それはその後白紙に戻ったと言われていますけれども、当時の久保防衛局長のやりとりを議事録調べてみると、再検討、検討を依然として続けるというふうな意味のことが載っていますが、今日それはどういう位置づけになっておりますか。
  181. 原徹

    ○原政府委員 ただいまも申しました後方警備という考え方は、四次防当時からずっとあるわけでございます。ただ、六万人とか、各県に一つとか、そういう警備連隊という考え方は四次防ではとらなかったということでございますが、後方警備という考え方は従来からいままでずっとあるわけでございます。現にことし一千人の増員をお願いいたしておりますが、これも後方警備のためでございまして、これは後方警備の、要するに現在ある部隊が有事の場合に戦闘地域に移動いたします、その後の後方警備を担当する連隊をつくる方がよかろう。そういう意味で、一千人だと一つの連隊がほぼできますものですから、そういう後方警備というものの考え方で現在も一千人の増員を要求しているわけで、その後方警備という考え方につきましては、当時といまも変わりがないわけでございます。
  182. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうすると、四十一都道府県に警備連隊式のものをつくるという考えはもうないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  183. 原徹

    ○原政府委員 ただいま四十一でございますか、そういう考え方は持っておりません。
  184. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 先ほども御質問があったわけですけれども、四月三十日の朝日新聞の記事、これは「防衛庁防衛課と陸海空三幕僚監部が中心となって、」と、こういう議論なんですけれども、防衛庁結論でなくても、予備自衛官を陸上自衛隊の正規隊員の定員以上に引き上げたい、あるいはそれを含めた改革構想を練っているというふうに報道されているのですが、先ほど防衛庁としてはそういう方向を持っていないと言うのですけれども、研究はなさっていらっしゃるのですか。
  185. 原徹

    ○原政府委員 新聞に出た十八万にするとか、あるいはそのためにやめた自衛官から予備自衛官を採ることを改めて一般から採るとか、そのために法律を改正するということの検討はいたしておりません。
  186. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そういう検討はしていないけれども、増員をしたいという気持ち、そういう検討はしているんでしょう。
  187. 原徹

    ○原政府委員 ただいま中期業務見積もりというのをやっておりますが、その段階で若干の増員はいたしたい、そういうふうに考えております。
  188. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その若干というのはやはりめどがあるでしょう。それはどうなんですか。
  189. 原徹

    ○原政府委員 数千名のオーダーになろうかと思いますが、まだこれは結論は出しておりません。
  190. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 予備自衛官関係予算、これは人件費というか、いまの手当ですね、それから装備、それは金額にしてどのくらいになっていますか。
  191. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 五十四年度の予算について申し上げますと、陸上自衛隊、海上自衛隊の予備自衛官手当及び訓練招集手当を合わせまして十六億二千八百万円ということになっております。
  192. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 装備もあるのでしょう。手当だけじゃないでしょう。
  193. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 そのほかに、いわゆる被服費でありますとか糧食費あるいは教育訓練費というものを合わせまして、全体で五十四年度予算十九億二千三百万円、こういうことになっております。
  194. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 予備自衛官をべらぼうにふやしていくというふうなやり方というのはいろいろ問題を伴う、言うまでもないことだと思いますけれども、その点は厳にひとつ私からも慎むように申し上げておきたいと思います。  さて、防衛庁長官が第十五回の自衛隊高級幹部会同で訓示をされた中で、先ほども中川委員から質問がありましたけれども、訓示を拝見をいたしました。「近年における極東ソ連の軍事力増強には目ざましいものがあり、特に、キエフ級空母「ミンスク」、バックファイアー」云々と、こう書いてあるのですね。そこで伺いますけれども、ミンスクは、すでに極東軍事力に編入されているのですか。この文章を読むと、そういうふうに見えるのですよ。
  195. 山下元利

    ○山下国務大臣 これはミンスクの「極東配備の動向」と申しております。
  196. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 前文を見てごらんなさいよ。
  197. 山下元利

    ○山下国務大臣 だから、「近年における極東ソ連の軍事力増強には目ざましいものがあり、特に、キエフ級空母「ミンスク」の極東配備の動向」、「動向」と申しておる次第でございます。
  198. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そこがごまかしでございまして、「目ざましいものがあり、特に」と特定をしたのですよ。極東軍事力の増強には「目ざましいものがあり、特に」と特定してミンスクが出てくる、バックファイアが出てくるのですよ。それで確かに結論は「動向」と書いてある。しかし、主文とずっとつなげて読んでいったらどうなりますか、これは。そう言われても仕方がないような実は原文の書き方になっている。これは山下さんらしくない、もっと歯切れのいい、きちんと区切りをつけるべきだ、こういう書き方に私はいま防衛庁の姿勢を見ざるを得ないわけです。  先ほど中川委員質問していましたけれども、六月ごろウラジオストクに入港、そしてソ連太平洋艦隊にミシスクが編入される、その情報というのは、これは防衛庁筋ということで出ているわけですが、どういう情報ですか。
  199. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 ミンスクが極東に配備されるだろうということは、御指摘のとおり、あくまでも推測の問題でございます。  ただ、これは諸般の情報、これはもちろん引用できない情報も多々ございますけれども、総合いたしまして、わが防衛庁におきましては、いつかはこれは配備されるであろう、またこの判断につきましては、米国も大体同様の判断を持っております。ただ、それはソ連海軍の都合でございますから、それがいつになりますか、その点は先方の意図いかんでございます。
  200. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 だから、この文章を見ると、近年における極東ソ連の軍事力増強には目ざましいものがある、そしていつ配備されるかわからない、いつかは配備されるだろう、情報の根拠は明らかにできない。  では、バックファイアはどうですか。
  201. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 バックファイアにつきましても同様でございまして、ミンスク、バックファイアともに本年初頭以来の米太平洋軍司令官の証言、それから米海軍情報部長の証言、それらにつきまして、それが配備される動向にある、これはまあ動向でございますから一種の予測でございますので、一〇〇%確実かどうか、われわれも言えないのでございますけれども、そういう動向があるということは全く事実でございます。かかる動向があるということが最近のソ連の増強の傾向、その一部であることも確実でございます。
  202. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その次に、「ベトナムにおける海・空軍基地の使用」と、こう書いてある。外務省おられますか。——外務省はベトナム大使を呼んでやりとりをいたしましたね。その経過を明らかにしてください、簡単に。
  203. 山下元利

    ○山下国務大臣 いま御指摘の点、私は、「ベトナムにおける海・空軍基地の使用」と申しております。
  204. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いや、そのとおり読んだ。
  205. 山下元利

    ○山下国務大臣 ああそうですか。
  206. 中村武

    中村説明員 お答えいたします。  中国のベトナム侵攻がございました後、ソ連の軍艦が頻繁にベトナムの港に入っているということが情報として入っておりましたので、外務省といたしましては、四月の十三日に在京のベトナム大使をアジア局長が招致いたしまして、日本としてはソ連の軍艦がベトナムの港を頻繁に使用するということになると、アジアにおける緊張の高まりの一つの原因になると思われて、われわれとしても懸念しているので、ひとつこの辺についてベトナム側に慎重な配慮をお願いしたいということを申し上げました。  これに対しましてベトナム側の回答がすでに来ておりまして、これによりますと、ベトナムとしては、中国がベトナムに侵略をしてきた。こういった中国の脅威に対して、ベトナムとしては当然防衛のための措置をとらなければならない。その一環として、ソ連との友好協力条約に従って協議した結果、現在必要な措置として、こういった港の使用というものを認めている。これは基地ではなくて、あくまで防衛的なものであり、日本が心配されることについては、懸念には及びませんという回答を得ております。
  207. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 外務省結構です。  「国後・択捉両島地域への地上軍の再配備などの問題は」、こう書いてありますが、これの背景も先ほど中川委員に御説明をいただきましたけれども、もう一遍簡単に述べてください。ついでに防衛庁として、ソ連の持っているねらいをどういうふうに受けとめているかということを……。
  208. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 防衛庁といたしましては、昨年の夏ごろ以来のわが北方領土付近におきますソ連艦船、航空機の動向、その後種々入手いたしました諸情報を総合いたしまして、戦車、火砲を含む相当規模の地上部隊が択捉、国後両島に配備されたと判断いたしまして、それを一月の末公表いたしました。その後もある程度の基地の建設は続いているようでございます。  防衛庁がこれを公表した意図は、これはわが国の北方領土でございまして、重大な問題でございますので、一刻も早く国民に知らせるべきだ、それが防衛庁公表いたしました意図でございます。
  209. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 防衛庁判断するソ連のねらいです。
  210. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 失礼いたしました。  ソ連の判断でございますけれども、ソ連の判断といたしましては、これは推測するほかございませんけれども、大きなソ連の戦略といたしましては、ソ連は近年、極東におきますソ連軍の量的、質的な向上を図っているようでございます。この目的につきましては、大きく申しましてNATO正面のソ連軍がかなり充実してまいりました。それで極東に力を注ぐ余裕が出てきた。それからまた東西のグローバルの戦略におきますオホーツク海の重要性、またオホーツク海を施する千島列島の重要性、それからまた諸般の国際情勢に関する考慮もあったと考えております。
  211. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これに関連をするわけですが、最近大平総理大臣がAP通信で、「ソ連の極東における軍事力建設が日本の関心事であり、日本の偵察能力を増強し、可能な限り抑止力を持たねばならないと語った。」と報道されておりますが、これは昨年私が伊藤防衛局長とやりとりをしたときに、日本の自衛隊の仮想敵国というか、防衛対象国はソ連だという答弁をされましたが、その同じ軌跡の上にあると考えてよろしいですか。
  212. 原徹

    ○原政府委員 もう何回も国会答弁をいたしておりますように、防衛庁は仮想敵国というものは持っておらないわけでございます。  ただ、極東ソ連軍について、意図は別にして能力という面だけについて考えますれば、それはいわゆる潜在的脅威に当たるということだろうと思います。伊藤防衛局長は恐らくそういう趣旨答弁されたのじゃないかと思いますけれども、そういうことだと思います。
  213. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ソ連が日本の防衛対象国となっているかという質問に対して、中国や朝鮮というやりとりをした中でソ連に触れたときに、あなたとはちょっと違っているのですね。
  214. 原徹

    ○原政府委員 どう言いましたか、私も正確に記憶をいたしておりませんが、要するに防衛庁は仮想敵国は持たない、しかし、意図は別にして軍事能力という面について考えますれば、極東ソ連軍の能力はいわゆる潜在的脅威に当たる、そういうふうに考えております。
  215. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 やりとりはこの前したからしませんけれども、いまお話を伺ってみると、たとえばミンスクは推測である、バックファイアはそういう動向にあると想像される、あるいは推測というふうな言葉がずいぶん出てくる。最近の防衛庁は、いわゆるソ連の脅威をできるだけ大きく印象づけるようなアピールを繰り返しているとしか思われないような節々がある。いま私が防衛庁長官の訓示を読んだだけでもそうでしょう。そういう議論があるから、たとえば国後、択捉におけるソ連軍の再配備ということになれば、二十分で北海道上陸可能とか、あるいは防衛の根本見直しが必要というようなことがセンセーショナルな形で危機感をあおり立てる、あるいはバックファイアやミンスクについても、何かあしたにでも、あるいはすでに日本に攻撃を加えるような判断というものを国民に押しつけるような動きが随所に見える。そういうことが永野陸幕長の防衛大綱の見直し発言などという形でまた増幅されてくる。  つまり、ソ連の脅威と言われるものをてこにして日本の軍備をますます増強しようと意図しているのじゃないかというふうに、私どもとしては防衛庁の姿勢として指摘をしておかなければならぬ。これはいわば軍備拡張の論理であります。そして、これはいま始まったものでなくて、いつか来た道であります。いま日本がなすべきことは、いわゆる軍備拡張の論理の中にみずから旗を振っていく道ではなくて、そこから抜け出して、まさに「平和を愛する諸國民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」あの憲法の立場に、その精神に立ち戻らなければならぬと私は思うのです。  軍備拡張のシーソーゲームを繰り返すために、いたずらにソ連の脅威というものを誇大に宣伝するということについては、厳に戒めなければならぬ。そういう点で、私は防衛庁一つ注文をつけておきたい。事実よりもかなり誇大にあらわれる。それがまた増幅されてくる。だから、軍備を強めなければいかぬというようなやり方というのは、日本の平和の道ではない、私はこれを実は言いたかったのてす。これは、あなたの訓示その他を含めて、文章のつづりを見れば確かに逃げ道はあるのです。逃げ道と言うのです、このことを。こういう防衛庁長官の姿勢というものが——防衛庁長官の姿勢ということよりも、あなたが書いたのじゃないだろうから、恐らくそれぞれの部署の人が書いたのだろうけれども、そういう姿勢が防衛庁全般の姿勢に見られるのです。大変遺憾なことだと私は思うのです。この点について長官の率直な答弁を煩わしたい。
  216. 山下元利

    ○山下国務大臣 私どもは、いろいろ周辺の情勢につきまして軍事専門的な立場から冷静、客観的に分析評価いたしまして、むしろこれは防衛庁としては確実な、国民公表しても差し支えないという限度を申し上げているのでございまして、お話の中にございましたように、決して私どもとしてはセンセーショナルに取り扱うつもりはございません。あくまて確実なところを申し上げているだけでございますので、まず御理解願いたいと思います。  そしてまた、ただいまお話にございましたこの道はいつか来た道であるとか、あるいはソ連の脅威をあおり立てて軍拡の論理をしているのだということでは絶対にございません。私どもとしてはあくまでわが国の平和と安全を守ってまいりたい、そのためになすべきことをやっていこうという趣旨でございまして、その点については御理解賜りたいと思います。  ただ、冷静に申し上げるといたしました場合に、このずっと数年全然、われわれの固有の北方領土でございます国後、択捉、この領土にごくわずかの警備隊しかいなかったのが、昨年の慶ごろから戦車、火砲を含む数千名の部隊が増強されている。そしてそれに必要な建造物もできた。しかも結氷期になっても帰らないという情勢、これはやはり私は国民の前に明らかにする必要があると思って公表した次第でありまして、これはいたずらにソ連の脅威をあおり立てたわけではございません。  そしてまた、率直に申しまして、あのソ連の長距離電子偵察機が対馬海峡をしょっちゅう南北に往来しておって、そのうちある日にはそれがダナンに着陸したまましばらくそこにおったという事実、こうしたことを冷静に申し上げている次第でございますし、あるいは周辺海域におきますところの艦艇の問題というふうなことは、これはやはり私どもとしてはわが国周辺の情勢を国民に明らかにする、またわれわれもそれに対して冷静に対処しなければならぬことは、国の防衛の責任者として当然であると思うわけでございます。  ただ、そうしたことでございまして、いまお話しのように、私どもといたしましては、防衛庁といたしましてはセンセーショナルに取り扱って、これをもって軍拡の論理を展開しているというものではございません。しかしながら、私どもは周辺の情勢に対応することはいつも心がけていなければなりませんし、そのことはあくまでシビリアンコントロールの中におきます現在われわれの持っております「防衛計画の大綱」という、それに従って整備を図っていくということでございますので、以上をもちましてただいまの御所説に対しましては、軍拡の道を、いつか来た道を歩むというものでは絶対ないことを御理解賜りたいと思う次第でございます。
  217. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私どもはそういう意図はないけれども、何かだれかがやっているような感じで、報道関係か何かが後ろであおっているような言い方になってしまうので、責任転嫁だと思うのだけれども、そうではなしに、私の言いたいのは、ソ連のそういう動向というものが正しいとかそれ以外にないなどと言っているつもりはないのです。国際関係というのは、そういうことがあるとすれば、われわれも対応せざるを得ないよ、そういうやりとりをもっとフランクにやれる道筋というものを日本の平和外交というのは持っていると私は思うのです。持たなければならないと思うのです。それが何か打ち上げ花火みたいに打ち上げて、さあ大変だ、さあ大変だ、こんな程度じゃ間に合わないぞという形で結果的に進んできているのですよ、最近までの動きは。だから私は、いつか来た道だ、こう言っているのです。  だから、もっと外交というものがある、あるいは国際的な信頼関係というものをつくっていく道筋もある。そういう努力なしに、何か軍備をどんどん強めていけばいいという論理に結びついていく論理というのは、たどりつくところは、それじゃ核の脅威がある、日本も核を認めるべきだ、持ち込むべきだ、あるいは持つべきだ、ここまで行ってしまうのですよ。そうでないと、とまるところないのですよ。そこまで行ってもとまらないでしょう。また同時に、そういうことが行われても仕方がないような、あるいは行われるような憲法解釈を含めてのいろいろの軌道修正が現実に国会の中でもやりとりされているわけでしょう。ここのところを、私は賢明なる山下防衛庁長官に問いたいわけです。ここが問題なんです。だから、私どもはセンセーショナルなことを言った覚えはない、しかし、防衛庁筋だとかなんとかという形で出てくる道筋というのは、その筋がそれを意図してやはり打ち上げていく可能性さえないとは言えない。そういう点を私は言っているのであります。
  218. 山下元利

    ○山下国務大臣 私どもは、わが国の平和と安全を守るためには、外交手段というものは大事であることは申すまでもないところでございまして、その外交努力を行わなければならぬという御所説には全くそのとおりであると思う次第でございますが、その点から申し上げますならば、たとえば国後、択捉にいたしましても、私は率直に申しまして、わが国固有の領土とわれわれは信じている国後、択捉にずっと警備隊しかいなかったのに、急にこのような大きな部隊を増強してくる。これはもう紛れもない事実でございます。こうしたことを外務大臣におかれましても、直ちに外交ルートをもって抗議せられております。そうした努力も払っておるわけでございますが、それをやはり私どもとしては、国民の理解と合意の上において努力しておるわけでございます。  しかし、なおかつ、これが増強されたままになっておるということは、やはり防衛責任者といたしましては、冷静にこれを見きわめて、それに対処していかねばならないのでございますので、そうしたことで、そのことは国民にはっきり知らせる必要はあるし、またわれわれとしても冷静に見なければならぬということは申しておるのでございますから、これをもってセンセーショナルにやるというつもりはさらにございません。しかし、私は、それ以上申すことはあるいは適当でないと思いますが、少なくとも防衛庁といたしましては、冷静に見きわめました点を国民公表して、これは絶対自信があるという点だけを申し上げておるのでございまして、センセーショナルには扱っておりませんので、今後ともその点については御理解賜りたいと思う次第でございます。
  219. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 領土問題の論争をやるつもりはございませんけれども、それは国後、択捉の議論というものもいろいろあるのです。しかし、バックファイアとかミンスクとか、あるいは一番最初の、要するにソ連の飛行機がダナンにという話、その出発点というのは、これはなかなかセンセーショナルだと言われても仕方がないような物の言い方を含めて、あるわけです。私は、その点は厳に慎むべきではないかということを申し上げるわけであります。  では、続いて質問をしますが、山下長官は四月二十八日に業務計画の指針を統幕議長あるいは各幕長に指示をされました。これが中期業務見積もりと無関係でないことは、別に六法全書を見なくてもわかるわけですが、中期業務見積もりの大綱をお示しいただきたい。
  220. 山下元利

