○市川
委員 具体的に入っていきますけれ
ども、たとえば神奈川県の
民間最終処分場の現況を調べてみたのですが、県下全体では六一%もう処分場が埋まってしまった、あと三九%しかスペースとしては残っていませんと言う。しかも、これは県の中央とか横浜、川崎市になりますと、七割−九割方埋め立てがもう進んでしまっているという状況なんです。したがって、処理業者の
意見としては、もうあと一、二年で満杯になってしまう。それで非常に危機感を持っているわけですよ、それが埋まってしまった後どこへ持っていくのだという。
昨年一年間の
実態を県下で調べてみましても、埋め立てが完了した処分場が十カ所、これに対して新設は五カ所、半分しか補完されていないという、こういう状況があるわけです。しかも、これはほかの都道府県でも同じだと思いますが、東京や神奈川県の場合、特に産業廃棄物が多いわけですけれ
ども、処分場の適地が非常に少なくなってきたということですね。それから県の全域が非常に過密であるということ、海岸埋め立てによる処分の余地が非常に乏しいということですね。それから内陸部に持っていきますと、地元住民の拒否傾向が非常に強い。法定ではないけれ
ども、付近住民の承諾書をとらなければならないし、あるいは隣接地主の承諾書をいただかなければならない。こういうことがあるわけです。
それから処分地の経営者の
立場で考えますと、国はできる限りのことはやっているということなんですが、国がもうちょっと本気にならないとどうにもならないんじゃないかという
問題点が
幾つかあるようです。たとえば処分地の経営者の
意見ですと、
一つは、処分場の建設用地取得に莫大な資金を要する。それから県や市の開発指導がいま有効たり得ない。なぜかならば都市計画法、森林法、農地法、砂防法、自然公園法など
関連の法規が多岐にわたっていて、一たび許可を得ようとしますと、土木部、
水道局、開発部、農地
委員会などたらい回しされる。しかも、事前審査願を提出して下手すると二、三年かかってしまう、こういう状況があるわけです。市町村の
意見、県や市の
意見を聞きますと、やはり最終処分場確保のためにはいろいろな国の
法律が多岐にわたっていて、たらい回しにされてどうにもならないという問題がありますので、産廃のための新しい法改正か
立法措置が必要じゃないのか、こういう
意見も強く出ております。この点についてもどういうようにお考えになっておられるのか。
あるいは地元住民の反対が非常に強いということ、これは環境庁でも御承知だと思うのです。新潟県のスラッジ処理会社が三条市内で進めている最終処分地の確保の問題では、市民の反対運動が起きて、市議会でも反対を決議しているという。あるいは香川県の土庄町の業者が豊島に計画しておる産廃の処理場に対しては、住民が健康被害と海水汚濁を理由にして建設差しとめ訴訟を起こしてきておる。あるいは福井県の勝山市の業者が建設している埋立処分地に対しては、隣接の住民は生活用水に影響があるということで反対している。こういう住民との問題があるわけです。さらに、今度は五十二年三月の法改正によって、最終処分場の建設地が以前にも増して五割から七割方お金がかかるようになった、いろんな
規制が強まった。主な建設費用の増加の要因としては、遮水工事によるシート張りを以前は不要だったのですが、今回は義務づけられた。外への目隠しのためのへいの建設、これは基準が強化された。堰堤の強化、ボーリングによる地質、水質の検査義務、これは以前要らなかったのが五十二年三月から必要になる。あるいは水処理施設の基準強化、遮水工事と水処理施設の基準強化だけでも建設費が約二五%アップしておる。要するに、公共関与は一方において必要だ、だけれ
どもなかなかうまくいかない。
民間業者が四苦八苦して、いま悪戦苦闘しているわけですよ。ところが、こういう
法律はどんどん
規制が強まるので、お金がどんどんかかる方向へ
法律が厳しくされていく、こういう状況があるわけです。それに加えて、たとえばいまの
法律で
要求されてない問題だけ見ましても、付近の地元住民
対策のために、ある処理業者は排水下水路に約一億円かけているわけです、排水下水路、地域住民の賛成を得るために。下
水道と別道路に約一・二億円かけた業者もいるし、排水路に約六千万かけた方もいらっしゃるし、川の改修工事まで言われて二、三億の金を出している業者もいるわけです。最終処分地を確保するということがいかに大変なことかということ、よく御承知だと思うのです。国の方は、フェニックス計画は一向に進まない。県や市は、先ほど都営の例で申し上げましたように、料金が高くて、実際捨てる業者がきらって都営には持っていかない。
民間の方が安いからというので、
民間に持っていってしまう。したがって、どうしてもいま
民間の処理業者にしわ寄せが来ているという状況なんです。
この
民間処理業者に対して、たとえばこういういろいろなお金がかかるわけですから、PPPの原則を踏まえながら排出者に対する適正な負担を一方では要請しながら、一方ではその処理に悪戦苦闘している中小の産廃業者に対しては、私は当然税制上かあるいは資金面か、
厚生省としてもそういう
行政的な面で助成
措置をしてあげようという強い認識と自覚、決意がないと、これはどうにもならないんじゃないかと思うのです。国としてはなかなか進みません。で、
民間にお任せです。
民間は悪戦苦闘しているが、助けてもあげません、こういうことでは困ると思うんですが、この点についてどうですか。いまの
対策じゃ手ぬるくてどうにもならないんですよ。もっと本気でやっていただきたいと思うのです。