○柴田(睦)
委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、
防衛庁職員給与法の一部を改正する
法律案に反対の討論を行います。
自民党大平内閣は、今回の日米共同声明でも明らかなように、アメリカのアジア戦略のもとで日本の軍事分担の増大と
日米共同作戦態勢の飛躍的な強化を進めています。昨年十一月、福田内閣のもとで駆け込み的に了承された「日米防衛協力のための指針」はその具体化であり、日米共同作戦計画の名のもとに自衛隊の軍事的責任分担を明確にし、自衛隊をアメリカのアジア戦略の重要な一翼として増強を進め、有事即応態勢づくりをねらうものです。
今回の改正案は、こうした有事即応態勢づくりの一環として
予備自衛官の待遇改善を口実に
予備自衛官制度の拡大強化による自衛隊の増強に道を開くものであります。
現在、
予備自衛官は、自衛隊の経験者に限られています。しかし
政府、
防衛庁は有事即応態勢づくりの一環としてこの枠を取り払い、自衛隊経験者以外からも採用する策謀を進めております。これは自衛官を含む
防衛庁職員の定数外である
予備自衛官を大幅に増員することで、自衛隊の実質的な増強を図るものであるばかりでなく、三矢作戦研究や最近の自民党国防問題研究会の「有事法令研究」でも明らかなように、
国民総動員態勢をねらう戦時立法の突破口ともなるものであります。わが党は、これらの危険な策謀に断固反対し、戦事立法研究の中止を強く要求するものです。
政府・
防衛庁は、こうした事実をひた隠しにし、物価上昇のための手当の引き上げであると説明しています。しかし、
予備自衛官は通常他の職業について生計を立てており、手当の引き上げは
予備自衛官の確保、増強にほかならないものであります。予備自得官のように、勤務につかない間手当の支給を受けることは、他の非常勤国家公務員にはなく、物価上昇を理由にするなら、人権擁護
委員や行政相談
委員などの手当を問題にすべきであります。
それにもかかわらず手当の引き上げを図るのは、
防衛庁が一昨年訓練招集手当の引き上げで、
予備自衛官の免職者が減少した教訓に学んだものであり、
予備自衛官の確保、練成、増強に手当の引き上げが不可欠のものであると
判断したことにほかならないものです。
以上のように、今回の改正案は、
予備自衛官の待遇改善を口実として、有事体制づくりの一環として対米従属、違憲の自衛隊及び
予備自衛官を増強するものであるとともに、
予備自衛官制度の改悪で
国民総動員態勢づくりへの地ならしであります。
わが党は、
日米共同作戦態勢の強化と、そのもとでの有事体制づくりを進める危険な策謀に断固反対するとともに、この一環となる本改正案に反対することを明らかにし、討論を終わります。