    ○山下国務大臣 いま御指摘の昭和五十五年度から五十九年度を対象とする中期業務見積もりにつきましては、現在策定作業を進めているところでございますが、まだ作業の途中でございまして、防衛庁としての成案を得るに至っているものではございません。  なお、作業を進めるに当たりましては、私どもは次の点を重視したいと考えております。  まず第一に、基幹部隊の建設でございます。これは機甲師団及び混成団並びに警戒飛行部隊を編成するということ。それから、第二は装備の近代化でございます。それは陸海空その他に通じましてその装備の近代化を図ってまいりたい。第三には、継戦能力の強化を図ってまいりたいと思う次第でございますが、もし、なにでございますれば、具体的には政府委員の方から御答弁させたいと思います。
  221. 原徹

    ○原政府委員 まだ成案が出ておりませんわけでございますけれども、いまの中期業務見積もりは、これはたとえば五次防みたいなものではないかというような御質問もございますので、これは「防衛計画の大綱」に従いまして、各年度、単年度ベースでやっていくという基本方針は変えておらないわけでございまして、その際、毎年、業務計画をまずつくり、それに基づいて予算の要求案をつくって予算を取っていくわけでございますが、その業務計画をつくるものの参考として、三幕につきまして、主要な事業について若干中期的な展望を得た上でそういうものをつくろう、そういう見積もりをしておこう、こういうものでございます。したがって、三自衛隊以外、防衛庁がございますが、それについての部分は中期業務見積もりではやっておらないわけでございます。  そこで、いま大臣が申しました三自衛隊で何をするかということにつきましては、いまの装備の近代化、それから基幹部隊の編成、これは「防衛計画の大綱」に書いてあることでございますが、装備の近代化につきましては、陸については戦車とか装甲車とかあるいは改良ホークとかが当然問題になるわけでございますし、海上自衛隊につきましては護衛艦の建造の問題、それから、これはすでにやりかかっているわけでございますが、P3Cは第二次契約、第三次契約をやっていかなければなりません。航空自衛隊についても、F15は来年第二次契約になりますが、そういうものの継続をしなければなりません。  それから、先ほどちょっと問題になりましたバッジでございますが、ことしそれの予算がつきまして、バッジシステムの能力評価をいたしたいと思っております。その結果に基づいてどうするかを決める、そういう問題があるということ、あるいはナイキ、ホーク、その後継の問題というのも、当然、直ちにどうするか、ことし業務見積もりで決めるわけにはまいりませんが、そういう問題がどういうふうになっていくか研究しなければならない、そういうふうな問題があるというふうに考えております。  それから、自衛隊全体につきまして継戦能力とか抗たん性とかそういう点が弱いという面がございますから、そういう面について配慮していきたい、そういうふうに考えているわけでございます。
  222. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 予算がついたというそのバッジシステムの近代化のための基本的な設計の検討に入ったというのですが、更新はいつから始めるおつもりなんですか。
  223. 原徹

    ○原政府委員 そこが、ことし、いまのバッジの再評価をまずいたします。五十四年度予算でそれがつきましたから、その再評価をまずやってみて、それでどうするかということを決めよう、そういうことにいたしたいと考えております。
  224. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 目標もはっきりしていないのですか。それに関連して、ナイキ、ホークについてもはっきりしているのか、いないのか。
  225. 原徹

    ○原政府委員 それは、ただいま作業中でございますから、いつから装備化をするというところまではまだ詰まっておらないわけでございます。
  226. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その詰まっていく過程、つまり中期業務見積もり、この期間の中で「防衛計画の大綱」を見直すというふうなことがあり得るかどうか。
  227. 原徹

    ○原政府委員 ただいまの中期業務見積もりは、「防衛計画の大綱」に従って、それを実現する方法として考えているわけでございますから、「防衛計画の大綱」を変えるという前提に立っておらないわけでございます。
  228. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 前提に立っているかどうかと聞いているのじゃない。その過程の中で見直すという可能性があるかどうかと聞いているのです。
  229. 原徹

    ○原政府委員 「防衛計画の大綱」を実現するものでございますから、当然変えない前提で考えているわけでございます。
  230. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この業務計画の指針を拝見すると、北海道にある第七師団と第一戦車団が合体して機甲師団、四国に司令部機構を備え、混成団を編成するとありますけれども、特に四国の混成団というのは、増設する内容、司令部の場所を明らかにしていただきたいと思います。
  231. 原徹

    ○原政府委員 それをこれから検討するようにというのが長官の指示でございまして、これから検討いたしまして、業務計画ができますのは、八月の末に予算の要求とともに業務計画案というものができるわけでございまして、まだ、どこという段階に至っておらないわけでございます。
  232. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 防衛計画の中で、北と西南の両方に備えを置くというような方針、つまり機甲師団と四国に混成団というふうに、つまりそういう方針の具体化だというふうに理解してよろしゅうございますか。
  233. 原徹

    ○原政府委員 「防衛計画の大綱」は、各地域にすきのない防衛体制をしこうということでございまして、四国については、そういう意味で普通科連隊がございますが、普通科連隊そのものだけでは全体としての戦闘能力というのは欠けるので、補給その他のことも考えないと戦闘ができないわけでございます。そういう意味で、四国に混成団を置こうということで、全体としてすきのない体制にしたい、こういうことでございます。
  234. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは防衛二法の議論になってしまうのですけれども、潜水艦隊が設置されますけれども、その編成を承っておきたいと思います。
  235. 原徹

    ○原政府委員 潜水艦隊は、現在、潜水隊群というのが二つございます。その二つを、司令部をつくりまして、その潜水隊群を指揮するということでございまして、司令部と潜水隊群二つ、そういうことになるわけです。そういたしますと、潜水艦の一元的な運用が可能になるということで、潜水艦隊をつくろう、こういうことでございます。
  236. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その潜水艦隊の司令部はどこに置かれるのですか。
  237. 原徹

    ○原政府委員 これは横須賀にいたしたいと考えております。
  238. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 横須賀のどこですか。
  239. 原徹

    ○原政府委員 現在、海上自衛隊の基地が横須賀にございますわけで、その中に置くということでございます。
  240. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 P3Cの配備というのは、厚木にすでに決定しておりますね。
  241. 原徹

    ○原政府委員 これは厚木も一つの候補でございますけれども、まだ厚木と決めたわけではございません。
  242. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 候補地はどことどこですか。いつ決めるのですか。
  243. 原徹

    ○原政府委員 これは、P3Cが入りますのは、最初のものが五十五年でございますので、これから検討して、最初の部隊をどこに置くかを決めよう、そういうことに考えております。
  244. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 候補地はどことどこですか。
  245. 原徹

    ○原政府委員 もちろんP3Cを置くとなりますれば、北で申しますれば八戸、関東地方でございましたら、厚木、それから南でございますれば鹿屋になろうかと思いますが、そういう点は、ただいま検討中でございます。
  246. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 新しい年度で対潜戦の重要なデータを収集、分析する海洋業務を効果的に実施するために海洋業務群というものを横須賀に置くことになっていますね。これはどういう役割りを、そしてどういう編成になりますか。
  247. 原徹

    ○原政府委員 海洋業務群につきましては、主として海洋観測をいたしますことが対潜戦に非常に重要な役割りを持つわけでございまして、五十四年度に、海洋観測艦「あかし」と「ふたみ」というのがございますわけですが、それにさらに五十二年度の敷設艦が就役し、あるいは特務艦というのが入るということで艦艇の数も多くなりますので、その際、海洋観測の艦艇の管理の運用、そういう体制を整備する必要がございます。それから海洋観測をする企画部門の充実を図りたいという見地から、ただいまあります海洋業務隊を海洋業務群に新編しよう、そういうものでございます。
  248. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それとP3Cとはどういうリンクになりますか。
  249. 原徹

    ○原政府委員 それとP3Cとは、直接関係はございません。
  250. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 P3Cの音紋に関するデータやノーハウというのは、アメリカは供与すると言っていますか。
  251. 原徹

    ○原政府委員 協力してもらえると理解しております。
  252. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私、なぜそういうことを一つ一つ聞いていったかと言いますと、ここでも実は私の選挙区なんですけれども、横須賀はいまや新しい基地機能を持つようになるわけですね。つまり潜水艦隊の司令部、海将を司令官にして、そしてそれが実はP3Cの、まだ決まってないと言うけれども、これは大体厚木と決まっているのですよ。これはつなぎ方が護衛艦隊とつなぐんでしょうけれども、そういう位置づけになる。そして海洋業務群というものが横須賀に置かれる。これは自衛艦隊司令部、そしてその隷下の護衛艦隊、みんなつなぐんですよ。その上に第七艦隊の根拠地が横須賀にあるわけですね。私はその意味では、横須賀が新しい基地機能というか、量質ともに非常に大きな役割りというものを担わされるというふうに指摘をせざるを得ません。こういう問題について、たとえば地方自治体などと防衛庁は相談をするか、あるいは協議をするという機会はあるのですか。
  253. 原徹

    ○原政府委員 潜水艦隊につきましては、別に新しい場所で新しい部隊をつくるわけでございません。現在ある施設の中で司令部をつくることでございますので、その点について、地元の市町村と特に御連絡をすることは考えておりません。
  254. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 考えていないと言っても、やはり市民感情というのがあるわけですよ。旧帝国海軍の根拠地としての役割りを長い間担ってきて敗戦になって、いわば軍転法によって平和産業港湾都市に生まれ変わっていくという道筋を住民投票を含めてやってきているわけですよ。事もなげに、海上自衛隊のところに置くんだから大して関係ない、こういう議論には私はならぬと思うのです。新しく水雷調整所もできる。そういう点は防衛庁の態度として私はきわめて不適当だと思いますが、長官どうですか、その点は。
  255. 山下元利

    ○山下国務大臣 潜水艦隊の問題につきましては、今回御審議をお願いいたしておるのでございますので、また十分御審議を賜りたいと思う次第でございますが、これはあくまでいまの現状よりも潜水艦運用の一元化を図ろうという趣旨に出るものでございまして、これをもちまして本当の運用の一元化を期するということでございます。いま政策につきましては、実は国会の御審議をいただいておる、これはまさに私は文民統制だと思います。その潜水艦隊のあり方について委員会で御審議を願うわけでございますから、その中において私は十分いまのような御論議が出てまいると思うわけでございます。そうしたことで法案を御承認いただきますならば、その線に従うというわけでございますので、それはそのことで特段に地方行政団体と相談しなければならぬというふうなものではないと思う次第でございます。  なお、いろいろの機能等につきましては、私どもはやはり防衛という責任を果たす以上はそれが十分有効に機能することを期するためにいろいろと考えていくわけでございまして、そうしたことはあくまで文民統制の中において行われているということ、そのことをはっきり申し上げて御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  256. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 国会が決めたから当然それに協力すべきだという姿勢の方が私は問題だろうと思うのです。やはり基地機能というものは変化する。あるいは量的にも質的にも非常に大きくなっていく。それに対する不安があるわけです。そういう不安に対して防衛庁が地方自治体当局と協議して決めるなどと言えば、反対だと言えばそれまでになってしまうから、そこのところはなかなかやりにくいかもしれぬけれども、あらかじめそういう問題についてお話し合いをすることが、それこそあなた方が言っている防衛に対する国民の協力というものを果たす役割りだろうと思うのです。この点はぜひひとつお考えを願いたいと思います。  このところ新聞などを拝見すると、アメリカ議会において外交や軍事問題についてのレポートが公表されています。これに日本に関する部分が至るところに指摘をされています。  この点について防衛庁の具体的な見解を伺いたいのですが、五月二日に公表された上院外交委員会の「米国の外交政策目標と海外軍事施設」というレポートがございます。この中で「ソ連は中ソ国境近くでも中国との全面戦闘に必要以上な兵力を集め、中には明らかに日本攻撃用と見られる新鋭の水陸両用攻撃部隊が含まれている。特にソ連は最近、日本を含む北東アジアの米軍部隊を撃滅し、日本を極めて短時間のうちに制圧する態勢の配備に努力しており、」云々と、ごらんになったと思いますからそれ以上読みませんけれども、こういう判断防衛庁としてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  257. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 私ども、大変興味深く拝見したのでございますけれども、実はまだ御指摘報告書を入手しておりませんので、表現もいろいろ微妙な点がございまして、原文に当たりませんと本当に何を言っているかの確認ができませんので、報告書の記載を確認するまで申しわけございませんが、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。
  258. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私は、てにをはの部分について言っているのじゃないのです。述べられている事柄というのは新聞で、私も新聞報道ですが、それなりに翻訳をして報道しているわけです。報道している事実が全くのチンプンカンプンで原文がなければどうしてもわからないというようなデリケートな問題じゃないじゃないですか、いま私が読んだだけでも。このアメリカの上院外交委員会のしろものあるいはレポートというものは、日本と見解が違うなら違うとはっきりおっしゃいよ。
  259. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 一部分については理解し得るのでございますが、全体の、いかなるコンテクスト、前後関係の中にあるのか判然といたしませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  260. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 長官、あなたはいまのやりとりを聞いていてどう思うね。非常に微妙な言い回しとか表現の問題なら、正式なものを読んで翻訳しなければわからないでしょう。しかし、少なくともアメリカの上院外交委員会の「米国の外交政策目標と海外軍事施設」と題しての報告書なんです。アメリカの議会が、つまりアメリカの政治を動かしている議会がこういう判断をしているとすれば、これはゆゆしいことだと思うけれども、日本はそういう見解に立つのか立たぬのかと聞いている。そんなコメントを差し控えたいということじゃないじゃないですか。
  261. 原徹

    ○原政府委員 私ももうちょっと詳しく原文を見た方がいいと思います。新聞に伝えられておりますことは、要するに極東ソ連軍の増強は目覚ましいものがあるという趣旨で書かれているわけでございまして、そういう点については、私どもも極東ソ連軍の増強は非常に目覚ましいという認識を長官も述べておられますし、その点は大体そういうことかなと思っております。
  262. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 増強が目覚ましいということよりも、そのソ連のシナリオが書かれているんですよ。それは防衛庁の見解と一致するかしないかと私は聞いているんですよ。
  263. 原徹

    ○原政府委員 私どもは再々申しますように、意図の問題として考えれば、ソ連にいま直ちに日本に侵略の意図があるというふうには考えておりませんから、その点に関してそういうシナリオだとすれば、私どもはそういう考えを持っていないということでございます。  ただ一般的に、軍事力というものは、日本の場合はもう確実に専守防衛でございますが、いかなる国の軍隊も必要があれば外国にも出得るというものであるという一般的の議論でございますけれども、そういうことはあるだろうと思います。しかし、私どもはそういった意味でソ連を仮想敵国と考えてないということは、日本に対して侵略の意図があるというふうには考えておらないということでございます。
  264. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうも防衛局長、はぐらかしては困ると思うんだな。あなた、これを新聞で読んだでしょう。新聞でも読んでいませんか。少なくともアメリカの上院外交委員会というのは、それほど権威のないものじゃないですよ。個人のレポートじゃないですよ。民主主義だと言っているアメリカの国を動かしている議会ですよ。その議会に出されているレポートを、私が質問していることをちぐはぐちぐはぐに答えていらっしゃるじゃないですか。聞いてないことは答えなくていいから、聞いていることを答えてください。そういう上院外交委員会に出された報告書の筋というものは日本のあなた方の判断とは違うというふうに断言できますかと私は聞いているのです。
  265. 山下元利

    ○山下国務大臣 この問題につきましては、現存報道せられている限りにおいてわれわれ承知いたしている次第でございますが、いま御指摘もございますようにアメリカの上院外交委員会報告でございますので、これに対して防衛庁として正式の見解を申し上げるにつきましては、原文を入手いたしましてその上で申し上げたいというのが趣旨でございますので、ただいまにおいては、ただ報道せられている限りにおきましてこうした問題について申し上げることは控えさせていただきたいという趣旨だと思うわけでございますので、御了解願いたいと思います。
  266. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 違うんですよ、問題は。さっきから私がくどく言っているのは、アメリカがこういう判断をしました——これから質問していきますけれども、日米防衛協力指針というものも判断のところが出てくるわけです。よもや防衛庁はこういう判断はなさっていないだろうと私は思って、これとは食い違っているでしょうと聞いているわけですよ。うんとさっきから言っているように、細かい部分について翻訳の仕方や何かあるから、デリケートな問題だからコメントは控えると言うならわかるけれども、防衛庁がこの見解に立っているかいないか、明快な一言でいいじゃないですか、お答えになったらどうですか、それでもだめですか。それほどアメリカに遠慮するんですか。
  267. 山下元利

    ○山下国務大臣 私は、こうしてわが国の防衛の責任を担当させていただく者でございますので、その発言につきましては十分な自信を持って申し上げねばならぬと思いますので、その点につきましては、正式の文書を持った上で申し上げた方がよろしいと思うわけでございます。先ほど来の御質疑を通じまして、大体われわれとしては従前からの考え方においていまそんなに急に変わっているわけじゃないことは申し上げているとおりでございますが、しかし、この問題につきましては正式の文書を見た上で申し上げたい、これはぜひそのように御理解賜りたいと思う次第でございます。
  268. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 じゃ正式な文書をごらんになったら私にそのことをきちんと判断として、報告と言っては言葉が強いかもしらぬが、お話しいただけますか。
  269. 山下元利

    ○山下国務大臣 原文を入手し、しさいに検討した上、しかるべき形において申し上げたいと思います。
  270. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その文書の中に「日本の海上輸送路の防衛に関してだけは、同報告書は、米軍部が日本に対し海軍力を増大して自国への石油輸送路を防衛するために「地域的なプレゼンス」を目指し、将来マラッカ海峡の南まで日本の海軍部隊がパトロールに出動することを提案した事実を強調している。」と述べている。  実は、このくだりは、単にこのレポートだけではないのです。アメリカの議会においてブラウン国防長官が、昨年の二月ですが、下院の歳出委員会国防総省関係委員会でも、「アメリカはさらに太平洋上輸送の安全確保に日本が主たる責任を持てと要求している」というくだりがあり、あるいはまたこの米上院軍事委員会太平洋研究グループ報告書、つまりナン・レポートにもその種の指摘があるわけであります。こういう提案というか、アメリカ側からの提案が日本に対してあったかどうか。きょうは外務省もおられますし、防衛庁もおられます。この二つ以外にはそれを受けとめる窓口はないわけでございますから、その点についての御答弁を煩わしたいと思います。
  271. 原徹

    ○原政府委員 ただいまの提案がアメリカ政府から日本に対してなされたことはございません。
  272. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうすると、アメリカのこのレポートはうそということですね。
  273. 北村汎

    ○北村説明員 外務省の方もただいま申されたような提案を受けたということはございません。先生の御指摘の、この議会の図書館の一部の議会研究サービスという、これがおととしの暮れに上院外交委員長からアメリカの外交政策と、それからアメリカの軍のポジションがどうなっているかということを研究して報告書を出せという依頼がありまして、それに基づいて去年一年かかってやっと最近出て、この二日に発表されたということで、私どもそういうのが出たということを知りまして、直ちにいま入手の手続をとっておるわけでございます。  ただ、いま防衛庁の方からも御答弁がございますように、まだ本物を入手しておりません。こういう問題は、いままでのいろいろな報告書もございました。会計検査院の報告書からいろいろなものがございましたけれども、これはやはり全部本文を読んで、そのコンテクストを見ませんと、報道だけで判断するということは非常に危険な場合がございますので、ただいままでの防衛庁の御答弁に私どももそういう感じを持っておるわけでございます。
  274. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 つまり、防衛庁も外務省もそういう提案を受けたことはないとおっしゃったのです。あると書いてあったらアメリカの間違いですね。あるいはアメリカのうそということですね。これは単純明快でしょう、どうですか。
  275. 山下元利

