○沢村
参考人 お答え申し上げます。
まず、
放送衛星の
利用構想はどういうことかという点につきましては、かねがねNHKはできるだけ速やかに、あるいは効率的に、抜本的に難視地域の解消をするようにという御指示を当
委員会におきましても受けておるわけでございまして、これに向かって営々努力をしてまいったところでございます。でございますが、
地上におきます難視解消というものは次第に僻地に入り離島に入ってくる、いわゆる過疎地域というような地域まで解消いたしますためには非常に効率が悪くなる。そういうことに対処しますためには
放送衛星によらざるを得まい、これが最善の策であろうということで、かねてから
研究に取っ組んでまいりました。おかげさまで先般上がりました
実験衛星でもその
実用性というものがかなり明確になったわけでございます。そういうことで、とりあえず現時点におきましては、まず難視解消にこれを
利用いたしたい。したがいまして、NHKの総合並びに教育の二つのチャンネルを、
衛星を
使いましていまの難視の残っております地域のサービスに向けたいということを
考えておる次第でございます。
ただ、非常に高価なものでございますので、単に難視解消だけにとどまりませんで、現在多段中継をやりまして中継をするために少しずつ画質が劣化するというような状況も、これを
利用すれば画質の改善にも当て得るだろうし、また、現在生中継のできないような離島あるいは僻地からのビビッドな番組も、これを使うことによって生中継もできるだろうというようないろいろな
利用方法も
考えておる次第でございます。
もちろん、将来にわたりましては、もう現在の
地上におきます
放送電波というものが払底しておるということから
考えますと、次の時代の
放送の発展を
考えますればさらに新しい用途が生まれてこようかというふうには
考えておる次第でございます。一例を挙げますと、先ほど
電波監理局長の方から
お話のございました高品位のテレビというようなものになりますと、とても
地上のネットワークでは実現不可能ではないかというふうにも
考えておる次第でございます。
次に、第二点の、この
機構、法人に対するNHKの期待なり要望なりはどういうものかという件でございますが、
放送衛星を
使いまして私
どもが
放送を全国あまねくという使命を達成するといたしましても、何といっても
放送でございますので、これの
放送番組編集の自主権、自主性というものを保っていかなければならない。そういう条件のもとに、なおかつ最も効率的な形でなければならぬというふうに
考えている次第でございます。この法人がNHKばかりではございませんで、
電電公社さん初め——日本に割り当てられております
放送用のチャンネルは八チャンネルがございますので、NHKが二チャンネル使うといたしましても、さらに六チャンネルはNHKを含めてどこかでまだ
利用される
可能性を残しておるわけでございます。割り当てられた八チャンネルをそれぞれユーザーが各個ばらばらにこの施設をつくるということになりますと、そこに二重投資、三重投資ということも起ころうかと思います。現在
地上のネットワークにおきましても、NHKと民間
放送とが中継所をつくりますときに共同建設をすることによってより効率的にやっておると同様でございまして、そういう意味で、この法人で多重投資を避けて効率的に
運営できるということは大いにわれわれ期待をしておるところでございます。
そういう意味で、これに参加をして御一緒にやってまいりたいと思っておるわけでございますが、先ほど
電電公社さんからの
お話もございましたように、NHKとしましても、
衛星の
開発あるいは打ち上げに何がしかの
分担金を負担するといたしますと、その部分につきましての財産権といいますか所有権と申しましょうか、そういうものは当然私
どもに帰属させていただきたいというふうに
考えておりますし、また、われわれが持っておりますいままでの
研究成果というものは十分反映をさせていただきたい。そういう面から申しますと、
衛星の設計、製作の
段階から、あるいは
放送の自主性の確保という面からいいますと運用に至りますまで、使用者でございますあるいは経験者でございますNHKの
意見なり希望なりというものは十分に反映されるように期待をしている次第でございます。
最後に、
実用衛星についてのNHKの希望はどうかという御質問でございますが、いままで申しましたように、あくまでもNHKの本来
業務でございます難視解消を完遂するための
実用衛星でございまして、そういう意味から、いままで上がっております
実験衛星とは根本的に違うということを申し上げたいと思います。つまり、効率的にやれということからいたしますとこの
経費はできるだけ安いことが望ましいわけでございまして、
地上でやります場合に比べて少なくともかなり安いものでなければならぬ、高くなってはならぬということは当然のことかと思います。
同時に、国産化をできるだけ推進したいという点につきましては、私
どもとしましても同じ
考えでございますが、残念ながら日本の
衛星技術というものはアメリカあたりに比べますとかなりおくれておるのは
先生も御承知のとおりでございます。したがいまして、これを国産
開発いたしますとかなり——
電電公社の参加していらっしゃいます
CSについても、かなり高いなという印象を持つわけでございまして、
開発に要します
経費、国産化に要します
経費というようなものはできるだけ国の方で御負担をいただけないか。本当に
実用衛星として国際価格に見合うような
程度のものであれば、われわれNHKとしても受信料を割愛して何もしかられることはなかろうと思いますけれ
ども、その国産
開発のための
開発経費というようなものはぜひとも国でお願いしたいなと思う次第でございます。
また、そういうことで、日本の
衛星に対します技術、経験が浅いということを
考えますときに、打ち上げを含めまして失敗があり得る。最近の例も一つございますけれ
ども、これは
試験衛星ならば失敗も一つの
実験でございまして結構だと思いますが、本当の
実用衛星として受信料の何がしかを出すということを
考えますときに、この危険負担をどこまでわれわれが担うべきものなのかということも一つ大きな問題であろうかと思います。多額の受信料を出しまして、失敗しました、ごめんなさいでは済まぬだろうと思います。こういう補償措置といいましょうか、その辺も含めまして十分な国の御配慮をお願いしたいと思う次第でございます。
時間がございませんので走り走りで失礼でございますが、以上、申し上げておきます。