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平野政府委員 まず、先ほど申されました電波は
国民のものである、
周波数は
国民のものであるということでございますけれども、その点につきましては、
周波数がいわゆる
有限な人類及び
国民の資源であるという
立場に世界各国、もちろん
わが国といたしましても立っておるわけでございまして、その点につきまして、たとえば難視対策のために、その方策といたしまして、現在
地上におきましても中継局を建てまして、そして別の
周波数で対処しておる、これも
周波数の
国民のための効率的な
利用であるというふうに考えておるわけでございます。また、
経費その他の点からいたしまして、必ずしも
周波数で対処できないところには、有線テレビジョンというような対策を講じていく、これも
国民のための対策として一貫性があるというふうに実は考えておるわけでございます。
それに対しまして、従来の
地上系に加えて、
宇宙の
利用によってそういった難視聴対策がなし得るかなし得ないかという問題が国際的にも議論されたわけでございまして、その結果といたしまして、赤道上三万六千キロメーターというような非常に高いところから、高角度で降ってくるものでございますので、辺地におきましてもあるいは都市におきましても、少なくともお彼岸に太陽を受けることのできるようなお宅におきましては、ということは全部だと思いますが、
衛星による難視対策が可能になるということがだんだんわかってまいりまして、そこで、それでは一般
放送に言われておりますように各家庭で受信が可能であるかどうか、そこまで
技術が持っていける、あるいは経済性があるというところまでいきがたいときには、大きなパラボラアンテナで受信をいたしまして、そして有線なり無線なりで各家庭にお配りをするといいますか、そういう受信の仕方も、将来直接受信に至る過程といたしまして直接受信と考えましょうというような考え方、そのような考え方に、
日本は
日本といたしまして非常に貴重な貢献をしてまいっておるわけでございます。
私どもといたしましては、そのような方法によって難視聴対策をするということも、
国民のための電波、貴重な電波を有効に
利用する道と一貫性があるのだ、実はこういう
立場をとっておるわけでございます。
そこで、現在の国際的あるいは国内的な
技術、これは日進月歩ということを申し上げておりますのでどんどん進むだろうと思いますけれども、現在の
技術によりますれば、
日本全国に同一番組を高角度から
放送するに適した手段どまりである、こういうことでございまして、これをどのように活用するかということでございます。それでは足りない、ひとつもっと先へ行こう、こういう考え方を先ほど述べたわけでございますので、ひとつよろしく御理解を願いたいと思います。
それから、過去数年間の、御
指摘ございました国連
宇宙空間平和
利用委員会におけるD
BS原則案に関する主要な問題点、それに対する各国の意見及び
日本の対処ぶりについてのお尋ねかと存じますが、その概要につきまして御説明をさせていただきたいと存じます。
最近数年間の、
宇宙空間平和
利用委員会の
法律小
委員会というのがございますが、この
法律小
委員会におけるD
BS原則案の主な論争点といたしましては、大きな問題として二つあるわけでございます。
第一点は、外国に向けて直接
衛星放送を行う場合、その送信国と受信国との問で
協議及び協定が必要であるかどうか、これが第一点でございます。
それから第二点といたしましては、国内向けに直接
衛星放送を行う場合、近隣諸国にも電波が漏れて出る場合があるわけでございます。この電波の漏れ、すなわちスピルオーバーというふうに言っておりますが、スピルオーバーについても
協議が必要であるかどうかというこの二点でございます。
これらの問題点についての意見の対立につきまして申し上げますと、まず外国向け
放送における
協議及び協定についてでありますが、ソ連邦を初めとする東欧諸国及び発展途上国では、受信国の同意の必要性を強調しておる模様でございます。また、受信国の同意を得ずに直接
衛星放送を実施することは受信国の主権を侵害するものであるという主張をいたしております。これに対しまして、
アメリカ、イギリス、西ドイツ等の諸国は情報の自由を強調いたしております。情報は自由に交換をしようという考え方でございます。これらの中にも、いわゆる受信国に対する何らかの配慮が必要であることを認めようという国もあるわけでございます。
この問題につきまして
わが国の対応でございますけれども、
わが国といたしましては、言論の自由、報道の自由を維持することを基本といたしますけれども、受信国の憂慮に対する配慮も必要であろう、受信国と送信国との間で
協議が行わるべきであろうという主張を現在いたしておりまして、まだ
会議は続行中という
状況でございます。
また、国内向け
放送におけるスピルオーバーの問題でございますが、ソ連邦等の諸国は、自国において近隣国のテレビ
放送が受信され得るということは、たとえ当該国の国内向け
放送であっても影響が大きいから、このスピルオーバーについても当然
協議の
対象となるという主張をしておるわけでございますが、 これに対しまして、
アメリカ、イギリス、西独等は、このスピルオーバーについては、電波監理の必要性に基づく調整のほかは国相互間の
協議は必要でなかろうということを言っておりまして、意見が分かれておるという
状況でございます。
この問題につきまして、
わが国といたしましては、国内向け
放送のスピルオーバーに関しましては、その電波の強さが国際電気
通信連合で定める限界内にとどまっている限りにおきましては
協議の
対象としなくてもいいのではないか、せっかくそのような方向づけを国連の専門機関になっております電気
通信連合の方で取り上げておるのだから、その線に沿ってよかろうではないか、そういうふうな見解を述べておるところでございまして、まだ
会議が続行中であるという
状況でございます。