    ○山下国務大臣 そのことも含めまして、正式の文書を見た上で申し上げたいと思う次第でございます。
  276. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私は、この外交委員会のレポートだけ言っているのじゃないのですよ。ナン・レポートもそうだし、ブラウン発言もそうだし、みんな同じなんですよ。ないのは、ただマラッカ海峡云云という文章のところがないだけですよ。太平洋全体を云々というのは、これは全部あるのです。しかし、日本は提案を受けた覚えはない、あらゆるレベルで、ないというふうにあなたはおっしゃったわけでしょう。あると書いてあるのは、それは真実でない、これは事実でしょう。どうなんですか。
  277. 山下元利

    ○山下国務大臣 提案を受けたことはないという御答弁を、私はきょうまだしておりません。いま私はそういう答弁をしたとおっしゃいますけれども、私は、提案を受けたことはないとはいままで申さなかったです。
  278. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 防衛局長も外務省も、ないと言ったじゃないですか、はっきり。
  279. 山下元利

    ○山下国務大臣 私は、と申したのです。それは政府委員答弁で御理解賜りたいと思うのですが、いまのお言葉ですけれども、私はそう申したと言われますが、それはございませんが、この点については政府委員答弁のとおりでございます。
  280. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 だとすれば、そういう判断をあなたは持つわけでしょう。そうすると、提案があったというのは間違いじゃないですか。それは私が言っているのは、単にあなた方がまだ翻訳してない、「米国の外交政策目標と海外軍事施設」についてのレポートだけを言っているのじゃないです。こんなに食い違いがあるでしょう。そうは思わないですか。それもノーコメントですか。
  281. 山下元利

    ○山下国務大臣 その提案があったかどうかについては、政府委員の御答弁申し上げたとおりで御理解賜りたいと思う次第でございます。  ところで、それではそれはうそか、こう言われましたら、それはやはり原文を見ないと正式の発言はできない、こう申しておるわけでございます。
  282. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 しんどい話だね、これは本当に。私は今度のこの外交委員会のレポートだけを言っているのではないですよ。いろいろなものに出てきているのです、随所に。もう私は読み上げません。にもかかわらず、それは事実でない、こうおっしゃったわけだ。だとすれば、アメリカのレポートというのは、私は上院外交委員会のことだけ言っているのではないです。何かの間違いか、うそか、いずれにせよ真実でない。これは言えるのでしょう。
  283. 山下元利

    ○山下国務大臣 提案を受けたことはないということを政府委員から御答弁申し上げましたし、私もそのとおりと思います。正式にかた苦しく申しますならば、やはりそうした正文を見ないことには正式のコメントは申し上げられませんけれども、いま報道せられているということをそのとおりとするならば、事実において食い違いはあると思います。
  284. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 あなたは訪米をなさるなら、そういうことをちゃんとまともに議論してきてくださいよ。私はこれから指針に入っていきますけれども、そういうアメリカの判断で共同作戦が行われていくとすれば、これはゆゆしい事態なんですよ。だからその前提である日米の——これは議会ですけれども、ストレートに軍当局ではないが、しかし彼らは日本にもやってきていろいろな人に会って、あなたを初め、歴代の防衛庁長官、あなたの前の人も含めて、皆さんとも会って討論をしてレポートをまとめているわけです。そうでしょう。架空のものではないのですよ。想像のものでもないのですよ。それがこうなっているのに、大分どうも日本の判断と食い違っているな、皆さんがいままで言ってきていることとの間にかなり食い違いがあるなと指摘をせざるを得ない。だから事実関係を確かめてみたわけですよ。  それからこれは、さっき申し上げた「東アジアの安全と安定のための鍵」という太平洋研究グループのレポートの中で日本の防衛費の問題について触れていまして、これは「注」と書いてあるのですが、「日本と(米国を含む)NATO諸国との防衛費についての定義が主として恩給につき異なっていることに留意すべきである、もしもNATO定義を日本にあてはめるとすれば、日本政府の算定によれば、日本の防衛費はGNPの一・五%になろう」こう書いてある。「日本政府の算定によれば」ですよ。この「日本政府の算定」、私は実はきのう申し上げておいたから、この算定の結果をお教えいただきたい。
  285. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 先生御指摘のとおり、いわゆるナン・レポートに脚注として、いま先生がおっしゃったようなことは記述がございます。ただ、ここで日本政府の計算によればというような記述がございますけれども、防衛庁としては計算をしたことはございません。それからNATO定義でございますけれども、これはNATO諸国、それぞれやはり防衛費の内訳というものは異なっておりまして、その内容は明らかではございません。推測によれば恐らく軍人恩給費等が主たるものであろうと思いますけれども、これははっきりいたしておりません。  それからこの報告書で一・五%という比率が出ておりますけれども、この一・五%の算定の根拠になった内訳が私どもはっきりいたしておりませんので、何とも申し上げられないということでございます。
  286. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私の言ったのは、そういうふうに書いてある、したがって防衛庁はこれについてどう考えるか。そしてその積算、つまり恩給などを含めて考えてみればどのくらいになるかということを計算してちょうだいよと、きのう言ってあるはずです。
  287. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 防衛庁としては、仮にこれを旧軍人恩給費というふうにとらえてみた場合に、自衛隊は言うまでもなく旧軍とは全く関係のない、継続性のないものでございます。私どもは防衛関係費の中にこれを含めることは全く考えて  おりません。ただし、先生いまおっしゃいましたように、仮に算定をせよということであれば、これは単純な足し算と割り算でございますが、五十四年度で旧軍人恩給費一兆二千三百億ございます。これに防衛関係費の二兆九百四十五億をプラスいたしまして、五十四年度のGNP二百三十二兆、これの対比を求めますと約一・四%強ということになります。
  288. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 NATOは恩給も入れてやるわけですね。そのほかにもたくさんあるんですね。恩給以外の部分についておわかりにならないと、こう言ったわけでしょう。
  289. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 NATO諸国それぞれでどういう費目を防衛費の内訳に加えているかということはわかりません。聞くところによりますと、これは余りはっきりした話ではございませんが、旧軍人恩給費を入れていない国もあるというふうに聞いておりますので、責任あることは申し上げられないということでございます。  それから一・五%という数字が出ております。ただいま申しましたのは一・四%強でございます。そのほかにどういう費目があるかということは、私どもにはわかりません。
  290. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 国防支出のランクづけの中でも、ずっと並んでいるわけですね、一%しか使ってないといって実はかなり非難をしてきておる、今度はこういう書き方になってきておる。日本はやはり使い分けているんじゃないか。NATO流に言うと、日本だって一・五%使っているんですよ。そうは言いながら、日本の国内では一%という一つのみずから決めた枠があるから、それを超えるわけにはいかぬという意味で、両方で使い分けているんじゃないかという感じが私はするのです。そうでないとすると、私は、やはり一%というものを決めて、そしてしかもアメリカからはそれについていろいろ言われているという条件のときに、日本はこうですよとなぜ言わないのですか。その積算をなぜきちんとしないのですか。NATO諸国は、恩給を加えているところと加えていないところとありますからそれはわかりません、どういうふうに入っているかそれもわかりません、これじゃ済まないでしょう。その点はどうなんですか。
  291. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 報告書がどういう意図を持って書かれているかということは、私どもには、つまびらかにいたしませんのでわかりません。あるいは先生おっしゃいますように、使い分けということがあるのかもしれませんけれども、その点は、私どもとしては申し上げられないところでございます。  それから、NATO定義の内訳がわからないでは済まされないとおっしゃいますけれども、これは現在マル秘になっておりまして、私どもの方ではこの内容はうかがい知れないところでございますので、これ以上申し上げようがございません。
  292. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは要するに、ナン報告というのは、あなた、意図がわからないと言うけれども、全部見ればわかるでしょう、何を言わんとしているか。わからないですか、このレポートを見てわからないですか。何をねらっているかということがわからないですか。
  293. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 私がわからないと申し上げたのは、防衛費の算定の方法を、GNPに対比して一・五%になるという言い方をしているというところの意図がわからないというふうに申し上げたわけでございます。
  294. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いろいろやっておっても時間ばかりたってしようがないから、「日米防衛協力のための指針」について伺いたいと思いますが、その前に、いま指摘をしましたが、一九七七年六月十五日の米国会計検査院長の議会に対する報告によれば、「防衛協力小委員会に対する米国としてアプローチについて調整済みの指針は一九七六年三月に出来上つたが、国務省では、特に、防衛協力のような分野で問題を押し進めるのは、生産的ではないであろうと信じていた。それ故、同小委員会を設けるイニシアチィヴは、日本側にゆだねられた。」こういうふうに書いてございますが、これは事実ですか。正しい翻訳をごらんになるには、もう三年くらいたっていますよ。
  295. 原徹

    ○原政府委員 防衛協力小委員会は、当時の坂田防衛庁長官とシュレジンジャー長官との話がもとで、とにかく安保条約ができているのに、そういう安保の運用、対処の仕方についての研究の場がないということから、両者の話し合いに基づいて防衛協力小委員会ができた、そういうふうに理解をいたしております。
  296. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 アメリカの当事者の記述なんです。当事者の記述なんですよ。用意ドンで一致したのですか。
  297. 北村汎

    ○北村説明員 ただいま先生、当事者の記述とおっしゃいましたのですが、これはアメリカの議会の会計検査院の報告でございます。私、いま手元にそれを持っておりませんけれども、これは議会の中にある会計検査院の——これは日本の会計検査院と少し事情が違いますから、議会に対して責任を負って、議会が会計上のことの支出についていろいろ調べるという、これにこたえるわけでございます。ですから、これはアメリカの行政府の見解ではないわけでございます。これは議会に対して出された会計検査院の報告ということでございます。
  298. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それじゃその次に、これも注の中なんですが、末尾の方に、「日本は、より大きな防衛の役割を担うことを自ら申し出るよりは、むしろ米国のイニシアチィヴを待つつもりのようである。」こういうふうに書いてあるのですが、これはそういう対応をなさったのですか。
  299. 原徹

    ○原政府委員 防衛庁といたしましては、安保条約ができまして長らくそういう対処の方法がないので、共同対処のやり方について研究するということは大変結構なことだという認識に基づいてこれを進めたわけでございまして、別にアメリカのイニシアチブでやるというようなことでこの小委員会ができたものではございません。
  300. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 「日本は、より大きな防衛の役割を担うことを自ら申し出るよりは、むしろ米国のイニシァチィヴを待つ」という記述があるわけですが、こういうことはないですね。
  301. 原徹

    ○原政府委員 そういうことはございません。
  302. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 実はこの会計検査院長の議会に対する報告が、今日の日本のさまざまな問題点をきちんと言い当てているんですね。いわゆる相互補完性あるいは労務費負担、あるいは共同使用などに触れているわけですけれども、この事項のうち労務費負担やP3Cなどの取得を含めての問題点というのは、そのまま実は実現されてきているのです。いま、相互補完性というのですか、コンプリメンタリティーや共同使用について、この項目に記述をされている事実の中で具体的に話し合いが進んでいる項目がございますか。
  303. 原徹

    ○原政府委員 ガイドラインが去年の十一月にできまして、それを受けまして防衛庁長官が統幕議長等に対しまして、そのガイドラインに従って研究作業を進めろということの御指示がございましたから、その線に沿ってただいま研究が進められておる、こういうことでございます。
  304. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 だからそこで、一番最初に質問したことが生きてくるわけです。つまり日本の方から——アメリカの方もシナリオができている、ガイドライン。それを、アメリカからこの部分は言っちゃまずいから、日本のイニシアチブで実はやっていた。しかし、やっていることは、結果的に全部このシナリオに書いてある——シナリオと言って悪ければ、レポートに書いてある事実が、今日、日米防衛協力指針を含めて実は生み出されてきているわけです。私はその意味では、会計検査院長の議会に対するレポートというのは大変権威のあるものだ、日本をも動かしておるという感じを持たざるを得ないわけでございます。これはやがてその指針の中身をしさいに検討していくと、よけいいろいろ問題が出てくると思うのですけれども、これとは離れますけれども、いわゆるこの指針の取りまとめの協議の中でアメリカのブラウン国防長官は、七九年国防報告でいわゆるNATO増援計画というようなものを発表しましたね。この指針を議論する過程で日本に来援する米軍の兵力規模などについて問題の指摘がございましたかどうか、伺っておきたいと思う。
  305. 原徹

    ○原政府委員 日本に来援する米軍部隊の規模等について、そのガイドラインをつくる過程においてそういうことが議論になったということはございません。
  306. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 NATOに対してはやっているわけですね。日本ではアメリカからはそういうことが言われなかった。しかし、防衛庁はそれについて何かいままでなかったとすれば、これから言っていくつもりはございますか。
  307. 原徹

    ○原政府委員 これから日米共同対処の作戦計画の研究をするわけでございます。しかし、この共同作戦計画その他の研究につきましては、指針の前提として書いてありますように、その中身につきましては両国政府を拘束しない、立法、予算等の義務づけはない、そういうことが前提で研究をするわけでございますから、その範囲で今後研究がされるわけでございますから、いわゆるコミットとかなんとかいう問題には私はならないというふうに考えております。
  308. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 NATOの要するに増援計画のようなものは、日本にはアメリカは提示しないというふうにお考えですか。
  309. 原徹

    ○原政府委員 このガイドラインに基づく研究につきましては、研究でございますから、そういうコミットメント等のことが出ないわけでございます。
  310. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 アメリカが日本を守る、こういうことを安保条約の筋道として、安保条約はそのためにあるのだという議論をしておりますが、NAOは増援計画があって、日本の安保の関係で言えば増援計画などというものは具体的には示されないということは、NATOと日米安保との間には相当ランクづけがあるのだろうと思うけれども、戦略上の問題ですか、それとも日本の側でそういうものは必要ないとお考えになっているからですか。
  311. 原徹

    ○原政府委員 このガイドラインは安保協議委員会にも報告されました話でございまして、防衛庁といたしましては、このガイドラインの範囲内でガイドラインに基づいて研究をするという任務が与えられているわけでございますから、その範囲で研究をいたす、それが限度だと考えております。
  312. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 防衛庁長官はどう思いますか。NATOには増援計画が示された、日本に対してはない、その点はどういうふうにお考えになりますか。それを求めていくつもりはあるのかないのか。
  313. 山下元利

    ○山下国務大臣 いま政府委員から御答弁申したとおりでございます。
  314. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 政府委員答弁をしたのは、ガイドラインの枠の中ではございませんと、こう言ったのです。国の防衛の最高の責任者である防衛庁長官は、NATOのそのことを御承知の上で日米の関係にはそういうものはあり得ないと考えてよろしいかどうか。
  315. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 先生は一九七九年の国防報告を御引用いただきましたけれども、一九八〇年の国防報告では、西欧と日本とを全く同等に置いております。むしろ西欧と東アジアを同等に置いております。ただ、作戦計画の問題といたしまして西欧増援計画、西欧を衝突の可能性の一番大きい地域と考えまして、西欧をシナリオといたしまして増援計画をつくる、そしてその増援計画をつくっておけば、北東アジアにおいて事態が起こった場合に、直ちに適応できる、そういう構想で八〇年の報告は書かれております。
  316. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 NATOへこの増援計画が全部持っていかれてしまったらアジアはどうなりますか。増援部隊はいないのじゃないですか。どんな部隊が残りますか。
  317. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 八〇年の国防報告におきましては、これはいわゆる一カ二分の一戦略でございますけれども、いずれかで大規模な戦闘があるであろうということを予想いたしまして、両方で同時に大規模の戦闘があるということを、むしろソ連側の能力の方から判定いたしまして非常にあり得ることが少ない、そういう想定でございます。
  318. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうすると、結果的にアメリカはNATOへ全力を集中してしまうということですね。
  319. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 そういうふうには書いてございません。
  320. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 増援計画の部隊編成を見れば、アジアに回すような軍隊は残らなくなってしまうのですよ。そう思いませんか。だから、私が聞いているのは、第七艦隊まで含めて、残るところはどんなところですか。
  321. 原徹

    ○原政府委員 一カ二分の一ということは一つの大きな戦争と小さい戦争ということでございまして、やはりこれは日本とアメリカとの、要するに安保条約の信頼性の問題であろうと思います。米国は日本を守る義務が安保条約上あるわけでございますから、その信頼性の問題でございまして、それは私どもはその信頼性の維持、向上のためにさらに努力しなければならないし、そうであれば私は来援してもらえるものと思っております。
  322. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私が聞いているのは、そんなむずかしいことを聞いているのじゃないですよ。NATO増援計画というものが軍隊の編成であるわけでしょう。それをそっくり当てはめてしまったら、日本、つまりアジアに残る部隊というものはどんなところが残るのですか、たくさん残るのですかということを聞いているのですよ。実際問題としては大して残らないのですよ。
  323. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 NATOの増援計画というものを実施する前提は、ソ連がその主要な兵力をNATO正面に用いるという前提でございます。現在、ソ連の兵力から考えて、両方の正面で大作戦をするということは可能性が非常に少ない、そういう判断の上に立っているようでございます。現に、八〇年国防報告でございますけれども、もし北東アジアで一九五〇年と同じような事態が起こった場合は、一九五〇年の朝鮮戦争の最盛期、私は数字をはっきり覚えておらないのでございますが、陸上がたしか八個師団という数字だと思います。それから航空兵力が五航空団という数字だと思いますけれども、それと同様あるいはそれ以上のことができると書いてございます。いずれが優先ということは書いてございません。いずれかということでございます。
  324. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 NATOの増援計画には部隊編成が入っているのですよ。それで残るのは、在日米軍は別ですよ、第七艦隊とアメリカの本土に残っている部隊だということですよ。第七艦隊がインド洋に出ていくということになったら、その部隊というものはないのじゃないかということを私は聞いているのであって、それ以上でも以下でもないのです。その部隊編成を、つまり日本に来てくれるであろうとあなた方が期待する部隊というものはどんなものがあるのだろうか。
  325. 原徹

    ○原政府委員 やはりこれは日本に対する侵略と申しますか、それの規模にもよることでございますから、そういう事態に応じてアメリカ本土にあるレディネスコマンドと称する部隊があるわけでございますから、それが全部NATOに行ってしまうというものでもないと思います。太平洋艦隊もおりますし、太平洋軍というものがございますわけですから、そういうことの中でどういう部隊が来援可能であるかということになるわけで、そういう意味でこれからガイドラインに基づいて研究をするわけでございます。
  326. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私はなぜそんなことをしつこく聞いたかというと、ガイドラインの中で「来援」という日本語の訳と、それから原文で言うと展開とあるものが「来援」というふうに直っていたり、かなり不自然な翻訳があるわけです。だから、来援というものについての裏づけが一体指針を討論する過程の中であり得たのかどうか。NATOはあったのに日本はなぜないんだということを私は聞いていたのでありまして、これはまた後ほど聞いていきましょう。  一九七八年十一月二十八日の閣議でガイドラインというものが承認をされたわけですね。この承認は、言うまでもなく内閣の意思決定というふうに理解をしてよろしいですか。
  327. 原徹

    ○原政府委員 ガイドラインの内容報告を国防会議と閣議にいたしまして、防衛庁がそのガイドラインに従って研究をすることについて、防衛庁長官の責任においてやりますということについて閣議と国防会議において了承を求め、そうしてその了承に基づいて、ただいま防衛庁はこの研究に従事しているということでございます。
  328. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 閣議の承認ですね。了解ですか。どっちですか。
  329. 原徹

    ○原政府委員 閣議におきまして防衛庁長官がただいま申しましたような発言をなさり、そして閣議はこれを了承いたしたわけでございます。
  330. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 了承ですか、承認ですか。もう一遍はっきり聞いておきたいと思うのです。
  331. 原徹

    ○原政府委員 了承と理解しております。
  332. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 閣議では、このガイドライン全文を皆さんに配って、そしてその項目についてまで内閣の意思としてこれを了承したというふうに理解してようございますか。
  333. 原徹

    ○原政府委員 国防会議と閣議とあったわけでございまして、まず国防会議において、これは私も出席をいたしましたから中身を説明をいたしたわけでございます。国防会議がまず了承し、そしてそれを受けて閣議が開かれて、その中身を説明の上、了解を得たと承知しております。
  334. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それは研究をするということだけが問題になったんじゃないでしょう。研究をしたり準備したり、あらかじめ決めておくとかいうようなことも全部含めてこの文章の中にあるんですよ。あなたは研究をすることを了承を得たと言っている。この中には単に研究だけでなしに研究以外のさまざまなこと、研究より一歩出ること、そういうふうなことも含めて全部了解を得ているんですね。
  335. 原徹

    ○原政府委員 ガイドラインにつきまして研究を含め、事務を進めることについて了解を得たというふうに理解しております。
  336. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうすると、防衛庁のこれからの交渉に対するかなり包括的な了承というふうに考えてよろしゅうございますか。
  337. 原徹

    ○原政府委員 ガイドラインの範囲内でありますならば、それは包括的であろうと思います。
  338. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ちょっと時間がなくなりましたので、法制局おられましたら結構です。申しわけないです。  これは、日米安保協議委員会においてお互いに確認をしたわけですが、サインの当事者はだれですか。
  339. 原徹

    ○原政府委員 サインというような形ではサインをしておりません。
  340. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 こんな重要なことが何にもサインなしに合意になるのですか。
  341. 原徹

    ○原政府委員 事柄の性格が、前提にもございますように、両国政府を拘束しないという前提のものでございます。いわゆる国際約束ではないのでございます。したがいまして、サインというものがなくて、防衛協力小委員会での研究成果について安保協議委員会報告され、それが安保協議委員会において了承された、そういうことでございます。
  342. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 安保協議委員会の承認というのは、アメリカ側の事実上の承認であるというふうにアメリカ側は語っていることが伝えられておりますが、これは事実と違いますか。
  343. 北村汎

    ○北村説明員 アメリカ側の手続につきましては、私どもここの大使館に照会いたしましたのですが、アメリカ側では、その指針が本国政府報告された時点で大統領府の国家安全保障会議、それから国務省、国防省等の関係政府機関に報告されまして、それぞれの了承を受けたのでアメリカ政府として了承することとし、そして日米安全保障協議委員会の開催前にアメリカ側は訓令を出しまして、そしてこの協議会の席上、駐日米国大使が正式にこれを了承した、こういう手続をとりました。
  344. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この指針に関連して、日米間のたとえばアグリーメントとかアレンジメントとか交換公文というものは、一切ないのですね。
  345. 原徹

    ○原政府委員 ガイドライン以外、一切ございません。
  346. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 指針が決めている事項の中で、あらかじめ決定しておくとされているもの、たとえば実施要領あるいは共通基準あるいは通信電子活動等々について取り決めがなされることばございませんか。
  347. 原徹

    ○原政府委員 実施要領等は細かい手続的なことになるわけでございまして、現在は、作戦計画の研究をやっているわけでございますが、だんだん詰まっていきますと、細かい実施要領、そういうことになろうかと思います。そういうものについて研究成果ができますと、その成果について両国政府がそれぞれどういう判断をするか、そういう問題になるわけでございます。実施要領等のような手続的なものでございますれば、現在の防衛庁設置法あるいは自衛隊法で、防衛庁の権限の中でできることがあるだろうと思います。そうであれば、これは防衛庁自身の判断としてそういう実施要領をつくることがいいかどうか、こういう問題になろうかと思います。それが防衛庁長官判断としていいということになればやるし、よくないということであればやらない、こういうことでございます。したがって、これは研究成果を両国政府がそれぞれの立場に従ってどう判断するか、こういう問題になろうかと思います。
  348. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 将来ということになると思うのですが、日米間で作戦協定というものがこういうものを基礎にして積み上げていって、つくられる可能性というものはございませんか。
  349. 原徹

    ○原政府委員 ガイドラインの範囲では「共同作戦計画についての研究」と書いてございますので、研究の範囲にとどまるわけでございます。
  350. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 確かに「研究」と書いてある。しかし率直に言って、研究でとどまるのかどうか、ちょっと不安なんです。作業完了のいわば見通しといいましょうか、めどというのはどの辺に置いておるのか、あるいは作業完了後の取り扱いというのはどんなふうに、いま原さん大体おっしゃったけれども、考えておられるか。
  351. 原徹

    ○原政府委員 共同作戦計画の研究は、ステップ・バイ・ステップでやるわけでございます。やりましたら、ある段階においてまとまるということも考えられますけれども、しかし、事柄の性質は、たとえば国際情勢の変化、あるいは兵器体系が変わるというようなことになりますれば、絶えずレビューし、直していく、そういう性格のものでございますから、極端に申し上げますれば、安保条約が続いていく限りレビューされ、そういうことが繰り返されていく、そういう意味ではエンドレスのものでございます。
  352. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 エンドレスのものだと言っても、一つの区切り、それに対する対応というのは必ずなされなければいけないのでしょう。永遠に研究しているわけじゃないのでしょう。研究した成果の区切りをつけるわけでしょう。それがどういうふうに作戦計画の中に生かされていくかということは当然出てくるわけでしょう。いまのいわゆる日米の関連取り決めや国内法のままでおさまるとお考えになりますか。
  353. 原徹

    ○原政府委員 ただいまの段階で申し上げれば、私はおさまるだろうと思っておりますけれども、まだ研究が始まったばかりでございますので、未来永劫おさまるかと言われてもこれは困るのでございますが、ただいまの段階で、大体おさまるだろうと私は思っております。
  354. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは言わずもがなでございますけれども、指針の前文で「この指針が記述する米国に対する日本の便宜供与及び支援の実施は、日本の関係法令に従うことが了解される。」こういうふうに書いてございますが、これは現行の関係法令というふうに当然理解をするわけですが、そのように受け取っていいですか。
  355. 原徹

    ○原政府委員 たとえば便宜供与なら便宜供与をいたす段階におけるそのときの法令に従うということが、書いてあることの意味でございます。
  356. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 つまり、こういうものが前提になって関係法令が直されて、それに合わされていくという危険性があるのです。だから、そういう点について私は言わずもがなだと言いながら、これをやりとりしたときには、現行の法律の体系、関係法令の体系という枠の中できちんと位置づけたんでしょうねということを聞いたわけです。
  357. 原徹

    ○原政府委員 ただいま申しましたように、大体現行の法令の範囲内でできるだろうと私は思っておりますけれども、研究の成果によって、将来私が予想しないようなことが起こり得ないとも言えないので、そこのところは未来永劫というわけにはまいらないということを申しておるわけでございます。それから、ガイドラインに「関係法令」と書かれておることの意味はどういうことかと申しますれば、それは便宜供与なら便宜供与をするときの関係法令という意味に書かれておるというふうに理解をしておるわけでございます。
  358. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その次の侵略を抑止するための態勢というふうに書いてある中で、「自衛のため必要な範囲内において適切な規模の防衛力を保有するとともに、」というふうに書いてありますけれども、これもはっきり言っておきたいのですが、現在の「防衛計画の大綱」ということを基本にするというふうに解してよろしいかどうか。  また、効率的な作戦を保障するための態勢の強化というふうに書いてありますが、それは有事立法その他国内体制の整備を意識したものかどうか、この点御答弁をいただきたいと思います。
  359. 原徹

    ○原政府委員 「その防衛政策として自衛のため必要な範囲内において適切な規模の防衛力を保有する」ということでございますが、これは「防衛計画の大綱」の中身を説明した上でこういう表現になっておるわけでございます。それが第一点。  それから「効率的な運用」ということは、これは言わずもがなではございますけれども、特別に有事立法とかそういうことを考えたのではなくて、当然の事柄として、効率的な運用を確保するのは当然であるわけでございますから、そういう趣旨で書かれているわけでございます。
  360. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私の言ったのは、これらの議論の経過とあわせて有事立法の議論が日本では行われていましたね。防衛庁はそういう体制をそれ以前もつくっていましたね。そういうことなども含めて効率的だというふうに御判断になるのですかと聞いているのです。
  361. 原徹

    ○原政府委員 有事法制の問題は一昨年からいろいろ始まったわけでございます。時期的にそれはガイドラインの研究をいたしている時期と合っておりますけれども、ガイドラインがあるから有事法制だというふうな結びつきは全くないわけであります。
  362. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 有事立法の問題もこの中に含まれていたんでしょうねと、こういうふうに聞いているのです。
  363. 原徹

    ○原政府委員 有事立法と、いまのガイドラインとは関係がないわけでございます。
  364. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この議論をする過程の中で、そういうことが政治問題になっていたでしょう。防衛庁がお考えになった方向もあるわけでしょう。それらのことも前提になっているんですか、加味されているのですかということを聞いているのです。もっと単純に答えてくださいよ。
  365. 原徹

    ○原政府委員 「効率的」という表現は「防衛計画の大綱」の中にある表現でございまして、そういう表現を使ったわけでございまして、そのことと有事法制との問題とは直接全く関係がないわけでございます。
  366. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 関係がなくても、有事法制のことも含めて「効率的」と言って理解しているというふうに私は思います。そうでないと理屈が合わないわけであります。  次のパラグラフに入りますけれども、「米国は、核抑止力を保持するとともに、即応部隊を前方展開し、及び来援し得るその他の兵力を保持する。」「来援し縛る」と、はっきり書いてある。ところが、これは実は私は英語の専門家ではないから余り自信もないのですけれども、原文では、米国は核抑止能力、戦闘即応態勢とこれを補強する能力あるその他部隊との前方展開、この二つを維持し続けると書いてあるのですね。何か、ぼくは相当意味が違うように思うのです。来援し得る兵力の確約がないとさっき言いました。だけれども、「来援し得るその他の兵力」という文章がここにある、外務省の訳なのか防衛庁の訳なのかわかりませんけれども。先ほど、来援の具体的な兵力というものについての見積もりはないというふうに言われましたけれども、この辺のところは原文との食い違いとあわせて、原文はそんなこと書いてないのです。その点はどうなんですか。     〔委員長退席、竹中委員長代理着席〕
  367. 原徹

    ○原政府委員 英語の方ですと、核抑止の能力と、それから即応部隊の前方展開と、それから「アザー フォーシス ケーパブル オブ リーインフォーシング ゼム」、「リーインフォーシング」というのは増強という意味でございますから、それは「来援」と訳したわけでございまして、(岩垂委員「それは展開でしょう」と呼ぶ)展開はデプロイメントでございます。「リーインフォーシング ゼム」と書いてございますので、それは「来援」と訳して間違いでないと思います。
  368. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 増強は来援と同じですか。
  369. 原徹

    ○原政府委員 前方展開がまずあって、それをリーインフォースするのですから、それは来援しないとリーインフォースできないわけでございますから、同じであるというふうに考えます。
  370. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それで、昨年二月の、またブラウン報告になるわけですが、ここで地域核戦力に関する三原則というのがあるのです。  これは一つとして核兵器と非核兵器とは渾然一体として存在するものでなければ抑止力としての役には立たない、二つは核装備した部隊は前方展開しておかなければならない、三番目は核装備した部隊は常に即応態勢に置かれなくてはならないという文章を実は指摘せざるを得ないのです。実はこの指針の中に述べられているさっき言った原文の部分の三と地域核戦力に関する三原則と言葉遣いまで全く同じなんですよ。アメリカの地域核戦力の三原則というものをさっき言ったように日本政府が承認した、そうしておいて核は持ち込まないということが一体通用するかどうかということを私は問いたいのですよ。ここでもアメリカを一方的に信頼する以外にはないというふうにお答えになるのですか。
  371. 原徹

    ○原政府委員 もちろん日本は核を持っておりません。核の問題については、アメリカの核抑止力に依存せざるを得ないわけでございます。それと、わが国は非核三原則を持っておりますから日本に核を持ち込まないということでございまして、これは私どもは米国政府を信頼しておるわけでございます。
  372. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そう答えるだろうと思ったけれども、渾然一体となったものを一体どうやって見分けるのか私もわからない、見分ける手段がないから一方的な信頼をする、こういうことになるだろうと思うのですけれども、それでは国民の理解なり納得というのは得られない、こういうふうに私は思うのです。  次に移りますけれども、「情報の交換を円滑に実施するため、交換する情報の種類並びに交換の任務に当たる自衛隊及び米軍の部隊を調整して定めておく。」とあるけれども、自衛隊の諜報活動というか情報活動をやっている部隊というのはどんなのがありますか。
  373. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 自衛隊の機構の中で情報活動をやっておりますのは、各幕に調査部がございます。調査部のもとに調査隊あるいはその他情報分析に関する部隊がございます。それから統幕には統幕二室、これは統幕としての情報担当でございます。
  374. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 自衛隊と米軍の部隊を調整しておくということは、その態勢の調整をするというふうに理解していいですか。
  375. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 現在、ガイドラインは研究中でございまして、まだそれをいかに情報交換をするかという実施の段階には至っておりませんので、まだ情報担当者の問題とはなっておりません。
  376. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ずっと続いてやっていきますが、「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」の中で「日本に対する武力攻撃がなされるおそれ」の判断というのはだれがするのですか。
  377. 原徹

    ○原政府委員 日本の場合でございますれば、これは当然、日本政府の最高首脳がいたすわけでございます。自衛隊の制服がするわけではございません。
  378. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この前、上原委員質問に対してはトップレベルだ、しかも同時にアメリカとも相談すると答弁していますね。どうもここで問題がいろいろ出てくると思うのは、アメリカ側の判断によるケースの方が多いというふうに私は考えざるを得ないのであります。結局、さっきのちょっと長いやりとりをした上院外交委員会のレポートだとかなんとかいうものの判断、そういうものが非常にグローバルな意味を含めてアメリカの判断。そうしますと、日本は結局それに引きずられていく、こういう感じを持たざるを得ないのですけれども、その点が危惧されるところです。  それからその次に、準備、即応態勢。「レディネス」ですか、それと「レディネス ステージス」、つまり即応態勢段階とでも言いましょうか、言葉が使い分けられていますけれども、この違いはどういうことですか、教えてください。しかし日本文によると、みんな「準備」と書いてあるんですね。みんな同じように書いてある。これはどういうわけですか。
  379. 原徹

    ○原政府委員 準備と即応の関係でございますか。
  380. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それと即応態勢段階です。
  381. 原徹

    ○原政府委員 「レディネス」というのは直ちに、活動できるという態勢でございます。それから、「準備」というのは、準備でございますから、いろいろな段階があるわけでございまして、だんだん準備を重ねていって即応態勢に持っていける、そういうふうに考えております。
  382. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 「レディネス ステージス」という即応態勢段階と言うのですか、それといまの「レディネス」とはどう違うのですか。
  383. 原徹

    ○原政府委員 「レディネス ステージス」というのは、日本語でいまの「準備段階」、要するに即応の段階がいろいろあるわけでございますから、それをどういう段階でやるか、ステージというのは段階でございますから、日本語では「準備段階」と訳しておるわけでございます。
  384. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうすると、「プリペレーションズ」という、この準備とも違うわけですね。
  385. 原徹

    ○原政府委員 いま英語で見ますと、即応段階、それを「準備段階」と訳しておりますが、そういう段階における具体的な準備というふうに書いてあるわけでございます。
  386. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうもそこは使い分けている言葉を何か意識的に全部「準備」にしてしまっているのです、翻訳の方は。言葉はみんな違うんです。いま原さんが答弁で一生懸命苦労したように、それぞれランクがあるのですよ。ランクがあるものを全部「準備」でひっくるめてしまっていいものかどうかということさえ感ずるのです。ここは正確にもう一遍、いまでなくて結構ですから、明らかにしてください。それは非常にラフであるというよりも、日本語の訳というのは何か言葉をできるだけ丸く丸く余りひっかからないようにという配慮をして、ときにはその意味が違うような翻訳になっているところを感ずるのです。  共通の基準でプレプコンですか、これは何段階予想していますか。三段階ですか。
  387. 原徹

    ○原政府委員 これは何段階になるか、これからの研究の問題でございまして、まだ予想しておりません。
  388. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 「武力攻撃がなされた場合」の項目に入りますけれども、一番最初の「作戦構想」の中に「米軍は、また、自衛隊の能力の及ばない機能」、これも見ますと、機能だけじゃないですね。機能、領域を補完する作戦を実施すると書いてある。この点について、実はこれも防衛庁首脳という新聞の報道ですが、自衛隊の能力の及ばない機能、領域というのは、一つは敵地攻撃、これは領域でしょう。二つとして核兵器、空母、長距離爆撃機の運用というふうに書いてありますが、これは事実ですか。
  389. 原徹

    ○原政府委員 ファンクションとファンクショナルエリアというのは同じかどうかということについてだけ私に質問がございまして、私は同じだと答えたわけでございます。それがいろいろその他のことも書いてあるわけでございますが、要するに自衛隊は専守防衛でございますから、それ以上のこと、攻勢面ということになればどうしても自衛隊の能力の及ばないことになります。それから防勢面でございましても、自衛隊の能力が完全でない面もございますから、そういう面はアメリカが補完するということになるわけでございます。
  390. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私は、その及ばない範囲というのはやや特定したでしょう。それは事実でしょう。
  391. 原徹

    ○原政府委員 核につきましては、日本はアメリカの核抑止力に依存するという意味では依存しておりますから、それは具体的な自衛隊の活動とは関係ございませんが、核抑止力に依存するという面は確かにあるわけでございます。ただ、このガイドラインにおける研究におきましては、核の問題は研究しないということにいたしております。
  392. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうでなしに、私の言っているのは核だけ言っているのじゃないのですよ。機能と領域という文章を受けて、恐らく領域というのは敵地攻撃ということ、それから機能については核兵器、空母、長距離爆撃機ということをお話しになっていらっしゃるが、そのとおりですかと聞いているのです、これは物事の解釈ですから。
  393. 原徹

    ○原政府委員 新聞に防衛庁首脳が、という話で出ておるときのことで申し上げれば、私は、英語としてファンクションとファンクショナルエリアと同じか違うかという質問を受けまして、それは同じでいいのだということだけ申したわけでございまして、その他のことは申しておらないわけでございます。
  394. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 防衛庁首脳というのはいつも原さんだということがこれでわかるわけだけれども……。どうも捕らえてみたら変なことになるわけだけれども、私は、そのことの意味するものはこれではないかと言っているんでしょうがね。私は、捕物帳をやっているのじゃないので、あなたがしゃべったことについて私でございますと言わなくても結構ですが、そういうものでしょうと言っているのです。
  395. 原徹

    ○原政府委員 自衛隊の機能の及ばない点といたしましては、たとえば偵察衛星を用いて収集される戦略的な情報とか、あるいは空母を中心とした機動打撃力とか、あるいは戦略爆撃機を中心とする航空打撃力、そんなものが考えられるわけでございます。
  396. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうすると、アメリカの核を含む攻撃用兵器の使用について自衛隊は全く構想は持っていない、アメリカが使うという場合、このガイドラインの中では自衛隊はそれはかかわりない、白紙の形になっているわけですか。
  397. 原徹

    ○原政府委員 核の問題については研究をしないということで進めております。
  398. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 核だけじゃなしに、さっき敵地攻撃と言ったでしょう。空母だとか長距離爆撃機とか言ったでしょう。そういう問題については、このガイドラインの議論の中では全然触れない。防衛庁も別に独自の見解は持たない。しかし、アメリカは言いますよ。これは言わなかったらおかしいのです。核抑止力に依拠するのですから。そういう場合、防衛庁はどうするのですか。そういうものは防衛庁は白紙で臨むということですか。
  399. 原徹

    ○原政府委員 御質問趣旨を正確に理解しているかどうかちょっとわかりませんが、要するに核の問題は研究の対象にしないということと、それから攻勢面をどうするかということについては、これからの作戦研究の中で議論される問題であろうと思います。
  400. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私は、核を含む攻撃用兵器の使用についての基準というようなものをアメリカは持っているわけですけれども、日本はその問題についてはガイドラインの中では全く議論なさらないのですねということを聞いているのです。
  401. 原徹

    ○原政府委員 その点は、議論はいたしません。
  402. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 議論しないだけでなしに、アメリカが使うものについて防衛庁は独自の構想も持っていない。
  403. 原徹

    ○原政府委員 アメリカが使う核について防衛庁は別段構想を持っておりません。
  404. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その次に、「作戦構想」というのがありますが、「自衛隊は主として日本の領域及びその周辺海空域において防勢作戦を行い、」と書いてある。この「防勢作戦」というのは、実は防衛庁の防衛研修所の「国防関係用語集」なんか拝見すると、「防勢作戦においても、部分的あるいは時機的に攻勢作戦を併用することが多い」と書いてありました。この限界はどこに引いてございますか。
  405. 原徹

    ○原政府委員 防勢作戦でございますから、たとえばわが国に対して着上陸侵攻がございましたら、これをまず水際で撃破することが第一でございますけれども、そうできない場合は持久に移る、持久に移った上で、最終的にはわが国から撃退しなければなりません。そのときにはやはり防勢の中でも攻めるということがないと、そういうわが国防衛の目的を達しないわけでございますから、当然そういうことはあり得るわけでございます。
  406. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それは「陸上作戦」のところだけでしょう。  それでは続いて聞きますが、いまあなたが言ったのは陸上の作戦だけなんですよ。「海上作戦」について言えば、「海上自衛隊は、日本の重要な港湾及び海峡の防備のための作戦並びに周辺海域における対潜作戦、船舶の保護のための作戦その他の作戦を主体となって実施する。」と書いてある。このことは宗谷や津軽や対馬というような三海峡封鎖を含む作戦を自衛隊が主体になってやる、海上防衛を含めて、さっき議論しましたが、そういうふうに理解していいですか。自衛隊が主体になってやると書いてある。そのとおりに私は受け取るわけだが、いいですか。
  407. 原徹

    ○原政府委員 海上自衛隊につきましては、これに書かれておりますとおりで、重要な港湾、海峡の防備あるいは周辺海域におきます対潜作戦あるいは船舶の保護のための作戦、これは日本を守るためでございますから、海上自衛隊が主体となってやる、米軍はそれを支援する、そういう形になるわけでございます。
  408. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 さっき言ったように、三海峡封鎖を含めて主体になってやるのですね。
  409. 原徹

    ○原政府委員 そこにあります考え方、これは主体となってやるわけでございますが、それをどういうふうにやるかは作戦計画の研究の問題でございまして、どこをどうするというところまで決まっているわけではないわけでございます。
  410. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 さっきあなたは日本の周辺とおっしゃったでしょう。したがってそれも含まれるというふうに理解してよろしいかと言っているのですよ。あなたはそうだというふうに、先ほど答弁と合わせて言えば、おっしゃっているわけだから。
  411. 原徹

    ○原政府委員 そこに書いてあるのは原則論でございますから、原則論として考えれば、「周辺海域」の中には海峡も含まれるということになろうかと存じます。
  412. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この三海峡封鎖というものが国際的なインパクトをどういう形で日本に及ぼすかなどについても非常に大きな危惧を私は持つわけです。それを自衛隊が主体になってやるということをアメリカと約束した。こういう点は非常に大きな問題をやがて起こしてくるだろうという意味でガイドラインの危険性の問題点の一つにもしておきたいと私は思うのです。  それからアメリカの海軍部隊は「機動打撃力を有する任務部隊」というふうに書いてありますが、これは原文の方は機動力と打撃力を増強するというふうになっているようですし、それからその次のところですが、「航空打撃力を有する航空部隊」とあるのは、航空打撃力を増強するというふうに書いてある。それと関連して、さっき言った「陸上作戦」のところも、一番最初のところですが、「必要に応じ来援し、」と日本文では書いてあるけれども、これはどうも展開というふうに書いてある。なぜこういうふうに文章がなってくるのか、私にはよくわからないのです。展開となっているのは「来援」です。それから「機動打撃力を有する任務部隊の使用を」云々という形の中で、増強というのが何となく来援、そういうふうな意味にどうしてもとれるように訳してある。もう一度聞きますけれども、来援の規模だとか、あるいは態様だとか時期などというものはアメリカから明示されていないですね。
  413. 原徹

    ○原政府委員 ちょっと英語の点は後にさしていただいて、その来援の規模だとかなんとかということは明示されておりません。
  414. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうもちょっと退屈して恐縮ですが、「指揮及び調整」というところに移っていきますと、これは調整機関というよりもむしろ指揮の調整所あるいは調整センターというふうに理解してよろしいですか。
  415. 原徹

    ○原政府委員 このガイドラインの前提は、指揮権は、それぞれの国が持つという前提になっております。そういう前提で共同作戦を行うわけでございますから、あらかじめ非常に緊密な連絡、緊密な調整の上に立って、それぞれが指揮系統に従って行動するということで、そのための緊密な連絡の調整の必要がやはりございますから、調整機関を設置するということが書かれているわけでございます。
  416. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 事実上共同作戦を一緒にやっていくということにならざるを得ない。いまあなたは「それぞれの指揮系統に従って」と書いてあるとおりにと、こうおっしゃるけれども、実際問題として考えてみれば、そんなにきれいごとでは済まないと私は思うのです。結局、指揮、調整、こう書いてある、指揮と調整とはちゃんと切り離せるのですか。
  417. 原徹

    ○原政府委員 指揮権に従ってその命令を出すのが指揮でございますから、それぞれが指揮をするにつきまして、お互いにどういう考え方に基づいて指揮をするかということを事前によく相談をしておくということでございますから、指揮と調整は区別して行い得ると考えております。
  418. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 近代戦において作戦調整というのは指揮に準じたものなんですよということをもとの統幕の事務局長の村木陸将が「日本の防衛戦略」という本の中でお書きになっていらっしゃる。その先のところを読むと、「その背景には機能的技術的に作業割り当てができているわけです。だから、指揮に近いような調整あるいは統制ができる。」こういうふうに書いてある。この言葉というのは違いますか、間違ってますか。
  419. 原徹

    ○原政府委員 指揮と調整は、やはり指揮というのは指揮権に基づいて、何と申しますか、縦の系列で部隊を動かすことでございます。その動かす部隊について両方あるわけでございますから、あらかじめ相談と申しますか、そういうことで意思の疎通を図って、その意思の疎通を図った上でおのおの部隊を縦の系列で指揮をするということでございますから、指揮と調整は明確に区別ができるというふうに考えます。
  420. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 「作戦運用上の手続」として作戦準則みたいなものがやがてできてくるという可能性はございませんか。
  421. 原徹

    ○原政府委員 御質問のその作戦準則というのがちょっとまだわかりませんが、いまの共同作戦計画を研究いたす過程においてどういう研究成果が出ますかによりますが、その結果によってどういうものができるかと、その成果によることだろうと思いますが、作戦準則でございますか、どうも趣旨がその点……
  422. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 「作戦運用上の手続」とあるでしょう。その「手続」というのはどういうことですかということを実は問いたいのだが、どうも時間がないから、それは作戦準則みたいなものができるのでしょうと……。それしか考えられないわけです。
  423. 原徹

    ○原政府委員 ただいま申しましたように、指揮系統が違うわけでございますから、やはりその調整をいたします。その調整の結果として、その運用上の細かい手続があればそれを決めるということでございまして、それが、そういう運用上の手続をあらかじめ研究しておく、こういうことでございます。
  424. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私は、いまの調整というふうに、コーディネーションですか、だけではなくて、作戦統制つまりオペレーションコントロールというふうなものも切り離しがたく結びついているわけでありまして、事実上日米が縦の系列で云々と言っても、そういう部分にまでお互いが触れ合っていく、そしてイニシアチブはアメリカが持っていく、こういう危険性というのはどうも避けれらないのじゃないかという点を、いまさまざまな指摘などを含めて申し上げたわけです。  その点について、質問してももう同じことしか出てこないと思うのです。しかし、もう一遍その点の明確な区別を伺っておきたいと思うのです。
  425. 原徹

    ○原政府委員 指揮と申しますのは、縦の系列で部隊を動かすことでございますし、お互い指揮権が別でございますから、その間に横の相談をいたすわけでございます。それが調整でございまして、その間指揮権が混同するということはあり得ないと思いますし、その過程において事実上米軍の指揮に従うというようなこともこれは考えられないことでございます。
  426. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ちょっと飛び飛びになって恐縮ですが、自衛隊法附則十二条に関するMSA協定に基づく細目取り決めの内容をお教えいただけますか。——いいです、もう。時間がたってしようがないから、後であれします。  では、端的に聞きますが、自衛隊法の改正なしに対米支援というのは可能ですか。その法的根拠として利用できる規定というのは何ですか。
  427. 原徹

    ○原政府委員 いろいろの便宜供与がある場合のお話といたしましては、日本政府がいろいろ便宜供与をするわけで、それはできると思いますが、自衛隊が米軍に対して直接支援をするということは、現行自衛隊法ではできないと思っております。
  428. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 全くできませんね。
  429. 原徹

    ○原政府委員 自衛隊の部隊が米軍の部隊を支援するということは、現行自衛隊法上できません。
  430. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 日米共同作戦だとか、情報協力だ、交換というような問題がございますが、それを法的に規制するものは、あなたこの前も言っておったけれども、個別的自衛権の範囲内であること、それから自衛隊法に基づく行動であることですね。その意味は、個別的指揮権に基づく行動というのは、結果としてアメリカを守るというふうな範囲を出ないものだというふうに理解していいですか。
  431. 原徹

    ○原政府委員 国会でお答えいたしましたのは、艦船の例で申しますと、個別的自衛権でございますから、日本の防衛のためにやるわけでございまして、日本の防衛のために周辺海域において侵略国の艦船を沈めることは当然あるわけでございますが、その結果、米軍の部隊が守られる結果になっても、それは個別的自衛権の範囲であるということをお答えいたしたわけでございますが、そのことでございましたら、そのとおりに考えております。
  432. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 アメリカの攻勢作戦に対する協力だとか支援という項目がございますね。これはいまあなたがおっしゃったいろいろなことがあるわけですが、一つは日本防衛のための攻勢作戦の場合、二つは日本以外の極東における事態に対する攻勢作戦の場合、これは恐らく安保の例の戦闘作戦行動のための基地使用に関連する事前協議のイエスの場合だろうと思うのですが、その他のケース、これは第七艦隊などの領海外での作戦行動などというものですが、このような事態に対する作戦協力の具体的な限界というものをこの際はっきり示していただきたいと思うのです。
  433. 原徹

    ○原政府委員 このガイドラインのIIのところまではまさに自衛隊のお話でございます。IIIの「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合の日米間の協力」の問題につきましては、自衛隊が直接参加するということはないわけでございます。残りは便宜供与の問題かと思います。そういう意味で、基地の共同使用等のことが書いてございますが、それ以外、自衛隊は日本防衛のため、すなわちこのガイドラインのIIまでの段階において共同作戦計画その他の研究をするわけでございまして、IIIについては、これに書かれております「自衛隊の基地の共同使用」、その程度で、あとのことは日本政府全体としてどういう便宜供与ができるか、こういう問題になるわけでございます。
  434. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 もう一度聞きますが、領海外ではアメリカを守れない。では、武力行使以外の支援というのは、いま日本政府全体として便宜供与その他でもって可能だとおっしゃった。その法律的な根拠というのは何ですか。
  435. 原徹

    ○原政府委員 これは安保条約もございます、地位協定もございます、その関係法令もございますから、その範囲内でやれることがいろいろあろうかと存じます。
  436. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その範囲内ということをこの際はっきりさしておいていただきたいと思うのです。言うまでもないことだけれども、いいですね。
  437. 原徹

    ○原政府委員 もちろんその範囲内でやるわけでございます。
  438. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 まだ質問したいことがあるのですけれども、どうも時間をせっついておられて少し困るのですが、この一番最後の文章、「便宜供与のあり方」の問題ですが、「米軍による自衛隊の基地の共同使用その他の便宜供与のあり方に関する研究が含まれる。」この「その他」というのは何ですか。
  439. 原徹

    ○原政府委員 自衛隊の基地の使用が一つあるわけでございますが、その他どんなことが考えられるかということをこれから研究するということで、具体的なものはないわけでございます。
  440. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その前の方の「日米安保条約、その関連取極、その他の日米間の関係取極及び日本の関係法令によつて規律される。」という、その規律される枠組みもあるわけですけれども、「その他」というのはやはり同じですか。
  441. 原徹

    ○原政府委員 「その他の日米間の関係取極」というのは、日米相互防衛援助協定を意味しております。
  442. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私、いまいろいろ疑問を提起してきました。それで、それなりにお答えをいただきました。しかし、一つは英文というか、原文というわけにいかないか、英文でしょうが、それと日本語訳との関係の食い違いというのは随所に見られる。これはやはり正確に、これがオリジナルというか正確なものだというふうに、こっちの方が正しいとあなたは確信しておりますか。
  443. 原徹

    ○原政府委員 私は、英語と日本語と、まあ意訳をしておるところもあるとは思いますけれども、意味として日本語で間違いないと思っております。
  444. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 さっき私が、だれが、どこが、どっちの国がイニシアチブをとったかというやりとりを、なぜそんなことを言ったかというと、かなりそれぞれの国内で国民に説明する仕方というものに意識的な食い違いが見られるということを私は指摘したいのです。こうずっと見ていきますと、私なりに判断をすると、これは言ってしまえば、自衛隊の分担する地域区分というふうな見方ではなしに、太平洋全体にわたっての兵たん防衛、その中の共同作戦、つまりアメリカの核戦略体制全体の中の日本の役割り、つまりパートの担当というものを研究し、調整をし、それから具体化していくという一里塚だというふうに私としてはこれをとらえざるを得ないのです。私は間違っていないと思うのだ。  それはどうしてかと言うと、いまのやりとりがすでにある。それからもう一つは、正直、私どもガイドラインというものに対する意味というものを、かなり大きな意味を持っている、事実上はこれは安保の改定ではないかという判断は持っていたけれども、これは読めば読むほど重大性というものに気がつく。そうでなければ、日米共同声明で安保がこれほど、何と言うのですか、正確な言葉は忘れましたけれども、うまくいっているときはないという評価、その評価の羅列の中でガイドラインがまず第一に出てくる。それから、これによって日米の共同作戦が可能になったとか、いままでは政治的な事情があって制服同士が接触できなかったけれども、今度は制服が堂々と協議をしたり討論ができるとか、そういう評価がアメリカ側から、しかも軍の責任者から外電を通して私どもにも伝えられてくる、こういう状況があるのです。  ですから、これは当然また防衛二法などの議論を含めて展開をしなければなりませんけれども、非常に大きな問題を含んでいる。願わくば明快な答弁ができるように、あるいは私の質問も悪いのかもしらぬけれども、それにしてもわかり切ったことをなかなかお答えできない。これは率直なところ原さんの能力以前の問題が私はあると思う。それほど複雑怪奇になって、しかもごまかしが多くて、そしていわば紙の上にあらわれている事柄と隠されている部分というものがずいぶん使い分けられているという感じがしてならない。この点を指摘して、きょうのところは、後の部分は十分でございませんでしたけれども、ガイドラインのところは終わります。  それで、施設庁、おられますか。——逗子の池子弾薬庫はアメリカはもうすでに使用していないわけですが、これをアメリカはどうしようとしているか、あるいは返還の見通し。特に私は、昨年の当委員会で、逗子市には四百メートルトラックがない、狭いところだから。だから、せめて京浜急行のわきの空き地を一部でも返還することはできないかということに対して、金丸防衛庁長官が、努力をする、日米合同委員会に提起をするとおっしゃった、その後の御報告を願いたいと思います。
  445. 玉木清司

    ○玉木政府委員 昨年六月、岩垂先生から内閣委員会におきましてこの問題を取り上げられましたのでございますが、その後七月には池子弾薬庫の入り口が閉鎖になるという新しい変化がございました。そこで私どもとしましては御趣旨に従いまして、本件の返還が可能かどうかということを五十三年八月一日の施設特別委員会におきまして米側に対して照会をしたところでございます。それに対する米側の答えは、引き続き必要としておるので返還をする意向はない、本地区の返還はきわめてむずかしい、こういうふうな回答でございます。  しかしながら私どもとしましては、この施設の現在の逗子に占める地位、将来の米軍の使用計画、こういうもの等、いつも関心を持って、今後におきましても地元の意向を踏まえまして返還の問題について、引き続き努力をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  446. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 横須賀の三施設、つまり稲岡エリア、長井住宅、EMクラブなどの返還の詳細なスケジュールをお聞かせいただきたい。
  447. 玉木清司

    ○玉木政府委員 御指摘の横須賀三施設につきましては、従前の経緯等につきましては、十分御承知のところと拝察いたしますが、現在これの返還の見通しといたしましては、まずこれら三施設の移設を実施しなければならないという条件があるわけでございます。  まず、横須賀の海軍施設につきましては、五十三年度から実際に予算を計上いたしまして移設に着手しておるところでございますが、五十三年、五十四年の計上予算を執行いたしますと、全体の移設事業の大体四割近くが終わるのではないかというふうに見込んでおります。したがいまして、残りました五十五年度以降の約六割近くの仕事を五十五年以内に完結したいというふうに考えておりますので、横須賀海軍施設の移設そのものは明年度中に完結する所存で進めております。  それから、三施設のうちのもう一つの海軍兵員クラブにつきましては、五十四年から実際に移設事業を始めるわけでございますが、この移設は約四カ年の計画となっておりますので、五十七年には完了するという見通しでわれわれは進めております。  なお最後の長井の住宅地区につきましては、現在、なお日米間におきましてどのような移設をするかという問題につきまして協議が調っておりませんので、今後の問題になりますが、私どもの腹づもりとしましては、五十五年以降の仕事になりますけれども、五十七年までにはやはりこれも完結させたいというふうに考えております。したがいまして、返還の問題は、これらの移設が完了後それぞれの返還を求めるという運びになる見込みでございます。
  448. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは施設庁長官じゃなくて防衛庁長官なんですが、横須賀で、最近米軍犯罪が多発しています。きのうのニュースでも報道されていましたけれども、海兵隊が逮捕されました。市民の間に非常に不安が広がっています。一人歩きの女性を襲って強盗をやっていくというふうなケースがずいぶん出ています。これは市民の不安を解消するためにも、日本政府として米軍に対して抗議をすべきだと私は思います。それについて防衛庁長官の御返答を煩わしたいと思います。
  449. 山下元利

    ○山下国務大臣 そのようなことがたびたび起こるということはまことに遺憾なことでございますので、どういう形にいたしますかはともかくといたしまして、そういうことの起こらぬように私どもも十分努力いたしたいと思う次第でございます。
  450. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 最後になりますけれども、逗子市小坪の七丁目に防衛庁の共済組合の所有地がございますが、どのくらいの面積を持っておられるか、まず最初に承っておきたいと思います。
  451. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 当該土地は逗子市の小坪七丁目にある土地でございますが、面積にして四万九千三百六十六平米。この土地は防衛庁の共済組合におきまして組合員の住宅用地として四十七年の六月に取得したわけでございますが、その後地元、いわゆる隣接の地主の方々の宅地開発の同意がまだ得られませんので、まだ手をつけておりませんが、われわれとしてはできるだけ早く開発に着手したい、このように考えております。
  452. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私行ってきましたけれども、これ山の中ですよ。こんなところ宅地にできないですよ。それは買い入れ後に目的変更をして、転売などはしていませんね。
  453. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 かつてそのような申し入れがあった事実はございますけれども、私どもとしてはそういうことは考えておりません。
  454. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 法蓮興業という会社があるのです。これはいろいろな問題を含んでいる会社なんですが、そこから防衛庁に対して土地を売ってくれないか、あるいは交換をしてくれないかというような話があったことは事実ですか。
  455. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 昨年の五月に、いま御指摘の会社から何か青少年のレクリエーションセンターのようなものをつくるからというふうなことで買収申し入れがございましたが、私どもとしてはあくまでも組合員のための住宅用地として購入したものでございますので、お断りしております。
  456. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今後も転売なさることはないですね。
  457. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 そういうことは考えておりません。
  458. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ここは去る三月三十一日に、史蹟名越切通し保存管理計画策定委員会という逗子の市がつくった委員会ですけれども、これは文化庁にも報告が出されているわけですが、名越切り通し一帯の山林、かなり広い面積なんですが、わが国では他に類例のない広大なしかも複雑な、鎌倉時代の中期につくられた山城の跡であります。しかも、それがつくられた当時の遺構がきわめて良好に保存されている。全体の遺構に対して現状変更を許すべきでないという管理方針が示されています。その中に防衛庁の用地が入っているわけであります。御存じのとおりに、いま「草燃える」の舞台でございまして、テレビで放送されております。鎌倉の山城、歴史的にも非常に大きな意味を持っていると思うのですが、できれば国の史跡に指定をしてほしいという要望が出されていますが、文化庁はこの山城についてどのような認識と、地元からの指定してほしいという要望に対してどういう対応をなさろうとしていらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。
  459. 逸見博昌

    ○逸見説明員 御説明いたします。  鎌倉市及び逗子市の住民は、名越の切り通し、それからその周辺の遺跡につきまして、これを自然環境と一体になった歴史的風土として保存したい、こういう要望を持っていらっしゃるようでございます。私ども文化庁にもそのような趣旨の要望書を何通かいただいております。このような幅広い目的にこたえますためには、文化財保護法によりますところの史跡の追加指定、それだけでは不可能でございまして、都市計画法によります風致地区の保存、それから古都保存法によります歴史的風土の保存、それから自然環境保全法によります自然環境の保全等の制度、これらが総合的に運用されなければならないと考えております。したがいまして、文化庁といたしましては、それらの制度の担当部局が一体となって対応策を検討するよう、神奈川県、それから鎌倉市、逗子市の両市に現在指導を続けておるところでございます。  それから、発見されました遺跡、たとえば切り岸、とりで、くるわ等、さまざまなものが発見されておるようでございますが、これを国の史跡に指定するというためには文化財保護法、それからそれに基づきます史跡等の指定基準というのがございまして、それによりますと歴史上、学術上価値が高く、わが国の歴史の正しい理解のために欠くことができないものである、そういった要件が定めてございます。したがいまして、名越の切り通しの周辺の遺跡を史跡に追加指定できるかどうか、追加指定できるとしても一体どの辺までを追加指定するのかどうか、そういった問題につきましては、今後地元の県、市の発掘調査の結果、それを待ちまして慎重に検討してまいりたいと考えております。
  460. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 鎌倉全体といっても広過ぎるわけですけれども、この山城というのは歴史上非常に大きな意味、重要な意味を持っているということについては、文化庁も御理解をいただいているというふうに考えてよろしいですか。
  461. 逸見博昌

    ○逸見説明員 私どもは担当調査官が出かけまして、それらを見せていただいておりますが、その報告によりますとまだ詳細なものではございませんで、今後も鎌倉市において発掘調査が続けられるというように聞いておりますので、現在の段階までは相当の遺跡が出ておるということは伺っております。
  462. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 追加指定ということ、いま指定しているところがあるわけですから、追加指定というもののためにとりあえずは努力をする、しかしエリアがかなり広くなるとすれば、神奈川県と鎌倉市と逗子市の皆さんが入ってこの問題の扱いを検討をしていく、こういうふうに御答弁いただいたというふうに考えてようございますか。     〔竹中委員長代理退席、委員長着席〕
  463. 逸見博昌

    ○逸見説明員 ただいま先生のおっしゃったとおりでございます。今後私ども文化庁を中心にいたしまして、神奈川県、鎌倉市、逗子市、協議いたしまして、史跡指定の是非、その範囲等につきまして検討してまいりたいと考えております。
  464. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 防衛庁、その中に土地を持っているのですよ。共済組合審議会の指導監督は長官の権限でございますから、国の史跡として指定すべきだというときにはぜひとも、これは当然国の方向でもありますので、それに快く応じてほしいと思いますが、いかがですか。その場合のことです、長官。
  465. 山下元利

    ○山下国務大臣 共済組合のものでございますけれども、国の史跡としての指定がされたときには、十分関係当局と相談してまいりたいと思います。
  466. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 文化庁、ありがとうございました。またお目にかかって、地元の人たちの気持ちも伝えたいと思いますので、その点をぜひ受けとめていただきたい、このことをお願いを申し上げておきたいと思います。  以上で、終わります。
  467. 藏内修治

    ○藏内委員長 上原康助君。
  468. 上原康助

    上原委員 きょうは、ちょっと特別に少しばかり時間をいただいてお尋ねをさせてもらうわけですが、最初に、今回、大平総理とカーター大統領がお会いになっていろいろ首脳会談を行ったわけですが、その共同声明が去る二日に発表になっております。  その中で、一、二点だけ確かめておきたいのですが、特に第二項の安全保障関係では、日米の安全保障というものが非常に充実をしている、こういう文言で表現をされているわけですね。「総理大臣と大統領は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約を含む日米間の友好協力関係が従来と同様今後ともアジアにおける平和と安定の礎であることを再確認した。両国間の安全保障関係が現在ほど強くかつ双方にとり有益であつたことはない。」後、「このことは、」と続いて、先ほど引用された「日米防衛協力のための指針」の点とか、あるいは「日本の自衛力の向上に資する日本による防衛装備の米国からの調達が増大した」とか、米軍の日本駐留に対する日本側の財政措置が増加された。こういうことで日米安保体制というものを非常に賛美をしておるわけですが、後ほどの議論ともちょっと関係しますので、このことについての防衛庁長官の見解だけ承っておきたいと思うのですが、この共同声明に出てくる日米関係、特に安保条約との関係、あるいはアジア情勢、安全保障について、防衛庁長官はどのように受けとめておられるのか、所見を伺っておきたいと思います。
  469. 山下元利

    ○山下国務大臣 ただいま御指摘ございました今回の共同声明におきましては、日米両首脳間で日米安保関係がかつてなかったほど強固かつ安定しているということを確認したという意味におきまして、大きな意味があったと考えておる次第でございます。
  470. 上原康助

    上原委員 余りにも抽象的であるのですがね。こういう背景があるわけですが、しかし、それによって多くの犠牲というのも出ているということを念頭に置いていただきたいと思います。  それともう一つ、外務省にお伺いをしておきたいのですが、その六項で、「総理大臣と大統領は、朝鮮半島における平和と安定の維持が日本を含む東アジアの平和と安全にとって重要であることを再確認した。」さらりと触れているわけですが、六項言う意味は、特に朝鮮半島のことを引用しての再確認ということは、一九六九年、いわゆる例の佐藤・ニクソン共同声明の中の第四項、韓国条項というのがあります。全部は引用しませんが、「韓国の安全は日本自身の安全にとって緊要であると述べた。」このいわゆる韓国条項というものをここでまた再確認をしたということなのか。その後、田中・ニクソン会談、それから三木・フォード会談、いろいろ出て経過はありますけれども、この韓国条項に対する政府の認識というものは、一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明の持つ基調といいますか、その精神というものをあくまで踏まえておられるのか、見解だけ承っておきたいと思うのです。
  471. 北村汎

    ○北村説明員 共同声明に盛ります事項は、その時点における両国政府の見解並びにその認識を表明するものでございます。今回の共同声明の第六項は、「朝鮮半島における平和と安定の維持が日本を含む東アジアの平和と安全にとって重要である」、こういうことを再確認したことが書いてございます。  このことは、たとえば一昨年の福田総理とカーター大統領との間の共同声明にも同様の認識が書かれてございます。しかし、それは両国政府がそういう認識をいま持っておるという意味を再確認したという意味でございまして、過去何年かにわたって同じようなことを確認し続けておる、そういうことではなくて、現在における両国政府の認識は、こういう認識であるということを述べたものでございます。
  472. 上原康助

    上原委員 そうしますと、一九六九年のあの「韓国の安全は日本自身の安全にとって緊要である」、このことに対する認識と、現在の朝鮮半島あるいは韓国に対する政府の認識といいますか、受けとめ方というのは、情勢の変化もあるので違っている、異なっているというふうな受け取り方でよろしいのですか。
  473. 北村汎

    ○北村説明員 先ほど答弁申し上げましたように、共同声明といいますものは条約と異なりまして、その時点時点における政府の認識、見解を述べるものでございます。  今回の共同声明におきましては、朝鮮半島における平和と安定、すなわちこれは韓国の平和と安定も、もちろん入っております。朝鮮半島における平和と安定の維持が、日本はもちろんのこと、日本を含む東アジアの平和と安定にとって重要なのだ、こういう感じを述べたわけでございます。
  474. 上原康助

    上原委員 いま防衛庁長官がちょっと席を外していますので、あと一つだけ念のため聞いておきます。  八項の最後の方で「総理大臣と大統領は、ヴィエトナムにおける施設の外国軍隊による使用に懸念を表明した。」という一節がありますね。これは具体的には何を意味しているのですか。私は、きわめて重要な表現だと見ているのですがね。
  475. 北村汎

    ○北村説明員 ここのところは、ベトナムにおける施設が外国の軍隊によって使用されるということに対して日本並びにアメリカの首脳が懸念を表明したということでございます。
  476. 上原康助

    上原委員 それはお答えになりませんが、またいずれ議論をすることにしましょう。  そこで、今回の日米首脳会談というのは、日米の経済問題、特に政府調達問題が非常に重要な課題だという前ぶれがあったのですが、共同声明全体の流れからすると、もちろんそういった経済問題も重要な議題といいますか、会談内容になったことは間違いないと思うのですが、依然として基調は日米間の安全保障、安全体制の維持強化ということに重点を置かれている感をわれわれは受けるわけですね。しかも、いみじくも五月二日、この日米首脳の会談があって、共同声明が発表されて、日米安保条約というものの果たしてきた役割りあるいは果たす役割りというものを大変礼賛をしているわけですが、その日に、沖繩ではまた常識では全く考えられない事件、事故というものが発生をした。(私語する者あり)
  477. 藏内修治

    ○藏内委員長 静粛に願います。
  478. 上原康助

    上原委員 これはもう申し上げるまでもないのですが、五月二日十時四十分、あるいは十時半ごろだという見方もあるのですが、十時四十分ごろ、金武村伊芸の沖繩自動車道サービスエリアの伊芸レストランの駐車場に爆弾の破片が落下をした、こういう事故が発生をしたわけですね。これについて現段階まで政府はどういう事実関係の調査をなさっておるのか。まず簡単にその内容と、これまでとってこられた措置について明らかにしていただきたいと思います。
  479. 玉木清司

    ○玉木政府委員 五月二日十時四十分ごろに、キャンプ・ハンセンの南側にありますサービスエリアにおきまして約九百グラムの砲弾破片らしきものが落下をしたということがレストラン支店長から通報がされまして、これを受けた地元警察がこれを調べたわけでございますが、ほかに九十グラムの鉄片がもう一個発見されました。事実はこういうことでございます。  本件につきまして、防衛施設庁の私のところには、那覇防衛施設局を通じて即刻報告がございました。これについて、現在アメリカ側と警察側の双方におきまして調査を進めております。しかし、現段階におきましては、これが当日の演習による砲弾の破片であるというように断定するのには余りにも多くの情報が混乱をしております。われわれ自身といたしましても、これが当日使用された砲撃演習の砲弾の破片であるということが今日なお断定できませんので、したがいまして、対米措置といたしましては、二日に、在日米軍司令部に対し私どもの事故担当総務部長から、また那覇防衛施設局におきましては、那覇施設局のパートナーであります海兵隊司令部の担当者に対して直ちに事実の確認を求めて、それ以後鋭意その事実の確認を急いでおるというのが現在の段階でございます。  なお、本件につきましては、関連をいたします諸条件を客観的に詰めていきますと、大変疑わしい問題が次々と出てまいりまして、早急に当日の射撃の事故であるということを断定できる事態にありません。したがいまして、相当の時間を必要とするというふうに考えております。もちろんこれが当日の砲撃演習によります事故であるということが判明いたしましたならば、これに対する措置を十二分にとることは当然でございます。
  480. 上原康助

    上原委員 どうも私はいまの施設庁長官の御答弁では納得できないのですが、大変疑わしいことが次から次と出てきたというのはどういう意味ですか。それを明らかにしてください。
  481. 玉木清司

    ○玉木政府委員 申し上げましたように、本件の事実関係を客観的に確認をする立場は、日本側としましては、現在その砲弾の破片を領置中の警察当局にあり、また米側におきましては、米軍当局がこれを明らかにしていく責任のあるものだと思います。したがいまして、その中間にあります私ども防衛施設庁におきましては、確定的な判断を下すだけの立場にございませんが、情報として得たところが幾つかありますけれども、そのたくさんの情報を総合いたしまして、やはりかりそめに事故によるものであるという判断はいたしかねる、こういう状況にございます。
  482. 上原康助

    上原委員 警察庁来ていますね。——沖繩県警の調査によると、その九百グラムあるいは九十グラムの破片からは火薬が検出された。それと、アメリカ側も米国製金属であるということは認めているわけですね。これは間違いないのかどうか。警察の調査はどうなっておるのか、明らかにしてください。
  483. 水町治

    ○水町説明員 ただいまもおっしゃいました鉄片でございますけれども、大きい方の鉄片からは微量の火薬の残渣が検出されたところでございます。したがいまして砲弾の破片であろう、こういうことでございます。しかしながら、現在沖繩県警察本部の科学捜査研究所において鑑定を続行中ということでございます。これが米軍側の砲弾の破片であるかどうかにつきまして、さらに鑑定を続けてまいりたいと思っております。
  484. 上原康助

    上原委員 私も三日の日に現場へ行ってみました。破片とかそういうのはありませんでしたが、確かに破片が落ちた個所というのはアスファルトが敷かれているところにちょっとした穴ができていますね。それは皆さんは二つしがなかったということなんだが、われわれが現場をよく見渡してみたところ、その弾にかすられた跡がそのほかにも三カ所ないし四カ所見受けられた。しかし、すでに防衛施設庁なり警察がいろいろ現場検証をやって、その証拠というものは二つの破片以外は検出されていないのです。そこらは防衛庁や警察はどういうふうに調査なさっているのですか。
  485. 水町治

    ○水町説明員 金属製の破片でございますけれども、現在県警本部の科学捜査研究所にございます金属片は二つでございます。二つを警察において管理しておるわけでございます。
  486. 上原康助

    上原委員 防衛庁はどうですか。
  487. 玉木清司

    ○玉木政府委員 本件の砲弾破片らしきもの二個につきましては、いま警察庁の言われたとおりでございまして、われわれも物的な遺留物といたしましてはそれ以上のものはございません。ただ、当日の米軍からの報告によります演習場の使用状況、これをしさいに分析いたしてまいりますと、十時四十分ごろに鉄片が降ってきたという証言でございますし、いま先生は十時三十分ごろから四十分ごろというお話でございますが、その前後の時間を通じて実際に射撃をしておる記録がございません。米側の情報としてわれわれが承知している範囲では、それを前後いたしまして射撃が行われていない時間がございます。  もう一つは、これはただいま受け取りました速報でございますので、確実な情報と言うわけにはまいりませんが、前提を置きまして御参考までに申し上げますならば、その鉄片に残っておりますリングの痕跡から申しまして、最も可能性の高いと思われました、当日の百五十五ミリりゅう弾砲と百五ミリのりゅう弾砲からの射撃が最もこの事故につながりやすい方角から射撃をしておるわけでございますけれども、リングの痕跡からいって、いずれの砲の弾でもなさそうである。  そういたしますと、何の弾に該当するかと申しますと、推測でございますが、現在推測いたし得る段階では、そのリングの状況からいって八インチの弾ではなかろうかというふうな情報があります。八インチ砲は事故から数十分後から射撃をしております。したがいまして、この事故が当日の射撃による破片の飛散によって起こった事故であるということを断定いたしますのには、今日まで私どもが得ておる情報は非常に確定をすることができない情報が多いということでございますので、先ほどのような見解をとっておる次第でございます。
  488. 上原康助

    上原委員 これはそんなミステリーじみた話をしておっても始まらないのですよ。天から爆弾の破片が飛んでくるはずはないのじゃないですか。沖繩でこの種の砲弾を扱っているのはどこがありますか。当日は、時間帯はどういう演習をやっておったのですか。余りにも事故が多いから、何とか隠蔽しようとしているのじゃないですか、政府も警察も、アメリカ側も。原因究明は大事なことではあるのですが、どうも口裏を合わせているきらいがなきにしもあらず。それでは納得できませんよ。
  489. 玉木清司

    ○玉木政府委員 演習に伴います事故、特に射撃に伴います事故は少なくとも人命にかかわる事故でございます、あるいは相当大きな財産の侵害にかかる事故でございますので、私どもも、かりそめに特定の意図を持ってこれに対処するということは、絶対にあってはならないことだと思って対処しておるところでございまして、いまお言葉にございましたような格別の意図と申しますものは全く持っておりません。  したがいまして、できるだけ冷静に客観的な事実の積み上げによってこれに対処しようということで進めておりますが、お尋ねの当日の射撃状況を簡単に申し上げますと、これは米側からの報告によるものでございますが、ガンポジション二番からは八時二十分から九時まで、九時十五分から十時二十分まで、これは百五ミリりゅう弾砲を撃っております。ガンポジション六からは午前七時から八時四十分まで、また十一時から十三時三十分まで、百五十五ミリの射撃をしております。ガンポジション十番からは十一時二十六分から十一時五十分までの間八インチのハウザーの射撃をしておる、こういう状態でございまして、私ども、この時間帯及び飛散してまいりました鉄片の実情というものからまいりまして、最終的にこれが御指摘のような当日の演習に伴う事故であるかどうかを判断するまでには若干の検討をさせていただきたい、こう考えておる次第でございます。
  490. 上原康助

    上原委員 いずれもその十時半という時間帯だけは外してやっておったということ、これもおかしいですね。  そこで、現在はどうなっているのですか。そういう百五ミリとか八インチとか百五十五ミリりゅう弾砲の演習はやっているのですか。
  491. 玉木清司

    ○玉木政府委員 私どもが米側に対して事実の確認を求め、それと同時に事実の確認が終わるまでは、私どものこの事故に対する初動は住民の側に立った初動をとったわけでございますので、直ちに射撃を中止して事実の確認に入ってほしいということを那覇施設局において申し入れました。米側におきましては自発的にそれを中止して、米軍自身この事故の原因調査を事故調査の客観的な立場で現在続けておりまして、射撃はいたしておりません。
  492. 上原康助

    上原委員 そういう砲弾の射撃を一時的にも原因究明まで中止をしたということは、逆に言えば、百五ミリか百五十五ミリあるいは八インチの砲弾の破片、演習によって起きた事故ということを暗黙に認めたということになりますね。
  493. 玉木清司

    ○玉木政府委員 それは、アメリカ側にとりましてもこれが砲弾の破片による事故であった場合には大変だという意識がございますからこそ、事実確認のために専念をしておるということでございまして、いま先生のおっしゃるような意味合いではないというふうに考えます。
  494. 上原康助

    上原委員 皆さんはこれまでも安全対策をするとかいろいろなことをおっしゃってきた。常識では考えられないことが実際起きてきたのですね。  昨年十二月二十九日の名護市の許田で起きた事件、あるいは昨年の四月二十二日の名護市数久田海岸に落ちた十キロ爆弾、いずれも常識では考えられないことが現に米軍の演習行為によって起きたのですよ。だから、仏の顔も三度ということではあるまいが、アメリカだって、今度も何とか演習ではないということを立証しようと一生懸命だと私は思わざるを得ないのですよ。だからせんだって、二十六日の本委員会でも私は、米軍演習が非常に激化をしている、夜間訓練もやっている。従来の日米共同の合意とか、そういうもので決められた以上の演習行為になっているから、それを包括的に再検討をすべきだということを強く主張したのだが、防衛庁長官はにべもなく断った。断ったがゆえにまたこういう事故が起きたのだ、われわれはそう見ざるを得ない。もちろん原因究明必要ですよ。ここまで来ると、沖繩のキャンプ・ハンセンなりキャンプ・シュワブの演習場のあり方というもの、米軍の訓練をしているその内容を日本政府が十分チェックをする必要があるのじゃないですか。  防衛庁長官、これが米軍演習によって起きた事故である、その砲弾の一部の破片であるということが確定した場合は、日本政府はどういう責任をとりますか。県民に対してどういうふうな謝罪をなさいますか、確定した場合は、確認された場合に。アメリカに対してどういう申し入れをなさろうとするのですか、その辺をはっきりしてください。
  495. 山下元利

    ○山下国務大臣 どのような理由がございましても、事故は起こってはなりません。私どもとしては、絶えずその点につきまして努力してまいりましたし、事故が起こりましたときには、その原因の究明なり、また十分な対処方について申し入れてまいったわけでございますが、今回のことにつきましては、九百グラムの鉄片があった、これはどういうことになるか、いままだ原因究明中でございます。そのことは容易なことではございません。どうしてそうなったかということについて原因を究明しておるわけでございまして、それにつきまして、いま施設庁長官の方から当日の演習時間あるいは演習時間によりますところの砲弾の種類等について申し上げたわけでございます。まだいまの段階におきましては、これが当日の演習による砲弾の破片であるということを断定するに至っていないというのが実情のようでございます。しかし、事は重大でございますので、この事故の究明につきましては、関係当局にもお願いいたしまして、米軍、警察の方でこれは十分究明していただきたいと思う次第でございます。その結果が判明次第申し上げたいと思う次第でございます。  ただ、繰り返し申すようでございますけれども、沖繩県民の民生の安定のためには、絶対事故は起きてはならないということを私ども確信いたしておるわけでございますので、どのような理由があっても事故は起きてはならぬと思っておりますが、このたびの問題につきましては、当日の演習によるものかどうかということをいましさいに究明している次第でございますので、その結果を待ちました上で申し上げたいと思う次第でございます。
  496. 上原康助

    上原委員 原因究明、究明と言ったって、もうすでに一週間余もたっているわけですね。それほどむずかしいことじゃないと思うのです。  もう一点確かめておきたいのですが、ロビンソン調整官は県の首脳に、砲弾の破片は米国製金属であるということは認める、しかし、当日使用した砲弾の文字が入っていないというようなことを言っているのですが、この点はどういうふうに確認しているのですか。
  497. 玉木清司

    ○玉木政府委員 事故直後の状態を申しますと、いずれの火急の場合におきましても起こることでございますが、いろいろな正確でない情報が伝達されたことは事実でございます。  いま、ロビンソン少将の発言の中に最後にございました文字の問題につきましては、これはその後確認をいたしましたところ、文字の痕跡はありません。したがいまして、文字はないという報告を受けております。
  498. 上原康助

    上原委員 それはどう考えたって、破片にすべて文字が入っているはずがないじゃないですか、あなた。入っている部分ももちろんあるでしょう、それは。そういうふうに一つ一つ向こう側の言い方にも非常な矛盾と食い違いが出てきているわけですね。何とか演習によるものではないということを立証しようとしている。私らはこれをうやむやにされたら困ると思うのですよ。皆さんは、ファントム墜落の原因究明に八カ月余りかかったのだよ、たしか。いま県民の不安、そういうものに対して非常に怒りが高まっているから、何とかそういう冷却期間を置こうという政治的配慮がありはしないのかどうか、これじゃいかぬと思いますね。  そこで、きょうは時間ありませんので、最後ですが、夜間演習はまずやめさせること。あの一帯見てくださいよ、みんな焼け野が原にしているじゃないですか、照明弾とかそういったもので。原因究明まではすべての演習をまず中止させなさい。少なくとも砲弾演習については、日米間で話し合ってやめさせる。同時に、もしそういった百五ミリとか百五十五ミリあるいは八インチの砲弾の破片であるということが確定した段階においては、この基地というものはそういった砲弾を演習する演習場としては不適格であるということになりますから、前科三犯、四犯、五犯だ、これ。そういうことを含めてアメリカ側と協議をし、対策を立てますね、この点は防衛庁長官からお答えください。
  499. 山下元利

    ○山下国務大臣 米側もやはり、これは周辺の住民の方々の安全を配慮いたしまして、演習の安全性には十分気をつけていると思います。われわれも、それはあくまでも住民の皆様の安全を確保するために努力しているわけでございます。  ただ、いまのこのことにつきましては、できるだけ早くその原因を究明いたしたいと思いますし、また、どんな理由がありましても、事故が起こらないように今後とも努力するつもりでございますが、この問題につきましては、それこそできるだけ早くこの真相を究明いたしまして、その結果を待ちたいと思います。その上で、またわれわれとしては対処をいたしたいと思う次第でございます。
  500. 上原康助

    上原委員 これで終わりますが、ですからその間は、いまも中止をしているわけでしょう、百五ミリ、百五十五ミリ、八インチという大きいのは。それは原因究明が立証されるまでは少なくともやめますねと言っている。
  501. 山下元利

    ○山下国務大臣 私どもこの問題は、先ほど何か真相を覆い隠すようなことを意図しているのじゃないかと言われましたが、絶対そんなことはございません。あくまで究明しておるわけでございます。しかも、できるだけ早くでございますから。米側におきましても安全性の確保については本当に配慮いたしていると思う次第でございますが、できるだけ早く真相を究明いたしたいと思いますし、その点、御理解賜りたいと思う次第でございます。
  502. 上原康助

    上原委員 じゃ、その真相を究明するのにいつまでかかるの、そんな言い方をすると。
  503. 玉木清司

    ○玉木政府委員 先ほど申し上げましたように、最終的には警察当局の御意見等が主になって確認ができるわけでございますが、それほど長い時間がかかるとは想像されません。
  504. 藏内修治

    ○藏内委員長 岩垂寿喜男君。
  505. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 気が弱いもんですから、みんなに時間をせかれるとつい落としてしまいまして、一つだけ質問と同時に、要求をしておきたいと思うのですが、昨日、実は私どものところへ南麻布米軍施設建設反対同盟というものの代表がやってまいりまして、これは超党派の運動ですから、自由民主党も入っています。南麻布富士見町町会、南麻布新広尾三丁目町会、南麻布本村町町会、それから幼稚園の父母の会や学校のPTAなどが入っております。細かくは言いませんが、安立電気というところの跡地へ、山王ホテルを立ち退かざるを得なくなったもんですから、米軍と軍属、その家族などの宿舎を含む建造物の計画がございます。これは防衛庁も知っておられるわけでございますけれども、御存じのとおりに、港区議会でも満場一致で、建設委員会でございますが反対の議決が行われており、同時に、これは選挙の最中に公開質問状を出して御回答をいただいたのですが、鈴木俊一知事、当時は候補でございますが、に対して出した質問状では、全部読みますが、「住民に迷惑を掛けるような建設は可能な限り、その住民の意志を汲み上げるべきと考えます。他に適地を求める等、全力を尽してご期待にそうよう努力いたします。」こういう文章の返事が来ております。  これによって全体が、地域住民だけでなしに区議会、東京都も含めてそれに対して反対の意思を明らかにしているということがわかるわけですが、これについて安立電気の方も、住民との話し合いがつかない間は強行着工はしないというふうに言明をしておるようでございますが、防衛庁なり防衛施設庁が安立電気をせっつきますと、これまたいろいろな事情にございますので、いま会社側がそのように言明をしていることについて同じ見解、同じ立場にお立ちをいただきたい、このように思いますが、御答弁を煩わしたいと思います。
  506. 玉木清司

    ○玉木政府委員 国は裁判所の和解によりまして、現在在日米軍に提供中の山王ホテル士官宿舎を昭和五十五年末に所有者に明け渡す必要がございます。したがいまして、代替施設を必要としておりますが、安立電気株式会社では本社・工場を他に移転する計画がございまして、その跡地の利用として山王ホテル士官宿舎と同等の施設を建設し、賃貸ししてもよいという意向がございましたので、防衛施設庁としましては、この施設が建設されたときには、これを山王ホテル士官宿舎の代替施設として取得し、提供したいということで安立電気株式会社にお願いをしているところであります。  代替施設の建築主であります安立電気株式会社は、建築を行うに際し、日影問題を含めまして周辺住民の生活環境の維持につきましては十分配慮することとしておりますが、現在のところ周辺住民は、環境の悪化、風紀の乱れ、交通事故の増加を懸念されまして、代替施設の建設に反対をしておる状況でございます。防衛施設庁としましては、安立電気が建物を建設しましたときには、この建物を山王ホテル士官宿舎の代替施設として賃借する考えでありますし、直接住民と建物の建設について折衝する立場にはございませんが、山王ホテル士官宿舎は在日米軍の軍人軍属及びそれらの家族等の宿泊、会議及び集会等のために使用されているものでございまして、このような施設に関して周辺の環境悪化という事態が生ずることはなく、また現在そのような事態は生じておりませんので、安立電気が周辺住民に対しまして、現山王ホテル士官宿舎の利用状況等をさらに十二分に説明することによりまして、周辺住民の理解が得られるもの、こういうふうに施設庁としては考えておるところでございます。
  507. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私の言っているのは、いま文章を読んだように、会社側は住民との話し合いがつかない限り工事は強行しない、こう言っている、だから、そういうことは施設庁もやれというふうなことはおっしゃらないだろうと思う。住民の反対がある限り施設庁も、それは安立がやることだけれども、安立に対してそのようなことを求めない、安立のそういう態度、つまり住民の納得が得られなければ強行しない——強行ですよ、強行しないという立場を理解するというふうに答えろと私は言ったのです。
  508. 玉木清司

    ○玉木政府委員 防衛施設庁としましては、安立電気がさらに十二分に住民に対して誠意を披瀝されまして、御理解を得た上でこの計画を進めていただくことを強く期待しております。
  509. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 もう時間がこういう形ですからやりませんけれども、長官、やはりこれだけ町会を挙げて、しかも区議会が満場一致で決めている。あなた方が応援した鈴木俊一知事もそういう約束をしているわけですよ。だから私が言っているのは、賛成、反対という——反対だと言っているのを通せと言っているのじゃないのですよ。地元と話がつかない限り工事は強行しないと会社側は言っているのですから、防衛庁はその同じ立場にお立ちになってほしいと私は言っているのです。あたりまえのことじゃないですか。それは長官、いいでしょう、政治家として。そのくらいのことはあたりまえです。これは自由民主党まで全部入った反対同盟ですから。
  510. 山下元利

    ○山下国務大臣 先ほど施設庁長官が申しましたように、会社が十二分に地元の皆さんの御理解を得られるように努力されることを私も強く期待いたしておる次第でございます。
  511. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そこはあなた、期待をするのはいいけれども、話がまとまらない、話がつかないという間は強行しないと会社側も言っているわけでしょう。それと同じ立場に立たないと、防衛施設庁が、あるいは防衛庁が安立に早くやれ、早くやれと言っている形になってしまうのですよ。進み過ぎてしまっているわけですよ。だから、会社側と同じ立場に立ってほしい、また当然立っていただけるもの、こう思って私質問しているわけでございますから、これは十分理解をいただけると思いますが、いかがでしょうか。
  512. 山下元利

    ○山下国務大臣 ただいま御答弁申し上げたとおりでございます。
  513. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それはちょっとおかしいな。余り長い時間とるわけにいきませんからやめますけれども、少なくとも会社がそう言っている以上、あなたの方がそれを強く期待していますということを言ったら、率直に言って、会社を防衛庁がせっついているということになってしまうのですよ。そういう実態だというふうに理解していいですか、住民に言っても。会社と同じ立場に立てというのは、私はかなり皆さん方のお立場も考えながら、同じ立場に立ってくれますねと、こう言っているわけですよ。それはわかるでしょうが。それでもなおかつ説得して早く理解を得られるようにしてほしいものだというふうに、あなた方強く要望するのですか。
  514. 山下元利

    ○山下国務大臣 私が期待いたしておりますのは、十二分に地元の皆さんの御理解を得られるように努力されることを期待いたしておるわけでございまして、繰り返し申すようでございますけれども、私は、十分に地元の皆さんの御理解を得られるように会社が努力してもらうことを強く期待しておるわけでございます。
  515. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 了解できないのだ。しかし、私はせめて防衛庁が安立電気をせっついてそんなことを強行する——強行と言っているのですよ。私は言葉を選んでいるのです。そういうことをしないと会社側は言っているのですから、同じ立場に立つことをそれこそ強く求めて、終わります。
  516. 藏内修治

    ○藏内委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  517. 藏内修治

    ○藏内委員長 この際、竹中修一君から、本案に対する修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。竹中修一君。     —————————————  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  518. 竹中修一

    ○竹中委員 ただいま議題となりました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げますと、原案では、この法律は昭和五十四年四月一日から施行することとしているのでありますが、すでにその日が経過しておりますので、これを公布の日から施行し、本年四月一日から適用することに改めようとするものであります。  よろしく御賛成くださるようお願い申し上げます。
  519. 藏内修治

    ○藏内委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。  修正案について別に発言の申し出もありません。     —————————————
  520. 藏内修治

    ○藏内委員長 これより本案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、これを許します。柴田睦夫君。
  521. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  自民党大平内閣は、今回の日米共同声明でも明らかなように、アメリカのアジア戦略のもとで日本の軍事分担の増大と日米共同作戦態勢の飛躍的な強化を進めています。昨年十一月、福田内閣のもとで駆け込み的に了承された「日米防衛協力のための指針」はその具体化であり、日米共同作戦計画の名のもとに自衛隊の軍事的責任分担を明確にし、自衛隊をアメリカのアジア戦略の重要な一翼として増強を進め、有事即応態勢づくりをねらうものです。  今回の改正案は、こうした有事即応態勢づくりの一環として予備自衛官の待遇改善を口実に予備自衛官制度の拡大強化による自衛隊の増強に道を開くものであります。  現在、予備自衛官は、自衛隊の経験者に限られています。しかし政府防衛庁は有事即応態勢づくりの一環としてこの枠を取り払い、自衛隊経験者以外からも採用する策謀を進めております。これは自衛官を含む防衛庁職員の定数外である予備自衛官を大幅に増員することで、自衛隊の実質的な増強を図るものであるばかりでなく、三矢作戦研究や最近の自民党国防問題研究会の「有事法令研究」でも明らかなように、国民総動員態勢をねらう戦時立法の突破口ともなるものであります。わが党は、これらの危険な策謀に断固反対し、戦事立法研究の中止を強く要求するものです。  政府防衛庁は、こうした事実をひた隠しにし、物価上昇のための手当の引き上げであると説明しています。しかし、予備自衛官は通常他の職業について生計を立てており、手当の引き上げは予備自衛官の確保、増強にほかならないものであります。予備自得官のように、勤務につかない間手当の支給を受けることは、他の非常勤国家公務員にはなく、物価上昇を理由にするなら、人権擁護委員や行政相談委員などの手当を問題にすべきであります。  それにもかかわらず手当の引き上げを図るのは、防衛庁が一昨年訓練招集手当の引き上げで、予備自衛官の免職者が減少した教訓に学んだものであり、予備自衛官の確保、練成、増強に手当の引き上げが不可欠のものであると判断したことにほかならないものです。  以上のように、今回の改正案は、予備自衛官の待遇改善を口実として、有事体制づくりの一環として対米従属、違憲の自衛隊及び予備自衛官を増強するものであるとともに、予備自衛官制度の改悪で国民総動員態勢づくりへの地ならしであります。  わが党は、日米共同作戦態勢の強化と、そのもとでの有事体制づくりを進める危険な策謀に断固反対するとともに、この一環となる本改正案に反対することを明らかにし、討論を終わります。
  522. 藏内修治

    ○藏内委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  523. 藏内修治

    ○藏内委員長 これより採決に入ります。  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案について採決いたします。  まず、竹中修一君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  524. 藏内修治

    ○藏内委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  525. 藏内修治

    ○藏内委員長 起立多数。よって、本案は、竹中修一君提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。  この際、防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。山下防衛庁長官
  526. 山下元利

    ○山下国務大臣 ただいま防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案につきまして御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。(拍手)
  527. 藏内修治

    ○藏内委員長 なお、ただいま修正議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  528. 藏内修治

    ○藏内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  529. 藏内修治

    ○藏内委員長 次に、附属機関地方支分部局等に関する規定の整理等に関する法律案及び許可、認可等整理に関する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。逢沢英雄君。
  530. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 大変御苦労さまです。  今回提案されておられます附属機関地方支分部局等に関する規定の整理等に関する法律案、許認可等整理に関する法律案、この二法につきまして、その意義と内容を簡潔に説明願います。
  531. 金井元彦

    ○金井国務大臣 この両法案は、事務の簡素化と機構の簡素化、こういう線に沿いまして提出をいたしたものでございます。いずれも閣議決定あるいは閣議了解によりまして、その線に沿って各種のものをやっておるのでございますが、その中で、特に今回お願いいたしましたのは、地方支分部局あるいは附属機関等につきまして、現在の組織に関する規定が非常にまちまちになっております。重要なものが軽易な手続でやられたり、あるいは軽易なものが重要な手続を要するというふうなことになっておりますので、これを一定の基準に基づいて整理をいたしたい、それが附属機関並びに地方支分部局の整理に関する法律案でございます。  それから、許認可の整理の問題は、何回かにわたってやってまいったのでございますが、一昨年の暮れの閣議決定に基づく許認可の整理、それによってやりましたもので、なお未済のものがございます。それを今回まとめましてお願いをする、こういう趣旨でございます。
  532. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 最近、親方日の丸という言葉がよくわれわれの耳に入ってまいります。特に一般消費税云々というような言葉が多くなればなるほど、この親方日の丸という言葉もそれに比例してたくさん耳に入るような実情であります。私は、この親方日の丸という言葉をなくするために、行政管理庁の果たすべき役割りというのは非常に大切である、大きな部分を受け持っておられる、そういう感じがいたしております。  最前お話がありましたように、ずっと前から計画的に機構の合理化であるとか、あるいは人員の配置であるとか、あるいは行政事務遂行のために合理化、効率化のためにいろいろと作業を進めてこられました。しかし、いま言いましたように、行政管理庁の果たすべき役割りというのは非常に大きなものがあろうと思うのです。今後この行政改革、効率化、能率化を進めていく上につきまして、長官の基本的な考え方、これをこの際伺っておきたいというふうに思います。
  533. 金井元彦

    ○金井国務大臣 ただいま御指摘の親方日の丸ということは、いまに始まったことではございませんが、よく言われる言葉でございます。特に最近国民に新しい負担をしていただくというふうな問題が出ましてから、よけいその声は高くなってきておるように思います。これはどうしても改むべきである、かように考えております。  ただ、この問題は、御承知のように、総論につきましてはすぐ賛成がいただけるのでございますが、各論になりますとなかなか摩擦、抵抗が強いのでございまして、これをひとつ何とか工夫をして、親方日の丸にならない、行政の簡素化あるいは効率化ということについて積極的に努力をいたしたい、かような決意を持って臨んでおるような次第でございます。
  534. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 行政改革本部という組織体をつくっておられますが、この行政改革本部という組織ができましたのはいつですか。
  535. 加地夏雄

    ○加地政府委員 昭和三十八年の八月に閣議決定で設けられたわけでございます。
  536. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 その本部の組織、これはいかようになっておりますか。
  537. 加地夏雄

    ○加地政府委員 この行政改革本部ができましたのは、もうちょっと詳しく申し上げますと、三十八年当時、実は臨時行政調査会というものがまだいろいろ行政改革についての審議をされておる途中でございました。目的は、そういった臨時行政調査会の答申を受けまして、行政制度あるいは行政の運営の改善を推進するために設けられたものでございます。  そこで、御質問の構成員でございますが、この内閣に置かれました行政改革本部の本部長は、行管長官がなっておられるわけであります。そのほかに部員といたしまして、内閣の官房副長官、それから内閣法制次長、それから総理府副長官、それに行政管理庁、それから大蔵省、自治省のそれぞれ事務次官が部員になっておるわけであります。それ以外に、それぞれの関係局の局長が幹事という形で構成をいたしております。なお、参与という形で、その本部のメンバーのほかに、官房長官あるいは総務長官が適宜御出席をなさって御意見を言われる機会があるわけでありますし、そのほか、行政改革の内容の事項によりましては、関係の事務次官も随時会議に参加をして意見が申し述べられる、こういう構成になっているわけであります。
  538. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 この本部の会合、会議というのは何回やられるのですか。たとえば月に一回とか二月に一回とか、あるいは一週間に一回とか、そういう表現をした場合に、何回ほど会議をせられるか。
  539. 加地夏雄

    ○加地政府委員 この本部の会合は、定例的に、いまおっしゃったように月一回とか二回とか、そういう形の開催は実はいたしておりません。先ほど申し上げましたように、臨調答申を受けとめまして、それの推進をするという趣旨でつくられまして、事実、臨調答申が出されて以降、それを政府の具体的な行政改革の施策に盛り込む場合には、必ずこの行政改革本部を開催してまいっているわけでございます。特に、御承知のように、最近では、一昨年の十二月の行政改革の閣議決定でございますとか、あるいは本年の一月に行いました行政の簡素、効率化の推進という閣議了解をする場合には、必ずこの行政改革本部を開催いたしておるわけであります。  そういう意味で、昭和三十八年以来、大体どのくらいの活動状況かと申し上げますと、この本部の会合が六十一回開催をされております。
  540. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 行管行政管理局の職務分掌の中に行政の調査あるいは企画、立案、勧告という職務分掌がありますが、この勧告というのはどういうことですか。具体的にどういうふうな姿になっているか、適切な例を挙げて、その実情を説明いただきたいと思います。
  541. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいまのお話の勧告でございますけれども、行政管理庁行政監察局が主になりまして、いろいろ各省庁の行政の実態を調査します。それで、行政が国民立場に立ってうまく行われているかどうかということをいろいろと分析し、判断するわけでございますが、その際に、うまくいっていない点、改善する余地があるというふうに考えた場合には、行政管理庁長官からその主務大臣の方へ物を申し上げる、これがその勧告の趣旨でございます。
  542. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 何か最近勧告した適切な実例を一つ挙げてみてください。
  543. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 最近のというお話でございますけれども、たとえば郵政省の統括下にある電電公社につきまして、前に調査しました結果、その運営のいろいろな改善あるいは利用者のサービスに対しまして料金明細をつけた方がいいのじゃないかとか、そういったような勧告をしたのが新聞などに大きく取り上げられております。  そのほかいろいろございますけれども、たとえば、これは補助金事務の簡素合理化等につきましても、各省庁の出しております補助金につきまして、その事務手続をいろいろと調べまして、それの合理化する余地、簡素化する余地、いろいろございましたので、各省庁に物を申し上げたことがございます。
  544. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 次に移りまして、国家公務員の定数等々につきましていろいろと配慮しておられますが、総定員法の枠の中にある定員の削減についていままでいろいろと作業を進めてきておられます。いままでどういう作業を進めてこられたか、過去の実績について説明願います。
  545. 加地夏雄

    ○加地政府委員 定員管理の問題は、御案内のように、昭和四十四年に総定員法を国会でお認めいただきまして、その総定員法のもとで、実は十二年間にわたりまして定員管理をやっておるわけであります。その趣旨は、やはり公務員全体の膨張を抑制する、こういうところにあるわけでございまして、この十二年間に、現実に国家公務員全体の定員を約十二万八千人削減をしてまいったわけであります。その間に、もちろん新しい行政需要が相当出てまいっておるわけでありまして、約十二万人の増員をやってまいりました。結果として、昭和四十二年の年度末の定員から比べまして、今日におきましても約八千人が減少しておる、こういう状況になっておるわけであります。
  546. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 いま現在、第四次の作業が進行中であるというふうに聞いておるのですが、この第四次も含めまして、今後、この定員に対してどういう形で合理化、簡素化を進められていくか、今後の見通し、もちろん機構が変わったりなどいたしまして、ふえる部分もありましょうから、そうは言ってもなかなか適切な回答は出にくいかもしれませんが、あらましどういう予定で進められるか、その辺について説明をいただきたい。
  547. 金井元彦

    ○金井国務大臣 御承知のように、ただいま第四次の削減計画に基づいて年々削減をいたしております。五十五年でこの第四次の計画は終わりますので、私どものただいまの考えといたしましては、引き続き第五次の削減計画を立ててやっていく、こういうふうにいたしたい。この総定員法の枠を守る、そうしてその枠を守るために一定の計画によって削減、それによってまた必要な方面への増員に充てる、この行き方というものは私、守っていかなければならぬものじゃないか、かように考えております。
  548. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 行政管理庁の中には行政相談課というのがあります。各行政機関の業務及び公共企業体等の業務に関する苦情の申し出についての必要なあっせんということを任務といたしておるようですが、たとえば昭和五十三年度の場合、苦情の相談の内容、数の多いものからちょっと順番に挙げていっていただきたいと思います。
  549. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 五十三年度の場合、取り扱いました行政相談の件数は全部で十七万件ちょっとでございますが、これの内訳についてまだ集計が済んでおりません。で、ただいまお話しの五十二年の数字で申し上げますと、五十二年の場合、十六万一千件ちょっとでございますけれども、一番多いのは建設省関係事案でございまして、これが二万九千件余り、それから厚生省関係が二万八千件余り、総理府関係が一万一千件余り、それから農林水産省の関係が九千件ちょっとでございます。そういうところが多い関係でございます。
  550. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 建設省関係あるいは厚生省関係というお話ですが、もう一つかみ砕いて、建設省関係ならどういうことが多い、厚生省関係ならどういうことが多い、これのひとつ説明をいただきます。
  551. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 まず、建設省の関係の行政でございますが、やはり道路関係が多うございます。それに河川等の関係が若干ございますが、たとえば道路の問題でございますと、路面、橋梁あるいは側溝等の破損、これが非常に周りに不便であるということ。その他いろいろな不良個所、崩壊した路肩、がけ等の危険個所、こういったものについての修理、改修についての申し出、こういうものが多うございます。  それから厚生省関係でございますと、年金の問題あるいは環境衛生の問題、生活保護の問題、こういった関係が多うございますが、たとえば年金の問題でございますと、厚生年金、国民年金のたとえば誤審査の問題、自分はこう考えるけれどもそう取り扱ってくれない、これはどうしてだろうかといったようなお申し出、あるいは訂正してほしいとかあるいは裁定についての督促、そういった教示を求めるといったような申し出が多うございます。環境衛生の場合ですと、食品衛生の取り締まり、屎尿処理の浄化槽の維持管理の適正化を要望するような問題とか、それからごみの不法投棄は困るからというようなお申し出が多いようでございます。  以上、事例を申し上げましたけれども、建設省関係、厚生省関係、ざっとそのような関係が多うございます。
  552. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 そういう苦情が申し込まれた場合に、役所としてはその苦情をどういうふうに処理されますか。処理の方法。
  553. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 苦情のお申し出は、本庁の場合ですと行政監察局の行政相談課、それから出先でございますと、管区局の中に行政相談課がございます。それから各県に置かれております地方局に担当をする監察官がおります。それから全国に四千五百七十六人の行政相談委員が配置されておりますので、そこの方へお申し出いただくわけでございます。  お申し出のあった案件につきまして、当庁の職員及びその行政相談委員の方がお申し出人から話をよく聞きまして、どういうふうに処置をとるかということを決めるわけでございますが、それを関係省庁、それが本庁の場合もございますし、本省の場合もございますし、出先の場合もあるわけでございますけれども、そういうところへ話を持ち込んで、それで相手の各省庁の出先等と、あるいは県の場合もございますけれども、そういうところにお申し出の内容をあっせんして、解決を図っていくわけでございます。場合によっては、お申し出人がただこういうことを教えてほしい、どこへ聞きに行ったらわかるのかというようなことで聞きに来る場合もございますので、そういう場合には教示といったようなことで解決するわけでございますが、中身によりましては、各省庁の行政担当機関と私どもの方とでよく折衝して、お申し出人の満足のいくような解決を図っていくというふうに処理しているわけでございます。
  554. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 その場合に結果の確認ということはやるのですか、できないのですか。
  555. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 お申し出人の申し出内容につきまして、私どもが各行政機関に折衝して直してもらったという場合には、もちろんその確認をやっております。
  556. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 次に移りまして、補助金なんですが、従来、われわれの耳に入りましたのも非常に手続が複雑であるとか、あるいは手間がかかるとか、あるいはおくれるとかいったような苦情がよく耳に入ったのですが、一体、この補助金とか交付金、これは粗見当で、中央から地方へ流される金というのは総額にしてどれぐらいありますか。
  557. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 補助金等地方公共団体に流れているものが二十兆八千億でございます。
  558. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 いま二十兆八千億というお話ですが、これは大変な金額であります。この大変な金額を上手に使うか下手に使うかで、これは結果において非常に大きな開きが出てくるような感じがします。われわれの個人生活でも生きた金の使い方、同じ金を使っても死んだ使い方というような言葉もよく使われますけれども、それと同じ理屈で、二十兆円という莫大な金の使い方についても、これはそのタイミングとか、上手な使い方をやるのと下手くそな使い方をやるのとでは非常に大きな結果の相違が出てくると思いますので、これは一二〇%も効率が発揮できるような使い方にぜひひとつ徹底していただきたいということを、この際、強く要望しておきます。  たとえばの例が、これも建設委員会などでよく言われておりましょうけれども、学校を建てたり、あるいは道をつけたりといいますようなときに、四月、五月、六月とか、七月とか八月とか、仕事のやりよい時分に役所側は机の上で計算をしている、図面を引いている。そして現実に現地で仕事にかかれるのは夏休みが済んで秋ごろからであるとか、あるいははなはだしい例に至っては正月ごろに注文を受けて、それで三月三十一日までにやりなさいというようなことが現実にあるのです。これもだんだん修正はされておりますけれども、まだ直ってない部分も現実にあります。  そういうことになりますと、急いでやればどうしてもでき上がった物はよくないだろうし、あわててやれば災害もたくさん発生するだろうし、それからやる人の方は、はっきり言えばもうけが薄い、損をしやすい、こういうことにもなって、国も損だし、やる方も損だ、みんな損だ、まるきり損だということになるのですが、こういうたとえを考えて場合に、いまの金の使い方は役所側の方もよほどよく考えていただきまして、国が損をしないように、得をするような方策に一歩でも二歩でも近づくような形にぜひひとつ今後も努めてほしい、これを重ねて要望しておきたいと思います。  そこで、この補助金の事務手続を簡素化したり、あるいは効率化するために、行管は世論調査をやったりいろいろ作業を進めておられて、昭和五十三年度中に補助金の事務手続を簡素化するための成案をこしらえるというふうに聞いておりますが、その成案はできましたか。
  559. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 補助金の事務手続の改善につきましては、五十三年の四月七日、行政監理委員会からの答申がございました。そしてこの答申内容に沿いまして補助金事務手続の改善を推進するために、各省庁が自分の補助金等について総点検を行ったわけでございます。  それで、ただいま先生御指摘のその成案というのは、行政監理委員会から答申があって、四月二十七日に「補助金事務手続の簡素合理化の推進について」という事務次官会議申し合わせがございます。これが言うならば行政改革本部に報告されました政府としての成案でございます。それに基づきまして各省庁総点検していただきまして、その結果、交付決定の時期の早期化、あるいはその前の内示の早期化、こういったことをやることによりまして、いま先生からお話のありました補助金を有効に使うということを心がけているわけでございます。  それで、どういうことをやったかという中身でございますけれども、いま申し上げました交付決定の時期の早期化等のほかに、提出部数が、非常にむだな書類が多いということで、これの重複しているものは廃止する、あるいは変更申請の手続が非常にややこしかったのを、赤黒二段書き等は全廃するといったようなことでございます。そのほか細かな点はいろいろございますけれども、各省庁それに従いましてやっていただいております。  それから、先ほど約二十兆と申し上げましたけれども、あれは一般会計と特別会計合わせての数字でございます。
  560. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 いまの成案の実施の時期なのですけれども、成案ができているということになれば直ちに実行するということですか。
  561. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 五十四年度から直ちに実行に入っております。
  562. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 ぜひひとつ五十四年度から実行していただきたいと思います。われわれの感じからいたしますと、同じ書類をたくさんこしらえて役所へ出さなければいけないとか、あるいは交付の時期が非常に遅いとかいったようなことはもっと早く手をつけてほしかった。なぜもっと早くそういった問題に着手してくれなかったのか非常に残念に思いますけれども、せっかくの成案ですから、合理化、近代化、能率化のために早く実施に移していただきたい、そのように手配をしてほしいということであります。  せっかくの機会でありますので、定年制の問題について若干承りたいと思うのですが、政府は五十二年十二月の閣議決定で「定年制を導入するものとする。」という一つの基本方針を打ち出しておられます。いずれ人事院の方から人事院の考え方が発表されると思うのですが、これにつきまして、行政管理庁としての考え方を、この際、お聞きしておきたいと思います。
  563. 加地夏雄

    ○加地政府委員 国家公務員の定年制導入の問題につきましては、ただいま先生が御指摘のように、一昨年の閣議決定におきまして、政府として導入の方針を決めたわけでありまして、現在人事院でその定年制についての検討が行われておる状況でございます。そして、この一月の閣議了解におきましても、そういう人事院の検討に合わせまして、定年制の問題に関連した諸制度につきましても「準備検討を進める。」という方針を決めておるわけであります。  現在のところ、人事院から定年制についての意見のあれがまだ正式に出ておりませんので、具体的な問題についてどうこうという話は申し上げられませんけれども、行政管理庁といたしましては、いずれそういった人事院の意見が出てまいりました上では、当然これは国家公務員全体の定員管理の問題とか、あるいは人事管理の面から見まして、行政の効率化に十分役立つような方向で成案をつくっていくべきであろう、こういうふうに考えているわけでございます。
  564. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 「行政改革 効率の高い政府をめざして」、五十三年十二月行政管理庁発行、これを見ておりまして、ちょっと遺憾に思いましたことがありますので、指摘をしておきたいと思います。  この八ページの「審議会等」というところ、「審議会等の整理統合を進めています。」という大きな見出しの下に内訳が書いてあるのですけれども、その内訳の二番目、「今回の行政改革では、その全体について見直しを行い、社会経済情勢の変化に伴い必要性の低下したもの、活動の不活発なもの、設置目的等の類似するもの等」云々と、こういう文章があるのです。「活動の不活発なもの」という表現がここにあるのですが、活動の不活発な審議会というのがあったのですか。
  565. 加地夏雄

    ○加地政府委員 審議会のみならず行政機構全般の問題もそうでございますが、ある時期にそういった行政需要が発生をいたしまして、そういった審議会を設けるわけでありますけれども、そういう時期が過ぎまして、もともと設置をした趣旨が相当目的を果たすとか、そういう状況で、非常に不活発になっているものが事実あったわけでございます。  そういったものを実は一昨年の閣議決定の際に、審議会を整理をするということで、御案内のように、昨年の通常国会に審議会の一括整理法という形で御提案を申し上げまして、可決をいただきました。そういった方針に沿って現在その整理がもう行われておる、こういう状況でございます。
  566. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 いずれ、当然不活発なものですから、整理対象になっておると思うのですけれども、こういう不活発な審議会が現実にあったということは、実に残念であるというふうに言わざるを得ません。  私はよく知りませんけれども、いずれ審議会委員というような委員の人に何人か寄ってもらって、適当なときに審議をしてもらうという運営のあり方なんでしょうけれども、この審議会委員というのは、お礼を払ってお願いしているのですか、それとも無料の、奉仕で来ていただいているのですか、そこはどうなっているのですか。審議会委員の処遇といいますか、待遇……。
  567. 加地夏雄

    ○加地政府委員 通常の審議会の場合でございますと、当然それぞれの関係各省の予算に、審議会経費という形で予算を組むわけでありまして、具体的に審議会の委員の先生に対するお支払いは、審議会の開催のときに御出席をなさったその日数をもとにいたしまして、その出席日数に対しましてある一定の単価でお支払いをしていく、こういう形になっているわけであります。
  568. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 ということは、結局国民の税金でお願いしているということだと思います。今後そういうことのないように、ひとつ行啓の方もよく気をつけておいていただきたいということをお願いしたいと思います。  冒頭にも言いましたように、親方日の丸という言葉をどうしてもなくさなければいけない。それがために行管の果たすべき役割りというのは非常に大きな、そうして大切なものがあると思います。今後の指導をよろしくひとつお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  569. 藏内修治

    ○藏内委員長 次回は、来る十日木曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時二十五分散会      ————◇—————   防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対する修正案  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  附則を次のように改める。    附則  この法律は、公布の日から施行し、この法律による改正後の防衛庁職員給与法の規定は、昭和五十四年四月一日から適用する。